説明

治療的放射性同位元素および診断的放射性同位元素を含む微小球

本発明の一態様では、治療用β線粒子を放射する放射性同位元素、および診断用γ線を放射する放射性同位元素を含浸させた微小球に関し、この第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。1つの好ましい実施態様では、微小球は、治療用β線照射源として90Yおよび診断用γ線照射源として198Auを含浸されたガラスで構成される。本発明の別の態様では、治療用β線粒子を放射する放射性同位元素、および診断用γ線を放射する放射性同位元素を含浸させた微小球の調製に関し、この第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。1つの好ましい実施態では、ガラス、89Y、および197Auを含むガラス微小球の中性子活性化によって、90Yおよび198Auを含むガラス微小球が調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年4月4日に出願された米国特許出願第10/407,144明細書の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
癌の新しくより効果的な治療方法の開発は極めて重要である。特に、肝臓で発見される悪性腫瘍の治療では、現行の治療選択肢が不十分であるため、治療方法の開発は急を要する。現時点で、肝転移を伴う患者において好ましい治療法は外科的切除である。残念ながら、この形式の治療を受けた患者の5年の生存率はわずか約35%である。Scheele J and Altendorf−Hofmann A.Resection of colorectal liver metastases.Langenbeck’s Arch.Surg.1999;313−327。このように生存率ががっかりするほど低いうえ、診断時までにほとんどの腫瘍が手術不可能であるため、さらに事態は深刻となる。これらの腫瘍に対する他の治療選択肢としては、従来の化学療法および外部放射線治療などがある。Hafeli UO,Casillas S,Dietz DW,Pauer GJ,Rybicki LA,Conzone SD and Day DE.Hepatic tumor radioembolization in a rat model using radioactive rhenium(186Re/188Re)glass microspheres.Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.1999;44:189−199、およびLink KH,Komman M.,Formentini A,Leder G,Sunelaitis E,Schatz M,Prelmar J and Beger HG.Regional chemotherapy of non−resectable liver metastases from colorectal cancer − literature and institutional review.Langenbeck’s Arch.Surg.1999;384:344353。残念ながら、後者の治療法のいずれにも患者の生存率を著しく改善させるものはなかった。
【0003】
選択的放射性核種療法における最近の開発は、放射標識された微小球が種々のタイプの癌を有する患者において有望な治療選択肢を提供する可能性があることが示唆された。この治療法は、周囲組織損傷を可能な限り少なく保ちながら腫瘍への治療放射性粒子の選択的な送達を可能とする。この新しい治療選択肢は、肝臓の原発性および転移性悪性腫瘍など極度に予後不良を伴い、ほかに適切な治療方法のない癌において特に重要である。例えば、総肝動脈を介した治療薬の局所投与は、腫瘍反応を改善するために開発されている1つの戦略である。Bastian P,Bartkowski R,Kohier H and Kissel T.Chemo−embolization of experimental liver metastases. Part 1:distribution of biodegradable microspheres of different sizes in an animal model for the locoregional therapy.Eur.J.Pharm.Biopharm.1998;46:243−254。この形式の治療方法は、これらの原発性および転移性肝癌での十分に血管新生がされ、それらの癌が血液供給の大部分を総肝動脈から受けるので、この両者で特に有効性が見込まれている。Ackerman NB,Lien WM,Kondi ES and Silverman NA.The blood supply of experimental liver metastases.The distribution of hepatic artery and portal vein blood to“small”and“large”tumors.Surgery 1969;66:1067−1072。さらに肝臓、肺、舌、脾臓、および四肢の軟部組織などの器官における種々の腫瘍の局所治療について、多くの種類の放射標識粒子および放射性核種が試験されている。
【0004】
この技術の初期の用途では、投与前に酸化イットリウム粉末を粘性媒体中に懸濁された。ほぼ100パーセントのβ線を放射するので、酸化イットリウムがこの技術に選択された。Nolan et al.,Intravascular Particulate Radioisotope Therapy,The American Surgeon 1969;35:181−188 and Grady et al.,Intra−Arterial Radioisotopes to Treat Cancer,American Surgeon 1960;26:678−684参照。しかしながら、酸化イットリウム粉末は高密度(5.01グラム/cm)であり、不規則な粒子形状を有している。純粋な酸化イットリウム粉末が高密度であるため、体内に注射するために使用される液体中において懸濁状態の粒子を保持することが困難である。また酸化イットリウム粒子は鋭い角および縁があるので、局部の周囲の組織をさらに刺激する。最近の応用で使用されている粒子は、P−32またはY−90などの放射性同位元素で塗布されたイオン交換樹脂、あるいは結晶性セラミックコアで構成された微小球である。イオン交換樹脂および結晶性セラミック微小球の両者は、酸化イットリウム粒子よりはるかに低い密度を有するという利点があり、また、イオン交換樹脂は、標識が特に簡単であるというさらなる利点を提供する。Zielinski and Kasprzyk,Synthesis and Quality Control Testing of 32P labelled Ion Exchange Resin Microspheres for Radiation Therapy of Hepatic Neoplasms,Int.J.Appl.Radiat.Isot.1983;34:1343−1350参照。
【0005】
さらに別の用途では、微小球はセラミック材料で構成され、このセラミック材料に放射性同位元素を組み込んだものが調製されている。セラミック球内へ放射性同位元素を取り込んでいるので、放射性コーティングから放射性同位元素が遊離してヒトの体の他の部分にはいり込むなことはないと考えられるが、しかしながらこのような生成物形態の欠点は無視できるものではない。セラミック溶融物に揮発するおそれのある放射能を添加しなければならず、また放射性をもったまま微小球を製造し、サイズ分別する必要があり、作業員が被爆する危険性があり、また施設が放射能汚染される危険性を伴うので、これらのセラミック微小球の製造工程は複雑である。
【0006】
現在の技術は、中性子活性化によりβ線粒子を放射する材料で含浸されたガラス、樹脂、アルブミンあるいはポリマー微小球を使用することが多い。研究では、効果的な治療のデザインにおいてビーズの組成が重要である可能性が示唆されている。例えば、ガラスは比較的放射線損傷に強く、高度に不溶性で、無毒である。ガラスは、容易に均一サイズに球状化することができ、含まれている放射性核種の不純物が最少限である。製造技術の進歩により、実質的に放射性物質の浸出なしにガラス微小球の生産が可能となっている。Ho S,Lau WY,Leung TWT,Chan M,Ngar YK,Johnson PJ and Li AKC.Clinical evaluation of the partition model for estimating radiation doses from yttrium−90 microspheres in the treatment of hepatic cancer.Eur.J Nucl.Med.1997;24:293−298。
【0007】
ガラス球はいくつかの利点を有するが、その高密度(3.29g/ml)および非生分解性が主な欠点である。Mumper RJ,Ryo UY and Jay M.Neutron activated holmium−166−Poly(L−lactic acid)microspheres:A potential agent for the internal radiation therapy of hepatic tumours.J.Nucl.Med.1991;32:2139−2143、およびTurner IH,Claringbold PG.Kiemp PFB,Cameron PJ,Martindale AA,Glancy RJ,Norman PE,Hetherington EL,Najdovski L and Lambrecht RM.166Ho−microsphere liver radiotherapy:a preclinical SPECT dosimetry study in the pig.Nucl.Med.Comm. 1994;15:545−553。密度が比較的高いため、血管内沈降する可能性が高くなる。Ho S,Lau WY,Leung TWT and Johnson PJ.Internal radiation therapy for patients with primary or metastatic hepatic cancer.Cancer 1998;83:1894−1907。しかしながら、TheraSpheres(登録商標)と呼ばれる製造品であるガラス微小球は、放射性核種療法で最初の認められた微小球製品であり、原発性または転移性腫瘍を有する患者に使用された。一方、腫瘍の治療に必要な特徴を有している放射性同位元素はごく少数に限られている適切な放射性同位元素の重要な特徴としては、腫瘍のサイズに適した放射スペクトル(β線粒子放射の強度)、高線量率、短い半減期、および外部イメージングのためのγ線放射などがある。
【0008】
最も適切な放射性物質は、イットリウム90、レニウム−188、およびホルミウム−166である。これらの材料の3つはすべて、放射線治療に有用なβ線を放射する。90Yは放射性核種療法でしばしば使用されるが、イットリウム90は放射線治療における使用において2つの主な欠点を有する。第1に、90Yの前駆物質が1.28バーンの小さな熱中性子断面積を有するので、イットリウムの治療活性を達成するには長い中性子活性化時間(>2週間)が必要となる。第2に、90Yが純粋なβ線放射体であり、イメージ可能なγ線を生成しないので、90Yを導入された微小球の体内分布を臨床試験において直接測定することができない。天然のレニウムは、中性子活性化によりそれぞれβ線を放射する186Reおよび188Re放射性同位元素を形成する2つの同位元素、185Reおよび187Reからなる。レニウム放射性同位元素の核および線量特性は90Yのそれに匹敵するが、イメージ可能なγ線光子を有する。レニウム放射性同位元素のように、166Hoはβ線粒子および光子を放射し、90Y(64.1時間)および186Re(90.6時間)と比較して、26.8時間の比較的短い物理的半減期を有し、その結果高線量率が得られる。
【0009】
放射性核種療法のための微小球の開発は、90Yで上述したように、インビボで微小球の体内分布を測定することが困難であることにより複雑になる。微小球が治療すべき腫瘍の近傍に存在しなければならないので、微小球の体内分布はこの種の放射線治療法にとって極めて重要である。この問題に対する1つの可能性のある解決策は、検出可能で、危険性のない信号を放射する材料を微小球に付着させることであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明の一態様は、ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料、治療β線−粒子を放射する第1の放射性同位元素、診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素から構成される微小球に関し、第1の放射性同位元素の原子番号は、第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。
【0011】
本発明は、放射性微小球を調製する方法にさらに関し、第1の放射性同位元素の非放射性前駆物質、第2の放射性同位元素の非放射性前駆物質、およびガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料を併用し、混合物を形成するステップであって、第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではなく、この混合物からの微小球を製造するステップと、中性子によりこの微小球を衝撃するステップとを有する。
【0012】
本発明の別の態様では、医学的状態を有する哺乳動物を治療する方法に関連し、この哺乳動物に、ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料、治療的β線粒子を放射する最初の放射性同位元素、および診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素を各々を含む放射性微小球の治療的有効量を投与するステップであって、第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の詳細な説明
本発明は、本発明のある好ましい実施形態が示される添付の実施例に関してここでより詳細に記載するものとする。しかしながら、本発明は様々な形態で実施されてもよく、本明細書に述べられた実施形態に限定されていると解釈すべきではない。より正確に言えば、詳細かつ完全な開示ができるように、また当業者に本発明の範囲を正しく伝えるために、これらの実施形態を示している。
【0014】
(好ましい実施形態の概要)
多様な癌の治療に微小球を使用する放射性核種治療技術は、腫瘍への微小球の正確で精密な伝達に頼っている。この治療オプションは、腫瘍に直接作用し、化学療法、放射線治療、あるいは外科的切除などの従来の治療オプションに関連した重大な欠点である近傍にある健康な組織へのダメージを最小とする伝達治療を約束するものである。しかしながら、放射性核種微小球を使用する癌治療の有効性は、微小球の体内分布を把握することが不可能であることにより妨害されることが多い。したがって、この微小球の体内分布を測定するための非観血的方法は非常に有用と予想される。検出を可能にするγ線照射のための198Auを含み、様々な医学的条件の治療に有用なβ−粒子放射のための90Yを組み込まれた微小球が設計されている。微小球1個当たりに必要する197Auの量を測定する方法は、90Y、198Au、およびビーズを構成するバルク材料の物性および相対的な比率に基づいて確立されている。治療β線放射性核種の安定同位体および197Auの必要量の計算が可能な数式が誘導されている。微小球の組成物およびサイズは、特定用途に十分適合するようにカスタマイズしてもよい。放射標識された微小球は、標準手順に従って被験哺乳動物に導入してもよく、また、微小球の体内分布は198Auにより放射されたγ線の検出によって測定してもよい。
【0015】
放射性崩壊速度の導出
放射性同位元素を与える安定同位体の中性子活性化は、kとkがそれぞれ中性子捕獲定数および放射性崩壊定数である簡単な式によって記述される。
【0016】
【数1】

A、AおよびPは、それぞれ安定同位体、放射性同位元素、および崩壊生成物の原子(あるいはモル)数を表す。放射性同位元素Aの形成の有効速度は、
【0017】
【数2】

で与えられる。Aが初期には存在しないと仮定すると解が存在する。
【0018】
【数3】

ここで、Aは安定同位体の初期量である。
【0019】
放射性崩壊定数は、
【0020】
【数4】

に従った放射性同位元素半減期(t1/2)により表される。
【0021】
中性子捕獲定数は、
=φχ (式4)
に従った中性子束および中性子捕獲断面積χによって決定される。定数φおよびχは、それぞれcm−2−1および10ー24cm(バーン)の単位で一般に表される。
【0022】
中性子源から材料を取り除いた後、放射性同位元素は、
【0023】
【数5】

で与えられた速度で崩壊する。
【0024】
安定同位体の所要量の測定
−dA/dtによって定義される放射能は、s−1(ベクレル)あるいは3.7×1010−1(キュリー)の単位で一般に表される。式2および式5から、中性子源からの試料除去時の放射能を表す式は、
【0025】
【数6】

である。
式6をAについて解くと、
【0026】
【数7】

のように照射時間tの後の所望の放射能を達成するために必要とされる安定同位体量の計算が可能となる。
【0027】
β−放射性治療放射性核種の同定
原発性および転移性悪性腫瘍の放射性核種内用療法に適した放射性核種は、次の特性を有する必要がある。すなわち、第1に放射性同位元素は、小型から大型の多発性腫瘍を治療するために適切な放射線スペクトルを有する必要がある。血管辺縁を伴うが、壊死中心では単位容積当たりの微小球取込みがより少ない大型腫瘍、このため、腫瘍の内部に到達するために、広い組織範囲に続いて高エネルギーのβ線放射体を必要とする。第2に高線量率は、放射線生物学的効果に有利である。Spencer RP.Applied principles of radiopharmaceutical use in therapy.Nucl.Med.Biol.1986;13:461−463およびSpencer RP.Short−lived radionuclides in therapy.Nucl.Med.Biol.1987;14:537−538。従って、半減期が短いことが好ましい。第3はγ線カメラによる放射性同位元素の体内分布を判定するための外部イメージングにはγ線放射体が好ましい。しかしながらその放射能は、被験者および環境への不要な放射線負荷を防止するために低くくする必要がある。Mumper RJ,Ryo UY and Jay M.Neutron activated holmium−166−Poly(L−lactic acid)microspheres:A potential agent for the internal radiation therapy of hepatic tumours.J.Nucl.Med.1991;32:2139−2143。さらに、粒子の標識化は同位元素の漏出なしに簡単でなければならない。最後に、短い中性子活性化時間内で高い比活性を達成できるように、大きな熱中性子断面積が必要である。Conzone SD,Hafeli UO,Day DE and Ehrhardt GJ.Preparation and properties of radioactive rhenium glass microspheres intended for in vivo radioembolization therapy.J.Biomed.Mater.Res.1998;42:617−625。残念ながら、腫瘍の治療に適する可能性のある特徴を有する放射性同位元素はごく少数である。適切な放射性核種は、90Y、99mTc、188Re、32P、166Ho、109Pd、140La、153Sm、165Dy、および169Erから成る群から選択される。好ましい実施形態では、放射性核種は90Y、166Ho、あるいは188Reである。
【0028】
診断放射性核種によって放射されたγ光子の検出
今日、γ線カメラを使用して癌が発見されることが多く、これは全身スキャンを行い、患者に投与された放射性医薬品によって放射された放射線を検出することにより身体中の疑わしい腫瘍のイメージを提供する。このような全身アプローチでは、より高い濃度の放射性医薬品が疑わしい腫瘍領域に集まり、これはより高い計数率、およびこのため腫瘍領域とその周囲領域との間に検出可能なコントラストを生じる。
【0029】
最も臨床的に使用される放射性医薬品は、その配位子の物理的あるいは代謝特性のため、静脈内注射後に特定の器官に局在化するγ線放射核種を組み込んだ診断薬である。得られたイメージは器官構造または機能を反映する。これらのイメージは、放射性分子によって放射された電離放射線の分布を検出するγ線カメラによって得られる。臨床検査核医学薬の中で現在使用される主な同位体は、6時間の半減期を有する準安定テクネチウム99mである。
【0030】
上述のように核医学では、患者に注射された放射性同位元素によって標識された分子の器官内での分布の表示にγ線カメラが使用される。このためγ線カメラは、患者の身体から放射されたγ光子を集束するコリメータ、γ光子を光光子あるいはシンチレーションに変換するシンチレータ結晶、各々のシンチレーションを電気パルスに変換する光電子増倍管アレイを有する。このような検出システムは、プロセシングおよびディスプレー装置に続き、イメージ取得中に患者の放射性同位元素分布の画像投影を得るために使用できる。
【0031】
放射性核種の活性化
中性子活性化による安定同位体の放射化に、反応体、促進物質、および放射性同位体の中性子エミッタなどの種々の中性子源を使用することができる。中性子活性化のためのシステムおよび方法は、米国特許第6,149,889号明細書および米国特許第6,328,700号明細書に記載される。ウラン核分裂からその高い中性子束を有する反応体は、多くの元素について利用可能な最も高い活性化率を提供する。一次核分裂中性子を減速する(あるいはエネルギーを減少させる)ために使用される材料のため、異なるタイプの反応体および反応体内の異なる位置は、それらの中性子エネルギー分布および放射線束によりかなり異なる。しかしながら、多くの中性子エネルギー分布はかなり広く、3つの主成分(熱、エピサーマル、また高速中性子)を含んでいる。
【0032】
熱中性子成分は、反応体の減速材中に原子による熱平衡において低エネルギー中性子(0.5eV未満のエネルギー)が含まれる。室温における熱中性子のエネルギースペクトルは、0.025eVの平均エネルギーおよび2200m/sの最確速度を有するマクスウェル‐ボルツマン分布によって最も良好に表現される。多くの反応体放射位置では、試料を衝撃させる中性子の90−95%は熱中性子である。
【0033】
エピサーマル中性子成分は、単に部分的に減速された中性子(0.5eVから約0.5MeVまでのエネルギー)を含む。厚さ1mmのカドミウム箔は、全ての熱中性子を吸収するが、0.5eVをこえるエピサーマルおよび高速中性子は通過させる。代表的な未シールドの反応体放射位置では、エピサーマル中性子束は、約2%の総中性子束を表わす。熱およびエピサーマル中性子の両者は、標的分子上での反応を誘発する。
【0034】
中性子スペクトル(0.5MeVをこえるエネルギー)の高速中性子成分は、核分裂後もまだオリジナルエネルギーの多くを有する一次核分裂中性子を含んでいる。高速中性子は反応にはほとんど寄与しないが、代わりに1つ以上の核粒子(n、p)(n、n’)、および(n、2n)の放出が優勢となる核反応を誘発する。代表的な反応体照射位置では、総放射線束の約5%は高速中性子より成る。 微小球で標識された放射性金属、または金属化合物によって標的に送達された放射線量は、種々の方法、例えばこの微小球に付随する金属の量、金属の放射化の程度、投与された微小球の量、および投与された微小球のサイズを変更することによってコントロールすることができる。
【0035】
微小球のバルク組成
ガラス
ガラスは、放射線損傷に比較的強く、高度に不溶性で、かつ無毒である。ガラスは、容易に均一サイズに球状化することができ、最少限の放射性核種不純物を有する。技術の進歩により、実質的に放射性物質の溶脱なしにガラス微小球の製造が可能となっている。Ho S,Lau WY,Leung TWT,Chan M,Ngar YK,Johnson PJおよびLi AKC.Clinical evaluation of the partition model for estimating radiation doses from yttrium−90 microspheres in the treatment of hepatic cancer.Eur.J Nucl.Med.1997;24:293−298。ガラス球はいくつかの長所を有するが、その高密度性(3.29g/ml)および非生分解性が難点である。Mumper RJ,Ryo UY and Jay M.Neutron activated holmium−166−Poly(L−lactic acid)microspheres:A potential agent for the internal radiation therapy of hepatic tumours.J.Nucl.Med.1991;32:2139−2 143。ガラスの比較的高い密度は、血管内沈降の機会を増加させる。TheraSpheres(登録商標)という名称の下に製造されたガラス微小球は、放射性核種内用療法のための最初の登録微小球製品であり、原発性または転移性腫瘍を有する患者に使用される。90Yのγ線放射の不足のために、放射性レニウム(186Re/188Re)微小球も産生される。これらの球の一般的な製造方法は、90Y球の場合と同様である。Hafeli UO,Casillas S.Dietz DW,Pauer GJ,Rybicki LA,Conzone SD and Day DE.Hepatic tumor radioembolization in a rat model using radioactive rhenium(186Re/188Re)glass microspheres.Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.1999;44:189−199、およびConzone SD,Hafeli UO,Day DE and Ehrhardt GJ.Preparation and properties of radioactive rhenium glass microspheres intended for in vivo radioembolization therapy.J.Biomed.Mater.Res.1998;42:617−625。
【0036】
Brownらは、マウス腫瘍中への直接注入のために166Hoを導入したガラス微粒子を調製し、その結果、局所的な放射性核種内用療法で使用する強力なγ線照射の沈着のための効果的な療法が得られた。しかしながら、より詳細な研究は行われなかった。Brown RF,Lindesmith LC、およびDay DE.166−Holmium−containing glass for internal radiotherapy of tumors.Int.J.Rad.Appl.Instrum.B 1991;18:783−790。
【0037】
Kawashitaらは、赤リン蒸気の熱電子衝撃により生成し、ガラス内に注入されるリンイオンを含むリンリッチのY−Al−SiOガラス微小球の使用により、高いリン含有量および高い化学的耐久性が得られることを示した。中性子衝撃による活性化後、このガラスにはリン−32(32P)が含まれる。Kawashita M,Miyaji F,Kokubo T,Takaoka GH,Yamada I,Suzuki Y、およびInoue M.Surface structure and chemical durability of P−implanted Y−Al−SiO glass for radiotherapy of cancer.J.Non−Cryst.Solids 1999;255:140−148。
【0038】
樹脂
樹脂ベースの微小球は、放射塞栓形成のために好ましい。ホルミウムとイットリウムの塩化物を陽イオン交換樹脂に添加している。Bio−Rex 70、Cellex−P、Chelex 100、セファデックスSP、およびAG50W−X8などを含む別の樹脂がSchubigerらによって検討された。Schubiger PA,Beer H−F,Geiger L,Rosier H,Zimmerman A,Triller J,Mettler D、およびSchilt,W.90Y−resin particles−animal experiments on pigs with regard to the introduction of superselective embolization therapy.Nucl.Med.Biol.1991;18:305−311。90Yがアクリルポリマーのカルボン酸基に結合した樹脂を滅菌し、ブタの腎疾患塞栓形成に使用された。使用可能な粒子の中で前処理されたBio−Rex70のみが、注入された線量の>95%のβ放射能が標的器官中に保持され、肺組織試料中には組織学的に検出できる粒子は認められない結果を示した。Zimmerman A,Schubiger PA,Mettler D,Geiger L,Triller J、およびRosler H.Renal pathology after arterial yttrium−90 microsphere administration in pigs.A model for superselective radioembolization therapy.Invest.Rad.1995;30:716−723。
【0039】
166Hoまたは188Reを導入されたAminex樹脂(バイオラッド社、ヘルクレス、カリフォルニア州、米国)も使用可能な製剤であった。Turnerらはスチレンジビニルベンゼン共重合体格子に付着したsulphonic酸官能基を有する陽イオン交換樹脂Aminex A−5に、166Ho−塩化物を添加することにより微小球を調製した。Turner JH,Claringbold PG,Kiemp PFB,Cameron PJ,Martindale AA,Glancy RJ,Norman PE,Hetherington EL,Najdovski L、およびLambrecht RM.166Ho−microsphere liver radiotherapy:a preclinical SPECT dosimetry study in the pig.Nucl.Med.Comm.1994;15:545−553。ブタへの肝内動脈投与後、再現性のある、肝全体にわたる166Ho−微小球の非均一な分布がシンチグラフ像上で観察された。この予想可能な分布により、これらの研究者は166Ho−微小球のトレーサー活性からの吸収放射線量を測定すること、および治療量を提供するために必要とされる投与活性を明らかにすることができた。Aminex A−27は、減圧乾燥樹脂粒子に188Re−過レニウム酸塩およびSnClを添加することにより、188Reで標識された。Wang S−J,Lin W−Y,Chen M.−N,Chi C−S,Chen J−T,Ho W−L,Hsieh B−T,Shen L−H,Tsai Z−T,Ting G,Mirzadeh S、およびKnapp PP.Intratumoral injection of rhenium−188 microspheres into an animal model of hepatoma.J Nucl.Med.1998;39:1752−1757。この混合物は煮沸され、遠心分離された、さらに微小球は生理食塩水中で分離され、再懸濁された。球は、肝細胞腫を有するラットへの腫瘍内直接注入により試験された。60日間生存率は処理群対対照群(80%対27%)であり有意に良好であった。
【0040】
オーストラリアおよび香港からの研究者は、原発性または続発性肝臓癌の患者の治療のため、90Yで標識された非特異性の樹脂ベースの粒子を使用した。Lau WY,Leung WI,Ho 5,Leung NWY,Chan M,Lin J,Metreweli C,Johnson P、およびLi AKC.Treatment of inoperable hepatocellular carcinoma with intrahepatic arterial yttrium−90 microspheres:a phase I and II study.Br.J.Cancer 1994;70:994−999。この球は、直径29−35μm、密度1.6g/mLを有し、さらに球1つ当たりおよそ30−50Bqの比活性を示した。治療は骨髄または肺毒性なしに良好な耐容性を示した。生存率中央値は71例の患者中9.4ヶ月(範囲1.8−46.4)であり、腫瘍マーカーレベルの低下に関する客観的反応率は、コンピュータ断層撮影法により得られた腫瘍ボリュームの減少率に基づく結果よりも高い値を示した。Lau WY,Ho S,Leung TWT,Chan M,Ho R,Johnson PJ、およびLi AKC.Selective internal radiation therapy for nonresectable hepatocellular carcinoma with intraarterial infusion of 90yttrium microspheres.Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.1998;40:583592。
【0041】
アルブミン
1969年以来、ヒト血清アルブミン(HSA)のテクネチウム−99m−微小球(99mTc−微小球)は、臨床核医学、特に肺スキャンに広く使用されている。Wunderlich G,Pinkert J,AndreeffM,Stintz M,Knapp FF,Kropp J and Franke WG.Preparation、およびbiodistribution of rhenium−188 labeled albumin microspheres B 20:a promising new agent for radiotherapy.Appl.Radiat.Isotopes 2000;52:63−68、およびRhodes BA,Zolle I,Buchanan JW and Wagner HN.Radioactive albumin microspheres for studies of the pulmonary circulation.Radiology 1969;92:1453−1460。Wunderlichらによって使用された188Re標識HSA微小球は、平均径25μmでサイズが均一であり、生体適合性および生分解性を有する。しかしながら、標識化プロセスは時間を要し、SnCl・2HOおよびゲンチシン酸濃度に依存する。微小球の表面においては、約1μm未満の厚さのシェルが認められ、おそらく沈殿した水酸化スズから成っていると考えられる。粒子標識(コーティング)は、Sn(ll)とのRe(VII)の還元反応、および高い吸着容量と減少した加水分解されたレニウムとを有する水酸化スズコロイドの粒子表面関連共沈効果の組み合わせにより達成される。最適反応条件下での標識収率は70%をこえる。十分灌流された腫瘍のモデルとして肺を使用するラットにおける体内分布試験では、優れた生体内安定性を示した。
【0042】
レニウムをはじめとして、イットリウムも内部放射線治療のためのHSAと結合されている。Watanabe N,Oriuchi N,Endo K,Inoue T,Tanada S.Murata H、およびSasaki Y.Yttrium−90 labeled human macroaggregated albumin for internal radiotherapy:combined use with DTPA.Nucl.Med.Biol.1999;26:847−851。90Y酢酸塩および巨大凝集HSA(MAA)(Macrokit(登録商標)、Dainabot、東京、日本)を酢酸ナトリウム緩衝液の中で懸濁し、室温でインキュベートした。全肺照射のための内用放射線療法剤として90Y−MAAを使用することの可能性を検討するためにマウスでの実験を行った。肺中のイットリウム活性は注入後72時間以内に取り除かれ、活性は他の器官、特に骨に再分布したが、これはCaNaDTPAの併用使用により予防することができた。その急速なクリアランスに基づくと、90Y−MAAは肺の分割体内放射線治療に有用であることが示唆された。
【0043】
ポリマー
ポリマーに基づいた微小球は、他の材料に対して、特にそれらの血漿に近い密度、生分解性、および生体適合性に関して多くの利点を有する。しかしながら、主要な欠点は高い熱中性子束に耐えることができないことである。Conzone SD,Hafeli UO,Day DE、およびEhrhardt GJ.Preparation and properties of radioactive rhenium glass microspheres intended for in vivo radioembolization therapy.J.Biomed.Mater.Res.1998;42:617−625。添加物および照射パラメータの調整によりこの問題を克服することができる。溶剤蒸発技術が、166Ho、90Y、および186Re/188Reを含むポリ(L−乳酸)(PLLA)微小球の調製に使用された。Mumperらは、ホルミウム−165−アセチルアセトネート(HoAcAc)を含むPLLA微小球を調製した。Mumper RJ、およびJay M.Poly(L−lactic acid)microspheres containing neutron−activatable holmium−165:A study of the physical characteristics of microspheres before and after irradiation in a nuclear reactor.Pharm.Res.1992;9:149−154。HoAcAc複合体およびPLLAはクロロホルムの中に溶解され、この溶液をポリビニルアルコール(PVA)溶液に添加し、溶媒が蒸発するまで攪拌した。20−50μmの開口を有するステンレス鋼篩上で、微小球をサイズにより選別し収集した。これらの微小球は、原子炉中の放射能治療量に対して中性子衝撃によって活性化される必要なのみの患者の許容する(patient−ready)線量で分配することができる。ホルミウムを導入した微小球は、ラット肝腫瘍への肝内動脈投与により現在試験が行われている。放射能の分布に基づくと、正常な肝臓と比較した場合、腫瘍内およびその周囲の166Ho微小球の7倍の増加が認められた。
【0044】
Hafeliらにより、腫瘍に割り当てるためイットリウムを導入した磁気PLLA微小球が作成された。Hafeli UO,Sweeney SM,Beresford BA,Humm JL、およびMacklis RM.Effective targeting of magnetic radioactive 90Y−microspheres to tumor cells by an externally applied magnetic field.Preliminary in vitro and in vivo results.Nucl.Med.Biol.1995;22:147−155。この方法により、導入前−または後導入も可能な安定に導入された球が得られた。前導入された微小球を作製するために、PLLAを塩化メチレン中でL−α−ホスファチジルコリンとともに溶解させた。市販の90YClおよび磁鉄鉱Feをこの溶液に加え、攪拌し、超音波処理を行った。この懸濁液をPVAとともにPBS中に注入し、溶剤蒸発技術に続いて微小球を調製した。後導入された球は、HCl中の90YCl添加後のPBS溶液中で乾燥微小球の懸濁により調製された。球を続いて攪拌し、インキュベートし、洗浄し、標識された微小球を得た。90Yの浸出は37℃のPBSの中で1日後に約4%であった。比活性は両方法ともに1.85MBq/mgであった。90YはPLLAのカルボン酸末端基に結合した。マウスの実験では、その上に固定された方位磁石により腫瘍中で12倍の活性増加が認められた。レニウムを導入したPLLA微小球もさらに開発されたが、これらの微小球は、原子炉中での肝腫瘍の治療で要求される高い比活性を達成するのに必要な高い中性子束に耐えることができなかった。Hafeli UO,Casillas S,Dietz DW,Pauer GJ,Rybicki LA,Conzone SD and Day DE.Hepatic tumor radioembolization in a rat model using radioactive rhenium(186Re/188Re)glass microspheres.Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.1999;44:189−199。
【0045】
微小球の製造
米国特許第5,302,369号明細書で記載されているようにある事例では、微小球が所望のガラス成分を形成するために溶融された粉末(しなわちバッチ)の均質な混合物から調製されている。調製されるべき溶融組成物のために必要な酸化物を正確な比率で提供する限り、バッチに使用される正確な化学物質または原材料は重要ではない。例えば、YASガラスを作製する場合、バッチ原料としてイットリア、アルミナ、およびシリカ粉末を使用することができる。各原料の純度は99.9%をこえることが好ましい。均一な混合物を得るために粉末のドライまたはウェット混合を行った後、混合物を溶融させるため白金るつぼに入れてもよい。作製するべきガラス中に少なくとも少量のアルミナを許容することができる場合は、高純度アルミナるつぼも使用することができる。続いて、粉末化されたバッチを含むるつぼを組成物に依存して1500°から1600℃に加熱される電気炉に設置する。この温度領域では、バッチは溶融し液体となり、これはその化学的不均一性を減少させるために数回攪拌される。通常2−5時間で十分であるが全ての固形物が完全に溶融するまで、溶融物を1500°から1600℃に維持する必要がある。溶融および撹拌が完了した場合、るつぼを炉から取り出し、溶融物を冷たい鋼鈑上または上水中に注ぐことにより、溶融物を直ちにガラスまで急冷させる。この手順によりガラスがフラグメントに破壊され、微小粉にガラスを粉砕することを助け、簡単にする。その後、粉末は使用のために分類され球状にされる。
【0046】
肝臓癌の治療に関しては、約20から約30μmの範囲の直径を有する微小球を使用することが望ましいので、急冷させ破壊されたガラスを乳鉢と乳棒を使用して、最初に約マイナス100メッシュ粒子に粉砕することが好ましい。続いて、マイナス100メッシュ材料を機械化された乳鉢および乳棒、またはボールミルを使用して400メッシュ篩を通過するまで粉砕される。この粒子を−400メッシュ粒子を気体/酸素炎に導入することにより、融解され、表面張力によって球状液滴が形成され、ガラス微小球が形成される。その球形が固体製品中で保持されるように、任意のソリッドオブジェクトに触れる前に、この液滴を急冷する。
【0047】
球状化処理直前に、−400のメッシュ粉末を400メッシュ篩によって再スクリーニングし、貯蔵中に生じる可能性のあるあらゆる大きな凝集物を除去する。その後、−400メッシュ粉末を気体/酸素バーナー上に位置する振動輸送装置に乗せる。落下する粉末粒子を気体/酸素バーナーの高温フレームへ直接誘導する垂直ガラス管内へゆっくり粉末を振動輸送される。使用されている特定のガラス成分の−400メッシュ粒子を溶融することができるバーナーであればいかなるものでもよい。記載された装置によるフレームへの粉末取り込みの一般的な速度は、5〜25gm/時間である。バーナーのフレームは、フレームから放出される際に小さなガラスビーズを捕獲する金属製の容器に向けられている。この容器は、バーナーの熱に耐えることができ、ガラスを汚染しない任意の金属で作製することができる。固い表面に衝突する前に溶融球体を冷却し固くなるように、この容器は十分に大きい必要がある。
【0048】
球状化処理の後、ガラス球を収集し、再度篩にかける。肝臓癌の治療に使用するための微小球の場合、ヒトの肝臓で使用する場合に好ましいサイズであるため、直径が30μm未満で20μmより大きい分画を回収する。スクリーニング後、−30/+20微小球を光学顕微鏡で検査し、続いて弱酸性溶液で洗浄し、濾過し、試薬用アセトンで数回洗浄する。さらに洗浄された球を空気中ですべての有機物を破壊するために500°〜600℃まで加熱炉中で2〜6時間加熱する。
【0049】
最終ステップは、球のサイズ範囲および形状を評価するために走査型電子顕微鏡で−30/+20球の代表試料を検査することである。非球状粒子の濃度と共に、過小球(直径で10μm未満)の量を判定する。球の組成はエネルギー分散X線分析によりチェックし、組成が正確であること、および化学汚染物の存在が認められないことを確認することができる。これ以降、このガラス微小球を照射し、続いて患者へ投与する準備が整う。
【0050】
放射性核種内用療法に使用されるポリマーベースの微小球は、溶剤蒸発技術により主として調製される。溶剤蒸発プロセスでは、ポリマーは適切な水に混和しない揮発性溶媒に溶解され、薬物はこのポリマー溶液中に分散または溶解させる。次に、得られた溶液または分散液は水性連続相を撹拌することにより乳化され、これにより孤立した液滴が形成される。微小球が形成されるためには、最初に有機溶剤を水相に拡散させ、次に、水/空気界面で蒸発させる必要がある。溶剤が蒸発するにつれてこの微小球が硬化し、適切な濾過および乾燥の後に遊離の流動性微小球を得ることができる。O’Donnell PB and McGinity JW.Preparation of microspheres by solvent evaporation technique.Adv.Drug Del.Rev.1997;28:25−42。
【0051】
微小球の投与
微小球は、カテーテルの使用により、単独または血管収縮薬と併用して、あるいは微小球が癌または腫瘍を有する組織に効果的に埋め込まれるような任意の投与手段により患者に投与される。米国特許第5,302,369号明細書を参照。投与目的のために、投与手順の間に微小球の懸濁液からの沈降を防止するため、微小球を十分な密度または粘性を有する媒体中に懸濁することが好ましい。現在、微小球懸濁のための好ましい液状賦形剤としては、GAF社によるPlasdoneK−30およびポビドンの商標名で市販されているポリビニルピロリドン(PVP)、Nyegard社、オスロ、ノルウェーによるメトリザマイドの商標名で市販されている造影剤、E.R.Squibb社によるRenografin76の商標名で市販されている造影剤、50%ブドウ糖溶液、および生理食塩水などがある。
【0052】
選択された放射性核種微小球の臨床用途
介入放射線医の技能の向上により、選択的放射性核種内用療法への関心が増大している。多くの種類の放射標識粒子および放射性核種は、肝臓、肺、舌、脾臓、および四肢の軟部組織などの器官中の種々の腫瘍の局所治療のために試験されている。この治療の目的は、できるだけ周囲組織の損傷を少なくすると共に腫瘍に高線量を送達するための適切な放射性(高いエネルギー性βエミッタ)粒子の超選択的な応用である。これらの新しい治療方法は、予後不良を伴うおよび肝臓の原発性および転移性悪性腫瘍などの他に適切な治療法のない癌において特に有望なものである。
【0053】
肝癌
原発性または転移性腫瘍を有する患者を、カテーテルまたは注射針による腫瘍内へのビーズの直接注入を介する放射線塞栓形成により治療した。Gray BN,Burton MA,Kelleher D,Klemp P and Matz L.Tolerance of the liver to the effects of yttrium−90 radiation.Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.1990;18:619−623、およびTian J−H,Xu B−X,Zhang J−M,Dong B−W,Liang P and Wang X−D.Ultrasoundguided internal radiotherapy using yttrium−90−glass microspheres for liver malignancies.J.Nucl.Med.1996;37:958−963。ほとんどの研究は、カテーテルによる患者へのチップを肝動脈に配置することによる微小球の投与について検討している。この球は、肝臓および腫瘍の微小血管系に最終的に取り込まれ、放射性同位元素の完全に減衰するまで残留する。99mTc標識巨大凝集アルブミンの注入し、続いて微小球を患者に投与した後、肺短絡形成率、および腫瘍対正常肝比率が測定された。Ho S.Lau WY,Leung TWT,Chan M,Chan KW,Lee WY,Johnson PJ and Li AKC.Tumour−to−normal ratio of 90Y microspheres in hepatic cancer assessed with 99mTc macroaggregated albumin.Brit.J.Rad.1997;70:823−828。腫瘍対正常肝比率はおよそ3−5であった。Yorke ED,Jackson A,Fox RA,Wessels BW and Gray N.Can current models explain the lack of liver complications in Y−90 microsphere therapy? Clin.Cancer Res.1999;5:3024s−3030s。いくつかの研究では、肝臓内の血流は、血管収縮薬の塊状注入により、一時的に腫瘍に優先して転送され、さらに続いて球により動脈循環内で塞栓が形成された。外部ビーム照射は30−35Gy以上の線量で放射線肝炎を引き起こすが、放射性核種内用療法を使用するとこの肝臓は80−150Gyまで許容することができる。Ingold J,Reed G,Kaplan H and Bagshaw M.Radiation hepatitis.Am.J.Roentgenol.Radium Ther.Nucl.Med.1965;93:200−208。寿命の延長、鎮痛緩解、腫瘍反応および全体的な臨床改善が頻繁に報告されている。
【0054】
頭頸部癌
100−450μmのエチルセルロース微小球による化学塞栓形成が顎腫瘍の治療に使用された。頭頸部癌の治療における動脈内の放射性同位元素治療の役割は、ウサギによるvan Esらの研究からちょうど始まった。Van Es RJJ,Franssen O,Dullens HFJ,Bernsen MR,Bosman F,Hennink WE and Slootweg PJ.The VX2 carcinoma in the rabbit auricle as an experimental model for intraarterial embolization of head neck squamous cell carcinoma with hydrogel dextran microspheres.Lab.Anim.1999;33:175−184。切除不能な頭頸部癌の治療のための微小球の最適サイズは、引き続き検討されている。頭頸部癌の治療におけるのいくつかの塞栓形成では100−450pmの粒子で実施されている。Tomura N,Kato K,Hirano H,Hirano Y and Watarai J.Chemoembolization of maxillary tumors via the superficial temporal artery using a coaxial catheter system.Radiation Med.1998;16:157。
【0055】
その他の癌
90Y微小球の動脈内投与が脾臓中で行なわれた。Ariel IM and Padula G.hradiation of the spleen by the intra−arterial administration of 90yttrium microspheres in patients with malignant lymphoma.Cancer 1972;31:90−96。リンパ肉腫を有する9名の患者のうち、5名は脾臓照射後、臨床的な反応を示さなかった。虚弱、急速な疲労、および食欲不振の病訴を示した1名の患者は、脾臓照射の後、全ての症状の緩和が見られた。
【0056】
定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付されている特許請求の範囲において使用された特定の用語を、ここで集約する。
【0057】
本明細書に使用される冠詞「1つの」および「1つの」は、記事の文法上の対象が1つまたは1つをこえること(すなわち少なくとも1つ)を意味する。実施例において、「1つの元素」は1つまたは1つをこえる元素を意味する。
【0058】
用語「放射性核種」は放射性同位体または元素を指す。
【0059】
用語「体内分布」は、所定の粒子の位置、または生体内中の粒子を指す。
【0060】
用語「微小球」は、実質的に球状で1ミリメートル未満の直径を有する物を指す。
【0061】
用語「ガラス」は、通常透明で、硬く、脆い、非晶質の無機物を指す。ガラスはWebster’s New World Dictionary.Ed.Guralnik,DB 1984に記載されるように、ソーダを含む溶融シリカでできていることが多い。
【0062】
語句「使用時間」は、微小球が患者または被験者に注入される期間を指す。
【0063】
本発明の目的において、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,67th Ed.,1986−87、内表紙に従って識別される。
【0064】
本発明の微小球
本発明の一態様は、ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料、治療β線−粒子を放射する第1の放射性同位元素、診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素から構成される微小球に関し、第1の放射性同位元素の原子番号は、第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。
【0065】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0066】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0067】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0068】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この材料がガラスおよびポリマーから成る群から選択される。
【0069】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この材料がガラスである。
【0070】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の直径が約5−75μmの範囲にある。
【0071】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の直径が約5−500μmの範囲にある。
【0072】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の直径が約10−100μmの範囲にある。
【0073】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の直径が約20−50μmの範囲にある。
【0074】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球が中実、中空、あるいは複数の中空セルを有する。
【0075】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球が中実または中空である。
【0076】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球が中実である。
【0077】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の密度が約1.0−4.0グラム/立方センチメートルの範囲にある。
【0078】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の密度が約1.0−3.0グラム/立方センチメートルの範囲にある。
【0079】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この微小球の密度が約1.0−2.0グラム/立方センチメートルの範囲にある。
【0080】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、哺乳動物生理学的条件下において、この第1の放射性同位元素がこの微小球から約3%をよりも大きな範囲まで浸出せず、哺乳動物生理学的条件下において、この第2の放射性同位元素がこの微小球から約3%よりも大きな範囲まで浸出しない。
【0081】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、哺乳動物生理学的条件下において、この第1の放射性同位元素がこの微小球から約1%より大きな範囲まで浸出しせず、哺乳動物生理学的条件下において、この第2の放射性同位元素がこの微小球から約1%より大きな範囲まで浸出しない。
【0082】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pである。
【0083】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素が90Yである。
【0084】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この第2の放射性同位元素が198Auである。
【0085】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pであり、この第2の放射性同位元素が198Auである。
【0086】
ある実施形態において、本発明は前述の微小球および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素が90Yであり、この第2の放射性同位元素が198Auである。
【0087】
本発明の方法
本発明は、放射性微小球を調製する方法にさらに関し、
第1の放射性同位元素の非放射性前駆物質、第2の放射性同位元素の非放射性前駆物質、およびガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料を併用し、混合物を形成するステップであって、第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではなく、
この混合物からの微小球を製造するステップと、
中性子によりこの微小球を衝撃するステップとを有する。
【0088】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この材料はガラスであり、第1の放射性同位元素の非放射性前駆物質がYであり、さらに第2の放射性同位元素の非放射性前駆物質がAuである。
【0089】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0090】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0091】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0092】
本発明の別の態様は、医学的状態を有する哺乳動物を治療する方法に関連し、
この哺乳動物に、ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料、治療的β線粒子を放射する最初の放射性同位元素、および診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素を各々を含む放射性微小球の治療的有効量を投与するステップであって、第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない。
【0093】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、使用時の第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0094】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、使用時の第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0095】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、使用時の第1の放射性同位元素に対する第2の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある。
【0096】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この材料がガラスである。
【0097】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素は90Yまたは32Pである。
【0098】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この第1の放射性同位元素が90Yである。
【0099】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この第2の放射性同位元素が198Auである。
【0100】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この材料がガラスであり、第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pであり、かつ第2の放射性同位元素が198Auである。
【0101】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この材料がガラスであり、第1の放射性同位元素が90Yであり、かつ第2の放射性同位元素が198Auである。
【0102】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この微小球はカテーテルまたはシリンジを使用して投与される。
【0103】
ある実施形態において、本発明は前述の方法および付随する定義に関し、この微小球はカテーテルを使用して投与される。
【実施例】
【0104】
実施例
ここで広く記載されている本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されると予想されるが、これは本発明のある態様および実施形態の説明ために単に含まれるもので、本発明を限定するためのものではない。
【0105】
実施例1
89Yを含むガラス微小球に必要な最適量の197Auの計算
実験計画
本事例では、微小球がγ線カメラによって検出できるように、90Yを含むガラス微小球を十分な量の198Auで標識するものとする。この実施例の目的では、微小球は金化合物の存在を除いて市販のTheraspheres(40重量%Y、または31%Y)と同一組成物である。このプロセスは、安定同位体Y89およびAu197を含む中性子活性化ガラス微小球によって行なわれる。この実施例において、中性子束からの試料除去時の所望の放射能がガラス微小球50mg当たりY90で100mCiおよびAu197で1μCiである場合に、必要な初期Au198の量を計算する。Y89およびAu197における中性子捕獲断面積は、それぞれ1.3バーンおよび98.8バーンであり、Y90およびAu198における減衰定数は、それぞれ3.01×10−6−1および2.98×10−6−1である。もし中性子束が1×1014cm−2−1ならば、式4から計算される中性子捕獲定数は、Y89では1.3×10−10−1、Au197では9.88×10−9−1である。両元素では良好な近似に対して、減衰定数と比較すると中性子捕獲定数は無視できる。この状況下では、さらに中性子活性化時間(t)が約5×10s未満である限り、約5%以内まで式6は式8により近似される。
【0106】
【数8】

式8を使用して、50mgのガラス微小球(0.174mmolのY)を100mCiの放射能まで活性化するには約1.05×10sを必要とすると推定した。AuおよびY同位元素の値を式8に代入し、比をとり、減衰定数がほとんど同一であることに着目すると、安定同位体の最初の量の比率に対する放射能の比率を現す最終方程式が得られる。
【0107】
【数9】

本実施例においては、式9の中の所望の放射能値を代入することにより、イットリウムに対する金の開始モル比が得られる。
Au197/Y89=1.32×10−7(モル比)=2.92×10−7(質量比)
重量31%Yであるガラス組成物では、金の必要量は最終的に91ppbと計算される。
【0108】
実施例2
この実施例では、13重量%のY(または10%Y)を含むガラス組成物を想定し、ガラス微小球50mg当たりY90では100mCi、およびAu198では10μCiの放射能を要する。その他の量は実施例1と同様である。同様の計算では、ガラスは金291ppbを含むはずであり、6.10×10sの中性子活性化時間を必要とすることを示した。同様の計算を、これらの元素の他の比率、あるいは任意の比率の他の元素の組み合わせについても行った。
【0109】
実施例3
ガラスビーズの調製
ガラス微小球を調製するための手順は、以前に報告されている。米国特許第5,302,369号明細書を参照。これらの調製では、Si、Al、K、Mg、Al、Pb、およびPの種々の組成物のガラスが試薬用化学薬品を使用して調製された。ガラス収量50グラムバッチをおよその温度で電気炉内で、白金るつぼ中で溶融した。代表的な溶融サイクルは、1000℃でバッチ添加のため3時間必要とした。さらに近似の溶融温度で溶解物を3〜4時間精製する。溶融物を含むるつぼを水で25℃に冷却し、得られたガラスフリットをるつぼから破壊した後、−100メッシュまで粉砕した。続いて、表面張力により溶融した粒子が引っ張られて球状になるように、−100メッシュガラス粉末を振動スパーテルにより酸素/プロパン炎中にかざした。球状微粒子の最も高い分画が生成するように、酸素およびプロパンの流量を各ガラス成分について調整した。球状化処理の後、この微小球を脱イオン水で湿式スクリーニングし、アセトンで濯いだ後、乾燥させた。
【0110】
参照による引用
本明細書に引用された全ての特許および出版物は、参照によって引用されている。
【0111】
等価物
当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を通常の実験法の範囲内で認識するかあるいは確かめることができるであろう。このような等価物は以下の請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料;治療β線粒子を放射する第1の放射性同位元素;および診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素を含む微小球であって、該第1の放射性同位元素の原子番号は、該第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない、微小球。
【請求項2】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項3】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項4】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項5】
前記材料がガラスおよびポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の微小球。
【請求項6】
前記材料がガラスである、請求項1に記載の微小球。
【請求項7】
前記微小球の直径が約5〜75μmの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項8】
前記微小球の直径が約5〜500μmの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項9】
前記微小球の直径が約10〜100μmの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項10】
前記微小球の直径が約20〜50μmの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項11】
前記微小球が中実または中空であるか、あるいは複数の中空セルを含む、請求項1に記載の微小球。
【請求項12】
前記微小球が中実、または中空である、請求項1に記載の微小球。
【請求項13】
前記微小球が中実である、請求項1に記載の微小球。
【請求項14】
前記微小球の密度が約1.0〜4.0グラム/立方センチメートルの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項15】
前記微小球の密度が約1.0〜3.0グラム/立方センチメートルの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項16】
前記微小球の密度が約1.0〜2.0グラム/立方センチメートルの範囲にある、請求項1に記載の微小球。
【請求項17】
哺乳動物の生理学的条件下において、前記第1の放射性同位元素が前記微小球から約3%を超えて浸出することがなく、哺乳動物の生理学的条件下において、前記第2の放射性同位元素が該微小球から約3%を超えて浸出することがない、請求項1に記載の微小球。
【請求項18】
哺乳動物の生理学的条件下において、前記第1の放射性同位元素が前記微小球から約1%を超えて浸出することがなく、哺乳動物の生理学的条件下において、前記第2の放射性同位元素が該微小球から約1%を超えて浸出することがない、請求項1に記載の微小球。
【請求項19】
前記第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微小球。
【請求項20】
前記第1の放射性同位元素が90Yである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微小球。
【請求項21】
前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微小球。
【請求項22】
前記第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pであり、前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微小球。
【請求項23】
前記第1の放射性同位元素が90Yであり、前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微小球。
【請求項24】
放射性微小球を調製する方法であって、
第1の放射性同位元素の非放射性前駆物質、第2の放射性同位元素の非放射性前駆物質、およびガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料を組み合わせて、混合物を形成する工程であって、該第1の放射性同位元素の原子番号は第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない工程と、
該混合物から微小球を製造する工程と、
該微小球を中性子照射する工程と
を包含する、方法。
【請求項25】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素のの放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素のの放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素のの放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記材料がガラスであり、第1の放射性同位元素の前記非放射性前駆物質がYであり、第2の放射性同位元素の前記非放射性前駆物質がAuである、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
医学的状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、
該哺乳動物に放射性微小球の治癒的有効量を投与する工程を包含し、該微小球はそれぞれ、ガラス、ポリマー、および樹脂から成る群から選択される材料;治療的β線粒子を放射する第1の放射性同位元素;および診断用γ線を放射する第2の放射性同位元素を含み、該第1の放射性同位元素の原子番号は該第2の放射性同位元素の原子番号と同一ではない、方法。
【請求項30】
前記微小球がカテーテルまたはシリンジを使用して投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記微小球がカテーテルを使用して投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の放射性同位元素:前記第1の放射性同位元素の放射能の比率が約1:10から約1:10の範囲にある、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記材料がガラスである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の放射性同位元素は90Yまたは32Pである、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の放射性同位元素は90Yである請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の放射性同位元素が90Yまたは32Pであり、前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の放射性同位元素が90Yであり、前記第2の放射性同位元素が198Auである、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−522123(P2006−522123A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509240(P2006−509240)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007061
【国際公開番号】WO2005/035005
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(505361990)バイオスフィア メディカル, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】