説明

治療組成物および関連する使用方法

ピルビン酸キナーゼM2(PKM2)を調節する化合物を含む組成物を、本明細書において説明する。また、癌の処置において、PKM2を調節する化合物を使用する方法を、本明細書において説明する。本発明の化合物を含む組成物および薬学的キット、ならびに、例えば、癌、糖尿病、肥満、自己免疫疾患、および良性前立腺過形成(BPH)を含む、ピルビン酸キナーゼ機能(例えば、PKM2機能)に関連する疾患および病態を処置する方法における、そのような組成物およびキットの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2009年6月29日に出願された米国特許出願第61/221,406号からの優先権を主張するものであり、その全体として、参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
癌細胞は、細胞エネルギー、ならびに脂質およびヌクレオチドの生合成のための生化学的中間体を生成するために、主として解糖に依存しており、一方成人組織内の「正常」細胞の大部分は、好気呼吸を利用する。ワールブルグ効果と呼ばれる癌細胞と正常細胞との間の細胞代謝におけるこの根本的な差異は、診断目的で利用されているが、まだ治療上の利益のためには利用されていない。
【0003】
ピルビン酸キナーゼ(PK)は、解糖中にホスホエノールピルビン酸をピルビン酸塩に変換する代謝酵素である。哺乳動物においては、4つのPKアイソフォームが存在し、LおよびRアイソフォームは、肝臓および赤血球に発現し、M1アイソフォームは、ほとんどの成人組織に発現し、M2アイソフォームは、胚発生中に発現するM1のスプライス変異である。全ての腫瘍細胞は、胚期M2アイソフォームのみを発現する。PKのM1アイソフォームとM2アイソフォームとの間の公知の差異は、M2が、上流解糖中間体、フルクトース−1,6−ビスホスフェート(FBP)によるアロステリック活性化に依存する低活性酵素であり、一方、M1は構成的に活性な酵素である、という点である。
【0004】
全ての腫瘍細胞は、ピルビン酸キナーゼの胚期M2アイソフォームのみを発現するが、これは癌治療のための潜在的な標的としてのPKM2を示唆している。PKM2はまた、脂肪組織および活性化T細胞に発現する。したがって、PKM2の調節は、例えば肥満、糖尿病、自己免疫病態、および増殖依存性疾患、例えば良性前立腺過形成(BPH)の処置において効果的であり得る。ピルビン酸キナーゼの現在の調節剤は選択的ではなく、ピルビン酸キナーゼ機能に関連した疾患の処置が困難となっている。
【0005】
さらに、PKM2に対するホスホチロシンペプチド結合は、PKM2からのFBPの解離、および活性な四量体形態から不活性形態へのPKM2の立体配座変化をもたらす。活性立体配座において、PKM2に結合し、酵素を固定する化合物は、解糖からヌクレオチドおよび脂質の生合成への、生化学的中間体のシャントに必要なPKM2のアロステリック制御の喪失をもたらす。したがって、PKM2の活性化(即ち、PKM2の活性化剤)はまた、癌細胞、活性化免疫細胞、および脂肪細胞の成長および増殖を阻害し得る。
【0006】
癌、糖尿病、肥満、自己免疫病態、増殖依存性疾患(例えば、BPH)、およびピルビン酸キナーゼ(例えば、PKM2)の機能に関連する他の疾患といった疾患の新規の処置に対する必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ピルビン酸キナーゼM2(PKM2)を調節する化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および水和物、例えばPKM2を活性化する化合物を、本明細書において説明する。本発明の化合物を含む組成物および薬学的キット、ならびに、例えば、癌、糖尿病、肥満、自己免疫疾患、および良性前立腺過形成(BPH)を含む、ピルビン酸キナーゼ機能(例えば、PKM2機能)に関連する疾患および病態を処置する方法における、そのような組成物およびキットの使用を提供する。
【0008】
一態様において、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を特徴とする。
【化1】

(式中、
mは、0、1、または2であり、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、アルキレニル、シクロアルキレニル、または結合であり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
は、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、および−ORから選択され、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、および任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである)
【0009】
別の態様において、本明細書において説明される障害(例えば、癌)を処置または予防する(例えば、処置する)方法であって、対象に、式(I)の化合物(式中、m、n、X、R、R、R、R、およびRは、上に定義されるとおりである)を投与することを含む方法を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、それを必要とする患者において、PKM2活性および/または解糖のレベルを調節する(例えば、増加させる)(例えば、患者において、細胞の内因性の能力を調節してPKM2を下方調整する)方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、効果的な量の本明細書において説明される化合物を投与し、それにより患者におけるPKM2活性および/または解糖のレベルを調節する(例えば、増加させる)ステップを含む。一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物または組成物は、患者において、グルコース代謝産物を同化プロセスではなく異化プロセスに転換するための手段として、PKM2をその活性立体配座に維持する、またはピルビン酸キナーゼ活性を増殖細胞において活性化させるように使用される。
【0011】
別の態様において、それを必要とする患者において、細胞増殖を阻害する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、効果的な量の本明細書において説明される化合物を投与し、それにより患者における細胞増殖を阻害するステップを含む。例えば、この方法は、形質転換細胞、例えば癌細胞の成長を阻害することができるか、または一般的には、好気的解糖を受けるPKM2依存性細胞の成長を阻害することができる。
【0012】
別の態様において、本発明は、それを必要とする患者において、PKM2の機能に関連する疾患または障害に罹患した、またはそれを生じやすい患者を処置する方法を特徴とする。本方法は、それを必要とする患者に、効果的な量の本明細書において説明される化合物を投与し、それにより患者における疾患または障害を処置、予防、または改善するステップを含む。別の実施形態において、調節剤は、薬学的組成物において提供される。
【0013】
別の実施形態において、本方法は、PKM2の調節(例えば、活性化)から利益を得る患者を識別または選択することを含む。例えば、患者は、PKM2機能に関連する癌の処置のために、患者の細胞におけるPKM2活性のレベルに基づいて識別することができる。別の実施形態において、選択される患者は、本明細書において識別された障害または疾患、例えば、望ましくない細胞成長または増殖により特徴付けられる障害、例えば、癌、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化、再狭窄、および自己免疫疾患に罹患している、またはそれを生じやすい患者である。
【0014】
別の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、乳酸塩産生または酸化的リン酸化を増加させるのに十分な用量および頻度で投与される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明に記載される、または図面において例解される、構成要素の構造および配置の詳細は、制限を意味しない。実施形態は、種々の方法で実践または実行することができる。また、本明細書において使用される語法および用語は、説明を目的としており、制限として解釈されるべきではない。本明細書における、「含む」、「備える」、または「有する」、「含有する」、「関与する」、およびこれらの変化形の使用は、それ以降に列記される項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の任意のラジカルを指す。
【0016】
「アルキル」という用語は、示された数の炭素原子を含有する、直鎖であっても分岐鎖であってもよい炭化水素鎖を指す。例えば、C−C12アルキルは、基が、1個から12個(これらを含む)の炭素原子をそれに有し得ることを示す。「ハロアルキル」という用語は、1個以上の水素原子がハロによって置き換えられているアルキルを指し、全ての水素がハロによって置き換えられているアルキル部分(例えば、ペルフルオロアルキル)を含む。「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、アルキル水素原子がアリール基によって置き換えられているアルキル部分を指す。アラルキルは、2個以上の水素原子がアリール基によって置き換えられている基を含む。「アリールアルキル」または「アラルキル」の例としては、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、9−フルオレニル、ベンズヒドリル、およびトリチル基が挙げられる。「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキル水素原子がアリール基によって置き換えられているアルキル部分を指す。ヘテロアラルキルは、2個以上の水素原子がヘテロアリール基によって置き換えられている基を含む。「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」の例としては、メチル−3−ピリジル、およびメチル−2−ピリジルが挙げられる。
【0017】
「アルキレン」という用語は、二価アルキル、例えば、−CH−、−CHCH−、および−CHCHCH−を指す。
【0018】
「アルケニル」という用語は、2〜12個の炭素原子を含有し、1つ以上の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例としては、アリル、プロペニル、2−ブテニル、3−ヘキセニル、および3−オクテニル基が挙げられるが、これらに限定されない。二重結合炭素の1つは、任意に、アルケニル置換基の結合点であってもよい。「アルキニル」という用語は、2〜12個の炭素原子を含有し、1つ以上の三重結合を有することを特徴とする直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロパルギル、および3−ヘキシニルが挙げられるが、これらに限定されない。三重結合炭素の1つは、任意に、アルキニル置換基の結合点であってもよい。
【0019】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ−NH(アルキル)、および−NH(アルキル)ラジカルを指す。「アラルキルアミノ」という用語は、−NH(アラルキル)ラジカルを指す。アルキルアミノアルキルという用語は、(アルキル)NH−アルキル−ラジカルを指し、ジアルキルアミノアルキルという用語は、(アルキル)N−アルキル−ラジカルを指す。「アルコキシ」という用語は、−O−アルキルラジカルを指す。「メルカプト」という用語は、SHラジカルを指す。「チオアルコキシ」という用語は、−S−アルキルラジカルを指す。「チオアリールオキシ」という用語は、−S−アリールラジカルを指す。
【0020】
「アリール」という用語は、芳香族単環式、二環式、または三環式炭化水素環系を指し、置換可能な任意の環原子が(例えば、1個以上の置換基によって)置換され得る。アリール部分の例としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、3個から12個の炭素を有する、飽和環式、二環式、三環式、または多環式炭化水素基を含む。任意の環原子が(例えば、1個以上の置換基によって)置換され得る。シクロアルキル基は、融合環を含有し得る。融合環は、共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル部分の例としては、シクロプロピル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、アダマンチル、およびノルボルニルが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレニル」という用語は、二価シクロアルキルを指す。
【0022】
「ヘテロシクリル」または「複素環基」という用語は、環構造が、O、N、およびSから独立して選択される、1個から4個のヘテロ原子を含む、3員から14員の非芳香環構造(例えば、3員から10員環、より好ましくは3員から7員環)を指す。ヘテロシクリルまたは複素環基は、縮合またはスピロ環を含有し得る。複素環はまた、各基が例えば、5〜7環員を有する、多環であり得る。「ヘテロシクリル」または「複素環基」という用語は、飽和、および部分飽和ヘテロシクリル構造を含む。「ヘテロアリール」という用語は、単環式の場合、1〜3個の環ヘテロ原子、二環式の場合、1〜6個の環ヘテロ原子、または三環式の場合、1〜9個の環ヘテロ原子を有する、5〜14員(即ち、5〜8員単環式、8〜12員二環式、もしくは11〜14員三環式)芳香環系を指し、前記環ヘテロ原子は、独立して、O、N、およびSから選択される(例えば、単環式、二環式、もしくは三環式の場合、それぞれ、N、O、もしくはSの1〜3、1〜6、もしくは1〜9個の環ヘテロ原子)。任意の置換可能な環原子が(例えば、1個以上の置換基によって)置換され得る。ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基としては、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンといったラクタム、スルタム、スルトン等が挙げられる。複素環またはヘテロアリール環は、1つ以上の位置において、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF、−CN等といった、本明細書において説明される置換基で、置換され得る。
【0023】
「シクロアルケニル」という用語は、5個から12個の炭素、好ましくは5個から8個の炭素を有する、部分不飽和非芳香族環式、二環式、三環式、または多環式炭化水素基を指す。不飽和炭素は、任意に、シクロアルケニル置換基の結合点であってもよい。任意の環原子が(例えば、1個以上の置換基によって)置換され得る。シクロアルケニル基は、融合またはスピロ環を含有し得る。融合環は、共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルケニル部分の例としては、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、またはノルボルネニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、単環式の場合1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合1〜6個のへテロ原子、または三環式の場合1〜9個のヘテロ原子を有する、部分飽和非芳香族5〜10員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、前記ヘテロ原子は、独立して、N、O、またはSから選択される(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ、N、O、またはSの1〜3個、1〜6個、または1〜9個のヘテロ原子)。不飽和炭素またはヘテロ原子は、任意に、ヘテロシクロアルケニル置換基の結合点であってもよい。任意の環原子が(例えば、1個以上の置換基によって)置換され得る。ヘテロシクロアルケニル基は、融合環を含有し得る。融合環は、共通の炭素原子を共有する環である。ヘテロシクロアルケニルの例としては、テトラヒドロピリジルおよびジヒドロピラニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を指す。本明細書において提供される化合物の環ヘテロ原子は、N−O、S(O)、またはS(O)の形態である。
【0026】
「オキソ」という用語は、炭素に結合した場合はカルボニル、窒素に結合した場合はN−オキシド、および硫黄に結合した場合はスルホキシドまたはスルホンを形成する酸素原子を指す。
【0027】
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、そのいずれも(例えば、1個以上の置換基によって)さらに置換されていてもよい。
【0028】
「置換基」という用語は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリール基上で、その基の任意の置換可能な原子において「置換」された基を指す。任意の置換可能な原子が置換され得る。別途指定がない限り、そのような置換基としては、制限されることなく、アルキル(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12直鎖または分岐鎖アルキル)、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、CF等のペルフルオロアルキル)、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ(例えば、OCF等のペルフルオロアルコキシ)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシレート、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、SOH、サルフェート、ホスフェート、メチレンジオキシ(−O−CH−O−(式中、酸素は隣接原子に結合している)、エチレンジオキシ、オキソ、チオキソ(例えば、C=S)、イミノ(アルキル、アリール、アラルキル)、S(O)アルキル(nは、0〜2である)、S(O)アリール(式中、nは、0〜2である)、S(O)ヘテロアリール(式中、nは、0〜2である)、S(O)ヘテロシクリル(式中、nは、0〜2である)、アミン(モノ−、ジ−、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せ)、エステル(アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール)、アミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せ)、スルホンアミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、およびこれらの組合せ)が挙げられる。一態様において、基上の置換基は、独立して、任意の単一の上記置換基、または任意の上記置換基の部分集合である。別の態様において、置換基は、それ自体、上記置換基のいずれか1つで置換されてもよい。
【0029】
「選択的」という用語は、PKM2の調節(例えば、活性化)が、PKM1を少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、または10倍上回ることを意味する。
「活性化剤」という用語は、本明細書において使用される場合、ピルビン酸キナーゼ(例えば、PKM2)の活性を(ある程度まで)増加させる、またはピルビン酸キナーゼ(例えば、PKM2)活性を、PKM2の基礎活性レベルを上回るレベルに増加させる薬剤を意味する。例えば、活性化剤は、天然リガンド(例えば、FBP)によりもたらされる作用を模倣し得る。本明細書において提供される化合物によってもたらされる活性化剤作用は、天然リガンドによってもたらされる活性化作用と同じ程度、またはそれを上回る程度、またはそれを下回る程度となり得るが、同じ種類の作用がもたらされる。本明細書において提供される化合物は、前記化合物に供された時のピルビン酸キナーゼの活性を直接的または間接的に測定することによって、それが活性化剤であるかどうかを判断するために評価することができる。本明細書において提供される化合物の活性は、例えば、対照物質に対して、測定することができる。一部の例において、試験化合物の測定される活性は、PKM2の活性化に対するものである。PKM2の活性は、例えば、ATPまたはNADHといった基質の濃度を監視することにより測定することができる。
【0030】
化合物
本明細書において、PKM2を調節する、例えば、PKM2を活性化させる化合物および組成物を説明する。PKM2を調節する、例えば、PKM2を活性化させる化合物は、腫瘍性障害(例えば、癌)または脂肪関連障害(例えば、肥満)といった障害を処置するために使用することができる。例示的な化合物としては、本明細書において説明される、式Iの化合物が挙げられる。
【化2】

【0031】
一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたアルキル(例えば、メチルまたはt−ブチル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)である。
【0032】
一部の実施形態において、Rは、アリール(例えば、単環式アリールまたは二環式アリール)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された単環式アラルキル(例えば、ベンジルまたはメチルピリジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたナフチルである。一部の実施形態において、Rは、フェニルである。一部の実施形態において、Rは、ナフチルである。
【0033】
一部の実施形態において、Rは、ヘテロアリール(例えば、単環式N含有ヘテロアリールまたは二環式N含有ヘテロアリール)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された単環式5〜8員ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、またはイミダゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された6〜12員二環式ヘテロアリール(例えば、キノリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、または4−ピリジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリミジル(例えば、2−ピリジミル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピラジル(例えば、2−ピラジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたオキサゾリル(例えば、4−オキサゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたチアゾリル(例えば、4−チアゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたイミダゾリル(例えば、4−イミダゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたトリアゾリル(例えば、4−トリアゾリル)である。
【0034】
一部の実施形態において、mは0である。
【0035】
一部の実施形態において、nは0である。一部の実施形態において、Xは酸素(O)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された直鎖または分岐鎖C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、もしくはt−ブチル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたベンジルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたメチル−3−ピリジル)である。一部の実施形態において、Xは結合である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたシクロヘキシルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルである。一部の実施形態において、Xはシクロアルキレニル(例えば、シクロプロピレニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニル(例えば、フェニルまたは4−トリフルオロフェニル)である。
【0036】
一部の実施形態において、nは1である。一部の実施形態において、Xは酸素(O)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニル(例えば、フェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、4−フルオロフェニル、または2,4−ジクロロフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリジル(例えば、3−ピリジル)である。一部の実施形態において、Rは、ヘテロアリールで任意に置換されたフェニル(例えば、4−テトラゾリルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたベンジルである。一部の実施形態において、XはNRである。一部の実施形態において、Rは、水素(H)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたアルキル(例えば、メチル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルである。一部の実施形態において、Xは結合である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニル(例えば、2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、または4−トリフルオロメチルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたシクロプロピルである。一部の実施形態において、Xは硫黄(S)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニル(例えば、フェニルまたは4−メチルフェニル)である。
【0037】
一部の実施形態において、nは2である。一部の実施形態において、Xは結合である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニル(例えば、フェニルまたは4−トリフルオロメチルフェニル)である。
【0038】
一部の実施形態において、Rは、アリール(例えば、単環式アリールまたは二環式アリール)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたナフチルである。一部の実施形態において、Rは、ナフチル(1−ナフチルまたは2−ナフチル)である。
【0039】
一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたヘテロアリール(例えば、単環式N含有ヘテロアリールまたは二環式N含有ヘテロアリール)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された5〜8員単環式ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジル、またはピロリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換された6〜12員二環式ヘテロアリール(例えば、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ピロロピリジル、ベンズイミダゾリル、またはベンズチアゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、または4−ピリジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリミジル(例えば、2−ピリミジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたキノリル(例えば、8−キノリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたイソキノリルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたキナゾリニル(例えば、2−キナゾリニル、または7−キナゾリニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたキノキサリニル(例えば、2−キノキサリニル、6−キノキサリニル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたシンノリニル(例えば、7−シノリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたインドリル(例えば、6−インドリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたベンズオキサゾリル(例えば、5−ベンズオキサゾリル、6−ベンズオキサゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピロロピリジル(例えば、5−ピロロピリジル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたベンズイミダゾリル(例えば、6−ベンズイミダゾリル)である。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたベンズチアゾリル(例えば、5−ベンズチアゾリル、6−ベンズチアゾリル)である。
【0040】
一部の実施形態において、Rは、非置換ナフチルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルである。一部の実施形態において、Rは、ハロで置換されたフェニル(例えば、3,5−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、または4−フルオロフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、ハロアルキルで置換されたフェニル(例えば、3−トリフルオロメチルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、ハロアルキルで二置換されたフェニル(例えば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)である。一部の実施形態において、Rは、1つのハロおよび1つのアルコキシで置換されたフェニル(例えば、2−メトキシ−5−クロロフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、1つのハロアルキルおよび1つのハロで置換されたフェニル(例えば、3−ブロモ−5−トリフルオロメチルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、1つのハロアルキルおよび1つのシクロアルキルで置換されたフェニル(例えば、3−シクロプロピル−5−トリフルオロメチルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、1つのハロアルキルおよび1つのアシル基で置換されたフェニル(例えば、3−トリフルオロメチル−5−メトキシカルボニルフェニル)である。一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になる時、任意に置換された環を形成する。一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になって、5〜6員複素環を形成する。一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の構造を形成する。
【化3】

【0041】
一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の構造を形成する。
【化4】

【0042】
一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の構造を形成する。
【化5】

【0043】
一部の実施形態において、Rは、二置換フェニルであり、2つの置換基が、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の構造を形成する。
【化6】

【0044】
一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピロリルである。一部の実施形態において、Rは、任意に置換されたピリミジルで置換されたピロリル(例えば、3−トリフルオロメチル−6−クロロ−2−ピリジミジル)である。
【0045】
一部の実施形態において、Rは、N含有単環式ヘテロアリールであり、mは0であり、nは1であり、XはOであり、Rは、任意に置換されたアリールである。
【0046】
一部の実施形態において、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化7】

式中、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、またはシクロアルキレニルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択さるが、ただし、nが0であり、XがOである時、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択されことを条件とし、
は、二環式ヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである。
【0047】
一部の実施形態(例えば、式I、II、II−a、III、またはIVの)において、Rは、H、CH、またはCHCHである。一部の実施形態(例えば、式I、II、II−a、III、またはIV)において、シクロアルキレニルは、シクロプロピレニルである。
【0048】
一部の実施形態において、式(II−a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化8】

式中、X、R、およびRは、式(II)で定義されるとおりである。
【0049】
一部の実施形態において、式(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化9】

式中、
XがS、NR、またはシクロアルキレニルである時、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
XがOである時、Rは、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである。
【0050】
一部の実施形態において、式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化10】

式中、
nが0である時、XはS、NR、またはシクロアルキレニルであり、
nが1または2である時、XはOであり、XはS、NR、またはシクロアルキレニルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである。
【0051】
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、FBP結合ポケットと相互作用する(例えば結合する)ことにより、PKM2を調節する。例えば、本明細書において説明される化合物は、PKM2においてFBP結合と競合し得る。
【0052】
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、本明細書において説明される1つ以上の特性、例えば、以下の特性のうちの1つ以上を有する:アロステリック調節剤(例えば、活性化剤)である;FBPの遊離を調節する(例えば、促進する);FBPの調節剤(例えば、作動薬)、例えば、FBPよりも低い、それとほぼ同じ、またはそれより高い親和性で結合する作動薬である;四量体PKM2の溶解を調節する(例えば、促進する);四量体PKM2の集合を調節する(例えば、促進する);PKの少なくとも1つの他のアイソフォームよりも選択的にPKM2を調節する(例えば、活性化する)、例えば、PKR、PKM1、またはPKLよりもPKM2選択的である;PKの少なくとも1つの他のアイソフォーム、例えば、PKR、PKM1、またはPKLに対する親和性を上回るPKM2に対する親和性を有する。
【0053】
別の実施形態において、本発明の方法および組成物に利用されるPKM2の活性化剤は、以下の機構または特性のうちの1つ以上により作用する、またはそれを有する:
a.PKM2のアロステリック調節剤である;
b.PKM2の結合ポケットにおけるFBPの結合を調節する(例えば、安定化させる);
c.PKM2の結合ポケットからのFBPの遊離を調節する(例えば、促進する);
d.FBPの調節剤(例えば、作動薬)、例えば、類似体、例えば、FBPよりも低い、それとほぼ同じ、またはそれよりも高い親和性でPKM2に結合する作動薬である;
e.四量体PKM2の溶解を調節する(例えば、促進する);
f.四量体PKM2の集合を調節する(例えば、促進する);
g.PKM2の四量体立体構造を調節する(例えば、安定化させる);
h.ホスホチロシン含有ポリペプチドのPKM2への結合を調節する(例えば、促進する);
i.例えば、PKM2の立体構造、例えばLys 433の位置の変化を誘導し、それによりFBPの遊離を妨害することによって、PKM2からのFBPの遊離を誘導するように、ホスホチロシン含有ポリペプチドの能力を調節する(例えば、促進する);
k.Lys 433に結合するか、またはFBP結合ポケットに対するその位置を変化させる;
l.PKの少なくとも1つの他のアイソフォームよりも選択的にPKM2を調節する(例えば、活性化させる)、例えば、PKR、PKM1、またはPKLのうちの1つ以上よりもPKM2に対して選択的である;
m.PKの少なくとも1つの他のアイソフォーム、例えば、PKR、PKM1、またはPKLに対する親和性を上回るPKM2に対する親和性を有する。
【0054】
本明細書において説明される化合物は、PKM2の活性化剤であってもよい。例示的な化合物を、表1に示す。表1に示されるように、Aは、EC50<10μMであるPKM2の活性化剤を指す。Bは、EC50が10μM〜100μMであるPKM2の活性化剤を指す。Cは、100μMを上回るEC50であるPKM2の活性化剤を指す。
【0055】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【0056】
本明細書において説明される化合物は、様々な合成技術を使用して作製することができる。
スキーム1
【化11−1】

【0057】
上のスキーム1は、本明細書において説明される、ある化合物の代表的な合成を描写する、例示的な合成順序である。Boc保護ピペラジン1を、標準的なカップリング条件下で、適切なスルホニルクロリドと反応させて、部分2が得られる。2におけるBoc基の脱保護は、酸性条件下での反応によって達成され、ピペラジン3が得られる。標準的なカップリング条件下での適切な酸塩化物との3のカップリングにより、その後、標的分子4が得られた。
【0058】
当業者によって理解することができるように、本明細書における式の化合物を合成する方法は、当業者にとって明白であろう。さらに、種々の合成ステップを、所望の化合物を得るように、代替の順序または順番で行うことができる。本明細書において説明される化合物を合成する際に有用な、合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は、当該技術分野において既知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989)、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991)、L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994)、およびL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、ならびにこれらの後続版において説明されるもの等が挙げられる。
【0059】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し得、したがって、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の光学異性体、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として生じ得る。これらの化合物の全てのそのような異性体は、明示的に範囲に含まれる。別途指示が無い限り、化合物が挙げられる、または立体化学を特定することなく、ある構造によって描写され、1つ以上の不斉中心を有する時、化合物の全ての可能な立体異性体を表すことが理解されるものとする。本発明の化合物はまた、結合回転を制限(例えば、環または二重結合の存在から制限がもたらされる)し得る連結(例えば、炭素環結合)または置換基を含有してもよい。したがって、全てのシス/トランスおよびE/Z異性体が、本発明に明示的に含まれる。
【0060】
本明細書において提供される化合物(例えば、式Iの)はまた、1つ以上の同位体置換を含むことができる。例えば、Hは、H、H(Dまたはジュウテリウム)、およびH(Tまたはトリチウム)を含む、任意の同位体形態としてもよく、Cは、12C、13C、および14Cを含む、任意の同位体形態としてもよく、Oは、16Oおよび18Oを含む、任意の同位体形態としてもよい等である。
【0061】
本発明の化合物はまた、複数の互変異性体として表現することができ、そのような場合、本発明は、単一の互変異性体が表現され得るとしても、本明細書において説明される化合物の全ての互変異生体を明示的に含む(例えば、環系のアルキル化は、複数の部位でのアルキル化をもたらすことができ、本発明は全てのそのような反応生成物を明示的に含む)。そのような化合物の全てのそのような異性体は、本発明に明示的に含まれる。本明細書において説明される化合物の全ての結晶形態は、本発明に明示的に含まれる。
【0062】
本発明の化合物は、その化合物自体だけでなく、該当する場合には、その塩およびそのプロドラッグを含む。例えば、塩は、アニオンと、本明細書において説明される化合物上の正に帯電した置換基(例えば、アミノ)との間で形成され得る。好適なアニオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、および酢酸塩を含む。同様に、塩はまた、カチオンと、本明細書において説明される化合物上の負に帯電した置換基(例えば、カルボキシレート)との間で形成され得る。好適なカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムカチオンを含む。プロドラッグの例としては、対象への投与後に活性化合物を提供することができる、エステルおよび他の薬学的に許容される誘導体が挙げられる。
【0063】
本発明の化合物は、選択された生物学的特性、例えば特定組織への標的化を高めるために、適切な官能基を付加することにより改質され得る。そのような改質は、当該技術分野において既知であり、所与の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透性を増加させるもの、経口利用可能性を増加させるもの、注射による投与を可能とするために溶解度を増加させるもの、代謝を改変するもの、および排出速度を改変するものを含む。
【0064】
代替の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、化合物の誘導体および/または化学ライブラリの調製のための組み合わせ化学技術において利用され得るプラットフォームまたは骨格として使用され得る。そのような化合物の誘導体およびライブラリは、生物活性を有し、特定の活性を有する化合物の識別および設計に有用である。本明細書において説明される化合物を利用するのに好適な組み合わせ技術は、Obrecht,D.and Villalgrodo,J.M.,Solid−Supported Combinatorial and Parallel Synthesis of Small−Molecular−Weight Compound Libraries,Pergamon−Elsevier Science Limited(1998)で例示されるように、当該技術分野において既知であり、「スプリットおよびプール(split and pool)」または「パラレル」合成技術、固相および溶液相技術、ならびにコード化技術といったものを含む(例えば、Czarnik,A.W.,Curr.Opin.Chem.Bio.,(1997)1,60を参照されたい)。したがって、一実施形態は、誘導体または化学ライブラリを生成するために、本明細書において説明される化合物を使用する方法であって、1)複数のウェルを備える本体を提供することと、2)本明細書において説明される方法によって識別される1つ以上の化合物を各ウェルに提供することと、3)追加の1つ以上の化学物質を各ウェルに提供することと、4)得られた1つ以上の生成物を各ウェルから単離することと、を含む方法に関する。代替の実施形態は、誘導体または化学ライブラリを生成するために、本明細書において説明される化合物を使用する方法であって、1)固体支持体に結合される、本明細書において説明される1つ以上の化合物を提供することと、2)固体支持体に結合される、本明細書において説明される方法によって識別される1つ以上の化合物を、1つ以上の追加の化学物質で処置することと、3)得られた1つ以上の生成物を、固体支持体から単離することと、を含む方法に関する。上で説明される方法において、所望の生成物またはその中間体の追跡、識別または単離を促進するために、「タグ」または識別子または標識部分を、本明細書において説明される化合物またはその誘導体に結合および/または脱着させてもよい。そのような部分は、当該技術分野で既知である。上述の方法において使用される化学物質は、例えば、溶媒、試薬、触媒、保護基および脱保護基試薬等を含み得る。そのような化学物質の例は、本明細書において参照される様々な合成および保護基化学の教本および専門書に記載されているものである。
【0065】
化合物の評価方法
本明細書において説明される化合物は、当該技術分野において既知の方法によって、PKM2を調節する(例えば、PKM2を活性化させる)能力に関して評価することができる。一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、セリン欠乏状態において、PKM2を調節する(例えば、PKM2を活性化させる)能力に関して評価される。一部の実施形態において、例示的な方法は、PKM2を調節する(例えば、活性化させる)能力の評価を可能とする細胞ベースのアッセイに化合物を接触させることを含む。例えば、候補化合物を細胞に接触させ、酸素の消費または乳酸塩の産生を測定することができる。細胞のホスホエノールピルビン酸の変化、グリセロールリン酸の変化、リボースもしくはデオキシリボースの変化、脂質合成の変化、または脂質もしくは核酸もしくはアミノ酸もしくはタンパク質へのグルコース変換の変化もまた、PKM2を調節する(例えば、PKM2を活性化または阻害する)能力について化合物を評価するために使用することができる。評価はまた、例えば、蛍光電位差染料により測定されるような、ピルビン酸塩の変化の測定またはミトコンドリア膜電位の改変の決定を含んでもよい。
【0066】
スクリーニングアッセイにおいて測定されるPKM酵素の活性は、例えば、反応混合物中に存在する基質(例えば、ATPまたはNADH)の濃度を監視することにより測定され得る。ピルビン酸キナーゼの酵素活性により産生されるピルビン酸塩は、NADHの消費(NADH→NAD+)を必要とする乳酸脱水素酵素により、乳酸塩に変換される。したがって、PKM2の活性は、例えば蛍光アッセイによりNADHの消費を監視することによって、間接的に測定することができる。さらに、ホスホエノールピルビン酸がピルビン酸塩に変換される際にATPが産生されるため、PKM2酵素の活性は、ATPの産生を測定することで直接的に監視することができる。反応混合物中の基質の量を監視するための方法は、例えば、吸光、蛍光、ラマン散乱、リン光、発光、ルシフェラーゼアッセイ、および放射能を含む。
【0067】
スクリーニング手順には、反応混合物中の特定成分の存在が必要である。アッセイに利用される成分は、例えば、ヌクレオシドジホスフェート(例えば、ADP)、ホスホエノールピルビン酸、NADH、乳酸脱水素酵素、FBP、還元剤(例えば、ジチオスレイトール)、洗浄剤(例えば、Brij 35)、グリセロール、および溶媒(例えば、DMSO)を含む。例示的な反応条件を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物といった化合物は、細胞/生体外アッセイにおいて評価することができる。例えば、ある細胞を本明細書において説明される化合物(即ち、PKM2活性化剤)で処置し、その化合物を、PKM2に進入し、それに結合し、PKM2の活性化立体配座を誘導するその能力に関して評価する。次いで、過剰の未結合化合物をPBSで洗浄し、ドライアイス上での急速冷凍により細胞を溶解させ、続いて洗浄剤含有溶解緩衝液を添加することができる。次いで、活性化PKM2が不活性のままである溶解物を取り出し、ピルビン酸キナーゼ活性を測定するために必要な化学物質を含む化学物質カクテルに添加することができる。アッセイは、LDHa酵素に結合されるアッセイといった別のアッセイに結合させることができる。次いで、測定されるピルビン酸キナーゼ活性の量は、溶解物中の総タンパク質含有量に正規化し、細胞に添加されたPKM2活性化剤の濃度に関連付けることができる。これにより、AC50(PKM2が50%活性化される濃度)値を導出することができる。模擬処置された細胞に対する活性の総増加倍数もまた計算することができ、「最大活性化レベル」を使用して、完全にPKM2を活性化させる化合物と、部分的にのみPKM2を活性化させ得る化合物とを区別することができる。組織(例えば、細胞腫瘍内)からPKM2活性を測定する場合、関心対象となる組織/腫瘍を保有する動物に、化合物を投薬することができる。関心対象となる標的組織/腫瘍における曝露が達成される所定期間後に、組織/腫瘍を動物から採取し、急速冷凍し、次いで溶解させて均質化することができる。次いで、この溶解物中のピルビン酸キナーゼ活性の量を、上に説明するように定量することができる。
【0070】
本明細書において説明されるスクリーニング/試験方法における使用のためのPKM1およびPKM2は、組み換えタンパク質の発現に関する当該技術分野において既知の任意の方法により生成され得る。例えば、発現のために、所望のポリペプチドをコード化する核酸を、種々の細胞型または無細胞系内に導入することができる。PKMシーケンスがプラスミドまたは他のベクター中に導入され、次いでこれを使用して生体細胞を転換する、真核(例えば、COS、HEK293T、CHO、およびNIH細胞株)および原核(例えば、大腸菌)発現系を生成することができる。PKMcDNAが全オープンリーディングフレームまたはその西部学的に活性な断片を含有するコンストラクトが、発現プラスミド中に正しい配向で挿入され、タンパク質発現に使用することができる。原核および真核発現系は、融合タンパク質の発現および回収を可能とし、PKMタンパク質は、識別および/または精製を容易化する、アミノ末端またはカルボキシ末端側のいずれかにおけるタグ分子に共有結合する。使用可能なタグの例には、ヘキサヒスチジン、HA、FLAG、およびc−mycエピトープタグが挙げられる。酵素的または化学的切断部位は、精製後にタグが除去され得るように、PKMタンパク質とタグ分子との間に設計することができる。
【0071】
PKM2活性化剤として有用な活性化化合物は、PKM2に対する特異性、および、FBPの存在下での活性化レベルの10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、または100%を上回るレベルまで、FBPの非存在下で酵素の活性化を示すものである。さらに、特定の化合物を、ホスホチロシンペプチドの存在下、または非存在下で評価することができる。PKM2に対するホスホチロシンペプチド結合は、PKM2からのFBPの解離、および活性な四量体形態から不活性形態へのPKM2の構造変化をもたらす。ホスホチロシンペプチドの存在下であってもPKM2に結合し、酵素を活性立体配座に固定する化合物は、解糖から他の中間体の生合成への、生化学的中間体のシャントに必要なPKM2のアロステリック制御の喪失をもたらす。一方で、これは、癌細胞、活性化免疫細胞および脂肪細胞の成長の阻害をもたらす。
【0072】
処置方法
本明細書に説明される化合物および組成物は、本明細書の以下において説明されるものを含む様々な障害を処置、予防、および/または診断するために、培養物中、例えば体外または生体外での細胞に投与することができ、または対象に、例えば体内で投与することができる。
【0073】
本明細書において使用される場合、「処置する」または「処置」という用語は、障害、障害の1つ以上の症状、または障害への傾向を治療、治癒、軽減、緩和、変更、修復、改善、改良またはそれらに作用することを目的として(例えば、障害の少なくとも1つの症状を予防するため、または障害の少なくとも1つの症状の発症を遅延させるために)、対象、例えば患者への、単独もしくは第2の化合物との組み合わせとしての化合物の適用もしくは投与、または、対象、例えば、障害(例えば、本明細書に説明されるような障害)、障害の症状、もしくは障害への傾向を有する患者から単離された組織もしくは細胞、例えば細胞株への化合物の適用もしくは投与として定義される。
【0074】
本明細書において使用される場合、障害を処置するのに効果的な化合物の量、または「治療上効果的な量」は、対象への単回または複数回投与後に、細胞の処置において、または、そのような処置なしで予測される状態を超える、障害を有する対象の治療、軽減、緩和もしくは改良において効果的な化合物の量を指す。
【0075】
本明細書において使用される場合、障害を予防するのに効果的な化合物の量または化合物の「予防上効果的な量」は、対象への単回または複数回投与後に、発症の発生、または障害もしくは障害の症状の再発の予防または遅延に効果的な量を指す。
【0076】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、ヒトおよびヒト以外の動物を含むことを意図する。例示的なヒト対象は、障害、例えば本明細書において説明される障害を有するヒト患者、または正常な対象を含む。「ヒト以外の動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類)、ならびにヒト以外の霊長類等の哺乳動物、飼い慣らされた、および/または農業上有用な動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ等を含む。
【0077】
腫瘍性障害
本明細書において説明される化合物または組成物は、腫瘍性障害を処置するために使用することができる。「腫瘍性障害」は、自律的増殖または複製の能力を有する細胞により特徴付けられる疾患または障害、例えば、細胞増殖により特徴付けられる異常な状態または病態である。例示的な腫瘍性障害としては、癌腫、肉腫、転移性障害(例えば、前立腺、結腸、肺、乳房および肝臓を起源とする腫瘍)、造血系腫瘍性障害、例えば白血病、転移性腫瘍が挙げられる。多く見られる癌としては、乳癌、前立腺癌、結腸癌、肺癌、肝臓癌、および膵臓癌が挙げられる。化合物による処置は、腫瘍性障害の少なくとも1つの症状の改善、例えば細胞増殖の低減、腫瘤の低減等に効果的な量であってもよい。
【0078】
開示される方法は、例えば充実性腫瘍、軟組織腫瘍、およびその転移を含む癌の予防および処置において有用である。開示される方法はまた、非充実性腫瘍の処置においても有用である。例示的な充実性腫瘍は、様々な臓器系の悪性腫瘍(例えば、肉腫、腺癌、および癌腫)、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸(例えば、結腸)、および泌尿生殖(例えば、腎臓、尿路上皮、または精巣腫瘍)路、咽頭、前立腺、および卵巣の悪性腫瘍を含む。例示的な腺癌は、結腸直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、および小腸の癌を含む。
【0079】
他の例示的な癌としては、米国癌研究所により説明されている例示的な癌は、急性リンパ性白血病、成人;急性リンパ性白血病、小児;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児;AIDS関連リンパ腫;AIDS関連悪性腫瘍;肛門癌;星状細胞腫、小児小脳;星状細胞腫、小児大脳;胆管癌、肝外;膀胱癌;膀胱癌、小児;骨癌、骨肉種/悪性線維性組織球腫;脳幹グリオーマ、小児;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小児;脳腫瘍、小脳星状細胞腫、小児;脳腫瘍、大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ、小児;脳腫瘍、上衣細胞腫、小児;脳腫瘍、髄芽細胞腫、小児;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;脳腫瘍、視覚伝導路および視床下部グリオーマ、小児;脳腫瘍、小児(その他);乳癌;乳癌および妊娠;乳癌、小児;乳癌、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児;カルチノイド腫瘍、小児;カルチノイド腫瘍、胃腸;癌腫、副腎皮質;癌腫、島細胞;未知の原発性癌腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星状細胞腫、小児;大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ、小児;子宮頸癌;小児癌;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性障害;腱鞘の明細胞肉腫;結腸癌;結腸直腸癌、小児;皮膚T細胞性リンパ腫;子宮内膜癌;上衣細胞腫、小児;上皮性癌、卵巣;食道癌;食道癌、小児;ユーイング腫瘍ファミリー;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;眼癌、眼内メラノーマ;眼癌、網膜芽細胞腫;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomac))癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌、小児;消化管カルチノイド腫瘍;胚細胞腫瘍、頭蓋外、小児;胚細胞腫瘍、性腺外;胚細胞腫瘍、卵巣;妊娠性絨毛性腫瘍;グリオーマ、小児脳幹;グリオーマ、小児視覚伝導路および視床下部;ヘアリー細胞白血病;頭頸部癌;肝細胞(肝臓)癌、成人(原発性);肝細胞(肝臓)癌、小児(原発性);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児;妊娠中ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部および視覚伝導路グリオーマ、小児;眼内メラノーマ;島細胞癌(膵臓内分泌部);カポジ肉腫;腎臓癌;喉頭癌;喉頭癌、小児;白血病、急性リンパ性、成人;白血病、急性リンパ性、小児;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、ヘアリー細胞;口唇および口腔癌;肝臓癌、成人(原発性);肝臓癌、小児(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児急性;リンパ性白血病、慢性;リンパ腫、AIDS関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン、成人;リンパ腫、ホジキン、小児;リンパ腫、妊娠中ホジキン;リンパ腫、非ホジキン、成人;リンパ腫、非ホジキン、小児;リンパ腫、妊娠中非ホジキン;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳癌;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児;悪性胸腺腫;髄芽腫、小児;メラノーマ;メラノーマ、眼内;メルケル細胞癌;中皮腫、悪性;潜在性原発性の転移扁平頸部癌;多発性内分泌腫瘍症候群、小児;多発性骨髄腫/形質細胞腫;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖症候群、慢性;鼻腔および副鼻腔癌;鼻咽腔癌;鼻咽腔癌、小児;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児;妊娠中非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺癌;口腔癌、小児;口腔および口唇癌;口腔咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌、小児;上皮性卵巣癌;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、小児;膵臓癌、島細胞;副鼻腔および鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;褐色細胞腫;松果体部およびテント上原発性神経外胚葉性腫瘍、小児;下垂体部腫瘍;形質細胞腫/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠および乳癌;妊娠およびホジキンリンパ腫;妊娠および非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝臓癌、成人;原発性肝臓癌、小児;前立腺癌;直腸癌;腎細胞(腎臓)癌;腎細胞癌、小児;腎盂および尿管、移行細胞癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;唾液腺癌、小児;肉腫、ユーイング腫瘍ファミリー;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児;肉腫、軟組織、成人;肉腫、軟組織、小児;セザリー症候群;皮膚癌;皮膚癌、小児;皮膚癌(メラノーマ);皮膚癌腫、メルケル細胞;小細胞肺癌;小腸癌;軟組織癌腫、成人;軟組織肉腫、小児;潜在性原発性の扁平頸部癌、転移;胃(stomach)(胃(gastric))癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌、小児;テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;T細胞リンパ腫、皮膚;睾丸癌;胸腺腫、小児;胸腺腫、悪性;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂および尿管の移行細胞癌;絨毛性腫瘍、妊娠;未知の原発部位、小児癌;特異的な小児癌;尿管および腎盂、移行細胞癌;尿道癌;子宮肉腫;膣癌;視覚伝導路および視床下部グリオーマ、小児;外陰癌;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。上述の癌の転移もまた、本明細書において説明される方法に従い処置または予防することができる。
【0080】
癌併用療法
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、追加の癌処置とともに投与される。例示的な癌処置としては、例えば、化学療法、抗体療法といった標的療法、免疫療法、およびホルモン療法が挙げられる。これらの処置のそれぞれの例を、以下に記載する。
【0081】
化学療法
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、化学療法とともに投与される。化学療法は、癌細胞を破壊することができる薬物による癌の処置である。「化学療法」は、通常、標的療法とは対照的に、一般に急速に分裂する細胞に影響する細胞毒性薬を指す。化学療法薬は、様々な可能な様式で細胞分裂に干渉し、例えば、DNAの複製または新たに形成された染色体の分離に干渉する。化学療法のほとんどの形態は、急速に分裂する細胞の全てを標的とし、癌細胞に特異的ではないが、正常細胞はDNA損傷を修復することができるものの多くの癌細胞はDNA損傷を修復することができないことから、ある程度の特異性がもたらされ得る。
【0082】
化学療法において使用される化学療法薬剤の例としては、例えば、代謝拮抗物質(例えば、葉酸、プリン、およびピリミジン誘導体)およびアルキル化剤(例えば、窒素マスタード、ニトロソウレア、白金、スルホン酸アルキル、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、紡錘体毒、細胞毒性薬剤、トポイソメラーゼ阻害剤等)が挙げられる。例示的な薬剤としては、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモル、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、フロキシウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、Gliadelインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イクサベピロン、ラロタキセル、ロイコボリン、リポソーマルドキソルビシン、リポソーマルダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピクサントロン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニマスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、ストラタプラチン、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフール‐ウラシル、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、テトラニトレート、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、ティピファニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジクオン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、トレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書において説明される他の細胞増殖抑制剤または細胞毒性薬剤が挙げられる。
【0083】
一部の薬物は、単独よりも組み合わされる方が良好に作用するため、しばしば2種以上の薬物が同時に与えられる。多くの場合、2種以上の化学療法薬剤が、併用化学療法として使用される。一部の実施形態において、化学療法薬剤(併用化学療法を含む)は、本明細書において説明される化合物と組み合わせて使用することができる。
【0084】
標的療法
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、標的療法とともに投与される。標的療法は、癌細胞の脱制御されたタンパク質に特異的な薬剤の使用を構成する。小分子標的療法薬は、一般に、癌細胞内の変異、過剰発現、またはその他の様式で危機的なタンパク質上の酵素ドメインの阻害剤である。顕著な例は、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、デサチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、およびバンデタニブ等のチロシンキナーゼ阻害剤、ならびにアルボシジブおよびセリシクリブ等のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤である。モノクローナル抗体療法は、治療薬剤が、癌細胞の表面上のプロテインに特異的に結合する抗体である、別の戦略である。例としては、乳癌において典型的に使用される抗HER2/neu抗体トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、および様々なB細胞悪性腫瘍において典型的に使用される抗CD20抗体リツキシマブおよびトシツモマブが挙げられる。他の例示的な抗体としては、セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、およびゲムツズマブが挙げられる。例示的な融合タンパク質としては、アフリベルセプトおよびデニロイキンジフチトクスが挙げられる。一部の実施形態において、標的療法は、本明細書において説明される化合物と組み合わせて使用することができる。
【0085】
また、標的療法は、「自動誘導装置」として、細胞表面受容体または腫瘍周囲の冒された細胞外基質に結合することができる小ペプチドを含み得る。これらのペプチド(例えばRGD)に結合する放射性核種は、細胞付近で核種が崩壊する場合、最終的に癌細胞を死滅させる。そのような療法の例としては、BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
【0086】
免疫療法
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、免疫療法とともに投与される。癌免疫療法は、患者自身の免疫系を腫瘍と戦うように誘導するよう設計された、治療戦略の多様な集合を指す。腫瘍に対する免疫応答を生成するための現代の方法には、表在性膀胱癌に対する膀胱内BCG免疫療法、ならびに、腎細胞癌およびメラノーマ患者における免疫応答を誘導するためのインターフェロンおよびその他のサイトカインの使用が含まれる。
【0087】
同種造血幹細胞移植は、多くの場合ドナーの免疫細胞が移植片対腫瘍効果において腫瘍を攻撃するため、免疫療法の一形態と考えることができる。一部の実施形態において、免疫療法薬剤は、本明細書において説明される化合物と組み合わせて使用することができる。
【0088】
ホルモン療法
一部の実施形態において、本明細書において説明される化合物は、ホルモン療法とともに投与される。一部の癌の成長は、ある特定のホルモンを提供または遮断することにより、阻害することができる。ホルモン感受性腫瘍の一般例には、ある特定種類の乳癌および前立腺癌が挙げられる。エストロゲンまたはテストステロンの除去または遮断が、重要な追加の処置であることが多い。ある特定の癌においては、プロゲストゲン等のホルモン作動薬の投与が、治療上有益となり得る。一部の実施形態において、ホルモン療法薬剤は、本明細書において説明される化合物と組み合わせて使用することができる。
【0089】
肥満および脂肪障害
本明細書において説明される化合物または組成物は、例えば小児または成人対象等のヒト対象における肥満の処置または予防に使用することができる。「肥満」は、対象が、30以上の肥満度指数を有する状態を指す。本明細書において説明される多くの化合物は、過体重状態を処置または予防するために使用することができる。「過体重」は、対象が25.0以上の肥満度指数を有する状態を指す。肥満度指数(BMI)および他の定義は、「NIH Clinical Guidelines on the Identification and Evaluation,and Treatment of Overweight and Obesity in Adults」(1998)に従う。化合物による処置は、対象の体重を、例えば少なくとも2、5、7、10、12、15、20、25、30、25、40、45、50、または55%改変するのに有効な量であってもよい。化合物による処置は、対象の肥満度指数を、例えば、30、28、27、25、22、20、または18未満まで低減するのに有効な量であってもよい。化合物は、異常もしくは不適切な体重の増加、代謝率、または脂肪沈着、例えば、拒食症、過食症、肥満、糖尿病、もしくは脂質異常症(例えば、リグリセリドの上昇および/もしくはコレステロールの上昇)、ならびに脂肪もしくは脂質の障害を処置または予防するために使用することができる。
【0090】
本明細書において説明される化合物または組成物は、プラダー・ウィリー症候群(PWS)と関連した肥満を処置するために投与することができる。PWSは、肥満(例えば、病的肥満)と関連した遺伝性疾患である。
【0091】
本明細書において説明される化合物または組成物は、体脂肪を低減するため、体脂肪の増加を予防するため、コレステロール(例えば、総コレステロールおよび/もしくはHDLコレステロールに対する総コレステロールの比)を低減するため、ならびに/またはPWS関連肥満に罹患した個人における食欲を減退させるため、ならびに/または糖尿病、循環器疾患および脳梗塞等の併存疾患を低減するために使用することができる。
【0092】
組成物および投与経路
本明細書において描写された組成物は、本明細書において説明されるものを含む疾患または疾患の症状の変調を達成するために効果的な量の、本明細書において描写された化合物(例えば、本明細書において説明される化合物)、および、存在する場合は、追加の治療薬剤を含む。
【0093】
「薬学的に許容される担体またはアジュバント」という用語は、本発明の化合物とともに患者に投与されてもよく、また、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与された場合にその薬理活性を破壊せず非毒性である、担体またはアジュバントを指す。
【0094】
本発明の薬学的組成物中に使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)、例えばd−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、薬学的剤形において使用される界面活性剤、例えばTweenまたは他の同様のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されない。α−、β−、およびγ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン、またはヒドロキシアルキルシクロデキストリン等の化学修飾誘導体(2−および3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む)、または他の可溶化誘導体もまた、本明細書において説明される式の化合物の送達を向上させるために有利に使用することができる。
【0095】
本発明の薬学的組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸的、経鼻的、頬内、経膣的、または埋め込んだ容器から投与することができ、好ましくは経口投与または注射による投与で投与される。本発明の薬学的組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有してもよい。一部の例において、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を向上させるために、製剤のpHが、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝剤で調節され得る。本明細書において使用される場合、非経口という用語は、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内投与または注入技法を含む。
【0096】
薬学的組成物は、滅菌注射用調製物の形態で、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液としての形態であってもよい。この懸濁液は、当該技術分野において知られた技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80等)および懸濁化剤を使用して製剤化することができる。滅菌注射用調合薬は、例えば1,3−ブタンジオール中溶液等の、非毒性の非経口用として許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液であってもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液および等張食塩水がある。さらに、溶媒または懸濁化媒体として、従来から滅菌不揮発性油が使用される。この目的のために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含む任意の低刺激性の不揮発性油を使用することができる。オレイン酸等の脂肪酸およびそのグリセリド誘導体、ならびにオリーブ油またはヒマシ油等の天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化された形態が、注射製剤の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、またはエマルジョンおよび/もしくは懸濁液等の薬学的に許容される剤形の製剤化において一般に使用される、カルボキシメチルセルロースもしくは同様の分散剤を含有してもよい。薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造に一般に使用される、TweenもしくはSpan等の他の一般に使用される界面活性剤、および/または同様の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティ向上剤もまた、製剤化の目的で使用することができる。
【0097】
本発明の薬学的組成物は、カプセル、錠剤、エマルジョンおよび水性懸濁液、分散液および溶液を含むがこれらに限定されない、経口的に許容される任意の剤形で経口投与され得る。錠剤または経口による使用の場合、一般に使用される担体は、ラクトースおよびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有利な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液および/またはエマルジョンが経口投与される場合、活性成分は、乳化および/または懸濁剤と合わせた油相中に懸濁または溶解され得る。所望により、ある特定の甘味料および/または香味料および/または着色剤が添加されてもよい。
【0098】
本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、本発明の化合物を、室温では固体であるが、直腸内温度では液体であり、したがって直腸内で融解して活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料は、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。
【0099】
本発明の薬学的組成物の局所投与は、所望の処置が局所適用により容易に到達できる領域または器官に関連する場合に有用である。皮膚に局所的に適用するためには、薬学的組成物は、担体中に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適な軟膏とともに製剤化されるべきである。本発明の化合物の局所投与のための担体は、ミネラルオイル、鉱油、白色油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水を含むが、これらに限定されない。代替として、薬学的組成物は、好適な乳化剤とともに担体中に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適なローションまたはクリームとともに製剤化され得る。好適な担体は、ミネラルオイル、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、直腸坐薬製剤または好適な浣腸用製剤により、下部腸管に局所的に適用され得る。局所的経皮パッチもまた、本発明に含まれる。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与され得る。そのような組成物は、医薬製剤の分野において公知の技術に従い調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、および/またはその他の当該技術分野において知られた可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0101】
本発明の組成物が本明細書において説明される式の化合物および1つ以上の追加の治療薬剤または予防薬剤の組合せを含む場合、化合物および追加の薬剤の両方が、単剤治療計画において通常投与される用量の約1%から100%の間、より好ましくは約5%から95%の間の用量レベルで存在するべきである。追加の薬剤は、複数投薬計画の一部として、本発明の化合物とは別個に投与され得る。代替として、それらの薬剤は、単一組成物として本発明の化合物とともに混合された、単回投薬形態の一部であってもよい。
【0102】
本明細書において説明される化合物は、例えば、注射により、静脈内、動脈内、皮内、腹腔内、筋肉内、もしくは皮下に、または、経口的、頬内、経鼻的、経粘膜的、局所的、眼科用調製物として、もしくは吸入により、約0.5mg/体重kgから約100mg/体重の範囲の用量で、代替として1mgから1000mg/投薬の間の用量で、4時間から120時間毎、または特定の薬物の要件に従い、投与され得る。本明細書における方法は、所望の、または示された効果を達成するために、有効量の化合物または化合物組成物を投与することを企図する。典型的には、本発明の薬学的組成物は、1日あたり約1回から約6回、代替として持続注入として投与される。そのような投与は、長期治療または救急治療として使用され得る。単回投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置されるホストおよび特定の投与形態に依存して変動する。典型的な調製物は、約5%から約95%の活性化合物(重量比)を含有する。代替として、そのような調製物は、約20%から約80%の活性化合物を含有する。
【0103】
上に列挙したものより低い、または高い用量が必要となり得る。いなかる特定の患者に対する具体的用量および処置計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食生活、投与時間、排泄速度、混合薬、疾患の重症度および経過、状態または症状、ならびに処置を行う医者の判断を含む、様々な因子に依存する。
【0104】
患者の状態の改善後、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量が、必要に応じて投与されてもよい。その後、用量もしくは投与頻度、またはその両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルまで軽減された時に改善された状態が維持されるレベルに低減されてもよい。しかしながら、患者は、疾患症状の再発時には、長期的に断続的処置を必要とし得る。
【0105】
患者の選択および監視
本明細書において説明される化合物は、PKM2を調節することができる。したがって、患者および/または対象は、まず、対象がPKM2の調節を必要としているかを決定するために患者および/または対象を評価し、次いで、対象がPKM2の調節を必要としていると決定された場合には、任意に本明細書において説明される化合物を対象に投与することにより、本明細書において説明される化合物を使用した処置に選択され得る。
【0106】
対象は、当該技術分野において知られた方法を使用して、例えば患者内のPKM2の存在および/または活性を測定することにより、PKM2の調節を必要としていると評価することができる。一部の実施形態において、癌におけるPKM2の活性および/またはレベルが評価される。
【0107】
本明細書において説明される化合物を受ける患者は、例えば、状態の改善および/または副作用に関して監視することができる。患者の状態の改善は、例えば、癌(例えば、腫瘍)の成長、成長が見られないこと、または退行を監視することにより評価することができる。一部の実施形態において、患者は、放射線アッセイまたは血パラメータの評価を使用して評価される。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
PKM2アッセイ
手順:
・ PKM2酵素原液を、反応緩衝液中に希釈した。
・ まず化合物2μLを各ウェル内に添加し、次いで反応混合物180μLを添加した。
・ 化合物を含む反応混合物(ADPを含まない)を、4℃で30分間インキュベートした。
・ プレートを再び室温に平衡化してから、ADP20μLを添加して反応を開始させた。
・ 反応の進行を、室温(25℃)における340nm波長での吸光度の変化として測定した。
【0109】
反応混合物:反応緩衝液中PKM2(50ng/ウェル)、ADP(0.7mM)、PEP(0.15mM)、NADH(180μM)、LDH(2単位)
【0110】
反応緩衝液:100mM KCl、50mM トリス pH7.5、5mM MgCl2、1mM DTT、0.03%BSA。
【0111】
(実施例2)
化合物および合成
スキーム2:
【化11−2】

【0112】
化合物3のための手順:2口丸底フラスコ内で、tert−ブチル−ピペラジン−1−カルボキシレート(2)(0.0145モル、2.71g、1.1当量)、および2−ナフタレンスルホニルクロリド(1)(0.0132モル、3.0g、1当量)を、DCM(40mL)に充填した。トリエチルアミン(0.0396モル、4.01g、3.0当量)を室温でゆっくりと添加した。得られた混合物を、室温で3時間撹拌した。反応完了後、希釈HClを添加し(10mL)、DCMで抽出した(2×20mL)。合わせた有機層を水(15mL)および塩水溶液(1×20mL)で洗浄した。結果として得られた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物(3)を白色固体(4.5g、90.36%)として得、これを精製を行うことなく、次のステップへ進めた。
【0113】
化合物4のための手順:2口丸底フラスコで、化合物3(tert−ブチル−4−(2−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.0119モル、4.5g、1当量))をHCl(30mL)で飽和した1,4−ジオキサンに入れた。結果として得られた混合物を終夜撹拌した。反応完了後、出発材料1,4−ジオキサンを減圧下で除去し、固体材料を得た。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、完全に乾燥させて、標的材料(4)を白色固体(3.7g、99.19%)として得た。化合物4は、精製を行うことなく、次のステップへ進めた。
【0114】
化合物5のための手順:化合物4(1.5g、4.0mmol)をその塩酸塩として、アセトニトリル(30mL)に入れ、KCO(1.32g、8.0mmol、2当量)を室温でそれに添加した。クロロアセチルクロリド(0.81g、6.0mmol、1.5当量)を0℃で反応混合物にゆっくりと添加し、反応物を終夜室温まで加温した。反応は、TLCによって監視され、その完了後、反応を水で停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出した(2×25mL)。合わせた有機層を塩水および水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、化合物(5)を再結晶化(ヘキサン)によって精製し、表題化合物を白色固体(1.6g、94.67%)として得た。
【0115】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−(p−トリルチオ)エタノン:
【化12】

チオフェノール(100mg、0.85mmol)、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)、および無水炭酸カリウム(0.293g、2.125mmol)を、無水アセトニトリル(20mL)中で終夜撹拌した。次いで、混合物を大量の水の中へ撹拌し、溶液をエーテルで抽出した。未反応フェノールを低温の1N NaOH溶液で除去した。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、定量的収率で表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.18(s、3H)、2.91−3.02(m、4H)、3.52−3.62(m、4H)、3.82(s、2H)、6.85(d、2H)、7.02(d、2H)、7.73−7.79(m、3H)、8.13(d、1H)、8.21(m、2H)、8.44(s、1H)。MS(ESI):441.1(M+1)。
【0116】
2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化13】

2,4−ジクロロフェノール(138mg、0.85mmol)、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)、および無水炭酸カリウム(0.293g、2.125mmol)を、無水アセトニトリル(20mL)中で終夜撹拌そた。混合物を大量の水の中へ注入し、溶液をジエチルエーテルで抽出した。未反応フェノールを低温の1N NaOH溶液で除去した。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(350mg、収率87.5%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.94−3.04(m、4H)、3.52−3.58(m、4H)、3.91(s、2H)、6.95(d、1H)、7.21(d、1H)、7.40(s、1H)、7.73−7.79(m、3H)、8.13(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.43(s、1H)。MS(ESI):479.2(M+)。
【0117】
2−(4−フルオロフェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化14】

4−フルオロフェノール(95.32mg、0.85mmol)、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)、および無水炭酸カリウム(0.293g、2.125mmol)を、無水アセトニトリル(20mL)中で終夜撹拌した。混合物を大量の水の中へ注入し、溶液をエーテルで抽出した。未反応フェノールを低温の1N NaOH溶液で除去した。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(340mg、収率94.44%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.91−3.02(m、4H)、3.52−3.59(m、4H)、4.77(s、2H)、6.81(d、2H)、6.98(d、2H)、7.71−7.79(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):429.2(M+1)。
【0118】
2−(ベンジルオキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化15】

窒素雰囲気下で0℃まで冷却された無水THF(20mL)中の水素化ナトリウム(35.88mg、油中60パーセント)の懸濁液に、THF(1mL)中のベンジルアルコール(0.09g、0.717mmol)の溶液を、25分にわたって混合物に滴下添加し、混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。反応物を再び0℃まで冷却し、これに、THF(20mL)中の2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5)の溶液を30分にわたって滴下添加した。室温で終夜撹拌した後、反応混合物を氷冷水に注入し、酢酸エチルで抽出した(2×10mL)。有機層を塩水溶液で洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。結果として得られた粗生成物を、シリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル:1:1)上のカラムクロマトグラフィによって精製し、表題生成物(60mg、24%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.96(m、4H)、3.48−3.57(m、4H)、4.11(s、2H)、4.39(s、2H)、7.21(m、5H)、7.72−7.78(m、3H)、8.12(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.41(s、1H)。
MS(ESI):425.2(M+1)。
【0119】
2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化16】

2,4−ジフルオロフェノール(110mg、0.85mmol)、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)、および無水炭酸カリウム(0.352g、2.55mmol)を、無水アセトニトリル(20mL)中で終夜撹拌した。混合物を大量の水の中へ注入し、溶液をエーテルで抽出した。未反応フェノールを、低温の1N NaOH溶液で除去した。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を再結晶化によって精製して、表題化合物(280mg、収率73.87%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.97−3.04(m、4H)、3.52−3.58(m、4H)、4.82(s、2H)、6.84(m、1H)、6.98(m、1H)、7.15(m、1H)、7.68−7.78(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.41(s、1H)。MS(ESI):447.1(M+1)。
【0120】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−(ピリジン−3−イルオキシ)エタノン:
【化17】

3−ヒドロキシピリジン(97mg、1.02mmol)、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)、および無水炭酸カリウム(0.352g、2.55mmol)を、無水アセトニトリル(20mL)中で終夜撹拌した。混合物を大量の水の中へ注入し、溶液をエーテルで抽出した。未反応フェノールを低温の1N NaOH溶液で除去した。エーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を再結晶化によって精製して、表題化合物(40mg、収率11.46%)をオフホワイトの固体として得た。未反応出発材料のうちの60%も、反応から回収した。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.04(m、4H)、3.56(m、4H)、4.84(s、2H)、7.22(m、2H)、7.72−7.81(m、3H)、8.11(m、2H)、8.21(m、3H)、8.16(s、1H)。MS(ESI):412.2(M+1)。
【0121】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−(フェニルアミノ)エタノン:
【化18】

アセトニトリル(120mL)中のアニリン(15.3g、0.16mol)およびジ−イソプロピルエチルアミン(DIEA、56mL、0.33mol)の撹拌された溶液を、60℃まで加熱し、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.3g、0.85mmol)を滴下添加する。反応混合物を、この温度でさらに3時間撹拌し続け、次いで、乾燥するまで蒸発させる。水を残渣に添加し、酢酸エチルで抽出した(2×30mL)。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。結果として得られた粗生成物を、シリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル:3:7)上のカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(300mg、76.53%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.98(m、4H)、3.58(m、4H)、3.81(s、2H)、6.44(t、1H)、6.53(d、2H)、6.98(m、2H)、7.68−7.78(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):410.2(M+1)。
【0122】
2−(メチルアミノ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化19】

THF(10mL)中の2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物5、0.1g、0.85mmol)の撹拌された溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(81mg、0.62mmol)を0℃で添加し、続いて、メチルアミン溶液(30%溶液、10mL)を添加した。反応混合物を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を大量の水(50mL)の中に注入し、溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(20.0mg、収率22.90%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(CDCl3、500 MHz):2.52(s、3H)、3.14(m、4H)、3.46(m、2H)、3.58(s、2H)、3.72(m、2H)、7.62−7.76(m、3H)、7.97(d、1H)、8.01(dd、2H)、8.37(s、1H)。MS(ESI):348.1(M+1)。
【0123】
2−(4−フルオロフェニルチオ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化20】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.89−2.98(m、4H)、3.57(m、4H)、3.86(s、2H)、6.98(t、2H)、7.22(m、2H)、7.72−7.79(m、3H)、8.12(d、1H)、8.20(dd、2H)、8.44(s、1H)。
MS(ESI):445.1(M+1)。
【0124】
2−(2−メトキシフェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化21】

この合成について、2,4−ジクロロフェノールの代わりに、2−メトキシフェノールを利用したことを除き、上記と類似の手順に従った。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.98(m、4H)、3.57(m、4H)、3.63(s、3H)、4.67(s、2H)、6.69−6.84(m、4H)、7.71−7.79(m、3H)、8.12(d、1H)、8.20(dd、2H)、8.44(s、1H)。
MS(ESI):441.2(M+1)。
【0125】
3−(2−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ)ベンゾニトリル:
【化22−1】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.98−3.04(m、4H)、3.56(m、4H)、4.83(s、2H)、7.19(dd、1H)、7.36(m、3H)、7.77(m,3H)、8.12(d、1H)、8.20(dd、2H)、8.45(s、1H)。MS(ESI):436.2(M+1)。
【0126】
スキーム3:
【化22−2】

【0127】
化合物2のための手順:2口丸底フラスコで、tert−ブチル−ピペラジン−1−カルボキシレート(17.0ミリモル、3.25g、1.1当量)(1)、および2−(4−(1H−テラゾール−1−イル)フェノキシ)酢酸(15.0ミリモル、3.5g、1当量)を、DCM(70mL)に充填した。DIPEA(10.27g、75ミリモル、5当量)およびHATU(12.0g、30.0ミリモル、2当量)を反応混合物に添加した。結果として得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物(2)をカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(4.8g、77.79%)を白色固体として得た。
【0128】
化合物3のための手順:tert−ブチル−4−(2−(4−(1H−テラゾール−1−イル)フェノキシ)アセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(3、12.0ミリモル、4.8g、1当量)が入った2口丸底フラスコに、1、4−ジオキサン−HCl(20%溶液、50mL)を添加した。結果として得られた混合物を終夜撹拌した。出発材料の完全な消費後、1,4−ジオキサンを減圧下で除去し、粗固体生成物を得た。粗材料(3)をヘキサンで洗浄し、よく乾燥させて、標的材料(0.32g、95%)を淡黄色固体として得た。
【0129】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化23】

【0130】
2口丸底フラスコで、2−(4−(1H−テラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(ピペラジン−1−イル)エタノン塩酸塩(化合物3、0.882ミリモル、0.286g、1当量)および2−ナフタレンスルホニルクロリド(0.882ミリモル、0.2g、1当量)を、DCM(20mL)に充填した。TEA(2.646モル、0.267g、3当量)を0℃で10分間にわたって反応混合物に滴下添加した。結果として得られた混合物を、室温で3時間撹拌し、TLCによって監視した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(1×20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、3:7、酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(0.300g、71.09%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(CDCl、500 MHz):3.08(m、4H)、3.54(m、4H)、4.69(s、2H)、6.99(d、2H)、7.41(d、2H)、7.42−7.51(m、3H)、7.85(d、1H)、7.98(m、2H)、8.29(s、2H)、8.79(s、1H)。
MS(ESI):479.1(M+1)。
【0131】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(ナフタレン−1−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化24】

2口丸底フラスコで、2−(4−(1H−テラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(ピペラジン−1−イル)エタノン塩酸塩(化合物3、0.882ミリモル、0.286g、1当量)、および1−ナフタレンスルホニルクロリド(0.882ミリモル、0.2g、1当量)をDCM(20mL)に充填した。TEA(2.646モル、0.267g、3当量)を0℃で10分間にわたって反応混合物に滴下添加した。結果として得られた混合物を、室温で3時間撹拌し、TLCによって監視した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(1×20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、3:7、酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(0.300g、71.09%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.03−3.19(m、4H)、3.51(m、4H)、4.87(s、2H)、7.03(d、2H)、7.71−7.79(m、5H)、8.16(dd、2H)、8.35(d、1H)、8.71(d、1H)、9.97(s、1H)。MS(ESI):479.2(M+1)。
【0132】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(キノリン−8−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化25】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに8−キノリンスルホニルクロリド(1.3ミリモル、0.3g、1当量)であることを除き、上に概説された同様の手順に従って行われた。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.250g、39.68%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.33−3.41(m、4H)、3.51(m、4H)、4.91(s、2H)、7.09(d、2H)、7.71−7.81(m、4H)、8.33(d、2H)、8.40(d、1H)、8.58(d、1H)、9.09(d、1H)、9.97(s、1H)。MS(ESI):480.2(M+1)。
【0133】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(5−クロロ−2−メトキシフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化26】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに、2−メトキシ−5−クロロベンゼンスルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.22g)であることを除き、上に概説されたものと同様の手順に従って行われた。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.250g、55.55%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.18−3.21(m、4H)、3.51(m、4H)、3.92(s,3H)、4.98(s、2H)、7.15(d、2H)、7.32(d、1H)、7.72(m、2H)、7.78(d、2H)、9.98(s、1H)。MS(ESI):493.0(M+1)。
【0134】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(フェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化27】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに、ベンゼンスルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.163g、1当量)であることを除き、上に概説されたものと同様の手順に従って実行された。ベンゼンスルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.163g、1当量)。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.290g、73.23%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95(m、4H)、3.57(m、4H)、4.96(s、2H)、7.12(d、2H)、7.64−7.78(m、1H)、9.97(s、1H)。MS(ESI):429.0(M+1)。
【0135】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化28】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに、4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.180g)であることを除き、上に概説されたものと同様の手順に従って実行された。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.280g、67.96%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95(m、4H)、3.56(m、4H)、4.89(s、2H)、7.08(d、2H)、7.43(m、2H)、7.73(m、2H)、7.81(m、2H)、9.87(s、1H)。MS(ESI):447.1(M+1)。
【0136】
2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)−1−(4−(2,6−ジフルオロフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化29】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに、2,6−ジフルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.196g、1当量)であることを除き、上に概説されたものと同様の手順に従って実行された。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.220g、52.38%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.12−3.22(m、4H)、3.40(m、4H)、4.96(s、2H)、7.12(d、2H)、7.37(t、2H)、7.77(d、2H)、7.79(m、1H)、9.97(s、1H)。MS(ESI):447.1(M+1)。
【0137】
6−(4−(2−(4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェノキシ)アセチル)ピペラジン−1−イルスルホニル)−3,5−ジメチルベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン:
【化30−1】

表題化合物の合成は、ここで用いたスルホニルクロリドが、1−ナフタリンスルホニルクロリドの代わりに、3,5−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−スルホニルクロリド(0.9ミリモル、0.22g)であることを除き、上に概説されたものと同様の手順に従って実行された。粗生成物を、エーテルおよびn−ヘキサンで洗浄することによって精製し、表題化合物(0.08g、48.0%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.62(s、3H)、3.06−3.18(m、4H)、3.39(s、3H)、3.56(m、4H)、4.96(s、2H)、7.17(d、2H)、7.40(s、1H)、7.72(s、1H)、7.79(d、2H)。MS(ESI):514.1(M+1)。
【0138】
スキーム4:
【化30−2】

【0139】
化合物3のための一般手順:2口丸底フラスコで、tert−ブチル−ピペラジン−1−カルボキシレート(2)(5.3680モル、1.000g)、および2−ナフタレンスルホニルクロリド(1)(5.905モル、1.338g)を、DCM(20mL)に充填した。ピリジン(13.417モル、1.08mL)を室温でゆっくりと添加した。得られた混合物を、室温で3時間撹拌した。反応完了後、希釈HClを添加し(10mL)、DCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(15mL)および塩水溶液(1×20mL)で洗浄した。結果として得られた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物(3)を白色固体(1.800g、89.10%)として得た。
【0140】
化合物4のための一般手順:2口丸底フラスコに、tert−ブチル−4−(2−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(3)(0.0047モル、1.800g)を入れ、それに1,4−ジオキサン−HCl(30mL)を添加した。結果として得られた混合物を終夜撹拌した。TLCによって示されるように、出発材料の完全な消費の後、1,4−ジオキサンを減圧下で除去し、固体材料を得た。粗材料(4)を酢酸エチルで洗浄し、よく乾燥させて、標的材料を白色固体として得た(1.400g、93.95%)。
【0141】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化31】

2口丸底フラスコで、1−(ナフタレン−2−イル−スルホニル)ピペラジン塩酸塩(化合物4、0.639モル、0.200g)、および2−フェノキシアセチルクロリド(0.639モル、0.109g)を、DCM(20mL)に添加した。TEA(2.557モル、0.258g)を、反応フラスコにゆっくりと添加した。得られた混合物を、室温で3時間撹拌した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(1×20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、4:6、酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、表題化合物(0.200g、76.33%)を得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95(m、4H)、3.57(m、4H)、4.72(s、2H)、6.80(m、3H)、7.15(m、2H)、7.75(m、3H)、8.09(d、1H)、8.20(m、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):411.1(M+1)。
【0142】
ベンジル4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−カルボキシレート:
【化32】

2口丸底フラスコで、1−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン塩酸塩(化合物4、0.72ミリモル、0.200g)、およびピリジン(7.22ミリモル、2mL)を、0℃でDCM(20mL)に添加した。CBZCl(1.08ミリモル、0.30g)を同じ温度でゆっくりと添加し、次いで、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(1×20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、MeOH/DCM)によって精製して、表題化合物(0.150g、50.6%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95(m、4H)、3.51(m、4H)、4.99(s、2H)、7.24(m、4H)、7.74(m、3H)、8.09(d、1H)、8.20(m、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):423.2(M+Na)。
【0143】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−(p−トリルオキシ)エタノン:
【化33】

無水DCM(20mL)中の2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.2g、0.64mmol)および2−(p−トリルオキシ)酢酸(106mg、0.64mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(495mg、3.86mmol)、その後、HATU(486mg、1.27mmol)を室温で添加し、終夜撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(0.21g、77.5%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.16(s、3H)、2.95−3.04(m、4H)、3.57(m、4H)、4.63(s、2H)、6.65(d、2H)、6.92(d、2H)、7.73−7.79(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):424.1(M+1)。
【0144】
メチル4−(2−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ)ベンゾエート:
【化34】

無水DCM(20mL)中に入れられた、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イル−スルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.2g、0.64mmol)および2−(4−(メトキシカルボニル)フェノキシ)酢酸(134mg、0.64mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(495mg、3.86mmol)、その後、HATU(486mg、1.27mmol)を室温で添加し、終夜撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(0.189g、63.21%)をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95−3.04(m、4H)、3.57(m、4H)、3.89(s、3H)、4.86(s、2H)、6.92(d、2H)、7.71−7.81(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)。
MS(ESI):424.1(M+1)。
【0145】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン:
【化35】

無水DCM(30mL)中に入れられた、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.208g、0.66mmol)および3−フェニルプロパン酸(100mg、0.66mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(430mg、3.32mmol)、その後、HATU(504mg、1.33mmol)を室温で添加し、終夜撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(0.225g、82.72%)を固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.95−3.04(m、4H)、3.57(m、4H)、3.89(s、3H)、4.86(s、2H)、6.92(d、2H)、7.71−7.81(m、3H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)。
MS(ESI):424.1(M+1)。
【0146】
1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン:
【化36】

無水DCM(20mL)に入れられた、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.086g、0.27mmol)および3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸(60mg、0.27mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(72mg、1.37mmol)、その後、HATU(208mg、0.55mmol)を室温で添加し、終夜撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(0.118g、90.07%)を固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.60(t、2H)、2.79(t、2H)、2.96(m、4H)、3.55(m、4H)、7.38(d、2H)、7.55(d、2H)、7.77(m、3H)、8.09(d、1H)、8.20(dd、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):477.2(M+1)。
【0147】
ピリジン−3−イルメチル4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−カルボキシレート:
【化37】

無水DCM(10mL)に入れられた、2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.250g、0.905mmol)およびピリジン−3−イル−メタノール(98mg、0.905mmol)の撹拌された溶液に、トリホスゲン(294mg、0.99mmol)を0℃で添加し、室温で3時間撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物(0.109g、30.27%)を固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.98(m、4H)、3.51(m、4H)、5.01(s、2H)、7.32(m、1H)、7.71−7.79(m、4H)、8.11(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.42(s、1H)、8.45(d、1H)、8.12(s、1H)。MS(ESI):412.1(M+1)。
【0148】
(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロプロピル)メタノン:
【化38−1】

無水DCM(20mL)中の2−クロロ−1−(4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(化合物4、0.086g、0.27mmol)および3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸(60mg、0.27mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(72mg、1.37mmol)、その後、HATU(208mg、0.55mmol)を室温で添加し、終夜撹拌した。次いで、混合物をDCMで希釈し、水(2×10mL)および塩水(2×10mL)で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料をカラムクロマトグラフィによって精製し、表題化合物AGI−604(0.118g、90.07%)を固体として得た。
HNMR(DMSO−d6、500 MHz):1.21(m、1H)、1.36(m、1H)、2.35(m、2H)、2.95−3.04(m、4H)、3.53−3.78(m、4H)、7.33(d、2H)、7.58(d、2H)、7.50−7.59(m、3H)、8.11(d、1H)、8.20(dd、2H)、8.42(s、1H)。MS(ESI):489.1(M+1)。
【0149】
スキーム5:
【化38−2】

【0150】
化合物2のための手順:2口丸底フラスコで、1−tert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(1)(0.0106モル、2.0g)、および2−フェノキシアセチルクロリド(0.0118モル、2.0g)を、DCM(30mL)に充填した。TEA(0.0322モル、3.25g)を0℃で反応容器にゆっくりと添加した。結果として得られた混合物を、室温で3時間撹拌した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(2×20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、6:4、酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標的分子(2)(3.1g、90.37%)を得た。
【0151】
化合物3のための手順:2口丸底フラスコに、tert−ブチル4−(2−フェノキシアセチル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2)(9.6ミリモル、3.1g)を入れ、1、4−ジオキサン−HCl(20%溶液、30mL)をそれに添加した。結果として得られた混合物を終夜撹拌した。TLCによって示されるように、反応完了後、1、4−ジオキサンを減圧下で除去し、固体材料を得た。粗材料をヘキサンで洗浄し、完全に乾燥させて、標的材料(3)(2.4g、96.77%)を淡黄色固体として得た。
【0152】
スルホンアミド調製のための一般手順:
2口丸底フラスコで、4−フェノキシ−1−(ピペラジン−1−イル)エタノン塩酸塩(1当量)およびアリールスルホニルクロリド(1当量)を、DCM(10mL)に充填した。TEA(3当量)を0℃で10分の期間にわたって、滴下添加した。得られた混合物を、室温で3時間撹拌した。反応完了後、水(10mL)を添加し、DCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、塩水(1×20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60−120、酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標的分子を得た。
【0153】
2−フェノキシ−1−(4−(フェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン:
【化39】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.87−3.01(m、4H)、3.56(m、4H)、4.78(s、2H)、6.84(d、2H)、6.92(m、1H)、7.23(t、2H)、7.68(m、2H)、7.77(m、3H)。MS(ESI):361.0(M+1)。
【0154】
1−(4−(5−クロロ−2−メトキシフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化40】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):3.11−3.21(m、4H)、3.52(m、4H)、3.91(s、3H)、4.80(s、2H)、6.88−6.93(m、3H)、7.23−7.34(m、3H)、7.71(s、1H)、7.75(d、1H)。MS(ESI):425.0(M+1)。
【0155】
1−(4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化41】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.83−2.97(m、4H)、3.56(m、4H)、4.78(s、2H)、6.83(d、2H)、6.91(t、1H)、7.22(m、2H)、7.54(m、2H)、7.81(m、2H)。MS(ESI):379.1(M+1)。
【0156】
1−(4−(3,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化42】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.39(s、6H)、2.83−2.95(m、4H)、3.56(m、4H)、4.78(s、2H)、6.83(d、2H)、6.91(m、1H)、7.22(t、2H)、7.36(s、2H)、7.39(s、1H)。MS(ESI):389.1(M+1)。
【0157】
1−(4−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソ−ル−5−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化43】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.83−2.95(m、4H)、3.56(m、4H)、4.78(s、2H)、6.20(s、2H)、6.85(d、2H)、6.91(m、1H)、7.18(d、1H)、7.21−7.28(m、4H)。MS(ESI):405.1(M+1)。
【0158】
3,5−ジメチル−6−(4−(2−フェノキシアセチル)ピペラジン−1−イルスルホニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン:
【化44】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.62(s、3H)、3.01−3.13(m、4H)、3.39(s、3H)、3.57(m、4H)、4.79(s、2H)、6.87−6.72(m、3H)、7.24(m、2H)、7.40(s、1H)、7.71(s、1H)。
MS(ESI):446.1(M+1)。
【0159】
1−(4−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化45】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.97−3.01(m、4H)、3.58(m、4H)、4.78(s、2H)、6.80−6.84(m、3H)、7.19(t、2H)、7.85(d、1H)、8.33(d、1H)、8.73(s、1H)、9.71(s、1H)。MS(ESI):419.1(M+1)。
【0160】
1−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−6−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化46】

HNMR(DMSO−d6、500 MHz):2.84−2.97(m、4H)、3.58(m、4H)、4.34(m、4H)、4.79(s、2H)、6.86−6.72(m、3H)、7.12(d、1H)、7.18−7.26(m、4H)。MS(ESI):419.1(M+1)。
【0161】
1−((2S,6R)−2,6−ジメチル−4−(ナフタリン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−フェノキシエタノン:
【化47】

2口丸底フラスコで、(3S,5R)−3,5−ジメチル−1−(ナフタレン−2−イル−スルホニル)ピペラジン(100mg、0.33モル)を、25mLのアセトニトリルに溶解した。KCO(71mg、0.53モル)を、室温で窒素雰囲気下で反応フラスコに添加し、反応混合物を、約10分間撹拌した。次いで、フラスコを0℃まで冷却し、フェノキシアセチルクロリド(83μl、0.49モル)を同じ温度で反応フラスコに滴下添加した。添加後、反応混合物を、室温までゆっくりと加温し、3時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全な消費を示した。反応を冷水(25mL)で停止させ、酢酸エチルで抽出した(2×25mL)。合わせた有機相を塩水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、粗材料を得、これを、カラムクロマトグラフィ(20% 酢酸エチルおよびヘキサン)によって精製して、表題化合物を98%純度で得た。
HNMR(DMSO−d6:500 MHz):1.25(s、3H)、1.3(s、3H)、2.2(t、2H)、3.6(s 2H)、4.1(t、1H)、4.2(d、1H)、4.3(d、1H)、4.4(d、1H)、7.21(m、5H)、7.72−7.78(m、3H)、8.12(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.41(s、1H)。MS:(ESI):439.54(M+1)。HPLC:98.06%
【0162】
1−((2S,6R)−2,6−ジメチル−4−(ナフタリン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)−2−(2−メトキシフェノキシ)エタノン:
【化48】

2−クロロ−1−((2S,6R)−2、6−ジメチル−4−(ナフタレン−2−イルスルホニル)ピペラジン−1−イル)エタノン(200mg、0.52モル)を、20mLのアセトニトリルに溶解した。無水KCO3(106mg、0.79モル)を窒素雰囲気下で反応混合物に添加し、約10分間撹拌した。2−メトキシフェノール(97mg、0.78モル)を室温で反応物にゆっくりと添加し、さらに4時間反応を継続させた。反応は、TLCによって監視され、生成物形成が観察された後、反応混合物を冷水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(25mL×2)。合わせた有機層を重炭酸塩、その後塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧で蒸発させて、粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
HNMR(DMSO−d6:500 MHz):1.25(s、3H)、1.3(s、3H)、2.2(t、2H)、3.6(s、2H)、4.1(t、1H)、3.9(s、3h)、4.2(d、1H)、4.3(d、1H)、δ4.4(d、1H)、7.21(m、5H)、7.72−7.78(m,3H)、8.12(d、1H)。MS:(ESI):468.57(M+1)。HPLC:90.08%
【0163】
N−(1−(2−フェノキシアセチル)ピペリジン−4−イル)ナフタレン−2−スルホンアミド:
【化49】

N−(ピペリジン−4−イル)ナフタレン−2−スルホンアミド(50mg、0.17モル)を10mL DCMに溶解し、それに、ジ−イソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.34モル)を0℃で窒素下で添加した。反応物を10分間撹拌し、フェノキシアセチルクロリド(33mg、0.19モル)を0℃で添加し、室温まで加温し、3時間撹拌した。TLCによって監視されるように反応完了後、反応を冷水で停止させ、酢酸エチルで抽出した(2×25mL)。合わせた有機相を重炭酸塩溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を、濾過し、回転蒸発器上で蒸発させて、粗化合物を得、これをヘキサンでさらに洗浄して、表題化合物を白色固体として得た。
HNMR(DMSO−d6:500 MHz):1.85(m、2H)、1.86(m、2H)、2.2(t、1H)、3.0(t、1H)、3.2(s、2H)、3.1(d、1H)、4.0(d、1H)、4.9(m、1H)、7.21(m,5H)、7.72−7.78(m,3H)、8.12(d,1H)、8.21(dd、2H)、8.41(s、1H)。MS:(ESI):424.51(M+1)。HPLC:91.08%
【0164】
N−(1−(2−フェノキシアセチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ナフタレン−2−スルホンアミド:
【化50】

2口丸底フラスコで、N−(ピペリジン−4−イルメチル)ナフタレン−2−スルホンアミド(50mg、0.16mmol)を窒素雰囲気下で20mLのDCMに溶解し、ジ−イソプロピルエチルアミン(0.05mL、0.33mmol)を0℃で添加した。反応物を同じ温度で10分間撹拌し、フェノキシアセチルクロリド(17mg、0.099mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温まで加温し、それを3時間撹拌した。反応完了後、反応を水で停止させ、酢酸エチルで抽出した(2×25mL)。合わせた有機相を重炭酸塩溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を、濾過し、回転蒸発器上で蒸発させて、粗化合物を得、これをペンタンで2回洗浄し、高真空で乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た。
HNMR(DMSO−d6:500 MHz):1.0(d、1H)、1.1(d、1H)、1.3(d、1H)、1.9(d、2H)、2.3(s、2H)、3.0(t、1H)、3.9(d、1H)、4.2(d、1H)、4.9(s、2H)、7.21(m、5H)、7.72−7.78(m、3H)、8.12(d、1H)、8.21(dd、2H)、8.41(s、1H)。MS:(ESI):439.54(M+1)。HPLC:97.4%
【0165】
3、5−ジメチル−6−(4−2−(p−トリルオキシ)アセチル)ピペラジン−1−イルスルホニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン:
【化51】

3,5−ジメチル−6−(ピペラジン−1−イルスルホニル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オンを、25mL 無水DCMに溶解し、それに、ジ−イソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.64mmol)およびHATU(182mg、0.48mmol)をN雰囲気下で0℃で添加した。反応混合物を10分間撹拌し、2−(p−トリルオキシ)酢酸(64mg、0.384mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温まで加温し、12時間撹拌した。反応完了後、反応を水で停止させ、酢酸エチルで抽出した(2×25mL)。合わせた有機相を重炭酸塩溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を、濾過し、回転蒸発器上で蒸発させて、粗化合物を得、これを、カラムクロマトグラフィによって精製して、純粋な表題化合物を白色固体として得た。
HNMR(DMSO−d6:500 MHz):2.2(s、3H)、2.6(s、2H)、3.1(d、2H)、3.1(s、2H)、3.6(s、2H)、3.7(m、4H)、4.9(s、2H)、6.9(dd、2H)、7.0(dd、2H)、7.4(s、1H)、7.6(s、1H)。
MS:(ESI):460.01(M+1)。HPLC:93.1%
【0166】
本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様をこのように説明してきたが、種々の変更、改変、および改善は、当業者には容易に思いつくであろうことが理解されるものとする。そのような変更、改変、および改善は、本開示の一部であることが意図され、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明および図面は、例示のみを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物、
【化52】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、またはシクロアルキレニルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択されるが、ただし、nが0であり、XがOである時、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択されることを条件とし、
は、二環式ヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、化合物。
【請求項2】
前記化合物は、式(II−a)のものである、請求項1に記載の化合物。
【化53】

【請求項3】
式(III)の化合物、
【化54】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
XがS、NR、またはシクロアルキレニルである時、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
XがOである時、Rは、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、化合物。
【請求項4】
式(IV)の化合物、
【化55】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nが0である時、XはS、NR、またはシクロアルキレニルであり、
nが1または2である時、XはOであり、XはS、NR、またはシクロアルキレニルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
それを必要とする対象において、PKM2活性を調節する方法であって、前記対象に、式(I)の化合物、
【化56】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
mは、0、1、または2であり、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、アルキレニル、シクロアルキレニル、または結合であり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
は、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、および−ORから選択され、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、および任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、化合物を含む薬学的組成物、または請求項5に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項7】
それを必要とする対象において、PKM2活性に関連する癌を処置する方法であって、対象に、式(I)の化合物、
【化57】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
mは、0、1、または2であり、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、アルキレニル、シクロアルキレニル、または結合であり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
は、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、および−ORから選択され、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、および任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、化合物を含む薬学的組成物、または請求項5に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
mは0である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
Xは酸素(O)、硫黄(S)、またはシクロアルキレニルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
は、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアリールである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
は、任意に置換されたフェニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
は、任意に置換されたベンジルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
は、任意に置換されたピリジルである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
は、任意に置換されたナフチルである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
は、任意に置換されたフェニルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項16】
は、任意に置換されたナフチルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項17】
は、任意に置換されたキノリルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物は、表1から選択される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項19】
それを必要とする対象において、PKM2活性を調節するため、または、それを必要とする対象において、PKM2活性に関連する癌を処置するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、または式(I)の化合物、
【化58】

またはその薬学的に許容される塩の使用であって、式中、
mは、0、1、または2であり、
nは、0、1、または2であり、
Xは、O、S、NR、アルキレニル、シクロアルキレニル、または結合であり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアラルキル、または任意に置換されたヘテロアラルキルから選択され、
は、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、および−ORから選択され、
各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、および任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
各Rは、独立して、水素またはアルキルである、使用。

【公表番号】特表2012−532136(P2012−532136A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518590(P2012−518590)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040485
【国際公開番号】WO2011/002816
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511223394)アジオス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】