説明

油濾過フィルタ

【課題】 油濾過フィルタの活性炭と二酸化ケイ素が使用によって偏寄することなく、また従来保持の難しかった微粒子状の活性炭や二酸化ケイ素であっても、これを確実に保持することができるようにし、以て活性炭単体よりも濾過性能に優れる油濾過フィルタを提供する。
【解決手段】 油濾過フィルタは植物系短長繊維と、バインダ樹脂繊維と、活性炭及び二酸化炭素ケイ素を抄造の原料液中に含み、これを抄いてモールド形成され、油の濾過に用いられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばフライヤー用の食用油などを浄化することができる油濾過フィルタに関するものであって、特に油濾過フィルタの浄化性能の改良に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から吸着濾過材として活性炭等が用いられているが、例えばパルプ成形品等の適宜の容器中に活性炭等をそれぞれが固定されていないバルク状で投入し収容しており、濾過作業中に活性炭同士の凝集が生じ、その性能が著しく低下するという問題がある。これは活性炭等の吸着濾過材の性能は、その有効表面積、つまり被濾過液との実質接触面積に比例するためであり、各粒子が固定されないバルク状で容器中に収容されている活性炭等の吸着濾過材は、濾過性能を維持するためには、大型のものでは攪拌作業を行い、小型のものでは凝集をなるべく生じさせないようにするために粒径の比較的大きな活性炭を用い、且つ補助材(活性炭同士を分離させるための第三者粒子状物質)の混合が必要であった。
【0003】
なお従来の油濾過器としては、バルク状の濾過材たる活性炭を、その粒度よりも目が細かく且つ細かい第2の濾過材で挟み込んだものがあるが(特許文献1参照)、上述したような活性炭をバルク状に収容していることに伴う問題点がある。
【特許文献1】特公昭63−12646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油濾過フィルタとしては、濾過材たる活性炭の微粒子化と固定化(特願2004−051011)により濾過性能の著しい改良が見られるが、一層の濾過油の色相の改善が要求されている。
【0005】
本発明はこのような背景からなされたものであって、油濾過フィルタの濾過材として、従来の活性炭と濾過性能に補完関係にある二酸化ケイ素の組み合わせが、それぞれの粒子が使用によって偏寄することなく、また従来保持の難しかった微粒子状の活性炭や二酸化ケイ素であっても、これらを確実に保持することができるようにし、以て脱色機能を高めた濾過性能に優れる油濾過フィルタを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載の油濾過フィルタは、植物系短長繊維と、バインダ樹脂繊維と、活性炭及び二酸化ケイ素とを抄造の原料液中に含み、これを抄いてモールド形成され、油の濾過に用いられることを特徴として成るものである。
【0007】
更に請求項2記載の油濾過フィルタは、前記請求項1記載の要件に加え、前記バインダ樹脂繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維であることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載の油濾過フィルタは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記油濾過フィルタは、円錐台形もしくは角錐台形に形成され、周側面が設置口に対して先窄まりのテーパ状に形成されていることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまた請求項4記載の油濾過フィルタは、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記油濾過フィルタの濾過する油を受け入れる前面と、濾過した油を排出する背面の何れか一方または双方は、凹凸に形成されていることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項5記載の油濾過フィルタは、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記油濾過フィルタに混入されている活性炭の粒径は、150μm以下であることを特徴として成るものである。
【0011】
更にまた請求項5記載の油濾過フィルタは、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記油濾過フィルタに混入されている二酸化ケイ素の粒径は500μm以下であることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1によれば油濾過材として従来の活性炭に加えて二酸化ケイ素の組み合わせが従来の活性炭単体より優れた脱色、脱臭効果を有する。
【0013】
また請求項1記載の油濾過フィルタによれば、バインダ樹脂繊維の接着力によりバインダ樹脂繊維、植物系短長繊維及び活性炭と二酸化ケイ素が、強固に固着した状態となり、油濾過フィルタの破壊強度及び引き裂き強度を増しているとともに、活性炭同士を分離するための補助材を混在させる必要がない。また優れた吸着性を持つ微粒活性炭を用いることが可能となり、優れた脱色、脱臭効果を有する。また二酸化ケイ素間及び活性炭と二酸化ケイ素間にも同様なことが可能になり、優れた脱色、脱臭効果を有する。
【0014】
更に請求項2記載の油濾過フィルタによれば、バインダ樹脂繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維であるため、油濾過フィルタの破壊強度及び引き裂き強度性が増す。
【0015】
また請求項3記載の油濾過フィルタによれば、油濾過フィルタの周側面が設置口に対して先窄まりのテーパ状に形成されているため、単に押し込むまたは引き抜くだけで着脱でき、力も瞬間的に必要なだけであるため、着脱が容易に行えるとともに、設置口とフィルタ周側面との間に隙間が生じにくい。
【0016】
更にまた請求項4記載の油濾過フィルタによれば、油濾過フィルタの、濾過する油を受け入れる前面と、濾過した油を排出する背面の何れか一方または双方は、凹凸に形成されているため、油濾過フィルタの表面積が拡大し、濾過性能も向上する。
【0017】
更にまた請求項5記載の油濾過フィルタによれば、活性炭と二酸化ケイ素が微粒子状であるため、被濾過液との実質接触面積が多く、浄化作用に優れる。油濾過フィルタのバインダ樹脂繊維の接着力によりバインダ樹脂繊維、植物系短長繊維及び活性炭と二酸化ケイ素が、強固に固着した状態となり、油濾過フィルタの破壊強度及び引き裂き強度を増しているとともに、活性炭が使用によって偏寄したり、活性炭同士を分離するための補助材を混在させる必要がない。また優れた吸着性を持つ微粒活性炭を用いることが可能となり、優れた脱色、脱臭効果を有する。
またバインダ樹脂繊維に、ポリエチレンテレフタレート繊維を用いた場合には、油濾過フィルタの破壊強度及び引き裂き強度性が増す。
更に油濾過フィルタの周側面が設置口に対して先窄まりのテーパ状に形成した場合、濾過容器の設置口に対し単に押し込むまたは引き抜くだけで着脱でき、力も瞬間的に必要なだけなため、着脱が容易に行えるとともに、設置口とフィルタ周側面との間に隙間が生じにくい。
更にまた油濾過フィルタの、濾過する油を受け入れる前面と、濾過した油を排出する背面の何れか一方または双方を、凹凸に形成した場合、油濾過フィルタの表面積が拡大し、濾過性能も向上する。
更にまた活性炭に微粒活性炭を用いた場合、被濾過液との実質接触面積が多く、浄化作用に優れる。
更にまた請求項7記載の油濾過フィルタを具えた油濾過器によれば、比較的大きな粒の不純物が濾し網により除去され、これを簡単に廃棄することが可能であるとともに、油濾過フィルタに目詰まりを起こさせることを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の最良の形態は、具体的には以下の実施例に述べる通りである。
【実施例】
油濾過フィルタは、植物系短長繊維と、バインダ樹脂繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維(以下PET繊維と呼称する)と活性炭と二酸化ケイ素を抄造の原料液中に含み、これを抄いてモールド成形したものである。具体的な成分比の一例として原料液100g中に植物系短長繊維を30〜60g含み、PET繊維を10〜20g含み、活性炭を25〜60g含み、二酸化ケイ素25〜60g含む。
なお前記植物系短長繊維とは、木材、竹、麻、バガス、綿を始め、セルロースを含む原料から造られたパルプ全体を言う。また本実施例の特徴として前記油濾過フィルタは円錐台形に成形されるものであり、周側面が先窄まりのテーパ状に形成されている。また濾過した油を排出する背面には、凹凸が形成され、表面積を拡大して濾過性能の向上が図られている。なおPET樹脂繊維によって油濾過フィルタが強固に一体化されるため、活性炭は粒子の細かいものが用いることが可能であり、一例として粒径が約70μmのものが用いられており、従って活性炭の表面積が増大するため濾過性能に優れる。なお活性炭の粒径は150μm以下の微粒子のものが濾過性能の点から好ましい。また活性炭の濾過補完材としての二酸化ケイ素についても粒子の細かいものが用いることが可能であり、一例として粒径が約100μmのものが用いられており、従って二酸化ケイ素の表面積が増大するため濾過性能に優れる。なお二酸化ケイ素の粒径は300μm以下の粒子のものが濾過性能の点から好ましい。また一例として油濾過フィルタ3は厚さが10〜30mmの横目積層方式でモールド成形される為、パルプ繊維特有のポーラス状態が横目状となる。このため濾過される油は充分な時間をかけて油濾過フィルタを通過するとともに、また植物系短長繊維及びPET樹脂繊維が横目積層されることによって、成形時に活性炭と二酸化ケイ素がより均一に付着しやすくなることも相まって濾過性能が向上する。
【0019】
なお上記フィルタの形状としては、円錐台形で形成する他、角錐台形で実施するようにしても構わない。また油濾過フィルタは、上述したような食用油の浄油フィルタとして用いる他に、機械油の浄油フィルタとして用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の油濾過フィルタを示す斜見図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系短長繊維と、バインダ樹脂繊維と、活性炭と二酸化ケイ素とを抄造の原料液中に含み、これを抄いてモールド成形され、油の濾過に用いられることを特徴とする油濾過フィルタ。
【請求項2】
前記バインダ樹脂繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項1記載の油濾過フィルタ。
【請求項3】
前記油濾過フィルタは、円錐台形もしくは角錐台形に形成され、周側面が設置口に対して先窄まりのテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の油濾過フィルタ。
【請求項4】
前記油濾過フィルタの、濾過する油を受け入れる前面と、濾過した油を排出する背面の何れか一方または双方は、凹凸に形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の油濾過フィルタ。
【請求項5】
前記油濾過フィルタに混入されている活性炭の粒径は、150μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の油濾過フィルタ。
【請求項6】
前記油濾過フィルタに混入されている二酸化ケイ素の粒径は、500μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の油濾過フィルタ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−279572(P2009−279572A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160963(P2008−160963)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(300032097)株式会社タスクコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】