説明

治療用具

【課題】歯と唾液間に流れるガルバニック電流を放電させる携帯可能な治療用具を提供する。
【解決手段】口腔内を流れるガルバニック電流を除去する治療用具であって、外から口腔内に挿入され、口腔内の粘膜等に接触される導電性を有する導電部2と、該導電部2の先端に設けられた接触部4と、導電部2の基端部に設けられ、口腔内に接触したときにガルバニック電流を蓄積して除去させるコンデンサー31〜33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療用具に関し、詳しくは、口腔内に流れるガルバニック電流を放電し、除去するための治療用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人体に悪影響を及ぼすガルバニック電流の存在が認識され、人体からガルバニック電流を取り除くための研究がなされている。虫歯の治療のために、歯の充填材や外装材として治療に用いられるアマルガム、金、銀、パラジウム、銅合金、ニッケルクロム合金、コバルトクロム合金などの金属は、唾液によってイオン化し、口腔内で電位差を生じさせてしまい、微弱電流を発生させることが知られている。この微弱電流は、ガルバニック電流と称され、肩こりなどの体のこり、頭痛、アレルギー、その他不定愁訴の原因であるとされている。
【0003】
つまり、このガルバッニック電流を除去することにより原因不明な症状も改善される。
【0004】
【非特許文献1】http://www.toyo84.net/hattori/(メンタル治療欄:ガルバニック電流について)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、ガルバニック電流を検出するための測定装置は知られている。そして、ガルバニック電流を除去する装置は、大掛かりな装置であり、歯科医院等において、専門知識を持った歯科医師等の施術者により操作されるものである。
【0006】
しかし、ガルバニック電流の発生メカニズムには個人差があり、歯科医院での施術によって、その後の症状が完全に改善される患者の他、数時間や数日間で、症状が戻ってしまう患者も存在する。このように、症状の改善が長期間維持できない場合には、高い頻度でガルバニック電流を取り除く治療が必要であり、その都度歯科医院に通うという手間を省くため、手軽に使用できる治療具の開発が望まれていた。
【0007】
この発明は、口腔内のガルバニック電流を簡易に除去することのできる治療用具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的は、以下の本発明により達成される。
【0009】
(1)口腔内に挿入され、ガルバニック電流を放電させる口内治療用具であって、
口腔内の粘膜、歯に外装された金属の内、少なくともいずれか一つに接触させられる、導電性を備えた接触部と、
前記接触部に電気的に接続され、導電性を有する導電部と、
前記導電部に一方の端子が導電可能に接続されているコンデンサーとを備えたことを特徴とする治療用具。
【0010】
(2) 前記導電部は線状部材で構成され、前記コンデンサーは、前記導電部の基端部に接続されている上記(1)に記載の治療用具。
【0011】
(3) 前記接触部は、前記導電部を構成する線状部材の先端部を円弧状に湾曲して形成されている上記(1)又は(2)に記載の治療用具。
【0012】
(4) 線状部材は、銀、金、白金の内いずれか1、又はこれらの金属を主成分とする合金である上記(2)又は(3)に記載の治療用具。
【0013】
(5) 前記導電部を構成する線状部材の基端部を曲げて形成された摘み部を有し、
前記コンデンサーは、前記摘み部に接続されている上記(2)〜(4)のいずれか1に記載の治療用具。
【0014】
(6) 前記コンデンサーを外側から被覆するガード部を有する上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の治療用具。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、口腔内で発生しているガルバニック電流が、導電部を介して、コンデンサーに蓄えられるので、ガルバニック電流を除去することができる。また、コンデンサーを放電すれば、繰り返し使用することができる。また、小型であり容易に携帯することができるので、任意の場所において簡単に治療することが可能となり、高い頻度で繰り返し治療することが容易となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、導電部は線状部材で構成されているので、狭い口腔内に挿入することが容易となる。また、基端部にコンデンサーが接続されているので、コンデンサー自体を口腔内に入れることなく、安全に治療ができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、先端の接触部を円弧状に湾曲して形成したので、口腔内に接触させた際に、口腔内壁等を傷つけることが抑制され、安全に治療ができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、耐食性に優れる、銀、金、白金及びこれらを主成分とする合金を用いることにより、唾液などと接触させることによる腐食を抑制することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、線状部材を曲げることにより摘み部を構成するので、安価に作ることができる。また、この摘み部にコンデンサーを接続することで、コンデンサー自体を摘み部の一部として用いることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、ガード部によりコンデンサーを被覆することで、コンデンサーと導電部とを一体化し、強固な構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して発明の最適な実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係る口内治療用具を示す正面図である。
【0022】
図1に示されているように、治療用具1は、導電性の線状部材で構成された導電部2と、この線状部材1を通じて口腔内を流れるガルバニック電流を除去するためのコンデンサー3と、導電部2の先端部に設けられた接触部4とを備えている。導電部2の有する線状部材は、先端部が環状に湾曲形成されて接触部4を構成している。また、線状部材の基端部は、湾曲形成され、指などで摘んで保持しやすい様に、摘み部21が設けられている。図2に示されているように、この基端部の摘み部21には、コンデンサー31、32、33の端子の一方が接続されている。摘み部21を構成する線状部材の先端は環状に湾曲形成され、この先端が使用者の皮膚を傷つけることを防止している。
【0023】
導電部2の有する線状部材は、全体として緩やかに湾曲し、円弧状に形成されている。線状部材は、良導体、たとえば、金、白金、銀、銅等の良導体、又はこれらの合金が用いられている。これらの線状部材が露出した状態で使用するためには、耐食性を有することが望ましく、その点で、金、白金、銀などを用いることが好ましい。また、安価である点で、さらに銀が望ましい。また、耐食性の劣る材料を用いる場合には、線状部材の外側に樹脂等の被覆層を設け、先端部分のみを露出させ、銀メッキなど導電性を維持させつつ、耐食処理を施す構成としてもよい。或は、接触部4のみを金、白金、銀などの耐食性のある材料で構成し、線状部材の先端に接続した構成としてもよい。この場合には、接触部4を球状とすることが好ましい(図3参照)。
【0024】
線状部材は、湾曲しているため、歯の裏側などに接触させることが容易となる。同様の目的のためには、湾曲形成のほか、線状部材の先端部は、屈曲形成されていてもよい。
【0025】
摘み部21に接続されているコンデンサー31、32、33は、回路用コンデンサー、電源コンデンサーの何れもでもよいが、小型であることが好ましい。携帯等において、収納スペースを取らないことが好ましいからである。摘み部21とコンデンサー31、32、33との接続は、コンデンサー31、32、33の一方の端子を構成するリード線を、摘み部21に巻きつけることにより実施される。この他、電気的に確実に接続するため、ハンダ付などにより接続してもよい。
【0026】
コンデンサー31、32、33において、他方の端子を構成するリード線311、321、331は、コイル状に形成され、リード線の先端は、コイルの内側に向けられている。このように形成することによって、リード線の先端が使用者の皮膚を傷つけるといった不都合が抑制される。摘み部21とコンデンサー31、32、33とによって、治療用具1には、保持部5が形成される。このような保持部5を、例えば、親指と人差し指で摘むことにより、使用者は治療用具1を保持することができる。
【0027】
また、摘み部21には、モールド形成等により形成された樹脂を外装したガード部22を設け、コンデンサー31、32、33と導電部2とを一体化した保持部51としてもよい。その保持部51の表面には、コンデンサー31、32、33の他方の端子を構成するリード線311、321、331が露出し、使用者の皮膚に接触できるように構成される。
【0028】
また、図3に示されているように、導電部2を構成する線状部材20には、耐食性を有する樹脂23を外装し、先端部において線状部材を露出させ、この先端部には、耐食性と導電性を兼ね備えた材料(例えば、金、白金、銀などの金属、又は導電性を有する樹脂、セラミックなど)で構成された接触部41を接続してもよい。このような構成とすることにより、線状部材20に耐食性の低い金属材料を用いることが可能となる。この他、導電部2は、線状部材で構成せず、導電性を有する樹脂やセラミック、その他の材料で構成してもよい。
【0029】
以上のように構成された本発明の治療用具1の作用を説明する。図4は、本発明の治療用具1を使用している状態を示す斜視図である。保持部5を親指と人差し指で摘んで保持された治療用具1の先端接触部4を口腔内の粘膜部に接触させる。粘膜部とは、歯茎(内側又は外側)や、舌、上顎部分などがあるが、ガルバニック電流は、金属がイオン化した結果、生じるため、接触部分は、歯に近い部位であることが好ましい。従って歯茎の外側61又は、内側62などである。また、歯に外装された金属63、64、また充填された金属65などに直接接触させてもよい。さらには、歯に接触させてもよい。接触部4を口腔内に挿入し、各部に接触させる際、接触部4以外の導電部2が歯や金属に接触してもよく、この場合には、導電部2が接触部として機能する。
【0030】
上記のように、接触部4を口腔内の各部に接触させると、唾液に溶け出した金属のイオン化によって発生した電子が、導電部2を介してコンデンサー31、32、33に蓄積され、ガルバニック電流が除去される。ガルバニック電流は、微弱電流であるため、この治療用具1を保持している使用者の体がアースとして作用し、コンデンサー31、32、33に蓄電される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の治療用具を示す全体側面図である。
【図2】治療用具の保持部の構成を示す部分拡大側面図である。
【図3】本発明の治療用具における接触部の他の構成を示す部分断面側面図である。
【図4】本発明の治療用具の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 治療用具
2 導電部
20 線状部材
21 摘み部
31〜33 コンデンサー
4 接触部
5 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に挿入され、ガルバニック電流を放電させる口内治療用具であって、
口腔内の粘膜、歯に外装された金属の内、少なくともいずれか一つに接触させられる、導電性を備えた接触部と、
前記接触部に電気的に接続され、導電性を有する導電部と、
前記導電部に一方の端子が導電可能に接続されているコンデンサーとを備えたことを特徴とする治療用具。
【請求項2】
前記導電部は線状部材で構成され、前記コンデンサーは、前記導電部の基端部に接続されている請求項1に記載の治療用具。
【請求項3】
前記接触部は、前記導電部を構成する線状部材の先端部を円弧状に湾曲して形成されている請求項1又は2に記載の治療用具。
【請求項4】
線状部材は、銀、金、白金の内いずれか1、又はこれらの金属を主成分とする合金である請求項2又は3に記載の治療用具。
【請求項5】
前記導電部を構成する線状部材の基端部を曲げて形成された摘み部を有し、
前記コンデンサーは、前記摘み部に接続されている請求項2〜4のいずれか1に記載の治療用具。
【請求項6】
前記コンデンサーを外側から被覆するガード部を有する請求項1〜5のいずれか1に記載の治療用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−149527(P2006−149527A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342033(P2004−342033)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(504420342)
【Fターム(参考)】