説明

治療に有用な化合物

式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体(式中、XはNRまたはOを表し、Rは水素、C1〜8アルキルまたはSO[C1〜8アルキル]を表し、WはNまたはCHを表し、YおよびY’は独立に、水素、ハロゲン、OH、CF、OCF、CN、NH、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシまたはC3〜8シクロアルキルを表し、A環は少なくとも1個の窒素原子を含む複素環を表し、Zは直接結合、C1〜8アルキルまたはC3〜8シクロアルキルを表し、RはR、OR、OR−R、N(R)[C1〜8アルキレン]、NCORまたはSRを表し、RおよびRは独立に水素、C3〜8シクロアルキル、CF、ArまたはHetを表し、Rは直接結合またはC1〜8アルキルを表し、は0または1であり、Arは、複素環に縮合されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環を表し、Hetは、下記の1個または複数の基で置換されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環に縮合されていてもよい複素環を表し、出現するごとに、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルは下記の1個または複数の基で独立に置換されていてもよく、上記で言及されたAr、Het、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルに対する置換基は、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシ、S[C1〜8アルキル]、CN、CF、NHおよびOHから独立に選択される)は、不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産およびレイノー病の治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療に有用な新規化合物に関する。そのような化合物およびそれらの調製に使用される中間体の調製方法に関する。本発明はさらに、そのような化合物を含む組成物およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO01/87855号では、グリシントランスポーター活性を有する阻害剤としてのトリアゾール誘導体が開示されている。WO01/58880号および特開2000−63363号では、アルギニンバソプレッシンV1A受容体アンタゴニストとして有用なトリアゾール誘導体が開示されている。Kakefuda et al.,Bioorg.Med.Chem.10(2002)1905−1912およびKakefuda et al.,J.Med.Chem.,2002,45,2589−2598は、4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール誘導体のヒトV1A受容体に対して選択的なアンタゴニストとしての有用性を論じており、4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール構造がV1Aに対する親和性において重要な役割を果たすと論評している。
【0003】
本発明の化合物は有用な薬学特性を有することがわかった。これらの化合物は、侵襲、アルツハイマー病、拒食症、不安、不安障害、喘息、アテローム性動脈硬化症、自閉症、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、白内障、中枢神経系疾患、脳血管虚血、肝硬変、認知障害、クッシング病、うつ病、糖尿病、月経困難症(原発性および続発性)、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内膜症、胃腸疾患、緑内障、婦人科疾患、心臓疾患、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、虚血、虚血性心臓疾患、肺癌、排尿障害、月経間期痛、新生物、腎毒性、非インシュリン依存性糖尿病、肥満、強迫性障害、高眼圧症、子癇前症、早漏、早産、肺疾患、レイノー病、腎疾患、腎不全、男性または女性の性機能障害、敗血症性ショック、睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、尿路性器感染症、および尿路結石から選択される1種または複数の疾患の治療に使用することができる。
【0004】
特に対象となるのは以下の疾患または障害である。不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産およびレイノー病。
【0005】
特に、本発明の化合物はバソプレッシンアンタゴニスト活性を示し、月経困難症(原発性および続発性)の治療に使用することができる。
【0006】
月経障害の領域では満たされていない強い要求が存在し、月経がある女性全体の最大90%が多少なりとも月経障害に罹患していると推定される。最大42%の女性が月経痛のために仕事または他の活動を休んでおり、結果として米国では1年に約6億労働時間が失われていると推定される。{Coco,A.S.(1999).Primary dysmenorrhoea.[Review][30 refs].American Family Physician,60,489−96.}
【0007】
下腹部の月経痛は、子宮筋の機能亢進および子宮の血流減少が原因である。これらの病態生理学的変化は、背中および脚に拡散する腹痛を引き起こす。このため、女性は吐き気を催したり、頭痛になったり、不眠症にかかったりすることがある。この状態は月経困難症と呼ばれ、原発性または続発性のいずれかの月経困難症と分類することができる。
【0008】
状態を引き起こす異常が同定されない場合に、原発性月経困難症と診断される。女性全体の最大50%がこの状態を発症する。{Coco,A.S.(1999).Primary dysmenorrhoea.[Review][30 refs].American Family Physician,60,489−96.;Schroeder,B.& Sanfilippo,J.S.(1999).Dysmenorrhoea and pelvic pain in adolescents.[Review][78 refs].Pediatric Clinics of North America,46,555−71}.子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患(PID)、類線維腫または癌などの原因となる婦人科障害が存在する場合は、続発性月経困難症と診断される。続発性月経困難症と診断されるのは、月経困難症に罹患している女性の約25%のみである。月経困難症は月経過多と併発し得るものであり、このケースは婦人科外来部門への紹介例の約12%を占める。
【0009】
現在、原発性月経困難症に罹患している女性は非ステロイド抗炎症薬(NSAID’s)または経口避妊ピルで治療されている。続発性月経困難症の場合、手術を行って原因の婦人科障害を補正することがある。
【0010】
月経困難症に罹患している女性の血中バソプレッシン濃度は、同一の月経周期で健常女性において観察された値よりも大きい。子宮のバソプレッシン受容体でのバソプレッシンの薬理学的作用を阻害することで、月経困難症を予防することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、式(I)の化合物、
【0012】
【化1】

【0013】
またはその薬学的に許容できる誘導体が提供される
(式中、XはNRまたはOを表し、
Rは水素、C1〜8アルキルまたはSO[C1〜8アルキル]を表し、
WはNまたはCHを表し、
YおよびY’は独立に、水素、ハロゲン、OH、CF、OCF、CN、NH、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシまたはC3〜8シクロアルキルを表し、
A環は少なくとも1個の窒素原子を含む複素環を表し、
Zは直接結合、C1〜8アルキルまたはC3〜8シクロアルキルを表し、
はR、OR、OR−R、N(R)[C1〜8アルキレン]、NCORまたはSRを表し、
およびRは独立に水素、C3〜8シクロアルキル、CF、ArまたはHetを表し、
は直接結合またはC1〜8アルキルを表し、
aは0または1であり、
Arは、複素環に縮合されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環を表し、
Hetは、下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環に縮合されていてもよい複素環を表し、
出現するごとに、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルは下記の1個または複数の基で独立に置換されていてもよく、
上記で言及されたAr、Het、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルに対する置換基は、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシ、S[C1〜8アルキル]、CN、CF、NHおよびOHから独立に選択される)。
【0014】
上記定義において、ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。指示されている場合を除いて必要数の炭素原子を含む基であるアルキルおよびアルキルオキシは、非分枝鎖でも分枝鎖でもよい。アルキルとしては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。アルコキシとしては例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが挙げられる。シクロアルキルとしては例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0015】
特記なき限り、複素環(heterocyclic ring)または複素環式の(heterocyclic)という用語は、N、SおよびOから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む5または6員の飽和、不飽和または芳香環を意味する。「複素環」(heterocycle)の定義に含まれる好ましい複素環としては、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、キナゾリニル、フタラジニル、ベンゾキサゾリルおよびキノキサリニルに加えてそれらの部分または完全飽和形、ならびにアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニルおよびモルホリニルが挙げられる。
【0016】
アリール環という用語は5または6員芳香環を意味する。
【0017】
化合物の好ましい群は、以下の1つまたは複数が当てはまる群である。
(i)XがNRを表す。
(ii)RがMeを表す。
(iii)WがNを表す。
(iv)A環がピペリジニルを表す。
(v)Zが直接結合を表す。
(vi)Rがハロゲンおよび/またはアルキルで置換されたフェニル環を表す。
(vii)Rが窒素を含む5員複素環に縮合されたフェニル環を表す。
【0018】
本発明の好ましい化合物は、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−3−イル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−o−トリル−エタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1−メチル−シクロヘキシル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−シクロプロピル−エタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−6−イル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−フルオロ−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−シクロプロピル−メタノン、
およびその薬学的に許容できる誘導体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体としては、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、錯体、多形、プロドラッグ、立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含む変形が挙げられる。好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびアミドを含む。より好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は塩および溶媒和物である。
【0020】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、その酸付加および塩基塩を含む。
【0021】
好適な酸付加塩は、無毒の塩を形成する酸から形成される。例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、D−およびL−酪酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(palmoate)、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−およびL−酒石酸塩、トシル酸塩ならびにトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。特に好適な塩は、本発明の化合物のベシル酸塩誘導体である。
【0022】
好適な塩基塩は、無毒の塩を形成する塩基から形成される。例えば、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩が挙げられる。
【0023】
好適な塩に関する考察はStahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Wiley−VCH,Weinheim,Germany(2002)を参照されたい。式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、式(I)の化合物の溶液と所望の酸または塩基を適宜一緒に混合することで容易に調製することができる。塩は、溶液から析出させて濾取してもよく、溶媒の蒸発により回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全イオン化からほぼ非イオン化まで変動し得る。
【0024】
本発明の化合物は、非溶媒和物と溶媒和物の両方の形態で存在し得る。本明細書で「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物および1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記述するのに使用する。「水和物」という用語は、前記溶媒が水である場合に使用する。
【0025】
包接化合物、すなわち、上記の溶媒和物とは対照的に、薬物および宿主が化学量論的または非化学量論的量で存在する薬物−宿主包接錯体などの錯体が本発明の範囲に含まれる。化学量論的量でも非化学量論的量でもよい2種以上の有機および/または無機成分を含む薬物の錯体も含まれる。得られた錯体はイオン化、部分イオン化または非イオン化されていてもよい。このような錯体に関する考察はHaleblian,J Pharm Sci,64(8),1269−1288(August 1975)を参照されたい。
【0026】
以下、式(I)の化合物および薬学的に許容できる誘導体に対するすべての言及は、その塩、溶媒和物および錯体、ならびにその塩の溶媒和物および錯体に対する言及を含む。
【0027】
本発明の化合物は、上記定義の式(I)の化合物、下記定義のその多形、プロドラッグ、および異性体(光学、幾何および互変異性体を含む)、ならびに式(I)の同位体標識化合物が含む。
【0028】
前述したように、本発明は上記定義の式(I)の化合物のすべての多形を含む。
【0029】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲に含まれる。したがって、それ自体ほとんどまたは全く薬理活性を有さないことがある式(I)の化合物のある種の誘導体は、身体中または身体上に投与された際に、例えば加水分解により所望の活性を有する式(I)の化合物に転換され得る。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は“Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series(T Higuchi and W Stella)および“Bioreversible Carriers in Drug Design”,Pergamon Press,1987(ed.E B Roche,American Pharmaceutical Association)に見ることができる。
【0030】
本発明のプロドラッグは例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、例えばH Bundgaardの“Design of Prodrugs”(Elsevier,1985)に記載されている「プロ部分」(“pro−moieties”)として当業者に公知であるある種の部分で置換することにより製造することができる。
【0031】
本発明のプロドラッグのいくつかの例としては、以下のプロドラッグが挙げられる。
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含む場合、例えば水素を(C〜C)アルキルで置換することによるそのエステル。
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含む場合、例えば水素を(C〜C)アルカノイルオキシメチルで置換することによるそのエーテル。
(iii)式(I)の化合物が第1級または第2級アミノ官能基(−NHまたはR≠Hである−NHR)を含む場合、例えば1個または両方の水素を(C〜C10)アルカノイルで置換することによるそのアミド。
【0032】
上記の例に係る置換基のさらなる例、および他のプロドラッグの種類の例は、上記の参考文献に見ることができる。
【0033】
最後に、式(I)のある種の化合物は、それ自体式(I)の他の化合物のプロドラッグとして働くことができる。
【0034】
式(I)の化合物の代謝産物もin vivoで形成された場合本発明の範囲に含まれる。
【0035】
1個または複数の不斉炭素原子を含む式(I)の化合物は2種以上の立体異性体として存在することができる。式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が可能であり、該化合物が例えばケトもしくはオキシム基または芳香族部分を含む場合、互変異性(“tautomerism”)が起こり得る。したがって、単一の化合物は2種以上の異性を示すことができる。
【0036】
2種以上の異性を示す化合物を含む、式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体、ならびにその1種または複数の混合物が本発明の範囲に含まれる。対イオンが光学的に活性である酸付加または塩基塩、例えばD−乳酸塩またはL−リシン、あるいは対イオンがラセミ的である酸付加または塩基塩、例えばDL−酒石酸塩またはDL−アルギニンも含まれる。
【0037】
シス/トランス異性体は、当業者に公知である従来の技法、例えば分別再結晶およびクロマトグラフィーにより分離することができる。個別の鏡像異性体を調製/分離するための従来の技法としては、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、あるいは例えばキラルHPLCを用いたラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。
【0038】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、好適な光学活性化合物、例えばアルコール、または、式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含む場合は、酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物はクロマトグラフィーおよび/または分別再結晶で分離することができ、ジアステレオマーの一方または両方を当業者に公知の手段で対応する純粋な鏡像異性体に転換することができる。
【0039】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、鏡像異性体が高濃度の形態で、炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を有し、0〜50%、通常は2〜20%のイソプロパノールおよび0〜5%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含む不斉樹脂上のクロマトグラフィー、通常はHPLCを用いて得ることができる。溶離液の濃縮により高濃度の混合物が得られる。
【0040】
立体異性体の集合体は、当業者に公知である従来の技法で分離することができる。例えばE L Eliel,“Stereochemistry of Organic Compounds”(Wiley,New York,1994)を参照。
【0041】
本発明はまた、1つまたは複数の原子が、同じ原子数を有するが、原子質量または質量数が自然界に通常見られる原子質量または質量数と異なる原子で置換されている、式(I)の化合物のすべての薬学的に許容できる同位体を含む変形を含む。
【0042】
本発明の化合物に好適に含まれる同位体としては、例えばHおよびHなどの水素同位体、11C、13Cおよび14Cなどの炭素同位体、13Nおよび15Nなどの窒素同位体、15O、17Oおよび13Oなどの酸素同位体、32Pなどのリン同位体、35Sなどの硫黄同位体、18Fなどのフッ素同位体、123Iおよび125Iなどのヨウ素同位体、ならびに36Clなどの塩素同位体が挙げられる。
【0043】
式(I)の化合物のある種の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を含む同位体標識化合物は、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位体であるトリチウム、すなわちH、および炭素14、すなわち14Cは、その取り込みが容易であり、検出手段として手軽に使用できるため、この目的に特に有用である。
【0044】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体での置換は、より大きい代謝安定性に起因するある種の治療上の利点、例えばin vivo半減期の増大または必要用量の減少をもたらすことができるため、ある状況では好ましいと思われる。
【0045】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調査する陽電子放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)で有用である。
【0046】
式(I)の同位体標識化合物は一般に、当業者に公知である従来の技法、または下記の実施例および調製例に記載の方法と類似した方法により、これまで用いられてきた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて調製することができる。
【0047】
本発明の薬学的に許容できる溶媒和物としては、再結晶溶媒が同位体置換されていてもよい溶媒和物、例えばDO、d−アセトンおよびd−DMSOが挙げられる。
【0048】
特記なき場合、本明細書では、
HBTUはO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、
EtNはトリエチルアミンを意味し、
AcOHは酢酸を意味し、TFAはトリフルオロ酢酸を意味し、
MeOHはメタノールを意味し、EtOHはエタノールを意味し、EtOAcは酢酸エチルを意味し、
THFはテトラヒドロフランを意味し、DMSOはジメチルスルホキシドを意味し、DCMはジクロロメタンを意味し、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、NMPはN−メチル−2−ピロリジノンを意味し、DMAはジメチルアセトアミドを意味し、
Bocはtert−ブトキシカルボニルを意味し、CBzはベンジルオキシカルボニルを意味し、
トリフリック酸無水物はトリフルオロメタンスルホン酸無水物を意味し、
p−TSAはp−トルエンスルホン酸を意味し、
Dbaはジベンジリデンアセトンを意味し、
Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Clはクロロを意味し、OHはヒドロキシを意味し、
LGは好適な脱離基を意味し、
Protは好適な保護基を意味する。
【0049】
以下のスキームは式(I)の化合物の調製を例示し、スキームを通じてA環は上記定義の通りである。
【0050】
【化2】

【0051】
化合物(II)は国際特許公開WO97/03986号に記載されている。
【0052】
ステップ(a)
式(II)の環化は好適な脱水条件下、高温で最大18時間行う。
【0053】
通常はポリリン酸、オキシ塩化リン、トリフリック酸無水物などの脱水剤を20〜120℃の温度で5分〜12時間使用する。反応は、ピリジンなどの塩基、ならびにジクロロメタンおよびアセトニトリルなどの好適な溶媒の存在下で行ってもよい。あるいは、オキサジアゾール(III)をRigo et.al.Synth.Commun.16(13),1665,1986の方法に従って調製することもできる。
【0054】
好ましい条件は以下の通りである。
オキシ酸化リンを100℃で8時間、またはトリフリック酸無水物2.5当量、ジクロロメタン中ピリジン5当量を、20℃で3時間。
【0055】
XがOを表す場合は以下の通りである。
【0056】
【化3】

【0057】
Protは窒素の好適な保護基、例えばカルバミン酸Boc、CBzまたはアリルを表す。教科書(例えばT.W.Greene and P.Wutz,“Protecting Groups in Organic Synthesis”)に見られるような窒素保護基用の標準的方法論を使用する。化合物(IV)としての使用に好適な化合物は、文献にて公知であるか、標準的方法論、例えば安息香酸の還元(下記調製例3を参照)を用いて調製することができる。
【0058】
ステップ(b)
化合物(III)と過剰量の化合物(IV)を、水素化ナトリウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、n−ブチルリチウムまたは塩化イソプロピルマグネシウムなどの塩基の存在下、THF、トルエンまたはNMPなどの好適な溶媒中で0℃〜50℃の温度で1〜24時間反応させて化合物(V)をそれぞれ得る。
【0059】
好ましい条件は以下の通りである。
化合物(IV)3当量およびNaH2.5当量をTHF中20℃で2時間。
【0060】
【化4】

【0061】
Protは窒素の好適な保護基、例えばカルバミン酸Boc、CBzまたはアリルを表す。教科書(例えばT.W.Greene and P.Wutz,“Protecting Groups in Organic Synthesis”)に見られるような窒素保護基用の標準的方法論を使用する。
【0062】
ステップ(c)
オキサジアゾール(V)を酸触媒と反応させて式(VI)の化合物を得る。通常、反応は出発原料を(p−TSAなどの)好適な酸触媒または(塩化マグネシウムなどの)ルイス酸触媒と共に、場合によってキシレンなどの高沸点溶媒を用いて、100〜150℃などの高温で1〜48時間加熱することで行う。あるいは、マイクロ波照射し、トルエンまたはキシレンなどの高沸点溶媒中で10〜30分間かけて150〜200℃に加熱することで反応を行うこともできる。
【0063】
好ましい条件は以下の通りである。
オキサジアゾール(V)および触媒P−TSAをキシレン中140℃で48時間。
【0064】
ステップ(d)
化合物(VI)の脱保護は、T.W.Greene and P.Wutz,“Protecting Groups in Organic Synthesis”に記載の標準的方法論を用いて行われる。
【0065】
ProtがBocである場合、好ましい方法は以下の通りである。
塩化水素を1,4−ジオキサンなどの好適な溶媒中、室温で1〜16時間、または
トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液を1〜2時間。
【0066】
ProtがCBzである場合、好ましい方法はエタノールなどの溶媒中で好適なパラジウム触媒を用いた水素化分解である。
【0067】
Protがカルバミン酸アリルである場合、好ましい条件は、チオ安息香酸およびPd(Dba)などの好適なパラジウム触媒を1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどの好適なホスフィン添加剤と共にテトラヒドロフラン中で20分間というものである。
【0068】
XがN−アルキルである場合は以下の通りである。
【0069】
【化5】

【0070】
ステップ(e)
市販の2−ニトロベンズアルデヒド(VIII)を塩酸メチルアミンと反応させて式(IX)の化合物を得る。通常、反応は塩化メチレン中、トリエチルアミンの存在下で16時間行う。
【0071】
ステップ(f)
エタノール中のアミン(IX)を水素とPtOの存在下、40PSIで2時間反応させて化合物(X)を得る。
【0072】
ステップ(g)
アミン(X)をオキサジアゾール(III)と反応させて式(XI)の化合物を得る。通常、反応は出発原料をTHF中でトリエチルアミンの存在下24時間還流させて行う。
【0073】
ステップ(h)
トルエン中のオキサジアゾール(XI)をTFAと50℃で1時間反応させて式(VII’’)の化合物を得る。
【0074】
化合物(VII’)および(VII’’)は、XがそれぞれOおよびNRである式(VII)の化合物に対応する。
【0075】
式(VII)の化合物を化学ライブラリー合成で使用して式(I)の化合物を得る。
【0076】
【化6】

【0077】
反応をDMA中で行い、標準ペプチドカップリング試薬(HBTU)を使用してアミド結合を形成する。
【0078】
本発明の化合物は、動物中で薬理活性を有することから有用である。特にこれらの化合物は、侵襲、アルツハイマー病、拒食症、不安、不安障害、喘息、アテローム性動脈硬化症、自閉症、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、白内障、中枢神経系疾患、脳血管虚血、肝硬変、認知障害、クッシング病、うつ病、糖尿病、月経困難症(原発性および続発性)、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内膜症、胃腸疾患、緑内障、婦人科疾患、心臓疾患、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、虚血、虚血性心臓疾患、肺癌、排尿障害、月経間期痛、新生物、腎毒性、非インシュリン依存性糖尿病、肥満、強迫性障害、高眼圧症、子癇前症、早漏、早産、肺疾患、レイノー病、腎疾患、腎不全、男性または女性の性機能障害、敗血症性ショック、睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、尿路性器感染症、または尿路結石を含む多くの状態の治療に有用である。睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、尿路性器感染症、尿路結石。特に対象となるのは月経困難症(原発性および続発性)、より具体的には原発性月経困難症である。
【0079】
したがって、本発明の他の態様では、不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病に罹患した患者に治療有効量の本発明の化合物を投与するステップを含む、月経困難症の治療方法が提供される。不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病、特に月経困難症の治療用医薬としての該化合物の使用、およびこれらの治療用医薬の製造における本発明の化合物の使用も提供される。
【0080】
薬学的使用が意図される本発明の化合物は結晶または無定形品として投与することができる。これらの化合物は、例えば固体栓、粉末またはフィルムとして、析出、再結晶、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥などの方法で得ることができる。マイクロ波または超音波乾燥をこの目的で使用することができる。
【0081】
これらの化合物は単独で、あるいは本発明の1種もしくは複数の化合物との併用で、または1種もしくは他の薬物との併用で(またはそれらの任意の併用として)投与することができる。本発明の化合物は経口避妊薬と併用して投与することができる。したがって本発明のさらなる態様では、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての、V1aアンタゴニストおよび経口避妊薬を含む医薬品が提供される。
【0082】
本発明の化合物はPDE5阻害剤と併用して投与することができる。したがって、本発明のさらなる態様では、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての、V1aアンタゴニストおよびPDEV阻害剤を含む医薬品が提供される。
【0083】
V1aアンタゴニストとの併用で有用なPDEV阻害剤としては以下の阻害剤が挙げられるが、それだけに限定されない。
(i)国際特許出願公開WO03/000691号、WO02/64590号、WO02/28865号、WO02/28859号、WO02/38563号、WO02/36593号、WO02/28858号、WO02/00657号、WO02/00656号、WO02/10166号、WO02/00658号、WO01/94347号、WO01/94345号、WO00/15639号およびWO00/15228号で言及されているPDE5阻害剤。
(ii)米国特許第6,143,746号、第6,143,747号および第6,043,252号で言及されているPDE5阻害剤。
(iii)欧州特許出願公開第0463756号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;欧州特許出願公開第0526004号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;国際特許出願公開WO93/06104号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;国際特許出願公開WO93/07149号に開示されている異性体ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;国際特許出願公開WO93/12095号に開示されているキナゾリン−4−オン;国際特許出願公開WO94/05661号に開示されているピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン;国際特許出願公開WO94/00453号に開示されているプリン−6−オン;国際特許出願公開WO98/49166号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;国際特許出願公開WO99/54333号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;欧州特許出願公開第0995751号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;国際特許出願公開WO00/24745号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;欧州特許出願公開第0995750号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;国際特許出願公開WO95/19978号に開示されているヘキサヒドロピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;WO00/27848号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;欧州特許出願公開第1092719号および国際出願公開WO/24433号に開示されているイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジノンならびに国際出願公開WO93/07124号に開示されている二環式化合物;国際出願公開WO01/27112号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;国際出願公開WO01/27113号に開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;欧州特許出願公開第1092718号に開示されている化合物および欧州特許出願公開第1092719号に開示されている化合物;欧州特許出願公開第1241170号に開示されている三環式化合物;国際出願公開WO02/074774号に開示されているアルキルスルホン化合物;国際出願公開WO02/072586号に開示されている化合物;国際出願公開WO02/079203号に開示されている化合物およびWO02/074312号に開示されている化合物。
(iv)好ましくは、1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン(欧州特許出願公開第0463756号参照)としても知られる5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−l−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル、例えばバイアグラ(登録商標)として市販);5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(欧州特許出願公開第0526004号参照);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166号参照);3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333号参照);3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333号参照)としても知られる(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジン(WO01/27113号、実施例8参照)としても知られる5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113号、実施例15参照);5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113号、実施例66参照);5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112号、実施例124参照);5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112号、実施例132参照);(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、シアリス(登録商標))、すなわち国際出願公開WO95/19978号の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1、3、7および8の化合物;1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−アス−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジン、すなわち国際出願公開WO99/24433号の実施例20、19、337および336の化合物としても知られる2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル、レビトラ(登録商標));国際出願公開WO93/07124号の実施例11の化合物(エーザイ);Rotella D P,J. Med.Chem.,2000,43,1257の化合物3および14;4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン;N−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−oxo−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロプキシフェニル]スルホニル]−1−メチル2−ピロリジンプロパンアミド[“DA−8159”(WO00/27848号の実施例68)];ならびに7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリンおよび1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド。
(v)4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミオノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸モノナトリウム塩、(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペント−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン、フラズロシリン、シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン、3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン、1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸モノナトリウム塩、Pharmaprojects No.4516(Glaxo Wellcome)、Pharmaprojects No.5051(Bayer)、Pharmaprojects No.5064(協和発酵、WO96/26940号参照)、Pharmaprojects No.5069(Schering Plough)、GF−196960(Glaxo Wellcome)、E−8010およびE−4010(エーザイ)、Bay−38−3045および38−9456(Bayer)、FR229934およびFR226807(藤沢)、ならびにSch−51866。
【0084】
公開された特許出願および雑誌論文の内容、特に特許請求の範囲の治療上有効な化合物および明細書内に例示された化合物の一般式は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
好ましくは、PDEV阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、DA−8159および5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選択される。
【0086】
最も好ましくは、PDE5阻害剤はシルデナフィルおよびその薬学的に許容できる塩である。クエン酸シルデナフィルが好ましい塩である。
【0087】
本発明の化合物はNO供与体と併用して投与することができる。したがって、本発明のさらなる態様では、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての、V1aアンタゴニストおよびNO供与体を含む医薬品が提供される。
【0088】
本発明の化合物は、L−アルギニンまたはアルギニン酸塩と併用して投与することができる。したがって、本発明のさらなる態様では、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての、V1aアンタゴニストおよびL−アルギニンを含む医薬品が提供される。
【0089】
本発明の化合物はCOX阻害剤と併用して投与することができる。したがって、本発明のさらなる態様では、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての、V1aアンタゴニストおよびCOX阻害剤を含む医薬品が提供される。
【0090】
本発明の化合物との併用で有用なCOX阻害剤としては以下の阻害剤が挙げられるが、それだけに限定されない。
(i)イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラポプロフェン(prapoprofen)、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、フェンクロフェネク(fenclofenec)、アルクロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセチルサリチル酸、インドメタシン(indometacin)、ピロキシカム、テノキシカム、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、ドロキシカム、フロクタフェニン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、フルフェニサール、スドキシカム、エトドラク、ピプロフェン、サリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチレート、ベノリレート、フェンチアザク、クロピナク(clopinac)、フェプラゾン、イソキシカムおよび2−フルオロ−a−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(Wenk,et al.,Europ.J.Pharmacol.453:319−324(2002)参照)。
(ii)メロキシカム(CAS登録番号71125−38−7、米国特許第4,233,299号に記載)またはその薬学的に許容できる塩もしくはプロドラッグ。
(iii)米国特許第6,271,253号に記載の置換ベンゾピラン誘導体。米国特許第6,034,256号および第6,077,850号ならびに国際公開WO98/47890号およびWO00/23433号に記載のベンゾピラン誘導体も。
(iv)米国特許第6,077,850号および米国特許第6,034,256号に記載のクロメンCOX2選択的阻害剤。
(v)国際特許出願公開WO95/30656号、WO95/30652号、WO96/38418号およびWO96/38442号に記載の化合物、および欧州特許出願公開第799823号に記載の化合物、ならびにその薬学的に許容できる誘導体。
(vi)セレコキシブ(米国特許第5,466,823号)、バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号)、デラコキシブ(米国特許第5,521,207号)、ロフェコキシブ(米国特許第5,474,995号)、エトリコキシブ(国際特許出願公開WO98/03484号)、JTE−522(特開平9−52882号)またはその薬学的に許容できる塩もしくはプロドラッグ。
(vii)三環式Cox−2選択的阻害剤バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号に記載)の治療上有効なプロドラッグであるパレコキシブ(米国特許第5,932,598号に記載)、特にパレコキシブナトリウム。
(viii)ABT−963(国際特許出願公開WO00/24719号に記載)。
(ix)ニメスリド(米国特許第3,840,597号に記載)、フロスリド(J.Carter,Exp.Opin.Ther.Patents,8(1),21−29(1997)で論じる)、NS−398(米国特許第4,885,367号に開示)、SD 8381(米国特許第6,034,256号に記載)、BMS−347070(米国特許第6,180,651号に記載)、S−2474(欧州特許公開第595546号に記載)およびMK−966(米国特許第5,968,974号に記載)。
(x)米国特許第6,395,724号、米国特許第6,077,868号、米国特許第5,994,381号、米国特許第6,362,209号、米国特許第6,080,876号、米国特許第6,133,292号、米国特許第6,369,275号、米国特許第6,127,545号、米国特許第6,130,334号、米国特許第6,204,387号、米国特許第6,071,936号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,040,450号、国際特許出願公開WO96/03392号、国際特許出願公開WO96/24585号、米国特許第6,340,694号、米国特許第6,376,519号、米国特許第6,153,787号、米国特許第6,046,217号、米国特許第6,329,421号、米国特許第6,239,137号、米国特許第6,136,831号、米国特許第6,297,282号、米国特許第6,239,173号、米国特許第6,303,628号、米国特許第6,310,079号、米国特許第6,300,363号、米国特許第6,077,869号、米国特許第6,140,515号、米国特許第5,994,379号、米国特許第6,028,202号、米国特許第6,040,320号、米国特許第6,083,969号、米国特許第6,306,890号、米国特許第6,307,047号、米国特許第6,004,948号、米国特許第6,169,188号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,981,576号、米国特許第6,222,048号、米国特許第6,057,319号、米国特許第6,046,236号、米国特許第6,002,014号、米国特許第5,945,539号、米国特許第6,359,182号、国際特許出願公開WO97/13755号、国際特許出願公開WO96/25928号、国際特許出願公開WO96/374679号、国際特許出願公開WO95/15316号、国際特許出願公開WO95/15315号、国際特許出願公開WO96/03385号、国際特許出願WO95/00501号、国際特許出願WO94/15932号、国際特許出願公開WO95/00501号、国際特許出願公開WO94/27980号、国際特許出願公開WO96/25405号、国際特許出願公開WO96/03388号、国際特許出願公開WO96/03387号、米国特許第5,344,991号、国際特許出願公開WO95/00501号、国際特許出願公開WO96/16934号、国際特許出願公開WO96/03392号、国際特許出願公開WO96/09304号、国際特許出願公開WO98/47890号および国際特許出願公開WO00/24719号に記載の化合物および薬学的に許容できる誘導体。
【0091】
公開された任意の特許出願、特に特許請求の範囲の治療上有効な化合物および明細書内に例示された化合物の一般式は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
一般に、本発明の化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤を伴う製剤として投与される。本明細書で「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために使用される。賦形剤の選択は、特定の投与形態、賦形剤が溶解性および安定性に与える影響、ならびに剤形の特性などの要因に大きく依存する。
【0093】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびその調製方法は、当業者には自明であろう。そのような組成物およびその調製方法は、例えば“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,19th Edition(Mack Publishing Company,1995)に見られる。
【0094】
したがって、本発明の他の態様では、式(I)の化合物を薬学的に許容できる補助剤、希釈剤または担体との混合物として含む医薬製剤が提供される。
【0095】
本発明の化合物は経口投与することができる。経口投与は、該化合物を胃腸管に入り込ませる嚥下を伴ってもよく、あるいは該化合物を口から直接血流に入り込ませる口腔内または舌下投与を用いてもよい。
【0096】
経口投与に適した製剤としては、錠剤、粒子、液体または粉末を含むカプセル、舐剤(液体充填形を含む)、咀嚼剤、多粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶液、リポソーム、フィルム(粘膜付着性製剤を含む)、腔坐剤、スプレーなどの固形製剤、ならびに液体製剤が挙げられる。
【0097】
液体製剤としては懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。このような製剤は軟カプセルまたは硬カプセルの充填剤として使用することができ、通常は担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、および1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサッシェの固体を再構成することで調製してもよい。
【0098】
本発明の化合物は、Liang and Chen,Expert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986(2001)に記載のような速溶性、速崩壊性の剤形で使用してもよい。
【0099】
錠剤剤形では、用量にもよるが、薬物は剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を構成することができる。錠剤は一般に、薬物以外には崩壊剤を含む。崩壊剤としては例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を構成する。
【0100】
結合剤は一般に、錠剤製剤に凝集性を付与するために使用される。好適な結合剤としては、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥された一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含んでいてもよい。
【0101】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合は、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を構成することができ、流動促進剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を構成することができる。
【0102】
また、錠剤は一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの潤滑剤を含む。潤滑剤は一般に錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を構成する。
【0103】
他の可能な成分としては、酸化防止剤、着色剤、着香料、防腐剤および矯味剤が挙げられる。
【0104】
典型的な錠剤は、薬物を最大約80%、結合剤を約10重量%〜約90重量%、希釈剤を約0重量%〜約85%、崩壊剤を約2重量%〜約10重量%、潤滑剤を約0.25重量%〜約10重量%含む。
【0105】
錠剤ブレンドを直接またはロールで圧縮して錠剤を成形することができる。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部について、錠剤化の前に湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固または押出を行ってもよい。最終製剤は1つまたは複数の層を含んでもよく、コートされていてもコートされていなくてもよい。カプセルに入れてもよい。
【0106】
錠剤の調剤はH.Lieberman and L.Lachman,“Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1”,Marcel Dekker,N.Y.,N.Y.,1980(ISBN0−8247−6918−X)で論じられている。
【0107】
経口投与用の固形製剤は即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤が挙げられる。
【0108】
本発明用の好適な調節放出製剤は米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散および浸透圧性かつコートされた粒子など他の好適な放出技術の詳細はVerma et al,Pharmaceutical Technology On−line,25(2),1−14(2001)に見られる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用はWO00/35298号に記載されている。
【0109】
本発明の化合物は直接血流、筋肉または臓器に投与してもよい。非経口投与の好適な手段としては静脈内、動脈内、腹腔内(intreperitoneal)、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下手段が挙げられる。非経口投与用の好適なデバイスとしては、針(顕微針を含む)注射器、無針注射器および注入技術が挙げられる。
【0110】
非経口製剤は通常、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3〜9に)などの賦形剤を含み得る水溶液であるが、ある用途では、発熱物質を含まない滅菌水などの好適な媒体と併用される滅菌非水溶液または乾燥形態としてさらに好適に調剤することができる。
【0111】
例えば凍結乾燥による滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に公知の標準的薬学技術を用いて容易に行うことができる。
【0112】
非経口溶液の調製に用いられる式(I)の化合物の溶解性は、好適な処理、例えば高エネルギー噴霧乾燥分散の使用(WO01/47495号参照)および/または溶解性向上剤の使用などの適切な製剤技術の使用により上昇させることができる。
【0113】
非経口投与用製剤は即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤が挙げられる。したがって、本発明の化合物は、有効化合物を調節放出するインプラント型デポー製剤として投与される固体、半固体またはチキソトロピー液として調剤することができる。そのような製剤としては例えば薬物がコートされたステントおよびPGLA小球体が挙げられる。
【0114】
本発明の化合物を皮膚または粘膜に、皮膚上または経皮的に局所投与することもできる。この目的での典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、発泡体、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としてはアルコール、水、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を含むこともできる。例えばFinnin and Morgan,J.Pharm.Sci.,88(10),955−958(October 1999)参照。
【0115】
他の局所投与手段としては、イオントフォレーシス、エレクトロポレーション、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび顕微針または無針(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が挙げられる。
【0116】
局所投与用製剤は即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤が挙げられる。
【0117】
本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって、通常は乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独で、混合物、例えばラクトースとの乾燥ブレンドとして、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を用いて微細なミストを生成するアトマイザー)またはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの好適な噴霧剤を使用するかまたは使用せずに投与することもできる。鼻腔内で使用する粉末は生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0118】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えばエタノール、含水エタノール、または有効成分を分散、可溶化もしくは持続放出する好適な代替薬剤、溶媒としての噴霧剤、およびソルビタントリオレエート、オレイン酸またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液を含む。
【0119】
懸濁製剤を乾燥粉末中で使用する前に、製剤を吸入送達に適したサイズに微粉化する(通常は5ミクロン未満)。これは、スパイラルジェット粉砕、流体床ジェット粉砕、ナノ粒子形成用の超臨界流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕方法で行うことができる。
【0120】
吸入器または注入器で使用される(例えばゼラチンまたはHPMCで作られた)カプセル、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能調整剤の混合粉末を含むように調剤することができる。ラクトースは無水でも一水和物の形態でもよいが、後者が好ましい。他の好適な賦形剤としてはデキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0121】
電気流体力学を用いて微細なミストを生成するアトマイザーで使用される好適な液体製剤は、作動単位で本発明の化合物を1μg〜20mg含むことができ、作動容量は1μl〜100μlの間で変化し得る。通常の製剤は式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用できる代替溶媒としてはグリセリンおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0122】
好適なメントールおよびレボメントールなどの香料またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/鼻腔内投与用の本発明のこれらの製剤に加えることができる。
【0123】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えばポリ−DL−酪酸−co−グリコール酸(PGLA)を用いて即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤が挙げられる。
【0124】
本発明の化合物は、例えば坐剤、ペッサリーまたは浣腸の形態で経直腸または経腟投与することができる。ココアバターが慣習的な坐剤基剤であるが、各種代替物を適宜使用できる。
【0125】
経直腸/経腟投与用製剤は即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤が挙げられる。
【0126】
本発明の化合物は直接目または耳に、通常は等張性でpH調整済みの滅菌食塩水中で微粉化された懸濁液または溶液の液滴の形態で投与することもできる。経眼または経耳投与に適した他の製剤としては、軟膏、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばシリコーン)インプラント、ウェーハ、レンズ、ならびにニオソームまたはリポソームなどの粒子または小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えばジェラン(gelan)ガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と共に組み込むことができる。そのような製剤はイオントフォレーシスで送達してもよい。
【0127】
経眼/経耳投与用製剤は即時および/または調節放出製剤として調剤することができる。調節放出製剤としては遅延、持続、パルス、制御、標的またはプログラム放出製剤が挙げられる。
【0128】
本発明の化合物をシクロデキストリンまたはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子体と組合せて、前記投与形態のいずれかで使用する上でのその可溶性、分解速度、矯味性、生物学的利用能および/または安定性を向上することができる。
【0129】
例えば、薬物−シクロデキストリン錯体が大部分の剤形および投与経路で一般に有用であることがわかっている。包接および非包接錯体の両方を使用することができる。薬物との直接の錯体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。この目的ではα−、β−およびγ−シクロデキストリンが一般的に使用され、その例は国際特許出願WO91/11172号、WO94/02518号およびWO98/55148号に見られる。
【0130】
例えば特定の疾患または状態の治療に活性化合物の組合せを投与することが望ましいことがあるため、少なくともその1種が本発明の化合物を含む2種以上の医薬組成物を組成物の同時投与に適したキットの形態で簡便に組合せることができることは本発明の範囲内である。
【0131】
したがって、本発明のキットは、少なくともその1種が本発明の式(I)の化合物を含む2種以上の別個の医薬組成物、および容器、分割されたボトルまたは分割されたホイル袋などの前記組成物を別個に保持する手段を含む。そのようなキットの一例は、錠剤、カプセル等の包装に使用されるよく知られたブリスターパックである。
【0132】
本発明のキットは異なる剤形、例えば経口および非経口剤形の投与、異なる投与間隔での別個の組成物の投与、または別個の組成物の互いに対する滴定に特に適している。服薬遵守を支援するために、キットは通常、投与説明書を備えており、いわゆる記憶補助を備えていてもよい。
【0133】
ヒト患者への投与では、本発明の化合物の1日当たりの全用量は通常、投与形態にもよるが、体重1kg当たり約0.01〜約15mgの範囲である。1日当たりの全用量は、1日を通じて単回または複数回に分けて投与することができる。これらの用量は、体重が約65kg〜75kgの平均的なヒト被検者に基づいている。医師であれば、乳児および高齢者などの体重がこの範囲に収まらない被検者について用量を容易に決定できるであろう。
【0134】
本明細書で用いる「治療すること」(“treating”)および「治療する」(“to treat”)という用語は、症状を緩和し、一時的もしくは恒久的に原因を解消し、または症状の発現を予防もしくは遅延させることを意味する。「治療」(“treatment”)という用語は、原発性および/または続発性月経困難症に伴う症状および障害の緩和、(一時的もしくは恒久的な)原因の解消、または予防を含む。治療は前治療および症状発現時の治療であることができる。
【0135】
本発明の化合物は以下に記載のスクリーンで試験することができる。
【0136】
1.0 V1Aフィルター結合アッセイ
1.1 膜標本
受容体結合アッセイは、ヒトV1A受容体を安定して発現するCHO細胞(CHO−hV1A)から調製された細胞膜上で行った。CHO−hV1A細胞系は、オハイオ州クリーブランドにあるケースウェスタンリザーブ大学薬学部Marc Thibonnier氏のご厚意によりライセンス契約での提供を受けた。CHO−hV1A細胞は、ウシ胎児血清10%、L−グルタミン2mM、HEPES 15mMおよびG418 400μg/mlを補充したDMEM/Hams F12栄養源混合物中、CO5%の加湿雰囲気で37℃に日常的に維持した。細胞ペレットの大量製造では、粘着性のCHO−hV1A細胞を、ウシ胎児血清10%、L−グルタミン2mMおよびHEPES 15mMを補充したDMEM/Hams F12栄養源混合物の培地を含む850cm回転ボトル中でコンフルエンシーが90〜100%になるように増殖させた。コンフルエントなCHO−hV1A細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、回収して氷冷PBSに入れ、1,000rpmで遠心分離した。細胞ペレットを使用するまで−80℃で保管した。細胞ペレットを解凍し、pH7.4のTris−HCl 50mM、MgCl 5mMからなり、プロテアーゼ阻害剤カクテルを補充した膜標本緩衝液(Roche)中で均質化した。細胞ホモジネートを1000rpm、10分間、4℃で遠心分離し、上澄液を除去して氷上で保存した。残存するペレットを均質化し、上記の通り遠心分離した。上澄液を貯留し、25,000×g、30分間、4℃で遠心分離した。ペレットを、pH7.4のTris−HCl 50mM、MgCl 5mMおよびグリセリン20%からなる冷凍緩衝液中で再懸濁し、使用するまで少量の一定分量に分けて−80℃で保存した。タンパク質濃度をブラッドフォード試薬および標準としてのBSAを用いて測定した。
【0137】
1.2 V1Aフィルター結合
タンパク質線形性研究、それに引き続いて飽和結合研究を膜の新しい各バッチについて行った。曲線の線形部分に特異的な結合をもたらす膜濃度を選択した。次に、飽和結合研究を各種濃度の[H]−アルギニンバソプレッシン、[H]−AVP(0.05nM〜100nM)を用いて行い、KおよびBmaxを測定した。
【0138】
CHO−hV1A膜に対する[H]−AVPの結合に与える化合物の影響を試験した(H−AVP;比放射能65.5Ci/mmol;NEN Life Sciences)。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、pH7.4のTris−HCL 50mM、MgCl 5mMおよびBSA0.05%を含むアッセイ緩衝液で作業濃度DMSO 10%に希釈した。化合物25μlおよび[H]−AVP 25μl(最終濃度は膜バッチについて測定したKdまたはそれ未満、通常は0.5nM〜0.6nM)を96ウェル丸底ポリプロピレンプレートに加えた。膜200μlを加えることで結合反応を開始し、プレートを室温で60分間緩やかに振とうした。Filtermate Cell Harvester(Packard Instruments)を用いて、ペプチドの付着を抑制するために0.5%ポリエチレンイミンに予め浸した96ウェルGF/B UniFilter Plateで速やかに濾過することで反応を終了した。pH7.4のTris−HCL 50mMおよびMgCl 5mMを含む氷冷洗浄緩衝液1mlで3回洗浄した。プレートを乾燥し、Microscint−0(Packard instruments)50μlを各ウェルに加えた。プレートを密封し、TopCount Microplate Scintillation Counter(Packard Instruments)上でカウントした。非標識d(CH2)5Tyr(Me)AVP([β−メルカプト−β,β−シクロペンタメチレンプロピオニル,0−Me−Tyr,Arg]−バソプレッシン)(βMCPVP)(Sigma)1μMを用いて非特異的結合(NSB)を測定した。最小値を0%とする4パラメータロジスティック方程式を用いて放射性リガンド結合データを分析した。勾配をフリーフィッティングしたところ、有効曲線の−0.75と−1.25の間に収まった。特異的結合は、平均全カウント毎分から平均NSBカウント毎分を差し引くことで計算した。試験化合物について、受容体に結合したリガンドの量は、結合(%)=(サンプルカウント毎分−平均NSBカウント毎分)/特異的結合カウント毎分×100として表した。結合(%)を試験化合物の濃度に対してプロットし、S字状曲線をフィッティングした。阻害解離定数(K)をCheng−Prusoff式、K=IC50/(1+[L]/K)を用いて測定した(式中、[L]はウェル中に存在するリガンドの濃度であり、Kはスカッチャードプロット分析で得られる放射性リガンドの解離定数である)。
【0139】
2.0 V1A機能アッセイ;FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)(Molecular Devices)によるAVP/V1A−Rを介したCa2+流動の阻害
細胞間カルシウム放出は、受容体の活性化に続くカルシウムの迅速な検出を可能にするFLIPRを用いてCHO−hV1A細胞中で測定した。CHO−hV1A細胞系は、オハイオ州クリーブランドにあるケースウェスタンリザーブ大学薬学部Marc Thibonnier氏のご厚意によりライセンス契約での提供を受けた。CHO−V1A細胞は、ウシ胎児血清10%、L−グルタミン2mM、HEPES 15mMおよびG418 400μg/mlを補充したDMEM/Hams F12栄養源ミックス中、CO5%の加湿雰囲気で37℃に日常的に維持した。アッセイ前の午後に、透明底の黒色滅菌96ウェルプレートに細胞を20,000細胞/ウェルの密度でプレーティングして、各ウェルの底部から細胞検査および蛍光測定ができるようにした。ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)およびプロベネシド2.5mMを含む洗浄緩衝液ならびにFluo−3−AM(DMSOおよびプルロニック酸に溶解)(Molecular Probes)4μMを含む細胞培地およびプロベネシド2.5mMからなるローディングダイをアッセイ当日新たに調製した。化合物をDMSO中に溶解し、DMSO1%、BSA0.1%およびプロベネシド2.5mMを含むDPBSからなるアッセイ緩衝液中で希釈した。細胞をCO5%の加湿雰囲気中37℃で1時間、100μl/ウェルのローディングダイでインキュベートした。ダイローディングの後、細胞をDenleyプレートウォッシャーを用いて洗浄緩衝液100μl中で3回洗浄した。各ウェルには洗浄緩衝液が100μl残った。細胞間の蛍光をFLIPRで測定した。試験化合物50μlを30秒後に加えて、蛍光測定値を2秒間隔で得た。次に、2秒間隔でさらに155回の測定を行って任意の化合物アゴニスト活性を検出した。次に、アルギニンバソプレッシン(AVP)50μlを加えて最終アッセイ容量を200μlとした。さらなる蛍光測定値を1秒間隔で120秒間収集した。反応をピーク蛍光強度(FI)として測定した。薬理学的特徴付けのため、各蛍光反応から基礎FIを差し引いた。AVP用量反応曲線では、各反応をその列のAVPの最大濃度に対する反応のパーセントで表した。IC50測定では、各反応をAVPに対する反応のパーセントとして表した。IC50値は、アゴニスト濃度[A]、アゴニストのEC50および勾配を考慮に入れたCheng−Prusoff式、K=IC50/(2+[A]/A501/n−1を用いて修正K値に変換した(式中、[A]はAVPの濃度であり、A50は用量反応曲線によるAVPのEC50であり、nはAVP用量反応曲線の勾配である)。
【0140】
本発明の化合物は、従来技術の化合物に比べて強力であり、作用の持続時間が長く、活性の範囲が広く、安定であり、副作用が少なく、選択的であり、他のより有用な特性を有するという利点を有することができる。
【0141】
本発明を以下の調製例および実施例により説明する。
【0142】
(調製例1)
4−[N’−(2−クロロ−アセチル)−ヒドラジノカルボニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(II)
【0143】
【化7】

【0144】
4−ヒドラジノカルボニル−ピペリジン−カルボン酸tert−ブチルエステル(参考文献WO9703986A1号、1997年2月6日を参照)(25g、103mmol)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、4−メチルモルホリン(12.5ml、113mmol)を加えた。混合物を氷浴で冷却し、塩化クロロアセチル(8.2ml、103mmol)を滴下した。反応液を室温に加熱し、4時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で分配し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発させて標記化合物をオフホワイト固体(29.6g)として得た。
実測値;C,48.01;H,6.91;N,12.85;C1322Cl 0.3 HO 計算;C,48.02;H,7.01;N,12.92%;APCI MS m/z 318[M−H]
【0145】
(調製例2)
4−(5−クロロメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(III)
【0146】
【化8】

【0147】
ヒドラジド(II)(5.0g、15.6mmol)をジクロロメタン(200ml)中で懸濁させ、ピリジン(6.4ml、78mmol)を加えた後、混合物を10℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(6.6ml、39mmol)を15分にわたって滴下した後、室温で3時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)で分配し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後で濾過し、濾液を減圧蒸発させた。ジクロロメタン中のメタノールを溶離液(2:98)として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して標記化合物を白色固体(2.95g)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.45(s,9H)、1.74(m,2H)、2.19(m,2H)、3.04(m,2H)、3.24(m,1H)、4.09(m,2H)、4.85(s,2H)
【0148】
(調製例3)
(2−アミノ−5−メトキシ−フェニル)−メタノール(IV)
【0149】
【化9】

【0150】
テトラヒドロフラン(20ml)中の2−アミノ−5−メトキシ安息香酸(2.0g、12mmol)を、水素化リチウムアンモニウム(14.4ml)のテトラヒドロフラン中氷冷1モル溶液に滴下し、5℃で2時間撹拌した。水(0.5ml)を滴下した後、水酸化ナトリウム2モル水溶液(0.5ml)を滴下した。得られたエマルションを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、減圧蒸発させて標記化合物を黄色固体(766mg)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ3.70(s,3H)、4.55(s,2H)、6.65〜6.78(m,3H);APCI MS m/z 154[M+H]
【0151】
(調製例4)
4−[5−(2−アミノ−5−クロロ−ベンジルオキシメチル)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(V)
【0152】
【化10】

【0153】
(2−アミノ−5−クロロ−フェニル)−メタノール(1g、6.4mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)中溶液を水素化ナトリウム(鉱油中60%、215mg、5.4mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)中氷冷懸濁液に滴下し、1時間撹拌した。オキサジアゾール(III)(1g、5.3mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)中溶液を滴下し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(50ml)と炭酸水素ナトリウム溶液(25ml)の間で分配した。水溶液をジクロロメタン(2×20ml)で洗浄し、混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸発した。ジクロロメタン中のメタノールを溶離液(5:95)として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して標記化合物を黄色固体(1.3g)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.47(s,9H)、1.81(m,2H)、2.07(m,2H)、2.96(m,2H)、3.08(m,1H)、4.12(m,2H)、4.23(s,2H)、4.58(s,2H)、4.68(s,2H)、6.62(d,1H)、7.07(s,1H)、7.12(d,1H);APCI MS m/z 423[MH],323[M−Boc]
【0154】
(調製例5)
4−(8−クロロ−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(VI)
【0155】
【化11】

【0156】
トルエン−4−スルホン酸(80mg、0.46mmol)をオキサジアゾール(V)(1.28g、3.0mmol)のキシレン中溶液に加え、18時間かけて140℃に加熱した。キシレンを減圧除去し、残渣をジクロロメタン(100ml)と炭酸水素ナトリウム溶液(25ml)の間で分配した。水溶液をジクロロメタン(2×20ml)で洗浄し、混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸発した。ジクロロメタン中のメタノールおよび水酸化アンモニウムを溶離液(5:0.5:95)として用いるシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して標記化合物を淡黄色発泡体(730mg)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.43(s,9H)、1.85(m,2H)、1.96(m,2H)、2.92(m,2H)、3.08(m,1H)、4.18(m,2H)、4.40(s,2H)、4.66(s,2H)、7.36(d,1H)、7.58(m,2H);実測値;C,57.98;H,6.17;N,13.40;C2025Cl 0.5HO 計算;C,58.04;H,6.33;N,13.54%;APCI MS m/z 405[MH],305[M−Boc]
【0157】
(調製例6)
8−クロロ−1−ピペリジン−4−イル−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン(VII’)
【0158】
【化12】

【0159】
トリアゾール(VI)(700mg、1.73mmol)を1,4−ジオキサン(6ml)中に溶解し、塩酸(1,4−ジオキサン中4M、12ml)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。1,4−ジオキサンを減圧除去し、残渣をジクロロメタン(100ml)と炭酸水素ナトリウム溶液(25ml)の間で分配した。水溶液をジクロロメタン(2×20ml)で洗浄し、混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸発して標記化合物(410mg)を淡黄色発泡体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.83(m,4H)、2.65(t,2H)、3.09(m,2H)、3.24(m,1H)、4.41(s,2H)、4.58(s,2H)、7.58(m,3H);APCI MS m/z 305[MH]
【0160】
(調製例7)
(5−クロロ−2−ニトロ−ベンジル)−メチル−アミン(IX)
【0161】
【化13】

【0162】
5−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド(VIII)15.0g(81mmol、1当量)の塩化メチレン400ml中溶液にトリエチルアミン33.8ml(243mmol、3当量)および塩酸メチルアミン16.4g(243mmol、3当量)を加えた。反応混合物を16時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレン相を乾燥し(MgSO)、揮発性物質を減圧除去した。残渣をメタノールに溶解し、溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(65mmol、0.8当量)を区分けして加えた。溶液を4時間撹拌し、溶媒を減圧除去し、残渣を塩化メチレンと炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。揮発性物質を減圧除去して標記化合物14.8gを褐色固体(91%)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ2.45(s,3H)、4.00(s,2H)、7.40(d,1H,)、7.65(s,1H)、7.95(d,1H);LCMS:m/z APCI,201[MH]
【0163】
(調製例8)
4−クロロ−2−メチルアミノメチル−フェニルアミン(X)
【0164】
【化14】

【0165】
化合物(IX)14.6g(73mmol、1当量)のエタノール350ml中溶液にPtOを500mg加えた。混合物を40PSIの水素下で2時間撹拌し、セライト(登録商標)で濾過した後、揮発性物質を減圧除去して緑色油状物12.1gを得た。塩化メチレン/メタノール/アンモニア水を溶離液(90:10:1v/v/v→95:5v/v)として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーでこの油状物を精製して標記化合物11.40gを油状物(92%)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ2.40(s,3H)、3.70(s,2H)、4.65(m,2H)、6.60(d,1H,)、7.00(s,1H)、7.05(d,1H);LCMS:m/z APCI,171[MH]
【0166】
(調製例9)
4−(5−{[(2−アミノ−5−クロロ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(XI)
【0167】
【化15】

【0168】
オキサジアゾール(III)10.0g(33mmol、1当量)のTHF220ml中溶液にフェニルアミン(X)6.8g(40mmol、1.2当量)およびトリエチルアミン6.9ml(50mmol、1.5当量)を加えた。溶液を24時間還流し、溶媒を減圧除去し、残渣を塩化メチレンと炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。揮発性物質を減圧除去し、塩化メチレン/メタノール/アンモニア水を溶離液(97:3:0.3v/v/v→95:5:5v/v/v)として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して標記化合物10.7g(74.1%)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.40(s,9H)、1.80(m,2H)、2.00(m,2H)、2.25(s,3H)、2.90(m,2H)、3.05(m,1H)、3.60(s,2H)、3.80(s,2H)、4.05(m,2H)、6.60(d,1H,)、7.00(s,1H)、7.05(d,1H);LCMS:m/z APCI,436[MH]
【0169】
(調製例10)
8−クロロ−5−メチル−1−ピペリジン−4−イル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン(VII’’)
【0170】
【化16】

【0171】
エステル(XI)10.7g(25mmol、1当量)のトルエン200ml中溶液を50℃で加熱し、TFA2.84ml(38mmol、1.5当量)を加えた。溶液を1時間還流し、溶媒を減圧除去した。残渣を塩化メチレンと水酸化ナトリウム水溶液の間で分配した。水相を減圧濃縮し、塩化メチレン/メタノール/アンモニア水を溶離液(80:20:2v/v/v→90:10:1v/v/v)として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物4.6g(59%)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.80〜2.20(m,4H)、2.50(s,3H)、2.60〜2.90(m,2H)、3.00(m,2H)、3.40(m,3H)、3.40〜3.80(m,2H)、7.60(m,3H);LCMS:m/z APCI,318[MH]
【実施例】
【0172】
(実施例1〜92)
【0173】
【化17】

【0174】
表1に例示されている実施例1〜92は、式(VII)の中間体からライブラリーとして合成した。以下のモノマー溶液を使用した。
カルボン酸:ジメチルアセトアミド(DMA)(無水)+トリエチルアミン3.75%中に濃度0.2Mで溶解
アミン:DMA(無水)+トリエチルアミン3.75%中に濃度0.2Mで溶解
塩としてのアミン:DMA(無水)+トリエチルアミン3.75%中に濃度0.2Mで溶解
HBTU:DMA(無水)に濃度0.2Mで溶解
【0175】
注意:必要な場合には温水浴(温度40℃未満)中での穏やかな超音波処理を用いてモノマーを溶解した。
【0176】
実験手順
反応スケールは20〜30マイクロモル/ウェルであった(実験の詳細は20μmol反応について示し、スケールはこの範囲内で適宜調節することができる)。反応はポリプロピレン96ウェルプレート内で行った。
a)アミン溶液(0.1ml、20μmol、1当量)をウェルに加えた。
b)カルボン酸溶液(0.15ml、30μmol、1.5当量)をウェルに加えた。
c)HBTU溶液(0.15ml、30μmol、1.5当量)を各ウェルに加えた。
d)ポリプロピレン96ウェルプレートをPTFEおよびゴムガスケットで密封し、一対の金属プレートで固定した。
e)プレートをオーブン中60℃で6時間加熱した後、オーブン中で終夜放冷した。
f)冷却後、プレートの固定をはずし、Genevac中に入れて溶媒を除去した。
g)サンプルをDMSO/水(9:1)(500μl)に再溶解し、粒子状物質を濾去した。
h)RP−HPLCで精製を行った。
【0177】
HPLC精製条件
カラム:Phenomenex Luna C18、10um、内径150×10mm
温度:周囲温度
溶離液A:水中0.05%ジエチルアミン
溶離液B:アセトニトリル
サンプルは水中90%ジメチルスルホキシドに溶解
サンプルは注入容積550μlのGilson Autosamplerを用いて供給
【0178】
Gilson LCポンプ初期条件
溶媒
A(%) 80.0
B(%) 20.0
流量(ml/分) 8.000
【0179】
Gilson LCポンプグラジエントタイムテーブル
時間 A(%) B(%) 流量(ml/分)
0.00 80.0 20.0 8.000
0.20 80.0 20.0 8.000
7.00 5.0 95.0 8.000
9.00 5.0 95.0 8.000
9.10 80.0 20.0 8.000
10.50 80.0 20.0 8.000
【0180】
Gilson 119 UV検出器モニタリング(254nm)
コレクターを225nmに設定
デュアル感度200
ピーク感度80
ピーク幅0.3分
【0181】
HPLC分析条件および質量分析計の詳細
カラム:Phenomenex Luna C18、5um、内径30×4.6mm
溶離液A:水中0.05%ジエチルアミン
溶離液B:アセトニトリル
サンプルは水中90%ジメチルスルホキシドに溶解
サンプルは注入容積5μlのGilson Quad Zを用いて供給
【0182】
Waters 1525バイナリーLCポンプ初期条件
溶媒
A(%) 95.0
B(%) 5.0
流量(ml/分) 2.5(チャネル当たり)
温度(℃):周囲温度
【0183】
LCポンプグラジエントタイムテーブル
グラジエントタイムテーブルは以下の4つの入力項目を含む。
時間 A(%) B(%) 流量
0.00 95.0 5.0 2.500
3.00 5.0 95.0 2.500
3.50 95.0 5.0 2.500
合計実行時間4.50分
【0184】
検出
Waters 2488 2波長検出器
UV1(nm) 225
UV2(nm) 255
およびELDS:Polymer Labs、温度:75℃ ガス流量:1.2バール
【0185】
質量分析計
Waters ZQ 2000 4方向多重化装置
ES+コーン電圧:26v キャピラリー:3.85kv
ES−コーン電圧:−30v キャピラリー:−3.00kv
脱溶媒ガス:800l/分
ソース温度:300℃
スキャン範囲160〜1000Da
【0186】
【表1−1】

【0187】
【表1−2】


【0188】
【表1−3】

【0189】
(実施例93)
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノン
【0190】
【化18】

【0191】
3−メトキシ安息香酸(72mg、0.47mmol)のジクロロメタン(10ml)中溶液にHBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、180mg、0.47mmol)を加え、続いて30分後に調製例10のアミン(VII’’)(100mg、0.315mmol)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。ジメチルホルムアミド(2ml)を加えて可溶化を支援し、3−メトキシ安息香酸(48mg、0.315mmol)およびHBTU(119mg、0.315mmol)をさらに加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。次に、それをジクロロメタンと飽和炭酸ナトリウム水溶液の間で分配した。有機層を回収し、減圧蒸発させ、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(95:5:0.5→90:10:1v:v:v)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物(55mg、39%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.94〜2.05(brd,4H)、2.48(s,3H)、3.05(brs,2H,)、3.18(m,1H)、3.32(brs,2H)、3.67(brs,2H)、3.82(s,3H)、3.93(brs,1H)、4.64(brs,1H)、6.94(m,3H)、7.29(m,2H)、7.51(m,2H);LRMS:m/z APCI,474[MNa]
【0192】
(実施例94)
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−フルオロ−フェニル)−メタノン
【0193】
【化19】

【0194】
調製例10のアミン(VII’’)(110mg、0.35mmol)のジクロロメタン(10ml)中溶液にトリエチルアミン(73μl、0.52mmol)を加えた後、塩化3−フルオロベンゾイル(73μl、0.49mmol)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。次に、それを飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を回収し、減圧蒸発させ、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(90:10:1v:v:v)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物(52mg、34%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.99(brs,4H)、2.48(s,3H)、3.07(brs,2H,)、3.18(m,1H)、3.32(brs,2H)、3.66〜3.88(brs,3H)、4.59(brs,1H)、7.11(m,2H)、7.18(m,1H)、7.28(m,1H)、7.36(m,1H)、7.51(m,2H);LRMS:m/z APCI,440[MH]
【0195】
(実施例95)
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−メタノン
【0196】
【化20】

【0197】
調製例10のアミン(VII’’)および塩化4−フルオロベンゾイルを用いて、実施例94に記載の方法と同様の方法で標記化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.98(brs,4H)、2.48(s,3H)、3.06(brs,2H,)、3.18(m,1H)、3.32(brs,2H)、3.67(brs,2H)、4.07(brs,1H)、4.51(brs,1H)、7.09(t,2H)、7.29(m,1H)、7.41(m,2H)、7.52(m,2H);LRMS:m/z APCI,440[MH]
【0198】
(実施例96)
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
【0199】
【化21】

【0200】
調製例のアミン(VII’’)および塩化ブチリルを用いて、実施例94に記載の方法と同様の方法で標記化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.96(t,3H)、1.65(六重線,2H)、1.82〜2.02(brm,4H)、2.30(m,2H)、2.49(s,3H)、2.75(brs,1H,)、3.12(m,2H)、3.34(brs,2H)、3.68(brs,2H)、3.98(brd,1H)、4.52(brs,1H)、7.26(m,1H)、7.52(m,2H);LRMS:m/z APCI,388[MH]
【0201】
(実施例97)
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−シクロプロピル−メタノン
【0202】
【化22】

【0203】
調製例のアミン(VII’’)および塩化シクロプロパンカルボニルを用いて、実施例94に記載の方法と同様の方法で標記化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.75(m,2H)、0.97(m,2H)、1.74(m,1H)、1.86〜2.03(brm,4H)、2.48(s,3H)、2.80(brs,1H,)、3.13(m,2H)、3.33(brm,2H)、3.66(brs,2H)、4.33(brd,1H)、4.48(brs,1H)、7.29(d,1H)、7.51(m,2H);LRMS:m/z APCI,386[MH]
【0204】
上記で例示した化合物のすべては、上記の通りスクリーン1.0で試験した場合(V1Aフィルター結合アッセイ)、Ki値が500nM未満であった。具体的な化合物の例を下記の表2に例示する。
【0205】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】

またはその薬学的に許容できる誘導体
(式中、XはNRまたはOを表し、
Rは水素、C1〜8アルキルまたはSO[C1〜8アルキル]を表し、
WはNまたはCHを表し、
YおよびY’は独立に、水素、ハロゲン、OH、CF、OCF、CN、NH、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシまたはC3〜8シクロアルキルを表し、
A環は少なくとも1個の窒素原子を含む複素環を表し、
Zは直接結合、C1〜8アルキルまたはC3〜8シクロアルキルを表し、
はR、OR、OR−R、N(R)[C1〜8アルキレン]、NCORまたはSRを表し、
およびRは独立に水素、C3〜8シクロアルキル、CF、ArまたはHetを表し、
は直接結合またはC1〜8アルキルを表し、
aは0または1であり、
Arは、複素環に縮合されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環を表し、
Hetは、下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよく、かつ/または下記の1個もしくは複数の基で置換されていてもよい芳香環に縮合されていてもよい複素環を表し、
出現するごとに、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルは下記の1個または複数の基で独立に置換されていてもよく、
上記で言及されたAr、Het、C1〜8アルキル、C1〜8アルキレンおよびC3〜8シクロアルキルに対する置換基は、水素、ハロゲン、C1〜8アルキル、C1〜8アルキルオキシ、S[C1〜8アルキル]、CN、CF、NHおよびOHから独立に選択される)。
【請求項2】
XがNRを表し、RがMeを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
WがNを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
A環がピペリジニルを表す、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Zが直接結合である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−3−イル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−o−トリル−エタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1−メチル−シクロヘキシル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−シクロプロピル−エタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−2−イル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(1H−インドール−6−イル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(3−フルオロ−フェニル)−メタノン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−メタノン、
1−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン、
[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−シクロプロピル−メタノン、
およびその薬学的に許容できる誘導体から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物の医薬としての使用。
【請求項8】
患者に治療有効量の請求項1から6のいずれかに記載の化合物を投与するステップを含む、不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病の治療方法。
【請求項9】
前記障害が月経困難症(原発性および続発性)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記障害が原発性月経困難症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物の、不安、循環器疾患(アンギナ、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(動揺病を含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、月経間期痛、子癇前症、早漏、早産またはレイノー病の治療用医薬の製造における使用。
【請求項12】
前記障害が月経困難症(原発性および続発性)である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記障害が原発性月経困難症である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から6に記載の化合物またはその薬学的に許容できる誘導体を、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体と共に含む医薬製剤。
【請求項15】
請求項1から6のいずれかに記載のV1aアンタゴニストを、(a)経口避妊薬、(b)PDE5阻害剤、(c)NO供与体、(d)L−アルギニンまたは(e)COX阻害剤から選択される化合物との組合せで含む、月経困難症の治療で同時に、別々にまたは連続して使用される混合製剤としての医薬品。

【公表番号】特表2007−517857(P2007−517857A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548476(P2006−548476)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000263
【国際公開番号】WO2005/068466
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】