説明

油潤滑方式転動装置およびその潤滑油中の混入水分濃度の異常監視のしきい値設定方法

【課題】 油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視して精度良く求めることができる機能を備え、転動部品の水素脆性起因の早期損傷を抑制することのできる油潤滑方式転動装置を提供する。
【解決手段】 油潤滑方式の転動装置において、潤滑油5中の混入水分濃度を監視する混入水分濃度監視装置6を設ける。混入水分濃度監視装置6は、潤滑油5中の静電容量および油温をそれぞれ検出する静電容量検出手段7および油温測定手段8と、その検出された静電容量および油温から、混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段9とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油潤滑方式の転動装置に関し、特にその潤滑油中の混入水分濃度の監視機能を備えた転動装置、および混入水分濃度の異常監視のしきい値設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受や歯車などの転動部品は、水が混入する条件下(非特許文献1〜5)、すべりを伴う条件下(非特許文献6)で使用されると、水や潤滑剤が分解して水素が発生し、それが鋼中に侵入することで早期損傷が起きることがある。接触要素間の接触面で金属接触が起き、金属新生面が露出すると、水や潤滑剤の分解による水素の発生、鋼中への侵入が促進される。このことは,水や潤滑油を滴下しながらエメリー紙で転動部品用鋼をアブレシブ摩耗させた後に昇温脱離水素分析を行った結果、鋼中から拡散性水素が明瞭に検出された実験事実によって証明されている(非特許文献7)。それによると、潤滑油よりも水を滴下した方が多くの拡散性水素が検出されている。したがって、すべりが生じる条件で用いられる転動部品の潤滑剤に水が混入すると、さらに水素が発生し,鋼中に侵入しやすくなるといえる。水素は鋼の疲労強度を著しく低下させるため(非特許文献8)、さほど大きくない最大接触面圧でも、水素が侵入すれば早期損傷が起きる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138376号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】エル.グランベルグ( L. Grunberg)著, Proc. Phys. Soc. (London), B66 (1953) 153-161.
【非特許文献2】エル.グランベルグ、ディ.スコット( L. Grunberg and D. Scott)著, J. Inst. Petrol., 44 (1958) 406-410.
【非特許文献3】エル.グランベルグ( L. Grunberg), ディ. ティ. ジャミソン、ディ.スコット(D. T. Jamieson and D. Scott)著, Philosophical magazine, 8 (1963) 1553-1568.
【非特許文献4】ピー.シャッツベルグ、アイ.エム.フェルセン( P. Schatzberg and I. M. Felsen)著, Wear, 12 (1968) 331-342.
【非特許文献5】ピー.シャッツベルグ( P. Schatzberg)著, J. Lub. Tech., 231 (1971) 231-235.
【非特許文献6】ケイ.タマダ、エッチ.タナカ( K. Tamada and H. Tanaka)著, Wear, 199 (1996) 245-252.
【非特許文献7】谷本啓, 田中宏昌, 杉村丈一, トライボロジー会議予稿集, (2010-5 東京), 203-204.
【非特許文献8】ワイ.マツバラ、エッチ.ハマダ( Y. Matsubara and H. Hamada)著, Bearing Steel Technology, ASTM STP1465, J. M. Beswick Ed., (2007), 153-166.
【非特許文献9】エッチ.ミカミ、ティ.カワムラ( H. Mikami and T. Kawamura) 著, SAE Paper, (2007), No. 2007-01-0113.
【非特許文献10】牧野智昭,学位論文(京都大学),(2000),134p.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、すべりが生じる条件で用いられる転動部品の潤滑剤に水が混入すると、さらに水素が発生し,鋼中に侵入し易くなるといえる。転動部品は今後ますます水素が発生し易い条件で使用される傾向にある。したがって、潤滑油中の混入水分濃度を監視し、混入水分濃度過多を診断することで、水素脆性起因の早期損傷を抑制する必要がある。
特許文献1において、監視・診断システムの1 機能として、後述の静電容量と比例関係にある誘電率を監視し、潤滑剤の酸化度合いを監視・診断するとある。しかしながら、概念のみが記されているだけであり、具体的なデータなどの記載はない。また転がり軸受の異常診断に限定されている。潤滑油中の混入水分濃度は静電容量だけでは求まらず,温度依存性も測定しなければならない。
【0006】
油潤滑方式の転動装置の潤滑油に水分が混入する理由を説明する。油潤滑方式の転動装置の潤滑油中の混入水分濃度は、特に屋外で用いられるものは、日々の寒暖、乾湿の変動により、マクロ的には閉鎖されていても呼吸すると考えられる。転動装置の潤滑油中に水分が混入する場合として、例えば図20(油浴給油) や図21(循環給油) のような機構が考えられる。両図の上側のように、作動中は転動装置内の温度が外気温よりも高くなるため,転動装置内は正圧になり、内気の一部が外部に放出される。一方、両図の下側のように,停止して転動装置内の温度が外気温よりも低下すると,転動装置内は負圧になるため、転動装置内に外気が入り込む。入り込んだ外気が高湿の場合、転動装置内に結露が生じ、潤滑油中に水分が混入する。このように、通常の使用でも潤滑油中への水分混入が考えられる。転動装置が豪雨や強い風雨にさらされる場合には、さらに多くの水分が混入すると考えられる。
【0007】
この発明の目的は、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視して精度良く求めることができる機能を備え、転動部品の水素脆性起因の早期損傷を抑制することのできる油潤滑方式転動装置を提供することである。
この発明の他の目的は、混入水分濃度がしきい値を超えた場合に異常診断することによって、転動部品の水素脆性起因の早期損傷をより確実に抑制可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、上記異常診断を適切に行えるしきい値を求めて設定することができる油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の油潤滑方式転動装置は、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視する混入水分濃度監視装置を設け、この混入水分濃度監視装置は、前記潤滑油中の静電容量および油温をそれぞれ検出する静電容量検出手段および油温測定手段と、これら静電容量検出手段および油温測定手段で検出された静電容量および油温から、定められた規則に従って混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段とを有することを特徴とする。
【0009】
この構成によると、潤滑油中の静電容量および油温を検出する静電容量検出手段および油温測定手段と、その検出された静電容量および油温から混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段とを設け、静電容量と油温とから混入水分濃度を求めるようにしたため、精度良く混入水分濃度を求めることができる。このため、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視して精度良く求めることができ、転動部品の水素脆性起因の早期損傷を抑制することができる。
【0010】
この発明において、水分濃度計算手段で算出された混入水分濃度をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に異常と診断する異常診断手段を設けるのが良い。異常診断手段を設けた場合は、混入水分濃度がしきい値を超えた場合に異常診断することによって、転動部品の水素脆性起因の早期損傷をより確実に抑制することができる。
【0011】
なお、この明細書において「転動装置」とは、転がり軸受やギヤなど転がりすべりする要素を含む部品から成る装置を言う。
油潤滑方式の転動装置としては、例えば、以下のものが挙げられる。油潤滑は、細分化すれば油浴潤滑、ジェット給油、循環給油、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑、はねかけ給油、油圧作動油浸漬などがあるが、大別すると油浴潤滑か循環給油である。
・ガスタービン( ジェット給油)
・油圧ポンプ( 油圧作動油浸漬)
・印刷機( 循環給油)
・撚線機( ジェット給油または循環給油)
・製紙機械( 循環給油)
・産業機械用減速機( 循環給油)
・ロボット減速機(油浴潤滑)
・航空機エンジン( ジェット給油)
・建設機械各部( 油浴潤滑)
・鉄鋼圧延機ロールネック( オイルミスト潤滑)
・圧延機用減速機( 循環給油)
・工作機( エアオイル潤滑)
・鉄道車輌車軸( はねかけ給油)
・鉄道車輌駆動装置( 油浴潤滑)
・鉱山機械竪型ミルタイヤローラ( 循環給油または油浴潤滑)
・ミル用減速機( 循環給油または油浴潤滑)
・風車増速機(循環給油) (油浴潤滑)
・自動車変速機( はねかけ給油)
【0012】
この発明の転動装置は、油浴潤滑を行う潤滑油貯留槽を有するものであっても良い。この場合に、転動装置のハウジングの内部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けても良い。転動装置の内部に静電容量および油温の測定室を設けると、ハウジングの空き空間等を利用して測定室が配置でき、測定室の設置によって転動装置が大型化することが回避できる。
また、油浴潤滑を行う潤滑油貯留槽を有する場合に、転動装置のハウジングの外部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けても良い。転動装置の外部に静電容量および油温の測定室を設けると、転動装置のハウジング内に測定室を設置する余裕がない場合にも適用でき、また既存の転動装置に対する設計変更箇所が少なくて済む。
上記測定室を設けた場合に、前記静電容量と油温の測定室の中の潤滑油を攪拌する攪拌手段を設けても良い。潤滑油を攪拌することで、潤滑油と水の混合状態が良くなり、より一層精度良く、混入水分濃度の検出が行える。
【0013】
この発明の転動装置は、循環給油を行う循環給油手段を有するものであっても良い。この場合に、転動装置のハウジングの内部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けても良い。
また、転動装置のハウジングの外部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けても良い。
前記測定室を設けた場合に、この測定室の中の潤滑油を攪拌する攪拌手段を設けても良い。
【0014】
この発明において、前記測定室を設け、かつ前記攪拌手段を設けた場合に、静電容量と油温の測定室中に溜める潤滑油量を100mL以下とし、かつ変動量を±5mL以下とするのが良い。
【0015】
また、転動装置、並びに静電容量および油温の測定室から、潤滑油よりも比重が大きい水や添加物を排出され易くする手段を設けるのが良い。この手段は、例えば潤滑油貯留槽の底面の傾斜溝等によって構成される。傾斜溝の底面の最も低い部分から測定室内に潤滑油が流れるようにする。
【0016】
この発明の上記いずれかの構成の転動装置において、前述のように、水分濃度計算手段で算出された混入水分濃度をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に異常と診断する異常診断手段を設けることが好ましい。前記しきい値は、次のいずれかの方法で求めて設定するのが良い。
【0017】
例えば、潤滑油中に水を注入し、静電容量と油温を測定して混入水分濃度を監視し、それをフィードバックして混入水分濃度を一定の範囲に保つように水注入量を制御する転がりすべり疲労寿命試験によって求めた混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。なお、この試験で求めるしきい値は、判断に適切であるとして任意に定めた混入水分濃度となる値とすれば良い。以下、各試験の場合も同様である。
【0018】
また、接触する要素間の運動機構によって接触面にすべりを生じさせる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0019】
接触する要素間の接触面に強制的にすべりを生じさせる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0020】
損傷が起きるまで一定回転速度、一方向回転させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0021】
損傷が起きるまで加減速運転させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0022】
損傷が起きるまで揺動運動させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0023】
揺動運動で損傷を振動で精度よく検出できるよう、重畳する振動成分をなるべく排除するため、サーボモータの主軸と試験部のスピンドルを直結させる機構の転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0024】
損傷対象を正極側として接触要素間に電流を流して損傷対象の摩耗を促進するため、スピンドルの支持軸受にセラミック製の転動体を用い、モータと試験部のスピンドルを絶縁する転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【0025】
一定回転速度、一方向回転に加え、加減速運転、揺動運動が可能な転がりすべり疲労寿命試験装置によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定しても良い。
【発明の効果】
【0026】
この発明の油潤滑方式転動装置は、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視する混入水分濃度監視装置を設け、この混入水分濃度監視装置は、前記潤滑油中の静電容量および油温をそれぞれ検出する静電容量検出手段および油温測定手段と、これら静電容量検出手段および油温測定手段で検出された静電容量および油温から、定められた規則に従って混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段とを有するため、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視して精度良く求めることができる機能を備えたものとなり、転動部品の水素脆性起因の早期損傷を抑制することができる。
水分濃度計算手段で算出された混入水分濃度をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に異常と診断する異常診断手段を設けた場合は、混入水分濃度がしきい値を超えた場合に異常診断することによって、転動部品の水素脆性起因の早期損傷をより確実に抑制することができる。
この発明における上記いずれかの油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法によると、上記異常診断を適切に行えるしきい値を求めて設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の他の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図3】この発明のさらに他の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図4】この発明のさらに他の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図5】この発明のさらに他の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態にかかる油潤滑方式転動装置の概念構成を示すブロック図である。
【図7】転動装置の具体例となる一例を示す断面図である。
【図8】この発明の油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法で定める適切なしきい値を求めるための、転がりすべり疲労寿命試験方法に用いる試験装置の一例の概念図である。
【図9】同試験方法における加減速運転の最小パターン設定の例を示すパターン図である。
【図10】試験装置の他の例の概念図である。
【図11】試験装置のさらに他の例の概念図である。
【図12】(A)は同試験方法に用いる転動部品模擬体を構成する試験片の一例の正面図、(B)は同試験片を組み込んだ転動部品模擬体の断面図である。
【図13】図12の転動部品模擬体の試験片の試験に用いる試験装置の断面図である。
【図14】同試験で測定した混入水分量の変化を示すグラフである。
【図15】潤滑油の飽和水分濃度測定に用いる試験装置の模式図である。
【図16】図15の試験装置で測定した混入水分濃度と静電容量の関係を示すグラフである。
【図17】水混入油の静電容量測定に用いる試験装置の模式図である。
【図18】図17の試験装置で測定した混入水分濃度と静電容量の関係を示すグラフである。
【図19】同試験で測定した油温と静電容量の関係を示すグラフである。
【図20】油浴潤滑形式の転動装置における潤滑油中への水分混入の形態を示す模式図である。
【図21】循環給油形式の転動装置における潤滑油中への水分混入の形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の第1の実施形態を図1と共に説明する。図1は、この油潤滑方式転動装置の概念構成を示す。この油潤滑方式転動装置は、転動装置本体1と、この転動装置本体1を制御する制御装置2とで構成される。転動装置本体1は、転動装置のうち、制御装置2を除く部分を言う。転動装置は、転がり軸受やギヤ等のような転がりすべりする接触要素を含む部品を有する装置のことであって、減速機、増速機、その他の各種の機器のいずれであってもよく、例えば〔課題を解決するための手段〕で列挙した各装置のうちのいずれかで構成される。
【0029】
この実施形態では、転動装置本体1のハウジング4内に、転がり軸受やギヤからなる複数の転動部品3を有している。なお、この明細書において、「転動部品」とは、転がりすべりする接触要素を含む部品このことを言う。潤滑方式は、油潤滑方式のうち、油浴潤滑方式であって、ハウジング4の一部が、前記転動部品3のうちの全て、またはいずれかの転動部品3が浸漬されるように潤滑油5を溜める潤滑油貯留槽4aとされている。
【0030】
上記構成の転動装置において、潤滑油貯留槽4a内の潤滑油5の混入水分濃度を監視する混入水分濃度監視装置6を設けている。この混入水分濃度監視装置6は、潤滑油5中の静電容量および油温をそれぞれ検出する静電容量検出手段7および油温測定手段8と、混入水分濃度検出手段11とでなる。混入水分濃度検出手段11は、前記静電容量検出手段7および油温測定手段8で検出された静電容量および油温から、定められた規則に従って混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段9と、この水分濃度計算手段9で算出された混入水分濃度をしきい値Sと比較し、しきい値Sを超える場合に異常と診断する異常診断手段10とでなる。なお、異常診断手段10は必ずしも設けなくても良い。静電容量検出手段7は、液体中に浸漬されてその液体の静電容量の検出が可能なものであれば良く、各種の形式の静電容量計を用いることができる。油温測定手段8には、熱電対等が用いられる。
【0031】
水分濃度計算手段9および異常診断手段10、すなわち混入水分濃度検出手段11は、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータとそのプログラムとで構成され、または専用の電子回路により構成される。例えば、転動装置本体1を制御するコンピュータ式の制御装置2の一部として設けられ、または制御装置2とは独立した装置として設けられる。
【0032】
水分濃度計算手段9は、静電容量と油温と混入水分濃度との関係を、計算式やテーブルで設定した関係設定手段9aを有していて、入力された静電容量と油温とから、関係設定手段9aに記憶された関係、すなわち上記の定められた規則を用いて混入水分濃度を計算する。
【0033】
この構成の油潤滑方式転動装置によると、潤滑油5中の静電容量および油温を静電容量検出手段7および油温測定手段8により検出し、その検出された静電容量および油温から、水分濃度計算手段9により混入水分濃度を検出する。このように、静電容量と油温とから混入水分濃度を求めるようにしたため、精度良く混入水分濃度を求めることができる。したがって、油潤滑方式の転動装置において、潤滑油5中の混入水分濃度を監視して精度良く求めることができ、転動部品の水素脆性起因の早期損傷を抑制することができる。また、異常診断手段10を有し、混入水分濃度がしきい値Sを超えた場合に異常の判定を行うようにしたため、転動部品3の水素脆性起因の早期損傷をより確実に抑制することができる。静電容量と油温とから混入水分濃度を精度良く検出できる理由については、後に、しきい値Sの設定方法の説明欄で説明する。
【0034】
上記実施形態では、ハウジング4における潤滑油貯留槽4a内の潤滑油5の静電容量および油温を測定するようにしたが、図2に示すように、ハウジング4内の一部に、潤滑油貯留槽4a内と連通した測定室12を設け、静電容量検出手段7および油温測定手段8は、測定室12内の静電容量および油温をそれぞれ測定するように設置しても良い。この場合に、測定室12の中の潤滑油5を攪拌する攪拌手段13を設けても良い。測定室12は、例えば潤滑油貯留槽4a内の一部を仕切った仕切室とされる。測定室12がハウジング4内であると、測定室12を設けることによる転動装置の大型化が回避できる。攪拌手段13は、例えば攪拌用の回転翼と、この回転翼を回転させるモータとでなる。測定室12を設け、攪拌手段13を設けた場合、測定室中12に溜める潤滑油量を100mL以下とし、かつ変動量を±5mL以下とするのが良い。
図2の実施形態におけるその他の構成は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0035】
測定室12を設けることで、安定した静電容量および油温の測定が行える。また、攪拌手段13を設けることで、潤滑油と水の混合状態が良くなり、より安定した静電容量および油温の測定が行える。
【0036】
後に、転がりすべり疲労寿命試験と共に説明するが、潤滑油と水の混合状態が良好でない場合、混入水分濃度が高くなるにつれて、静電容量の値が不安定になる。このことは、油浴循環方式や油潤滑方式の転動装置の潤滑油中の混入水分濃度を監視する場合についても言えることである。故意に潤滑油と水の混合状態をよくする転がりすべり疲労寿命試験に対し、転動装置は停止中の場合もあるため、潤滑油と水の混合状態がよくないことは容易に想像できる。潤滑油と水が分離している場合もある。そのため、転動装置においても、なるべく潤滑油と水をよく混合させる機構を設け、なるべく正確に静電容量を測定することが望ましい。そのため、攪拌手段13を設けて攪拌することが好ましい。
【0037】
なお、測定室12を設けずに、攪拌手段13を潤滑油貯留槽4a内の隅部等に設けても良い。しかし、潤滑油と水との混合状態をなるべく良好にするために、間仕切りをして測定室12を設けるのが良い。間仕切りしなければ、潤滑油と水との混合状態を良好にするのは困難と考えられる。しかし、潤滑油と水の混合状態がよくない場合、高めの静電容量値が測定されるため、混入水分濃度を高め、すなわち安全目に監視することができる。ただし、潤滑油と水が分離している場合、さらに高めの静電容量値が測定されると考えられる。その場合、安全目過ぎる監視となり、メンテナンスの回数や費用が過剰になる可能性があるため,留意が必要である.
【0038】
測定室12は、図3に示すようにハウジング4の外部に設置しても良い。この場合に、測定室12は、ハウジング4に接して設けても、ハウジング4から離して設けても良い。離した場合は、測定室12とハウジング4の潤滑油貯留槽4aとは、連通管(図示せず)等で連通させる。測定室12をハウジング4外に設けると、ハウジング4に測定室12や静電容量検出手段7および油温測定手段8を設ける適切な場所がなくても、静電容量検出手段7および油温測定手段8による測定が行える。なお、図3の実施形態におけるその他の構成,効果は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0039】
図4は、循環給油方式とした例、つまりハウジング4の潤滑油貯留槽4aに対して循環給油を行う循環給油手段14を設けた例である。循環給油手段14は、潤滑油貯留槽4aに両端が連通したパイプ等による油循環路15と、この油循環路15を介して潤滑油5を循環させるポンプ16とでなる。油循環路15は、潤滑油貯留槽4aの底部の排出口15aと、潤滑油貯留槽4aの中間高さ位置または上部の給油口15bとに連通する。その他の構成,効果は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0040】
図5は、循環給油方式において、ハウジング4内の一部に、潤滑油貯留槽4a内と連通した測定室12を設け、静電容量検出手段7および油温測定手段8は、測定室12内の静電容量および油温をそれぞれ測定するように設置した例である。この場合にも、測定室12の中の潤滑油5を攪拌する攪拌手段13を設けても良い。その他の構成は、図4に示す実施形態と同様である。
【0041】
図6は、循環給油方式において、ハウジング4外に測定室12を設けた例である。測定室12は、油循環路15の途中に設けている。この測定室12に、内部の潤滑油の静電容量および油温を測定する静電容量検出手段7および油温測定手段8を設け、かつ測定室12内の潤滑油5を攪拌する攪拌手段13を設けている。このように攪拌手段13を設けることで、安定して正確に静電容量を測定し、混入水分濃度を正確に求めることができる。
【0042】
また、この実施形態では、潤滑油貯留槽4aの底部に傾斜溝17を設けている。傾斜溝17の底面の低い側の端部を潤滑油の排出口15aとし、定期的に、攪拌手段13を備えたリザーブタンクとなる測定室12中に潤滑油5をポンプ16で引き込んで溜め、そこで静電容量と油温を測定して混入水分濃度を監視すればよい。それにより、潤滑油よりも比重が大きい水が分離していても、水を測定室12中に取り込むことができ、高めの混入水分濃度が測定される。すなわち安全目の監視ができる。この実施形態において、特に説明した事項の他は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0043】
図7は、転動装置の一具体例を示す。同図の転動装置は風力発電装置における増速機である。この転動装置の転動装置本体1は、入力軸21と出力軸22との間に、一次増速機となる遊星歯車機構23と、2次増速機24とを設けたものである。遊星歯車機構23は、入力軸21と一体のキャリア25に遊星歯車26を設置し、遊星歯車26を内歯のリングギヤ27と、太陽歯車28に噛み合わせ、太陽歯車28と一体の軸を中間出力軸29とするものである。2次増速機24は、中間出力軸29の回転を出力軸22に複数の歯車31〜34を介して伝達する歯車列からなる。上記遊星歯車26や、この遊星歯車26を支持する軸受35、リングギヤ27、2次増速機24の歯車31となる各転動部品が、ハウジング4内の潤滑油貯留槽4aの潤滑油5内に浸漬される。潤滑油貯留槽4aは、ポンプおよび配管からなる循環給油手段(図示せず)によって循環させられる。なお、循環給油手段は必ずしも設けなくても良く、油浴潤滑形式としても良い。
【0044】
次に、上記各実施形態の油潤滑方式転動装置において、異常診断手段10に設定する適切なしきい値Sを求めるための試験方法について説明する。
図8にこの試験方法に用いる試験装置の一例を概念図で示す。この転がりすべり疲労寿命試験装置は、試験装置本体140と、この試験装置本体140を制御する試験装置本体制御装置141と、水分濃度計算手段142とで構成される。試験装置本体140は、被試験体である転動部品模擬体3を浸漬させた状態に潤滑油5Aを入れる試験油槽101と、この試験油槽101内で転動部品模擬体3を動作させる転動部品模擬体駆動装置120と、試験油槽101の潤滑油中に水を注入する水注入手段であるシリンジポンプ104と、試験油槽101の潤滑油5Aの静電容量を測定する静電容量測定手段である静電容量計105と、試験油槽101の潤滑油5Aの油温を測定する油温測定手段である熱電対106とを有する。
転動部品模擬体3は、鋼製材料からなる転動部品用材料の被試験体を構成要素に含めて転動部品を試験用に模した部品である。図示の例では、転動部品模擬体3は、転動部品の一種であるスラスト玉軸受を模したものであり、内輪3aと外輪3bとの間にボールからなる転動体3cを設けて構成され、外輪3bが被試験体となる。この転動部品模擬体における被試験体である外輪3bは、円筒形状で端面が転走面となる。また、この転動部品模擬体3は、実際の転動部品であるスラスト軸受に比べて、転動体3cのサイズを大きくしてある。模擬の対象となる実際のスラスト軸受では、転動体が小さすぎ、わずかな荷重を与えるだけで接触面の最大面圧がかなり大きくなるため、転動部品模擬体3では転動体3cを大きくした。内輪3aは、そのように大きな転動体3cが転動できる溝を有するものを特別に製作して用いる。
【0045】
水分濃度計算手段142は、静電容量計105で測定した静電容量と熱電対106で測定した油温から、定められた関係に従って前記潤滑油中の混入水分濃度を計算する手段である。水分濃度計算手段142は、静電容量と油温と混入水分濃度との関係を、計算式やテーブル等で定めた関係設定手段143を有し、入力された静電容量と油温とから、関係設定手段143に定められた関係を用いて混入水分濃度を計算する。
【0046】
試験装置本体制御装置141は、転動部品模擬体駆動装置120を制御する転動部品模擬体制御部144と、シリンジポンプ104を制御するポンプ制御部145と、試験装置本体140およびその他の駆動部分を制御する制御部(図示せず)とを備える。試験装置本体制御装置141は、コンピュータ式のシーケンサまたは数値制御装置であり、パーソナルコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラムとで構成される。
水分濃度計算手段142は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラムとで構成される。水分濃度計算手段142は、試験装置本体制御装置141を構成するコンピュータを用いたものであっても、試験装置本体制御装置141とは独立したコンピュータを用いたものであっても良い。
【0047】
この転がりすべり疲労寿命試験方法は、上記構成の試験装置を用いて、次のように行う。試験油槽101に入れた潤滑油5Aに、被試験体である転動部品模擬体3を浸漬して動作させ、転動部品模擬体3を構成する被試験体である外輪3bの転がりすべり疲労寿命の試験を行う。ここでは、シリンジポンプ104を用いて、前記潤滑油5A中に水素源としての水を注入し、静電容量計105で計測した潤滑油5Aの静電容量と、熱電対106で計測した油温とによって、水分濃度計算手段142を用いて、潤滑油5A中の混入水分濃度を測定する。
【0048】
同図の試験装置では、試験油槽101に潤滑油5Aを入れる機構として、油浴潤滑機構を用いており、試験油槽101内の潤滑油5A中の混入水分濃度を測定する。上記「油浴潤滑機構」は、試験油槽101に潤滑油を溜めておき、その溜められた潤滑油で転動部品模擬体を潤滑する機構を言う。測定した混入水分濃度はシリンジポンプ104にフィードバックし、水注入量を変化させて混入水分濃度を制御する。すなわち、ポンプ制御部145は、水分濃度計算手段により出力された混入水分濃度に応じて、定められた規則に従い、混入水分濃度が定められた範囲に納まるように、シリンジポンプ104による注入量を変化させる。また、転動部品模擬体3の接触要素間(具体的には一対の軌道輪3a,3b間)に、通電手段147によって電流を流して金属接触率を測定する。転動部品模擬体駆動装置120における、サーボモータ107Aの主軸107と、転動部品模擬体3の構成要素となる内輪3aに結合されて転動部品模擬体3を動作させるスピンドル108とを直結して揺動運動させる。スピンドル108は転動部品模擬体3を構成要素の一つとして持つものであっても良い。サーボモータの主軸107とスピンドル108とは絶縁カップリング132で連結する。スピンドル108の支持軸受には、セラミック転動体軸受133を用いている。
転動部品模擬体3は、前述のように、この実施形態ではスラスト玉軸受を模した部品とされ、被試験体となる外輪3bは、設置台(図示せず)等に固定設置され、内輪3aがスピンドル108に固定されている。
【0049】
上記スピンドル108およびセラミック転動体軸受133により、転動部品模擬体駆動装置120のヘッド部146が構成される。ヘッド部146は、転動部品模擬体駆動装置120における、それぞれが1個または1組の転動部品模擬体3を動作させる機構部を言う。この実施形態ではヘッド部146を1台のみ設けたが、複数のヘッド部146を設け、複数の転動部品模擬体3を同時に試験するようにしても良い。
【0050】
ところで、転がりすべり疲労寿命試験による耐水素脆性評価では、鋼中への拡散性水素の侵入濃度は制御できない。また、厳しい条件での加速試験であり、実機条件を模擬するものではない。鋼材質の耐水素脆性評価については、拡散性水素の侵入濃度を制御しての評価がある。それに対し、潤滑油の種類,潤滑油への添加物,接触要素の接触面への表面処理などの耐水素脆性評価は、この実施形態のように拡散性水素の侵入濃度が制御できない転がりすべり疲労寿命試験で評価する必要がある。したがって、なるべく外乱が少なく、なるべく実機を忠実に模擬した転がりすべり疲労寿命試験によって、水素脆性起因の早期損傷を効率よく起こさせ、使用条件に応じた対策要素を見極めるのに、この実施形態の転がりすべり疲労寿命試験方法は有効である。なお、ユーザーからの理解を得るという点からは、鋼材質についても、転がりすべり疲労寿命試験による耐水素脆性評価を実施することが望ましい。
【0051】
水素脆性起因の早期損傷が起きる様々な転動部品の使用条件を鑑みると、以下の(1)〜(5)の機能を有する転がりすべり疲労寿命試験が望ましい。なお、試験装置における各ヘッド部146間で互いに影響が及ばないように、図8では各ヘッド部に油浴潤滑機構を用いているが、循環給油機構を用いても良い。油浴潤滑機構であっても、また循環給油機構であっても、各ヘッド部に設けるのであれば、各ヘッドで異なる条件の試験ができる。
(1)潤滑油5A中に水素源としての水を注入する。
(2)潤滑油5A中の混入水分濃度を静電容量と油温で監視する。
(3)(2)で監視した混入水分濃度をフィードバックし、水注入量を変化させて混入水分濃度を制御する
(4)一定回転速度,一方向回転だけでなく、加減速運転,揺動運動ができる。
(5)通電ができる。
【0052】
(1)の機能については、水を混入した潤滑油を定期的に交換する方法もあるが、工数がかかるとか、休日は交換できないなど、効率が悪い。そのため、この実施形態のように、水をシリンジポンプ104で注入したり、チューブポンプで注入するのが望ましい。シリンジポンプ104は微量注入に向いている。ヘッド部146に油浴潤滑機構を用いている図8の試験装置では、水の注入箇所は試験油槽101であるが、ヘッド部146に循環給油機構を用いる場合は試験油槽101または循環給油機構の循環給油部とする。
【0053】
(2)の機能を持たせる場合に、鉱油系で無添加の潤滑油の飽和水分濃度は高々200重量ppm であることに留意する必要がある。混入水分濃度は静電容量と油温によって測定できるが、静電容量を計測する静電容量計105は次の2タイプに大別される。1つは飽和水分濃度以下までしか測れないものであり、もう1つは飽和水分濃度を超えて白濁状態になっても測れるものである。前者のタイプの方が多いが、後者のものの中には混入水分濃度が10%以上でも測定できるものもある。上述したように、鉱油系の潤滑油の飽和水分濃度は高々200重量ppm である。200重量ppm の濃度の水混入油を定期交換した転がりすべり疲労寿命試験では、水の悪影響は見られないという結果が得られている。鉱油系で無添加の潤滑油の飽和水分濃度は微量だが、合成油系の潤滑油や鉱油系でも添加剤の種類によっては、飽和水分濃度はかなり高くなる。飽和水分濃度以下しか混入水分濃度が測れない静電容量計は、潤滑油5Aの飽和水分濃度を測るのに用いることができる。混入水分濃度と転がりすべり疲労寿命の関係を求めれば、潤滑油固有の飽和水分濃度が耐水素脆性の1つの指標になり得る可能性がある。
【0054】
(3)の機能については、潤滑油5A中に一定濃度の水を混入し、マクロ的に閉鎖系として転がりすべり寿命試験をしても、混入水分濃度は約3h経過したあたりから大幅に減少する。潤滑油5A中に水を一定流量で連続注入した場合も、混入水分濃度が変化することは容易に想像できる。(1)の機能のために水は水素源として注入するが、そのためには、(2)の機能において静電容量と油温によって監視した混入水分濃度をフィードバックし、水注入量を変化させて混入水分濃度を所定の範囲内に保つことが望ましい。
【0055】
(4)の機能について言えば、実際の転動部品3は一定回転速度,一方向回転で用いられることはない。そのため、一定回転速度,一方向回転の他に、加減速運転,揺動運動もできることが望ましい。加減速運転については、少なくとも図9のようなパターン設定ができる必要がある。すなわち、加速度(rmax-rmin)/ta,高速回転数rmax,高速回転数での保持時間tmax,減速度(rmax-rmin)/td,低速回転数rmax,低速回転数での保持時間tminの6パラメータをそれぞれ任意に設定でき、それを1パターンとして加減速を繰り返すことである。揺動運動では、回転の場合とは異なり、損傷が起きても振動が大きく変化しない。クランク機構による揺動運動では、その振動が重畳するため、損傷が起きても振動で検出することが難しい。振動で損傷を精度よく検出できるようにするには、図8のようにサーボモータの主軸107と、転動部品模擬体3を構成部品の1つとして持つ試験機構のスピンドル108とを直結して揺動運動させることで、重畳する振動成分をなるべく排除する必要がある。さらに、できる限り試験機構のスピンドル108などの剛性を高くする必要がある。揺動運動条件としては、揺動の角度と周波数を任意に設定できることが望ましい。なお、サーボモータの主軸107と試験機構のスピンドル108を直結すると、クランク機構のような三角関数波形の速度変化を与えることは難しい。それを可能にするためには、シーケンサのプログラムによってサーボモータのアンプを制御すれば良い。
【0056】
(5)の機能を持たせる目的は次の2点である。
1つは微弱電流を転動部品模擬体3の接触要素間に流して接触面の金属接触率を測定することである。もう1つは1A程度の大電流を接触要素間に流して正極側を摩耗させることである。この現象を利用し、試験片を正極側にすることで、試験片の接触部に金属新生面を積極的に露出させ、水素の発生,侵入を促進することができる。このことは、非特許文献9にも開示されている。
【0057】
図8の試験装置を用いた転がりすべり疲労寿命試験方法では、(1)〜(5)の全ての機能を満たしており、転動部品模擬体3が揺動運転することを前提とし、サーボモータ107Aの主軸107と試験機構のスピンドル108を直結した機構になっている。なお、揺動運転が不要な場合、高価で定格回転数が高々3000rpm のサーボモータよりも、安価なインダクションモータなどで試験機構のスピンドル108をベルト駆動するのが良い。この場合、サーボモータ107Aの駆動をスピンドル108に伝達する駆動伝達径にプーリ機構を設け、プーリ比を変えれば、試験機構のスピンドル108の回転速度を高めることができ、加減速運転の速度差を大きくするのにも有効である。なお、ヘッド部146に循環給油機構を用いる場合は、比較的給油速度が速いチューブポンプなどを用いるのが良い。この場合、試験油槽101の潤滑油量をなるべく一定に保つように、潤滑油の出入り量を等しくすることが望ましい。
【0058】
図8に示した試験装置の概念図では、転動部品模擬体3がスラスト軸受型である場合を示したが、スラスト軸受型の場合も鋼球の自転方向と公転方向が異なるため、転動部品模擬体3における試験片と鋼球の接触面ですべりが生じる。さらに積極的に接触面にすべりを与えるには、接触要素の運動機構を工夫すればよい。転動部品模擬体3として歯車材を評価する場合、歯車ではさらに大きなすべりが作用するため、試験片とそれに接触する物体の周速差を強制的に変えるなどし、接触面に大きなすべりを作用させる工夫が必要である。
【0059】
図10および図11は、この転がりすべり疲労寿命試験方法に用いる試験装置の他の例を概念図として示している。図10の試験装置では、試験油槽101に潤滑油5Aを入れる機構として、循環給油機構109を用いている。ここでの循環給油機構109は、循環路110の途中に循環ポンプ111、静電容量計105、および熱電対106を設けて構成される。この場合でも、静電容量計105および熱電対106は図8のように試験油槽101に設けても良い。
【0060】
ここで、潤滑油5Aへの水の混合状態が良好でない場合、混入水分濃度が高くなるにつれて、静電容量の値が不安定になる。そのため、潤滑油5Aと水がよく混合した状態で静電容量を測定することが望ましい。そこで、図11の試験装置では、図10の試験装置において、試験油槽101の潤滑油5Aの排出口と循環ポンプ111との間にリザーブタンク112を設け、そこに潤滑油5Aを溜めて磁気式攪拌機113などで攪拌し、静電容量と温度を測定するようにしている。熱電対106はリザーブタンク112に設ける。潤滑油5Aと水を十分に混合させるためには、リザーブタンク112の容積を小さくして攪拌効果を大きくする方が良い。目安として、潤滑油量は100mL以下とすることが望ましい。さらに望ましいことは、潤滑油5Aよりも比重が大きい水が、試験油槽101やリザーブタンク112から排出されやすくすることである。そのために、図11の試験装置では、試験油槽101およびリザーブタンク112のそれぞれの潤滑油5Aの排出口を底角部101a,112a(同図中に○を付して示す)としている。さらに、試験油槽101およびリザーブタンク112のそれぞれ内部を円柱状とし、底角部101a,112aの全周に連続して、いわゆるヌスミとなる外角側に凹む溝状の凹部101aa,112aaを設けることが望ましい。これらの工夫をすることにより、水よりも比重の大きな添加物質も循環しやすくなる。
【0061】
図8,図10,図11の試験装置を用いた試験方法では、シリンジポンプ104を用いて試験油槽101に水を注入するが、以下には、試験油槽101中の水混入油を定期交換して行った転がりすべり疲労寿命試験方法の具体例を示す。
軸受鋼SUJ2を用い、図12(A)に示すテーパ形状外輪試験片(熱処理後は研削仕上げ、内径軌道面は面粗さRq ≒0.03μm)114を製作した。熱処理は850℃のRXガス雰囲気中で50min加熱してずぶ焼入を施した後、180℃で120minの焼戻しを施した。試験は、図12(B)に示すように、テーパ形状外輪試験片114にアンギュラ玉軸受7306Bの内輪(SUJ2標準焼入焼戻品)115、鋼球(SUJ2標準焼入焼戻品,13個)116、保持器117を組み合わせて転動部品模擬体3として行った。外輪試験片114をテーパ形状にしたのは、鋼球116と接触角をもって回転することにより、鋼球116がスピンして外輪試験片114との接触面にすべりが生じるためである。すべりが生じる場合、水素脆性起因の早期損傷が起きる頻度が高くなる。
【0062】
図13には、この具体的試験方法で用いる試験装置の模式図を示す。同図における左側の機構部が評価側部120a、右側の機構部がダミー側部120bである。同図中において、損傷対象のテーパ形状外輪試験片114はハッチングして示している。アキシャル荷重Fa =2.94kNのみを作用させ、2733min-1で内輪115を回転させた。潤滑油にはVG100の無添加タービン油(密度0.887g/cm3 ,動粘度100.9mm /s@40℃,11.68mm2 /s@100℃)を用い、それに200重量ppm ,5重量%の純水を混入した。評価側に60mLの水混入油を入れ、潤滑油の入口(下側)と出口(上側)をチューブ118でつないで閉鎖系とした。図12(B)に矢印で示す方向にポンプ作用によって潤滑油の流れが生じるため、水混入油は循環して攪拌される。試験は20h行い、その間に損傷が起きなければ、新たに作成した水混入油に交換した。損傷が生じるまで20hの試験と水混入油の交換を繰り返した。損傷検出は振動計で行った。なお、図13に示す試験装置における中央の円筒ころ軸受119はラジアル荷重を作用させるためのもので、今回の試験には無関係である。
【0063】
アキシャル荷重Fa =2.94kNのみを作用させた場合の弾性ヘルツ接触計算での外輪試験片114と鋼球116の間の最大接触面圧は3GPaである。なお、弾性ヘルツ接触計算では、ヤング率Eとポアソン比νはSUJ2標準焼入焼戻品の実測値であるE=204GPa,ν=0.3とした。水混入を無視した弾性流体潤滑計算でのテーパ形状外輪試験片114と鋼球116の間の油膜パラメータは約3である。ただし、鋼球116の面粗さは実測値Rq =0.0178μmで一定とした。テーパ外輪形状試験片114の単体の計算寿命L10h は、2円筒モデルに変換して計算すると2611hである。L10h の求め方は非特許文献10に開示されている。ただし、すべりの影響は無視した。
【0064】
初期混入水分濃度が5重量%の試験中に、定期的に潤滑油を少量サンプリングし、混入水分濃度を電量滴定法で測定して経時変化を調べた。その結果、図14にグラフで示すように、混入水分濃度は約3h経過したあたりから大幅に減少した。上記のように閉鎖系とはいえ、それはマクロ的であって、完全に隙間をなくすことは不可能である。水分は目視ではわからない小さな隙間から蒸発したと考えられる。この転がりすべり疲労寿命試験の結果は、表1に示す通りである。
【0065】
【表1】

【0066】
200重量ppm の水混入油では、試験片5個すべて1000hまで損傷は起きず、試験を打ち切った。一方、5重量%の水混入油では、試験片5個すべてに計算寿命の1/100のオーダーの早期損傷が生じた。損傷形態は、すべて表層を起点とする内部起点型はく離であった。なお、SUJ2製鋼球116にも3GPaの最大接触面圧が作用するが、はく離は生じなかった。鋼球116はテーパ形状外輪試験片114に比べて有効負荷体積が大きいためと考えられる。今回用いた潤滑油の飽和水分濃度の上限値程度の水混入では、寿命に及ばず水の影響はないといえる。一方、水が多量に混入する場合、水素が発生し、鋼中に侵入したために極めて早期に内部起点型はく離が起きたと考えられる。表1中には、5重量%の水混入油を定期交換した場合の寿命を、2母数ワイブル分布に当てはめて求めたL10,L50,およびe(ワイブルスロープ)を示した。
【0067】
次に、図8,図10,図11の試験装置のように、試験油槽101中の潤滑油5Aに水を一定流量で微量注入して行った転がりすべり疲労寿命試験方法の具体例を示す。
前記試験方法の場合と同じ図12に示す試験片114、および図13に示す試験装置を用い、荷重条件、回転速度も同じとし、同じ潤滑油(水混入なし)60mLを入れ、潤滑油の入口(下側)と出口(上側)をチューブ118でつないで閉鎖系とした。試験開始と同時に、シリンジポンプ104(図8)によってチューブ118の途中から純水の連続注入を開始した。純水の注入速度は0.5mL/hとした。この場合、混入水分濃度の経時変化は測定しなかったが、図14の結果から、この場合も混入水分濃度が変化することは容易に想像できる。この転がりすべり疲労寿命試験の結果は、表2に示す通りである。
【0068】
【表2】

【0069】
この場合も試験片6個のすべてに、先の試験方法である5重量%の水混入油を定期交換した場合と同程度の寿命の早期損傷が生じた。損傷形態は、この場合も、すべて表層を起点とする内部起点型はく離であった。また、この場合も、SUJ2製鋼球16にも3GPaの最大接触面圧が作用するが、はく離は生じなかった。表2中には、寿命を2母数ワイブル分布に当てはめて求めたL10,L50,およびe(ワイブルスロープ)を示した。
【0070】
次に、静電容量計105による潤滑油の飽和水分濃度と混入水分濃度の測定の具体例を説明する。
先述したように、潤滑油中の混入水分濃度は静電容量と温度によって測定でき、これに用いる静電容量計105は次の2つのタイプに大別される。1つは飽和水分濃度以下までしか測定できないものであり、もう1つは飽和水分濃度を超えて白濁状態になっても測定できるものである。
先ず、飽和水分濃度以下までしか測定できない静電容量計105を用い、潤滑油の飽和水分濃度を測定した。潤滑油は、先の転がりすべり疲労寿命試験の具体例で用いたVG100の無添加タービン油である。図15(A)に模式図で示すように、静電容量計105を取付けた容器121(例えば図8の試験装置における試験油槽101に見立てたもの)に潤滑油を入れ、シリカゲル入れを設けた上蓋122をして、温度調整ができる磁気式攪拌機113で攪拌しながら110℃に熱して1h放置し、その間に油中に混入していた微量水分を蒸発させて、シリカゲルに吸着させた。その後、図15(B)に模式図で示すように、40℃に保持して純水をシリンジポンプ104を用いて一定速度0.05mL/hで注入した。図16には、そのときの静電容量の経時変化をグラフで示している。この静電容量計105は、水分活性として0〜1の値を出力する。「0」は混入水分濃度がゼロの場合、「1」は混入水分濃度が飽和水分濃度以上の場合である。図16のように、167重量ppm で測定値が1になったことから、その値が飽和水分濃度になる。混入水分濃度と転がりすべり疲労寿命の関係を調べれば、潤滑油固有の飽和水分濃度が耐水素脆性の1つの指標になり得る可能性がある。
【0071】
次に、飽和水分濃度を超えて白濁状態になっても測定できる静電容量計105を用い、潤滑油中の水分濃度を変えて静電容量を測定した。潤滑油は、先の転がりすべり疲労寿命試験の具体例で用いたVG100の無添加タービン油である。図17(A)に模式図で示すように、100mLのビーカー131(例えば図8の試験装置における試験油槽101に見立てたもの)に70〜80mLの潤滑油を入れ、純水を混入し、十分に混合するまで温度調整ができる磁気式攪拌機113で33℃に保持した状態で攪拌した。その後、図17(B)に模式図で示すように、静電容量計105を取付けて静電容量を測定した。その結果を、図18にグラフで示している。このグラフから、相関が良い混入水分濃度と静電容量の線形関係が得られたことが分かる。さらに、水混入なしの潤滑油について、約25℃(室温)から約115℃まで昇温しながら静電容量を測定した。その結果を、図19にグラフで示している。このグラフから、相関が良い油温と静電容量の線形関係が得られたことが分かる。図18,図19のグラフから分かるように、静電容量は混入水分濃度と油温に依存する。変化し得る混入水分濃度と温度の範囲において、図18,図19のような関係を複数求め、目的変数を混入水分濃度、従属変数を静電容量,油温として関数にすれば、静電容量と油温から混入水分濃度を求めることができる。
なお、図18,図19のような検量線を求めるに当たっては、新油のみだけでなく、使用状況が異なる使用後油についても測定することが望ましい。
【0072】
このように、この実施形態の転がりすべり疲労寿命試験方法によると、試験油槽101に溜めた潤滑油5Aに被試験体を構成部品として含む転動部品模擬体3を浸漬して動作させ、潤滑油5A中に水を注入し、潤滑油5A中の混入水分濃度を静電容量と油温によって測定するようにしているので、なるべく外乱が少なく、なるべく実機を忠実に模擬して、水素脆性起因の早期損傷を効率よく起こさせ、転動部品模擬体3の使用条件に応じた対策要素が見極められるようになる。
【符号の説明】
【0073】
1…転動装置本体
2…制御装置
3…転動部品模擬体
4…ハウジング
4a…潤滑油貯留槽
5…潤滑油
6…混入水分濃度監視装置
7…静電容量検出手段
8…油温測定手段
9…水分濃度計算手段
10…異常診断手段
11…混入水分濃度検出手段
12…測定室
13…攪拌手段
16…傾斜溝(比重が重い添加物を排出させ易くする手段)
101…試験油槽
104…シリンジポンプ
105…静電容量計
106…熱電対
111…循環ポンプ
112…リザーブタンク
113…攪拌機
142…水分濃度計算手段
141…試験装置本体制御装置
146…ヘッド部
S…しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油潤滑方式の転動装置において、潤滑油中の混入水分濃度を監視する混入水分濃度監視装置を設け、この混入水分濃度監視装置は、前記潤滑油中の静電容量および油温をそれぞれ検出する静電容量検出手段および油温測定手段と、これら静電容量検出手段および油温測定手段で検出された静電容量および油温から、定められた規則に従って混入水分濃度を検出する水分濃度計算手段とを有することを特徴とする油潤滑方式転動装置。
【請求項2】
請求項1において、油浴潤滑を行う潤滑油貯留槽を有する油潤滑方式転動装置。
【請求項3】
請求項2において、転動装置のハウジングの内部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項4】
請求項2において、転動装置のハウジングの外部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、前記静電容量と油温の測定室の中の潤滑油を攪拌する攪拌手段を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項6】
請求項1において、循環給油を行う循環給油手段を有する油潤滑方式転動装置。
【請求項7】
請求項6において、転動装置のハウジングの内部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項8】
請求項6において、転動装置のハウジングの外部に、前記静電容量検出手段および油温測定手段が設置された静電容量および油温の測定室を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、前記静電容量と油温の測定室の中の潤滑油を攪拌する攪拌手段を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項10】
請求項5または請求項9において、静電容量と油温の測定室中に溜める潤滑油量を100mL以下とし、かつ変動量を±5mL以下とする油潤滑方式転動装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10において、転動装置、並びに静電容量および油温の測定室から、潤滑油よりも比重が大きい水や添加物を排出され易くする手段を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、水分濃度計算手段で算出された混入水分濃度をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に異常と診断する異常診断手段を設けた油潤滑方式転動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、潤滑油中に水を注入し、静電容量と油温を測定して混入水分濃度を監視し、それをフィードバックして混入水分濃度を一定の範囲に保つように水注入量を制御する転がりすべり疲労寿命試験によって求めた混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項14】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、接触する要素間の運動機構によって接触面にすべりを生じさせる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項15】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、接触する要素間の接触面に強制的にすべりを生じさせる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項16】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、損傷が起きるまで一定回転速度,一方向回転させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項17】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、損傷が起きるまで加減速運転させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項18】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、損傷が起きるまで揺動運動させる転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項19】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、揺動運動で損傷を振動で精度よく検出できるよう,重畳する振動成分をなるべく排除するため,サーボモータの主軸と試験部のスピンドルを直結させる機構の転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項20】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、損傷対象を正極側として接触要素間に電流を流して損傷対象の摩耗を促進するため、スピンドルの支持軸受にセラミック製の転動体を用い、モータと試験部のスピンドルを絶縁する転がりすべり疲労寿命試験によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。
【請求項21】
請求項12に記載の油潤滑方式転動装置において、前記異常診断手段の前記しきい値を定める方法であって、一定回転速度、一方向回転に加え、加減速運転、揺動運動が可能な転がりすべり疲労寿命試験装置によって混入水分濃度のしきい値を求め、この求めたしきい値を前記異常診断手段にしきい値として設定する油潤滑方式転動装置の異常診断しきい値設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−180921(P2012−180921A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45950(P2011−45950)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】