説明

油煙フィルター及び油煙排気装置

【目的】フィルター圧損が短期間に拡大せず、フィルター洗浄頻度を低減することのできる油煙フィルター及びその油煙フィルターを装着した油煙排気装置を提供することである。
【構成】油煙フィルターは、メインフィルターとしての板状フィルター1と、その前面に対向配置されたガラス繊維フィルター2を積層したフィルター積層体からなる。ガラス繊維フィルター2を油煙の流入側に配置されている。フィルター積層体構造により、板状フィルター1の汚染の進行が緩慢になり、板状フィルター1のフィルター圧損を漸増させて、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長くして、板状フィルター1の洗浄頻度を低減してリサイクル使用を円滑に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストランや飲食店の厨房、食料品店舗の調理場、台所等において、調理時に発生する煙、油煙、調理臭、燃焼ガス、蒸気、油滴等の廃ガスを吸引して排気する油煙排気装置に装着し、あるいは油煙吸引ダクト等に配置して使用される油煙フィルター及びその油煙フィルターを装着した油煙排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房や台所等には、特許文献1等に開示されているように、調理時に生じる油煙などを排気するレンジフードや換気扇等の油煙排気装置が設けられている。油煙中に含まれる油脂等の油汚れが屋外に排出されないように、また、油煙排気装置自体が油成分により汚染されないように、主に油成分を捕集する油煙フィルターがレンジフードや排気ダクトに装着されている。油煙フィルター材としては、油捕集効果に優れ、且つ、利用コスト面で再生使用可能なものを使用するが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−130464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の油煙フィルターは厚さ数センチのフィルター材を脱着自在に取着したフィルタ構造からなる。しかしながら、油煙排気装置のファンによる油煙の吸引を繰り返すと、フィルター材に油成分や油煙中の塵芥等が付着して、その付着量が増加しいていき、1週間程度で、フィルターの圧力損失(以下、圧損という。)が拡大して、油煙吸引力が低下してしまう問題があった。圧損(Pa)はレンジフード等のファン駆動時に生起するフィルター前後の圧力差を意味する。
【0005】
油煙フィルターの圧損が大きくなると、油煙フィルターを洗浄して浄化する必要を生ずるが、圧損の拡大が1週間程度の短期間で発生するため、洗浄作業を頻繁に行う手間を要した。殊に、油煙フィルターのレンタル事業の場合には、フィルター洗浄を事業者側で行うが、洗浄頻度が多くなればなるほど、クリーニング処理のコストが嵩み、油煙フィルターを安価にレンタル提供することが困難になる問題を生じた。
【0006】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、フィルター圧損が短期間に拡大せず、フィルター洗浄頻度を低減することのできる油煙フィルター及びその油煙フィルターを装着した油煙排気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、清掃処理により再生利用可能なリサイクルフィルター材の前面に、安価且つ取り替え容易なガラス繊維フィルター材を配置して、油煙フィルターを2重構造化することにより、ガラス繊維フィルター材の交換により、リサイクルフィルター材のフィルター圧損を漸増させてその洗浄頻度の低減が可能になることに着目してなされたものである。即ち、本発明の第1の形態は、油煙排気装置の油煙吸引口に装着又はその近傍に配置される油煙フィルターにおいて、金属又はセラミックから形成された板状フィルターと、前記板状フィルターの前面に対向配置されたガラス繊維フィルターとを少なくとも積層したフィルター積層体からなり、前記ガラス繊維フィルターを油煙の流入側に配置した油煙フィルターである。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記板状フィルターは発泡金属又は発泡セラミックから構成された油煙フィルターである。
【0009】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記フィルター積層体による油成分の除去率のうち、前記板状フィルターによる油成分の除去率を40%以下にした油煙フィルターである。
【0010】
本発明の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターを積層状に収容し、前後面が開口された枠体を備え、前記板状フィルターを前記枠体の後側開口面に露出するように前記枠体に固定配置し、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターの前面に積層して前記枠体の前側開口面に露出するように積層配置した油煙フィルターである。
【0011】
本発明の第5の形態は、第4の形態において、前記枠体は前記板状フィルターの下端部を支持する下端支持部材を備え、前記下端支持部材は、角枠の上面の一部を側縁に沿って切り欠いた下端挿入部を備えた、略コ字状の断面形状を有し、前記板状フィルターの下端部を前記下端挿入部に挿着して固定、支持する油煙フィルターある。
【0012】
本発明の第6の形態は、第5の形態において、前記下端支持部材の下部に、前記板状フィルターから廃液成分を滲みださせて外部に流出させる切欠きを形成し、前記下端支持部材の下方に、前記切欠きより流出した廃液を回収する受部を配置した油煙フィルターである。
【0013】
本発明の第7の形態は、第4、第5又は第6の形態において、前記板状フィルターより小さい前記ガラス繊維フィルターを配置し、前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めする仮止具を前記枠体に係脱自在に取り付け、前記仮止具の係着により、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターと前記仮止具の間に保持した油煙フィルターである。
【0014】
本発明の第8の形態は、第7の形態において、前記仮止具は可撓性を有した細材からなり、前記前側開口面の周辺の枠片に前記細材の両端部を係止させる係止部を対向して配置し、前記細材の両端部を前記係止部に挿着して前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めし、前記細材の両端部の挿着を解除して前記ガラス繊維フィルターの取り外しを行う油煙フィルターである。
【0015】
本発明の第9の形態は、第1〜第8のいずれかの形態において、前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターの厚さが夫々、2〜30mmである油煙フィルターである。
【0016】
本発明の第10の形態は、第1〜第9のいずれかの形態に係る油煙フィルターが油煙吸引口に配設され、吸引ファンの吸引力により油煙を前記油煙フィルターを通過させて排気する油煙排気装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の形態によれば、メインフィルターとしての前記板状フィルターと、その前面に対向配置されたガラス繊維フィルターとを少なくとも積層したフィルター積層体からなり、前記ガラス繊維フィルターを油煙の流入側に配置したので、前記板状フィルターの汚染の進行が緩慢になり、使用経過に伴って前記ガラス繊維フィルターを交換することにより、前記板状フィルターのフィルター圧損を漸増させて、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長くして、前記板状フィルターの清掃頻度を低減し、前記板状フィルターの洗浄によるリサイクル使用を円滑に行うことができる。前記ガラス繊維フィルターの交換作業は使用者が行ってもよいが、油煙フィルターのレンタル事業の場合には、点検作業者が交換することができる。特に、レンタル事業においては、洗浄頻度の低減により、クリーニング処理のコストダウンを図ることができるので、油煙フィルターを安価にレンタル提供することが可能になる。
【0018】
本発明における前記板状フィルターは金属又はセラミックにより形成され、油捕集効率に優れ、また恒常的使用に耐え、更に再生利用可能なメインフィルター材として使用することができる。殊に、本発明の第2の形態によれば、前記発泡金属又は前記発泡セラミックから構成された前記板状フィルターを使用することにより、優れた油捕集機能を具備した油煙フィルターを実現することができる。
【0019】
本発明の第3の形態によれば、前記フィルター積層体による油成分の除去率(油捕集率)のうち、前記板状フィルターによる油成分の除去率を40%以下、好ましくは、20〜35%にすることにより、油煙の流入側に配置した前記ガラス繊維フィルターと分担して、前記板状フィルターの汚染の進行を緩慢化することができる。従って、前記板状フィルターの圧損を漸増させ、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長期化して、前記板状フィルターの洗浄頻度を低減することができ、前記板状フィルターの洗浄によるリサイクル使用を円滑に行える油煙フィルターを実現することができる。
【0020】
本発明の第4の形態によれば、前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターを積層状に収容し、前後面が開口された枠体を備え、前記板状フィルターを前記枠体の後側開口面に露出するように前記枠体に固定配置し、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターの前面に積層して前記枠体の前側開口面に露出するように積層配置したので、油煙吸引により汚染された前記ガラス繊維フィルターを前記枠体から脱着して定期的に交換した後、前記板状フィルターの圧損が所定限度程度に達した時点で洗浄処理に移行させることができる。
【0021】
本発明の第5の形態によれば、前記枠体は前記板状フィルターの下端部を支持する下端支持部材を備え、前記下端支持部材は、角枠の上面の一部を側縁に沿って切り欠いた下端挿入部を備えた、略コ字状の断面形状を有し、前記板状フィルターの下端部を前記下端挿入部に挿着して固定、支持するので、前記板状フィルターを安定保持することができ、洗浄処理に移行するまで恒常的使用が可能になる。特に、SUS材等の金属材を用いて板金加工により前記略コ字状の断面形状に加工して、あるいは硬質樹脂による成形加工により前記下端支持部材を形成できるため、前記板状フィルターの安定保持構造を安価に得ることができる。
【0022】
本発明の第6の形態によれば、前記下端支持部材の下部に、前記板状フィルターから廃液成分を滲みださせて外部に流出させる切欠きを形成し、前記下端支持部材の下方に、前記切欠きより流出した廃液を回収する受部を配置したので、前記板状フィルターの下端部から流出する廃液を前記受部に回収させて、前記板状フィルター内に廃液が残存することを防止して、前記板状フィルターの圧損増加を抑制することができる。
【0023】
本発明の第7の形態によれば、前記板状フィルターより小さい前記ガラス繊維フィルターを配置し、前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めする仮止具を前記枠体に係脱自在に取り付け、前記仮止具の係着により、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターと前記仮止具の間に保持したので、前記仮止具を前記枠体に対し係脱することにより前記ガラス繊維フィルターを簡単に脱着することができ、前記ガラス繊維フィルターの定期的交換作業を簡易に行え、作業性に富んだ油煙フィルターを実現することができる。
【0024】
本発明の第8の形態によれば、前記仮止具は可撓性を有した細材からなり、前記前側開口面の周辺の枠片に前記細材の両端部を係止させる係止部を対向して配置し、前記細材の両端部を前記係止部に挿着して前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めし、前記細材の両端部の挿着を解除して前記ガラス繊維フィルターの取り外しを行うので、前記細材の可撓性により弾性変形させて簡単に前記枠体から係脱して、前記ガラス繊維フィルターの定期的交換作業を簡易に行え、作業性に富んだ油煙フィルターを実現することができる。前記細材には細丸軸材や薄板材を使用することができる。
【0025】
本発明の第9の形態によれば、前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターの厚さが夫々、2〜30mmであり、特に、ガラス繊維フィルター材は厚み方向に弾縮性を有しており、加圧により容易に薄肉変形可能であるから、油煙の発生する環境や設備に応じて、適切なフィルター厚さの油煙フィルターを提供することができる。
【0026】
本発明の第10の形態によれば、第1〜第9のいずれかの形態に係る油煙フィルターが油煙吸引口に配設され、吸引ファンの吸引力により油煙を前記油煙フィルターを通過させて排気するので、前記板状フィルターのフィルター圧損を漸増させて、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長くして前記板状フィルターの洗浄頻度を低減し、前記板状フィルターの洗浄によるリサイクル使用を円滑に行うことができる油煙排気装置を提供することができる。本発明における吸引ファンには送風ファンやシロッコファンを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態である油煙フィルターの正面図である。
【図2】前記油煙フィルターの背面図である。
【図3】前記油煙フィルターの枠体3の分解図である。
【図4】前記油煙フィルターの中枠6の分解図である。
【図5】図1のA−A矢視断面図である。
【図6】前記油煙フィルターの取付状態図である。
【図7】前記油煙フィルターにおける、ガラス繊維フィルター2の油除去率と、板状フィルター1の圧損変化と、板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2の使用可能期間及び油煙フィルター全体の2週間経過時の圧損(Pa)との相関関係を示す表(7A)、要求品質の評価表(7B)及び油捕集性能の仮説値と実測値の比較表(7C)である。
【図8】ガラス繊維フィルター2の各油除去率に対する板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2の各使用可能期間(週)との相関関係を示すグラフである。
【図9】前記油煙フィルターに用いる横枠の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態に係る油煙フィルターを図面を参照して以下に説明する。
図1は本実施形態の油煙フィルターの正面を示す。図2は本実施形態の油煙フィルターの背面を示す。図5は図1のA−A矢視断面を示す。
【0029】
本実施形態の油煙フィルターは、1枚の板状フィルター1と、2枚組のガラス繊維フィルター2と、板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2を積層状に収容する枠体3からなる。板状フィルター1は枠体3の裏面側(図6参照、換気扇26の吸引側)に配置されている。2枚組のガラス繊維フィルター2は夫々、中枠6により仕切られて、枠体3の表面側、つまり油煙の流入側(調理場側)に対称状に配置されている。
【0030】
板状フィルター1は矩形状に形成された発泡セラミックから構成され、優れた油捕集効率を有する。発泡セラミックは発泡ポリウレタンのような3次元網目構造を有した多孔質セラミックスであり、高い接触効率と低い圧損性能を具備したフィルター材である。本発明においては、3次元網目構造を有した金属多孔質体からなる発泡金属のフィルター材を使用することができる。発泡金属のフィルター材には、例えば、ニッケル、アルミニウム又はSUS(ステンレス鋼)を処理したものを使用することができる。発泡金属のフィルター材は、発泡セラミックの場合と同様に、高い接触効率と低い圧損性能を具備する。
【0031】
図3は枠体3の分解図である。
枠体3は夫々1対の横枠4と縦枠5により矩形状に組み立てられている。横枠4と縦枠5の枠材はSUS製の板金加工材からなる。横枠4と縦枠5の長さは夫々、50、40cmである。横枠4は、角枠の上面の一部を水平側縁に沿って切り欠いた、全体として略コ字状の断面形状を有する。即ち、横枠4は、コ字状に折曲した水平片4a及び2枚の垂直片4bと、一つの垂直片4bを更に水平状に折曲した幅狭の水平片4cからなり、両端は垂直に内曲げして、略箱体形状を有する。水平片4cの側縁は他方の垂直片4bの縁に対し間隙4eが形成され、水平片4aの幅より短く形成されている。間隙4eは板状フィルター1の上下端部が挿入可能な幅に形成されている。水平片4cの両端は切除されて縦枠5の端部が嵌入可能になっている。
【0032】
水平片4cの中央には、中枠6を挿入するための矩形状の切欠き4dが形成されている。水平片4aと各垂直片4bとの折曲部分の角には切欠き8が4個ずつ形成されている。水平片4aの両端側には縦枠5と連結するためのビス孔9が形成されている。水平片4cには、ガラス繊維フィルター2の脱離を防止するための押え軸材22の端部が挿着される貫通穴11が8個、穿設されている。正面側の垂直片4bの中央には中枠6を取着するためのビス孔12が一対形成されている。縦枠5は、コ字状に折曲した垂直片5a、5b、5cと、正面側の垂直片5bを更に内側に折曲した幅狭の垂直片5eからなり、全体として略箱体形状を有する。垂直片5cの縁と垂直片5eの端縁の間には間隙5fが形成され、間隙5fは板状フィルター1の左右端部が挿入可能な幅に形成されている。縦枠5の両端部には、内曲げされた端片5dが形成され、それにはビス孔10が形成されている。
【0033】
枠体3の組み立ては以下のようにして行われる。一対の縦枠5を互いの開放面を対向させておき、夫々の端部に、横枠4の両端部が外嵌して嵌合される。上下の横枠4は、図3に示すように、互いに水平片4aが対向し合う向きに嵌合される。横枠4と縦枠5の端部どうしを嵌合した状態では、横枠4の端部のビス孔9と、縦枠5の端片5dのビス孔10が重なり、ビス13を各ビス孔に螺着することにより、矩形状の枠組みを完成することができる。枠体3の組み立てに際しては、枠体3内に板状フィルター1が収容される。即ち、板状フィルター1の左右端部が垂直片5cと垂直片5eとの間隙5fに挿入され、且つその上下端部が水平片4cと垂直片4bとの間隙4eに挿入されて、上記組み立てにより、枠体3内に板状フィルター1が収設される。間隙4e及び間隙5fは板状フィルター1の端部挿入部を構成し、板状フィルター1の該端部挿入部への挿入により枠体3内に収設される。
【0034】
図4は中枠6の分解図である。
中枠6は一対のL字形の中枠片6aからなる。中枠片6aは正面片6bと、仕切片6cからなり、SUS製の板金加工材により形成されている。中枠片6aの長さは縦枠5の全長より僅かに短い。正面片6bの両端側には横枠4に取着するためのビス孔15が穿設されている。油煙フィルター全体の取付けや取外しの際の取り扱いに用いる取っ手7のヒンジ部材14を取着するためのビス孔16が正面片6bの中央に穿設されている。取っ手7はC字形の軸材からなる。ヒンジ部材14は板金加工により、平坦部17の中央に軸挿入用湾曲部18を屈曲形成したヒンジ形状を有する。平坦部17には正面片6bに取着するためのビス孔19が穿設されている。
【0035】
中枠片6aの仕切片6cどうしを突き合わせた状態で、水平片4c中央の切欠き4dに中枠片6aの上下端部を挿入し、重なり合うビス孔12及び16にビス13を螺着することにより一対の中枠片6aを固定して中枠6の取付が行われる。中枠6を枠体3にビス止めした状態で、正面側からビス孔16及び19が重なり合う位置にてビス20を螺着することにより、ヒンジ部材14がビス止めされる。ヒンジ部材14の取付の際には、軸挿入用湾曲部18に取っ手7の上下の開放軸端7a、7bを挿入しておき、ヒンジ部材14の取付により、取っ手7は正面片6bと湾曲部18により回動自在に保持される。
【0036】
上記構成に係る油煙フィルターにおいて、板状フィルター1は枠体3の後側開口面に露出するように、枠体3内に収設され、固定配置される。枠体3の表側には、横枠4の水平片4cと、縦枠5の垂直片5eと及び中枠6の仕切片6cによって2つに区画されたガラス繊維フィルター用収容空間が形成される。該収容空間の正面側は図1に示すように、垂直片5eと仕切片6cの間隔L1と、水平片4c間の間隔L2により規定される矩形領域が形成されている。該収容空間の背面側は板状フィルター1のフィルター面に対応する。板状フィルター1は枠体3内全体にほぼ収設可能なフィルター面積を有し、各ガラス繊維フィルター2は、板状フィルター1より小さい、該収容空間の矩形領域の大きさに相当するフィルター面積を具備する。板状フィルター1の厚さは10mmであり、ガラス繊維フィルター2の厚さは10mmである。
【0037】
ガラス繊維フィルター2には、石英又はアルミナホウケイ酸グラスファイバーを原料としたガラス繊維製のフィルター材からなり、発泡セラミックや発泡金属のフィルター材と同様に耐熱性、難燃性及び高油捕集性能を具備する。一組のガラス繊維フィルター2は、夫々、板状フィルター1にあてがうようにして前記ガラス繊維フィルター用収容空間に納められる。前記ガラス繊維フィルター用収容空間に収納した状態で、図1に示すように、各ガラス繊維フィルターには該収容空間の上下の水平片4cに設けた貫通穴11に4本の押え軸材22を交差状に2組分、挿着して、ガラス繊維フィルター2の脱離を防止している。押え軸材22は、ガラス繊維フィルター2の前面側中央領域を仮止めする仮止具を構成し、押え軸材22枠体3の貫通穴11に対して係脱自在に取り付けられており、押え軸材22の係着により、ガラス繊維フィルター2を板状フィルター1側に押えて保持することができる。押え軸材22は可撓性を有した2.5mm径のSUS製細丸棒材からなり、枠体3の前側開口面に露出するように、油煙吸引を阻害することなく、板状フィルター1の前面にガラス繊維フィルター2を積層保持する。各貫通穴11は直線状に形成されており、各ガラス繊維フィルター2につき、交差状に係着した2組の押え軸材22が配置され、夫々、内側に位置する押え軸材22を通じて弾性力が付与されるため、薄手のガラス繊維フィルター2であっても腰折れすることなく面状に保持される。図5において2点鎖線により示した押え軸材22は前側に係着された押え軸材を示し、この押え軸材22と交差して内側に係着された押え軸材(図示せず)は弾性変形して撓み、ガラス繊維フィルター2を押圧し保持している。ガラス繊維フィルター2は押え軸材22の押圧力を受けて半分程度の厚さに圧縮変形する。特に、ガラス繊維フィルター材は厚み方向に弾縮性を有しており、押え軸材22の弾性加圧により容易に薄肉変形可能であるから、ガラス繊維フィルター2を付加しても油煙フィルター全体の枠厚が大きくならず、その薄型軽量化を実現することができる。
【0038】
図6は本実施形態に係る油煙フィルターFの取付状態を示す。同図は、シロッコファンからなる換気扇26を排気ダクト25付近に配置したレンジフード24に、油煙フィルターFを斜め45°に傾斜配置した取付状態を示す。
レンジフード24は厨房の壁面23に沿って、調理台21の上方に配設されている。レンジフード24には、調理台21に対向し、調理台21上での調理により発生する油煙を取り込むために、斜め45°に傾斜形成された開口部34が形成されている。開口部34には、油煙フィルターFの上部及び下部を支持する支持部が設けられている。上部の支持部は、上側の横枠4周辺が挿入されるコ字形の間隙を形成する前側部材28と後側部材29からなる。下部の支持部は、下側の横枠4周辺が載置されるコ字形に配置された載置部材30と31からなる。開口部34の縦幅は前側部材28と載置部材30の各端部により規制され、油煙フィルターFが抜け落ちないように縦枠5より短く設定されている。下部の支持部の下方には、廃油用受部の廃油容器32が載置される水平棚部33が設けられている。廃油容器32は下側の横枠4に沿って配置され、横枠4の両角部に設けた切欠き8から垂れ落ちる廃油を受け入れる樋状の容器からなる。
なお、下側の載置部材30と、上側の載置部材31との接合部分には空隙が形成されており、横枠4の切欠き8から流出する廃油が前記空隙を介して廃油容器32側に滴下可能にしている。
【0039】
油煙フィルターFの脱着は次のようにして行う。取付時には、油煙フィルターFの取っ手7を掴持し、その下端部を開口部34よりレンジフード奥側に差し入れた後、上端部を前側部材28と後側部材29の間隙に挿入する。更に、油煙フィルターFを若干下ろして、下部の支持部の載置部材30、31に下端部を載置して取付を完了する。開口部34の横幅は手が入りやすいように横枠4より広く形成されており、油煙フィルターFの挿着後は開口部34と油煙フィルターFの横側に隙間が生ずるが、その隙間を覆う閉鎖板片(図示せず)を取着して閉塞される。取外しに際しては、油煙フィルターFの取っ手7を掴持して、図6の矢印に示す方向に、前側部材28と後側部材29の間隙に沿って持ち上げた後、その下端部を開口部34よりレンジフード奥側に移動させ、上端部から開口部34をくぐらせて前側に取り出して行う。
【0040】
図6の油煙フィルターFの取付状態において、換気扇26のモータ27を作動させて換気扇26の吸引作用により、調理台21上での調理により発生する油煙を油煙フィルターFを通じて吸引し、排気ダクト25側に排出させる。吸引された油煙はガラス繊維フィルター2、その後面に配置した板状フィルター1を通過し、厨房外に排気されていく。油煙吸引の繰り返しにより、油煙の油成分等がガラス繊維フィルター2及び板状フィルター1に付着し除去される。油煙フィルターによって除去された塵芥を含む廃油は、図5の矢印で示すように、板状フィルター1の下方に流下し、切欠き8を通じて廃油容器32に流出する。従って、切欠き8により板状フィルター1から廃液成分を滲みださせて外部に流出させるので、板状フィルター1に大量に堆積することなく廃油を回収することができる。油煙フィルターの使用状況の進行に伴って、油煙吸引側に位置するガラス繊維フィルター2の汚染が進行したとき、定期的にガラス繊維フィルター2を取り替えることにより、メインフィルターとしての板状フィルター1の汚染進行を抑制することができる。ガラス繊維フィルター2の取り替えは、油煙フィルター全体を分解したりすることなく、油煙フィルターの前面側で押え軸材22を取り外すだけで簡単に行うことができる。ガラス繊維フィルター2の取り替えを繰り返した後、板状フィルター1の汚染が進行し、フィルター圧損を増加したときには、上記の取外し作業を行って油煙フィルターFを取り外す。油煙フィルターのレンタル提供の場合には、定期的点検時に、ガラス繊維フィルター2の取り替えを実施し、板状フィルター1のフィルター圧損を増加した時点で、油煙フィルター全体を取り替える。汚染された油煙フィルターはレンタル事業者の事業所にて分解し、板状フィルター1のクリーニング(洗浄)処理を施して再生使用する。なお、本実施形態では、上下対称形状に枠体3を形成しており、壁面装着時には上下いずれの向きにもセット可能にしている。また、8個の切欠き8は横枠4の両角部に4個ずつ配列され、両角部より廃油抜きを行えるようにしており、また幅方向に非対称的に各角でずらして配置して、横枠4の中折れが生じにくいようにしている。
【0041】
本実施形態によれば、メインフィルターとしての板状フィルター1と、その前面に対向配置されたガラス繊維フィルター2を積層したフィルター積層体からなり、ガラス繊維フィルター2を油煙の流入側に配置したので、板状フィルター1の汚染の進行が緩慢になり、使用経過に伴ってガラス繊維フィルター2を交換することにより、板状フィルター1のフィルター圧損を漸増させて、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長くして、板状フィルター1の洗浄頻度を低減し、板状フィルター1の洗浄によるリサイクル使用を円滑に行うことができる。特に、レンタル事業においては、メインフィルターの洗浄頻度の低減により、クリーニング処理のコストダウンを図ることができるので、油煙フィルターを安価にレンタル提供することが可能になる。なお、板状フィルター1あるいはガラス繊維フィルター2の厚さを調整したり、積層枚数を増減させるなどして、使用状況に応じて、油煙吸引性能の異なる油煙フィルターを提供することができる。メインフィルターとして用いる板状フィルター1はセラミックにより形成されており、油捕集効率に優れ、また恒常的使用に耐え、更に再生利用可能な油煙フィルターを実現することができる。
【0042】
図9は横枠4の変形例である横枠32(9A)及び横枠34(9B)を示す。同図の断面において、横枠4と同一部材について同じ符号を付している。
横枠4の場合、水平片4cを幅狭に裁断して、板状フィルター1の挿入用の間隙4eを形成しているが、(9A)の横枠32に示すように、水平片4fの端部を間隙4eの幅だけ内曲げして、板状フィルター1を垂設するガイド片33を形成するようにしてもよい。ガイド片33に沿って挿入することにより、板状フィルター1を安定に保持することができる。また、横枠4の場合、ガラス繊維フィルター2の端部を水平片4c上に載置するが、(9B)の横枠34に示すように、水平片4gの端部に内向きの段差部35を形成して、段差部35と板状フィルター1の隙間にガラス繊維フィルター2の端部を挿入して安定支持するようにしてもよい。
【0043】
本実施形態に係るフィルター積層体のうちの板状フィルター1による油成分の除去率は40%以下、より好ましくは30%以下に設定される。この好適な油除去率条件の設定は、以下に示す板状フィルター1の圧損変化計測実験の結果に基づく。
図7は、ガラス繊維フィルター2の油除去率と、板状フィルター1の圧損変化と、板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2の使用可能期間(週)及び板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2からなる油煙フィルター全体の2週間経過時の圧損(Pa)との相関関係を示す表(7A)、要求品質の評価表(7B)及び油捕集性能の仮説値と実測値の比較表(7C)である。
図8は、ガラス繊維フィルター2の各油除去率に対する板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2の各使用可能期間(週)との相関関係を示すグラフである。
【0044】
ガラス繊維フィルター2として、その油除去率が20、40、60、70、80、90%のフィルター材を使用して、板状フィルター1の圧損変化の計測実験を行った。各油除去率の設定はフィルター原反の繊維目付(g/m)や繊維径(μm)を変えることにより調整している。一般的に、油煙を効率的に貫通して流通するためには、フィルター材の圧損範囲が14.5〜20Paであることが好適である。圧損が14.5Pa以下になると油捕集性が低下し、20Paを超えると油煙の通過量が鈍り油煙が籠ってしまうからである。従って、各種油除去率のガラス繊維フィルター2を装填したときの、板状フィルター1の圧損変化を観察し、該好適な圧損範囲の値を維持できる期間を使用可能期間として判定した。計測実験には50×50cmの平面サイズの板状フィルターを使用した。
【0045】
油煙フィルターの理想的な要求品質として、8週間継続使用したときの板状フィルター1の圧損変化及び2週間継続使用したときのガラス繊維フィルター2の圧損変化の評価例を(7B)の表に示す。
ガラス繊維フィルター2は、油煙吸引の1次側、つまり、油煙流入側に配置するため、後方の板状フィルター1に比べて圧損の上昇が早く進み、2週に達するまでに前記圧損範囲の上限を超えてしまうため、ガラス繊維フィルター2の取替頻度が多くなり、使い捨てのフィルターコストが増して利用経費が高くなる。そこで、ガラス繊維フィルター2の理想的な要求品質は、その油除去率が20、40、60、70、80、90%であるフィルター材のいずれかを使用しても、少なくとも2週間継続使用したとき圧損変化が前記圧損範囲を維持できることである。ガラス繊維フィルター2の取替期間としては、現状の取替費用を考慮すれば、少なくとも1.5週を必要とし、好ましくは2週間以上である。
【0046】
板状フィルター1はガラス繊維フィルター2より高い油捕集性を具備しているため、板状フィルター1単独使用の場合には、2週間以内で20Paを超える。そこで、油煙フィルターをレンタル提供するときには、油煙フィルターの交換サイクルやクリーニング処理コストを考慮して、板状フィルター1の理想的な要求品質は、ガラス繊維フィルター2の油除去率が50%を超える油捕集性の高いものを使用した場合にあっても圧損変化が前記圧損範囲を8週間継続して維持できることである。図7及び図8において、圧損変化の良否を◎、○、△、×により表している。
【0047】
ガラス繊維フィルター2及び板状フィルター1のフィルター積層体により構成された本発明に係る油煙フィルターにつき、上記の要求品質を満足ないし概ね満たすことが可能か否かを検証すべく、圧損変化の計測実験を行ったところ、(7A)の各種計測結果が得られた。板状フィルター1の圧損変化の評価は、板状フィルター1、ガラス繊維フィルター2の各使用可能期間及び油煙フィルター全体(板状フィルター1及びガラス繊維フィルター2)の2週経過後の圧損変化に基づき◎、○、△、×を表記している。(7A)に示すように、ガラス繊維フィルター2の油除去率が60%を超えると、板状フィルター1の使用可能期間が6週を超えて維持可能となる結果が得られた。ガラス繊維フィルター2についても、40%の油除去率で2.2週の使用可能期間が得られ、最大油除去率90%のときでも1.5週を超える結果(1.6週)が得られた。油煙フィルター全体としても、(7A)に示すように、2週経過後の圧損変化がガラス繊維フィルター2の油除去率が60%を超えても、前記圧損範囲を維持できることが分かった。なお、ガラス繊維フィルター2の油除去率が70%のときと比べ、80、90%のときに圧損変化が速くなるのは、ガラス繊維フィルター2の油除去率が高すぎてフィルター機能の低下が速まる傾向にあり、その要因により、板状フィルター1に汚れた油煙が流入しやすくなって汚染が進みやすくなるためと考えられる。
【0048】
上記圧損変化の計測実験によれば、図8に示すように、板状フィルター1、ガラス繊維フィルター2の各使用可能期間が夫々、8週、2週を超える最適フィルター設定領域が得られることが分かる。即ち、65<Ef<80(Ef:ガラス繊維フィルター2の油除去率)のときに要求品質(板状フィルター1の目標ライン8A(8週)を超え、且つガラス繊維フィルター2の目標ライン8B(2週)を超えること)を満たすことできる。従って、35>Ep>20(Ep:板状フィルター1の油除去率)が最適フィルター設定領域となる。この最適フィルター設定領域から、本発明における板状フィルター1の油除去率を40%以下にするのが好ましいという知見が得られた。本実施形態においては、係る知見に基づき板状フィルター1の油除去率を30%に、またガラス繊維フィルター2の油除去率を70%に設定している。
【0049】
次に、本発明のガラス繊維フィルター2及び板状フィルター1の積層体による油除去率を実測した。図7の(7C)は、その仮説値と実測値の比較を示す。ガラス繊維フィルター2の油除去率が20、40、60、70、80、90%であるのに対して、夫々、油除去率が60、45、30、22.5、15、7.5%の板状フィルター1を使用して本発明に係る積層体を形成した場合、積層体の合成油除去率は各フィルターの油除去率の合算値となると予測されるが、実測した結果、5〜10%程度僅かに低下することが分かった。
【0050】
上記圧損変化の計測実験結果によれば、ガラス繊維フィルター2の油除去率が60%以上の場合には板状フィルター1の圧損変化が緩慢になり、使用可能期間を長期化することが分かる。特に、(7A)に示すように、ガラス繊維フィルター2の油除去率が90%の場合には積層体の2週後の圧損が24.2Paとなり、許容値を超えることになるが、実際の使用状況下では、ガラス繊維フィルター2を1.5週経過時に取り替えることにより、更に板状フィルター1の圧損変化の進行を抑制でき、使用可能期間の長期化を図ることができる。従って、本実施形態に係るフィルター積層体においては、上記の計測実験に基づき板状フィルター1による油成分の除去率を40%以下にしているので、板状フィルター1の圧損を漸増させ、適切な油煙吸引力を維持できる期間を長期化して、板状フィルターの清掃頻度を低減することができる。油煙フィルターをレンタル提供するには、油煙フィルターの交換サイクルやクリーニング処理コストを考慮したとき、少なくとも6週間を超える使用可能期間が得られるので、低コストでのレンタル提供を実現することができる。
【0051】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、レストランや飲食店の厨房、食料品店舗の調理場、台所等に設置される油煙排気装置に装着し、あるいは油煙吸引ダクト等に配置して使用される油煙フィルター及びその油煙フィルターを装着した油煙排気装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 板状フィルター
2 ガラス繊維フィルター
3 枠体
4 横枠
4a 水平片
4b 垂直片
4c 水平片
4d 切欠き
4e 間隙
5 縦枠
5a 垂直片
5b 垂直片
5c 垂直片
5d 端片
5e 垂直片
5f 間隙
6 中枠
6a 中枠片
6b 正面片
6c 仕切片
7 取っ手
7a 開放軸端
7b 開放軸端
8 切欠き
9 ビス孔
10 ビス孔
11 貫通穴
12 ビス孔
13 ビス
14 ヒンジ部材
15 ビス孔
16 ビス孔
17 平坦部
18 軸挿入用湾曲部
19 ビス孔
20 ビス
21 調理台
22 押え軸材
23 壁面
24 レンジフード
25 排気ダクト
26 換気扇
27 モータ
28 前側部材
29 後側部材
30 載置部材
31 載置部材
32 廃油容器
33 水平棚部
34 開口部
F 油煙フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油煙排気装置の油煙吸引口に装着又はその近傍に配置される油煙フィルターにおいて、金属又はセラミックから形成された板状フィルターと、前記板状フィルターの前面に対向配置されたガラス繊維フィルターとを少なくとも積層したフィルター積層体からなり、前記ガラス繊維フィルターを油煙の流入側に配置したことを特徴とする油煙フィルター。
【請求項2】
前記板状フィルターは発泡金属又は発泡セラミックから構成された請求項1に記載の油煙フィルター。
【請求項3】
前記フィルター積層体による油成分の除去率のうち、前記板状フィルターによる油成分の除去率を40%以下にした請求項1又は2に記載の油煙フィルター。
【請求項4】
前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターを積層状に収容し、前後面が開口された枠体を備え、前記板状フィルターを前記枠体の後側開口面に露出するように前記前記枠体に固定配置し、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターの前面に積層して前記枠体の前側開口面に露出するように積層配置した請求項1、2又は3に記載の油煙フィルター。
【請求項5】
前記枠体は前記板状フィルターの下端部を支持する下端支持部材を備え、前記下端支持部材は、角枠の上面の一部を側縁に沿って切り欠いた下端挿入部を備えた、略コ字状の断面形状を有し、前記板状フィルターの下端部を前記下端挿入部に挿着して固定、支持する請求項4に記載の油煙フィルター。
【請求項6】
前記下端支持部材の下部に、前記板状フィルターから廃液成分を滲みださせて外部に流出させる切欠きを形成し、前記下端支持部材の下方に、前記切欠きより流出した廃液を回収する受部を配置した請求項5に記載の油煙フィルター。
【請求項7】
前記板状フィルターより小さい前記ガラス繊維フィルターを配置し、前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めする仮止具を前記枠体に係脱自在に取り付け、前記仮止具の係着により、前記ガラス繊維フィルターを前記板状フィルターと前記仮止具の間に保持した請求項4、5又は6のいずれかに記載の油煙フィルター。
【請求項8】
前記仮止具は可撓性を有した細材からなり、前記前側開口面の周辺の枠片に前記細材の両端部を係止させる係止部を対向して配置し、前記細材の両端部を前記係止部に挿着して前記ガラス繊維フィルターの前面側中央領域を仮止めし、前記細材の両端部の挿着を解除して前記ガラス繊維フィルターの取り外しを行う請求項7に記載の油煙フィルター。
【請求項9】
前記板状フィルター及び前記ガラス繊維フィルターの厚さが夫々、2〜30mmである請求項1〜8のいずれかに記載の油煙フィルター。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の油煙フィルターが油煙吸引口に配設され、吸引ファンの吸引力により油煙を前記油煙フィルターを通過させて排気することを特徴とする油煙排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−50903(P2012−50903A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193636(P2010−193636)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】