説明

治療剤の組み合わせ

本発明は、治療上有効な量の化合物の組み合わせを哺乳動物に投与することによる哺乳動物におけるHIV感染の治療方法に関する。本発明はまた、HIVプロテアーゼ酵素阻害剤として有用な所定の化合物、および、少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年1月30日付で出願された米国仮出願第60/540,749号、および、2004年10月1日付で出願された60/615,000(これらはいずれも参照により本発明に加入する)に基づき優先権を主張する。
【0002】
本発明は、治療上有効な量の化合物の組み合わせを哺乳動物に投与することによる、哺乳動物におけるHIV感染の治療方法に関する。本発明はまた、HIVプロテアーゼ酵素阻害剤として有用な所定の化合物、および、少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、体の免疫系の段階的な破壊、同様に、進行性の中枢および末梢神経系の変質を引き起こす。1980年代初期にそれらが最初に認識されてから、AIDSは、迅速に蔓延しており、目下、人口の比較的限定された階層において、伝染病の域に達している。調査により、原因となる物質としてヒトTリンパ球向性レトロウイルスIII(HTLV−III)(現在、より一般的には、ヒト免疫不全ウィルスまたはHIVと称される)が発見された。
【0004】
HIVは、レトロウイルスとして知られるウイルス種の一つである。レトロウイルスのゲノムはRNAで構成されており、これらは逆転写によってDNA変換される。次に、このレトロウイルスのDNAは安定して宿主細胞の染色体に統合され、宿主細胞の複製方法を利用して、新しいレトロウイルス粒子を生産し他の細胞への感染を進行させる。HIVは、体の免疫系において極めて重要な役割を果たすヒトT−4リンパ球に特定の親和性を有するようである。これらの白血球のHIV感染は、これら白血球の細胞群を枯渇させる。最終的に、免疫系は作動不能になり、なかでもニューモシスティスカリニ肺炎、カポジ肉腫、および、リンパ系のガンのような様々な日和見疾患に対する効果がなくなる。
【0005】
HIVウイルスの形成と機能の正確なメカニズムは理解されていないが、このウイルスの同定により、この病気の制御において多少の進歩が得られた。HIVウイルスのレトロウイルスのゲノムの逆転写を阻害するには、例えばアジドチミジン(AZT)という薬物が有効であること見出されており、それによって、AIDSに苦しむ患者にとって、治療ではないが、ある一定の制御が付与される。致命的なHIVを治療することができる、または、少なくともそれらの改善された一定の制御を提供することができる薬物の検索が続けられている。
【0006】
定常的なレトロウイルス複製は、ポリタンパク質の翻訳後プロセシングを特徴とする。このプロセシングは、ウイルスによってコードされたHIVプロテアーゼ酵素によって達成される。これにより成熟ポリペプチドが生産され、これがその後、感染性ウイルスの形成および機能に役立つ。この分子プロセシングが抑制された場合、HIVの正常な生産が止まる。それゆえに、HIVプロテアーゼの阻害剤は、抗HIVウイルス物質として機能する可能性がある。
【0007】
HIVプロテアーゼは、HIV構造タンパク質のpol遺伝子からの翻訳産物の1種である。このレトロウイルスのプロテアーゼは、個々の部位でその他の構造的なポリペプチドを特異的に切断して、その新たに活性化された構造タンパク質および酵素が放出され、それによって、ビリオンが複製可能になる。このようにして、有力な化合物によるHIVプロテアーゼの阻害は、HIV−1の生活環初期の間の感染T−リンパ球のプロウイルスの組み込みを予防し、同様に、その後期におけるウイルスのタンパク質分解プロセシングを阻害することができる。加えて、このようなプロテアーゼ阻害剤は、現在のところ利用可能な薬物よりも容易に利用可能であり、それらより長時間ウイルス中で存続し、さらに、それらより毒性が低いという利点を有する可能性もあり、これは、それらのレトロウイルスのプロテアーゼに対する特異性によるものと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現行の、HIVプロテアーゼを阻害する化合物を用いたHIV感染個体の治療により、これらの化合物の阻害作用に耐性なプロテアーゼを有する突然変異ウイルスの発達が起こる。従って、有効であるためには、新規のHIVプロテアーゼ阻害剤は、HIVの野生型の標準株に対して有効であるだけでなく、市販のプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を有する新たに発生した突然変異株に対する有効性も実証しなければならない。従って、HIVの野生型株と突然変異株とのいずれにおいてもHIVプロテアーゼを標的とする新規の阻害剤への必要性があり続けている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態において、(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物が提供される。
【0010】
本発明の一形態において、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物が提供される。
【0011】
本発明の一形態において、N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物が提供される。
【0012】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0013】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0014】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤から選択される。
【0015】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV融合阻害剤から選択される。
【0016】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、免疫調節物質から選択される。
【0017】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、CCR5アンタゴニストから選択される。
【0018】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、抗感染薬から選択される。
【0019】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、カレトラ、エファビレンズ、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、および、テノフォビルから選択される。
【0020】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ネルフィナビルから選択される。
【0021】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、リトナビルから選択される。
【0022】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ロピナビルから選択される。
【0023】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、カレトラから選択される。
【0024】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、エファビレンズから選択される。
【0025】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ネビラピンから選択される。
【0026】
本発明の一形態において、上述のようなものが提供され、ここで、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ラミブジンから選択される。
【0027】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、ジドブジンから選択される。
【0028】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、テノフォビルから選択される。
【0029】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記HIV逆転写酵素阻害剤は、アバカビル、FTC、GS−840、ラミブジン、アデフォビル・ジピボキシル、β−フルオロ−ddA、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、ジドブジン、テノフォビル、アムドキソビル(amdoxovir)、SPD−754、SPD−756、ラシビール、リバーセット(reverset)、MIV−210、β−L−Fd4C、アロブジン、FLT、dOTC、DAPD、エンテカビル、GS−7340、エムトリシタビン、および、アロブジンから選択される。
【0030】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤は、エファビレンズ、HBY−097、ネビラピン、TMC−120(ダピビリン(dapivirine))、TMC−125、エトラビリン(etravirine)、デラビルジン、DPC−083、DPC−961、TMC−120、カプラビリン、GW−678248、GW−695634、および、カラノライドから選択される。
【0031】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記HIVプロテアーゼ阻害剤は、アンプレナビル、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、ロピナビル、カレトラ、TMC−126、アタザナビル、パリナビル(palinavir)、GS−3333、KNI−413、KNI−272、LG−71350、CGP−61755、PD173606、PD177298、PD178390、PD178392、U−140690、ABT−378、DMP−450、AG−1776、MK−944、VX−478、インジナビル、チプラナビル、TMC−114、DPC−681、DPC−684、ホスアンプレナビルカルシウム、R−944、Ro−03−34649、VX−385、GS−224338、OPT−TL3、PL−100、SM−309515、AG−148、DG−35−VIII、DMP−850、GW−5950X、KNI−1039、L−756423、LB−71262、LP−130、RS−344、SE−063、UIC−94−003、Vb−19038、A−77003、BMS−182193、BMS−186318、SM−309515、JE−2147、および、GS−9005から選択される。
【0032】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記HIV融合阻害剤は、エンフビルタイド、T−1249、および、AMD−3100から選択される。
【0033】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記免疫調節物質は、AD−439、AD−519、アルファインターフェロン、AS−101、ブロピリミン、エースマンナン、CL246,738、EL10、FP−21399、ガンマインターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL−2、静脈内の免疫グロブリン、IMREG−1、IMREG−2、イムチオール(imuthiol)ジエチルジチオカルバメート、アルファ−2インターフェロン、メチオニン−エンケファリン、MTP−PE、顆粒球コロニー刺激因子、レミューン(remune)、rCD4、組換え可溶性ヒトCD4、インターフェロンアルファ−2、SK&F106528、可溶性T4サイモペンチン(yhymopentin)、腫瘍壊死因子(TNF)、ツカレソール(tucaresol)、組換えヒトインターフェロンベータ、および、インターフェロンアルファn−3から選択される。
【0034】
本発明の一形態において、上述のような組成物が提供され、ここにおいて、前記CCR5アンタゴニストは、TAK−779、SC−351125、SCH−D、UK−427857、PRO−140、および、GW−873140から選択される。
【0035】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0036】
本発明の一形態において、HIV感染した哺乳動物におけるHIV複製の阻害方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0037】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、逐次的に投与される。
【0038】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、同時投与される。
【0039】
さらなる形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、単一の複合製剤として投与される。
【0040】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0041】
本発明の一形態において、HIV感染した哺乳動物におけるHIV複製の阻害方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0042】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、逐次的に投与される。
【0043】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、同時投与される。
【0044】
本発明のさらなる形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、単一の複合製剤として投与される。
【0045】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量のN−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0046】
本発明の一形態において、HIV感染した哺乳動物におけるHIV複製の阻害方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量のN−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0047】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、逐次的に投与される。
【0048】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、同時投与される。
【0049】
本発明のさらなる形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、および、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、単一の複合製剤として投与される。
【0050】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記哺乳動物への投与は、1日1回なされる。
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記哺乳動物への投与は、1日2回なされる。
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記哺乳動物への投与は、1日3回なされる。
【0051】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2500mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0052】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2250mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0053】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0054】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約200mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0055】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2500mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0056】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2250mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0057】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0058】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約200mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0059】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2500mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0060】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2250mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0061】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約100mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0062】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、1日あたり約200mg〜約2000mgの量で前記哺乳動物に投与される。
【0063】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0064】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0065】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤から選択される。
【0066】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVインテグラーゼ阻害剤から選択される。
【0067】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV融合阻害剤から選択される。
【0068】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、CCR5アンタゴニストから選択される。
【0069】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0070】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0071】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤から選択される。
【0072】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVインテグラーゼ阻害剤から選択される。
【0073】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV融合阻害剤から選択される。
【0074】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、CCR5アンタゴニストから選択される。
【0075】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0076】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤から選択される。
【0077】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤から選択される。
【0078】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIVインテグラーゼ阻害剤から選択される。
【0079】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、HIV融合阻害剤から選択される。
【0080】
本発明の一形態において、上述のような方法が提供され、ここにおいて、前記少なくとも1種の追加の治療剤は、CCR5アンタゴニストから選択される。
【0081】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、カレトラ、エファビレンズ、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、および、テノフォビルから選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0082】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量の4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、カレトラ、エファビレンズ、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、および、テノフォビルから選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0083】
本発明の一形態において、感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法が提供され、ここにおいて、本方法は、治療上有効な量のN−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、カレトラ、エファビレンズ、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、および、テノフォビルから選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0084】
本発明の一形態において、組成物を含む患者パック(patient packs)が提供され、前記組成物は、(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む。
【0085】
本発明の一形態において、組成物を含む患者パックが提供され、前記組成物は、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む。
【0086】
本発明の一形態において、組成物を含む患者パックが提供され、前記組成物は、N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む。
【0087】
本発明のさらにその他の形態において、HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用が提供される。
【0088】
さらにその上、本発明は、HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用を提供する。
【0089】
本発明はまた、HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用も提供する。
【0090】
本明細書で用いられる用語「(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド」は、以下の構造を有する化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物を意味する;
【化1】

【0091】
本明細書で用いられる用語「4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド」は、以下の構造を有する化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物を意味する;
【化2】

【0092】
本明細書で用いられる用語「N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド」は、以下の構造を有する化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物を意味する;
【化3】

【0093】
本明細書で用いられる用語「ネルフィナビル」は、[3S−[2(2S*,3S*),3−アルファ,4aベータ,8aベータ]]−N−(1,1−ジメチルエチル)デカヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−(フェニルチオ)ブチル]−3−イソキノリンカルボキサミドモノ−メタンスルホナートとも称する化合物を意味する。
【0094】
本明細書で用いられる用語「ロピナビル」は、「[1S−[1R*,(R*),3R*,4R*]]−N−[4−[[(2,6−ジメチル−フェノキシ)アセチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−(フェニルメチル)ペンチル]テトラヒドロ−アルファ−(1−メチルエチル)−2−オキソ−1(2H)−ピリミジンアセトアミド」とも称する化合物を意味する。
【0095】
本明細書で用いられる用語「リトナビル」はまた、「10−ヒドロキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−[2−(1−メチルエチル)−4−チアゾリル]−3,6−ジオキソ−8,11−ビス(フェニルメチル)−2,4,7,12−テトラアザトリデカン−13−酸、5−チアゾリルメチルエステル、[5S−(5R*,8R*,10R*,11R*)]」と称する化合物も意味する。
【0096】
本明細書で用いられる用語「カレトラ」は、ロピナビルとリトナビル(それぞれ上記で定義した通り)との組み合わせを意味する。
【0097】
本明細書で用いられる用語「テノフォビル」は、「9−[(R)−2−[[ビス[[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]メトキシ]ホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニンフマレート(1:1)」とも称する化合物を意味する。
【0098】
本明細書で用いられる用語「3TC」は、「ラミブジン」および「(2R,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン」とも称する化合物を意味する。
【0099】
本明細書で用いられる用語「AZT」は、「ジドブジン」および「3’−アジド−3’−デオキシチミジン」と称する化合物も意味する。
【0100】
本明細書で用いられる用語「ネビラピン」は、「11−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ−4−メチル−6H−ジピリド[3,2−b:2’,3’−e][1,4]ジアゼピン−6−オン」とも称する化合物を意味する。
【0101】
本明細書で用いられる用語「エファビレンズ」は、「(S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−1,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オン」とも称する化合物を意味する。
【0102】
本明細書で用いられる用語「PI」は、HIVプロテアーゼ阻害剤として当業者既知の化合物種を意味する。
【0103】
本明細書で用いられる用語「nnRTI」および「NNRTI」は、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤として当業者既知の化合物種を意味する。
【0104】
本明細書で用いられる用語「nRTI」および「NRTI」は、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤として当業者既知の化合物種を意味する。
【0105】
本明細書で用いられる用語「〜を阻害すること」または「阻害」は、インビトロでまたは哺乳動物(例えばヒト)へ投与した後にインビボで、チトクロームP450酵素の活性を減少させることができる物質を用いて、この活性を減少させることを意味する。このような阻害は、チトクロームP450酵素に上記化合物が直接的に結合することによって起こる可能性がある。加えて、このような化合物の存在下で、上記チトクロームP450酵素の活性は、上記酵素と化合物との直接的な結合が起こらない場合に減少する可能性がある。その上、このような阻害は、T.F.Woolf,Handbook of Drug Metabolism,マルセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.),ニューヨーク,1999年で説明されているように、競合的、非競合的、または、不競合的のいずれかである可能性がある。このような阻害は、インビトロもしくはインビボ系、または、その両方の組み合わせを用いて、当業者既知の方法を用いて測定してもよい。
【0106】
本明細書で用いられる用語「生物学的利用率」は、哺乳動物に投与された所定量の化学物質の全身の利用率を意味する。生物学的利用率は、哺乳動物へ化合物を投与した後の、不変の形態の化合物の濃度曲線下面積(AUC)、または、最大血清濃度または血漿濃度(Cmax)を測定することによって評価することができる。AUCは、縦座標(Y軸)に化合物の血清または血漿濃度、それに対して横座標(X軸)に時間をプロットすることによって、濃度曲線下面積を決定する。一般的に、特定の化合物に関するAUCは、当業者既知の方法を用いて、さらに、G.S.Banker,Modern Pharmaceutics,Drugs and the Pharmaceutical Sciences,V.72,マルセル・デッカー・ニューヨーク社(Marcel Dekker,New York,Inc.),1996年で説明されているようにして計算することができる。Cmax値は、上記化合物を哺乳動物に投与した後に哺乳動物の血清または血漿中で達成される化合物の最大濃度と定義される。特定の化合物のCmax値は、当業者既知の方法を用いて測定することができる。本明細書で用いられる成句「高い生物学的利用率」は、哺乳動物において第一の化合物の全身の利用率(AUCまたはCmaxとして測定される)が、本発明の化合物と共投与される場合、このような共投与がなされない場合より大きいことを意味する。
【0107】
本明細書で用いられる用語「投与」、「〜を投与すること」、「用量」および「投薬」は、化合物またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、または、化合物またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物を含む医薬組成物を、上記化合物が哺乳動物の血清または血漿に吸収されるように哺乳動物に運搬すること、を意味する。
【0108】
本明細書で用いられる用語「共投与」または「〜を共投与すること」は、第一の化合物と、本発明の化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物との組み合わせを投与することを意味する。このような共投与は、第一の化合物と本発明の化合物とが同じ組成物の一部または同じ一体化された投薬形態の一部になるようにして行うことができる。また、共投与は、第一の化合物と本発明の化合物とを同じ治療計画の一環として別々に投与することも含む。これら2種の成分が別々に投与された場合、それらを必ずしも実質的に同じ時間に投与する必要はないが、そうすることが望ましい場合は実質的に同じ時間に投与してもよい。従って、共投与には、例えば、第一の化合物と本発明の化合物とを、別々の投与量または投薬形態で、ただし同じ時間に投与することが含まれる。また、共投与は、異なる時間、あらゆる順番での別々の投与も含まれる。
【0109】
本明細書で用いられる成句「製薬上許容できる塩」には、特に他の指定がない限り、本発明の化合物中に存在する可能性のある酸性または塩基性の基の塩が含まれる。
【0110】
本明細書で用いられる用語「溶媒化合物」は、溶媒の分子が本発明の分子と結合するような形態の本発明の化合物を意味することとする。本発明においては、1個の溶媒分子が、1個の本発明の分子に結合することができる(例えば水和物)と具体的に考察される。その上、本発明において、1個より多くの溶媒分子が、1個の本発明の分子と結合することもある(例えば二水和物)と具体的に考察される。加えて、本発明において、1個より少ない溶媒分子が、1個の本発明の分子に結合する可能性もある(例えば半水化物)と具体的に考察される。その上、本発明の溶媒化合物は、化合物の非水和型の生物学的効果を保持する、本発明の化合物の溶媒化合物と考察される。
【0111】
詳細な説明
「溶媒化合物」は、このような化合物の生物学的効果を保持している、特定の化合物の製薬上許容できる溶媒化合物の形態を意味することとする。溶媒化合物の例としては、これらに限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、または、それらの混合物と組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。
【0112】
「製薬上許容できる塩」は、薬理学的に許容できるアニオンを含む特定の誘導体の遊離酸および塩基の生物学的効果を保持しており、さらに、生物学的に、またはそれ以外の観点で有害ではない塩を意味することとする。製薬上許容できる塩の例としては、これらに限定されないが、酢酸塩、アクリル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(例えばクロロベンゾアート、メチルベンゾアート、ジニトロベンゾアート、ヒドロキシベンゾアート、および、メトキシベンゾアート)、炭酸水素塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、ブチン−1,4−ジオアート、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、デカン酸塩、二塩化水素化物、リン酸二水素塩、エデト酸塩、エシジル酸塩(edislyate)、エストラート、エシラート、エチルコハク酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプタート、グルコナート、グルタメート、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオアート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、(−ヒドロキシブチラート、ヨウ化物、イソ酪酸塩、イソチオナート、乳酸塩、ラクトビオナート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロネート、マンデル酸塩、メシレート、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、一水素リン酸、ムケート(mucate)、ナプシラート(napsylate)、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、フェニルアセタート、フェニルブチレート、フェニルプロピオナート、フタル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロパンスルホナート、プロピオネート、プロピオラート、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、スべリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラート、トシル酸塩、トリエチオダイド(triethiodode)、および、吉草酸塩が挙げられる。
【0113】
当業者には当然であるが、本発明の化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、様々な多形または結晶形で存在する可能性があり、これら全ては、本発明の範囲と規定された製剤の範囲に含まれることとする。加えて、本発明の化合物、および、それらの製薬上許容できる塩および溶媒化合物は、互変異性体として存在する可能性があり、これら全ては、広範な本発明の範囲に含まれるものとする。
【0114】
本化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物の投与は、当業者にとって利用可能なあらゆる適切な投与様式に従って行ってもよい。このような適切な投与様式の例としては、経口、鼻、非経口、局所的、経皮、直腸、または、吸入法または噴霧によるものが挙げられる。
【0115】
例えば、このような運搬は、第一の化合物またはそれらの製薬上許容できる塩、および、本発明の化合物またはそれらの製薬上許容できる塩を哺乳動物(例えばヒト)に経口投与することによって行ってもよい。その上、第一の化合物および本発明の化合物、ならびに、あらゆる追加の化合物は、非毒性の製薬上許容できるキャリアー、アジュバントおよびビヒクルを含む製薬上許容できる製剤の形態で投与してもよい。あるいは、第一の化合物、および、式(I)で示される化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物は、その他の投与経路(例えば、これらに限定されないが、静脈内、局所的、舌下、非経口、直腸、または、吸入法または噴霧によるもの)で哺乳動物に投与してもよい。このような代替投与は、第一の化合物、および、本発明の化合物を、単独で、または、非毒性の製薬上許容できるキャリアー、アジュバントおよびビヒクルを含む投与単位の製剤で用いて行ってもよい。加えて、本発明は、具体的には、第一の化合物、および、本発明の化合物が、それぞれに応じて異なる投与形態を用いて、共投与される得ることを考慮している。例えば、第一の化合物を局所投与して、一方で、式(I)で示される化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物を経口投与してもよい。第一の化合物、および、本発明の化合物の好ましい製剤および哺乳動物への投与経路は、上記哺乳動物の年齢および状態、治療される状態、第一の化合物の性質、本発明の化合物の性質、および、当業者既知のその他の因子に依存すると予想される。上記製剤および投与経路は、過剰な実験を行うことなく、当業者によって決定することができる。
【0116】
本医薬組成物に適切な製剤の形態を製造する許容されている方法は、既知のものでもよいし、または、当業者によって規定どおりに決定してもよい。例えば、医薬製剤は、薬剤師の従来の技術に従って製造してもよく、これは、例えば、経口、非経口、局所的、膣内、鼻腔内、気管支内、眼球内、耳内および/または直腸内投与に望ましい生成物を得るために、混合する工程、顆粒化する工程、および、圧縮する工程(錠剤の形態に必要である場合)、または、混合する工程、充填する工程、および、必要に応じて成分を溶解させる工程を含む。
【0117】
本発明の医薬組成物はまた、適切な賦形剤、希釈剤、ビヒクル、および、キャリアーを含んでいてもよく、同様に、目的とする使用に応じてその他の医薬活性物質を含んでいてもよい。本医薬組成物に、固体または液体の製薬上許容できるキャリアー、希釈剤、ビヒクル、または、賦形剤を用いてもよい。例示となる固体キャリアーとしては、スターチ、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、および、ステアリン酸が挙げられる。例示となる液体キャリアーとしては、シロップ、落花生油、オリーブ油、食塩水、および、水が挙げられる。キャリアーまたは希釈剤は、適切な持続放出性材料、例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンを、単独で、または、ワックスと共に含んでいてもよい。液体キャリアーが用いられる場合、その製剤は、シロップ、エリキシル、乳濁液、ソフトゼラチンカプセル、滅菌注射液(例えば溶液)、または、非水性または水性の液状懸濁液の形態であり得る。
【0118】
特定の量の活性化合物を用いて様々な医薬組成物を製造する方法は、既知であるか、または、当業者には明白と予想される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,マック・パブリッシング社(Mack Publishing Company),イースター,Pa.,第15版(1975年)を参照。
【0119】
当然のことながら、本発明の医薬組成物で用いられる本発明の化合物、またはそれらの製薬上許容できる塩の実際の投与量は、用いられる特定の物質の特性、製剤化された特定の組成物、投与様式、特定の部位、ホスト、および、治療される状態に応じて選択される。所定の状態に最適な投与量は、従来の用量決定試験を用いて当業者によって確認することができる。経口投与については、例えば、使用可能な用量は、適切なインターバルで繰り返される治療の経過に従って、約0.001〜約1000mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約100mg/kg体重、さらにより好ましくは約1〜約50mg/kg体重である。
【0120】
投与される化合物の量とタイミングは、当然ながら、処方する医師の判断に基づく。従って、被検体ごとのばらつきのために、提供される投与量は指針であって、当業者であれば、個々の被検体に適すると思われる活性を達成することができる物質の用量を判定することもできる。望ましい活性の程度を考察する際に、当業者は、認知機能、患者の年齢、前から存在する病気の有無、同様に、その他の病気(例えば心臓血管疾患)の有無のような多種多様な因子のバランスをとらなければならない。
【0121】
本発明の組成物は、一般的に、少なくとも1種の本発明の化合物を製薬上許容できるビヒクルまたは希釈剤と共に含む医薬組成物の形態で投与される。従って、本発明の化合物を、個々に、または、第一の化合物と共に、あらゆる従来の投薬形態で投与することができる。
【0122】
経口投与については、医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末などの形態をとることができる。様々な賦形剤(例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウム)を含む錠剤は、様々な崩壊剤、例えば、スターチ、好ましくはジャガイモまたはタピオカスターチ、および、ある種の複合シリケートと共に、例えば、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアガムのような結合剤と共に用いられる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような滑沢剤も、錠剤化する目的に極めて有用であることが多い。ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルでは、充填剤として、類似のタイプの固形組成物も用いられる;この場合において好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖、同様に、高分子量ポリエチレングリコールも挙げられる。経口投与に水性懸濁液および/またはエリキシルが望ましい場合、本発明の化合物は、様々な甘味剤、矯味矯臭薬剤、着色剤、乳化剤および/または懸濁化剤、同様に、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンのような希釈剤、ならびに、それらの様々な類似の組み合わせと混合することもできる。
【0123】
非経口投与の目的では、ゴマ油もしくは落花生油、または、水性プロピレングリコールの溶液を用いることができ、同様に、対応する水溶性塩の滅菌水溶液を用いることもできる。このような水溶液は、適切に緩衝化されていてもよく、必要に応じて、まず液状希釈剤を十分量の食塩水またはグルコースで等張にしてもよい。これらの水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹膜内注射の目的に特に適している。この点について、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者既知の標準的な技術によって容易に得られる。
【0124】
経皮(例えば局所的)投与のためには、希釈された水性の無菌溶液または一部水性の無菌溶液(通常、約0.1%〜5%の濃度範囲)であって、その他の点では上記の非経口用の溶液と類似したものが製造される。
【0125】
所定の量の活性成分を含む様々な医薬組成物の製造方法は、既知であるか、または、この開示の観点から当業者にとって明白と予想される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(マック・パブリッシング社,イースター,Pa.,第15版(1975年))を参照。
【0126】
本発明の化合物は、HIVウイルス感染、AIDS、エイズ関連症候群(ARC)、または、HIVウイルス感染に関連するその他のあらゆる病気または状態に罹った哺乳動物(例えばヒト)を治療するための追加の物質と組み合わせて投与してもよい。本発明の化合物と併用することが可能な上記物質としては、これらに限定されないが、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼの阻害剤、CCR5阻害剤、HIV融合阻害剤として有用なもの、免疫調節薬として有用な化合物、未知のメカニズムによってHIVウイルスを阻害する化合物、ヘルペスウイルスを治療するのに有用な化合物、抗感染薬として有用な化合物、および、以下で説明されているようなその他のものが挙げられる。
【0127】
本発明の化合物と併用することが可能なHIVプロテアーゼ阻害剤として有用な化合物としては、これらに限定されないが、141W94(アンプレナビル)、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル(インビラーゼ)、ロピナビル、TMC−126、アタザナビル、パリナビル(palinavir)、GS−3333、KNI−413、KNI−272、LG−71350、CGP−61755、PD173606、PD177298、PD178390、PD178392、U−140690、ABT−378、DMP−450、AG−1776、MK−944、VX−478、インジナビル、チプラナビル、TMC−114、DPC−681、DPC−684、ホスアンプレナビルカルシウム(レクシヴァ)、WO03053435で開示されたベンゼンスルホンアミド誘導体、R−944、Ro−03−34649、VX−385、GS−224338、OPT−TL3、PL−100、SM−309515、AG−148、DG−35−VIII、DMP−850、GW−5950X、KNI−1039、L−756423、LB−71262、LP−130、RS−344、SE−063、UIC−94−003、Vb−19038、A−77003、BMS−182193、BMS−186318、SM−309515、JE−2147、GS−9005が挙げられる。
【0128】
本発明の化合物と併用することが可能なHIV逆転写酵素の阻害剤として有用な化合物としては、これらに限定されないが、アバカビル、FTC、GS−840、ラミブジン、アデフォビル・ジピボキシル、β−フルオロ−ddA、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、ジドブジン、テノフォビル、アムドキソビル(amdoxovir)、SPD−754、SPD−756、ラシビール、リバーセット(reverset)(DPC−817)、MIV−210(FLG)、β−L−Fd4C(ACH−126443)、MIV−310(アロブジン、FLT)、dOTC、DAPD、エンテカビル、GS−7340、エムトリシタビン、アロブジンが挙げられる。
【0129】
HIV逆転写酵素の非ヌクレオシド系阻害剤として有用な化合物は、これらに限定されないが、エファビレンズ、HBY−097、ネビラピン、TMC−120(ダピビリン)、TMC−125、エトラビリン(etravirine)、デラビルジン、DPC−083、DPC−961、TMC−120、カプラビリン、GW−678248、GW−695634、カラノライド、および、WO03062238で開示されたような三環式ピリミジノン誘導体が挙げられる。
【0130】
本発明の化合物と併用することが可能なCCR5阻害剤として有用な化合物としては、これらに限定されないが、TAK−779、SC−351125、SCH−D、UK−427857、PRO−140、および、GW−873140(Ono−4128、AK−602)が挙げられる。
【0131】
本発明の化合物と併用することが可能な、HIVインテグラーゼ酵素の阻害剤として有用な化合物としては、これらに限定されないが、GW−810781、WO03062204で開示された1,5−ナフチリジン−3−カルボキサミド誘導体、WO03047564で開示された化合物、WO03049690で開示された化合物、および、WO03035076で開示された5−ヒドロキシピリミジン−4−カルボキサミド誘導体が挙げられる。
【0132】
本発明の化合物と併用することが可能なHIVを治療するための融合阻害剤としては、これらに限定されないが、エンフビルタイド(T−20)、T−1249、AMD−3100、および、JP2003171381で開示された融合三環式化合物が挙げられる。
【0133】
本発明の化合物と併用することが可能なHIV阻害剤として有用なその他の化合物としては、これらに限定されないが、溶解性CD4、TNX−355、PRO−542、BMS−806、フマル酸テノホビルジソプロキシル、および、JP2003119137で開示された化合物が挙げられる。
【0134】
本発明の化合物と併用することが可能なHIV以外のウイルス感染の治療または制御において有用な化合物としては、これらに限定されないが、アシクロビル、ホミビルセン、ペンシクロビル、HPMPC、オキセタノシンG、AL−721、シドフォビル、サイトメガロウイルス免疫グロビン、サイトベン、フォミブガンシクロビル(fomivganciclovir)、ファミシクロビル、フォスカーネットナトリウム、アイシス2922、KNI−272、バラシクロビル、ビラゾールリバビリン、バルガンシクロビル、ME−609、PCL−016が挙げられる。
【0135】
免疫調節薬として作用し、本発明の化合物と併用することが可能な化合物としては、これらに限定されないが、AD−439、AD−519、アルファインターフェロン、AS−101、ブロピリミン、エースマンナン、CL246,738、EL10、FP−21399、ガンマインターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL−2、静脈内の免疫グロブリン、IMREG−1、IMREG−2、イムチオール(imuthiol)ジエチルジチオカルバメート、アルファ−2インターフェロン、メチオニン−エンケファリン、MTP−PE、顆粒球コロニー刺激因子、レミューン(remune)、rCD4、組換え可溶性ヒトCD4、インターフェロンアルファ−2、SK&F106528、可溶性T4サイモペンチン(yhymopentin)、腫瘍壊死因子(TNF)、ツカレソール(tucaresol)、組換えヒトインターフェロンベータ、および、インターフェロンアルファn−3が挙げられる。
【0136】
本発明の化合物と併用することが可能な抗感染薬としては、これらに限定されないが、アトバコン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、ピリメタミン、ダウノルビシン、クリンダマイシン(プリマキン併用)、フルコナゾール、パスチル(pastill)、オルニジル(ornidyl)、エフロールニチンペンタミジン、リファブチン、スピラマイシン、イトラコナゾール(intraconazole)−R51211、トリメトレキセート、ダウノルビシン、組換えヒトエリスロポイエチン、組換えヒト成長ホルモン、酢酸メゲストロール、テステロン(testerone)、および、総合的な経腸栄養が挙げられる。
【0137】
本発明の化合物と併用することが可能な抗真菌剤としては、これらに限定されないが、アニデュラファンギン、C31G、カスポファンギン、DB−289、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン、ポサコナゾール、および、ボリコナゾールが挙げられる。
【0138】
本発明の化合物と併用することが可能なその他の化合物としては、これらに限定されないが、アクマナン(acmannan)、アンサマイシン、LM427、AR177、BMS−232623、BMS−234475、CI−1012、カードラン硫酸塩、硫酸デキストラン、ストクリンEL10(STOCRINE EL10)、ヒペリシン、ロブカビル、ノバプレン(novapren)、ペプチドTのオクタペプチド(octabpeptide)配列、ホスホノギ酸三ナトリウム、プロブコール、および、RBC−CD4が挙げられる。
【0139】
加えて、本発明の化合物は、カポジ肉腫のような状態を治療するための増殖抑制剤と併用することが可能である。このような物質としては、これらに限定されないが、メタロマトリックスプロテアーゼの阻害剤、A−007、ベバシズマブ、BMS−275291、ハロフジノン、インターロイキン−12、リツキシマブ、パクリタキセル、ポルフィマーナトリウム、レビマスタット(rebimastat)、COL−3が挙げられる。
【0140】
追加の物質の具体的な選択は多数の因子に依存すると予想され、このような因子としては、これらに限定されないが、治療される哺乳動物の状態、治療される特定の状態、本発明の化合物および追加の物質の性質、および、哺乳動物の治療に用いられるあらゆる追加の化合物の性質が挙げられる。本発明の化合物および追加の物質の具体的な選択は、当業者の知見の範囲内である。
【0141】
本発明の化合物は、HIVウイルス感染、AIDS、エイズ関連症候群(ARC)、または、HIVウイルス感染に関連するその他のあらゆる病気または状態に罹った哺乳動物(例えばヒト)を治療するための上記の追加の物質のいずれかと組み合わせて投与してもよい。このような組み合わせは、本発明の化合物が上述の追加の物質と同じ製剤中に存在するように、哺乳動物に投与してもよい。あるいは、このような組み合わせは、HIVウイルス感染に罹った哺乳動物に、本発明の化合物が、追加の物質が存在する製剤とは別の製剤中に存在するように投与してもよい。本発明の化合物が追加の物質とは別々に投与される場合、このような投与は、同時に、またはその間に適切な期間を設けて、逐次的になされてもよい。本発明の化合物を追加の物質と同じ製剤中に含めるかどうかの選択は、当業者の知見の範囲内である。
【0142】
加えて、本発明の化合物は、哺乳動物(例えばヒト)に、哺乳動物の本発明の化合物への暴露を高める作用を有する追加の物質と組み合わせて投与してもよい。本明細書で用いられる用語「暴露」は、所定期間にわたり測定された本発明の化合物の哺乳動物における血漿濃度を意味する。哺乳動物の特定の化合物への暴露は、本発明の化合物を適切な形態で哺乳動物に投与すること、予め決められた時間に血漿サンプルを採取すること、および、液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィー/マススペクトロスコピーのような適切な分析技術を用いて、本発明の化合物の血漿中の量を測定することによって測定することができる。所定時間で血漿中に存在する本発明の化合物の量を測定し、全てのサンプルからの濃度と時間のデータをプロットすることによって、曲線が示される。この曲線の下の面積を計算し、哺乳動物の上記化合物への暴露が示される。用語「暴露」、「曲線下面積」、および、「濃度/時間曲線の下の面積」は、同じ意味を有することとし、さらに、全体にわたり同じ意味で用いることができる。
【0143】
哺乳動物の本発明の化合物への暴露を増加させるのに使用可能な物質のなかでも、チトクロームP450(CYP450)酵素の少なくとも1つのアイソフォームの阻害剤が挙げられる。有利に阻害される可能性のあるCYP450のアイソフォームとしては、これらに限定されないが、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19、および、CYP3A4が挙げられる。CYP3A4を阻害するのに使用可能な適切な物質としては、これらに限定されないが、リトナビルが挙げられる。
【0144】
このような組み合わせは、本発明の化合物が上述の追加の物質と同じ製剤中に存在するように哺乳動物に投与してもよい。あるいは、このような組み合わせは、本発明の化合物が、追加の物質が存在する製剤とは別の製剤中に存在するように投与してもよい。本発明の化合物が追加の物質とは別々に投与される場合、このような投与は、同時に、またはその間に適切な期間を設けて逐次的または連続的になされてもよい。本発明の化合物を追加の物質と同じ製剤中に含めるかどうかの選択は、当業者の知見の範囲内である。
【0145】
〔実施例〕
本発明の化合物は、当業者既知の手法や、同時係属中の米国特許出願第10/166957号(2002年6月11日付で出願された)、10/166979(2002年6月11日付で出願された)、10/729645(2003年12月4日付で出願された)、10/728602(2003年12月4日付で出願された)、60/504018(2003年9月17日付で出願された)60/527470(2003年12月4日付で出願された)、60/591354(2004年7月26日付で出願された)、および、60/527477(2003年12月4日付で出願された)で説明されている手法によって製造することができ、これらはいずれも、この目的に関して、参照により本発明に加入させる。リトナビル、および、デラビルジンは市販のものでもよいし、または、当業者が当業界既知の方法を用いて製造することができる。
【0146】
CEM−SS細胞、および、HIV−1RFを、国立健康研究所(National Institutes of Health)のAIDSリサーチ・アンド・リファレンス・リージェント・プログラム(AIDS Research and Reference Reagent Program)(ベセスダ,メリーランド州)から得た。
【0147】
化合物の組み合わせの、HIV−1感染に対して細胞を保護する能力を、XTT色素還元法によって、実質的に、Pauwels,R.,Balzarini,J.,Baba,M.,Snoeck,R.,Schols,D.,Herdewijn,P.,Desmyter J.およびDe Clercq,E.,1988年,“Rapid and automated tetrazolium−based colorimetric assay for the detection of anti−HIV compounds,”J Virol Methods.20(4):309〜21;および、Weislow,O.S.Kiser,R.Fine,D.L.Bader,J.Shoemaker,R.H.およびBoyd,M.R.1989年,“New soluble−formazan assay for HIV−1 cytopathic effects:application to high−flux screening of synthetic and natural products for AIDS−antiviral activity,”J.Natl.Cancer Inst.81:577〜586で説明されているようにして測定した。試験化合物の1.5倍または2.0倍希釈物を含む96−ウェルプレートに、CEM−SS細胞を2×104細胞/ウェルで添加し、その後、それらをHIV−1RFで感染の多重度0.470で感染させるか、または、培地のみで偽感染させた。感染の6日後に、ウェルにXTT(1mg/mlのXTTテトラゾリウム,0.02nMフェナジンメトサルフェート)50μlを添加し、プレートを4時間再インキュベートした。生産されたXTTホルマザンの量によって決定された生存率を、分光光度法により吸光度450nmで定量した。光学密度値を、それに続く解析のために、マックシナジーTM(MacSynergyTM)II(3,ミシガン大学(University of Michigan),アナーバー,ミシガン州)のスプレッドシートにエクスポートした。
【0148】
組み合わせ実験からのデータを、マックシナジーTMIIソフトウェア(Pritchard,M.,N.,Aseltine,K.R.およびShipman,C.1992年.MacSynergyTMII(version 1.0)User’s Manual.ミシガン大学,アナーバー)を用いたPrichardとShipmanの技術によって解析した。観察された組み合わせの効果と、相互作用が独立して生じる場合に予想される効果との差は、相互作用の効果を示さない面;すなわち加算性の面より上または下の体積として示される(マイクロモル×マイクロモル×パーセント(μM2%))。95%の信頼区間における相加効果より上の正の値は、相乗効果の指標であり、その一方で、相加効果より下の負の値は、拮抗作用の指標である。
【0149】
実施例1:(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミドとの組み合わせ
【表1】

【0150】
実施例2:4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミドとの組み合わせ
【表2】

【0151】
実施例3:N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミドとの組み合わせ
【表3】

【0152】
以下で説明される実施例において、特に他の指定がない限り、以下の説明における全ての温度は、セルシウス度(℃)であり、全ての割合およびパーセンテージは、特に他の指定がない限り、重量に基づく。
【0153】
様々な出発原料およびその他の試薬は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)、または、ランカスター・シンセシス社(Lancaster Synthesis Ltd.)のような商業的な供給元から購入し、特に他の指定がない限りそれ以上精製しないで用いた。
【0154】
以下に記載の反応は、窒素、アルゴンの正圧下で、または、乾燥用試験管を用いて、周囲温度で(特に他の指定がない限り)、無水溶媒中で行われた。分析用薄層クロマトグラフィーを、ガラスで支持されたシリカゲルの60°F254プレート(アナルテック(Analtech)(0.25mm))で行い、適切な溶媒比率(v/v)で溶出させた。この反応を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、または、薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析し、出発原料の消費で判断して終了させた。TLCプレートを、UV、リンモリブデン酸染色またはヨウ素染色で可視化した。1H−NMRスペクトルは、ブルカー(Bruker)装置を300MHzで運転して記録し、13C−NMRスペクトルは、75MHzで記録した。NMRスペクトルは、参照標準としてクロロホルム(7.25ppm、および、77.00ppm)、または、DMSO−d6((2.50ppm、および、39.52ppm))を用いて、DMSO−d6またはCDCl3溶液(ppmで報告される)として得られる。その他のNMR溶媒は必要に応じて用いた。ピークの多重度が報告された場合、以下の略語が用いられる:s=一重項、d=二重項、t=三重項、m=多重項、br=幅広、dd=二重の二重項、dt=三重の二重項。結合定数が示される場合、それらはヘルツで報告される。パーキン・エルマー(Perkin−Elmer)のFT−IRスペクトロメーターで、赤外線スペクトルを、純粋な油、KBrペレットまたはCDCl3溶液として記録し、報告される場合、波数(cm-1)で示される。LC/MSまたはAPCIを用いて、マススペクトルを得た。融点はいずれも、未修正である。最終産物はいずれも、95%より大きい純度を有する(220nmおよび254nm波長でのHPLCにより)。
【0155】
以下の実施例および製造例において、「Et」は、エチルを意味し、「Ac」は、アセチルを意味し、「Me」は、メチルを意味し、「Ph」は、フェニルを意味し、(PhO)2POClは、クロロジフェニルホスフェートを意味し、「HCl」は、塩酸を意味し、「EtOAc」は、酢酸エチルを意味し、「Na2CO3」は、炭酸ナトリウムを意味し、「NaOH」は、水酸化ナトリウムを意味し、「NaCl」は、塩化ナトリウムを意味し、「NEt3」は、トリエチルアミンを意味し、「THF」は、テトラヒドロフランを意味し、「DIC」は、ジイソプロピルカルボジイミドを意味し、「HOBt」は、ヒドロキシベンゾトリアゾールを意味し、「H2O」は、水を意味し、「NaHCO3」は、炭酸水素ナトリウムを意味し、「K2CO3」は、炭酸カリウムを意味し、「MeOH」は、メタノールを意味し、「i−PrOAc」は、酢酸イソプロピルを意味し、「MgSO4」は、硫酸マグネシウムを意味し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを意味し、「AcCl」は、塩化アセチルを意味し、「CH2Cl2」は、塩化メチレンを意味し、「MTBE」は、メチルt−ブチルエーテルを意味し、「DMF」は、ジメチルホルムアミドを意味し、「SOCl2」は、塩化チオニルを意味し、「H3PO4」は、リン酸を意味し、「CH3SO3H」は、メタンスルホン酸を意味し、「Ac2O」は、無水酢酸を意味し、「CH3CN」は、アセトニトリルを意味し、「KOH」は、水酸化カリウムを意味する。
【0156】
実施例4:(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化4】

(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3,4−ジカルボン酸3−tert−ブチルエステル(これは、Ikunaka,M.等,Tetrahedron Asymm.2002年,13,1201;Mimoto,T.等,J.Med.Chem.1999年,42,1789;および、Mimoto,T.等,欧州特許出願0574135A1(1993年)の方法に従って製造することができる;250g;0.957mol)を、アルゴンでパージした5Lフラスコに入れ、EtOAc(1.25L)に溶解させた。この溶液を2℃に冷却し、次に、(PhO)2POCl(208mL;1.00mol)を一回で添加した。NEt3(280mL;2.01mol)を別の漏斗を介して滴下して添加し、次に、得られた懸濁液を0℃で撹拌した。7分後、アリルアミン(75.4mL;1.00mol)を滴下して添加した。氷槽を取り除き、この懸濁液を室温に温まるにまかせた。30分後、1NのHCl(750mL;0.750mol)を添加した。この混合物を、リンスするためのEtOAc(50mL)を用いて4L分液漏斗に移した。層を分離した。有機分画を、7.2%Na2CO3水溶液(2×1.25L)で洗浄し、次に、3L蒸留フラスコに移し、EtOAc(400mL)で希釈した。この溶液を共沸によって乾燥させ、1気圧でのEtOAcの蒸留によって800mLの体積に濃縮した。25℃に冷却した後、得られた透明の黄色がかった(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルのEtOAc溶液を直接次の工程に移行させた。アリコートをとり、濃縮し、(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色の結晶質固体として得た:融点=94〜98℃,1H NMR(300MHz, CDCl3) δ6.12(br s, 1H), 5.88(app ddt, J=10.2, 17.1, 5.6 Hz, 1H), 5.28(app dq, J=17.1, 1.5 Hz, 1H), 5.18(app dd, J=1.2, 10.2 Hz, 1H), 4.68(s, 2H), 4.14(br s, 1H), 3.95(br t, J=5.4 Hz, 2H), 1.62(s, 3H), 1.49(s, 9H), 1.46(s, 3H); 13C NMR(75MHz, CDCl3) δ170.0, 154.0, 134.4, 116.9, 82.0, 73.3, 54.0, 48.7, 42.0, 30.6, 28.6, 24.6; MS(CI) m/z 301.1599(301.1586, C14H25N2O3Sの計算値, M+H+);元素分析, C14H24N2O3Sの計算値: C, 55.97; H, 8.05; N, 9.32;実測値: C, 56.11; H, 8.01; N, 9.11。
【0157】
実施例5:(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドの製造
【化5】

3Lフラスコ中で、メタンスルホン酸(155mL;2.39mol)を、(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルのEtOAc溶液に滴下して添加した。室温で一晩撹拌した後に、この溶液を7℃に冷却し、H2O(400mL)を注入した。この混合物を4L分液漏斗に移し[リンスするためのH2O(30mL)を用いて]、層を分離した。有機分画をH2O(190mL)で抽出した。合わせたH2O抽出物を5Lフラスコに移し、8℃に冷却した。pHを、3NのNaOH(〜1.05L)を用いて0.4〜9.3に調節した。2−メチルテトラヒドロフラン(1.55L)を注入し、続いてNaCl(150g)を添加した。氷槽を取り除き、この混合物を室温に温まるにまかせた。pHを、3NのNaOH(〜1mL)を用いて9.0に再調節した。この混合物を、リンスするための2−メチルテトラヒドロフラン(50mL)を用いて4L分液漏斗に移し、層を分離した。水相を、2−メチルテトラヒドロフラン(950mL)で抽出した。有機抽出物を、リンスするための2−メチルテトラヒドロフラン(200mL)を用いて、セライトを通過させて5L蒸留フラスコに直接真空ろ過した。この溶液を共沸乾燥させ、1気圧での2−メチルテトラヒドロフランの蒸留によって、1.2Lの体積に濃縮した。測定されたアリコートを濃縮し、計量したところ、溶液中に、(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド161g[(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3,4−ジカルボン酸3−tert−ブチルエステルの84%]が存在することが示された。次に、この溶液を直接次の工程に移行させた。上記からの濃縮されたアリコートより、(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドが結晶質固体として得られた:融点=45〜47℃, 1H NMR(300MHz, CDCl3) δ6.73(br s, 1H), 5.87(app ddt, J=10.2, 17.1, 5.7 Hz, 1H), 5.17〜5.27(m, 2H), 4.27(AB q, JAB=9.7 Hz, Δν=22.5 Hz, 2H), 2.94(app tt, J=1.5, 5.8 Hz, 2H), 3.51(s, 1H), 1.74(s, 3H), 1.38(s, 3H); 13C NMR(75MHz, CDCl3) δ169.7, 134.4, 116.9, 74.8, 57.2, 51.6, 41.9, 29.1, 27.3; MS(CI) m/z 201.1063(201.1062, C9H17N2OSの計算値, M+H+);元素分析, C9H16N2OSの計算値: C, 53.97; H, 8.05; N, 13.99;実測値: C, 53.93; H, 8.09; N, 14.07。
【0158】
実施例6:(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸の製造
【化6】

(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(これは、Pedrosa等,Tetrahedron Asymm.2001年,12,347;M.Shibasaki等,Tetrahedron Lett.1994年,35,6123;および、Ikunaka,M.等.Tetrahedron Asymm.2002年,13,1201に記載の方法に従って製造することができる;185g;948mmol)を、5Lフラスコに添加し、THF(695mL)に懸濁した。H2O(695mL)、続いてNEt3(277mL;1990mmol)を注入した。45分間撹拌した後に、この溶液を6℃に冷却した。次に、酢酸3−クロロカルボニル−2−メチル−フェニルエステル(201g;948mmol)のTHF(350mL)溶液を滴下して添加した。30分後、pHを、6NのHCl(〜170mL)で8.7〜2.5に調節した。固体のNaCl(46g)を添加し、次に、氷槽を取り除き、この混合物を室温に温めながら激しく撹拌した。この混合物を、移動のための1:1のTHF/H2O(50mL)を用いて4L分液漏斗に移し、次に、下部の水相を除去した。有機分画を5L蒸留フラスコに移し、次に、新しいTHF(2.5L)で希釈した。この溶液を共沸によって乾燥させ、1気圧でのTHFの蒸留によって体積1.3Lに濃縮した。共沸による乾燥を完了させるために、新しいTHF(2.0L)を添加し、この溶液を、1気圧での蒸留によって1.85Lに濃縮し、次に、55℃で保持した。n−ヘプタン(230mL)を別の漏斗を介して滴下して添加し、次に、この溶液を、即座にシードした。結晶化が開始した後、追加のn−ヘプタン(95mL)を滴下して添加した。得られた結晶のスラリーを7分間激しく撹拌した。次に、追加のn−ヘプタン(1.52L)をゆっくり流し加えた。次に、この結晶のスラリーを室温にゆっくり冷却させ、一晩撹拌した。この懸濁液を真空ろ過し、次に、ろ過ケークを1:1のTHF/n−ヘプタン(700mL)で洗浄した。真空オーブン中で45〜50℃で乾燥させた後、324g(92%)の(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸を、〜7mol%Et3N・HClが混入した結晶質固体として得た:融点=189〜191℃, 1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ12.65(br s, 1H), 3.80(d, J=9.7 Hz, 1H), 7.16〜7.30(m, 6H), 7.07(dd, J=1.1, 8.0 Hz, 1H), 7.00(dd, J=1.1, 7.5 Hz), 4.40〜4.52(m, 1H), 4.09(d, J=6.0 Hz, 1H), 2.92(app dd, J=2.9, 13.9 Hz, 1H), 2.76(app dd, J=11.4, 13.9 Hz, 1H), 2.29(s, 3H), 1.80(s, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ174.4, 169.3, 168.1, 149.5, 139.7, 139.4, 129.5, 128.3, 127.9, 126.5, 126.3, 124.8, 123.3, 73.2, 53.5, 35.4, 20.8, 12.6; MS(CI) m/z 372.1464(372.1447, C20H22NO6の計算値, M+H+);元素分析, C20H21NO6・0.07 Et3N・HClの計算値: C, 64.34; H, 5.86; N, 3.95; Cl, 0.70;実測値: C, 64.27; H, 5.79; N, 3.96; Cl; 0.86。
【0159】
実施例7:酢酸3−{(1S,2S)−3−[(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−イル]−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2−メチル−フェニルエステルの製造
【化7】

(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(271g;731mmol)を、リンスするための2−メチルテトラヒドロフラン(500mL)を用いて、(4R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド(161g;804mmol)の2−メチルテトラヒドロフラン溶液(溶液総量1.20L)を含む5Lフラスコに添加した。リンスするための2−メチルテトラヒドロフラン(50mL)を用いて、HOBt・H2O(32.6g;241mmol)を添加した。この白色の懸濁液を室温で10分間撹拌させた。ジイソプロピルカルボジイミド(119mL;760mmol)を、30分のインターバルで3回(40mL+40mL+39mL)に分けて添加した。最後のDIC添加の1時間後に、セライト(100g)を添加し、この懸濁液を室温で3時間撹拌させた。この混合物を真空ろ過し、同時に、固体を2−メチルテトラヒドロフラン(400mL)を用いてリンスし、得られたろ過ケークを洗浄した。ろ液を、リンスするための2−メチルテトラヒドロフラン(50mL)を用いて4L分液漏斗に移した。この溶液を、1NのHCl(1.25L)で、続いて、NaHCO3(27g)、NaCl(134g)、および、H2O(1.25L)の水溶液で洗浄した。得られた有機相を、3L蒸留フラスコに移し、次に、この溶液を、1気圧での2−メチルテトラヒドロフランの蒸留によって1.12Lの体積に減少させた。次に、この溶液を2−メチルテトラヒドロフラン(230mL)で希釈し、総体積を1.35Lにした。この溶液を23℃に冷却した後、粗製の酢酸3−{(1S,2S)−3−[(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−イル]−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2−メチル−フェニルエステルの溶液を直接次の工程に用いた。
【0160】
実施例8:(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドの製造
【化8】

3Lフラスコ中で、室温で、MeOH(330mL)、および、K2CO3(66.9g;484mmol)を、粗製の酢酸3−{(1S,2S)−3−[(4R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−イル]−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2−メチル−フェニルエステル(理論量:405g;731mmol)の2−メチルテトラヒドロフラン溶液に連続的に添加した。2時間半後、追加のK2CO3(20g;144mmol)を添加した。3時間後、この反応混合物を、固体をリンスし、そしてろ過ケークを洗浄するための4:1の2−メチルテトラヒドロフラン/MeOH(330mL)を用いて、セライトのパッド上で真空ろ過した。ろ液を、リンスするための4:1の2−メチルテトラヒドロフラン/MeOH(80mL)を用いて6L分液漏斗に移した。この溶液をi−PrOAc(1.66L)で希釈し、次に、NaCl(83.0g)のH2O(1.60L)溶液で洗浄した。有機分画を、0.5NのHCl(1.66L)、次に、飽和NaCl水溶液(400mL)で洗浄した。得られた有機分画を4Lエルレンマイヤーフラスコに移し、MgSO4(120g)を添加した。10分間撹拌した後に、この混合物を、分液漏斗とエルレンマイヤーフラスコをリンスするための2:1のi−PrOAc/2−メチルテトラヒドロフラン(600mL)を用いて直接5L蒸留フラスコに真空ろ過し、MgSO4を洗い落とした。〜2.50Lの最小ポット体積を維持しながら、2−メチルテトラヒドロフランを1気圧で蒸留し、そしてi−PrOAcを5回にわけて(総計で3.60Lを用いた)同時添加することによって置換した。得られた結晶化混合物を、75℃に冷却し、この温度で30分間保持した。次に、この懸濁液を、一晩かけてゆっくり室温に冷却した。この懸濁液を、移動させ、そして結晶を洗浄するためのi−PrOAc(600mL)を用いて真空ろ過した。真空オーブン中で40℃で乾燥させた後、204g((2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸の54%)の結晶質の(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドを得た。この材料を以下で説明されているようにして再結晶させた。
【0161】
実施例9:(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドの再結晶
【化9】

(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド(193g、378mmol)を、5Lフラスコに添加し、次に、EtOAc(1.28L)に懸濁した。この懸濁液を76℃に加熱した後、MeOH(68mL)を添加し、次に、内部温度を70℃に低めた。この溶液に、内部温度を70℃に維持しながらn−ヘプタン(810mL)を滴下して添加した。n−ヘプタン添加を完了させた後、得られた結晶の懸濁液を、70℃で30分間保持し、次に、一晩かけてゆっくり室温に冷却した。この懸濁液を、結晶を移動させ、そして洗浄するための1.6:1のEtOAc/n−ヘプタン(500mL)を用いて真空ろ過した。次に、この結晶を、真空オーブン中で45℃で乾燥させ、162g(84%収率)の精製した(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドを白色の結晶質固体として得た:融点=173〜175℃,1H NMR(300MHz,DMSO−d6)は、回転異性体の〜10:1の混合物を示し、主要な回転異性体の共鳴は以下の通り:δ9.35(s, 1H), 8.04〜8.15(m, 2H), 7.13〜7.38(m, 5H), 6.96(t, J=7.7 Hz, 1H), 6.79(d, J=7.2 Hz, 1H), 6.55(d, J=7.5 Hz, 1H), 5.71〜5.87(m, 1H), 5.45(br d, J=6.2 Hz, 1H), 4.98〜5.27(m, 4H), 4.38〜4.52(m, 3H), 3.58〜3.86(m, 2H), 2.68〜2.90(m, 2H), 1.84(s, 3H), 1.52(s, 3H), 1.37(s, 3H)[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ9.36(s), 8.21(d, J=10.5 Hz), 7.82(5, J=5.8 Hz), 4.89(s), 4.78(AB q, JAB=9.8 Hz, Δν=27.1 Hz), 4.17〜4.24(m), 2.93〜3.01(m), 1.87(s), 1.41(s)]; 13C NMR(75MHz, DMSO-d6)は、〜10:1の回転異性体の混合物を示し、主要な回転異性体の共鳴は以下の通り:δ170.4, 169.5, 168.2, 155.7, 139.6, 139.4, 135.5, 135.4, 129.9, 128.2, 126.2, 126.1, 121.9, 117.8, 115.6, 72.4, 72.1, 53.1, 51.4, 48.2, 41.3, 34.2, 30.5, 25.0, 12.6[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ171.4, 169.7, 168.6, 139.0, 129.5, 128.4, 70.6, 54.2, 49.1, 41.5, 31.4, 24.8]; MS(CI) m/z 512.2224(512.2219, C27H34N3O5Sの計算値, M+H+), 元素分析, C27H33N3O5Sの計算値: C, 63.38; H, 6.50; N, 8.22;実測値: C, 63.19; H, 6.52; N, 8.10。
【0162】
実施例10:(R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド;塩酸塩の製造
【化10】

(R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3,4−ジカルボン酸3−tert−ブチルエステル(105kg,402mol)、および、酢酸エチル(690L)の溶液を、ジフェニルクロロホスフェート(113kg,422mol)で処理し、次に、0℃に冷却した。NEt3(85.5kg,844mol)を、温度5℃で維持しながら添加し、次に、この混合物をこの温度で2時間維持した。この混合物を0℃に冷却し、次に、アリルアミン(24.1kg,422mol)を、温度5℃を維持しながら添加した。この混合物を20℃に温め、次に、10重量%HCl水溶液(310L)でクエンチした。層分離した後、有機分画を、8.6重量%Na2CO3水溶液(710L)で洗浄した。層分離した後、水性分画を、酢酸エチル(315L)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物(生成物を含む)を、約315Lの最小ポット体積を維持しながら、1気圧での共沸蒸留によって乾燥させた。得られた(R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルの懸濁液を、5℃に冷却した。酢酸エチル(263L)中の無水HCl(36.8kg,1008mol)13重量%溶液を、5℃に冷却し、次に、温度15℃を維持しながら、(R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル懸濁液に添加した。得られた懸濁液を、20℃で19時間保持し、次に、冷却し、5℃で2時間維持した。次に、この懸濁液を、リンスするための冷酢酸エチルを用いてろ過した。その湿潤ケーキを真空中で45℃で乾燥させ、90.5kg(95.2%)の(R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド塩酸塩を白色固体として得た:1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ8.94(app t, J=5.5 Hz, 1H), 5.82(ddt, J=10.4, 17.2, 5.2 Hz, 1H), 5.19〜5.25(m, 1H), 5.10〜5.14(m, 1H), 4.38(AB q, JAB=9.8 Hz, Δν=14.5 Hz, 2H), 4.08(s, 1H), 3.72〜3.91(m, 2H), 1.58(s, 3H), 1.32(s, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ161.7, 132.2, 114.0, 67.9, 51.4, 43.5, 39.3, 25.3, 24.3; MS(CI) m/z 201.1070(201.1062, C9H17N2OSの計算値, M+H+);元素分析, C9H17ClN2OSの計算値: C, 45.65; H, 7.24; N, 11.83; Cl, 14.97;実測値: C, 45.41; H, 7.33; N, 11.69; Cl, 15.22。
【0163】
実施例11:(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸の製造
【化11】

(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(110kg,563mol)、NaCl(195kg)、および、THF(413L)の混合物に、周囲温度で、NEt3(120kg,1183mol)、および、H2O(414L)を加えた。得られた混合物を、0℃に冷却した。別個の反応装置に、酢酸3−クロロカルボニル−2−メチル−フェニルエステル(120kg,563mol)を添加し、次に、THF(185L)に溶解させた。得られた酢酸3−クロロカルボニル−2−メチル−フェニルエステルの溶液を、10℃に冷却し、次に、添加中、温度を<10℃に維持しながら、(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸の混合物に添加した。得られた二相の混合物を5℃で1時間撹拌し、次に、濃HCl(62kg)でpH2.5〜3.0に調節した。次に、この混合物を25℃に温め、層を分離した。得られた(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸を含むTHF分画を、1気圧での蒸留によって部分的に濃縮した。次に、1気圧での蒸留によって、1500Lの最小ポット体積を維持しながら、THFを酢酸エチルで置き換えた。得られた溶液を、25℃に冷却し、次に、無水酢酸(74.8kg,733mol)、および、メタンスルホン酸(10.8kg,112mol)を加えた。この混合物を70℃で約3時間加熱した。この混合物を、25℃に冷却し、次に、温度20℃を維持しながらH2O(1320L)でクエンチした。水層を除去した後、有機分画に、酢酸エチル(658L)、および、H2O(563L)を加えた。撹拌後に、水相を除去した。有機分画を13重量%水性NaClで2回(2×650L)洗浄した。有機分画を、減圧蒸留(70〜140mmHg)によって部分的に濃縮し、体積約1500Lまで乾燥させた。得られた溶液を40℃に加熱し、次に、温度40℃を維持しながらn−ヘプタン(1042L)を加えた。この溶液を、(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸(0.1kg)を用いてシードし、次に、追加のn−ヘプタン(437L)をゆっくり添加した。この結晶化混合物を40℃で1時間で維持した。追加のn−ヘプタン(175L)を温度40℃を維持しながら添加した。この結晶質の懸濁液を冷却し、25℃で1時間、続いて0℃で2時間維持した。この懸濁液を、リンスするためのn−ヘプタンを用いてろ過した。その湿潤ケーキを真空中で55℃で乾燥させ、174kg(74.5%)の(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸を白色固体として得た:融点=152〜154℃; 1H NMR(300MHz, CDCl3) δ7.21〜7.35(m, 5H), 7.13(app t, J=7.9 Hz, 1H), 7.01(app d, J=8.1 Hz, 1H), 6.94(app d, J=7.2 Hz, 1H), 5.99(d, J=9.0 Hz, 1H), 5.33(d, J=4.1 Hz, 1H), 4.96〜5.07(m, 1H), 3.07(dd, J=5.5, 14.6 Hz, 1H), 2.90(dd, J=10.0, 14.5 Hz, 1H), 2.30(s, 3H), 2.18(s, 3H), 1.96(s, 3H); 13C NMR(125MHz, CDCl3) δ170.4, 170.2, 169.6, 169.5, 149.5, 137.81, 136.5, 129.2, 128.6, 128.4, 127.0, 126.6, 124.5, 123.7, 73.1, 50.9, 35.9, 20.6, 20.5, 12.4;元素分析, C22H23NO7の計算値: C, 63.92; H, 5.61; N, 3.39;実測値: C, 64.22; H, 5.68; N, 3.33; MS(CI) m/z 414.1572(414.1553, C22H24NO7の計算値, M+H+)。
【0164】
実施例12:(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミドの製造
【化12】

(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸(140kg,339mol)、CH3CN(560L)、および、ピリジン(64.3kg,813mol)の溶液を、15℃に冷却した。SOCl2(44.3kg,373mol)を、温度15℃を維持しながら加えた。この混合物を、15℃で1時間保持した。別個の反応装置に、(R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド塩酸塩(96.6kg,408mol)、CH3CN(254L)、および、ピリジン(29.5kg,373mol)を加え、次に、15℃に冷却した。(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸塩化物の溶液を、温度15℃を維持しながら、(R)−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドの溶液に添加した。この混合物を、15℃で6時間保持した。別個の反応装置に、0℃の冷却ジャケットを用いて、KOH(167kg,2709mol)、および、メタノール(280L)を装荷した。得られたKOH/メタノール溶液を、5℃に冷却した。このKOH/メタノール溶液に、粗製の酢酸3−{(1S,2S)−2−アセトキシ−3−[(R)−4−アリルカルバモイル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−3−イル]−1−ベンジル−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2−メチル−フェニルエステル混合物を、温度10℃を維持しながら添加した。添加を完了させた後、この混合物を、25℃で3時間保持した。この混合物に、H2O(840L)、および、酢酸エチル(840L)を加え、それに続いて、温度20℃を維持しながら、濃HCl(85kg)でpH 5〜6.5に酸性化した。得られた層を分離した。有機分画を、6.8重量%水性NaHCO3(770L)、HCl/NaCl水溶液(H2O:875L;濃HCl:207kg;NaCl:56kg)、8.5重量%水性NaHCO3(322L)、続いて、3.8重量%水性NaCl(728L)で連続的に洗浄した。得られた有機分画を、1気圧での蒸留によって部分的に濃縮した。蒸留を続け、かつポット温度を≧70℃に維持することによって、溶媒を酢酸エチルで置換した。ポット体積が約840Lに維持されるように酢酸エチルを添加した。次に、この溶液を20℃に冷却し、結晶化が観察されるまでこの温度で維持した。n−ヘプタン(280L)を添加し、この懸濁液を15℃で4時間撹拌した。この結晶は、リンスするための冷2.4:1(v/v)酢酸エチル/n−ヘプタンを用いた。その湿潤ケーキを真空中で45℃で乾燥させ、粗製の(R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドを得た。脱色および再結晶を以下のように行った:粗製の(R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミド、ADP炭素(21kg)、スーパーセル(Supercel)(3kg)、および、酢酸エチル(780L)の混合物を、70℃に加熱した。この混合物に、CH3OH(40L)を添加した。この混合物をろ過し、得られた透明のろ液を1気圧で加熱還流して、蒸留を開始させた。以下のように、CH3OHを置換した:酢酸エチル(388L)を、ポット体積を約840Lに維持し、そして70℃を維持しながら加えた。この溶液に、温度70℃を維持しながらn−ヘプタン(316L)をゆっくり加えた。次に、この混合物を20℃に冷却し、この温度で4時間維持した。その結晶を、リンスするための冷2.1:1(v/v)酢酸エチル/n−ヘプタンを用いてろ過した。その湿潤ケーキを真空中で45℃で乾燥させ、103kg(59.6%)の(4R)−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−ブチリル]−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボン酸アリルアミドを白色の結晶質固体として得た:融点=173〜175℃で、 1H NMR(300MHz, DMSO-d6)は、〜10:1の回転異性体の混合物を示し、主要な回転異性体の共鳴は以下の通り:δ9.35(s, 1H), 8.04〜8.15(m, 2H), 7.13〜7.38(m, 5H), 6.96(t, J=7.7 Hz, 1H), 6.79(d, J=7.2 Hz, 1H), 6.55(d, J=7.5 Hz, 1H), 5.71〜5.87(m, 1H), 5.45(br d, J=6.2 Hz, 1H), 4.98〜5.27(m, 4H), 4.38〜4.52(m, 3H), 3.58〜3.86(m, 2H), 2.68〜2.90(m, 2H), 1.84(s, 3H), 1.52(s, 3H), 1.37(s, 3H)[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ9.36(s), 8.21(d, J=10.5 Hz), 7.82(5, J=5.8 Hz), 4.89(s), 4.78(AB q, JAB=9.8 Hz, Δν=27.1 Hz), 4.17〜4.24(m), 2.93〜3.01(m), 1.87(s), 1.41(s)]; 13C NMR(75MHz, DMSO-d6)は、〜10:1の回転異性体の混合物を示し、主要な回転異性体の共鳴は以下の通り:δ170.4, 169.5, 168.2, 155.7, 139.6, 139.4, 135.5, 135.4, 129.9, 128.2, 126.2, 126.1, 121.9, 117.8, 115.6, 72.4, 72.1, 53.1, 51.4, 48.2, 41.3, 34.2, 30.5, 25.0, 12.6[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ171.4, 169.7, 168.6, 139.0, 129.5, 128.4, 70.6, 54.2, 49.1, 41.5, 31.4, 24.8]; MS(CI) m/z 512.2224(512.2219, C27H34N3O5Sの計算値, M+H+), 元素分析, C27H33N3O5Sの計算値: C, 63.38; H, 6.50; N, 8.22;実測値: C, 63.19; H, 6.52; N, 8.10。
【0165】
実施例13:(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸;塩酸塩の製造
【化13】

HClガス(51g,1.4mol)を、0℃で、(2S,3S)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(163g,551mmol)、および、CH2Cl2(2.0L)の懸濁液に曝気した。得られたオフホワイト色の懸濁液を周囲温度に温まるにまかせ、一晩撹拌した。濃縮したアリコートの1H NMR解析によれば、約95%が生成物に変換されていたことが示された。この懸濁液を0℃に冷却し、追加のHClガス(46g,1.3mol)をこの懸濁液に曝気した。周囲温度に温めた後、この懸濁液を一晩撹拌した。この懸濁液を真空ろ過し、固体をCH2Cl2(200mL)でリンスし、次に、この固体を、真空オーブン中で45℃で24時間乾燥させ、129g(100%)の(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸;塩酸塩白色固体としてを得た:1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ13.05(br s, 1H), 8.25(br s, 3H), 7.22〜7.34(m, 5H), 4.41(d, J=2.6 Hz, 1H), 3.66(br s, 1H), 2.84(ABXのAB部分, JAX=11.0 Hz, JBX=2.8 Hz, Δν=19.6 Hz, 2H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) d 172.4, 136.6, 129.8, 128.7, 127.1, 69.6, 55.0, 33.6; MS(CI) m/z 196.0979(196.0974, C10H14NO3の計算値, M-Cl-)。
【0166】
実施例14:(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸の製造
【化14】

NEt3(186mL、1.34mol)を、(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸;塩酸塩(100g,432mmol)、H2O(320mL)、および、テトラヒドロフラン(320mL)の懸濁液に添加した。この懸濁液を4℃に冷却し、酢酸3−クロロカルボニル−2−メチル−フェニルエステル(93.6g,440mmol)、および、THF(160mL)の溶液を滴下して添加した。得られた溶液を周囲温度に温め、1時間撹拌した。この溶液を10℃に冷却し、6NのHCl(87mL)を用いてpHを2.0に調節した。NaCl(25g)、および、テトラヒドロフラン(200mL)を添加し、この混合物を周囲温度に温めた。相を分離し、テトラヒドロフラン分画をMgSO4上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて体積330mLに濃縮し、次に、テトラヒドロフラン(230mL)で希釈した。n−ヘプタン(1.2L)をゆっくり添加し、得られた固体の白色の懸濁液を、周囲温度で一晩撹拌した。この懸濁液を真空ろ過し、固体をn−ヘプタン(2×500mL)でリンスし、この固体を真空オーブン中で45℃で24時間乾燥させ、〜7.7mol%Et3N・HClが混入した150g(93.6%)の(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸白色固体として得た:融点=189〜191℃, 1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ12.65(br s, 1H), 3.80(d, J=9.7 Hz, 1H), 7.16〜7.30(m, 6H), 7.07(dd, J=1.1, 8.0 Hz, 1H), 7.00(dd, J=1.1, 7.5 Hz), 4.40〜4.52(m, 1H), 4.09(d, J=6.0 Hz, 1H), 2.92(app dd, J=2.9, 13.9 Hz, 1H), 2.76(app dd, J=11.4, 13.9 Hz, 1H), 2.29(s, 3H), 1.80(s, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ174.4, 169.3, 168.1, 149.5, 139.7, 139.4, 129.5, 128.3, 127.9, 126.5, 126.3, 124.8, 123.3, 73.2, 53.5, 35.4, 20.8, 12.6; MS(CI) m/z 372.1464(372.1447, C20H22NO6の計算値, M+H+)。
【0167】
実施例15:(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミドの噴霧乾燥させた分散物の製造
(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド(300g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)(33.3g)、および、メタノール(3000g)を含む噴霧溶液を、以下のようにして形成した。HPMCASとメタノールをコンテナー中で合わせ、約2時間混合し、HPMCASを溶解させた。ポリマー全量を添加した後、得られた混合物にわずかな曇りが生じた。続いて、この混合物に、(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミドを直接添加し、この混合物をさらに2時間撹拌した。次に、この混合物を、それを篩サイズが250μmのフィルターに通過させることによってろ過し、この混合物から大きなあらゆる不溶性材料を除去して、このようにして、噴霧溶液を形成した。
【0168】
この噴霧溶液を、高圧ポンプを用いて、圧力ノズル(Spraying Systems Pressure Nozzle and Body)(SK76〜16)を備えた噴霧乾燥機(ニロ(Niro)のタイプXP携帯用噴霧乾燥機,液体供給プロセス容器(「PSD−1」)を有する)にポンプ輸送した。PSD−1に、9インチのチャンバー拡張部を備えつけた。9インチのチャンバー拡張部を上記噴霧乾燥機に付加し、乾燥機の縦の長さを増加させた。付加された長さにより乾燥機内の滞留時間が増加するので、それにより、噴霧乾燥機の角度のある断面に達する前に生成物を乾燥させる。また、噴霧乾燥機には、1/16インチのドリル穴を有する316SS円形拡散器のプレート(1%の開口領域を有する)も備え付けた。この小さい開口領域は、噴霧乾燥機内での生成物の再循環が最小化されるように、乾燥したガスの流れを方向付ける。操作中、上記ノズルにより、フラッシュを拡散器のプレートと共に存在させた。ブラン+ルーベ(Bran+Lubbe)の高圧ポンプを用いて、液体を上記ノズルに移動させた。ポンプは、ノズルでの脈流を最小化するための脈流吸収装置に続く。噴霧溶液を、噴霧乾燥機に、約180g/分、圧力200psigでポンプ輸送した。乾燥したガス(例えば窒素)を、注入口の温度200℃で拡散器のプレートを通じて循環させた。蒸発させた溶媒と乾燥したガスは、温度60℃で噴霧乾燥機から出た。サイクロン中で得られた固形状の無定形物質の分散物を回収した。上記の手順を用いて形成された固形状の無定形物質の分散物を、グルーエンバーグ(Gruenberg)の単流の対流トレイ乾燥機(40℃で6時間運転)を用いて後乾燥させた。乾燥の後、この分散物を周囲空気と湿度(20℃/50%RH)で8時間平衡化させた。
【0169】
実施例16:(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド;塩酸塩の製造
【化15】

NEt3(75.2g,743mmol)を、10℃の(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(98.3g,352mmol)、クロロジフェニルホスフェート(101g,376mmol)、および、酢酸エチル(1.0L)の溶液にゆっくり添加した。この混合物を45分間周囲温度に温め、次に、10℃に冷却した。2,2,2−トリフルオロエチルアミン(39.5g,399mmol)をゆっくり添加し、得られた混合物を周囲温度で2.75時間撹拌した。20%水性クエン酸(1.0L)を添加し、得られた層を分離した。水性分画を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機分画を、飽和水性NaHCO3(2×500mL)で、続いて飽和水性NaCl(300mL)で洗浄した。得られた有機分画を、ロータリーエバポレーターを用いて質量900gに濃縮した。この濃縮物に、3NのHCl/酢酸エチル溶液(500mL)を添加し、この混合物を周囲温度で24時間撹拌した。得られた固体をろ過し、酢酸エチル(100mL)で洗浄し、次に、真空オーブン中で55℃で乾燥させ、98.0g(93.9%)の(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド;塩酸塩を白色固体として得た:1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ10.46(br s, 2H), 9.50(t, J=6.2 Hz, 1H), 4.17〜4.33(m, 2H), 3.68〜4.02(m, 3H), 1.23(app d, J=2.1 Hz, 3H), 0.97(app d, J=2.0 Hz, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ165.6, 127.9(dd, JCF=250.2, 257.2 Hz), 125.6(q, JCF=279.0 Hz), 64.8, 48.2(t, JCF=33.4 Hz), 45.7(t, JCF=21.2 Hz), 18.2(d, JCF=7.5 Hz), 17.2(app dd, JCF=2.3, 5.8 Hz); MS(CI) m/z 261.1015(261.1026, C9H14N2OF5の計算値, M-HCl+H+);元素分析, C9H14N2OClF5の計算値: C, 36.44; H, 4.76; N, 9.44; Cl, 11.95; F, 32.02;実測値: C, 36.45; H, 4.86; N, 9.43; Cl, 12.06; F, 32.15。
【0170】
実施例17:4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミドの製造
【化16】

ピリジン(149g,1.89mol)を、周囲温度で、(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2−メチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸(193g,468mmol)、および、アセトニトリル(1.6L)の溶液に添加し、次に、この混合物を10℃に冷却した。SOCl2(62.3g,523mmol)、および、アセトニトリル(50mL)の溶液を15分間かけて添加し、冷却し、停止した。15分後、追加のSOCl2(0.80g,6.7mmol)を添加した。周囲温度で25分間撹拌した後、この混合物を10℃に冷却した。合成3からの(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド;塩酸塩(139g,468mmol)を、数回に分けて15分間かけて添加した。この混合物を1時間周囲温度に温め、次に10℃に冷却した。次に、5℃のKOH(85%分析;186g,2.82mol)、および、メタノール(1.1L)の溶液を10分間かけて添加し、続いて、K2CO3(51.8g,375mmol)を添加した。この混合物を1時間周囲温度に温め、次に、ロータリーエバポレーターを用いて質量1.5kgに濃縮した。得られた混合物を0.5NのHCl(1.6L)と酢酸エチル(1.4L)とで分配し、層を分離した。有機分画を、飽和水性NaHCO3(1.4L)、0.5NのHCl(1.6L)、続いてH2O(1.4L)で連続的に洗浄した。有機分画を、ロータリーエバポレーターを用いて湿潤した固体に濃縮し、さらに真空オーブン中で50℃で24時間乾燥させた。得られた固体を無水エタノール(800mL)に溶解させ、次に、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた固体を再びエタノール(600mL)に溶解させ、次に、ロータリーエバポレーターで濃縮し、次に、真空オーブン中で50℃で24時間乾燥させた。この固体をエタノールに溶解させ、次に、0.11NのHCl(620mL)をゆっくり添加した。H2O(950mL)をゆっくり添加し、得られた結晶の懸濁液を一晩撹拌した。この固体をろ過し、エタノール/H2O(1:3,200mL)で洗浄し、真空オーブン中で55℃で乾燥させ、表題の化合物259g(96.9%)を固体として得た:1H NMR(300MHz, DMSO-d6)は、〜20:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴は以下の通り:δ9.34(s, 1H), 8.66(app t, J=6.3 Hz, 1H), 8.13(d, J=8.3 Hz, 1H), 7.15〜7.35(m, 5H), 6.96(app t, J=7.7 Hz, 1H), 6.79(d, J=7.3 Hz, 1H), 6.55(d, J=6.7 Hz, 1H), 5.56(d, J=6.4 Hz, 1H), 4.26〜4.54(m, 5H), 3.81〜4.07(m, 2H), 2.86〜2.90(m, 1H), 2.71(app dd, J=10.5, 13.6 Hz, 1H), 1.82(s, 3H), 1.22(s, 3H), 1.04(s, 3H)[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ8.62(5, J=6.5 Hz), 5.35(d, J=7.6 Hz), 1.86(s)]; 13C NMR(75MHz, DMSO-d6)は、〜20:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴:δ171.5, 169.6, 168.6, 155.7, 139.6, 139.4, 129.8, 128.2, 127.9(dd, JCF=251.7, 253.5 Hz), 126.2, 126.0, 125.0(q, JCF=279.2 Hz), 121.8, 117.9, 115.6, 73.2, 68.3, 53.0, 51.4(t, JCF=32.6 Hz), 43.8(t, JCF=20.8 Hz), 34.5, 22.4(d, JCF=4.1 Hz), 16.9(d, JCF=7.3 Hz), 12.5[特徴的な主要な回転異性体の共鳴:δ171.7, 139.1, 129.5, 68.7, 47.0(t), 16.5(d)]; MS(CI) m/z 572.2189(527.2184, C27H31N3O5F5の計算値, M+H+);元素分析, C27H30N3O5F5の計算値: C, 56.74; H, 5.29; N, 7.35; F, 16.62;実測値: C, 56.50; H, 5.50; N, 7.15; F, 16.36。
【0171】
実施例18:4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミドの噴霧乾燥させた分散物の製造
90重量%4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、および、10重量%HPMCAS−M(AQUOT−MG,信越(Shin Etsu)より入手可能)を含む固形状の無定形物質の分散物を、以下のようにして製造した。まず、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド(39.0g)、HPMCAS−M(4.34g)、および、メタノール(390g)を含む噴霧溶液を以下のようにして形成した。コンテナー中でHPMCAS−Mをメタノールに添加し、撹拌した。続いて、この混合物に、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミドを、直接添加し、この混合物を総じて2時間撹拌した。全ての成分が添加され、溶解した後に、得られた混合物にわずかな曇りが生じた。
【0172】
この噴霧溶液をタンクに添加し、実施例14で説明されているように、この溶液を圧縮窒素を用いて加圧して、インラインフィルター(篩サイズ140μm)を通じて噴霧乾燥のチャンバー中に位置する圧力渦巻噴霧器(シュリック(Schlick)#1圧力ノズル)に通過させた。この噴霧溶液を、圧力約75psig、流速約10g/分で加圧した。乾燥ガス(窒素)を、流速約400g/分、注入口の温度約125℃で噴霧乾燥のチャンバーに入れた。蒸発させた溶媒と乾燥ガスは、温度60℃で噴霧乾燥機から出た。サイクロン中で、得られた固形状の無定形物質の分散物を回収した。
【0173】
上記の手順を用いて形成された固形状の無定形物質の分散物を、グルーエンバーグの単流の対流トレイ乾燥機(40℃/15%RHで6時間運転)を用いて後乾燥させた。乾燥の後、この分散物を周囲空気と湿度(20℃/50%RH)で2時間平衡化させた。
【0174】
実施例19:3−アセトキシ−2,5−ジメチル−安息香酸の製造
【化17】

ピリジン(34.0mL、419mmol)、および、無水酢酸(150mL、1.59mol)を、トルエン(1.05L)中の3−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−安息香酸(211g,1.27mol)の懸濁液に連続的に添加した。この混合物を、50℃で、アルゴン下で6時間加熱した。加熱を止め、その上でこの混合物を保温しながら、n−ヘプタン(2.10L)を添加した。この混合物を冷まし、周囲温度で一晩撹拌した。この懸濁液を、リンスするためのn−ヘプタンを用いてろ過し、固体を、真空オーブン中で50℃で乾燥させ、212g(80.1%)の3−アセトキシ−2,5−ジメチル−安息香酸を黄色の固体として得た:融点=153〜154℃; 1H NMR(300MHz, CDCl3) δ11.5(br s, 1H), 7.80(s, 1H), 7.10(s, 1H), 2.44(s, 3H), 2.41(s, 3H), 2.39(s, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ169.3, 168.8, 149.9, 136.3, 132.9, 128.4, 128.0, 126.3, 20.8, 20.5, 13.1; MS(CI) m/z 209.0822(209.0814, C11H13O4の計算値, M+H+);元素分析, C11H12O4の計算値: C, 63.45; H, 5.81;実測値: C, 63.54; H, 5.88。
【0175】
実施例20:酢酸3−クロロカルボニル−2,5−ジメチル−フェニルエステルの製造
【化18】

SOCl2(80.0mL、1.09mol)を、3−アセトキシ−2,5−ジメチル−安息香酸(206g,990mmol)、DMF(4.0mL)、および、CH2Cl2(1.03L)の懸濁液に添加した。得られた混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。n−ヘプタン(1.03L)を添加し、続いて飽和水性NaHCO3(2.06L)をゆっくり添加し、次に、層を分離した。有機分画を飽和水性NaCl(1.00L)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、193g(86.2%)の酢酸3−クロロカルボニル−2,5−ジメチル−フェニルエステルを黄色の固体として得た:融点=52〜54℃; 1H NMR(300MHz, CDCl3) δ7.92(s, 1H), 7.15(s, 1H), 2.44(s, 3H), 2.38(s, 3H), 2.35(s, 3H); 13C NMR(75MHz, CDCl3) δ169.4, 167.7, 150.1, 137.3, 134.7, 132.0, 130.2, 129.1, 21.2, 21.1, 13.7;元素分析, C11H11O3Clの計算値: C, 58.29; H, 4.89;実測値: C, 58.64; H, 4.89。
【0176】
実施例21:(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸の製造
【化19】

NEt3(265mL、1.88mol)を、周囲温度で、(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(175g,896mmol)、テトラヒドロフラン(875mL)、および、H2O(875mL)の懸濁液に添加した。得られた溶液を、0℃に冷却した。酢酸3−クロロカルボニル−2,5−ジメチル−フェニルエステル(193g,854mmol)、および、テトラヒドロフラン(430mL)の溶液をゆっくり添加した。1時間後、H2O(225mL)を添加し、続いて3NのHCl(390mL)をゆっくり添加した。得られた混合物を、一晩撹拌しながら周囲温度までゆっくり温めた。この固体を、リンスするためのH2O(430mL)を用いてろ過した。真空オーブン中で50℃で乾燥させた後、〜8mol%Et3N・HClが混入した301g(91.5%)の(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸を白色固体として得た:融点=220〜224℃; 1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ12.65(br s, 1H), 8.23(d, J=9.0 Hz, 1H), 7.15〜7.30(m, 5H), 6.89(s, 1H), 6.79(s, 1H), 5.63(br s, 1H), 4.39〜4.50(m, 1H), 4.07(d, J=5.9 Hz, 1H), 2.91(app dd, J=3.0, 14.0 Hz, 1H), 2.74(app dd, J=11.1, 14.1 Hz, 1H), 2.27(s, 3H), 1.24(s, 3H), 1.72(s, 3H)[特徴的なEt3N・HClの共鳴: δ3.09(q, J=7.3 Hz), 1.18(t, J=7.3 Hz)]; 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ174.4, 169.2, 168.2, 149.4, 139.4, 135.9, 129.5, 128.3, 126.3, 125.6, 124.7, 123.5, 73.2, 53.5, 35.4, 20.8, 20.6, 12.2[特徴的な Et3N・HClの共鳴: δ45.9, 8.8]; MS(CI) m/z 386.1600(386.1604, C21H24NO6の計算値, M+H+);元素分析, C21H23NO6・0.08 Et3N・HClの計算値: C, 65.08; H, 6.17; N, 3.82;実測値: C, 64.88; H, 6.10; N, 3.68。
【0177】
実施例22:(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸の製造
【化20】

メタンスルホン酸(16.5mL,253mmol)、および、無水酢酸(91.0mL,960mmol)を、周囲温度で、酢酸エチル(3.00L)中の(2S,3S)−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル−酪酸(296g,768mmol)の懸濁液に連続的に添加した。この混合物を75℃で2時間加熱し、次に、得られた溶液を周囲温度に冷却した。この溶液を、H2O(2.0L)、半分飽和した水性NaCl(2.0L)、続いて、飽和水性NaCl(1.0L)で連続的に洗浄した。得られた有機分画を、1気圧での蒸留によって約半分の体積に濃縮した。加熱を止め、この溶液を周囲温度に冷まし、懸濁液を得た。n−ヘプタン(3.0L)を添加し、この懸濁液を周囲温度で一晩撹拌した。その固体を、リンスするための1:2の酢酸エチル/n−ヘプタン(1.5L)を用いてろ過した。真空オーブン中で50℃で乾燥させた後、316g(96.3%)の(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸を白色固体として得た:融点=185〜186℃; 1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ13.3(s, 1H), 8.49(d, J=8.8 Hz, 1H), 7.19〜7.34(m, 5H), 6.91(s, 1H), 6.71(s, 1H), 5.11(d, J=5.0 Hz, 1H), 4.61〜4.72(m, 1H), 2.79〜2.90(m, 2H), 2.27(s, 3H), 2.24(s, 3H), 2.14(s, 3H), 1.73(s, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ170.3, 169.7, 169.2, 168.5, 149.4, 139.1, 138.5, 136.1, 129.4, 128.5, 126.6, 125.4, 124.7, 123.8, 73.9, 51.1, 35.2, 20.9, 20.8, 20.6, 12.1; MS(CI) m/z 428.1713(428.1709, C23H26NO7の計算値, M+H+);元素分析, C23H25NO7の計算値: C, 64.63; H, 5.90; N, 3.28;実測値: C, 64.79; H, 5.96; N, 3.15。
【0178】
実施例23:(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸エチルアミド;塩酸塩の製造
【化21】

クロロジフェニルホスフェート(38.4mL,185mmol)を、周囲温度で、(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(48.8g,175mmol)の酢酸エチル(490mL)の溶液に添加した。この溶液を0℃に冷却し、NEt3(51.0mL,367mmol)を滴下して添加した。冷却を止め、得られた懸濁液を周囲温度に温まるにまかせ、1時間撹拌した。この懸濁液を、0℃に冷却し、H2NEt(テトラヒドロフラン中の2.0M溶液を96.0mL,192mmol)をゆっくり添加した。得られた混合物を周囲温度に温め、2時間撹拌した。20%水性クエン酸(490mL)を添加し、次に、層を分離した。水性分画を酢酸エチル(125mL)で抽出した。合わせた有機分画を飽和水性NaHCO3(490mL)で洗浄し、次に、層を分離した。水性分画を酢酸エチル(125mL)で抽出した。合わせた有機分画を飽和水性NaCl(250mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、次に、ロータリーエバポレーターを用いて体積〜500mLに濃縮した。濃HCl(61.0mL,734mmol)を添加し、この溶液を周囲温度で一晩撹拌した。得られた懸濁液を、1気圧での蒸留によって、酢酸エチル(3×250mL)で共沸乾燥させた。得られた懸濁液を、周囲温度に冷却し、次に、リンスするための酢酸エチル(100mL)を用いてろ過した。周囲温度で真空中で乾燥させた後、37.4g(88.2%)の(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸エチルアミド;塩酸塩を白色固体として得た:融点=238〜239℃(分解); 1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ10.3(br s, 2H), 8.70(t, J=5.3 Hz, 1H), 4.08(s, 1H), 3.71〜3.80(m, 2H), 3.08〜3.34(m, 2H), 1.21(app d, J=2.2 Hz, 3H), 1.08(t, J=7.2 Hz, 3H), 0.97(app d, J=2.1 Hz, 3H); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ163.8, 128.1(dd, JCF=248.6, 255.5 Hz), 64.8, 48.1(t, JCF=33.7 Hz), 45.5(t, JCF=20.8 Hz), 34.3, 18.3(d, JCF=7.4 Hz), 17.4(app dd, JCF=2.1, 5.4 Hz), 14.8; MS(CI) m/z 207.1317(207.1309, C9H17N2OF2の計算値, M-HCl+H+);元素分析, C9H17ClF2N2Oの計算値: C, 44.54; H, 7.06; N, 11.54; F, 15.66;実測値: C, 44.40; H, 7.06; N, 11.65; F, 15.61。
【0179】
実施例24:酢酸3−{(1S,2S)−2−アセトキシ−1−ベンジル−3−[(2S)−2−エチルカルバモイル−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2,5−ジメチル−フェニルエステルの製造
【化22】

SOCl2(1.90mL,25.8mmol)を、0℃の(2S,3S)−2−アセトキシ−3−(3−アセトキシ−2,5−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−4−フェニル−酪酸(10.0g,23.5mmol)、ピリジン(7.60mL,93.9mmol)、および、CH3CN(90.0mL)の溶液に滴下して添加した。得られた溶液を周囲温度に1時間温め、次に、0℃に冷却した。(2S)−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−カルボン酸エチルアミド;塩酸塩(5.71g,23.5mmol)を一回で添加した。得られた溶液を周囲温度に温まるにまかせ、2.5時間撹拌した。飽和水性NaHCO3(110mL)、および、メチルt−ブチルエーテル(110mL)を添加し、得られた層を分離した。得られた有機分画を、20%水性クエン酸(90mL)、飽和水性NaHCO3(70mL)、および、飽和水性NaCl(70mL)で連続的に洗浄した。活性炭(14g)を得られた有機分画に添加し、この混合物を周囲温度で一晩撹拌した。この混合物を、リンスするためのメチルt−ブチルエーテルを用いて、セライトでろ過した。ろ液を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーターを用いて体積〜90mLに濃縮した。この、粗製の酢酸3−{(1S,2S)−2−アセトキシ−1−ベンジル−3−[(2S)−2−エチルカルバモイル−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2,5−ジメチル−フェニルエステルの溶液を直接次の工程に用いた。分析データは、この溶液のサンプルを濃縮することによって得た:融点=88〜93℃; 1H NMR(300MHz, DMSO-d6)は、〜10:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴: δ8.58(d, J=8.2 Hz, 1H), 8.02(t, J=7.5 Hz, 1H), 7.18〜7.42(m, 5H), 6.92(s, 1H), 6.84(s, 1H), 5.34(d, J=3.2 Hz, 1H), 4.41〜4.66(m, 2H), 4.19〜4.32(m, 2H), 3.03〜3.26(m, 2H), 2.95(app dd, J=2.4, 13.8 Hz, 1H), 2.78(app dd, J=11.7, 13.8 Hz, 1H), 2.27(s, 3H), 2.25(s, 3H), 1.73(s, 3H), 1.22(br s, 3H), 1.07(br s, 3H), 1.04(t, J=7.2 Hz, 3H)[特徴的な主要な回転異性体の共鳴: δ7.76〜7.87(m), 6.72(s), 5.46(d, J=3.7 Hz), 2.07(s), 1.79(s)]; 13C NMR(75MHz, DMSO-d6)は、〜10:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴: δ170.5, 169.2, 169.0, 166.8, 166.7, 149.4, 139.1, 138.8, 136.1, 129.7, 128.3, 127.8(dd, JCF=251.2, 254.9 Hz), 126.5, 125.7, 124.7, 123.9, 73.3, 68.2, 51.4, 43.9(t, JCF=20.5 Hz), 33.8, 33.4, 22.0(d, JCF=6.0 Hz), 20.8, 20.5, 17.6(d, JCF=7.0 Hz), 15.0, 12.2[特徴的な主要な回転異性体の共鳴: δ169.5, 168.9, 167.0, 149.5, 138.7, 129.3, 128.5, 125.4, 124.8, 124.2, 34.1, 21.2, 14.7]; MS(CI) m/z 616.2859(616.2834, C32H40N3O7F2の計算値, M+H+);元素分析, C32H39F2N3O7の計算値: C, 62.43; H, 6.38; N, 6.83; F, 6.17;実測値: C, 62.08; H, 6.68; N, 6.53; F, 5.85。
【0180】
実施例25:N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミドの製造
【化23】

メタノール(30.0mL)、および、K2CO3(7.16g,51.7mmol)を、周囲温度で、酢酸3−{(1S,2S)−2−アセトキシ−1−ベンジル−3−[(2S)−2−エチルカルバモイル−4,4−ジフルオロ−3,3−ジメチル−ピロリジン−1−イル]−3−オキソ−プロピルカルバモイル}−2,5−ジメチル−フェニルエステル(上記より)のメチルt−ブチルエーテル溶液に添加した。2時間撹拌した後、得られた黄色の溶液を、酢酸エチル(140mL)、1NのHCl(50mL)、および、0.5NのHCl(140mL)で希釈し、次に、層を分離した。得られた有機分画を、飽和水性NaHCO3(90mL)、0.5NのHCl(70mL)、H2O(140mL)、および、飽和水性NaCl(70mL)で連続的に洗浄した。次に、有機分画を、1気圧での蒸留によって体積〜100mLに濃縮し、次に、得られた溶液を、周囲温度に冷却した。ジイソプロピルエーテル(190mL)をゆっくり添加し、得られた結晶質の懸濁液を周囲温度で一晩撹拌した。この懸濁液を、リンスするためのジイソプロピルエーテル(50mL)を用いてろ過した。真空中で乾燥させた後、9.88g(79.1%)のN−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミドを白色固体として得た:融点=208〜214℃; 1H NMR(300MHz, DMSO-d6)は、〜9:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴: δ9.21(s, 1H), 8.07(d, J=8.2 Hz, 1H), 7.90(t, J=5.5 Hz, 1H), 7.15〜7.39(m, 5H), 6.62(s, 1H), 6.40(s, 1H), 5.45(d, J=6.3 Hz, 1H), 3.95〜4.50(m, 5H), 3.02〜3.22(m, 2H), 2.89(app dd, J=2.0, 13.5 Hz, 1H), 2.72(app dd, J=10.4, 13.4 Hz, 1H), 2.17(s, 3H), 1.78(s, 3H), 1.22(s, 3H), 1.05(s, 3H), 1.03(t, J=7.2 Hz, 3H)[特徴的な主要な回転異性体の共鳴: δ6.15(d, J=8.7 Hz), 7.85(t, J=5.7 Hz), 6.34(s), 5.31(d, J=7.6 Hz), 4.73(s), 1.81(s); 13C NMR(75MHz, DMSO-d6)は、〜9:1の回転異性体の混合物を示した。主要な回転異性体の共鳴: δ171.0, 169.6, 167.2, 155.5, 139.7, 139.1, 135.1, 129.8, 128.2, 128.1(dd, JCF=251.4, 254.0 Hz), 126.2, 118.7, 118.6, 116.2, 72.8, 68.5, 53.1, 51.5(t, JCF=32.0 Hz), 43.7(t, JCF=20.5 Hz), 34.2, 33.8, 22.5(d, JCF=4.7 Hz), 20.9, 17.4(d, JCF=7.3 Hz), 15.1, 12.2[特徴的な主要な回転異性体の共鳴: δ171.8, 169.7, 168.0, 138.8, 129.5, 23.1, 14.9; MS(CI) m/z 532.2614(532.2623, C28H36N3O5F2の計算値, M+H+);元素分析, C28H35F2N3O5の計算値 : C, 63.26; H, 6.64; N, 7.90; F, 7.15;実測値: C, 63.20; H, 6.67; N, 7.87; F, 7.07。
【0181】
実施例26:N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミドの噴霧乾燥させた分散物の製造
90重量%N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、および、10重量%HPMCAS−M(AQOAT−MG,信越より入手可能)を含む固形状の無定形物質の分散物を以下のようにして製造した。まず、9.0重量%N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、1.0重量%HPMCAS−M、および、90.0重量%メタノールを含む噴霧溶液を以下のように形成した。コンテナー中でHPMCAS−Mをメタノールに添加し、撹拌した。続いて、この混合物に、N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミドを、直接添加し、この混合物を総じて2時間撹拌した。全ての成分が添加され、溶解した後に、得られた混合物にわずかな曇りが生じた。
【0182】
この噴霧溶液をタンクに添加し、実施例14で説明されているように、この溶液を圧縮窒素を用いて加圧して、インラインフィルター(篩サイズ140μm)を通じて噴霧乾燥のチャンバー中に位置する圧力渦巻噴霧器(シュリック#1圧力ノズル)に通過させた。この噴霧溶液を、圧力約75psig、流速約10g/分で加圧した。乾燥ガス(窒素)を、流速約400g/分、注入口の温度約125℃で噴霧乾燥のチャンバーに入れた。蒸発させた溶媒と乾燥ガスは、温度60℃で噴霧乾燥機から出た。サイクロン中で、得られた固形状の無定形物質の分散物を回収した。上記の手順を用いて形成された固形状の無定形物質の分散物を、グルーエンバーグの単流の対流トレイ乾燥機(40℃/5%RHで最低で10時間運転)を用いて後乾燥させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物。
【請求項2】
4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物。
【請求項3】
N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニストおよび抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の追加の治療剤は、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、カレトラ、エファビレンズ、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、および、テノフォビルから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法であって、治療上有効な量の(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、該哺乳動物に投与することを含む、上記治療方法。
【請求項6】
感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法であって、治療上有効な量の4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、該哺乳動物に投与することを含む、上記治療方法。
【請求項7】
感染した哺乳動物におけるHIV感染の治療方法であって、治療上有効な量のN−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CCR5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤を含む組成物を、該哺乳動物に投与することを含む、上記治療方法。
【請求項8】
HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、(4R)−N−アリル−3−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用。
【請求項9】
HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用。
【請求項10】
HIV感染の治療が必要な哺乳動物においてHIV感染を治療するための医薬品の製造における、N−エチル−4,4−ジフルオロ−1−{(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゾイル)アミノ]−4−フェニルブタノイル}−3,3−ジメチル−L−プロリンアミド、またはそれらの製薬上許容できる塩もしくは溶媒化合物、ならびに、ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、免疫調節物質、CC5アンタゴニスト、および、抗感染薬から選択される少なくとも1種の追加の治療剤の使用。

【公表番号】特表2007−519704(P2007−519704A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550331(P2006−550331)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000101
【国際公開番号】WO2005/082362
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】