説明

油脂の製造方法

【課題】本発明の課題は、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低く、XUX型トリグリセリドに富んだ油脂の、効率的で工業化に適した製造方法を提供することである。
【解決手段】全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂に含有されるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドを晶析除去するにあたり、脂肪酸低級アルキルエステルの存在下で晶析除去することによって、より安全かつ効率的で工業化に適したXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂の製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1〜3位全てが飽和脂肪酸残基よりなるトリグリセリド(XXX型トリグリセリドまたはXXX型TG)及び1〜3位のうち任意の2箇所が飽和脂肪酸残基よりなるジグリセリド(XX型ジグリセリドまたはXX型DG)の含量が低く、1位及び3位に飽和脂肪酸残基を2位に不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド(XUX型トリグリセリド)に富んだ油脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カカオ脂をはじめとするハードバターは、チョコレートを主とした製菓、製パンなどの食品および医薬品、化粧品などに広く用いられている。これらのハードバターは、1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリセリン(POP)、2位にオレオイル基を有しパルミトイル基とステアロイル基を各1基づつ有するトリグリセリド(POS)及び1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセリン(SOS)などの分子内に1つの不飽和結合を有する対称型の2飽和1不飽和型トリグリセリド類を主成分としている。これらは、チョコレート用としてはテンパー型油脂として知られているものである。又、チョコレートの硬度調整剤として優れる1,3−ジステアロイル−2−リノロイルグリセリン(SLS)などの分子内に2つの不飽和結合を有する対称型の2飽和1不飽和トリグリセリド類も知られている。
【0003】
一般的に、このようなトリグリセリドは、この成分を含む天然の油脂、例えばパーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂などの油脂またはその分画油として得ることができる。又、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂などの油脂の分画油としてではなくて、特定の油脂に1,3選択性リパーゼを作用させ、エステル交換反応を利用して製造する方法が提案されている(特許文献1〜3)。
【0004】
上記いずれの方法も最終製品を得るのに分画操作を行っているが、品質を向上させるためには溶剤分別が必要であったり、複雑な工程管理が必要であったりと、生産効率の面で、なお満足のゆくものではなかった。
【0005】
また、特許文献4には、2位が不飽和脂肪酸に富んだグリセリド油脂と飽和脂肪酸に富んだ脂肪酸エステル及び/又は遊離脂肪酸との混合物に1,3選択性リパーゼを作用させて反応物を得、該反応物を蒸留して脂肪酸エステル及び/又は遊離脂肪酸の一部又は全部を回収した蒸留残渣に、再度、飽和脂肪酸に富んだ脂肪酸エステル及び/又は遊離脂肪酸を混合して1,3選択性リパーゼを作用させる工程を繰り返す多段エステル交換法により、分別工程を必要としないハードバターの製造法が開示されている。しかしながら、実際にはエステル交換反応により、ハードバターの品質上無視できない量のXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドが副生するため、多段エステル交換の工程のみでテンパー型のカカオ代用脂を製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55−71797号公報
【特許文献2】特開昭62−155048号公報
【特許文献3】WO2005/063952号公報
【特許文献4】WO2003/000832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、XUX型トリグリセリドに富んだ油脂であって、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低い油脂の、効率的で工業化に適した製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、XUX型トリグリセリドを特定量含有する油脂を、脂肪酸低級アルキルエステルの存在下で分別することにより、XUX型トリグリセリドを特定量含有する油脂中に含有されるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドを効果的に除去できるという知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明第1の発明は、XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂を、脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下で、融解状態から冷却し、結晶を晶析させて固液分離することで、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドが低減した油脂をオレイン部(液状部)に得ることを特徴とする油脂の製造方法である
本発明第2の発明は、第1の発明における、XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂が、次の工程A〜Cにより得られる蒸留残渣由来であることを特徴とする油脂の製造方法である。
工程A:油脂を構成するトリグリセリドの2位が不飽和脂肪酸残基に富んだ油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合し混合物を得る工程。
工程B:混合物を、1,3選択性リパーゼでエステル交換する工程。
工程C:エステル交換反応物を蒸留により、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留して蒸留残渣を得る工程。
本発明第3の発明は、第1の発明における、XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂が、次の工程A〜Dにおいて、工程A−B−Cの後、工程D−B−Cを1回以上繰り返すことにより得られる多段エステル交換反応物の蒸留残渣由来であることを特徴とする油脂の製造方法である。
工程A:油脂を構成するトリグリセリドの2位が不飽和脂肪酸残基に富んだ油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合して混合物を得る工程。
工程B:混合物を、1,3選択性リパーゼでエステル交換する工程。
工程C:エステル交換反応物を蒸留により、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留して蒸留残渣を得る工程。
工程D:工程Cの蒸留残渣と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合して混合物を得る工程。
本発明第4の発明は、第1〜第3の発明の何れか1つの発明の製造方法により製造された油脂を含むハードバターである。
本発明第5の発明は、第4の発明であるハードバターを含む食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂に含有されるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドを晶析除去するにあたり、エステル交換の原料に使用する脂肪酸低級アルキルエステルを使用することによって、より安全かつ効率的で工業化に適したXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂の製造方法を提供することができる。
特に、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂を、2位が不飽和脂肪酸に富む油脂と飽和脂肪酸低級アルキルエステルとを1,3選択性リパーゼによりエステル交換した後、蒸留することで得られる蒸留残渣(好ましくは多段エステル交換を経由した蒸留残渣)由来とすることで、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂のより効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂の製造方法ついて詳述する。
本発明でいうXUX型トリグリセリドは、1位及び3位に飽和脂肪酸残基を2位に不飽和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセリドである。XUX型トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としては、食品産業上の有用であるという面で、飽和脂肪酸残基Xは、炭素数が12〜26であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。特に、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基であることが好ましい。また、不飽和脂肪酸残基Uは、炭素数が16〜26であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。不飽和脂肪酸の不飽和度は1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。不飽和脂肪酸残基としては、特に、オレイル基、リノロイル基、リノレイル基であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂を晶析原料に使用する必要がある。品質及び経済性を考慮すると、全トリグリセリド中のXUX型トリグリセリドは、60質量%を超え90質量%以下であることがより好ましく、70〜90質量%であることがより好ましく、75〜85質量%であることが最も好ましい。
【0011】
本発明の製造方法の晶析原料である、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂としては、トリグリセリド含量が85質量%以上である油脂が好ましく、90質量%以上である油脂がより好ましく、94質量%以上である油脂が最も好ましい。例えば、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂等を分別した油脂が使用できる。特に、油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物に、1,3選択性リパーゼを作用させてエステル交換反応を行い、次いで蒸留により脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣由来であることが、製造効率上好ましい。更には、油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物に、1,3選択性リパーゼを作用させてエステル交換反応を行い、次いで蒸留により脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣に、新たに脂肪酸低級アルキルエステルを混合して1,3選択性リパーゼを作用させてエステル交換し、蒸留により脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣を得る工程を繰り返し行う多段エステル交換反応により得られる、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを70〜90質量%含有する蒸留残渣由来であることが製造効率上好ましい。
上述のエステル交換反応に使用する油脂は、油脂を構成するトリグリセリドの2位の不飽和脂肪酸残基が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。油脂を構成するトリグリセリドの2位の不飽和脂肪酸残基は、オレイル基、リノロイル基及びリノレイル基から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。エステル交換反応に使用する脂肪酸低級アルキルエステルは、飽和脂肪酸低級アルキルエステルが70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。飽和脂肪酸低級アルキルエステルの飽和脂肪酸残基としては、炭素数16から22の飽和脂肪酸残基であるのが好ましく、さらにステアロイル基、パルミトイル基及びベヘノイル基から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい
なお、本発明で油脂とは、脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物の場合、脂肪酸低級アルキルエステルを除いた部分とする。従って、上述のようなエステル交換(好ましくは多段エステル交換)後の蒸留残渣を使用する場合、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂は、該蒸留残渣中に残留した脂肪酸低級アルキルエステルを除いた部分が該当油脂となる。
【0012】
本発明の製造方法の晶析原料である、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂は、XXX型トリグリセリドを0.5〜6質量%含んでいることが好ましい。また、XX型ジグリセリドを0.5〜6質量%含んでいることが好ましい。XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドが上記範囲である場合、脂肪酸低級アルキルエステルの存在下で、効率良く、XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドの晶析除去ができる。全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂は、XXX型トリグリセリドを1.0〜5質量%含有することがより好ましく、1.5〜4質量%含有することが最も好ましい。また、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂は、XX型ジグリセリドを1.0〜5質量%含有することがより好ましく、1.5〜4質量%含有することが最も好ましい。
【0013】
本発明の製造方法においては、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂は、脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下において、冷却結晶化工程を経て分別される。
すなわち、本発明の製造方法においては、脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%を含有し、脂肪酸低級アルキルエステルを除く油脂部分の全トリグリセリド中のXUX型トリグリセリド含量が50〜90質量%である晶析原料を、冷却結晶化工程を経て分別し、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂を得る。分別は、脂肪酸低級アルキルエステル1〜30質量%の存在下で行なわれるのが好ましく。4〜25質量%の存在下で行なわれることがより好ましく、7〜23質量%の存在下で行なわれることが最も好ましい。脂肪酸低級アルキルエステルが上記範囲であると、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂から、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドを効率よく晶析除去できるので好ましい。
【0014】
脂肪酸低級アルキルエステルは特に限定されるものではないが、炭素数16から22の脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)の低級アルコールエステルが好ましく、特に、不飽和脂肪酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。脂肪酸低級アルキルエステル中の不飽和脂肪酸低級アルキルエステルの含量は、5〜100質量%であることが好ましく、10〜100質量%であることがより好ましい。脂肪酸低級アルキルエステル中の不飽和脂肪酸低級アルキルエステルの含量が上記範囲にあると、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂から、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドが効率よく晶析除去できるので好ましい。
【0015】
本発明の製造方法においては、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂は、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂を、脂肪酸低級アルキルエステル存在下において、冷却により、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドの結晶を晶析し、分別除去したオレイン部(液状部)に得ることができる。
【0016】
本発明の製造方法において用いる、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂の好ましい態様としては、例えば、2位にオレオイル基を50質量%以上有する油脂を脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)とエステル交換反応を行い、次いで蒸留して得られた蒸留残渣(XOX型トリグリセリドをXUX型トリグリセリド中に50質量%以上含有する。O:オレイン酸)由来であることが好ましい。XOX型トリグリセリドにおける飽和脂肪酸残基としては、炭素数16から22の飽和脂肪酸残基であるのが好ましく、さらにステアロイル基、パルミトイル基、ベヘノイル基であるのが好ましい。より具体的には、トリオレオイルグリセリン、シア脂低融点部分(例えば、ヨウ素価70〜80)、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックローリノレン菜種油、ハイオレイック紅花油、パーム油、パーム分画油などの原料油脂に、脂肪酸低級アルキルエステルを加え、1,3選択性リパーゼ、例えば、リゾプス系リパーゼ、アスペルギルス系リパーゼ、ムコール系リパーゼ、パンクレアチックリパーゼ、米ヌカリパーゼなどを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで蒸留し、未反応原料や副生するオレイン酸などの脂肪酸やその低級アルキルエステルを除いて得ることができる。
ここで用いる脂肪酸低級アルキルエステルとしては、炭素数16から22の飽和脂肪酸(好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸)の低級アルコールエステルが好ましく、特に、炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。
2位にオレオイル基を50質量%以上有する油脂対脂肪酸低級アルキルエステルの使用比率(モル比)は、1/2以下であるのが好ましく、特に、1/2〜1/30であるのが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法において用いる、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂の更に好ましい態様としては、例えば、上述のXOX型トリグリセリドを含有する油脂の調製において、2位にオレオイル基を50質量%以上有するトリグリセリドを脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)とエステル交換反応を行い、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留した蒸留残渣に、新たに脂肪酸低級アルキルエステルを加え、1,3選択性リパーゼでエステル交換した後、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留した蒸留残渣を得る工程を反復する多段エステル交換によって得られた蒸留残渣(XOX型トリグリセリドをXUX型トリグリセリド中に50質量%以上含有する。O:オレイン酸)由来であることが、XOX型トリグリセリドの含量を効率的に高めることができるので、より好ましい。
【0018】
本発明の製造方法において用いる、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを250〜90質量%含有する油脂の好ましい態様の例としては、また、1位及び3位に飽和脂肪酸残基を、2位にリノロイル基を有するトリグリセリド(XLX型トリグリセリド、L:リノール酸)を、XUX型トリグリセリド中50質量%以上含有する油脂であってもよい。XLX型トリグリセリドにおける飽和脂肪酸残基としては、炭素数16から22の飽和脂肪酸残基であるのが好ましく、さらにステアロイル基、パルミトイル基、ベヘノイル基であるのが好ましい。
XLX型トリグリセリドを含有する油脂は、2位にリノロイル基を50質量%以上有する油脂、具体的には、トリリノロイルグリセリン、ハイリノールヒマワリ油、ハイリノールサフラワー油などを原料油脂に、XOX型トリグリセリドと同様に、炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)を加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで蒸留した蒸留残渣に得ることができる。また、該蒸留残渣に新たに炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステルを加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、蒸留する工程を、1回以上繰り返す多段エステル交換反応による蒸留残渣に得ることができる。
【0019】
本発明の製造方法において用いる、全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂の好ましい態様の例としては、また、1位及び3位に飽和脂肪酸残基を、2位にリノレイル基を有するトリグリセリド(XLnX型トリグリセリド、Ln:リノレン酸)をXUX型トリグリセリド中50質量%以上含有する油脂であってもよい。XLnX型トリグリセリドにおける飽和脂肪酸残基としては、炭素数16から22の飽和脂肪酸残基であるのが好ましく、さらにステアロイル基、パルミトイル基、ベヘノイル基であるのが好ましい。
XLnX型トリグリセリドを含有する油脂は、2位にリノレイル基を50質量%以上有する油脂、具体的には、トリリノレイルグリセリン、アマニ油、シソ油、エゴマ油などを原料油脂に、XOX型トリグリセリドと同様に、炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)を加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで蒸留した蒸留残渣に得ることができる。また、該蒸留残渣に新たに炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステルを加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、蒸留する工程を、1回以上繰り返す多段エステル交換反応による蒸留残渣に得ることができる。
【0020】
1,3選択性リパーゼとしては、リゾプス属のリゾプス デレマー(Rhizopus delemar)及びリゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)が好ましい。これらのリパーゼとしては、ロビン社の商品:ピカンターゼR8000や、天野エンザイム社の商品:リパーゼF−AP15等が挙げられるが、最も適したリパーゼとしては Rhizopus oryzae由来、天野エンザイム社の商品:リパーゼDF(Amano)15−K(リパーゼDともいう)が挙げられる。このものは粉末リパーゼである。なお、このリパーゼDF(Amano)15−Kについては従来はRhizopus delemar由来の表記であった。
ここで、使用するリパーゼとしては、リパーゼの培地成分等を含有したリパーゼ含有水溶液を乾燥して得られたものでもよい。粉末リパーゼとしては、球状で、水分含量が10質量%以下であるものを用いるのが好ましい。特に、リパーゼ粉末の90質量%以上が粒径1〜100μmであるのが好ましい。又、粉末リパーゼはpHが6〜7.5に調整されてなるリパーゼ含有水溶液を噴霧乾燥して製造されるものが好ましい。
上記リパーゼを大豆粉末を用いて造粒し、粉末化した造粒粉末リパーゼ(粉末リパーゼともいう)を用いるのも好ましい。
また、市販の固定化リパーゼも好適に使用できる。例えば、ノボザイムズ社製の商品名Lipozyme RM IM、Lipozyme TL IM等が挙げられる。
【0021】
エステル交換反応においては、油脂と脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)とを含有する原料に、上記リパーゼを添加して、常法でエステル交換反応を行うことができる。この場合、原料100質量部当り、リパーゼを0.01〜10質量部(好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.1〜1.5質量部)添加し、35〜100℃の温度(好ましくは35〜80℃、より好ましくは40〜60℃)で、0.1〜50時間(好ましくは0.5〜30時間、より好ましくは1〜20時間)エステル交換反応を行うのが好ましい。反応はバッチ式で行うのが好ましい。反応温度は反応基質である油脂が溶解する温度で酵素活性を有する温度であれば何度でもかまわない。最適な反応時間は、酵素添加量、反応温度などにより適宜調整できる。
エステル交換反応後(多段エステル交換反応における場合は、最終段のエステル交換反応後)、蒸留して、未反応原料や副生する脂肪酸や、脂肪酸低級アルキルエステルを50質量%以下になるまで除いて、本発明で晶析原料に用いるXUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂を得る。
【0022】
本発明では、エステル交換反応を行なう際に脂肪酸低級アルキルエステルをエステル交換の原料中に50質量%を超える量で使用し、蒸留を調整することにより、XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂を含む蒸留残渣に脂肪酸低級アルキルエステルを残存させることにより、また更には別途に脂肪酸低級アルキルエステルを添加する等により、脂肪酸低級アルキルエステルが1〜50質量%(好ましくは1〜30質量%、より好ましくは4〜25質量%、最も好ましくは7〜23質量%)となる様に調整するか、または、蒸留により未反応原料(脂肪酸低級アルキルエステルを含む)や副生する脂肪酸やその低級アルキルエステルをできるだけ除き、ここに新たに脂肪酸低級アルキルエステルを、XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂に、1〜50質量%(好ましくは1〜30質量%、より好ましくは4〜25質量%、最も好ましくは7〜23質量%)となるように添加してもよい。
ここで新たに添加する脂肪酸低級アルキルエステルは特に限定されるものではないが、炭素数16から22の脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)の低級アルコールエステルが好ましく、特に、炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。
【0023】
本発明の製造方法においては、遊離脂肪酸が晶析原料中に0.01〜5質量%存在していても良い。遊離脂肪酸は0.01〜3質量%であることが更に好ましく、0.01〜1質量%であることが最も好ましい。遊離脂肪酸が上記範囲であると、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂が効率よく得られるので好ましい。
本発明の製造方法においては、また、脂肪酸低級アルキルエステルと遊離脂肪酸とは、質量ベースで、脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸≧10であることが好ましく、脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸≧20であることがより好ましい。脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸が上記範囲であると、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂が効率よく得られるので好ましい。
【0024】
本発明では、このようにして調製した、脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%を含有し、脂肪酸低級アルキルエステルを除く油脂部分の全トリグリセリド中のXUX型トリグリセリド含量が50〜90質量%である晶析原料を、加熱溶解させ、攪拌及び/又は静置の状態で冷却して、XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドを含む結晶を晶析させるが、XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドを含む結晶の晶析は、XUX型トリグリセリドがほとんど結晶化して来ない温度(例えば、26〜35℃、好ましくは26〜28℃)でXXX型トリグリセリドやXX型ジグリセリドを結晶化させることが好ましい。脂肪酸低級アルキルエステルの存在下で上記温度又は温度帯に冷却すると、XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドを含む結晶は、XUX型トリグリセリドよりも比較的早く析出するので、XUX型トリグリセリドと分離することができる。XXX型トリグリセリド及び/又はXX型ジグリセリドを含む結晶を分離(分別)するタイミングとしては、晶析原料のSFC(Solid Fat Content)が、好ましくは0.5〜15%、より好ましくは0.5〜10%、更に好ましくは0.5〜6%において分別するのが良い。
固液分離を行う圧搾濾過は、例えば、パーム油等の分別濾過等で使用する圧搾ろ過機などを用い、晶析した結晶の固液分離は、晶析させた結晶が溶けない温度(例えば、20〜35℃、好ましくは20〜27℃)で行なうのがよい。
【0025】
本発明におけるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂は、冷却結晶化工程を経て分別したオレイン部(液状部)に得ることができる。該液状部の脂肪酸アルキルエステルを除いた油脂部分は、晶析原料に使用した全トリグリセリド中にXUX型トリグリセリドを50〜90質量%含有する油脂よりも、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドの含有量が、それぞれ、0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、低下したものであり、該液状部の脂肪酸アルキルエステルを除いた油脂部分のXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドの含有量は、ぞれぞれ、好ましくは0〜3質量%であり、より好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。また、該液状部は、脂肪酸低級アルキルエステルを晶析原料に含まれる含量の100〜110%程度含み(晶析原料中に20質量%であれば、20〜22質量%)、脂肪酸低級アルキルエステルを除いた油脂部分として、トリグリセリド含量が好ましくは85質量%であり(より好ましくは90質量%、最も好ましくは94質量%)、全トリグリセリド中のXUX型トリグリセリド含有量が65質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは80質量%以上のものである。
また、この後に行う任意工程である精製工程は、常法(例えば、水蒸気蒸留など)により行うことができ、最終製品にする前に脂肪酸低級アルキルエステルを除去することができる。このようにして、トリグリセリド含量が好ましくは85質量%であり(より好ましくは90質量%、最も好ましくは94質量%)、全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドの含有量が65質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは80質量%以上の油脂を得ることができる。
また、必要に応じて、脱酸、脱色、脱臭等の通常行う油脂の精製を行ってもよい。
【0026】
本発明の製造方法により得られるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂は、特にカカオ脂の代用脂(ハードバター)として好適に用いることができる。チョコレート製品は、例えば、上記のハードバターを含む油脂成分および糖成分とを含む。上記ハードバターは油脂成分中に10質量%以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上含まれていることが好ましい。糖成分としては通常チョコレートに使用されるものであれば何でもかまわない。例えば、ショ糖、果糖、あるいはこれらの混合物をあげることができる。ソルビトールなどの糖アルコールを用いても良い。また、通常のチョコレート製品に含まれる任意の成分についても含ませることができる。これらの例としては、乳化剤(通常レシチン)、香料、脱脂粉乳、全脂粉乳などがあげられる。
また、本発明の製造方法により得られるXXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリド含量が低くXUX型トリグリセリドに富んだ油脂は、例えば、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ピーナッツ油、パーム油、カカオ脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油、牛脂、豚脂、乳脂等、及び、これらに、分別、水素添加、エステル交換等の処理をした加工油の中から選ばれた1種類以上の油脂と混合し、マーガリン、ショートニング、フィリング、O/Wクリーム等の加工油脂製品の原材料油脂として好適に使用できる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例において本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに何等限定されるものではない。
分析法:
トリグリセリドの分析は、JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じたガスクロマトグラフィー法によって行なった。
トリグリセリドの対称性は、J.High Resolut.Chromatogr.,18,105−107(1995)の方法に準拠した銀イオンカラム−HPLC法により測定した。
SFC値は、IUPAC.2.150 Solid Content determination in Fats by NMRに準じて測定した。
脂肪酸低級アルキルエステルの分析は、ガスクロマトグラフィー法で行った。
粉末リパーゼ組成物Aの調製:
天野エンザイム社の商品:リパーゼDF(Amano)15−K(リパーゼDともいう)の酵素溶液(150000U/ml)に、予めオートクレーブ滅菌(121℃、15分)を行い、室温程度に冷やした脱臭全脂大豆粉末(脂肪含有量が23質量%、商品名:アルファプラスHS−600、日清コスモフーズ(株)社製)10%水溶液を攪拌しながら3倍量加え、0.5N NaOH溶液でpH7.8に調整後、噴霧乾燥(東京理科器械(株)社、SD−1000型)を行い、粉末リパーゼ組成物Aを得た。
【0028】
(分別に供する蒸留残渣1の調製)
ハイオレイックヒマワリ油(商品名:オレインリッチ、昭和産業(株)製)20部に、ステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)80部を混合した混合物に、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物1を得た。得られた反応物1を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度180℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が95.3質量%、脂肪酸エチル含量が0.4質量%である蒸留残渣1を得た。得られた蒸留残渣1を使用して〔実施例1〕及び〔比較例1〕の分別を行った。なお、薄膜蒸留時の留出物を留出物1とした。結果は表1に纏めた。
【0029】
〔実施例1〕
1680gの蒸留残渣1に、320gの薄膜蒸留による留出物1を混合し、脂肪酸エチル含量が16.1質量%(うち不飽和脂肪酸エチル13質量%)、遊離脂肪酸0.3重量%である晶析原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて3時間冷却し、圧搾ろ過(圧搾圧力7kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(139g)及び液状部(1816g)を得た。
【0030】
〔比較例1〕
2000gの蒸留残渣1を晶析原料とし、50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて3時間冷却し、圧搾ろ過(圧搾圧力7kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を試みたが、非常に粘度が高くなり、分離できなかった。
【0031】
(分別に供する蒸留残渣2の調製)
ハイオレイックヒマワリ油(商品名:オレインリッチ、昭和産業(株)製)40部に、ステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)60部を混合した混合物に、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物2を得た。得られた反応物2を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度180℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去した。得られた蒸留残渣40部に対して再度ステアリン酸エチルを60部混合し、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加して40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物3を得た。反応物3を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度140℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が75.2質量%、脂肪酸エチル含量が20.5質量%である蒸留残渣2を得た。得られた蒸留残渣2を使用して〔実施例2〕の分別を行った。結果は表1に纏めた。
【0032】
〔実施例2〕
2000gの蒸留残渣2(脂肪酸エチル含量20.5質量%、うち、不飽和脂肪酸エチル8.6質量%、遊離脂肪酸0.5質量%)を晶析原料とし、50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間冷却し、圧搾ろ過(圧搾圧力7kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(155g)及び液状部(1786g)を得た。
【0033】
【表1】

*;全トリグリセリド中におけるXUX型トリグリセリドの含量
**、***;分別原料中における含量
****;液状部/分別原料×100
【0034】
(チョコレートの製造)
実施例2で得られた液状部(オレイン部)を、油脂の通常の精製方法に従って脱色、脱臭の精製を行い、ハードバターを得た。このハードバターを用いて、ハードバター7.5部、砂糖43.45部、カカオマス(油分55%)40.0部、カカオバター1.0部、パーム油中融点画分7.5部、レシチン0.5部、香料0.05部からなる配合で、常法に従い、ロール掛け、コンチング、テンパリング、型入れを行い、チョコレートを試作した。試作したチョコレートは型離れも良く、風味・口溶けに優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂を、脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下で、融解状態から冷却し、結晶を晶析させて固液分離することで、XXX型トリグリセリド及びXX型ジグリセリドが低減した油脂をオレイン部(液状部)に得ることを特徴とする油脂の製造方法。
(XUX型トリグリセリド:1位及び3位に飽和脂肪酸残基を2位に不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド。XXX型トリグリセリド:1〜3位全てが飽和脂肪酸残基よりなるトリグリセリド。XX型ジグリセリド:1〜3位のうち任意の2箇所が飽和脂肪酸残基よりなるジグリセリド)
【請求項2】
XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂が、次の工程A〜Cにより得られる蒸留残渣由来であることを特徴とする請求項1記載の油脂の製造方法。
工程A:油脂を構成するトリグリセリドの2位が不飽和脂肪酸残基に富んだ油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合し混合物を得る工程。
工程B:混合物を、1,3選択性リパーゼでエステル交換する工程。
工程C:エステル交換反応物を蒸留により、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留して蒸留残渣を得る工程。
【請求項3】
XUX型トリグリセリドを全トリグリセリド中に50〜90質量%含有する油脂が、次の工程A〜Dにおいて、工程A−B−Cの後、工程D−B−Cを1回以上繰り返すことにより得られる多段エステル交換反応物の蒸留残渣由来であることを特徴とする請求項1記載の油脂の製造方法
工程A:油脂を構成するトリグリセリドの2位が不飽和脂肪酸残基に富んだ油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合して混合物を得る工程。
工程B:混合物を、1,3選択性リパーゼでエステル交換する工程。
工程C:エステル交換反応物を蒸留により、脂肪酸低級アルキルエステルの一部または全部を蒸留して蒸留残渣を得る工程。
工程D:工程Cの蒸留残渣と脂肪酸低級アルキルエステルとを混合して混合物を得る工程。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の製造方法により製造された油脂を含むハードバター。
【請求項5】
請求項4記載のハードバターを含む食品。

【公開番号】特開2010−209147(P2010−209147A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53820(P2009−53820)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】