説明

油溶性活性成分を捕集した陽イオン性高分子ナノカプセル及びこれを含有する化粧料組成物

本発明は、油溶性活性成分を捕集した陽イオン性高分子ナノカプセル及びこれを含有する化粧料組成物に関するもので、より詳しくは、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmである陽イオン性高分子ナノカプセルに関するものである。また、本発明は、前記陽イオン性高分子ナノカプセルを含有する化粧料組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油溶性活性成分を捕集した陽イオン性高分子ナノカプセル及びこれを含有する化粧料組成物に関するもので、より詳しくは、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmである陽イオン性高分子ナノカプセルに関するものである。また、本発明は、前記陽イオン性高分子ナノカプセルを含有する化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、大きくは、角質層、表皮層及び真皮層の3つの部分から構成されている。皮膚は、人体の一次防護膜であって、体内の諸器官を温度及び湿度の変化、紫外線及び公害物質等の外部環境の刺激から保護する機能を有し、かかる皮膚の障壁機能は主に皮膚の最外殻に存在する角質層の物理化学的な性質に依存する。角質層は、ケラチンという蛋白質を主成分とする角質細胞と、その細胞の間を埋めている脂質層とから構成されている。物質の皮膚吸収において、角質細胞を通過し吸収されるのは事実上極めて難しく、角質細胞の間の脂質層を通過する経路が一般的であると知られている。従って、トコフェロールのような脂溶性物質の皮膚吸収は、比較的円滑に行われる一方、脂質層に分配され難い物質及び分子量が大きな活性成分は、皮膚への吸収が容易ではない。
【0003】
今まで、皮膚吸収度が低い活性成分の皮膚吸収度を増進させるために、高分子共重合体を用いたナノ粒子、リポソーム(liposome)、変形可能なベシクル(deformable vesicle)及びナノエマルジョン(nanoemulsion)等の多くの粒子伝達システムが研究されてきた。ミノキシジル(minoxidil)を含むポリエチレン/ポリカプロラクトン(poly-caprolactone)の共重合体を用いたナノ粒子の場合に、有毛モルモット(hairy guinea pig)の皮膚に塗布し皮膚吸収度を測定すると、同量のミノキシジルを含む一般リポソームや30%エタノールの皮膚吸収度より優れたことを確認することができた(J. Shim et al., J. Control. Release(2004) 97, 477)。
【0004】
また、韓国公開特許公報第2005-0099213号では、皮膚の美白活性成分である大榲を含有するリポソームと、リポソームと同量の大榲を含有した溶媒(アルコール:ブチレングリコール=7:3)とを、それぞれフランツ透過セルに塗布し、時間による皮膚吸収度を測定した結果、リポソームを用いた場合の皮膚吸収度が、溶媒を使用した時より9倍増加することを確認した。
【0005】
代表的な変形可能なベシクルであるトランスファーソム(transfersome)の場合、リン脂質と単一鎖の界面活性剤から構成されている。この場合、単一鎖の界面活性剤が脂質二重層を不安定にし、それの界面張力を低めることにより、二重膜の変形力を増加させると考えられる。関節炎の治療剤であるジクロフェナク( HYPERLINK "javascript:goWordLink(%22diclofenac%22)" diclofenac)を商用されるヒドロゲルとトランスファーソムにそれぞれ捕集し、動物皮膚に塗布した時に、トランスファーソムを使用する場合に、向上された皮膚伝達能力を有すると確認された。これにより、臓器内での薬物持続時間が長くなり、これは薬物による治療効果(therapeutic effect)を得るために必要な薬物の量を、ヒドロゲルにおける必要量対比1/10に低めた(Cevc G, Blume G, Biochim. Biophys. Acta. (2001) 1514, 191)。
【0006】
韓国公開特許公報第2003-0069246号には、飽和及び不飽和レシチンの含量比を調節し混合したレシチン混合物を界面活性剤として使用し製造することにより、ナノ粒子の内相に1つ以上のオイル又は生理活性成分を含有し、外相には水を含有するナノエマルジョンを製造し、皮膚吸収度を高めるための方法が開示されている。
【0007】
しかし、これら従来の方法が活性成分の皮膚吸収度を増加させたものの、まだ満足できる水準ではないか、又は化粧品に適用可能な形態にまだ研究されていない。
【0008】
最近、皮膚しわ改善、保湿力強化などの優れた効能により化粧品に広く使用されているが、空気や水分など外部刺激との接触により、容易く色やにおいが変わり、力価が減って、効能が減少する問題点を有する油溶性活性成分を安定化するための研究が活発に進んでいる。かかる活性成分中のレチノールは、優秀なしわ防止効果などの優れた効能により、多くの関心の対象になっているが、光、熱、空気、水分などにより容易く破壊される不安定な成分の1つであって、その使用が極めて制限的である。
【0009】
かかる制限を克服するために、剤形内のレチノールを安定化する方法を具体的に調べてみると、ヨーロッパ特許公報第440398及びPCT国際特許公開公報第WO93/00085号には、抗酸化剤、キレート剤を添加し、水中油型の乳化形態にレチノールを安定化する技術が記載されている。また、米国特許第5,851,538号では、レチノールの安定化を向上させ、皮膚刺激を減らすための方法として多孔性マイクロ粒子が提案された。また、米国特許第6,183,774号には、陽イオン性リポソームを使用してレチノールを安定化する方法が記載されており、米国特許第5,985,296号には、シクロデキストリンを使用してレチノールを安定化する方法が記載されている。また、米国特許第6,565,886号には、アジピン酸アルキレン(alkylene adipate)ナノカプセルを利用してレチノールを安定化する方法が記載されている。かかる従来の方法がレチノールの安定性を向上させたものの、まだ満足する水準ではなく、レチノール以外に他の油溶性活性成分を安定化するのに幅広く活用されるシステムの発明が切実である。
【0010】
このように、一般的に油溶性活性成分の皮膚吸収度を高めるための方案として、油溶性活性成分を含むカプセルのサイズを小さくする方法が広く研究されている。従って、初期にマイクロ粒子に関して研究されていたのが、ナノ粒子に関して研究する方向に進められてきた。しかし、粒子のサイズが50nm未満の高分子カプセルを化粧品とともに皮膚に塗布した場合、人体安定性に問題を起こす可能性があり、油溶性活性成分を含むカプセルの相対的な表面積が増えることにより、油溶性活性成分の安定度が減少する恐れがあるという短所がある。
【0011】
従って、多様な油溶性活性成分の皮膚吸収度を増加させるのに幅広く活用できるシステムの発明が切実である。
【特許文献1】韓国公開特許公報第2005-0099213号
【特許文献2】韓国公開特許公報第2003-0069246号
【特許文献3】ヨーロッパ特許公報第440398号
【特許文献4】PCT国際特許公開公報第WO93/00085号
【特許文献5】米国特許第5,851,538号明細書
【特許文献6】米国特許第6,183,774号明細書
【特許文献7】米国特許第5,985,296号明細書
【特許文献8】米国特許第6,565,886号明細書
【非特許文献1】J. Shim et al., J. Control. Release(2004) 97, 477
【非特許文献2】Cevc G, Blume G, Biochim. Biophys. Acta. (2001) 1514, 191
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的に、油溶性活性成分の皮膚吸収度を高めるための方案として、油溶性活性成分を含むカプセルのサイズを小さくする方法が広く研究されている。従って、初期にマイクロ粒子に関して研究されていたのが、ナノ粒子に関して研究する方向に進められてきた。しかし、粒子のサイズが50nm未満の高分子カプセルを化粧品とともに皮膚に塗布した場合、油溶性活性成分を含むカプセルの相対的な表面積が増えることにより、油溶性活性成分の安定度が減少する恐れがあるという短所がある。
【0013】
これにより、本発明者が研究を重ねた結果、油溶性活性成分を捕集するナノカプセルの粒子サイズや製造時に使用された高分子の種類よりは、ナノカプセル自体の表面電荷状態を特定範囲に維持した時、油溶性活性成分の皮膚吸収度を向上させることができるというのを明らかにし、かかる表面電荷量を有する陽イオン高分子ナノカプセル及びこれを含有する化粧料組成物を完成した。
【0014】
従って、本発明では、高分子粒子内の一部(moiety)に導入された陽イオン性官能基に油溶性活性成分を吸着、捕集させることにより、陽イオン性グループと油溶性活性成分間の水素結合を誘導し、これにより、活性成分を固定化させてカプセル内で安定化し、活性成分の流出を防止し、外殻の高分子壁剤により粒子内でもう一度安定化した二重安定化システムを使用する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これにより、本発明者は、高分子ナノ粒子を用いて油溶性活性成分の皮膚吸収度を高める方法を研究した結果、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmである陽イオン性高分子ナノカプセルを用いる場合、ナノカプセル内部に含有された油溶性活性成分の皮膚吸収度が増加することを確認し、本発明を完成させた。
【0016】
従って、本発明の目的は、油溶性活性成分の皮膚吸収度を向上できる陽イオン性高分子ナノカプセル及びその製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、前記陽イオン性高分子ナノカプセルを含有し、油溶性活性成分の皮膚吸収度を向上できる化粧料組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る陽イオン性高分子ナノカプセルは、活性成分の効能を極大化できるナノメータサイズの粒子水準で、活性成分の初期活性をそのまま維持できるように効果的な安定化素材を提供することができる。また、差別化された単工程により活性成分伝達用の高分子ナノカプセルの製造工程をより簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明では、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmであり、内部に油溶性活性成分を捕集させた陽イオン性高分子ナノカプセルを提供する。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明の高分子ナノカプセルの製造方法の一例として、1)活性成分を吸着できる陽イオン性官能基を有する疎水性高分子を重合する段階;2)油溶性活性成分を捕集できる陽イオン性高分子ナノカプセルを製造する段階;3)多様な高分子カプセルの皮膚吸収度を比較する段階;を経て、陽イオン性高分子ナノカプセルを製造する方法を提供する。
【0020】
また、本発明では、前記陽イオン性高分子ナノカプセルを含有する化粧料組成物を提供する。
【0021】
以下、本発明に係る表面電荷量を有する陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法の一例を各段階別に具体的に調べてみる。
【0022】
1)活性成分を吸着できる陽イオン性官能基を有する疎水性高分子を重合する段 階;
本発明において、陽イオン性官能基を有する高分子の重合は、無乳化剤乳化重合法を利用する。
【0023】
本発明では、陽イオン性を付与するために、ラジカル重合が可能な陽イオン性単量体または分子量が400〜800である低分子量の重合体を使用するのが好ましく、具体的には、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニル-N-メチルピリジニウムクロライド、3-メタクリロイル-2-エチル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、メタクリロイル-3-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイル-2-エチル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、アクリロイル-3-プロピル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、3-メタクリロイル-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイル-3-プロピル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、(メタクリロイル)エチルジメチルアミン及びポリエチレンイミン等が挙げられる。前記単量体または低分子量の重合体は、全体高分子の総重量に対して0.1〜30重量%の量に添加する。これは、陽イオン基が0.1重量%未満に添加すると、水分散ナノ粒子が形成されず、30重量%を超過して添加すると、重合時に外部水相にモノマーが拡散され収率を減少させる問題点があるからである。
【0024】
本発明に使用される開始剤としては、陽イオン性開始剤として、具体的には、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-アミジンプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス-2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピン-アミド、2,2'-アゾビス-2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-エチル]プロピン-アミド、及び2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドロレートのようなアゾ化合物を含むことができる。前記開始剤は、全体高分子の含量対比0.9〜1.1重量%が好ましく、0.9重量%未満の濃度では効果的な開始効果を期待するのが難しく、1.1重量%を超過する濃度では過度な重合速度上昇により、系の安定度が低下する傾向がある。
【0025】
本発明で重合に使用される疎水性単量体としては、ラジカル重合または開環重合が可能な単量体として、具体的には、スチレン、p-又はm-メチルスチレン、p-又はm-エチルスチレン、p-又はm-クロロスチレン、p-又はm-クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、p-又はm-t-ブトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アルキル(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0026】
2)油溶性活性成分を捕集した陽イオン性高分子ナノカプセルを製造する段階;
本発明に係る陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法は、一般的なナノ沈殿法(Nano precipitation method)を使用することができ、下記の段階を含む。
【0027】
油溶性活性成分及び前記1)段階で製造した陽イオン性高分子を適当な有機溶媒、即ち、水と混合されることができ、無毒性であって水より蒸気圧が低く、揮発性の大きな溶媒(一般的に、アルコール/アセトン)に溶解させる段階と、適当な速度で攪拌しながら水相と有機相を混合させ、自己集合(self-assembly)によりエマルジョンを製造する段階と、有機相を蒸発させ水相に存在する活性成分を捕集したナノカプセルを製造する段階とから構成される。
【0028】
捕集可能な油溶性活性成分としては、レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、α-トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェリルリノール酸、トコフェリルニコチネート、リノール酸、コエンザイムQ-10、レスベラトロル、植物抽出エッセンシャルオイル、ウルソル酸、オレアノール酸、油溶性甘草及びリポ酸などを使用することができる。
【0029】
3)多様な高分子カプセルの皮膚吸収度を比較する段階;
また、本発明では、前記1)及び2)段階を経て製造した陽イオン性高分子ナノカプセルと多様な高分子カプセルを用いて、下記のような皮膚吸収度の比較実験を経ることにより、皮膚吸収率を最大化できる高分子ナノカプセルの特徴を明らかにすることができた。
【0030】
本発明に係る高分子ナノカプセルの使用時に、活性成分の皮膚吸収度を測定する方法としては、例えば、モルモットの皮膚を対象にして、フランツ透過セルを用いてコエンザイムQ-10の皮膚吸収度を測定したが、必ずしもこれに限定されるものではない。その過程を簡単に調べてみると、実験直前にモルモットの腹部の皮膚を採取し、平方1cm3の面積に切断した後、これを透過鏡の直径が0.9cmである透過セルに静置し、次に、クランプで固定し、皮膚の一面には測定しようとする組成物(実施例1〜4及び比較例1〜4)を0.5ml塗布し、他面は精製水と接触するようにする。実験時の温度は、実際の皮膚温度である32℃を維持し、実験が始まってから18時間後、反対側精製水の一部を採取し、HPLCを用いて皮膚を透過したコエンザイムQ-10の量を測定する。また、モルモット皮膚に吸収されたコエンザイムQ-10の量を測定するために、メタノールを用いて皮膚組織からコエンザイムQ-10を抽出し、HPLCを用いてコエンザイムQ-10の量を測定する。
【0031】
前記方法で多様な高分子カプセルの皮膚吸収度を比較した結果、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmである陽イオン性高分子ナノカプセルが、ナノカプセルの内部に含有された油溶性活性成分の皮膚吸収度が最も優れたことを確認した。
【0032】
前記陽イオン性高分子ナノカプセルの分子量が5,000未満の場合は、有機溶媒に対する溶解度が、分子量が5,000以上の場合に比べて良くなく、反対に、水に対する溶解度が増加し、効率的に粒子を製造するのに限界があり、分子量が100,000を超過する場合には、粒子製造時に凝集現象がよく発生し、効率的に粒子を製造するのに限界があった。
【0033】
また、本発明に係る陽イオン性高分子ナノカプセルの表面電位が5mV未満の場合には、皮膚吸収の増進率がわずかであり、100mVを超過する場合には、剤形内の水溶性成分と水溶性高分子との凝集現象が発生し、その使用が極めて制限的となる。
【0034】
一方、粒子サイズが50nm未満の高分子カプセルの場合、油溶性活性成分の安定度が減少する可能性があるという短所があり、粒子サイズが500nmを超過する高分子カプセルの場合は、皮膚吸収がされずカプセル内部に捕集された油溶性活性成分の効能を期待できないという短所がある。
【0035】
前記製造方法は、本発明の高分子ナノカプセル、即ち、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmでありながら、陽イオン性高分子ナノカプセルを製造するための方法の一例であって、本発明の諸特性を有する陽イオン性高分子ナノカプセルを製造する方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0036】
また、本発明は、前記陽イオン性高分子ナノカプセルを含有することにより、油溶性活性成分の皮膚吸収を極大化できるように製造した化粧料組成物に関するものである。
【0037】
従って、本発明に係る化粧料組成物は、分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmでありながら、陽イオン性官能基を有している陽イオン性高分子ナノカプセルを含有することができる。
【0038】
また、本発明に係る化粧料組成物は、前記1)及び2)段階を経て製造した陽イオン性高分子ナノカプセルを含有することができる。
【0039】
本発明に係る前記陽イオン性高分子ナノカプセルは、化粧料組成物において含量範囲を特定しないが、機能性製品の含量を合わせるための範囲で前記陽イオン性高分子ナノカプセルを0.1〜10重量%含有することが好ましく、含量が10重量%を超過すると、剤形の使用感を合わせるのが難しくなり、0.1重量%未満では、機能性製品の全体的含量を合わせるのが難しくなるので、剤形化が難しい。
【0040】
本発明に係る化粧料組成物は、その剤形において特別に限定されないが、例えば、柔軟化粧水、栄養化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、ゲル、エッセンス、口紅、メーキャップベース、ファンデーション、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、噴霧剤などに剤形化することができる。
【0041】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。しかし、実施例は本発明を具体的に説明するもので、実施例により本発明の権利範囲が制限されるのではない。
【実施例】
【0042】
[実施例1]
陽イオン性官能基を有するブチルメタクリレートランダム共重合体は、次のような過程を経て製造した。ブチルメタクリレートを高分子重量対比75重量%、(メタクリロイル)エチルジアミンを高分子重量対比25重量%混合した。この混合液を2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライドが0.5重量%溶解されている水溶液に入れ、窒素雰囲気下において70℃で4時間250rpmで攪拌しながら重合することで、高分子ラテックスを得た。生成された高分子をナトリウムクロライドで沈澱させ粉末形態に得て、アセトン/水による再結晶化により未反応モノマーを除去した後、もう一度ナトリウムクロライドで沈澱させ粉末形態に得て、次に、濾過後に水で洗浄する過程を数回繰り返し、真空オーブンで乾燥させカプセルを粉末形態に得た。
【0043】
コエンザイムQ-10を担持しているナノカプセルを製造するために、前記工程によって製造された陽イオン性官能基を有する高分子2g及びコエンザイムQ-10(日本NISSHIN PHARMA)1gを100mlのエタノールに溶解した。また、蒸留水200mlをフラスコに導入し攪拌させながら製造された高分子/コエンザイムQ-10/エタノール混合液を添加し、自己集合体を得た後、回転式蒸発器を用いてエタノールと少量の水を蒸発させ、50mlの高分子水溶液を得た。
【0044】
[実施例2]
陽イオン性官能基を有するメチルメタクリレートランダム共重合体は、メチルメタクリレートを高分子として使用することを除いては、実施例1と同一方法で高分子及びカプセルを製造した。
【0045】
[実施例3]
陽イオン性官能基を有するポリスチレンランダム共重合体は、ポリスチレンを高分子として使用することを除いては、実施例1と同一方法で高分子及びカプセルを製造した。
【0046】
[実施例4]
陽イオン性官能基を有するポリラクチックコグリコール酸(poly(lactic-coglycolic acid);PLGA)ランダム共重合体は、次のような方法で製造した。まず、0.37mmolPLGA高分子及び1.2mmolジシクロヘキシルカボイミド(dicyclohexylcarboimide)を無水ジメチルホルムアミド溶液10mLに溶かし、4時間反応した後、4mmolポリエチレンイミン(PEI)を前記ポリラクチックコグリコール酸/ジメチルホルムアミド溶液に混合し反応した後、1時間後に前記反応物をジエチルエーテル溶液に追加し沈澱物を得て、PLGA-PEI共重合体を製造した。
【0047】
[比較例1]
高分子重合時に陽イオン性官能基を導入せず、SLS(sodium lauryl sulfate;ラウリル硫酸ナトリウム)を高分子重量対比10%に使用し、高分子モノマーとしてブチルメタクリレートのみを用い、カプセルを実施例1と同一方法で製造した。
【0048】
[比較例2]
高分子重合時に陽イオン性官能基を導入せず、SLS(sodium lauryl sulfate)を高分子重量対比10%に使用し、高分子モノマーとしてメチルメタクリレートのみを用い、カプセルを実施例2と同一方法で製造した。
【0049】
[比較例3]
高分子重合時に陽イオン性官能基を導入せず、SLS(sodium lauryl sulfate)を高分子重量対比10%に使用し、高分子モノマーとしてスチレンのみを用い、カプセルを実施例3と同一方法で製造した。
【0050】
[比較例4]
高分子重合時に陽イオン性官能基を導入せず、SLS(sodium lauryl sulfate)を高分子重量対比10%に使用し、カプセル高分子としてポリラクチッコクグリコール酸のみを用い、カプセルを実施例4のカプセル製造方法と同一方法で製造した。
【0051】
[試験例1:高分子カプセルの表面電荷測定]
ゼータ電位(zeta potential)測定装置であるZetasizer3000HS(Malvern, UK)を用いて、実施例1〜4及び比較例1〜4の各結果物に対するゼータ電位を中性条件(pH=7)で測定し、その結果を表1に示した。
【0052】
表1に示した試料のゼータ電位を調べてみると、高分子重合時に陽イオン性官能基を導入した実施例1〜4の試料の表面電荷が陽電荷と示されることが分かる。その一方、高分子重合時に陽イオン性官能基を導入せず、高分子自体のみでカプセルを製作した比較例1〜4の表面電荷は陰電荷と示された。
【0053】
[試験例2:高分子カプセルの動的光散乱(dynamic light scattering)による粒子サイズの測定]
散乱角は90°に固定し、温度は25℃に維持しながら、実施例1〜4及び比較例1〜4の各結果物に対する粒子サイズを測定した。その結果を表1に示した。
【0054】
【表1】

【0055】
[試験例3:高分子ナノカプセルのモーフォロジー(morphology)観察]
前記実施例1で製造した陽イオン性高分子ナノ粒子のモーフォロジーは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、その結果を図1に示した。
【0056】
図1の結果から、本発明に係る実施例1で製造した高分子ナノカプセルが球状であることを確認することができた。即ち、図1は、本発明で製造したコエンザイムQ-10を含有している陽イオン性高分子ナノカプセル(実施例1)を透過電子顕微鏡写真で観察したものである。
【0057】
[試験例4:高分子ナノカプセルの体外(in vitro)皮膚吸収量の測定]
コエンザイムQ-10の皮膚吸収は、モルモットの皮膚を対象にフランツ透過セルを用いて測定した。実験直前にモルモットの腹部の皮膚を採取し、平方1cm3の面積に切断した後、これを透過鏡の直径が0.9cmである透過セルに静置し、次に、クランプで固定した。皮膚の一面に実施例1〜4及び比較例1〜4をそれぞれ0.5mlずつ塗布し、他面は精製水と接触するようにした。実験時の温度は、実際の皮膚温度である32℃を維持した。実験が始まってから18時間後、反対側精製水の一部を採取し、HPLCを用いて皮膚を透過したコエンザイムQ-10の量を測定した。
【0058】
また、モルモット皮膚に吸収されたコエンザイムQ-10の量を測定するために、メタノールを用いて皮膚組織からコエンザイムQ-10を抽出し、HPLCを用いてコエンザイムQ-10の量を測定した。その結果を表2に示した。
【0059】
【表2】

【0060】
前記表2に示した試料の皮膚吸収量を調べてみると、高分子重合時に陽イオン性官能基を導入した実施例1〜4の試料の皮膚吸収量が、陽イオン性官能基を導入せず、高分子自体のみでカプセルを製作した比較例1〜4の皮膚吸収量より1.5〜5.9倍まで増加したことを確認することができた。
[試験例5:高分子ナノカプセルの体内(in vivo)皮膚吸収度の測定]
体内の皮膚吸収度を測定するために、実施例1でカプセルを製作した時、コエンザイムQ-10の代わりに蛍光物質であるナイルレッド(nile red)を少量担持した。このように製造されたナノカプセルの平均粒子サイズは140nmであった。製造されたナノカプセルの体内の皮膚吸収度を比較評価するために、対照群として表面電荷が-2mVであり、粒子サイズがそれぞれ40nm及び200nmであるポリスチレン(polystyrene)ナノビーズをMolecular Probes社から購入した。購入したポリスチレンナノビーズには蛍光物質が既に担持されていて、皮膚吸収度の蛍光観察が可能である。
【0061】
対照群のポリスチレンナノビーズ2種及び実施例1を処理する前に、モルモットの背中部位を除毛し、前記試料をモルモットの背中部位に閉鎖パッチした。24時間閉鎖パッチした後、皮膚を6mm皮膚切断用のパンチで切断した。切断された皮膚は精製水で4回以上洗い、切片用溶剤(O.C.T. compound)を用いて−26.0℃以下に凍結させた後、厚さ10〜18μmに切削し、スライド・ガラスに組織を載せた。残りの切片用溶剤(O.C.T. compound)を洗った後、カバー・ガラスを覆い、直ちに共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)で観察した。その結果を図2に示した。
【0062】
図2は、40nm及び200nmの径を有するポリスチレンナノビーズと、陽イオン性官能基を有するブチルメタクリレート高分子ナノカプセル(実施例1)との皮膚吸収実験後、皮膚切片を共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した写真である。
【0063】
図2の結果から、本発明に係る実施例1で製造した高分子ナノカプセル(図2のC)の場合、140nmの大きさにもかかわらず、皮膚の表面でのみ蛍光が観察される40nmのポリスチレンナノビーズ(図2のA)に比べて、皮膚吸収度が非常に優秀であることが分かる。また、200nmのポリスチレンナノビーズ(図2のB)も皮膚の表面でのみ蛍光が観察された。
【0064】
従って、共焦点レーザー走査顕微鏡の観察イメージ結果から、40nm及び200nmのポリスチレンナノビーズの場合、皮膚の表面でのみ蛍光が観察されるのに対して、実施例1で製造した高分子ナノカプセルの場合、殆どの表皮層で蛍光が観察されるのを確認した。この試験例により高分子ナノカプセルの表面電荷が油溶性活性成分の皮膚吸収増進に大きな影響を及ぼすことを確認した。
【0065】
[剤形例1]
表3の組成により、透明ゲル形態の可溶化剤形として剤形例1を製造した。剤形の粘度は約4,000cpsである。一方、粘度はBrookfield (LVDVII+) を用いて30℃、12rpmでスピンドル(spindle)No.3で測定した。
【0066】
【表3】

【0067】
[剤形例2]
表4の組成により、乳化剤形の剤形例2を製造した。それぞれの油相と水相を70℃で完全に溶解させ、7,000rpmで5分間乳化させることで、不透明ゲル形態のローションを製造した。ローションの粘度は約7,000cpsである。
【0068】
【表4】

【0069】
[剤形例3]
表5の組成により、クリーム剤形の剤形例3を製造した。製造過程は前記剤形例2と同一である。
【0070】
【表5】

【0071】
[試験例6:ゲル剤形安定度の確認]
製造されたカプセルが導入された剤形の安定度を確認するために、前記剤形例1を−4℃冷蔵庫、室温及び40℃恒温槽でそれぞれ保管した後、4週後に試料を採取し観察した。この時、製造されたカプセルを含有している前記剤形は、相分離が起こらない安定した剤形であると観察された。
【0072】
[試験例7:乳化剤形安定度の確認]
製造されたカプセルが導入された剤形の安定度を確認するために、前記剤形例2を−4℃冷蔵庫、室温及び40℃恒温槽でそれぞれ保管した後、4週後に試料を採取し観察した。この時、製造されたカプセルを含有している前記剤形は、相分離が起こらない安定した剤形であると観察された。
【0073】
[試験例8:クリーム剤形安定度の確認]
製造されたカプセルが導入された剤形の安定度を確認するために、前記剤形例3を−4℃冷蔵庫、室温及び40℃恒温槽でそれぞれ保管した後、4週後に試料を採取し観察した。この時、製造されたカプセルを含有している前記剤形は、相分離が起こらない安定した剤形であると観察された。
【0074】
以上の結果から、実施例1〜4で製造した陽イオン性高分子ナノカプセルは、化粧料剤形内で剤形安定度を減少させないことが確認された。
【0075】
[実施例5]
レチノールを活性成分として使用することを除いては、前記実施例1と同一方法でカプセルを製造した。
【0076】
[実施例6]
油溶性甘草を活性成分として使用することを除いては、前記実施例1と同一方法でカプセルを製造した。
【0077】
[比較例5]
高分子重合時にブチルメタクリレートを導入しないことを除いては、前記実施例1と同一方法でカプセルを製造した。
【0078】
[剤形例4及び比較剤形例1]
表6の組成により、透明ゲル形態の可溶化剤形として剤形例4及び比較剤形例1を製造した。剤形の粘度は約4,000cpsである。一方、粘度はBrookfield (LVDVII+) を用いて30℃、12rpmで測定した。
【0079】
【表6】

【0080】
[剤形例5及び比較剤形例2]
表7の組成により、乳化剤形の剤形例5及び比較剤形例2を製造した。それぞれの油相と水剤を70℃で完全に溶解させ、7,000rpmで5分間乳化させることで、不透明ゲル形態のローションを製造した。ローションの粘度は約2,500cpsである。
【0081】
【表7】

【0082】
[剤形例6及び比較剤形例3]
表8の組成により、クリーム剤形の剤形例6及び比較剤形例3を製造した。製造過程は前記剤形例5と同一である。
【0083】
【表8】

【0084】
[試験例9]
前記実施例5で製造した二相構造の陽イオン性高分子ナノ粒子のモーフォロジーは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。その結果を図3に示した。図3の結果から、本発明に係る実施例5で製造した高分子ナノカプセルが球状の高分子粒子で生成されていることが確認できた。
【0085】
[試験例10]
製造されたカプセルの安定性を確認するために、前記剤形例4及び比較剤形例1を室温と40℃オーブンでそれぞれ保管した後、一定期間後に試料を採取し、液状クロマトグラフィーを用いて残余活性成分の量を測定した。その結果を表9に示した。
【0086】
【表9】

表9から分かるように、剤形例4の可溶化剤形で陽イオン性高分子カプセル内に存在するレチノールは、優れた安定性を有していることが分かる。
【0087】
[試験例11]
製造された乳化剤形の安定化効果を調べてみるために、前記剤形例5及び比較剤形例2を室温と40℃オーブンでそれぞれ保管した後、一定期間後に試料を採取し、液状クロマトグラフィーを用いて残余活性成分の量を測定した。その結果を表10に示した。
【0088】
【表10】

【0089】
表10から分かるように、剤形例5の乳化剤形でもナノカプセル内に存在するレチノールは、優れた安定性を有していることが分かる。これにより、本発明に係る陽イオン性高分子ナノカプセルは、陽イオン性官能基により活性成分であるレチノールを捕集し化学構造を維持させ、カプセル外部へレチノールが流出されるのを防止し、高分子マトリクスにより外部有害環境を遮断する二重安定化システムの優秀性を確認することができた。
【0090】
[試験例12]
製造されたクリーム剤形の安定性を確認するために、前記剤形例6及び比較剤形例3の試料を室温と40℃オーブンでそれぞれ保管した後、一定期間後に試料を採取し、液状クロマトグラフィーを用いて残余活性成分の量を測定した。その結果を表11に示した。
【0091】
【表11】

【0092】
表11から分かるように、クリーム剤形もローション剤形と同様に、陽イオン性グループが剤形内レチノールの安定化に大きく寄与することを確認することができた。
【0093】
[試験例13]
本発明で他の活性成分の安定化程度を確認するために、実施例5の代わりに実施例6及び1を用いて剤形例6と同一に製造した後、その安定度を前記試験例9と同一方法で確認した。その結果を表12に示した。
【0094】
【表12】

【0095】
表12から分かるように、他の油溶成分の安定化にもこの陽イオン性高分子ナノカプセルは、優れた効果を有していることを確認した。
【0096】
以上の結果から、単純な高分子粒子内のレチノールは、化粧品剤形内の水分やオイル、界面活性剤などによる粒子の膨潤のために外部環境と接触するようになり、優れた安定度を見せない。また、比較例5で製造した陽イオン性高分子ナノカプセルは、高分子粒子陽イオン性グループによりレチノールの化学構造を安定化し、吸着により捕集能を増加させ、カプセル外部へ流出されることを防止することにより、他のシステムに比べて剤形内で優れた安定度を見せる。しかしながら、実施例5で製造した陽イオン性高分子ナノカプセルは、レチノールを固定化している内部陽イオングループと共に、高分子マトリクス壁剤により剤形内の水分やオイル等による粒子の膨潤を顕著に減少させ、これにより効果的に外部刺激を遮断するのが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、コエンザイムQ-10を含有し、陽イオン性官能基を有するブチルメタクリレート高分子ナノカプセル(実施例1)を透過電子顕微鏡で観察した写真である。
【0098】
【図2】図2は、試験物質の皮膚吸収実験の後、皮膚切片を共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)で観察したイメージである。(A)40nmポリスチレンナノビーズ、(B)200nmポリスチレンナノビーズ、(C)コエンザイムQ-10の代わりに、ナイルレッド (nile red)を含有する実施例1で製造された高分子ナノカプセルである。
【0099】
【図3】図3は、レチノールを含有し、陽イオン性官能基を有するブチルメタクリレート高分子ナノカプセル(実施例5)を透過電子顕微鏡で観察した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量が5,000〜100,000であり、表面電位が5〜100mVであり、粒子サイズが50〜500nmであり、内部に油溶性活性成分を捕集させたことを特徴とする陽イオン性高分子ナノカプセル。
【請求項2】
前記油溶性活性成分は、レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、α-トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェリルリノール酸、トコフェリルニコチネート、リノール酸、コエンザイムQ-10、レスベラトロル、植物抽出エッセンシャルオイル、ウルソル酸、オレアノール酸、油溶性甘草及びリポ酸よりなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の陽イオン性高分子ナノカプセル。
【請求項3】
前記陽イオン性高分子ナノカプセルは、皮膚吸収増進用であることを特徴とする請求項1に記載の陽イオン性高分子ナノカプセル。
【請求項4】
前記陽イオン性高分子ナノカプセルは、油溶性活性成分を安定化することを特徴とする請求項1に記載の陽イオン性高分子ナノカプセル。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項による陽イオン性高分子ナノカプセルを含有する化粧量組成物。
【請求項6】
前記組成物は、組成物の総重量に対して陽イオン性高分子ナノカプセルを0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項5に記載の化粧量組成物。
【請求項7】
1)活性成分を吸着できる陽イオン性官能基を有する疎水性高分子を重合する段階と、
2)前記1)段階の疎水性高分子及び油溶性活性成分を有機溶媒に溶解させた後、攪拌しながら水相と有機相を混合させエマルジョンを製造し、有機相を蒸発させ水相に存在する油溶性活性成分を捕集したナノカプセルを製造する段階と、を含むことを特徴とする油溶性活性成分を捕集させた陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法。
【請求項8】
前記1)段階の陽イオン性官能基を付与するために使用される単量体または低分子量の重合体は、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニル-N-メチルピリジニウムクロライド、3-メタクリロイル-2-エチル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、メタクリロイル-3-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイル-2-エチル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、アクリロイル-3-プロピル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、3-メタクリロイル-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイル-3-プロピル-テトラアルキルアンモニウムクロライド、(メタクリロイル)エチルジメチルアミン及びポリエチレンイミンよりなる群から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法。
【請求項9】
前記単量体または低分子量の重合体は、全体高分子の総重量に対して0.1〜30重量%の量に使用されることを特徴とする請求項8に記載の陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法。
【請求項10】
前記1)段階において重合に使用される疎水性単量体としては、スチレン、p-又はm-メチルスチレン、p-又はm-エチルスチレン、p-又はm-クロロスチレン、p-又はm-クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、p-又はm-t-ブトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アルキル(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリロニトリルよりなる群から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法。
【請求項11】
前記2)段階の活性成分は、レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、α-トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェリルリノール酸、トコフェリルニコチネート、リノール酸、コエンザイムQ-10、レスベラトロル、植物抽出エッセンシャルオイル、ウルソル酸、オレアノール酸、油溶性甘草及びリポ酸よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の陽イオン性高分子ナノカプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514811(P2009−514811A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536493(P2008−536493)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004238
【国際公開番号】WO2007/046632
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503327691)株式會社アモーレパシフィック (73)
【住所又は居所原語表記】181, Hankang−ro 2−ka, Yongsan−ku, Seoul 140−777 Republic of Korea
【Fターム(参考)】