説明

治療用組成物および方法

【課題】加齢性黄斑変性などの眼疾患を患っている患者における保護を目的とした組成物およびその投与方法の提供。
【解決手段】テトラメチルピラジン、ヒドララジン、グアナベンズから選ばれる化合物を含む溶液を眼に局所投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般には治療組成物および使用法に関する。好ましい態様において、本発明は眼の健康の分野に関する。いくつかの態様において、本発明は本明細書に開示の化合物を投与することによる黄斑変性の防止および治療に関する。いくつかの態様において、本発明は視力を改善する組成物および方法に関する。
【0002】
本出願は2005年5月12日提出の米国特許出願第60/680,998号、および2006年2月24日提出の米国特許出願第60/776,426号の恩典を主張し、これらはいずれも参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
老化は、眼の脈絡膜血管、網膜色素上皮細胞(RPEC)およびブルッフ膜を含む、細胞、組織、および器官の変性を引き起こす長期プロセスである。動脈硬化性老化は脈絡膜血管、特に黄斑脈絡毛細管板を全毛細管膜血流の低下を伴って変化させる。その結果、網膜色素上皮はリポフスチンを沈着し始め、細胞の形状、密度、色素沈着、リソソーム活性および細胞外マトリクス形成を変化させる。徐々に、ブルッフ膜は肥厚および透過性低下を示し、脈絡膜新生血管(CNV)の出現を可能にする損傷をきたし、最終的には加齢性黄斑変性および失明を引き起こす。したがって、脈絡膜新生血管を防止する薬剤を特定することが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は一般には治療組成物および使用法に関する。好ましい態様において、本発明は眼の健康の分野に関する。いくつかの態様において、本発明は本明細書に開示の化合物を投与することによる黄斑変性の防止および治療に関する。いくつかの態様において、本発明は視力を改善する組成物および方法に関する。
【0005】
脈絡膜血流の虚血は加齢性黄斑変性(AMD)の主な原因の一つである。したがって、着色ミクロスフェア技術で測定した脈絡膜血流の増加、虚血発作後の網膜機能回復、およびレーザー処置したラットモデルにおける脈絡膜新生血管の阻害を介して、AMD形成を防止する薬剤が見いだされた。これらの薬剤には、ヒドララジン、グアナベンズ、およびD-チモロールなどの降圧剤;アピゲニン、ナリンゲニン、ケルセチン、およびフラボンなどのフラボノイド;ならびにDN6、DN7、DN13、およびDC-5などのN-ニトロピラゾールおよびC-ニトロピラゾールが含まれる。脈絡膜新生血管(CNV)の軽減はAMDを防止/治療するための主なメカニズムとして役立つため、本明細書において示す薬剤はCNVを防止または軽減することによりAMDを防止する。
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、本明細書に開示の方法を用いて、眼疾患、好ましくは黄斑変性を治療することができる化合物の特定法に関する。好ましい方法は、虚血発作を提供する段階と、網膜機能回復を測定する段階と、新生血管の阻害を眼疾患の防止または治療のために有効な化合物に相関させる段階とを含む。
【0007】
一つの態様において、薬剤の有効量は、必要とされ、本明細書において教示される活性薬剤の量に応じて、患者の体重1kgあたり0.1から250mgの間である。薬剤は経口、非経口、静脈内、局所、眼房内または眼球内投与用に適合させてもよい。一つの態様において、薬剤は乾燥型、例えば、凍結乾燥して提供され、例えば、食塩水、緩衝化食塩水などを用いて再懸濁してもよい。薬剤は適当な担体、例えば、アニオン性粘液様ポリマー;ゲル化多糖;微粒子薬物担体物質;鉱油;流動パラフィン;白色ワセリン;プロピレングリコール;ポリオキシエチレン;ポリオキシプロピレン;乳化ろう;水ならびにその混合物および組み合わせと組み合わせてもよい。
【0008】
本発明は、加齢性黄斑変性の治療、防止または管理法であって、それを必要としている被験体に脈絡膜血流を増大させる薬剤の有効量を含む組成物を投与することによる方法も含む。一般に、組成物は急性虚血性傷害事象の発生後に投与してもよく、任意の症状が目に見える、もしくは検出できる前、虚血性傷害の最中および/またはその後に用いてもよい。
【0009】
被験体は任意の哺乳動物であってもよく、例えば、被験体はヒトであってもよい。予備治療、治療または術後治療(理学的介入および/または他の薬理療法と併用する場合)のための薬剤の有効量は、虚血発作後の回復中に一つまたは複数の網膜および/または脈絡膜機能を測定することにより決定しうる。治療のために選択した一つまたは複数の薬剤に応じて、これらは薬剤の有効性を最大とするよう提供してもよく、例えば、治療に対する患者の現在および将来の必要に応じて、薬剤の有効量は約0.1から約250mg/kgの間でありうる。
【0010】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、本明細書に開示の化合物またはその塩ならびにその置換および非置換誘導体を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記眼疾患は加齢性黄斑変性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、本明細書に開示の化合物またはその塩ならびにその置換および非置換誘導体を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記眼疾患は加齢性黄斑変性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0012】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)テトラメチルピラジンまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0013】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)テトラメチルピラジンまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0014】
いくつかの態様において、本発明は眼疾患の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)被験体、およびii)薬剤またはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記眼疾患は黄斑変性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記薬剤組成物は異性体成分50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%または99.9重量%を越える。さらなる態様において、被験体は黄斑変性と診断されているか、またはその危険度が高い。さらなる態様において、前記被験体は黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与は該症状の軽減を引き起こす。
【0015】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)チモロールまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記チモロール組成物はD-チモロール成分50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%または99.9重量%を越える。
【0016】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)チモロールまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記チモロール組成物はD-チモロール成分50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%または99.9重量%を越える。
【0017】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0018】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0019】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)ヒドララジンまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩、ヒドロクロロチアジド塩、または二硝酸イソソルビド塩からなる群より選択される。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0020】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)ヒドララジンまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩、ヒドロクロロチアジド塩、または二硝酸イソソルビド塩からなる群より選択される。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0022】
もう一つの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0023】
もう一つの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)グアナベンズまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩および酢酸塩の群より選択される。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0024】
もう一つの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)グアナベンズまたはその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩および酢酸塩の群より選択される。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0025】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0026】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0027】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)下記の構造を有する化合物またはその塩であって:

式中、R1は水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、またはアルキルカルボキシルであり;R2およびR3は一緒になって5員ラクトン環を形成し;R4は水素またはアルキルであり;かつR5はアルキルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0028】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)下記の構造を有する化合物またはその塩であって:

式中、R1は水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、またはアルキルカルボキシルであり;R2およびR3は一緒になって5員ラクトン環を形成し;R4は水素またはアルキルであり;かつR5はアルキルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0029】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中、R1は水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、および置換アリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボキシルまたは置換アルキルカルボキシルであるか;またはR2およびR3は一緒になってそれらが結合している炭素と置換もしくは非置換5員ラクトンを形成し;R4は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;かつR5は水素、アルキルまたは置換アルキルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0030】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中、R1は水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、および置換アリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボキシルまたは置換アルキルカルボキシルであるか;またはR2およびR3は一緒になってそれらが結合している炭素と置換もしくは非置換5員ラクトンを形成し;R4は水素、アルキルまたは置換アルキルであり;かつR5は水素、アルキルまたは置換アルキルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0031】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)下記の構造を有する化合物またはその塩であって:

式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素またはアリールであり;R3およびR4は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、ハロゲン、またはアルキルであり;Xは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している二つの水素である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0032】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)下記の構造を有する化合物またはその塩であって:

式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素またはアリールであり;R3およびR4は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、ハロゲン、またはアルキルであり;Xは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している二つの水素である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記塩は塩酸塩である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0033】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)下記の構造を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アリールまたは置換アリールであり;R3およびR4は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、ハロゲン、アルキルまたは置換アルキルであり;Xは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している二つの水素である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0034】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)下記の構造を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中、R1およびR2は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アリールまたは置換アリールであり;R3およびR4は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、ハロゲン、アルキルまたは置換アルキルであり;Xは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している二つの水素である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0035】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)フラボンを含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0036】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)フラボンを含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0037】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記置換化合物はケルセチン、アピゲニンまたはプエラリンである。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0038】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記置換化合物はケルセチン、アピゲニンまたはプエラリンである。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0039】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)プレドニゾロンおよびその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0040】
さらなる態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)プレドニゾロンおよびその塩を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。
【0041】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換または非置換化合物およびその塩であって:

式中、R1は水素、リン酸エステル、アルキルカルボニル、またはスクシニルであり、R2は水素またはアルキルであり、かつXは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している一つの水素および一つのヒドロキシルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記塩はナトリウム塩である。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、またはコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムである。
【0042】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換または非置換化合物およびその塩であって:

式中、R1は水素、リン酸エステル、アルキルカルボニル、またはスクシニルであり、R2は水素またはアルキルであり、かつXは=Oまたはそれぞれ独立に一重結合により炭素に結合している一つの水素および一つのヒドロキシルである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記塩はナトリウム塩である。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、またはコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムである。
【0043】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)下記の式を有する化合物であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素またはアルキルであり、かつR4はヒドロキシル、-NHOMe、または

である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。
【0044】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)下記の式を有する化合物であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素またはアルキルであり、かつR4はヒドロキシル、-NHOMe、または

である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。
【0045】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素またはアルキルであり、かつR4はヒドロキシル、-NHOMe、または

である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0046】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素またはアルキルであり、かつR4はヒドロキシル、-NHOMe、または

である化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0047】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、BはNまたはC-R2であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素、ニトロ、-CO2H、またはアルキルであり、R4はヒドロキシル、-NHOMe、または

であり、AはC-HまたはNであり、かつR5は水素、-CH2CO2H、またはニトロである。好ましい態様において、R3はニトロであり、かつR5は水素である。もう一つの好ましい態様において、BはC-R2であり、ここでR2はニトロであり、かつR5は水素である。もう一つの好ましい態様において、R1はニトロであり、かつR5は水素であり、かつR3は-CO2Hである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0048】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換もしくは非置換化合物またはその塩であって:

式中R1は水素、ニトロ、アルキル、または-(C=O)R4であり、BはNまたはC-R2であり、R2は水素、ニトロ、アルキルまたはハロゲンであり、R3は水素、ニトロ、-CO2H、またはアルキルであり、R4はヒドロキシル、-NHOMe、または

であり、AはC-HまたはNであり、かつR5は水素、-CH2CO2H、またはニトロである。好ましい態様において、R3はニトロであり、かつR5は水素である。もう一つの好ましい態様において、BはC-R2であり、ここでR2はニトロであり、かつR5は水素である。もう一つの好ましい態様において、R1はニトロであり、かつR5は水素であり、かつR3は-CO2Hである化合物を含む組成物を提供する段階;ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【0049】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)下記の式を有する置換または非置換化合物およびその誘導体を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記被験体は黄斑変性と診断されている。
【0050】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)下記の式を有する置換または非置換化合物およびその誘導体を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記被験体は黄斑変性と診断されている。
【0051】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換または非置換化合物およびその誘導体を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記被験体は黄斑変性と診断されている。
【0052】
いくつかの態様において、本発明は黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性の症状を示し、かつさらなる態様において前記投与が該症状の軽減を引き起こす被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式を有する置換または非置換化合物およびその誘導体を含む組成物:

を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記黄斑変性は加齢性である。さらなる態様において、前記被験体はヒトである。さらなる態様において、前記投与は眼への局所投与である。さらなる態様において、前記組成物は液体溶液である。さらなる態様において、前記被験体は黄斑変性と診断されている。
【0053】
さらなる態様において、本発明は加齢性黄斑変性の管理、防止、および/または治療法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する化合物を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記化合物はインターロイキン-1(IL-1)遮断薬、好ましくはCK-17(5-ブロモ-5-メチル-3-フェニル-2-フェニルイミノ-1,3-チアジナン-4-オン)、CK-112、CK-113、CK- 115、CK-116、およびCK-117である。さらなる態様において、前記化合物は下記の構造の置換もしくは非置換化合物または誘導体である:

【0054】
さらなる態様において、前記化合物は下記の構造を有する:

式中、R1は水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、および置換アリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボキシルまたは置換アルキルカルボキシルであり;R4は水素またはアルキルであり;かつR5はアルキルである。
【0055】
さらなる態様において、前記化合物はヒドララジン、すなわち、フタラジン-1-イルヒドラジン、グアナベンズ、すなわち、(2-[(2,6-ジクロロフェニル)メチリデンアミノ]グアニジン、D-チモロール、すなわち、(2R)-1-[(4-モルホリン-4-イル-1,2,5-チアジアゾル-3-イル)オキシ]-3-(tert-ブチルアミノ)プロパン-2-オール、アピゲニン、すなわち、4,5-ジヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)クロメン-7-オン、ナリンゲニン、すなわち、5,7-ジヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)クロマン-4-オン、ケルセチン、すなわち、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,4,5-トリヒドロキシ-クロメン-7-オン、フラボン、すなわち、3-ヒドロキシ-2-フェニル-クロメン-4-オン、DN-6、すなわち、N-メトキシ-1-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、DN-7、すなわち、1-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸、およびDN-13、すなわち、4-ブロモ-1-ニトロ-1H-ピラゾールまたはその置換化合物および組み合わせからなる群より選択される。
【0056】
いくつかの態様において、本発明は、黄斑変性、好ましくは加齢性黄斑変性の治療用医用薬剤を製造するための、脈絡膜新生血管を低減するよう作用する化合物の使用に関する。
【0057】
いくつかの態様において、本発明は、眼疾患の治療または防止において用いるインターロイキン-1遮断薬として作用する、本明細書の化合物の化合物または誘導体に関する。さらなる態様において、前記インターロイキン-1遮断薬はCK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、およびCK-117からなる群より選択される。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロンである。さらなる態様において、前記化合物は下記の構造の置換もしくは非置換化合物または誘導体である:

【0058】
さらなる態様において、前記化合物は下記の構造を有する:

式中、R1は水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、および置換アリールアルキルであり;R2およびR3は同じまたは異なっていて、それぞれの出現時に独立に水素、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボキシルまたは置換アルキルカルボキシルであり;R4は水素またはアルキルであり;かつR5はアルキルである。
【0059】
いくつかの態様において、本発明は、加齢性黄斑変性を治療するための、本明細書に開示の置換もしくは非置換化合物またはその誘導体の使用に関する。
【0060】
いくつかの態様において、本発明は眼疾患の治療または防止法であって、眼疾患の少なくとも一つの症状が軽減または除去されるように、IL-1遮断薬を眼疾患を有する患者に投与する段階を含む方法を提供する。さらなる態様において、眼疾患は加齢性黄斑変性である。いくつかの態様において、投与は眼から行う。特定の態様において、投与は経口または全身に行う。さらなる態様において、被験体は黄斑変性と診断されているか、またはその危険度が高い。
【0061】
特定の態様において、本発明は、i)IL-1遮断薬と、ii)眼科用液剤とを含む組成物を提供する。
【0062】
他の態様において、本発明は、a)IL-1遮断薬と眼科用液剤とを含む組成物と;b)点眼器とを含むシステムを提供する。特定の態様において、組成物は点眼器の中に位置する。
【0063】
特定の態様において、IL-遮断薬はIL-1αに特異的である。他の態様において、IL-遮断薬はIL-1βに特異的である。さらなる態様において、IL-1遮断薬はCK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、CK-117、CK-101A、CK-103A、CK-119、CK-120、およびCK-122、ならびに類似の化合物からなる群より選択される。他の態様において、IL-1遮断薬は下記からなる群より選択される:IL-1タンパク質の発現を減らすよう配置されたIL-1 siRNA配列、IL-1 siRNA配列を発現するよう配置されたベクター、抗-IL-1抗体または断片、抗-IL1アンチセンス配列、および抗IL1アンチセンス配列を発現するよう配置されたベクター。
【0064】
いくつかの態様において、本発明は加齢性黄斑変性の治療または防止法であって、下記の段階を含む方法に関する:1)i)黄斑変性と診断された、またはその危険度が高い被験体、およびii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する化合物を含む組成物を提供する段階、ならびに2)該化合物を該被験体に投与する段階。さらなる態様において、前記化合物はインターロイキン-1遮断薬である。さらなる態様において、前記化合物はCK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、CK-117、CK-101A、CK-103A、CK-119、CK-120、およびCK-122からなる群より選択される。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロンである。
【0065】
さらなる態様において、本発明は、黄斑変性の治療用医用薬剤を製造するための、脈絡膜新生血管を低減するよう作用する化合物の使用に関する。好ましくは加齢性黄斑変性である。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、加齢性黄斑変性の治療用医用薬剤を製造するための、本明細書に開示の化合物の使用に関する。好ましくは加齢性黄斑変性である。
【0067】
さらなる態様において、本発明は、加齢性黄斑変性の治療用医用薬剤を製造するための、脈絡膜新生血管を低減するよう作用する本明細書に開示の置換化合物の使用に関する。さらなる態様において、前記化合物はインターロイキン-1遮断薬である。さらなる態様において、前記化合物はCK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、CK-117、CK-101A、CK-103A、CK-119、CK-120、およびCK-122からなる群より選択される。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロン、テトランドリンもしくはオストールまたはその誘導体もしくは置換化合物である。さらなる態様において、前記化合物は下記の構造の置換または非置換化合物または誘導体である:

【0068】
さらなる態様において、本発明は、関節炎、好ましくは関節リウマチの治療用医用薬剤を製造するための、IL-1誘導性ブドウ膜炎を阻害するよう作用する本明細書に開示の化合物の使用に関する。さらなる態様において、被験体は投与前に関節炎の症状を示す。さらなる態様において、前記化合物はインターロイキン-1遮断薬である。さらなる態様において、前記化合物はCK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、CK-117、CK-101A、CK-103A、CK-119、CK-120、およびCK-122からなる群より選択される。さらなる態様において、前記化合物はプレドニゾロン、テトランドリンもしくはオストールまたはその誘導体もしくは置換化合物である。
【0069】
本発明の活性化合物を含む組成物は、栄養/食物補助剤ならびに薬学的組成物の製造において有用なバルク薬物組成物(例えば、不純または未滅菌組成物)および単位用量剤形の調製において用いることができる薬学的組成物(すなわち、被験体への投与に適した組成物)を含みうる。そのような組成物は、本明細書に開示の予防および/もしくは治療薬またはそれらの薬剤の組み合わせの予防的または治療的有効量と、薬学的に許容される担体とを任意に含む。好ましくは、本発明の組成物は活性化合物および別の治療または予防薬の予防的または治療的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む。これらの組成物は0.1〜99%の活性成分を含みうる。
【0070】
特定の態様において、治療化合物(例えば、IL-1遮断薬)は眼科用液剤中に含まれる(例えば、遮断薬を患者の眼に点眼器で直接投与することができるように)。好ましくは、液剤の浸透価は約0.9%塩化ナトリウム(例えば、0.6%から約1%)である。眼科用液剤は約7.4(例えば、6.6から7.8、好ましくは7.0から7.4)のpHを有することも好ましい。眼科用液剤はpHの大きい変化を防ぐために緩衝化されていることも好ましい。
【0071】
本発明の特徴および利点をより完全に理解するために、添付の図面と共に本発明の詳細な説明に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】レーザー処置を用いての対照となる脈絡膜新生血管(CNV)形成を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図2】3mg/kg 10mg/kgのヒドララジンの腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図3】20mg/kgのグアナベンズの腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図4】3mg/kgのプレドニゾロンの腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図5】30mg/kgのCK-17の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図6】10mg/kgのCK-112の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図7】30mg/kgのCK-112の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図8】30mg/kgのCK-113の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図9】10mg/kgのCK-115の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図10】10mg/kgのCK-116の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図11】10mg/kgのCK-117の腹腔内投与によるCNV形成の阻害を示すフルオレセイン血管造影図である。
【図12】合成IL-1遮断薬によるIL-1誘導性ブドウ膜炎の阻害のデータを示す図である:*、N=6の眼および平均±SEMによりp<0.05で対応する対照と有意に差がある:**、10mg/kgを腹腔内に1日3回投与。
【図13】天然物によるIL-1誘導性ブドウ膜炎の阻害のデータを示す図である:*、N=6の眼および平均±SEMによりp<0.15で対応する対照と有意に差がある。
【図14】プレドニゾロンおよびIL-1遮断薬による炎症が原因のトラベクレクトミー失敗の遅延を示す図である:*、N=6の眼および平均±SEMによりp<0.05で対照よりも有意に大きい:**、テノン嚢下に10mg/注射。
【図15】カラゲナン誘導性炎症に対するアスピリンおよびCK-17の影響のデータを示す図である:a、n=8および(平均±SD)によりp<0.05で対照と有意に差がある:b、n=8および(平均±SD)によりp<0.05でアスピリンと有意に差がある。
【図16】0.1%CK-17点眼後のウサギ刺激反応に対するデータを示す図である。点数は6の眼の平均である:角膜=不透明度;虹彩=虹彩炎の程度;結膜=発赤、結膜浮腫、および目脂;合計=角膜、虹彩、および結膜の合計;R=右眼(試験);L=左眼(対照)。
【図17】CK-17、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、およびCK-117の化学構造を示す図である。
【図18】CK-101A、CK-103A、CK-119、CK-120、およびCK-122の化学構造を示す図である。
【図19】DN-4からDN-15の化学構造を示す図である。
【図20】DC-1からDC-17の化学構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
発明の詳細な説明
本発明は一般には治療組成物および使用法に関する。好ましい態様において、本発明は眼の健康の分野に関する。いくつかの態様において、本発明は本明細書に開示の化合物を投与することによる黄斑変性の防止および治療に関する。いくつかの態様において、本発明は視力を改善する組成物および方法に関する。
【0074】
いくつかの態様において、本発明は本明細書に開示の化合物を投与することによる加齢性黄斑変性の防止および治療に関する。いくつかの態様において、本発明は、加齢性黄斑変性につながる脈絡膜虚血性傷害を防止する食物補助剤を含む、健康を改善する組成物および方法に関する。
【0075】
加齢性黄斑変性を治療するために多くの方法が試みられているが、成功したものはない。それらには脈絡膜新生血管に対するレーザー光凝固術、放射線治療、中心窩下潜在性脈絡膜新生血管の経瞳孔温熱療法、黄斑下手術、限定黄斑移動術、手術中の補助剤、ドルーゼンに対するアルゴンレーザー、赤外ダイオードレーザー光凝固術が含まれる。
【0076】
薬理学的治療が試されたが、非常に限られた成功しか得られていない。例えば、ベルテポルフィン、ビスダイン、およびBPD-MAによる光力学療法は一部の湿潤型AMD患者(15%)に対して有益であることが明らかにされているが、乾燥型AMD患者(85%)には無効である。最近になって、AMDの非常に後期でCNV形成を防止するために、血管内皮成長因子(VEGF)受容体キナーゼ阻害剤、抗VEGF抗体、色素上皮由来因子(PEDF)、およびアンジオスタチンなどの新しい薬剤が試みられている。これらはまだ実験段階であり、ヒト患者で有効であると示されたものはない。したがって、加齢性黄斑変性を管理、防止、および/または治療するために用いうる薬剤を特定することが必要とされている。
【0077】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書において定義する用語は本発明に関連する分野の技術者によって一般に理解される意味を有する。「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」などの用語は単数の実体のみに言及することを意図するものではなく、例示のためにその具体例を用いうる一般的クラスを含む。本明細書における専門用語は本発明の特定の態様を記載するために用いるが、その用法は特許請求の範囲において明確にするもの以外は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0078】
本明細書において用いられる「眼疾患」とは、視力喪失、中心近接および遠見視力のかすみまたは低下、盲点、物体が異なる色または形状に見える;虚血性視神経障害、前部乏血性視神経症、網膜動脈閉塞、無症候性網膜動脈塞栓、無症候性網膜動脈塞栓もしくは網膜組織の虚血を含む血管性眼疾患の神経眼症状;網膜浮腫、一過性黒内障、視野の狭窄、眼の血管の閉塞、細動脈内の血流のうっ血、白内障、緑内障、突出、眼瞼退縮、拘束性筋障害、複視(二重視)、圧迫性視神経障害、および/または露出性角膜症を引き起こす、任意の様々な疾患、障害、または欠陥を意味する。好ましい態様において、眼疾患は黄斑変性または糖尿病性眼疾患である。本発明は視力欠損または障害をきたす任意の特定の根元疾患の治療に限定されるものではない。
【0079】
本明細書において用いられる「黄斑変性」とは、黄斑の一部の変質を引き起こす任意の状態を意味する。この変性は部分的でも全体でもよく、疾患の進行した段階に限定されるものではなく、したがって被験体に視力障害のいかなる症状もなくても、ドルーゼンと診断された被験体を含むことが意図される。黄斑変性の症状は中心視力の変化である。患者は中心視力のかすみまたは読書時にページの盲点に気づくことがある。患者は直線の曲がりなどの視覚のゆがみに気づくこともある。像が小さく見えることもある。患者の中には色の知覚の変化に気づく者もあり、異常な光感覚を経験する者もある。これらの症状は突然起こり、進行的に煩わしさが増すこともある。症状、特に視覚のゆがみの突然の発症は、眼科医の評価をただちに受ける適応である。
【0080】
本明細書において用いられる黄斑変性の診断とは、被験体における黄斑の変化または機能の任意の解析を意味する。これは任意の特定の方法に限定されるものではない。例えば、眼の検査員、例えば医師は点眼剤で瞳孔を散大させ、ドルーゼンの黄色い隆起、眼の病変、または菲薄化などの黄斑における肉眼的変化について観察して、眼の内部を検査してもよい。眼の検査員は視野検査を行い、中心視力における盲点を探してもよい。検査員は網膜の血管が漏れているかどうかを調べるために、フルオレセイン血管造影(蛍光色素を静脈内注入した後、視覚検査および眼の背部の写真を撮る)を必要としてもよい。
【0081】
黄斑変性のいくつかの危険因子には、年齢、喫煙、および飽和脂肪の多い食事が含まれる。遺伝または環境曝露のために黄斑変性の危険度が高い者もいる。好ましい態様において、本発明は加齢性黄斑変性の治療または防止、好ましくは予防的防止および治療に関する。
【0082】
加齢性黄斑変性は乾燥型(萎縮性)または湿潤型(滲出性)として特徴づけうる。ドルーゼンと呼ばれる複数の小さく、丸い、黄白色の斑点が乾燥型を識別するものである。斑点は典型的には外網膜レベルの眼の背部に見られる。これらの斑点を有する被験体は優れた視力を持ち、症状がないこともある。加齢性黄斑変性のほとんどの被験体は乾燥型から始まる。湿潤型では、新しく作られた異常な血管が網膜の中心の下で成長する。これらの血管は漏出し、出血し、網膜に瘢痕形成して、視力をゆがめるか、または中心視力を破壊する。視力のゆがみは一方の眼で始まり、後になって他方の眼に波及することもある。
【0083】
糖尿病(I型またはII型)患者は黄斑変性の危険度が高い。糖尿病性黄斑変性は糖尿病による黄斑の変質である。類嚢胞黄斑変性は黄斑領域の液体充填部位(嚢胞)による黄斑の視力喪失である。これは他の障害、炎症、または高度近視の結果であることもある。
【0084】
本明細書において用いられる「脈絡膜新生血管を低減するよう作用する」化合物とは、例えば、眼のブルッフ膜を、例えば、レーザーで物理的に破損した後の哺乳動物に該化合物を一定期間投与した後、フルオレセイン血管造影により、脈絡膜新生血管の統計学的に有意な軽減を測定しうることを意味する。脈絡膜新生血管を低減するよう作用する化合物を特定するためのこれらの方法の詳細な説明を本明細書に記載する。
【0085】
「異性体」とは、エナンチオマー(すなわち鏡像)およびジアステレオマー異性体を含む、同じ比率の同じ元素からなるが、原子の三次元配列が異なる、二つまたはそれ以上の物質のいずれかを意味する。
【0086】
「チモロール化合物」または分子などは、下記の式の置換または非置換化合物を意味する:

【0087】
本明細書において用いられる「チモロール成分」なる用語は、すべての立体配座型および立体異性体を含む、所与の組成物中のチモロール分子のすべてを含む組成物の部分を意味する。好ましい態様において、所与の化合物(例えば、構造によって示される)はチモロール成分の大きいパーセンテージ(例えば、分子数および/または重量による)を構成する。例えば、所与のチモロール誘導体は水性組成物中に、すべてのチモロール成分の70%がその所与の化合物、例えば、D-チモロールであるレベルで存在しうるが、組成物自体のほとんどは水からなる。
【0088】
本明細書において用いられる「塩」なる用語は、本明細書に含まれる特定された化合物に複合する一方、所望の機能、例えば、生物活性を保持する任意の塩を意味する。そのような塩の例には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成される酸付加塩、ならびに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、およびポリガラクツロン酸などであるが、それらに限定されるわけではない、有機酸と形成される酸が含まれるが、それらに限定されるわけではない。塩化合物は当業者には公知の薬学的に許容される四級塩として投与することもでき、これには具体的には式--NR,R',R''+Z-の四級アンモニウム塩が含まれ、ここでR、R'、R''は独立に水素、アルキル、またはベンジルであり、Zは塩化物、臭化物、ヨウ化物、アルコキシド、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、またはカルボン酸塩(安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、およびジフェニル酢酸塩など)を含むが、それらに限定されるわけではない、対イオンである。
【0089】
「有害薬物反応」とは、副作用、毒性、過敏性、薬物相互作用、合併症、または他の特異体質を含む、有害で意図されず、予防、診断、または治療のための用量で起こる、薬物に対する任意の反応を意味する。副作用はしばしば、意図しない器官系へのその薬理作用により生じる薬物の治療的血清レベルによる有害症状(例えば、抗コリン作動性抗ヒスタミンからのかすみ目)である。毒性副作用は薬物への過剰または長期曝露により生じる有害症状または他の作用(例えば、ジギタリス毒性、肝毒性)である。過敏性は免疫仲介性有害反応(例えば、アナフィラキシー、アレルギー)である。薬物相互作用は他の薬物、食物または疾患状態との相互作用から起こる有害作用(例えば、ワルファリンとエリスロマイシン、シサプリドとグレープフルーツ、ロペラミドとクロストリジウム-ディフィシレ結腸炎)である。合併症は薬物によって起こる疾患(例えば、NSAID誘導性胃潰瘍、エストロゲン誘導性血栓症)である。有害薬物反応は公知または不明のメカニズムによって仲介されうる(例えば、クロラムフェニコールまたはクローザピンに関連する顆粒球減少)。そのような有害薬物反応は被験体の観察、アッセイまたは当技術分野において公知の動物モデルによって評価することができる。
【0090】
「アルキル」とは、1から10個の炭素原子を含む、直鎖または分枝、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を意味する一方、「低級アルキル」なる用語は、アルキルと同じ意味を有するが、1から6個の炭素原子を含む。「高級アルキル」なる用語は、アルキルと同じ意味を有するが、2から10個の炭素原子を含む。代表的飽和直鎖アルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-セプチル、n-オクチル、n-ノニルなどが含まれ;一方、飽和分枝アルキルには、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルなどが含まれる。代表的飽和環式アルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれ;一方、不飽和環式アルキルには、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが含まれる。環式アルキルは本明細書において「単素環」または「単素環式環」とも呼ぶ。不飽和アルキルは隣接炭素原子の間に少なくとも一つの二重または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ぶ)。代表的直鎖および分枝アルケニルには、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが含まれ;一方、代表的直鎖および分枝アルキニルには、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニルなどが含まれる。
【0091】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」とは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどの、窒素架橋を通じて結合された一つまたは二つのアルキル部分(すなわち、--N-アルキル)を意味する。
【0092】
「アルキルカルボキシル」とは、カルボキシル基を通じて結合されたアルキル部分(すなわち、-CO2アルキル)を意味する。
【0093】
「アルキルカルボニル」とは、カルボニル基を通じて結合されたアルキル部分(すなわち、-(C=O)アルキル)を意味する。「スクシニル」は第二の炭素上でカルボキシル基で置換されたエチルカルボニル(すなわち、-(C=O)CH2CH2CO2H)である。
【0094】
「アルキルチオール」とは、硫黄架橋を通じて結合されたアルキル部分(すなわち、-S-アルキル)を意味する。
【0095】
「アルキルオキシ」とは、メトキシ、エトキシなどの、酸素架橋を通じて結合されたアルキル部分(すなわち、--O-アルキル)を意味する。
【0096】
「アルコキシド」とは、メトキシドまたはエトキシドなどの、負に荷電した酸素原子に結合されたアルキル部分(すなわち、-Oアルキル)を意味する。
【0097】
特定の態様の文脈内で、「アミン」基とは-NH2を意味し、「アンモニア」とは気体NH3を意味する。
【0098】
「アリール」とは、フェニルまたはナフチルなどの、芳香族炭素環式部分を意味する。
【0099】
「アリールアルキル」とは、アルキル架橋を通じて結合されたアリール部分(例えば、-CH2-フェニル)を意味する。
【0100】
「アリールオキシ」とは、酸素架橋を通じて結合されたアリール部分(すなわち、--O-アリール)を意味する。
【0101】
「アリールチオ」とは、硫黄架橋を通じて結合されたアルキル部分(すなわち、-S-アリール)を意味する。
【0102】
「ヘテロアリール」とは、単環系および二環系の両方を含む、5から10員で、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を有し、かつ少なくとも1つの炭素原子を含む、芳香族複素環を意味する。代表的ヘテロアリールはフリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルである。
【0103】
「ヘテロアリールアルキル」とは、--CH2ピリジニル、--CH2ピリミジニルなどの、少なくとも一つのアルキル水素原子がヘテロアリール部分で置き換えられたアルキルを意味する。
【0104】
「複素環」(本明細書において「複素環式環」とも呼ぶ)とは、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含み、窒素および硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい、4から7員単環式、または7から10員二環式複素環式環であって、前述の任意の複素環がベンゼン環に縮合されている二環式の環を含む複素環を意味する。複素環は任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されていてもよい。複素環は前述の定義のヘテロアリールを含む。したがって、上に列挙したヘテロアリールに加えて、複素環にはモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが含まれる。
【0105】
「複素環アルキル」とは、--CH2モルホリニルなどの、少なくとも一つのアルキル水素原子が複素環で置き換えられたアルキルを意味する。
【0106】
「単素環」(本明細書において「単素環式環」とも呼ぶ)とは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロヘキセンなどの、3〜7個の炭素原子を含む飽和または不飽和(しかし芳香族ではない)炭素環式環を意味する。
【0107】
「異性体」とは、エナンチオマー(すなわち鏡像)およびジアステレオマー異性体を含む、同じ比率の同じ元素からなるが、原子の三次元配列が異なる、複数の物質のいずれかを意味する。
【0108】
化合物に関連して用いる場合の「誘導体」なる用語は、被験体への適用、例えば投与後に、該化合物が有すると開示されている機能を直接または間接的に提供することができる、類似の構造を意味する(たとえ誘導体が高い機能または低い機能を有しうるとしても)。例えば、化合物において一つの原子でもう一つの原子を、例えば、炭素原子で窒素原子を置換することにより類似の構造の化合物が得られる。類似の構造の化合物は脈絡膜新生血管を低減するよう作用しうる可能性がある。特定の主張される態様は、誘導体が脈絡膜新生血管を低減しうるとの条件で、化学構造におけるわずかな変化を含むことが意図される。
【0109】
「管理する」なる用語は、疾患または状態に関連して用いる場合、予防または治療薬を投与している被験体に有益な効果を提供することを意味するが、これは疾患の治癒をもたらすものではない。特定の態様において、疾患の進行または増悪を防ぐために、被験体に一つまたは複数の予防または治療薬を投与して疾患を管理する。
【0110】
本明細書において用いられる「防止する」および「防止すること」なる用語は、再発、拡散または発症の防止を含む。本発明は完全な防止に限定されるものではない。いくつかの態様において、発症が遅延するか、または疾患の重症度が軽減される。
【0111】
「被験体」とは、任意の動物、好ましくはヒト患者、家畜、またはペットを意味する。
【0112】
本明細書において用いられる「置換」なる用語は、分子配列の少なくとも一つの水素原子が置換基で置き換えられていることを意味する。オキソ置換基(「=O」)の場合、二つの水素原子が置き換えられている。置換された場合、下記の基の一つまたは複数が「置換基」である。本発明の文脈内の置換基には、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環、および複素環アルキル、ならびに--NRaRb、--NRaC(=O)Rb、--NRaC(=O)NRaNRb、--NRaC(=O)ORb、--NRaSO2Rb、--C(=O)Ra、C(=O)ORa、--C(=O)NRaRb、--OC(=O)NRaRb、--ORa、--SRa、--SORa、--S(=O)2Ra、--OS(=O)2Raおよび--S(=O)2ORaが含まれるが、それらに限定されるわけではない。加えて、前述の置換基は、置換基が置換アルキル、置換アリール、置換アリールアルキル、置換複素環、または置換複素環アルキルを含むように、前述の置換基の一つまたは複数でさらに置換されていてもよい。この文脈においてRaおよびRbは同じでも異なっていてもよく、独立に水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルでありうる。
【0113】
本明細書において用いられる「非置換」なる用語は、任意の化合物が化合物に結合された余分の置換基を含まないことを意味する。非置換化合物とは、余分の置換基を持たない化合物の化学的構成を意味し、例えば、化合物は保護基を含まない。例えば、プロリンのアミノ基はアルキル基で二置換されていると考えうるとしても、非置換プロリンはプロリンアミノ酸である。
【0114】
特定の態様に関して、化学構造を、二つの結合があることを意味する、第一の原子と置換基との間の二本線で描くこともあり、すなわち、第一の原子と規定の置換基との間の二重結合を示すか、または第一の原子と二つの規定の置換基原子との間の二つの一重結合を示すこともある。
【0115】
本明細書において用いられる「治療する」および「治療すること」なる用語は、被験体(例えば、患者)が治癒し、疾患が根絶される場合に限定されるわけではない。それよりも、本発明は症状を単に軽減する、視力を(ある程度まで)改善する、および/または疾患進行を遅らせる治療も企図する。
【0116】
本明細書において用いられる「IL-1遮断薬」なる用語は、患者の眼におけるIL-1aおよび/またはIL-1bの生物活性または発現を少なくとも部分的に阻害することができる任意の化合物または組成物を意味する。特定の態様において、IL-1遮断薬はIL-1タンパク質またはRNA転写物に結合する。他の態様において、IL-1遮断薬はIL-1タンパク質の活性を競合阻害する。さらなる態様において、IL-1遮断薬は切断によりIL-1タンパク質を破壊する。いくつかの態様において、IL-1遮断薬はIL-1 mRNA転写物を切断するか、またはこれに結合する。IL-1遮断薬の例には、CK-17(5-ブロモ-5-メチル-3-フェニル-2-フェニルイミノ-1,3-チアジナン-4-オン)、CK-112、CK-113、CK-115、CK-116、CK-117、IL-1 siRNA配列およびIL-1 siRNA配列を発現するベクター、IL-1アンチセンス配列およびIL-1アンチセンス配列を発現するベクター、キメラおよび好ましくは人化またはヒト抗-IL-1抗体を含む抗-IL-1抗体およびその断片が含まれるが、それらに限定されるわけではない。siRNAおよびアンチセンスなどの核酸型IL-1遮断薬を、例えば、ヒトIL-1a配列(アクセッション番号BC013142)またはヒトIL-1b配列(アクセッション番号BC008678)を用い、当技術分野において公知の技術およびソフトウェアを用いて設計することができる。抗IL1aまたは抗IL1bモノクローナル抗体などの抗体型IL-1遮断薬を、ヒトIL-1aタンパク質配列(アクセッションCAG33695)またはヒトIL-1bタンパク質配列(アクセッション番号CAG28607)を用い、当技術分野において公知の技術を用いて生成することができる。
【0117】
「siRNA」なる用語は短鎖干渉RNAを意味する。いくつかの態様において、siRNAは約18〜25ヌクレオチドの長さの二重鎖、または二本鎖領域を含む。しばしば、siRNAはそれぞれの鎖の3'末端に約2から4の不対ヌクレオチドを含む。siRNAの二重鎖または二本鎖領域の少なくとも一つの鎖は、IL-1 mRNA転写物などの標的RNA分子と実質的に相同または実質的に相補的である。標的RNA分子と相補的な鎖は「アンチセンス鎖」であり;標的RNA分子と相同の鎖は「センス鎖」で、siRNAアンチセンス鎖と相補的でもある。siRNAは追加の配列を含んでいてもよく;そのような配列の非限定例には、連結配列、またはループ、ならびにステムおよび他の折りたたみ構造が含まれる。siRNAは無脊椎動物および脊椎動物におけるRNA干渉誘発、ならびに植物における転写後遺伝子サイレンシング中の配列特異的RNA分解誘発における鍵となる中間体として作用すると考えられる。
【0118】
「RNA干渉」または「RNAi」なる用語は、siRNAによる遺伝子発現のサイレンシングまたは低減を意味する。これは、その二重鎖領域で発現抑制された遺伝子の配列と相同であるsiRNAによって開始される、動物および植物における配列特異的、転写後遺伝子サイレンシングである。遺伝子(例えば、IL-1aまたはIL-1b)は生物の内因性でも外因性でもよく、染色体に組み込まれて存在してもよく、またはゲノムに組み込まれないトランスフェクションベクター中に存在してもよい。遺伝子(例えば、IL-1a)の発現は完全または部分的に阻害される。RNAiは標的IL-1 RNAの機能を阻害するとも考えられ、標的IL-1 RNAの機能は完全または部分的でありうる。
【0119】
老化は、黄斑の脈絡膜血管、網膜色素上皮細胞(RPEC)およびブルッフ膜を含む、細胞、組織、および器官の変性を引き起こす長期プロセスである。特に、動脈硬化性老化は脈絡膜血管、特に黄斑脈絡毛細管板を全毛細管膜および血流の低下を伴って変化させる。その結果、RPEはリポフスチンを沈着し始め、細胞の形状、密度、色素沈着、リソソーム活性および細胞外マトリクス形成を変化させる。徐々に、ブルッフ膜は肥厚および透過性低下を示し、脈絡膜新生血管(CNV)の出現を可能にするブルッフ膜の損傷をきたす。
【0120】
CNVは血管の炎症により形成されるため、他の研究者らはCNV形成およびAMD増悪を防止するために、VEGF受容体キナーゼ阻害剤、抗VEGF抗体、PEDFおよびアンジオスタチンの使用を試みてきた。問題はこれらの薬剤を多くの炎症因子の一つだけを除去するために用いていることで、したがってこれらの薬剤すべてを同時に投与しないかぎり、有効性は明らかではない。本発明を理解または実施するために必須ではないが、血管炎症の因子はIL-1によって引き起こされ、したがってIL-1遮断薬を投与すれば、血管炎症は低減すると考えられる。
【0121】
ブルッフ膜の破壊はCNVの中心窩下間隙への成長を可能にする。ブルッフ膜を安定化する薬剤もその破壊を防止し、CNVの中心窩下間隙への侵入を防止する。IL-1はブルッフ膜の病理学的変化を引き起こすと考えられるため、IL-1遮断薬はこれを安定化し、破壊を防止する。したがって、特定の態様において、Il-1遮断薬は血管の炎症およびブルッフ膜の破壊を防ぐための二重効果を有する薬剤として役立ち、したがってCNV形成および拡散を防止することができ、AMDも防止することができる。
【0122】
AMDは疾患の進行を防ぐために可能な限り早期に治療することが好ましいと認識されている。AMD発生の最も早期は脈絡膜血流の機能不全で、脈絡毛細管板の血流低下をきたす。連鎖反応が誘発されて、RPE変性、ブルッフ膜破壊、CNV形成、AMDおよび最後には失明を引き起こす。したがって、脈絡膜血流を増大させる特定の薬物がAMDの発生および増悪を防止するために有用であることが本明細書において明らかにされた。発見された薬物には下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:降圧剤(例えば、チモロール、ヒドララジン グアナベン);フラボノイド(例えば、アピゲニン、ナリンゲニン ケルセチン、フラボン);ならびにN-ニトロ-ピラゾールおよびC-ニトロ-ピラゾール(例えば、DN-6、CN-7、DN-13、およびDC-5)。
【0123】
薬学的製剤
特定の態様において、「薬学的に許容される」なる用語は、動物、特にヒトにおける使用について、連邦もしくは州政府の規制機関によって承認された、または米国薬局方もしくは他の一般の認められている薬局方に記載されたことを意味する。「担体」なる用語は、活性化合物と共に投与する、希釈剤、補助剤、賦形剤、または媒体を意味する。そのような薬学的媒体は、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油などの液体でありうる。薬学的媒体は食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などでもありうる。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を用いることもできる。被験体に投与する場合、薬学的に許容される媒体は好ましくは無菌である。活性化合物を静脈内投与する場合、水が媒体となりうる。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も、特に注射用液剤のための液体媒体として用いることができる。適当な薬学的媒体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル。ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含まれる。本発明の組成物は、望まれる場合には、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤を含むこともできる。
【0124】
本発明の組成物は液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル剤、液体を含むカプセル剤、散剤、持続放出製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、懸濁剤、または使用に適した任意の他の剤形の形を取りうる。一つの態様において、薬学的に許容される媒体はカプセルである(例えば、米国特許第5,698,155号参照)。
【0125】
好ましい態様において、活性化合物および任意のもう一つの治療または予防薬をヒトへの静脈内投与用に適合させた薬学的組成物として日常的方法に従って製剤化する。典型的には、静脈内投与用の活性化合物は滅菌等張水性緩衝液中の液剤である。必要がある場合には、組成物は可溶化剤を含むこともできる。静脈内投与用の組成物は、注射部位の痛みを和らげるために、任意にリグノカインなどの局所麻酔薬を任意に含むことができる。一般に、成分は別々に、または例えば活性薬剤の量を示すアンプルもしくは小袋などの密封容器中の凍結乾燥粉末もしくは無水濃縮物として単位剤形中で混合して供給する。活性化合物を注入により投与する場合、例えば、滅菌された薬学的等級の水または食塩水を含む注入瓶により投薬することができる。活性化合物を注射により投与する場合、注射用滅菌水または食塩水のアンプルを提供して、成分を投与前に混合することもできる。
【0126】
経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、顆粒剤、散剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形でありうる。経口投与組成物は、薬学的に美味な製剤を提供するために、一つまたは複数の任意の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、冬緑油、またはチェリーなどの着香剤;着色剤;および保存剤を含むこともできる。さらに、錠剤または丸剤の形の場合、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期にわたる持続作用を提供するために、組成物をコーティングすることもできる。浸透圧により能動的に移動する化合物を取り巻く選択的透過膜も、活性化合物の経口投与に適している。これらの後者のプラットフォームにおいて、カプセルを取り巻く環境からの液体が移動化合物によって吸収され、これが膨潤して薬剤または薬剤組成物を開口部を通して移動させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイク型特性に対し、基本的にゼロ次の送達特性を提供しうる。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料も用いることができる。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的媒体を含むこともできる。そのような媒体は、好ましくは、薬学的等級である。
【0127】
さらに、活性化合物の作用を適当な製剤により遅延または持続させることができる。例えば、活性化合物のゆっくり溶解するペレットを調製し、錠剤またはカプセル剤に組み込むことができる。いくつかの異なる溶解速度のペレットを作成し、ペレットの混合物をカプセルに充填することにより、技術を改善することもできる。錠剤またはカプセル剤を予測可能な期間、溶解に抵抗するフィルムでコーティングすることもできる。化合物を血清中にゆっくりとしか分散させない油性または乳化媒体に溶解または懸濁することにより、非経口製剤でも長期作用性とすることができる。
【0128】
本発明に従って用いるための組成物を、一つまたは複数の生理的に許容される担体または賦形剤を用いて、通常の様式で製剤化することができる。
【0129】
したがって、化合物および任意のもう一つの治療または予防薬ならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物を、吸入もしくは通気(口または鼻のいずれかから)による投与または経口、非経口もしくは粘膜(口腔、膣、直腸、舌下など)投与用の薬学的組成物に製剤化することができる。いくつかの態様において、投与は眼への投与である(例えば、眼に直接適用する点眼剤)。一つの態様において、局所または全身非経口投与を用いる。
【0130】
経口投与のために、組成物は、例えば、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に通常の手段で調製した錠剤またはカプセル剤の形を取ることもできる。錠剤を当技術分野において周知の方法でコーティングすることもできる。経口投与用の液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形を取ることもでき、またはこれらは使用前に水または他の適当な媒体で構成するための乾燥生成物として提供することもできる。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食物脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油);および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物と共に通常の手段で製剤化することができる。製剤は適宜、緩衝剤の塩、着香剤、着色剤および甘味料を含むこともできる。
【0131】
経口投与用の製剤を適当に製剤化して活性化合物の制御放出を行うこともできる。
【0132】
口腔内投与のために、組成物は通常の様式で製剤化した錠剤またはロゼンジの形を取ることもできる。
【0133】
吸入による投与のために、本発明に従って用いるための組成物を、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当な気体を用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形で都合よく送達する。加圧エアロゾルの場合、用量単位は計った量を送達するためのバルブを提供することにより決めることができる。吸入器または通気器具において用いるための、例えば、ゼラチンのカプセルまたはカートリッジは、化合物の混合粉末およびラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤を含んで製剤化することができる。
【0134】
組成物を注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化することもできる。注射用製剤は単位剤形、例えば、アンプルで、または複数用量容器に保存剤を添加して提供することができる。薬学的組成物は油性または水性媒体中の懸濁剤、液剤または乳剤などの形を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用物質を含むこともできる。または、活性成分は使用前に適当な媒体、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で構成するための粉末剤形でありうる。
【0135】
前述の製剤に加えて、組成物はデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長期作用製剤は埋込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、薬学的組成物は適当なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化することができる。
【0136】
組成物は、望まれる場合には、活性成分を含む一つまたは複数の単位剤形を含むことができるパックまたは投薬装置中で提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスティック箔を含みうる。パックまたは投薬装置は投与のための説明書を伴っていてもよい。
【0137】
特定の好ましい態様において、パックまたは投薬装置はPhysician's Desk Reference(56th ed. 2002、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)において決められている推奨用量以下の製剤を含む一つまたは複数の単位剤形を含む。
【0138】
活性化合物および任意にもう一つの治療または予防薬の投与法には、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻内、直腸、膣、舌下、口腔または経口経路)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、活性化合物および任意にもう一つの予防または治療薬は筋肉内、静脈内、または皮下投与する。活性化合物および任意にもう一つの予防または治療薬は注入またはボーラス注射により投与することもでき、他の生物活性薬剤と一緒に投与することもできる。投与は局所または全身でありうる。活性化合物および任意に予防または治療薬ならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物は吸入または通気(口または鼻のいずれかから)により投与することもできる。好ましい態様において、局所または全身非経口投与を用いる。
【0139】
特定の態様において、活性化合物を治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましいこともある。これは、例えば、手術中の局所注入もしくは、例えば、術後の創傷包帯と共に局所適用により、注射により、カテーテルにより、坐剤により、またはシラスティック膜などの膜、もしくは繊維を含む、多孔性、非多孔性、もしくはゲル状材料の埋込み物により達成することができるが、それらに限定されるわけではない。一つの態様において、投与はアテローム斑組織の部位(または以前の部位)への直接注射によるものでありうる。
【0140】
肺投与も、例えば、吸入器もしくはネブライザー、およびエアロゾル化剤を伴う製剤の使用により、またはフッ化炭化水素または合成肺界面活性剤中の灌流により用いることができる。特定の態様において、活性化合物を在来型の結合剤およびトリグリセリドなどの媒体と共に、坐剤として製剤化することもできる。
【0141】
もう一つの態様において、活性化合物を小胞、特にリポソームで送達することもできる。
【0142】
さらにもう一つの態様において、活性化合物を制御放出系で送達することもできる。一つの態様において、ポンプを用いることができる。もう一つの態様において、ポリマー材料を用いることができる。
【0143】
加齢性黄斑変性の治療および防止において有効な活性化合物の量は、標準の研究技術によって決定することができる。例えば、加齢性黄斑変性の治療または防止において有効となる活性化合物の用量は、例えば、当業者には公知の動物モデルなどのモデルにおいて動物に活性化合物を投与することにより決定することができる。加えて、インビトロアッセイを任意に用いて最適用量範囲の確認を助けることもできる。
【0144】
特定の有効用量の選択は、当業者には公知と思われるいくつかの因子の考察に基づき、当業者であれば(例えば、臨床試験を介して)決定することができる。そのような因子には治療または防止する疾患、関与する症状、被験体の体重、被験体の免疫状態および当業者には公知の他の因子が含まれる。
【0145】
ヒトなどの被験体に投与する活性化合物の用量はかなり大きく変動し、個別の判断を必要とすることもある。活性化合物の1日用量を1日の様々な時間に投与することがしばしば実用的である。しかし、任意の所与の場合、投与する活性化合物の量は、活性成分の溶解性、用いる製剤、被験体の状態(体重など)、および/または投与経路などの因子に依存することになる。
【0146】
単独またはもう一つの予防または治療薬との組み合わせでの活性化合物の有効量の一般的範囲は約0.001mg/日から約1000mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から750mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から500mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から250mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から100mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から75mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から50mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から25mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から10mg/日、より好ましくは約0.001mg/日から1mg/日である。当然のことながら、化合物の1日用量を1日の様々な時間に分割して投与することが実用的であることも多い。しかし、任意の所与の場合、投与する活性化合物の量は、活性成分の溶解性、用いる製剤、被験体の状態(体重など)、および/または投与経路などの因子に依存することになる。
【0147】
脈絡膜血流
表1に見られるとおり、ナリンゲニンは脈絡膜血流を増大させる強力な効果を有するフラボン類縁体である。血流は薬物投与の30分後に急速に増大した。効果は薬物投与の60分後に最大となり、薬物作用を少なくとも2時間維持した。最大時に、脈絡膜血流は元の血流の200%を越えて増大した。
【0148】
アピゲニンはフラボン類縁体である。薬物作用は投与後1時間から2時間続いた(表1)。
【0149】
プエラリンもアピゲニンに類似のフラボン類縁体である。プエラリンの作用は投与後1時間から始まり、投与後3時間を超えて持続した(表1)。
【0150】
(表1)脈絡膜血流に対するフラボノイドの効果

*:100%の対応する対照よりも有意に高い
a:5.9±0.7μl/分/mg;b:3.89±0.7μl/分/mg;
c:2.2±0.5μl/分/mg;d:1.71±0.5μl/分/mg;
e:対照のN=10以外はすべてN=6での平均±SD。
【0151】
DN-6、DN-7、DN-12、およびDN-13を含むN-ニトロピラゾールは脈絡膜血流の非常に強い増大と、薬物投与後3時間を超えて続く長い作用持続期間を示した(表2)。DN-13は薬物投与の30分後に速やかに作用して脈絡膜血流を増大させ、作用は薬物投与後3時間を超えて持続するため、特に良好であった(表2)。C-ニトロピラゾールの中で、DC-5は30分未満の短い潜時と、3時間を超えて続く長い作用持続期間を有し、最も有望な作用を示した(表2)。
【0152】
(表2)脈絡膜血流に対するN-ニトロピラゾールおよびC-ニトロピラゾールの効果

*:100%の対応する対照よりも有意に高い
a:6.9±3.8μl/分/mg;b:7.0±2.9μl/分/mg;
c:5.6±1.7μl/分/mg;d:4.9±1.9μl/分/mg;
e:対照のN=10以外はすべてN=6での平均±SD。
【0153】
これらの化合物は脈絡膜血流を有効に増大させることができるため、これらはAMDを誘導する脈絡膜虚血の誘発効果を抑制しうると期待される。
【0154】
虚血発作後の網膜機能回復
網膜への血流を30分間遮断した場合、網膜電図のb波が消失し、網膜機能が失われたことを示していた。しかし、網膜血管の再灌流後、b波は元のレベルの約30〜35%まで部分的に回復した(表3および4)。網膜機能回復は、ナリンゲニン、アピゲニンおよびプエラリンを含むフラボノイドによって増強/促進することができる(表3)。これらの中で、プエラリンは、わずか31%の対照による回復に比べて、90%の網膜機能回復を示し、最良の結果を示した(表3)。
【0155】
(表3)虚血発作後の網膜機能回復に対するフラボノイドの効果

*:N=6、平均±SDにより、P<0.05で対応する対照よりも有意に高い
【0156】
N-ニトロピラゾールおよびC-ニトロピラゾールも虚血発作後の強い網膜機能回復を示した(表4)。一般に、N-ニトロピラゾールは虚血発作後の網膜機能回復を促進/増強するのにC-ニトロピラゾールよりも強力であったが、DC-5は例外で、虚血発作後の網膜機能回復を促進するのにいかなる他のN-ニトロピラゾールよりも強い効果を示した(表4)。
【0157】
(表4)虚血発作後の網膜機能回復に対するN-ニトロピラゾールおよびC-ニトロピラゾールの効果

*:N=6、平均±SDにより、P<0.05で対応する対照よりも有意に高い
【0158】
前記の結果は、これらの化合物がおそらくは網膜および脈絡膜血流の増大を通じて網膜機能回復を増強する強力な薬剤であり、AMD治療のために有益であることを示している。
【0159】
CNV形成の防止
対照として、ブルッフ膜を破壊するためのラット網膜のレーザー処置後4週間で、脈絡膜新生血管が形成され、フルオレセイン血管造影で見ることができた。
【0160】
脈絡膜血流を改善しうるいくつかの薬剤を1日1回4週間腹腔内投与した。試験した薬剤の第一の型は、ヒドララジン、グアナベンズ、およびD-チモロールを含む降圧剤であった。10mg/kgのヒドララジンはすべてのCNV形成を有効に阻害した。ヒドララジンの用量を5mg/kgに下げると、8例のCNV形成のうちの4例だけが対照に比べて明らかに阻害された。グアナベンズは20mg/kg i.p.で同等に有効であった。8例のCNV形成はすべてグアナベンズにより対照に比べて阻害された。15mg/kg i.p.のD-チモロールは一部のCNV形成阻害において有効であったが、ヒドララジンまたはグアナベンズほど強力ではなかった。
【0161】
試験した薬剤のもう一つのグループは、アピゲニン、ナリンゲニン、ケルセチン、およびフラボンを含むが、それらに限定されるわけではない、フラボノイドであった。30mg/kg i.p.のアピゲニンは8例のCNV形成のうち少なくとも6例で強力な阻害を示した。ナリンゲニン(30mg/kg i.p.)、ケルセチン(30mg/kg i.p.)、およびフラボン(20mg/kg i.p.)はCNV形成の顕著な阻害を示した。フラボンは特に強力で、CNV形成をほぼ完全に阻害した。
【0162】
試験した薬剤のもう一つのグループには、血管拡張および脈絡膜血流促進を引き起こすための、NOを放出するN-ニトロピラゾール(DN)が含まれていた。20mg/kg i.p.のDN6、DN7およびDN13を含むすべての薬剤はCNV形成の顕著な阻害を引き起こした。
【0163】
脈絡膜血流の虚血はAMDの誘導/誘発に密接に関連している。したがって、脈絡膜血流を増大させうる薬剤は脈絡膜虚血およびAMDの誘発を防止しうると思われる。
【0164】
脈絡膜虚血がRPE細胞変性、リポフュージョン蓄積、リポソーム活性変化および細胞外基質形成を引き起こしうることは公知である。さらに、ブルッフ膜は異常、肥厚、および透過性の低下を示し、これはブルッフ膜の破壊と、CNVの中心窩下領域への成長につながる。その結果、視覚の活性が損なわれ、AMDが発生して、これは失明を引き起こす。したがって、脈絡膜血流を増大させうる薬剤(表1および2)は、AMDの早期に投与されれば、AMDが発生し続けるのを防止/治療することができると考えられる。
【0165】
これらの薬剤のAMDを防止/治療するための有効性は、これらが虚血発作後の網膜および脈絡膜機能回復を促進/増強しうるという事実によってさらに裏付けられた(表3および4)。したがって、これらの薬剤を疾患の早期にAMD形成を治療/防止するために用いることができる。
【0166】
これらの薬剤のAMDを防止/治療する直接的証拠は、レーザービームによるブルッフ膜の破壊によりAMDを発生するAMDラットモデルから得られる。これらのAMD動物モデルの1)ヒドララジン、グアナベンズ、およびD-チモロールなどの降圧剤;2)アピゲニン、ナリンゲニン、ケルセチン、およびフラボンを含むフラボノイド;ならびに3)DN-6、DN-7、DN-13などのN-ニトロピラゾール誘導体による様々な用量レベルでの治療は、AMD形成の主な病因であるCNV形成の強力な阻害を示した。
【0167】
好ましい態様において、IL-1遮断薬としての薬剤はIL-1誘導性ブドウ膜炎の拮抗薬である。IL-1の硝子体内注射は眼の炎症を誘導し、血液房水関門の破壊を引き起こす。その結果、フルオレセインは壊れた血液房水関門を通過して眼に入り、IL-1注射の12時間後に最大炎症に達すると考えられる。IL-1は炎症を誘導する最も強力なサイトカインで、20mg/kg t.i.d.のプレドニゾロンで有効に阻止することができる(図13)。試験したCK化合物の中で、9つの化合物がIL-1誘導性ブドウ膜炎に対して強力な阻止効果を示した。これらの化合物の用量(10mg/kg t.i.d.)はプレドニゾロンで用いたもの(20mg/kg t.i.d.)の半量にすぎなかったが、これらはプレドニゾロンと比べて類似レベルのIL-1遮断を示した。(図12および13)。図12から見られるとおり、CK-120はIL-1誘導性ブドウ膜炎を阻止するのに特に強力であった。
【0168】
漢方薬から単離されたいくつかの天然物も、IL-1誘導性ブドウ膜炎を阻害するのに非常に強力であった(図13)。テトランドリンはオストールよりもわずかに効果が弱いが、副作用がはるかに少なく、臨床で用いる場合により安全でありうるため、重要性が高い。したがって、これらの薬剤はブルッフ膜を安定化し、CNVおよびAMD発生を防止するために用いることができる。
【0169】
好ましい態様において、IL-2遮断薬は炎症が原因のトラベクレクトミー失敗を遅らせる。トラベクレクトミーは狭/閉塞角緑内障の治療のためにしばしば用いられる。しかし、これは術後短期間の後に炎症および房水排液の失敗を引き起こす。CK-17、CK-101AおよびCK-103Aなどの合成IL-1遮断薬は、手術から放出されるIL-1が原因の炎症の阻害を通じて、トラベクレクトミー失敗の出現を遅延させる(図14)。これらはすべてトラベクレクトミー失敗を遅延させる上でプレドニゾロンよりも有効であった(図14)。したがって、これらの薬剤はブルッフ膜の破壊ならびにCNVおよびAMDの発生を防止するために用いることができた。
【0170】
好ましい態様において、カラゲニンによって誘導される全身炎症のIL-1遮断薬阻害。カラゲニンは関節の疼痛および腫脹を引き起こす強力な炎症物質である。CK-17などのIL-1遮断薬はカラゲニン誘導性の炎症を阻止する上で非常に有効であった(図15)。CK-17は、抗炎症、鎮痛、および抗関節炎薬として広く用いられる標準的薬剤であるアスピリンの約10倍強力であった(表15)。これらの結果は、IL-1遮断薬は炎症の防止のために局所ならびに全身に用いることができ、したがってCNV形成およびAMD発生の阻害のために有益であることを示している。
【0171】
好ましい態様において、IL-1遮断薬は治療上安全である。両方のCK-17のLD50は非常に高く、少なくとも経口で20g/kgで、これはヒトに対する1,400g/70kgと等価である。これらの化合物のED50は約10mg/kgであるため、治療指数(LD50/ED50)は2,000(20,000mg/kg÷10mg/kg)よりも高くなる。利用可能な最も安全な薬剤の一つである。
【0172】
好ましい態様において、IL-1遮断薬は眼に無視できるほどの刺激しか与えない。ドレーズ試験で見られるとおり、CK化合物の眼への刺激は非常に低く、無視できる(図15)。薬剤は眼疾患であるAMDの治療に用いることになるため、これは特に重要である。
【0173】
好ましい態様において、IL-1遮断薬はラットの眼でCNV形成を抑制する。対照として、ブルッフ膜をレーザービームで破壊した場合、大規模なCNVが形成され、フルオレセイン血管造影では著しいフルオレセインの漏出が見られた。動物を3mg/kg i.p.のプレドニゾロンで治療すると、CNV形成は8例のうち5例で顕著に阻害された。
【0174】
30mg/kg i.p.のCK-17は、CNV形成8例のうち少なくとも6例を阻害して、3mg/kg i.p.のプレドニゾロンよりもさらに良好な結果を示した(図5)。10mg/kg i.p.のCK-112の結果は3mg/kg i.p.のプレドニゾロンとほぼ同等であった(図4および6)。CK-112の用量を30mg/kg i.p.に上げると、結果はさらによくなり(図7)、30mg/kg i.p.のCK-17とほぼ同等であった(図5)。30mg/kg i.p.のCK-113の効果は10mg/kg i.p.のCK-112と類似であった(図7および8)。
【0175】
10mg/kg i.p.のCK-115の効果はまったく素晴らしいものであった(図9)。これは8例のCNVスポットのうち7例を顕著に阻害した。10mg/kg i.p.のCK-116(図10)は10mg/kg i.p.のCK-112(図6)と類似であったが、10mg/kg i.p.のCK-117は有効性が低かった(図11)。しかし、用量を上げることにより、これらの化合物の毒性が最小レベルで維持されるかぎり、CNV形成に対する阻害作用は確実に改善されると考えられる。
【0176】
ブルッフ膜の破壊を通じてのレーザービーム誘導性CNVを用いて、実験を行った。プレドニゾロンは予想通りのCNV形成阻害を示した。しかし、プレドニゾロンおよび他のステロイド性抗炎症剤の毒性はAMDの治療用に診療所で用いる際の懸念を与える。本研究において、プレドニゾロンの3mg/kg i.p.はCNV形成の阻害を生じるのに必要とされる最低用量であった。この用量レベルでも、動物の一部は食欲および体重の低下をきたした。高用量では動物が死に至ることさえあった。一方、CK化合物はまったく非毒性であった。例えば、経口投与した20g/kgのCK-17は少なくとも7日間の観察でいかなる毒性反応も引き起こさなかったが、CNV形成を阻害するための有効用量は30mg/kg i.p.という低さであった。したがって、CK化合物はCNV形成阻害を通じてAMDの治療のために有効かつ安全に用いることができる。
【0177】
化合物は、自然の供給源から抽出しうる、商業的に購入しうる、またはSmithおよびMarchの本''March's Advance Organic Chemistry, 5th edition 2001''に記載のプロセスを用いる様々な方法により調製しうることが理解される。ナリンゲニン、アピゲニン、ケルセチン、およびフラボンなどのフラボノイドは市販されていた。D-チモロール、ヒドララジン、およびグアナベンズなどの降圧剤は商業的に購入した。統計解析。すべてのデータは対応のないスチューデンツt検定により解析した。特定の時点における二つの平均間の有意性はP≦0.05の場合に有意と考えた。
【実施例】
【0178】
実施例
実施例1. ニトロピラゾールの合成
化合物はSmithおよびMarchの本「March's Advance Organic Chemistry, 5th edition 2001」に記載のプロセスを用いる様々な方法により調製しうることが理解される。DC-5、C-ニトロピラゾールは、Shevelev et al., Russ Chem Bull 44:1861-4 (1993)、Kanishchev et al., Bull Acad Sci USSR Div Shem Sci 35:2191 (1986)、Torf et al., J Gen Chem 32:1740-6 (1962)に記載の方法を用いて調製した。化合物DN-4からDN-15は対応するピラゾールのN-ニトロ化によって得た。化合物DN-5はUgrak et al., Russ. Chem. Bull. 42:1555-1558, 1993に記載の方法に従って合成した。化合物DN-7はDalinger et al., Russ. Chem. Bull. 36:1149-1153, 1997に記載の方法に従って合成した。化合物DN-8、DN-10、DN-11、DN-12、DN-13、およびDN-14はHuttel Chem. Ber. Bd. 88:1586-1590 (1955)およびChem. Ber. 88:1577-85 (1955)に記載の方法に従って合成した。DN-9およびDN-15はJanssen el at, J. Org. Chem. 38:1777-1782 (1973)に記載の方法に従って合成した。化合物DN-4およびDN-6はXuan et al., J. Ocular Pharma. Thera. 17(6):505-515 (2001)に記載の方法に従って合成した。
【0179】
実施例2. ピリダジノ[4,5-c]ピリダジノンの合成
CK-17、CK101A、CK103A、CK 112、CK 113、CK 114、CK 115、CK 116、CK 119、CK 120、およびCK 122を含む合成化合物はOkawara, et al., Chem. Pharm. Bull. 31:507-512. (1983)、Yamasaki et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1:991-996 (1991)、Yamasaki et al., J. Heterocyclic Chem. 29:1313-1316 (1992)、およびBo & Chiou Zhongguo Yao Li Xue Bao. 19(4):304-8 (1998)に記載の方法に従って合成した。フルフェナミン酸、インドメタシン、イブプロフェン、およびNDGA(ノルジヒドログアヤレチック酸)などの他の化合物ならびにプレドニゾロン、テトランドリン、ケルセチン、プレゴン、フリーデリン、ナリンゲニンおよびジヒドロジャスモンなどの天然物は商業的に購入した。他の誘導体はRobins et al., Synthesis of some 7- and 5,7-substitutued pyrazolo[4,3-d]pyrimidines. J Am Chem Soc 78:2418-22 (1956)に従って調製する。
【0180】
実施例3. 高眼圧のウサギの眼における脈絡膜血流量の測定
体重2.5〜3.0kgのニュージーランドホワイトウサギを筋肉内への35mg/kgケタミンおよび5mg/kgキシラジンで麻酔した。初期用量の半量を1時間毎に投与して麻酔を維持した。左眼の眼内圧を40mmHgに上げることによって高眼圧モデルを作成し、これは眼血流量を正常レベルの約1/3に低下させた。ミクロスフェアの注射用に左心室に右頸動脈からカニューレ挿入し、採血用に大腿動脈にカニューレ挿入した。1パーセントの薬物溶液(50μl)または媒体(50μl)を左眼に局所点眼し、その後0、30、60、および120分の時点で高眼圧ウサギの眼血流量を着色ミクロスフェアにより測定した。それぞれの時点で、0.2mL中の200万ミクロスフェアを基準として注射し、ミクロスフェア注射後正確に1分間、血液試料を大腿動脈から採取した。血液試料をヘパリン加チューブに採取し、量を記録した。最後の採血後、ウサギを100mg/kgペントバルビタールナトリウムの注射で安楽死させた。左眼を摘出し、網膜、脈絡膜、虹彩、および毛様体に切断した。組織試料を秤量した。
【0181】
試料処理およびミクロスフェア計数の詳細はE-Z Trac(Los Angeles、CA)によって提供された。簡単に言うと、溶血試薬を血液試料を含む微量遠心管に加え、次いでボルテックスにかけ、6000rpmで30分間遠心分離した。上清を除去し、Tissue/Blood Digest Reagent IおよびIIを加えた。遠心管に蓋をし、ボルテックスにかけ、再度30分間遠心分離した。上清を除去し、計数試薬を加え、次いでボルテックスにかけ、前述の同じ回転数で15分間遠心分離した。上清を除去し、ミクロスフェアを正確な量の計数試薬に再懸濁した。ミクロスフェアの数を血球計数器で計数した。
【0182】
組織試料を含む微量遠心管にTissue/Blood Digest Reagent Iを加え、密封し、95℃で15分間加熱した。遠心管を30秒間ボルテックスにかけ、再加熱し、すべての組織試料が溶解するまで再度ボルテックスにかけた。組織試料が熱いうちにTissue/Blood Digest Reagent IIを加え、次いで遠心管に蓋をし、ボルテックスにかけ、30分間遠心分離した。その後のプロトコルは血液試料を処理するのに用いたものと同じで、ミクロスフェアを計数した。
【0183】
特定の時点の各組織の血流量を下記の式から算出した:
Qm=(Cm×Qr)/Cr
式中、Qmは組織の血流量(μL/分/mg)であり、Cmは組織1mgあたりのミクロスフェア数であり、Qrは血液試料の流速(μL/分)であり、かつCrは基準血液試料中の総ミクロスフェア数である。
【0184】
実施例4. ラットの眼における虚血発作後の網膜機能回復の測定
虚血発作前および後の網膜機能を評価するために網膜電図(ERG)を記録した。ERGを、角膜に接触させて設置したAg/AgCl電極により記録した。1本のステンレススティール針を基準電極として二つの眼の間で皮下に挿入し、もう1本の針を接地電極として頸部に皮下挿入した。光刺激器(photostimulator;Grass PS22 Flash)を用いて眼から5インチ(12.7cm)で光のフラッシュを生じ、ERG電位をポリグラフシステムで記録した。ERG機器はLKC Technologies, Inc.(Gaithersburg、MD)から購入した。一回(10ミリ秒の期間)の白色光刺激を用いて、ERG a波およびb波を誘発した。b波の最大振幅をa波の谷とb波のピークから測定した。
【0185】
暗順応した、雌の:Long-Evansラット(200〜250g)を筋肉内への35mg/kgケタミンおよび5mg/kgキシラジンで麻酔した。その後、初期用量の半量を1時間毎に投与して十分な麻酔を維持した。ERG実験のために瞳孔を1%トロピカミドおよび10%フェニレフリン(50μl)で散瞳させた。視神経および後毛様体動脈周りの結紮による中心網膜および後毛様体動脈の閉塞によって網膜虚血を起こした。次いで、結紮糸を30分間きつくしぼり、網膜血管を閉塞させた。ERG波の消衰により網膜虚血を確認した。網膜虚血の30分後、結紮糸をゆるめ、網膜動脈を再灌流させた。次いで、ERGをその後0、30、60、90、120、180、および240分の時点で測定した。薬物および媒体を腹腔内投与した。これらの薬物を中心網膜動脈の閉塞直前に投与した。
【0186】
実施例5. 脈絡膜新生血管誘導後のラットの眼におけるCNV形成の測定
体重200〜250gのBrown-Norwayラットを35mg/kgケタミンおよび5mg/kgキシラジンで麻酔した。瞳孔を1%トロピカミド(Bausch & Lomb;Tampa、FL)および2.5%Neo-Synephrine(Sanofi-Synthelabo Inc.;NY)の局所適用により散瞳させた。CNVを二重周波数Nd:YAGレーザー(Laserex LP3532;Ellex Medical PTY. LTD.、オーストラリア)でブルッフ膜を破壊して実験的に誘導した。レーザー波長は532nmで、スポットサイズは100μmであった。送出した電力は130から150-mWの範囲で、0.1秒間適用した。典型的には、各動物の両眼で8つの損傷を誘導した。時折、誘導レーザーバーストが多量の網膜下および/または硝子体出血をきたし、これらのスポットはいかなるそれ以上の治療または解析からも除外した。網膜下出血が損傷の約1mm以内に拡がらなければ、同じ眼の他の損傷を試験に含めた。CNVの存在をレーザー誘導の2週間後にフルオレセイン血管造影により確認した。それぞれのレーザー損傷を次のとおりに評価した:漏出(++):経時的に過蛍光のサイズの増大;非漏出(+):過蛍光のサイズの増大はなく、染色のみ;非評価(-):出血の重複による遮蔽のためフルオレセイン血管造影で損傷を評価できなかった。
【0187】
フルオレセイン血管造影
フルオレセイン血管造影をDigital Fundus Camera(TRC-50 EX:Topcon、日本)を用いて瞳孔を散瞳させた麻酔動物で実施し、10%フルオレセインの標準的フルオレセインフィルター0.3ml(Sigma-Aldrich Inc.;St. Louis、MO)を舌下静脈から静脈内注射した。注射後、カメラを両眼の間で交互に10分間画像を取得した。CNVのレーザー誘導および薬物-媒体注射を同時に行った後、2および4週間の時点で、フルオレセイン血管造影をすべてのラットで実施した。
【0188】
インビボ評価:
すべてのラットを、CNVのレーザー誘導および薬物/媒体注射後、屠殺時まで、1週間に1回検査した。検査はスリットランプ(SL-3E;Topcon、日本)で前眼部を評価し、20Dレンズを用いての間接的検眼鏡(Omega 200;Heine、ドイツ)で網膜および硝子体を評価して行った。
【0189】
実施例7. インターロイキン-1誘導性ブドウ膜炎
体重250〜300gの雌のSprague-Dawleyラットを筋肉内への35mg/kgケタミンおよび5mg/kgキシラジンで麻酔した。1.0ngのIL-1α 10μlを30ゲージ針で硝子体内に注射し、ラットを麻酔から回復させた。CK化合物を3mg/kgまたは10mg/kgの用量で、IL-1α注射後0、4、および10時間の時点で腹腔内(i.p)に注射した。炎症をIL-1α注射後12時間の時点で測定した。ラットを前述のとおりに再度麻酔し、FD-70溶液(1.4ml/kg)を舌下静脈から静脈内注射した。蛍光高度計(Fluorotron Master、Coherent Corp.、Palo Alto、CA)により眼を走査した。FD-70注射後0、30、60、90、120、180、240、300、および360分の時点で測定を実施した。眼内のFD-70の最高レベルはFD-70注射後300分で到達した。
【0190】
実施例8. トラベクレクトミー誘導性炎症
成獣のダッチベルトウサギを商業的に購入し、これらはパスツレラ症に対し特定病原体除去されていた。ウサギを個別のケージに収容し、12時間の明暗周期で飼育した。室温を25℃に維持し、相対湿度は50%とした。ウサギはウサギ用固形飼料(Harland、Houston、TX)および水に自由に接近できるようにした。麻酔誘導前にウサギを12時間絶食させた。
【0191】
動物に抗ムスカリン薬および鎮静剤を前もって投与した。ウサギをケタミン/キシラジンで誘導し、挿管し、次いでイソフルランで麻酔を維持した。バランス麻酔法のためにブプレノルフィンおよびパンクロニウムも用いた。術後の鎮痛のために10mg/kgのブプレノルフィンを12時間毎に3日間投与した。
【0192】
部分層強膜弁による緑内障ろ過手術を、手術顕微鏡および厳密な無菌技術を用いて完了した。輪部基底結膜弁を作成した。次いで、上直筋に対して約1ミリメートル側頭側で、強膜に部分層ミニフラップを形成した。弁の寸法は輪部で3ミリメートル、側部および基底部で2ミリメートルであった。外科的輪部で2.5ミリメートルの強膜切開をカミソリの刃の破片を用いて行った。次いで、Kelly Descementパンチ(Storz、St. Louis、MO)を用いて強膜切開を完了した。次いで、周辺虹彩切除を行った。虹彩を、緩衝塩類溶液を流し、角膜をやさしくマッサージして、整復した。次いで、強膜弁を1本の10-0顕微手術用ナイロン糸で縫合閉鎖し、重複こま結びで固定した。結膜およびテノン切開を連続10-0縫合糸で閉鎖した。結膜の水密閉鎖直後、ろ過胞が認められた。同じ方法を対側の眼にも行った。
【0193】
インビボ評価
すべてのラットを、CNVのレーザー誘導および薬物/媒体注射後、屠殺時まで、1週間に1回検査した。検査はスリットランプ(SL-3E;Topcon、日本)で前眼部を評価し、20Dレンズを用いての間接的検眼鏡(Omega 200;Heine、ドイツ)で網膜および硝子体を評価して行った。
【0194】
手術の前に、ウサギを7群の1つに無作為に割り付けた:1)媒体対照のテノン下注射(STI)、2)プレドニゾロン点眼剤、3)無薬、4)メチルプレドニゾロンSTI、5)CK-17 STI、6)CK-101A STI、および7)CK-102 STI。点眼剤群の動物にはそれぞれの眼に2滴を1日3回投与した。点眼剤50μlの治療を手術の前述に開始し、フィステルの失敗まで継続した。点眼剤の製剤は特許取得されており、したがって媒体対照を調製することができなかったため、点眼群の対照は「無薬」であった。テノン下治療群の動物の場合、動物がまだ全身麻酔下にある間に薬物10mgをテノン下注射で投与した。媒体対照群の動物では、治療群に投与したのと等しい量の媒体を投与した。最後に、微生物感染の予防のためにゲンタマイシン20mgを結膜下投与した。
【0195】
1または2滴のテトラカインを両眼に点眼して眼を予備麻酔し、眼内圧を圧平空気トノグラフィ(Alcon、Ft. Worth、TX)で測定した。術前測定を手術の前日に記録した。術後測定を1日おきに記録した。ろ過フィステルの失敗はIOPが術前値に戻ったか、または同じ値が3回連続記録された点と定義した。ろ過胞の有無も1日おきに記録した。IOPを測定しない日に、生体顕微鏡検査を行い、Miyano & Chiou, Ophthalmic. Res. 16:256-263 (1984)によって以前に決められたシステムを用いて炎症を採点した。生体顕微鏡検査のために、ウサギを1mg/kgアセプロマジンIMで麻酔した。炎症の点数を計算し、記録した。実験終了時に、動物を過量(100mg/kg)のペントバルビタールナトリウムで安楽死させた。
【0196】
実施例9. カラゲニン誘導性炎症
体重164±16gの雌Sprague Dowleyラット40匹を実験に用いた。試験および対照群を無作為に割り付けた。カラゲニン(1%溶液0.1mL)をラット後足の足底表面に注射して炎症を誘導した。カラゲニン注射の10分前に、水8mLをig投与した。CK-17およびアスピリンをTween 80と共に粉砕し、次いで蒸留水に懸濁した。CK-17またはアスピリンをカラゲニン注射前0、8、および16時間の時点で3回ip注射した。炎症性浮腫足の体積変化を、カラゲニン注射後0、0.5、1、2、4、および6時間の時点で水の体積に置き換えて測定し、記録した。
【0197】
LD50決定:
各用量について、体重18〜20gのいずれかの性別のマウス20匹を用い、Litchfield & Wilcoxon, J. Pharmacol. Exp. Ther. 96:99-113 (1949)の方法に従ってLD50をもとめた。動物を25℃および相対湿度70%の動物室に収容した。光周期を12時間ずつの明暗に設定した。CK-17をTween 80と共に粉砕し、次いで1%CMC(カルボキシメチルセルロース)に懸濁した。懸濁液を20g/kgでig投与し、動物を7日間観察した。
【0198】
実施例10. 眼刺激試験
ドレーズ試験、Draize et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 82:377-90 (1944)、に従い、眼刺激の評価を行った。ドレーズ試験の前に、CK-17はモルモットで皮膚刺激を生じないことがすでにわかっていた。したがって、本実験ではドレーズ試験を用いてウサギの眼における薬物の毒性ではなく安全性を示した。体重2〜2.5kgのいずれかの性別のニュージーランドアルビノウサギ6匹を各群で用いた。動物を25℃および相対湿度70%のケージに個別に収容した。CK-17または対照としての媒体の点眼後、光周期を12時間ずつの明暗で7日間維持した。
【0199】
CK-17(0.1%)を6%ジメチルスルホキシド(DMSO)、6%PEG 400、10%Tween 80、および78%食塩水に懸濁した。治療群として試験化合物50μlを右眼の円蓋に点眼し、対照群として媒体を左眼に点眼した。材料の損失を防ぐために、眼瞼を10秒間静かに合わせた。眼刺激、眼の欠陥、または既存の角膜損傷を示す動物は実験に用いなかった。点眼後0、1、3、5、7、および24時間、ならびに2日、3日、5日、および7日の時点で眼の検眼鏡検査を行った。刺激表の点数を記録し、算出した。
【0200】
本明細書において言及するすべての出版物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術のレベルを示すものである。すべての出版物および特許出願は、それぞれ個々の出版物および特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み入れられると示されているがごとく、同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
【0201】
本明細書に開示し、主張する組成物および/または方法はすべて、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製し、実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して記載してきたが、当業者であれば、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の組成物および/または方法ならびに方法の段階または一連の段階において変更を適用しうることが明らかであると思われる。より具体的には、化学的および生理学的両方で関連する特定の薬剤を本明細書に記載の薬剤の代わりに用いてもよく、その一方で同じまたは類似の結果が得られることが明らかであると思われる。当業者には明らかなすべてのそのような類似の置換および改変は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神、概念および範囲内であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)テトラメチルピラジンまたはその塩を含む組成物
を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項2】
黄斑変性が加齢性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験体がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
投与が眼への局所投与である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
塩が塩酸塩である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
組成物が液体溶液である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項8】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)ヒドララジンまたはその塩を含む組成物
を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項9】
黄斑変性が加齢性である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
被験体がヒトである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
投与が眼への局所投与である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
塩が塩酸塩、ヒドロクロロチアジド塩または二硝酸イソソルビド塩である、請求項8記載の方法。
【請求項13】
組成物が液体溶液である、請求項8記載の方法。
【請求項14】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項15】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)グアナベンズまたはその塩を含む組成物
を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。
【請求項16】
黄斑変性が加齢性である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
被験体がヒトである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
投与が眼への局所投与である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
塩が塩酸塩および酢酸塩からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
組成物が液体溶液である、請求項15記載の方法。
【請求項21】
黄斑変性の治療法であって、下記の段階を含む方法:
1)i)黄斑変性と診断された被験体、および
ii)脈絡膜新生血管を低減するよう作用する、下記の式の置換もしくは非置換化合物またはその塩を含む組成物:

を提供する段階、ならびに
2)該化合物を該被験体に投与する段階。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−229257(P2012−229257A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159151(P2012−159151)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【分割の表示】特願2008−511191(P2008−511191)の分割
【原出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(504261103)ザ テキサス エー アンド エム ユニバーシティー システム (6)
【Fターム(参考)】