治療の方法
【課題】癌およびHIV感染のような疾患を処置するための方法、および、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置するための治療が患者にいつ投与されるべきであるかを決定する方法を提供する。
【解決手段】患者またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法
【解決手段】患者またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
多くの疾患が調節細胞の産生に関連している。本発明は、免疫系がこれらの疾患において周期変化をしているという知見に関する。これらの知見に基づいて、本発明は、癌およびHIV感染のような疾患を処置するための方法を提供する。本発明はまた、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置するための治療が患者にいつ投与されるべきであるかを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
過去には、悪性細胞に対して有効な応答をもたらすように免疫系を誘引する試みが行なわれている。重要かつ有望な進歩にかかわらず、このような応答は完全には獲得されておらず、免疫に基づく多くの治療が期待を裏切っている。
【0003】
インビトロの細胞アッセイ法を用いる多くの研究で細胞傷害性リンパ球は腫瘍細胞を殺傷する能力を有することが実証されている。この免疫ベースの破壊がインビボで腫瘍増殖を効果的に制御しない理由は謎である。癌患者はまた、循環している免疫複合体の濃度が増大しており、このことは、免疫系が特にある腫瘍抗原に対して活性であることを示す。これらの免疫複合体のレベルは、疾患の進行につれて増大し得る(Horvathら、1982(非特許文献1);Azizら、1998(非特許文献2))。
【0004】
調節細胞(当技術分野においてはサプレッサー細胞とも呼ばれる)は、癌に対する被験者の免疫応答に関与している(NorthおよびAwwad,1990(非特許文献3);WO 03/068257(特許文献1))。ほとんどの癌抗原は実質的に患者によって産生されるので、それらは免疫系によって「自己」とみなされる。腫瘍抗原の存在および/または量の増大の際、宿主の免疫系は、腫瘍抗原を産生する細胞を標的にするエフェクター細胞の産生によって特徴付けられる応答をもたらす。しかしながら、多くの場合、これらのエフェクター細胞は、免疫系によって宿主自体の細胞を標的にすると認識され、従って調節細胞の集団は、エフェクター細胞集団を下方制御するように産生される。従って、これらの調節細胞の集団は、免疫系が癌細胞を効率的に除去する能力を制限する。
【0005】
さらに近年では、調節細胞は、ウイルス感染に対する被験者の免疫応答に関与していることが示されている。WO 02/13828(特許文献2)は、レトロウイルス感染の間の調節細胞の産生、およびエフェクター細胞集団を維持しながら調節細胞集団を下方制御することによってこのような感染を処置する方法を記載する。さらに、Petersonら(2002)(非特許文献4)は、CD4+調節細胞の集団は、CD8+エフェクター細胞がマウスにおけるフレンドマウスレトロウイルス感染を制御する能力を抑制していることを観察した。
【0006】
特定の急性期タンパク質血漿濃度の測定は、特定の臨床条件下での診断上または予後の価値があり得る。最も公知の急性期タンパク質はC反応性タンパク質(CRP)である。CRPは特定の条件由来の炎症を有する血液中で上昇している血漿タンパク質である。血漿中のCRPのレベルは、炎症とともに1000倍程度まで上昇し得る。CRPにおいて顕著な変化を通常もたらす条件としては、細菌感染およびウイルス感染、外傷、外科手術、火傷、炎症条件、冠動脈疾患および血管疾患、および進行癌が挙げられる。
【0007】
ほとんどの急性期タンパク質は、肝細胞によって合成され、いくつかは、単球、内皮細胞、線維芽細胞および脂肪細胞を含む他の細胞タイプによって産生される。急性期タンパク質としては、血清アミロイドA(SAA)、CRPおよび血清アミロイドP成分(SAP)が挙げられる。
【0008】
刺激に対するCRPおよびSAAの即時の応答性によって、その広範な濃度範囲および自動的な測定の容易さとともに、特定の疾患状態の間の炎症の重篤度および疾患管理の有効性を正確にモニターするために用いられている血漿CRPおよびSAAのレベルがもたらされている。
【0009】
WO 03/070270(特許文献3)は、HIVの有効な処置のための療法における急性期炎症マーカーの使用を記載する。これらの方法は、HAART、次いでエフェクター細胞/調節細胞増殖についてのマーカーとして急性期炎症性タンパク質の分析のような処置によって、免疫系を少なくとも部分的に「リセットする」ことに依存する。急性期炎症性タンパク質の出現は、調節細胞増殖の前に生じるエフェクター細胞増殖に関連しているようであり、従って患者は、調節細胞を破壊するか、その産生を防止するか、またはその活性を減少させながら、エフェクター細胞集団が維持されることを可能にする適切な作用因子で処置され得る。要するに、HAART処置の中止の際に、患者の免疫系が新規の感染として再出現するHIV粒子を処置して、これによりエフェクター細胞の新規の集団が産生されるとみなされた。
【0010】
WO 03/070270(特許文献3)と同様に、WO 03/068257(特許文献1)は、免疫系を少なくとも部分的にリセットすることに関するが、ただしこの場合は、癌の処置との関連においてである。ここでも、処置は、外科手術または抗増殖性薬物の投与のような技術を通じて負荷された腫瘍における減少後のエフェクター細胞の最初の再出現に集中している。
【0011】
WO 02/13828(特許文献2)、WO 03/070270(特許文献3)またはWO 03/068257(特許文献1)のいずれも、これらの疾患のための処置の投与にかかわらず、免疫応答が癌またはHIVの患者において周期変化しているということを認識していない。本発明は、この周期変化の認識に基づいており、これによって調節細胞産生または活性に関連する疾患の処置のための方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 03/068257
【特許文献2】WO 02/13828
【特許文献3】WO 03/070270
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Horvath, M., Fekete, B. and Rahoty, P. (1982) Oncology 39:20-22
【非特許文献2】Aziz, M., Akhtar, S. and Malik, A. (1998) Cancer Detect. Prev. 22:87-99
【非特許文献3】North, R. J. and Awwad, M. (1990) Immunology 71:90-95
【非特許文献4】Peterson, K.E., Strommes, I., Messer, R., Hasenkrug, K. and Chesebro, B. (2002) J. Viriol. 76:7942-7948
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明者らは驚くべき事に、調節細胞の存在によって特徴付けられる疾患状態の間に免疫系が周期変化しているということを見出した。この周期変化は、ヒトにおいて通常ほぼ14〜15日を基準として生じる。
【0015】
理論によって限定されることは望まないが、標的抗原に対するエフェクター細胞の増殖は、エフェクターに対する調節細胞の増殖を伴うようである。調節細胞によるエフェクター細胞の制御の際、両方のタイプの細胞の数および/または活性が減少し、次いで抗原の連続的な存在または不完全な除去に起因して同じ周期が続き、これによって、例えば腫瘍またはウイルスに対する周期的に振幅する、持続性であるが無効な免疫応答が生じる。
【0016】
この周期の知識は、調節細胞の出現が患者に対して有害であることが公知である疾患を処置するために用いられ得る。このような疾患の例としては、癌およびヒト免疫不全ウイルスなどによる持続的な感染が挙げられる。さらに詳細には、患者の処置は、調節細胞数が減少されるか排除されたままで、細胞またはウイルス抗原に対するエフェクター細胞数が最大化されるようにタイミングを合わせてもよい。
【0017】
実際には、本発明者らは、抗癌薬物を用いる広範な種々の癌の処置によって、平均して6.5〜7%の範囲の完全寛解率が得られることに注目した。この6.5〜7%という範囲は、約14〜15日の周期のエフェクター細胞増殖、その後の調節細胞増殖と一致している。さらに詳細には、エフェクター細胞および調節細胞の周期を考慮しない場合、エフェクター細胞数が多いが調節細胞数が増殖を始めたばかりであって、そのため分裂している細胞を標的にする処置に対して脆弱である時期で、抗増殖性薬物を14.5回中、ほぼ1回(6.8%)の投与の機会を医師は有する。これによって癌細胞を標的にする多数のエフェクター細胞が残り、この治療に対する完全寛解が得られる。
【0018】
従って、第一の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子を投与すべきかを決定するための方法を提供するが、この方法は、患者または患者から得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む。
【0019】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、作用因子の投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者を作用因子に曝露させる工程を含む方法を提供する。
【0020】
好ましくは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患は、癌および感染から選択されるが、これらに限定されない。
【0021】
感染は、ウイルス、細菌、原生動物、線形動物、プリオンまたは真菌のような任意のタイプの感染性因子によって生じ得るがこれらに限定されない。好ましくは、感染性因子は、この感染性因子を排除できない患者の免疫系によって特徴付けられる慢性持続感染を生じる。慢性持続感染を生じる感染性因子の例は、HIV、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスのようなウイルスである。
【0022】
理論によって限定されることは望まないが、例えば、腫瘍増殖の増大またはウイルス複製からの抗原負荷が、調節細胞活性にしたがって増大する場合、患者の免疫系はこの抗原に対する初回の曝露に対してと同様の方式で応答するようである。この免疫応答は、血清アミロイドAおよびC反応性タンパク質のような急性期炎症マーカーの産生を含む。
【0023】
作用因子を投与するための適切な時期は、急性期炎症マーカーのレベルがピークになっているときとこのマーカーが次の周期において上昇し始める前との間である。従って、特に好ましい免疫系マーカーは、急性期炎症マーカーである。より好ましくは、急性期炎症マーカーは、限定はしないが、血清アミロイドA、血清アミロイドPおよびC反応性タンパク質からなる群より選択される。
【0024】
好ましくは、この免疫系マーカーは、調節細胞の数および/もしくは活性、ならびに/またはエフェクター細胞の数および/もしくは活性を反映する。
【0025】
1つの態様において、患者は、CD4+CD8-T細胞レベルの分析によって調節細胞の数および/または活性の増大についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、CD4+CD8-T細胞が検出される時に投与されることが好ましい。
【0026】
別の態様において、患者は、CD8+CD4-T細胞レベルの分析によってエフェクター細胞の数および/または活性の増大についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそCD8+CD4-T細胞数がおよそピークに達した時に投与されることが好ましい。
【0027】
別の態様において、疾患に関連する分子は、癌細胞または感染性因子によって産生される抗原である。この態様において、作用因子は、およそ疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される。
【0028】
さらなる態様において、疾患は癌であり、患者は1つまたは複数の腫瘍抗原のレベルの変動についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそ腫瘍抗原のレベルが減少し始める時に投与されることが好ましい。
【0029】
さらなる態様において、疾患は感染性因子によって生じ、患者は、感染性因子によって生じる1つまたは複数の抗原のレベルの変動についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそ抗原または感染性生物体またはウイルス(ウイルス負荷)のレベルが減少し始める時に投与されることが好ましい。
【0030】
別の態様において、免疫系マーカーは体温である。この態様に関しては、作用因子は体温がピークになり、かつ体温が次の周期において上昇し始める前に投与されることが好ましい。
【0031】
本明細書において概説されるとおり、多数の要因の変動は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者において、免疫系が周期変化していることを示すということに本発明者らは注目した。これらの要因としては、急性期炎症マーカー、ウイルス抗原、癌抗原および体温が挙げられる。これらの要因は、限定する必要はないが、エフェクター細胞の産生および/もしくは活性、調節細胞の産生および/もしくは活性、ならびに/またはB細胞の産生および/もしくは活性を含むが必ずしもこれらに限定されない免疫系の、一般的状態に対して直接または間接的に関連する。
【0032】
癌およびエイズのような疾患が、患者に複雑な影響を有することは、当業者によって理解される。さらに、個体間の自然な変動であって、その遺伝子型、栄養、健康状態、以前および現在の疾患状態のような要因に関連する変動は全てが、特定の個体が疾患状態に応答する方法に影響する。従って、ほとんどの場合に、周期は約14〜15日であるが、ある個体では、これはわずかに短くても長くてもよい。さらに、月経周期と同様に、周期の長さは、自然の変動および/または環境要因に起因して個体内でわずかに変化し得る。従って個体の変動は少なくとも、例えば、i)周期の長さ、ii)この周期の間のエフェクター細胞もしくは調節細胞の絶対数、またはiii)この周期の間の急性期炎症マーカーのレベルに関して直面され得る。このような変動は、進行癌または感染を有する患者で強調され得、ここでは患者の免疫系は、かなりの長さの時期にわたって曝露されている。
【0033】
結果として、特定の患者における免疫系の周期の動態が理解されることを保証するには、十分な長さの時期にわたって患者をモニターすることが最も望ましいようである。好ましくは、患者は、少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、より好ましくは少なくとも28日間、より好ましくは少なくとも35日間、より好ましくは少なくとも42日間、さらにより好ましくは少なくとも49日間モニターされる。
【0034】
別の複雑な要因は、少なくともいくつかの急性期炎症マーカーのレベルがおよそ7日ごとの周期(「完全な」免疫系の周期のおよそ半分の長さ)であることが見出されているということである。従って、これらのタイプのマーカーに対する依存によって、約6.8%(作用因子の無作為な投与に基づく)から約50%(どのピークが標的調節細胞に対する適切な時期に関連しているか、を無作為に選択することによって正確な投与時期を選択することに基づく)へと、成功する処置の機会を改善すると考えられる。さらにこれは現在の技術に対する改善であるが、作用因子の適切な投与時期の選択の機会を最適化するために、このようなマーカーを他の要因(例えば、疾患、調節細胞および/またはエフェクター細胞と関連する分子)と共にモニターすることが好ましい。
【0035】
従って、別の態様において、患者は急性期炎症マーカーおよび疾患に関連する分子についてモニターされる。この態様に関して、作用因子は、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時とマーカーが次の周期において上昇し始める前との間で、かつ、疾患に関連する分子のレベルが減少し始めるかまたはこの分子の以前の分析に基づいて減少し始めると予測される時に投与される。
【0036】
一般に、多くの要因を同時にモニターすることが好ましい。なぜなら、上記の要因に起因して、ルーチン的に作用因子を投与するための適切な時期の明確な指示を提供するために、各々の要素が、特に多数の周期にわたって14/15日間以内の完全な周期プロフィールを有することは考えにくい。長期の多くの要因の分析は高価かもしれず、かつ患者に対して少なくとも多少不便であるかもしれないが、癌およびエイズのような疾患は命を脅かす。従って、患者が処置される前に特定の患者における免疫系の周期に関してできるだけ多くを理解する価値がある。
【0037】
さらに、数人の患者において周期変化している、異なる要因の分析は、複雑なプロフィールを生じ得るが、本明細書に提供される手引きを考慮すれば、作用因子の投与の最適な時期を決定するために、モニタリングデータを分析することは、十分に医師の技術の範囲内である。調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を効率的に処置するのに適切な時期を決定するための多数の要因の注意深い分析の例が本明細書に提供される。
【0038】
さらなる複雑な要因は、患者が処置されている疾患または外傷に関連しない疾患または外傷を最近受けたか否かである。例えば、HIV感染について処置されている患者はまた、一般的なインフルエンザウイルスにも罹患しているかもしれない。インフルエンザウイルスの存在は、例えば、HIV感染に起因して存在するこれらのマーカーの周期とは独立して、急性期炎症マーカーの増大を生じるだろう。本発明の方法における使用のためのエフェクター細胞/調節細胞の周期のモニタリングにおいて合併症を生じ得る他の疾患には、関節リウマチ、潰瘍および慢性歯周病が含まれる。従って、モニターされている要因が、処置されている疾患から生じるエフェクター細胞/調節細胞の周期を真に反映することを確実にするために、例えば急性期炎症マーカーのレベルの上昇を生じ得る任意の要因について患者をモニターすることが所望される。
【0039】
さらに、特定の患者における免疫系周期が適切に特徴付けられることを確実にするためにできるだけ頻繁に患者をモニターすることが好ましい。当然これは、作用因子が適切な時期に投与され、かつ、例えば、エフェクター細胞/調節細胞の数もしくは活性、またはそのマーカーにおける任意のわずかな変動が誤って解釈されないことを確実にするだろう。好ましくは、患者は少なくとも3日ごと、より好ましくは少なくとも2日ごと、および、最も好ましくは少なくとも毎日モニターされる。タイミングが作用因子を投与するのに適切であると考えられる段階に周期が達しているとき、モニタリングは、さらに頻繁に、例えば、12時間ごとに、行なわれてもよい。
【0040】
好ましくは、作用因子は、調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する。より好ましくは、作用因子は、調節細胞の産生および/または活性を阻害する抗増殖性薬物、放射線、dsRNAおよび抗体のような抗癌薬物からなる群より選択される。好ましくはこの抗増殖性薬物は、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよび無水ビンブラスチンからなる群より選択されるがこれらに限定されない。
【0041】
癌に関しては、標的腫瘍細胞に対して投与される典型的な抗癌薬物療法と対照的に、本明細書に記載される処置の方法は事実上、調節細胞を標的にする。これによって所望の効果をもたらす適切な数のエフェクター細胞が残る。
【0042】
好ましい抗体の例としては、抗CD4+、抗CTLA-4(細胞傷害性リンパ球関連抗原-4)、抗GITR(グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子レセプター)、抗CD28および抗CD25が含まれるがこれらに限定されない。
【0043】
好ましくは、少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、およびさらにより好ましくは少なくとも28日間、患者は疾患の処置に曝露されていない。
【0044】
本発明者らはまた、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患の処置は、ワクチンが適切な時期に投与される時に増強され得る(または成功する処置の機会が増加し得る)ことを明らかにした。これらの場合、ワクチンは、疾患に対する先天性免疫応答を増強する。これは、エフェクター細胞の数および/または活性の増大の結果である可能性が最も高い。治療的な調節細胞が、やはり最終的に産生されるが、免疫系の増強によって、患者は調節細胞の出現前に疾患を適切に管理することが可能になる。このシナリオは、なぜ以前の研究では抗HIVおよび抗腫瘍ワクチンが少数の患者でしか成功しないことが示されてきたか、ということを説明するだろう。さらに詳細には、疾患に対する先天性免疫応答が生じるのと同じ時期にワクチンを投与する機会はごくわずかである。先行技術における投与の他の時期は、調節細胞の数が多い、および/または活性が高いとき、または免疫系の自然な周期に外れる時期に行なわれる。
【0045】
従って、別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に、いつワクチンを投与するべきかを決定するための方法であって、この方法は、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む方法を提供する。
【0046】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、ワクチンの投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者をワクチンに曝露させる工程を含む方法を提供する。
【0047】
1つの態様において、ワクチンは、エフェクター細胞のレベルが増大されている時に投与される。
【0048】
別の態様において、ワクチンは、疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される。
【0049】
さらなる態様において、ワクチンは、急性期炎症マーカーのレベルが増大し始める時に投与される。上記で概説したとおり、少なくともいくつかの急性期炎症マーカーは、約7日間にわたって周期変化していることが見出されており、ここでは急性期炎症マーカーレベルのすべての第二のピークのみがエフェクター細胞数に関連している。従ってこの態様において、モニタリングは、本明細書に記載される他の要因の分析と組み合わされることが最も必要であると考えられる。
【0050】
調節細胞の存在によって特徴付けられる疾患状態の間、免疫系が周期変化しているという知見はまた、このような疾患の存在の指標として用いられ得る。これらの診断手順は特に、処置後の疾患状態(例えば、腫瘍)の再発について患者を分析するために、または疾患の出現について、疾患に感受性であることが決定された患者を分析するために(例えば、癌感受性遺伝子を保有すると被験者が以前に特定されている場合)有用である。
【0051】
従って、さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を診断する方法であって、この方法は、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む方法であって、a)〜d)のいずれか1つの周期は疾患が存在し得ることを示す方法を提供する。
【0052】
当然、上記で概説したとおり、観察された任意の周期(特に急性期炎症マーカーを分析する場合)が、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に直接関係していることを確認するために、インフルエンザのような軽度の感染などの他の疾患状態について患者は分析される必要がある。
【0053】
理想的にはモニタリングは、期限なく継続すべきであるが、ほとんどの状況ではこれは実際的ではない可能性が高い。従って、診断手順は、疾患状態の出現または再出現という、評価された危険性に基づいて間欠的に行なわれてもよい。当業者が、本明細書の考察から理解するとおり、「間欠的基準」という用語は、免疫の周期が存在しているか判断する場合、この方法では、一定期間にわたって適切な数のサンプル(例えば、約14日間の期間にわたって少なくとも3日ごとに得たサンプル)が分析される必要があるということを意味するが、試験が陰性である場合、この手順を(例えば)別の年に繰り返す必要はないであろう。
【0054】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するために、免疫系マーカーを検出するアッセイ法の使用を提供する。
【0055】
好ましくは、このマーカーは急性期炎症マーカーである。より好ましくは、このマーカーは、ポジティブ急性期炎症マーカーである。さらにより好ましくは、このマーカーは血清アミロイドAおよびC反応性タンパク質からなる群より選択されるがこれらに限定されない。
【0056】
別の局面において、本発明は、エフェクター細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用であって、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0057】
好ましくはこのアッセイ法は、CD8+CD4-T細胞の数を検出する。
【0058】
別の局面において、本発明は、調節細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用であって、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0059】
好ましくはこのアッセイ法は、CD4+CD8-T細胞の数を検出する。
【0060】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に関連する分子を検出するアッセイ法の使用であって、疾患を処置するために、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0061】
好ましくは、このアッセイ法は、癌細胞によって産生される抗原または感染性因子を検出する。
【0062】
好ましくは、患者は、少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、および、さらにより好ましくは少なくとも28日間、疾患の処置に曝露されていない。
【0063】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して投与するための薬剤の製造のための作用因子の使用であって、作用因子はエフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択された時期に投与され、患者は少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、作用因子の使用を提供する。
【0064】
好ましくは作用因子は、調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する。
【0065】
当業者によって容易に理解されるとおり、本発明の方法は、より完全な処置を得るために反復されてもよい。
【0066】
好ましくは、患者は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0067】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきかを決定するためのキットであって、このキットは、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングするための少なくとも1つの試薬を含む、キットを提供する。
【0068】
好ましくは、このキットは、分析されるサンプルの好ましい数、およびサンプル分析の間のタイミングについての言及を含む、本発明の方法を行なうための書面の説明書を含む。
【0069】
明らかなように、本発明の1つの局面の好ましい特性および特徴は、本発明の他の多くの局面に適用可能である。
【0070】
本明細書を通じて、用語「含む」または「含んでいる」のような変化形は、述べられた構成要素、整数もしくは工程、または構成要素、完全体もしくは工程の群の包含であって、ただし任意の他の構成要素、完全体もしくは工程、または構成要素、完全体もしくは工程の群を排除しないものと理解される。
【0071】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、および添付の図面を参照して、本明細書において以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】卵巣癌を有する患者における、14日間にわたるC反応性タンパク質および腫瘍マーカーCA125のレベルを示す。
【図1B】同じ期間にわたる同じ患者での血清アミロイドAのレベル(A由来のC反応性タンパク質レベルを複製した)を示す。
【図2】第一のヒトHIV患者のHAART処置中止に対する応答におけるC反応性タンパク質のレベルを示す。
【図3】HAARTの終了後の第二のHIV患者におけるウイルス負荷およびCRPの変動を示す。
【図4】32日間にわたるミセスOMにおけるCRPおよびC4の変動によって、ほぼ反復する7/14日の振幅を有する明白な周期性が示される。測定は月曜日、水曜日、金曜日ごとに行なった。この場合、C4の振幅はさらに規則的である。32日間の期間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図5】32日間にわたるミセスOMでの血清補体作用因子C4およびC3の変動によって、およそ7/14日というほぼ同期的でかつ規則的な周期性が示される。32日間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図6】ミセスOMでの進行性の疾患による血清補体作用因子C4の変動およびCA125レベルの上昇を示す。32日間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図7】ミセスOMでのC反応性タンパク質対時間、(日数)モニタリングおよび治療的事象、2004年5月28日(1日目)〜2004年8月9日(74日目)を示す。CRPモニタリングは5月28日(1日目)に開始して、疾患の進行につれて着実に上昇した。およそ14日の免疫応答の振幅は、血清のCRP、C4およびCA125の収集データの組み合わせた解釈から誘導した(図4も参照されたい)。キー:A=放射線療法開始、38日目=2004年7月5日。B=予想されるCRPピーク、46、47および48日目=2004年7月13、14、15日。C=初回の化学療法適用のタイミング、49日目=2004年7月16日。D=予想されるCRPピーク、63および64日目=2004年7月28、29日。放射線療法停止。E=2回目の化学療法適用のタイミング、65日目=2004年7月30日。F=発熱、66日目=2004年7月31日、腫瘍からの出血、67日目=2004年8月1日。G=CRPが62.7mg/lに低下、69日目=2004年8月4日。H=内視鏡で腫瘍の証拠なしという報告、74日目=2004年8月9日。
【図8】ミセスFOにおける、時間に対するC反応性タンパク質および血清アミロイドAを示す。
【図9】ミセスFOにおける、時間に対するC血清アミロイドAおよびIL-2を示す。
【図10】ミセスFOにおける、時間に対する血清アミロイドAおよび癌マーカーCA125を示す。
【図11】ミセスFOにおける、時間に対するC反応性タンパク質およびC3を示す。
【図12】ミスターGAにおける、時間に対するC反応性タンパク質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いる場合、「処置する工程」、「処置する」、または「処置」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状を軽減または排除するのに十分な、治療上有効な量の作用因子を投与する工程を含む。
【0074】
本明細書において用いる場合、「腫瘍負荷」という用語は一般に、任意の特定の時期での被験者における癌性の細胞の数をいう。腫瘍抗原のレベルを被験者において測定することは、腫瘍負荷の指標と考えられ得る。
【0075】
本明細書において用いる場合、「ウイルス負荷」という用語は一般に、任意の特定の時期での被験者におけるウイルス粒子の数をいう。ウイルス抗原のレベルを被験者で測定することは、ウイルス負荷の指標と考えられ得る。
【0076】
「調節細胞」とは、CD4+T細胞の小集団を含むが必ずしもこれに限定されない。このような細胞はまた、当技術分野において「サプレッサー細胞」として言及され得る。調節細胞は、エフェクター細胞に直接作用してもよく、または他の機構を通じてエフェクター細胞に影響を及ぼしてもよい。
【0077】
CD4+細胞は、当技術分野においてCD4として公知のマーカーを発現する。典型的には、「CD4+T細胞」という用語は、本明細書において用いる場合、CD8も発現する細胞は指さない。しかしながら、この用語は、CD25のような他の抗原性マーカーも発現するT細胞を含み得る。
【0078】
「エフェクター細胞」は、CD8+細胞として公知のT細胞集団を含むが、必ずしもこれに限定されない。
【0079】
本明細書において用いる場合、「〜の機能を制限し、および/または破壊する」という用語は、作用因子に対する「調節細胞」の曝露について言及する場合、調節細胞の数および/または活性が、作用因子によって下方制御されることを意味する。最も好ましくは、調節細胞の数および/または活性は、作用因子によって完全に除去される。
【0080】
本明細書において用いる場合、「調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患」という用語は、調節細胞の数または活性が疾患状態の遷延において役割を果たす任意の状態をいう。このような疾患の例には癌および感染が含まれるがこれらに限定されない。
【0081】
「免疫系マーカー」という用語は一般に、免疫系の状態および/または活性の指標を提供する任意の分子または要因を指す。これらのマーカーは、調節細胞ならびに/またはエフェクター細胞の活性および/もしくは産生に直接関連し得るか、ならびに/または抗原に対する免疫系の全体的な応答のさらに一般的な指標を提供し得る。適切な免疫系マーカーの例としては、急性期炎症マーカー、例えば、C反応性タンパク質および血清アミロイドAが含まれる。免疫系マーカーの別の例は、これらに限定されないが血清中のコレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンのような細胞破壊の指標である。コレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンは、細胞膜の不可欠な構成要素である。詳細には、β-2-ミクログロブリンは、主要組織適合性クラスIすなわちMHC-Iレセプターに対するアクセサリー分子である。結果的に、抗疾患の免疫応答の周期を標的細胞破壊と一緒に考慮すれば、これらの2つの分子の癌患者における血清レベルはしばしば上昇する。従って、コレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンのような細胞破壊の指標の振幅はまた、免疫応答周期の最初または終わりを決定する際に有用性を証明し得る。当然、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患における免疫系周期の現在の発見により、当業者は、本発明の方法において有用なさらなるマーカーを容易に同定できる。
【0082】
本明細書において用いる場合、「疾患に関連する分子」という用語は、疾患状態に関連する任意の分子をいう。好ましい態様において、マーカーはタンパク質である。このようなタンパク質マーカーは当技術分野において周知である。適切な腫瘍抗原マーカーの例は本明細書に記載される。全てではないが、感染性疾患について適切なマーカー、例えばHIVのgagタンパク質またはenvタンパク質がまた周知である。
【0083】
本明細書において用いる場合、「慢性持続感染」という用語は、患者の免疫系によっても、利用可能な治療によっても容易に制御されない感染性因子の患者における存在をいう。例には、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(結核を引き起こす)、HIV、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスでの感染が含まれるがこれらに限定されない。「慢性持続感染」として分類されるためには、患者が少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間感染を有することが好ましい。
【0084】
本発明の目的上、「抗体」という用語は、別に特定しない限り、標的分析物に対して結合活性を保持している抗体全体のフラグメントを含む。このようなフラグメントには、Fv、F(ab’)およびF(ab’)2フラグメント、ならびに単鎖抗体(scFv)が含まれる。さらに、抗体およびフラグメントは、例えば、欧州特許出願公開第239400号に記載されるようなヒト化抗体であってもよい。
【0085】
当技術分野において公知のとおり、癌は一般に制御されない細胞増殖とみなされる。本発明の方法は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含む任意の癌の処置に用いられ得るが、これらに限定されない。このような癌のさらに詳細な例には、乳癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、消化管癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、結腸直腸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、中皮腫、腎臓癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓の癌、皮膚癌、黒色腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、骨髄腫、種々のタイプの頭頸部癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫および末梢神経上皮腫が含まれる。
【0086】
「サンプル」とは、調節細胞、エフェクター細胞、免疫系マーカーおよび/または疾患に関連する分子を含有していると疑われる物質をいう。サンプルは、供給源から直接、または(部分的な)精製の少なくとも1つの工程の後に得られて用いられてもよい。サンプルは、本発明の方法と干渉しない任意の都合のよい培地中で調製されてもよい。典型的には、サンプルは、以下にさらに詳細に記載されるような水溶液または生物学的液体である。サンプルは、血液、血清、血漿、唾液、痰、眼レンズ液、汗、糞便、尿、乳、腹水、粘液、滑膜液、腹水、経皮浸出液、咽頭浸出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引物、脳脊髄液、精液、頚管粘液、膣または尿道分泌物、羊水などを含む生理学的液体などの任意の供給源に由来し得る。好ましくはこのサンプルは、血液またはその画分である。事前処置は、例えば、血液から血漿を調製する工程、粘性の液体を希釈する工程などを含み得る。処置の方法は、濾過、蒸留、分離、濃縮、妨害成分の不活性化および試薬の添加を含み得る。試験前の生物学的サンプルの選択および事前処置は、当技術分野において周知であって、さらに記載される必要はない。
【0087】
他に示さない限り、本発明において利用される組み換えDNAおよび免疫学的技術は、標準的な手順であり、当業者には周知である。このような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984),J.Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989),T.A.Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach, Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996)、およびF.M.Ausubelら,(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新情報を含む)、Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、およびJ.E.Coliganら,(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現在までの全ての最新情報を含む)のような供給源における文献を通じて記載されて説明され、および参照により本明細書に組み入れられる。
【0088】
急性期炎症マーカー
いくつかの急性期炎症マーカーは免疫応答の間に最初に増大する(本明細書において、以降ではポジティブ急性期炎症マーカーと呼ばれる)が、その他では免疫応答の間に最初に減少する(本明細書において、以降ではネガティブ急性期炎症マーカーと呼ばれる)。急性期炎症マーカーはまた、当技術分野において、急性期反応物質または急性期タンパク質と呼ばれる。当業者は、急性期炎症マーカーをモニターするために用いられ得る多くのアッセイ法を認識している。
【0089】
ポジティブ急性期炎症マーカーの例には、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、血清アミロイドP成分、補体タンパク質、例えば、C2、C3、C4、C5、C9、B、C1インヒビターおよびC4結合タンパク質、フィブリノーゲン、フォン・ウィルブランド因子、α1アンチトリプシン、α1アンチキモトリプシン、α2-アンチプラスミン、ヘパリン補因子II、プラスミノーゲンアクチベータインヒビターI、ハプトグロビン、ヘモペキシン(haemopexin)、セルロプラスミン、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、α1-酸性糖タンパク質、ヘムオキシゲナーゼ、マンノース結合タンパク質、白血球タンパク質I、リポタンパク質(a)、リポポリサッカライド結合タンパク質、およびインターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、IL-6、IL-10およびそのレセプターが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ネガティブ急性期炎症マーカーの例には、アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリン、アポAI、アポAII、α2HS糖タンパク質、インターαトリプシンインヒビター、ヒスチジンリッチ糖タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
血清アミロイドA(SAA)は、反応性AAアミロイド沈着物における主な線維状成分であるアミロイドAAと抗原性を共有する血漿成分として開発された。SAAは、急性期反応物質であってその血中レベルが、外傷、感染および炎症を含む種々の傷害に対する身体の応答の一部として1,000倍またはそれ以上に高い反応物質であることが示されている。
【0092】
SAAレベルは、当技術分野において公知として決定され得る。例えば、Weinsteinら(1984)、Liuzzoら(1994)、O’Haraら(2000)、Kimuraら(2001)およびO’Hanlonら(2002)を参照されたい。
【0093】
C反応性タンパク質(CRP)は、重要なポジティブ急性期応答タンパク質であって、その血清中濃度は、急性期応答の間に1,000倍程度まで増大され得る。CRPは、各々が約23,500の分子量を有する、5つの同一のサブユニットから構成される五量体である。
【0094】
C反応性タンパク質レベルは、当技術分野において公知の技術を用いて決定され得、この技術には、Senjuら(1983)、Weinsteinら(1984)、Priceら(1987)、Liuzzoら(1994)、Edaら(1998)、Kimuraら(2001)およびO’Hanlonら(2002)に開示される技術が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
補体タンパク質は、少なくとも20の免疫学的に別個の成分の群である。それらは通常、血中で不活性型として循環する。それらは、ウイルスおよび細菌、および病理学的に宿主自身の細胞でさえ破壊するような、複雑だが順応可能な方法で、順次、抗原-抗体複合体と相互作用し、お互いに相互作用し、および細胞膜と相互作用し得る。補体タンパク質の異常な血清レベルは、遺伝性疾患または後天性疾患のいずれかに起因し得る。C3およびC4の少なくとも循環しているレベルは、免疫複合体形成に起因する補体消費と、急性期応答に起因する合成の増大との間のバランスを反映する。補体タンパク質レベルを測定する方法は当技術分野において周知である。
【0096】
異なるインターロイキンのレベルはまた、ProteoPlex(商標)サイトカインアッセイキット(EMD Biosciences Inc.,CA,USA)を用いるような、当技術分野において公知の手順を用いて決定されてもよい。
【0097】
作用因子
作用因子とは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置するのに有用な、任意の要因または処置であってもよい。好ましくは、この作用因子は、選択的にまたは非選択的に、調節細胞の破壊、産生の阻害、または活性の減少を生じる。例えば、CD4+特異性抗体は、CD4+T細胞を特異的に標的にするために用いられ得る。しかしながら、ある場合には、両方ともが分裂している細胞を破壊する、抗増殖性薬物または放射線のような非選択性の作用因子が用いられてもよい。詳細には、他の細胞タイプと同様、調節細胞は特に、分裂しているとき、特に有糸分裂の時に、抗有糸分裂(抗増殖性)薬物または紡錘体毒(例えば、ビンブラスチンまたはパクリタキセル)による破壊に脆弱である。
【0098】
「抗増殖性薬物」という用語は、当技術分野において十分理解される用語であり、および分裂している細胞を破壊するか、またはその細胞がさらなる増殖を受けることを阻害する任意の化合物を指す。抗増殖性薬物には、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチル-メラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキセート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、無水ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、L-アスパラギナーゼ、シスプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグルテチミド、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、放射性同位体、リシンA鎖、タキソール、ジフテリア毒素、コルヒチンおよび緑膿菌外毒素Aが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
作用因子は通常、熟練した臨床医に容易に利用可能である投薬形態で投与され、および、一般にその通常定められた量(例えば、Physician’s Desk Reference,55th Edition,2001に記載される量、または作用因子の使用について製造業者の文献に記載される量)で投与される。
【0100】
1つの態様において、作用因子は単回ボーラス注射として投与される。別の態様において、作用因子は、注入によって投与される。注入の期間は例えば、少なくとも3時間、少なくとも12時間または少なくとも24時間であってもよい。
【0101】
近年の研究によって、CD4+CD25+T細胞が自己抗原に対する免疫細胞を調節するのに重要な役割を果たすことが示唆されている(Salomonら、2000;Suri-PayerおよびCantor、2001)。さらに、CD4+CD25+T細胞を標的にすることは、動物が腫瘍増殖を制御する能力を増強することが示されている(Onizukaら、1999;Shimizuら、1999;Sutmullerら、2001)。従って、CD4+CD25+T細胞は、本明細書において用いられる調節細胞として作用する。CD4+CD25+T細胞の活性は、抗GITR、抗CD28および/または抗CTLA-4によって下方制御され得る(Readら、2000;Takahashiら、2000;Shimizuら、2002)。従って、これらの抗体は本発明の方法における使用のための作用因子として有用であり得る。
【0102】
本発明の方法において投与され得る作用因子の別の例はdsRNAである。dsRNAは、RNA干渉(RNAi)において用いられるが、RNA干渉とは、細胞への導入の際、dsRNAに対して相同なmRNAが特異的に分解されて、その結果遺伝子産物の合成が抑制される現象である。RNAiを生じるこのような作用因子の例には、標的遺伝子の核酸配列に対して少なくとも約70%の相同性を有する配列、またはストリンジェントな条件下で、少なくとも10ヌクレオチドの長さを有する二重鎖部分を含むRNAまたはその変種にハイブリダイズ可能な配列が含まれるが、これらに限定されない。標的遺伝子の例には、調節細胞の複製に必要な遺伝子、癌細胞の生存に必要な遺伝子、または感染性作用因子の増殖および/もしくは複製に必要な遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
当技術分野においてsiRNAと呼ばれる、約20塩基(例えば、代表的には約21〜23塩基)または20塩基未満の長さを有するdsRNAが用いられ得る。細胞におけるsiRNAの発現は、siRNAによって標的とされる遺伝子の発現を抑制し得る。別の態様において、RNAiを生じ得る作用因子は、3’末端に粘着部分を有する短いヘアピン構造を有してもよい(shRNA;短ヘアピンRNA)。本明細書において用いる場合、「shRNA」という用語は、約20以上の塩基対の分子であって、単鎖RNAが部分的にパリンドローム塩基配列を含み、その中に二本鎖構造(すなわち、ヘアピン構造)を形成する分子をいう。shRNAは人工的に、化学的に合成され得る。または、shRNAは、DNA配列のセンス鎖およびアンチセンス鎖を逆方向に連結すること、および、テンプレートとしてDNAを用いてT7 RNAポリメラーゼとともに、インビトロにおいてRNAを合成することによって産生され得る。二本鎖部分の長さは特に制限されないが、好ましくは約10またはそれ以上のヌクレオチド、および、より好ましくは約20またはそれ以上のヌクレオチドである。3’の突出末端は、好ましくはDNAであり、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド長のDNA、および、さらにより好ましくは2〜4ヌクレオチド長のDNAである。
【0104】
本発明に有用なRNAiを生じ得る作用因子は、人工的に合成されても(化学的または生化学的)天然に存在してもよい。本発明の効果に関しては、それらの間に実質的な相違はない。化学合成された作用因子は、好ましくは液体クロマトグラフィーなどによって精製される。
【0105】
本発明において用いられるRNAiを生じ得る作用因子はまた、インビトロで産生されてもよい。この合成系では、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターは、テンプレートDNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成するために用いられ得る。これらのRNAは、アニーリングされて、その後細胞に導入される。
【0106】
dsRNAは、当技術分野において公知の任意の方法を用いて患者に送達され得る。患者にdsRNAを送達する方法の例は、例えば、米国特許第20040180357号、同第20040203024号および同第20040192629号に記載される。
【0107】
被験者を作用因子に対して曝露させるタイミング
癌患者に対する抗増殖性化学療法の単回の処置を無作為に適用する研究者にとっては、タイミングを正しい位置に得る機会はほぼ14回に1回から15回に1回である。14回の機会に1回とは、調節細胞が不活性化に脆弱であるとき、正確な日に治療を適用するのが7%の確率に等しい。これを行なう場合、腫瘍は、免疫破壊によって媒介されて退縮するはずである。さらに詳細には、一旦調節細胞が治療の処置によって除去されれば、腫瘍またはウイルスに対する免疫応答は、徐々に無視できなくなり、最終的に疾患の制御につながるというのが本発明者らの仮説である。
【0108】
理論によって限定されることは望まないが、エフェクター細胞の相対数は、調節細胞の前の抗原に応じて拡大すると考えられる。従って、本明細書において用いる場合、「エフェクター細胞の活性が有意に低下しない」とは、作用因子の投与のタイミングが、作用因子がエフェクター細胞よりも調節細胞に対して比較的大きい効果を発揮するようなタイミングを意味する。調節細胞に対する効果のエフェクター細胞に対する効果に対する比が最大である時期に作用因子を投与することが明らかに好ましい。
【0109】
上記で概説したとおり、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者において免疫系がほぼ14〜15日にわたって周期変化しているという現象に基づく。ほとんどの場合、作用因子が投与されるべき時期は、免疫応答動態が変化し得るような疾患の異なる段階で、被験者において経験的に決定される必要がある。被験者の一般的健康状態および/または被験者の遺伝子構成のような他の要因も、作用因子を投与するための適切な時期がいつであるかに影響を与える。
【0110】
当業者によって理解されるとおり、癌および慢性持続感染のような状態は重篤であり、しばしば命を脅かす疾患である。本来の個体間のバラツキではまったくないが、多くの要因に起因して、個体における免疫周期の性質を評価するために、および多数の要因(急性期マーカーおよび疾患抗原の組み合わせのような)を分析するためにモニターするために、最終的には、作用因子を投与する最も適切な時間を決定して有効な処置の機会を最適化するために、患者は合理的な長さの時間にわたってモニターされることが典型的に必要である。
【0111】
当技術分野において公知の技術を用いて、「周期」の間にエフェクターおよび/または調節細胞の増殖している集団をモニターすることができる。
【0112】
連続的な血液サンプルを収集して、FACS分析により全てのCD4+サブセットについて定量的にスクリーニングしてもよい。このFACSモニタリングは、腫瘍によって産生されてもまたは被験者に投与されても、調節細胞が疾患状態に応じてクローン的に増殖し始めるまで維持される必要がある。調節細胞の増殖している集団をモニタリングするための他の可能なアッセイ法は、リンパ球増殖/活性アッセイ法および種々のサイトカインレベルのアッセイ法(例えば、IL-4、IL-6、またはIL-10についてのアッセイ法)を含む。
【0113】
また、連続的な血液サンプルを収集して、CD8+、CRP、SAAおよび種々のサイトカインのような、これらに限定されないが、全てのエフェクター細胞の活性について定量的にスクリーニングしてもよい。このようなエフェクター細胞マーカーは、調節細胞マーカーに先行する。
【0114】
疾患が癌である場合、作用因子を投与するための時期を決定する別の方法は、腫瘍負荷をモニターすることである。腫瘍負荷は、エフェクター細胞の活性に起因して減少することが予想されるが、調節細胞の引き続く増大は、エフェクター細胞を下方制御して、腫瘍負荷減少の緩徐化を生じる。従って、作用因子は、およそ腫瘍負荷の減少の緩徐化の前に投与され得る。当技術分野において公知の技術、例えば、腫瘍によって発現されるマーカーのRT-PCRまたは抗体検出を用いて、これらの環境における腫瘍負荷を測定することができる。適切な腫瘍抗原マーカーアッセイ法の例には、AFP(肝細胞癌腫および胚細胞腫瘍のマーカー)、CA15-3(乳癌を含む多数の癌のマーカー)、CA19-9(膵臓癌および胆管腫瘍を含む多くの癌のマーカー)、CA125(卵巣癌を含む種々の癌のマーカー)、カルシトニン(甲状腺髄様癌を含む種々の腫瘍のマーカー)、カテコールアミンおよび代謝物(クロム親和細胞腫)、CEA(結腸直腸癌および他の消化管癌を含む種々の癌のマーカー)、hCG/βhCG(生殖細胞腫瘍および絨毛癌を含む種々の癌のマーカー)、尿中の5HIAA(カルチノイド症候群)、PSA(前立腺癌)、セロトニン(カルチノイド症候群)、およびサイログロブリン(甲状腺癌)が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
作用因子の投与のために正確な時期を選択することを確実にするには、モニタリングは非常に高頻度、例えば、2〜3時間ごとである必要があるかもしれない。好ましくは、モニタリングは、少なくとも48時間ごとに行なう。より好ましくは、モニタリングは、少なくとも24時間ごとに行なう。
【0116】
最適には、モニタリングは、作用因子の効果を決定するために継続される。調節細胞の不十分な下方制御、再出現、または例えば腫瘍負荷の増大は、本発明の方法が繰り返されるべきであることを意味する。このような処置の繰り返しの周期は、免疫学的記憶を生成し得る。従って、本発明を繰り返し方式で用いれば、ある程度の予防的な防御効果を得ることが可能である。
【0117】
ワクチン
上記で概説したとおり、本発明者らはまた、文献の調査後、治療用ワクチンを用いた種々の癌の処理が平均して約10%の完全寛解率をもたらすこと(例えば、Trefzerら、2004;Lotemら、2004;Smithersら、2003;Belliら、2002;Berdら、2001;Wittigら、2001を参照されたい)に注目した。これは、14日ごとに1.5日(10%)という治療適用の機会のウインドウを意味する。これは、本明細書において報告された癌の化学療法においてみられた約7%(14日の1日)という完全寛解率の確率の十分に範囲内である。従って同様の機構がワクチンの状況で作動し、それによって、正確な時期での患者への癌ワクチンの接種が調節機構/細胞を妨害するのに十分であり、エフェクターが腫瘍を殺傷することを可能にして完全寛解が得られる。
【0118】
当然、本発明において用いられるワクチンは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に対する免疫を生じる。このようなワクチンは、少なくとも1つの抗原、またはこの抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。ワクチンは、DNAワクチン、抗原を発現するトランスジェニック生物の接種、または抗原を含む組成物のような当技術分野において公知の任意の形態として提供され得るが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書において用いる場合、「抗原」とは、疾患に対する免疫応答を生じ得るエピトープを含む任意のポリペプチド配列である。
【0120】
癌細胞に対する免疫応答を発生させ得る抗原は、当技術分野において周知である。特定の腫瘍抗原が免疫系によって認識され、標的にされ得る。この特性は、腫瘍組織による過剰発現に起因し得る。これらの抗原のいくつかは、正常な組織において検出され得る。T細胞によって標的にされる腫瘍抗原は一般に、細胞内でプロセシングされて、CD8+細胞傷害性Tリンパ球によって認識されるように腫瘍MHCクラスI分子の溝に結合した短いペプチドフラグメントとして提示されるタンパク質である。腫瘍抗原の存在がわずかであれば、免疫応答を誘発するには必ずしも十分ではない。B7.1のような同時刺激分子が時に必要である。一旦抗原特異的T細胞が刺激されれば、それらは腫瘍を認識または破壊し得る。抗原特異的T細胞の活性に必要な条件はストリンジェントであるが、標的腫瘍細胞およびT細胞の遺伝的操作にはオープンである。
【0121】
HIVのような感染を処置するために用いられ得る抗原はまた、当技術分野において周知である。
【0122】
抗原は免疫応答をもたらす当技術分野において公知の任意の方式で提供されてもよい。抗原は例えば、天然であっても、組み換えであってもまたは合成であってもよい。天然の抗原は、例えば、腫瘍細胞の細胞溶解液を提供することによって調製され得る。
【0123】
ワクチンは、一つまたは複数の抗原から調製され得る。抗原を含むワクチンの調製は、当業者に公知である。典型的には、このようなワクチンは、注射剤、または経口剤として、液体の溶液または懸濁液のいずれかとして調製され;注射または経口摂取の前に、液体中の溶液に、または懸濁液に適切な、固体型で調製されてもよい。この調製物はまた、乳化されても、またはリポソームにカプセル化されたタンパク質であってもよい。この抗原はしばしば、活性成分と薬学的に許容され、適合する担体/賦形剤とともに混合される。適切な担体/賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。
【0124】
さらに、必要に応じて、ワクチンは、わずかな量の添加物質、例えば、保湿材または乳化剤、pH緩衝化剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントを含んでもよい。
【0125】
典型的には、ワクチンはアジュバントを含む。本明細書において用いる場合、「アジュバント」という用語は、抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する物質を意味する。有効であり得るアジュバントの例には、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-nor-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、nor-MDPとも呼ばれる)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1-2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP 19835A、MTP-PEと呼ばれる)、および細菌から抽出された3つの成分を含むRIBI、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレートおよび2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中の細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)が含まれるが、これらに限定されない。アジュバントのさらなる例には、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、細菌内毒素、リピドX、コリネバクテリウム・パーブム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミソール、DEAE-デキストラン、ブロックコポリマーまたは他の合成アジュバントが含まれる。このようなアジュバントは、例えば、Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,N.J.)またはフロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,Michigan)など、種々の供給源から市販されている。
【0126】
抗原およびアジュバントの割合は、両方が有効量で存在する限り広い範囲にわたって変化してもよい。例えば、水酸化アルミニウムはワクチン混合物の約0.5%の量で存在してもよい(Al2O3基礎)。好都合なことに、ワクチンは、0.2〜200μg/ml、好ましくは5〜50μg/ml、最も好ましくは15μg/mlの範囲の最終濃度で抗原性ポリペプチドを含むように処方される。
【0127】
処方後、ワクチンは、滅菌容器中に入れられてもよく、次いで密閉されて低温、例えば4℃で保管されるか、または凍結乾燥されてもよい。凍結乾燥によって安定な形態で長期の保存が可能になる。
【0128】
ワクチンは慣習的に、非経口的に、注射によって、例えば、皮下または筋肉内のいずれかに投与される。他の投与方式に適切であるさらなる処方物としては、坐剤、およびある場合には経口処方物が挙げられる。坐剤については、伝統的な結合剤および担体、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでもよい;このような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成されてもよい。経口処方物は、例えば、薬学的な等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性処方物または粉末の形態をとり、および10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含む。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、この凍結乾燥物質は、投与の前に、例えば懸濁液として再構成され得る。再構成は好ましくは緩衝液中に行なわれる。
【0129】
患者への経口投与のためのカプセル、錠剤および丸剤は、例えば、オイドラギット(Eudragit)「S」、オイドラギット「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶コーティングとともに提供されてもよい。
【0130】
DNAワクチン接種は、被験者の組織の細胞による抗原の発現のために、被験者の組織への抗原をコードするDNAの直接インビボ導入を含む。このようなワクチンは、本明細書において「DNAワクチン」または「核酸を用いたワクチン」と呼ばれる。DNAワクチンは、米国特許第5,939,400号、同第6,110,898号、WO 95/20660号、およびWO 93/19183号に記載され、その開示がその全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0131】
今日まで、ほとんどのDNAワクチンは哺乳動物の系において、サイトメガロウイルス(CMV)由来のウイルスプロモーターに依拠してきた。これらは多数の哺乳動物種における筋肉および皮膚の両方の接種に良好な有効性を有している。DNA免疫によって誘導される免疫応答に作用することが公知の要因は、DNA送達方法であり、例えば非経口の経路は低速の遺伝子移動をもたらし、およびかなりの変動の遺伝子発現を生じ得る。遺伝子銃を用いるプラスミドの高速の接種は、おそらく、DNAトランスフェクションの効率がより上昇し、および樹状細胞による抗原提示がより効率的であったため、マウスの免疫応答を増強した。本発明の核酸を用いたワクチンを含むベクターはまた、当技術分野において公知の他の方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクチン(リポソーム融合)、またはDNAベクタートランスポーターによって所望の宿主に導入され得る。
【0132】
抗原性ポリペプチドを産生するトランスジェニック植物は、当技術分野において周知の手順を用いて構築され得る。植物由来の多数の食物ワクチンが動物およびヒトの病原の両方について現在開発されている。免疫応答はまた、ウイルス様粒子(VLPs)を産生するトランスジェニック植物、または抗原性エピトープを提示するキメラ植物ウイルスでの経口免疫から生じる。これらのVLPsまたはキメラウイルスの粒子形態は、胃における抗原のさらに大きい安定性をもたらし、腸における取り込みに利用可能な抗原の量が効率的に増大することが示唆されている。
【実施例】
【0133】
実施例1
以下に提供されるのは、いくつかの急性期炎症マーカーおよび卵巣癌マーカーCA125をモニターするために用いられる典型的なアッセイ法の例である。
【0134】
C反応性タンパク質
デイドベーリングディメンションRxLケミストリーアナライザー(DADE Behring Dimension RxL Chemistry Analyser)を用い、Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)から供給された試薬および標準物質(試薬カタログ番号DF-34;標準物質カタログ番号DC-34)を用いてC反応性タンパク質を測定した。
【0135】
CRP法は、粒子増強免疫比濁技術に基づく。C反応性タンパク質に対する抗体でコーティングされたLatex粒子は、サンプル中のC反応性タンパク質の存在下で凝集する。凝集を伴う濁度の増大は、C反応性タンパク質の濃度に比例する。
参照範囲:0〜5 mg/L
分析範囲:0.5〜500mg/L
【0136】
癌抗原125(CA125)
AxSym CA 125は、Abbott Diagnosticsによって供給された試薬および標準物質(AxSym Reagent packカタログ番号3B41-22;標準物質カタログ番号9C22-01)を用い、微小粒子酵素イムノアッセイ(MEIA)技術に基づいて、Abbott Diagnostics AxSymで行なった。
【0137】
サンプル、抗CA125でコーティングした微小粒子および標本希釈液を反応容器の1ウェル中でピペッティングする。CA125は、Ab-Ag複合体を形成する、抗CA125でコーティングした微小粒子に結合する。微小粒子に結合されたAb-Ag複合体を含む反応混合物のアリコートは、ガラスファイバーマトリックスに不可逆性に結合する。マトリックス細胞は洗浄緩衝液で洗浄して未結合の物質を除く。抗CA125サブユニット特異的なALP結合体は、マトリクス細胞上に分散して、Ab-Ag複合体と結合する。マトリクス細胞を、洗浄して、未結合の物質を除去する。この基質、4-メチルウンベリフェリルリン酸をマトリクス細胞に添加して、蛍光産物をMEIA光学アセンブリによって測定する。
【0138】
希釈は、Abbott CA125標本希釈液(No.3B41-50)とともに行なった。
【0139】
慣用的な品質管理血清(Abbott 腫瘍マーカー対照(9C22-10 レベル1、2および3)から2つのレベルで評価した変動係数は以下のとおりである:
参照範囲:0〜35U/mL
分析範囲:2〜600U/mL
【0140】
インターロイキン2レセプター(IL2R)
Diagnostic Products Corporation(Los Angeles,CA,USA)のイムライト(Immulite)アナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法(EIA)によって、サイトカインインターロイキン2(IL2R)のレセプターを測定した。
【0141】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL2R、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0142】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LKIPZによってキットの形態で供給される。
【0143】
分析能力:
分析範囲:5〜7,500U/mL
参照範囲:223〜710U/mL*
*87例の明らかに健康な成人で研究を行なった。
【0144】
インターロイキン6
Diagnostic Products Corporation(Los Angeles,CA,USA)のイムライトアナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法y(EIA)によって、サイトカインインターロイキン6を測定した。
【0145】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL-6、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0146】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LK6PZによってキットの形態で供給される。
【0147】
分析能力:
分析範囲:2〜1000pg/mL
参照範囲:<4.1pg/mL*
*60例の明らかに健康な実験室ボランティアで研究を行なった。
【0148】
インターロイキン10
Diagnostic Products Corporation、Los Angeles,CA,USA のイムライトアナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法(EIA)によって、サイトカインであるインターロイキン10を測定した。
【0149】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL-10、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0150】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LKXPZによってキットの形態で供給される。
【0151】
分析能力:
分析範囲:5〜1000pg/mL
参照範囲:<9.1pg/mL*
*55例の明らかに健康な成人で研究を行なった。
【0152】
血清アミロイドA
ヒトSAAに対する抗体でコーティングされたポリスチレン粒子は、SAAを含有するサンプルと混合した場合、凝集する。比濁計中の散乱光の強度は、サンプル中の分析物の濃度に依存し、および従ってその濃度は、公知の濃度の標準の希釈との比較によって決定され得る。
不正確性:CV 4.7%@192mg/mL N=404
CV 2.8%@7.0mg/mL N=40
参照範囲:正常な血清CRPレベルを有する集団では(95パーセンタイル値=5.0mg/L N=483)N ラテックス SAAについての95パーセンタイル値は、6.4mg/Lであることが見出された。
分析範囲:3.0〜200mg/L
【0153】
補体C3
Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)によって供給された試薬および標準物質を用い、デイドベーリングプロスペクトアナライザー(Dade Behring ProSpect analyser)を用いる比濁分析によって、自動的な方法を用いて血清サンプル中の補体C3濃度を測定した。
【0154】
可溶性の抗原溶液(サンプル)および特異的な抗体(抗血清カタログ番号 OSAP15)を反応キュベット中で混合する。不溶性の抗原-抗体複合体が直ちに形成され、この混合物中で濁度が生じ、この溶液によって散乱される光の量が増大する。インキュベーション期間の後、分析の波長で溶液の吸光度を測定する。
不正確性:CV 5.5%@1.05g/L N=61
CV 3.2%@2.70g/L N=61
参照範囲:0.81〜1.85g/L
分析範囲:0.10〜3.50g/L
【0155】
補体C4
Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)によって供給された試薬および標準物質を用い、デイドベーリングプロスペクトアナライザーを用いる比濁分析によって、自動的な方法を用いて血清サンプル中の補体C4濃度を測定した。
【0156】
可溶性の抗原溶液(サンプル)および特異的な抗体(抗血清カタログ番号 OSAO15)を反応キュベット中で混合する。不溶性の抗原-抗体複合体が直ちに形成され、この混合物中で濁度が生じ、この溶液によって散乱される光の量が増大する。インキュベーション期間の後、分析の波長で溶液の吸光度を測定する。
不正確性:CV 4.7%@0.20g/L N=61
CV 3.8%@0.53g/L N=61
参照範囲:0.10〜0.40g/L
分析範囲:0.03〜1.50g/L
【0157】
実施例2
高齢女性の卵巣癌患者をC反応性タンパク質、血清アミロイドAおよび腫瘍マーカーCA125のレベルの変動について約12日間モニターした。モニタリングは、1日おきに収集した血液サンプルでの標準的な実験室での試験を用いて行なった。患者は最近、いかなる抗癌療法にも曝露されていなかった。さらに、患者が癌以外のいかなる疾患に罹患しているという証拠はなかった。疾患の負荷の指標としてCA125(卵巣癌マーカー)をモニターした。
【0158】
図1Aに示されるとおり、C反応性タンパク質(CRP)レベルは、モニタリング期間の開始時期でピークであった。さらに、図1Bに示されるとおり、血清アミロイドAレベルは、CRPピークの同じ時間に上昇された。
【0159】
これらの結果によって、
i)急性期炎症性タンパク質のレベルは、ウイルス感染または化学療法のような変動を生じる任意の他の公知の要因の非存在下では、癌患者において変動していること、
ii)急性期炎症性タンパク質のレベルの上昇は、腫瘍抗原の低いレベルと関連し、このことはエフェクター細胞の存在を示唆していたこと、および
iii)腫瘍抗原のレベルの上昇は、急性期炎症性タンパク質の低いレベルと関連し、このことは調節細胞がエフェクター細胞の有益な活性を打ち消し、これらの細胞がもはや腫瘍細胞に対して活性を持たないことを示唆している。
【0160】
実施例3
HIV感染に罹患したヒト被験者は、少なくとも6ヶ月間にわたって高活性の抗ウイルス療法(HAART)を受け、次いでこの処置を停止した。C反応性タンパク質のレベルは、HAARTの間および終了後に得られたサンプルで標準的な技術を用いて決定された。
【0161】
図2からわかるように、HAARTの結論に基づいてC反応性タンパク質レベルは周期変化を始め、ほぼ14日ごとにピークになることがこの結果によって示される。
【0162】
実施例4
血清CRPを用いて、抗レトロウイルス治療を停止したHIV患者における免疫応答をモニターした(図3)。この研究で、CRPレベルは、免疫応答がオンおよびオフに切り換えられる際、ウイルス負荷の変動によく似ていた(図3)。これらのCRP変動は約14日周期であることが注目されることが興味深い。
【0163】
実施例5
癌の処置のための抗癌剤(例えば、ビンブラスチンおよびタキソール)を用いる第II相または第III相臨床試験の結果を記載した文献の要約について、「Pubmed」データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を検索した。「要約」を選択するために用いた他の基準は、この癌が後期(ステージIIIまたはステージIV)であり、疾患が転移していたということであった。いくつかの研究は単独の薬物を用いていたが、その他は組み合わせを用いていた。他には用いた基準はなく、非定型の完全寛解率の分析は無視しなかった。
【0164】
各々の試験についての完全寛解率(要約で示されたとおり)を用いて、各々のタイプの癌の平均完全寛解率を決定した。その結果を表1に示した。明らかに、平均の完全寛解率は、分析した全ての癌についてわずかな程度、すなわち5.1〜8.2%しか変化しなかった。表1で提供された結果を用いて、全体的な平均の完全寛解率を決定した。この平均完全寛解率は、分析した144の試験を考慮すれば、少なくとも10個の異なるタイプの癌にまたがって6.6%であった。
【0165】
特に卵巣癌について得られたデータに関して、1つの研究(Adachiら、2001)では25%という完全寛解率が観察され、これは他の143の試験と比較して極めて大きかったということは注目すべきである。この研究は、8例の患者で見たが、2例の患者が完全寛解率を示している。これは十分に可能な範囲内であるが、この研究が無視できない場合、残りの卵巣癌についての全体的な完全寛解率は7.1%である。
【0166】
完全寛解率は、異なる癌およびその処置プログラムの間で極めて一定しており、このことは、全ての癌およびその処置に関連する背景にある要因を示唆している。本明細書に記載されるとおり、この要因は、免疫系が周期変化しているということである。従って、表1に示される完全寛解率は、適切な時期に投与された抗癌剤の結果であり、エフェクター細胞数が最大化され、一方調節細胞数が減少されるかもしくは除去され、または、完全寛解を誘導するのに十分な抗癌剤によって、活性が下方制御されるかもしくは損なわれたことが主張され得る。
【0167】
(表1)種々の癌に対する抗癌薬物を用いる臨床試験から得られる完全寛解率
癌には、腎細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、子宮頚癌、未分化星状細胞腫、転移性骨肉腫、尿路上皮癌、および子宮体癌が含まれ、以下に記述されている。
【0168】
エフェクター細胞/調節細胞の数の典型的な周期が約15日と考えられる場合、表1のデータは、完全寛解率を達成するための抗癌療法を投与するための1日のウインドウを示唆している。30%という大きさの部分寛解率が典型的には注記され、このことは、作用因子が、この「1日のウインドウ」のいずれの側の24〜36時間の期間に投与される場合にも、有益な効果が達成され得るということを示唆している。
【0169】
実施例6
患者
患者は、本明細書において「ミセスOM」と命名された75歳の高齢の女性であった。
【0170】
病歴
肝硬変、虚血性心疾患、インスリン依存性糖尿病。2004年5月の内視鏡および生検/組織像によって食道下部の扁平上皮癌が診断された。この癌では、患者が嚥下困難を知覚することとなった。
【0171】
腫瘍の詳細
食道の基部で5cmの円周量であり、管腔を部分的に閉塞している。未知の上皮/壁面への浸潤。
【0172】
治療プログラム
6〜8週間にわたって毎週1日15分間の約33コースの放射線療法。さらに背景にある他の医学的条件に起因して化学療法を制限した。
【0173】
癌専門医は、2つの化学療法(5フルオロウラシルおよびカルボプラチンの約8時間の注入)の適用を与えることに合意した。この適用は、周期変化している腫瘍特異的調節細胞の時限性の下方制御を試みるために、患者の免疫応答の周期/振幅と協調している。
【0174】
モニタリングおよび治療処置
免疫応答の振幅を検出するために、患者の免疫応答のモニタリングは、以下のアッセイ法:CRP、SAA、C3、C4およびCA125を用いて、1日目である2004年5月28日に開始した。食道の扁平上皮癌の場合に文献に報告されているとおり、CA125を用いて疾患の進行をモニタリングした。
【0175】
モニタリングの最初の段階の間、患者は、腫瘍の増殖に起因する可能性が最も高い、嚥下の困難性の増大を報告した。これは、全ての測定されたパラメーターにおける一貫した上昇によって裏付けられた(図4〜7を参照のこと)。
【0176】
興味深いことに、上昇しているCA125は、約24時間を超えて短時間でプラトーに達し、(図6の12〜14日)、結局そのポイントを超えて急な勾配で上昇する結果となった。これは患者の免疫応答のスイッチがオンとなり、および腫瘍増殖およびマーカー(CA125)を調節して、結局、その約24時間の期間の終わりに、免疫調節に起因してスイッチをオフにするのみとなった、と解釈された。
【0177】
この約24時間の期間は、1回の約14日の周期の終わりおよび次回の始まりを確立し、および従って潜在的な処置のポイントまたはさらなる処置のポイントの前に計画するための参照ポイントを確立した。
【0178】
14日の周期の開始および終わりを規定すれば、何日も前に予測して計画し、2つの潜在的な化学療法処置のポイントが約2週間離れていると最良に推定することがこの時点で可能であった。
【0179】
治療処置のポイントまたはウインドウを正確に規定するために、火曜日、水曜日および木曜日(図7、7月13、14および15日、46、47および48日目、Bとして矢印で示した)に患者から血液採取/測定を行なうことを決定した。この周期が正確に決定される場合、CRPのピークとその後の下降は、分析が行なわれる日にまたがってみられるはずである(図7)。CRPのこのパターンは約14日後に反復されて、免疫応答の振幅の持続的な周期性と一致していなければならない。これは、事実であることが見出された(図7)。
【0180】
CRPの結果に基づいて、本研究者らは、化学療法の最初の適用を2004年7月14日水曜または2004年7月15日木曜に投与するように癌専門医に推奨した。しかしながら、ミセスOMは既に2004年7月16日金曜に化学療法を予約しており、癌専門医はこの予約の変更を変更しないと決めた。この日はCRPのピークの直後であった(図7、Cとして矢印で示した)ので、この機会のウインドウは、この治療の適用が24時間遅すぎるかもしれないので失敗するかもしれないと本発明者らには感じられた。本発明者らは、治療の時期は、投与されたCRPが再度上昇し始めたときであると予想した。化学療法の投与後、腫瘍に対して効果がみられなかったので、この予想は正確であると証明された。
【0181】
第二の処置のポイントを決定/予想し、血液を水曜および木曜(図7、7月28日および29日、63日目および64日目、Dとして矢印で示した)に採取した。予想はCRP分析におけるピークによって確認したが、これによって、65日目である2004年7月30日金曜日(図7、Eとして矢印で示した)が、化学療法の適用の最適な処置のポイントとして示された。化学療法を金曜日の8時間の注入として投与した。この場合、CRPが依然として減少しているので、これが治療を行なう適切な時期であると本発明者らは予測した。
【0182】
土曜日には、患者は軽度の発熱を発症し、全体に気分が優れないと感じた。67日目の8月1日土曜日(図7、Fとして矢印)の昼過ぎ、患者は腫瘍部位から出血して、その後に病院に入院した。患者は約150mlの血液を失い、その日に2単位の血液を、そしてその後9日間に静脈内輸液/栄養を投与された。
【0183】
CRPは、69日目である2004年8月4日に測定し(図7、Gとして矢印で示した)、および有意に低下していることが見出された。
【0184】
入院の最終日、患者の食道を内視鏡検査した。腫瘍は証明されなかった(図7、Hとして矢印で示した)。
【0185】
解釈
患者の振幅する抗腫瘍免疫応答は、適切な所定の時期における化学療法剤の単回投与による腫瘍特異的調節細胞の時限性の標的化によって調節から解放された。これは免疫調節細胞がクローン的に有糸分裂において活性であり、従って下方制御に脆弱である時である。一旦調節から解放されれば、抗腫瘍免疫応答は、66日目に患者によって報告されたとおり熱性発作、および引き続く腫瘍破壊を生じた。免疫媒介性腫瘍破壊は、食道の上皮/壁における腫瘍の潜在的な侵襲性の関与に起因して出血を生じた。
【0186】
上記の作用および観察によって以下が実証される:
・癌患者における持続性の規則的な振幅を検出することが可能である。
・この振幅は腫瘍負荷に関連している。
・この振幅は周期的にほぼ14日であって、7日の小周期を有する。
・この周期の開始および終わりは、CRP、SAA、C3、C4および腫瘍抗原レベルのような種々のパラメーターによって決定され得るが、これらに限定されない。
・化学療法の単回投与の適用のための機会の狭いウインドウが決定され得る。
・癌患者の免疫系に対する正確な時期での単回化学療法投与は、成功する治療結果につながり得る。
【0187】
実施例7
患者は、本明細書において「ミセスFO」と命名された71歳の老齢の女性であった。以前にミセスFOは卵巣癌と診断されて、外科手術および数回の標準的な化学療法を受けた。患者はモニタリングの前に200U/mlの上昇したCA125を示した。
【0188】
4週間にわたって月曜、水曜および金曜ごとに患者をモニターした(採血)。7/14日の周期性を有するほぼ同期でかつ規則的な振幅がよく記載されており、これはCRP、SAAおよびIL-2の血清測定の間の密接な相関を示す(図8および9を参照されたい)。さらに興味深いことに、時間に対するCRPおよびCA125、このCRPおよびCA125の振幅が位相不一致であることを示す図10は、免疫系と癌マーカーとの間の逆相関を示している。
【0189】
図11は、SAAと補体作用因子C3との間の経時的な関係を示す。2つの主なC3ピークは約14日間離れていること、およびこれも約14日間離れている、交互するSAAピークと一致していることに注目されたい。これによって、7日のピークが交互するT細胞およびB細胞のクローン増殖に相当すること、そして補体は抗体媒介性の溶解に伴うので、主要なC3ピークがB細胞に関連するという仮説が支持される。この観察は、周期の開始および終わりを確立する助けとなり得、従って治療処置のポイントの決定に役立ち得る。
【0190】
実施例8
患者は、本明細書において「ミスターGA」と呼ばれる64歳の高齢の男性であった。腸の癌が最初、1997年に診断され、その後患者は手術、化学療法および放射線療法を受けた。2004年2月のニードル生検によって肺の再発が診断された。患者は、多発性の病変を有することが確認され、および12回の化学療法に供された。最後の化学療法は、2004年9月であった。最近のスキャンによって、左肺上部の少なくとも2cmの病変を同定した。現在、比較的良好/活発である(2004年10月中旬)。
【0191】
15日間にわたって1日おきに(月曜、水曜、金曜)血液を採取した。CRPを測定したところ、その結果は、およそ、そして規則的な7/14日のCRP振幅を示した。
【0192】
実施例9
閉経後の卵巣摘出術を行なった患者(WB)であって、腫瘍を再発してCA125レベルが上昇した患者に質問して、顔面紅潮または熱性発作の頻度、およびそれらの程度を軽度、中度または重度として記録した。これらの症状の出現の強度は、免疫応答CRPの振幅に適合した。さらに強度の症状およびその頻度の増大は、大きいピークと一致していた。従って体温の記録は、治療の適用を時間調節する目的のために免疫応答の振幅の開始およびまたは終わりを規定する補助として役立ち得る。
【0193】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年10月24日出願の仮特許出願第2003905858号からの優先権を主張し、その内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0194】
広範に記載されるとおり、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の態様に示されるとおり多数の変化および/または改変が本発明に対してなされ得ることが当業者には明白である。従って、本態様は、例示的かつ非制限的に全ての観点において考慮されるべきである。
【0195】
上記で考察される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0196】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、論文などの任意の考察は単に、本発明の文脈を提供する目的である。これらの事柄のいずれか、もしくは全てが先行技術ベースの一部を形成するか、または本出願の各々の特許請求の範囲の優先日以前に存在するため、本発明に関する分野における共通の一般的知識であったという承認と解釈されるべきではない。
【0197】
参考文献
【技術分野】
【0001】
発明の分野
多くの疾患が調節細胞の産生に関連している。本発明は、免疫系がこれらの疾患において周期変化をしているという知見に関する。これらの知見に基づいて、本発明は、癌およびHIV感染のような疾患を処置するための方法を提供する。本発明はまた、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置するための治療が患者にいつ投与されるべきであるかを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
過去には、悪性細胞に対して有効な応答をもたらすように免疫系を誘引する試みが行なわれている。重要かつ有望な進歩にかかわらず、このような応答は完全には獲得されておらず、免疫に基づく多くの治療が期待を裏切っている。
【0003】
インビトロの細胞アッセイ法を用いる多くの研究で細胞傷害性リンパ球は腫瘍細胞を殺傷する能力を有することが実証されている。この免疫ベースの破壊がインビボで腫瘍増殖を効果的に制御しない理由は謎である。癌患者はまた、循環している免疫複合体の濃度が増大しており、このことは、免疫系が特にある腫瘍抗原に対して活性であることを示す。これらの免疫複合体のレベルは、疾患の進行につれて増大し得る(Horvathら、1982(非特許文献1);Azizら、1998(非特許文献2))。
【0004】
調節細胞(当技術分野においてはサプレッサー細胞とも呼ばれる)は、癌に対する被験者の免疫応答に関与している(NorthおよびAwwad,1990(非特許文献3);WO 03/068257(特許文献1))。ほとんどの癌抗原は実質的に患者によって産生されるので、それらは免疫系によって「自己」とみなされる。腫瘍抗原の存在および/または量の増大の際、宿主の免疫系は、腫瘍抗原を産生する細胞を標的にするエフェクター細胞の産生によって特徴付けられる応答をもたらす。しかしながら、多くの場合、これらのエフェクター細胞は、免疫系によって宿主自体の細胞を標的にすると認識され、従って調節細胞の集団は、エフェクター細胞集団を下方制御するように産生される。従って、これらの調節細胞の集団は、免疫系が癌細胞を効率的に除去する能力を制限する。
【0005】
さらに近年では、調節細胞は、ウイルス感染に対する被験者の免疫応答に関与していることが示されている。WO 02/13828(特許文献2)は、レトロウイルス感染の間の調節細胞の産生、およびエフェクター細胞集団を維持しながら調節細胞集団を下方制御することによってこのような感染を処置する方法を記載する。さらに、Petersonら(2002)(非特許文献4)は、CD4+調節細胞の集団は、CD8+エフェクター細胞がマウスにおけるフレンドマウスレトロウイルス感染を制御する能力を抑制していることを観察した。
【0006】
特定の急性期タンパク質血漿濃度の測定は、特定の臨床条件下での診断上または予後の価値があり得る。最も公知の急性期タンパク質はC反応性タンパク質(CRP)である。CRPは特定の条件由来の炎症を有する血液中で上昇している血漿タンパク質である。血漿中のCRPのレベルは、炎症とともに1000倍程度まで上昇し得る。CRPにおいて顕著な変化を通常もたらす条件としては、細菌感染およびウイルス感染、外傷、外科手術、火傷、炎症条件、冠動脈疾患および血管疾患、および進行癌が挙げられる。
【0007】
ほとんどの急性期タンパク質は、肝細胞によって合成され、いくつかは、単球、内皮細胞、線維芽細胞および脂肪細胞を含む他の細胞タイプによって産生される。急性期タンパク質としては、血清アミロイドA(SAA)、CRPおよび血清アミロイドP成分(SAP)が挙げられる。
【0008】
刺激に対するCRPおよびSAAの即時の応答性によって、その広範な濃度範囲および自動的な測定の容易さとともに、特定の疾患状態の間の炎症の重篤度および疾患管理の有効性を正確にモニターするために用いられている血漿CRPおよびSAAのレベルがもたらされている。
【0009】
WO 03/070270(特許文献3)は、HIVの有効な処置のための療法における急性期炎症マーカーの使用を記載する。これらの方法は、HAART、次いでエフェクター細胞/調節細胞増殖についてのマーカーとして急性期炎症性タンパク質の分析のような処置によって、免疫系を少なくとも部分的に「リセットする」ことに依存する。急性期炎症性タンパク質の出現は、調節細胞増殖の前に生じるエフェクター細胞増殖に関連しているようであり、従って患者は、調節細胞を破壊するか、その産生を防止するか、またはその活性を減少させながら、エフェクター細胞集団が維持されることを可能にする適切な作用因子で処置され得る。要するに、HAART処置の中止の際に、患者の免疫系が新規の感染として再出現するHIV粒子を処置して、これによりエフェクター細胞の新規の集団が産生されるとみなされた。
【0010】
WO 03/070270(特許文献3)と同様に、WO 03/068257(特許文献1)は、免疫系を少なくとも部分的にリセットすることに関するが、ただしこの場合は、癌の処置との関連においてである。ここでも、処置は、外科手術または抗増殖性薬物の投与のような技術を通じて負荷された腫瘍における減少後のエフェクター細胞の最初の再出現に集中している。
【0011】
WO 02/13828(特許文献2)、WO 03/070270(特許文献3)またはWO 03/068257(特許文献1)のいずれも、これらの疾患のための処置の投与にかかわらず、免疫応答が癌またはHIVの患者において周期変化しているということを認識していない。本発明は、この周期変化の認識に基づいており、これによって調節細胞産生または活性に関連する疾患の処置のための方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 03/068257
【特許文献2】WO 02/13828
【特許文献3】WO 03/070270
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Horvath, M., Fekete, B. and Rahoty, P. (1982) Oncology 39:20-22
【非特許文献2】Aziz, M., Akhtar, S. and Malik, A. (1998) Cancer Detect. Prev. 22:87-99
【非特許文献3】North, R. J. and Awwad, M. (1990) Immunology 71:90-95
【非特許文献4】Peterson, K.E., Strommes, I., Messer, R., Hasenkrug, K. and Chesebro, B. (2002) J. Viriol. 76:7942-7948
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明者らは驚くべき事に、調節細胞の存在によって特徴付けられる疾患状態の間に免疫系が周期変化しているということを見出した。この周期変化は、ヒトにおいて通常ほぼ14〜15日を基準として生じる。
【0015】
理論によって限定されることは望まないが、標的抗原に対するエフェクター細胞の増殖は、エフェクターに対する調節細胞の増殖を伴うようである。調節細胞によるエフェクター細胞の制御の際、両方のタイプの細胞の数および/または活性が減少し、次いで抗原の連続的な存在または不完全な除去に起因して同じ周期が続き、これによって、例えば腫瘍またはウイルスに対する周期的に振幅する、持続性であるが無効な免疫応答が生じる。
【0016】
この周期の知識は、調節細胞の出現が患者に対して有害であることが公知である疾患を処置するために用いられ得る。このような疾患の例としては、癌およびヒト免疫不全ウイルスなどによる持続的な感染が挙げられる。さらに詳細には、患者の処置は、調節細胞数が減少されるか排除されたままで、細胞またはウイルス抗原に対するエフェクター細胞数が最大化されるようにタイミングを合わせてもよい。
【0017】
実際には、本発明者らは、抗癌薬物を用いる広範な種々の癌の処置によって、平均して6.5〜7%の範囲の完全寛解率が得られることに注目した。この6.5〜7%という範囲は、約14〜15日の周期のエフェクター細胞増殖、その後の調節細胞増殖と一致している。さらに詳細には、エフェクター細胞および調節細胞の周期を考慮しない場合、エフェクター細胞数が多いが調節細胞数が増殖を始めたばかりであって、そのため分裂している細胞を標的にする処置に対して脆弱である時期で、抗増殖性薬物を14.5回中、ほぼ1回(6.8%)の投与の機会を医師は有する。これによって癌細胞を標的にする多数のエフェクター細胞が残り、この治療に対する完全寛解が得られる。
【0018】
従って、第一の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子を投与すべきかを決定するための方法を提供するが、この方法は、患者または患者から得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む。
【0019】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、作用因子の投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者を作用因子に曝露させる工程を含む方法を提供する。
【0020】
好ましくは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患は、癌および感染から選択されるが、これらに限定されない。
【0021】
感染は、ウイルス、細菌、原生動物、線形動物、プリオンまたは真菌のような任意のタイプの感染性因子によって生じ得るがこれらに限定されない。好ましくは、感染性因子は、この感染性因子を排除できない患者の免疫系によって特徴付けられる慢性持続感染を生じる。慢性持続感染を生じる感染性因子の例は、HIV、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスのようなウイルスである。
【0022】
理論によって限定されることは望まないが、例えば、腫瘍増殖の増大またはウイルス複製からの抗原負荷が、調節細胞活性にしたがって増大する場合、患者の免疫系はこの抗原に対する初回の曝露に対してと同様の方式で応答するようである。この免疫応答は、血清アミロイドAおよびC反応性タンパク質のような急性期炎症マーカーの産生を含む。
【0023】
作用因子を投与するための適切な時期は、急性期炎症マーカーのレベルがピークになっているときとこのマーカーが次の周期において上昇し始める前との間である。従って、特に好ましい免疫系マーカーは、急性期炎症マーカーである。より好ましくは、急性期炎症マーカーは、限定はしないが、血清アミロイドA、血清アミロイドPおよびC反応性タンパク質からなる群より選択される。
【0024】
好ましくは、この免疫系マーカーは、調節細胞の数および/もしくは活性、ならびに/またはエフェクター細胞の数および/もしくは活性を反映する。
【0025】
1つの態様において、患者は、CD4+CD8-T細胞レベルの分析によって調節細胞の数および/または活性の増大についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、CD4+CD8-T細胞が検出される時に投与されることが好ましい。
【0026】
別の態様において、患者は、CD8+CD4-T細胞レベルの分析によってエフェクター細胞の数および/または活性の増大についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそCD8+CD4-T細胞数がおよそピークに達した時に投与されることが好ましい。
【0027】
別の態様において、疾患に関連する分子は、癌細胞または感染性因子によって産生される抗原である。この態様において、作用因子は、およそ疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される。
【0028】
さらなる態様において、疾患は癌であり、患者は1つまたは複数の腫瘍抗原のレベルの変動についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそ腫瘍抗原のレベルが減少し始める時に投与されることが好ましい。
【0029】
さらなる態様において、疾患は感染性因子によって生じ、患者は、感染性因子によって生じる1つまたは複数の抗原のレベルの変動についてモニターされる。この態様に関しては、作用因子は、およそ抗原または感染性生物体またはウイルス(ウイルス負荷)のレベルが減少し始める時に投与されることが好ましい。
【0030】
別の態様において、免疫系マーカーは体温である。この態様に関しては、作用因子は体温がピークになり、かつ体温が次の周期において上昇し始める前に投与されることが好ましい。
【0031】
本明細書において概説されるとおり、多数の要因の変動は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者において、免疫系が周期変化していることを示すということに本発明者らは注目した。これらの要因としては、急性期炎症マーカー、ウイルス抗原、癌抗原および体温が挙げられる。これらの要因は、限定する必要はないが、エフェクター細胞の産生および/もしくは活性、調節細胞の産生および/もしくは活性、ならびに/またはB細胞の産生および/もしくは活性を含むが必ずしもこれらに限定されない免疫系の、一般的状態に対して直接または間接的に関連する。
【0032】
癌およびエイズのような疾患が、患者に複雑な影響を有することは、当業者によって理解される。さらに、個体間の自然な変動であって、その遺伝子型、栄養、健康状態、以前および現在の疾患状態のような要因に関連する変動は全てが、特定の個体が疾患状態に応答する方法に影響する。従って、ほとんどの場合に、周期は約14〜15日であるが、ある個体では、これはわずかに短くても長くてもよい。さらに、月経周期と同様に、周期の長さは、自然の変動および/または環境要因に起因して個体内でわずかに変化し得る。従って個体の変動は少なくとも、例えば、i)周期の長さ、ii)この周期の間のエフェクター細胞もしくは調節細胞の絶対数、またはiii)この周期の間の急性期炎症マーカーのレベルに関して直面され得る。このような変動は、進行癌または感染を有する患者で強調され得、ここでは患者の免疫系は、かなりの長さの時期にわたって曝露されている。
【0033】
結果として、特定の患者における免疫系の周期の動態が理解されることを保証するには、十分な長さの時期にわたって患者をモニターすることが最も望ましいようである。好ましくは、患者は、少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、より好ましくは少なくとも28日間、より好ましくは少なくとも35日間、より好ましくは少なくとも42日間、さらにより好ましくは少なくとも49日間モニターされる。
【0034】
別の複雑な要因は、少なくともいくつかの急性期炎症マーカーのレベルがおよそ7日ごとの周期(「完全な」免疫系の周期のおよそ半分の長さ)であることが見出されているということである。従って、これらのタイプのマーカーに対する依存によって、約6.8%(作用因子の無作為な投与に基づく)から約50%(どのピークが標的調節細胞に対する適切な時期に関連しているか、を無作為に選択することによって正確な投与時期を選択することに基づく)へと、成功する処置の機会を改善すると考えられる。さらにこれは現在の技術に対する改善であるが、作用因子の適切な投与時期の選択の機会を最適化するために、このようなマーカーを他の要因(例えば、疾患、調節細胞および/またはエフェクター細胞と関連する分子)と共にモニターすることが好ましい。
【0035】
従って、別の態様において、患者は急性期炎症マーカーおよび疾患に関連する分子についてモニターされる。この態様に関して、作用因子は、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時とマーカーが次の周期において上昇し始める前との間で、かつ、疾患に関連する分子のレベルが減少し始めるかまたはこの分子の以前の分析に基づいて減少し始めると予測される時に投与される。
【0036】
一般に、多くの要因を同時にモニターすることが好ましい。なぜなら、上記の要因に起因して、ルーチン的に作用因子を投与するための適切な時期の明確な指示を提供するために、各々の要素が、特に多数の周期にわたって14/15日間以内の完全な周期プロフィールを有することは考えにくい。長期の多くの要因の分析は高価かもしれず、かつ患者に対して少なくとも多少不便であるかもしれないが、癌およびエイズのような疾患は命を脅かす。従って、患者が処置される前に特定の患者における免疫系の周期に関してできるだけ多くを理解する価値がある。
【0037】
さらに、数人の患者において周期変化している、異なる要因の分析は、複雑なプロフィールを生じ得るが、本明細書に提供される手引きを考慮すれば、作用因子の投与の最適な時期を決定するために、モニタリングデータを分析することは、十分に医師の技術の範囲内である。調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を効率的に処置するのに適切な時期を決定するための多数の要因の注意深い分析の例が本明細書に提供される。
【0038】
さらなる複雑な要因は、患者が処置されている疾患または外傷に関連しない疾患または外傷を最近受けたか否かである。例えば、HIV感染について処置されている患者はまた、一般的なインフルエンザウイルスにも罹患しているかもしれない。インフルエンザウイルスの存在は、例えば、HIV感染に起因して存在するこれらのマーカーの周期とは独立して、急性期炎症マーカーの増大を生じるだろう。本発明の方法における使用のためのエフェクター細胞/調節細胞の周期のモニタリングにおいて合併症を生じ得る他の疾患には、関節リウマチ、潰瘍および慢性歯周病が含まれる。従って、モニターされている要因が、処置されている疾患から生じるエフェクター細胞/調節細胞の周期を真に反映することを確実にするために、例えば急性期炎症マーカーのレベルの上昇を生じ得る任意の要因について患者をモニターすることが所望される。
【0039】
さらに、特定の患者における免疫系周期が適切に特徴付けられることを確実にするためにできるだけ頻繁に患者をモニターすることが好ましい。当然これは、作用因子が適切な時期に投与され、かつ、例えば、エフェクター細胞/調節細胞の数もしくは活性、またはそのマーカーにおける任意のわずかな変動が誤って解釈されないことを確実にするだろう。好ましくは、患者は少なくとも3日ごと、より好ましくは少なくとも2日ごと、および、最も好ましくは少なくとも毎日モニターされる。タイミングが作用因子を投与するのに適切であると考えられる段階に周期が達しているとき、モニタリングは、さらに頻繁に、例えば、12時間ごとに、行なわれてもよい。
【0040】
好ましくは、作用因子は、調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する。より好ましくは、作用因子は、調節細胞の産生および/または活性を阻害する抗増殖性薬物、放射線、dsRNAおよび抗体のような抗癌薬物からなる群より選択される。好ましくはこの抗増殖性薬物は、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよび無水ビンブラスチンからなる群より選択されるがこれらに限定されない。
【0041】
癌に関しては、標的腫瘍細胞に対して投与される典型的な抗癌薬物療法と対照的に、本明細書に記載される処置の方法は事実上、調節細胞を標的にする。これによって所望の効果をもたらす適切な数のエフェクター細胞が残る。
【0042】
好ましい抗体の例としては、抗CD4+、抗CTLA-4(細胞傷害性リンパ球関連抗原-4)、抗GITR(グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子レセプター)、抗CD28および抗CD25が含まれるがこれらに限定されない。
【0043】
好ましくは、少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、およびさらにより好ましくは少なくとも28日間、患者は疾患の処置に曝露されていない。
【0044】
本発明者らはまた、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患の処置は、ワクチンが適切な時期に投与される時に増強され得る(または成功する処置の機会が増加し得る)ことを明らかにした。これらの場合、ワクチンは、疾患に対する先天性免疫応答を増強する。これは、エフェクター細胞の数および/または活性の増大の結果である可能性が最も高い。治療的な調節細胞が、やはり最終的に産生されるが、免疫系の増強によって、患者は調節細胞の出現前に疾患を適切に管理することが可能になる。このシナリオは、なぜ以前の研究では抗HIVおよび抗腫瘍ワクチンが少数の患者でしか成功しないことが示されてきたか、ということを説明するだろう。さらに詳細には、疾患に対する先天性免疫応答が生じるのと同じ時期にワクチンを投与する機会はごくわずかである。先行技術における投与の他の時期は、調節細胞の数が多い、および/または活性が高いとき、または免疫系の自然な周期に外れる時期に行なわれる。
【0045】
従って、別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に、いつワクチンを投与するべきかを決定するための方法であって、この方法は、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む方法を提供する。
【0046】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、ワクチンの投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者をワクチンに曝露させる工程を含む方法を提供する。
【0047】
1つの態様において、ワクチンは、エフェクター細胞のレベルが増大されている時に投与される。
【0048】
別の態様において、ワクチンは、疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される。
【0049】
さらなる態様において、ワクチンは、急性期炎症マーカーのレベルが増大し始める時に投与される。上記で概説したとおり、少なくともいくつかの急性期炎症マーカーは、約7日間にわたって周期変化していることが見出されており、ここでは急性期炎症マーカーレベルのすべての第二のピークのみがエフェクター細胞数に関連している。従ってこの態様において、モニタリングは、本明細書に記載される他の要因の分析と組み合わされることが最も必要であると考えられる。
【0050】
調節細胞の存在によって特徴付けられる疾患状態の間、免疫系が周期変化しているという知見はまた、このような疾患の存在の指標として用いられ得る。これらの診断手順は特に、処置後の疾患状態(例えば、腫瘍)の再発について患者を分析するために、または疾患の出現について、疾患に感受性であることが決定された患者を分析するために(例えば、癌感受性遺伝子を保有すると被験者が以前に特定されている場合)有用である。
【0051】
従って、さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を診断する方法であって、この方法は、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む方法であって、a)〜d)のいずれか1つの周期は疾患が存在し得ることを示す方法を提供する。
【0052】
当然、上記で概説したとおり、観察された任意の周期(特に急性期炎症マーカーを分析する場合)が、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に直接関係していることを確認するために、インフルエンザのような軽度の感染などの他の疾患状態について患者は分析される必要がある。
【0053】
理想的にはモニタリングは、期限なく継続すべきであるが、ほとんどの状況ではこれは実際的ではない可能性が高い。従って、診断手順は、疾患状態の出現または再出現という、評価された危険性に基づいて間欠的に行なわれてもよい。当業者が、本明細書の考察から理解するとおり、「間欠的基準」という用語は、免疫の周期が存在しているか判断する場合、この方法では、一定期間にわたって適切な数のサンプル(例えば、約14日間の期間にわたって少なくとも3日ごとに得たサンプル)が分析される必要があるということを意味するが、試験が陰性である場合、この手順を(例えば)別の年に繰り返す必要はないであろう。
【0054】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するために、免疫系マーカーを検出するアッセイ法の使用を提供する。
【0055】
好ましくは、このマーカーは急性期炎症マーカーである。より好ましくは、このマーカーは、ポジティブ急性期炎症マーカーである。さらにより好ましくは、このマーカーは血清アミロイドAおよびC反応性タンパク質からなる群より選択されるがこれらに限定されない。
【0056】
別の局面において、本発明は、エフェクター細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用であって、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0057】
好ましくはこのアッセイ法は、CD8+CD4-T細胞の数を検出する。
【0058】
別の局面において、本発明は、調節細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用であって、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0059】
好ましくはこのアッセイ法は、CD4+CD8-T細胞の数を検出する。
【0060】
別の局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に関連する分子を検出するアッセイ法の使用であって、疾患を処置するために、いつ作用因子またはワクチンが投与されるべきであるかを決定するためのアッセイ法の使用を提供する。
【0061】
好ましくは、このアッセイ法は、癌細胞によって産生される抗原または感染性因子を検出する。
【0062】
好ましくは、患者は、少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも21日間、および、さらにより好ましくは少なくとも28日間、疾患の処置に曝露されていない。
【0063】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して投与するための薬剤の製造のための作用因子の使用であって、作用因子はエフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択された時期に投与され、患者は少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、作用因子の使用を提供する。
【0064】
好ましくは作用因子は、調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する。
【0065】
当業者によって容易に理解されるとおり、本発明の方法は、より完全な処置を得るために反復されてもよい。
【0066】
好ましくは、患者は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0067】
さらなる局面において、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきかを決定するためのキットであって、このキットは、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうちの少なくとも1つについてモニタリングするための少なくとも1つの試薬を含む、キットを提供する。
【0068】
好ましくは、このキットは、分析されるサンプルの好ましい数、およびサンプル分析の間のタイミングについての言及を含む、本発明の方法を行なうための書面の説明書を含む。
【0069】
明らかなように、本発明の1つの局面の好ましい特性および特徴は、本発明の他の多くの局面に適用可能である。
【0070】
本明細書を通じて、用語「含む」または「含んでいる」のような変化形は、述べられた構成要素、整数もしくは工程、または構成要素、完全体もしくは工程の群の包含であって、ただし任意の他の構成要素、完全体もしくは工程、または構成要素、完全体もしくは工程の群を排除しないものと理解される。
【0071】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、および添付の図面を参照して、本明細書において以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】卵巣癌を有する患者における、14日間にわたるC反応性タンパク質および腫瘍マーカーCA125のレベルを示す。
【図1B】同じ期間にわたる同じ患者での血清アミロイドAのレベル(A由来のC反応性タンパク質レベルを複製した)を示す。
【図2】第一のヒトHIV患者のHAART処置中止に対する応答におけるC反応性タンパク質のレベルを示す。
【図3】HAARTの終了後の第二のHIV患者におけるウイルス負荷およびCRPの変動を示す。
【図4】32日間にわたるミセスOMにおけるCRPおよびC4の変動によって、ほぼ反復する7/14日の振幅を有する明白な周期性が示される。測定は月曜日、水曜日、金曜日ごとに行なった。この場合、C4の振幅はさらに規則的である。32日間の期間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図5】32日間にわたるミセスOMでの血清補体作用因子C4およびC3の変動によって、およそ7/14日というほぼ同期的でかつ規則的な周期性が示される。32日間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図6】ミセスOMでの進行性の疾患による血清補体作用因子C4の変動およびCA125レベルの上昇を示す。32日間にわたる両方のパラメーターの上昇の傾向に注目されたい。
【図7】ミセスOMでのC反応性タンパク質対時間、(日数)モニタリングおよび治療的事象、2004年5月28日(1日目)〜2004年8月9日(74日目)を示す。CRPモニタリングは5月28日(1日目)に開始して、疾患の進行につれて着実に上昇した。およそ14日の免疫応答の振幅は、血清のCRP、C4およびCA125の収集データの組み合わせた解釈から誘導した(図4も参照されたい)。キー:A=放射線療法開始、38日目=2004年7月5日。B=予想されるCRPピーク、46、47および48日目=2004年7月13、14、15日。C=初回の化学療法適用のタイミング、49日目=2004年7月16日。D=予想されるCRPピーク、63および64日目=2004年7月28、29日。放射線療法停止。E=2回目の化学療法適用のタイミング、65日目=2004年7月30日。F=発熱、66日目=2004年7月31日、腫瘍からの出血、67日目=2004年8月1日。G=CRPが62.7mg/lに低下、69日目=2004年8月4日。H=内視鏡で腫瘍の証拠なしという報告、74日目=2004年8月9日。
【図8】ミセスFOにおける、時間に対するC反応性タンパク質および血清アミロイドAを示す。
【図9】ミセスFOにおける、時間に対するC血清アミロイドAおよびIL-2を示す。
【図10】ミセスFOにおける、時間に対する血清アミロイドAおよび癌マーカーCA125を示す。
【図11】ミセスFOにおける、時間に対するC反応性タンパク質およびC3を示す。
【図12】ミスターGAにおける、時間に対するC反応性タンパク質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いる場合、「処置する工程」、「処置する」、または「処置」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状を軽減または排除するのに十分な、治療上有効な量の作用因子を投与する工程を含む。
【0074】
本明細書において用いる場合、「腫瘍負荷」という用語は一般に、任意の特定の時期での被験者における癌性の細胞の数をいう。腫瘍抗原のレベルを被験者において測定することは、腫瘍負荷の指標と考えられ得る。
【0075】
本明細書において用いる場合、「ウイルス負荷」という用語は一般に、任意の特定の時期での被験者におけるウイルス粒子の数をいう。ウイルス抗原のレベルを被験者で測定することは、ウイルス負荷の指標と考えられ得る。
【0076】
「調節細胞」とは、CD4+T細胞の小集団を含むが必ずしもこれに限定されない。このような細胞はまた、当技術分野において「サプレッサー細胞」として言及され得る。調節細胞は、エフェクター細胞に直接作用してもよく、または他の機構を通じてエフェクター細胞に影響を及ぼしてもよい。
【0077】
CD4+細胞は、当技術分野においてCD4として公知のマーカーを発現する。典型的には、「CD4+T細胞」という用語は、本明細書において用いる場合、CD8も発現する細胞は指さない。しかしながら、この用語は、CD25のような他の抗原性マーカーも発現するT細胞を含み得る。
【0078】
「エフェクター細胞」は、CD8+細胞として公知のT細胞集団を含むが、必ずしもこれに限定されない。
【0079】
本明細書において用いる場合、「〜の機能を制限し、および/または破壊する」という用語は、作用因子に対する「調節細胞」の曝露について言及する場合、調節細胞の数および/または活性が、作用因子によって下方制御されることを意味する。最も好ましくは、調節細胞の数および/または活性は、作用因子によって完全に除去される。
【0080】
本明細書において用いる場合、「調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患」という用語は、調節細胞の数または活性が疾患状態の遷延において役割を果たす任意の状態をいう。このような疾患の例には癌および感染が含まれるがこれらに限定されない。
【0081】
「免疫系マーカー」という用語は一般に、免疫系の状態および/または活性の指標を提供する任意の分子または要因を指す。これらのマーカーは、調節細胞ならびに/またはエフェクター細胞の活性および/もしくは産生に直接関連し得るか、ならびに/または抗原に対する免疫系の全体的な応答のさらに一般的な指標を提供し得る。適切な免疫系マーカーの例としては、急性期炎症マーカー、例えば、C反応性タンパク質および血清アミロイドAが含まれる。免疫系マーカーの別の例は、これらに限定されないが血清中のコレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンのような細胞破壊の指標である。コレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンは、細胞膜の不可欠な構成要素である。詳細には、β-2-ミクログロブリンは、主要組織適合性クラスIすなわちMHC-Iレセプターに対するアクセサリー分子である。結果的に、抗疾患の免疫応答の周期を標的細胞破壊と一緒に考慮すれば、これらの2つの分子の癌患者における血清レベルはしばしば上昇する。従って、コレステロールおよびβ-2-ミクログロブリンのような細胞破壊の指標の振幅はまた、免疫応答周期の最初または終わりを決定する際に有用性を証明し得る。当然、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患における免疫系周期の現在の発見により、当業者は、本発明の方法において有用なさらなるマーカーを容易に同定できる。
【0082】
本明細書において用いる場合、「疾患に関連する分子」という用語は、疾患状態に関連する任意の分子をいう。好ましい態様において、マーカーはタンパク質である。このようなタンパク質マーカーは当技術分野において周知である。適切な腫瘍抗原マーカーの例は本明細書に記載される。全てではないが、感染性疾患について適切なマーカー、例えばHIVのgagタンパク質またはenvタンパク質がまた周知である。
【0083】
本明細書において用いる場合、「慢性持続感染」という用語は、患者の免疫系によっても、利用可能な治療によっても容易に制御されない感染性因子の患者における存在をいう。例には、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(結核を引き起こす)、HIV、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスでの感染が含まれるがこれらに限定されない。「慢性持続感染」として分類されるためには、患者が少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間感染を有することが好ましい。
【0084】
本発明の目的上、「抗体」という用語は、別に特定しない限り、標的分析物に対して結合活性を保持している抗体全体のフラグメントを含む。このようなフラグメントには、Fv、F(ab’)およびF(ab’)2フラグメント、ならびに単鎖抗体(scFv)が含まれる。さらに、抗体およびフラグメントは、例えば、欧州特許出願公開第239400号に記載されるようなヒト化抗体であってもよい。
【0085】
当技術分野において公知のとおり、癌は一般に制御されない細胞増殖とみなされる。本発明の方法は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含む任意の癌の処置に用いられ得るが、これらに限定されない。このような癌のさらに詳細な例には、乳癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、消化管癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、結腸直腸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、中皮腫、腎臓癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓の癌、皮膚癌、黒色腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、骨髄腫、種々のタイプの頭頸部癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫および末梢神経上皮腫が含まれる。
【0086】
「サンプル」とは、調節細胞、エフェクター細胞、免疫系マーカーおよび/または疾患に関連する分子を含有していると疑われる物質をいう。サンプルは、供給源から直接、または(部分的な)精製の少なくとも1つの工程の後に得られて用いられてもよい。サンプルは、本発明の方法と干渉しない任意の都合のよい培地中で調製されてもよい。典型的には、サンプルは、以下にさらに詳細に記載されるような水溶液または生物学的液体である。サンプルは、血液、血清、血漿、唾液、痰、眼レンズ液、汗、糞便、尿、乳、腹水、粘液、滑膜液、腹水、経皮浸出液、咽頭浸出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引物、脳脊髄液、精液、頚管粘液、膣または尿道分泌物、羊水などを含む生理学的液体などの任意の供給源に由来し得る。好ましくはこのサンプルは、血液またはその画分である。事前処置は、例えば、血液から血漿を調製する工程、粘性の液体を希釈する工程などを含み得る。処置の方法は、濾過、蒸留、分離、濃縮、妨害成分の不活性化および試薬の添加を含み得る。試験前の生物学的サンプルの選択および事前処置は、当技術分野において周知であって、さらに記載される必要はない。
【0087】
他に示さない限り、本発明において利用される組み換えDNAおよび免疫学的技術は、標準的な手順であり、当業者には周知である。このような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984),J.Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989),T.A.Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach, Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996)、およびF.M.Ausubelら,(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新情報を含む)、Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、およびJ.E.Coliganら,(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現在までの全ての最新情報を含む)のような供給源における文献を通じて記載されて説明され、および参照により本明細書に組み入れられる。
【0088】
急性期炎症マーカー
いくつかの急性期炎症マーカーは免疫応答の間に最初に増大する(本明細書において、以降ではポジティブ急性期炎症マーカーと呼ばれる)が、その他では免疫応答の間に最初に減少する(本明細書において、以降ではネガティブ急性期炎症マーカーと呼ばれる)。急性期炎症マーカーはまた、当技術分野において、急性期反応物質または急性期タンパク質と呼ばれる。当業者は、急性期炎症マーカーをモニターするために用いられ得る多くのアッセイ法を認識している。
【0089】
ポジティブ急性期炎症マーカーの例には、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、血清アミロイドP成分、補体タンパク質、例えば、C2、C3、C4、C5、C9、B、C1インヒビターおよびC4結合タンパク質、フィブリノーゲン、フォン・ウィルブランド因子、α1アンチトリプシン、α1アンチキモトリプシン、α2-アンチプラスミン、ヘパリン補因子II、プラスミノーゲンアクチベータインヒビターI、ハプトグロビン、ヘモペキシン(haemopexin)、セルロプラスミン、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、α1-酸性糖タンパク質、ヘムオキシゲナーゼ、マンノース結合タンパク質、白血球タンパク質I、リポタンパク質(a)、リポポリサッカライド結合タンパク質、およびインターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、IL-6、IL-10およびそのレセプターが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ネガティブ急性期炎症マーカーの例には、アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリン、アポAI、アポAII、α2HS糖タンパク質、インターαトリプシンインヒビター、ヒスチジンリッチ糖タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
血清アミロイドA(SAA)は、反応性AAアミロイド沈着物における主な線維状成分であるアミロイドAAと抗原性を共有する血漿成分として開発された。SAAは、急性期反応物質であってその血中レベルが、外傷、感染および炎症を含む種々の傷害に対する身体の応答の一部として1,000倍またはそれ以上に高い反応物質であることが示されている。
【0092】
SAAレベルは、当技術分野において公知として決定され得る。例えば、Weinsteinら(1984)、Liuzzoら(1994)、O’Haraら(2000)、Kimuraら(2001)およびO’Hanlonら(2002)を参照されたい。
【0093】
C反応性タンパク質(CRP)は、重要なポジティブ急性期応答タンパク質であって、その血清中濃度は、急性期応答の間に1,000倍程度まで増大され得る。CRPは、各々が約23,500の分子量を有する、5つの同一のサブユニットから構成される五量体である。
【0094】
C反応性タンパク質レベルは、当技術分野において公知の技術を用いて決定され得、この技術には、Senjuら(1983)、Weinsteinら(1984)、Priceら(1987)、Liuzzoら(1994)、Edaら(1998)、Kimuraら(2001)およびO’Hanlonら(2002)に開示される技術が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
補体タンパク質は、少なくとも20の免疫学的に別個の成分の群である。それらは通常、血中で不活性型として循環する。それらは、ウイルスおよび細菌、および病理学的に宿主自身の細胞でさえ破壊するような、複雑だが順応可能な方法で、順次、抗原-抗体複合体と相互作用し、お互いに相互作用し、および細胞膜と相互作用し得る。補体タンパク質の異常な血清レベルは、遺伝性疾患または後天性疾患のいずれかに起因し得る。C3およびC4の少なくとも循環しているレベルは、免疫複合体形成に起因する補体消費と、急性期応答に起因する合成の増大との間のバランスを反映する。補体タンパク質レベルを測定する方法は当技術分野において周知である。
【0096】
異なるインターロイキンのレベルはまた、ProteoPlex(商標)サイトカインアッセイキット(EMD Biosciences Inc.,CA,USA)を用いるような、当技術分野において公知の手順を用いて決定されてもよい。
【0097】
作用因子
作用因子とは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置するのに有用な、任意の要因または処置であってもよい。好ましくは、この作用因子は、選択的にまたは非選択的に、調節細胞の破壊、産生の阻害、または活性の減少を生じる。例えば、CD4+特異性抗体は、CD4+T細胞を特異的に標的にするために用いられ得る。しかしながら、ある場合には、両方ともが分裂している細胞を破壊する、抗増殖性薬物または放射線のような非選択性の作用因子が用いられてもよい。詳細には、他の細胞タイプと同様、調節細胞は特に、分裂しているとき、特に有糸分裂の時に、抗有糸分裂(抗増殖性)薬物または紡錘体毒(例えば、ビンブラスチンまたはパクリタキセル)による破壊に脆弱である。
【0098】
「抗増殖性薬物」という用語は、当技術分野において十分理解される用語であり、および分裂している細胞を破壊するか、またはその細胞がさらなる増殖を受けることを阻害する任意の化合物を指す。抗増殖性薬物には、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチル-メラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキセート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、無水ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、L-アスパラギナーゼ、シスプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグルテチミド、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、放射性同位体、リシンA鎖、タキソール、ジフテリア毒素、コルヒチンおよび緑膿菌外毒素Aが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
作用因子は通常、熟練した臨床医に容易に利用可能である投薬形態で投与され、および、一般にその通常定められた量(例えば、Physician’s Desk Reference,55th Edition,2001に記載される量、または作用因子の使用について製造業者の文献に記載される量)で投与される。
【0100】
1つの態様において、作用因子は単回ボーラス注射として投与される。別の態様において、作用因子は、注入によって投与される。注入の期間は例えば、少なくとも3時間、少なくとも12時間または少なくとも24時間であってもよい。
【0101】
近年の研究によって、CD4+CD25+T細胞が自己抗原に対する免疫細胞を調節するのに重要な役割を果たすことが示唆されている(Salomonら、2000;Suri-PayerおよびCantor、2001)。さらに、CD4+CD25+T細胞を標的にすることは、動物が腫瘍増殖を制御する能力を増強することが示されている(Onizukaら、1999;Shimizuら、1999;Sutmullerら、2001)。従って、CD4+CD25+T細胞は、本明細書において用いられる調節細胞として作用する。CD4+CD25+T細胞の活性は、抗GITR、抗CD28および/または抗CTLA-4によって下方制御され得る(Readら、2000;Takahashiら、2000;Shimizuら、2002)。従って、これらの抗体は本発明の方法における使用のための作用因子として有用であり得る。
【0102】
本発明の方法において投与され得る作用因子の別の例はdsRNAである。dsRNAは、RNA干渉(RNAi)において用いられるが、RNA干渉とは、細胞への導入の際、dsRNAに対して相同なmRNAが特異的に分解されて、その結果遺伝子産物の合成が抑制される現象である。RNAiを生じるこのような作用因子の例には、標的遺伝子の核酸配列に対して少なくとも約70%の相同性を有する配列、またはストリンジェントな条件下で、少なくとも10ヌクレオチドの長さを有する二重鎖部分を含むRNAまたはその変種にハイブリダイズ可能な配列が含まれるが、これらに限定されない。標的遺伝子の例には、調節細胞の複製に必要な遺伝子、癌細胞の生存に必要な遺伝子、または感染性作用因子の増殖および/もしくは複製に必要な遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
当技術分野においてsiRNAと呼ばれる、約20塩基(例えば、代表的には約21〜23塩基)または20塩基未満の長さを有するdsRNAが用いられ得る。細胞におけるsiRNAの発現は、siRNAによって標的とされる遺伝子の発現を抑制し得る。別の態様において、RNAiを生じ得る作用因子は、3’末端に粘着部分を有する短いヘアピン構造を有してもよい(shRNA;短ヘアピンRNA)。本明細書において用いる場合、「shRNA」という用語は、約20以上の塩基対の分子であって、単鎖RNAが部分的にパリンドローム塩基配列を含み、その中に二本鎖構造(すなわち、ヘアピン構造)を形成する分子をいう。shRNAは人工的に、化学的に合成され得る。または、shRNAは、DNA配列のセンス鎖およびアンチセンス鎖を逆方向に連結すること、および、テンプレートとしてDNAを用いてT7 RNAポリメラーゼとともに、インビトロにおいてRNAを合成することによって産生され得る。二本鎖部分の長さは特に制限されないが、好ましくは約10またはそれ以上のヌクレオチド、および、より好ましくは約20またはそれ以上のヌクレオチドである。3’の突出末端は、好ましくはDNAであり、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド長のDNA、および、さらにより好ましくは2〜4ヌクレオチド長のDNAである。
【0104】
本発明に有用なRNAiを生じ得る作用因子は、人工的に合成されても(化学的または生化学的)天然に存在してもよい。本発明の効果に関しては、それらの間に実質的な相違はない。化学合成された作用因子は、好ましくは液体クロマトグラフィーなどによって精製される。
【0105】
本発明において用いられるRNAiを生じ得る作用因子はまた、インビトロで産生されてもよい。この合成系では、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターは、テンプレートDNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成するために用いられ得る。これらのRNAは、アニーリングされて、その後細胞に導入される。
【0106】
dsRNAは、当技術分野において公知の任意の方法を用いて患者に送達され得る。患者にdsRNAを送達する方法の例は、例えば、米国特許第20040180357号、同第20040203024号および同第20040192629号に記載される。
【0107】
被験者を作用因子に対して曝露させるタイミング
癌患者に対する抗増殖性化学療法の単回の処置を無作為に適用する研究者にとっては、タイミングを正しい位置に得る機会はほぼ14回に1回から15回に1回である。14回の機会に1回とは、調節細胞が不活性化に脆弱であるとき、正確な日に治療を適用するのが7%の確率に等しい。これを行なう場合、腫瘍は、免疫破壊によって媒介されて退縮するはずである。さらに詳細には、一旦調節細胞が治療の処置によって除去されれば、腫瘍またはウイルスに対する免疫応答は、徐々に無視できなくなり、最終的に疾患の制御につながるというのが本発明者らの仮説である。
【0108】
理論によって限定されることは望まないが、エフェクター細胞の相対数は、調節細胞の前の抗原に応じて拡大すると考えられる。従って、本明細書において用いる場合、「エフェクター細胞の活性が有意に低下しない」とは、作用因子の投与のタイミングが、作用因子がエフェクター細胞よりも調節細胞に対して比較的大きい効果を発揮するようなタイミングを意味する。調節細胞に対する効果のエフェクター細胞に対する効果に対する比が最大である時期に作用因子を投与することが明らかに好ましい。
【0109】
上記で概説したとおり、本発明は、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者において免疫系がほぼ14〜15日にわたって周期変化しているという現象に基づく。ほとんどの場合、作用因子が投与されるべき時期は、免疫応答動態が変化し得るような疾患の異なる段階で、被験者において経験的に決定される必要がある。被験者の一般的健康状態および/または被験者の遺伝子構成のような他の要因も、作用因子を投与するための適切な時期がいつであるかに影響を与える。
【0110】
当業者によって理解されるとおり、癌および慢性持続感染のような状態は重篤であり、しばしば命を脅かす疾患である。本来の個体間のバラツキではまったくないが、多くの要因に起因して、個体における免疫周期の性質を評価するために、および多数の要因(急性期マーカーおよび疾患抗原の組み合わせのような)を分析するためにモニターするために、最終的には、作用因子を投与する最も適切な時間を決定して有効な処置の機会を最適化するために、患者は合理的な長さの時間にわたってモニターされることが典型的に必要である。
【0111】
当技術分野において公知の技術を用いて、「周期」の間にエフェクターおよび/または調節細胞の増殖している集団をモニターすることができる。
【0112】
連続的な血液サンプルを収集して、FACS分析により全てのCD4+サブセットについて定量的にスクリーニングしてもよい。このFACSモニタリングは、腫瘍によって産生されてもまたは被験者に投与されても、調節細胞が疾患状態に応じてクローン的に増殖し始めるまで維持される必要がある。調節細胞の増殖している集団をモニタリングするための他の可能なアッセイ法は、リンパ球増殖/活性アッセイ法および種々のサイトカインレベルのアッセイ法(例えば、IL-4、IL-6、またはIL-10についてのアッセイ法)を含む。
【0113】
また、連続的な血液サンプルを収集して、CD8+、CRP、SAAおよび種々のサイトカインのような、これらに限定されないが、全てのエフェクター細胞の活性について定量的にスクリーニングしてもよい。このようなエフェクター細胞マーカーは、調節細胞マーカーに先行する。
【0114】
疾患が癌である場合、作用因子を投与するための時期を決定する別の方法は、腫瘍負荷をモニターすることである。腫瘍負荷は、エフェクター細胞の活性に起因して減少することが予想されるが、調節細胞の引き続く増大は、エフェクター細胞を下方制御して、腫瘍負荷減少の緩徐化を生じる。従って、作用因子は、およそ腫瘍負荷の減少の緩徐化の前に投与され得る。当技術分野において公知の技術、例えば、腫瘍によって発現されるマーカーのRT-PCRまたは抗体検出を用いて、これらの環境における腫瘍負荷を測定することができる。適切な腫瘍抗原マーカーアッセイ法の例には、AFP(肝細胞癌腫および胚細胞腫瘍のマーカー)、CA15-3(乳癌を含む多数の癌のマーカー)、CA19-9(膵臓癌および胆管腫瘍を含む多くの癌のマーカー)、CA125(卵巣癌を含む種々の癌のマーカー)、カルシトニン(甲状腺髄様癌を含む種々の腫瘍のマーカー)、カテコールアミンおよび代謝物(クロム親和細胞腫)、CEA(結腸直腸癌および他の消化管癌を含む種々の癌のマーカー)、hCG/βhCG(生殖細胞腫瘍および絨毛癌を含む種々の癌のマーカー)、尿中の5HIAA(カルチノイド症候群)、PSA(前立腺癌)、セロトニン(カルチノイド症候群)、およびサイログロブリン(甲状腺癌)が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
作用因子の投与のために正確な時期を選択することを確実にするには、モニタリングは非常に高頻度、例えば、2〜3時間ごとである必要があるかもしれない。好ましくは、モニタリングは、少なくとも48時間ごとに行なう。より好ましくは、モニタリングは、少なくとも24時間ごとに行なう。
【0116】
最適には、モニタリングは、作用因子の効果を決定するために継続される。調節細胞の不十分な下方制御、再出現、または例えば腫瘍負荷の増大は、本発明の方法が繰り返されるべきであることを意味する。このような処置の繰り返しの周期は、免疫学的記憶を生成し得る。従って、本発明を繰り返し方式で用いれば、ある程度の予防的な防御効果を得ることが可能である。
【0117】
ワクチン
上記で概説したとおり、本発明者らはまた、文献の調査後、治療用ワクチンを用いた種々の癌の処理が平均して約10%の完全寛解率をもたらすこと(例えば、Trefzerら、2004;Lotemら、2004;Smithersら、2003;Belliら、2002;Berdら、2001;Wittigら、2001を参照されたい)に注目した。これは、14日ごとに1.5日(10%)という治療適用の機会のウインドウを意味する。これは、本明細書において報告された癌の化学療法においてみられた約7%(14日の1日)という完全寛解率の確率の十分に範囲内である。従って同様の機構がワクチンの状況で作動し、それによって、正確な時期での患者への癌ワクチンの接種が調節機構/細胞を妨害するのに十分であり、エフェクターが腫瘍を殺傷することを可能にして完全寛解が得られる。
【0118】
当然、本発明において用いられるワクチンは、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に対する免疫を生じる。このようなワクチンは、少なくとも1つの抗原、またはこの抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。ワクチンは、DNAワクチン、抗原を発現するトランスジェニック生物の接種、または抗原を含む組成物のような当技術分野において公知の任意の形態として提供され得るが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書において用いる場合、「抗原」とは、疾患に対する免疫応答を生じ得るエピトープを含む任意のポリペプチド配列である。
【0120】
癌細胞に対する免疫応答を発生させ得る抗原は、当技術分野において周知である。特定の腫瘍抗原が免疫系によって認識され、標的にされ得る。この特性は、腫瘍組織による過剰発現に起因し得る。これらの抗原のいくつかは、正常な組織において検出され得る。T細胞によって標的にされる腫瘍抗原は一般に、細胞内でプロセシングされて、CD8+細胞傷害性Tリンパ球によって認識されるように腫瘍MHCクラスI分子の溝に結合した短いペプチドフラグメントとして提示されるタンパク質である。腫瘍抗原の存在がわずかであれば、免疫応答を誘発するには必ずしも十分ではない。B7.1のような同時刺激分子が時に必要である。一旦抗原特異的T細胞が刺激されれば、それらは腫瘍を認識または破壊し得る。抗原特異的T細胞の活性に必要な条件はストリンジェントであるが、標的腫瘍細胞およびT細胞の遺伝的操作にはオープンである。
【0121】
HIVのような感染を処置するために用いられ得る抗原はまた、当技術分野において周知である。
【0122】
抗原は免疫応答をもたらす当技術分野において公知の任意の方式で提供されてもよい。抗原は例えば、天然であっても、組み換えであってもまたは合成であってもよい。天然の抗原は、例えば、腫瘍細胞の細胞溶解液を提供することによって調製され得る。
【0123】
ワクチンは、一つまたは複数の抗原から調製され得る。抗原を含むワクチンの調製は、当業者に公知である。典型的には、このようなワクチンは、注射剤、または経口剤として、液体の溶液または懸濁液のいずれかとして調製され;注射または経口摂取の前に、液体中の溶液に、または懸濁液に適切な、固体型で調製されてもよい。この調製物はまた、乳化されても、またはリポソームにカプセル化されたタンパク質であってもよい。この抗原はしばしば、活性成分と薬学的に許容され、適合する担体/賦形剤とともに混合される。適切な担体/賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。
【0124】
さらに、必要に応じて、ワクチンは、わずかな量の添加物質、例えば、保湿材または乳化剤、pH緩衝化剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントを含んでもよい。
【0125】
典型的には、ワクチンはアジュバントを含む。本明細書において用いる場合、「アジュバント」という用語は、抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する物質を意味する。有効であり得るアジュバントの例には、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-nor-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、nor-MDPとも呼ばれる)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1-2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP 19835A、MTP-PEと呼ばれる)、および細菌から抽出された3つの成分を含むRIBI、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレートおよび2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中の細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)が含まれるが、これらに限定されない。アジュバントのさらなる例には、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、細菌内毒素、リピドX、コリネバクテリウム・パーブム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミソール、DEAE-デキストラン、ブロックコポリマーまたは他の合成アジュバントが含まれる。このようなアジュバントは、例えば、Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,N.J.)またはフロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,Michigan)など、種々の供給源から市販されている。
【0126】
抗原およびアジュバントの割合は、両方が有効量で存在する限り広い範囲にわたって変化してもよい。例えば、水酸化アルミニウムはワクチン混合物の約0.5%の量で存在してもよい(Al2O3基礎)。好都合なことに、ワクチンは、0.2〜200μg/ml、好ましくは5〜50μg/ml、最も好ましくは15μg/mlの範囲の最終濃度で抗原性ポリペプチドを含むように処方される。
【0127】
処方後、ワクチンは、滅菌容器中に入れられてもよく、次いで密閉されて低温、例えば4℃で保管されるか、または凍結乾燥されてもよい。凍結乾燥によって安定な形態で長期の保存が可能になる。
【0128】
ワクチンは慣習的に、非経口的に、注射によって、例えば、皮下または筋肉内のいずれかに投与される。他の投与方式に適切であるさらなる処方物としては、坐剤、およびある場合には経口処方物が挙げられる。坐剤については、伝統的な結合剤および担体、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含んでもよい;このような坐剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成されてもよい。経口処方物は、例えば、薬学的な等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性処方物または粉末の形態をとり、および10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含む。ワクチン組成物が凍結乾燥される場合、この凍結乾燥物質は、投与の前に、例えば懸濁液として再構成され得る。再構成は好ましくは緩衝液中に行なわれる。
【0129】
患者への経口投与のためのカプセル、錠剤および丸剤は、例えば、オイドラギット(Eudragit)「S」、オイドラギット「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶コーティングとともに提供されてもよい。
【0130】
DNAワクチン接種は、被験者の組織の細胞による抗原の発現のために、被験者の組織への抗原をコードするDNAの直接インビボ導入を含む。このようなワクチンは、本明細書において「DNAワクチン」または「核酸を用いたワクチン」と呼ばれる。DNAワクチンは、米国特許第5,939,400号、同第6,110,898号、WO 95/20660号、およびWO 93/19183号に記載され、その開示がその全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0131】
今日まで、ほとんどのDNAワクチンは哺乳動物の系において、サイトメガロウイルス(CMV)由来のウイルスプロモーターに依拠してきた。これらは多数の哺乳動物種における筋肉および皮膚の両方の接種に良好な有効性を有している。DNA免疫によって誘導される免疫応答に作用することが公知の要因は、DNA送達方法であり、例えば非経口の経路は低速の遺伝子移動をもたらし、およびかなりの変動の遺伝子発現を生じ得る。遺伝子銃を用いるプラスミドの高速の接種は、おそらく、DNAトランスフェクションの効率がより上昇し、および樹状細胞による抗原提示がより効率的であったため、マウスの免疫応答を増強した。本発明の核酸を用いたワクチンを含むベクターはまた、当技術分野において公知の他の方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクチン(リポソーム融合)、またはDNAベクタートランスポーターによって所望の宿主に導入され得る。
【0132】
抗原性ポリペプチドを産生するトランスジェニック植物は、当技術分野において周知の手順を用いて構築され得る。植物由来の多数の食物ワクチンが動物およびヒトの病原の両方について現在開発されている。免疫応答はまた、ウイルス様粒子(VLPs)を産生するトランスジェニック植物、または抗原性エピトープを提示するキメラ植物ウイルスでの経口免疫から生じる。これらのVLPsまたはキメラウイルスの粒子形態は、胃における抗原のさらに大きい安定性をもたらし、腸における取り込みに利用可能な抗原の量が効率的に増大することが示唆されている。
【実施例】
【0133】
実施例1
以下に提供されるのは、いくつかの急性期炎症マーカーおよび卵巣癌マーカーCA125をモニターするために用いられる典型的なアッセイ法の例である。
【0134】
C反応性タンパク質
デイドベーリングディメンションRxLケミストリーアナライザー(DADE Behring Dimension RxL Chemistry Analyser)を用い、Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)から供給された試薬および標準物質(試薬カタログ番号DF-34;標準物質カタログ番号DC-34)を用いてC反応性タンパク質を測定した。
【0135】
CRP法は、粒子増強免疫比濁技術に基づく。C反応性タンパク質に対する抗体でコーティングされたLatex粒子は、サンプル中のC反応性タンパク質の存在下で凝集する。凝集を伴う濁度の増大は、C反応性タンパク質の濃度に比例する。
参照範囲:0〜5 mg/L
分析範囲:0.5〜500mg/L
【0136】
癌抗原125(CA125)
AxSym CA 125は、Abbott Diagnosticsによって供給された試薬および標準物質(AxSym Reagent packカタログ番号3B41-22;標準物質カタログ番号9C22-01)を用い、微小粒子酵素イムノアッセイ(MEIA)技術に基づいて、Abbott Diagnostics AxSymで行なった。
【0137】
サンプル、抗CA125でコーティングした微小粒子および標本希釈液を反応容器の1ウェル中でピペッティングする。CA125は、Ab-Ag複合体を形成する、抗CA125でコーティングした微小粒子に結合する。微小粒子に結合されたAb-Ag複合体を含む反応混合物のアリコートは、ガラスファイバーマトリックスに不可逆性に結合する。マトリックス細胞は洗浄緩衝液で洗浄して未結合の物質を除く。抗CA125サブユニット特異的なALP結合体は、マトリクス細胞上に分散して、Ab-Ag複合体と結合する。マトリクス細胞を、洗浄して、未結合の物質を除去する。この基質、4-メチルウンベリフェリルリン酸をマトリクス細胞に添加して、蛍光産物をMEIA光学アセンブリによって測定する。
【0138】
希釈は、Abbott CA125標本希釈液(No.3B41-50)とともに行なった。
【0139】
慣用的な品質管理血清(Abbott 腫瘍マーカー対照(9C22-10 レベル1、2および3)から2つのレベルで評価した変動係数は以下のとおりである:
参照範囲:0〜35U/mL
分析範囲:2〜600U/mL
【0140】
インターロイキン2レセプター(IL2R)
Diagnostic Products Corporation(Los Angeles,CA,USA)のイムライト(Immulite)アナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法(EIA)によって、サイトカインインターロイキン2(IL2R)のレセプターを測定した。
【0141】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL2R、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0142】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LKIPZによってキットの形態で供給される。
【0143】
分析能力:
分析範囲:5〜7,500U/mL
参照範囲:223〜710U/mL*
*87例の明らかに健康な成人で研究を行なった。
【0144】
インターロイキン6
Diagnostic Products Corporation(Los Angeles,CA,USA)のイムライトアナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法y(EIA)によって、サイトカインインターロイキン6を測定した。
【0145】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL-6、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0146】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LK6PZによってキットの形態で供給される。
【0147】
分析能力:
分析範囲:2〜1000pg/mL
参照範囲:<4.1pg/mL*
*60例の明らかに健康な実験室ボランティアで研究を行なった。
【0148】
インターロイキン10
Diagnostic Products Corporation、Los Angeles,CA,USA のイムライトアナライザーを用いて、市販の自動化された化学発光酵素イムノアッセイ法(EIA)によって、サイトカインであるインターロイキン10を測定した。
【0149】
これは、トレーサーとしてアルカリホスファターゼ標識IL-10、およびALP酵素についての発光基質としてアダマンチルジオキセタンを用いる競合的イムノアッセイ法である。
【0150】
全ての試薬および標準物質は、DPC-カタログ番号LKXPZによってキットの形態で供給される。
【0151】
分析能力:
分析範囲:5〜1000pg/mL
参照範囲:<9.1pg/mL*
*55例の明らかに健康な成人で研究を行なった。
【0152】
血清アミロイドA
ヒトSAAに対する抗体でコーティングされたポリスチレン粒子は、SAAを含有するサンプルと混合した場合、凝集する。比濁計中の散乱光の強度は、サンプル中の分析物の濃度に依存し、および従ってその濃度は、公知の濃度の標準の希釈との比較によって決定され得る。
不正確性:CV 4.7%@192mg/mL N=404
CV 2.8%@7.0mg/mL N=40
参照範囲:正常な血清CRPレベルを有する集団では(95パーセンタイル値=5.0mg/L N=483)N ラテックス SAAについての95パーセンタイル値は、6.4mg/Lであることが見出された。
分析範囲:3.0〜200mg/L
【0153】
補体C3
Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)によって供給された試薬および標準物質を用い、デイドベーリングプロスペクトアナライザー(Dade Behring ProSpect analyser)を用いる比濁分析によって、自動的な方法を用いて血清サンプル中の補体C3濃度を測定した。
【0154】
可溶性の抗原溶液(サンプル)および特異的な抗体(抗血清カタログ番号 OSAP15)を反応キュベット中で混合する。不溶性の抗原-抗体複合体が直ちに形成され、この混合物中で濁度が生じ、この溶液によって散乱される光の量が増大する。インキュベーション期間の後、分析の波長で溶液の吸光度を測定する。
不正確性:CV 5.5%@1.05g/L N=61
CV 3.2%@2.70g/L N=61
参照範囲:0.81〜1.85g/L
分析範囲:0.10〜3.50g/L
【0155】
補体C4
Dade Behring Diagnostics(Sydney,Australia)によって供給された試薬および標準物質を用い、デイドベーリングプロスペクトアナライザーを用いる比濁分析によって、自動的な方法を用いて血清サンプル中の補体C4濃度を測定した。
【0156】
可溶性の抗原溶液(サンプル)および特異的な抗体(抗血清カタログ番号 OSAO15)を反応キュベット中で混合する。不溶性の抗原-抗体複合体が直ちに形成され、この混合物中で濁度が生じ、この溶液によって散乱される光の量が増大する。インキュベーション期間の後、分析の波長で溶液の吸光度を測定する。
不正確性:CV 4.7%@0.20g/L N=61
CV 3.8%@0.53g/L N=61
参照範囲:0.10〜0.40g/L
分析範囲:0.03〜1.50g/L
【0157】
実施例2
高齢女性の卵巣癌患者をC反応性タンパク質、血清アミロイドAおよび腫瘍マーカーCA125のレベルの変動について約12日間モニターした。モニタリングは、1日おきに収集した血液サンプルでの標準的な実験室での試験を用いて行なった。患者は最近、いかなる抗癌療法にも曝露されていなかった。さらに、患者が癌以外のいかなる疾患に罹患しているという証拠はなかった。疾患の負荷の指標としてCA125(卵巣癌マーカー)をモニターした。
【0158】
図1Aに示されるとおり、C反応性タンパク質(CRP)レベルは、モニタリング期間の開始時期でピークであった。さらに、図1Bに示されるとおり、血清アミロイドAレベルは、CRPピークの同じ時間に上昇された。
【0159】
これらの結果によって、
i)急性期炎症性タンパク質のレベルは、ウイルス感染または化学療法のような変動を生じる任意の他の公知の要因の非存在下では、癌患者において変動していること、
ii)急性期炎症性タンパク質のレベルの上昇は、腫瘍抗原の低いレベルと関連し、このことはエフェクター細胞の存在を示唆していたこと、および
iii)腫瘍抗原のレベルの上昇は、急性期炎症性タンパク質の低いレベルと関連し、このことは調節細胞がエフェクター細胞の有益な活性を打ち消し、これらの細胞がもはや腫瘍細胞に対して活性を持たないことを示唆している。
【0160】
実施例3
HIV感染に罹患したヒト被験者は、少なくとも6ヶ月間にわたって高活性の抗ウイルス療法(HAART)を受け、次いでこの処置を停止した。C反応性タンパク質のレベルは、HAARTの間および終了後に得られたサンプルで標準的な技術を用いて決定された。
【0161】
図2からわかるように、HAARTの結論に基づいてC反応性タンパク質レベルは周期変化を始め、ほぼ14日ごとにピークになることがこの結果によって示される。
【0162】
実施例4
血清CRPを用いて、抗レトロウイルス治療を停止したHIV患者における免疫応答をモニターした(図3)。この研究で、CRPレベルは、免疫応答がオンおよびオフに切り換えられる際、ウイルス負荷の変動によく似ていた(図3)。これらのCRP変動は約14日周期であることが注目されることが興味深い。
【0163】
実施例5
癌の処置のための抗癌剤(例えば、ビンブラスチンおよびタキソール)を用いる第II相または第III相臨床試験の結果を記載した文献の要約について、「Pubmed」データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を検索した。「要約」を選択するために用いた他の基準は、この癌が後期(ステージIIIまたはステージIV)であり、疾患が転移していたということであった。いくつかの研究は単独の薬物を用いていたが、その他は組み合わせを用いていた。他には用いた基準はなく、非定型の完全寛解率の分析は無視しなかった。
【0164】
各々の試験についての完全寛解率(要約で示されたとおり)を用いて、各々のタイプの癌の平均完全寛解率を決定した。その結果を表1に示した。明らかに、平均の完全寛解率は、分析した全ての癌についてわずかな程度、すなわち5.1〜8.2%しか変化しなかった。表1で提供された結果を用いて、全体的な平均の完全寛解率を決定した。この平均完全寛解率は、分析した144の試験を考慮すれば、少なくとも10個の異なるタイプの癌にまたがって6.6%であった。
【0165】
特に卵巣癌について得られたデータに関して、1つの研究(Adachiら、2001)では25%という完全寛解率が観察され、これは他の143の試験と比較して極めて大きかったということは注目すべきである。この研究は、8例の患者で見たが、2例の患者が完全寛解率を示している。これは十分に可能な範囲内であるが、この研究が無視できない場合、残りの卵巣癌についての全体的な完全寛解率は7.1%である。
【0166】
完全寛解率は、異なる癌およびその処置プログラムの間で極めて一定しており、このことは、全ての癌およびその処置に関連する背景にある要因を示唆している。本明細書に記載されるとおり、この要因は、免疫系が周期変化しているということである。従って、表1に示される完全寛解率は、適切な時期に投与された抗癌剤の結果であり、エフェクター細胞数が最大化され、一方調節細胞数が減少されるかもしくは除去され、または、完全寛解を誘導するのに十分な抗癌剤によって、活性が下方制御されるかもしくは損なわれたことが主張され得る。
【0167】
(表1)種々の癌に対する抗癌薬物を用いる臨床試験から得られる完全寛解率
癌には、腎細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、子宮頚癌、未分化星状細胞腫、転移性骨肉腫、尿路上皮癌、および子宮体癌が含まれ、以下に記述されている。
【0168】
エフェクター細胞/調節細胞の数の典型的な周期が約15日と考えられる場合、表1のデータは、完全寛解率を達成するための抗癌療法を投与するための1日のウインドウを示唆している。30%という大きさの部分寛解率が典型的には注記され、このことは、作用因子が、この「1日のウインドウ」のいずれの側の24〜36時間の期間に投与される場合にも、有益な効果が達成され得るということを示唆している。
【0169】
実施例6
患者
患者は、本明細書において「ミセスOM」と命名された75歳の高齢の女性であった。
【0170】
病歴
肝硬変、虚血性心疾患、インスリン依存性糖尿病。2004年5月の内視鏡および生検/組織像によって食道下部の扁平上皮癌が診断された。この癌では、患者が嚥下困難を知覚することとなった。
【0171】
腫瘍の詳細
食道の基部で5cmの円周量であり、管腔を部分的に閉塞している。未知の上皮/壁面への浸潤。
【0172】
治療プログラム
6〜8週間にわたって毎週1日15分間の約33コースの放射線療法。さらに背景にある他の医学的条件に起因して化学療法を制限した。
【0173】
癌専門医は、2つの化学療法(5フルオロウラシルおよびカルボプラチンの約8時間の注入)の適用を与えることに合意した。この適用は、周期変化している腫瘍特異的調節細胞の時限性の下方制御を試みるために、患者の免疫応答の周期/振幅と協調している。
【0174】
モニタリングおよび治療処置
免疫応答の振幅を検出するために、患者の免疫応答のモニタリングは、以下のアッセイ法:CRP、SAA、C3、C4およびCA125を用いて、1日目である2004年5月28日に開始した。食道の扁平上皮癌の場合に文献に報告されているとおり、CA125を用いて疾患の進行をモニタリングした。
【0175】
モニタリングの最初の段階の間、患者は、腫瘍の増殖に起因する可能性が最も高い、嚥下の困難性の増大を報告した。これは、全ての測定されたパラメーターにおける一貫した上昇によって裏付けられた(図4〜7を参照のこと)。
【0176】
興味深いことに、上昇しているCA125は、約24時間を超えて短時間でプラトーに達し、(図6の12〜14日)、結局そのポイントを超えて急な勾配で上昇する結果となった。これは患者の免疫応答のスイッチがオンとなり、および腫瘍増殖およびマーカー(CA125)を調節して、結局、その約24時間の期間の終わりに、免疫調節に起因してスイッチをオフにするのみとなった、と解釈された。
【0177】
この約24時間の期間は、1回の約14日の周期の終わりおよび次回の始まりを確立し、および従って潜在的な処置のポイントまたはさらなる処置のポイントの前に計画するための参照ポイントを確立した。
【0178】
14日の周期の開始および終わりを規定すれば、何日も前に予測して計画し、2つの潜在的な化学療法処置のポイントが約2週間離れていると最良に推定することがこの時点で可能であった。
【0179】
治療処置のポイントまたはウインドウを正確に規定するために、火曜日、水曜日および木曜日(図7、7月13、14および15日、46、47および48日目、Bとして矢印で示した)に患者から血液採取/測定を行なうことを決定した。この周期が正確に決定される場合、CRPのピークとその後の下降は、分析が行なわれる日にまたがってみられるはずである(図7)。CRPのこのパターンは約14日後に反復されて、免疫応答の振幅の持続的な周期性と一致していなければならない。これは、事実であることが見出された(図7)。
【0180】
CRPの結果に基づいて、本研究者らは、化学療法の最初の適用を2004年7月14日水曜または2004年7月15日木曜に投与するように癌専門医に推奨した。しかしながら、ミセスOMは既に2004年7月16日金曜に化学療法を予約しており、癌専門医はこの予約の変更を変更しないと決めた。この日はCRPのピークの直後であった(図7、Cとして矢印で示した)ので、この機会のウインドウは、この治療の適用が24時間遅すぎるかもしれないので失敗するかもしれないと本発明者らには感じられた。本発明者らは、治療の時期は、投与されたCRPが再度上昇し始めたときであると予想した。化学療法の投与後、腫瘍に対して効果がみられなかったので、この予想は正確であると証明された。
【0181】
第二の処置のポイントを決定/予想し、血液を水曜および木曜(図7、7月28日および29日、63日目および64日目、Dとして矢印で示した)に採取した。予想はCRP分析におけるピークによって確認したが、これによって、65日目である2004年7月30日金曜日(図7、Eとして矢印で示した)が、化学療法の適用の最適な処置のポイントとして示された。化学療法を金曜日の8時間の注入として投与した。この場合、CRPが依然として減少しているので、これが治療を行なう適切な時期であると本発明者らは予測した。
【0182】
土曜日には、患者は軽度の発熱を発症し、全体に気分が優れないと感じた。67日目の8月1日土曜日(図7、Fとして矢印)の昼過ぎ、患者は腫瘍部位から出血して、その後に病院に入院した。患者は約150mlの血液を失い、その日に2単位の血液を、そしてその後9日間に静脈内輸液/栄養を投与された。
【0183】
CRPは、69日目である2004年8月4日に測定し(図7、Gとして矢印で示した)、および有意に低下していることが見出された。
【0184】
入院の最終日、患者の食道を内視鏡検査した。腫瘍は証明されなかった(図7、Hとして矢印で示した)。
【0185】
解釈
患者の振幅する抗腫瘍免疫応答は、適切な所定の時期における化学療法剤の単回投与による腫瘍特異的調節細胞の時限性の標的化によって調節から解放された。これは免疫調節細胞がクローン的に有糸分裂において活性であり、従って下方制御に脆弱である時である。一旦調節から解放されれば、抗腫瘍免疫応答は、66日目に患者によって報告されたとおり熱性発作、および引き続く腫瘍破壊を生じた。免疫媒介性腫瘍破壊は、食道の上皮/壁における腫瘍の潜在的な侵襲性の関与に起因して出血を生じた。
【0186】
上記の作用および観察によって以下が実証される:
・癌患者における持続性の規則的な振幅を検出することが可能である。
・この振幅は腫瘍負荷に関連している。
・この振幅は周期的にほぼ14日であって、7日の小周期を有する。
・この周期の開始および終わりは、CRP、SAA、C3、C4および腫瘍抗原レベルのような種々のパラメーターによって決定され得るが、これらに限定されない。
・化学療法の単回投与の適用のための機会の狭いウインドウが決定され得る。
・癌患者の免疫系に対する正確な時期での単回化学療法投与は、成功する治療結果につながり得る。
【0187】
実施例7
患者は、本明細書において「ミセスFO」と命名された71歳の老齢の女性であった。以前にミセスFOは卵巣癌と診断されて、外科手術および数回の標準的な化学療法を受けた。患者はモニタリングの前に200U/mlの上昇したCA125を示した。
【0188】
4週間にわたって月曜、水曜および金曜ごとに患者をモニターした(採血)。7/14日の周期性を有するほぼ同期でかつ規則的な振幅がよく記載されており、これはCRP、SAAおよびIL-2の血清測定の間の密接な相関を示す(図8および9を参照されたい)。さらに興味深いことに、時間に対するCRPおよびCA125、このCRPおよびCA125の振幅が位相不一致であることを示す図10は、免疫系と癌マーカーとの間の逆相関を示している。
【0189】
図11は、SAAと補体作用因子C3との間の経時的な関係を示す。2つの主なC3ピークは約14日間離れていること、およびこれも約14日間離れている、交互するSAAピークと一致していることに注目されたい。これによって、7日のピークが交互するT細胞およびB細胞のクローン増殖に相当すること、そして補体は抗体媒介性の溶解に伴うので、主要なC3ピークがB細胞に関連するという仮説が支持される。この観察は、周期の開始および終わりを確立する助けとなり得、従って治療処置のポイントの決定に役立ち得る。
【0190】
実施例8
患者は、本明細書において「ミスターGA」と呼ばれる64歳の高齢の男性であった。腸の癌が最初、1997年に診断され、その後患者は手術、化学療法および放射線療法を受けた。2004年2月のニードル生検によって肺の再発が診断された。患者は、多発性の病変を有することが確認され、および12回の化学療法に供された。最後の化学療法は、2004年9月であった。最近のスキャンによって、左肺上部の少なくとも2cmの病変を同定した。現在、比較的良好/活発である(2004年10月中旬)。
【0191】
15日間にわたって1日おきに(月曜、水曜、金曜)血液を採取した。CRPを測定したところ、その結果は、およそ、そして規則的な7/14日のCRP振幅を示した。
【0192】
実施例9
閉経後の卵巣摘出術を行なった患者(WB)であって、腫瘍を再発してCA125レベルが上昇した患者に質問して、顔面紅潮または熱性発作の頻度、およびそれらの程度を軽度、中度または重度として記録した。これらの症状の出現の強度は、免疫応答CRPの振幅に適合した。さらに強度の症状およびその頻度の増大は、大きいピークと一致していた。従って体温の記録は、治療の適用を時間調節する目的のために免疫応答の振幅の開始およびまたは終わりを規定する補助として役立ち得る。
【0193】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年10月24日出願の仮特許出願第2003905858号からの優先権を主張し、その内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0194】
広範に記載されるとおり、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の態様に示されるとおり多数の変化および/または改変が本発明に対してなされ得ることが当業者には明白である。従って、本態様は、例示的かつ非制限的に全ての観点において考慮されるべきである。
【0195】
上記で考察される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0196】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、論文などの任意の考察は単に、本発明の文脈を提供する目的である。これらの事柄のいずれか、もしくは全てが先行技術ベースの一部を形成するか、または本出願の各々の特許請求の範囲の優先日以前に存在するため、本発明に関する分野における共通の一般的知識であったという承認と解釈されるべきではない。
【0197】
参考文献
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子がいつ投与されるべきかを決定するための方法であって、患者またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法。
【請求項2】
以下の工程を含む、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、作用因子の投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者を作用因子に曝露させる工程。
【請求項3】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患が癌または感染症である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
感染が、感染症を排除できない患者の免疫系によって特徴付けられる慢性持続感染である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
患者がHIV、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスに感染している、請求項4記載の方法。
【請求項6】
免疫系マーカーが、調節細胞の数および/もしくは活性、ならびに/またはエフェクター細胞の数および/もしくは活性を反映する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
免疫系マーカーが急性期炎症マーカーである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
急性期炎症マーカーが、血清アミロイドA、血清アミロイドP、およびC反応性タンパク質からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
作用因子が、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時と、マーカーが次の周期において上昇し始める前との間に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
調節細胞が、CD4+CD8-T細胞である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
作用因子がCD4+CD8-T細胞が検出される際に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
エフェクター細胞がCD8+CD4-T細胞である、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
作用因子が、およそCD8+CD4-T細胞数がピークに達した時に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
疾患に関連する分子が、癌細胞または感染性因子によって産生される抗原である、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
作用因子が、およそ疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
患者が急性期炎症マーカーおよび疾患に関連する分子についてモニターされる、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
作用因子が、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時と、マーカーが次の周期において上昇し始める前との間に、および疾患に関連する分子のレベルが減少し始めるか、または分子の以前の分析に基づいて減少し始めると予測される時に投与される、請求項2〜5または16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
患者が少なくとも7日間にわたってモニターされる、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
患者が少なくともほぼ3日ごとにモニターされる、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
作用因子が調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
作用因子が、調節細胞の産生および/または活性を阻害する抗増殖性薬物、放射線、dsRNA、ならびに抗体からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
抗増殖性薬物が、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、および無水ビンブラスチンからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
抗体が、抗CD4+、抗CTLA-4(細胞傷害性リンパ球関連抗原-4)、抗GITR(グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子レセプター)、抗CD28、および抗CD25からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
患者がヒトである、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を診断する方法であって、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含み、ここでa)〜d)のいずれか1つの循環によって疾患が存在し得ることが示される、方法。
【請求項27】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、ワクチンがいつ投与されるべきかを決定するための方法であって、患者、またはそれから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法。
【請求項28】
以下の工程を含む、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、ワクチンの投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者をワクチンに曝露させる工程。
【請求項29】
エフェクター細胞のレベルが増大している際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
疾患に関連する分子のレベルが減少し始める際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
急性期炎症マーカーのレベルが増大し始める際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項32】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために免疫系マーカーを検出するアッセイ法の使用。
【請求項33】
マーカーが急性期炎症マーカーである、請求項32記載の使用。
【請求項34】
急性期炎症マーカーが、血清アミロイドA、血清アミロイドP、およびC反応性タンパク質からなる群より選択される、請求項33記載の使用。
【請求項35】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するためにエフェクター細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用。
【請求項36】
アッセイ法がCD8+CD4-T細胞の数を検出する、請求項35記載の使用。
【請求項37】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために調節細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用。
【請求項38】
アッセイ法がCD4+CD8-T細胞の数を検出する、請求項37記載の使用。
【請求項39】
疾患を処置するために作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に関連する分子を検出するアッセイ法の使用。
【請求項40】
アッセイ法が癌細胞または感染性因子によって産生される抗原を検出する、請求項39記載の使用。
【請求項41】
疾患を有する患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、請求項32〜40のいずれか一項記載の使用。
【請求項42】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して投与するための薬剤の製造のための作用因子の使用であって、ここで作用因子はエフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択された時期に投与され、かつ患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、作用因子の使用。
【請求項43】
作用因子が調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する、請求項32〜42のいずれか一項記載の使用。
【請求項44】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するためのキットであって、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングするための少なくとも1つの試薬を含む、キット。
【請求項1】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子がいつ投与されるべきかを決定するための方法であって、患者またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法。
【請求項2】
以下の工程を含む、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、作用因子の投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者を作用因子に曝露させる工程。
【請求項3】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患が癌または感染症である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
感染が、感染症を排除できない患者の免疫系によって特徴付けられる慢性持続感染である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
患者がHIV、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスに感染している、請求項4記載の方法。
【請求項6】
免疫系マーカーが、調節細胞の数および/もしくは活性、ならびに/またはエフェクター細胞の数および/もしくは活性を反映する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
免疫系マーカーが急性期炎症マーカーである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
急性期炎症マーカーが、血清アミロイドA、血清アミロイドP、およびC反応性タンパク質からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
作用因子が、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時と、マーカーが次の周期において上昇し始める前との間に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
調節細胞が、CD4+CD8-T細胞である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
作用因子がCD4+CD8-T細胞が検出される際に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
エフェクター細胞がCD8+CD4-T細胞である、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
作用因子が、およそCD8+CD4-T細胞数がピークに達した時に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
疾患に関連する分子が、癌細胞または感染性因子によって産生される抗原である、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
作用因子が、およそ疾患に関連する分子のレベルが減少し始める時に投与される、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
患者が急性期炎症マーカーおよび疾患に関連する分子についてモニターされる、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
作用因子が、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達した時と、マーカーが次の周期において上昇し始める前との間に、および疾患に関連する分子のレベルが減少し始めるか、または分子の以前の分析に基づいて減少し始めると予測される時に投与される、請求項2〜5または16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
患者が少なくとも7日間にわたってモニターされる、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
患者が少なくともほぼ3日ごとにモニターされる、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
作用因子が調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
作用因子が、調節細胞の産生および/または活性を阻害する抗増殖性薬物、放射線、dsRNA、ならびに抗体からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
抗増殖性薬物が、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、および無水ビンブラスチンからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
抗体が、抗CD4+、抗CTLA-4(細胞傷害性リンパ球関連抗原-4)、抗GITR(グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子レセプター)、抗CD28、および抗CD25からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
患者がヒトである、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を診断する方法であって、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含み、ここでa)〜d)のいずれか1つの循環によって疾患が存在し得ることが示される、方法。
【請求項27】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、ワクチンがいつ投与されるべきかを決定するための方法であって、患者、またはそれから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングする工程を含む、方法。
【請求項28】
以下の工程を含む、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患を処置する方法であって、ワクチンの投与のタイミングが、エフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択される、方法:
i)疾患に罹患している患者を以下の少なくとも1つについてモニタリングする工程;
a)調節細胞の数および/もしくは活性、
b)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、
c)疾患に関連する分子、および/または、
d)免疫系マーカー、ならびに、
ii)疾患を処置するために患者をワクチンに曝露させる工程。
【請求項29】
エフェクター細胞のレベルが増大している際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
疾患に関連する分子のレベルが減少し始める際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
急性期炎症マーカーのレベルが増大し始める際にワクチンが投与される、請求項28記載の方法。
【請求項32】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために免疫系マーカーを検出するアッセイ法の使用。
【請求項33】
マーカーが急性期炎症マーカーである、請求項32記載の使用。
【請求項34】
急性期炎症マーカーが、血清アミロイドA、血清アミロイドP、およびC反応性タンパク質からなる群より選択される、請求項33記載の使用。
【請求項35】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するためにエフェクター細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用。
【請求項36】
アッセイ法がCD8+CD4-T細胞の数を検出する、請求項35記載の使用。
【請求項37】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために調節細胞の数および/または活性を検出するアッセイ法の使用。
【請求項38】
アッセイ法がCD4+CD8-T細胞の数を検出する、請求項37記載の使用。
【請求項39】
疾患を処置するために作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するために、調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に関連する分子を検出するアッセイ法の使用。
【請求項40】
アッセイ法が癌細胞または感染性因子によって産生される抗原を検出する、請求項39記載の使用。
【請求項41】
疾患を有する患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、請求項32〜40のいずれか一項記載の使用。
【請求項42】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して投与するための薬剤の製造のための作用因子の使用であって、ここで作用因子はエフェクター細胞の活性が有意に低下しないように選択された時期に投与され、かつ患者が少なくとも14日間、疾患の処置に曝露されていない、作用因子の使用。
【請求項43】
作用因子が調節細胞の産生を阻害し、調節細胞の機能を制限し、および/または調節細胞を破壊する、請求項32〜42のいずれか一項記載の使用。
【請求項44】
調節細胞の産生によって特徴付けられる疾患に罹患している患者に対して、作用因子またはワクチンがいつ投与されるべきであるかを決定するためのキットであって、患者、またはそこから得たサンプルを、a)エフェクター細胞の数および/もしくは活性、b)調節細胞の数および/もしくは活性、c)疾患に関連する分子、ならびに/またはd)免疫系マーカーのうち、少なくとも1つについてモニタリングするための少なくとも1つの試薬を含む、キット。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−93366(P2012−93366A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269612(P2011−269612)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2006−535913(P2006−535913)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(504311501)イミュネイド ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2006−535913(P2006−535913)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(504311501)イミュネイド ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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