説明

治療における使用のための四価CD47抗体定常領域融合タンパク質

本発明は、特に自己免疫性および炎症性疾患、例えば、アレルギー性喘息および炎症性腸疾患の予防または処置のための、医薬としての使用のための可溶性SIRPα結合タンパク質に関する。本発明は、さらに具体的には、2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性SIRPα結合タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に、
(i)抗体の重鎖定常領域のN−末端部分で融合した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および、
(ii)抗体のC軽鎖定常領域のN−末端部分で融合した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性SIRPα結合タンパク質に関する。本発明は、さらに、図1に示されている可溶性SIRPα結合抗体様タンパク質に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自己免疫性および炎症性疾患、例えば、アレルギー性喘息および炎症性腸疾患の予防または処置のための、医薬として使用するための可溶性SIRPα結合タンパク質に関する。本発明は、さらに具体的には、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体の重鎖定常領域のN−末端部分に融合した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の軽鎖定常領域のN−末端部分に融合した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一価の一本鎖ポリペプチドからなる少なくとも2つの二価ヘテロダイマーの複合体を含む可溶性SIRPα結合タンパク質に関する。本発明の1つの特定の態様は、図1によりさらに説明される。
【背景技術】
【0002】
SIRPα(CD172a)は、マクロファージ、顆粒球および慣用の樹状細胞(DC)を含む骨髄細胞系列細胞により、ならびに神経細胞上に発現される免疫受容体である(van den Bergら 2008, Trends in Immunol., 29(5):203-6)。SIRPαは、CD47に対する低いアフィニティーリガンドであり(Rebresら 2001, J.Biol.Chem.; 276(37):34607-16; Hatherleyら 2007; J.Biol.Chem.; 282(19):14567-75; Hatherleyら 2008; Mol. Cell; 31(2) 266-77)、SIRPαのCD47との相互作用は、免疫および神経系における多数の細胞機能を調節する接着および双方向シグナル伝達制御に基づく細胞情報伝達系を構成する。これらの機能は、骨髄樹状細胞の移動、細胞成熟、マクロファージ食作用およびサイトカイン生産を含む(van den Bergら 2008 Trends in Immunol. 29(5):203-6; Sarfati 2009, Curr. Drug. Targets, 9(10):852-50)。
【0003】
動物モデルからのデータは、SIRPα/CD47相互作用が、いくつかの障害、例えば、自己免疫性、炎症性(Okuzawaら 2008, BBRC; 371(3):561-6; Tomizawaら 2007, J Immunol; 179(2):869-877);虚血性(Isenbergら 2008, Arter.Thromb Vasc. Biol., 28(4):615-21; Isenberg 2008, Am. J. Pathol., 173(4):1100-12)または腫瘍関連(Chanら 2009, PNAS, 106(33): 14016-14021; Majetiら 2009, Cell, 138(2):286-99)疾患の病因に寄与するか、またはさらにコントロールし得ることを示唆する。したがって、SIRPα/CD47経路の調節は、多数の疾患に対する有望な治療選択肢であり得る。
【0004】
CD47、SIRPαまたはCD47由来SIRPα結合ポリペプチドに対する抗体の使用は、治療アプローチとして示唆されている(WO1998/40940、WO2004/108923、WO2007/133811、WO2009/046541)。さらに、SIRPα結合CD47由来融合タンパク質は、疾患、例えば、TNBS大腸炎(Fortinら 2009, J Exp Med., 206(9):1995-2011)、ランゲルハンス細胞移動(J Immunol. 2004, 172: 4091-4099)および関節炎(VLST Inc, 2008, Exp. Opin.Therap. Pat., 18(5): 555-561)の動物モデルにおいて有効であった。
【0005】
加えて、SIRPα/CD47は、食作用のコントロールに関与することが示唆され(van den Bergら 2008, Trends in Immunol., 29(5):203-6)、SIRPα結合ポリペプチドによる介入は、NODマウス系統においてヒト幹細胞生着を増強させると公言されており(WO2009/046541)、ヒト幹細胞移植における使用のための治療を含むCD47細胞外ドメイン(ECD)の潜在的な利益を示唆する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロダイマーを含む可溶性結合タンパク質であって、それぞれの鎖は抗体定常領域配列に融合した結合部分を含む可溶性結合タンパク質を提供する。該可溶性タンパク質は、治療薬として使用のためのものである。
【0007】
本発明は、さらに、治療薬としての使用のための改善された可溶性SIRPα結合タンパク質を提供する。本発明において定義されるSIRPα結合抗体様タンパク質は、先行技術のCD47タンパク質融合物と比較して、標的化SIRPα発現細胞に対する親和性を増加させるが、優れた発展性(developability properties)を維持している手段を提供し得る。さらに、理論に縛られることなく、より高い親和性は、より長い薬力学的半減期をもたらすと予期され、したがって増強した治療効果を提供する。これらの新規の知見は、SIRPα発現細胞を標的とするための新規治療ツールを提供し、特に多発性自己免疫性および炎症性疾患、癌または幹細胞移植のための、治療学的展望を示す。
【0008】
したがって、1つの局面において、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体の重鎖定常領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の軽鎖定常領域に融合した同じ結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質を提供する。
【0009】
別の局面において、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体のC1定常重鎖領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体のC定常軽鎖領域に融合した同じ結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質を提供する。
【0010】
好ましい態様において、それぞれの一本鎖ポリペプチドは一価であり、それぞれのヘテロダイマーは二価であり、それぞれの複合体は少なくとも四価である。本発明のヘテロダイマーおよび可溶性タンパク質は、ポリペプチド鎖あたり1つの価数を有する。先行技術の分子と比較して、本発明の可溶性タンパク質は、増加した価数を有する。それぞれの第1および第2の一本鎖ポリペプチドにおける同じ結合分子の取り込みにより、それぞれのヘテロダイマーの価数は2であり、すなわち、ヘテロダイマー内のそれぞれの鎖は、別々の結合パートナー、または同じ結合パートナーに2倍結合することができる。これは、2つのヘテロダイマーの複合体が2の価数を有する限り、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロダイマーの価数が1である(すなわち、両方の鎖が、結合パートナーに結合するために必要である)先行技術分子(例えば、WO01/46261に記載されているもの)と対比されるべきである。したがって、本発明の2つの二価ヘテロダイマーの複合体は4の価数(四価)を有し、すなわち、該複合体は、最大4つの結合パートナーに、または同じ結合パートナーに最大4倍で結合することができる。本発明のヘテロダイマーは二価であり、ヘテロダイマーの複合体はn×2の価数を有し、ここで、nは複合体内に含まれるヘテロダイマーの数である。好ましい態様において、複合体は2つのヘテロダイマーを含み、4の価数を有する。2つ以上のヘテロダイマーを含む複合体は、4、例えば、6、8または10以上の価数を有する。本発明の可溶性タンパク質の増加した価数は、半減期および有効性における有利な効果であるより高い親和性をもたらす。
【0011】
したがって、1つの局面において、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む、少なくとも四価性を有する(または少なくとも四価である)可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体の定常領域重鎖に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の定常領域軽鎖に融合した同じ哺乳動物結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチドからなる可溶性タンパク質を提供する。
【0012】
別の局面において、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む、少なくとも四価性を有する可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体のC1定常重鎖領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体のC定常軽鎖領域に融合した同じ結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチドからなる可溶性タンパク質を提供する。
【0013】
好ましい局面において、結合分子の領域は、同じである。したがって、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む、少なくとも四価性を有する可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体の定常領域重鎖に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の定常領域軽鎖に融合した同じ哺乳動物結合分子の同じ領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチドからなる可溶性タンパク質を提供する。
【0014】
別の局面において、本発明は、少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む、少なくとも四価性を有する可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体のC1定常重鎖領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体のC定常軽鎖領域に融合した同じ結合分子の同じ領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチドからなる可溶性タンパク質を提供する。
【0015】
好ましい態様において、哺乳動物結合分子の領域は、抗体配列のN−末端部分に(すなわちCH1およびCL定常領域に)融合する。
【0016】
1つの態様において、結合分子は、サイトカイン、成長因子、ホルモン、シグナル伝達タンパク質、低分子量化合物(薬物)、リガンドまたは細胞表面受容体である。好ましくは、結合分子は、哺乳動物モノマー状またはホモポリマー状細胞表面受容体である。結合分子の領域は、生物学的活性を保持している全分子またはそれらの部分もしくはフラグメントであり得る。結合分子の領域は、細胞外領域またはドメインであり得る。1つの態様において、該哺乳動物モノマー状またはホモポリマー状細胞表面受容体は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを含み、例えば、それは、CD47の細胞外ドメインを含む。
【0017】
1つの好ましい態様において、可溶性タンパク質は、抗体様タンパク質(Fusobodyとしても称され、以下に定義されている)であり、ここで、抗体の両方のアームの可変領域はSIRPα結合ドメインにより置換されており、それにより多価可溶性タンパク質を提供する。
【0018】
このようなSIRPα結合Fusobodyの1つの例は、図1に示される。
【0019】
1つの態様において、本発明は、2つの二価ヘテロダイマーの四価複合体を含む単離された可溶性SIRPα結合タンパク質またはSIRPα結合Fusobodiesであって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に:
(i)抗体の定常C1重鎖領域のN−末端部分で融合した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の定常C軽鎖領域のN−末端部分で融合した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一本鎖ポリペプチドからなるものに関する。
【0020】
好ましい態様において、可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyのそれぞれのヘテロダイマーの該第1の一本鎖ポリペプチドは、C1領域に融合した免疫グロブリンのC2およびC3領域をさらに含み、それにより抗体の全長定常重鎖を再構成する。該C1、C2およびC3領域は、サイレントエフェクター機能および/または減少した殺細胞、ADCCもしくはCDCエフェクター機能、例えば、減少したADCCエフェクター機能を有するヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の対応領域の野生型または変異体由来であり得る。
【0021】
1つの態様において、該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、表面プラズモン共鳴、例えば、BiaCOREアッセイにより測定されるとき、10μM以下、例えば、4μM以下、例えば、1μM以下、0.1μM以下のKでヒトSIRPαに結合する。1つの態様において、可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、0.1から10μMの範囲のKでヒトSIRPαに結合する。
【0022】
別の態様において、該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、プレートベースの細胞接着アッセイにおいて測定されるとき、20nM以下、例えば、2nM以下、例えば、200pMから20nMのEC50でSIRPα+白血球、例えば、SIRPα+U937細胞の接着を促進する。
【0023】
別の態様において、該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、インビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン(Cowan)株粒子刺激放出を阻害する。
【0024】
例えば、該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、樹状細胞サイトカイン放出アッセイにおいて測定されるとき、2nM以下、0.2nM以下、例えば、20pMから2nMのIC50でインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害する。
【0025】
別の関連の態様において、それぞれのヘテロダイマーの該第1および第2の一本鎖ポリペプチドは、ジスルフィド架橋により、例えば、対応するCH1およびCL領域のシステイン残基間の天然ジスルフィド架橋を使用して共有結合している。
【0026】
1つの態様において、第1および第2のSIRPα結合ドメインは、ペプチドリンカーを介してCH1およびCL領域のそれぞれに融合し得る。別の態様において、第1および/または第2のSIRPα結合ドメインは、ペプチドリンカーの非存在下でそれぞれのCH1およびCL領域に直接融合する。
【0027】
1つの好ましい態様において、該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、本質的に2つのヘテロダイマーからなり、ここで、それぞれのヘテロダイマーの該第1の一本鎖ポリペプチドは、免疫グロブリン定常部分のヒンジ領域を含み、2つのヘテロダイマーは、ヒンジ領域でのシステイン間のジスルフィド架橋により互いに安定に結合する。
【0028】
1つの態様において、本発明の可溶性タンパク質は:
(i)ヒトCD47の細胞外ドメイン;
(ii)配列番号:4のポリペプチドまたはSIRPα結合特性を保持する配列番号:4のフラグメント;および
(iii)配列番号:4と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有し、SIRPα結合特性を保持する配列番号:4の変異体ポリペプチド
からなる群から選択される少なくとも1つのSIRPα結合ドメインを含む。
【0029】
1つの特定の態様において、全てのSIRPα結合ドメインは、同一のアミノ酸配列を有する。例えば、全てのSIRPα結合ドメインは、配列番号:4または配列番号:3または配列番号:21または配列番号:23または配列番号:27からなる。
【0030】
1つの特定の態様において、本発明の該可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、2つのヘテロダイマーを含み、ここで、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に配列番号:5の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:6の第2の一本鎖ポリペプチドからなる。該第1および第2の一本鎖ポリペプチドは、抗体の重鎖および軽鎖と同様に、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して安定に結合する。関連の態様において、可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、2つのヘテロダイマーを含み、ここで、それぞれのヘテロダイマーの第1および第2の一本鎖ポリペプチドは、それぞれ配列番号:5および配列番号:6の対応する第1および第2の一本鎖ポリペプチドと少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有し、上記SIRPα結合Fusobodyの有利な機能特性を保持する。
【0031】
特に、1つの特定の態様において、このような可溶性タンパク質またはSIRPα結合Fusobodyは、10μM以下、4μM以下または2μM以下、例えば、0.1μMから10μMのKでヒトSIRPαに結合する。
【0032】
1つの特定の態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyの4つのSIRPα結合ドメインは、配列において同一である。例えば、該SIRPα結合Fusobodyは、それぞれ配列番号:5および配列番号:6の第1および第2の一本鎖ポリペプチドである。
【0033】
本発明は、さらに、薬物または診断ツールとして、例えば、自己免疫性ならびに急性および慢性炎症性疾患の処置または診断における使用のための、このような可溶性タンパク質またはFusobodies、特にSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesに関する。特に、SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、Th2介在気道炎症、アレルギー性疾患、喘息、炎症性腸疾患および関節炎からなる群から選択される処置における使用のためのものである。
【0034】
本発明の可溶性タンパク質またはFusobodiesはまた、必要とする対象における、虚血性疾患、白血病または他の癌の処置または診断において、または造血幹生着の増加において使用され得る。
【0035】
定義
本発明をより容易に理解することができるようにするため、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明を通して記載される。
【0036】
SIRPαなる用語は、CD47インテグリン関連タンパク質との接着を示すヒトシグナル調節タンパク質アルファ(CD172aまたはSHPS−1とも称される)を示す。ヒトSIRPαは、配列番号:1を含むが、例えば、一塩基変異多型(SNP)を含む、任意の天然多型、またはヒトSIRPαのスプライス変異体をさらに含むが、これらに限定されない。ヒトにおいて見出されるSIRPαヌクレオチド配列におけるスプライス変異体またはSNPの例は、表1に記載されている。
表1:SIRPαタンパク質の変異体
【表1】

【0037】
CD47なる用語は、細胞表面哺乳動物インテグリン関連タンパク質を示す。ヒトCD47は、配列番号:2を含むが、例えば、一塩基変異多型(SNP)を含む、任意の天然多型、またはヒトCD47のスプライス変異体も含む。ヒトにおいて見出されるCD47ヌクレオチド配列におけるスプライス変異体またはSNPの例は、表2に記載される。
表2:CD47タンパク質の変異体
【表2】

【0038】
本明細書において使用される「タンパク質」なる用語は、1つ以上の直鎖で配列され、球状形態にフォールディングされたアミノ酸からなるあらゆる有機化合物を示す。ポリマー鎖中のアミノ酸は、連続したアミノ酸残基のカルボキシルおよびアミノ基間のペプチド結合により互いに連結される。「タンパク質」なる用語は、限定はしないが、ペプチド、一本鎖ポリペプチドまたは主にアミノ酸の2つ以上の鎖からなる任意の複合体分子をさらに含む。それは、限定はしないが、糖タンパク質または他の既知の翻訳後修飾をさらに含む。それは、天然タンパク質の既知の天然または人工化学修飾、例えば、限定はしないが、糖鎖工学、ペグ化、HES化(hesylation)など、非天然アミノ酸の取り込み、ならびに別の分子との化学的結合のためのアミノ酸修飾をさらに含む。
【0039】
本明細書において使用される「複合タンパク質」は、少なくとも2つの一本鎖ポリペプチドからなるタンパク質を示し、該少なくとも2つの一本鎖ポリペプチドは、非共有結合または、例えば、ジスルフィド架橋による共有結合のいずれかを介して、適当な条件下で共に結合される。「ヘテロダイマータンパク質」は、複合タンパク質を形成する2つの一本鎖ポリペプチドからなるタンパク質を示し、該2つの一本鎖ポリペプチドは異なるアミノ酸配列を有し、特に、それらのアミノ酸配列はお互いに90、80、70、60または50%以上の同一性を共有しない。それとは反対に、「ホモダイマータンパク質」は、複合タンパク質を形成する2つの同一の、または実質的に同一のポリペプチドからなるタンパク質を示し、該2つの一本鎖ポリペプチドは、100%同一性または少なくとも95%または少なくとも99%同一性を共有し、アミノ酸の違いは、ホモダイマーのもう1つと比較してポリペプチドの機能性および物理的特性に影響しないアミノ酸置換、付加または欠失、例えば、保存的なアミノ酸置換からなる。
【0040】
任意の膜貫通ドメインまたはポリペプチドを発現する細胞の膜にポリペプチドを固定するか、もしくは組み込むタンパク質ドメインを欠いているとき、本明細書において使用されるタンパク質は「可溶性」である。特に、本発明の可溶性タンパク質は、同様に、CD47の膜貫通および細胞内ドメインを排除され得る。本明細書において使用される「抗体」なる用語は、ジスルフィド結合により相互連結される少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含むタンパク質を示す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVと省略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は3つのドメイン、C1、C2およびC3からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVと省略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、Cからなる。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域で分散されている相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに細分化することができる。それぞれのVおよびVは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4において配列された3つのCDRおよび4つのFRからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主組織または因子、例えば、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)への免疫グロブリンの結合を介在し得る。
【0041】
「Fusobody」なる用語は、解釈を容易にするため、「抗体」なる用語と同様に本明細書において使用される。本明細書において使用されるとき、「Fusobody」なる用語は、2つのヘテロダイマーを含む抗体様可溶性タンパク質を示し、それぞれのヘテロダイマーは、例えば、1つ以上のジスルフィド結合を介して、互いに安定に結合しているアミノ酸の1つの重鎖および1つの軽鎖からなる。それぞれの重鎖または軽鎖は、それぞれFusobodyの重鎖および軽鎖定常領域と以下で称される抗体の定常領域を含む。重鎖定常領域は、少なくとも抗体のC1領域を含み、ヒンジ領域を含むC2およびC3領域をさらに含み得る。軽鎖定常領域は、抗体のC領域を含む。Fusobodyにおいて、抗体の可変領域は、異種可溶性結合ドメインにより置換される。「異種」なる用語は、これらのドメインが抗体の定常領域と結合して本来見出されないことを意味する。特に、このような異種結合ドメインは、内部の4個のフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3およびFR4ならびに3個の相補性決定領域(CDR)からなる抗体可変ドメインの典型的な構造を有さない。したがって、Fusobodyのそれぞれのアームは、抗体の定常C1重鎖領域のN−末端部分で共有結合された第1の結合ドメインを含む第1の一本鎖ポリペプチド、および抗体の定常C軽鎖領域のN−末端部分で共有結合された第2の結合ドメインを含む第2の一本鎖ポリペプチドを含む。共有結合は、例えば、ペプチド結合を介して直接的であるか、または、リンカーを介して、例えば、ペプチドリンカーを介して間接的であり得る。Fusobodyの2つのヘテロダイマーは、例えば、抗体構造のように、それらのヒンジ領域で少なくとも1つのジスルフィド架橋により共有結合される。図1は、Fusobody分子の例の略図である。Fusobody構造を有する分子の例は、Artに記載されており、特に、ヘテロダイマー受容体のリガンド結合領域を含むFusobodies(例えば、WO01/46261参照)である。
【0042】
好ましい態様において、哺乳動物モノマー状またはホモポリマー状細胞表面受容体の細胞外ドメインまたはリガンド結合活性を保持するこのような細胞外ドメインの変異体もしくは領域は、抗体の重鎖および軽鎖の定常領域に融合される。得られる分子は、治療分子としての使用のための抗体分子の有利な特性を保持する多価タンパク質である。
【0043】
本明細書において使用される「哺乳動物結合分子」なる用語は、標的分子、細胞、複合体および/または組織に結合することができるあらゆる分子またはそれらの部分もしくはフラグメントであり、可溶性タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞表面受容体タンパク質、細胞内タンパク質、炭水化物、核酸、ホルモンまたは低分子量化合物(小分子薬物)、またはそれらのフラグメントからなる群から選択される1つ以上のメンバーに結合する能力を有するタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、低分子量化合物およびそれらのフラグメントを含む。哺乳動物結合分子は、タンパク質、サイトカイン、成長因子、ホルモン、シグナル伝達タンパク質、炎症性メディエーター、リガンド、受容体またはそれらのフラグメントであり得る。好ましい態様において、哺乳動物結合分子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する天然または変異タンパク質;天然ホルモンの天然受容体に結合することができる天然ホルモンまたはその変異体;相補的配列および/または可溶性細胞表面または細胞内核酸/ポリヌクレオチド結合タンパク質に結合することができる核酸またはポリヌクレオチド配列;他の炭水化物結合部分および/または可溶性、細胞表面または細胞内タンパク質に結合することができる炭水化物結合部分;可溶性または細胞表面または細胞内標的タンパク質に結合する低分子量化合物(薬物)である。特に該定義は、以下の分子を含む:
【0044】
−インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、IL−35、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、M−CSF、SCF、TSLP、オンコスタチンM、白血病阻害因子(LIF)、CNTF、カルジオトロフィン−1、NNT−1/BSF−3、成長ホルモン、プロラクチン、エリスロポエチン、トロンボポエチン、レプチン、G−CSF、またはそれらの受容体もしくはリガンドからなる群から選択されるサイトカイン;
【0045】
−IFN−ガンマ、IFN−アルファおよびIFN−ベータからなる群から選択されるサイトカインのインターフェロンファミリーのメンバー;
−B7.1(CD80)およびB7.2(B70)からなる群から選択されるサイトカインの免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー;
−TNF−アルファ、TNF−ベータ、LT−ベータ、CD40リガンド、Fasリガンド、CD27リガンド、CD30リガンドおよび4−1BBLからなる群から選択されるサイトカインのTNFファミリーのメンバー;
【0046】
−TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、BMP−2、BMP−3a、BMP−3b、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8a、BMP−8b、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−15、BMP−16、子宮内膜出血関連因子(EBAF)、増殖分化因子−1(GDF−1)、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−12、GDF−14、ミュラー管抑制物質(MIS)、アクチビン−1、アクチビン−2、アクチビン−3、アクチビン−4およびアクチビン−5からなる群から選択されるTGF−β/BMPファミリーのメンバー;
【0047】
−CD1(a−c、1A、1D、1E)、CD2、CD3(γ、δ、ε)、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8(a)、CD9、CD10、CD11(a、b、c)、CD13、CD14、CD15、CD16(A、B)、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32(A、B)、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42(a、b、c、d)、CD43、CD44、CD45、CD46、CD47、CD48、CD49(a、b、c、d、e、f)、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CD61、CD62(E、L、P)、CD63、CD64(A、B、C)、CD66(a、b、c、d、e、f)、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD78、CD79(a、b)、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85(a、d、e、h、j、k)、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107(a、b)、CD108、CD109、CD110、CD111、CD112、CD113、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120(a、b)、CD121(a、b)、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CD129、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD136、CD137、CD138、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156(a、b、c)、CD157、CD158(a、d、e、i、k)、CD159(a、c)、CD160、CD161、CD162、CD163、CD164、CD166、CD167(a、b)、CD168、CD169、CD170、CD171、CD172(a、b、g)、CD174、CD177、CD178、CD179(a、b)、CD181、CD182、CD183、CD184、CD185、CD186、CD191、CD192、CD193、CD194、CD195、CD196、CD197、CDw198、CDw199、CD200、CD201、CD202b、CD204、CD205、CD206、CD207、CD208、CD209、CDw210(a、b)、CD212、CD213a(1、2)、CD217、CD218(a、b)、CD220、CD221、CD222、CD223、CD224、CD225、CD226、CD227、CD228、CD229、CD230、CD233、CD234、CD235(a、b)、CD236、CD238、CD239、CD240CE、CD241、CD243、CD244、CD246、CD247−CD248、CD249、CD252、CD253、CD254、CD256、CD257、CD258、CD261、CD262、CD264、CD265、CD266、CD267、CD268、CD269、CD271、CD272、CD273、CD274、CD275、CD276、CD278、CD279、CD280、CD281、CD282、CD283、CD284、CD286、CD288、CD289、CD290、CD292、CDw293、CD294、CD295、CD297、CD298、CD299、CD300A、CD301、CD302、CD303、CD304、CD305、CD306、CD307、CD309、CD312、CD314、CD315、CD316、CD317、CD318、CD320、CD321、CD322、CD324、CD325、CD326、CD328、CD329、CD331、CD332、CD333、CD334、CD335、CD336、CD337、CD338、CD339、CD340、CD344、CD349、CD350からなる群から選択される分化(CD)分子のクラスター;
【0048】
−ADAM10、ADAM17、ADAM8、ALCAM、ART4、ATP1B3、ABCG2、アルビルセプト・スドトクス(Alvircept sudotox)、未分化リンパ腫キナーゼ、B3GAT1、BCAM、BMPR1A、BMPR1B、BST1、BTLA、Band3、バシギン(Basigin)、C−Cケモカイン受容体6型、C−Cケモカイン受容体7型、CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CCR8(遺伝子)、CCR9、CD1、CD109、CD11c、組織因子、CD15、CD151、CD155、CD16、CD160、CD163、CD177、CD19、CD1A、CD1E、CD2、CD20、CD200、CD226、CD23、CD244、CD247、CD248、CD25、CD276、CD278、CD28、CD300A、CD31、CD32、CD320、CD37、CD38、CD3D、CD3G、CD4、CD40(タンパク質)、CD43、CD44、CD46、CD48、CD5、CD5(タンパク質)、CD53、神経細胞接着分子、CD59、CD6、CD63、CD64(生物学)、CD68、CD69、CD7、CD70、CD72、CD78、CD79、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD82(遺伝子)、CD83、CD84、CD86、CD8A、CD90、CD93、CD96、CD98、CD99、CDCP1、CDH1(遺伝子)、CDH2、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM8、CLEC4M、CTLA−4、CXCR3、CXCR5、CXCR6、CCR3(遺伝子)、CD11、CD134、CD14、CD154、CD3(免疫学)、CD34、CD36、CD47、CD74、CD81、コロニー刺激因子1受容体、補体受容体1、DC−SIGN、DDR1、ジスコイジンドメイン含有受容体2、ダッフィー抗原系、E−セレクチン、EMR2、ENTPD1、エンドグリン、内皮タンパク質C受容体、上皮細胞接着分子、F11受容体、FCAR、FCGR2B、FCGR3A、FCGR3B、FCRL5、FZD10、FZD4、FZD9、Fasリガンド、FCGR2A、繊維芽細胞成長因子受容体1、繊維芽細胞成長因子受容体2、繊維芽細胞成長因子受容体3、繊維芽細胞成長因子受容体4、MGI遺伝子ボックスを使用するUser:Frog21/Cd36(User:Frog21/Cd36 using MGI Gene box)、フコシルトランスフェラーゼ3、GGT1、GP1BA、GP1BB、GP5、GPR44、GYPA、GYPB、グルタミルアミノペプチダーゼ、グリコホリンC、糖タンパク質IX、顆粒球コロニー刺激因子受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、グループ1CD1、HER2/neu、ヒアルロン酸介在運動受容体、ICAM2、ICAM3、ICOSLG、IFITM1、IGLL1、IGSF2、IGSF8、IL13RA2、IL17RA、IL18R1、IL18RAP、IL3RA、ITGA2B、ITGA5、ITGAV、ITGB4、インスリン受容体、インシュリン様増殖因子1受容体、インシュリン様増殖因子2受容体、インターフェロンガンマ受容体1、インターロイキン1受容体、I型、インターロイキン1受容体、II型、インターロイキン10受容体、アルファサブユニット、インターロイキン10受容体、ベータサブユニット、インターロイキン12受容体、ベータ1サブユニット、インターロイキン13受容体、アルファ1、インターロイキン5受容体アルファサブユニット、インターロイキン8受容体、アルファ、インターロイキン8受容体、ベータ、インターロイキン−18受容体、インターロイキン−4受容体、インターロイキン−6受容体、インターロイキン−7受容体、インターロイキン−9受容体、ITGA6、JAG1、JAM2、KIR2DL1、KIR2DL4、KIR2DS4、KIR3DL1、KIR3DL2、KLRB1、KLRC2、KLRD1、KLRK1、Kell抗原系、キナーゼインサートドメイン受容体、L1(タンパク質)、LAG3、LAIR1、LAMP1、LAMP2、LAMP3、LILRA2、LILRA3、LILRB1、LILRB2、LILRB3、LILRB4、LRP1、LY75、LY9、レプチン受容体、白血病阻害因子受容体、低親和性神経成長因子受容体、MFI2、MSR1、磁気活性化細胞分類、MUC1、骨髄増殖性白血病ウイルス癌遺伝子、NCR1、NCR2、NCR3、NKG2、NT5E、OX40L、P−糖タンパク質、P−セレクチン糖タンパク質リガンド−1、PD−L1、PDCD1LG2、PDGFRB、PSG1(遺伝子)、PTGFRN、PVRL1、PVRL2、PVRL3、PRNP、プログラム細胞死1、RANK、RANKL、RHAG、RHCE(遺伝子)、SEMA4D、SEMA7A、SIGLEC5、SIGLEC7、SIGLEC8、SIRPB1、SIRPG、SLAMF1、SLC44A1、シアロアドヘシン、シグナル調節タンパク質アルファ、SuPAR、T細胞表面糖タンパク質CD3エプシロン鎖、TLR1、TLR2、TLR4、TLR10、TLR6、TLR8、TNFRSF10A、TNFRSF10B、TNFRSF10C、TNFRSF10D、TNFRSF12A、TNFRSF13B、TNFRSF13C、TNFRSF17、TNFRSF1A、TNFSF13、TNFSF14、TRAIL、TEKチロシンキナーゼ、Tetherin、TFRC、トロンボモジュリン、TLR3、TLR9、ウロキナーゼ受容体、VE−カドヘリン、VPREB1からなる群から選択される分子;
【0049】
−成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチンホルモン、オキシトシン、抗利尿ホルモン(ADH)、Thyroxin、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、エピネフリン、Nor−エピネフリン、ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン、テストステロン、メラトニン、チモシン、チモポエチン、グルカゴン、インスリン、エストロゲンおよびプロゲステロンからなる群から選択されるホルモン;またはそれらのフラグメントもしくは受容体。
【0050】
「IgSFドメイン」なる用語は、細胞の結合、認識または接着プロセスを介在することにより免疫系に関与する細胞表面および可溶性タンパク質の膨大なグループを含むタンパク質を含む免疫グロブリンスーパーファミリードメインを示す。IgSFドメイン分子の免疫グロブリンドメインは、免疫グロブリンと構造的類似性を共有する。IgSFドメインは約70−110個のアミノ酸を含み、サイズおよび機能にしたがって分類される。Igドメインは、逆平行ベータストランドの2つのシートにより形成されるサンドイッチ様構造を有する特性Igフォールドを有する。Igフォールドは、システイン残基間に形成される高度に保存されているジスルフィド結合ならびにサンドイッチの内部の疎水性アミノ酸間の相互作用により安定化される。Igドメインの1つの末端は、IgSFドメインの特異性のために重要である相補性決定領域と呼ばれる部分を有する。多数のIgドメインは、可変(IgV)または定常(IgC)のいずれかである。1つ以上のIgSFドメインを提示するタンパク質の例は、細胞表面共刺激分子(CD28、CD80、CD86)、抗原受容体(TCR/BCR)共受容体(CD3/CD4/CD8)である。他の例は、細胞接着(ICAM−1、VCAM−1)またはIgSFドメイン形成サイトカイン結合受容体(IL1R、IL6R)に関与する分子ならびに細胞内筋肉タンパク質である。多数の例において、細胞環境のすぐ近くの多数のIgSFドメインの存在は、このようなIgSFドメインを含む該細胞表面受容体により引き起こされるシグナル伝達の有効性のために必要である。顕著な例は、抗原提示細胞による最適な抗原提示を可能にし、ナイーブT細胞のコントロールされた活性化をもたらす微小環境を可能にする免疫学的シナプスにおけるIgSFドメイン含有分子(CD28、ICAM−1、CD80およびCD86)のクラスターである(Dustin, 2009, Immunity)。適当な機能のためのクラスターに必要である他のIgSF含有分子に関する他の例は、CD2(Liら 1996, J. Mol. Biol., 263(2):209-26)およびICAM−1(Junら 2001, J. Biol. Chem.; 276(31):29019-27)である。
【0051】
したがって、IgSFドメインを含むオリゴ価(oligovalent)構造を模倣することにより、いくつかのIgSFドメインを含む本発明のFusobodiesは、対応する結合パートナーの活性を調節するために有利に使用され得る。
【0052】
本明細書において使用されるSIRPγなる用語は、CD172gを示す。ヒトSIRPγは配列番号:26を含むが、例えば、一塩基変異多型(SNP)を含む、任意の天然多型変異体、またはヒトSIRPγのスプライス変異体も含む。ヒトにおいて見出されるSIRPγヌクレオチド配列におけるスプライス変異体またはSNPの例は、表3に記載される。
表3:SIRPγタンパク質の変異体
【表3】

【0053】
本明細書において使用される「Kassoc」または「K」なる用語は、特定のタンパク質−タンパク質相互作用の会合速度を示すことを意図し、ここで、本明細書において使用される「Kdis」または「K」なる用語は、特定のタンパク質−タンパク質相互作用の解離速度を示すことを意図する。本明細書において使用される「K」なる用語は、Kに対するKの比(すなわち、K/K)から得られ、モル濃度(M)にて示される解離定数を示すことを意図する。タンパク質−タンパク質相互作用のためのK値は、当分野でよく確立された方法を使用して決定することができる。タンパク質/タンパク質相互作用のKを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用すること、またはバイオセンサーシステム、例えば、BiaCORE(登録商標)システムを使用することによる。SIRPαと相互作用する本発明のタンパク質のKを決定するための少なくとも1つのアッセイは、以下の実施例に記載されている。
【0054】
本明細書において使用される「親和性」は、単一の部位でポリペプチドとその標的との間の相互作用の強さを示す。それぞれの部位内で、ポリペプチドの結合領域は、弱い非共有結合力を介して数多くの部位でその標的と相互作用する。相互作用がより高ければ、親和性はより強くなる。
【0055】
本明細書において使用される結合ポリペプチドまたはタンパク質についての「高親和性」なる用語は、その標的に対して1μM以下のKを有するポリペプチドまたはタンパク質を示す。
【0056】
本明細書において使用される「白血球を発現するSIRPαの接着を促進する」タンパク質は、機能性細胞性SIRPαへ結合することにより、細胞性SIRPαの細胞性CD47との相互作用を拮抗するタンパク質を示す。SIRPαを発現するヒト白血球(SIRPα+細胞)の組換えSIRPα結合タンパク質への増強された細胞接着は、拮抗作用についての代用評価として使用することができる。典型的なSIRPα+白血球は、炎症性骨髄性白血球または悪性SIRPα+白血球細胞系、例えば、U937、Monomac 6、MUTZ−3、KG−1、THP−1である。このような接着の改善された促進は、プレートベースの細胞接着アッセイにより測定することができる。SIRPα+U937細胞を使用するこのようなプレートベースの細胞接着アッセイの例は、実施例に記載されている。特定の態様において、「白血球を発現するSIRPαの接着を促進する」タンパク質は、SIRPα U937細胞の接着を、例えば、実施例に記載されている、プレートベースの細胞結合アッセイにおいて測定されるとき、20nM以下、例えば、2nM以下、例えば、20pMおよび200pMおよび2nMのEC50で促進するタンパク質である。
【0057】
本明細書において使用される「免疫複合体刺激細胞サイトカイン放出を阻害する」タンパク質は、黄色ブドウ球菌コワン1(Pansorbin)または可溶性CD40LおよびIFN−γで刺激された末梢血単球、慣用の樹状細胞(DC)および/または単球由来DCからのサイトカイン(例えば、IL−6、IL−10、IL−12p70、IL−23、IL−8および/またはTNF−α)の放出を阻害するタンパク質である。免疫複合体刺激樹状細胞サイトカイン放出アッセイの1つの例は、以下の実施例でさらに詳細に記載されているインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出である。好ましい態様において、「免疫複合体刺激細胞サイトカイン放出を阻害する」タンパク質は、樹状細胞サイトカイン放出アッセイにおいて測定されるとき、2nM以下、0.2nM以下、例えば、2nMから20pMのIC50でインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害するタンパク質である。
【0058】
さらに具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される機能アッセイに関して「阻害」なる用語は、ネガティブコントロールと比較したとき、測定される機能の任意の統計的に有意な阻害を示す。
【0059】
SIRPαの機能特性における本発明の可溶性タンパク質またはFusobodiesの効果を評価するアッセイは、実施例においてさらに詳細に記載されている。
【0060】
本明細書において使用される「対象」なる用語は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。
【0061】
「非ヒト動物」なる用語は、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、鳥類、両生動物、は虫類などを含む。
【0062】
本明細書において使用される「最適化」なる用語は、ヌクレオチド配列が、生産細胞または生物体、真核細胞、例えば、ピチアまたはサッカロミセスの細胞、トリコデルマの細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)もしくはヒト細胞、または原核細胞、例えば、大腸菌の株のいずれかにおいて好ましいコドンを使用して、アミノ酸配列をコードするするように改変されていることを意味する。
【0063】
最適化されたヌクレオチド配列は、完全に、または可能な限り多く、「親」配列としても知られている、開始ヌクレオチド配列によって当初コードされるアミノ酸配列を保持するように操作される。本明細書において最適化された配列は、対応する生産細胞または生物体、例えば、哺乳動物細胞において好ましいコドンを有するように操作されているが、しかしながら、他の原核生物または真核細胞においてこれらの配列の最適化された発現がまた、本明細書で想定される。最適化されたヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列もまた最適化されていると称される。
【0064】
本発明の種々の局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に記載されている。
【0065】
本発明の好ましい態様は、以下に記載されているSIRPα結合ドメインを含む(Fab)様タンパク質、(Fab)様タンパク質、Fusobodiesおよびそれらの誘導体からなる群から選択される可溶性SIRPα結合タンパク質である。解釈を容易にするため、SIRPα結合ドメインを含む(Fab)様タンパク質、(Fab)様タンパク質、Fusobodiesおよびそれらの誘導体を、本発明のSIRPα結合タンパク質として示す。
【0066】
SIRPα結合ドメイン
本明細書において使用される「SIRPα結合ドメイン」は、適当な条件下でSIRPαへの結合のために必要であるあらゆる一本鎖ポリペプチドドメインを示す。SIRPα結合ドメインは、SIRPαとの物理的相互作用に直接関与する全てのアミノ酸残基を含む。SIRPαと直接相互作用しないが、SIRPαと相互作用するためにSIRPα結合ドメインの適当な構造に必要である他のアミノ酸をさらに含み得る。SIRPα結合ドメインは、SIRPαに対する結合特性の有意な変化なしに、異種ドメインに融合させてもよい。SIRPα結合ドメインは、SIRPαへ結合することが知られているタンパク質、例えば、CD47タンパク質の結合ドメインの中から選択され得る。SIRPα結合ドメインは、さらに、SIRPαに対する人工バインダーからなり得る。特に、バインダーは、一本鎖免疫グロブリンスカフォールド、例えば、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体(scFv)またはラクダ抗体由来であった。1つの態様において、「SIRPα結合ドメイン」なる用語は、SIRPαに結合する抗体の可変領域、例えば、VおよびV領域由来のSIRPα抗原結合領域を含まない。
【0067】
1つの好ましい態様において、SIRPα結合ドメインは、
(i)ヒトCD47の細胞外ドメイン;
(ii)配列番号:4のポリペプチドまたはSIRPα結合特性を保持する配列番号:4のフラグメント;および、
(iii)配列番号:4と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有し、SIRPα結合特性を保持する配列番号:4の変異体ポリペプチド
からなる群から選択される。
【0068】
本発明のSIRPα結合タンパク質は、SIRPαへ結合する能力を保持すべきである。CD47の結合ドメインは、よく特徴付けられており、ヒトCD47の1つの細胞外ドメインは配列番号:4のポリペプチドである。したがって、配列番号:4のポリペプチドのフラグメントは、CD47のSIRPα結合ドメインを含むフラグメント中から選択することができる。これらのフラグメントは、一般的に、CD47の膜貫通および細胞内ドメインを含まない。非限定的で例示的な態様において、SIRPα結合ドメインは、本質的に配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27からなる。フラグメントは、1から10個のアミノ酸が、配列番号:4、配列番号:21または配列番号:3のC−末端またはN−末端、例えば、配列番号:23または配列番号:27から切断されているより短いポリペプチドを含むが、これらに限定されない。SIRPα結合ドメインは、天然の配列の変化がSIRPα結合タンパク質の生物学的活性、特に、そのSIRPαへの結合特性に実質的に影響しない限り、アミノ酸残基が、アミノ酸欠失、挿入または置換により変異され、配列番号:4と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの同一性を有する配列番号:4の変異体ポリペプチドをさらに含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、それは、わずか1、2、3、4または5個のアミノ酸が、配列番号:4と比較したとき、SIRPα結合ドメインにおいてアミノ酸欠失または置換により変異されている変異アミノ酸配列を含む。変異アミノ酸配列の例は、一塩基変異多型に由来する配列が挙げられる(表2参照)。
【0069】
本明細書において使用される2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮すると、配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の#/合計の同一の位置の#×100)。配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、以下に記載される数学アルゴリズムを使用して成し遂げることができる。
【0070】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラムに組み込まれているE. Myers and W. Miller (Comput. Appl. Biosci. 4:11-17, 1988)のアルゴリズムを使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch (J. Mol. Biol. 48:443-453, 1970)アルゴリズムを使用して決定することができる。同一性パーセントを決定するためのさらに別のプログラムは、stand−aloneプログラムとして、またはウェブサーバー(http://www.clustal.org/参照)を介して利用できるCLUSTAL (M. Larkinら Bioinformatics 23:2947-2948, 2007; first described by D. Higgins and P. Sharp, Gene 73:237-244, 1988)である。
【0071】
特定の態様において、SIRPα結合ドメインは、配列番号:4または配列番号:3への変化を含み、該配列番号:4または配列番号:3への変化は、本質的に保存的なアミノ酸置換からなる。
【0072】
保存的なアミノ酸置換は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族性側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、配列番号:4または配列番号:3のSIRPα結合ドメイン内の1つ以上のアミノ酸残基は、同一の側鎖ファミリーから他のアミノ酸残基で置換することができ、新規ポリペプチド変異体は、本明細書に記載されている結合または機能アッセイを使用して、保持された機能について試験することができる。
【0073】
別の態様において、SIRPα結合ドメインは、非ヒト霊長類SIRPα、例えば、カニクイザルまたはアカゲザルのものと交差反応するものから選択される。
【0074】
別の態様において、SIRPα結合ドメインは、SIRPα、例えば、SIRPγと密接に関連するヒトタンパク質と交差反応しないものの中から選択される。
【0075】
いくつかの態様において、SIRPα結合ドメインは、プレートベースの細胞接着アッセイにおいて測定されるとき、配列番号:4のヒトSIRPαの細胞外ドメインを含むSIRPα結合タンパク質と少なくとも同程度に、CD47−Fc融合物のSIRPα+U937細胞への結合を阻害するように、このようなSIRPα結合ドメインを含むSIRPα結合タンパク質において能力を保持するものの中から選択される。
【0076】
他の態様において、SIRPα結合ドメインは、樹状細胞サイトカイン放出アッセイにおいて測定されるとき、配列番号:4のヒトSIRPαの細胞外ドメインを含むSIRPα結合タンパク質と少なくとも同程度に、インビトロで分化した骨髄樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害するように、このようなSIRPα結合ドメインを含むSIRPα結合タンパク質において能力を保持するものの中から選択される。
【0077】
本発明の(Fab)様または(Fab’)様SIRPα結合タンパク質
1つの態様において、本発明のSIRPα結合タンパク質は、SIRPαに結合する(Fab)様または(Fab’)様タンパク質である。
【0078】
抗体のFabフラグメントは、軽鎖のCおよびV領域ならびに重鎖のC1およびV領域からなる抗体の結合領域を含むフラグメントとして知られている。(Fab)様タンパク質は、VおよびV領域が異種結合ドメイン、例えば、SIRPα結合ドメインにより置換されている(Fab)フラグメントと類似のタンパク質である。SIRPα結合ドメインが同一である態様において、本発明の得られる(Fab)様タンパク質は、2つの同一の結合ドメインを含み、したがって、SIRPα結合に対して二価であり得る。
【0079】
(Fab’)様タンパク質は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋を介する2つの(Fab)様タンパク質の共有結合を可能にする抗体のヒンジ領域をさらに含む。得られるタンパク質は、4つの結合ドメインを含む。1つの態様において、このような異種結合ドメインは、IgSFドメイン由来の結合ドメインである。
【0080】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合タンパク質は、(i)抗体の定常C1重鎖領域に共有的に連結した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一本鎖ポリペプチド、および(ii)抗体の定常C軽鎖領域に共有的に連結した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一本鎖ポリペプチドからなる(Fab)様タンパク質である。
【0081】
SIRPα結合ドメインは、インフレームで定常領域に直接、またはポリペプチドリンカー(スペーサー)を介して融合させることができる。このようなスペーサーは、単一のアミノ酸(例えば、グリシン残基)または5−100個のアミノ酸、例えば、5−20個のアミノ酸であり得る。リンカーは、SIRPαとの結合部位を形成するように、SIRPα結合ドメインが適当な空間的配置をとることを可能にすべきである。適当なポリペプチドリンカーは、フレキシブルな(flexible)配置を採用したものの間で選択され得る。このようなリンカーの例は、(限定しないが)グリシンおよびセリン残基を含むリンカー、例えば、(GlySer)、ここで、nは1−12、例えば、1から4、例えば2の整数であるものである。
【0082】
本発明の(Fab)様または(Fab)様SIRPα結合タンパク質は、互いに接合または融合して、多価タンパク質を形成することができる。
【0083】
当業者は、さらに、分子の結合価を増加させるように、または特定の使用のために操作された分子の特性を改善もしくは該特性に適合するようにのいずれかで、抗体分子を操作するための開発された背景技術を有利に使用することができる。
【0084】
別の態様において、本発明の(Fab)様または(Fab)様SIRPα結合タンパク質は、得られる融合タンパク質の血中の半減期を増加させることができる別の異種タンパク質に融合させることができる。
【0085】
このような異種タンパク質は、例えば、免疫グロブリン、血清アルブミンおよびそれらのフラグメントであり得る。このような異種タンパク質はまた、対象において投与したとき、得られる分子の半減期を増加させるために、血清アルブミンタンパク質に結合することができるポリペプチドであり得る。このようなアプローチは、例えば、EP0486525に記載されている。
【0086】
あるいは、または加えて、(Fab)様または(Fab)様タンパク質は、多重合のためのドメインをさらに含む。
【0087】
SIRPα結合Fusobody
さらなる局面において、本発明は、上記パラグラフに記載されている少なくとも1つのSIRPα結合ドメインまたは(Fab)様タンパク質を含むFusobodyに関する。
【0088】
Fusobodyの2つのヘテロダイマーは、異なる結合特異性を有する異なる結合ドメインを含み、それにより、二重特異性Fusobodyが得ることができる。例えば、Fusobodyは、SIRPα結合ドメインを含む一方のヘテロダイマーおよび別の異種結合ドメインを含むもう一方のヘテロダイマーを含み得る。あるいは、Fusobodyの両方のヘテロダイマーは、SIRPα結合ドメインを含む。後者において、このようなSIRPα結合ドメインの構造またはアミノ酸配列は、同一であっても、異なっていてもよい。1つの好ましい態様において、Fusobodyの両方のヘテロダイマーは、同一のSIRPα結合ドメインを含む。
【0089】
1つの特定の態様において、それぞれのヘテロダイマーの重鎖は、抗体構造の類似性によりFusobodyのFc部またはFc部分と称される抗体のC2およびC3領域を含む。FusobodyのFc部分の詳細な説明は、さらに以下のパラグラフにおいて記載されている。
【0090】
本発明のSIRPα結合Fusobodiesの特定の例
本発明のFusobodiesは、実施例における表4に記載されているとおりに構造的に特徴付けられるFusobodiesを含むが、これらに限定されない。これらの例において使用されるSIRPα結合ドメインは、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27において示される。本発明のSIRPα結合Fusobodiesの重鎖アミノ酸配列の特異的な例は、配列番号:5、配列番号:12、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:24、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56および配列番号:58からなる群から選択されるポリペプチド配列である。本発明のSIRPα結合Fusobodiesの軽鎖アミノ酸配列の特定の例は、配列番号:6、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:25、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:41、配列番号:43、配列番号:45、配列番号:47、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55および配列番号:57からなる群から選択されるポリペプチド配列である。
【0091】
本発明の他のSIRPα結合Fusobodiesは、アミノ酸欠失、挿入または置換により変異され、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27の対応するSIRPα結合ドメインのいずれか1つと少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有するSIRPα結合ドメインを含む。いくつかの態様において、本発明のFusobodiesは、わずか1、2、3、4または5個のアミノ酸が、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27の配列のいずれか1つに記載されているSIRPα結合ドメインと比較したとき、SIRPα結合ドメインにおいてアミノ酸欠失または置換により変化されている変異アミノ酸配列を含むSIRPα結合ドメインを含む。
【0092】
1つの態様において、実施例#1として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:5の重鎖および配列番号:6の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#2として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:18の重鎖および配列番号:6の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#3として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:19の重鎖および配列番号:20の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#4として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:12の重鎖および配列番号:13の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#5として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:24の重鎖および配列番号:25の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#6として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:36の重鎖および配列番号:37の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#7として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:38の重鎖および配列番号:39の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#8として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:40の重鎖および配列番号:41の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#9として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:42の重鎖および配列番号:43の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#10として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:44の重鎖および配列番号:45の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#11として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:46の重鎖および配列番号:47の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#12として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:48の重鎖および配列番号:49の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#13として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:50の重鎖および配列番号:51の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#14として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:52の重鎖および配列番号:53の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#15として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:54の重鎖および配列番号:55の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#16として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:56の重鎖および配列番号:57の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#17として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:58の重鎖および配列番号:20の軽鎖を含む。
1つの態様において、実施例#18として記載されている本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:29の重鎖および配列番号:20の軽鎖を含む。
【0093】
別の局面において、本発明は、配列番号:10のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:11のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#1として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:59のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#3として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:61のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:62のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#4として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:63のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:64のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#5として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:65のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:66のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#6として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:67のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:68のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#7として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:69のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:70のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#8として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:71のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:72のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#9として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:73のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:74のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#10として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:75のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:76のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#11として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:77のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:78のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#12として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:79のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:80のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#13として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:81のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:82のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#14として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:83のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:84のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#15として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:85のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:86のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#16として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:87のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#17として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
別の局面において、本発明は、配列番号:88のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する実施例#18として記載されている本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0094】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24361で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp3HC_5460_ID59内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24362で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp3LC_5461_ID60内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0095】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24363で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp4HC_5444_ID61内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24364で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp4LC_5445_ID62内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0096】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24330で2010年12月10日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドpHC_5466_ID63内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24365で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp5LC_5467_ID64内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0097】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24366で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp6HC_5440_ID65内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24367で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp6LC_5441_ID66内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0098】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24368で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp7HC_5450_ID67内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24369で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp7LC_5451_ID68内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0099】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24370で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp8HC_5442_ID69内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24371で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp8LC_5443_ID70内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0100】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24331で2010年12月10日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp9HC_5452_ID71内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24372で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp9LC_5453_ID72内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0101】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24373で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp10HC_5454_ID73内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24374で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp10LC_5455_ID74内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0102】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24375で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp11HC_5446_ID75内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24376で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp11LC_5447_ID76内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0103】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24332で2010年12月10日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp12HC_5456_ID77内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24377で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp12LC_5457_ID78内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0104】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24378で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp13HC_5448_ID79内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24379で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp13LC_5449_ID80内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0105】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24380で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp14HC_5468_ID81内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24381で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp14LC_5469_ID82内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0106】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24333で2010年12月10日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp15HC_5458_ID83内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24382で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp15LC_5459_ID84内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0107】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24334で2010年12月10日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp16HC_5464_ID85内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24383で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp16LC_5465_ID86内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0108】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24384で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp31HC_5471_ID89内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24385で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp32LC_5471_ID90内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0109】
別の局面において、本発明は、受入番号DSM24386で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp34HC_5472_ID91内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および受入番号DSM24387で2010年12月13日にDSMZで、Novartis Pharma AG, Novartis Campus, CH-4002 Basel, Switzerlandにより寄託されたプラスミドp35LC_5473_ID92内に含まれている対応するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を有する本発明の単離されたFusobodyを提供する。
【0110】
本発明の他のSIRPα結合は、ヌクレオチド欠失、挿入または置換により変異され、配列番号:10または配列番号:14または配列番号:59または配列番号:63または配列番号:67と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および、ヌクレオチド欠失、挿入または置換により変異され、配列番号:11または配列番号:15または配列番号:60または配列番号:64または配列番号:68と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。いくつかの態様において、本発明のFusobodiesは、わずか1、2、3、4または5個のヌクレオチドが、配列番号:10または配列番号:14または配列番号:59または配列番号:63または配列番号:67と比較したとき、ヌクレオチド欠失、挿入または置換により変化されている変異ヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる重鎖、および、わずか1、2、3、4または5個のヌクレオチドが、配列番号:11または配列番号:15または配列番号:60または配列番号:64または配列番号:68と比較したとき、ヌクレオチド欠失、挿入または置換により変化されている変異ヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。
【0111】
機能性Fusobodies
さらに別の態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、上記パラグラフに記載されている特定のSIRPα結合Fusobodies、特に、表4に記載されている実施例#1−18の対応するアミノ酸およびヌクレオチド配列と同種である、重鎖および軽鎖アミノ酸配列;重鎖および軽鎖ヌクレオチド配列または重鎖および軽鎖定常領域に融合したSIRPα結合ドメインを有し、該Fusobodiesは、上記パラグラフに記載されている特定のSIRPα結合Fusobodies、特に、表4に記載されている実施例#1−18の少なくとも1つの実質的に同じ機能特性を保持する。
【0112】
例えば、本発明は、重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列を含む単離されたFusobodyであって、該重鎖が、配列番号:5、配列番号:12、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:24、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56または配列番号:58からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有し;該軽鎖が、配列番号:6、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:25、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:41、配列番号:43、配列番号:45、配列番号:47、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55および配列番号:57からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有し;該Fusobodyは、SIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは、少なくとも1つの以下の機能特性を示し:SIRPα+白血球の接着を促進するか、またはインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害する、単離されたFusobodyを提供する。
【0113】
本明細書において使用される「SIRPαに特異的に結合する」Fusobodyは、例えば、BiaCOREアッセイにおいて表面プラズモン共鳴により、実施例に記載されている少なくとも1つの結合親和性アッセイ内で、4μM以下、2μM以下、400nM以下のKで配列番号:1のヒトSIRPαポリペプチドに結合するFusobodyを示すことを意図する。「SIRPα以外のポリペプチドと交差反応する」Fusobodyは、4μM以下、2μM以下、400nM以下のKで他のポリペプチドに結合するFusobodyを示すことを意図する。「特定のポリペプチドと交差反応しない」Fusobodyは、同様の条件下でヒトSIRPαへの該Fusobodyの結合親和性Kよりも、少なくとも10倍高い、好ましくは少なくとも100倍高いKで該ポリペプチドに結合するFusobodyを示すことを意図する。1つの態様において、他のポリペプチドと交差反応しないこのようなFusobodiesは、標準結合アッセイにおいてこれらのタンパク質に対する本質的に検出不可能な結合を示す。
【0114】
種々の態様において、Fusobodyは、1つ以上または全ての上記機能特性を示し得る。
【0115】
他の態様において、SIRPα結合ドメインは、「SIRPα結合ドメイン」に関連する上記パラグラフに記載されているSIRPα結合ドメインの特定の配列の少なくとも1つと50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であり得、限定はしないが、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27を含む。他の態様において、SIRPα結合ドメインは、該特定の配列のわずか1、2、3、4または5個のアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を除けば、「SIRPα結合ドメイン」に関連する上記パラグラフに記載されているSIRPα結合ドメインの特定の配列の少なくとも1つと同一であり得、限定はしないが、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21、配列番号:23または配列番号:27を含む。
【0116】
具体的に記載されているSIRPα結合ドメインと高い(すなわち、少なくとも80%、90%、95%、99%またはそれ以上)同一性を有するSIRPα結合ドメインを有するFusobodyは、該特定のSIRPα結合ドメインをそれぞれコードする核酸分子の変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR介在変異誘発)し、次に本明細書に記載されている機能アッセイを使用して保持される機能(すなわち、上記の機能)に関してコードされ変化されたFusobodyを試験することにより得ることができる。
【0117】
他の態様において、重鎖および軽鎖アミノ酸配列は、上記の実施例#1−18の特異的Fusobodyの重鎖および軽鎖と50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であり得るが、上記SIRPα結合Fusobodyの機能特性の少なくとも1つを保持する。配列番号:5、配列番号:12、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:24、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56または配列番号:58のいずれかの対応する重鎖;および配列番号:6、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:25、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:41、配列番号:43、配列番号:45、配列番号:47、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55および配列番号:57のいずれかの対応する軽鎖と、それぞれ、高い(すなわち、少なくとも80%、90%、95%またはそれ以上)同一性を有する重鎖および軽鎖を有するSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:5、配列番号:12、配列番号:18、配列番号:19および配列番号:24、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:38、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56または配列番号:58の重鎖;および配列番号:6、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:25、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:41、配列番号:43、配列番号:45、配列番号:47、配列番号:49、配列番号:51、配列番号:53、配列番号:55または配列番号:57の軽鎖をそれぞれコードする核酸分子の変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR介在変異誘発)し、次に本明細書に記載されている機能アッセイを使用して保持される機能(すなわち、上記の機能)に関してコードされ変化されたSIRPα結合Fusobodyを試験することにより得ることができる。
【0118】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:5と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:6と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#1の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0119】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:18と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:6と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#2の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0120】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:19と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:20と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#3の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0121】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:12と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:13と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#4の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0122】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:24と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:25と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#5の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、またはインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害する。
【0123】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:36と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:37と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#6の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0124】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:38と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:39と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#7の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0125】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:40と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:41と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#8の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0126】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:42と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:43と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#9の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0127】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:44と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:45と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#10の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0128】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:46と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:47と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#11の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0129】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:48と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:49と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#12の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0130】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:50と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:51と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#13の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0131】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:52と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:53と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#14の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0132】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:54と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:55と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#15の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0133】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:56と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:57と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#16の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0134】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:58と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:20と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#17の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0135】
1つの態様において、本発明のSIRPα結合Fusobodyは、配列番号:29と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の重鎖および配列番号:20と少なくとも80%、90%、95%または99%同一の軽鎖を有する実施例#18の変異体であり、該FusobodyはSIRPαに特異的に結合し、該Fusobodyは少なくとも1つの以下の機能特性を示す:SIRPα+白血球の接着を促進するか、または種々の細菌誘導体、例えば、黄色ブドウ球菌コワン株粒子または他のものにより誘導されるインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0136】
FusobodyのFcドメイン
Fcドメインは、少なくとC2およびC3ドメインを含む。本明細書において使用されるFcドメインなる用語は、1、2、3、4または5個のアミノ酸位置でアミノ酸置換、欠失または挿入が抗体の天然Fcフラグメント、例えば、ヒトFcフラグメントと比較して導入されたFc変異体をさらに含むが、これらに限定されない。
【0137】
ヒトにおける増大したインビボでの半減期を有する可溶性構築物を作製するためのFcドメインの使用は、当分野でよく知られており、例えば、Caponら(US5,428,130)に記載されている。1つの態様において、Fusobody構築物内に同様のFc部分を使用することを提案する。しかしながら、本発明は、「Fc融合タンパク質」または「イムノアドヘシン」としてときどき称されるArtの既知のタンパク質に関しないことが認識される。確かに、「Fc融合タンパク質」または「イムノアドヘシン」なる用語は、CまたはC1領域の少なくともいずれかを含まない、C2およびC3ドメインに直接融合した異種結合領域に対してArtにおいて一般的に示す。得られるタンパク質は、2つの異種結合領域を含む。Fusobodyは、C1領域のN−末端に融合したFc部分を含み、それにより、通常CH1およびCLジスルフィド結合を介して、軽鎖と相互作用することができる全長定常重鎖を再構成し得る。
【0138】
1つの態様において、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数が改変、例えば、増加または減少されるように、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質のC1のヒンジ領域は修飾される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号(Bodmerら)においてさらに記載されている。C1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の集合を促進するように、または融合ポリペプチドの安定性を増加もしくは減少させるように改変される。
【0139】
別の態様において、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質のFc領域は、その生物学的半減期を増加させるために修飾される。種々のアプローチが可能である。例えば、1つ以上の以下の位置、米国特許第6,277,375号に記載されている252、254、256で変異することができる。例えば:M252Y、S254T、T256E。
【0140】
さらに他の態様において、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質のFc領域は、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換することにより改変し、Fc部分のエフェクター機能を改変する。例えば、Fc部分がエフェクターリガンドに対する改変された親和性を有するように、1つ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸残基で置換することができる。親和性が改変されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1コンポーネントであり得る。このアプローチは、両方ともWinterらによる米国特許第5,624,821および5,648,260号にさらに詳細に記載されている。
【0141】
別の態様において、アミノ酸残基から選択される1つ以上のアミノ酸は、得られるFc部分が、改変したC1q結合および/または減少したもしくは消失した補体依存性細胞傷害(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基で置換することができる。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogieら)にさらに詳細に記載されている。
【0142】
別の態様において、1つ以上のアミノ酸残基は、補体を固定するFc領域の能力を改変するように改変される。このアプローチは、BodmerらによるPCT公開WO94/29351にさらに記載されている。
【0143】
さらに別の態様において、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質のFc領域は、1つ以上のアミノ酸を修飾することにより、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を介在する融合ポリペプチドの能力を増加させる、および/または、Fcγ受容体に対するFc領域の親和性を増加または減少させるように修飾される。このアプローチは、PCT公開WO00/42072にさらに記載されている。さらに、FcγRl、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位は、マップされており、改善された結合を有する変異体は、記載されている(Shields, R.L.ら 2001 J. Biol. Chem. 276:6591-6604参照)。
【0144】
1つの態様において、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質のFcドメインは、ヒト起源であり、免疫グロブリンのクラスのいずれか、例えば、IgGまたはIgAから、サブタイプのいずれか、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4またはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のキメラ由来であり得る。他の態様において、Fcドメインは、非ヒト動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ラクダ、サメ、非ヒト霊長類またはハムスター由来であるが、これらに限定されない。
【0145】
1つの態様において、IgG1アイソタイプのFcドメインは、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質において使用される。いくつかの特定の態様において、IgG1 Fcフラグメントの変異体は、例えば、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を介在する、および/またはFcγ受容体へ結合する融合ポリペプチドの能力を減少もしくは除去するサイレントIgG1 Fcを使用される。IgG1アイソタイプのサイレント変異体の例は、Hezarehら (J. Virol 2001 Dec;75(24):12161-8)により記載されている、アミノ酸位置234および235でロイシン残基がアラニン残基により置換されている、いわゆるLALA変異体である。IgG1アイソタイプのサイレント変異体の別の例は、D265A変異を含む。1つの態様において、Fcドメインは、Fcドメインの位置297での残基でグリコシル化、例えば、Fcドメインの位置297でのアスパラギン残基のアミノ酸置換を防止する変異体である。このようなアミノ酸置換の例は、グリシンまたはアラニンによるN297の置換である。
【0146】
別の態様において、Fcドメインは、IgG2、IgG3またはIgG4由来である。
【0147】
1つの態様において、FusobodyまたはSIRPα結合タンパク質Fcドメインは、好ましくは、このようなFcドメインを含む2つの融合ポリペプチド間の共有ジスルフィド架橋を作ることができるシステインを介する二量化ドメインを含む。
【0148】
グリコシル化修飾
さらに別の態様において、本発明の可溶性タンパク質、特にSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesのグリコシル化パターンは、典型的な哺乳動物グリコシル化パターン、例えば、CHOまたはヒト細胞系において得られるものと比較して改変することができる。例えば、非グリコシル化タンパク質は、グリコシル化を欠くように操作されている宿主細胞または哺乳動物細胞として、原核細胞系を使用することにより行うことができる。炭水化物修飾はまた、例えば、SIRPα結合Fusobody内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することにより達成することができる。
【0149】
さらに、またはあるいは、グリコシル化タンパク質は、グリコシル化の改変された型を有するように作製することができる。このような炭水化物修飾は、例えば、改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞において本発明の可溶性タンパク質を発現することにより達成することができる、すなわち、可溶性タンパク質のグリコシル化パターンが対応する野生型細胞において観察されるグリコシル化パターンと比較して改変される。改変されたグリコシル化機構を有する細胞は、当分野で説明されており、組換え可溶性タンパク質を発現し、それにより改変されたグリコシル化を有するこのような可溶性タンパク質を生産する宿主細胞として使用することができる。例えば、EP1,176,195(Hangら)は、このような細胞系において発現された糖タンパク質が低フコシル化を示すように、フコシルトランスフェラーゼをコードする機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞系を記載している。WO03/035835は、Asn(297)連結炭水化物にフコースを結合させる能力を低下させ、また、宿主細胞内で発現した糖タンパク質の低フコシル化をもたらす変異体CHO細胞系、Lecl3細胞を記載している(Shields, R.Lら 2002 J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照)。あるいは、可溶性タンパク質は、哺乳動物様グリコシル化パターンのために設計された、酵母、例えば、メタノール資化酵母、または糸状菌(filamentous fungi)、例えば、トリコデルマリーゼイ(Trichoderma reesei)において生産することができる(例えば、EP1297172B1参照)。これらの糖設計された宿主細胞の利点は、とりわけ、均質なグリコシル化パターンおよび/または高収量を有するポリペプチド組成物を提供することである。
【0150】
ペグ化可溶性タンパク質および他の抱合体
本発明により考えられる本明細書の可溶性タンパク質の別の態様は、ペグ化である。本発明の可溶性タンパク質、例えば、SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、ペグ化することができる。ペグ化は、ペグ化なしの同じ生物学的製剤と比較して、得られる生物学的製剤の生物学的(例えば、血清)半減期を増大させることがよく知られている技術である。ポリペプチドをペグ化するために、ポリペプチドは、一般的に、1つ以上のPEG基がポリペプチドに結合する条件下で、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と反応させる。ペグ化は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応により実施することができる。本明細書において使用される「ポリエチレングリコール」なる用語は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGのあらゆる形式、例えば、モノ(C1−C10)アルコキシ−もしくはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミドを包含することを意図する。タンパク質をペグ化するための方法は、当分野で知られており、本発明の可溶性タンパク質に適用することができる。例えば、NishimuraらによるEP 0 154 316およびIshikawaらによるEP 0 401 384参照。
【0151】
あるいは、抱合体またはポリマー状担体を使用して、特に得られる抱合体の薬物動態学的特性を改善することができる。ポリマー状担体は、少なくとも1つの天然または合成の分岐、直鎖状または樹枝状ポリマーを含み得る。ポリマー状担体は、好ましくは水および体液に可溶性であり、好ましくは薬学的に許容されるポリマーである。水溶性ポリマー部分は、例えば、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、例えば、PEG、PEGホモポリマー、mPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、プロピレングリコールとエチレングリコールのコポリマー(該ホモポリマーおよびコポリマーは、非置換であるか、または例えばアシル基の1の末端において置換されている);ポリグリセリンまたはポリシアル酸;炭水化物、多糖類、セルロースおよびセルロース誘導体、例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;デンプン(例えば、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、とりわけヒドロキシエチルデンプン(HES)およびデキストリン、およびそれらの誘導体;デキストランおよびデキストラン誘導体、例えば、デキストラン硫酸、架橋デキストリン、およびカルボキシメチルデキストリン;キトサン(直鎖多糖類)、ヘパリンおよびヘパリンのフラグメント;ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル;ポリビニルピロリドン;アルファ、ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド;およびポリオキシ−エチル化ポリオールを含むが、これらに限定されない。
【0152】
医薬としてのSIRPα結合タンパク質の使用
SIRPα結合タンパク質、特にSIRPα結合Fusobodiesは、特に炎症性および/または自己免疫性応答、特に、対象におけるSIRPα+細胞が介在する応答を(統計的に、または生物学的に有意な様式において)減少または抑制するための医薬として使用され得る。細胞毒性剤と接合しているとき、またはFc部分により提供される殺細胞エフェクター機能を有するとき、SIRPα結合タンパク質および特にSIRPα結合Fusobodiesもまた、癌または腫瘍、例えば、特に骨髄リンパ増殖性疾患、例えば、急性骨髄リンパ増殖性(AML)障害または膀胱癌の処置、減少または抑制において有利に使用することができる。
【0153】
本発明の可溶性タンパク質をコードする核酸分子
本発明の別の局面は、本発明の可溶性タンパク質をコードする核酸分子に関し、例えば実施例の表4に記載されているFusobodyに関連した態様を含むが、これらに限定されない。SIRPα結合Fusobodiesをコードするヌクレオチド配列の非限定的な例は、SIRPα結合Fusobodyの重鎖および軽鎖をそれぞれコードする配列番号:10および11を含む。
【0154】
核酸は、全細胞において、細胞溶解物において、存在してもよく、または、部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態の核酸であり得る。核酸は、アルカリ/SDS処理、塩化セシウム結合、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当分野でよく知られている他のものを含む標準技術により、他の細胞成分または他の汚染物質、例えば、他の細胞の核酸またはタンパク質から精製したとき、「単離された」または「実質的に純粋にされた」ものである。F. Ausubelら ed. 1987 Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York参照。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであってよく、イントロン配列を含んでいても含んでいなくてもよい。ある態様において、核酸はcDNA分子である。核酸は、ベクター、例えば、ファージディスプレイベクター、または組換えプラスミドベクター中に存在してもよい。
【0155】
可溶性SIRPα結合タンパク質をコードするDNAフラグメント、例えば、上記および実施例のSIRPα結合Fusobodiesが得られると、これらのDNAフラグメントは、標準組換えDNA技術によりさらに操作して、例えば、発現系において適当な分泌のための任意のシグナル配列、さらなる精製工程のための任意の精製タグおよび開裂可能なタグを含むようにできる。これらの操作において、DNAフラグメントは、別のDNA分子に、または別のタンパク質をコードするフラグメント、例えば、精製/分泌タグまたはフレキシブルなリンカーに作動可能に連結される。この文脈において使用されるとき「作動可能に連結される」なる用語は、例えば、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がインフレームに維持されるように、またはタンパク質が所望のプロモーターの制御下に発現されるように、2つのDNAフラグメントが機能的な態様で結合されることを意図する。
【0156】
SIRPα結合タンパク質を生産するトランスフェクトーマの産生
本発明の可溶性タンパク質、例えば、FusobodiesのSIRPα結合タンパク質は、例えば、当分野でよく知られている組換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション方法の組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて生産することができる。宿主細胞トランスフェクトーマにおいて組換えFusobodiesを発現および生産させるために、当業者は、抗体分子または抗体様分子の発現および組換え生産に関連した一般知識を有利に使用することができる。
【0157】
例えば、本発明の可溶性タンパク質またはその中間体を発現するために、対応するポリペプチドをコードするDNAは、標準分子生物学技術(例えば、PCR増幅または興味あるポリペプチドを発現するハイブリドーマを使用するcDNAクローニング)により得ることができ、DNAは、対応する遺伝子が転写および翻訳コントロール配列に作動可能に連結するように、発現ベクターに挿入することができる。発現ベクターおよび発現コントロール配列は、使用される発現宿主細胞と適合性であるように選択される。本発明の可溶性タンパク質をコードする遺伝子、例えば、SIRPα結合Fusobodiesまたは中間体の重鎖および軽鎖は、標準方法(例えば、遺伝子フラグメントおよびベクター状の相補的制限酵素認識部位のライゲーション、または制限酵素認識部位が存在しないとき平滑末端ライゲーション)により発現ベクターに挿入される。さらに、またはあるいは、組換え発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチド鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。遺伝子は、シグナルペプチドがポリペプチド鎖のアミノ末端にインフレームで連結されるようにベクターにクローニングすることができる。SIRPα結合領域のようなCD47由来配列での特定の態様において、シグナルペプチドは、CD47シグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、シグナルペプチドは、CD47配列と天然に関連しない)であり得る。
【0158】
ポリペプチドをコードする配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における遺伝子の発現を制御する調節配列を有する。「調節配列」なる用語は、ポリペプチド鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel (Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA 1990)において記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることは当業者に理解されよう。哺乳動物宿主細胞発現の調節配列は、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を指向するウイルス要素、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、Simian Virus 40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、およびポリオーマ(polyoma)由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。あるいは、非ウイルス調節配列、例えば、ユビキチンプロモーターまたはP−グロビンプロモーターを使用され得る。さらに、調節要素は、SV40初期プロモーターおよびヒトT細胞白血病ウイルス1型の末端反復配列(Takebe, Yら 1988 Mol. Cell. Biol. 8:466-472)を含むSRaプロモーター系のような、異なる供給源の配列からなる。
【0159】
これに加えて、本発明の組換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞においてベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子を有し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、全てAxelらによる米国特許第4,399,216、4,634,665および5,179,017号参照)。例えば、一般的に、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。選択可能なマーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅と共にdhfr−宿主細胞において使用される)およびneo遺伝子(G418選択のため)を含む。
【0160】
タンパク質の発現のために、可溶性タンパク質または中間体をコードする発現ベクター、例えば、SIRPα結合Fusobodyの重鎖および軽鎖配列は、標準技術により宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」なる用語の種々の形態は、原核生物または真核生物宿主細胞への外因性DNAの導入のために一般的に使用される多種多様の技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含することを意図する。原核生物または真核生物宿主細胞のいずれかにおいて本発明の可溶性タンパク質を発現することは、理論的に可能である。真核細胞、特に、哺乳動物宿主細胞における糖タンパク質の発現は、このような真核細胞、特に哺乳動物細胞が、原核細胞よりも適当に折り畳まれ生物学的に活性な糖タンパク質、例えば、SIRPα結合Fusobodiesを集合させ分泌させやすいため、議論される。
【0161】
Fusobodiesは、抗体分子のために開発されたよく知られている発現系を使用して有利に生産することができる。
【0162】
本発明の可溶性タンパク質および中間体、例えば、SIRPα結合Fusobodyの重鎖および軽鎖を発現するための哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、例えば、(例えば、R.J. Kaufman and P.A. Sharp, 1982 Mol. Biol. 159:601-621に記載されている)DH FR選択可能なマーカーと共に使用されるdhfr−CHO細胞(Urlaub and Chasin, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されている)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞またはヒト細胞系(例えば、PER−C6細胞系、CrucellまたはHEK293細胞、Yves Durocherら 2002, Nucleic Acids research vol 30, No 2 e9)を含む。ポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入されるとき、本発明の可溶性タンパク質および中間体、例えば、SIRPα結合Fusobodyの重鎖および軽鎖は、宿主細胞における組換えポリペプチドの発現または宿主細胞が増殖する培養培地への組換えポリペプチドの分泌を可能にするために十分な期間、宿主細胞を培養することにより生産される。次に、ポリペプチドは、標準タンパク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる。
【0163】
多価SIRPα結合タンパク質
別の局面において、本発明は、少なくとも2つの同一のまたは異なる本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質を含む多価タンパク質を提供する。1つの態様において、多価タンパク質は、少なくとも2つ、3つまたは4つの本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質を含む。可溶性SIRPα結合タンパク質は、タンパク質融合または共有もしくは非共有結合を介して互いに連結することができる。本発明の多価タンパク質は、当分野で知られている方法を使用して、構成結合特異性を結合することにより製造することができる。例えば、多価タンパク質のそれぞれの結合特異性は、別々に生成され、互いに結合することができる。
【0164】
種々のカップリング剤または架橋剤が、共有結合のために使用することができる。架橋剤の例は、タンパク質A、カルボジイミド、N−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)、およびスルフォスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−l−カルボン酸(sulfo−SMCC)(例えば、Karpovskyら 1984 J. Exp. Med. 160:1686; Liu, MAら 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648参照)を含む。他の方法は、Paulus, 1985 Behring Ins. Mitt. No. 78,118-132; Brennanら 1985 Science 229:81-83およびGlennieら 1987 J. Immunol. 139: 2367-2375に記載されているものを含む。共有結合は、2つのシステインの間のジスルフィド架橋、例えば、Fcドメインのシステインのジスルフィド架橋により得ることができる。
【0165】
接合SIRPα結合タンパク質
別の局面において、本発明は、治療薬部分、例えば、細胞毒素、薬物(例えば、免疫抑制剤)または放射性毒素に接合されたSIRPα結合タンパク質、特に、SIRPα結合Fusobodyを特徴とする。このような抱合体は、本明細書において「接合SIRPα結合タンパク質」と称される。細胞毒素または細胞毒性剤は、細胞に対して有害である(例えば、殺す)あらゆる薬剤を含む。このような薬剤は、抗体の抱合体または免疫抱合体を製造するために使用されている。このような技術は、SIRPα結合タンパク質、特に、SIRPα結合Fusobodyで有利に適用することができる。細胞毒素または細胞毒性剤の例は、タクソン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、t.コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシンならびにそれらのアナログまたはホモログを含む。治療剤はまた、例えば、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン)、アルキル化剤(ablating agents)(例えば、メクロレタミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンCおよびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む。
【0166】
本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesに接合することができる治療的細胞毒素の他の例は、デュオカルマイシン、カリケアマイシン、メイタンシンおよびアウリスタチンならびにそれらの誘導体を含む。
【0167】
当分野で利用できるリンカー技術を使用して、毒素を、本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesに接合することができる。本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesへ細胞毒素を接合するために使用されているリンカー型の例は、限定はしないが、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィドおよびペプチド含有リンカーを含む。例えば、リソソーム区画内で低いpHによる開裂に影響されやすいか、または、プロテアーゼ、例えば、腫瘍組織において優先的に発現されるプロテアーゼ、例えば、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)による開裂に影響されやすいリンカーを選択することができる。
【0168】
抗体に治療剤を接合するための細胞毒素、リンカーおよび方法の型のさらなる議論のため、Saito, Gら 2003 Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215; Trail, P.Aら 2003 Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337; Payne, G., 2003 Cancer Cell 3:207-212; Allen, T.M., 2002 Nat. Rev. Cancer 2:750-763; Pastan, I. and Kreitman, R. J., 2002 Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091; Senter, P.D. and Springer, C.J., 2001 Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264も参照。
【0169】
本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesはまた、細胞毒性放射性医薬品を産生するために放射性同位体に接合することができる。診断的または治療的使用のための本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesへ接合することができる放射性同位体の例は、限定はしないが、ヨウ素l31、インジウム111、イットリウム90およびルテチウム177を含む。放射性免疫抱合体を製造するための方法は、当分野で確立されている。放射性免疫抱合体の例は、ZevalinTM(DEC Pharmaceuticals)およびBexxarTM(Corixa Pharmaceuticals)を含む市販されているものであり、同様の方法は、本発明のSIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを使用して放射性医薬品を製造するために使用することができる。さらに、毒素または放射性同位体を抗体に接合するための技術は、よく知られている、例えば、Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pincheraら (eds.), pp. 475-506 (1985); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985)、およびThorpeら “The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”, Inmunol. Rev., 62:119-58 (1982)参照。
【0170】
医薬組成物
別の局面において、本発明は、薬学的に許容される担体と共に製剤化された、本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesの1つまたは組合せを含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。
【0171】
本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodyを含む医薬製剤は、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th edition (2000))と、所望の純度を有するタンパク質を、水溶液、凍結乾燥、または他の乾燥させた製剤の形態において、混合することにより、保存のために調製され得る。本発明はさらに、少なくとも本発明の可溶性タンパク質、例えば、本発明のSIRPα結合Fusobodiesおよび適当な薬学的に許容される担体を含む凍結乾燥組成物に関する。本発明は、また、少なくとも本発明の可溶性タンパク質、例えば、SIRPα結合Fusobodies、および適当な薬学的に許容される担体を含む液体製剤で予め満たされたシリンジに関する。
【0172】
また、併用療法において、すなわち、他の薬剤と組み合わせて、本発明の医薬組成物を投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の抗炎症剤または別の化学療法剤と組み合わせて、本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodyを含むことができる。併用療法で使用することができる治療剤の例は、本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質の使用のセクションで、より詳細に説明されている。
【0173】
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性がある任意およびすべての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入による)のために適当であるべきである。投与経路に依存して、活性成分は、酸の作用、および該活性成分を不活性化し得る他の自然条件から保護するための材料で被覆され得る。
【0174】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、何らかの望ましくない毒物学的効果を与えない塩を示す(例えば、Berge, S.Mら 1977 J. Pharm. Sci. 66:1-19参照)。このような塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は、非毒性無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素、亜リン酸など、ならびに非毒性有機酸、例えば、脂肪族モノ−およびジ−カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族性スルホン酸などに由来するものを含む。塩基付加塩は、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに非毒性有機アミン、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものを含む。
【0175】
本発明の医薬組成物は、また、薬学的に許容される酸化防止剤を含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は、水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;および金属キレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを含む。
【0176】
本発明の医薬組成物において使用され得る適当な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適当な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルを含む。適切な流動性は、例えば、被覆材料、例えば、レシチンの使用により、分散媒体の場合、必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0177】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含み得る。微生物の存在の防止は、上記滅菌処理、ならびに、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有の両方により保証され得る。また、組成物に、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望ましいかもしれない。加えて、注射可能な医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅延する剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの含有によりもたらされ得る。
【0178】
薬学的に許容される担体は、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当分野で知られている。任意の慣用の媒体または薬剤が活性化合物と不適合性である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が意図される。補助的な活性化合物も、また、組成物に組み込むことができる。
【0179】
治療組成物は、一般的に、製造および保存の条件下で滅菌であり、安定でなければならない。組成物は、高薬物濃度に適当な溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒または分散媒体、およびそれらの適当な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、被覆剤、例えば、レシチンの使用により、分散媒体の場合には所望の粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含むことができる。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物に、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことによりもたらすことができる。
【0180】
滅菌注射可能溶液は、適当な溶媒中で必要な量の可溶性タンパク質、例えば、SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを上記の列挙された成分の1つまたは組合せと組み合わせて、必要なとき、次に滅菌精密濾過に付すことにより調製することができる。一般的に、分散媒体は、上記の列挙されたものから基本的な分散媒体および必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに活性成分を組み込むことにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の方法は、以前にフィルター滅菌された溶液から、活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を得る真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0181】
単一の投与形態を生産するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される対象および特定の投与経路に依存して変化し得る。単一の投与形態を生産するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般的に、治療効果を生じる組成物の量である。一般的には、100%のうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、約0.01%から約99%の活性成分、約0.1%から約70%または約1%から約30%の活性成分の範囲である。
【0182】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するために調整される。例えば、単一のボーラスが投与され得、数回に分けられた投与量が時間をかけて投与され得、または投与量が治療状況の緊急性により指示されるように、比例的に減少または増大させられ得る。とりわけ、投与の容易化および投薬量の均一性のために、投与単位形態で非経口組成物を製剤化することが有利である。本明細書において使用される投与単位形態は、処置される対象に対して単一投与として適した物理的に別々の単位を示し、それぞれの単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性化合物を必要とされる医薬担体と組み合わせて含む。本発明の投与単位形態のための仕様は、活性化合物の固有の特性およびなし遂げられるべき特定の治療効果、ならびに個体における感受性を処置するためのこのような活性化合物を配合する分野に固有の限界により指示され、それらに直接的に依存する。
【0183】
本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesの投与のために、用量は、約0.0001から100mg/kg、さらに通常0.01から5mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、用量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重、または1−30mg/kgの範囲内であり得る。典型的な処置レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1月に1回、3月に1回または3から6月に1回の投与を必要とする。本発明の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesに対する投与レジメンは、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重を含み、該タンパク質は以下の投与スケジュールの1つを使用して与えられる:4週間ごとに6回投与、次に3月ごと;3週間ごと;3mg/kg体重で1回、次に1mg/kg体重で3週間ごと。
【0184】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、通常、複数回投与される。単一投与間の間隔は、例えば、週ごと、月ごと、3月ごとまたは1年ごとであり得る。間隔は、また、患者における可溶性ポリペプチドの血液レベルを測定することにより示されるとき、不規則であり得る。いくつかの方法において、用量は、約0.1−1000μg/mlおよびいくつかの方法において約5−300μg/mlの血漿ポリペプチド濃度をなし遂げるように調整される。
【0185】
あるいは、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、持続放出製剤として投与することができ、その場合、必要な投与の頻度はより少ない。用量および頻度は、患者における可溶性タンパク質の半減期に依存して変化する。投与の用量および頻度は、処置が予防または治療であるかに依存して変化し得る。予防適用において、比較的低い用量が、長期間にわたって、比較的まれな間隔で投与される。一部の患者は、人生の残りのための処置を受け続ける。治療適用において、疾患の進行が低減されるまで、もしくは終了するまで、または、患者が疾患の症状の部分的もしくは完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い用量が、ときどき必要とされる。その後、該患者は、予防レジメンで投与することができる。
【0186】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量は、患者に毒性がなく、特定の患者、組成物および投与経路について所望の治療応答をなし遂げるために有効である活性成分の量を得るように変化され得る。選択される投与レベルは、使用される本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、使用される特定の化合物の排出速度、処置の期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/もしくは物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および以前の病歴、ならびに医療分野でよく知られている同様の因子を含む種々の薬物動態学因子に依存する。
【0187】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesの「治療有効用量」は、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度および期間の増加、または疾患の苦痛による障害または無力の防止をもたらすことができる。
【0188】
本発明の組成物は、当分野で知られている1つ以上の種々の方法を使用して、1つ以上の投与経路により投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路および/または投与様式は、所望の結果に依存して変化し得る。本発明の可溶性タンパク質に対する投与経路は、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路を含む。本明細書において使用されるフレーズ「非経口投与」は、通常、注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、眼内、経気管、皮下、皮内、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および幹内注射および注入を含むが、これらに限定されない。
【0189】
あるいは、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、経口経路、例えば、局所、表皮または粘膜の投与経路により、例えば、鼻腔内的に、経口的に、経膣的に、経直腸的に、舌下的にまたは局所的に投与することができる。
【0190】
活性成分は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、タンパク質を迅速な放出に対して保護する担体と共に調製することができる。生分解性生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の製造のための多数の方法は、公開されているか、または一般的に当業者に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978参照。
【0191】
治療組成物は、当分野で知られている医療デバイスで投与することができる。例えば、1つの態様において、本発明の治療組成物は、無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824または4,596,556号において示されているデバイスで投与することができる。本発明において有用なよく知られているインプラントおよびモジュールの例は、制御された速度で薬物を分配するための埋め込み型微小注入ポンプを示す米国特許第4,487,603号;皮膚を介して薬物を投与するための治療デバイスを示す米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で薬物を輸送するための薬物注入ポンプを示す米国特許第4,447,233号;連続薬物輸送のための可変流埋め込み型注入デバイスを示す米国特許第4,447,224号;多チャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬送達系を示す米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬送達系を示す米国特許第4,475,196号を含む。多数の他のこのようなインプラント、送達系およびモジュールが、当業者に知られている。
【0192】
1つの態様において、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、インビボで適切な分配を確実にするように処方することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性の化合物を除外する。本発明の治療化合物が(所望により)BBBを越えることを確実にするために、それらは、例えば、リポソーム中で製剤化され得る。リポソームを製造する方法について、例えば、米国特許第4,522,811;5,374,548;および5,399,331号参照。リポソームは、特定の細胞または臓器に選択的に輸送され、したがって標的薬物送達を強化する1つ以上の部分を含み得る(例えば、V.V. Ranade, 1989 J. Cline Pharmacol. 29:685参照)。
【0193】
本発明の使用および方法
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、インビトロおよびインビボでの診断および治療の有用性を有する。例えば、これらの分子は、種々の障害を処置、予防、または診断するために、培養下の細胞に、例えば、インビトロまたはインビボで、または対象に、例えば、インビボで投与することができる。1つの態様において、可溶性SIRPα結合Fusobodiesは、別の方法で拡張を妨げる他の細胞型の存在下で、幹細胞または膵臓ベータ細胞のような他の細胞型のインビトロ拡張において使用することができる。加えて、特に、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、生物体、例えば、ヒトの生物学的サンプル由来の細胞の細胞表面で機能性SIRPαの発現をインビトロで弱める、および定量するために使用される。市販のSIRPα抗体がSIRPβの種々のアイソフォームと交差反応し、細胞表面上のSIRPαタンパク質発現を明確に定量することを困難にさせるため、本願は有用である。したがって、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesの定量化は、診断目的のために使用し、例えば、SIRPαタンパク質発現量と免疫疾患または癌との相関関係を評価することができ、したがって、例えば、接合SIRPα結合タンパク質またはSIRPαに対して標的化される抗体ベースの治療での処置について患者の選択(患者層化)を可能にする。
【0194】
該方法は、SIRPα+細胞が介在する自己免疫性および炎症性疾患、例えば、アレルギー性喘息または潰瘍性大腸炎を処置、予防、または診断に特に適当である。これらは、急性および慢性炎症状態、アレルギーおよびアレルギー性状態、自己免疫疾患、虚血性疾患、重度の感染症、ならびに非ヒト組織の移植(異種移植)を含む細胞、組織または臓器の移植拒絶反応を含む。該方法は、CD47に反応性であり、CD47または他のSIRPαリガンドへの結合を介して機能障害である活性化SIRPβ受容体の異常体または変異体を発現する細胞が介在する自己免疫性および炎症性または悪性障害を処置、予防または診断するために特に適当である。
【0195】
自己免疫疾患の例は、関節炎(例えば、リウマチ性関節炎、関節炎慢性進行性関節炎および変形性関節炎)およびリウマチ性疾患、例えば、骨量減少を伴う炎症状態およびリウマチ性疾患、炎症性疼痛、脊椎関節症、例えば、強直性脊椎炎、ライター症候群、反応性関節炎、乾癬性関節炎および腸関連関節炎、過敏症(気道過敏症および皮膚過敏症の両方を含む)ならびにアレルギーを含むが、これらに限定されない。自己免疫疾患は、自己免疫性血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、純粋な赤血球貧血および特発性血小板減少症を含む)、全身性エリテマトーデス、炎症性筋肉障害、多発性軟骨炎、強皮症(スクレオドーマ(sclerodoma))、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、内分泌眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎および糸球体腎炎(例えば、痛風、ランゲルハンス細胞組織球増加症、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症を含むネフローゼ症候群がある、またはない)、腫瘍、多発性硬化症、皮膚および角膜の炎症性疾患、筋炎、骨のインプラントのゆるみ、代謝障害、例えば、アテローム性動脈硬化症、糖尿病および脂質異常症を含む。
【0196】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、喘息、気管支炎、塵肺症、肺気腫、および他の気道の閉塞性または炎症性疾患の処置、予防または改善のために有用である。
【0197】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、免疫系介在または炎症性筋疾患、例えば、心筋疾患(coronar myopathies)の処置、予防または改善のために有用である。
【0198】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、SIRPαを発現する内皮または平滑筋系を伴う疾患の処置、予防または改善のために有用である。
【0199】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、IgE−介在疾患の処置のために有用である。IgE介在疾患は、多くの一般的な自然吸入および摂取抗原に対して免疫学的に応答する遺伝的傾向ならびにIgE抗体の継続的な生産により特徴付けられるアトピー性障害を含む。特定のアトピー性障害は、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎およびアレルギー性胃腸疾患を含む。
【0200】
しかしながら、IgEレベルの上昇と関連する障害は、遺伝的(アトピー)病因を伴うものに限定されない。IgE介在のようであり、本願発明の製剤で処置することができるIgEレベルの上昇と関連する他の障害は、過敏症(例えば、アナフィラキシー過敏症)、湿疹、蕁麻疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、寄生虫症、高IgE症候群、血管拡張性失調症、ウィスコット−アルドリッチ症候群、胸腺リンパ形成不全症、IgE骨髄腫および移植片対宿主反応を含む。
【0201】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、炎症性経路が、SIRPα+細胞、例えば、活性化ミクログリア細胞が介在する主要神経系の急性疾患の一次治療として有用である。例えば、特定の適用は、治癒を加速し、リンパ球構造の形成および神経系の一部に対する抗体自己反応性を防止するための、脊髄損傷後の活性化ミクログリア細胞のサイレンシングであり得る。
【0202】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、単独の活性成分として、または、例えば、アジュバントと共に、他の薬物、例えば、免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤と共に、例えば、上記疾患の処置または予防のために投与され得る。例えば、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、DMARD、例えば、金塩、スルファサラジン、抗マラリア剤、メトトレキサート、D−ペニシラミン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、ミノサイクリン、レフルノミド、グルココルチコイド;カルシニューリン阻害剤、例えば、シクロスポリンAまたはFK506;リンパ球再循環のモジュレーター、例えば、FTY720およびFTY720アナログ;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573またはTAFA−93;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロフォスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾルビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスパーガリンまたはその免疫抑制性ホモログ、アナログもしくは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節化合物、例えば、LEA29Y;接着分子阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、ICAM−1もしくは−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤、例えば、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキソルビシンまたは5−フルオロウラシル;抗TNF剤、例えば、TNFに対するモノクローナル抗体、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、CDP870、またはTNF−RIもしくはTNF−RIIに対する受容体構築物、例えば、エタネルセプト、PEG−TNF−RI;炎症性サイトカインのブロッカー、IL−1ブロッカー、例えば、アナキンラまたはIL−1トラップ、AAL160、ACZ 885、IL−6ブロッカー;ケモカインブロッカー、例えば、プロテアーゼの阻害剤または活性化剤、例えば、メタロプロテアーゼ、抗IL−15抗体、抗IL−6抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗IL17抗体、抗IL12抗体、抗IL12R抗体、抗IL23抗体、抗IL23R抗体、抗IL21抗体、NSAID、例えば、アスピリン、イブプロフェン(ibuprophen)、パラセタモール、ナプロキセン、選択的Cox2阻害剤、組み合わせられたCox1および2阻害剤様ジクロフェナク、または抗感染因子(一覧は、上記の薬剤に限定されない)と組み合わせて使用され得る。
【0203】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、特に閉塞性または炎症性気道疾患、例えば、上記のものの処置における抗炎症薬物または気管支拡張薬物と共に使用するための共治療剤として、例えば、このような薬物の治療活性の増強剤として、またはこのような薬物の必要とする用量もしくは起こりうる副作用を減少させる手段として有用である。本発明の薬剤は、固定医薬組成物中で抗炎症薬物もしくは気管支拡張薬物と混合されてもよく、または抗炎症薬物もしくは気管支拡張薬物と別々に、その前に、同時に、またはその後に投与されてもよい。このような抗炎症薬物は、ステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾンまたはモメタゾン、およびドーパミン受容体アゴニスト、例えば、カベルゴリン、ブロモクリプチンまたはロピニロールを含む。このような気管支拡張薬物は、抗コリンまたは抗ムスカリン性薬剤、特に臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムおよび臭化チオトロピウムを含む。
【0204】
本発明の薬剤およびステロイドの組合せは、例えば、COPD、または特に喘息の処置において使用され得る。本発明の薬剤および抗コリンもしくは抗ムスカリン剤またはドーパミン受容体アゴニストの組合せは、例えば、または特にCOPDの処置において使用され得る。
【0205】
上記にしたがって、本発明は、また、上記の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを必要とする対象、特にヒト対象に投与することを含む閉塞性または炎症性気道疾患の処置のための方法を提供する。別の局面において、本発明は、閉塞性または炎症性気道疾患の処置のための薬剤の製造における使用のための上記の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを提供する。
【0206】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、また、特に、慢性消化器炎症、例えば、炎症性腸疾患、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎の処置、予防または改善のために有用である。
【0207】
「慢性消化器炎症」は、比較的長い期間の発症により特徴付けられ、持続し(例えば、数日間、数週間、数ヶ月または数年から、最大で対象の最期まで)、単核細胞の浸潤または流入と関連し、自発的寛解および自発的発生の期間とさらに関連する胃腸管の粘膜の炎症を示す。したがって、慢性消化器炎症を有する対象は、長期間の監視、観察または世話を必要とすると予期され得る。このような慢性炎症を有する「慢性消化器炎症状態」(「慢性消化器炎症性疾患」としても称される)は、炎症性腸疾患(IBD)、環境障害により引き起こされる大腸炎(例えば、治療レジメン、例えば、化学療法、放射線療法などの投与により引き起こされるか、またはそれらと関連する(例えば、副作用)消化器炎症(例えば、大腸炎))、慢性肉芽腫症のような状態における大腸炎(Schappiら Arch Dis Child. 2001 February;1984(2):147-151)、セリアック疾患、セリアック病(グルテンとして知られるタンパク質の吸入に応答して、腸の内層が炎症を起こす遺伝性疾患)、食物アレルギー、胃炎、感染性胃炎または腸炎(例えば、ヘリコバクターピロリ感染慢性活動性胃炎)および他の感染因子与により引き起こされる消化器炎症の形態および他の同様の状態を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
【0208】
本明細書において使用される「炎症性腸疾患」または「IBD」は、すべてまたは一部の腸の炎症により特徴付けられるあらゆる種々の疾患を示す。炎症性腸疾患の例は、クローン病および潰瘍性大腸炎を含むが、これらに限定されない。本明細書におけるIBDへの言及は、しばしば、明細書において、典型的な消化器炎症状態として言及されるが、限定されることを意図しない。
【0209】
上記にしたがって、本発明は、また、上記の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを必要とされる対象、特にヒト対象に投与することを含む、慢性消化器炎症または炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎の処置のための方法を提供する。別の局面において、本発明は、慢性消化器炎症または炎症性腸疾患の処置のための薬剤の製造における使用のための上記可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesを提供する。
【0210】
本発明は、また、白血病または他の癌の処置、予防または改善において有用である。例えば、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、急性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、膀胱癌、ランゲルハンス細胞組織球増加症の悪性形態から選択される癌の処置、予防または改善において使用することができる。
【0211】
SIRPα−CD47相互作用の調節は、造血幹細胞生着を増加させるために使用することができる(例えば、CD47−Fc融合タンパク質の使用に関するWO2009/046541参照)。したがって、本発明、および、例えば、可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesは、ヒト造血幹細胞生着を増加させるために有用である。造血幹細胞生着は、造血障害または遺伝性免疫不全症、自己免疫疾患もしくは造血障害に罹患しているか、または何らかの骨髄機能廃絶処置を受けた患者の症状を処置または減少するために使用することができる。例えば、このような造血障害は、急性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、再生不良性貧血、赤芽球癆、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ファンコニ貧血、サラセミアメジャー、鎌状細胞貧血、重症複合免疫不全、ウィスコット・オールドリッチ症候群、血球貪食性リンパ組織球症および先天性代謝異常から選択される。したがって、1つの態様において、本発明は、特に、造血幹細胞生着を改善するために造血幹細胞を含む拡大した細胞集団での処置後の、急性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患s、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、再生不良性貧血、赤芽球癆、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ファンコニ貧血、サラセミアメジャー、鎌状細胞貧血、重症複合免疫不全、ウィスコット・オールドリッチ症候群、血球貪食性リンパ組織球症および先天性代謝異常から選択される造血障害の処置における使用のための可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesに関する。
【0212】
また、本発明は、治療有効量の可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodies、および少なくとも1つの第2の薬物の共投与、例えば、同時に、または連続しての投与を含む上記定義の方法であって、該第2の薬物が、例えば、上記の、免疫抑制/免疫調節、抗炎症性化学療法または抗感染症薬物である方法を包含する。
【0213】
または、治療的組み合わせ、例えば、キットは、治療有効量のa)可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodies、ならびにb)例えば、上記の、免疫抑制/免疫調節、抗炎症性化学療法または抗感染症薬物から選択される少なくとも1つの第2の物質を含む。キットは、投与のための指示書を含み得る。
【0214】
可溶性SIRPα結合タンパク質またはFusobodiesが、他の免疫抑制/免疫調節、抗炎症性化学療法または抗感染症療法と共に投与されるとき、共投与される組合せ化合物の用量は、もちろん使用される共薬物の型、処置される状態などに依存して変化する。
【0215】
本発明は完全に記載されており、以下の実施例および特許請求の範囲によりさらに説明されるが、これは、説明のためであり、さらに限定的であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】SIRPα結合Fusobodyの例の略図
【0217】
【図2】先行技術の二価SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)と比較した組換えSIRPα結合FusobodyのSIRPα結合活性実施例#4のSIRPα結合Fusobodyを、2.2の下に記載されている固定化されたSIRPα−Fcへの二価ビオチン化SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)の結合と競合する能力において、二価SIRPα結合タンパク質と比較する。実施例#4のSIRPα結合Fusobody(三角)は、二価SIRPα結合タンパク質(黒丸)と比較して、ビオチン化CD47−Fc(5nMで使用)の結合と>5倍以上で強く競合する。両方の競合相手の単一のCD47分子の親和性が同一であるため、これらのデータは、先行技術のCD47−Fc融合タンパク質を越えるSIRPα結合Fusobodyの親和性の改良を証明する。
【0218】
【図3】細胞性SIRPαへの組換えSIRPα結合Fusobodyの結合活性実施例#4のSIRPα結合Fusobodyを、SIRPα依存性細胞接着を支持する能力について比較する。蛍光標識されたU937細胞は、種々の濃度の実施例#4の固定化されたSIRPα結合Fusobodyまたは二価SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)に、静的条件下で30分間接着することができる。ゆるい接着または非結合細胞は、流体せん断力により、例えば、2.3に記載されている繰り返される洗浄工程により除去される。データは、実施例#4のSIRPα結合Fusobody(三角)が、二価SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)(黒丸)と比較して、SIRPα+U937細胞の強い付着において>5倍以上で強く支持する(表5)ことを示す。両方の競合相手の親和性が同一であるため、これらのデータは、先行技術のCD47−Fc融合タンパク質を越える細胞結合標的に対するSIRPα結合Fusobodyの親和性の改良を証明する。
【0219】
【図4】全血中のヒトSIRPα+単球へのSIRPα結合Fusobody(実施例#4)の特異的結合および非標識SIRPα結合タンパク質との競合 実施例#4のSIRPα結合Fusobodyは、例えば、CD47を高発現する赤血球の存在下で、全血中のCD14+単球に効率的に結合する。結合は、実施例#4のAx647−フルオロクロム標識されたSIRPα結合Fusobodyを使用するヒト全血におけるフローサイトメトリーにより定量した(2.4における方法)。結合は、非標識SIRPα結合Fusobody(三角)または先行技術のSIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)(黒丸)により濃度依存的に妨害される。血液サンプルを20μg/mlの抗SIRPα抗体(クローン148)で処理し、実施例#4のAx647−フルオロクロム標識されたSIRPα結合Fusobodyを加えたとき、実施例#4のAx647−フルオロクロム標識されたSIRPα結合Fusobodyは、CD14+単球と相互作用することができなかった。リンパ球TまたはB細胞への結合は、観察されなかった(示されていない)。全血中のヒトSIRPα+単球へのSIRPα結合Fusobodyの優れた結合は、非標識の先行技術の二価SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)と弱い競合(得られたIC50値が約20−50倍高い、表5)により表される。コントロールヒトIgG1(四角)は、CD14+単球へのAx647−フルオロクロム標識されたSIRPα結合Fusobodyの結合に影響しなかった。
【0220】
【図5】実施例#4のSIRPα結合Fusobodyは、pM有効性で、インビトロでエノサイト(onocyte)由来ヒト樹状細胞からのサイトカイン放出をサイレンシングする GMSCF/IL4で分化した単球由来樹状細胞を、実施例#4のSIRPα結合FusobodyまたはコントロールとしてヒトIgG1の存在下で一晩、SAC粒子(黄色ブドウ球菌コワン株、0.01%)で刺激する。実施例#4のSIRPα結合Fusobodyは、pM有効性で、TNFα、IL6およびIL12の上清へのサイトカイン放出を妨害した。
【0221】
【図6】マウス代理出産(surrogates)のSIRPα結合Fusobodiesは、動物を抗原誘発肺炎症の発症から保護する、ヒトアレルギー性喘息の疾患パラメーターを模倣するモデル 100μg/動物のマウスSIRPα結合Fusobodies(mCD47 C15G Fusobody)(重鎖配列番号:31、軽鎖配列番号:32、左グラフ)またはmCD47 Fusobody(重鎖配列番号:33、軽鎖配列番号:34、右グラフ)の2回の腹腔内投与でのマウスの処置は、コントロールと比較して、エアロゾル抗原攻撃後のBALF中の全細胞数ならびに好酸球(eos)、好中球(neu)およびリンパ球(lymp)の数を減少させた。したがって、両方のマウスSIRPα結合Fusobodiesは、アレルギー性喘息の発症からマウスを強力に保護した。n=グループあたりの使用された動物の数。
【0222】
【図7】マウス代理出産のSIRPα結合Fusobodiesは、TNBS−大腸炎の重症度を減少させる、ヒト大腸炎の病理学的局面を模倣するモデル 100μg/動物のマウスSIRPα結合Fusobodies(mCD47 C15G Fusobody)(重鎖配列番号:31、軽鎖配列番号:32)の3−4回の腹腔内投与でのマウスの処置は、体重減少により示されるTNBSにより誘発される炎症性大腸炎の重症度を統計的に有意に減少させた。TNBSでの疾患再誘導から7日後、mCD47 C15G Fusobody処置動物は、PBSまたはコントロール IgGコントロールを越える体重を維持した。したがって、マウスSIRPα結合タンパク質(mCD47−C15G Fusobody)の注射は、疾患発症の重症度を能動的に妨害する。データは、試験化合物の3または4のいずれかの連続投与での2つの異なる実験の要約である。n=グループあたりの使用された動物の数。
【実施例】
【0223】
実施例
1.本発明のSIRPα結合Fusobodiesの実施例
以下の表4は、記載されている重鎖および軽鎖アミノ酸配列をコードするDNAを使用する組換え方法により生産され得る本発明のSIRPα結合Fusobodiesの例を提供する。
【0224】
重鎖および/または軽鎖をコードするDNAは、CD47シグナル配列(例えば、配列番号:10参照)のコード配列をさらに含み得る。例えば、CD47シグナル配列は、生産細胞の外側へのFusobodyの分泌を指向するために、重鎖および軽鎖のN−末端部分で発現される。
表4:
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0225】
2.親和性決定
2.1.一価のSIRPαに対する結合アッセイ(BiaCOREアッセイ)
一価のヒトモノマー状SIRPα−APP CD47の親和性を、例えば、BiaCORE T100装置を使用するBiaCOREにより測定することができる。CM5チップは、標準アミン結合手段を使用してタンパク質Aと固定される。フローセル1を、参照として役立てるためにブランク固定化する。SIRPα結合タンパク質は、タンパク質AのFc結合特性を介して固定される。一価の、例えば、APPタグSIRPα Vドメインタンパク質を、HEK293細胞において発現させる。APP−SIRPαを、1:2の係数により12回連続希釈する。開始濃度は、25μM−0.5μMである。親和性データは、参照のAPP−SIRPα濃度系列の注入後、フローセルを測定することにより得られる。チップ表面は、50mMのクエン酸塩溶液によるそれぞれのアナライトの注入後に再生される。
【0226】
一価のSIRPα−APPとの相互作用は、報告されたSIRPα(1−2μM、Heatherleyら 2008 Mol Cell.)と一価のCD47 Vドメインとの相互作用と同様の親和性を示す3μMのKとして測定されるか、または二価SIRPα結合タンパク質(CD47−Fc)を使用して測定される(3μM)。
【0227】
あるいは、二価組換えSIRPαへのSIRPα結合タンパク質の結合は、BiaCOREにより特徴付けることができる。該ヒトSIRPα−Fc(10μg/mL、R&D systems, UK)は、それぞれEDC/NHSまたはエタノールアミンのような標準手段による表面活性化/不活性化後に、酢酸バッファーpH4.5中でCM5(カルボキシメチルデキストランマトリックス)BiaCOREチップ上に固定化することができる。評価は、接触時間120秒、解離時間240秒および流速50μl/分により行うことができる。それぞれのアナライトの注入後、チップは、Gentle溶離バッファー(ThermoScientific)で再生することができる。
【0228】
2.2.SIRPαへの組換えCD47融合タンパク質結合での競合アッセイ
試験を、384−ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)にて行う。固定化されたヒトSIRPα−Fc融合タンパク質(0.5μg/mL、R&D systems, UK)を、CD47−ECD IgG1 Fc融合タンパク質(CD47−Fc、5nM)またはビオチン化CD47 Fusobody(実施例#4、1nM)のいずれか、および種々の濃度(30nM−0.003nM)の非標識SIRPα結合タンパク質または非標識SIRPα結合Fusobodiesからなるビオチン化SIRPα結合タンパク質の混合物とインキュベートする。RTで18時間複合体形成後、非結合タンパク質を、大規模洗浄により除去する。結合ビオチン化CD47−融合タンパク質を、ストレプトアビジン−ユーロピウム(PerkinElmer reagents)を介して検出する。標識Eu3+を、VICTOR2リーダー(PerkinElmer)を使用する解離増強時間分解蛍光(TRF)を使用して測定する。
【0229】
2.3.U937細胞を使用するプレートベースの細胞接着アッセイ
SIRPα(ATCC)を発現する組織球性細胞系であるU937細胞を、標準細胞培養条件下で10%のウシ胎児血清および抗生物質を補ったRPMI1640中で増殖させる(全てInvitrogenから)。試験の前日に、細胞を1:1に分ける。細胞を回収し、ウシ血清アルブミン(BSA, SIGMA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS, SIGMA)(PBS/BSA)に再懸濁する。細胞は、5μg/mLのBCECF−AM(Invitrogen)または等量のCalcein AM(Invitrogen)のような色素で20分37℃で標識することができる。非結合BCECF−AMを洗浄工程により除去する。細胞を数え、数を0.5%のBSAを補ったRPMI 1640中で1×10細胞/mLに調節する。96ウェルプレートを、0.1MのNaHCθ/NaCθバッファー中、3μg/mlの抗ヒトFcヤギIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories)をウェル当たり60μlで一晩でコーティングする。プレートをPBSで2回洗浄し、30分間PBS中の1.5%のBSAで(250μL/ウェル)でブロックし、次に、種々の濃度の可溶性SIRPα結合FusobodiesのようなSIRPα結合タンパク質またはCD47−ECD IgG1 Fc融合タンパク質(CD47−Fc、CD47 ECDのSeq1)(CD47−Fc)(0.01および30nM)とインキュベートする。RTで2時間後、プレートをPBS/BSAで2回洗浄し、BCECF標識U937細胞(ウェルあたり100000細胞)を加える。37℃で30分インキュベーション後、U937細胞を、0.5%のBSAを補ったRPMI 1640を使用する繰返し手動または自動洗浄工程による流体せん断応力に付す。一般的に、4−5回の洗浄工程が、ゆるい接着または非結合細胞を除去するために必要である。残りのU937接着細胞の蛍光は、VICTOR2 プレートリーダー(PerkinElmer)を使用することにより定量する。
【0230】
2.4.全血ヒト細胞結合アッセイ
健常者由来のヒト血液を、倫理ガイドラインを適用してNa−ヘパリンコートバキュテナー(BectonDickinison, BD)に回収する。血液を、96−ウェルディープウェルポリプロピレンプレート(Costar)にアリコートし、氷上で最終0.1%w/vのアジ化ナトリウムの存在下で種々の濃度の可溶性SIRPα結合FusobodiesのようなSIRPα結合タンパク質またはCD47−ECD IgG1 Fc融合タンパク質(CD47−Fc、CD47 ECDのSeq1)(CD47−Fc)とインキュベートする。フルオロクロム Alexa Fluor 647(AX647)を、標識キット(Invitrogen)を使用してSIRPα結合タンパク質に接合させることができる。AX647接合SIRPα結合タンパク質、例えば、実施例#4に記載されているFusobodyを、氷上で30分1−10nMの濃度で全血サンプルに加えることができる。最後の15分間に、表現型細胞表面マーカーに対する濃度最適化抗体を加える:CD14−PE(クローンMEM18、Immunotools, Germany)、CD3 Percp−Cy5.5(クローンSK7、BD)、CD16 FITC(クローン3G8、BD)。全血を、10×容量のFACSLYSING溶液(BD)の添加およびRTで10分間インキュベーションにより溶解する。サンプルを、0.5%のウシ血清アルブミン(SIGMA−ALDRICH)を含むリン酸バッファー溶液で2回洗浄する。サンプルを、溶解後24時間以内にFacs Canto II(BD)上で回収する。細胞サブセットを、単球光散乱プロフィールにしたがって、およびCD14+およびCD3− 発現によりゲートする。これらの細胞サブセットの蛍光ヒストグラムを作成し、読出した情報として中央蛍光強度を持つと統計的に評価することができる。
【0231】
3.炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン1株粒子刺激放出の阻害を測定するための樹状細胞サイトカイン放出アッセイ
末梢血単球(CD14+)ならびに単球由来樹状細胞(DC)は、(Latourら J of Immunol, 2001: 167:2547)に記載されているとおりに製造される。慣用の(DC)は、アロフィコシアニン(APC)標識抗−CD11c(B−ly6)、リネッジマーカー、CD3、CD14、CD15、CD16、CD19およびCD56に対するFITC標識mAbおよびAPC−Cy7標識CD4(RPA−T4)の混合物を使用することにより、FACS Aria(BD Biosciences)により、CD11c+、リネッジ(lineage)−として単離され、>99%の純度を達成する。APCを、HB101またはX−VIVO15無血清培地中で種々の濃度のヒトSIRPα結合Fusobodies(1から10000pM)の存在下で、1/40.000(Pansorbin)での黄色ブドウ球菌コワン1粒子で刺激する。サイトカイン(IL−1、IL−6、IL−10、IL−12p70、IL−23、IL−8およびTNF−α)放出は、24時間または48時間培養上清中のELISAにより測定される。
【0232】
4.肺炎症を防止するためのSIRPα結合タンパク質の使用のための炎症性肺疾患(OVA−喘息)のマウスモデル
メスBALB/c(6から8週齢)を、特定の病原体未感染条件下で維持されたCharles Riverから購入する。BALB/cマウスを、0および5日目に、ヒトIgG1骨格(mCD47 Fusobody:重鎖配列番号:34、軽鎖配列番号:35、またはmCD47 C15G Fusobody:重鎖配列番号:31、軽鎖配列番号:32)に融合した、C15G変異有り(mCD47 C15G Fusobody)または該変異無し(mCD47 Fusobody)のマウスCD47細胞外IgSFドメインを含む100μgのマウスSIRPα結合Fusobodies、またはコントロールヒトIgG1の非存在(PBSコントロール)または存在下で、1mgのImject Alum(Pierce)に吸着した10μgのOVAの腹腔内(IP)注射により感作した。12、16および20日目に、マウスを、0.5%のOVA エアロゾル(Sigma, Grade V)で30分間抗原投与する。最後の抗原投与から24時間後に、マウスを殺す。気管支肺胞洗浄液(BALF)を、0.5mLの生理食塩水で4回回収する。モデルの略図は、図6に記載されている。
【0233】
BALF中の全細胞を、抗−CCR3、抗−B220(R&D systems)および抗−CD3(クローン145−2C11)で染色し、フローサイトメトリーにより分析した。全てのデータをFACSAria II(BD Biosciences)にて得た。統計分析を、対応のないスチューデントT検定およびノンパラメトリックなマン−ホイットニーU検定を使用して行った。***P<0.001、**P<0.01、*P<0.05。
【0234】
5.SIRPα結合タンパク質の使用のための大腸炎のマウス動物モデル
トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)(2または3mg)を50%のエタノールに溶解し、3.5Fカテーテルを介してオスBalb/cマウス(WTおよびCD47 KO)の大腸に染みこませる。コントロールマウスは、エタノール単独を与える。1.5mgのTNBSマウスの滴下により、TNBS大腸炎を数匹の動物(図7に示されているとおり)において7日目に再誘発する。マウスを24時間毎に計量する。マウスを14日目に殺す。血清、腸間膜リンパ節節および大腸を、さらなる分析のために回収する。大腸を、下痢、接着、腸壁の肥厚および潰瘍の存在を考慮に入れるWallace基準を使用して肉眼的にスコアリングすることができる。それらは、粘膜下層の肥厚、単核細胞での粘膜下層および固有層の浸潤、粘液枯渇、陰窩構造の喪失および浮腫に基づく採点システムであるAmeho基準を使用して炎症の顕微鏡的マーカーについて評価することができる(データは示されていない)。組換えマウスSIRPα結合タンパク質(mCD47 C15G Fusobody)を、TNBS大腸炎誘導の直前およびその後24時間目および48時間目および数匹の動物において72時間目に、腹腔内に(100μg/マウス)投与する。コントロールマウスに、リン酸緩衝生理食塩水単独(PBS)またはコントロールIgG1を与える。
【0235】
結果
表4に記載されているSIRPα結合Fusobody(実施例#4)の結合および他の機能特性は、以下の表5に示され、二価CD47−Fc融合の特性と比較する。
表5:
【表8】

【0236】
本発明の実施例の重鎖の機能特性は、表6に記載されている。
表6:
【表9】

* huCD47−Fusobodyとの競合
【0237】
炎症性肺疾患(OVA−喘息)のモデルにおけるSIRPα結合Fusobodiesのインビボ有効性
ヒトおよび齧歯動物CD47/SIRPαタンパク質間の種間交差反応性が挙げられないため(示されていない)、マウスSIRPα結合Fusobodiesを、ヒトSIRPα結合タンパク質と同様に産生した。野生型(配列番号:33)またはC15G変異(配列番号:30)のいずれかのCD47部分(mCD47 Fusobody:重鎖配列番号:34、軽鎖配列番号:35、またはmCD47 C15G Fusobody:重鎖配列番号:31、軽鎖配列番号:32)を含むSIRPα結合Fusobodiesを、哺乳動物一時的発現系においてヒトIgG融合タンパク質として産生し、標準手段により会合体非含有およびエンドトキシン非含有材料を生産するために精製した。
【0238】
マウスSIRPα結合Fusobodies(mCD47 C15G FusobodyまたはmCD47 Fusobody)でのマウスの処置は、アレルギー性喘息の発症からマウスを強く保護する。図6に示されるとおり、SIRPα結合Fusobodiesのいずれかの腹腔内への2×100μg/動物でのマウスの処置は、コントロールと比較して、エアロゾル抗原攻撃後の気管支肺胞洗浄液(BALF)における全細胞数ならびに好酸球、好中球およびリンパ球の数を強力に減少させた。対照的に、不適切な特異性を有するヒトIgG1またはPBSのいずれかで処置されたコントロールグループにおいて、BALFへの白血球の劇症浸潤を観察した。BALFへのこれらの種々の白血球サブセットの流入は、一般的に、炎症性肺疾患の重症度と強く関連するマーカーと見なされる。このモデルはまた、ヒトアレルギー性喘息において見られる病理学的局面を模倣するために有用であると見なされる。これらのデータは、a)Fusobodyタンパク質フォーマットはインビボで活性であること、およびb)SIRPα結合Fusobodiesはインビボで強い有効性を介在すること、およびc)CD47のC15、例えば、通常、細胞性CD47の膜貫通ループのC235へのジスルフィド架橋を形成するアミノ酸は(Rebresら Biol Chem 2001)インビボで強力な有効性のために必要でないことを証明する。
【0239】
炎症性大腸疾患(TNBS大腸炎)のモデルにおけるSIRPα結合Fusobodiesのインビボでの有効性
100μg/動物のマウスSIRPα結合Fusobody(mCD47 C15G Fusobody、重鎖配列番号:31、軽鎖配列番号:32)の3−4回の腹腔内投与でのマウスの処置は、統計的に有意に減少した体重減少により示されるTNBSにより誘発される炎症性大腸炎の重症度を減少させた。TNBSでの疾患再誘導から7日後、mCD47 C15G Fusobody処置動物は、PBSまたはコントロール IgGコントロールを越える体重を維持した。したがって、マウスSIRPα結合タンパク質(mCD47−C15G Fusobody)の注射は、TNBS大腸炎における疾患発症の重症度を能動的に妨害する。データは、試験化合物の3または4のいずれかの連続投与での2つの異なる実験の要約である。n=グループあたりの使用された動物の数.
【0240】
本発明を実施するために有用なアミノ酸およびヌクレオチド配列
表7A:本発明を実施するために有用なアミノ酸およびヌクレオチド配列の簡単な説明
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【0241】
表7B:配列表
【表15】

【表16】

【0242】
【表17】

【表18】

【0243】
【表19】

【表20】

【0244】
【表21】

【表22】

【0245】
【表23】

【表24】

【0246】
【表25】

【表26】

【0247】
【表27】

【表28】

【0248】
【表29】

【表30】

【0249】
【表31】

【表32】

【0250】
【表33】

【表34】

【0251】
【表35】

【表36】

【0252】
【表37】

【表38】

【0253】
【表39】

【表40】

【0254】
【表41】

【表42】

【0255】
【表43】

【表44】

【0256】
【表45】

【表46】

【0257】
【表47】

【表48】

【0258】
【表49】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に、
(i)抗体の重鎖定常領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の軽鎖定常領域に融合した同じ結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質。
【請求項2】
少なくとも2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に、
(i)抗体のC1定常重鎖領域に融合した哺乳動物結合分子の領域を含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体のC定常軽鎖領域に融合した同じ結合分子の領域を含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質。
【請求項3】
該哺乳動物結合分子の領域が同じである、請求項1または請求項2に記載の可溶性タンパク質。
【請求項4】
該哺乳動物結合分子が、タンパク質、サイトカイン、成長因子、ホルモン、シグナル伝達タンパク質、炎症性メディエーター、低分子量化合物、リガンド、細胞表面受容体、またはそれらのフラグメントである、請求項1から3のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項5】
該哺乳動物結合分子が、モノマー状またはホモポリマー状細胞表面受容体の細胞外ドメインである、請求項4に記載の可溶性タンパク質。
【請求項6】
該哺乳動物モノマー状またはホモポリマー状細胞表面受容体がIgSFドメインを含む、請求項5に記載の可溶性タンパク質。
【請求項7】
該哺乳動物モノマー状細胞表面受容体の細胞外ドメインがCD47の細胞外ドメインである、請求項5または請求項6に記載の可溶性タンパク質。
【請求項8】
2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に、
(i)抗体のC1定常重鎖領域のN−末端部分で融合した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド、および
(ii)抗体のC定常軽鎖領域のN−末端部分で融合した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質。
【請求項9】
2つのヘテロダイマーの複合体を含む可溶性タンパク質であって、それぞれのヘテロダイマーは、本質的に、
(i)抗体の重鎖定常領域に融合した第1のSIRPα結合ドメインを含む第1の一価の一本鎖ポリペプチド;および
(ii)抗体の軽鎖定常領域に融合した第2のSIRPα結合ドメインを含む第2の一価の一本鎖ポリペプチド
からなる可溶性タンパク質。
【請求項10】
該第1および第2の一価の一本鎖ポリペプチドが、それぞれC1定常重鎖およびC定常軽鎖のN−末端部分に融合している、請求項1から9のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項11】
該第1および第2のSIRPα結合ドメインが、互いに少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を共有する、請求項8から10のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項12】
BiaCOREアッセイにおいて測定されるとき、4μM以下のKでヒトSIRPαに結合する、請求項7から11のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項13】
プレートベースの細胞接着アッセイにおいて測定されるとき、2nM以下のEC50でSIRPα+白血球の接着を促進する、請求項8から12のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項14】
インビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン(Cowan)株粒子刺激放出を阻害する、請求項8から13のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項15】
樹状細胞サイトカイン放出アッセイにおいて測定されるとき、0.2nM以下のIC50でインビトロで産生された単球由来樹状細胞における炎症性サイトカインの黄色ブドウ球菌コワン株粒子刺激放出を阻害する、請求項14に記載の可溶性タンパク質。
【請求項16】
該それぞれのヘテロダイマーの第1および第2の一本鎖ポリペプチドが、ジスルフィド架橋により共有結合している、請求項1から15のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項17】
それぞれのヘテロダイマーが、ペプチドリンカーの非存在下で、それぞれの定常領域に融合したその第1および第2のSIRPα結合ドメインを有する、請求項8から16のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項18】
それぞれのヘテロダイマーが、ペプチドリンカーを介してそれぞれの定常領域に融合したその第1および第2のSIRPα結合ドメインを有する、請求項8から16のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項19】
該ペプチドリンカーが5−20個のアミノ酸からなる、請求項18に記載の可溶性タンパク質。
【請求項20】
該ペプチドリンカーが、グリシンおよびセリンアミノ酸のポリマー、好ましくは(GGGGS)であり、nは1から4のいずれかの整数、好ましくは2である、請求項18または請求項19に記載の可溶性タンパク質。
【請求項21】
本質的に2つのヘテロダイマーからなる請求項1から20のいずれかに記載の可溶性タンパク質であって、該それぞれのヘテロダイマーの第1の一本鎖ポリペプチドが免疫グロブリン定常部分のヒンジ領域を含み、該少なくとも2つのヘテロダイマーが該ヒンジ領域でジスルフィド架橋により互いに安定に結合している可溶性タンパク質。
【請求項22】
抗体のC1、C2およびC3領域が、減少したADCCエフェクター機能を有するヒトIgG1、IgG2またはIgG4の対応する領域のサイレント変異体由来である、請求項9から21のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項23】
、少なくとも1つのSIRPα結合ドメインが、
(i)ヒトCD47の細胞外ドメイン;
(ii)配列番号:4のポリペプチドまたはSIRPα結合特性を保持する配列番号:4のフラグメント;および、
(iii)配列番号:4と少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有し、SIRPα結合特性を保持する配列番号:4の変異体ポリペプチド
からなる群から選択される、請求項8から22のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項24】
全てのSIRPα結合ドメインが同一のアミノ酸配列を有する、請求項8から23のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項25】
該SIRPα結合ドメインの同一のアミノ酸配列が、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:21および配列番号:23からなる群から選択される、請求項24に記載の可溶性タンパク質。
【請求項26】
2つのヘテロダイマーを含む可溶性タンパク質であって、該ヘテロダイマーが、
(i)配列番号:5の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:6の第2の一本鎖ポリペプチド;
(ii)配列番号:18の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:6の第2の一本鎖ポリペプチド;
(iii)配列番号:19の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:20の第2の一本鎖ポリペプチド;
(iv)配列番号:12の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:13の第2の一本鎖ポリペプチド;
(v)配列番号:24の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:25の第2の一本鎖ポリペプチド;
(vi)配列番号:36の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:37の第2の一本鎖ポリペプチド;
(vii)配列番号:38の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:39の第2の一本鎖ポリペプチド;
(viii)配列番号:40の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:41の第2の一本鎖ポリペプチド;
(ix)配列番号:42の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:43の第2の一本鎖ポリペプチド;
(x)配列番号:44の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:45の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xi)配列番号:46の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:47の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xii)配列番号:48の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:49の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xiii)配列番号:50の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:51の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xiv)配列番号:52の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:53の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xv)配列番号:54の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:55の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xvi)配列番号:56の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:57の第2の一本鎖ポリペプチド;
(xvii)配列番号:58の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:20の第2の一本鎖ポリペプチド;または
(xviii)配列番号:29の第1の一本鎖ポリペプチドおよび配列番号:20の第2の一本鎖ポリペプチド
のいずれかを含む可溶性タンパク質。
【請求項27】
請求項26に記載の可溶性タンパク質の対応する第1および第2の一本鎖ポリペプチドと、少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有する該第1の一本鎖および第2の一本鎖ポリペプチド配列を含む、請求項9から25のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項28】
請求項26に記載の可溶性タンパク質の対応する第1および第2の一本鎖ポリペプチドと、少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98または99パーセントの配列同一性を有するSIRPα結合ドメイン配列を含む、請求項9から25のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項29】
(i)配列番号:10のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:11のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(ii)配列番号:59のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(iii)配列番号:61のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:62のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(iv)配列番号:63のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:64のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(v)配列番号:65のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:66のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(vi)配列番号:67のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:68のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(vii)配列番号:69のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:70のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(viii)配列番号:71のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:72のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(ix)配列番号:73のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:74のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(x)配列番号:75のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:76のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xi)配列番号:77のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:78のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xii)配列番号:79のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:80のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xiii)配列番号:81のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:82のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xiv)配列番号:83のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:84のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xv)配列番号:85のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:86のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、
(xvi)配列番号:87のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖、または
(xvii)配列番号:88のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖;および配列番号:60のヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖
を含む、請求項1から28のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項30】
薬物または診断ツールとしての使用のための、請求項1から29のいずれかに記載の可溶性タンパク質。
【請求項31】
自己免疫性ならびに急性および慢性炎症性疾患の処置または診断における使用のための、請求項30に記載の可溶性タンパク質。
【請求項32】
Th2介在気道炎症、アレルギー性疾患、喘息、炎症性腸疾患および関節炎からなる群から選択される処置における使用のための、請求項31に記載の可溶性タンパク質。
【請求項33】
虚血性疾患、白血病または他の癌の処置における使用のための、請求項30に記載の可溶性タンパク質。
【請求項34】
必要とする対象における造血幹生着の増加における使用のための、請求項30に記載の可溶性タンパク質。
【請求項35】
1つ以上の薬学的に許容されるビヒクルと共に、請求項1−29のいずれかに記載の可溶性タンパク質を含む医薬組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの他の活性成分をさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
請求項1−29のいずれかに記載の可溶性タンパク質の1つのヘテロダイマーの少なくとも1つの一本鎖ポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項38】
配列番号:10、配列番号:11、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87および配列番号:88からなる群から選択される少なくとも1つの核酸を含むクローニングまたは発現ベクター。
【請求項39】
該タンパク質の該ヘテロダイマーの該第1および第2の一本鎖ポリペプチドをコードする核酸、および所望により、分泌シグナルを含む、請求項1−29のいずれかに記載の可溶性タンパク質の生産のために適当な組換え宿主細胞。
【請求項40】
ゲノム中に安定に組み込まれている、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号:82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87および配列番号:88の核酸を含む、請求項39に記載の組換え宿主細胞。
【請求項41】
該宿主が哺乳動物細胞系である、請求項39または請求項40に記載の組換え宿主細胞。
【請求項42】
該可溶性タンパク質の生産のための適当な条件下で請求項39から41のいずれかに記載の宿主細胞を培養すること、および該タンパク質を単離することを含む、請求項1から29のいずれかに記載の可溶性タンパク質の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−514795(P2013−514795A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545290(P2012−545290)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070355
【国際公開番号】WO2011/076781
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】