説明

治療特性を有する1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物

本発明は、Rhoキナーゼ(ROCK)インヒビタとしての特徴付けられる新たな化合物、上記化合物を発見するための方法、ならびにそれらの治療上、研究上および診断上の使用を提供する。特に、本発明は、ROCK阻害活性を有する、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物、ならびにROCK活性に関連する多くの状態を処置するために治療薬として上記化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許仮出願番号61/262,017(2009年11月17日仮出願)に優先権を主張する。この仮出願は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0002】
[後援を受けている研究または開発に連邦制で関連している明細書]
なし。
【0003】
[技術分野]
本発明は、選択的なRhoキナーゼ(ROCK)インヒビタとして特徴付けられる新たな化合物、上記化合物を発見するための方法、ならびにそれらの治療上、研究上および診断上の使用を提供する。特に、本発明は、選択的なROCK阻害活性を有する、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物、ならびにROCK活性に関連する多くの状態を処置するために治療薬として上記化合物を使用する方法を提供する。
【0004】
[背景技術]
1981年のRasの発見に続けて、関連した低分子量のGTP結合タンパク質(低分子量のGTP加水分解酵素)が数多く同定され、そしてそれらの生理的機能が広く研究されている。これら低分子量のGTP加水分解酵素(分子量20〜30kDa)は、不活性なGDP結合の状態と活性なGTP結合の状態を切り替えて高く調節される。そのプロセスは、主にグアニン交換因子(GEFs)およびタンパク質を活性化しているGTP加水分解酵素(GAPs)によるものである(例えば、Hall, A., Science (1990) 249:635-640; Bourne, H. R. et al., Nature (1991) 349:117-127を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。
【0005】
現在まで、低分子量のGTP加水分解酵素をコードした50以上の異なる遺伝子が、酵母菌から哺乳動物まで同定され、それらがRas上科を形成している。これらの低分子のGTP加水分解酵素は、主なアミノ酸配列および機能の類似性に従って、Ras、Rho、Rab、ArfおよびRanの5つのファミリーに大部分は分けられている。これらの中で、Rho(Ras相同体)は、Rasと約35%の相同性を有しているポリペプチドをコードする(例えば、Madaule, P., Cell (1985) 41:31-40を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。Rhoファミリーそのものは、主にアミノ酸、構造モチーフおよび生物学的機能に基づいて、Rnd、RhoBTBおよびMiroサブファミリーと同様にRhoAに関連するサブファミリー、Cdc42に関連するサブファミリー、Racに関連するサブファミリーを含む、6つのサブファミリーに分けられ得る。Rhoの細胞活性は、Rhoの活性化の表現型を同定するために、Rhoの活性化したGTP結合の形態の、過剰発現または微量注入法を含んでいる、様々な方法によって研究されている。第二の相補的な方法は、ボツリヌス菌C3細胞外酵素、詳細には、内性のRhoをADPリボース化し、そして不活性化し、その結果、Rhoの不活性化の表現型を同定している、ボツリヌス菌C3細胞外酵素を用いて細胞を処理するためのものである(Narumiya, S. J Biochem (1996) 120:215-228)。そういうものとして、RhoのGTP加水分解酵素は、アクチン再構成の重要な調製因子として同定されており、エンドサイトーシスおよびエキソサイトーシスと同様に、細胞集団、移染、細胞形態、粘着力、濃度の調整と関係付けられている(例えば、Ridley, A.J., Trends Cell Biol (2001) 11:471-477を参照のこと。)。
【0006】
アクチン細胞骨格の再構成と関連される、RhoのGTP加水分解酵素の二次側標的は、シトロンキナーゼ、p140mDia、タンパク質キナーゼN(PKN)、p21を活性化したタンパク質キナーゼ(PAK)、ローフィレン(rhophillen)およびロテキン(rhotekin)を含む。Rhoに関連される高次コイルの形態のタンパク質キナーゼ(ROCKs)は、1990年代半ばにT.Ishizakiらによって最初に単離された。上記タンパク質キナーゼは、最初で、かつ、最もよく特徴付けられたRhoAのエフェクタであり、そして、ミオシン軽鎖のリン酸化反応における効果によって、RhoAが誘導した張線維および局所性の粘着を形成することを仲介するそれらの役割のために、初期に特徴付けられた(Matsui, T., et. al., EMBO J (1996) 15:2208-2216; Leung, T., et.al., Mol. Cell Biol. (1996) 16:5315-5327)。その後に、ROCKsは、多くの重要な細胞機能(例えば、細胞運動、浸潤、収縮、分化、移染および生存)における役割を担うことが示された(Riento, K., Ridley, A., Nature Rev. Mol. Cell Biol. (2003) 4:446-456)。
【0007】
ROCKsは、約160kDaの分子量を有するセリン/トレオニンタンパク質キナーゼである。2つの異なる遺伝子によってコードされた2つのアイソフォームは、ROCKI(ROKβまたはp160ROCKとして知られている。)およびROCKII(またはROKα)と同定されている。それらアイソフォームは、それらのキナーゼドメイン中の全体のアミノ酸配列の同一性を共有しており、それぞれは65%および92%の配列同一性を共有する。ROCKsは、AGCキナーゼの一部(例えば、筋強直性ジストロフィー(プロテイン)キナーゼ(DMPK)、DMPKに関連した細胞分裂制御タンパク質42(Cdc42)が結合しているキナーゼ(MRCK)、およびシトロンキナーゼ(CK))と最も一致している。一般的に、このキナーゼのファミリーは、アミノ末端基キナーゼドメイン、その後に、高次コイル形成の部位、次いでカルボキシル末端にて内性のシステインが豊富な反復を有するプレクストリン相同性(PH)ドメインからなる。加えて、ROCKsは、その高次コイル中にRhoが結合しているドメイン(RBD)を含む。不活性状態において、カルボキシル末端のドメインは、アミノ末端部位と結合し、自己阻害ループを形成する。活性した、GTP結合Rhoは、ROCKのRBDと結合し、その結果、キナーゼの開けた形態となり、そのため触媒作用がなくなる。ROCKsは、PHドメインに対して、脂質の結合(例えば、アラキドン酸およびスフィンゴシルホスホリルコリン)によってまた活性化され得る。結果的に、構成的に活性のあるROCKとなる、グランザイムBおよびカスパーゼ2が、類似した形態において、ROCKIIを開裂する一方で、カスパーゼ3としてアポトーシスがROCKIの自己阻害ループを開裂する中で、ROCK活性は引き起こされ得る。
【0008】
Rho GEFsを促し、そして活性化したGTP結合Rhoの形成を誘導する、Rhoの活性化因子(例えば、リゾホスファチジン酸(LPA)またはスフィンゴシン−1−リン酸(S1P))に応じて、多様な細胞の標的のリン酸化反応を介して、アクチンの細胞骨格に関する広範囲の細胞反応を、ROCKsは仲介する。例えば、モータータンパク質ミオシンIIのリン酸化反応は、アクトミオシンの収縮性を調整するにあたり重要な役割を有する。ROCKは直接的にミオシン軽鎖(MLC)をリン酸化し得、結果的に、後にミオシン−アクチン相互作用となり、そして細胞の収縮性を高める。ROCKはまた、ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLPC)のリン酸化反応(および不活性化)を介して、MLCのリン酸化反応のレベルを直接的に調整し得る。別のROCKの二次側標的は、LIMキナーゼ1および2であり、それらのリン酸化反応が、コフィリンが仲介したアクチンフィラメントの分解の阻害を誘導し、そのため、アクチンフィラメントの数を増加させる。他のROCKの細胞の標的は、エズリン/ラディキシン/モエシン(ERM)タンパク質複合体、中間フィラメントタンパク質(例えば、ビメンチンおよび糸状の(F)−アクチン結合タンパク質アデューシン)を含む(Riento, K., Ridley, A., Nature Rev. Mol. Cell Biol. (2003) 4:446-456)。
【0009】
類似したキナーゼドメインを有しているにも関わらず、ROCK1およびROCK2は、異なる細胞機能および異なる二次側標的を有し得る。例えば、ROCK2が、MLC、アデューシン、平滑筋特異的塩基性カルポニン、およびコラブシン反応媒介タンパク質2(CRMP2)、LPA誘発の成長円錐の崩壊に関連される神経細胞のタンパク質をリン酸化する一方で、インビトロのROCK1は、LIMキナーゼ1および2をリン酸化することが示されている(Riento, K., Ridley, A., Nature Rev. Mol. Cell Biol. (2003) 4:446-456)。さらに、ROCK2活性が細胞外基質をコートしたビーズの食細胞活動と関係する一方で、張線維形成および病巣の癒着部位の安定化のためにROCK1が重要であるラット胚線維芽細胞において、siRNA実験は、ROCK1およびROCK2における明確な役割を実証した(Yoneda, A., et. al., J. Cell Biol. (2005) 170:443-453)。様々な細胞のタイプにおいて、発現差異および調整がまた観測されている。例えば、ROCK2がグランザイムBおよびカスパーゼ2によって開裂される一方で、ROCK1のみが、アポトーシス中にてカスパーゼ3によって開裂される。さらに、ROCK1の発現は、より偏在性である傾向がある。一方、ROCK2は、タンパク質が、これらの細胞のタイプにて特殊な役割を有し得ることを示唆している、筋肉および頭脳組織中にて最も高く発現される(Nakagawa, O., et. al., FEBS Lett. (1996) 392:189-193)。しかし、微分関数に対するROCK1およびROCK2のアイソフォームに関連するインビボのデータは、まだ不足している。
【0010】
Rho/ROCK経路の異常活性化は、非平滑筋細胞に関連される病理過程と同様に、異常な平滑筋張力または平滑筋の反応亢進の両方に関連される、幅広い疾患にて重要な役割を担うことが示された。例えば、Rho/ROCK仲介性シグナル伝達は、高血圧、(大脳および冠動脈両方の)血管収縮および虚血をもたらす血管痙攣、気管支喘息、早産、勃起不全および緑内障の病因に関連されることが示されている(Werrschureck, N., Offermanns, S., J Mol Med. (2002) 80:629-638 および本文献中の引用文献)。異常な血管平滑筋細胞(VSMC)の増殖および移染によって特徴付けられる、血管疾患(例えば、高血圧、アテローム性動脈硬化症、動脈形成術後の再狭窄および移植後動脈硬化)はまた、Rho/ROCKシグナル伝達を増幅することと関連されることが示されている。Rho/ROCK仲介性シグナル伝達はまた、例えば心筋の肥大といった非平滑細胞中の疾患と関連付けられている。Rho/ROCK経路の異常活性化は、中枢神経系の様々な障害中に観測される(CNS; Mueller, B.K. et al., Nature Rev. Drug Discovery (2005) 4:387-398および本明細書中の引用文献)。成体脊椎動物の脳および脊髄に対する障害によってROCKsが活性化され、そのため神経突起増殖および神経突起形成を阻害する。従って、様々な神経疾患(脊髄損傷、アルツハイマー病、脳梗塞、多発性硬化症および神経障害性の痛みを含む。)を処置するための、大きな潜在的可能性があるROCKインヒビタの治療上の使用がある。さらに、腫瘍細胞の移染および浸潤は、Rho仲介性プロセスと関連し、そして、RhoAのまたはROCKの活性化は、培養したラットの肝臓癌細胞の感染度を上昇することが示されている(Itoh, K., et al., Nat Med. (1999) 5:221-225)。さらに、腫瘍形成のエンコードの多くは、Rho/ROCK経路が、新たな抗癌剤の方針の魅力的な候補であることを示唆している、Rhoのための因子を増幅させる。
【0011】
多くの疾患状態において、Rho/ROCK経路の広範囲の介入がなされ、ここ20年強におけるROCKインヒビタの開発は非常に重要である。ファスジル(
【0012】
【化1】

【0013】
)およびY−27632(
【0014】
【化2】

【0015】
)は、最初に発見された低分子ROCKインヒビタである(Uehata, M. et al. Nature (1997) 389:990-994)。続けて、はるかに多くのインヒビタが開発され、それらのヒンジ結合性構造:イソキノリン(例えば、ファスジル)4−アミノピリジン(例えば、Y−27632)、インダゾールならびにアミドおよび尿素の誘導体に従って、一般的に4つの分類に分けられ得る。これまで報告されたROCKインヒビタは、ATP結合部位にて、競争的な相互作用によって振る舞うものである。しかし、ATP結合部位間の高い配列相同性によると、ROCKのためのインヒビタ特異性の開発は、興味深いものである。一般的に、ROCKインヒビタのための結果はほとんど報告されていないが、Y−27632およびファスジルにおいて報告されたデータは、他のキナーゼに対してこれらのインヒビタのいくつかの交差反応性を証明している。例えば、Y−27632は、試験された25のキナーゼのうち21に対して選択性を示すが、等しい作用能力を有するタンパク質キナーゼN(PKNまたはPRK2)を阻害し、マイトジェンおよびストレス誘発性のキナーゼ1(MSK1)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ1b(MAPKAPK1b)、シトロンキナーゼ、およびホスホリラーゼキナーゼ(PHK)よりも10〜50倍の選択性のみである(Davies, S.P., et al. Biochem J (2000) 351:95-105)。同一の研究にて、試験された27キナーゼの19のみに対して選択性を示したY−27632と比較して、ファスジルはほとんど選択性がないことが示されている。さらに、ROCK1およびROCK2のほぼ同じ抑制を示す任意のROCKアイソフォーム選択性は、Y−27632およびファスジル(他に報告されたROCKインヒビタの類似物)により証明されていない。ROCK1およびROCK2のノックアウトマウスに関連する動物の研究が、2つのROCKアイソフォームにおける明確な生理学上の役割を示唆するが、データはまだ不足している。しかし、細胞のシグナル伝達または基質の認識のどちらかにおいて、またはより重要なことに、疾患にけるそれぞれのアイソフォームの具体的な役割において、現在、利用可能なROCKインヒビタは、ROCK2に対してROCK1の役割を区別するために用いられ得ない。
【0016】
ファスジルは、クモ膜下出血の後の血管痙攣を処置するために、1995年から日本で市場に出されており、安全な特性のデータが、ヒトにおいてよい耐性があることを示す。また、多くの心循環器疾患(狭心症、高血圧、冠動脈血管痙攣、経皮滴冠動脈介入(percuteneous coronary intervention)の後の再狭窄、および動脈硬化を含む。)において有効な効果を有することが示されている(Hirooka, Y., Shimokawa, H., Am. J. Cardiovasc. Drugs (2005) 5:31-39 および本文献中の引用文献)。Y−27632は、ましてインビボにて研究されていないが、限定された研究によれば、(ファスジルと同様に)Y−27632は急速に変形されることが証明されており、脳浸透性が、CNS疾患のための治療上のレベルを果たすために低すぎる可能性がある。さらに、細胞内のミクロモルのATP濃度と競争するために、インビトロの活性を比較して、他のATP競争性インヒビタのような、両インヒビタにより、細胞アッセイにおける活性が100〜1000倍低下することが証明されている。高い細胞濃度では、PKN、シトロンキナーゼ、MSK1およびMAPKAPK1bに対する低〜中程度のキナーゼの選択性により、不適な影響がさらに引き起こされ得る。そのため、ROCKインヒビタの新たな構造の分類の開発は、ROCKアイソフォーム特異的なインヒビタの開発と同様に、他のキナーゼに対して、より選択性の高いROCKインヒビタを提供し得る。そのようなインヒビタは、湿潤、転移、神経再生、および平滑筋細胞の濃縮における、ROCKの関与に係る動物試験から証拠が得られた癌および心臓疾患において、治療に用いられる可能性を有する。
【0017】
必要とされていることは、異常なRhoキナーゼ活性と関連付けられる、疾患および状態を悩む対象において、Rhoキナーゼ活性を阻害するための、組成物および方法を改善することである。
【0018】
[概要]
Rhoキナーゼ(ROCK)は、セリン−トレオニンタンパク質キナーゼファミリーの1つである。ROCKには、2つのアイソフォーム、ROCK1およびROCK2が存在する(例えば、T. Ishizaki et al., EMBO J., 1996, 15, 1885-1893を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。本発明は、選択的なROCKインヒビタ(例えば、ROCK1および/またはROCK2のインヒビタ)としての特徴付けられる新たな化合物、それらを発見するための方法ならびにそれらの治療上、研究上および診断上の使用を提供する。特に、本発明は、ROCK阻害活性を有する、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物、ならびに選択的なROCK活性に関連する多くの状態を処置するために治療薬として上記化合物を使用する方法を提供する。そのような化合物および使用が本出願を通して開示され、そして組成物および応用の様々な収集物を表す。いくつかの好ましい組成物および使用は下記にて開示される。本発明は、これらの特定の組成物および使用に限定されない。本発明は本出願を通して開示される、多くの有用な組成物を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、選択的なROCKインヒビタ活性を有する化合物を提供する。本発明は、選択的なROCKインヒビタの特定のタイプまたは種類に限定されない。本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例は、ROCK活性を阻害する(例えば、ROCK1および/またはROCK2活性を阻害する。)ことのできる化合物を同定した。さらに、本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例にて、選択的なROCKインヒビタとして化合物(例えば、ROCK2活性よりROCK1活性を選択的に阻害する化合物)(例えば、ROCK1活性よりROCK2活性を選択的に阻害する化合物)を同定した。
【0020】
特定の化合物に限定されないが、本発明は、
【0021】
【化3】

【0022】
からなる群より選択される化学式によって表される、ROCK活性を阻害している化合物を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態において、Rは、少なくとも2つの炭素分子を含んでいる化学基である。いくつかの実施形態において、Rはピリジンではない。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記Rは、水素、アルキル、置換したアルキル、
【0025】
【化4】

【0026】
からなる群より選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、R1’は、
【0028】
【化5】

【0029】
からなる群より選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル、置換されたアルキルおよびRからなる群より選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、ヘキシル、イソプロピル)および置換されたアルキルからなる群より選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、Rは、水素;H;CH;エチル;ヘキシル;イソプロピル;ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン);OH;アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含んでいる化学的な部位;窒素を含んでいる化学的な部位;−OR−からなる群より選択されたものであって、上記Rが、アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;硫黄を含んでいる化学的な部位;および窒素を含んでいる化学的な部位;からなる群より選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、RおよびR基は、交換され得る(例えば、いくつかの実施形態において、R基が、ベンゾジアゼピン環の第1位に配置され、R基が、ベンゾジアゼピン環の第3位に配置される;いくつかの実施形態において、R基が、ベンゾジアゼピン環の第3位に配置され、R基がベンゾジアゼピン環の第1位に配置される。)。
【0034】
いくつかの実施形態において、Rは、C、N、SおよびOからなる群より選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル、置換されたアルキル、一置換されたアリール、二置換されたアリール、および三置換されたアリールからなる群より選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、Rは、C、N、SおよびOからなる群より選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびR10は、非存在、H、ハロゲン、CF
【0038】
【化6】

【0039】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0040】
【化7】

【0041】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO28、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択される。
【0042】
いくつかの実施形態において、R11、R12、R13およびR14は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【0043】
【化8】

【0044】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【0045】
【化9】

【0046】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0047】
【化10】

【0048】
、および置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、R15、R16、R17およびR18は、C、N、OおよびSからなる群より独立して選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、R19は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、R20は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、R21、R22、R23およびR24は、非存在、H、ハロゲン、CF
【0053】
【化11】

【0054】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0055】
【化12】

【0056】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO7’、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択されたものであって、R21、R22、R23およびR24の中の2個のみ水素であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、R25、R26、R27およびR28は、水素、アルキル(例えば置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【0058】
【化13】

【0059】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【0060】
【化14】

【0061】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0062】
【化15】

【0063】
、ならびに、置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択されたものであって、R25、R26、R27およびR28の中の3個のみ水素であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、化学式は、
【0065】
【化16】


【0066】
からなる群より選択される。
【0067】
本発明のある化合物は、
【0068】
【化17】




【0069】
を含むが、これらに限定されない。
【0070】
本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例は、ROCK1よりROCK2の活性を選択的に阻害する化合物を同定した(例えば、表1および実施例IIを参照のこと。)。したがって、本発明は、ROCK1よりROCK2の活性を選択的に阻害する以下の化合物:
【0071】
【化18】

【0072】
を提供する。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明は、Rhoキナーゼ活性を阻害している、本発明の化合物を1つまたは複数含んでいる医薬品を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明は、障害に苦しむ対象に対して有効量の医薬品を投与することを含んでいる、障害を処置する方法を提供する。その障害は、異常なRhoキナーゼ活性と関連付けられており、医薬品が、本発明のRhoキナーゼ活性を阻害する化合物を含む。いくつかの実施形態において、化合物は、選択的なRhoキナーゼインヒビタ(例えば、ROCK2よりもROCK1を阻害する。)(例えば、ROCK1よりもROCK2を阻害する。)である。いくつかの実施形態において、ROCK1よりもROCK2活性を選択的に阻害する化合物である(表1に記載の化合物1〜5および実施例IIを参照こと。)。いくつかの実施形態において、対象はヒト対象(例えば、障害に苦しんでいるヒト対象)である。
【0075】
これら化合物の任意の1つまたは複数は、Rhoキナーゼ活性に関連する様々な障害(心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄症(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)および急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)を含むが、これらに限定されない。)を処置するために用いられ得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、障害は自己免疫疾患である。自己免疫疾患の例としては、慢性関節リウマチ、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、セリアック病、特発性血栓性血小板減少、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症または乾癬性表皮過形成が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、全身性紅斑性狼瘡または乾癬性表皮過形成である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症からなる群より選択された乾癬のタイプである。いくつかの実施形態において、免疫障害は、炎症性腸疾患または漬瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、病原性リンパ球の活性に関連される、または病原性リンパ球の活性により引き起こされる、免疫障害である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、免疫障害を有する患者に、ミトコンドリアの呼吸を阻害する活性物質を投与することによる処置を受け易い免疫障害である。
【0077】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、関節炎、若年性関節炎、若年性慢性関節リウマチ、小関節の若年性慢性関節リウマチ、多関節の若年性慢性関節リウマチ、全身型若年性慢性関節リウマチ、若年性強直性脊髄炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性紅斑性狼瘡、若年性血管炎、小関節の慢性関節リウマチ、多関節の慢性関節リウマチ、全身型慢性関節リウマチ、強直性脊髄炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ブドウ膜炎、ライター症候群、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、血管炎、ミオリチス、多発性筋炎、皮膚筋炎、変形性関節症、結節性動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、スティル病、慢性閉塞性肺疾患、ギラン・バレー疾患、グレープス病、アジソン病、レイノー現象または自己免疫性肝炎である。
【0078】
さらに、任意のこれらの化合物の1つまたは複数は、処置の際に少なくとも1つの他の治療上の物質を組み合わせて用いられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記障害は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))と関連付けられる。例えば、ROCK2の阻害が、結果的に炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)の発現を阻害することは、証明されている(例えば、Biswas, et al., J. Clin. Inv. 2010, 120(9), 3280-3295を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。従って、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))の阻害は、ROCK1よりもROCK2の活性を選択的に阻害する、本発明の任意の化合物の使用によって、成し遂げられる(例えば、表1に示す化合物1〜5、および実施例IIを参照のこと)。その方法は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))の阻害の特定の様式に限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害は、例えば、その結果、IRF4の発現を阻害する(例えば、IRF4のリン酸化反応の防止によって)、例えば、IL−17および/またはIL−21を阻害する、ROCK2の阻害によって、成し遂げられる。
【0080】
上記方法は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))に関連付けられる障害に限定されない。いくつかの実施形態において、障害は炎症性の障害である。炎症性の障害として、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、変性性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、強直性脊髄炎、反応性関節炎、痛風、偽性痛風、炎症性関節疾患、全身性紅斑性狼瘡、多発性筋炎および線維筋肉痛が挙げられるが、これらに限定されない。関節炎のさらなるタイプとして、アキレス腱炎、軟骨形成不全症、末端肥大症の関節炎、癒着性関節嚢炎、成人発症スティル病、鵞足包、虚血壊死、ベーチェット症候群、上腕二頭筋腱炎、ブローント病、ブルセラの脊椎炎、滑液包炎、腫部滑液包炎、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)、結晶沈着症、カプラン症候群、手根管症候群、軟骨石灰化、膝蓋軟骨軟化症、慢性滑膜炎症、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ−ストラウス症候群、コーガン症候群、ステロイド誘発性骨粗鬆症、肋胸骨の症候群、クレスト症候群、クリオグロブリン血症、変形性関節疾患、皮膚筋炎、糖尿病性の指の硬化症、汎発性特発性骨増殖症(DISH)、椎間板炎、円板状エリテマトーデス、薬剤誘発性エリテマトーデス、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュピュイトラン拘縮、エーラー・ダロンズ症候群、腸炎性関節炎、上顆炎、びらん性炎症変形性関節症、運動誘発性の隔壁腔症候群、ファブリー病、家族性地中海熱、ファーバー脂肪肉芽腫症、フェルティ症候群、伝染性紅斑、偏平足、異物滑膜炎、フライバーグ病、真菌性関節炎、ゴーシェ病、巨細胞性動脈炎、淋菌性関節炎、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性動脈炎、関節血症、血色症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、B型肝炎表面抗原疾患、股関節異形成、ハーラー症候群、運動過剰症候群、過敏性血管炎、肥大性骨関節症、免疫複合体病、インピンジメント症候群、ジャクー関節症、若年性強直性脊髄炎、若年性皮膚筋炎、若年性慢性関節リウマチ、川崎病、キーンベック病、レッグ−カルヴェ−ペルテス病、レッシュ−ナイハン症候群、線状強皮症、リポイド皮膚関節炎、ロフグレン症候群、ライム病、悪性滑膜腫、マルファン症候群、滑膜ひだ症候群、転移性癌性関節炎、混合結合組織病(MCTD)、混合性クリオブロブリン血症、ムコ多糖症、多中心性細網組織球症、多発性骨端形成異常、マイコプラズマ関節炎、筋筋膜性疼痛症候群、新生児ループス、神経障害性関節症、結節性皮下脂肪炎、組織褐変症、肘頭部滑液包炎、オスグッド・シュラッター病、変形性関節症、骨軟骨腫症、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、骨粗鬆症、オーバラップ症候群、肥大性皮膚骨膜症骨ページェット病、回帰性リウマチ、膝蓋大腿部痛症候群、ペレグニー・スティーダ症候群、色素性絨毛結節性滑膜炎、梨状筋症候群、足底筋膜炎、結節性動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、ベーカー嚢腫、後脛骨腱炎、脊椎カリエス、膝蓋前滑液包炎、人工関節感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬性関節炎、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発性軟骨炎、踵骨後部滑液包炎、リウマチ熱、リウマチ性血管炎、肩回旋筋腱板炎、仙腸骨炎、サルモネラ菌性骨髄炎、サルコイドーシス、鉛通風、ショイエルアン骨軟骨炎、強皮症、化膿性関節炎、血清反応陰性関節炎、赤痢菌性関節炎、肩手症候群、鎌状赤血球関節炎、シェーグレン症候群、大腿骨頭滑り症、脊椎管狭窄症、脊椎分離症、ブドウ球菌性関節炎、スティックラー症候群、亜急性皮膚ループス、スイート症候群、シデナム舞踏病、梅毒性関節炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、高安動脈炎、足根管症候群、テニスエルボー、ティーツェ症候群、一過性オステオポローシス、外傷性関節炎、転子滑液包炎、結核性関節炎、漬瘍性大腸炎の関節炎、未分化結合組織症候群(UCTS)、蕁麻疹様血管炎、ウイルス性関節炎、ヴェグナー肉芽腫症、ウィップル病、ウィルソン病およびエルシニア関節炎が挙げられる。
【0081】
ある実施形態において、本発明は、Rhoキナーゼ活性を阻害するための方法を提供する。上記方法は、特定の技術に限定されない。いくつかの実施形態において、上記方法は、標的細胞を、1つまたは複数のRhoキナーゼ活性を阻害している本発明の化合物を含んでいる組成物に晒すことを包含する。いくつかの実施形態において、Rhoキナーゼ活性を標的細胞中にて阻害するために、上記組成物は、標的細胞と結合する。上記方法は、特定の細胞のタイプに限定されない。いくつかの実施形態において、細胞は、例えば、インビトロの細胞、インビボの細胞、エキソビボの細胞および/または癌細胞である。
【0082】
ある実施形態において、本発明は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))を阻害するための方法を提供する。上記方法は、特定の技術に限定されない。いくつかの実施形態において、上記方法は、標的細胞を、1つまたは複数のRhoキナーゼ活性を阻害している、ROCK1よりもROCK2の活性を選択的に阻害する、本発明の化合物(例えば、表1に示す化合物1〜5、および実施例IIを参照のこと。)を含んでいる組成物に晒すことを包含する。いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))を標的細胞中にて阻害するために、上記組成物は、標的細胞と結合する。上記方法は、特定の細胞のタイプに限定されない。いくつかの実施形態において、細胞は、例えば、インビトロの細胞、インビボの細胞、エキソビボの細胞および/または癌細胞である。上記方法は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害の特定の様式に限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害は、例えば、その結果、IRF4の発現を阻害する(例えば、IRF4のリン酸化反応の防止によって)、例えば、IL−17および/またはIL−21を阻害する、ROCK2の阻害によって、成し遂げられる。
【0083】
ある実施形態において、本発明は、医薬品(例えば、ROCK2活性を阻害するために構成された化合物を含んでいる)の有効量を炎症性の障害に苦しむ対象に投与することを含んでいる、炎症性の障害を処置するための方法を提供する。本発明は、ROCK2活性を阻害するために構成された特定の化合物に限定されない。ROCK2活性を阻害するために構成された化合物の例として、
【0084】
【化19】

【0085】
が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、炎症性の障害は、異常な炎症性サイトカン活性(例えば、異常なIL−17および/またはIL−21、ならびに/あるいは、IRF4活性)と関連付けられている。いくつかの実施形態において、上記対象はヒトである。
【0086】
上記方法は、特定の炎症性の障害に限定されない。実際、炎症性の障害の例として、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、変性性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、強直性脊髄炎、反応性関節炎、痛風、偽性痛風、炎症性関節疾患、全身性紅斑性狼瘡、多発性筋炎、および線維筋肉痛が挙げられるが、これらに限定されない。関節炎のさらなるタイプとして、アキレス腱炎、軟骨形成不全症、末端肥大症の関節炎、癒着性関節嚢炎、成人発症スティル病、鵞足包、虚血壊死、ベーチェット症候群、上腕二頭筋腱炎、ブローント病、ブルセラの脊椎炎、滑液包炎、腫部滑液包炎、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)、結晶沈着症、カプラン症候群、手根管症候群、軟骨石灰化、膝蓋軟骨軟化症、慢性滑膜炎症、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ−ストラウス症候群、コーガン症候群、ステロイド誘発性骨粗鬆症、肋胸骨の症候群、クレスト症候群、クリオグロブリン血症、変形性関節疾患、皮膚筋炎、糖尿病性の指の硬化症、汎発性特発性骨増殖症(DISH)、椎間板炎、円板状エリテマトーデス、薬剤誘発性エリテマトーデス、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュピュイトラン拘縮、エーラー・ダロンズ症候群、腸炎性関節炎、上顆炎、びらん性炎症性骨関節炎、運動誘発性の隔壁腔症候群、ファブリー病、家族性地中海熱、ファーバー脂肪肉芽腫症、フェルティ症候群、伝染性紅斑、偏平足、異物滑膜炎、フライバーグ病、真菌性関節炎、ゴーシェ病、巨細胞性動脈炎、淋菌性関節炎、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性動脈炎、関節血症、血色症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、B型肝炎表面抗原疾患、股関節異形成、ハーラー症候群、運動過剰症候群、過敏性血管炎、肥大性骨関節症、免疫複合体病、インピンジメント症候群、ジャクー関節症、若年性強直性脊髄炎、若年性皮膚筋炎、若年性慢性関節リウマチ、川崎病、キーンベック病、レッグ−カルヴェ−ペルテス病、レッシュ−ナイハン症候群、線状強皮症、リポイド皮膚関節炎、ロフグレン症候群、ライム病、悪性滑膜腫、マルファン症候群、滑膜ひだ症候群、転移性癌性関節炎、混合結合組織病(MCTD)、混合性クリオブロブリン血症、ムコ多糖症、多中心性細網組織球症、多発性骨端形成異常、マイコプラズマ関節炎、筋筋膜性疼痛症候群、新生児ループス、神経障害性関節症、結節性皮下脂肪炎、組織褐変症、肘頭部滑液包炎、オスグッド・シュラッター病、変形性関節症、骨軟骨腫症、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、骨粗鬆症、オーバラップ症候群、肥大性皮膚骨膜症骨ページェット病、回帰性リウマチ、膝蓋大腿部痛症候群、ペレグニー・スティーダ症候群、色素性絨毛結節性滑膜炎、梨状筋症候群、足底筋膜炎、結節性動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、ベーカー嚢腫、後脛骨腱炎、脊椎カリエス、膝蓋前滑液包炎、人工関節感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬性関節炎、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発性軟骨炎、踵骨後部滑液包炎、リウマチ熱、リウマチ性血管炎、肩回旋筋腱板炎、仙腸骨炎、サルモネラ菌性骨髄炎、サルコイドーシス、鉛通風、ショイエルアン骨軟骨炎、強皮症、化膿性関節炎、血清反応陰性関節炎、赤痢菌性関節炎、肩手症候群、鎌状赤血球関節炎、シェーグレン症候群、大腿骨頭滑り症、脊椎管狭窄症、脊椎分離症、ブドウ球菌性関節炎、スティックラー症候群、亜急性皮膚ループス、スイート症候群、シデナム舞踏病、梅毒性関節炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、高安動脈炎、足根管症候群、テニスエルボー、ティーツェ症候群、一過性オステオポローシス、外傷性関節炎、転子滑液包炎、結核性関節炎、漬瘍性大腸炎の関節炎、未分化結合組織症候群(UCTS)、蕁麻疹様血管炎、ウイルス性関節炎、ヴェグナー肉芽腫症、ウィップル病、ウィルソン病、およびエルシニア関節炎が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記炎症性の障害を処置するために構成された治療上の物質を、前記対象に共に投与することを含む。そのような物質の例として、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、レルフノミド、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン)、生物学の物質(例えば、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェノン、トラマドール)、免疫調整剤(例えば、アナキンラ、アバタセプト)、およびグルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、IL−1インヒビタ、IL−17インヒビタ、IL−21インヒビタおよびメタロプロテアーゼインヒビタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
[定義]
本発明を円滑に理解するために、多くの用語および慣用句は、以下に定義される。
【0089】
本明細書中にて使用される、用語「ROCK」、「Rhoキナーゼ」または類似の用語は、約160kDaの分子量を有する、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼをいう。2つの異なる遺伝子によってコードされた2つのアイソフォームは、定義されている:ROCK1(ROKβまたはp160ROCKとしてもまた知られている。)およびROCKII(またはROKα)。
【0090】
本明細書中にて使用される、用語「選択的なROCKインヒビタ」、「選択的なROCKインヒビタ化合物」または類似の用語は、本発明の天然化合物または合成化合物をいい、それらは、ROCK1および/またはROCK2活性、ならびに/あるいは、ROCK1および/またはROCK2活性と関連付けられる経路(例えば、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21、ならびに/あるいは、関連付けられた経路、例えば、IL−17および/またはIL−21発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4)))を選択的に阻害する。選択的にROCKを阻害する化合物は、選択的なROCKの阻害の特定の様式に限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、選択的にROCKを阻害する化合物の1つまたは複数は、ROCK2活性よりもROCK1活性を阻害する。例えば、いくつかの実施形態において、選択的にROCKを阻害する化合物の1つまたは複数は、ROCK1活性よりもROCK2活性を阻害する(表1に示す化合物1〜5、および実施例IIを参照のこと。)。さらに、いくつかの実施形態において、選択的にROCKを阻害する化合物の1つまたは複数は、類似した能力を有する、ROCK1活性およびROCK2活性の両方を選択的に阻害する。
【0091】
本明細書中にて使用される、用語「ベンゾジアゼピン」は、フェニル環と融合した七員環の非芳香族複素環をいい、この七員環が、複素環の一部として、2つの窒素原子を有する。いくつかの様式において、2つの窒素原子は、以下の一般構造式:
【0092】
【化20】

【0093】
にて示される、1位および4位、または、1位および5位である。
【0094】
用語「ベンゼンよりも大きい」は、7または複数の非加水分解性の原子を含んでいる任意の化学基をいう。
【0095】
用語「化学的な部位」は、少なくとも1つの炭素原子を含んでいる任意の化合物をいう。化学的な部位の例として、芳香族の化学的な部位、硫黄を含んでいる化学的な部位、窒素を含んでいる化学的な部位、親水性の化学的な部位および疎水性の化学的な部位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書中にて使用される、用語「脂肪族化合物」は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび非環式(ただし、これらに限定されない。)を含んでいる基を表す。
【0097】
本明細書中にて使用される、用語「アリール」は、単一の芳香環(例えば、フェニル環あるいは2つまたは複数の芳香環(例えば、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン)、あるいは芳香環および1つまたは複数の非芳香族環)を表す。アリール基は、低級の脂肪族の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニルまたは非環式)を用いて任意に置換され得る。さらに、脂肪族の基およびアリール基は、N、S、O、−NH、−NHCOCH、−OH、低級アルコキシ(C−C)、およびハロ(−F、−Cl、−Brまたは−I)を含んでいる化学的な部位(ただし、これらに限定されない。)を含んでいる、1つまたは複数の官能基によってさらに置換され得る。
【0098】
本明細書中にて使用される、用語「置換された脂肪族化合物」は、例えば、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、チオ、ケトン、スルホン、スルホンアミド、アルデヒド、エステル、アミド、低級の脂肪族化合物、置換された低級の脂肪族化合物、または環(アリール、置換されたアリール、脂環式または置換された脂環式等)によって、少なくとも1つの脂肪族の水素原子が置き換えられている、アルカン、アルケン、アルキンまたはアルサイクリック(alcyclic)部位をいう。その例として、1−クロロエチル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0099】
本明細書中にて使用される、用語「置換されたアリール」は、芳香環または少なくとも1つの芳香環からなる芳香環系と融合したものをいい、例えば、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル、アミド、スルホン、スルホンアミド、低級の脂肪族化合物、置換された低級の脂肪族化合物、または環(アリール、置換されたアリール、脂環式の、または置換された脂環式の)によって、環の炭素上の少なくとも1つの水素原子が置き換えられている。その例として、ヒドロキシフェニル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0100】
本明細書中にて使用される、用語「脂環式の」は、融合した環系を含む脂肪族の構造をいう。その例として、デカリン等が挙げられるが、これに限定されない。
【0101】
本明細書中にて使用される、用語「置換された脂環式の」は、脂肪族化合物の水素原子の少なくとも1つが、ハロゲン、ヘテロ原子、ニトロ、チオ、アミノ、ヒドロキシ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級の脂肪族化合物、置換された低級の脂肪族化合物、または環(アリール、置換されたアリール、脂環式の、または置換された脂環式の)によって置き換えられている、脂環式の構造をいう。その例として、1−クロロデカリル、ビシクロ−ヘプタン、オクタンおよびノナン(例えば、ノルボニル)等が挙げられるが、これに限定されない。
【0102】
本明細書中にて使用される、用語「複素環式」は、例えば、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいる、芳香環または非芳香環を表す。ヘテロ原子は、それぞれ同一でも異なってもよい。ヘテロ原子の例として、窒素、酸素および硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。芳香族のおよび非芳香族の複素環は、当技術分野において周知である。芳香族の複素環の限定されないいくつかの例として、ピリジン、ピリミジン、インドール、プリン、キノリンおよびイソキノリンが挙げられる。非芳香族の複素環の化合物の限定されない例として、ピぺリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジンおよびピラゾリジンが挙げられる。酸素を含んでいる複素環の例としては、フラン、オキシラン、2H−ピラン、4H−ピラン、2H−クロメンおよびベンゾフランが挙げられるが、これらに限定されない。硫黄を含んでいる複素環の例として、チオフェン、ベンゾチオフェンおよびパラチアジンが挙げられるが、これらに限定されない。窒素を含んでいる環の例としては、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピぺリジン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン、インドール、プリン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、トリアゾールおよびトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。2つの異なるヘテロ原子を含んでいる複素環の限定されない例としては、フェノチアジン、モルホリン、パラチアジン、オキサジン、オキサゾール、チアジンおよびチアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。複素環は、脂肪族の基、ニトロ基、アセチル基(例えば、−C(=O)−CH)またはアリール基から選択される、1つまたは複数の基を用いてさらに任意に置換される。
【0103】
本明細書中にて使用される、用語「置換された複素環」は、環の少なくとも1つの水素原子が、酸素、窒素または硫黄によって置き換えられており、そして脂肪族化合物の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、チオ、ニトロ、アミノ、エーテル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級の脂肪族化合物、置換された低級の脂肪族化合物、または環(アリール、置換されたアリール、脂環式のまたは置換された脂環式の)によって置き換えられている、複素環の構造をいう。その例として2−クロロピラニルが挙げられるが、これに限定されない。
【0104】
本明細書中にて使用される、用語「電子豊富な複素環」は、1つまたは複数の環の原子が、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素または硫黄)であり、ヘテロ原子が、6−π電子系に貢献する不対電子を有している、環状の化合物を意味する。電子豊富な複素環の例としては、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェンおよび他の類似の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書中にて使用される、用語「リンカー」は、8個までの隣接している原子を含む鎖であって、2つの異なる構造部分を連結している8個の隣接している原子を含んでいる鎖をいい、その原子は例えば、炭素、窒素、酸素または硫黄である。エチレングリコールは、限定されない1つの例である。
【0106】
本明細書中にて使用される、用語「アミノによって置換された低級アルキル」は、8個までの炭素原子を含んでおり、脂肪族の水素原子の1つがアミノ基によって置き換えられている8個の炭素原子を含んでいる、任意のアルキルユニットをいう。その例として、エチルアミノ等が挙げられるが、これに限定されない。
【0107】
本明細書中にて使用される、用語「ハロゲンによって置換された低級アルキル」は、8個までの炭素原子を含んでおり、脂肪族の水素原子の1つがハロゲンによって置き換えられている8個の炭素原子を含んでいる、任意のアルキル鎖をいう。その例として、クロロエチル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0108】
本明細書中にて使用される、用語「アセチルアミノ」は、任意の、アセチル化された第一級または第二級のアミノを意味し得る。その例として、アセトアミド等が挙げられるが、これに限定されない。
【0109】
本明細書中にて使用される、用語「水素結合と関連する部位」は、水素結合からプロトンを受ける基または水素結合にプロトンを与え得る基を表す。水素結合と関連する部位の限定されないいくつかの特定の例としては、当技術分野において周知の、フルオロ基、酸素を含んでいる基および窒素を含んでいる基が挙げられる。水素結合と関連する、酸素を含んでいる基のいくつかの例としては、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級カルボニル、低級カルゴキシル、低級エーテルおよびフェノール類の基を含む。本明細書中にて使用される限定詞「低級」は、それぞれの酸素を含んでいる官能基が結合される、低級の脂肪族の基(C〜C)をいう。このように、例えば、用語「低級のカルボニル」は、特に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドをいう。水素結合形成と関連する、窒素を含んでいる基のいくつかの限定されない例としては、アミノ基およびアミド基を含む。さらに、酸素原子および窒素原子の両方を含んでいる基はまた、水素結合形成に関連し得る。その例としては、ニトロ基、N−ヒドロキシル基および亜硝酸の基を含む。本発明における、水素結合の受容体は芳香環のπ電子になり得ることがまた可能である。
【0110】
本明細書中にて使用される用語、化合物の「誘導体」は、化合物の官能基(例えば、芳香環)、またはベンゾジアゼピン骨格のどちらかに、化学修飾が生じる、化学的に修飾された化合物をいう。その誘導体は、アルコールを含んでいる化合物のエステル、カルボキシを含んでいる化合物のエステル、アミンを含んでいる化合物のアミド、カルボキシを含んでいる化合物のアミド、アミノを含んでいる化合物のイミン、アルデヒドを含んでいる化合物のアセタール、カルボニルを含んでいる化合物のケタール等を含むが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書中にて使用される、用語「免疫障害」は、生物が、生物自体の分子、細胞および組織を認識する、抗体または免疫細胞を生産する任意の状態をいう。免疫障害の限定されない例としては、自己免疫疾患、自己免疫溶血性貧血、免疫性肝炎、ベルガ―病またはIgA腎症、セリアック病、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋肉痛、移植片対宿主症、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性紅斑性狼瘡、第1型糖尿病、漬瘍性大腸炎、尋常性白斑、結核等を含む。
【0112】
本明細書中にて使用される、「炎症性の障害」は、炎症によって、特徴付けられる、引き起こされる、結果として起こる、または影響がある、障害をいう。炎症性の障害は、例えば、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21、例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))に関連付けられる、生物学的なおよび病理学的なプロセスによって引き起こされ得る、または関連付けられ得る。炎症性疾患または炎症性の障害の例としては、急性および慢性の炎症性障害(例えば、喘息、乾癬、慢性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病、漬瘍性大腸炎)、強直性脊髄炎、セプシス、脈管炎、および滑液包炎)、自己免疫疾患(例えば、ループス、リウマチ性多発性筋痛、強皮症、ヴェグナー肉芽腫症、側頭動脈炎、クリオグロブリン血症、および多発性硬化症、移植拒絶反応、骨粗鬆症)、固体の腫瘍を含んでいる癌(例えば、肺、CNS、大腸、腎臓および膵臓)、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、ウイルス性(例えば、HIVおよびインフルエンザ)感染症、および慢性ウイルス性(例えば、エプスタインバー、巨細胞ウイルス、単純ヘルペスウイルス)感染症を含むが、これらに限定されない。
【0113】
本明細書中にて使用される、用語「対象」は、本発明の方法によって処置される生物をいう。その生物は、好ましくは哺乳動物(例えば、ネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等)(ただし、これに限定されない。)を含み、最も好ましくは、ヒトを含む。本発明の状態において、用語「対象」は、一般的に異常なRhoキナーゼ活性と関連付けられる状態のために、処置(例えば、本発明の化合物、および必要に応じて1つまたは複数の他の物質の投与)を受ける、または受けている個々をいう。
【0114】
本明細書中にて使用される、用語「診断される」は、その徴候および症状(例えば、慣習的な治療に対する耐性)、または遺伝分析、病理学的な分析、組織学的な分析等によって、疾患を認識することをいう。
【0115】
本明細書中にて使用される、用語「インビトロ」は、人工的な環境、および人工的な環境の中にて生じるプロセスまたは反応をいう。インビトロの環境は、試験管および細胞培養をいうが、これらに限定されない。用語「インビボ」は、天然の環境(例えば、動物または細胞)、および天然の環境の中にて生じるプロセスまたは反応をいう。
【0116】
本明細書中にて使用される、用語「宿主細胞」は、インビトロまたはインビボに関わらず、任意の、真核生物の細胞または原核生物の細胞(例えば、哺乳類の細胞、鳥類の細胞、両生類の細胞、植物の細胞、魚類の細胞および昆虫類の細胞)をいう。
【0117】
本明細書中にて使用される、用語「細胞培養」は、任意のインビトロにおける細胞の培養をいう。この用語の中に、連続継代細胞系(例えば、不死化表現型を有する)、一次細胞培養、有限細胞系(例えば、非形質転換細胞)、および他の任意の、インビトロを維持した個体群(例えば、卵母細胞および胚を含む。)が含まれる。
【0118】
好ましい実施形態において、本発明に含まれる組成物および方法の「標的細胞」は、異常なまたは非異常な、Rhoキナーゼ活性を有する細胞をいうが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書中にて使用される、用語「有効量」は、有益な、または所望の結果に影響を及ぼすのに十分である、化合物(例えば、本発明の化合物)の量をいう。有効量は、1つまたは複数の、投与、適用または投薬量において投与され得、そして特定の処方または投与経路に限定されることを意図されていない。
【0120】
本明細書中にて使用される、用語「同時投与」は、対象に、少なくとも2つの物質(例えば、本発明の化合物)または治療の投与をいう。いくつかの実施形態において、2つまたは複数の物質/治療の同時投与は、同時である。他の実施形態において、第二の物質/治療の前に、第一の物質/治療が投与される。当業者は、用いられる種々の物質/治療の投与の処方および/または経路が変わり得ることを理解する。同時投与の適切な投薬量は、当業者によってすぐに決定され得る。いくつかの実施形態において、物質/治療が同時投与された場合、それぞれの物質/治療は、それらの単独投与の適切な量よりも少ない投薬量にて投与される。したがって、物質/治療の同時投与が、潜在的に有害(例えば、有毒)であると知られている物質の必要な投薬量を少なくする実施形態において、同時投与は特に望まれる。
【0121】
本明細書中にて使用される、用語「有毒」は、毒薬の投与の前に、同じ細胞または組織を比較すると細胞または組織に、任意に有害である、または有害な効果であることをいう。
【0122】
本明細書中にて使用される、用語「薬学的組成物」は、インビボ、インビボまたはエキソビボにて、診断上の使用または治療上の使用に、特に好適な組成物を形成している、キャリアを有する活性物質、不活性物質または活性物質の組み合わせをいう。
【0123】
本明細書中にて使用される、「薬学的に受容可能なキャリア」は、標準的な薬学的キャリアのいずれか(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション(例えば、オイル/水のエマルションまたは水/オイルのエマルション)および種々のタイプの界面活性剤)をいう。上記組成物は、安定剤および防腐剤もまた含み得る。キャリアの例として、安定剤およびアジュバントである(例えば、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]を参照のこと。)。
【0124】
本明細書中にて使用される、用語「薬学的に受容可能な塩」は、対象に投与することにおいて、この発明の化合物または活性代謝物あるいはその残基を提供することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩(例えば、酸または塩基)である。当業者にとって周知であることとして、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機の酸または塩基から由来され得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、琥珀酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等を含むが、これらに限定されない。それらの薬学的に受容可能な酸の中に含まれない、他の酸(例えば、シュウ酸)は、本発明の化合物および薬学的に受容可能な酸のさらなる塩を得る際にて、中間体として有用な塩の調製に使用され得る。
【0125】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニアおよび式NWの化合物(WはC1−4アルキルである。)等を含むが、これらに限定されない。
【0126】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンホラート、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨード水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチネート、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、デカノエート等を含むが、これらに限定されない。塩の他の例としては、好適なカチオン(Na、NHおよびNW(WはC1−4アルキル基)等)と化合した、本発明の化合物を含む。
【0127】
治療上の使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に受容可能であることが検討される。しかし、薬学的に受容可能でない酸および塩基の塩は、例えば、薬学的に受容可能な化合物の調製または精製において、その使用もまた見出し得る。
【0128】
本明細書中にて使用される、用語「調節する」は、Rhoキナーゼ活性を阻害すること(ただし、これに限定されない。)を含んでいる細胞の機能の局面に影響を及ぼす(例えば、促進するまたは抑制する)ための化合物(例えば、本発明の化合物)の活性をいう。
【0129】
[発明の詳細な説明]
Rhoキナーゼ(ROCK)は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼファミリーの1つである。ROCKキナーゼには2つのアイソフォーム、ROCK1およびROCK2が存在する(例えば、T. Ishizaki et al., EMBO J., 1996, 15, 1885-1893を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。ROCKは、多様な細胞のシグナル経路において重要な役割を果たす、RhoA、低分子量のGTP結合タンパク質(Gタンパク質)のエフェクタ分子として同定されている。ROCKおよびRhoAは、組織を超えて、偏在的に発現される。RhoA/ROCKのシグナル経路は、多くの細胞の機能(例えば、組織化機能、細胞接着、細胞移動、および細胞分裂)に関連付けられる(例えば、K. Riento and A. J. Ridley, Nat Rev Mol Cell Biol, 2003, 4, 446-56を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。これはまた、平滑筋の収縮を調整することに直接的に関連付けられる(例えば、A. P. Somlyo, Nature, 1997, 389, 908-911を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。受容体の活性化において、RhoAは、活性化され、次にROCKを活性化する。活性化されたROCKは、ホスファターゼの活性を阻害し、収縮をもたらす、ミオシン軽鎖ホスファターゼのミオシン結合サブユニットをリン酸化する。脈管構造における平滑筋の収縮は、血圧を上昇させ、高血圧をもたらす。さらに、活性化したROCK(例えば、ROCK2)は、次に結果的に炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)の発現を減少させる、IRF4のリン酸化反応を阻害することが示されている(例えば、Biswas, et al., J. Clin. Inv. 2010, 120(9), 3280-3295を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。
【0130】
RhoA/ROCKシグナル経路が、様々な血管作用性の因子(例えば、アンギオテンシンII、ウロテンシンII、エンドセリン−1、セロトニン、ノルエピネフリンおよび血小板由来増殖因子(PDGF))によって開始される顕著な形質導入において、重要な役割を果たすことは、文献にて無視できない証拠がある。これらの因子の多くは、心疾患の病因に関係されている。
【0131】
ROCKインヒビタとして知られている、ファスジル(例えば、T. Asano et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1987, 24, 1033-1040を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)またはY−27632(例えば、M. Uehata et al., Nature, 1997, 389, 990-994を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)を用いた、いくつかの文献において、さらなる研究は、ROCKと心疾患の関連をさらに例証する。例えば、ROCKの発現および活性は、これらの動物において、高血圧の進行と関連があると示唆されている自然発生高血圧ラットを増加させることが示されている。ROCKと高血圧の関連を高めている、制御ラットにおける血圧に微小な効果のみを有している一方で、ROCKインヒビタのY−27632(例えば、M. Uehata et al., Nature, 1997, 389, 990-994を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)は、自然発生高血圧ラット、腎形成不全のラットおよび酢酸デオキシコルチゾン塩の高血圧ラットモデルの3つの高血圧のラットモデルにおいて、著しく血圧を下げることが示されている。
【0132】
他の研究は、ROCKとアテローム性動脈硬化症との関係を示唆する。例えば、ROCKの顕性不活性な形態の遺伝子導入は、ブタの大腿動脈におけるバルーン障害の後の新生内膜形成を抑制した。類似したモデルとして、ROCKインヒビタのY−27632は、ラットにおける新生内膜形成もまた阻害した。IL−1βによる冠動脈狭窄のブタのモデルにおいて、ROCKインヒビタであるファスジルによる長期間の処置は、再構築されている冠動脈の収縮の後退を促進するのと同様に、冠動脈狭窄を進歩的に減少させることが示された。ROCKと炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)との関連は例証されている。例えば、ROCK2を阻害することが、炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)の発現を阻害するということが例証されている(例えば、Biswas, et al., J. Clin. Inv. 2010, 120(9), 3280-3295を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)(例えば、活性化されたROCK(例えば、ROCK2)が、次に結果的に炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)の発現の減少となる、IRF4のリン酸化反応を阻害することを示された。)。従って、本発明は、本発明の化合物の使用によって、炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)および/または炎症性サイトカンの発現と関連した障害を阻害する方法を提供する。
【0133】
さらなる研究は、ROCKインヒビタが他の心循環器疾患を処置することに有益であることを示唆する。例えば、ラットの脳梗塞のモデルにおいて、ファスジルは、梗塞の大きさおよび神経系の欠損の両方を減少させることが示された。ROCKインヒビタであるY−27632は、ダール食塩感受性高血圧ラットの中の鬱血性心不全のモデルにおいて、心室の肥大および機能を改善することが示された。
【0134】
他の動物または臨床の研究は、ROCKをさらなる疾患(冠動脈攣縮、脳血管痙攣、虚血再灌流障害、肺高血圧、アンギナ、腎臓病および勃起不全を含む。)と結び付けている。
【0135】
上記研究は、ROCKと心循環器疾患(高血圧、アテローム性動脈硬化症(例えば、Retzer, et al. FEBS Lett 2000, 466, 70を参照のこと。これは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、再狭窄(例えば、Eto, et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2000, 278, H1744; Negoro, et al. Biochem Biophys Res Commun 1999, 262, 211を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、脳梗塞、心不全、冠動脈攣縮、脳血管痙攣、虚血再灌流障害(例えば、Uehata, et al. Nature 1997, 389, 990; Seasholtz, et al. Circ Res 1999, 84, 1186; Hitomi, et al. Life Sci 2000, 67, 1929; Yamamoto, et al. J Cardiovasc Pharmacol 2000, 35, 203を参照のこと。これは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、腎臓病および勃起不全と同様に肺高血圧およびアンギナ(例えば、Chitaley, et al. Nat Med 2001, 7, 119を参照のこと。これは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)を含む。)との関連のための証拠を提供する。平滑筋に対するROCKの効果が例証されたことによって、ROCKインヒビタは、平滑筋の過反応性に関連する他の疾患(喘息および緑内障を含む。)にもまた有益であり得る。さらに、Rhoキナーゼは、様々な他の疾患(例えば、脳血管痙攣(例えば、Sato, et al. Circ Res 2000, 87, 195; Kim, et al. Neurosurgery 2000, 46, 440を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、中枢神経障害(例えば、神経退化および脊椎損傷(例えば、Hara, et al. J Neurosurg 2000, 93, 94; Toshima, et al. 脳梗塞 2000, 31, 2245を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、Rhoキナーゼの阻害が、腫瘍細胞の成長および転移を抑制することが示されている、腫瘍形成(例えば、Itoh, et al. Nat Med 1999, 5, 221; Somlyo, et al. Biochem Biophys Res Commun 2000, 269, 652を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、脈管形成(例えば、Uchida, et al. Biochem Biophys Res Commun 2000, 269, 633; Gingras, et al. Biochem J 2000, 348 Pt 2, 273を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、動脈の血栓性障害(例えば、血小板凝集)(例えば、Klages, et al. J Cell Biol 1999, 144, 745; Retzer, et al. Cell Signal 2000, 12, 645を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、白血球凝集(例えば、Kawaguchi, et al. Eur J Pharmacol 2000, 403, 203; Sanchez-Madrid, et al. Embo J 1999, 18, 501を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、喘息(例えば、Setoguchi, et al. Br J Pharmacol 2001, 132, 111; Nakahara, et al. Eur J Pharmacol 2000, 389, 103を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)、眼内圧の調整(例えば、Honjo, et al. Invest Opthalmol V is Sci 2001, 42, 137を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)および骨吸収(例えば、Chellaiah, et al. J Biol Chem 2000, 275, 11993; Zhang, et al. J Cell Sci 1995, 108, 2285を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)))を処置するための薬物の目標として示されている。
【0136】
調査ではROCKインヒビタについて多くの報告(例えば、E. Hu and D. Lee, Expert Opin. Ther. Targets, 2005, 9, 715-736を参照のこと。これは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)があるが、今のところ、ファスジルは、市販されているROCKインヒビタのみである。従って、ROCK活性と関連のある障害(例えば、心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)、急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)、および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症))を処置するために、ROCKインヒビタを含む、新たな治療学のための要求が依然として残っている。
【0137】
本発明は、Rhoキナーゼ(ROCK)インヒビタとしての特徴付けられる新たな化合物、上記化合物を発見するための方法、ならびにそれらの治療上、研究上および診断上の使用を提供する。特に、本発明は、ROCK阻害活性を有する、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物、ならびにROCK活性に関連する多くの状態(例えば、心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)、急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症))を処置するために治療薬として上記化合物を使用する方法を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態において、障害は自己免疫疾患である。自己免疫疾患の例としては、慢性関節リウマチ、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、セリアック病、特発性血栓性血小板減少、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症または乾癬性表皮過形成が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、全身性紅斑性狼瘡または乾癬性表皮過形成である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症からなる群より選択された乾癬のタイプである。いくつかの実施形態において、免疫障害は、炎症性腸疾患または漬瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、病原性リンパ球の活性に関連される、または病原性リンパ球の活性により引き起こされる、免疫障害である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、免疫障害を有する患者に、ミトコンドリアの呼吸を阻害する活性物質を投与することによる処置を受け易い免疫障害である。
【0139】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、関節炎、若年性関節炎、若年性慢性関節リウマチ、小関節の若年性慢性関節リウマチ、多関節の若年性慢性関節リウマチ、全身型若年性慢性関節リウマチ、若年性強直性脊髄炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性紅斑性狼瘡、若年性血管炎、小関節の慢性関節リウマチ、多関節の慢性関節リウマチ、全身型慢性関節リウマチ、強直性脊髄炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ブドウ膜炎、ライター症候群、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、血管炎、ミオリチス、多発性筋炎、皮膚筋炎、変形性関節症、結節性動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、スティル病、慢性閉塞性肺疾患、ギラン・バレー疾患、グレープス病、アジソン病、レイノー現象または自己免疫性肝炎である。
【0140】
ある実施形態において、本発明は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)、および/または炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)に関連付けられる障害(例えば、炎症性の障害)を阻害するための方法を提供する。本発明は、特定の技術に限定されない。上記方法は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害の特定の様式に限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害は、例えば、その結果、IRF4の発現を阻害する(例えば、IRF4のリン酸化反応の防止によって)、例えば、IL−17および/またはIL−21を阻害する、ROCK2の阻害によって、成し遂げられる。
【0141】
本発明の典型的な組成物および方法が以下のセクションにてより詳細に開示される:I.典型的な化合物;II.薬学的組成物、処方、および典型的な投与経路ならびに投薬理由;III.薬物の選別;およびIV.治療上の応用である。
【0142】
本発明の手順は、特に示さない限り、当業者の分野である、有機化学、薬理学、分子生物学(組換え技術を含む。)、細胞生物学、生物化学および免疫学の慣習的な技術を用いる。その技術は文献(例えば、「Molecular cloning: a laboratory manual」第2版(Sambrook et al., 1989);「Oligonucleotide synthesis」(M.J. Gait, ed., 1984);「Animal cell culture」(R.I. Freshney, ed., 1987);シリーズ「Methods in enzymology」(Academic Press, Inc.);「Handbook of experimental immunology」(D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.);「Gene transfer vectors for mammalian cells」(J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987);「Current protocols in molecular biology」(F.M. Ausubel et al., eds., 1987, および定期的に更新);「PCR: the polymerase chain reaction」(Mullis et al., eds., 1994);および「Current protocols in immunology」(J.E. Coligan et al., eds., 1991)であり、これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)にて十分に説明されている。
【0143】
[I.典型的な化合物]
本発明の典型的な化合物が以下に開示される。特定の1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン誘導体は開示されている(例えば、米国特許出願番号09/700,101;米国特許番号6,506,744;Kamal, et al., 2004 Synlett 14:2533-2535; Hulme, et al., 1998 J. Org. Chem. 63:8021-8022; Raboisson et al., 2005 Bioorg. Med. Chem. Lett. 15:1857-1861; Raboisson et al., 2005 Bioorg. Med. Chem. Lett. 15:765-770; Rabiosson et al., 2005 J. Med. Chem. 48:909-912;米国特許出願番号2007/0111994を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。本発明は、新たな1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンおよび関連化合物ならびにそれら化合物の使用を提供する。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明は、Rhoキナーゼ活性を阻害するために構成された化合物を提供する。本発明は、Rhoキナーゼインヒビタの特定のタイプまたは種類に限定されない。本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例は、ROCK活性を阻害する(例えば、ROCK1および/またはROCK2活性を阻害する。)ことのできる化合物を同定した。さらに、本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例は、選択的なROCKインヒビタとして化合物(例えば、ROCK2活性よりROCK1活性を選択的に阻害する化合物)(例えば、ROCK1活性よりROCK2活性を選択的に阻害する化合物;例えば、表1に開示される化合物1〜5および実施例IIを参照のこと。)を同定した。
【0145】
特定の化合物に限定されないが、本発明は、
【0146】
【化21】

【0147】
からなる群より選択される化学式によって表される、Rhoキナーゼ活性を阻害している化合物を提供する。
【0148】
いくつかの実施形態において、Rは、少なくとも2つの炭素分子を含んでいる化学基である。いくつかの実施形態において、Rはピリジンではない。
【0149】
いくつかの実施形態において、上記Rは、水素、アルキル、置換したアルキル、
【0150】
【化22】

【0151】
からなる群より選択される。
【0152】
いくつかの実施形態において、R1’は、
【0153】
【化23】

【0154】
からなる群より選択される。
【0155】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル、置換されたアルキルおよびRからなる群より選択される。
【0156】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、ヘキシル、イソプロピル)および置換されたアルキルからなる群より選択される。
【0157】
いくつかの実施形態において、Rは、水素;H;CH;エチル;ヘキシル;イソプロピル;ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン);OH;アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含んでいる化学的な部位;窒素を含んでいる化学的な部位;−OR−からなる群より選択されたものであって、上記Rが、アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;硫黄を含んでいる化学的な部位;および窒素を含んでいる化学的な部位;からなる群より選択される。
【0158】
いくつかの実施形態において、RおよびR基は、交換され得る(例えば、いくつかの実施形態において、R基が、ベンゾジアゼピン環の第1位に配置され、R基が、ベンゾジアゼピン環の第3位に配置される;いくつかの実施形態において、R基が、ベンゾジアゼピン環の第3位に配置され、R基がベンゾジアゼピン環の第1位に配置される。)。
【0159】
いくつかの実施形態において、Rは、C、N、SおよびOからなる群より選択される。
【0160】
いくつかの実施形態において、Rは、H、アルキル、置換されたアルキル、一置換されたアリール、二置換されたアリール、および三置換されたアリールからなる群より選択される。
【0161】
いくつかの実施形態において、Rは、C、N、SおよびOからなる群より選択される。
【0162】
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびR10は、非存在、H、ハロゲン、CF
【0163】
【化24】

【0164】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0165】
【化25】

【0166】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO28、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択される。
【0167】
いくつかの実施形態において、R11、R12、R13およびR14は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【0168】
【化26】

【0169】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【0170】
【化27】

【0171】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0172】
【化28】

【0173】
、ならびに置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択される。
【0174】
いくつかの実施形態において、R15、R16、R17およびR18は、C、N、OおよびSからなる群より独立して選択される。
【0175】
いくつかの実施形態において、R19は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択される。
【0176】
いくつかの実施形態において、R20は、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択される。
【0177】
いくつかの実施形態において、R21、R22、R23およびR24は、非存在、H、ハロゲン、CF
【0178】
【化29】

【0179】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0180】
【化30】

【0181】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO7’、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択されたものであって、R21、R22、R23およびR24の中の2個のみ水素であり得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、R25、R26、R27およびR28は、水素、アルキル(例えば置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【0183】
【化31】

【0184】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【0185】
【化32】

【0186】
(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【0187】
【化33】

【0188】
、ならびに、置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択されたものであって、R25、R26、R27およびR28の中の3個のみ水素であり得る。
【0189】
いくつかの実施形態において、化学式は、
【0190】
【化34】


【0191】
からなる群より選択される。
【0192】
本発明のある化合物は、
【0193】
【化35】




【0194】
を含むが、これらに限定されない。
【0195】
本発明のために開発した実施形態の過程において行われた実施例は、ROCK1よりROCK2の活性を選択的に阻害する化合物を同定した(例えば、表1および実施例IIを参照のこと。)。したがって、本発明は、ROCK1よりROCK2の活性を選択的に阻害する以下の化合物:
【0196】
【化36】

【0197】
を提供する。
【0198】
上述した詳細より、多くの特定の例が、上記に示される一般化学式によって表されることが明らかである。各置換基位置における特定の基から生じた、付随的な組み合わせの幅広い種類が可能であり、そしてその全ての組み合わせは、本発明の範囲内である。以下に提供する、典型的な実施例は、これら化合物の生物活性を開示し、誘導体または他の関連化合物を評価する活性のためのアッセイを提供する。
【0199】
まとめると、非常に多くの化合物が本明細書中にて示される。これら化合物の任意の1つまたは複数は、本明細書中に開示しているROCK活性に関連する様々な障害(心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄症(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)および急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症)を含むが、これらに限定されない。)を処置するために用いられ得る。さらに、これら化合物の任意の1つまたは複数は、薬学的に受容可能なキャリアと共に、少なくとも1つの他の治療薬(例えば、カリウムチャネル開口薬、カルシウムチャネル遮断薬、ナトリウム水素交換阻害剤、抗不整脈薬、抗動脈硬化剤、抗凝血剤(抗血液凝固剤)、抗血栓剤、血栓溶解促進剤、フィブリノーゲン拮抗剤、利尿剤、抗高血圧薬、ATPase阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗糖尿病薬、抗炎症剤、抗酸化剤、脈管形成調節薬、骨粗鬆症剤、ホルモン補充療法、ホルモン受容体調節剤、経口避妊薬、高肥満薬、抗鬱剤、抗不安剤、抗精神病薬、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗潰瘍および胃食道逆流症剤、成長ホルモン剤および/または成長ホルモン分泌促進因子、甲状腺の模倣、抗感染症剤、抗ウイルス剤、抗菌薬、抗真菌薬、抗高コレステロール/抗高脂血症薬、脂質プロフィール療法ならびに虚血プレコンディショニングおよび/または心筋スタニング、抗動脈硬化剤、抗凝血剤(抗血液凝固剤)、抗血栓剤、抗高血圧薬、抗糖尿病薬を模倣した物質、ならびにACE阻害剤、AT−1受容体拮抗薬、ET受容体拮抗薬、二重ET/AII受容体拮抗薬、およびバソプレシン阻害剤から選択される抗高血圧薬、またはGPIIb/IIIa遮断薬、P2YおよびP2Y12拮抗薬、トロンボキサン受容体拮抗薬、およびアスピリンから選択される抗血小板薬)と組み合わせて用いられ得、または薬学的組成物に希釈され得る。上述した化合物は、薬物のスクリーニングアッセイ、および他の診断、ならびに研究方法においてもまた用いられ得る。
【0200】
[II.薬学的組成物、構築、および典型的な投与経路ならびに投薬理由]
検討された種々の薬剤および薬学的組成物の典型的な実施形態は、以下に提供される。
【0201】
[A.薬剤の調製]
本発明の化合物は、ROCK活性に関連付けられた様々な状態(例えば、心循環器疾患、癌、神経疾患、腎臓病、気管支喘息、勃起不全および緑内障)を処置するための薬剤の調製において有益である。さらに、化合物の有効性が知られている、または予測される、他の障害を処置するための薬剤を調製するために、上記化合物は、また有益である。本発明の化合物の薬剤を調製するための方法および技術は、当業者において周知である。運搬の典型的な薬学的な処方および経路は、以下に開示される。
【0202】
当技術分野において習熟した者にとって、多くの特定の実施形態を含んでいる本明細書中にて開示された化合物の任意の1つまたは複数は、標準的な薬学的製造手順を適用することによって、調製されることは明らかである。その薬剤は、薬学の分野において周知の運搬方法を用いることによって、対象に運搬され得る。
【0203】
[B.典型的な薬学的組成物および処方]
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は単独で投与される。一方、いくつかの他の実施形態において、組成物は好ましくは、上記にて定義された少なくとも1つの活性成分/物質を含んでいる薬学的処方にて、固体担体と共にまたは代わりに用いる薬学的形態にて、1つまたは複数の薬学的に受容可能なキャリア、および必要に応じて他の治療薬と共に用いる薬学的形態にて存在する。各キャリアは、上記処方の他の成分と相溶性があり、対象に対して有害でないという意味の「受容可能」であるべきである。
【0204】
検討された処方は、それらの好適な、経口投与、経直腸投与、経鼻投与、局所投与(経皮投与、経頬投与および舌下投与を含む。)、経膣投与、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与および皮内投与)および肺の投与を含む。いくつかの実施形態において、処方は、ユニットの投与形態にて適切に表されており、薬学分野にて知られている任意の方法によって調製される。その方法は、1つまたは複数の副成分を構成するキャリアを有する活性成分の会合をもたらすステップを包含する。一般的に、処方は、液体のキャリアまたは最終的に分けられる固体のキャリア、あるいはその両方を有する活性成分の会合(例えば、混合)を均一にかつ完全にもたらし、次いで必要であれば、製品を成形することによって調製される。
【0205】
経口投与に好適な本発明の処方は、不連続単位(例えば、それぞれが規定量の活性成分を好ましくは含む、カプセル剤、カシェ剤またはタブレット;粉末または顆粒;溶液、または水溶液もしくは非水溶液における懸濁液;あるいは水中油の乳濁液または油中水の乳濁液)として表され得る。他の実施形態において、活性成分は、ボーラス、舐剤またはペースト剤等として表される。
【0206】
いくつかの実施形態において、タブレットは、少なくとも1つの活性成分を含み、および必要に応じて、1つまたは複数の補助的な物質/キャリアが、それぞれの物質に圧縮するまたは成形することによって形成される。好ましい実施形態において、圧縮されたタブレットは、好適な機械にて流れるように動く形態(例えば、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と必要に応じて混合した、粉末または顆粒、潤滑剤、不活性な希釈剤、防腐剤、錠剤分解物質(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋したポビドン、架橋したカルボキシルメチルセルロースナトリウム)界面活性剤または分散剤)において活性成分を圧縮することによって調製される。成形されたタブレットは、好適な機械にて、湿らせた粉末状の化合物(例えば、活性成分)と不活性の液状希釈剤との混合物を成形することによって形成される。タブレットは、必要に応じてコーティングされても刻み目をつけられてもよく、種々の割合にて所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロースを用いて、活性成分の緩やかなまたは制御された放出を提供するために処方され得る。タブレットは、必要に応じて、胃以外の内臓の部分にて放出されるために、腸溶コーティングを用いて提供され得る。
【0207】
口における局所投与に好適な処方は、風味のある主薬(一般的に白糖およびアカシアまたはトラガカント)における活性成分を含んでいるトローチ剤;不活性の主薬(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、または白糖およびアカシア)における活性成分を含んでいる芳香製剤;および好適な液状のキャリアにおける活性成分を含んでいる口腔洗浄液を含む。
【0208】
本発明に従って、局所投与のための薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、化粧水、粉剤、溶液、ペースト剤、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして、必要に応じて処方される。代わりの実施形態において、局所的な処方は、膏薬または包袋剤(例えば、活性成分、および必要に応じて1つまたは複数の補形薬または希釈剤を浸透させた、包帯または絆創膏)を含む。好ましい実施形態において、局所的な処方は、肌または他の病気に冒された部位を通して、活性物質の吸収または浸透を高める化合物を含む。その皮膚の浸透賦活薬の例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)および関連類似物を含む。
【0209】
必要であれば、クリームベースの水相は、例えば、少なくとも約30%W/Wの多価アルコール、すなわち、2つまたは複数のヒドロキシル基(例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールならびにそれらの混合物)を有するアルコールを含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、本発明の油相の乳濁液は、周知の方法にて周知の成分から構成される。この相は、典型的に単独の乳化剤(排出促進剤として知られているかどうかに関わらない。)を含み、さらにいくつかの実施形態において、この相が、少なくとも1つの乳化剤と脂質またはオイルとの、あるいは脂質とオイルの両方との混合物をさらに含むことがまた所望される。
【0211】
好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用させるために、親油性乳化剤と一緒に含められる。いくつかの態様においては、油と脂肪の両方を含めることも好ましい。併せて、安定剤を含んでも含まなくてもよい乳化剤がいわゆる乳化性ワックスを構成し、ワックスは油および/または脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化性軟膏基材を構成する。
【0212】
本発明の処方において、使用するために好適な排出促進剤および乳化安定剤は、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0213】
薬学的乳濁液の処方にて用いられる可能性が高い、大部分のオイルにおいて活性化合物/物質の溶解性が極めて低いため、処方に好適なオイルまたは脂質の選択は、所望の性質(例えば、化粧用性質)を獲得することに基づいている。従って、クリームは、好ましくは、チューブまたはその他の容器からの漏れを防ぐのに好適な粘度を有する、非脂肪性、非染色性そして洗浄可能な製品であるべきである。直鎖または分枝鎖の、一塩基または二塩基アルキルエステル(例えばジイソアジピン酸塩、ステアリン酸イソセチル、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、または、Crodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルの混合物)は用いられ得、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる性質に応じて、単独でまたは組み合わせて用いられ得る。または、高融点脂質(白色ワセリンおよび/またはパラフィン油あるいは他の鉱油)が用いられ得る。
【0214】
目への局所投与に好適な処方は、目薬を含み、活性成分が適当なキャリア、特に薬剤の水性溶媒に溶解または懸濁されている。
【0215】
経直腸投与のための処方は、例えば、カカオバターまたはサリチル酸塩を含んでいる、好適な基材を有する座薬として表され得る。
【0216】
経膣投与に好適な処方は、物質に加えて、当分野にて適切であることが公知のキャリアを含んでいる、膣座薬、クリーム、ゲル、ペースト剤、フォームまたは、スプレーの処方として表され得る。
【0217】
鼻内投与に好適な処方であり、キャリアが固体である処方は、粒径が例えば約20ミクロン〜約500ミクロンの範囲内の粗い粉末を含み、嗅ぎ薬を摂取する方法、即ち、鼻に近付けた粉末入り容器から鼻道を通す素早い(例えば、強制的な)吸入により投与される。他の適当な処方であり、そのキャリアが投与用の液体である処方は、スプレー式点鼻薬、点鼻薬、噴霧器を利用したエアロゾルを含むが、それらに限定されず、物質の水溶液または油性溶液を含む。
【0218】
非経口投与に好適な処方は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得、水性および非水性の等張滅菌注入溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液、ならびに血液成分または一つもしくは複数の臓器を化合物の標的とするように設計されたリポソームもしくは他の微粒子系を含む。いくつかの実施形態において、処方は、単位用量もしくは複数用量密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルで提示/処方化することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態で保存することができる。即時の注射溶液および懸濁液は、上述した滅菌粉末、顆粒およびタブレットから調製され得る。
【0219】
好ましい処方のユニット投薬は、本明細書中にて上に列記したように、物質の1日の投薬量もしくは単位、1日のサブ投薬量、またはその適当な割合を含んでいる。
【0220】
具体的に上述した成分に加えて、本発明の処方は、問題の処方のタイプと関連を有する分野において、標準的な他の物質を含み得ることを理解されるべきである。例えば、経口投与に好適な物質は、甘味料、増粘剤、および矯味矯臭剤をさらに含み得る。本発明の物質、組成物、および方法が、他の好適な組成物および治療法と組み合わせられることがまた意図されている。さらに他の処方は、必要に応じて、食品添加物(適当な甘味料、矯味矯臭剤、着色剤等)、植物性栄養素(例えば、亜麻仁油)、ミネラル(例えば、Ca、Fe、K等)、ビタミン、および他の許容される組成物(例えば、共役リノール酸)、増量剤、安定剤等を含む。
【0221】
[C.典型的な投与経路および投薬の考慮事項]
様々な送達系が公知であり、本発明の治療薬(例えば、上記第I節に記載の典型的化合物)の投与に利用することができる(例えば、リポソームにおけるカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、受容体依存性エンドサイトーシス等)。運搬方法は、動脈内、筋肉内、静脈内、鼻腔内、および経口経路を含むが、それらに限定されない。具体的な実施形態において、本発明の薬学的組成物は、治療を必要とする範囲への局所的に投与することが望まれ得、これは、例えば、手術中の局所注入、注射、あるいはカテーテルによって達成され得るが、それらに限定されない。
【0222】
上に示した物質は、対象、または標的細胞の病的増殖および関連する状態を発症し易いもしくはそのおそれのある個体に投与され得る。物質が、対象(例えば、マウス、ラット、またはヒトの患者)に投与される場合、その物質は、薬学的に受容可能なキャリアに加えられ得、対象に全身的または局所的に投与され得る。有益に処置され得る患者を特定するために、組織サンプルは、患者から除去され、物質に対するその細胞が、感受性の試験をされる。治療量は実験的に決定され、処置される病状、処置される対象、および物質の有効性および毒性によって変化する。
【0223】
いくつかの実施形態において、インビボの投与は処置中の全期間に亘って一回で、連続的に、または断続的な投与にて行われる。最も効果的な投与の手法および投与量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される組成物、治療目的、処置される標的細胞、および処置される対象によって変化する。一回または複数回投与は、処置をする医師によって選択される用量レベルおよびパターンにより実施される。
【0224】
適当な投与の処方および物質を投与する方法は、当業者によってすぐに決定される。好ましくは、化合物は約0.01mg/kg〜約200mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約100mg/kg、更により好ましくは約0.5mg/kg〜約50mg/kgにて投与される。本明細書中にて開示される化合物が、別の物質(例えば、感作剤)と共に投与される場合、その有効量はその物質が単独で用いられる場合と比較して少なくなり得る。
【0225】
薬学的組成物は経口、鼻腔内、非経口または吸入療法によって投与され得、タブレット、トローチ剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、アンプル、坐剤またはエアロゾルの形態をとり得る。これらは、水性または非水性の希釈液における活性成分の懸濁液、溶液および乳濁液、シロップ、顆粒、または粉末の形態もまたとり得る。本発明の物質に加えて、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な化合物または多数の本発明の化合物もまた含み得る。
【0226】
より詳細には、本明細書中にて活性成分としてもまた称されている本発明の物質は、治療のために、任意の適切な経路(経口、直腸内、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、頬側、舌下を含むが、それらに限定されない)、経膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含むが、それらに限定されない)および経肺を含むが、それらに限定されない。)によって投与され得る。好ましい経路が、受容体の状態および年齢、処置される疾患により変化することも理解される。
【0227】
理想的には、疾患部位において活性化合物が最大濃度となるように、物質は投与されるべきである。これは、例えば、必要に応じて食塩水中に含まれる物質の静脈内注射、または、例えば、活性成分を含んでいるタブレット、カプセル剤またはシロップとしての経口投与によって達成され得る。
【0228】
物質の望ましい血中濃度は、疾患組織内に治療量の活性成分を提供する連続的な注入によって維持され得る。治療用化合物または薬物がそれぞれ単独で使用された場合に必要とされ得る量よりも少ない、構成する各抗ウイルス剤の合計投与量を必要とし、その結果、有害作用を減少させる、治療上の組み合わせを提供するために、有効な組み合わせの使用が検討される。
【0229】
[D.例示的な併用経路および投薬における考慮事項]
本発明は、本明細書中にて開示される化合物が、1つまたは複数のさらなる活性物質と同時投与すること(併用すること)に関連する方法もまた含む。実際、本発明に記載の化合物を共に投与することによって、先行技術の治療法および/または薬学的組成物を改善する方法を提供することは、本発明の別の局面である。同時投与の手順において、物質は同時または連続して投与され得る。1つの実施形態において、本明細書中にて開示される化合物は、他の活性物質よりも前に投与される。薬学的処方および投与の方法は、上記のいずれであってもよい。さらに、2つまたは複数の共に投与される化学物質、生物物質、または、放射線は、それぞれ異なる方式あるいは異なる処方を用いて投与され得る。
【0230】
物質または共に投与される物質は、処置される状態のタイプに依存する。例えば、処置される状態が癌の場合、さらなる物質は化学療法薬または放射線であり得る。処置される状態が自己免疫疾患の場合、さらなる物質は、免疫抑制剤または抗炎症剤であり得る。処置される状態が慢性炎症の場合、さらなる物質は、抗炎症剤であり得る。共に投与されるさらなる物質(例えば、抗癌剤、免疫抑制剤、抗炎症剤)は、当技術分野において周知の物質のいずれのものでもよく、現在臨床に用いられている物質を含むが、それらに限定されない。放射線処置の適当なタイプおよび線量の決定もまた、当技術分野の範囲内である、または比較的容易に決定され得る。
【0231】
[III.薬物スクリーニング]
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の化合物、および必要に応じて他の有益な化合物は、活性を調節している(例えば、活性化している、阻害している)ROCKのためにスクリーニングされる。本発明のいくつかの実施形態において、本発明の化合物、および必要に応じて他の有益な化合物は、炎症性サイトカン活性(例えば、IL−17および/またはIL−21、ならびに/あるいは、炎症性サイトカン活性(例えば、IRF−4)と関連付けられる経路)の評価を通して、活性を調節している(例えば、活性化している、阻害している)ROCKのためにスクリーニングされる。
【0232】
薬物および他の低分子と受容体との結合性を測定するために適した、多くのスクリーニングが当分野において公知である。いくつかの実施形態において、結合性のスクリーニングは、インビトロ系において行われる。他の実施形態において、これらのスクリーニングは、インビボ系またはエキソビボ系において行われる。
【0233】
[IV.治療への応用]
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ROCK活性に関連付けられた多くの状態(例えば、心循環器疾患、癌、神経疾患、腎臓病、気管支喘息、勃起不全および緑内障)の任意の1つまたは複数に苦しむ患者に、病気に冒された細胞または組織におけるROCK活性を調節する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによって、治療効果を提供することを検討される。さらに好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ROCK活性に関連付けられる状態および/または障害(例えば、心循環器疾患、癌、神経疾患、腎臓病、気管支喘息、勃起不全および緑内障)を処置するために用いられる。
【0234】
ある実施形態において、Rhoキナーゼ活性を阻害することを制御するための方法(治療への応用)を提供するのであって、Rhoキナーゼ活性が:a)i.Rhoキナーゼ活性を有する標的細胞;およびii.組成物(例えば、上記第I節に記載の典型的な化合物)を提供すること;およびb)標的細胞を組成物に、結果的にRhoキナーゼ活性を阻害する(例えば、減少、停止)露出の条件下にて晒すこと、を含んでいる。本発明の方法は、特定の標的細胞に限定されない。いくつかの実施形態において、標的細胞は、インビトロの細胞、インビボの細胞、エキソビボの細胞、平滑筋の細胞、非平滑筋の細胞および癌細胞からなる群より選択される。本発明は、特定の治療への応用に限定されない。
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、病気に冒された細胞または組織におけるROCKの活性を調節する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによって、ROCK活性に関連付けられた多くの状態(例えば、心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄症(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)、急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症))の任意の1つまたは複数に苦しむ患者に、治療効果を提供することを検討される。
【0236】
いくつかの実施形態において、異常なROCK活性と関連付けられる状態は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))(例えば、炎症性の障害)と関連付けられる。例えば、ROCK2の阻害が、結果的に炎症性サイトカン(例えば、IL−17および/またはIL−21)の発現を阻害することは、証明されている(例えば、Biswas, et al., J. Clin. Inv. 2010, 120(9), 3280-3295を参照のこと。これらは、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。従って、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))の阻害は、ROCK1よりもROCK2の活性を選択的に阻害する、本発明の任意の化合物の使用によって、成し遂げられる(例えば、表1に示す化合物1〜5、および実施例IIを参照のこと)。その方法は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))の阻害の特定の様式に限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)の阻害は、例えば、その結果、IRF4の発現を阻害する(例えば、IRF4のリン酸化反応の防止によって)、例えば、IL−17および/またはIL−21を阻害する、ROCK2の阻害によって、成し遂げられる。
【0237】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、異常なROCK活性に関連付けられる状態および/または障害を有する対象を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、異常なROCK活性に関連付けられる状態および/または障害に苦しむ対象に、ROCK活性が調節される条件下(例えば、高められる、または低下される条件下)にて、本発明のROCKインヒビタ(例えば、第I節に記載の化合物)を投与することを含む。
【0238】
本発明は、異常なROCK活性に関連付けられる、特定の状態および/または障害を処置することに限定されない。ある実施形態において、上記化合物により、急性のおよび慢性の、痛みおよび炎症を処置するための使用を見出される。例えば、本発明の化合物により、神経障害、神経障害性の痛みまたは炎症性の痛み(例えば、反射性交感神経性ジストロフィー/カウザルキー(神経損傷)、末梢神経障害(糖尿病性ニューロパチーを含んでいる。)、難治性の癌疼痛、複合性局所疼痛症候群、およびエントラップネントニューロパチー(手根管症候群))を有する対象を処置するための使用を見出される。上記化合物は、急性帯状ヘルペス(帯状疱疹)、ヘルペス後神経痛(PHN)に関連される痛み、および疼痛症候群(例えば、眼球の痛み)に関連される痛みを処置するのにもまた有益である。上記化合物は、さらに痛みを処置する鎮痛剤(例えば、外科手術の鎮痛剤または熱を処置する解熱剤)としても有益であり得る。痛みの指標としては、心臓手術後を含んでいる様々な外科的処置の手術後の痛み、歯痛/抜歯、癌による痛み、筋肉痛、乳腺痛、皮膚損傷による痛み、腰痛、偏頭痛を含んでいる様々な因子の頭痛等を含むが、これらに限定されない。上記化合物は、痛みに関連する障害(例えば、接触性アロデイアおよび痛覚過敏)を処置するためにもまた有益であり得る。上記痛みは、体因性(侵害受容性または神経障害性のどちらか)、急性および/または慢性であり得る。本発明の化合物は、NSAIDs、モルヒネもしくはフェンタニール麻酔剤および/または他のオピオイド鎮痛剤が慣習的に投与される条件にてもまた有益であり得る。
【0239】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、必要としている対象に、鎮痛剤の耐性(例えば、ベンゾジアゼピンおよび他の中毒性の作用(例えば、ニコチン中毒、アルコール中毒および摂食障害)をとる患者における、遅延性の麻薬性鎮痛剤およびベンゾジアゼピンの耐性)を処置するまたは予防する際に用いられる。さらに、本発明の化合物および方法は、麻薬の禁断症状の処置または予防(例えば、アヘン剤、アルコール、またはタバコ中毒からの禁断症状の兆候の処置または予防)にて用いられる。
【0240】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、インスリン抵抗性および他の代謝異常(例えば、過度の炎症性シグナルに典型的に関連されるアテローム性動脈硬化症)を処置するために用いられる。
【0241】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、呼吸器の疾患または状態を処置するまたは予防するために用いられ、これは、アレルギー誘発性喘息、運動誘発性喘息、公害誘発性喘息、寒冷喘息およびウイルス性喘息を含んでいる喘息状態;喘息関連疾患(例えば、気道過敏性および末梢気道病変);標準の気道を有する慢性気管支炎、気道閉塞を有する慢性気管支炎(慢性閉塞性気管支炎)、肺気腫、喘息性気管支炎および水疱性疾患を含んでいる慢性閉塞性肺疾患;ならびに細気管支炎、気管支拡張、嚢胞性線維症、鳩愛好家病、農夫肺、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、肺臓炎、呼吸または気道傷害、肺の脂肪塞栓症、肺のアシドーシス炎症、急性肺水腫、急性高山病、急性肺高血圧、新生児の持続性肺高血圧、出産前後期の吸引症候群、ヒアリン膜症、急性肺血栓性塞栓性症、ヘパリン−プロタミン反応、セプシス、喘息発作重積状態、低酸素症、呼吸困難、高炭酸血症、ハイパーインフレーション、低酸素血症および咳を含んでいる炎症に関連する他の呼吸器系統の疾患を含んでいる、呼吸器の疾患または状態を予防するためおよび処置するための薬物を使用する治療方法を含んでいる。さらに、本発明の化合物は、アレルギー障害(例えば、遅延性過敏症反応、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎および慢性洞炎)を処置するための使用を見出す。
【0242】
本発明の化合物によって処置され得る他の障害または状態は、炎症および関連した障害を含む。例えば、上記化合物は、慢性関節リウマチ、脊椎関節症、通風性関節症、変形性関節症、若年性関節炎、急性リウマチ性関節症、腸炎性関節炎、神経障害性関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎(ライター症候群)、および化膿性関節炎を含んでいる(ただし、これらに限定されない。)関節炎、ならびに全身性紅斑性狼瘡、溶血性症候群、自己免疫性肝炎、自己免疫性ニューロパンチー、白斑(自己免疫甲状腺炎)、橋本甲状腺炎、貧血、多発性筋炎を含んでいる筋肉炎、円形脱毛症、グッドパスチャー症候群、低血圧および肺線維症を含んでいる自己免疫疾患を処置するために用いられる。
【0243】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、骨粗鬆症および他の感染した骨の障害を処置する際に用いられる。
【0244】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、胃腸管系の状態(例えば、逆流性食道炎、下痢、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、グレープス病(甲状腺機能亢進症)、壊死性腸炎および漬瘍性大腸炎)を処置するために用いられる。上記化合物は、肺の炎症(例えば、ウイルス感染および嚢胞性線維症)の処置の際にもまた用いられる。
【0245】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、単独で、または慣習的な免疫焼成剤を組み合わせて、臓器移植患者を処置する際に用いられる。上記患者において、処置される状態の例としては、移植片対宿主反応(すなわち、移植臓器対固体反応疾患)、同種異系移植片拒絶反応(例えば、急性同種異系移植片拒絶反応および慢性同種異系移植片拒絶反応)、移植再潅流障害、および初期の移植拒絶反応(例えば、急性同種異系移植片拒絶反応)を含む。
【0246】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、かゆみ症および尋常性白斑の処置において用いられる。
【0247】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ、リウマチ熱、インシュリン依存性糖尿病、を含んでいる神経筋接合部疾患、多発性硬化症を含んでいる白色病変、サルコイドーシス、腎炎、ネフローゼ症候群、ランゲルハンス細胞組織球症、糸球体腎炎、再潅流障害、膵炎、間質性膀胱炎、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、歯周炎、過敏症、損傷のあとに生じる腫物、心筋虚血、心血管性虚血および心肺停止後の虚血を含んでいる虚血、肝硬変、感染性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性のセプシス、中毒性ショック症候群、脳梗塞、虚血再灌流障害、多臓器不全、冠動脈バイパス成形手術後の再狭窄を含んでいる再狭窄等の疾患における組織の損傷を処置する際に用いられる。
【0248】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、神経系の特定の疾患および障害の処置の際に用いられる。Rhoキナーゼ阻害が有効であり得る中枢神経障害は、アルツハイマー病および軽度認知機能障害(MCI)を含んでいる皮膚性の痴呆、脳梗塞による中枢神経系の損傷、脳虚血を含んでいる虚血(病巣の虚血、血栓性脳梗塞と全虚血(例えば、心肺停止後)の両方)ならびに損傷を含む。Rhoキナーゼ阻害が有効であり得る神経変性障害は、障害(例えば、低酸素症、低血糖症、てんかん、および中枢神経系(CNS)の損傷の場合(例えば、脊椎および頭の損傷))、高圧酸素の痙攣および毒性、痴呆(例えば、初老性痴呆)およびAIDS関連の痴呆、悪液質、シデナム舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、コルサコフ症候群および脳血管疾患関連の低能における神経変性または神経壊死を含む。さらに、Rhoキナーゼ阻害が有効性を証明し得た障害は、中枢神経系および末梢神経系のニューロパンチー(例えば、IgA ニューロパンチー、膜性のニューロパンチーおよび特発性ニューロパンチーを含む。)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、横断性脊髄炎、ギラン・バレー疾患、脳炎および神経系の癌を含む。Rhoキナーゼ阻害が使用を見出し得るCNS機能の障害は、睡眠障害、精神分裂症、鬱病、月経前症候群(PMS)に関連される鬱病または他の症状、および不安症を含む。
【0249】
さらに、本発明の化合物は、様々な物質によって引き起こされる、感染性および/または中毒性の出血性ショックを含んでいる全身性の障害の回復;TNF、IL−1およびIL−2のサイトカンを用いた治療;および移植治療における短期間の免疫抑制に対するアジュバントのために、Rhoキナーゼ活性を阻害する際に用いられる。
【0250】
本発明の化合物によって処置され得る他の障害または状態は、癌(結腸直腸癌ならびに乳房、肺、前立腺、膀胱、子宮および皮膚の癌)の予防または処置を含む。本発明の化合物は、脳腫瘍、骨肉腫、白血病、上皮細胞由来の腫瘍形成(上皮性癌)(例えば、基底細胞癌)、腺癌、消化器官系の癌(例えば、口唇癌、口の癌、食道癌、小腸癌および胃癌)、結腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌および皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞の癌および基底細胞癌)、前立腺癌、腎細胞癌ならびに全身の上皮細胞に影響を及ぼす他に公知の癌を含んでいる(ただし、これらに限定されない。)腫瘍形成の処置および予防の際に用いられる。腫瘍形成は、消化器官系の癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌および皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞の癌および基底細胞癌)から選択され得る。
【0251】
本発明の化合物および方法は、放射線治療を用いて引き起こされた線維症を処置するためにもまた用いられる。本発明の化合物および方法は、家族性大腸線腫性(FAP)によるものを含んでいる、線腫性ポリープを有する対象を処置するために用いられ得る。さらに、本発明の化合物および方法は、FAPの危険性を有する患者において形成されたるポリープを予防するために用いられ得る。
【0252】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、眼の疾患(例えば、ドライアイ、緑内障、角膜の新血管形成、視神経炎、シェーグレン症候群、網膜神経変性、眼の虚血、網膜炎、網膜障害、ブドウ膜炎、眼の羞明)の処置および眼の組織への急性損傷に関連される炎症および痛みの処置において用いられる。いくつかの実施形態において、上記化合物は、緑内障の網膜症および/または糖尿病性網膜炎を処置するために用いられる。いくつかの実施形態において、上記化合物は、眼科手術用(例えば、白内障の手術および屈折矯正手術)による手術後の炎症または痛みを処置するために用いられる。
【0253】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、生理痛、月経困難症、早期分娩、子宮内膜症、腱炎、滑液包炎、例えば、乾癬である皮膚に関連した状態、湿疹、やけど、日焼け、皮膚炎、膵炎、肝炎、扁平苔癬、強膜炎、強皮症、皮膚筋炎等の処置にて用いられる。本発明の化合物が用いられる他の状態は、糖尿病(I型またはII型)、心筋炎、病理学的な脈管形成および大動脈瘤を含む。
【0254】
さらに、本発明の化合物は、心疾患(例えば、アンギナ)、冠動脈血管痙攣、心筋梗塞、冠動脈の虚血、鬱血性心不全、移植心冠動脈病変、静脈グラフト病および脈管の再狭窄、虚血性再潅流障害、大脳動脈血管痙攣、脳梗塞、脳虚血、本態性高血圧、肺高血圧、腎性高血圧および他の二次性高血圧障害、アテローム性動脈硬化症ならびに勃起不全の処置において用いられる。
【0255】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、自己免疫疾患を処置するために用いられる。自己免疫疾患の例としては、慢性関節リウマチ、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、セリアック病、特発性血栓性血小板減少、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症または乾癬性表皮過形成が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、乾癬、慢性移植対宿主病、急性移植対宿主病、クローン病、全身性紅斑性狼瘡または乾癬性表皮過形成である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症からなる群より選択された乾癬のタイプである。いくつかの実施形態において、免疫障害は、炎症性腸疾患または漬瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、病原性リンパ球の活性に関連される、または病原性リンパ球の活性により引き起こされる、免疫障害である。いくつかの実施形態において、免疫障害は、免疫障害を有する患者に、ミトコンドリアの呼吸を阻害する活性物質を投与することによる処置を受け易い免疫障害である。
【0256】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、関節炎、若年性関節炎、若年性慢性関節リウマチ、小関節の若年性慢性関節リウマチ、多関節の若年性慢性関節リウマチ、全身型若年性慢性関節リウマチ、若年性強直性脊髄炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性紅斑性狼瘡、若年性血管炎、小関節の慢性関節リウマチ、多関節の慢性関節リウマチ、全身型慢性関節リウマチ、強直性脊髄炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ブドウ膜炎、ライター症候群、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、血管炎、ミオリチス、多発性筋炎、皮膚筋炎、変形性関節症、結節性動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、スティル病、慢性閉塞性肺疾患、ギラン・バレー疾患、グレープス病、アジソン病、レイノー現象または自己免疫性肝炎である。
【0257】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、炎症性サイトカンの発現(例えば、IL−17および/またはIL−21)(例えば、IL−17および/またはIL−21の発現に関連付けられる経路(例えば、IRF4))に関連付けられる障害を処置するために用いられる。いくつかの実施形態において、障害は炎症性の障害である。炎症性の障害として、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、変性性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、強直性脊髄炎、反応性関節炎、痛風、偽性痛風、炎症性関節疾患、全身性紅斑性狼瘡、多発性筋炎および線維筋肉痛が挙げられるが、これらに限定されない。関節炎のさらなるタイプとして、アキレス腱炎、軟骨形成不全症、末端肥大症の関節炎、癒着性関節嚢炎、成人発症スティル病、鵞足包、虚血壊死、ベーチェット症候群、上腕二頭筋腱炎、ブローント病、ブルセラの脊椎炎、滑液包炎、腫部滑液包炎、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)、結晶沈着症、カプラン症候群、手根管症候群、軟骨石灰化、膝蓋軟骨軟化症、慢性滑膜炎症、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ−ストラウス症候群、コーガン症候群、ステロイド誘発性骨粗鬆症、肋胸骨の症候群、クレスト症候群、クリオグロブリン血症、変形性関節疾患、皮膚筋炎、糖尿病性の指の硬化症、汎発性特発性骨増殖症(DISH)、椎間板炎、円板状エリテマトーデス、薬剤誘発性エリテマトーデス、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュピュイトラン拘縮、エーラー・ダロンズ症候群、腸炎性関節炎、上顆炎、びらん性炎症変形性関節症、運動誘発性の隔壁腔症候群、ファブリー病、家族性地中海熱、ファーバー脂肪肉芽腫症、フェルティ症候群、伝染性紅斑、偏平足、異物滑膜炎、フライバーグ病、真菌性関節炎、ゴーシェ病、巨細胞性動脈炎、淋菌性関節炎、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性動脈炎、関節血症、血色症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、B型肝炎表面抗原疾患、股関節異形成、ハーラー症候群、運動過剰症候群、過敏性血管炎、肥大性骨関節症、免疫複合体病、インピンジメント症候群、ジャクー関節症、若年性強直性脊髄炎、若年性皮膚筋炎、若年性慢性関節リウマチ、川崎病、キーンベック病、レッグ−カルヴェ−ペルテス病、レッシュ−ナイハン症候群、線状強皮症、リポイド皮膚関節炎、ロフグレン症候群、ライム病、悪性滑膜腫、マルファン症候群、滑膜ひだ症候群、転移性癌性関節炎、混合結合組織病(MCTD)、混合性クリオブロブリン血症、ムコ多糖症、多中心性細網組織球症、多発性骨端形成異常、マイコプラズマ関節炎、筋筋膜性疼痛症候群、新生児ループス、神経障害性関節症、結節性皮下脂肪炎、組織褐変症、肘頭部滑液包炎、オスグッド・シュラッター病、変形性関節症、骨軟骨腫症、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、骨粗鬆症、オーバラップ症候群、肥大性皮膚骨膜症骨ページェット病、回帰性リウマチ、膝蓋大腿部痛症候群、ペレグニー・スティーダ症候群、色素性絨毛結節性滑膜炎、梨状筋症候群、足底筋膜炎、結節性動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、ベーカー嚢腫、後脛骨腱炎、脊椎カリエス、膝蓋前滑液包炎、人工関節感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬性関節炎、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発性軟骨炎、踵骨後部滑液包炎、リウマチ熱、リウマチ性血管炎、肩回旋筋腱板炎、仙腸骨炎、サルモネラ菌性骨髄炎、サルコイドーシス、鉛通風、ショイエルアン骨軟骨炎、強皮症、化膿性関節炎、血清反応陰性関節炎、赤痢菌性関節炎、肩手症候群、鎌状赤血球関節炎、シェーグレン症候群、大腿骨頭滑り症、脊椎管狭窄症、脊椎分離症、ブドウ球菌性関節炎、スティックラー症候群、亜急性皮膚ループス、スイート症候群、シデナム舞踏病、梅毒性関節炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、高安動脈炎、足根管症候群、テニスエルボー、ティーツェ症候群、一過性オステオポローシス、外傷性関節炎、転子滑液包炎、結核性関節炎、漬瘍性大腸炎の関節炎、未分化結合組織症候群(UCTS)、蕁麻疹様血管炎、ウイルス性関節炎、ヴェグナー肉芽腫症、ウィップル病、ウィルソン病およびエルシニア関節炎が挙げられる。
【0258】
ある実施形態において、異常なROCK活性と関連付けられる障害および/または状態は、心臓血管疾患(例えば、アンギナ(例えば、狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血)、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄症(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧))、平滑筋関連障害(例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息)、肉芽腫性障害(例えば、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症)、急性マクロファージ仲介疾患(例えば、成人呼吸窮迫症候群)および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症)を含む。
【0259】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、アンギナを処置するために構成された物質(例えば、抗血小板剤(例えば、アスピリン、チクロピジン)、β−アドレナリン遮断薬(例えば、メトプロロール、カルベジロールプロプラノロール、アテノロール)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン、ジルチアゼム、ベラパミル)、短時間作用ニトログリセリン(例えば、ニトログリセリン)、長期間作用ニトログリセリン(例えば、イソソルビド)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、ラミブリル)、抗虚血薬(例えば、ラノラジン)、IFインヒビタ(例えば、イバブラジン)、およびスタチン(例えば、ロスバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの任意の組み合わせ))と共に投与される。
【0260】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、自己免疫疾患および/または炎症性障害(例えば、慢性関節リウマチ)を処置するために構成された物質と共に投与される。そのような物質の例として、疾患修飾性(例えば、レルフノミド、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン)、生物学の物質(例えば、リツキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ)、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナク)、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェノン、トラマドール)、免疫調整剤(例えば、アナキンラ、アバタセプト)、およびグルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、IL−1インヒビタ、およびメタロプロテアーゼインヒビタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0261】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、アテローム性動脈硬化症を処置するために構成された物質(例えば、スタチン(例えば、ロスバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチンおよびそれらの任意の組み合わせ)、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル)、胆汁酸隔離剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール)、抗酸化剤(例えば、ビタミンE)、およびニコチン酸誘導体(例えば、ナイアシン))と共に投与される。
【0262】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、脳梗塞を処置するために構成された物質(例えば、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン、エノキサパリン、ダルテパリン、チンザパリン、未分画ヘパリン)、再潅流薬(例えば、血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ))、線維素溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、アミコケムシ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ))、および抗血小板剤(例えば、アスピリン、チクロピジン、チクロピジン)と共に投与される。
【0263】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、脳血栓症を処置するために構成された物質(例えば、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン、エノキサパリン、ダルテパリン、チンザパリン、未分画ヘパリン)、および血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、アミコケムシ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ))と共に投与される。
【0264】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、脳塞栓症を処置するために構成された物質(例えば、線維素溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、アミコケムシ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ)、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン、エノキサパリン、ダルテパリン、チンザパリン、未分画ヘパリン))と共に投与される。
【0265】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、脳溢血を処置するために構成された物質(例えば、抗高血圧薬(例えば、ラベタロール、ニカルジピン)、浸透圧利尿剤(例えば、マンニトール)、解熱剤/鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェノン)、抗痙攣薬(例えば、ホスフェニトイン)、アンチドート(例えば、フィトナジオン、ビタミンK、硫酸プロタミン)、耐酸(例えば、ファモチジン))と共に投与される。
【0266】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、鬱血性心不全を処置するために構成された物質(例えば、利尿剤(例えば、フロセミド、メトラゾン)、硝酸エステル(例えば、ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム)、鎮痛剤(例えば、モルヒネ硫酸塩)、強心薬(例えば、ドーパミン、ドブタミン)、抗ヒトBタイプナトリウム利尿ペプチド(例えば、ネシリチド))と共に投与される。
【0267】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、冠動脈疾患を処置するために構成された物質(例えば、スタチン(例えば、ロスバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチンおよびそれらの任意の組み合わせ)、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル)、胆汁酸隔離剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール)、抗酸化剤(例えば、ビタミンE)、およびニコチン酸誘導体(例えば、ナイアシン))と共に投与される。
【0268】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、心筋梗塞を処置するために構成された物質(例えば、抗血栓剤(例えば、アスピリン、ヘパリン、エノキサパリン)、血管拡張薬(例えば、ニトログリセリン)、交感神経β遮断薬(例えば、メトプロロール、エスモロール)、血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、アミコケムシ)、血小板凝集阻害剤(例えば、チクロピジン、エプチフィバチド、チロフィバン、アブシキシマブ)、鎮痛剤(例えば、モルヒネ硫酸塩)、アンジオテンシン交換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトリル))と共に投与される。
【0269】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、末梢血管疾患を処置するために構成された物質(例えば、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン、ワルファリン、エノキサパリン、ダルテパリン、チンザパリン、未分画ヘパリン))と共に投与される。
【0270】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、狭窄(例えば、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄、肺動脈弁狭窄症)を処置するために構成された物質(例えば、プロスタグランジン(例えば、アルプロスタジル)、β遮断薬(例えば、アテノロール、エスモロール、プロプラノロール))と共に投与される。
【0271】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、血管痙攣(例えば、大脳動脈血管痙攣、冠動脈血管痙攣)を処置するために構成された物質(例えば、硝酸エステル(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジントラート、イソソルビドモノニトラート)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミル、ジルチアゼム))と共に投与される。
【0272】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、高血圧(例えば、肺動脈高血圧、全身系動脈高血圧)を処置するために構成された物質(例えば、非経口の血管拡張薬(例えば、エポプロステロール、トレプロチニル)、ホスホジエステラーゼ(5型)酵素阻害剤(例えば、シルデナフィル)、吸入用血管拡張薬(例えば、イロプロスト)、経口の肺高血圧薬(例えば、ボセンタン、アンブリセンタン)、利尿剤(例えば、ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、アミロリド、フロセミド)、α−1−アドレナリン遮断薬(例えば、プラゾニン、テラゾシン)、β−抗アドレナリン作用薬(例えば、アテノロール、メトプロロール、プロプラノロール、ネビボロール)、α/β−抗アドレナリン作用薬(例えば、ラベタロール、カルベジロール)、末梢血管拡張薬(例えば、ヒドララジン、ミノキシジル)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン)、アンジオテンシン交換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミブリル)、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(例えば、ロサンタン、バルサタン、エプロサタン、オルメサタン)、アルドステロン拮抗薬(例えば、エプレノン)、α遮断薬(例えば、メチルドーパ、クロノジン)、レニン阻害剤(例えば、アリスキレン))と共に投与される。
【0273】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、緑内障を処置するために構成された物質(例えば、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾールアミド、メタゾールアミド)、β-アドレナリン遮断薬(例えば、トモロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロール)、α−アドレナリン作用薬(例えば、アプラクロニジン、ブリモニジン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、眼科用薬(例えば、ピロカルピン)、高浸透圧剤(例えば、グリセリン、イソソルビド、マンニトール))と共に投与される。
【0274】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、勃起不全を処置するために構成された物質(例えば、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル)、注射用薬(例えば、アルプロスタジル、パパベリン、フェントラミン、アルプロスタジル)、アンドロゲン(例えば、テストステロン))と共に投与される。
【0275】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、気管支喘息を処置するために構成された物質(例えば、β2−アドレナリン作用物質(例えば、レバルブテロール、サルメテロール、フォモテロール、アルブテロール)、コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン、トリアンシノロン、ベクロメガゾン、プレドニゾン、バデソニド)、気管支拡張剤(例えば、イプラトロピウム、テオフィリン)、β2−作用物質/コルチコステロイドの組み合わせ(例えば、サルメテロール/フルチカソン、ブデソニド/フォモテロール)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(例えば、モンテルカスト、ザフィルカスト)、肥満細胞安定剤(例えば、クロモィン)、5−リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、ジレウトン)、モノクロナール抗体(例えば、オマリザマブ))と共に投与される。
【0276】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、サルコイドーシスを処置するために構成された物質(例えば、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、細胞毒剤(例えば、メトトレキサート、アザチオプリン)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン)、免疫調整剤(例えば、サリドマイド)、腫瘍壊死阻害剤(例えば、インフリキシマブ))と共に投与される。
【0277】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、ヴェグナー肉芽腫症を処置するために構成された物質(例えば、抗悪性腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、メトトレキサート)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗生物質(例えば、トリメトプリム、スルファメトキサゾール)、抗甲状腺薬(例えば、ヨウ化カリウム)、生物製剤/TNF−α阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アザチオプリン、リツキシマブ))と共に投与される。
【0278】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、成人呼吸窮迫症候群を処置するために構成された物質(例えば、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾン))と共に投与される。
【0279】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、全身性紅斑性狼瘡を処置するために構成された物質(例えば、非アセチル化サリチル酸(例えば、トリサルチル酸コリンマグネシウム)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)(例えば、イブプロフェン)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾン)、免疫抑制薬/細胞毒剤(例えば、シクロホスファミド、アザチオプリン))と共に投与される。
【0280】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、多発性硬化症を処置するために構成された物質(例えば、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾン、デキサメタゾン)、免疫調整剤(例えば、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ナタリズマブ)、免疫抑制因子(例えば、ミトキサントロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート)、抗ウイルス薬/抗パーキンソン病薬(例えば、塩酸アマンタジン)、中枢神経系覚醒剤(例えば、モダニフィル))と共に投与される。
【0281】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、過敏性腸症候群を処置するために構成された物質(例えば、抗コリン作用薬(例えば、塩酸ジシクロミン、硫酸ヒヨスチアミン)、下痢止め薬(例えば、硫酸アトロピンを用いた塩酸ジフェノキシラート、ロペラミド)、三環系抗鬱剤(例えば、イミプラミン、アミトリプチリン)、消化管運動促進剤(例えば、シサプリド一水和物、テガセロット)、セロトニン(5−HT3)受容体拮抗薬(例えば、アロセトロン)、塩化チャンネル活性化因子(例えば、ルビプロストン)、膨張性下剤(例えば、メチルセルロース、オオバコ))と共に投与される。
【0282】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、全身性硬化症を処置するために構成された物質(例えば、免疫調整剤(例えば、プレドニゾン、メトトレキサート、クロラムブシル、サイクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド)、抗線維症剤(例えば、ペニジラミン、コルヒチン)、血管反応剤(例えば、ニフェジピン)、抗血小板剤(例えば、アスピリン)、抗高血圧薬(例えば、レセルピン、メチルドーパ))と共に投与される。
【0283】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、慢性関節リウマチを処置するために構成された物質(例えば、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)(例えば、ナブメトン、アスピリン、セレコキシブ、イブプロフェン)、金化合物(例えば、オーラノフィン)、免疫抑制剤(例えば、メトトレキサート)、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗炎症剤(例えば、スルファサラジン)、コルチコステロイド(例えば、ベータメタゾン)、疾患修飾薬(例えば、ペニジラミン、アダリムマブ)、免疫調整剤(例えば、アバタセプト))と共に投与される。
【0284】
いくつかの実施形態において、ROCKインヒビタ(第I節の典型的な化合物を参照のこと。)は、異常な脈管形成に関連される疾患に苦しむ対象を処置するために用いられる。いくつかの実施形態において、1つよりも多くの本発明の化合物は、Rhoキナーゼ(ROCK)の活性を調整する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによって、異常な脈管形成による病に冒された細胞または組織において、異常な脈管形成に関連される疾患を処置するために用いられる。本発明は、異常な脈管形成に関連される疾患の特定のタイプに限定されない。異常な脈管形成に関連される疾患の例としては、癌(例えば、固形腫瘍に関連される癌)、乾癬、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症および慢性関節リウマチを含む。
【0285】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、異常な脈管形成を処置するために構成された物質(例えば、ダルテパリン、ABT−510、CNGRCペプチドTNFα複合体(NGR−TNF)、コンブレタスタチンA4リン酸塩、ジメチルキサンテノン酢酸、レナリドマイド、LY317615、PPI−2458、ソイイソフラボン(ゲニステイン;大豆タンパクアイソレイト)、クエン酸タモキシフェン、サリドマイド、ADH−1、AG−013736、AMG−706、抗VEGF抗体、AZD2171、Bay43−9006、GW786034、CHIR−265、PI−88、PTK787/ZK222584、RAD001、スラミン、SU11248、XL184、ZD6474、ATN−161、EMD121974、およびセレコキシブ)と共に投与される。
【0286】
いくつかの実施形態において、本発明のROCKインヒビタを含んでいる組成物は、癌を処置するために構成された物質(例えば、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アドリアマイシン;アルデスロイキン;アリトレチノイン;アロプリノールナトリウム;オルトルナム;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストゾール;アノナセオス・アセトゲニン;アントラマイシン;アシミシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ベキサロテン;ビカルタシド;ベサントレン塩酸塩;メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレチナルナトリウム;ブロピリシン;ブラタシン;ブスルファン;カベルゴリン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼルシン;セデフィンゴール;セレコキシブ;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;DACA(N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド);ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;ダウノマイシン;デシタビン;オンタック;デキソルアプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエン酸;プロピオン酸ドロモスタノン;ヂュアゾマイシン;エダトレキサート;エフロルニリン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタンダゾール;エチヨード化油I131;エトポシド;エトポシドリン酸塩;エトプリン;ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチンド;フルクスウリジン;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;5−FdUMP;フルオシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;FK−317;FK−973;FR−66979;FR−900482;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ゲムツズマブ・オゾガマイシン;金Au198;ゴセレリン酢酸塩;グアナコン;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−1a;インターフェロンγ−1b;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;酢酸リュープロリド;リアロゾール塩酸塩;ロメテレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;酢酸ゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトキサレン;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトジリン;マイトマルシン;マイトマイシン;マイトマイシンC;マイトスパー;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オプレルベキン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;パミドロン酸二ナトリウム;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;リツキシマブ;ログレチミド;ロリニアスタチン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;サマリウム/レキシドロナム;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセート・ナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スパルソマイシン;スピロムスチン;スピロプラチン;スクアモシン;スクアモタシン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウムSr89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフル;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チミタック;チアゾフリン;チラパザミン;トミュデックス;TOP−53;トポテカン塩酸塩;クエン酸トレミファン;トラスツマブ;酢酸トレストロン;トリシリビンリン酸塩;トリメトレキサート;トリメトレキサートグルコロン酸;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシル・マスタード;ウレデパ;バルルビシン;バブレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン;硫酸ビンブラスチン;ブンクリスチン;硫酸ブンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロウロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビントシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩;2−クロロデオキシアデノシン;2’−デオキシフォルムマイシン;9−アミノカンプトセシン;ラルチトレキセド;N−プロパギル−5,8−ジデアサ葉酸;2−クロロ−2’−アラビノ−フルオロ−2’−デオキシアデノシン;2−クロロ−2’−デオキシアデノシン;アニソマイシン;トリコシタチンA;hPRL−G129R;CEP−751;リノミド;サルファ・マスタード;ナイトロジェン・マスタード(メクロレタミン);シクロホスファミド;メルファラン;クロラムブシル;イホスファミド;ブスルファン;N−メチル−N−ニトロソウレア(MNU);N,N’−ビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソウレア(BCNU);N−(2−クロロエチル)−N’−シクロヘキシル−N−ニトロソウレア(CCNU);N−(2−クロロエチル)−N’−(トランス−4−メチルシクロヘキシル−N−ニトロソウレア(MeCCNU);N−(2−クロロエチル)−N’−(ジエチル)エチルホスホネート−N−ニトロソウレア(フォテムスチン);ストレプトゾトシン;デカルバジン(DTIC);ミトゾロマイド;テモゾロマイド;チオテパ;マイトマイシンC;AZQ;アドゼレシン;シスプラチン;カルボプラチン;オルマプラチン;オキサリプラチン;C1−973;DWA2114R;JM216;JM335;ビス(プラチナム);トミュデックス;アザシチジン;シタラビン;ゲムシタビン;6−メルカプトプリン;6−チオグアニン;ヒポキサンチン;テニポシド;9−アミノカンプトセシン;トポテカン;CPT−11;ドキソルビシン;ダウノマイシン;エピルビシン;ダルビシン;ミトキサントロン;ロソキサントロン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD);アムサクリン;ピラゾロアクリジン;オ−ル・トランス・レチノール;14−ヒドロキシ−レトロ−レチノール;オール・トランス・レチノイン酸;N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド;13−シス・レチノイン酸;3−メチルTTNEB;9−シス・レチノイン酸;フルダラビン(2−F−ara−AMP);および2−クロロデオキシアデノシン(2−Cda)と共に投与される。他の抗癌剤としては、抗増殖剤(例えば、ピリトレキシムイソチオネート)、抗前立腺肥大抑制剤(例えば、シトグルシド)、前立腺肥大症治療薬(例えば、タムスロシン塩酸塩)、前立腺成長阻害剤(例えば、ペントモン)、および放射性剤;フィブリノーゲン1 125;フルデオキシグルコースF18;フルオロドーパF18;インシュリンI125;インシュリンI131;イオベングアンI123;ヨージパド・ナトリウムI131;ヨードアンチピリンI131;ヨードコレステロールI131;ヨードヒップレートナトリウムI123;ヨードヒップレートナトリウムI125;ヨードヒップレートナトリウムI131;ヨードピラセットI125;ヨードピラセットI131;イオフェタミン塩酸塩I123;イオメチンI125;イオメチンI131;ヨータラム酸ナトリウムI125;ヨータラム酸ナトリウムI131;イオチロシンI131;リオチロニンI125;リオチロニンI131;メリソプロールアセテートHg197;メリソプロールアセテートHg203;メリソプロールHg197;セレノメオニンSe75;テクネチウムTc99m 三硫酸アンチモンコロイド;テクネチウムTc99m ビジセート;テクネチウムTc99m ジソフェニン;テクネチウムTc99m エチドロン酸;テクネチウムTc99m エクサメタジム;テクネチウムTc99m フリホスミン;テクネチウムTc99m グルセプテート;テクネチウムTc99m リドフェシン;テクネチウムTc99m メブロフェニン;テクネチウムTc99m メドロネート;テクネチウムTc99m メロドネートナトリウム;テクネチウムTc99m メリチウム;テクネチウムTc99m オキシドロネート;テクネチウムTc99m ペンテテート;テクネチウムTc99m ペンテテートカルシウム三ナトリウム;テクネチウムTc99m セスタミビ;テクネチウムTc99m シボロキシム;テクネチウムTc99m スッシマー;テクネチウムTc99m 硫黄コロイド;テクネチウムTc99m テボロキシム;テクネチウムTc99m テトロホシミン;テクネチウムTc99m チアチド;チロキシンI125;チロキシンI131;トルヒドロキシプロピルI131;トリオレインI125;トリオレインI131を含むが、これらに限定されない。さらに、抗癌剤は、抗癌剤補充性増強剤:三環系抗鬱剤(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプシン、クロミプラミン、トリイミプラミン、ドクサピン、ノルトリプチン、プロトリプチン、アモキサピンおよびマプロチリン);非三環系抗鬱剤(例えば、セルトラリン、トラゾドンおよびキタロプラム);Ca++アンタゴニスト(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピンおよびカロベリン);カルモジュリン阻害剤(例えば、プレニラミン、トリフルオロペラジンおよびクロミプラミン);アンフォテリシンB;トリパラノール類似体(例えば、タキモシフェン);抗不整脈薬(例えば、キニジン);抗高血圧薬(例えば、レセルピン);チオール・デプリート(例えば、ブチオニンおよびスルホキシイミン);および多重薬剤耐性低減剤(例えば、クレマホルEL)を含むが、これらに限定されない。他の抗癌剤は、さらに、アノナセオス・アセトゲニン;アシミシン;ロリニアスタチン;グアナコン、スクアモシン、ブラタシン;スクアモタシン;タキサン;パクリタキセル;ゲムシタビン;メトトレキサートFR−900482;FK−973;FR−66979;FK−317;5−FU;FUDR;FdUMP;ヒドロキシウレア;ドセタキセル;ジスコデルモリド;エポチロン類;ブンクリスチン;ビンブラスチン;ビノレルビン;メタパク;イリノテカン;SN−38;10−OHカンプト;トポテカン;エトポシド;アドリアマイシン;フラポピリドール;シス−Pt;カルボ−Pt;ブレオマイシン;マイトマイシンC;ミトラマイシン;カペシタビン;シタラビン;2−Cl−2’−デオキシアデノシン;フルダラビン−PO;ミトキサントロン;ミトゾロシド;ペントスタチン;およびトミュデックスからなる群より選択される。1つの具体的な好ましい抗癌剤の分類は、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)である。別の重要な抗癌剤の種類は、アノナセオス・アセトゲニンである。
【0287】
いくつかの実施形態において、ROCKインヒビタ(第I節の典型的な化合物を参照のこと。)は、対象の血圧を調整するために用いられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1つ以上は、病に冒された細胞または組織において、Rhoキナーゼ(ROCK)の活性を調整する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによって、対象の血圧を調整するために用いられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、病に冒された細胞または組織において、Rhoキナーゼ(ROCK)の活性を調整する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによって、血圧を調整する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、血圧を調節する目的のために、少なくとも1つのさらなる物質(例えば、チアジンおよび遅延性利尿剤(例えば、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン)、α/β−抗アドレナリン作用薬(例えば、カルベジロール)、β−抗アドレナリン作用薬(例えば、ビソプロロール、アテノロール、メトプロロール)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトリル、ホシノプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ラミブリル)、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(例えば、ロサンタン、バルサタン、カンデサルタン、イルベサルタン、エプロサタンおよびオルメサタン)、カルシウムチャネル遮断薬非ジヒドロピリジン(例えば、ジルチアゼムおよびベラパミル)、カルシウムチャネル遮断薬ジヒドロピリジン(例えば、アムロジピン、ニフェジピン、フェロジピン)、末梢神経性血管拡張薬(例えば、ヒドララジン)、アルドステロン拮抗薬(例えば、スピロノラクトン))を共に投与される。
【0288】
いくつかの実施形態において、ROCKインヒビタ(第I節の典型的な化合物を参照のこと。)は、対象のHDL/LDLレベルを調節するために用いられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の1つ以上は、対象のHDL/LDLレベルの調節を処置するため(例えば、LDLレベルを低くする、HDLレベルを上昇させる)に用いられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、病に冒された細胞または組織において、Rhoキナーゼ(ROCK)の活性を調整する(例えば、阻害するまたは促進させる)ことによってHDL/LDLレベルを調節するために用いられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、対象のHDL/LDLレベルを調節する目的のために、少なくとも1つのさらなる物質と共に投与される。対象のHDL/LDLレベルを調節する目的のためのさらなる物質の例としては、抗脂血症薬(例えば、ナイアシン、ニコチン酸、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート)、およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチンおよびロスバスタチン)を含むが、これらに限定されない。
【0289】
[実施例]
以下の実施例は、実証するために提供され、さらに本発明の好ましいある実施形態を例証し、その範囲に限定することとして解釈されない。
【0290】
[実施例I]
[化合物1の調製]
[中間体A:(R)−7−クロロ−3−(4−ヨードベンジル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0291】
【化37】

【0292】
500mLの丸底フラスコにアセトニトリル/HO(1:1、150mL)に溶解させた4−ヨード−D−フェニルアラニン(2g、0.007mol)を入れた。上記溶液にトリエチルアミン(0.94mL、0.007mol、1当量)を加え、その混合溶液を室温にて30分間、攪拌した。5−クロロ無水イサト酸(1.45g、0.007mol、1当量)を上記混合溶液に加え、その反応溶液を80℃にて加熱し、一晩攪拌した。その反応溶液を冷却し、酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。上記溶媒を真空下にて除去した。黄色の固体に氷酢酸(300mL)を加えた。その攪拌溶液を130℃にて一晩加熱した。室温まで冷却した後に、反応混合溶液を再び酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。溶媒を真空下にて除去し、シリカゲル(6インチ×150mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって白色固体(1.2g、44%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは0.5であった。施光度(アセトン、0.998dm)は、−164.9°であった。
【0293】
HNMR(DMSO、500MHz):δ(ppm)2.79−2.82(1H、dd、J=9.3、14.2Hz)、3.04−3.08(1H、dd、J=5.2、14.2Hz)、3.93−3.95(1H、m)、7.10−7.15(3H、m)、7.56−7.61(4H、m)、8.66(1H、dd、J=6.0Hz)、10.50(1H、s)。
【0294】
[中間体B:(R)−7−クロロ−3−(4−ヨードベンジル)−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0295】
【化38】

【0296】
250mLの丸底フラスコに、ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解させた中間体A(1.2g、3.00mmol)を入れ、0℃まで冷却した。水酸化ナトリウム(鉱油中に60%分散、0.120g、3.00mmol、1当量)をその溶液に加え、混合溶液を0℃にて30分間、攪拌した。ヨードメタン(0.19mL、3.00mmol、1当量)を加え、その溶液を4時間、攪拌し、室温まで温めた。水(30mL)を加えることによってその反応を止めた。その溶液を酢酸エチル(30mL)に注ぎ、有機層および水層を分離した。酢酸エチル(3×30mL)を用いて水層を抽出し、水(2×20mL)および食塩水(1×20mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を真空下にて置くことによって黄色のオイルを生成した。シリカゲル(6インチ×150mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって黄/白色の固体(0.877g、66%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは、0.61であった。施光度(アセトン、0.998dm)は、−143.8°であった。
【0297】
HNMR(アセトン、400MHz):δ(ppm)3.05−3.09(1H、dd、J=8.5、14.4Hz)、3.33−3.37(4H、m)、4.22−4.25(1H、m)、7.20−7.21(2H、d、J=8.1Hz)、7.42−7.43(1H、d、J=8.8Hz)、7.59−7.63(3H、m)、7.69(1H、d、J=2.4Hz)、7.97(1H、bs)。
【0298】
[化合物1:(R)−3−(4−(1H−ピラゾール−4−イル)ベンジル)−7−クロロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0299】
【化39】

【0300】
ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解させた中間体B(0.197g、0.45mmol)の溶液に、4−ピラゾールボロン酸ピナコールエステル(0.174g、0.90mmol、2当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.037g、0.045mmol、0.1当量)および炭酸ナトリウム(2M水溶液を1.80mL、3.60mmol、8当量)を加えた。その溶液を130℃で30分間、加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合溶液を水(15mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×15mL)を用いて抽出した。有機層を回収し、水(2×15mL)、食塩水(1×15mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲル(2インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、黄色の固体(23mg、11%)を生成した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン−メタノール(90:10))のRfは、0.38であった。20℃にて溶離液として100%のMeOHを用いたChiracel OJ−H分析カラムによるHPLCトレースは、26.1分および27.9分に2つのピーク(95.0:5.0、R:S)を生じた。
【0301】
HNMR(アセトン、500MHz):δ(ppm)3.06−3.10(1H、dd、J=8.6、14.4Hz)、3.35−3.41(4H、m)、4.20−4.24(1H、m)、7.35−7.37(2H、d、J=8.1Hz)、7.45−7.52(3H、m)、7.59−7.62(1H、dd、J=2.7、8.8Hz)、7.66(1H、dd、J=2.4Hz)、7.67(1H、d、J=2.7Hz)、7.81(bd、1H)、7.97(bs、2H)。
【0302】
13CNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)34.0、34.7、53.9、69.4、121.7、124.0、125.3、129.2、129.9、130.5、131.6、131.9、135.4、136.2、140.2、154.8、166.4、170.1。
【0303】
[化合物2の調製]
[化合物2:(R)−3−(4−(2−アミノピリジン−4−イル)ベンジル)−7−クロロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0304】
【化40】

【0305】
ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解させた中間体B(0.200g、0.44mmol)の水溶液に、3−アミノ−4−ピリジンボロン酸ピナコールエステル(0.200g、0.88mmol、2当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.036g、0.044mmol、0.1当量)、および炭酸ナトリウム(2M水溶液を1.76mL、3.52mmol、8当量)を加えた。その溶液を130℃にて30分間、加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合溶液を水(15mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×15mL)を用いて抽出した。有機層を回収し、水(2×15mL)、食塩水(1×15mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲル(4インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、黄色の固体(25.7mg、14%)を生成した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン−メタノール(90:10))のRfは、0.22であった。施光度(アセトン、0.998dm)は、−214°であった。10℃にて溶離液として100%のMeOHを用いたChiracel OJ−H分析カラムによるHPLCトレースは、54.8分と58.3分に2つのピーク(1.5:98.5、S:R)を生じた。
【0306】
HNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)3.14−3.17(1H、dd、J=8.5Hz)、3.41−3.45(4H、m)、4.26−4.28(1H、ABq)、5.46(2H、bs)、6.80−8.62(2H、m)、7.44−7.47(3H、m)、7.55−7.56(2H、dd、J=1.7、6.6Hz)、7.55−7.56(1H、dd、J=2.7、8.8Hz)、7.67(1H、d、J=2.7Hz)、8.00(2H、m)。
【0307】
13CNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)34.0、34.8、61.5、69.4、105.2、110.8、124.0、126.7、129.3、129.9、130.5、131.9、137.3、138.3、140.1、148.6、148.8、160.5、166.5、170.0。
【0308】
[化合物3の調製]
[中間体C:6−メトキシ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン]
【0309】
【化41】

【0310】
アセトニトリル(60mL、1M)に溶解させた2−アミノ−5−メトキシ安息香酸(9g、0.054mmol)の攪拌した溶液に、ジクロロメタン(85mL、0.7M)に溶解させたピリジン(8.7mL、0.108mmol、2当量)およびトリホスゲン(15.9g、0.054mmol、1当量)を加えた。橙色の反応溶液を50℃にて2時間、加熱し、次いで、室温まで冷却した。水(50mL)を用いてその溶液を希釈し、有機層および水層を分離した。ジクロロメタン(3×50mL)を用いて水層を洗浄し、食塩水(50mL)を用いて混合した有機層を1回洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を真空下にて除去し、黄色の固体を残した。ヘキサンを用いてその固体を滴定し、白色の固体として8−クロロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(8.3g、80%)を生成した。
【0311】
HNMR(アセトン、500MHz):δ(ppm)3.80(3H、s)、7.09−7.11(1H、t、J=9.0Hz)、7.33(1H、s)、7.37−7.39(1H、dd、J=2.9、8.7Hz)、11.60(1H、bs)。
【0312】
[中間体D:(S)−3−(4−ヨードベンジル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0313】
【化42】

【0314】
500mLの丸底フラスコに、アセトニトリル/HO(1:1、150mL)に溶解させた4−ヨード−L−フェニルアラニン(2g、0.007mol)を入れた。その溶液に、トリエチルアミン(0.94mL、0.007mol、1当量)を加え、その混合溶液を室温にて30分間、攪拌した。その攪拌した溶液に中間体C(1.31g、0.007mol、1当量)を加え、その反応溶液を80℃にて加熱し、一晩攪拌した。その反応混合溶液を冷却し、酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。溶媒を真空下にて除去した。黄色の固体に氷酢酸(300mL)を加えた。攪拌した溶液を130℃にて一晩加熱した。室温に冷却した後に、反応混合溶液を再び酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。溶媒を真空下にて除去し、シリカゲル(6インチ×150mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって、黄色の固体(0.42g、13%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは、0.53であった。施光度(DMSO、0.998dm)は、+122.3°であった。
【0315】
HNMR(DMSO、500MHz):δ(ppm)2.76−2.80(1H、dd、J=9.5、14.2Hz)、3.04−3.08(1H、dd、J=5.1、14.1Hz)、3.32(3H、s)、3.83−3.85(1H、m)、7.01−7.02(1H、d、J=8.7Hz)、7.09−7.15(4H、m)、7.59−7.61(2H、d、J=8.3Hz)、8.52−8.54(1H、bd、J=6.1Hz)、10.23(1H、bs)。
【0316】
[中間体E:(S)−3−(4−ヨードベンジル)−7−メトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0317】
【化43】

【0318】
100mLの丸底フラスコに、ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解させた中間体D(0.42g、0.99mmol)を入れ、0℃まで冷却した。その溶液に水酸化ナトリウム(鉱油中に60%分散、0.024g、0.99mmol、1当量)を加え、その混合溶液を0℃にて30分間、攪拌した。ヨードメタン(0.06mL、0.99mmol、1当量)を加え、その溶液を4時間、攪拌し、室温まで温めた。水(10mL)を加えることによって、その反応を止めた。その溶液を酢酸エチル(10mL)に注ぎ、有機層および水層を分離した。酢酸エチル(3×10mL)を用いて水層を抽出し、水(2×10mL)、食塩水(1×10mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を真空下に置くことによって、黄色のオイルを生じた。シリカゲル(2インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって、茶色の固体(0.317g、70.7%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは、0.66であった。施光度(アセトン、0.998dm)は、+129.5°であった。
【0319】
HNMR(DMSO、500MHz):δ(ppm)2.76−2.80(1H、dd、J=9.5、14.2Hz)、3.04−3.15(4H、m)、3.31−3.32(3H、s)、3.86−3.89(1H、m)、7.01−7.03(1H、d、J=8.7Hz)、7.06−7.15(4H、m)、7.59−7.61(2H、d、J=8.3Hz)、8.52−8.54(1H、bd、J=6.1Hz)。
【0320】
[化合物3:(S)−3−(4−(2−アミノピリジン−4−イル)ベンジル)−7−メトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0321】
【化44】

【0322】
ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解させた中間体E(0.120g、0.28mmol)の溶液に、3−アミノ−4−ピリジンボロン酸ピナコールエステル(0.123g、0.55mmol、2当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.023g、0.028mmol、0.1当量)および炭酸ナトリウム(2M水溶液を1.1mL、2.24mmol、8当量)を加えた。その溶液を130℃にて30分間、加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合溶液を水(15mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×15mL)を用いて抽出した。有機層を回収し、水(2×15mL)、食塩水(1×15mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲル(2インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、淡茶色の固体(10.8mg、7.2%)を生成した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン−メタノール(90:10))のRfは、0.28であった。施光度(アセトン、 0.998dm)は、+118.0°であった。
【0323】
HNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)3.09−3.14(1H、dd、J=8.5、14.4Hz)、3.37−3.43(4H、m)、3.85(3H、s)、4.17−4.19(1H、m)、5.41(2H、bs)、6.79−6.82(2H、m)、7.14−7.19(2H、m)、7.34−7.36(1H、d、J=8.8Hz)、7.46−7.49(2H、d、J=8.3Hz)、7.55−7.57(2H、d、J=8.0Hz)、7.71(1H、bd、J=5.4Hz)、8.00(1H、d、J=5.4Hz)。
【0324】
13CNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)34.1、34.8、54.0、55.0、69.4、105.1、110.8、112.9、118.7、123.6、126.6、130.1、134.5、137.3、138.7、147.3、148.6、148.9、156.8、170.1。
【0325】
[化合物4の調製]
[中間体F:(S)−7−クロロ−3−(4−ヨードベンジル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0326】
【化45】

【0327】
500mLの丸底フラスコに、アセトニトリル/HO(1:1、150mL)に溶解させた4−ヨード−L−フェニルアラニン(2g、0.007mol)を入れた。その溶液に、トリエチルアミン(0.94mL、0.007mol、1当量)を加え、その混合溶液を室温にて30分間、攪拌した。その攪拌した溶液に、5−クロロ−無水イサト酸(1.5g、0.007mol、1当量)を加え、その反応溶液を80℃にて加熱し、一晩攪拌した。その反応混合溶液を冷却し、酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。溶媒を真空下にて除去した。黄色の固体に氷酢酸(300mL)を加えた。その攪拌した溶液を130℃にて一晩加熱した。室温に冷却した後に、反応混合溶液を再び酢酸エチル(300mL)を用いて希釈し、水(2×200mL)を用いて洗浄した。溶媒を真空下にて除去し、シリカゲル(6インチ×150mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって、黄色の固体(1.2g、41%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは、0.5であった。施光度(アセトン、0.998dm)は、+161.2°であった。
【0328】
HNMR(DMSO、500MHz):δ(ppm)2.78−2.81(1H、dd、J=9.2、14.2Hz)、3.04−3.08(1H、dd、J=5.2、14.2Hz)、3.94−3.95(1H、m)、7.10−7.15(3H、m)、7.56−7.61(4H、m)、8.66(1H、dd、J=6.1Hz)、10.50(1H、s)。
【0329】
[中間体G:(S)−7−クロロ−3−(4−ヨードベンジル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0330】
【化46】

【0331】
250mLの丸底フラスコに、ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解させた中間体F(1.2g、2.8mmol)を入れた。その溶液に、水酸化ナトリウム(鉱油中に60%分散、0.112g、2.8mmol、1当量)を加え、その混合溶液を0℃にて30分間、攪拌した。ヨードメタン(0.17mL、2.8mmol、1当量)を加え、その溶液を4時間、攪拌し、室温まで温めた。水(20mL)を加えることによって、反応を止めた。その溶液を酢酸エチル(40mL)に注ぎ、有機層および水層を分離した。酢酸エチル(3×30mL)を用いて水層を抽出し、水(2×20mL)および食塩水(1×20mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を真空下に置くことによって黄色のオイルを生成した。シリカゲル(6インチ×150mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって黄色の固体(0.747g、60%)を生成した。TLC(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル(50:50))のRfは、0.61であった。施光度(アセトン、 0.998dm)は、+148.0°であった。
【0332】
HNMR(アセトン、400MHz):δ(ppm)3.05−3.09(1H、dd、J=8.5、14.4Hz)、3.33−3.37(4H、m)、4.22−4.25(1H、m)、7.20−7.21(2H、d、J=8.1Hz)、7.42−7.43(1H、d、J=8.8Hz)、7.59−7.63(3H、m)、7.69(1H、d、J=2.4Hz)、7.97(1H、bs)。
【0333】
[化合物4:(S)−3−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)ベンジル)−7−クロロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0334】
【化47】

【0335】
ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解させた中間体G(0.200g、0.45mmol)の溶液に、4−(1,5−ジメチル−2,4−ジオキサ−3−ボラビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(0.215g、0.90mmol、2当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.037g、0.045mmol、0.1当量)および炭酸ナトリウム(2M水溶液を1.8mL、3.60mmol、8当量)を加えた。その溶液を130℃にて30分間、加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合溶液を水(15mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×15mL)を用いて抽出した。有機層を回収し、水(2×15mL)、食塩水(1×15mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲル(2インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、黄色の固体(33.1mg、16%)を生成した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン−メタノール(90:10))のRfは、0.33であった。 施光度(アセトン、 0.998dm)は、+150.0°であった。45℃にて、溶離液として100%のMeOHを用いたChiracel OJ−H分析カラムによるHPLCトレースは、41.5分および42.0分に2つのピーク(95.0:5.0、S:R)を生じた。
【0336】
HNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)3.19−3.24(1H、dd、J=8.2、14.4Hz)、3.43(3H、s)、3.47−3.52(3H、dd、J=5.9、14.4Hz)、4.33−4.35(1H、m)、6.65(1H、d、J=3.4Hz)、7.16−7.17(1H、d、J=4.9Hz)、7.45−7.46(1H、d、J=8.7Hz)、7.53−7.56(3H、m)、7.60−7.62(1H、dd、J=2.6、8.1Hz)、7.69−7.71(2H、d、J=2.6、8.1Hz)、8.15(1H、bd、J=5.8Hz)、8.31(1H、d、J=4.9Hz)、11.00(1H、bs)。
【0337】
13CNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)34.1、34.8、53.8、69.3、99.5、109.3、114.3、117.8、124.1、125.7、128.3、129.3、129.9、130.5、131.9、137.3、138.0、140.2、140.8、143.1、166.7、170.0。
【0338】
[化合物5の調製]
[化合物5:(S)−3−(4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)ベンジル)−7−メトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン]
【0339】
【化48】

【0340】
ジメチルホルムアミド(25mL)に溶解させた中間体E(0.120g、0.28mmol)の溶液に、4−(1,5−ジメチル−2,4−ジオキサ−3−ボラビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(0.134g、0.55mmol、2当量)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.023g、0.028mmol、0.1当量)および炭酸ナトリウム(2M水溶液を1.1mL、2.24mmol、8当量)を加えた。その溶液を130℃にて30分間、加熱し、次いで室温まで冷却した。その混合溶液を水(15mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×15mL)を用いて抽出した。有機層を回収し、水(2×15mL)、食塩水(1×15mL)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶液を濃縮し、シリカゲル(2インチ×20mm、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)に対し、1カラム体積において、溶離液として5%の酢酸エチルの増加量にてヘキサンが段階的に変化(減少)している)による残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、茶色の結晶性固体(14.2mg、10.7%)を生成した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン−メタノール(90:10))のRfは、0.33であった。施光度(アセトン、 0.998dm)は、+116.5°であった。40℃にて、溶離液として100%のMeOHを用いたChiracel OJ−H分析カラムによるHPLCトレースは、41.3分および50.1分に2つのピーク(96.2:3.8、S:R)を生じた。
【0341】
HNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)3.16−3.21(1H、dd、J=8.5、14.4Hz)、3.38(3H、s)、3.46−3.50(1H、dd、J=5.9、14.4Hz)、3.85(3H、s)、4.23−4.26(1H、m)、6.65(1H、d、J=3.6Hz)、7.15−7.17(2H、m)、7.23(1H、d、J=3.0Hz)、7.35−7.37(1H、d、J=8.8Hz)、7.53−7.57(3H、m)、7.70−7.71(2H、d、J=8.0Hz)、7.96(1H、bd、J=5.8Hz)、8.31(1H、d、J=4.9Hz)、11.01(1H、bs)。
【0342】
13CNMR(500MHz、アセトン):δ(ppm)34.2、34.8、53.9、55.1、69.4、99.5、109.3、113.0、114.4、118.8、123.6、125.8、128.3、129.9、130.1、133.8、137.3、138.3、140.8、143.2、156.8、167.6、170.1。
【0343】
[実施例II]
この実施例は、本発明の化合物1、2、3、4および5(実施例Iを参照のこと)を用いた、ROCK1およびROCK2の阻害を開示する。
【0344】
[ROCK−I(h)阻害アッセイ]
最終的な反応溶液の体積が25μLとなるように、ROCK−I(h、アミノ酸17−535)(5−10mU)を、pH7.0の8mMのMOPS、0.2mMのEDTA、30μMのKEAKEKRQEQIAKRRRLSSLRASTSKSGGSQK、10mMの酢酸マグネシウム および[γ32P−ATP](特有の活性は約500cpm/pmolであり、必要に応じて濃縮する。)を用いてインキュベートした。MgATPの混合物を加えることによって、その反応を開始した。室温にて40分間のインキュベートの後に、5μLの3%のリン酸水溶液を加えることによって、その反応を止めた。次いで10μLの反応溶液をP30のフィルターに滴下し、乾燥およびシンチレーションの計算の前に、75mMのリン酸を用いて5分間に3回、メタノールを用いて1回洗浄した。
【0345】
[ROCK−II(h)阻害アッセイ]
最終的な反応溶液の体積が25μLとなるように、ROCK−II(h、アミノ酸11−552)(5−10mU)を、pH7.5の50mMのトリス、0.1mMのEGTA、30μMのKEAKEKRQEQIAKRRRLSSLRASTSKSGGSQK、10mMの酢酸マグネシウム および[γ32P−ATP](特有の活性は約500cpm/pmolであり、必要に応じて濃縮する。)を用いてインキュベートした。MgATPの混合物を加えることによって、その反応を開始した。室温にて40分間のインキュベートの後に、5μLの3%のリン酸水溶液を加えることによって、その反応を止めた。次いで10μLの反応溶液をP30のフィルターマットに滴下し、乾燥およびシンチレーションの計算の前に、75mMのリン酸を用いて5分間に3回、メタノールを用いて1回洗浄した。
【0346】
表1は、ROCK1およびROCK2のそれぞれの阻害アッセイ(IC50値)を用いて測定した、本発明の化合物1、2、3、4および5を用いたROCK1およびROCK2の阻害を示す。
【0347】
【表1】

【0348】
上記明細書中に記載の全ての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明は特定の好ましい態様と共に記載しているが、特許請求の範囲に記載の本発明はこのような特定の態様に過度に制限されないと理解すべきである。実際、関連分野の当業者に自明の本発明の実施のために記載の様式の種々の修正形態は、特許請求の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞中におけるRhoキナーゼを阻害するために構成された化合物であって、
RおよびSのエナンチオマーの形態ならびにラセミ混合物を含み、置換された化合物および置換されていない化合物であって;
【化1】

からなる群より選択された1つの化学式によって表された化合物であり、
上記Rが、少なくとも2つの炭素分子を含んでいる化学基であって、上記少なくとも2つの炭素分子を含んでいる化学基が、ピリジンではなく;
上記R1’が、
【化2】

からなる群より選択されたものであって;
上記Rが、H、アルキル、置換されたアルキルおよびRからなる群より選択されたものであって;
上記Rが、H、アルキル(例えば、メチル、エチル、ヘキシル、イソプロピル)および置換されたアルキル;水素;H;CH;エチル;ヘキシル;イソプロピル;ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン);OH;アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;硫黄を含んでいる化学的な部位;窒素を含んでいる化学的な部位;−OR−からなる群より選択されたものであって、上記Rが、アリール部分群を含んでいる化学的な部位;置換されたアリール部分群を含んでいる化学的な部位;脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された脂環式の部分群を含んでいる化学的な部位;複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;置換された複素環式の部分群を含んでいる化学的な部位;直鎖状または分枝状の、飽和したまたは飽和していない、置換されたまたは置換されていない、少なくとも2つの炭素を有する脂肪族鎖;少なくとも1つのエステル部分群を含んでいる化学的な部位;少なくとも1つのエーテル部分群を含んでいる化学的な部位;硫黄を含んでいる化学的な部位;および窒素を含んでいる化学的な部位;からなる群より選択されたものであって;
上記Rが、C、N、SおよびOからなる群より選択されたものであって;
上記Rが、H、アルキル、置換されたアルキル、一置換されたアリール、二置換されたアリール、および三置換されたアリールからなる群より選択されたものであって;
上記Rが、C、N、SおよびOからなる群より選択されたものであって;
上記R、R、RおよびR10が、非存在、H、ハロゲン、CF
【化3】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【化4】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO28、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択されたものであって;
上記R11、R12、R13およびR14が、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【化5】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【化6】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【化7】

、および置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択されたものであって;
上記R15、R16、R17およびR18が、C、N、OおよびSからなる群より独立して選択されたものであって;
上記R19が、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択されたものであって、
いくつかの実施形態において、上記R20が、H、アルキル(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、ケトン、窒素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、酸素を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)、および硫黄を含んでいる化学的な部位(例えば、置換されたアルキル)(置換されていないアルキル)からなる群より選択されたものであって;
上記R21、R22、R23およびR24が、非存在、H、ハロゲン、CF
【化8】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【化9】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、OH、フルオロアルキル、スルホンアミド、スルホン、OCH、CH、SO7’、SON(R7’、OR7’、N(R7’、CON(R7’、NHCOR7’、NHSO7’、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキルからなる群より独立して選択されたものであって;上記R7’が、ハロゲン、H、アルキル、一置換されたアルキル、二置換されたアルキル、三置換されたアルキル、アリール、一置換されたアリール、二置換されたアリール、三置換されたアリール、脂環基、一置換された脂環基、二置換された脂環基、および三置換された脂環基からなる群より選択されたものであって;上記R21、R22、R23およびR24の中の2個のみ水素であり得;および、
上記R25、R26、R27およびR28が、水素、アルキル(例えば置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、フルオロアルキル、
【化10】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、アミノアルキル、
【化11】

(例えば、置換されたアルキル)(例えば、置換されていないアルキル)、
【化12】

、ならびに、置換されたおよび置換されていない、ならびにそれらの誘導体からなる群より独立して選択されたものであって;上記R25、R26、R27およびR28の中の3個のみ水素であり得る、化合物。
【請求項2】
前記Rが、水素、アルキル、置換したアルキル、
【化13】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、
【化14】


からなる群より選択される化学式によって表されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、
【化15】




からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物を1つまたは複数含んでいる、医薬品。
【請求項6】
障害に苦しむ対象に対して有効量の医薬品を投与することを含んでいる、上記障害を処置する方法であって、上記障害が、異常なRhoキナーゼ活性と関連付けられるのであって、上記医薬品が、Rhoキナーゼ活性を抑制するために構成された化合物を含んでおり、上記化合物が、請求項1に列挙されている化合物からなる群より選択される1つの化学式によって表されている、方法。
【請求項7】
前記障害が、心臓血管障害、平滑筋関連障害、肉芽腫性障害、急性マクロファージ仲介疾患、および自己免疫疾患からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記心臓血管障害が、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血管疾患、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄症、血管痙攣および高血圧症からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脳血管疾患が、脳血栓症、脳塞栓症および脳溢血からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記狭窄症が、冠動脈狭窄、大動脈弁狭窄症、再狭窄および肺動脈弁狭窄症からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記血管痙攣が、大脳動脈血管痙攣および冠動脈血管痙攣からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記高血圧症が、肺動脈高血圧および全身系動脈高血圧からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記平滑筋関連障害が、緑内障、勃起不全および気管支喘息からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記肉芽腫性障害が、サルコイドーシスおよびヴェグナー肉芽腫症からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記急性マクロファージ仲介疾患が、成人呼吸窮迫症候群である、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記自己免疫疾患が、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、過敏性腸症候群および全身性硬化症からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記障害を処置するためにさらなる物質を投与することをさらに含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記対象がヒト対象である、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
Rhoキナーゼ活性を阻害するための方法であって、
a.標的細胞および請求項1に記載の化合物を含んでいる組成物を供給すること;および、
b.上記標的細胞中にてRhoキナーゼ活性を阻害するために、上記組成物が上記標的細胞と結合する条件下にて、上記標的細胞を上記組成物に晒すことを含んでいる方法。
【請求項20】
前記標的細胞がインビトロの細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記標的細胞がインビボの細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記標的細胞がエキソビボの細胞である、請求項19の方法。
【請求項23】
前記標的細胞が癌細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
細胞中にてROCK2活性を選択的に阻害するために構成された化合物であって、
【化16】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項25】
ROCK2活性を選択的に阻害するための方法であって、
a.標的細胞および
【化17】

からなる群より選択される化合物を含んでいる組成物を供給すること;および、
b.上記標的細胞中にてROCK2活性を選択的に阻害するために、上記組成物が上記標的細胞と結合する条件下にて、上記標的細胞を上記組成物に晒すことを含んでいる、方法。
【請求項26】
前記標的細胞が、インビトロの細胞、インビボの細胞、エキソビボの細胞および癌細胞からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炎症性の障害に苦しむ対象に対して有効量の医薬品を投与することを含んでいる、上記炎症性の障害を処置する方法であって、上記医薬品が、ROCK2活性を抑制するために構成された化合物を含んでおり、上記化合物が、
【化18】

からなる群より選択される化学式によって表されている、方法。
【請求項28】
前記炎症性の障害が、異常な炎症性サイトカン活性と関連付けられている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記異常な炎症性サイトカン活性がIL−17活性を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記異常な炎症性サイトカン活性がIL−21を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記異常な炎症性サイトカン活性がIRF4を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症性の障害が、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、変性性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、強直性脊髄炎、反応性関節炎、痛風、偽痛風、炎症性関節疾患、全身性紅斑性狼瘡、多発性筋炎および線維筋肉痛からなる群より選択されたものであって、関節炎のタイプが、アキレス腱炎、軟骨形成不全症、末端肥大症の関節炎、癒着性関節嚢炎、成人発症スティル病、鵞足包、虚血壊死、ベーチェット症候群、上腕二頭筋腱炎、ブローント病、ブルセラの脊椎炎、滑液包炎、踵骨滑液包炎、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)、結晶沈着症、カプラン症候群、手根管症候群、軟骨石灰化、膝蓋軟骨軟化症、慢性滑膜炎症、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ−ストラウス症候群、コーガン症候群、ステロイド誘発性骨粗鬆症、肋胸骨の症候群、クレスト症候群、クリオグロブリン血症、変形性関節疾患、皮膚筋炎、糖尿病性の指の硬化症、汎発性特発性骨増殖症(DISH)、椎間板炎、円板状エリテマトーデス、薬剤誘発性エリテマトーデス、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ヂュプイトラン拘縮、エーラー・ダロンズ症候群、腸炎性関節炎、上顆炎、びらん性炎症性骨関節炎、運動誘発性の隔壁腔症候群、ファブリー病、家族性地中海熱、ファーバー脂肪肉芽腫症、フェルティ症候群、伝染性紅斑、偏平足、異物滑膜炎、フライバーグ病、真菌性関節炎、ゴーシェ病、巨細胞性動脈炎、淋菌性関節炎、グッドパスチャー症候群、肉芽腫性動脈炎、関節血症、血色症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、B型肝炎表面抗原疾患、股関節異形成、ハーラー症候群、運動過剰症候群、過敏性血管炎、肥大性骨関節症、免疫複合体病、インピンジメント症候群、ジャクー関節症、若年性強直性脊椎炎、若年性皮膚筋炎、若年性慢性関節リウマチ、川崎病、キーンベック病、レッグ−カルヴェ−ペルテス病、レッシュ−ナイハン症候群、線状強皮症、リポイド皮膚関節炎、ロフグレン症候群、ライム病、悪性滑膜腫、マルファン症候群、滑膜ひだ症候群、転移性癌性関節炎、混合結合組織病(MCTD)、混合性クリオブロブリン血症、ムコ多糖症、多中心性細網組織球症、多発性骨端形成異常、マイコプラズマ関節炎、筋筋膜性疼痛症候群、新生児ループス、神経障害性関節症、結節性皮下脂肪炎、組織褐変症、肘頭部滑液包炎、オスグッド・シュラッター病、変形性関節症、骨軟骨腫症、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、骨粗鬆症、オーバラップ症候群、肥大性皮膚骨膜症骨ページェット病、回帰性リウマチ、膝蓋大腿部痛症候群、ペレグニー・スティーダ症候群、色素性絨毛結節性滑膜炎、梨状筋症候群、足底筋膜炎、結節性動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、ベーカー嚢腫、後脛骨腱炎、脊椎カリエス、膝蓋前滑液包炎、人工関節感染症、弾性線維性仮性黄色腫、乾癬性関節炎、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発性軟骨炎、踵骨後部滑液包炎、リウマチ熱、リウマチ性血管炎、肩回旋筋腱板炎、仙腸骨炎、サルモネラ菌性骨髄炎、サルコイドーシス、鉛通風、ショイエルアン骨軟骨炎、強皮症、化膿性関節炎、血清反応陰性関節炎、赤痢菌性関節炎、肩手症候群、鎌状赤血球関節炎、シェーグレン症候群、大腿骨頭滑り症、脊椎管狭窄症、脊椎分離症、ブドウ球菌性関節炎、スティックラー症候群、亜急性皮膚ループス、スイート症候群、シデナム舞踏病、梅毒性関節炎、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、高安動脈炎、足根管症候群、テニスエルボー、ティーツェ症候群、一過性オステオポローシス、外傷性関節炎、転子滑液包炎、結核性関節炎、漬瘍性大腸炎の関節炎、未分化結合組織症候群(UCTS)、蕁麻疹様血管炎、ウイルス性関節炎、ヴェグナー肉芽腫症、ウィップル病、ウィルソン病およびエルシニア関節炎をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記対象がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記炎症性の障害を処置するために構成された治療上の物質を、前記対象に共に投与することをさらに含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記治療上の物質が、疾患を緩和する抗リウマチ薬、生物学の物質、非ステロイド系抗炎症薬、鎮痛剤、免疫調整剤、グルココルチロイド、IL−1インヒビタ、IL−17インヒビタ、IL−21インヒビタおよびメタロプロテアーゼインヒビタからなる群より選択される、請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2013−510903(P2013−510903A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539931(P2012−539931)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055255
【国際公開番号】WO2011/062766
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(506277410)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (19)
【Fターム(参考)】