説明

治療および/または診断用途のための、色分けされ、大きさによって分けられた充填可能なポリマー粒子、ならびにそれらを調製し、そして使用する方法

治療および/または診断手法に使用するために、ポリマー粒子が提供される。これらの粒子は、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含み、これらは、粒子全体に、または粒子の外側のコーティング内に存在し得る。これらの粒子はまた、アクリル系ポリマーから形成されるヒドロゲルを含むコアを含み得る。該粒子は、特定の大きさの血管の選択的な塞栓術、または特定の臨床用途における活性成分薬剤での局所的な治療を可能にする、特定の選択された大きさで、使用者に提供することができる。本発明の粒子はさらに、使用の際に、ある大きさの粒子の識別を容易にする色分けされたマイクロスフェアまたはナノスフィアとして提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年10月25日に出願された米国特許出願第11/257,535号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、2005年5月24日に出願された米国仮特許出願第60/684,307号、および2004年10月25日に出願された米国仮特許出願第60/621,729号の米国特許法第119条(e)項の下の優先権を主張し、これらの全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。本願はまた、2007年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/962,015号の米国特許法第119条(e)項の下の優先権を主張し、この米国仮特許出願の全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロスフェアおよびナノスフィアを含めた小粒子は、診断および治療手法において多くの医学的用途を有する。選択された臨床用途では、特定の大きさの該マイクロスフェアおよびナノスフィアを使用者に提供することが好都合であり得る。マイクロスフェアおよびナノスフィアのこうした大きさ設定は、特定の臨床用途における、ある特定の大きさの血管の選択的塞栓術を可能にし得る。使用の際、ある大きさの粒子を容易に識別できるように、色分けされたマイクロスフェアまたはナノスフィアを使用者に提供することは、さらに好都合であり得る。使用者の識別を向上させるために、また特に所望される大きさのマイクロスフェアまたはナノスフィアの使用の視覚による確認を提供するために、該色分けされたマイクロスフェアまたはナノスフィアを、さらに、同様に色分けされた送達または収納装置中に提供することができる。
【0003】
医療用途で使用される大抵の従来技術の粒子は、それらが接触する組織の刺激および不都合な免疫反応の開始を含めた多数の短所を特徴とする。その上、従来技術の粒子を調製するために使用される多くの材料は、哺乳類の体内で比較的急速に分解され、それによって、損なわれていない粒子の長期間の存在が必要であり得る特定の手法においては、その有用性が減じる可能性がある。さらに、従来技術の材料の分解によって、患者における副作用を引き起こす有毒または刺激性の化合物が放出される可能性もある。
【0004】
治療される体のある部位への注射用の送達懸濁液に粒子が組み込まれる場合に、望ましい懸濁特性を達成することが難しいことも、従来技術の特定のタイプの粒子についての当分野での問題である。多くの場合、粒子は、溶液に沈殿するか、または「浮遊する」傾向があり、その結果、均一な送達のために一様に懸濁されることがない。さらに、粒子は、送達溶液内で凝集する、かつ/または送達装置のある部分に付着する傾向があり、該付着/吸引力を補正することが必要になる可能性もある。
【0005】
安定な分散を達成するために、粒子の誘引性相互作用を壊すことに向けられる界面活性剤を含み得る、適切な分散剤を加えることが知られている。粒子の相互作用の性質に応じて、次の材料を使用することができる:Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)80、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムなどのカチオン性、アニオン性、または非イオン性の界面活性剤、血清アルブミンなどの様々な天然に存在するタンパク質、または送達調合物中の他の任意の高分子界面活性剤。さらに、粒子が沈降によって沈殿するのを防止するのを助けるために、また溶液粘度を増大させるために、増粘剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、糖またはデキストリンも使用することができる。浮揚性を達成するために、密度添加剤(density additive)も使用することができる。
【0006】
水性懸濁液中で無色透明なポリマーアクリレートヒドロゲルビーズを使用する場合、溶液中の微粒子を、その懸濁の程度を測定するために視覚化することも難しい可能性がある。骨セメントのための添加剤として、またX線検査中に部材を可視化するためのシリコーンのために、またポリマーアクリレート粒子に対する放射線不透過性を提供するために、不活性沈殿物、すなわち硫酸バリウムを粒子の形で使用する試みも知られている。非特許文献1を参照のこと。硫酸バリウムはまた、流動化を向上させることが知られており、湿った凝集した粒子に対して粘着防止挙動を与える無機充填剤としてしばしば使用される。微粒子の視覚化を増大する他の従来技術での試みとしては、金の使用が挙げられ、例えば、Embosphere Gold(登録商標)は、少量の金を使用して、アクリレート微粒子にマゼンタ色を提供する。
【0007】
特定の医療用途では、1種または複数の大きさのマイクロスフェアなどの微粒子を提供することが、さらに価値がある可能性がある。さらに、使用者にマイクロスフェアの大きさを示すために、色分けされた関連する染料が組み込まれた、該各々の大きさのマイクロスフェアを提供することも、使用者にとって価値がある可能性がある。使用のさらに他の用途では、さらに、ある大きさの色分けされたマイクロスフェアを、使用されるマイクロスフェアの大きさを識別する際に、使用者をさらに助けるために、輸送および送達のための同様に色分けされたシリンジまたは他の容器に入れて使用者に提供することが、価値がある可能性がある。
【0008】
したがって、様々な治療および診断手法などの特定の用途のために、哺乳類系の天然のシステムによって分解されず、生体適合性であり、使用の際に懸濁液中で視覚化するのが容易であり、かつ/または許容される物理的特性および懸濁特性を示す、差別的で一般に球状の構造を有するように形成することができる小粒子の必要性が、当分野において存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jayakrishnanら、「Bull.Mat.Sci.」、第12巻、No.1、pp.17〜25(1989年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の簡単な要旨
本発明は、治療および/または診断手法で使用するための粒子を含む。この粒子は、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含む。
【0011】
本発明は、1種または複数の指定された大きさで提供されるマイクロスフェアとして提供される、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼンおよび/またはその誘導体を含む粒子をさらに含む。
【0012】
本発明は、ある大きさのマイクロスフェアとして提供され、使用中にマイクロスフェアの大きさを識別する際に使用者を視覚的に助けるために、マイクロスフェアに組み込まれる、またはマイクロスフェアの外側に付着させられる色分けされた染料をさらに含む、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼンを含む粒子および/またはその誘導体をさらに含む。
【0013】
本発明のマイクロスフェアは、さらに、使用中にマイクロスフェアの具体的な大きさの視覚による確認を提供する際に、使用者をさらに視覚的に助けるために、マイクロスフェアに組み込まれる、またはマイクロスフェアの外側に付着させられる色分けされた染料をさらに含み、同様に色分けされたシリンジまたは他の輸送または送達容器内に収容されるまたは送達される、ある大きさのマイクロスフェアとして提供することができる。
【0014】
哺乳類における組織への血流を最小限にする方法であって、少なくとも1つの粒子で哺乳類の血管の少なくとも一部を塞ぐことを含む方法も含まれる。ここで、該粒子は、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含む。
【0015】
哺乳類の体内の局部に活性剤を送達する方法であって、有効量の活性剤が局部に暴露するように、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体ならびに活性剤を含む少なくとも1つの粒子と、局部を接触させることを含む方法を、本明細書でさらに記載する。
【0016】
経口投与のための活性剤の徐放性調合物も、本発明の範囲内に含まれる。この調合物は、ポリマーカプセルと活性剤とを含み、該ポリマーカプセルは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含む。
【0017】
本発明は、哺乳類における血管を通して粒子の通過を追跡する方法であって、哺乳類の血流に少なくとも1種のトレーサー粒子を注入することと、粒子の経路を画像化することを含む方法をさらに含む。このトレーサー粒子は、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体、ならびに造影剤を含む。
【0018】
それに加えて、改良された超音波画像診断の方法が、本明細書に記載される。この方法は、超音波の対象に、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含む少なくとも1種の中空のマイクロカプセルを投与することと、超音波を使用して、対象の部位を画像化することを含む。
【0019】
本発明にはまた、哺乳類の体内の局部に活性剤を送達する方法であって、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体、ならびに活性剤を、有効量の活性剤が局部に暴露するように含む、少なくとも1つの粒子と、局部とを接触させることを含む方法が含まれる。ここで、該粒子は、密度を増大させるための薬剤を含む。
【0020】
さらに、アクリル系ポリマーから形成される粒子の凝集を最小限にするための方法であって、粒子のコアおよび/または表面に硫酸バリウムを提供することを含む方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
前述の概要、ならびに以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めば、いっそう良く理解されるであろう。本発明を例示するために、目下のところ好ましい実施形態を図面中に示す。しかし、本発明は、示された厳密な装置および手段に限定されないことを理解するべきである。
【0022】
図面において、
【図1】本発明の一実施形態に従って粒子を調製するために使用される一般的な凍結抽出スキームの概略図を示す。
【図2】本明細書において、実施例1のマイクロスフェアの調製で、ポリマー溶液が液体窒素に供給された手動滴下技術を示す。
【図3A】本明細書に記述する通りの凍結抽出法の一実施形態によって調製された、未負荷ポリホスファゼン粒子(マイクロスフェア)を示す。この図は、4×光学顕微鏡の視野を示す。
【図3B】本明細書に記述する通りの凍結抽出法の一実施形態によって調製された、未負荷ポリホスファゼン粒子(マイクロスフェア)を示す。この図は、100×走査型電子顕微鏡の視野を示す。
【図4】100×倍率のSEMでの、ウシインスリン(20%(wt/wt))を負荷された、本発明の一実施形態に従って形成された粒子(マイクロスフェア)を示す。
【図5A】未負荷ポリホスファゼンマイクロスフェアの表面形態を示す。この図は、原子間力顕微鏡を使用して得られる画像である。
【図5B】未負荷ポリホスファゼンマイクロスフェアの表面形態を示す。この図は、倍率5000×での、未負荷ポリホスファゼンマイクロスフェアの表面を示す、走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の一実施形態で使用するための凍結抽出機構を示す。この図は、凍結抽出容器である。
【図7】本発明の一実施形態で使用するための凍結抽出機構を示す。この図は、シリンジポンプである。
【図8】本明細書における実施例14における微粒子のマイクロカテーテル試験で使用するための装置の横断面図である。
【図9A】水和/脱水サイクルの直後のサンプルC微粒子の表面の、倍率1.0K×でのSEMを示す。
【図9B】実施例14の評価で使用される実施例12のサンプルCに従って形成される微粒子の膜厚の倍率50.00K×でのSEMを示す。
【図10A】実施例14の評価で使用される実施例12のサンプルCに従って作製された微粒子の、カテーテルを通過した後の表面特徴を示す、倍率1.0K×でのSEMである。
【図10B】実施例14の評価で使用される実施例12のサンプルCに従って作製された微粒子の、カテーテルを通過した後の表面特徴を示す、倍率1.0K×でのSEMである。
【図10C】実施例14の評価で使用される実施例12のサンプルCに従って作製された微粒子の、カテーテルを通過した後の表面特徴を示す、倍率1.0K×でのSEMである。
【図10D】実施例14の評価で使用される実施例12のサンプルCに従って作製された微粒子の、カテーテルを通過した後の表面特徴を示す、倍率5.0K×でのSEMである。
【図11A】実施例14における熱ストレステストの後の、実施例12のサンプルCに従って形成された微粒子のSEMである。この図は、強い白色コントラスト部分における、倍率50×の微量の層割れである。
【図11B】実施例14における熱ストレステストの後の、実施例12のサンプルCに従って形成された微粒子のSEMである。この図は、倍率200×の図11Aの微粒子である。
【図11C】実施例14における熱ストレステストの後の、実施例12のサンプルCに従って形成された微粒子のSEMである。この図は、軽欠点のみを示す、他のサンプルC微粒子の200×に拡大されたSEMである。
【図11D】実施例14における熱ストレステストの後の、実施例12のサンプルCに従って形成された微粒子のSEMである。この図は、軽欠点のみを示す、他のサンプルC微粒子の1.0K×に拡大されたSEMである。
【図12A】本発明の代表的な異なる大きさの色分けされたマイクロスフェアA、B、およびCを示す。
【図12B】概念的な血管の横断面図を、血流の方向を示す矢印と共に示す。ここで、血管は、より大きな基部の直径から、より小さな端部の直径へと先細りになっていき、本発明の異なる大きさの色分けされたマイクロスフェアは、管を塞ぐために、小さい順に順次注入された。
【図12C】本発明のマイクロスフェアを含有するシリンジを示す。ここで、マイクロスフェアは、ある大きさに作られ、その大きさを示すために色分けされ、シリンジはさらに、使用の際に使用者が、ある大きさのマイクロスフェアを容易に識別および確認できるように、同様に色分けされている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載するのは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を使用して製造することができる粒子、ならびに該粒子を調製する方法である。それに加えて、本明細書に記載するのは、該粒子を使用する塞栓術の方法、該粒子を使用する活性剤の(経口的または局所的)送達の方法、該粒子を使用して、体を通して血液または他の生物学的流体を追跡または視覚化する方法、および該粒子を使用する増強超音波(音波ホログラフィー)の方法を含めた、本明細書に記載する粒子を使用する治療および/または診断方法および手法である。
【0024】
活性剤の胃腸系への局所的送達および/または活性剤の全身的送達のための粒子、ならびに活性剤の局所的送達のために、皮下または静脈内に注入することができる徐放性薬物送達調合物を含めた、経口投与のための徐放性薬物送達調合物も含まれる。
【0025】
本発明の方法、組成物、および調合物はすべて、本明細書に記述する少なくとも1つの粒子を利用する。「粒子」(1つまたは複数)は、本明細書では、マイクロスフェア(1つまたは複数)およびナノスフィア(1つまたは複数)、ビーズ、および当分野で知られた同様の性質の他の物体を含めて、以下で述べる具体的な方法および用途で使用するために適切な任意の直径を有し得る、実質的に球状または楕円状の、中空または中実の物(1つまたは複数)を意味する。
【0026】
本発明の好ましい粒子は、本明細書に記載される一実施形態に従って、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]またはポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]の誘導体として知られる特定のポリホスファゼンポリマーから、全体的にあるいは部分的に構成される。この特定のポリマーの使用によって、無機高分子骨格を含むという点で少なくとも部分的に無機であり、かつ(ヒトおよび動物を含めた)哺乳類に導入される場合に特異的または非特異的な免疫系の応答を有意に誘発しないという点で生体適合性でもある粒子が提供される。本発明の範囲はまた、制御された薬物送達媒体、または血管および他の器官の視覚化のためのトレーサー粒子としての、該粒子の使用(1種または複数)を含む。
【0027】
これらの粒子は、一つには、比較的小さな管を容易に通過するのに十分に小さい大きさ(例えば、視覚化または薬物送達目的)だけでなく、血管を塞ぐのに十分大きい大きさにも調製することができるので、様々な治療および/または診断手法で有用である。その上、ポリマーの生体適合的性質により、これらの粒子は、「インプラント拒絶」または「アレルギー性ショック」および免疫系の他の有害反応などの、外来の物体が哺乳類の体に導入された時に一般に発生する免疫原反応の回避または排除を容易にする。さらに、本発明の粒子は、in vivoでの生分解の低下を示し、それによって、生物環境における該粒子の長期安定性が増大することが知られている。さらに、粒子中のポリマーがいくぶん分解される状況では、分解物から放出される生成物には、非毒性濃度のリン、アンモニア、およびトリフルオロエタノールしか含まれず、これは、好都合なことに、哺乳類の組織と接触した場合に、抗炎症応答を促進することが知られている。
【0028】
本発明の粒子はそれぞれ、少なくとも部分的にポリマー、すなわちポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスファゼン](本明細書ではさらに「ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]」とも称される)またはその誘導体で形成される。本明細書に記述する通り、ポリマーであるポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]またはその誘導体は、一般の他の既知のポリマー、特に他の既知のポリホスファゼンとこのポリマーとを区別する、化学的および生物学的特性を有する。本発明の一態様では、ポリホスファゼンは、ポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、あるいはその誘導体(他のアルコキシド、ハロゲン化アルコキシド、またはフッ化アルコキシドで置換されたその類似体など)である。好ましいポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]ポリマーは、以下に示す式(I)によって表される繰り返しモノマーから構成される:
【0029】
【化1】

式中、RからRは、すべてトリフルオロエトキシ(OCHCF)基であり、nは、本明細書に開示する通り、少なくとも約40から約100,000まで変動し得る。あるいは、本発明において、このポリマーの誘導体を使用することができる。用語「誘導体」は、式Iの構造を有するモノマーから構成されるポリマーを指すものとするが、RからRの官能基の1つまたは複数は、非置換のアルコキシド、ハロゲン化アルコキシド、フッ化アルコキシド、またはそれらの任意の組み合わせなどの異なる官能基(1つまたは複数)によって置き換えられる、あるいはRからRの1つまたは複数は、本明細書に開示する他の官能基(1種または複数)のいずれかによって置き換えられる。ただし、ここで、ポリマーの生物学的不活性は、実質的に変更されない。
【0030】
先に例示した式(I)のポリホスファゼンの一態様では、例えば、置換基RからRの少なくとも1つは、メトキシ(OCH)、エトキシ(OCHCH)、またはn−プロポキシ(OCHCHCH)などの非置換のアルコキシ置換基であり得る。別の態様では、例えば、置換基RからRの少なくとも1つは、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。フッ素で置換された有用なアルコキシ基RからRの例としては、それだけには限らないが、OCF、OCHCF、OCHCHCF、OCHCFCF、OCH(CF、OCCH(CF、OCHCFCFCF、OH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCHCFCHF、OCHCFCFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHFなどが挙げられる。したがって、トリフルオロエトキシ(OCHCF)基が好ましいが、これらのさらに典型的な官能基も、単独で、トリフルオロエトキシと組み合わせて、または互いに組み合わせて使用することができる。一態様では、使用することができる特に有用なフッ化アルコキシド官能基の例としては、それだけには限らないが、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ(OCHCFCF)、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピルオキシ(OCH(CF)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルオキシ(OCHCFCFCF)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルオキシ(OCH(CFCF)、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピルオキシ(OCHCFCHF)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルオキシ(OCHCFCFCHF)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチルオキシ(OCH(CFCHF)など(これらの組み合わせを含む)が挙げられる。
【0031】
さらに、特定の実施形態では、より弾性のある(elastomeric)ホスファゼンポリマーを提供するために、RからR基の1%以下は、架橋を助けることができる特徴があるアルケノキシ基であり得る。この態様では、アルケノキシ基としては、それだけには限らないが、OCHCH=CH、OCHCHCH=CH、アリルフェノキシ基など(これらの組み合わせを含む)が挙げられる。また、ここで例示する式(I)では、残基RからRは、それぞれ独立に変更可能で、同じでも異なってもよい。
【0032】
式Iにおいて、nが、∞の大きさであり得ることを示すことによって、平均分子量が最高約7500万ダルトンであり得るポリホスファゼンポリマーを包含するnの値を指定することが意図される。例えば、一態様では、nは、少なくとも約40から約100,000まで変動し得る。別の態様では、式Iにおいて、nが、∞の大きさであり得ることを示すことによって、約4,000のから約50,000までのnの値を指定することが意図され、より好ましくは、nは、約7,000から約40,000であり、最も好ましくは、nは、約13,000から約30,000である。
【0033】
本発明の別の態様では、本明細書に開示するポリマーを調製するために使用されるポリマーは、上記の式に基づく分子量を有し、これは、少なくとも約70,000g/molの分子量、より好ましくは、少なくとも約1,000,000g/mol、さらに好ましくは、少なくとも約3×10g/molから約20×10g/molの分子量であり得る。最も好ましいのは、少なくとも約10,000,000g/molの分子量を有するポリマーである。
【0034】
本明細書に例示されるポリホスファゼン式(I)のさらなる態様では、nは、2から∞であり、RからRは、アルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、チオアルキル、チオアリール、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオレート、アリールチオレート、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、窒素、酸素、硫黄、リンまたはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数ヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル、または窒素、酸素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロアリールからそれぞれ独立に選択される基である。式(I)のこの態様では、ペンダントな(pendant)側基または部分(「残基」とも称される)であるRからRは、それぞれ独立に変動するため、同じでも異なってもよい。さらに、RからRは、置換または非置換であり得る。アルコキシ、アルキルスルホニル、ジアルキルアミノ、および他のアルキル含有基内のアルキル基または部分は、例えば、1から20の炭素原子、一般的には1から12の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であり得、アルキル基は、例えば、フッ素原子などの少なくとも1つのハロゲン原子、または先にRからRについて示されたものなどの他の官能基によって、さらに置換され得る。プロピルまたはブチルなどのアルキル基を指定することによって、特定のアルキル基の任意の異性体を包含することが意図される。
【0035】
一態様では、アルコキシ基の例としては、それだけには限らないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシ基などが挙げられる。これらはまた、さらに置換され得る。例えば、アルコキシ基は、少なくとも1つのフッ素原子によって置換することができ、2,2,2−トリフルオロエトキシは、有用なアルコキシ基に相当する。別の態様では、1つまたは複数のアルコキシ基が、少なくとも1つのフッ素原子を含有する。さらに、アルコキシ基は、少なくとも2つのフッ素原子を含有することができる。あるいは、アルコキシ基は、3つのフッ素原子を含有することができる。例えば、シリコーンと組み合わされるポリホスファゼンは、ポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]であり得る。ポリマーのアルコキシ基はまた、1つまたは複数のフッ素原子が、他の基または原子と共にポリホスファゼン上に存在する、上述の実施形態の組み合わせであり得る。
【0036】
アルキルスルホニル置換基の例としては、それだけには限らないが、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、およびブチルスルホニル基が挙げられる。ジアルキルアミノ置換基の例としては、それだけには限らないが、ジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−、およびジブチルアミノ基が挙げられる。また、プロピルまたはブチルなどのアルキル基を指定することによって、特定のアルキル基の任意の異性体を包含することが意図される。
【0037】
典型的なアリールオキシ基としては、例えば、少なくとも1つの酸素原子、非酸素化原子、および/またはアルコキシ置換基を有する環を有する、1つまたは複数の芳香環系を有する化合物が挙げられ、アリール基は、例えば、先に定義した少なくとも1つのアルキルまたはアルコキシ置換基によって置換され得る。アリールオキシ基の例としては、それだけには限らないが、フェノキシおよびナフトキシ基、ならびに、例えば、置換されたフェノキシおよびナフトキシ基を含めたそれらの誘導体が挙げられる。
【0038】
ヘテロシクロアルキル基は、少なくとも1つの環原子が、窒素、酸素、硫黄、リンまたはこれらのヘテロ原子の任意の組み合わせである、例えば、3から10の原子を含有する環系であり得る。ヘテロシクロアルキル基は、例えば、先に定義した少なくとも1つのアルキルまたはアルコキシ置換基によって置換され得る。ヘテロシクロアルキル基の例としては、それだけには限らないが、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、およびモルホリニル基、ならびにそれらの置換された類似体が挙げられる。
【0039】
ヘテロアリール基は、例えば、少なくとも1つの環原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、またはこれらのヘテロ原子の任意の組み合わせである、1つまたは複数の芳香環系を有する化合物であり得る。ヘテロアリール基は、例えば、先に定義した少なくとも1つのアルキルまたはアルコキシ置換基によって置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、それだけには限らないが、イミダゾリル、チオフェン、フラン、オキサゾリル、ピロリル、ピリジニル、ピリジノリル、イソキノリニル、およびキノリニル基、ならびに置換された基などのそれらの誘導体が挙げられる。
【0040】
本発明に従って形成される粒子の直径は、粒子が使用されることとなる最終用途に応じて異なる。該粒子の直径は、好ましくは約1から約5,000μmであり、約1から約1,000μmの直径が最も好ましい。他の好ましい大きさとしては、約200から約500μm、約1から約200μm、および約500μmより大きい直径が挙げられる。2つ以上の粒子が好ましい場合における粒子の使用法では、すべての粒子が同じ直径または形である必要はない。一態様では、ポリマー粒子は、大きさにおいて実質的に均一であり、これは、粒子の大きさを、その粒子が調製および単離されるプロセスによって決定できることを意味し、該粒子は、狭い粒度分布によって特徴づけられる。大きさが実質的に均一であるとは、設計仕様による粒径が、設計仕様から約±5%以下、約±10%以下、約±15%以下、約±20%以下、約±25%以下、約±30%以下、または約±35%以下で変動し得ることを反映すると一般に意図される。一態様では、例えば、製造される粒子の設計仕様が大きくなるにつれて、本明細書に開示される粒子の粒度分布が狭くなり得る。例えば、約700μmから約1000μmまでの粒子は、設計仕様から約±3〜5%以下で変動する可能性があるに過ぎないが、約40μmから約100μmまでの粒子は、設計仕様から約±20〜25%以下で変動する可能性がある。
【0041】
これらの粒子はまた、その調製中、またはその治療および/または診断での使用中に、ポリマーまたは粒子の挙動を改善、変更、または改変するように機能する他の化合物を含むこともできる。例えば、ペプチド、タンパク質、ホルモン、炭水化物、多糖、核酸、脂質、ビタミン、ステロイド、および有機または無機の薬物などの活性剤を、粒子に組み込むことができる。デキストラン、他の糖、ポリエチレングリコール、グルコース、および(例えば、グルタミン酸キトサンを含めた)様々な塩などの賦形剤も、粒子に含めることができる。
【0042】
その上、必要に応じて、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体以外のポリマーも、粒子内に含めることができる。ポリマーの例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリル酸、およびポリウレタンを挙げることができる。他のポリマーとしては、ポリアクリレート、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、アシル置換酢酸セルロースおよびその誘導体、分解性または非分解性のポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびポリエチレンオキシドを挙げることができる。ポリアクリレートの例としては、それだけには限らないが、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)などを挙げることができる。既に形成された粒子のマトリックス中にさらなる化合物を拡散させる、挿入する、または取り込むことを含めた、当分野で知られた任意の手段によって、あるいは、ポリマー溶融体に、または本明細書に記述するような粒子の調製における高分子溶媒に、さらなる化合物を加えることによって、選択された化合物を組み込むことができる。
【0043】
負荷または未負荷粒子を、先に言及したポリマーなどのポリマーを含むさらなるポリマー層(1つまたは複数)で被覆することができる。さらに、本明細書に記述する粒子を形成するために使用される、当分野で既知の、または当分野で開発されることとなる他の適切なポリマーまたはコポリマーから形成される粒子上にこのようなコーティングを形成するために、PTFEPまたはその誘導体を使用することができる。好ましくは、微粒子などの粒子を被覆する場合、以下に詳細に示すアクリル系ポリマーで形成される微粒子(1つまたは複数)上のコーティングとして、PTFEPが適用される。
【0044】
コーティングは、例えば、粒子(1つまたは複数)が、徐放性の経口投与される薬物送達調合物に使用されることとなる場合(腸溶コーティング)に、あるいは、粒子に、有毒である可能性のある造影剤が負荷されることとなる場合(非生体分解性コーティング)に有益である。
【0045】
マイクロスフェアは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]を含有する粒子の調製に適した、当分野で知られた任意の手段によって調製することができる。本明細書における一実施形態による手法では、「ポリマー溶液」は、1種または複数の高分子溶媒と、PTFEPおよび/またはその誘導体を、ポリマーが溶解するまで混合することによって調製される。
【0046】
ポリマー溶液の調製に使用するのに適した溶媒には、ポリマーPTFEPおよび/またはその誘導体が可溶なあらゆる溶媒が含まれる。典型的な溶媒としては、限定はされないが、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸オクチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルエーテル、ヘキサフルオロベンゼン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
ポリマー溶液は、ポリマーの重量に対して約1%からポリマーの重量に対して20%、好ましくはポリマーの重量に対して約5%から10%の濃度のPTFEPおよび/またはその誘導体ポリマーを含有する。先に示した他のポリマーも、該ポリマーが最終の粒子に含まれることが望まれる場合、溶液中に存在することができ、あるいは、第2の溶液の粉末の形または他の形で容器に加えることができる。
【0048】
このプロセスを実施する際には、次に、ポリマー溶液を、非溶媒を含有する容器に、好ましくは液滴またはエアロゾルの形で分配する。「非溶媒」とは、PTFEPポリマーを実質的に溶解せず、かつポリマーを溶解させる溶媒(「高分子溶媒」)の融点よりも融点が低い(その結果、保温ステップの間に溶媒が解ける前に、非溶媒が解ける)任意の有機または無機溶媒を意味する。好ましくは、非溶媒と高分子溶媒との間の融点の差は、約10℃、より好ましくは約15℃、最も好ましくは約20℃超である。高分子溶媒と非溶媒との融点の差が15℃より大きい場合、特定の条件下では、得られる粒子の構造的完全性が増強される可能性があることが見出された。しかし、非溶媒の融点が、高分子溶媒の融点よりもわずかに低いだけでも、十分である。
【0049】
非溶媒/高分子溶媒の組み合わせは、約1から5日間、または高分子溶媒が粒子から完全に取り除かれるまで保温される。理論に拘束されることを望まないが、保温中に、非溶媒が、粒子由来の微細なポリマー溶液の液滴から高分子溶媒を取り除くように機能し、その結果、ポリマーが少なくともゲル化することが仮定される。保温期間が経過するにつれて、液滴は縮小することとなり、溶媒は、さらに取り除かれるようになり、ゲル化したポリマーコアを含有する硬化した外側のポリマーシェルがもたらされ、最後に、保温完了後に、残留溶媒は完全に除去される。ポリマー液滴が保温期間中に実質的に球形を保持することを確実にするために、これらは、保温期間のすべてではないにしても、ほとんどの間、凍結した、または実質的にゲル化した状態で維持される。したがって、非溶媒の温度は、凍結抽出プロセス中、溶媒の融点よりも低い温度にとどまる可能性がある。
【0050】
図1に示す通り、(a)と標識された管では、ポリマー溶液の液滴が、最上層の液体窒素に、制御された速度でシリンジまたは他の装置で分配されていることが示される。窒素の層は、凍結したポリマー溶液の液滴から溶媒を取り除く役割を最終的に果たす選択された非溶媒からなる最下層の上に位置する。非溶媒層は、ポリマー溶液の分配の前に、液体窒素であらかじめ凍結されている。(b)と標識された管は、凍結した非溶媒の液滴化(dewing)の開始を示し、凍結したポリマー液滴は、これに沈むこととなる。(c)と標識された管は、保温の約3日後の凍結抽出手法を示し、ここで、非溶媒内で保温されたポリマー溶液の液滴からは、相当量の溶媒が枯渇している。その結果は、硬化した外側のシェルを有するビーズの形の、ゲル化したポリマー粒子である。表されたものから分かる通り、管内の非溶媒の高さは、非溶媒の若干の蒸発に起因して、わずかに減少する。ビーズの大きさは、ポリマー溶液中のポリマーの初期濃度に応じて、このプロセス中にかなり縮小することとなる。
【0051】
本発明によるPTFEPを含有する粒子(1つまたは複数)を調製する方法の一実施形態では、該粒子は、当分野で既知である、または当分野で開発されることとなる方法を使用して形成することができる。これを達成する2つの典型的な好ましい方法としては、以下が挙げられる。(i)ポリマー液滴が、予め冷却された非溶媒と接触すると凍結するように、上記の方法の実施形態において、管内に存在する非溶媒を、ポリマー溶液を添加する前に、その凝固点近くまで、またはその凝固点まで冷却する。あるいは(ii)ポリマー液滴を、窒素などの液化ガスと接触させることによって凍結し、これを、予め凍結した非溶媒の床の上に乗せる(図2参照)。方法(ii)では、窒素が蒸発した後、非溶媒は、ゆっくりと解け、凍結した状態のマイクロスフェアは、液状の冷たい非溶媒の中に沈むこととなり、ここで、抽出プロセス(高分子溶媒の除去)が実施されることとなる。
【0052】
この一般的なプロセスを改変することによって、中空または実質的に中空または多孔性の粒子を調製することができる。例えば、ビーズからの溶媒の除去が、直ちに実施される場合、例えば、保温の最終の段階中に真空を適用することによって、多孔質ビーズがもたらされることとなる。
【0053】
本発明の粒子は、所望されるいずれの大きさにも調製することができ、「マイクロスフェア」は、例えば、それぞれ、Sono[.tek]Corporation、Milton、N.Y.、U.S.A.およびLechler GmbH、Metzingen、Germanyから入手できる、Sonotek 8700−60msまたはLechler US50超音波ノズルなどの、空気ノズルまたは超音波ノズルを使用して、ポリマー溶液をポリマーエアロゾルとして噴霧することによって得ることができる。より大きな粒子は、シリンジまたは他の液滴形成装置を使用して、非溶媒溶液に液滴を分配することによって得ることができる。さらに、当分野の技術者に知られているであろう通り、粒子の大きさはまた、ポリマー溶液中のポリマーの初期濃度の増大または低下によって変更または改変することができる。濃度が高くなるほど、球体直径が増大することとなる。
【0054】
本明細書に記載される粒子の別の実施形態では、粒子は、PTFEPのシェルと共に、アクリルポリマーまたはコポリマーを主成分とした、標準のおよび/または好ましいコアを含むことができる。該粒子は、塞栓術のための造影剤の懸濁液で使用するために、好ましい球形および改良された比重を提供することができる。本明細書に記載されるPTFEPシェルを伴う、アクリルポリマー系ポリマーは、実質的に球状の形状、力学的柔軟性、および圧縮性、改良された比重特性を提供する。コアポリマーは、B.Thanooらの「Preparation of Hydrogel Beads from Crosslinked Poly(Methyl Methacrylate)Microspheres by Alkaline Hydrolysis」J.Appl.P.Sci.、第38巻、1153〜1161(1990年)(それに関しての参照により本明細書に組み込む)に記載される技術などの、当分野で知られた任意の許容される技術を使用して形成することができる。該アクリル系ポリマーは、限定はされないが、アクリル酸メチル(MA)、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸ヘキサメチル(HMMA)、またはメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、および該アクリル酸誘導体の誘導体、変異体、またはコポリマーを含めた加水分解されていない前駆体を重合することによって形成されることが好ましい。最も好ましいものは、MMAである。ポリマーは、水和したまたは部分的に水和した(ヒドロゲルの)形で、コア中に存在するべきである。該ポリマーは、増強された非生物分解性などの適切なヒドロゲル特性および構造を提供するために、また、水による溶解を阻止することによって、ポリマー構造の機械的安定性を保持するのを助けるために、架橋されていることが好ましい。
【0055】
好ましくは、コアのプレポリマーは、懸濁重合または乳化重合タイプであり得る分散重合によって形成される。乳化重合は、約10nmから約10ミクロンの実質的に球状の粒子をもたらす。懸濁重合は、同様の粒子であるが、約50から約1200ミクロンというより大きな大きさの粒子をもたらす。
【0056】
懸濁重合は、熱開始剤を用いて開始することができる。熱開始剤は、水相、またはより好ましくはモノマー相に可溶化させることができる。モノマー相組成物に使用するのに適した開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、あるいは、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなる他の同様の過酸化物系の開始剤が挙げられ、最も好ましい開始剤は、過酸化ラウロイルである。開始剤は、モノマーの重量に対して約0.1から約5重量パーセントの量で、より好ましくは、モノマーの重量に対して約0.3から約1重量パーセントの量で存在することが好ましい。上述のように、水和されたポリマーを形成するには、架橋コモノマーの使用が好ましい。重合された粒子コアを調製するのに使用されるアクリル系の主(principle)モノマー(1種または複数)と共に使用するのに適した架橋コモノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、または、最も好ましくは、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGMDA)などの、様々なグリコール系の材料が挙げられる。必要に応じて、連鎖移動剤も提供することができる。任意の適切なMA重合連鎖移動剤も使用することができる。本明細書における好ましい実施形態では、ある特定の重合反応のために、ドデシルメルカプタンを、許容される量で、連鎖移動剤として使用することができる。
【0057】
水相組成物は、界面活性剤/分散剤ならびに錯化剤を含むことが好ましく、随意の緩衝液が必要である。界面活性剤/分散剤は、本明細書で使用されるモノマーと適合性があるべきであり、370M Cyanamer(登録商標)、ポリアクリル酸、および部分的に加水分解されたポリビニルアルコール界面活性剤(4/88、26/88、40/88など)が挙げられる。分散剤は、分散液中の水の量に対して約0.1から約5重量パーセント、より好ましくは、分散液中の水量に対して約0.2から約1重量パーセントの量で存在するべきである。適切なpHを維持するために、必要に応じて、随意の緩衝液を使用することができる。好ましい緩衝液としては、リン酸ナトリウム(NaHPO/NaHPO)が挙げられる。適切な錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)であり、これは、約10から約40ppm、より好ましくは約20から約30ppmEDTAの濃度で、水相に加えることができる。水相組成物において、モノマーと水の比が、約1:4から約1:6であることが好ましい。
【0058】
重合は、ほぼ周囲条件で、好ましくは約60℃から約80℃まで、ゲル化までの時間は約1から2時間で行われるべきである。100〜500rpmの速度で撹拌することが、粒子形成にとって好ましく、より低い速度は、より大きな大きさの粒子に適用され、より高い速度は、より小さな大きさの粒子に適用される。
【0059】
一旦、微粒子などのPMMA粒子が形成されると、これらを、PMMA 1モルにつき約1〜10モル過剰の水酸化カリウムの使用を含めた、当分野の条件に典型的な加水分解条件にかけることが好ましい。該水酸化カリウムを、約1〜15%水酸化カリウムの濃度で、エチレングリコール中に提供する。次いで、この溶液を数時間、約150〜185℃の温度で加熱することが好ましい。あるいは、反応物の量および費用を最小限にするために、より少ない量の水酸化カリウム(PMMA 1モルにつき約5モル未満過剰、より好ましくは約3モル以下過剰の水酸化カリウムである)を使用することが好ましい。該加水分解反応については、約10〜15%、より好ましくは約14%から約15%濃度の水酸化カリウム(エチレングリコール中)も、好ましくは使用される。全体の反応時間を減少させるために、より高い温度の加熱条件を使用できることは、当業者によって理解されるであろう。反応時間は、得られる粒子の全径に応じて変動し得る。例えば、以下の条件は、約35%の圧縮率と所望の安定性を有する粒子を提供することができる:溶液は、約200〜300μmの直径については、約7.5から約8.5時間;約300〜355μmの直径については、約9.5から約10.5時間;約355〜400μmの直径については、約11.5から約12.5時間;かつ約400〜455μmについては、約13.5から約14.5時間加熱するべきである、など。粒径は、例えば、撹拌速度や、モノマーの水相に対する比を変化させることによるなど、重合プロセスにおける変更形態を使用して調節することができる。さらに、界面活性剤/分散剤比を増大させることによって、より小さな大きさを達成することができる。
【0060】
加水分解後、粒子を反応混合物から分離し、そのpHを、さらなる処理ステップまたは意図される使用に好都合な任意の範囲に調節することができる。粒子コアのpHは、生理的用途が意図される場合、約1.0から約9.4、好ましくは約7.4に調節することができる。ヒドロゲルコア材料の大きさ、膨潤比、および弾性は、pH値に依存するので、粒子凝集および/または構造損傷を予防するために、乾燥中に有益効果を有するように、より低いpH値を使用することができる。粒子は、ふるいにかけ、意図される使用に応じた異なる粒群に分けることが好ましい。粒子の乾燥は、数時間から約1日までの約40℃〜80℃の温度のオーブンの使用を含めた、任意の標準の乾燥過程を使用して行うことが好ましい。
【0061】
親水性のヒドロゲル粒子に所望の表面特性を提供するために、PTFEPコーティングを受けるための接着を提供する目的で、ヒドロゲルの表面を、テトラアルキルアンモニウム塩、多価アルコール、および同様の材料などの、任意の適切なイオン性または非イオン性の界面活性剤での処理にかけることができる。そのポリメタクリル酸基を適切な反応物と反応させることよって、粒子の表面を疎水性にすることによって、より永続的な接着性の変化がもたらされる。適切な反応物としては、それだけには限らないが、疎水性アルコール、アミド、およびカルボン酸誘導体が挙げられ、より好ましくは、トリフルオロエタノールなどのハロゲン化されたアルコールが挙げられる。該表面処理はまた、一旦コーティングが適用された後の、コアからのコーティングの層割れも予防する。好ましい表面処理としては、限定はされないが、塩化チオニルでの最初の処理、それに続くトリフルオロエタノールでの反応が含まれ得る。あるいは、硫酸と、トリフルオロエタノールなどの疎水性アルコールとの混合物中に粒子を懸濁させることによって、表面を処理することができる。粒子が被覆されるべきである場合、コーティングのいずれの層割れも最小限にするという点で、該処理が好ましい。
【0062】
あるいは、最も好ましくは、PMAコア粒子を、表面層で被覆する、かつ/または硫酸バリウムを注入することができる。硫酸バリウムは、X線不透過性であり、使用された場合、完成した粒子の視覚化を助ける。これはまた、粒子の流動特性を増強し、その結果、特に乾燥中の凝集が減少し、PTFEPの外側コーティングを用いるPMA粒子の流動床コーティングを可能にし、それによってPTFEPの外側コアおよびポリマーアクリレートコア粒子との間の接着が向上する。コア粒子が膨張する場合でも、流動を可能にすることによって、硫酸バリウムはまた、全体のコーティングおよび接着特性を向上させる。膨張した状態のコア粒子でさえもPTFEPでのコーティングを可能にすることによって、硫酸バリウムはまた、粒子を乾燥状態で被覆し、次いでその粒子を懸濁液に暴露させること(ここではコア粒子は膨張し、PTFEPのシェルに力を及ぼす)と比較した場合に、PTFEPシェルの亀裂または破裂への潜在的傾向も低下させる。コア粒子上の硫酸バリウムのコーティングは、PMAビーズのヒドロゲル表面上への不透明コーティングの形の硫酸バリウムの接着によって適用されることが好ましい。硫酸バリウムはさらに、粒径を制限する静電的影響を低下させるのを助けることができる。さらなる湿気の吸収を可能にすることによって、硫酸バリウムは、静電的影響を打ち消す傾向がある。
【0063】
PMA粒子に緩く接着するだけの硫酸バリウム結晶は、PMA粒子に十分な量のアミノシラン接着プロモーターをスプレーコーティングすることによって、共有結合的に架橋できる、または粒子表面に化学的にグラフトできる。これは、粒子の水和後、溶液中の硫酸バリウム粒子状物質を効率的に低下させることを助けることとなる。典型的な粒子としては、3−アミノプロピル−トリメトキシシランおよび同様のシラン系の接着プロモーターが挙げられる。
【0064】
本明細書に示される通りに作製される微粒子の視覚化を向上させるためのさらなる代替法としては、ヒドロゲルコア粒子内部への水溶性有機染料の吸着が挙げられる。典型的な染料は、好ましくは、体内での安全な非毒性の使用について既知であるまたは開発されることとなる、かつ、許容されるコントラストを提供することが可能である、ヒト使用のために承認されたFDA染料である。有機染料としては、D&C Violet no.2などの染料、および、医療器具使用のために、例えばコンタクトレンズおよび吸収性縫合糸のために好ましくは承認された他のものが含まれ得る。硫酸バリウムが、無機充填剤、および小さな結晶の大きさに起因する弱い光回折によって粒子を可視化する、微細に分散した色素に作用するのに対して、染料は、粒子中に含浸された場合、視認できる色スペクトルの相補的部分を吸着する。
【0065】
コアヒドロゲルポリマーを形成するための前述のプロセスに従って作製される微粒子を含めて、粒子は、次いでPTFEPおよび/またはその誘導体で被覆される。溶媒流動床(solvent fluidized bed)および/または吹付け技術を含めた、任意の適切なコーティングプロセスを使用することができる。しかし、好ましい結果は、粒子が空気流を通過し、空気流内を回転しながら、吹付けを通して被覆される、流動床技術を使用して達成することができる。PTFEPまたは誘導体ポリマーは、ノズルの詰まりを回避するために、吹付け用の希釈液中に提供される。
【0066】
該溶液に使用するための典型的な溶媒としては、酢酸エチル、アセトン、ヘキサフルオロベンゼン、メチルエチルケトン、および同様の溶媒および混合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられ、最も好ましいものは、単独、または酢酸イソアミルと組み合わせた酢酸エチルである。典型的な好ましい濃度としては、約0.01〜約0.3重量パーセントのPTFEPまたはその誘導体の溶液、より好ましくは、約0.02〜0.2重量パーセントのPTFEP、最も好ましくは、約約0.075から約0.2重量パーセントが挙げられる。この開示に基づいて、ヒドロゲルコアのタイプは、粒子を被覆するための技術がそうであるように、変動し得るが、本明細書に記載される治療技術および用途に有用であるコアが形成され、その後、本明細書に記載するPTFEPおよび/またはその誘導体で被覆されることが好ましいことが理解されよう。
【0067】
前述の通り、粒子は、塞栓術、薬物送達、画像化(超音波)などの様々な医学的および治療的用途で、またトレーサー粒子として使用することができる。例えば、一実施形態では、本発明は、哺乳類における特定の組織への血流を最小限にする方法を含む。このプロセスは、塞栓術と一般に呼ばれ、本発明の粒子の1つまたは複数を用いて、血管の少なくとも一部、または血管全体を閉塞または遮断することが含まれる。該手法は、特に望ましくない血管新生した組織に関与する疾患および症状、例えば、腫瘍組織、または子宮内膜症などのある種の細胞の非制御増殖に関与する障害の治療に特に有用である。こうした手法では、粒子(1つまたは複数)は、上記の手法に従って調製され、例えばカテーテル、シリンジ、または外科的切開を介する、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなる任意の侵襲性または非侵襲性医療によって血管に挿入することができる。塞栓術は、血管の一部のみを塞ぐように実施することもできるし、血管全体を塞ぐこともできる。この方法では、必要に応じて、細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、抗分裂促進または細胞増殖活性剤、ホルモン、または本明細書に記載の他の任意の望ましい活性剤などの、活性剤を負荷している粒子を使用することができる。本発明による塞栓術粒子は、改良された光学的可視性、さらなる放射線不透過性、および約1.17g/cmの最適の固有密度を示すことができる。この発明における塞栓術粒子は、粒径に対する上記のマーカーとしての様々な染料、局所的な薬物送達および制御された薬物溶出特性のための埋め込まれた医薬品と共に使用することができる。
【0068】
塞栓術療法における使用については、粒子送達のための有益な特性を確実にするために、粒子密度を考慮することが好ましい。密度が不適合な送達媒体を使用した場合、カテーテルベースの送達システムの目詰まりの可能性が生じ得る。さらに、手術中の十分なレベルの蛍光透視コントラストを達成するために、送達媒体中に、極少のある量の造影剤を含むことが望ましい。一般に、ポリメタクリレートヒドロゲル密度は、平衡水分含有量に応じて、1.05g/cmと1.10g/cmの間にある。1mlあたり300mgのヨウ素を含む、ヨウ化物を加えられた最も一般的な非イオン性造影剤媒体は、1.32〜1.34g/cmの密度を有する。本明細書では、「浮揚性」は、粒子が、それが存在する溶液中で実質的に自由に浮遊する能力を指し、粒子の密度が媒体と実質的に同様の場合、これは、懸濁される。本明細書に記載する本発明に従って形成される被覆された粒子は、送達媒体中に約30%の造影剤が存在する場合に、浮揚性に到達することができるが、該レベルは、本明細書に記載される技術に従って、該好ましい使用のために調節することができる。
【0069】
粒子の密度を増大するためのある方法は、重水または酸化ジュウテリウム(DO)を使用することである。粒子を膨張させるために重水が使用される場合、DOは、HOと置き換わり、それによって、より良い分散および浮揚レベルのために粒子の重量は増大する。一般的に、これによって、該技術を使用して、少なくとも約5%という、より多い量の造影剤を加えることができるようになる。しかし、粒子が造影剤の水溶液と接触した時に、いくらかの平衡化効果が、次第に生じる可能性がある。したがって、この目的のためにDOが使用される場合、懸濁時間が最小に保たれること、または、より好ましくは、造影剤が、DOも使用する溶液中に提供されることが好ましい。
【0070】
あるいは、pH1の粒子を、水酸化セシウムで中和することができる、かつ/または最終の中和された粒子を、塩化セシウムで平衡化することができる。該化合物は、セシウムを粒子に拡散させ、その結果、ポリメタクリル酸のセシウム塩が形成される、または、ポリメタクリル酸が拡散され、それによって、塩化セシウムが濃縮される。
【0071】
セシウムは、粒子の密度を増大させ、それによって、より多い量の造影剤を加える能力を増大させる。典型的な浮揚レベルは、セシウム技術を使用して調節することができ、その結果、塞栓術に所望されているように、約45から約50%の造影剤を、送達媒体に加えることができる。セシウム塩は、非毒性であり、粒子を蛍光透視を使用して見えるようにする。132.9g/molのセシウムの原子量は、総合密度の増大およびX線コントラスト可視性の増強(造影剤を含まなくとも)を含めた有益効果を提供するヨウ素の原子量よりもわずかに高い。セシウムの放射性同位元素が所望されるある種の癌治療については、該活性剤は、活性な治療源として使用することができるだけでなく、粒子を塞栓の溶液中に浮くようにする代替のセシウム源としても使用することができる。
【0072】
溶液中の密度および/または浮揚性が適用可能な性質である塞栓術または他の用途のための、微粒子などの粒子の密度を向上させるための上記の技術は、本明細書に記載される好ましい粒子に適用することができる、かつ/または他の同様の粒子に適用することができる。この開示が、本明細書で好ましい粒子のセシウムおよび/またはDO処理に制限されないこと、また、該技術は、他のアクリル系のヒドロゲルおよび他のポリマー粒子などの他の粒子において、より広い意味を有し得ることが理解されよう。
【0073】
上記の通り、硫酸バリウムは、コア粒子と好ましいPTFEPコーティングとの間に使用することもできるし、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなる任意の技術を使用して、コア粒子の内部に導入することもできる。また、有機染料も同様に、粒子コアに含めることができる。これらの材料、特に硫酸バリウムはまた、放射線不透過性の提供だけでなく、密度の増加にも関与する。上記のDOまたはセシウム化合物によって提供される通りの一般的な密度の増大に加えて、硫酸バリウムは、実質的なおよび/または完全な水和後ですら、この利益を可能にし、懸濁液中の粒子が等張性のままであることを可能にする。したがって、硫酸バリウムパウダーコーティングは、生理的モル浸透圧濃度に影響を与えない、不活性の沈殿を提供することができる。
【0074】
この開示に基づいて、所与のコア粒子とコーティングの組み合わせにとって最も有益な効果を提供するために、上記の様々な浮揚性添加剤を、独立に、または組み合わせて使用することができることが理解されよう。
【0075】
本発明はまた、哺乳類の体内の局部に活性剤を送達する方法も含む。この方法は、有効な量の活性剤が、該領域に局所的に放出されるように、先に記載の少なくとも1つの本発明の粒子と局部を接触させることを含む。この方法によって治療できる疾患または症状としては、活性剤の局所化されたまたは局所的投与が、薬物の全身的吸収に対比した場合に、ある種の利益を達成するいずれのものも含まれる。適切な活性剤としては、NSAID、ステロイド、ホルモン、核酸、胃腸管の障害(潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、および過敏性腸症候群など)の治療に使用される薬剤が挙げられる。他の活性剤としては、タクロリムス、シロリムス、パクリタキセル、シス−/カルボプラチン、抗腫瘍薬、ドキソルビシンおよび/または細胞付着性を阻害する受容体遮断薬、例えば、ανβインテグリンブロッカーが含まれ得る。
【0076】
局部への活性剤の送達のために調製される粒子が、直径約1から約1,000μmである場合、薬物を負荷されたマイクロスフェアを、送達装置としてシリンジおよび/またはカテーテルを使用して、不慮の閉塞を引き起こさずに、哺乳類の体内の局部に適用することができる。例えば、造影剤を使用し、カテーテルを鼠径部動脈に挿入することができ、それが局所的な投与が所望される領域に到達するまで、その移動をモニタリングすることができる。適切な注入媒体中の粒子の分散液を、カテーテルを介して注入することができ、確実に、体の特定の領域のみが、薬物負荷されたビーズ(粒子)での処置を受けることとなる。当分野の技術者に理解されるであろう通り、注入媒体としては、例えば、生理食塩水、PBS、または他の任意の適切な生理的媒体などの、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなる薬剤として許容される任意の媒体が挙げられる。本明細書に記載されるさらなる一実施形態によれば、本発明は、粒子および造影剤を含む注射可能な分散液(粒子は、溶液中に実質的に分散している)を含む。好ましい実施態様では、粒子はまた、蛍光透視を介して検出可能である。
【0077】
本発明のポリマー粒子は、経口投与のための活性剤の徐放性調合物を調製するために使用することができる。この調合物は、上記のように、活性剤を負荷された粒子を含む。利用されるポリマー粒子は、中空である、実質的に中空である、または中実であり得る。粒子は、スプレー液滴を介するマイクロサイズの粒子の生成、すなわち溶解されたポリマーの固形化(pastillation)の前に、ポリマー溶液中での活性剤の分散または溶媒和によって、または凍結抽出プロセスを行うことによって、活性剤を負荷することができる。あるいは、未負荷ポリマー粒子を調製することができ、その後、活性剤を含有している溶液に浸漬する。次いで、活性剤がポリマーのマトリックスに拡散するのに十分な量の時間、粒子をこれらの溶液中で保温する。粒子を乾燥させた後、活性剤は、ポリマー粒子中に保持されることとなる。この負荷機序を利用する場合、平衡状態が達成されたら、保温媒体の薬剤濃度を調節する、また、保温媒体から粒子を取り除くことによって、薬物負荷を制御することができる。
【0078】
さらに、特に粒子が閉塞または塞栓術手法で使用される場合、活性剤を、粒子の作用を相乗効果的な様式で補足するように選択できることが想定される。例えば、血流を最小限にすることが望まれる組織が腫瘍組織である場合、閉塞に使用される粒子を、細胞静止剤、血管新生阻害剤、または細胞分裂阻害剤で負荷することを望むことができる。
【0079】
哺乳類の体内の血管または他の空隙を通して粒子の通過を追跡する方法も提供される。この方法は、管、空隙、あるいは該空隙または管に隣接する導管に、少なくとも1つのトレーサー粒子を注入することを含む。ここで、トレーサー粒子は、上記の手法に従って調製される少なくとも1つの粒子である。
【0080】
トレーサー粒子は、それが体腔、血管、および/または他の場所を通過する時の粒子の視覚化を助けることができる造影剤を含むことができる。一般に、この用途では、特に粒子が血流に注入されることとなる場合、約1から約10μmの範囲のものなどの、より小さな粒子が好ましい。しかし、粒子は、この目的のために、この手法が適用される血管、体腔、あるいは隣接する空隙または管を塞ぐほど大きくなければ、いずれの大きさのものでも良い。
【0081】
粒子が造影剤で負荷される場合、利用される造影剤に応じて、その移動は、X線機器または他の任意のコントラスト手法で視覚化することができる。しかし、粒子が造影剤を含有しない場合、粒子の流れは、19F−NMRベースのコンピュータ断層撮影を使用して視覚化することができる。
【0082】
必要に応じて、造影剤を含有しているトレーサー粒子を、ポリマーコーティングで被覆することができる。ポリマーコーティングは、任意のホスファゼンポリマーを含めた、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなるいずれのポリマーも含み得る。造影剤に関して、いずれかの毒性または毒性の懸念が存在する場合、1つまたは複数のコーティングが、非生体分解性であることが望ましい。視覚化手法の性質に応じて、例えば、イオン性または非イオン性のヨウ素含有化合物などの従来のX線撮影コントラスト増強剤(Imeron(登録商標)、Optiray(登録商標)など)のクラスから、該造影剤が提供され得る。
【0083】
視覚化のために磁気共鳴画像法(MRI)が利用される場合、提供されることとなる造影剤は、当分野で周知のガドリニウムおよびサマリウム−キレートなどの希土類化合物のクラスから選択することができる。
【0084】
本発明の実施形態におけるヒドロゲルコア成分は、ポリメタクリル酸などのアニオン性ヒドロゲルポリマーから得られるように選択することができるので、上述の希土類元素または他の金属を含めた多価金属化合物の組み込みは、イオン性の架橋または同様のイオン性の相互作用によるものなどの、これらの化合物の好都合なイオン相互作用を容易にすることができ、したがって、粒子中にこれらの化合物の好都合な保持または蓄積が提供され、それゆえに、本発明による様々な実施形態における該化合物の徐放性効果が提供される。
【0085】
本発明はまた、増強された超音波画像診断手法(音波ホログラフィ)を実施する方法を含む。これを行うために、超音波対象に、視覚化することが望まれる超音波対象の領域に対して、少なくとも1つの中空のマイクロカプセルを投与することができる。該投与は、シリンジ、カテーテル、または他の侵襲性または非侵襲性医療器具、および/または外科的切開術の使用によるものを含めた、当分野で既知であるまたは当分野で開発されることとなる任意の手段によって達成することができる。該方法では、中空または実質的に中空である、すなわち粒子全体の体積の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%に等しい内側空隙を有する粒子を使用することが好ましい。中空の粒子は、画像化することが望まれる超音波対象の、ある部分に投与される。理論に拘束されることを望まないが、これらの粒子が、周辺組織と比較した場合に、その突然の密度変化に起因する超音波「エコー」を増大することによって、超音波画像を増強すると推測される。粒子の中空の空隙は、超音波を反響させるために作用し、画像が増強される。
【0086】
本発明を、以下の実施例によって、さらに例示するが、これは、いかなる形であれ、その範囲の限定を与えるものと解釈されるべきではない。そうではなく、その手段が、本明細書の説明を読んだ後、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく当業者自身に示唆され得る様々な他の態様、実施形態、変形例、およびその同等物を含むことができることが明白に理解されよう。
【0087】
さらに、本発明が、以下の実施例を含めて、本明細書に記載される、本発明で使用または開示される特定の材料、薬剤、ポリホスファゼンまたは他の化合物に限定されないことを理解すべきである。これらはそれぞれ、変動し得るので、本明細書で使用される用語は、特定の態様または実施形態を記載する目的のためにあり、限定的であると意図されないことも理解するべきである。参照によって組み込まれるいずれかの参考文献中に使用される語法または用語が、本開示に使用される語法または用語と矛盾するのであれば、本開示の語法および用語は、調整されるべきである。
【0088】
別段の指示がない限り、温度は、摂氏温度で報告され、圧力は、大気圧またはそれに近い。本発明のポリホスファゼンの調製の例は、米国特許出願公開第2003/0157142号(その全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に従って調製することができるポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン](PzF)ポリマーの合成で提供される。
【0089】
また、別段の指示がない限り、いずれの種類の範囲、例えば分子量、層の厚さ、濃度、温度などの範囲が開示または主張される場合も、その中に包含されるいずれの部分範囲も含めて、該範囲を適度に包含することができる、可能なそれぞれの数を個々に開示または主張することが意図される。例えば、本出願人等が、ある特定の数の原子、例えば炭素原子を有する化学物質部分を開示または主張する場合、本出願人等の意図は、該範囲が包含可能であり、本明細書の開示と整合性がある、可能なすべての数を個々に開示または主張することである。したがって、アルキル置換基または基が、1から20個の炭素原子を有することができるという開示では、本出願人等の意図は、アルキル基が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有することを列挙することである。別の例では、マイクロスフェアが約500から600μmの直径を有するという開示では、本出願人等は、この開示内で、マイクロスフェアが、その中に包含されるいずれの範囲または部分範囲も含めて、約500μm、約510μm、約520μm、約530μm、約540μm、約550μm、約560μm、約570μm、約580μm、約590μm、および/または約600μmの直径を有するという列挙を含む。したがって、本出願人等は、本出願人等が、いずれかの理由で、開示の最大限の量未満を主張することを選択する、例えば、本出願人等が出願する時点で認識していない参照について説明する場合、範囲に応じて、または任意の同様の方式で主張することができる、任意の部分範囲、またはグループ内の部分範囲の組み合わせを含めて、該グループの任意の個々のメンバーを但し書きで外すまたは除外する権利を留保する。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、高分子溶媒である酢酸エチルに、分子量3×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのペンタンの凍結層上に分配させた。(図2を参照のこと)。凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で風乾した。
【0091】
(実施例2)
直径が約350から450μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、酢酸エチルに、分子量3×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、1%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのペンタンの凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で風乾した。
【0092】
(実施例3)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、メチルイソブチルケトンに分子量12×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルの1:9(v/v)エタノール/ペンタン混合物の凍結層上に分配させた(図2参照)。凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で減圧下で乾燥させた。
【0093】
(実施例4)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、イソアミルケトンに分子量9×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのペンタンの凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、高分子ポリマーを反応器から回収し、21℃で減圧下で乾燥させた。
【0094】
(実施例5)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、シクロヘキサノンに、16×10g/mol分子量のPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルの1:1(v/v)エタノール/ジエチルエーテル混合物の凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で減圧下で乾燥させた。
【0095】
(実施例6)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、酢酸エチルに分子量3×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのヘキサンの凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で風乾させた。
【0096】
(実施例7)
直径が約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、酢酸エチルに分子量3×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのエタノールの凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を、反応器から回収し、21℃で風乾させた。粒子は、目立ってゲル様であり、乾燥後は楕円体の形状であった。
【0097】
(実施例8)
直径約500から600μmであるマイクロスフェアを調製した。最初に、酢酸エチルに、分子量3×10g/molのPTFEPポリマーを溶解することによって、ポリマー溶液を調製し、2%(wt/v)ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液4ミリリットルを、5mlシリンジを使用して、液体窒素に手動で滴下した。この分散液を、150ミリリットルのジエチルエーテルの凍結層上に分配させた。(図2参照。)凍結抽出を、3日間進行させた。その後、ポリマー粒子を反応器から回収し、21℃で風乾させた。得られた粒子は、乾燥の後、緻密かつ一様に球形であった。
【0098】
(実施例9)
図6に示す2リットル冷却管(cryovessel)を、非溶媒としての100ミリリットルのジエチルエーテルで充填した。非溶媒が凍結するまで、液体窒素をゆっくりと加えた。次いで、この管に、さらなる液体窒素を、非溶媒層から上に垂直に測定された場合に液体窒素の量が約5〜10cm上昇するまで充填した。この管を、絶縁蓋で閉じ、Teflon管を介してシリンジポンプに連結されたシリンジ針を、蓋の小さな穴を通して挿入した。
【0099】
図7に示すシリンジポンプを使用して、5〜40mg/mlポリマー溶液(酢酸エチル中)5〜15ミリリットルを、冷却管にゆっくりと分配した。ポンプの速度は、毎時約10ミリリットルの分注量に調節した。1個の入口と1から8個の出口を備えたTeflon(登録商標)シリンダーを使用して、この分注量を数本の管に並行して分配した。(非溶媒体積に対する溶媒の比は、10%(v/v)にとどまることが好ましい。そうでないと、粒子が互いに接着する可能性がある。)ポリマー溶液を管に完全に分注した後、さらに100ミリリットルの非溶媒を、液体窒素の上部にゆっくりと注いだ。
【0100】
このプロセスを実施する際には、分注のために使用されるニードルチップが、G33の大きさのように小さいことが好ましいことに注意されたい。さらに、重力を受けた液滴が、表面に衝突すると直ちに液体窒素の中に沈むように、滴下距離は、5cm以上であるべきである。
【0101】
管内の液体窒素を、約1日かけて、ゆっくりと蒸発させた。非溶媒が、ゆっくりと融解し始めると、依然として凍結しているポリマー溶液の液滴は、冷たい非溶媒の中に沈んだ。別の日の保温の後、今度はゲル化されたポリマービーズ(粒子)を、簡単な濾過によって管から回収した。これを、約30分間、室温で乾燥させると、本明細書に記載する用途のいずれかで使用するための準備が整った。
【0102】
(実施例10)
実施例1のプロセスによって調製したマイクロスフェアを、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、および原子間力顕微鏡によって、形および表面形態について調べた。これらの分析の結果を、図3Aおよび図3Bに示す。図3Aは、倍率4×の光学顕微鏡を使用して見られる通りのマイクロスフェアを示す。図3Bは、倍率100×の走査型電子顕微鏡を使用して見られる通りのマイクロスフェアを示す。
【0103】
未負荷の球体の表面形態は、ガラス転移温度よりも上の半結晶性ポリマーを象徴するものであることが分かる。試料表面全体を通して、結晶性領域と同様に非晶質領域が優勢である。表面は、本来、微小孔があり、孔径は、直径ナノメートル単位から数マイクロメートルの範囲である。
【0104】
ウシインスリンを負荷した粒子も、走査型電子顕微鏡(倍率100×)を使用して分析した。これらの分析の結果は、図4Aおよび図4Bで見ることができる。
【0105】
(実施例11)
好ましいコア粒子を得るために、PMMAおよび3つの異なる架橋モノマー(EDGMA、DEGDMA、およびTEGDMA)、異なるラジカル開始剤(過酸化ベンゾイル(BPO)および過酸化ラウロイル(LPO))、錯化剤としてのEDTA、および様々な分散剤(Cyanamer 370M、ポリアクリル酸(PAA))、ならびに様々なタイプのポリビニルアルコール(PVA)の、様々な組み合わせを使用して、いくつかの重合を実施した。ある種の重合では、リン酸ナトリウム緩衝液(NaHPO/NaHPO)を使用した。選択される分散剤のタイプ、および濃度に起因して、いくつかの反応手順が不成功となったことが認められた。分散剤の失敗は、発熱反応の早期開始、水相と有機相の融合、およびガラス化段階の早すぎる開始という形で実証された。好結果の例のみを示す。好結果の実施を、表1に示す。表1には、該サンプル(1〜6)についての成分、濃度、および反応条件が含まれる。
【0106】
【表1】

(実施例12)
本明細書に記載される手順に従って形成したヒドロゲル微粒子を、塞栓術用途で使用するための浮揚性および懸濁特性について評価した。微粒子には、改変されていないポリメタクリル酸カリウム塩ヒドロゲル粒子を使用するサンプル(サンプルA);トリフルオロエチルでエステル化されたポリメタクリル酸カリウム塩ヒドロゲルを使用するサンプル(サンプルB);およびサンプルBと同じヒドロゲルを使用するが、粒子がPTFEPで被覆されたサンプル(サンプルC)が含まれていた。5つのリン酸緩衝生理食塩水タブレット(Fluka(登録商標))を、999.5mlのミリQ超純水に溶解することによって、0.05体積%のTween(登録商標)20を含むpH7.4の等張性リン酸緩衝生理食塩水を調製した。この溶液に、0.5mlのTween20(登録商標)界面活性剤を加えた。次いで、評価のために、この等張性緩衝生理食塩溶液中に20〜50容量パーセントのImeron300(登録商標)造影剤を含む溶液を調製した。
【0107】
次いで、調製された造影剤溶液を、4mlのバイアルに、それぞれ2mlずつ入れた。これらのバイアルに、50〜80mgの水和したヒドロゲルサンプルA〜Cを加えた。各サンプルは、100mgの乾いたヒドロゲル微粒子に、900mgの等張性リン酸緩衝生理食塩水、またはDOを加えることによって、最初に水和させ、1mlの膨潤したヒドロゲルを得た。直ちに浮揚特性を測定し、その後、浮力平衡に達するかつ/または超えるまで10分ごとに測定した。
【0108】
すべての粒子は、5分以内に、30〜40%造影剤を含む造影剤溶液中で、平衡密度に到達した。DOで膨潤した粒子は、最初の10分以内の間は、より重かったが、DOは、浸漬から15〜20分以内に徐々に粒子から拡散した。DOと置き換わることが可能なさらなる水が加えられない場合、DOで水和した微粒子は、適切な浮揚性を達成可能な造影剤割合を5%程度まで増大させることができるであろう。造影剤が40%〜50%の割合で加えられた場合、粒子は、次第に上部に浮き始めた。
【0109】
平衡浮力(密度とマッチする)は、サンプルCについては、溶液中の31±1容量パーセントの造影剤で達成された。サンプルAおよびBに関しては、膨潤挙動およびその後の密度は、架橋含有量、pH、イオン強度および使用されるカチオンの原子価に、一般的に依存する。しかし、ここでは、ポリメタクリル酸ヒドロゲル材料のスポンジ様性質に起因して、膨潤は、浮揚性に影響を与えないと想定されていた。該材料は、サンプルCにあるようなPTFEPで被覆された後、膨潤の時間遅れが観察され、浮力平衡は、よりゆっくり達成された。
【0110】
(実施例13)
時間遅れを考慮する、また、より好ましい密度を達成する、また、粒子の蛍光透視可視性を増強するために、次いで、実施例12のサンプルBおよびCで使用されるタイプの微粒子について、セシウム処理を実施した。
【0111】
100mgのサンプルCおよびサンプルBを、塩化ナトリウムの30重量パーセントの溶液中で、それぞれ10分間水和させた。平衡後、上清をデカントし、微粒子を、脱イオン水で十分に洗浄した。次いで、これらを、さらに10分間平衡化させ、デカントし、界面活性剤を含まないpH7.4の3mlの等張性リン酸緩衝液中に懸濁させた。次いで、20から50容量%まで変動するImeron(登録商標)300造影剤溶液を使用して、浮揚性に対する効果を評価した。この実施例では、サンプルBおよびCの0.1gの微粒子を使用した。4.0mlの等張性のリン酸緩衝液/Tween(登録商標)20溶液を含む初期緩衝液に、3.5mlのImeron300造影剤が提供された。
【0112】
塩化セシウムを使用する平衡化手法は、粒子の密度の増大をもたらした。どちらの微粒子サンプルも、Tween(登録商標)20界面活性剤の有無に関係なく、45〜50%の造影剤濃度で、Imeron(登録商標)300造影剤溶液中で最終的な浮揚性を示した。飽和の条件は、粒子の最初のpH、手法中に使用されるpH、粒子中のメタクリル酸基での対応する飽和に依存すると考えられる。3.6未満のpHでは、プロトンとカチオンの間のコンスタントな交換が観察された。その結果、より有益な結果が、セシウムの量を加減するために、約3.6超かつ約6.6未満のpHで、示された。好ましい範囲内で、浮揚性は変動し得る。7.4のpHでの試験に基づくと、適度に中性のレベルでは、微粒子は、造影剤緩衝溶液中で終夜保管した後も、その浮揚性を失わなかった。
【0113】
(実施例14)
さらなる圧縮性および力学的性質試験を、実施例12のサンプルBおよび/またはCに一致するマイクロスフェアに対して行った。さらなる評価のために使用された圧力試験スタンドを、図8に示す。自動のシリンジプランジャー2は、0から250mm/時の様々な流量を提供するためのモーター4およびギアボックス6を備え、さらに、0〜500Nの範囲の力を測定することが可能なLorenz圧力トランスデューサー8が備えられていた。シリンジプランジャー2は、示された通りにシリンジ本体10と連絡されていた。トランスデューサーのデジタル出力は、パーソナルコンピュータを使用して記録された。シリンジ本体10を、5mlの造影剤を等張性リン酸緩衝液/界面活性剤(Tween(登録商標)20)溶液に入れた溶液(約30〜32容量パーセントの造影剤濃度)で充填した。乾燥質量56mgの量の微粒子も、シリンジに供給した。次いで、シリンジの内容物を、シリンジの先端14に取り付けられたマイクロカテーテル12を介して注入した。マイクロカテーテルの内腔直径は、533μmであった。カテーテルを通して微粒子をペトリ皿16(微粒子溶液の受け入れのために示される)に向けて押すのに必要な力を測定し、圧力として記録した。
【0114】
ある種の計算を行うために、塞栓術のためのマイクロスフェアの典型的な使用に基づくものとして、以下の情報を適用した。一般的に、該マイクロスフェアは、約90%の水分含有量を有し、したがって、塞栓術のためのバイアルは、注入液9.8ml中に、0.2mgの塞栓粒子(8mlの上清中に2mlの水和した微粒子)を含有するであろう。標準の調製手順としては、単一のバイアルの内容物に8mlのImeron(登録商標)300造影剤を加えることが挙げられる。これは、注入溶液内に8ml/(9.8ml+8ml)=44.9容量パーセントの造影剤の平衡濃度を提供するであろう。溶液は一般的に、最終送達のための1mlのシリンジ中に作製される。したがって、注入密度は、以下に等しい:
ρ=VEmb/VTot=2ml/18ml=0.111塞栓剤/体積分率
サンプルC球体は、典型的な塞栓球体とほぼ同じ平衡水分含有量を示した。典型的な外科的手技に所望されるのと同じ注入密度を達成するために、56mgのサンプルCマイクロスフェアを、5mlの31容量パーセント造影剤溶液(上記の等張性リン酸緩衝液および界面活性剤中)に加えた。
【0115】
サンプルBとCのマイクロスフェアを、7.4pHで、内腔直径の等しい異なるマイクロカテーテル中で評価した。水平および垂直方向への注入を、異なる浮揚レベルで、また、異なる膨潤レベルを使用して(pH7.4とは異なり6.0のpHに基づいて)行った。これらの結果は、マイクロスフェアの直径がマイクロカテーテルの内径未満である限り、微粒子は、基準溶液と同じように、さらなる摩擦力無しでカテーテルを介して通過したことを実証した。微粒子直径が、内腔直径と同じ寸法に到達した場合、約1.0から1.4kgまでの重力の増加が測定された。およそ20%の圧縮では、カテーテル内の摩擦力に打ち勝つために、約1.5〜2.3kgの力が必要だった。中程度ないし高い注入圧のための指針として、5kgより大きい力がかけられた。粒子が注入媒体よりも重い場合、垂直姿勢で注入する場合に、目詰まりが観察された。水平姿勢で微粒子を注入する場合、深刻な目詰まりが軽減され、時間と共に、より大きな体積を注射可能になることが観察された。
【0116】
水平な注入と組み合わせて、より低いpH(膨潤の低下)が使用された場合、注入圧は、さらに最小限にされ、その結果注入圧は、注入媒体自体に匹敵するものになった。さらに、サンプルC微粒子の注入はまた、生理的pHで、優れた注入圧パターンを示した。カテーテル入口は詰まらず、曲線における各ピークは、カテーテルを通過する単一または複数の粒子と一致していた。
【0117】
様々なカテーテルシミュレーション試験の結果は、本発明が、塞栓術使用のための注入媒体の密度に実質的に合致する密度を有する注射可能な微粒子を形成するために使用することができることを示す。粒子の圧縮率は、さらに、シリンジプランジャーに対して約5kg以上の力を加えずに、それが注入されることができるようなものであり得る。カテーテルを介するサンプルBおよびC微粒子の通過の容易さを増大するために、注入媒体のpHを約6に下げることもできるし、注入を水平に行うこともできる。一旦血流に入ると、粒子は、pH7.4の環境で、その本来の大きさに膨張することができる。
【0118】
サンプルCの微粒子に対して、さらなる膨潤試験を行い、イオン濃度が低い場合に膨潤が増大することが観察された。より高い濃度の溶液では、膨潤が低下した。緩衝液中のサンプルCの微粒子の連続希釈によって、微粒子の大きさは17%から20%増大した。等張性のリン酸緩衝液に混合した場合、微粒子は、最初に大きさが83.8から97%増大した。脱イオン水中では、大きさの増加は、乾いた粒子に関して約116.2から約136.6%である。
【0119】
サンプルCの微粒子の圧縮率を評価するさらなる試験では、図8のシリンジ圧力試験スタンドが使用されたが、微粒子は、サンプルCの微粒子のリン酸緩衝液懸濁液を含有するシリンジに連結されるポリエチレン管に付着された次第に狭くなるピペットを通過するので、微粒子を評価するために、光学顕微鏡が使用された。ピペットは、490μmの内径まで狭くなり、ピペットは、光学的ひずみを回避する、また、測定中のピペットから放出される液体を収集するために、最も狭い部分がリン酸緩衝液に浸されるように、ペトリ皿に載置された。圧縮前と圧縮中に、ピペットを通過する微粒子の光学顕微鏡画像を撮影した。微粒子の観察では、これらは、狭い部位を通過した後、いずれも破損を受けず、破片またはコーティング層割れも形成しなかった。狭い部位に対してわざと大き過ぎるように選択した(約40%の圧縮)微粒子は、破壊も破裂もしなかったが、その代わりに狭い部位を詰まらせた。依然として微粒子がカテーテルを通過できるような、強すぎない量の力での微粒子の最大限の圧縮率は、約38.7%であった。これらの評価に基づくと、サンプルCによる微粒子は、大きすぎる粒子が、崩壊するというよりはむしろ、カテーテルを詰まらせ、患者への潜在的損傷を引き起こさせるという特性を示す。提供される試験結果は、下の表2に示す通り、塞栓術使用のためのサンプルC微粒子のための好ましい使用パラメータを示した:
【0120】
【表2】

サンプルC微粒子をさらに、力学的および熱ストレス安定性試験にかけた。Terumo Progreat Trackerカテーテルを通過させた後、微粒子を脱イオン水で洗浄し、造影剤を用いて、残留する緩衝液を取り除いた。これを、60℃で12時間脱水し、次いで、表面分析のためのSEMに移した。これを、ミリQ超純水中で同じ水和/脱水サイクルを受けたがカテーテルを通過させなかった微粒子の元々のバッチの粒子と比較した。図9Aおよび9Bは、水和/脱水サイクルの直後のサンプルC微粒子の表面と、典型的なサンプルC微粒子の膜厚を、それぞれ示す。カテーテルを通過した後の様々な倍率のSEM(図10A、10B、10C、および10D)は、コーティングが、層割れしなかったことを示す(図10A)。ある種の微粒子は、コーティングフィルム内で、確かに若干広がることが示された(図10Bおよび10C)。しかし、図10Dにあるような、より接近した倍率では、コーティング層の形態が依然として損なわれていないことが実証される。
【0121】
滅菌器に、2lの脱イオン水と、等張性リン酸緩衝液/界面活性剤(Tween(登録商標)20)の3.3gの溶液中にそれぞれ56mgのサンプルC微粒子を含む10本のバイアルを入れ、スイッチを入れた。滅菌器の開始後、約15分後で、水の沸点に到達し、水蒸気によって空気を取り除くために、温度をその時点で3分間保持した。次いで、圧力および温度を125℃および1.2バールの圧力に増大させるために、容器を密閉して閉じた。これは、およそ10分を要した。次いで、温度を15分間維持し、その後、冷却段階のために容器の運転を停止した。約30分後に60℃の温度に到達し、その後、容器を排気し、サンプルを取り出し、容器をしっかりと閉めた。サンプルバイアルを開け、上清をデカンテーションした。微粒子を脱イオン水で洗浄した。脱水後、これらを、SEMを使用する測定にかけた。これらの結果は、該熱ストレス下で、微粒子上の層割れしたコーティングが、少数に過ぎなかったことを示した(図11A、強い白色のコントラスト部分を参照)。該微粒子の全体の割合は、わずか約5〜10%であった。拡大すると、生じた薄層層割れは、PTFEPコーティングの結晶性−非結晶性領域の境界線に沿って生じたと考えられる(図11B参照)。大部分の微粒子は、微粒子の外側のシェルに対する損傷でなく、(ちょっとした円形部分が欠けるなどの)軽微な欠損を示すだけであった。(図11Cおよび11Dを参照)。
【0122】
(実施例15)
本明細書における好ましい実施形態に従って、微粒子を形成した。約87〜89%加水分解されている、重量平均分子量が約85,000〜124,000である約23gのPVAと、1000gの水を使用して、ポリビニルアルコール(PVA)の脱イオン水溶液を調製した。900gの脱イオン水、4.53gのリン酸水素二ナトリウム、0.26gのリン酸二水素ナトリウム、および0.056gのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用して、リン酸緩衝液を調製した。メタクリル酸メチル(MMA)モノマーは、使用前に真空蒸留した。
【0123】
重合は、KPG機械的攪拌装置を備え付けた、3首の丸底2000mlフラスコ中で実施した。フラスコはまた、窒素導入口と共に、温度計、還流冷却器、および圧力放出弁を備えていた。重合プロセスはさらに、先に調製された100mlのPVA溶液、900mlのリン酸緩衝液、0.65gの過酸化ジラウロイル、200.2gのメタクリル酸メチルエステル、および2.86gのトリエチレングリコールジメタクリレートを利用した。
【0124】
PVAおよび緩衝液を、反応フラスコに提供した。蒸留されたMMAおよびトリエチレングリコールジメタクリレートを導入し、次いで、同じフラスコに過酸化ジラウロイルを加え、これらの成分を攪拌して、固体を確実に溶解させた。この反応フラスコを、アルゴンで洗浄し、撹拌速度を150rpmにセットして、大多数の粒径を300〜355μmの範囲とした。撹拌を、およそ5分間継続した。次いで、撹拌器を、100rpmにセットし、アルゴン洗浄を中断した。次いで、反応フラスコを水浴にかけ、70℃に加熱し、ほぼその温度で約2時間保持した。次いで、浴の温度を73℃に上昇させ、1時間保持し、続いて、水浴温度を、再び85℃に上昇させ、さらに1時間保持した。撹拌および加熱を中断した。溶液を濾過し、得られたポリメチルアクリレート微粒子を、約12時間、70℃のオーブンで乾燥させた。微粒子を篩い分けにかけ、100〜150;150〜200;200〜250;250〜300;300〜355;355〜400;および400〜450μmのサイズ分画で収集した。最大収量は、300〜355μmであった。
【0125】
このようにして形成されたPMMA微粒子を、次いで加水分解した。250〜300μmの大きさの微粒子100g、水酸化カリウム150g、および1400gのエチレングリコールの一部分を、2000mlのフラスコに加え、乾燥管を備えた還流冷却器を連結し、この混合物を、完全な加水分解のために、165℃で8時間加熱した。混合物を室温に冷却させ、溶液をデカンテーションし、微粒子を脱イオン水で洗浄した。この手順を、他の調整された大きさの微粒子について繰り返した(以下の反応時間を適用した:300〜355ミクロンの粒子:10時間;355〜400ミクロンの粒子:12時間および400〜455ミクロン粒子:14時間)。すなわち、特定の大きさの粒子を、これらが調製される条件に応じて、選択する、基準化する、または調整することができる。
【0126】
最後に、微粒子を、塩酸を用いて7.4のpHに酸性化し、およそ70℃のオーブンで乾燥させた。
【0127】
(実施例16)
次いで、実施例15に従って形成された微粒子を、この実施例でエステル化させた。エステル化表面処理のために、実施例15の800gの乾燥させた微粒子を、還流冷却器を備えた2Lの反応器中に秤量した。250gの塩化チオニルの1.5Lジエチルエーテル溶液を、撹拌しながら加えた。室温で20時間撹拌し続けた。溶媒および揮発性の反応物を、濾過およびその後の真空乾燥によって取り除いた。次いで、500gトリフルオロエタノールの1.5Lエーテル溶液を導入し、懸濁液を、室温でさらに20時間撹拌した。最後に、粒子を真空中で乾燥させた。
【0128】
(実施例17)
実施例16に対する代替の表面処理では、実施例15の乾燥させた微粒子800gを、トリフルオロエタノール1140gと反応させ、硫酸44gを触媒として加えた。この混合物を、室温で20時間撹拌し、真空中で濾過および乾燥させた。
【0129】
(実施例18)
実施例15〜16で先に記載のようにトリフルオロエタノールで部分的にエステル化された、800gの乾いたPMMAカリウム塩微粒子を、MP−1 Precision Coater(登録商標)流動床コーティング装置(Aeromatic−Fielder AG、Bubendor、Switzerlandから入手できる)内で、PTFEPでスプレー被覆した。この粒子を、空気流(40〜60m/時、流入温度55℃)によってピックアップし、空気−流体共軸ノズルからのPTFEP溶液の微小滴でスプレー被覆した。この溶液組成は、PTFEP 0.835g、酢酸エチル550g、および酢酸イソペンチル450gであった。これを、ノズルの幅1.3mmの内孔を介して、10〜30g/分の速度で供給した。これは、ノズルヘッドで、加圧空気(2.5バール)を用いて霧化された。150nm厚のPTFEP被膜で粒子を被覆するために、スプレー溶液(3kg)の総量が算出された。
【0130】
(実施例19)
先に記載のようにトリフルオロエタノールで部分的にエステル化された、実施例15〜16の乾いたカリウム塩微粒子を、市販品として入手できる流動床コーティング装置内で、希釈されたPTFEP溶液(酢酸エチル中)でスプレー被覆した(実施例16参照)。トリフルオロエタノールで部分的にエステル化された、100mgの該被覆された乾燥させた微粒子、ならびに、100mgの被覆されていない乾燥させたPMAカリウム塩微粒子を、脱イオン水100mlに塩化セシウム30.0gを溶解することによって調製された約30%の塩化セシウム水溶液に浸した。10分の平衡時間の後、上清をデカンテーションし、微粒子を脱イオン水で十分に洗浄し、さらに10分間平衡化し、デカンテーションし、界面活性剤を含まない7.4のpHのリン酸緩衝液3mlに懸濁させた。造影剤溶液中の密度を適合させるために、溶液中の粒子の密度を測定した。各タイプの微粒子に、3.5mlのImeron(登録商標)300造影剤(密度1.335g/ml)および4mlリン酸緩衝生理食塩水(密度1.009g/ml)の比を含む造影剤溶液を加えた。どちらのヒドロゲルタイプも、溶液中の45〜50%の造影剤レベルで浮揚に到達した。これは、1.16g/mlの微粒子の密度の増大に相当する。
【0131】
(実施例20)
粒子の中和の後、微粒子上に外側の硫酸バリウムコーティングを調製したことと、硫酸バリウムコーティングステップの前に、中和後に微粒子を乾燥させなかったこと以外は実施例15の手順に従って、微粒子を形成した。硫酸バリウムコーティングを調製するために、水和された粒子2500mlを、2000mlの0.5M硫酸ナトリウム(NaSO)溶液にさらし、4〜12時間染み込ませた。次いで、この粒子懸濁液に、撹拌しながら室温で、1950mlの0.5M塩化バリウム(BaCl)溶液をゆっくりと加えた。過剰な脱イオン水での洗浄後、膨れた状態で得られた粒子は、硫酸バリウム粉末で被覆された表面を含んでいた。次いで、この粒子を乾燥させ、実施例16における上記の方式でエステル化した。次いで、粒子を、下記の実施例21の流動床法を使用して被覆した。得られた微粒子を、非接着性の硫酸バリウム粉末で、外側を被覆した。本発明および手順に従って調製される硫酸バリウムコーティングは、乾燥中の粒子凝集を予防し、また、密度を増大させることが可能である。異なる結果を提供するために、硫酸バリウムの濃度および比は、変動可能であり、過度の硫酸ナトリウムの使用により、残留する塩化バリウムを最小限にすることができる。この実施例に従って形成された粒子を、バイアルなどを汚染する可能性がある過剰な硫酸バリウム粉末を最小限にするために、熱湯を用いて効率的に洗浄した。硫酸バリウムは、乾燥前の粒子の接着を予防して、水和する微粒子の流動を助けるために、効率的に機能する。
【0132】
(実施例21)
硫酸バリウム粉末ビーズの流動床コーティングを、実施例20に従って形成された硫酸バリウムの表面層を有するポリメタクリレートビーズを使用して実施したが、バリウムイオンがコア内部で拡散し、ヒドロゲルコアの内部に沈殿を形成するように、過度の塩化バリウムを使用した。
【0133】
粒子の調製においては、添加の順序が逆転した以外は、硫酸バリウムで被覆された粒子のための、実施例20に記述したのと同じ手順を繰り返した。したがって、水和された微粒子2500mlを、脱イオン水2500mlにゆっくりと懸濁させ、5mol%(200ml)の0.5M(BaCl)を、撹拌しながらゆっくりと加えた。不可逆的なアクリル酸バリウム形成が起こるのを予防するために、添加は、3分以内の間に行った。次いで、懸濁液を、室温で撹拌しながら、二倍量(400ml)の0.5M硫酸ナトリウム(NaSO)溶液で直ちに急冷した。その後、粒子を、それぞれ、2Lの脱イオン水で3回洗浄した。この手順によって、硫酸バリウムは粒子内部に沈殿した。
【0134】
得られた沈殿は、ヒドロゲルコアの孔内に沈殿し、水での複数回の洗浄によって取り除かれる可能性はなかった。このように形成された粒子は、改変されていない粒子とは対照的に、永続的に密度が増大することが判明した。密度増加は、使用される塩化バリウムのモル量によって制御可能であった。この手順を用いて、0〜15mol%の範囲の量の塩化バリウムを再生可能な方式で使用した。添加の時間が5分を超える場合、粒子内の塩化バリウムの拡散速度に応じて、ヒドロゲルコアの外側の孔が不可逆的に架橋され、それによって、内部の硫酸バリウム沈殿物が浸出するのが予防されることが、この手順の評価中に観察された。硫酸バリウムの「拡散面」を、粒子内部の白色のバンドとして明確に見ることができたのに対し、表面は透明なままであったという具合に、この効果は、光学顕微鏡検査によって視認できた。
【0135】
実施例20と21はどちらも、乾燥プロセス中に塊にならない傾向があり、それによって表面損傷が回避される、抗接着特性を有する粒子を提供した。通常、粒子を完全に乾燥させずに流動化させることができるので、該利点は、流動床手順に必要とされる粒子の量を最小限にするのを助ける。残留する水分含有量は、凝集のない乾燥重量ベースで1:1まで増大させることができる。これらの実施例はまた、密度特性が増大された粒子を生じる。ここで、密度変化は、永続的であると考えられる。
【0136】
一般に、本明細書に示される手順を適用する場合、好ましい弾力性、密度、および機械的安定特性を有する粒子を提供するために、0から約100mol%、好ましくは0から約15mol%の範囲で、本発明による硫酸バリウムを導入することができることも、この開示によって理解されるべきである。
【0137】
コア内部に硫酸バリウムが負荷された、この実施例に従って形成された粒子を、次いで、実施例16に従ってエステル化し、真空乾燥させた。300gの乾いたビーズを水300gに懸濁させると、水は、1分未満でポリメタクリレートコアによって完全に吸収され、硫酸バリウムの粉末状粒子の表面は、乾いているように見えたが、これらの粒子は、塊になる傾向を示さなかった。
【0138】
内部に50重量パーセント(重量%)の水を含む粒子(ここでは600g)を、さらなるアミノシラン接着促進剤が使用されること以外は実施例18に従って、MP−1 Precision Coater(登録商標)流動床コーティング装置内でAPTMS/PTFEPでスプレー被覆した。使用されるプロセス機器は、実施例18のものと同様であったが、提供されるコーティングは、異なる3層を含んでいた。最下部の3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)接着促進剤のコーティング、その上にはAPTMSとPTFEPの混合物の第2のコーティング層、そして、3番目の一番上のPTFEPのコーティング層が提供された。3つのスプレー溶液はすべて、コーティング材料を、酢酸イソペンチルおよび酢酸エチルの1:1重量百分率比の混合物に溶解することによって調製された。第1の溶液は、酢酸エステル混合物200gに溶解された35μlのAPTMSを含んでいた。第2溶液は、酢酸エステル混合物150mg中にAPTMS25μlおよびPTFEP125mgを含んでおり、第3のものは、60gの酢酸エステル混合物中に、PTFEP50mgを含んでいた。スプレー溶液の量および濃度は、350μm粒子で300gのバッチを被覆することを基準にしている。吸収された水は、5〜10グラム/分の速度で蒸発した。30分後にこのプロセスを停止させると、コーティング厚は100nmに到達し、残留する水分含有量は18.4重量%であった。
【0139】
(実施例22)
実施例15に従って形成される微粒子に対して、有機染料の吸収を試験した。1mlの水和されたビーズを含有する2mlのリン酸緩衝生理食塩溶液に、10ミリモルのエタノール溶液として5〜10μlの量の各染料を提供した。サンプルを、バイアルの穏やかな振盪下で、室温で30〜60分間保温した。上清を捨て、光学および蛍光顕微鏡観察での視覚化の前に、粒子を、2mlの脱イオン水、生理食塩水、またはPBS緩衝液のいずれかで3回洗浄した。試験された染料には、フルオエセイン二酢酸およびローダミン6Gなどのトリフェニルメタンから誘導される染料が含まれており、これらは、DiIなどのカルボシアニン系の染料と共に評価された。トリフェニルメタン系のフルオレセインおよびローアミン染料は、イオン相互作用を介して、親水性のPMMAヒドロゲルコアに対する特異的な親和性を示した。これは、実質的に浸出せずに、繰り返される洗浄および蒸気滅菌法の厳しい条件に容易に耐えることが可能であった。カルボシアニン色素DiIは一方、親水性のPMAAコア材料に浸透せずに、疎水性PTFEPシェルに対する高い選択性を示した。したがって、DiIとフルオレセイン二酢酸の組み合わせを利用する、その後の染色を用いて、コアとシェルの両方を、蛍光光学顕微鏡を利用して、同時に視覚化することができた。結果として、この手順は、実際の用途で遭遇する条件下で、コアおよびシェルを同時に可視化する、PMAA粒子のための敏速で感受性の高い蛍光染色アッセイを提供する。この手順はさらに、PTFEPシェルに対する力学的な弾性ストレスまたは損傷の評価を可能にする。これはさらに、あるクラスの染料の、粒子の様々な成分に対する親和性を示す。
【0140】
該染料および他の染料の使用は、選択される臨床または診断用途で使用するためのマイクロスフェアの特定の大きさを示すための識別のために提供および染色することができる、選択されるマイクロスフェアを視覚的に確認するために使用することができる。色分けはまた、他の特性、例えばある種の治療または診断薬の内容に基づいて、選択されるマイクロスフェアを確認するために使用することができる。本発明による用途はまた、粒子の浮揚挙動を増強することによって、画像視覚化を向上させる。
【0141】
図12Aは、本発明の典型的なマイクロスフェアA、B、およびCを示す。ここでは、マイクロスフェアは、各々異なる直径であり、それぞれ異なる色分けをされている。本発明の該マイクロスフェアの典型的な使用では、類似の大きさの色分けされたマイクロスフェアを、別々に包装し、使用のために提供することができる。該色分けされたマイクロスフェアは、使用者に、特定の臨床または診断使用において、特定のマイクロスフェアの視覚的指標を提供することができる。
【0142】
本発明による様々な実施形態では、マイクロスフェアは、直径約1から約10,000ナノメートルの範囲である調整された大きさで生成することができる。本発明の一実施形態では、本発明のマイクロスフェアは、各大きさのマイクロスフェアに視覚的に特徴的な色を与えて、直径約40、約100、約250、約400、約500、約700、および約900ナノメートルの大きさで提供することができる。色染料の無い、他の大きさ、大きさの範囲、および調整された大きさのマイクロスフェアも、本発明に含まれる。マイクロスフェアまたは粒子が、異なる大きさの範囲で提供されるだけでなく、潜在的に異なる範囲の圧縮率に起因して、その弾力性も、本発明に従って制御して、選択される血管内への放出時に、粒子またはマイクロスフェアの進行距離を変更することができる、特に基部または端部の塞栓挙動を提供することができる。本発明のマイクロスフェアはまた、特定の臨床的、診断的、または治療的用途のために使用者によって指定される通りの、カスタマイズされた大きさで、かつ/またはカスタマイズされた色で提供することができる。
【0143】
(実施例23)
経動脈化学塞栓術すなわちTACEは、腫瘍への血液供給が塞栓術によって崩壊され、化学療法が腫瘍に直接的に施される、臨床手法である。化学療法の直接的投与を行わない腫瘍血管の選択的な塞栓術(穏やかな塞栓術)は、ある種の状況における臨床手法として予め形成される。
【0144】
発達した循環系を備えた大抵の生物では、血管系は、心臓に近い、より大きな直径の管から、心臓から遠い、より小さな管まで、先細りになる傾向がある。したがって、より大きな動脈は、より小さな動脈に分割する傾向があり、これは、最終的には小動脈レベルまで先細りになり、直径の小さな細静脈と連結する。静脈流は、該細静脈から、連続的に、より大きな直径の静脈を介して、心臓へと流れが戻るように進行する。
【0145】
したがって、腫瘤または他の標的組織内に、異なる大きさの血管が存在する可能性があることは、一般的である。腫瘍または他の標的組織に対する塞栓術および血液供給の最大の破壊が所望される臨床的状況では、徐々により大きな腫瘍血管の連続的塞栓術を行うことは、化学療法薬または他の治療剤の送達の有無にかかわらず、より完全な塞栓術を提供し得る、
図12Bは、異なる大きさのマイクロスフェア121、122、および123の連続的投与による、典型的な動脈120の選択的な塞栓術の概念的表示である。典型的な動脈120内の血流の方向は、図12B中の矢印によって示される。この実施例では、マイクロスフェア121は、投与される最も小さな直径のマイクロスフェアであり、最初に動脈120に注入され、マイクロスフェア121が通過できないであろう最小の管直径の管内腔を塞ぐ。続いてこの実施例では、マイクロスフェア122は、投与される中間の直径マイクロスフェアであり、最初に動脈120に注入され、マイクロスフェア122が通過できないであろう最小の管直径の管内腔を塞ぐ。最後に、この実施例では、マイクロスフェア123は、投与される最も大きな直径のマイクロスフェアであり、最初に動脈120に注入され、マイクロスフェア123が通過できないであろう最小の管直径の管内腔を塞ぐ。この実施例の結果は、腫瘍または標的組織の血液供給を通した、複数の段階の血流の連続的な遮断である
本発明の他の実施例では、3種未満または3種を超える異なる大きさのマイクロスフェアを、腫瘍または他の標的組織の所望の塞栓術をもたらすために投与することができる。
【0146】
本発明の先の実施例で提供された通り、臨床的手法の任意の所与の段階で使用する際に、使用者が、ある大きさのマイクロスフェアの識別および視覚による確認をできるようにするために、色分けされた本発明の異なる大きさのマイクロスフェアを、さらに提供することができる。
【0147】
異なる大きさまたは他の固有の特性のマイクロスフェアの送達は、本発明による典型的な用途において臨床手法の任意の所与の段階で使用する際に、使用者が、ある大きさのマイクロスフェアの識別および視覚による確認をできるようにするために色分けされた輸送包装および/または送達装置を用いてさらに容易にすることができる。本発明の様々な典型的な用途では、該色分けされた装置は、マイクロスフェア自体の色分けと組み合わせて使用することができ、対応するマイクロスフェアと梱包/送達装置が、色分けされる。
【0148】
図12Cは、本発明による選択された大きさの色分けされたマイクロスフェアの梱包および/または送達のために使用されるシリンジを示す。図12Cに示される例では、シリンジ124は、バレル125、プランジャー126、プランジャーチップ127、Luhr型注入端128、およびLuhr先端カバー129を含む。
【0149】
図12Cに示す通り、1つまたは複数の構成部品であるバレル125、プランジャー126、プランジャーチップ127、Luhr型注入端128、およびLuhr先端カバー129は、その中に含有されるマイクロスフェアの所望の特性を示すための色コードに従って、共通の色で着色することができる。本発明の一実施例では、シリンジは、特定のマイクロスフェア大きさを示すために、色分けされたマイクロスフェアを含むことができ、およびシリンジプランジャー、プランジャーチップ、およびLuhr先端カバーは、含有されたマイクロスフェアの所望の特性を使用者にさらに示すために、同様に着色することができる。
【0150】
上記の実施形態に対して、その広範な発明の概念から逸脱することなく、変更を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、この発明は、開示する特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲内の改変を包含することが意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、コーティング、および1種または複数の染料をそれぞれ含むポリマー粒子であって、ここで:
a.該コーティングは、ポリホスファゼンを含み;かつ
b.該ポリマー粒子は、既知の、実質的に均一な大きさに統一され;
ここで、該ポリホスファゼンは、次式を有し:
【化2】

nは、2から∞であり;かつ
からRは、アルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、チオアルキル、チオアリール、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオレート、アリールチオレート、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ;窒素、酸素、硫黄、リンまたはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル、あるいは窒素、酸素、硫黄、リンまたはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数ヘテロ原子を含むヘテロアリールからそれぞれ独立に選択される、ポリマー粒子。
【請求項2】
からRが、OCH、OCHCH、OCHCHCH、OCF、OCHCF、OCHCHCF、OCHCFCF、OCH(CF、OCCH(CF、OCHCFCFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCHCFCHF、OCHCFCFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCHCH=CH、OCHCHCH=CH、またはそれらの任意の組み合わせから独立に選択される、請求項1のポリマー粒子。
【請求項3】
前記ポリホスファゼンが、ポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)]ホスファゼンまたはポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)]ホスファゼンの誘導体である、請求項1のポリマー粒子。
【請求項4】
前記コアが1種または複数の染料を含有し、かつ/または前記コーティングが1種または複数の染料を含有し;かつ該1種または複数の染料が、各ポリマー粒子に、その既知の大きさに従って特徴的な色を与えるように選択される、請求項1のポリマー粒子。
【請求項5】
前記コアがヒドロゲルを含む、請求項1のポリマー粒子。
【請求項6】
前記コアが、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキサメチル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(トリメチロールプロパントリアクリレート)、それらのコポリマー、またはそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む、請求項6のポリマー粒子。
【請求項7】
前記統一された実質的に均一な大きさが、直径約1から約10,000ナノメートルの範囲の大きさに調整される、請求項1のポリマー粒子。
【請求項8】
前記統一された実質的に均一な大きさが、直径約40から約1,000ナノメートルの範囲の大きさに調整される、請求項1のポリマー粒子。
【請求項9】
前記ポリマー粒子が、生体吸収性または非生体吸収性である、請求項1のポリマー粒子。
【請求項10】
前記ポリマー粒子が、球体またはマイクロスフェアとして提供される、請求項1のポリマー粒子。
【請求項11】
前記コアが、1種または複数の活性剤をさらに含む、請求項1のポリマー粒子。
【請求項12】
前記活性剤が、ポリマー粒子が配置される哺乳類の組織において所望の効果をもたらすために、造影剤、ステロイド、ホルモン、核酸、抗生物質、防腐剤、鎮痛剤、抗腫瘍薬、麻酔薬、または生物学的薬剤を含む、請求項11のポリマー粒子。
【請求項13】
哺乳類において標的組織を治療する方法であって、
a.治療される哺乳類において標的組織を特定すること;
b.該標的組織と連続した解剖学的構造にカニューレを配置すること;
c.該標的組織に該カニューレを通して十分な量のポリマー粒子を注入し、所望の効果を達成すること;および
d.該解剖学的構造から該カニューレを取り除くこと;
を含み、ここで:
該ポリマー粒子は、コア、コーティング、1種または複数の染料、および任意選択で活性剤をそれぞれ含み;
該コーティングは、ポリホスファゼンを含み、該ポリマー粒子は、既知の、実質的に均一な大きさに統一され;かつ
該ポリホスファゼンは、次式を有し:
【化3】

nは、2から∞であり;かつ
からRは、アルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、チオアルキル、チオアリール、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ハロアリールオキシ、アルキルチオレート、アリールチオレート、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ;窒素、酸素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル、または窒素、酸素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含むヘテロアリールからそれぞれ独立に選択される、方法。
【請求項14】
からRが、OCH、OCHCH、OCHCHCH、OCF、OCHCF、OCHCHCF、OCHCFCF、OCH(CF、OCCH(CF、OCHCFCFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCH(CFCF、OCHCFCHF、OCHCFCFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCH(CFCHF、OCHCH=CH、OCHCHCH=CHまたはそれらの任意の組み合わせから独立に選択される、請求項13の方法。
【請求項15】
前記ポリホスファゼンが、ポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)]ホスファゼンまたはポリ[ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)]ホスファゼンの誘導体である、請求項13の方法。
【請求項16】
前記ポリマー粒子の使用者が、使用中にポリマー粒子の大きさを確実に識別できるようにするために、前記1種または複数の染料が、各ポリマー粒子に、その既知の大きさに従って特徴的な色を与える、請求項13の方法。
【請求項17】
前記標的組織と連続した解剖学的構造が、血管である、請求項13の方法、
【請求項18】
前記ポリマー粒子の注入が、画像化技術を使用して達成され、該ポリマー粒子が、画像化技術に適した造影剤を含む活性剤をそれぞれ含む、請求項13の方法。
【請求項19】
前記画像化技術が、蛍光透視、核磁気画像法、コンピュータ断層撮影法、または超音波である、請求項18の方法。
【請求項20】
前記ポリマー粒子が、容器で使用するために提供され、その一部またはラベルが、該容器内に収容されたポリマー粒子の色と一致するように色分けされ、それによって、該粒子の使用者が、使用中に粒子の大きさを確実に識別することが可能になる、請求項13の方法。
【請求項21】
前記ポリマー粒子が、シリンジで使用するために提供され、該シリンジは、その中に収容されるポリマー粒子の色と一致するように、少なくとも部分的に色分けされており、それによって、該粒子の使用者が、使用中に粒子の大きさを確実に識別することが可能になる、請求項13の方法。
【請求項22】
哺乳類における腫瘍の選択的な塞栓形成の方法であって、
a.治療される哺乳類における腫瘍を特定すること;
b.該腫瘍に直接的につながる輸出性の血流を伴う血管にカニューレを配置するること;
c.該カニューレを介して注入される造影剤を視覚化するために画像化技術を使用して該カニューレの配置を確認すること;
d.該腫瘍に該カニューレを通して十分な量のポリマー粒子を注入し、その中で所望の脈管遮断をもたらすこと;
e.該カニューレを通して注入される造影剤を視覚化するための画像化技術を使用して、該腫瘍の所望の脈管遮断を確認すること;および
f.該血管から該カニューレを取り除くこと;
を含む方法であって、ここで:
該ポリマー粒子は、コア、コーティング、および1種または複数の染料をそれぞれ含み;
該コーティングは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含み、該ポリマー粒子は、既知の、実質的に均一な大きさに統一される、方法。
【請求項23】
ステップbからfを1回または複数回繰り返すことをさらに含み、ここで、前記ポリマー粒子のそれぞれの連続的注入が、腫瘍内での所望の脈管遮断効果をもたらすために、様々に色分けされた次第に大きくなる粒子を使用する、請求項22の方法。
【請求項24】
前記粒子が、腫瘍内に配置すると該腫瘍中で所望の効果をもたらすために、造影剤、ステロイド、ホルモン、核酸、抗生物質、防腐剤、鎮痛剤、抗腫瘍薬、麻酔薬、または生物学的薬剤から選択される1種または複数の活性剤をさらに含むことができる、請求項22の方法。
【請求項25】
コア、コーティング、および1つまたは複数の染料をそれぞれ含むポリマー粒子(ここで:
a.該コーティングは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]および/またはその誘導体を含み、かつ実質的に該コアを囲み;
b.該コアは、アクリレートポリマーヒドロゲルを含み;
c.該ポリマー粒子は、既知の、実質的に均一な大きさに統一され;
ここで、該1種または複数の染料は、各ポリマー粒子に、その既知の大きさに従って、特徴的な色を与えるように選択される、ポリマー粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公表番号】特表2010−534266(P2010−534266A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518163(P2010−518163)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082659
【国際公開番号】WO2009/014549
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(507202714)セロノバ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】