説明

治療剤

式(I)の化合物:


(式中、R、R、R、R、Ar、A、nおよびmは、本明細書で定義した通り)が、GlyT1阻害剤として開示され、また、式(I)の化合物を含む医薬組成物が、医薬としての使用、例えば統合失調症の治療における使用として開示されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
統合失調症は、消極的症状(感情の鈍麻、自閉、無快感症)および積極的症状(妄想症、幻覚、譫妄)と顕著な認知障害とを特徴とする消耗性精神医学的障害である。統合失調症の病因は現在でもまだ解明されていないが、この疾患は、生物学的要因、環境要因および遺伝的要因の複雑な相互作用によって発症すると考えられる。フェンシクリジン(PCP)が統合失調症患者に観察される状態に酷似した精神病的状態をヒトに誘発することは40年以上も前から知見されていた。PCPの主要な作用モードが向イオン性グルタメート受容体のN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)サブタイプの非競合的アンタゴニストの作用モードであるという知見が一連の研究を促進し、統合失調症のNMDA受容体機能低下モデルの開発に導いた(Jentsch JD and Roth RH,1999 Neuropsychopharmacology,20:201)。
【0002】
哺乳類中枢神経系の高速グルタメート作動性伝達は主として向イオン性グルタメート受容体(iGluR)類に作用する興奮性アミノ酸グルタメートによって介在される。これらのiGluR類は、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)、カイニン酸塩およびNMDA受容体のサブタイプなどの3つの主要なサブクラスを含む(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.17:31)。これらの3つのサブクラスは、グルタメート結合に応答して開き、分極性の興奮性後シナプス電流を誘導するマルチマーリガンド依存性カチオンチャネルである。分子クローニングによって、NMDA受容体ファミリーが2つの主要サブユニットNR1およびNR2から構成されることが解明された。更に、発生的に調節されNR3と命名された新規な阻害性サブユニットが最近になって発表された。サブユニットの各セットには高度な分子多様性が存在する。現在までにクローニングされたNR1サブユニット遺伝子は1つだけである。しかしながら、オルタナティブスプライシングによって8つの異なるNR1遺伝子サブユニットを産生できる。NR2サブユニットについては対照的に、4つの遺伝子(NR2A,NR2B,NR2C,およびNR2D)がクローニングされ、これらのうちのいくつかはオルタナティブスプライシングを示す(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.17:31)。これらの多数サブユニットはヘテロマーグルタメート依存性イオンチャネルを形成する。天然に産生する受容体のサブユニットの正確な化学量論はいまだ解っていないが、機能的に活性な受容体−チャネル複合体が哺乳類発現系で発現するためにはNR1およびNR2の双方のサブユニットが必要である。NMDA受容体の活性化にはグルタメートおよびグリシンの双方の結合が必要である(Johnson JW and Ascher P,1987,Nature 325:529)。部位特異的突然変異誘発試験によって判断すると、興味深いことに、これらの2つのコアゴニストの結合部位は別々のサブユニットに存在する(Laube B,Hirai H,Sturgess M,Betz H and Kuhse J,1997,Neuron 18:493)。NR2AおよびNR2Bサブユニットには、受容体のN−末端と細胞外ループとの相互作用によってグルタメート結合ポケットが形成される。同様の実験でグリシン結合部位はNR1サブユニットの相同的領域に存在すると判明した(Kuryatov A,Laube B,Betz H and Kuhse J,1994,Neuron 12:1291)。サブユニットの実際の組成次第で、グルタメートおよびグリシンは、ナノモルの後半からマイクロモルの前半の範囲のEC50値でNMDA受容体を活性化する。更に、NMDA受容体の細孔はマグネシウム不透過である。正常静止条件下で、細胞外マグネシウムは細孔内部の部位に結合してチャネルのマグネシウムブロックを生じ得る。このマグネシウムブロックがチャネルに強い電圧依存性を与え、これによってNMDA受容体は、電流導通前にグルタメート、グリシンの結合および後シナプス分極の発生を必要とする同期性検出器として作用できる。特に注目すべきは、精神異常作用薬MK−801、PCPおよびケタミンがいずれも、マグネシウム結合部位にオーバーラップする部位に結合することによってNMDA受容体−チャネルのオープンチャネルブロッカーとして作用するという知見である。NMDA受容体サブユニットおよび調節部位の豊かな多様性が生理学的および薬理学的に異なるヘテロマー受容体の複雑な組合せを提供することは明らかであり、このためNMDA受容体は新規な治療用化合物を設計するための理想的なターゲットとなり得る。
【0003】
NMDA受容体は、シナプス可塑性、認知、注意および記憶を非限定例とする様々な神経生理学的現象において、極めて重要な役割を果す(Bliss T and Collingridge W,1993,Nature 361:31;Morris RGMら,1986,Nature 319:774)。幻覚薬は、精神運動刺激剤(コカイン、アンフェタミン)、幻覚剤(LSD)およびNMDA受容体アンタゴニスト(PCP、ケタミン)のような広範な薬物クラスを構成する。これらのうちでもNMDA受容体アンタゴニストだけが統合失調症の陽性、陰性および認知症状の強力な誘発を惹起する。ヒト患者のケタミン誘発精神病の管理試験、および、PCPを快感薬として濫用している患者の症状の観察から、NMDA受容体アンタゴニスト誘発精神病と統合失調症との確信的な類似性リストが得られた(Jentsch JD and Roth RH,1999 Neuropsychopharmacology,20:201)。NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を忠実に模倣し、双方の臨床的識別が難しくなるほどである。更に、NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を悪化させることもあり、また、安定な患者の症状の再発を誘発することもある。最後に、グリシン、D−サイクロセリンおよびD−セリンのようなNMDA受容体コアゴニストが統合失調症患者に有益な効果を与えるという知見は、この障害にNMDA受容体の機能低下が関与していること、および、NMDA受容体の活性化増進が治療効果を与える可能性があることを示唆する(Leiderman Eら,1996,Biol.Psychiatry 39:213,Javitt DCら,1994,Am.J.Psychiatry 151:1234,Heresco−Levy U,2000,Int.J.Neuropsychopharmacol.3:243,Tsai Gら,1998,Biol.Psychiatry 44:1081)。動物モデルにおける多数の試験は統合失調症のNMDA機能低下説を立証した。NMDA NR1サブユニットを正常レベルの5%しか発現しない突然変異マウスの最新世代は、機能性NMDA受容体のこのような減少が統合失調症に罹っている他の動物モデルで観察される状態に酷似した状態を誘発することを証明した(Mohn ARら,1999,Cell 98:427)。グルタメート経路の機能不全は、統合失調症以外にも、認知障害、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病および双極性障害を非限定例とするヒト中枢神経系(CNS)の多くの疾患状態に関与していた。
【0004】
NMDA受容体の機能は、コアゴニストであるグリシンの利用効率を変更することによって調節できる。この方法は、NMDA受容体の活性依存的活性化を維持するという極めて大きい利点を有する。何故なら、グルタメートの非存在下ではシナプスのグリシン濃度の増加がNMDA受容体の活性化を生じさせないからである。シナプスのグルタメートレベルは高親和性輸送メカニズムによって厳密に維持されているので、活性化シナプスのNMDA成分を強化できるのはグリシン部位の活性化の強化だけである。標準的神経遮断療法にアドオンとして高用量グリシンを経口投与した臨床試験は、統合失調症患者の症状の改善を示した(Javittら,Int.J.Neuropsychopharmacol.(2001)4:385−391)。外因性グリシンを投与しないでシナプスのグリシンレベルを向上させる1つの方法は、シナプスからのグリシンの除去を阻止することである。この方法が統合失調症の治療に有効であるという証拠は、統合失調症に罹っているが抗精神病薬に対する反応の鈍い患者にサルコシンを投与したダブルブラインドのプラセボ管理試験から得られる。陽性、陰性および認知症状に対する有益な効果が観察され、このことは、グリシンの再吸収阻害が統合失調症治療の合理的な方法であることを示す。
【0005】
2つの特異的グリシン輸送体GlyT1およびGlyT2が同定され、これらはタウリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、プロリン、モノアミンおよびオーファン輸送体のNa/C1依存性神経伝達輸送体ファミリーに属することが証明された(Smith KEら,1992,Neuron 8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron 10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.268:22802;Kim KMら,1994,Mol.Pharmacol.45:608;Morrow JAら,1998,FEBS Lett.439:334;Ne1Son N,1998,J.Neurochem.71:1785)。GlyTlおよびGlyT2は様々な種から単離され、アミノ酸レベルの一致は50%しかないことが判明した。これらはまた、哺乳類中枢神経系で異なる発現パターンを有しており、GlyT2は、脊髄、脳幹および小脳で発現され、GlyT1はこれらの領域と、皮質、海馬、中隔および視床のような前脳領域に存在する(Smith KEら,1992,Neuron 8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron 10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.268:22802)。細胞レベルで、GlyT2はラット脊髄のグリシン作動性神経終末によって発現されると報告されたが、GlyT1はグリア細胞によって優先的に発現されると考えられる(Zafra Fら,1995,J.Neurosci.15:3952)。これらの発現試験は、GlyT2が主としてグリシン作動性シナプスのグリシン吸収を担当し、GlyT1がNMDA受容体発現シナプス近傍のグリシン濃度のモニターに関与するという結論に導いた。ラットで行った最近の機能試験は、強力な阻害剤(N−[3−(4’−フルオロフェニル)−3−(4’−フェニルフェノキシ)プロピル])サルコシン(NFPS)によるGlyT1の遮断がラットのNMDA受容体活性、および、NMDA受容体依存性長期間増進作用を強化することを示した(Bergeron Rら,1998,PNAS USA 95:15730;Kinney Gら,2003,J.Neurosci.23:7586)。更に、NFPSは、統合失調症患者で欠失していることが判っている知覚ゲーティングの尺度であるマウスのプレパルス阻害を強化すると報告されている(Kinney Gら,2003,J.Neurosci.23:7586)。前脳領域におけるGlyT1のこれらの生理学的効果は、GlyT1阻害剤であるサルコシンが統合失調症患者の症状の改善に有益な効果を示すという臨床報告(Tsai and Coyle W099/52519)と相俟って、選択的GlyT1吸収阻害剤が新規なクラスの抗精神病薬として役立つことを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、グルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する神経性および精神医学的障害やグリシン輸送体GlyT1が関与する疾患の治療に有用なグリシン輸送体GlyT1の阻害化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(0):
【0008】
【化9】

(式中、Ar環は場合により置換されていてもよいフェニルまたは窒素、酸素および硫黄から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員芳香環であり、但し、Ar環上の2個の側鎖は隣接する環原子には結合していない;
は、−(CH−R1aであり、式中、nは独立して0から6であり、およびR1aは、
(1)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC1−6アルキルもしくはC1−6アルケニル、
(2)R2a、R2bおよびR2Cで置換されたフェニル、
(3)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキル、
(5)非置換の、またはC1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−O−C1−6アルキル、
(6)−CO
式中、Rは独立して、
(a)水素、
(b)非置換の、または1から6個のフッ素で置換された−C1−6アルキル、
(c)ベンジル、および
(d)フェニル
から選択され、
(7)−NR1011[式中、R10およびR11は独立して
(a)水素、
(b)非置換の、またはヒドロキシ、1から6個のフッ素、もしくは−NR1213で置換されたC1−6アルキルであり、R12およびR13は独立して水素および−C1−6アルキルから選択され、
(c)非置換の、またはヒドロキシ、1から6個のフッ素、もしくは−NR1213で置換された−C3−6シクロアルキルであり、
(d)ベンジル、
(e)フェニル
から選択される]、および
(8)−CONR1011
から成る群より選択され;
は、
(1)R2a、R2bおよびR2Cで置換されたフェニル、
(2)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環、
(3)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルもしくは複素環で置換されたC1−8アルキルであり、前記フェニルまたは複素環は、R2a、R2bおよびR2Cで置換されており、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキルであり、および
(5)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
から成る群より選択され;
2a、R2bおよびR2Cは、独立して、
(1)水素、
(2)ハロゲン
(3)非置換の、または
(a)1から6個のハロゲン、
(b)フェニル、
(c)C3−6シクロアルキル、もしくは
(d)−NR1011
で置換された−C1−6アルキルであり、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲンで置換された−O−C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−SCF
(7)−SCHF
(8)−SCH
(9)−CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、および
(15)−NO
から成る群より選択され;
は、
(1)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、もしくはR2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環で置換されたC1−6アルキル、
(2)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキル、
(3)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
(4)−NR1011、および
(5)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環
から成る群より選択され;
は、
(1)水素、および
(2)非置換の、またはハロゲンもしくはヒドロキシで置換されたC1−6アルキル
から成る群より選択され;
Aは、
(1)−O−、および
(2)−NR10
から成る群より選択され;
mは0または1であり、mが0の場合は、Rはカルボニルに直接結合しており、但し、Rがメチルの場合は、Rはメチルでない)の化合物;
およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらのエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0009】
適切には、Arがヘテロ原子を含む芳香環である場合、窒素以外に最大1つのヘテロ原子を含む。適切な芳香族複素環式化合物は、1個の5員または6員の環を含み、以下に定義する「ヘテロアリール」内に含まれるものである。最も適切には、Arはフェニル、またはピリジンもしくはピリミジンなどの6員環の芳香族複素環、またはトリアゾール環である。好ましくは、Ar上の側鎖は、互いにパラ位にある。一実施形態では、Arは非置換である。別の実施形態では、Arはシクロプロピル基などのC3−6シクロアルキル基、非置換の、またはフッ素で置換されていてもよいC1−6アルキル基、適切にはメチルなどのC1−4アルキル基で置換されており、またはArはハロ、例えばフッ素もしくは塩素、好ましくはフッ素で置換されている。Arがトリアゾール環である場合は、環構成窒素原子の1個はメチル基で適切に置換されている。
【0010】
本発明の一実施形態では、式(0)の化合物は、式(I):
【0011】
【化10】

(式中、R、R、R、R、A、nおよびmは本明細書で定義された通り)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩、またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体である。
【0012】
一実施形態では、本発明は、(CH1a(式中、R1aは、非置換の、またはR2a、R2bおよびR2cで置換されたC3−6シクロアルキルである)から成る群より選択される化合物を含む。一実施形態では、適切には、nは1であり、R1aは非置換の(C3−6)シクロアルキル、好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルである。さらなる一実施形態では、適切には、nは0であり、R1aは非置換のC3−6シクロアルキル、好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0013】
別の実施形態では、Rはtert−ブチルである。
【0014】
本発明の一実施形態は、式Ia:
【0015】
【化11】

(式中、R1bは、非置換の、またはR2a、R2bおよびR2cで置換されたC3−6シクロアルキルであり、R、R2a、R2b、R2c、R、R、A、nおよびmは、本明細書で定義された通りである)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩、またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体を含む。適切には、nが1であり、R1bが非置換のC3−6シクロアルキル、好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0016】
本発明のさらに1つの実施形態では、RがR2a、R2bおよびR2cで置換された複素環である化合物を含む。複素環は、好ましくは、不飽和の複素環部分であり、例えばピリジルなどの窒素含有不飽和複素環であり、R2aおよびR2bは水素であり、R2cは水素、フッ素または例えば非置換の、またはR2aおよびR2bで置換されたピペリジニルまたはピロリジニルなどの飽和の窒素含有複素環基であり、およびR2cは水素(R2aおよびR2bは、C1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキル、または−NR1011からなる群より独立して選択される)、ピラニル(非置換の、またはC1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6−アルキル、もしくは−NR1011で置換されている)、ピロリル(非置換の、またはC1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキル、もしくは−NR1011で置換されている)、またはアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(非置換の、またはC1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキル、もしくは−NR1011で置換されている)である。適切には、Rが飽和の複素環部分である場合は、好ましくはピペリジニル、ピロリジニルまたはアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルであり、各々は場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよい。
【0017】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、式Ib:
【0018】
【化12】

(式中、R1cは、非置換の、またはR2a、R2bおよびR2cで置換された飽和複素環であり、R、R2a、R2b、R2c、R、R、A、nおよびmは、本明細書で定義された通りである)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体を提供する。適切には、R1cは、ピペリジニル、ピロリジニルまたはアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルであり、これらは場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよい。
【0019】
別の実施形態では、R1cは、非置換の、または1から6個のハロゲンで、好ましくはフッ素で、もしくはC1−6アルコキシで置換されたC3−6シクロアルキル基であり、場合によりC3−4シクロアルキルまたは1個または2個のさらなるメチル基または基−NR1011(式中、R10およびR11は、独立して水素またはC1−6アルキル、好ましくはメチルまたはエチルから選択される)で置換されたメチル基であり、またはR1cはフェニル基である。
【0020】
本発明の一実施形態は、RがC1−3アルキルまたは水素である化合物を含む。
【0021】
また、この実施形態範囲内では、本発明はRが水素である化合物を含む。
【0022】
本発明の一実施形態は、mが0である化合物を含む。
【0023】
この実施形態範囲内では、本発明は、式Ic:
【0024】
【化13】

(式中、R、R、R、およびRは、本明細書で定義された通りである)の化合物;またはこれらの医薬的に許容される塩またはこれらの個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む。
【0025】
さらに、この実施形態範囲内では、本発明は、Rが、
(1)R2a、R2bおよびR2Cで置換されたフェニル、
(2)R2a、R2bおよびR2Cで置換された、ピリジル、ピリミジニルまたはチエニルなどの複素環、
(3)非置換の、または1から6個のハロゲン、フェニルもしくは−NR1011で置換されたC1−8アルキル(前記フェニルはR2a、R2bおよびR2Cで置換されている)、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキル
から成る群より選択され、および
2a、R2bおよびR2Cは、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、および
(10)−NH
から成る群より独立して選択される)化合物を含む。
【0026】
また、さらにこの実施形態範囲内において、本発明はRが前記で定義されたR2a、R2bおよびR2Cにより置換されたフェニルまたはチエニルである化合物を含む。
【0027】
この実施形態範囲内において、本発明は、式Id:
【0028】
【化14】

(式中、R、RおよびRは、本明細書で定義された通りであり、BはCHまたはNであり、R2a、R2bおよびR2Cは、水素、フッ素、塩素、臭素、OCH、CF、OCFおよびNHから選択され、好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素およびCFから選択される)の化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。本発明の一実施形態では、BはCHである。本発明のさらなる態様では、BはNである。
【0029】
この実施形態範囲内では、本発明は、式Id’:
【0030】
【化15】

(式中、B、R、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書で定義された通りである)の化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。
【0031】
また、この実施形態範囲内では、本発明は、式Id”:
【0032】
【化16】

(式中、B、R、R2a、R2b、R2c、RおよびRは、本明細書で定義された通りである)の化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。
【0033】
本発明の一実施形態は、Rが基R3aであり、R3aがR2a、R2bおよびR2Cにより置換された本明細書で定義された複素環である化合物を含む。好ましい複素環基R3aは、不飽和複素環を含む。好ましくは、不飽和複素環は、1個以上の窒素原子を含む6員環であり、例えばピリジンが挙げられ、または硫黄原子および1個から3個の窒素原子、好ましくは2個または3個の窒素原子を含む5員環である。
【0034】
最も適切には、R3aは、1個、2個または3個の窒素原子およびさらに場合により複素環炭素原子の1つを介してスルホニル基に結合している酸素原子または硫黄原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員の不飽和複素環である。
【0035】
好ましくは、R3aは、基
【0036】
【化17】

(式中、X、YおよびZの少なくとも1つは窒素であり、他の基の1つは窒素であり、3位は炭素であり;R3bは、水素またはC1−6アルキル、好ましくはメチル)であり、またはR3aはピリジンである。
【0037】
最も好ましくは、R3aは、基
【0038】
【化18】

であり、R3bは水素またはメチルである。
【0039】
不飽和複素環は、非置換の、または1個または2個のハロゲン原子またはC1−6アルキル基またはC1−6ハロアルキル基で置換されていてもよい。好ましくは、不飽和複素環は、非置換または1個または2個のメチルまたはエチル基で置換されていてもよい。
【0040】
別の実施形態では、Rは場合によりシクロプロピル基またはNR1415基(R14は水素またはC1−6アルキル基であり、R15は、C1−6アルキル基であり、またはR14およびR15は、これらが結合している窒素原子と共に4員から6員の複素環を形成する)で置換されていてもよいC1−4アルキル基である。
【0041】
式(I)の化合物の好ましい基は、式Ie:
【0042】
【化19】

(式中、n、B、R1cおよびR2a、R2bおよびR2cは、本明細書で定義された通りであり、R3aは、場合によりハロゲンまたはC1−6アルキル基またはC1−6ハロアルキル基で置換されていてもよい不飽和複素環である)の基である。
【0043】
nは好ましくは0または1である。
【0044】
好ましいR1cの基は、本明細書に前記した通りである。
【0045】
2a、R2b、R2cは、好ましくは水素、CFまたはハロゲンであり、塩素またはフッ素が適切である。好ましくは、R2a、R2b、R2cの1つだけが、水素である。
【0046】
3aは好ましくは、1個以上の窒素原子を含む6員環であり、例えばピリジンが挙げられ、または硫黄原子または酸素原子および/または1個から3個の窒素原子、好ましくは2個または3個の窒素原子を含む5員複素環であり、該複素環は場合により、1個または2個のハロゲン原子またはメチルまたはエチルなどのC1−6アルキルまたはC1−6ハロアルキルで置換されていてもよい。
【0047】
複素環は、好ましくは環炭素原子の1つを介してスルホニル基に結合している。
【0048】
好ましい複素環は、トリアゾリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルなどの5員の不飽和複素環を含む。
【0049】
複素環上の置換基は、環炭素原子および/または窒素原子(窒素含有複素環の場合)に結合していてもよい。
【0050】
式(I)の化合物のさらに好ましい基は、式:
【0051】
【化20】

(式中、n、B、R1cおよびR2a、R2bおよびR2cは、前記した通りであり、R3bは、場合により、シクロプロピル基で置換されていてもよいC1−4アルキル基である)の基である。
【0052】
nは好ましくは0または1である。
【0053】
好ましいR1cの基は、前記した通りである。
【0054】
2a、R2bおよびR2cは、好ましくは水素、メチル、CFまたはハロゲンであり、塩素またはフッ素が適切である。R2a、R2bおよびR2cの1つだけが、水素であるのが好ましい。
【0055】
3bは、好ましくはプロピルまたはシクロプロピルメチルである。
【0056】
本発明の特定実施形態は、本明細書の実施例の表題化合物および医薬的に許容されるこれらの塩とこれらの個別のエナンチオマーおよびジアステレオマーから成る群より選択される化合物を包含する。
【0057】
本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を有することができ、従って、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個別のジアステレオマーの形態で生成し得る。分子に存在する種々の置換基の性質次第ではさらに不斉中心が存在することもある。このような不斉中心の各々が独立して2つの光学異性体を生成し、混合物におけるおよび純粋または部分的に純粋な化合物の形態における可能性のある光学異性体およびジアステレオマーは、すべて本発明の範囲に包含されるものとする。本発明はこれらの化合物のこのような異性形態のすべてを含む。式Iは化合物のクラスの構造を好ましい立体化学を含まずに示している。
【0058】
これらのジアステレオマーの個別の合成またはこれらのクロマトグラフィ分離は、本明細書に開示した方法に適切な修正を加えることによって当分野で公知の手順で行うことができる。これらの絶対的立体化学は、必要なときには公知の絶対的立体配置の不斉中心を有する試薬によって誘導体化した結晶質生成物または結晶質中間体のX線結晶学によって決定できる。
【0059】
所望の場合には、個別のエナンチオマーが単離されるように化合物のラセミ混合物を分離してもよい。分離は、例えば化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物に結合させる当分野で周知の方法によって行われジアステレオマー混合物を形成し、次いで分別結晶化またはクロマトグラフィのような標準方法によって個別のジアステレオマーを分離する手順で行う。結合反応はしばしば、鏡像異性的に純粋な酸または塩基を使用して塩を形成させる反応である。次に、付加されたキラル残基の開裂によってジアステレオマー誘導体を純粋なエナンチオマーに変換する。また、キラル固定相を使用する当分野で周知のクロマトグラフィ方法によって化合物のラセミ混合物を直接分離してもよい。
【0060】
または、公知の立体配置の光学的に純粋な出発原料または試薬を使用する立体選択的合成によって化合物のいずれかのエナンチオマーを当分野で周知の方法で得ることもできる。
【0061】
当業者には明らかであるが、本明細書中に使用したハロまたはハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。同様に、C1−6アルキルのようなC1−6は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を直鎖状または分枝状の配列で有する基を表すと定義される。C1−8アルキルは具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルを含む。置換基で独立して置換されていると指定された基は、複数のこのような置換基で独立して置換されていてもよい。本明細書中に使用した「複素環」という用語は、不飽和および飽和複素環部分の双方を含み、不飽和複素環部分(即ち、「ヘテロアリール」)は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびこれらのN−オキシドを含み、飽和複素環部分は、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、およびテトラヒドロチエニルおよびこれらのN−オキシドを含む。複素環は、(1,3−アルキレン基によって架橋し、例えばアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基などのアザビシクロアルカニル基を形成してもよい。
【0062】
「医薬的に許容される塩」という用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸のような医薬的に許容される無毒性塩基または酸から調製された塩を意味する。無機塩基に由来の塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛、などの塩である。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が特に好ましい。固体形態の塩は2つ以上の結晶構造で存在でき、また水和物の形態でもよい。医薬的に許容される有機の無毒性塩基に由来の塩は、第一級、第二級および第三級アミン、天然産生置換アミンのような置換アミン、環状アミンの塩、および、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノ−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。本発明の化合物が塩基性であるとき、無機酸および有機酸のような医薬的に許容される無毒性酸から塩を調製してもよい。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、などである。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸が特に好ましい。本明細書中に使用された本発明の化合物という用語が医薬的に許容される塩も含むことは理解されたい。
【0063】
本発明の代表例では、実施例および本明細書中に開示した化合物を使用する。本発明の範囲内の具体的な化合物は、後出の実施例に開示した化合物および医薬的に許容されるこれらの塩およびこれらの個別のジアステレオマーから成る群より選択された化合物を包含する。
【0064】
本発明の化合物は、グリシン輸送体GlyT1活性を阻害することが必要な哺乳動物などの患者に有効量の化合物を投与する段階を含む、グリシン輸送体GlyT1活性阻害方法に有用である。本発明は、本明細書中に開示された化合物をグリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤として使用することを目的とする。霊長類特にヒトに加えて様々な他の哺乳類を本発明の方法で治療できる。
【0065】
本発明は更に、本発明の化合物と医薬的担体または希釈剤とを組合せる段階を含む、ヒトおよび動物のグリシン輸送体GlyT1活性阻害医薬の製造方法を目的とする。
【0066】
本発明方法で治療される患者は、一般的に、グリシン輸送体GlyT1活性の阻害が望まれる哺乳動物、好ましくはヒト、男性または女性である。「治療有効量」という用語は、組織、系、動物またはヒト体内で研究者、獣医師、内科医または他の臨床医が求めるような生物学的または医学的応答を誘発する本発明の化合物の量を意味する。現在障害に苦しんでいる患者の治療またはこのような障害に苦しんだ患者の予防的治療を、有効量の本発明の化合物で行うことによって、神経性または精神医学的障害に影響を及ぼすことができることは当業者に理解されたい。本明細書中に使用した「治療」および「治療する」という用語は、本明細書中に記載した神経性および精神医学的障害の進行の遅延、中断、制止、管理または停止をもたらす全てのプロセスを表すが、障害症状全部の完全な除去を必ずしも意味せず、また該用語はまた、特にこのような疾患または障害の素因がある患者において上記の状態の進行を遅延させるかまたは危険を抑制する予防治療も意味する。
【0067】
本明細書中に使用した「組成物」という用語は、特定した成分を特定した量で含む製品、および、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる製品を包含すると理解されたい。医薬組成物に関するこのような用語は、(1種以上の)有効成分と、担体を構成する(1種以上の)不活性成分とを含む製品、および、2種類以上の成分の組合せ、複合化または集合化から、または、1種以上の成分の解離から、または、1種以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる製品を含む。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって製造されたいかなる組成物も包含する。「医薬的に許容される」という用語は、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と相容性でなければならないこと、および、このレシピエントに有害でないことを意味する。
【0068】
化合物「の投与」または「を投与する」という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを治療が必要な個体に与えることを意味すると理解されたい。
【0069】
グリシン輸送体活性、特にGlyT1活性を阻害する本発明の化合物の有効性は当分野で公知の方法によって証明し得る。GlyT1を内在的に発現しているヒト胎盤絨毛癌細胞(JAR細胞(ATCC No.HTB−144)を、96ウェルのCytostarシンチレーティングマイクロプレート(Amersham Biosciences)に入れ、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640培地中でペニシリン(100μg/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)の存在下に培養した。アッセイ前に、5%COの湿潤雰囲気中、37℃で細胞を40から48時間増殖させた。培養培地をCytostarプレートから除去し、本発明の化合物を添加または不添加の30μlのTB1A緩衝剤(120mMのNaCl、2mMのKCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、5mMのL−アラニン,トリス塩基でpH7.5に調整)と共にJAR細胞を1分間インキュベートした。次に、TB1Aで希釈した30μlの[14C]−グリシンを各ウェルに最終濃度10マイクロモルになるまで加えた。室温で3時間インキュベーション後、Cytostarシンチレーティングマイクロプレートを密閉し、Top Countシンチレーションカウンター(Packard)でカウントした。10mMの非標識グリシンの存在下で[14C]−グリシンの非特異的取込みを定量した。非特異的取込みを定量するために10mMの非標識タウリンを使用した以外は同じプロトコルに従って[14C]タウリン取込み実験を行った。力価を測定するために、一連の濃度の本発明の化合物を細胞に添加し、次いで一定濃度の[14C]グリシンを添加した。[14C]グリシンの特異的取込みを50%阻害した本発明の化合物の濃度(IC50値)をアッセイデータから非線形曲線適合によって決定した。
【0070】
特に、後出の実施例の化合物は、上記アッセイにおいて[14C]グリシンの特異的取込みを阻害する活性を一般に約10マイクロモル未満のIC50値で有していた。本発明の範囲内の好ましい化合物は、上記アッセイで[14C]グリシンの特異的取込みを阻害する活性を約1マイクロモル未満のIC50値で有していた。これらの化合物は、(JAR細胞中のタウリン輸送体TauTによる)[14C]タウリン取込みに比べて(JAR細胞中のGlyT1による)[14C]グリシン取込みに選択的であった。このような結果は、GlyT1輸送体活性の阻害剤として使用された化合物の固有活性を表す。
【0071】
NMDA受容体は広範囲のCNSプロセスの中心であり、ヒトまたは他の種の多様な疾患状態で1つの役割を果している。GlyT1輸送体の作用はNMDA受容体周囲のグリシンの局部濃度に影響を及ぼす。選択的GlyT1阻害剤はシナプスからのグリシン除去を減速させ、シナプスのグリシンレベルを上昇させる。これがNMDA受容体のグリシン結合部位の稼働率を増加させ、前シナプス終末からのグルタメート放出後のNMDA受容体の活性を増加させる。NMDA受容体が効率的に機能するためにはある量のグリシンが必要なので、この局部濃度の変化はNMDA依存性神経伝達に影響を及ぼす。NMDA依存性神経伝達の変化は、認知症、抑鬱、および、例えば統合失調症のような精神病、および、例えば注意欠陥や自閉症のような学習および記憶障害などのいくつかの神経精神医学的障害に関与していた。
【0072】
本発明の化合物は以下の状態または疾患の1つ以上を含むグルタメート作動性神経伝達機能不全に付随する様々な神経性および精神医学的障害の治療に有効性を有する:統合失調症または精神病、例えば、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型または分類不能型)、統合失調症様障害、統合失調症感情障害、妄想性障害、一時的精神障害、共有精神障害、全身の病的状態が原因の精神障害、物質誘発または薬物誘発(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激剤およびコカイン)精神病、精神障害、情動障害に付随する精神病、一時的反応性精神病、統合失調症感情精神病、「精神分裂スペクトル」障害例えば統合失調質もしくは統合失調性人格障害、または、統合失調症および他の精神病の陽性および陰性の双方の症状を含む精神病に付随する病気(例えば、主要うつ病、躁鬱異常性(双極性)障害、アルツハイマー病、外傷後ストレス症候群);認知障害、例えば、認知症(アルツハイマー病、虚血、多発梗塞性認知症、外傷、血管的問題または卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、分娩時低酸素症、他の全身の病的状態または物質濫用));譫妄、健忘症または加齢関連認知減退;不安障害、例えば、急性ストレス障害、広場恐怖症、一般的不安障害、強迫障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、隔離不安障害、社交恐怖症、特定恐怖症、物質誘発不安障害、全身病的状態が原因の不安;物質関連障害および嗜癖行為(例えば、物質誘発譫妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神病的障害または不安症;アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、催眠薬または不安寛解剤などの物質に対する耐性、依存、禁断);肥満、神経性過食症および強迫摂食障害;双極性障害、情緒障害例えば抑鬱障害;抑鬱、例えば、単極性抑鬱、季節的抑鬱および分娩後抑鬱、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、全身の病的状態が原因の情緒障害、物質誘発情緒障害;学習障害、広汎性発達異常例えば自閉症、注意欠陥例えば注意欠陥多動性障害(ADHD)、行為障害;NMDA受容体関連障害、例えば、自閉症、抑鬱、良性健忘症、小児期学習障害および閉鎖性頭部損傷;運動障害、例えば、無動症、無動−硬直症候群(パーキンソン病、薬物誘発パーキンソニズム、脳炎後パーキンソン症候群、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底変性、パーキンソン症候群−ALS認知症コンプレックス、基底神経節石灰化)、薬剤誘発パーキンソン症候群(神経遮断薬誘発パーキンソン症候群、神経遮断悪性症候群、神経遮断薬誘発急性ジストニア、神経遮断薬誘発急性アカシジア、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネジア、薬物誘発姿勢振戦)、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、癲癇、筋肉痙攣、筋肉の痙直または弱化に付随する障害、例えば振戦;ジスキネジア[振戦(安静時振戦、姿勢性振戦、企図時振戦)、舞踏病(シデナム舞踏病、ハンチントン舞踏病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球増加症、症候性舞踏病、薬物誘発舞踏病および片側バリズム)、ミオクローヌス(筋間代痙攣)(全身ミオクローヌスおよび局所ミオクローヌス)、チック(単純チック、複合チック、症候性チック)、ジストニア(全身ジストニア、例えば、痙性斜頚、薬物誘発ジストニア、症候性ジストニアおよび発作性ジストニア、並びに、局所ジストニア、例えば、眼瞼痙攣、口顎筋ジストニア、痙攣性発声障害、痙攣性斜頸、軸性ジストニア、ジストニア性書痙および片麻痺性ジストニア)];尿失禁;神経損傷、例えば、視神経損傷、網膜症または眼の黄斑変性、耳鳴、難聴、聴力喪失、脳浮腫;嘔吐;不眠症およびナルコレプシーのような睡眠障害。
【0073】
上記障害のうち、統合失調症、双極性障害、単極性抑鬱、季節性抑鬱および分娩後抑鬱などの抑鬱、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、学習障害、自閉症のような広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害のような注意障害、自閉、トゥレット病のようなチック症、恐怖症および外傷後ストレス障害のような不安障害、認知症、AIDS認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙直、ミオクローヌス、筋肉痙攣、耳鳴および難聴、聴力喪失に付随する認知障害の治療が特に重要である。
【0074】
特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む認知障害の治療方法を提供する。具体的な認知障害は、認知症、譫妄、健忘症および加齢関連認知減退である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、認知症、譫妄、健忘症および加齢関連認知減退のような認知障害の診断ツールを提供している。本明細書中に使用した「認知障害」という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表および分類系が存在すること、また、これらの系が医学および科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されたい。従って、「認知障害」という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含むものとする。
【0075】
別の特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む不安障害の治療方法を提供する。具体的な不安障害は、全身性不安障害、強迫障害、パニック発作である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、全身性不安障害、強迫障害、パニック発作のような不安障害の診断ツールを提供している。本明細書中に使用した「不安障害」という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表および分類系が存在すること、また、これらの系が医学および科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されたい。従って、「不安障害」という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含むものとする。
【0076】
別の特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む統合失調症または精神病の治療方法を提供する。具体的な統合失調症または精神病は、妄想型、解体型、緊張型または分類不能型統合失調症および物質誘発精神病的障害である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、妄想型、解体型、緊張型または分類不能型統合失調症および物質誘発精神病的障害の診断ツールを提供している。本明細書中に使用した「統合失調症または精神病」という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表および分類系が存在すること、また、これらの系が医学および科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されたい。従って、「統合失調症または精神病」という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含むものとする。
【0077】
別の特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む物質関連障害および嗜癖行為の治療方法を提供する。具体的な物質関連障害および嗜癖行為は、持続性認知症、持続性健忘症、精神病的障害または物質濫用によって誘発される不安症、濫用物質に対する耐性、依存、禁断である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、持続性認知症、持続性健忘症、精神病的障害または物質濫用によって誘発される不安症、濫用物質に対する耐性、依存、禁断のような物質関連障害および嗜癖行為の診断ツールを提供している。本明細書中に使用した「物質関連障害および嗜癖行為」という用語は、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療を含む。精神障害の代替的命名法、疾病分類表および分類系が存在すること、また、これらの系が医学および科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されたい。従って、「物質関連障害および嗜癖行為」という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含むものとする。
【0078】
別の特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む疼痛の治療方法を提供する。具体的な疼痛の例は、骨および関節の痛み(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、癌の痛み、筋膜性疼痛(筋肉傷害、線維筋肉痛)、手術関連疼痛(外科手術全般、婦人科)、慢性疼痛および神経性疼痛である。
【0079】
別の特定実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物を要治療患者に投与する段階を含む、過食に付随する肥満または摂食障害およびこれらに付随する合併症の治療方法を提供する。現在、肥満は、International Classification of Diseases and Related Health Problemsの第10版(ICD−10)(1992 World Health Organization)に全身の病的状態として含まれている。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの改訂第四版(DSM−IV−TR)(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)が、病的状態に影響を及ぼす心理的要因の存在下の肥満を含む診断ツールを提供している。本明細書中に使用した「過食に付随する肥満または摂食障害」という用語は、ICD−10およびDSM−IV−TRに記載されたような病的状態の治療を含む。全身の病的状態の代替的命名法、疾病分類表および分類系が存在すること、また、これらの系が医学および科学の進歩と共に発展することが当業者には理解されたい。従って、「過食に付随する肥満または摂食障害」という用語は、他の診断ソースに記載されている同様の障害を含むものとする。
【0080】
本発明の化合物は更に、本明細書中に示した疾患、障害および状態を予防、治療、管理、改善またはこの危険性を低減するための方法に有用である。
【0081】
本発明の化合物は更に、グリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤のような他の薬剤と組合せて上記に挙げた疾患、障害および状態を予防、治療、管理、改善またはこの危険性を低減するための方法に有用である。
【0082】
本発明の化合物または他の薬剤が有効性を発揮する疾患または状態を予防、治療、管理、改善またはこの危険性を低減するために、薬剤の併用がいずれか1つの薬剤の単独使用よりも安全で効率的である場合には本発明の化合物1種以上の他の薬剤と併用し得る。このような他の薬剤(複数を含む)は、これらの常用の経路および量で本発明の化合物と同時または順次に投与するとよい。本発明の化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用する場合には、このような他の薬剤と本発明の化合物とを含有する単一剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、本発明の化合物と1種以上の他の薬剤とをオーバーラップする別々の投与計画で投与する治療方法も併用療法に包含される。1種以上の他の有効成分と併用する場合には、本発明の化合物および他の有効成分は各々が単独で使用されるときよりも低い用量で使用できると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する医薬組成物を包含する。
【0083】
上記併用には、本発明の化合物と1種類の他の活性化合物との併用だけでなく、2種類以上の他の活性化合物との併用も含まれる。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有効な疾患または状態の予防、治療、管理、改善、またはこの危険性を低減するために使用される他の薬剤と併用し得る。このような他の薬剤は、これらの常用の経路および量で本発明の化合物と同時または順次に投与するとよい。本発明の化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用するとき、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する医薬組成物も包含する。
【0084】
本発明の化合物対第二有効成分の重量比は、各成分の有効用量次第で変更できる。一般には各成分の有効用量を使用する。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用するとき、本発明の化合物対他の薬剤の重量比は一般には約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の有効成分との組合せも一般的に上記の範囲内であるが、どの場合にも、各有効成分の有効用量を使用しなければならない。
【0085】
このような併用では、本発明の化合物と他の有効薬剤とを別々に投与してもよく、または、合わせて投与してもよい。更に、一方の要素の投与が他方の薬剤(複数を含む)の投与の前、同時または後のいずれでもよい。
【0086】
従って、本発明の化合物は、単独で使用してもよく、対象適応症に有効であることが判っている他の薬剤と併用してもよく、あるいは、受容体や酵素に影響を及ぼして本発明の化合物の有効性、安全性、利便性を増強するかまたは望ましくない副作用や毒性を減少させる他の薬物と併用してもよい。本発明の化合物および他の薬剤は、共存療法としてまたは固定配合薬として同時投与し得る。
【0087】
一実施形態では、本発明の化合物は、抗アルツハイマー薬、β−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンのようなNSAID類、ビタミンE、および抗アミロイド抗体と併用し得る。
【0088】
別の実施形態で本発明の化合物は、鎮静剤、催眠薬、不安寛解剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンタゴニストなど、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンズオクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクローラル、クローラルベタイン、クローラルヒドレート、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼパート、クロルジアゼポキシド、クロルエタン、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモール、ジアゼパム、ジクローラルフェナゾン、ジバルプロエックス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、フォサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフラー、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォル、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクローン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾラート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロフォス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム、およびこれらの塩、およびこれらの組合せ、などと併用してもよく、または本発明の化合物の投与を、光治療もしくは電気刺激のような物理療法と併用してもよい。
【0089】
別の実施形態において、本発明の化合物は、レボドパ(カルビドパまたはベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤添加または不添加)、ビペリデン(場合により塩酸塩または乳酸塩の形態)およびトリヘキシルフェニジル(ベンゾヘキソール)塩酸塩などの抗コリン作動薬、エンタカポーンなどのCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、−A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動性アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、アレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールなどのドーパミン受容体アゴニストと併用し得る。ドーパミンアゴニストが医薬的に許容される塩の形態、例えば、アレンテモールヒドロブロミド、ブロモクリプチンメシラート、フェノルドパムメシラート、ナキサゴリド塩酸塩、ペルゴリドメシラートでもよいことは理解されたい。リスリドおよびプラミペキソールは塩でない形態で使用されるのが普通である。
【0090】
別の実施形態において、本発明の化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環式ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよびインドロンクラスの神経遮断薬と併用し得る。フェノチアジン類の適例は、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジンである。チオキサンテン類の適例は、クロルプロチキセンおよびチオチキセンである。ジベンゾアゼピンの一例はクロザピンである。ブチロフェノンの一例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの一例はピモジドである。インドロンの一例はモリンドロンである。他の神経遮断薬としては、ロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンがある。本発明の化合物と併用するときの神経遮断薬は、医薬的に許容される塩の形態でよく、例えば、塩酸クロルプロマジン、メソリダジンベシラート、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸チオチキセン、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸モリンドンであることは理解されたい。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは塩でない形態で使用されるのが普通である。従って、本発明の化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパとベンセラジド、レボドパとカルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシルフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと併用し得る。
【0091】
別の実施形態において、本発明の化合物は、抗抑鬱剤または抗不安剤、例えば、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(第三級アミン三環系および第二級アミン三環系など)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆性阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレノレセプターアンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、異型抗抑鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、および、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストと併用し得る。具体的な薬剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレギリン;モクロベミド;ベンラファキシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロン、および医薬的に許容されるこれらの塩である。
【0092】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射、またはインプラント)、噴霧吸入、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所投与経路によって投与でき、各投与経路に適した医薬的に許容される従来の無毒性担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する適正な投与単位配合物として単独でまたは組合せて製剤化し得る。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトに使用するために有効である。
【0093】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、特定した成分を所定の量または割合で含む製品、および特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られる製品を含む。医薬組成物に関するこの用語は、1種類以上の有効成分と不活性成分を含む任意の担体とを含む製品、並びに、2種以上の成分の配合、複合化もしくは集合化、または、1種類以上の成分の解離、または、1種類以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる製品を含む。一般に医薬組成物は、有効成分を液体担体または微細分割固体担体またはこれら双方と均一かつ均質に会合させ、次いで必要ならば製品を所望の配合物に形成することによって調製できる。有効本発明の化合物は、疾患の進行または症状に所望の効果を生じるために十分な量で医薬組成物に含有される。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって製造したいかなる組成物をも包含する。
【0094】
経口使用するための医薬組成物は、医薬組成物の製造分野で公知の方法に従って調製でき、このような組成物は、医薬的にエレガントで服用し易い製剤とするための甘味料、嬌味料、着色料および保存料から成る群より選択された1種類以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適した医薬的に許容される無毒性賦形剤と混合された有効成分を含有する。錠剤は剤皮なしでもよく、または、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、これによって長期間の持続作用を与えるために公知技術によって剤皮をかけてもよい。経口使用するための組成物はまた、有効成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合した硬質ゼラチンカプセル、または、有効成分を水もしくは油媒体例えばピーナツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合した軟質ゼラチンカプセルの形態であってもよい。水性懸濁液、油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、水中油型エマルジョン、注射可能な無菌の水性または油性懸濁液は当分野で公知の標準方法によって調製できる。
【0095】
グリシン輸送体GlyT1活性の阻害が必要な状態を治療する場合、適正投与量レベルは、一般には1日に体重1kgあたり約0.01から500mgでよく、この量を単回または複数回投与できる。投与量レベルは、好ましくは1日に約0.1から約250mg/kgであり、より好ましくは1日に約0.5から約100mg/kgである。適正投与量レベルは、1日に約0.01から250mg/kg、約0.05から100mg/kg、または、約0.1から50mg/kgである。この範囲内で投与量は1日あたり0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgでよい。経口投与の場合、治療される患者への投与量を対症的に調整するために、組成物が、1.0から1000ミリグラムの有効成分、特に、1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態を有するのが好ましい。化合物は1日に1から4回、好ましくは1日に1回または2回の療法で投与するとよい。この投薬療法は最適な治療応答を生じるように調整し得る。しかしながら、個々の患者に対する具体的な投与量レベルおよび投与頻度は変更でき、使用される特定化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与方法および時間、排泄速度、併用薬物、個々の状態の重篤度、および宿主が受けている治療などに左右されることは理解されたい。
【実施例】
【0096】
化学的な記載および実施例に使用した略号の意味を以下に示す:
CHCl ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
PS−DIEA ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン
PS−DMAP ポリスチレン4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DCC ポリスチレンジシクロヘキシルカルボジイミド
Ra−Ni ラネーニッケル
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
MeOH メタノール
LAH 水素化リチウムアルミニウム
KHMDS ポタシウムビス(トリメチルシリル)アミド
MsCl メタンスルホニルクロライド。
【0097】
本発明の化合物のいくつかの調製方法を以下のスキームおよび実施例に示す。出発原料および必要な中間体はいくつかの場合には市販されており、または、文献に記載の手順で調製するかもしくは本明細書中に示した手順で調製できる。
【0098】
本発明の化合物は、以下のスキームに示すような反応を、文献で公知のまたは実験手順に例示した他の標準的操作と共に使用して類似化合物を調製するための当業者に公知の方法を使用して調製できる。スキームに示した置換基の番号は、特許請求の範囲に使用した番号と必ずしも相関していない。また、分り易いようにしばしば、上記に定義の条件下で複数の置換基が可能な化合物に対しても1個の置換基の結合だけを示している。本発明の化合物を生成させるために使用した反応は、本明細書中のスキームおよび実施例に示した反応を、文献から公知であるかまたは実験手順で例示したようなエステル加水分解、保護基の開裂などのような他の標準的操作と共に使用することにより調製される。
【0099】
いくつかの場合には、例えば、置換基の操作によって最終生成物を更に修飾し得る。これらの操作は、当業者に公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化、および、加水分解などの反応であるが、これらに限定されない。いくつかの場合には、反応を促進するためまたは望ましくない反応生成物の形成を防止するために上記反応スキームの実施順序を変更してもよい。本発明がより十分に理解されるように以下の実施例が提供される。これらの実施例は単なる代表例であり、本発明がこれらに限定されると決して解釈してはならない。
【0100】
式(I)の化合物は、式(II):
【0101】
【化21】

の対応する化合物をアシル化することにより調製される。
【0102】
このアシル化は、式(II)の化合物を、化合物RCOOHの反応性誘導体、例えば式RCOhalの酸ハライド、好ましくは適切な酸クロライドにより、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンなどの弱塩基の存在下、非極性溶媒、例えばジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素中で極端でない温度、例えば−20℃から100℃、好都合なのは0℃から50℃でアシル化することにより、簡便に実施される。式(II)の化合物は、反応スキームIにより調製することができる:
【0103】
【化22】

【0104】
反応スキーム(I)で説明されるように、4−クロロベンゾニトリルを、硫化ナトリウムおよびRhalと極性の非プロトン性溶媒中で反応させる、あるいはRが酸性複素環の場合は、替わりに4−フルオロベンゾニトリルを、メルカプト複素環化合物のアルカリ金属塩、例えば、4−メルカプト−[l,2,3]トリアゾールナトリウム塩と反応させて対応するスルファニル化合物を得ることができる。次いで、この化合物を「オキソン」と反応させて酸化する。このニトリル基を、水素化ジイソブチルアルミニウムとの反応によりアルデヒド基に変換し、得られた化合物をグリニャール試薬、例えばシクロプロピルマグネシウムブロマイドまたはアリルマグネシウムクロライドと反応させて、R基(グリニャール試薬がアルケニル基を含んでいる場合は、これを還元して対応するアルキル基としてもよいし、または亜鉛−銅合金の存在下ジヨードメタンと反応させて炭素−炭素二重結合からシクロプロピル基を形成させてもよい)を結合させる。グリニャール試薬付加物中の水酸基は、次に例えば塩化チオニルとの反応によりハロゲン化され、アンモニアとの反応によりアミノ化されて式(II)の化合物を得る。
【0105】
が複素環である場合は、式(II)の化合物は反応スキームIIによって調製することができる:
【0106】
【化23】

【0107】
が酸性複素環である場合は、式(I)の化合物は、スキームIIIの方法によって調製することができる:
【0108】
【化24】

【0109】
この場合、4−フルオロベンゾニトリルは、グリニャール試薬付加物を経て、前記したように水酸基がハロ、例えば塩素で置換処理される。ハライドは、適切には、クロライドは、例えば双極性の非プロトン性溶媒中、アジ化ナトリウムとの反応によりアジドと置換され、アジド基は次に還元され、得られたアミンは、好ましくは、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンなどの弱塩基の存在下、非極性溶媒、例えばジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素中で適切な酸クロライド,例えばRCOhalと反応させてアシル化される。
【0110】
また、式(I)の化合物は、対応するスルファニル化合物を酸化することによっても調製することができる。この酸化反応は、適切な溶媒、例えばアセトンなどのケトン中、極端でない温度、例えば−20℃から150℃、好都合なのは20℃から100℃で、「オキソン」と反応させることにより簡便に実施することができる。窒素含有複素環の場合には、環窒素原子を、例えばBOCで保護し、酸化後に保護基を除去するすることが必要である。
【0111】
スルファニル化合物を製造する代表的な方法は、スキームIV(この場合、Arがフェニルの場合について説明する)に示される。
【0112】
【化25】

【0113】
4−ブロモチオフェノールを、DMFなどの双極性の非プロトン性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、Rhalと反応させる。次いで、ブロモ基を、ブチルリチウムとの反応、次いでアルデヒドRCHOの付加反応により、(i)RCHOH基と置換する。水酸基は、アジド基によって置換され、このアジド基は、今度は、アミンに還元され、例えば適切な酸クロライドRCOhalと、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンなどの弱塩基の存在下、例えばジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素などの非極性溶媒中でアシル化される。得られた化合物を、次に前記したように酸化する。
【0114】
別法がスキームVに示される:
【0115】
【化26】

【0116】
試薬:i.Mg、EtO;ii.TMSCN、CsF、MeCN;iii.EtO;iv.NaBH、MeOH;v.1N HCl;vi.RCOCl、DCM、炭酸水素ナトリウム水溶液(aq.NaHCO);vii.オキソン、CHCl、アルミナ(等級V);R、R=アルキル。
【0117】
が飽和の複素環の場合は、適切なスルファニル化合物が以下の方法(スキームVI)により調製することができる:
【0118】
【化27】

【0119】
試薬:i.Mg、THF;ii.t−BuSONH、Ti(OEt)、THF;iii.THF;iv.MeOH、HCl;v.RCOCl、EtN、DMAP、DCM;vi.オキソン、MeOH、HO;vii.TFA、DCM
が不飽和複素環の場合は、適切なスルファニル化合物は、以下の方法(スキームVII)により調製することができる:
【0120】
【化28】

【0121】
Arがトリアゾール環である場合は、スルファニル化合物は、以下の方法(スキームVIIIおよびIX)で説明されるように調製することができる:
【0122】
【化29】

【0123】
置換基Rを導入する別の方法としては、例えばスキームXに示された方法を採用することができる:
【0124】
【化30】

【0125】
式(I)の化合物は、例えばRがピリジンの場合、スキームVIIで示したように、ピリジン環を部分還元し、環窒素原子をメチル化して式(I)の他の化合物に変換することができる。
【0126】
以下の実施例は、本発明の化合物の調製を説明するために提供される。
【0127】
(実施例1)
2,4−ジクロロ−N−{シクロプロピル[4−(プロピルスルホニル)フェニル]メチル}ベンズアミド
【0128】
【化31】

【0129】
a)4−(プロピルスルホニル)ベンゾニトリル
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の4−クロロベンゾニトリル(5g)に、窒素下で硫化ナトリウム(3.11g)を添加し、攪拌しながら混合物を油浴中130℃で48時間加熱した。混合物を室温にまで冷却し、1−クロロプロパン(4.0mL)を加え、12時間攪拌を続けた。混合物を氷浴中で冷却し、「オキソン」(34g)を攪拌しながら添加した。2時間後、水浴を取り除き、混合物を室温で14時間攪拌した。次に、反応混合物を等量の酢酸エチルで希釈し、固形物質を濾過により除去し、溶媒を減圧下、除いた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中15%から30%の酢酸エチルで溶出し、表題化合物をイソヘキサンから結晶化して白色固体として得た。H NMR(360MHz,CDCl)δ 8.05(2H,d,J=8.1Hz),7.88(2H,d,J=8.3Hz),3.10(2H,m),1.76(2H,m),1.02(3H,t,J=7.4Hz)。
【0130】
b)4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒド
窒素下−78℃に冷却した乾燥トルエン(10mL)に懸濁した4−(プロピルスルホニル)ベンゾニトリル(1.60g)に、トルエン(8.5mL)中、ジイソブチルアルミニウム水素化物の1M溶液を添加した。混合物を2時間攪拌し、次いで冷却浴を取り除き、反応物を室温まで加温した。氷浴中で冷却する前に反応物を室温で30分間維持し、2M塩酸水溶液(10mL)を添加してクエンチした。次に、混合物を室温で30分間攪拌した。有機相を分離し、水相をトルエンで抽出した。合わせた有機相を水、食塩水で順次洗い、溶媒を減圧下、除いて4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒドを得た。 H NMR(360MHz,CDCl)δ 10.14(1H,s),8.09(4H,m),3.11(2H,m),1.76(2H,m),1.02(3H,t,J=7.4Hz)。
【0131】
c)シクロプロピル−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]メタノール
窒素下−78℃に冷却した乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中の4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒド(0.58g)に、テトラヒドロフラン(6.0mL)中のシクロプロピルマグネシウムブロマイドの0.5M溶液を、攪拌しながらゆっくりと添加した。混合物を1.75時間攪拌し、酢酸(0.5mL)を加えてクエンチし、次いで室温にまで加温し、酢酸エチルと水に分配した。有機相を食塩水で洗浄し、溶媒を除き、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中35%から50%の酢酸エチルで溶出し、表題化合物を白色固体として得た。H NMR(360MHz、CDCl)δ 7.88(2H,d,J=8.3Hz),7.63(2H,d,J=8.4Hz),4.10(1H,m),3.06(2H,m),2.14(1H,d,J=2.9Hz),1.75(2H,m),1.18(1H,m),0.99(3H,t,J=7.4Hz),0.66(2H,m),0.49(2H,m)。
【0132】
d)2,4−ジクロロ−N−{シクロプロピル [4−(プロピルスルホニル)フェニル]メチル}ベンズアミド
乾燥ジクロロメタン(5mL)中、実施例1cの生成物(0.40g)に、塩化チオニル(3.0mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(0.01mL)を添加した。混合物を3時間攪拌し、次に減圧下で溶媒を除去し、残渣をトルエンと共沸した。残渣にメタノール(50mL)を加え、混合物を氷水浴で冷却し、アンモニアガスを飽和するまで吹き込んだ。次に、反応容器を密封し、室温で5日間、放置した。溶媒を除去し、残渣をトルエンと共沸し、真空乾燥した。生成物を乾燥ジクロロメタン(10mL)に取り上げ、トリエチルアミン(0.5mL)、次いで2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(0.5mL)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機相を分離し、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中30%の酢酸エチルで溶出し、ジエチルエーテル、次いでイソヘキサンを添加したジクロロメタンから結晶化して表題化合物を白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.88(2H,d,J=8.3Hz),7.64(3H,m),7.46(1H,d,J=2Hz),7.34(1H,dd,J=8.3,2Hz),6.82(1H,d,J=7Hz),4.59(1H,m),3.06(2H,m),1.75(2H,m),1.22(1H,m),1.00(3H,t,J=7.4Hz),0.72(2H,m),0.52(2H,m)。MS(ES)m/z 426,428および430[M+H]
【0133】
(実施例2)
2,4−ジクロロ−N−(シクロプロピル{4−[(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スルホニル]フェニル}−メチル)ベンズアミド
【0134】
【化32】

【0135】
a)4−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルチオ)ベンゾニトリル
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の4−フルオロベンゾニトリル(6.1g)に、窒素下で4−メルカプト−1,2,3−トリアゾールナトリウム塩(6.2g)を添加し、混合物を攪拌しながら油浴中125℃で18時間加熱した。混合物を室温にまで冷却し、殆どの溶媒を減圧下、除去した。残渣を酢酸エチルと水に分配し、有機相を水、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(硫酸マグネシウム)し、溶媒を減圧下、除去した。残渣をトルエンと共沸し、得られた固形物質をイソヘキサンで粉末化し、濾取し、冷トルエン、次いでイソヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して表題化合物を黄色固体(8.4g)として得た。H NMR(360MHz,CDCl)δ 12.45(1H,br s),
7.92(1H,s),7.51(2H,d,J=8.5Hz),7.22(2H,d,J=8.5Hz)。
【0136】
b)4−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルスルホニル)ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中、実施例2aの生成物(5.4g)に、窒素下、「オキソン」(24g)を攪拌しながら添加した。混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水洗し、有機相を減圧下、除いた。生成物をトルエン−イソヘキサンから結晶化して白色固体(5.1g)を得た。H NMR(360MHz,d−DMSO)δ 8.96(1H,br s),8.16(5H,m)。
【0137】
c)4−[(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スルホニル]ベンゾニトリル
乾燥N,Nジメチルホルムアミド(40mL)中、実施例2bの生成物(1.55g)に、窒素下、炭酸セシウム(15g)、次いで硫酸ジメチル(1.0mL)を攪拌しながら滴下して加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒の殆どを減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと水に分配し、有機相を水洗し、溶媒を減圧下、除去した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中60%から100%の酢酸エチルで溶出し、表題化合物をより極性の2番手溶出異性体(0.54g)として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.20(2H,d,J=8.6Hz),8.16(1H,s),7.85(2H,d,J=8.5Hz),4.17(3H,s)。
【0138】
d)4−[(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スルホニル]ベンズアルデヒド
窒素下−78℃に冷却した乾燥トルエン(5mL)に懸濁した実施例2cの生成物(0.290g)に、トルエン(1.34mL)中のジイソブチルアルミニウム水素化物の1M溶液を添加した。混合物を2時間攪拌し、次いで冷却浴を取り除き、反応物を室温まで加温した。反応物を室温で30分間維持し、次いで氷浴中で冷却し、1M塩酸水溶液(10mL)および酢酸エチルを添加してクエンチした。次に、混合物は室温で30分間攪拌した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水、食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下、除いて表題化合物(0.268g)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 10.10(1H,s),8.26(2H,d,J=8.4Hz),8.15(1H,s),8.04(2H,d,J=8.5Hz),4.17(3H,s)。
【0139】
e)シクロプロピル−{4−[(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スルホニル]フェニル}メタノール
窒素下−78℃で、乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中、実施例2dの生成物(0.268g)に、テトラヒドロフラン(4.3mL)中のシクロプロピルマグネシウムブロマイドの0.5M溶液を、攪拌しながらゆっくりと添加した。混合物を2時間攪拌し、室温にまで加温し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、次いで酢酸エチルと水に分配した。有機相を食塩水で洗浄し、溶媒を除いて表題化合物(0.329g)を得た。H NMR(360MHz,CDCl)δ 8.09(1H,s),8.04(2H,d,J=8.5Hz)、7.60(2H,d,J=8.4Hz),4.14(3H,s)、4.06(1H,d,J=8.5Hz),2.14(1H,br s),1.14(1H,m),0.63(2H,m),0.46(2H,m)。
【0140】
f)2,4−ジクロロ−N−(シクロプロピル−{4−[(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スルホニル]フェニル}メチル)ベンズアミド
乾燥ジクロロメタン(5mL)中、実施例2eの生成物(0.329g)に、塩化チオニル(3.0mL)を添加した。混合物を3時間攪拌し、次いで溶媒を減圧下、除去し、残渣をトルエンと共沸した。この残渣に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)とアジ化ナトリウム(0.3g)を加えた。混合物を50℃で2日間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機相を除去して褐色の油を得て、これを真空乾燥した。生成物を、テトラヒドロフラン(5mL)に取り上げ、水(0.5mL)およびトリフェニルホスフィン(0.58g)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を強酸性カチオン交換樹脂(20g,scxカートリッジ)に適用し、メタノール、次にアンモニア(メタノール中2M)で溶出し、所望のアミンを回収した。アミン含有画分を濃縮し、残渣をトルエンと共沸し、残渣を乾燥ジクロロメタン(2mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.75mL)、次いで2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(0.2mL)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機相を分離し、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中60%の酢酸エチルで溶出し、ジエチルエーテル、次いでイソヘキサンを添加してジクロロメタンから結晶化した後表題化合物を白色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.07(1H,s),8.04(2H,d,J=8.4Hz),7.60(3H,m),7.43(1H,d,J=2Hz),7.31(1H,dd,J=8.3,2Hz),6.83(1H,br d,J=7Hz),4.53(1H,m),4.13(3H,s),1.19(1H,m),0.69(2H,m),0.50(2H,m)。MS(ES)m/z 465,467および469[M+H]
【0141】
(実施例3)
2,4−ジクロロ−N−{2−シクロプロピル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0142】
【化33】

【0143】
a)1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]ブテ−3−エン−1−オール
窒素下−78℃で、乾燥テトラヒドロフラン(30mL)中、実施例1bの生成物(3.03g)に、テトラヒドロフラン(10mL)中のアリルマグネシウムクロライドの2M溶液を、攪拌しながらゆっくりと添加した。混合物を2時間攪拌し、次いで0℃にまで加温し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、次いで酢酸エチルと水に分配した。有機相を食塩水で洗浄し、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中30%の酢酸エチルで溶出し、表題化合物(3.29g)を無色固体として得た。MS(ES)m/z 255[M+H]
【0144】
b)2−シクロプロピル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタノール
窒素雰囲気下、活性化亜鉛末(3.0g)および塩化第一銅(0.456g)に、乾燥ジエチルエーテルを加え、混合物を30分間、加熱還流した。次いでジヨードメタン(0.62mL)を加え、混合物を1時間、加熱還流した。実施例3aの生成物(1.02g)およびジヨードメタン(0.5mL)の乾燥ジエチルエーテル(10mL)溶液を加え、5時間還流を続けた。次いで、ジヨードメタン(0.5mL)をさらに加え、混合物を18時間、加熱還流した。反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、固形物質を濾過して除き、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィに付し、イソヘキサン中30%の酢酸エチルで溶出し、表題化合物(0.72g)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.85(2H,d,J=7.6Hz),7.56(2H,d,J=8.1Hz),4.89(1H,m),3.05(2H,m),2.32(1H,br s),1.73(2H,m),1.66(2H,m),0.99(3H,t,J=7.4Hz),0.71(1H,m),0.48(2H,m),0.12(1H,m),0.04(1H,m)。
【0145】
c)2,4−ジクロロ−N−{2−シクロプロピル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
実施例2fの方法に従って、実施例3bの生成物を表題化合物に変換した。H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.88(2H,d,J=8.3Hz),7.69(1H,d,J=8.4Hz),7.57(2H,d,J=8.3Hz),7.45(1H,d,J=2Hz),7.33(1H,dd,J=8.3,2Hz),6.90(1H,d,J=7Hz),5.29(1H,m),3.05(2H,m),1.85(1H,m),1.74(3H,m),1.00(3H,t,J=7.4Hz),0.65(1H,m),0.51(2H,m),0.13(2H,m)。MS(ES)m/z 440,442および444[M+H]
【0146】
(実施例4)
2,4−ジクロロ−N−{2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロピル}ベンズアミド
【0147】
【化34】

【0148】
a)1−ブロモ−4−(プロピルチオ)ベンゼン
4−ブロモチオフェノール(18.8g,100mmol)のDMF(100ml)攪拌溶液に、炭酸カリウム、次いで1−ヨードプロパン(18.7g,100mmol)を加え、反応混合物を16時間攪拌した。反応を水(10ml)でクエンチし、反応混合物を酢酸エチル(200ml)と水(100ml)に分配した。有機相を分離し、水(100ml)、食塩水(50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、淡黄色油を得た(21g)。この油はさらに精製することなく次の工程に使用された。H NMR δ(CDCl)7.37(2H,d,J=8.2Hz),7.16(2H,d,J=8.2Hz),2.86(2H,t,J=7.3Hz),1.65(2H,m),1.02(3H,t,J=7.3Hz)。
【0149】
b)2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]プロパン−1−オール
1−ブロモ−4−(プロピルチオ)ベンゼン(500mg,2.16mmol)のTHF(10ml)攪拌溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,0.91ml,2.27mmol)を加えた。得られた黄色溶液を−78℃で15分間攪拌し、ピバルデヒド(0.29ml,2.59mmol)を加えた。混合物を室温にまで加温し、その間、溶液は無色になった。混合物を酢酸エチル(60ml)と水(30ml)に分配した。有機相を分離し、食塩水(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させ無色油を得た。粗製の生成物をシリカクロマトグラフィに付し、ヘキサン中5%の酢酸エチルで溶出し、表題生成物を淡黄色油(468mg)として得た。H NMR δ(CDCl)7.28−7.20(4H,m),4.36(1H,s),2.89(2H,t,J=7.3Hz),1.84(1H,s),1.71−1.63(2H,m),1.02(3H,t,J=7.3Hz),0.91(9H,s)。
【0150】
c)1−(1−アジド−2,2−ジメチルプロピル)−4−(プロピルチオ)ベンゼン
2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]プロパン−1−オール(466mg,1.95mmol)のTHF(10ml)の攪拌溶液に、トリフェニルホスフィン(666mg,2.54mmol)、アゾジカルボン酸ジエチルエステル(0.40ml,2.54mmol)および最後にジフェニルホスホリルアジド(0.55ml,2.54mmol)を加えた。混合物を室温で3日間攪拌した。水(1ml)を加え、混合物を蒸発した。残渣を酢酸エチル(50ml)と水(30ml)に分配した。有機相を分離し、食塩水(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して油を得た。粗製の生成物をシリカクロマトグラフィに付し、ヘキサン中4%酢酸エチルで溶出し、表題生成物を淡黄色油(284mg)として得た。H NMR δ(CDCl)7.29−7.27(2H,m),7.17−7.15(2H,m),4.23(1H,s),2.92(2H,t,J=7.3Hz),1.73−1.67(2H,m),1.04(3H,t,J=7.4Hz),0.90(9H,s)。
【0151】
d)2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]プロパン−1−アミン
1−(1−アジド−2,2−ジメチルプロピル)−4−(プロピルチオ)ベンゼン(282mg,1.07mmol)のTHF(8ml)の攪拌溶液に、トリフェニルホスフィン(842mg,3.21mmol)および水(2ml)を加えた。混合物を50℃で18時間加熱し、次いで室温に冷却した。メタノール(10ml)を加え、混合物は予めメタノール中、HClで前処理されたSCXカートリッジを通過させ、最初にカラム長の数個分のメタノールで溶出してトリフェニルホスフィンオキシドを除去し、次いで、メタノール中アンモニアの2M溶液で生成物を溶出した。適切な画分を濃縮して表題生成物を淡黄色油(231mg)として得た。H NMRδ(CDC1)7.27−7.19(4H,m),3.67(1H,s),2.89(2H,t,J=7.3Hz),1.72−1.62(2H,m),1.02(3H,t,J=7.3Hz),0.89(9H,s)。
【0152】
e)2,4−ジクロロ−N−{[2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]プロピル}ベンズアミド
2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]プロパン−1−アミン(231mg,0.973mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.20ml,1.17mmol)のDCM(3ml)の攪拌溶液に、2,4−ジクロロベンゾイルクロラド(0.16ml,1.17mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。DCM(5ml)と水(5ml)を加え、混合物を激しく5分間攪拌し、次いでPTFE製分離フリットを通過させた。有機相を集め、蒸発してオレンジ色の油を得た。粗製の生成物をシリカクロマトグラフィにかけ、ヘキサン中17%酢酸エチルで溶出し、表題生成物を白色の泡状物質(322mg)として得た。H NMR δ(CDCl)7.72−7.70(1H,m),7.45−7.44(1H,m),7.33−7.25(3H,m),7.16(2H,d,J=8.1Hz),6.96(1H,d,J=8.1Hz),4.95(1H,d,J=9.0Hz),2.89(2H,t,J=7.3Hz),1.71−1.63(2H,m)1.05−0.98(12H,m);m/z=410:412(3:2)。
【0153】
f)2,4−ジクロロ−N−{2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロピル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{[2,2−ジメチル−1−[4−(プロピルチオ)フェニル]−プロピル}ベンズアミド(322mg,0.788mmol)のアセトン(5ml)攪拌溶液に、水(2.5ml)中で「オキソン」(1.45g,2.35mmol)を加えた。混合物を2時間、加熱還流し、次いで室温にまで冷却した。水(10ml)を添加し、2M炭酸水素ナトリウム溶液でpHを7に調整した。混合物をDCM(3ml)で抽出し、有機相をMgSOで乾燥し、蒸発して黄色油を得た。粗製の生成物をシリカクロマトグラフィにかけ、ヘキサン中30%酢酸エチルで溶出し、得られる無色油をジエチルエーテルから結晶化して白色固体(205mg)を得た。H NMR δ(CDCl)7.86(2H,d,J=8.3Hz),7.72(1H,d,J=8.4Hz),7.48−7.46(3H,m),7.33(1H,dd,J=2.0,8.4Hz),7.11(1H,d,J=8.2Hz),5.01(1H,d,J=8.2Hz),3.08−3.04(2H,m),1.81−1.73(2H,m),1.02−0.98(12H,m);m/z=442:444(3:2)
(実施例5および6)
(2R)−2−{(R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[4−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタートおよび(2R)−2−{(S)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[4−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート
【0154】
【化35】

【0155】
a)tert−ブチル2−{(Z)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート
tert−ブチルスルフィンアミド(1.21g,10mmol)を、tert−ブチル2−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラート(1.64g,7.7mmol)およびチタンエトキシド(3.2mL,15.4mmol)のTHF(20mL)攪拌混合物に加えた。反応混合物を周囲温度で12時間攪拌し、食塩水(100mL)および酢酸エチル(100mL)の2相混合物に注ぎ、さらに30分撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、分液した。有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮して精製することなく使用される表題生成物(2.77g)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.93(1H,dd,J=6.8,2.1Hz),5.03(1H,br),4.00(1H,br s),2.76−3.03(1H,br),2.1(1H,d,J=13Hz),1.87−1.55(3H,m),1.50−1.40(9H,br),1.36−1.13(11H,m)。
【0156】
b)4−(エチルチオ)フェニルマグネシウムブロマイド
1−ブロモ−4−(エチルチオ)ベンゼン(0.5g,2.3mmol)を、削り屑状マグネシウム(1.96g,82mmol)のTHF(10mL)攪拌混合物に加えた。次いで、1,2−ジブロモエタン(30μL)を加え、混合物を加熱還流して反応を開始した。1−ブロモ−4−(エチルチオ)ベンゼン(18.2g,84mmol)のTHF(60mL)溶液を、温和な還流に反応混合物を維持するような速度で加えた。次いで、反応混合物を50℃で90分間攪拌し、周囲温度に冷却して4−(エチルチオ)フェニルマグネシウムブロマイドの1.16MのTHF溶液を得、これは次の反応に使用された。
【0157】
c)tert−ブチル2−{アミノ[4−エチルチオ]フェニル}メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート
4−(エチルチオ)フェニルマグネシウムブロマイドのTHF(10mL,11.6mmol)溶液を、冷却(0℃)したtert−ブチル2−{(Z)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート(1.5g,4.7mmol)のTHF(10mL)溶液に加え、混合物を60分間攪拌した。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液および33%アンモニア水の1:1混合液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をメタノール(20mL)に溶解し、0℃に冷却し、ジオキサン(5mL)中、4N塩酸で処理し、30分間攪拌した。反応物を4N水酸化ナトリウム水溶液(6mL)を加えて中和し、混合物をDCMで抽出した。有機の抽出液を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し、酢酸エチル(0から60%)の濃度勾配を有するイソ−ヘキサンで、次いでタノール(2から10%)の濃度勾配を有するジクロロメタンで溶出し、表題生成物をジアステレオ異性体(760mg,45%)の2:1混合物として得た。H NMR(360MHz,CDCl,2:1混合物):δ 7.30−7.20(4H,m),4.12−4.27(2H,br),3.88−4.00(1H,br),3.63−3.75(1H,br),2.90(2H,q,J=7.4Hz),2.80(1H,dt,J=2.6,13.4Hz),2.11(1H,d,J=13.2Hz),1.37−1.75(7H,m),1.29(3H,t,J=7.4Hz),1.22(3H,s),1.18(6H,s)。
【0158】
d)2−{{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[4−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート
tert−ブチル2−{アミノ[4−エチルチオ]フェニル}メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート(94mg,0.27mmol)、トリエチルアミン(0.102mL,0.72mmol)および4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン(5mg,0.04mmol)の混合物に、2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(130mg,0.54mmol)を加え、混合物を周囲温度で15分間攪拌した。次いでメタノール(0.5mL)を加えて、反応液を減圧濃縮した。残渣をメタノール(5mL)で処理し、オキソン(登録商標)(0.8mg,1.3mmol)の水(4mL)溶液を滴下して加えた。混合物を1時間攪拌し、NaSOの0.5M水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を分取TLC(イソ−ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製して2つのジアステレオ異性体を得た。両方の試料を別々にジクロロメタン中20%トリフルオロ酢酸で処理し、周囲温度で2時間後、濃縮して、表題生成物の可能な両方のジアステレオ異性体を得た。(2R)−2−{(R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[4−(エチルスルホニル)フェニル]−メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート。H NMR(500MHz,CDOD): δ 8.00(2H,d,J=8.2Hz),7.88(1H,d,J=8.1Hz),7.79(1H,d,J=7.6Hz),7.73(2H,d,J=8.2Hz),7.58(1H,t,J=7.9Hz),5.36(1H,d,J=9.8Hz),3.65(1H,m),3.51(1H,m),3.25(2H,q,J=7.3Hz),3.07(1H,dt,J=3.2,12.9Hz),1.90(2H,m),1.71(1H,m),1.59(1H,m),1.54−1.42(2H,m),1.23(3H,t,J=7.5Hz);MS m/e 489(M+1)。
【0159】
(2R)−2−{(S)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[4−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.03(2H,br d,J=8.3Hz),7.90(1H,d,J=7.8Hz),7.76(2H,d,J=8.4Hz),7.73(1H,d,J=7.7Hz),7.59(1H,t,J=7.8Hz),5.52(1H,d,J=7.4Hz),3.67(1H,ddd,J=2.5,7.0,11.2Hz),3.42(1H,m),3.25(2H,q,J=7.4Hz),3.03 (1H,dt,J=3.1,13.0Hz),2.17(1H,br d,J=14.0Hz),1.99(1H,br d,J=13.4Hz),1.92(1H,br d,J=14.0Hz),1.54−1.76(3H m),1.25(3H,t,J=7.4Hz); MS m/e 489(M+1)。
【0160】
(実施例7)
2−クロロ−N−(l−{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【0161】
【化36】

【0162】
a)l−ブロモ−4−[(シクロプロピルメチル)チオ]ベンゼン
4−ブロモチオフェノ−ル(37.8g)を、N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)中、炭酸カリウム(30.4g)およびシクロプロピルメチルブロマイド(29.7g)で処理した。懸濁液を周囲温度で16時間攪拌し、次いでジエチルエーテル(500mL)で希釈した。有機相を水洗(2×500mL)し、乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を油(46.4g)として得た。H NMR(360MHz,CDCl): δ 7.38(2H,d,J=8.0Hz),7.21(2H,d,J=8.0Hz),2.83(2H,d,J=7.0Hz),1.08−0.98(1H,m),0.58(2H,q,J=5.1Hz),0.24(2H,q,J=5.1Hz)。
【0163】
b)2−メチル−2−[(トリメチルシリル)オキシ]プロパンニトリル
アセトニトリル(50mL)中の無水アセトン(3.7mL)に、フッ化セシウム(760mg)、次いでトリメチルシリルシアニド(10mL)を添加した。次いで、発熱反応が起こり、周囲温度に戻るまで1.5時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣を水(100mL)とジクロロメタン(100mL)に分配した。有機相を除き、乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を油(4.35g)として得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 1.60(6H,s),0.24(9H,s)。
【0164】
c)1−アミノ−1−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−2−メチルプロパン−2−オール
ジエチルエーテル(60mL)中のマグネシウム削り屑(888mg)に、1−ブロモ−4−[(シクロプロピルメチル)チオ]ベンゼン(8.4g)を加えた。混合物を16時間加熱還流し、次いで周囲温度に冷却した。次いで、2−メチル−2−[(トリメチルシリル)オキシ]プロパンニトリル(4.35g)のジエチルエーテル(30mL)溶液を加え、この溶液を周囲温度で7時間攪拌した。メタノール(30mL)中、水素化ホウ素ナトリウム(1.33g)をゆっくりと加え、溶液を2時間熟成させた。水(25mL)次いで1N塩酸(100mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。有機相をさらに1N塩酸(100mL)で抽出し、酸性抽出液を合わせた。抽出液を4N水酸化ナトリウム溶液で塩基性にし、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を黄色固体(3.7g)として得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 7.22−7.34(4H,m),3.77(IH,s),2.85(2H,d,J=7.0Hz),1.21(3H,s),1.09−1.03(1H,m),1.03(3H,s),0.57(2H,q,J=5.1Hz),0.24(2H,q,J=5.1Hz);m/z 307(M−16[NH])
【0165】
d)2−クロロ−N−(1−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
ジクロロメタン(2mL)中、1−アミノ−1−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−2−メチルプロパン−2−オール(150mg)および2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(300mg)を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2mL)で処理し、16時間激しく攪拌した。有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮して、残渣をシリカクロマトグラフィ(酢酸エチルの濃度勾配を有するイソ−ヘキサンで溶出)で精製し、表題化合物を泡状物質(189mg)として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.76(1H,d,J=7.8Hz),7.64(1H,d,J=7.6Hz),7.41(1H,t,J=7.8Hz),7.34(2H,d,J=8.2Hz),7.28(2H,d,J=8.2Hz),7.05(1H,br d,J=8.5Hz),4.98(1H,d,J=8.5Hz),2.87(2H,d,J=7.0Hz),1.45(3H,s),1.10(3H,s),1.09−1.04(1H,m),0.59(2H,q,J=5.1Hz),0.26(2H,q,J=5.1Hz);m/z 457,459。
【0166】
e)2−クロロ−N−(1−{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
メタノール(5mL)中の2−クロロ−N−(1−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(172mg)を、水(2mL)中「オキソン(登録商標)」(0.8g)で処理し、30分間攪拌した。この混合物を1N亜硫酸ナトリウム水溶液(5mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィ(酢酸エチルの濃度勾配を有するイソ−ヘキサンで溶出)で精製し、生成物を泡状物質(152mg)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.92(2H,d,J=8.4Hz),7.78(1H,d,J=7.8Hz),7.63(3H,t,J=7.4Hz),7.43(1H,t,J=7.8Hz),7.22(1H,d,J=8.4Hz),5.06(1H,d,J=8.4Hz),3.08−2.96(2H,m),1.51(3H,s),1.09(3H,s),1.05−0.95(1H,m),0.61−0.53(2H,m),0.18−0.10(2H,m);m/z 490,492(M+1),472,474[(M−18)+1]
【0167】
(実施例8および9)
(2R)−2−{(R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[3−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタートおよび(2R)−2−{(S)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[3−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート
【0168】
【化37】

【0169】
a)1−ブロモ−3−(エチルチオ)ベンゼン
ブロモエタンおよび4−プロピルチオ同族体に関して実施例4aで記載された条件を使用して、表題化合物を調製した。H NMR(360MHz,CDCl):δ 7.43 (1H,t,J=1.5Hz),7.28(1H,br d,J=8.0Hz),7.22 (1H,d,J=8.2Hz),7.13(1H,t,J=7.8Hz),2.94(2H,q,J=7.3Hz),1.32(3H,t,J=7.3Hz)。
【0170】
b)3−(エチルチオ)フェニルマグネシウムブロマイド
THF中表題化合物の1.16M溶液を、実施例5および6のb)に記載した条件を使用して調製した。
【0171】
c)tert−ブチル2−{アミノ−[3−(エチルチオ)フェニル]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート
3−(エチルチオ)フェニルマグネシウムブロマイドのTHF(10mL,11.6mmol)溶液を、tert−ブチル2−{(Z)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート(1.5g,4.7mmol)のTHF(10mL)冷却(0℃)溶液に加え、混合物を60分間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液および33%アンモニア水の1:1混合液50mLでクエンチし、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をメタノール(20mL)で処理し、0℃に冷却し、ジオキサン(5mL)中の4N塩化水素を加えた。30分間攪拌した後、4N水酸化ナトリウム水溶液(6mL)を加え、混合物をDCMで抽出した。有機抽出液を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を酢酸エチル(0から60%)の濃度勾配を有するイソ−ヘキサン、続いてメタノール(2から10%)の濃度勾配を有するジクロロメタンでシリカゲルから溶出して精製し、表題生成物をジアステレオ異性体の1.7:1混合物(860mg,51%)として得た。H NMR(360MHz,CDCl):δ 7.30−7.09(4H,m),4.30−4.1(2H,m),4.05−3.88(1H,br),3.78−3.60(2H,m),2.99−2.88(2H,m),2.80(1H,dt,J=2.8,13.4Hz),2.11(1H,d,J=13.6Hz),1.75−1.41(5H,m),1.34−1.30(3H,m),1.23(3.5H,s),1.20(5.5H,s)。
d)2−{{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[3−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート
tert−ブチル2−{アミノ[3−(エチルチオ)フェニル]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラート(94mg,0.27mmol)、トリエチルアミン(0.102mL、0.72mmol)および4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(5mg,0.04mmol)のジクロロメタン(1mL)混合液に、2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(130mg,0.54mmol)を加えた。この混合物を周囲温度で15分間撹拌し、メタノール(0.5mL)で処理し、濃縮した。残渣をメタノール(5mL)で処理し、オキソン(登録商標)(0.8mg,1.3mmol)の水溶液(4mL)を滴下して加えた。混合物を1時間攪拌し、0.5MのNaSO水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を分取TLC(イソ−ヘキサン/酢酸エチル1:1で溶出)により精製して2つのジアステレオ異性体を得た。両方の試料は、独立してジクロロメタン中20%トリフルオロ酢酸で処理し、周囲温度で2時間後、濃縮して表題生成物の可能な両方のジアステレオ異性体を得た。
【0172】
(2R)−2−{(R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[3−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.03(1H,s),7.98(1H,d,J=7.8Hz),7.88(1H,d,J=6.9Hz),7.82(1H,d,J=7.7Hz),7.80(1H,d,J=7.5Hz),7.75(1H,t,J=7.6Hz),7.59(1H,t,J=7.8Hz),5.36(1H,d,J=9.9Hz),3.67−3.63(1H,m),3.51(1H,br d,J=12.5Hz),3.25(2H,q,J=7.4Hz),3.06(1H,dt,J=3.1,13.0Hz),1.96−1.84(2H,m),1.75−1.67(1H,m),1.60−1.42(3H,m),1.23(3H,t,J=7.4Hz);MS m/e 489(M+1)。
【0173】
(2R)−2−{(S)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}[3−(エチルスルホニル)フェニル]メチル}ピペリジニウムトリフルオロアセタート。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.07(1H,s),7.98(1H,d,J=7.8Hz),7.90(1H,d,J=6.9Hz),7.85(1H,d,J=7.8Hz),7.77(1H,t,J=7.7Hz),7.73(1H,d,J=7.6Hz),7.59(1H,t,J=7.8Hz),5.52(1H,d,J=7.4Hz),3.67(1H,ddd,J=2.8,7.5,11.3Hz),3.40(1H,br d,J=12.7Hz),3.25(2H,q,J=7.4Hz),3.04(1H,dt,J=3.2,12.9Hz),2.15(1H,d,J=11.7Hz),1.95(2H,dd,J=13.3,29.1Hz),1.76−1.54(3H,m),1.25(3H,t,J=7.4Hz);MS m/e 489(M+1)。
【0174】
(実施例10)
2,4−ジクロロ−N−(1−{4−[シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}ブテ−3−エン−1−イル)ベンズアミド
【0175】
【化38】

【0176】
表題化合物を、1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]ブテ−3−エン−1−オール(実施例2fに記載の条件を用い、実施例3aに記載したように調製された)から得た。H NMR(400MHz,CDOD):δ 1.00(3H,t,J=7.4Hz),1.70−1.80(2H,m),2.60−2.72(2H,m),3.03−3.07(2H,m),5.17(1H,s),5.21(1H,d,J=8.0Hz),5.29−5.34(1H,m),5.66−5.76(1H,m),6.82(1H,d,J=6.9Hz),7.32(1H,dd,J=8.4,1.8Hz),7.44(1H,s),7.54(2H,d,J=8.2Hz),7.66(1H,d,J=8.3Hz),7.88(2H,d,J=8.2Hz);MS(ES)m/z428,426。
【0177】
(実施例11から46)
以下の出発原料は、下記のように調製された。
【0178】
a)tert−ブチル2−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)ピペリジン−1−カルボキシラート
【0179】
【化39】

【0180】
表題化合物が、tert−ブチル2−{(Z)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラートから、実施例5および6に記載された条件で、実施例7に記載されたグリニャール試薬を用いて、ジアステレオ異性体の1.5:1混合物として調製された。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.35−7.20(4H,m),4.28−4.14(2H,m),3.95(1H,br),3.69−3.63(2H,m),2.87−2.74(3H,m),2.11(1H,d,J=13.6Hz),1.71−1.47(5H,m),1.23(3.6H,s),1.18(5.4H,s),1.03(1H,m),0.59−0.55(2H,m),0.24(2H,q,J=5.1)。
【0181】
b)tert−ブチル(2S)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシラート
【0182】
【化40】

【0183】
実施例5および6に記載された条件を用い、市販のN−Boc−L−プロリナールから表題化合物が調製された。H NMR(360MHz,CDCl):δ 7.94(1H,m),4.70−4.46(1H,m),3.60−3.29(2H,m),2.25−1.71(4H,m),1.48−1.39(9H,m),1.24−1.17(9H,m)。
【0184】
c)tert−ブチル(2S)−2−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
【0185】
【化41】

【0186】
表題化合物が、実施例5および6に記載された条件および実施例7に記載されたグリニャール試薬を用いて、tert−ブチル(2S)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシラートから調製された。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.40−7.20(4H,m),4.72−4.52(1H,br),4.08−3.85(1H,br),3.70−3.40(1H,br),3.35−3.30(1H,br),2.85(2H,d,J=7.0Hz),2.00−1.40(13H,m),1.09−0.99(1H,m),0.56(2H,q,J=6.1Hz),0.23(2H,q,J=5.1Hz)。
【0187】
d)tert−ブチル(2R)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシラート
【0188】
【化42】

【0189】
実施例5および6に記載された条件を用い、市販のN−Boc−D−プロリナールから表題化合物が調製された。H NMR(360MHz,CDCl):δ 7.94(1H,m),4.70−4.46(1H,m),3.60−3.29(2H,m),2.25−1.71(4H,m),1.48−1.39(9H,m),1.24−1.17(9H,m)。
【0190】
e)tert−ブチル(2R)−2−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
【0191】
【化43】

【0192】
表題化合物が、実施例5および6に記載された条件および実施例7に記載されたグリニャール試薬を用いて、tert−ブチル(2R)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシラートから調製された。データは、tert−ブチル(2S)−2−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)ピロリジン−1−カルボキシラートに対するものと同じであった。
【0193】
f)tert−ブチル3−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]へプタン−2−カルボキシラート
【0194】
【化44】

【0195】
イソプロピルマグネシウムクロライド(THF中2M溶液41.3mL,82.6mmol)を、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.0g,41.3mmol)および2−tert−ブチル3−エチル2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシラート(EP947506に記載の方法に従って調製された)(7.9g,29.5mmol)のTHF(50mL)冷却(0℃)混合液に滴下して加えた。混合物を30分間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)および33%アンモニア水(50mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機の抽出液を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を酢酸エチル(0から60%)の濃度勾配を有するイソ−ヘキサンでシリカゲルから溶出し、精製して表題生成物(6.17g,73%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl3,1:1の回転異性体混合物):δ 4.37(0.5H,s),4.24(0.5H,s),4.13(0.5H,s),4.06(0.5H,s),3.78−3.71(3H,m),3.21−3.19(3H,m),2.58(1H,m),2.10−2.00(1H,m),1.80−1.40(4H,m),1.44(4.5H,s)および1.39(4.5H、m),1.19(1H,m)。
【0196】
g)tert−ブチル3−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシラート
【0197】
【化45】

【0198】
ジイソブチルアルミニウム水素化物(トルエン中1M溶液50mL,50mmol)を、tert−ブチル3−{[メトキシ(メチル)アミノ]−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]へプタン−2−カルボキシラート(6.17g,21.7mmol)の予め冷却(−78℃)したジエチルエーテル(80mL)溶液に加えた。混合物を−78℃で2時間攪拌し、次いで0℃で10分間攪拌した。反応物を1N塩酸(180mL)、ジエチルエーテル(150mL)およびヘキサン(150mL)の混合液に注ぎ、20分間攪拌した。有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をTHF(90mL)、tert−ブチルスルフィンアミド(3.15g,26mmol)およびチタンエトキシド(9.1mL,43.4mmol)で処理し、周囲温度で12時間攪拌した。混合物を食塩水(120mL)および酢酸エチル(150mL)で処理し、30分間攪拌した。有機相を除き、保持した。水性残渣を酢酸エチルでさらに2回洗浄した。合わせた有機抽出相を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を、酢酸エチル(0から60%)の濃度勾配を有する、0.5%トリエチルアミンを含むイソ−ヘキサンでシリカゲルパッドから溶出し、精製して表題生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.94−7.88(1H,m),4.33(0.5H,s),4.22(0.5H,s),4.10(0.5H,m),4.02(0.5H,m),2.75−2.65(1.5H,m)、2.58(0.5H,d,J5.5),1.88−1.50(4H,m),1.48−1.38(9H,m),1.34−1.26(2H,m),1.24−1.20(9H,m)。
【0199】
h)tert−ブチル3−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシラート
【0200】
【化46】

【0201】
表題化合物を、実施例5および6に記載された方法および実施例7に記載されたグリニャール試薬を用いて、tert−ブチル3−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシラートから調製した。ジアステレオ異性体および回転異性体の混合物のため複雑なNMR。MS m/e 389(M+1)。
【0202】
i)tert−ブチル(2S)−2−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}アゼチジン−1−カルボキシラート
【0203】
【化47】

【0204】
トリメチルシリルジアゾメタンのエーテル(2M,9mL)溶液を、1−Boc−L−アゼチジン−2−カルボン酸(3g,15mmol)、ジクロロメタン(20mL)およびメタノール(5mL)の氷浴中で冷却された攪拌混合物に、黄色が持続するまで滴下して加えた。混合物を減圧濃縮した。残渣をTHF(30mL)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.04g;20.9mmol)で処理し、0℃に冷却した。THF中のi−プロピルマグネシウムクロライド(2M,22.4ml,44.7mmol)を上記混合物に滴下して加え、30分間攪拌した。飽和NHCl水溶液(25ml)および濃NH(25ml)でクエンチした後、混合物を酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン−酢酸エチル0から100%)で精製して表題化合物(2.73g,75%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 5.03(1H,m),4.05(1H,m),3.87(1H,m),3.71(3H,s),3.22(3H,s),2.46(1H,m),2.13(1H,m),1.43(9H,s)。
【0205】
j)tert−ブチル(2S)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシラート
【0206】
【化48】

【0207】
前記g)で記載したように、tert−ブチル(2S)−2−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}アゼチジン−1−カルボキシラートから調製した。H NMR(500MHz,CDCl,ジアステレオ異性体の2.3:1混合物):δ 8.17(0.3H,d,J=4.9Hz),8.16(0.7H,d,J=4.0Hz),4.97(1H,m),3.95(2H,m),2.51(1H,m),2.21(1H,m),1.43−1.42(9H,二つのs),1.22−1.21(9H,二つのs)。
【0208】
k)tert−ブチル(2S)−2−(アミノ{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチル)アゼチジン−1−カルボキシラート
【0209】
【化49】

【0210】
実施例5および6に記載された方法および実施例7に記載されたグリニャール試薬を用いて、tert−ブチル(2S)−2−{(E)−[(tert−ブチルスルフィニル)イミノ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシラートから調製した。m/e 349(M+1)。
【0211】
l)2−シクロプロピルキノリン−4−カルボニルクロライド塩酸塩
【0212】
【化50】

【0213】
塩化オキサリル(1.5ml;17.5mmol)を、前記の酸(1.065g;5mmol)、DMF(1滴)およびDCM(20mL)の攪拌混合物に加えた。混合物を2.5時間攪拌し、減圧濃縮して生成物を得た。H NMR(360MHz,d−DMSO)δ 8.70(1H,d,J=8.5Hz),8.57(1H,d,J=8.1Hz),8.16−8.10(1H,m),7.92(1H,m),7.80(1H,s),3.09−2.99(1H,m),1.64−1.52(4H,m)。
【0214】
実施例11から46の調製のための一般的手順
酸塩化物(70から80mg)を、前記したアミン類(100mg)、トリエチルアミン(0.15mL)およびDMAP(5mg)のジクロロメタン(1mL)の攪拌溶液に加えた。混合物を30分間攪拌し、飽和NaHCO水溶液(2mL)でクエンチし、ヘキサンおよびジエチルエーテルの1:1混合物で2回抽出した(2×2mL)。有機相を濃縮し、シリカゲルパッド(1g,イソ−ヘキサン/酢酸エチル1:1で溶出)で濾過し、濃縮して粗製のアミド類を得た。塩基性窒素を含む生成物を次いでエーテル中過剰の1M塩化水素で処理してこの塩酸塩に変換し、次いで濃縮した。全てのサンプルを次いでメタノール(2mL)で処理し、オキソン(登録商標)2gの水(10mL)溶液を滴下して加えた。反応の進行は、LC−MSで観察した。反応が終了したら、反応物を0.5MのNaSO(2mL)および飽和NaHCO水溶液(2mL)でクエンチし、ジクロロメタン(3×2mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)し、濾過し、濃縮した。次いで、残渣を周囲温度でトリフルオロ酢酸およびジクロロメタンの1:2混合物(3mL)により2時間処理し、濃縮した。残渣を、精製し、可能ならば分取質量分析計直結HPLCにより、個々のジアステレオ異性体に分離して以下の表中の化合物を提供する。
【0215】
【表1】




【0216】
(実施例47)
2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}ベンズアミド
【0217】
【化51】

【0218】
a)4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒド
4−フルオロベンズアルデヒド(3.03mL,28.2mmol)およびn−プロピルスルフィン酸ナトリウム(4.03g,31.0mmol,J.Med.Chem.1989,32,2436に記載されるように合成された)を、乾燥DMSOに溶解し、得られた溶液を100℃で18時間加熱した。混合物を冷却し、次いで氷約50gの上に注いだ。氷が溶けた後、生成物を酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカクロマトグラフィによりヘキサン中20から40%酢酸エチルで溶出して生成物を白色固体(3.21g,54%収率)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.02(3H,t,J=7.5Hz),1.72−1.82(2H,m),3.10−3.14(2H,m),8.07−8.11(4H,m),10.14(1H,s).
b)(ジアリルアミノ)[4−(プロピルスルホニル)フェニル]アセトニトリル
ジアリルアミン(0.58mL,4.71mmol)を、塩酸(1M水溶液4.71mL,4.71mmol)と共に5分間攪拌した。シアン化カリウム(307mg,4.71mmol)を加え、混合物を4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒド(1.00g,4.71mmol)を加える前にさらに10分間攪拌した。反応混合物を60℃で16時間撹拌した。周囲温度にまで冷やし、混合物を飽和NaHCO水溶液で処理し、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカクロマトグラフィによりヘキサン中30%酢酸エチルで溶出して表題化合物(1.22g,81%収率)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.01(3H,t,J=7.5Hz),1.71−1.81(2H,m),2.97(2H,dd,J=14.0,8.4Hz),3.06−3.10(2H,m),3.31−3.36(2H,m),5.16(1H,s),5.24(2H,d,J=10.2Hz),5.33(2H,d,J=17.1Hz),5.73−5.83(2H,m),7.78(2H,d,J=8.2Hz),7.94(2H,d,J=8.4Hz);m/z(ES+)319(M+H),292(M−CN),252(M−[CN+アリル])。
【0219】
c)N,N−ジアリル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタン−1,2−ジアミン
無水のTHF(5mL)を0℃に冷却し、98%硫酸(0.28mL,5.25mmol)で処理した。15分間攪拌後、水素化リチウムアルミニウム(THF中1.0M溶液10.5mL,10.5mmol)を10分かけて滴下して加えた。混合物を0℃で60分間攪拌し、(ジアリルアミノ)[4−(プロピルスルホニル)フェニル]アセトニトリル(1.22g,3.83mmol)のTHF(3+2mL洗浄)を加えた。混合物を0℃で30分間、次いで40℃で1時間攪拌した。反応物を冷却し、注意深く粉末硫酸ナトリウム10水和物(3g)で処理した。混合物を周囲温度で15時間攪拌し、濾過し、濾液を濃縮して淡黄色の油を得た。このものはさらに精製することなく使用された。H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.01(3H,t,J=7.4Hz),1.75−1.81(2H,m),2.82(2H,dd,J=14.6,7.6Hz),2.95(1H,dd,J=13.0,6.0Hz),3.06−3.10(2H,m),3.18(1H,dd,J=13.1,7.5Hz),3.28−3.33(2H,m),3.86(1H,br t,J=6.7Hz),5.15−5.20(4H,m),5.77−5.85(2H,m),7.44(2H,d,J=8.3Hz),7.88(2H,d,J=8.3Hz);m/z(ES+)323(M+H),306(M−NH)。
【0220】
d)ジアリル{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}アミン
,N−ジアリル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタン−1,2−ジアミン(445mg,1.38mmol)、1,4−ジブロモブタン(0.18mL,1.51mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.26g,3.09mmol)をトルエン中で17時間加熱還流した。反応混合物を、周囲温度にまで冷却し、セライトで濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を水、次いで食塩水で洗い、乾燥(MgSO)し、濃縮した。粗製の生成物をSCXカートリッジを使用してジクロロメタン、次いでメタノール、最後にメタノール中2Mアンモニアで溶出して精製し、表題化合物を淡黄色油(266mg,51%収率)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.00(3H,t,J=7.5Hz),1.69−1.80(6H,m),2.45−2.54(4H,m),2.83−3.00(4H,m),3.05−3.09(2H,m),3.21(2H,dd,J=14.4,6.0Hz),4.07(1H,dd,J=8.3,5.2Hz),5.11−5.19(4H,m),5.76−5.84(2H,m),7.58(2H,d,J=8.3Hz),7.83(2H,d,J=8.4Hz);m/z(ES+)377(M+H),280(M−N[アリル])。
【0221】
e){1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}アミン
ジアリル{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}アミン(266mg,0.706mmol)の無水ジクロロメタン(8mL)溶液に、1,3−ジメチルバルビツール酸(0.44g,2.82mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(41mg,0.0355mmol)を加えた。混合物を1時間加熱還流し、その後、NMR分析では不完全な反応を示した。さらに1,3−ジメチルバルビツール酸(0.22g,1.41mmol)を追加し、混合物を6時間加熱還流した。冷却して、混合物を減圧濃縮し、次いでSCXカートリッジを用い、ジクロロメタン、次いでメタノール、最後にメタノール中2Mアンモニアで溶出して精製した。表題化合物が無色油(202mg,96%)として得られた。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 0.99(3H,t,J=7.4Hz),1.71−1.79(6H,m),2.39(1H,dd,J=12.0,3.8Hz),2.49−2.51(2H,m),2.64−2.76(3H,m),3.03−3.07(2H,m),4.18(1H,dd,J=10.2,3.7Hz),7.60(2H,d,J=8.3Hz),7.85(2H,d,J=8.4Hz);m/z(ES+)280(M−NH)。
【0222】
f)2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}ベンズアミド
{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}アミン(100mg,0.337mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、窒素下、トリエチルアミン(47mL,0.337mmol)、次いで、2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(47mL,0.336mmol)を加えた。混合物を周囲温度で2時間攪拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。生成物を、シリカクロマトグラフィによりジクロロメタン中3%メタノールで溶出し精製して生成物をオフホワイト固体(123mg,78%)として得た。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 1.00(3H,t,J=7.4Hz),1.69−1.81(6H,m),2.46−2.49(2H,m),2.58−2.62(2H,m),2.73(1H,dd,J=12.5,5.1Hz),2.91(1H,dd,J=12.52,9.5Hz),3.03−3.07(2H,m),5.01−5.09(1H,m),7.33(1H,dd,J=8.3,1.9Hz),7.46(1H,d,J=1.9Hz),7.56(2H,d,J=8.3Hz),7.64(1H,d,J=8.3Hz),7.72(1H,br d,J=3.9Hz),7.87(2H,d,J=8.32Hz);m/z(ES+)471(M+H),469(M+H),400(M−ピロリジン),398(M−ピロリジン)。
【0223】
(実施例48)
2−シクロプロピル−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}キノリン−4−カルボキサミド
【0224】
【化52】

【0225】
実施例47eに記載された中間体{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−2−ピロリジン−1−イルエチル}アミンを2−シクロプロピルキノリン−4−カルボニルクロライド(前記参照)と実施例47fに記載の条件で反応させた。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 0.97(3H,t,J=7.4Hz),1.07−1.11(2H,m),1.16−1.20(2H,m),1.66−1.77(6H,m),2.18−2.24(1H,m),2.48−2.50(2H,m),2.63−2.71(3H,m),2.91−3.02(3H,m),5.19−5.24(1H,m),7.29(1H,s),7.42−7.48(2H,m),7.56(2H,d,J=8.3Hz),7.62−7.66(1H,m),7.82(2H,d,J=8.3Hz),7.96(1H,d,J=8.4Hz),8.13(1H,d,J=8.3Hz);m/z(ES+)492(M+H)。
【0226】
(実施例49)
2,4−ジクロロ−N−{2−モルホリン−4−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0227】
【化53】

【0228】
a)N−アリル−N−{2−モルホリン−4−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}プロプ−2−エン−1−アミン
,N−ジアリル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタン−1,2−ジアミン(375mg,1.16mmol,実施例47cに記載されたように調製された)、2−ブロモエチルエーテル(0.15mL,1.16mmol)および炭酸ナトリウム(0.62g,5.81mmol)を60℃で一晩加熱した。混合物を減圧濃縮し、水で希釈し、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を得た。m/z(ES+)393(M+H)。
【0229】
b)2,4−ジクロロ−N−{2−モルホリン−4−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
N−アリル−N−{2−モルホリン−4−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}プロプ−2−エン−1−アミンを、実施例47の工程eおよびfに記載された条件を使用して表題化合物に変換した。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 1.01(3H,t,J=7.4Hz),1.72−1.79(2H,m),2.40(2H,br s),2.60(2H,br s),2.68(2H,d,J=6.6Hz),3.04−3.06(2H,m),3.66−3.70(4H,br s),5.12−5.16(1H,m),7.35(1H,dd,J=1.8,8.3Hz),7.49(1H,d,J=1.8Hz),7.54−7.58(3H,m),7.70(1H,d,J=8.3Hz),7.89(2H,d,J=8.2Hz);m/z(ES+)487(M+H),485(M+H),400,398。
【0230】
(実施例50)
2,4−ジクロロ−N−{2−ピペリジン−1−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0231】
【化54】

【0232】
a)2−メチル−N−{(1E)−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]メチレン}プロパン−2−スルフィンアミド
4−(プロピルスルホニル)ベンズアルデヒド(1.81g,8.53mmol,実施例47aに記載したように調製された)、チタン(IV)エトキシド(3.58mL,17.1mmol)およびTHF(50mL)を3時間加熱還流し、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物を、水でクエンチし、酢酸エチル(200mL)を加えた。セライトを加え、混合物を15分間攪拌し、濾過した。分液し、有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。表題化合物の収率は、定量的と推定され、物質はさらに精製することなく使用された。m/z(ES+)316(M+H)。
【0233】
b)1−(tert−ブチルスルフィニル)−2−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]アジリジン
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液0.33g,8.37mmol)を、少しずつトリメチルシリルスルホキソニウムヨージド(1.84g,8.37mmol)のDMSO(30mL)攪拌溶液に加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、この間に泡立ちが止み、混合物はほとんど透明となった。2−メチル−N−{(1E)−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]メチレン}プロパン−2−スルフィンアミド(1.76g,5.58mmol)を加え、得られた溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合物は水を加えてクエンチし、生成物を酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物(1.44g,88%収率)を得た。
【0234】
c)2−ピペリジン−1−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタナミンおよび2−ピペリジン−1−イル−2−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタナミン
アジリジン(232mg,0.704mmol)およびピペリジン(0.14mL,1.41mmol)のDMSO(2mL)溶液を、160℃、20分間マイクロ波で加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水(×3)、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。粗製物質をメタノール(4mL)に溶解し、濃塩酸のメタノール(2mL)溶液を加えた。1時間後、混合物を減圧濃縮して表題化合物の混合物を得た。m/z(ES+)311(M+H)。
【0235】
d)2,4−ジクロロ−N−{2−ピペリジン−1−イル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
表題化合物および2−ピペリジン−1−イル−2−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタナミンのアロイル化により生じる位置異性体は、実施例47fに概略を示した方法を用いて合成された。表題化合物は、シリカゲルクロマトグラフィに従いジクロロメタン中5%メタノールで溶出し、次いで質量分析計直結HPLCを用い精製して得た。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 0.83−0.89(2H,m),1.00(3H,t,J=7.4Hz),1.43−1.62(4H,m),1.72−1.81(2H,m),2.31(2H,br s),2.55(2H,br s),2.61(2H,d,J=5.8Hz),3.03−3.07(2H,m),5.05−5.10(1H,m),7.34(1H,dd,J=2.0,8.4Hz),7.47(1H,d,J=2.0Hz),7.54(2H,d,J=8.3Hz),7.68(1H,d,J=8.3Hz),7.78(1H,s),7.87(2H,d,J=8.3Hz)。
【0236】
(実施例51)
2,4−ジクロロ−N−{2−(ジエチルアミノ)−1−[4−プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0237】
【化55】

【0238】
a)N,N−ジエチル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタン−1,2−ジアミン
,N−ジアリル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エタン−1,2−ジアミン(473mg,1.47mmol,実施例47cに記載したように調製した)のメタノール(10mL)溶液に、アセトアルデヒド(約0.5mL,約9mmol)、酢酸(0.42mL,7.3mmol)および最後にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(203mg,3.2mmol)を加えた。混合物を窒素下、室温で一晩攪拌し、次に飽和NaHCO水溶液を加えてクエンチした。メタノールを減圧下、除き、残渣を水で希釈し、生成物を酢酸エチル(×3)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。粗製の生成物をジクロロメタンに溶解し、この溶液に1,3−ジメチルバルビツール酸(1.37g,8.8mmol)およびパラジウム(テトラキス)トリフェニルホスフィン(85mg,0.07mmol)を加えた。混合物を6時間加熱還流し、次いで冷却し、濃縮した。表題化合物は、SCXカートリッジを使用して部分的に精製された(得量330mg,2工程収率75%(純粋でないので近似的))。m/z(ES+)282(M−NH)。
【0239】
b)2,4−ジクロロ−N−{2−(ジエチルアミノ)−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}−ベンズアミド
表題化合物は、実施例47fに概略記載された方法を用いて、N,N−ジエチル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−エタン−1,2−ジアミンから調製された。分取HPLCにより精製して表題化合物を得た。m/z(ES+)473(M+H),471(M+H),398(M−NEt)。
【0240】
(実施例52)
2,4−ジクロロ−N−{2−[(2R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0241】
【化56】

【0242】
a)2−メチル−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロプ−2−エン−1−イル}プロパン−2−スルフィンアミド
ビニルマグネシウムブロマイド(THF中1.0M溶液3.3mL,3.3mmol)を、2−メチル−N−{(1E)−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]メチレン}プロパン−2−スルフィンアミド(1.0g,3.17mmol,実施例50aに記載したように調製した)のTHF(15mL)溶液に−78℃で滴下して加えた。混合物を−78℃で6時間攪拌し、次いで一晩室温にまで加温した。反応混合物を飽和NHCl水溶液を加えてクエンチし、生成物を酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。生成物を、シリカの勾配クロマトグラフィでヘキサン中、30から80%酢酸エチルで溶出して精製し、表題化合物を黄色固体(485mg,45%収率)として得た。m/z(ES+)366(M+Na),344(M+H)。
【0243】
b)2,4−ジクロロ−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロプ−2−エン−1−イル}ベンズアミド
2−メチル−N−{1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロプ−2−エン−1−イル}プロパン−2−スルフィンアミド(213mg,0.62mmol)をメタノールに溶解した。メタノール性塩化水素を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。次いで減圧濃縮し、残渣をジクロロメタンに懸濁し、窒素下、攪拌した。トリエチルアミン(0.173mL,1.24mmol)、次いで2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(87μL,0.62mmol)を加えて、反応混合物を一晩攪拌した。反応は、水および飽和NaHCO水溶液を加えてクエンチした。生成物を酢酸エチル(×2)で抽出し、次いで合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 0.99(3H,t,J=7.4Hz),1.66−1.76(2H,m),3.00−3.04(2H,m),5.30−5.37(2H,m),5.86(1H,t,J=6.9Hz),6.02−6.10(1H,m),7.19(1 H,d,J=7.9Hz),7.29(1H,dd,J=8.5,2.1Hz),7.40(1H,d,J=1.9Hz),7.56(2H,dd,J=8.3,2.5Hz),7.83(2H,d,J=8.3Hz)。
【0244】
c)2,4−ジクロロ−N−{2,3−ジヒドロキシ−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロピル}−ベンズアミド
実施例52bからのアルケン(358mg,0.87mmol)のアセトニトリル:水(2:1)(6mL:3mL)の攪拌溶液に、4−メチルモルホリンN−オキシド(0.20g,1.7mmol)、次いで四酸化オスミウム溶液(4重量%水溶液0.55mL,0.087mmol)を加えた。混合物を一晩室温で攪拌し、油噴出の狭軌の穴は別にして密閉した。反応は、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、生成物をジクロロメタン(×3)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカクロマトグラフィにより表題化合物(337mg,87%収率)を得た。m/z(ES+)448(M+H),446(M+H)。
【0245】
d)2,4−ジクロロ−N−{2−オキソ−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{2,3−ジヒドロキシ−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]プロピル}−ベンズアミド(325mg,0.73mmol)のTHF(6mL)溶液に、0℃で過ヨウ素酸ナトリウム(312mg,1.46mmol)、次いで水(3mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。生成物を酢酸エチル(×3)で抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。表題化合物は、さらに精製することなく使用された。
【0246】
e)2,4−ジクロロ−N−{2−[(2R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−{2−オキソ−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]−エチル}ベンズアミド(135mg,0.33mmol)の1,2−ジクロロエタン(5mL)溶液に、窒素下、(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン(81mL,0.66mmol)、次いでナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(138mg,0.65mmol)を加え、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物に飽和NaHCO水溶液を加えてクエンチし、生成物を酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。表題化合物の1つのジアステレオ異性体が、分取HPLCにより純粋な形態で分離された。H NMR δ(400MHz,CDCl)δ 1.00(3H,t,J=7.4Hz),1.32−1.40(1H,m),1.52−1.59(2H,m),1.71−1.82(4H,m),1.96−2.04(1H,m),2.37−2.42(1H,m),2.87(1H,br s),3.00(3H,s),3.03−3.07(2H,m),3.21−3.35(3H,m),5.15−5.19(1H,m),7.34(1H,dd,J=1.9,8.3Hz),7.47(1 H,d,J=1.9Hz),7.59−7.61(3H,m),7.87(2H,d,J=8.3Hz),8.31(1H,d,J=5.3Hz);m/z(ES+)515(M+H),513(M+H)。
【0247】
(実施例53)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]ベンズアミド
【0248】
【化57】

【0249】
a)4−[(シクロプロピルメチル)チオ]ベンズアルデヒド
4−ブロモチオフェノール(106.12g,561mmol)、シクロプロピルメチルブロマイド(83.3g,617mmol)および炭酸カリウム(85.2g,617mmol)を、DMF(400mL)中で一晩撹拌した。混合物を、水(1.5L)で希釈し、生成物をヘキサン(2×1L)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮して4−ブロモフェニルシクロプロピルメチルスルフィドを油(130.7g,定量的)として得た。前記したスルフィド(10g,41mmol)をTHF(400mL)に溶解し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液51mL)を滴下して添加した。添加が終了したら、混合物をさらに15分間攪拌し、DMFを滴下して加えた。反応混合物を18時間攪拌し、室温にまで加温した。反応は飽和NHCl水溶液、次いで水を添加してクエンチした。生成物をジエチルエーテル(×2)で抽出し、合わせた有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカのクロマトグラフィによりヘキサン中5から10%酢酸エチルで溶出して精製し、表題化合物を(5.50g,70%収率)で得た。H NMR δ(360MHz,CDCl)δ 9.92(1H,s),7.76(2H,d,J=8.4Hz),7.38(2H,d,J=8.2Hz),2.97(2H,d,J=7.0Hz),1.14−1.08(1H,m),0.67−0.62(2H,m),0.35−0.30(2H,7m)。
【0250】
b)N−((1E)−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
4−[(シクロプロピルメチル)チオ]ベンズアルデヒド(5.64g,29.4mmol)のTHF(250mL)溶液に、tert−ブチルスルフィンアミド(5.4g,44mmol)およびチタン(IV)エトキシド(12.6mL,60mmol)を加えた。反応混合物を室温で3日間攪拌し、水(250mL)および酢酸エチル(250mL)でクエンチした。混合物を30分間激しく攪拌し、次いでセライトで濾過し、酢酸エチルで十分に洗浄した。有機相を分離し、乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を油として得た。H NMR δ(360MHz,CDCl)δ 8.52(1H,s),7.74(2H,d,J=8.3Hz),7.36(2H,d,J=8.4Hz),2.95(2 H,d,J=7.0Hz),1.26(9H,s),1.14−1.06(1H,m),0.66−0.60(2H,m),0.34−0.29(2H,m)。
【0251】
c)N−[{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
i−PrMgCL.LiCl溶液(THF中1M溶液8.0mL,8mmol,Angewandte Chem.Int.Ed.Engl.2004,43,3333に記載されたように調製した)に、−15℃で、3−ブロモピリジン(0.77mL,8mmol)を加えた。混合物を−10℃で1時間、次いで0℃で1時間攪拌し、その後、N−((1E)−{4−[(シクロプロピルメチル)−スルホニル]フェニル}メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.18g,4mmol)のTHF(40mL)溶液に−78℃で加えた。反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで室温にまで加温し、さらに2時間攪拌した。混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカクロマトグラフィによりヘキサン中20−50%から75%酢酸エチルで、続いて酢酸エチル中5%メタノールで溶出して精製し、表題化合物をゴム状物質(695mg,46%収率)として得た。H NMR δ(360MHz,CDCl)δ 8.69(1H,s),8.53−8.52(1H,m),7.68(1H,br d,J=7.8Hz),7.32−7.25(6H,m),5.63(1H,d,J=2.3Hz),2.84(2H,d,J=7.0Hz),1.26(9H,s),1.09−0.98(1H,m),0.60−0.55(2H,m),0.27−0.23(2H,m)。
【0252】
d)2,4−ジクロロ−N−{[4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]ベンズアミド
N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(900mg,2.4mmol)のメタノール(10mL)溶液を、塩化アセチル(426μL,6mmol)をメタノール(10mL)に滴下し加えて生じたHCl/メタノールで処理した。混合物を室温で30分間攪拌し、その後濃縮した。残渣を飽和NaHCO水溶液に懸濁し、ジクロロメタン(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮して1−{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}−1−ピリジン−3−イルメタナミンを油として得た。
【0253】
この粗製物質のジクロロメタン(20mL)溶液に、1NのNaOH水溶液、続いて2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(350μL,2.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間激しく攪拌し、次いで分液し、有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮して粗製の2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]ベンズアミドを得た。この粗製のチオエーテルをメタノール(20mL)に溶解し、この溶液に1MのHCl水溶液(2.5mL,2.5mmol)、続いてオキソン(2.58g,4.2mmol)を加えた。混合物を室温で30分間攪拌し、続いて飽和NaHCO水溶液でクエンチした。生成物をジクロロメタン(×2)で抽出し、合わせた有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィでヘキサン中50%酢酸エチルから100%酢酸エチルへの勾配溶出により精製して表題化合物を泡状物質(580mg,3工程の収率51%)として得た。H NMR δ(500MHz,CDCl)δ 8.57−8.56(2H,m),7.91(2H,d,J=8.3Hz),7.67(1H,d,J=8.4Hz),7.58(1H,d,J=8.0Hz),7.52(2H,d,J=8.3Hz),7.44(1H,d,J=1.9Hz),7.35−7.29(2H,m),7.22(1H,d,J=7.6Hz),6.55(1 H,d,J=7.6Hz),3.00(2H,d,J=7.2Hz),1.01−0.93(1H,m),0.59−0.55(2H,m),0.17−0.14(2H,m);m/z(ES+)477(M+H),475(M+H)。
【0254】
(実施例54)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル)メチル]ベンズアミド
【0255】
【化58】

【0256】
ヨウ化メチル(263μL,4.2mmol)および2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピリジン−3−イル)メチル]ベンズアミド(実施例53に記載されたように調製,200mg,0.42mmol)を窒素下アセトン(4mL)中で16時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を減圧濃縮して3−{{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]メチル}−1−メチルピリジニウムヨージドを得た。この塩をメタノール(5mL)に溶解し、溶液を−10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(18mg,0.47mmol)を加え、混合物を−10℃で10分間攪拌し、攪拌しながら1時間かけて室温にまで加温した。反応は1NのNaOH水溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮した。シリカクロマトグラフィによりジクロロメタン(+<0.5%アンモニア)中5%メタノールで溶出して精製し、エーテル性HClで処理して塩形成を行って表題化合物(123mg,55%収率)を白色固体として得た。m/z(ES+)495(M+H),493(M+H)。
【0257】
(実施例55)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(フェニル)メチル]ベンズアミド
【0258】
【化59】

【0259】
表題化合物を実施例53に記載した方法を用い、しかしピリジルグリニャール試薬の代わりにフェニルマグネシウムブロマイドを用いて、N−((1E)−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドから調製した。H NMR δ(360MHz,CDCl)7.91(2H,d,J=8.2Hz),7.69(1H,d,J=8.4Hz),7.54(2H,d,J=8.2Hz),7.44(1H,d,J=1.6Hz),7.40−7.32(4H,m),7.26−7.25(2H,m),7.01(1H,d,J=7.3Hz),6.48(1H,d,J=7.4Hz),3.00(2H,d,J=7.2Hz),1.02−0.93(1H,m),0.60−0.55(2H,m),0.18−0.14(2H,m)。
【0260】
(実施例56)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(4−フルオロフェニル)メチル]−ベンズアミド
【0261】
【化60】

【0262】
表題化合物を実施例53に記載した方法を用い、しかしピリジルグリニャール試薬の代わりに4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドを用いて、N−((1E)−{4−[(シクロプロピルメチル)チオ]フェニル}−メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドから調製した。H NMR δ(500MHz,CDCl)7.92(2H,d,J=8.3Hz),7.70(1H,d,J=8.3Hz),7.52(2H,d,J=8.2Hz),7.45(1H,d,J=1.9Hz),7.34(1H,dd,J=1.9,8.3Hz),7.26−7.22(2H,m),7.07(2H,t,J=8.6Hz),6.96(1H,d,J=7.3Hz),6.48(1H,d,J=7.4Hz),3.01(2H,d,J=7.2Hz),1.03−0.95(1H,m),0.60−0.56(2H,m),0.18−0.15(2H,m)。
【0263】
(実施例57から64)
市販されていないこれらの出発原料は、以下に記載するように調製された。
【0264】
4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルバルデヒド
【0265】
【化61】

【0266】
イソプロピルマグネシウムクロライド(THF中2.0M溶液20mL,40mmol)を、エチル4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボキシラート(3.0g,15.6mmol)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.28g,23.4mmol)のTHF(30mL)冷却(−15℃)懸濁液に滴下して加えた。反応混合物を15分間攪拌し、飽和NHCl水溶液でクエンチした。生成物を酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して4,4−ジフルオロ−N−メトキシ−N−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを透明な油(3.01g,93%収率)として得た。
【0267】
前記ワインレブアミド(3.0g,14.5mmol)のジエチルエーテル(30mL)溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.0M溶液16mL)を−78℃で滴下して加えた。添加が完了したら、混合物をさらに15分間攪拌し、ジエチルエーテル(50mL)、ヘキサン(50mL)および1N HCl水溶液(100mL)の攪拌混合物に注いだ。混合物を5分間攪拌し、次いで分液し、有機相を乾燥(MgSO)し、濃縮して4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボキサルデヒドを得た。
【0268】
2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロライド
【0269】
【化62】

【0270】
i)メチル2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチナート
2−クロロ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチナート(1g,3.7mmol)の溶液をメタノール(20mL)中に形成した。ナトリウムメトキシド(808mg,17mmol)を加え、混合物を6時間加熱還流した。溶液を室温にまで冷却し、水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて褐色油とした。シリカ上で10%酢酸エチル:90%イソ−ヘキサン混合物を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィの精製により、メチル2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチナートを黄色油として得た:H NMR(500MHz,CDC13):δ 7.13(1H,s),4.00(3H,s),3.94(3H,s),2.36(3H,s);m/z=250(M+H)。
【0271】
ii)2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸
メチル2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチナート(400mg,1.6mmol)の溶液をエタノール(10mL)中に形成した。水酸化カリウム(400mg,7mmol)の水(10mL)溶液を加え、混合物を60℃で3時間加熱した。混合物を氷浴中で冷却し、塩酸(2N)水溶液で約pH3の酸性にし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸を褐色固体として得た:1H NMR(400MHz,CDC1):δ 7.20(1H,s),4.09(3H,s),2.55(3H,s);m/z=236(M+H)。
【0272】
iii)2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロライド
塩化チオニル(2mL)を、2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸(68mg,0.29mmol)に加え、次いで混合物を60℃で1時間加熱した。この混合物を蒸発乾固した。
【0273】
実施例57から64の調製のための一般的方法
化合物は、実施例5および6と同様の方法で、実施例7cのグリニャール試薬を用いて調製された。
【0274】
【表2】


【0275】
(実施例65)
2,4−ジクロロ−N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エチル)ベンズアミド
【0276】
【化63】

【0277】
a)3−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール
無水エタノール(30mL)中の4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール(5.2g,45mmol)に、窒素下、(ブロモメチル)シクロプロパン(4.50mL,46mmol)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルと飽和NaCO水溶液に分配した。分液し、水相をさらに酢酸エチル(×3)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(MgSO)し、濃縮して表題化合物を無色油(4.795g,28mmol)として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)8.14(1H,s),3.62(3H,s),3.17(2H,d,J=7.3Hz),1.27−1.15(1H,m),0.63−0.59(2H,m),0.30−0.27(2H,m);m/z(ES+)170(M+H)。
【0278】
b)2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタノン
塩化オキサリル(0.95mL,10.9mmol)を、窒素下、トルエン(12mL)中攪拌しながらシクロプロピル酢酸(0.94g,9.4mmol)に滴下して加えた。得られた混合物を室温で2時間攪拌した。この混合物に、3−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール(1.60g,9.5mmol)のトルエン(10mL)溶液を加えた。トリエチルアミン(1.40mL,10mmol)を滴下して加えながら、混合物を激しく攪拌した。30分後、追加のトリエチルアミン(1.40mL,10mmol)を加えて、混合物を室温で2時間攪拌し、次いで18時間還流した。以下水性処理して、生成物を酢酸エチルで溶出するシリカクロマトグラフィに付してある程度精製した。残存するいくらかの出発原料をエーテルからの結晶化によりこの生成物から除いた;得られた固体の最初のものは、出発原料であった。表題化合物はさらに精製することなく使用された。m/z(ES+)252(M+H)。
【0279】
c)2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタノール
粗製の2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタノン(817mg,3.25mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、混合物を氷浴(4℃)中で冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(285mg,7.5mmol)を少しずつ加え、反応混合物を4℃で30分間攪拌し、次いで室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を酢酸で溶出するシリカクロマトグラフィにより精製して表題化合物(578mg,2工程の収率24%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)4.91(1H,s),3.75(1H,s),3.65(3H,s),3.11(2H,d,J=7.3Hz),1.98−1.90(1H,m),1.84−1.78(1H,m),1.20−1.12(1H,m),0.88−0.80(1H,m),0.62−0.58(2H,m),0.53−0.43(2H,m),0.29−0.26(2H,m),0.18−0.12(1H,m),0.08−0.04(1H,m)。
【0280】
d)3−(1−クロロ−2−シクロプロピルエチル)−5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール
2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−エタノール(382mg,1.5mmolの冷却(4℃)したジクロロメタン(10mL)溶液に、塩化チオニル(10mL)、次いでN,N−ジメチルホルムアミド(3滴)を加えた。混合物を4℃で15分間、次いで室温で18時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をトルエンと共沸した。表題化合物は、さらに精製することなく使用された。m/z(ES+)272(M+H)。
【0281】
e)2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタナミン
工程dからの3−(1−クロロ−2−シクロプロピルエチル)−5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾールのDMF(3mL)の粗製溶液に、窒素下、アジ化ナトリウム(1.0g,15mmol)を加えた。混合物を65℃で20時間攪拌し、次いで室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水、続いて食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をTHF(10mL)に取り上げ、水(2mL)、次いでトリフェニルホスフィン(1.6g,6.1mmol)を加えた。反応混合物を窒素下、5時間攪拌し、その後減圧濃縮した。残渣を、メタノールに溶解し、SCXカートリッジに適用した。メタノールで溶出して有機リン残渣を得、その後のメタノール中2Mアンモニアの溶出により表題アミンを得た。
【0282】
f)2,4−ジクロロ−N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾールー3−イル}エチル)ベンズアミド
工程eで得られたアミンのジクロロメタン(3mL)溶液に、2,4−ジクロロベンゾイルクロライド(210μL,1.5mmol)およびトリエチルアミン(500μL,3.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。以下水性処理して、残渣をヘキサン中40から50%の酢酸エチルで溶出するシリカクロマトグラフィにより精製して表題化合物を得た。m/z(ES+)427(M+H),425(M+H)。
【0283】
g)2,4−ジクロロ−N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エチル)ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エチル)ベンズアミド(158mg,0.37mmol)のDMF(2mL)溶液に、オキソン(800mg,1.3mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、水(×2)で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をヘキサン中40%酢酸エチルで溶出するシリカクロマトグラフィにより精製した。表題化合物は、ジクロロメタン/ジエチルエーテル/ヘキサンから白色固体として結晶化された。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.59(1H,d,J=8.3Hz),7.43(1H,d,J=1.9Hz),7.31(1H,dd,J=1.9,8.3Hz)、7.16(1H,d,J=8.3Hz),5.47(1H,q,J=7.6Hz),4.08(3H,s),3.56−3.46(2H,m),2.11−1.97(2H,m),1.27−1.19(1H,m),0.74−0.66(3H,m),0.54−0.46(2H,m),0.41−0.27(2H,m),0.21−0.17(1H,m),0.08−0.04(1H,m);m/z(ES+)459(M+H),457(M+H)。
【0284】
(実施例66)
N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エチル)−2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
【0285】
【化64】

【0286】
表題化合物は、2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタナミン(実施例65e)および2−メトキシ−4−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロライド(前記、実施例57から64参照)から実施例65の工程fおよびgに記載された条件を用いて調製された。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.15(1H,s),6.91(1H,d,J=5.2Hz),5.49(1H,q,J=7.7Hz),4.08(3H,s),3.97(3H,s),3.58−3.48(2H,m),2.40(3H,s),2.08−1.98(2H,m),1.28−1.20(1H,m),0.77−0.67(3H,m),0.55−0.47(2H,m),0.40−0.32(2H,m),0.24−0.18(1H,m),0.12−0.06(1H,m);m/z(ES+)524(M+Na),502(M+H)。
【0287】
(実施例67)
N−(2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エチル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
【0288】
【化65】

【0289】
表題化合物は、2−シクロプロピル−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}エタナミン(実施例65e)および2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロライドから実施例65の工程fおよびgに記載された条件を用いて調製された。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.88(1H,d,J=7.9Hz),7.52(1H,d,J=7.9Hz),7.49(1H,br s),5.43(1H,q,J=7.7Hz),4.09(3H,s),3.51−3.43(2H,m),2.70(3H,s),2.01−1.91(2H,m),1.24−1.16(1H,m),0.72−0.66(2H,m),0.59−0.45(3H,m),0.35−0.29(2H,m),0,21−0.15(1H,m),0.03−0.00(1H,m);m/z(ES+)472(M+H)。
【0290】
(実施例68)
2,4−ジクロロ−N−(1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブチル)ベンズアミド
【0291】
【化66】

【0292】
a)1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブタン−1−オール
乾燥アセトニトリル(12mL)中の3−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール(822mg,4.9mmol)および3,3−ジメチルブチルアルデヒド(1mL,8.0mmol)に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(1.3g,6.0mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.25mL,1.4mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(50mg,0.41mmol)を加えた。混合物を室温で72時間攪拌し、その後の質量分析法による分析によれば反応は不完全であった。さらにジ−tert−ブチルジカルボナート(0.50g,2.3mmol)を加え、混合物を24時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をヘキサン中40%酢酸エチルで溶出するシリカクロマトグラフィにより精製しtert−ブチル1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブチルカルボナートを得た。この物質をジクロロメタン(3mL)に溶解し、得られた溶液にトリフルオロ酢酸(3mL)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌し、メタノール(2mL)を加え、混合物を3時間静置した。表題化合物を溶媒の除去およびトルエンとの共沸後得られた。
【0293】
b)2,4−ジクロロ−N−(1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブチル)ベンズアミド
実施例65の工程dからgに概略説明された工程を用いて、1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブタン−1−オールを表題化合物に変換した。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.57(1H,d,J=8.3Hz),7.42(1H,d,J=1.8Hz),7.31(1H,dd,J=1.9,8.3Hz),6.89(1H,d,J=8.6Hz),5.49−5.45(1H,m),4.09(3H,s),3.55−3.45(2H,m),2.22−2.16(1H,m),2.02(1H,dd,J=7.4,14.5Hz),1.26−1.18(1H,m),0.99(9H,s),0.70−0.65(2H,m),0.37−0.28(2H,m);m/z(ES+)475(M+H),473(M+H)。
【0294】
(実施例69)
N−(1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3−ジメチルブチル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
【0295】
【化67】

【0296】
H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.86(1H,d,J=7.9Hz),7.51(1H,d,J=7.9Hz),7.34(1H,d,J=8.6Hz),5.47−5.43(1H,m),4.09(3H,s),3.51−3.41(2 H,m),2.67(3H,s),1.96(2H,d,J=6.5Hz),1.23−1.15(1H,m),0.98(9H,s),0.72−0.65(2H,m),0.37−0.28(2H,m);m/z(ES+)488(M+H)。
【0297】
(実施例70)
N−((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエチル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
【0298】
【化68】

【0299】
a)メチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−モルホリン−4−イルプロパノアート
メタンスルホニルクロライド(0.86mL,11mmol)を、Boc−L−セリンメチルエステル(2.10g,9.6mmol)およびトリエチルアミン(1.53mL,11mmol)のジクロロメタン(20mL)の冷却(0℃)攪拌溶液に、窒素下、滴下して加えた。混合物を45分間攪拌し、次いでモルホリン(4.5mL,52mmol)を加え、混合物をさらに0℃で30分間、室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルとNaCO水溶液に分配した。分液し。有機相を濃縮した。残渣をトルエンと共沸し、得られた表題化合物はさらに精製することなく使用された。m/z(ES+)289(M+H)。
【0300】
b)tert−ブチル[(1S)−2−ヒドラジノ−1−(モルホリン−4−イルメチル)−2−オキソエチル]カルバマート
メチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−モルホリン−4−イルプロパノアート(2.76g,9.6mmol)のメタノール(15mL)溶液に、窒素下、ヒドラジン(3.0mL,96mmol)を加えた。混合物を室温で60時間静置し、次いで溶媒を減圧留去し、残渣をトルエンと共沸した。表題化合物は、無色の泡状物質として得られた。m/z(ES+)289(M+H)。
【0301】
c)((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエチル)カルバマート
【0302】
【化69】

【0303】
粗製のtert−ブチル[(1S)−2−ヒドラジノ−1−(モルホリン−4−イルメチル)−2−オキソエチル]カルバマート(2.76g,9.6mmol)のエタノール(25mL)溶液に、メチルイソチオシアナート(0.86g,11.8mmol)を窒素下、加えた。混合物を1時間加熱還流し、次いで室温に冷却し、炭酸水素ナトリウム(8.04g,96mmol)を加えた。混合物を18時間加熱還流し、次いで室温に冷却し、この時点の質量分析法による分析によりメルカプトトリアゾールの形成を示した。シクロプロピルメチルブロマイド(1.45g,10.7mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィにより酢酸エチルで、次いでジクロロメタン中5%メタノールで溶出し精製して表題化合物(0.80g)を得た。m/z(ES+)398(M+H)。
【0304】
d)(1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルフィニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエタナミンビス(トリフルオロアセタート)
【0305】
【化70】

【0306】
((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)チオ]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエチル)カルバマート(0.80g,2.0mmol)のジクロロメタン(10mL)の冷却(0℃)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.175mL,2.3mmol)、次いで3−クロロペルオキシ安息香酸(77%純度物質0.84,3.75mmol)を加えた。混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで酢酸エチルとNaHCO水溶液に分配した。分液し、有機相をNaHCO水溶液で洗浄し、濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)に再び溶解し、次いでトリフルオロ酢酸(10mL)およびメタノール(5mL)を加えた。混合物を18時間静置し、次いで減圧濃縮し、トルエンと共沸して表題化合物を得た。m/z(ES+)314(M+H)。
【0307】
e)N−((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエチル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
実施例65の工程fおよびgに記載された条件を用いて、表題化合物が(1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルフィニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−2−モルホリン−4−イルエタナミンビス(トリフルオロアセタート)および2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロライドから調製された。H NMR(500MHz,d−DMSO)δ(ppm)9.23(1H,d,J=8.1Hz)7.99(1H,d,J=7.9Hz),7.81(1H,d,J=7.9Hz),5.57−5.53(1H,m),3.94(3H,s),3.65−3.51(6H,m)、3.07(1H,dd,J=9.4,12.7Hz),2.90(1H,dd,J=5.7,12.8Hz),2.62(3H,s),2.61−2.58(2H,m),2.51−2.46(2H,m)、1.06−0.98(1H,m),0.56−0.48(2H,m),0.22−0.14(2H,m);m/z(ES+)517(M+H)。
【0308】
(実施例71)
N−((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3,3−トリフルオロプロピル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
【0309】
【化71】

【0310】
a)tert−ブチル[3.3.3−トリフルオロ−1−(ヒドラジノカルボニル)プロピル]カルバマート
4℃に冷却されたジクロロメタン(30mL)中の2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4,4,4−トリフルオロブタン酸(1.40g,5.4mmol)に、1,1−カルボニルジイミダゾール(1.06g,6.5mmol)を加え、得られた混合物を1時間攪拌した。ヒドラジン1水和物(0.955mL,19.1mmol)を加え、混合物を4℃で1時間、次いで室温で72時間攪拌した。混合物を減圧濃縮し、残渣をトルエンと共沸した。残渣を酢酸エチルに取り上げ、10%クエン酸水溶液(×2)で洗浄し、減圧濃縮して表題化合物を泡状物質として得た。m/z(ES+)216(M−[MeC=CH]),172(M−Boc)。
【0311】
b)N−((1S)−1−{5−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−3,3,3−トリフルオロプロピル)−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド
表題化合物は、実施例70の工程c、dおよびeの方法に従って調製された。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)7.88(1H,d,J=7.9Hz),7.53(1H,d,J=7.9Hz),7.45(1H,d,J=8.8Hz),5.88−5.82(1H、m),4.06(3H,s),3.37−3.26(2H,m),3.13−3.01(2H,m),2.72(3H,s),1.13−1.05(1H,m),0.68−0.60(2H,m),0.30−0.24(1H,m),0.23−0.17(1H,m);m/z(ES+)500(M+H)。
【0312】
(実施例72)
2,4−ジクロロ−N−{2−シクロブチル−1−[4−(プロピルスルホニル)フェニル]エチル}ベンズアミド
【0313】
【化72】

【0314】
表題化合物は、実施例1と同様にして、シクロブチルメチルマグネシウムブロマイドと4−(プロピルスルホニル)−ベンズアルデヒドとの反応を利用して調製された。m/z(ES+)456(M+H),454(M+H)。
【0315】
(実施例73)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピペリジン−4−イル)メチル]−ベンズアミド
【0316】
【化73】

【0317】
表題化合物は、実施例5および6で概説された方法により、実施例7に記載されたグリニャール試薬を使用してtert−ブチル4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラートから調製された。m/z(ES+)483(M+H),481(M+H)。
【0318】
(実施例74)
2−クロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(ピペリジン−4−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【0319】
【化74】

【0320】
表題化合物は、実施例5および6で概説された方法により、実施例7に記載されたグリニャール試薬を使用してtert−ブチル4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラートから調製された。m/z(ES+)517(M+H),515(M+H)。
【0321】
(実施例75)
(2S,4R)−2−((R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}メチル)−4−ヒドロキシピロリジニウムトリフルオロアセタート
【0322】
【化75】

【0323】
a)tert−ブチル(2S,4R)−2−((R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
実施例11から46で概説された方法を用いて、(2S,4R)−4−(ベンジルオキシ)−4−(ベンジルオキシ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸から調製されたtert−ブチル(2S,4R)−4−(ベンジルオキシ)−2−((R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}メチル)−ピロリジン−1−カルボキシラート(330mg,0.49mmol)、DDQ(0.78g,3.4mmol)、DCE(25mL)および水(1.5mL)の混合物を60℃で10時間撹拌した。室温に冷却後、1,4−シクロヘキサジエン(0.76ml)を加えた。混合物を5分間攪拌し、エーテル(70ml)で希釈した。混合物を飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機抽出液を乾燥し、濃縮した。残渣を分取TLC(DCM:MeOH10%)で精製して表題化合物(150mg,50%)を得た。H NMR(CDCl)δ(ppm)9.77(1H,d,J=5.9Hz),7.92(2H,d,J=8.2Hz),7.76(1H,d,J=7.5Hz),7.65(1H,d,J=6.8Hz),7.54(2H,t,J=8.0Hz),7.43(1H,t,J=7.6Hz),5.12(1H,d,J=6.4Hz),4.56(1H,t,J=7.9Hz),3.92(1H,br s),3.40(1H,d,J=12.2Hz),3.07−2.97(2H,m),2.52(1H,dd,J=8.6および3.8Hz),2.32−2.22(1H,m),1.93−1.87(1H,m),1.49(9H,s),1.01(1H,m),0.57(2H,m),0.14(2H,m)。
【0324】
b)(2S,4R)−2−((R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}メチル)−4−ヒドロキシピロリジニウムトリフルオロアセタート
表題化合物は、実施例5および6d)に記載された脱保護条件を用いて、tert−ブチル(2S,4R)−2−((R)−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}メチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラートから調製された。m/z(ES+)517(M+H)。
【0325】
(実施例76)
2,4−ジクロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(1−ヒドロキシシクロペンチル)−メチル]ベンズアミド
【0326】
【化76】

【0327】
表題化合物は、実施例7と同様の方法で、アセトンの代わりにシクロペンタノンを用いて調製された。m/z(ES+)504(M+Na),482(M+H),464。
【0328】
(実施例77)
2−クロロ−N−[{4−[(シクロプロピルメチル)スルホニル]フェニル}(1−ヒドロキシシクロペンチル)−メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【0329】
【化77】

【0330】
表題化合物は、実施例7と同様の方法で、アセトンの代わりにシクロペンタノンを用いて調製された。H NMR(500MHz,CDCl)δ(ppm)0.20−0.12(2H,m),0.62−0.54(2H,m),1.04−0.98(1H,m),1.12(1H,t,J=9.4Hz),1.78−1.68(4H,m),1.97−1.89(3H,m),3.09−2.97(2H,m),5.12(1H,d,J=8.2Hz),7.22(1H,s),7.44(1H,t,J=7.7Hz),7.65(3H,m),7.79(1H,d,J=7.9Hz),7.93(2H,d,J=8.3Hz)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(0):
【化1】

(式中、Ar環は場合により置換されてもよいフェニルまたは窒素、酸素および硫黄から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員の芳香環であり、但しAr環上の2個の側鎖は隣接する環原子には結合していない;
は、−(CH−R1aであり、式中、nは独立して0から6であり、およびR1aは、
(1)非置換の、または1から6個のハロゲン原子、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された、C1−6アルキルまたはC1−6アルケニル、
(2)R2a、R2bおよびR2Cで置換されたフェニル、
(3)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環、
(4)非置換の、またはC1−6アルキル、1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキル、
(5)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−O−C1−6アルキル、
(6)−CO(式中、Rは、
(a)水素、
(b)非置換の、または1から6個のフッ素で置換された−C1−6アルキル、
(c)ベンジル、および
(d)フェニル
から独立して選択され)、
(7)−NR1011[式中、R10およびR11は独立して
(a)水素、
(b)非置換の、またはヒドロキシ、1から6個のフッ素もしくは−NR1213で置換されたC1−6アルキル(式中、R12およびR13は独立して水素および−C1−6アルキルから選択される)、
(c)非置換の、またはヒドロキシ、1から6個のフッ素もしくは−NR1213で置換された−C3−6シクロアルキル、
(d)ベンジル、
(e)フェニル
から独立して選択される]、および
(8)−CONR1011
から成る群より選択され;
は、
(1)R2a、R2bおよびR2Cで置換されたフェニル、
(2)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環、
(3)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルもしくは複素環で置換されたC1−8アルキルであり、前記フェニルまたは複素環は、R2a、R2bおよびR2Cで置換されており、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキルであり、および
(5)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
から成る群より選択され;
2a、R2bおよびR2Cは、
(1)水素、
(2)ハロゲン
(3)非置換の、または
(a)1から6個のハロゲン、
(b)フェニル、
(c)C3−6シクロアルキル、もしくは
(d)−NR1011
で置換された−C1−6アルキル、
(4)非置換の、または1から6個のハロゲンで置換された−O−C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−SCF
(7)−SCHF
(8)−SCH
(9)−CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、および
(15)−NO
から成る群より独立して選択され;
は、
(1)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、もしくはR2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環で置換されたC1−6アルキル、
(2)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換されたC3−6シクロアルキル、
(3)非置換の、または1から6個のハロゲン、ヒドロキシもしくは−NR1011で置換された−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
(4)−NR1011、および
(5)R2a、R2bおよびR2Cで置換された複素環
から成る群より選択され;
は、
(1)水素、および
(2)非置換の、またはハロゲンもしくはヒドロキシで置換されたC1−6アルキル
から成る群より選択され;
Aは、
(1)−O−、および
(2)−NR10
から成る群より選択され;
mは0または1であり、mが0の場合は、Rはカルボニルに直接結合しており、但しRがメチルの場合は、Rはメチルでない}の化合物;およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項2】
式(I):
【化2】

(式中、R、R、R、R、A、nおよびmは、請求項1で定義された通り)の請求項1に記載の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩、またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体。
【請求項3】
式(Ia):
【化3】

(式中、R1bは、非置換の、またはR2a、R2bおよびR2cで置換されたC3−6シクロアルキルであり、R、R2a、R2b、R2c、R、R、A、nおよびmは請求項2で定義された通りである)の請求項2に記載の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体。
【請求項4】
式(Ib):
【化4】

(式中、R1cは、非置換の、またはR2a、R2bおよびR2cで置換された飽和の複素環であり、R、R2a、R2b、R2c、R、R、A、nおよびmは請求項2で定義された通りである)の請求項2に記載の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩またはこれらに対する個々のエナンチオマーもしくはジアステレオ異性体。
【請求項5】
式(Ic):
【化5】

(式中、R、R、R、およびRは、請求項2で定義された通りである)の請求項2に記載の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩またはこれらの個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマー。
【請求項6】
式(Id):
【化6】

(式中、R、RおよびRは、請求項5で定義された通りであり、BはCHまたはNであり、R2a、R2bおよびR2Cは、水素、フッ素、塩素、臭素、OCH、CF、OCFおよびNHから選択され、好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素およびCFから選択される)の請求項5に記載の化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項7】
が水素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、場合によりハロゲンまたはC1−6アルキル基またはC1−6ハロアルキル基で置換されていてもよい不飽和複素環である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式(Ie):
【化7】

(式中、R1cは飽和複素環であり、これは非置換またはR2a、R2bおよびR2Cで置換されており、n、BおよびR2a、R2bおよびR2Cは請求項6で定義した通りであり、R3aは、場合によりハロゲンまたはC1−6アルキル基またはC1−6ハロアルキル基で置換されていてもよい不飽和複素環である、請求項6から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
不飽和複素環R3aが、トリアゾリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(If):
【化8】

(式中、n、B、R1cおよびR2a、R2bおよびR2Cは、請求項6で定義した通りであり、R3bは、場合によりシクロプロピル基で置換されていてもよいC1−4アルキル基である、請求項6から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
3bが、プロピルまたはシクロプロピルメチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
2a、R2bおよびR2Cが、水素、フッ素、塩素、臭素およびCFから選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
医薬に使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳動物などの患者におけるグリシン輸送体GlyT1活性を阻害する方法。
【請求項16】
ヒトおよび動物におけるグリシン輸送体GlyT1活性を阻害するための医薬の製造のための、請求項1から13のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の使用。
【請求項17】
ヒトおよび動物における統合失調症の治療のための医薬の製造のための、請求項16に記載の式(0)の化合物の使用。
【請求項18】
医薬的に許容される担体と組み合わされた、請求項1から13のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の有効量を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−543817(P2008−543817A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516399(P2008−516399)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002156
【国際公開番号】WO2006/134341
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】