説明

治療薬の徐放性組成物

pH感受性グラフト共重合体、治療活性剤およびその他の医薬的に許容可能な成分を含有するpH依存性薬物送達システム。より具体的には、胃内の酸性pHでは薬物放出を抑制し腸領域内のpHでは長時間にわたって薬物を放出することができる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、本明細書では本発明および本発明を実施する態様について具体的に説明する。
発明の分野
本発明は、pH依存性を示すグラフト共重合体と、治療活性剤と、医薬的に許容可能な成分とを含有する経口投与のための徐放性組成物に関する。
【0002】
本発明はさらに、治療薬の経口送達に関し、特に、腸領域内のpHで長時間にわたって薬物を放出し胃内のpHでは放出を抑制することができるpH依存性薬物送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
半減期が短い薬物は、徐放性剤形として投与することによって、通常患者のコンプライアンスに影響する一日に複数回の投薬を回避する必要がある。このような剤形は、適時に有効な形で適所に到達するように設計しなければならない。天然および合成ポリマーが、薬物の放出速度を調整するために広範囲にわたって使用されてきた。他の要素の中でも特に、体液中における薬物負荷およびその溶解度、ポリマーの膨潤および溶出特性は、薬物放出速度に影響を及ぼす。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびグアーガムのようなpH非依存性ポリマーは、徐放性剤形を得るために最も広く使用されているポリマーである。
【0004】
米国特許出願6,312,724を参照すると、ヒドロキシエチルセルロースを用い直接圧縮法によって調製されたジクロフェナックナトリウムの徐放性製剤が開示されている。
【0005】
米国特許出願5,945,125を参照すると、ポリエチレンオキシドを水膨潤性ポリマーとして使用した放出制御錠剤の調製が開示されており、取込まれた薬物の0次放出が示されている。
【0006】
米国特許出願5,422,123を参照すると、0次放出特性を有する錠剤組成物が開示されている。この錠剤は、コアにゲル化ポリマーを含有し、水媒体の中にゆっくりと溶出するポリマーの支持層で部分的に覆われている。
【0007】
pH非依存性親水性ポリマーに基づく徐放性製剤は、生理的媒体のpHでの薬物溶解度に応じて薬物を送達する。これは、薬物の溶解度が高い消化管内の特定の部位での過量放出(dose dumping)に繋がる。たとえば胃の中での放出が阻止されることを利用した薬物、酸性pHで劣化する薬物、胃炎を生じさせる薬物、および吐き気や嘔吐を誘発する薬物は、数多くある。こういった種類の薬物は、剤形が胃の中での薬物放出を抑制し腸管に沿ってゆっくりと薬物を放出するように、製造する必要がある。
【0008】
これは、pH依存性のアニオン性ポリマーを用いて薬物を製造することによって可能であろう。なぜなら、pH依存性のアニオン性ポリマーは、胃内の酸性pHでは溶解せず腸内の中性に近いpHで溶解するからである。酢酸フタル酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、およびオイドラギット(Eudragit)(登録商標)Lのような、現在入手できるポリマーは、酸性pHでは溶解しない。しかしながら、これらは中性に近くアルカリ性の状態では急速に溶出する。
【0009】
刊行物「O. S. Silva, C. R. F. Souza, W. P. Oliveira and S. C. S. Rocha, Drug Development and Industrial Pharmacy, 32, 661-667, 2006」を参照すると、オイドラギット(登録商標)L−30D−55コーティングジクロフェナックナトリウム顆粒剤の放出特性が記載されている。薬物、微結晶セルロースおよびポリビニルピロリドンK−30が、湿式粒状化された後、pH感受性ポリマーであるオイドラギット(登録商標)L−30D−55でコーティングされた。このコーティングされた顆粒剤は、薬物を酸性pHでは放出せず中性に近いpHで急速に放出した。
【0010】
中性に近いpHで急速に溶出するため、これらポリマーは、たとえ酸性pHで完全な状態を保つことができても、徐放性製剤の開発には不向きである。これらポリマーは、胃の中での薬物放出を回避すべき剤形のための腸溶コーティングとして使用されている。
【0011】
特許出願WO03099203A2を参照すると、Gonzales Gilbert他は、腸溶性コーティングカフェイン送達システムを開示している。薬物を含有するコアは、pH感受性ポリマー分散オイドラギット(登録商標)L100−55でコーティングされた。このシステムは、コアと腸溶性コーティングとの間に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような親水性ポリマーのシールコーティングを含む。この製剤は薬物を胃の中では放出せず腸内で急速に放出するとクレームされている。これにより、カフェインが胃の中で放出されると生じることが多い胃内の炎症は避けられるであろう。
【0012】
同様に、胃の酸性pHで急速に劣化する薬物は、剤形内で保護しなければならない。たとえば、ジダノシンは、酸不安定性薬物であり、腸内に送達される前に胃内で保護されなければならない。米国特許出願6,569,457を参照すると、腸溶性ポリマーオイドラギット(登録商標)L−30D−55でコーティングされたジダノシン組成物が報告されている。その製剤は、酸性pH条件では損なわれず、薬物を劣化しないように保護し、内容物を中性に近いpHで放出するとクレームされている。
【0013】
刊行物「Giovanni Filippo Palmieri, Simona Michelini, Piera Di Martino and Sante Martelli, Drug Development and Industrial Pharmacy, 26, 837-845, 2000」を参照すると、徐放性製剤の開発のための腸溶性ポリマーが記載されている。パラセタモール錠剤が、酢酸フタル酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、オイドラギット(登録商標)Lおよびオイドラギット(登録商標)Sといったさまざまな腸溶性ポリマーを用いて調製された。この錠剤は、直接圧縮およびミクロスフィア圧縮法によって調製された。直接圧縮された錠剤は、腸溶性もパラセタモール徐放性も示さなかったことが報告されている。酢酸フタル酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびオイドラギット(登録商標)Sを含有するミクロスフィア圧縮された錠剤は、薬物とポリマーとの比率が1:8のときに薬物の腸溶性および徐放性を示した。しかしながら、オイドラギット(登録商標)Lに基づいた製剤は薬物の腸溶性も徐放性も示さなかった。
【0014】
現在、腸領域内での薬物の徐放性は、pH非依存性およびpH依存性ポリマーの組合せを用いることで得られている。
【0015】
米国特許出願4,863,744を参照すると、pH感受性アニオン性ポリマー内に設けられたpH非依存性ポリマーでコーティングされた小さな薬物含有リザーバを含むシステムが報告されている。pH3.5での剤形の完全な状態を得ることは、pH感受性アニオン性ポリマーコーティングによって容易になった。このコーティングが中性に近い状態で溶出すると、小さなリザーバは媒体に晒され長時間にわたって薬剤を放出する。
【0016】
特許出願WO2005/030179A1を参照すると、Cho他は、心血管治療薬の徐放性組成物を開発している。この製剤は、薬物の初期バースト放出を制御するように設計された。薬物とpH非依存性親水性ポリマーとを含有する錠剤が、腸溶性ポリマーでコーティングされた。腸溶性コーティングの上に、pH非依存性またはpH依存性ポリマーを含むさらなる薬物層が設けられた。
【0017】
米国特許出願4,968,508を参照すると、Oren他は、胃内の酸性pHでの溶解度が高い塩基性薬物を含有する徐放性組成物を開示している。この製剤は、薬物を含有するコア錠剤と親水性ポリマーとを含みこれは次に腸溶性ポリマーでコーティングされる。この製剤は、薬物の胃内放出を抑制し薬物を腸領域で徐々に放出するとクレームされている。
【0018】
米国特許出願6,893,661A1を参照すると、Odidi他は、放出制御製剤を開示している。これは、錠剤の形態の、薬物と親水性および疎水性ポリマーの組合せとを含む。錠剤にステルス(stealth)特性を与えることによって胃内での過量放出および食効を回避するために、この錠剤は腸溶性ポリマーでコーティングされている。
【0019】
胃の酸性環境の下で劣化する薬物は、剤形内で保護する必要がある。プロトンポンプ阻害剤を用いて胃酸分泌を制御すると、胃潰瘍および十二指腸潰瘍のような疾病に繋がることが多い。
【0020】
特許出願EP1043976B1を参照すると、Karehill他は、プロトンポンプ阻害剤の長時間放出剤形を開示している。顆粒を含有する薬物が、pH非依存性親水性または疎水性ポリマーを用いて調製され圧縮されて錠剤にされた。この錠剤は腸溶性ポリマーでコーティングされた。薬物コアと腸溶性コーティングとの間に任意のコーティングが設けられた。
【0021】
米国特許出願6,274,173B1を参照すると、開示された胃障害の治療のためのプロトンポンプ阻害剤を含有する放出遅延剤形について述べられている。この剤形は、薬物およびその他の成分を粒状化して錠剤を形成することによって調製された。pH非依存性ポリマーの放出遅延層および腸溶性コーティングが錠剤の上に施された。
【0022】
米国特許出願2008/0026060A1を参照すると、Zerbe他は、メカミラミンのような禁煙補助薬と組合された抗うつ薬ブプロピオンの放出制御組成物を開示している。送達システムが、メカミラミンとともに安定化ブプロピオンおよびヒドロキシアルキルセルロースの顆粒を製剤することによって開発された。この顆粒を徐放性ポリマーに分散させた後圧縮して錠剤にしている。上記錠剤を腸溶性ポリマーでコーティングすることによって保存時のブプロピオンの安定性を高めている。
【0023】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、胃の中で放出されたときに胃炎および出血を引起すことが知られている。NSAIDを含有する理想的な剤形は、腸に達するまで薬物放出を遅らせる必要がある。特許出願WO02/34240A2を参照すると、疼痛管理のための、このように放出を遅延させたNSAIDの徐放性組成物が開示されている。この剤形は、薬物含有層でコーティングされ次に非水溶性ポリマーの速度制御層でコーティングされ最後に腸溶性ポリマー層でコーティングされた危険性のないシード(non-peril seeds)などの不活性ペレットを含む。
【0024】
薬物の中には、胃の中で放出されると吐き気および嘔吐を引起すものがある。うつ病の治療に使用されているパロキセチンはこのような薬物である。この種の薬物の送達システムは、薬物が胃の中では放出されず腸の中で長時間にわたって放出されるように設計する必要がある。特許出願WO2007/052877を参照すると、Kim他は、腸溶性ポリマーでコーティングされた、薬物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなpH非依存性親水性ポリマーとを含有する錠剤である、このような製剤を開示している。シールコートを設けてコア内の薬物と腸溶性ポリマーとの相互作用を回避している。
【0025】
半減期が短く一日複数回の投与を避けて一日一度投与される抗うつ薬であるベンラファキシンは、非常に望ましい。この薬物に関連する問題は、この薬物が胃の中で放出されたときの吐き気および嘔吐といった副作用である。特許出願WO2007/143290A2を参照すると、Vishnupadが開示するベンラファキシン組成物は、予め定められた遅れの後長時間にわたって放出される。この剤形は、圧縮コアであり、薬物と、pH非依存性親水性ポリマーとを含有し、非水溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとを組合せたものでコーティングされる。
【0026】
朝の起床後の時間に関連する障害は、一日一回就寝時服用の剤形で治療することにより、患者のコンプライアンスを向上させる必要がある。このような剤形は、摂取後の薬物の放出を遅らせ、その後内容物を長時間にわたって放出することによって朝の有効血漿中濃度を維持するようにしなければならない。特許出願WO2004/091583A1を参照すると、Mehtaは、関節炎、アンギナ、心房細動および高血圧といった早朝の病状の治療のための時間送達製剤を開示している。この剤形は、薬物層でコーティングされた後、水溶性ポリマーのシールコート、非水溶性ポリマーの速度制御層、および腸溶性ポリマーの順で複数層で順次コーティングされたコアを含む。
【0027】
特許出願WO97/48386を参照すると、Chenは、心臓血管治療薬である塩酸ジルチアゼムの一日一回投与製剤を開示している。錠剤は、薬物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなpH非依存性親水性ポリマーとを含有する。この錠剤に腸溶性コーティングを施すことによって、初期段階での薬物の高い血漿中濃度を生じさせる胃内での薬物放出を回避している。
【0028】
上記開示から、pH非依存性親水性ポリマーが、胃の酸性状態での薬物放出を抑制できないことは明らかである。これは、特に胃の酸性pHでの薬物の溶解度が高いときに、薬物の過量放出および初期バースト放出に繋がる。また、薬物の中には、胃炎を誘発するまたは劣化するために胃の中で放出されてはならないものがある。さらに他の薬物の中には、慢性疾患の治療のために遅らせて送達される必要があるものがある。現在入手することができるpH感受性ポリマーは、胃の酸性環境での放出をなくすことは別として、腸内で薬物を徐々に放出させるものではない。pH依存性薬物を放出する剤形が数多くの疾患の治療に必要であることは周知である。
【0029】
これは現在、pH非依存性親水性または疎水性ポリマーと、pH感受性ポリマーとの組合せを用いて実現されている。このため、複数のポリマーおよび多層構造が不要であるpH依存性薬物送達システムが必要とされている。これは剤形の調製のプロセスを容易にするであろう。本発明は、胃内のpHでの薬物放出を抑制し腸領域内のpHで長時間にわたって薬物を放出する製剤を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
発明の目的
本発明の主な目的は、pH依存性徐放性組成物を提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、pH感受性グラフト共重合体(P)と、治療活性剤と、医薬的に許容可能な成分とを含有するpH依存性徐放性組成物を提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの目的は、胃内のpHでの薬物放出を抑制し腸領域内のpHで長時間にわたって薬物を放出するpH依存性徐放性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
発明の概要
したがって、本発明は、経口投与のための徐放性組成物を提供し、この組成物は、
(a)pH依存性を示し式1を有するグラフト共重合体と、
【0034】
【化1】

【0035】
(b)治療活性剤と、
(c)医薬的に許容可能な成分とを含有し、
グラフト共重合体は、
i.ジオール(A)と、ジカルボン酸または酸無水物(B)と、側鎖(pendent)不飽和を含むモノマー(C)とを含む式P[A(x)(y)(z)]を有する骨格と、
ii.上記グラフト共重合体の総重量の「w」重量パーセントを構成する酸性モノマー(D)のポリマーであるグラフトとで構成され、
モルで(x)=39〜46%、(y)=49〜54%、(z)=5〜8%であり、
「w」は34〜55%である。
【0036】
本発明のある実施の形態において、骨格はポリエステルエーテルまたはポリエステルである。
【0037】
本発明の別の実施の形態において、ジオールは、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールからなる群より選択される。
【0038】
本発明のさらに別の実施の形態において、脂肪族ジオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(Mn〜200)、ポリエチレングリコール(Mn〜400)、ポリエチレングリコール(Mn〜1000)、ポリエチレングリコール(Mn〜2000)、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,12−ドデカンジオールからなる群より選択される。
【0039】
本発明のさらに他の実施の形態において、脂環式ジオールは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
【0040】
本発明のさらに他の実施の形態において、芳香族ジオールはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートである。
【0041】
本発明のさらに他の実施の形態において、ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカンジオン酸からなる群より選択される。
【0042】
本発明のさらに他の実施の形態において、酸無水物は、無水コハク酸および無水フタル酸から選択される。
【0043】
本発明のさらに他の実施の形態において、側鎖不飽和を含むモノマーは、エポキシモノマーまたはジオールモノマーである。
【0044】
本発明のさらに他の実施の形態において、エポキシモノマーはグリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートから選択される。
【0045】
本発明のさらに他の実施の形態において、ジオールモノマーは、トリメチロールプロパンモノメタクリレートおよびトリメチロールプロパンモノアクリレートから選択される。
【0046】
本発明のさらに他の実施の形態において、酸性モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸から選択されるカルボキシル酸である。
【0047】
本発明のさらに他の実施の形態において、治療活性剤は、抗炎症薬、心血管治療薬、抗生物質、鎮痛薬、および抗喘息薬からなる群より選択されるがこれに限定されない。
【0048】
本発明のさらに他の実施の形態において、抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナック、およびナプロキセンからなる群より選択される。
【0049】
本発明のさらに他の実施の形態において、心血管治療薬は、ベラパミル、ニフェジピン、カプトプリル、プロプラノロール、アテノロール、およびジルチアゼムからなる群より選択される。
【0050】
本発明のさらに他の実施の形態において、抗生物質は、アンピシリンおよびセファレキシンから選択される。
【0051】
本発明のさらに他の実施の形態において、鎮痛薬は、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、オキシコドン、およびモルヒネからなる群より選択される。
【0052】
本発明のさらに他の実施の形態において、抗喘息薬は、アミノフィリン、テオフィリン、およびサルブタモールからなる群より選択される。
【0053】
本発明のさらに他の実施の形態において、医薬的に許容可能な成分は、賦形剤、結合剤、潤滑剤、および滑剤からなる群より選択されるがこれに限定されない。
【0054】
本発明のさらに他の実施の形態において、賦形剤は微結晶セルロースおよびラクトース一水和物から選択され、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンから選択され、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムおよび滑石から選択され、滑剤はアエロジルである。
【0055】
本発明のさらに他の実施の形態において、pH感受性のグラフト共重合体は、製剤の総重量の20〜50%を構成する。
【0056】
本発明のさらに他の実施の形態において、治療活性剤は、製剤の総重量の20〜40%を構成する。
【0057】
本発明のさらに他の実施の形態において、医薬的に許容可能な成分は、製剤の総重量の15〜40%を構成する。
【0058】
本発明のさらに他の実施の形態において、医薬的に許容可能な成分は、製剤の総重量のうち、10〜30%の賦形剤、5〜10%の結合剤、0.5〜2%の潤滑剤、および0.2〜1%の滑剤を含む。
【0059】
本発明のさらに他の実施の形態において、徐放性組成物は、剤形が固形の薬剤として製造される。
【0060】
本発明のさらに他の実施の形態において、上記剤形は、pH感受性のグラフト共重合体の任意のコーティングを含む。
【0061】
本発明のさらに他の実施の形態において、上記組成物の調製のためのプロセスは、
I.治療活性剤、pH感受性グラフト共重合体および医薬的に許容可能な成分を、乾式粒状化し混合することにより粒状混合物を得るステップと、
II.ステップ(I)で得られた粒状混合物を圧縮して錠剤にすることによりコア錠剤を得るステップと、
III.pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒に溶解させることにより10%溶液を得るステップと、
IV.ステップ(II)で得られたコア錠剤を、ステップ(III)で得られたpH感受性グラフト共重合体および可塑剤の10%溶液でコーティングすることによりコーティング錠を得るステップと、
V.ステップ(IV)で得られたコーティング錠を乾燥させることにより経口投与のための徐放性組成物を得るステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ジクロフェナックナトリウム徐放性製剤の放出特性である。
【図2】塩酸ジルチアゼム徐放性製剤の放出特性である。
【図3】テオフィリン徐放性製剤の放出特性である。
【図4】アセトアミノフェン徐放性製剤の放出特性である。
【図5】セファレキシン一水和物徐放性製剤の放出特性である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
発明の詳細な説明
本発明は、pH依存性の徐放性組成物を提供し、この組成物は、
(a)pH依存性を示し式1を有するグラフト共重合体と、
【0064】
【化2】

【0065】
(b)治療活性剤と、
(c)医薬的に許容可能な成分とを含有し、
グラフト共重合体は、
(i)(A)ジオールと、(B)ジカルボン酸または酸無水物と、(C)側鎖不飽和を含むモノマーとを含む式P[A(x)(y)(z)]を有する骨格と、
(ii)上記グラフト共重合体の総重量の「w」重量パーセントを構成する酸性モノマー(D)のポリマーであるグラフトとで構成され、
モルで(x)=39〜46%、(y)=49〜54%、(z)=5〜8%であり、
「w」は34〜55%である。
【0066】
骨格はポリエステルまたはポリエステルエーテルである。
ジオール(A)は、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールからなる群より選択される。脂肪族ジオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールMn〜200、ポリエチレングリコールMn〜400、ポリエチレングリコールMn〜1000、ポリエチレングリコールMn〜2000、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,12−ドデカンジオールからなる群より選択される。脂環式ジオールは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。芳香族ジオールはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートである。
【0067】
ジカルボン酸または酸無水物(B)は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、無水コハク酸、および無水フタル酸から選択される。
【0068】
側鎖不飽和を含むモノマー(C)は、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、およびトリメチロールプロパンモノアクリレートから選択される。
【0069】
酸性モノマー(D)は、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される。
この徐放性組成物は治療活性剤を含有し、この治療活性剤は、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナック、およびナプロキセンなどの抗炎症薬、ベラパミル、ニフェジピン、カプトプリル、プロプラノロール、アテノロール、およびジルチアゼムなどの心血管治療薬、アンピシリンおよびセファレキシンなどの抗生物質、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、オキシコドン、およびモルヒネなどの鎮痛薬、アミノフィリン、テオフィリン、およびサルブタモールなどの抗喘息薬からなる群より選択されるがこれに限定されない。
【0070】
この徐放性組成物はまた、賦形剤、結合剤、潤滑剤、および滑剤を含む、医薬的に許容可能な成分を含有する。
【0071】
この徐放性組成物は、錠剤、丸剤、カプセルまたは顆粒剤などの経口投与剤形である。実施の形態の1つにおいて、この組成物は錠剤の形態である。徐放性組成物は、錠剤の総重量の20〜50%の範囲の少なくとも1つの上記pH感受性グラフト共重合体と、20〜40%を構成する治療活性剤と、15〜40%を構成する医薬的に許容可能な成分とを含有する。上記医薬的に許容可能な成分は、錠剤の総重量のうち、10〜30%の賦形剤(たとえば微結晶セルロース、ラクトース一水和物)、5〜10%の結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース5Cps、ポリビニルピロリドンK30)、0.5〜2%の潤滑剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、滑石)、および0.2〜1%の滑剤(たとえばアエロジル)を含む。
【0072】
徐放性組成物は、薬物、pH感受性グラフト共重合体、賦形剤、および結合剤を乾式粒状化することによって調製された。これに潤滑剤と滑剤が加えられ十分に混合された。得られた粒状混合物は圧縮されて錠剤にされた。この錠剤は、上記pH感受性グラフト共重合体のうちいずれか1つの任意のコーティングを含む。たとえば、ある徐放性組成物においては、コーティングのpH感受性グラフト共重合体はコア内のものと同じである。別の場合では、コーティング内のpH感受性グラフト共重合体はコア内のものと異なる。コーティング組成物はまた、上記コーティングの重量の10%の可塑剤(たとえばフタル酸ジ−N−ブチル)を含む。本発明のある局面において、胃内pHでの薬物放出をなくしまたは抑制し、腸領域内のpHで薬物を長時間にわたって放出する、徐放性組成物が提供される。
【0073】
本発明の別の局面において、胃内の酸性環境から薬物を保護することができる徐放性組成物が提供される。
【0074】
本発明の別の局面において、胃炎を引起さない徐放性組成物が提供される。本発明のさらに他の局面において、上記放出特性を得るのに2つ以上のポリマーを必要としないpH依存性徐放性組成物が提供される。
【0075】
実施例では、ジオール、二塩基酸、不飽和モノマーおよび酸性モノマーを、下記の略称を用いて記載する。
【0076】
1,4BD:1,4ブタンジオール、DEG:ジエチレングリコール、1,4CD:1,4シクロヘキサンジメタノール、BHET:ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、SA:コハク酸、SEB:セバシン酸、AA:アジピン酸、DDA:ドデカンジオン酸、PA:無水フタル酸、GMA:グリシジルメタクリレート、TMPMA:トリメチロールプロパンモノメタクリレート、MAA:メタクリル酸。
【0077】
上記モノマーに基づくpH感受性グラフト共重合体の合成については、本明細書にその全体を引用により援用する同時係属中の出願0452DEL2009に記載されている。
【0078】
以下の実施例は、例示だけを目的として示されており、したがって本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない。
【実施例1】
【0079】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性ジクロフェナックナトリウム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は43重量%である。
【0080】
【化3】

【0081】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物ジクロフェナックナトリウム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
(II)ジクロフェナックナトリウムの溶出
ジクロフェナックナトリウムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。ジクロフェナックナトリウムの溶出データを表3に示す。
【0086】
【表3】

【実施例2】
【0087】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性ジクロフェナックナトリウム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は35重量%である。
【0088】
【化4】

【0089】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物ジクロフェナックナトリウム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表5に示す。
【0092】
【表5】

【0093】
(II)ジクロフェナックナトリウムの溶出
ジクロフェナックナトリウムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。ジクロフェナックナトリウムの溶出データを表6に示す。
【0094】
【表6】

【実施例3】
【0095】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性ジクロフェナックナトリウム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は42重量%である。
【0096】
【化5】

【0097】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物ジクロフェナックナトリウム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表7に示す。
【0098】
【表7】

【0099】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表8に示す。
【0100】
【表8】

【0101】
(II)ジクロフェナックナトリウムの溶出
ジクロフェナックナトリウムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。ジクロフェナックナトリウムの溶出データを表9に示す。
【0102】
【表9】

【実施例4】
【0103】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性ジクロフェナックナトリウム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は47重量%である。
【0104】
【化6】

【0105】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物ジクロフェナックナトリウム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表10に示す。
【0106】
【表10】

【0107】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表11に示す。
【0108】
【表11】

【0109】
(II)ジクロフェナックナトリウムの溶出
ジクロフェナックナトリウムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。ジクロフェナックナトリウムの溶出データを表12に示す。
【0110】
【表12】

【実施例5】
【0111】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性塩酸ジルチアゼム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は36重量%である。
【0112】
【化7】

【0113】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物塩酸ジルチアゼム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径13.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表13に示す。
【0114】
【表13】

【0115】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表14に示す。
【0116】
【表14】

【0117】
(II)塩酸ジルチアゼムの溶出
塩酸ジルチアゼムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。塩酸ジルチアゼムの溶出データを表15に示す。
【0118】
【表15】

【実施例6】
【0119】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性塩酸ジルチアゼム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は41重量%である。
【0120】
【化8】

【0121】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物塩酸ジルチアゼム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径13.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表16に示す。
【0122】
【表16】

【0123】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表17に示す。
【0124】
【表17】

【0125】
(II)塩酸ジルチアゼムの溶出
塩酸ジルチアゼムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。塩酸ジルチアゼムの溶出データを表18に示す。
【0126】
【表18】

【実施例7】
【0127】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性塩酸ジルチアゼム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は35重量%である。
【0128】
【化9】

【0129】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物塩酸ジルチアゼム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径13.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表19に示す。
【0130】
【表19】

【0131】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表20に示す。
【0132】
【表20】

【0133】
(II)塩酸ジルチアゼムの溶出
塩酸ジルチアゼムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。塩酸ジルチアゼムの溶出データを表21に示す。
【0134】
【表21】

【実施例8】
【0135】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性塩酸ジルチアゼム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は43重量%である。
【0136】
【化10】

【0137】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物塩酸ジルチアゼム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径13.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表22に示す。
【0138】
【表22】

【0139】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表23に示す。
【0140】
【表23】

【0141】
(II)塩酸ジルチアゼムの溶出
塩酸ジルチアゼムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。塩酸ジルチアゼムの溶出データを表24に示す。
【0142】
【表24】

【実施例9】
【0143】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性塩酸ジルチアゼム錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は34重量%である。
【0144】
【化11】

【0145】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物塩酸ジルチアゼム、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径13.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表25に示す。
【0146】
【表25】

【0147】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表26に示す。
【0148】
【表26】

【0149】
(II)塩酸ジルチアゼムの溶出
塩酸ジルチアゼムの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。塩酸ジルチアゼムの溶出データを表27に示す。
【0150】
【表27】

【実施例10】
【0151】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性テオフィリン錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は34重量%である。
【0152】
【化12】

【0153】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物テオフィリン、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表28に示す。
【0154】
【表28】

【0155】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表29に示す。
【0156】
【表29】

【0157】
(II)テオフィリンの溶出
テオフィリンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。テオフィリンの溶出データを表30に示す。
【0158】
【表30】

【実施例11】
【0159】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性テオフィリン錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は44重量%である。
【0160】
【化13】

【0161】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物テオフィリン、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表31に示す。
【0162】
【表31】

【0163】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表32に示す。
【0164】
【表32】

【0165】
(II)テオフィリンの溶出
テオフィリンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。テオフィリンの溶出データを表33に示す。
【0166】
【表33】

【実施例12】
【0167】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性テオフィリン錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は44重量%である。
【0168】
【化14】

【0169】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物テオフィリン、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表34に示す。
【0170】
【表34】

【0171】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表35に示す。
【0172】
【表35】

【0173】
(II)テオフィリンの溶出
テオフィリンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。テオフィリンの溶出データを表36に示す。
【0174】
【表36】

【実施例13】
【0175】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性アセトアミノフェン錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は34重量%である。
【0176】
【化15】

【0177】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物アセトアミノフェン、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表37に示す。
【0178】
【表37】

【0179】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表38に示す。
【0180】
【表38】

【0181】
(II)アセトアミノフェンの溶出
アセトアミノフェンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。アセトアミノフェンの溶出データを表39に示す。
【0182】
【表39】

【実施例14】
【0183】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性アセトアミノフェン錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は55重量%である。
【0184】
【化16】

【0185】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物アセトアミノフェン、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表40に示す。
【0186】
【表40】

【0187】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表41に示す。
【0188】
【表41】

【0189】
(II)アセトアミノフェンの溶出
アセトアミノフェンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。アセトアミノフェンの溶出データを表42に示す。
【0190】
【表42】

【実施例15】
【0191】
この実施例では、MAAの含有量が40重量%である以下のpH感受性グラフト共重合体(A)をコアに含有し、MAAの含有量が48重量%である以下のpH感受性グラフト共重合体(B)をコーティングに含有する、徐放性アセトアミノフェン錠剤の調製および溶出特性について説明する。
【0192】
【化17】

【0193】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物アセトアミノフェン、pH感受性グラフト共重合体(A)、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表43に示す。
【0194】
【表43】

【0195】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体(B)およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表44に示す。
【0196】
【表44】

【0197】
(II)アセトアミノフェンの溶出
アセトアミノフェンの溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。アセトアミノフェンの溶出データを表45に示す。
【0198】
【表45】

【実施例16】
【0199】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性セファレキシン一水和物錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は46重量%である。
【0200】
【化18】

【0201】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物セファレキシン一水和物、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表46に示す。
【0202】
【表46】

【0203】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表47に示す。
【0204】
【表47】

【0205】
(II)セファレキシン一水和物の溶出
セファレキシン一水和物の溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。セファレキシン一水和物の溶出データを表48に示す。
【0206】
【表48】

【実施例17】
【0207】
この実施例では、コアおよびコーティングに以下のpH感受性グラフト共重合体を含有する徐放性セファレキシン一水和物錠剤の調製および溶出特性について説明する。MAAの含有量は47重量%である。
【0208】
【化19】

【0209】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物セファレキシン一水和物、pH感受性グラフト共重合体、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表49に示す。
【0210】
【表49】

【0211】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表50に示す。
【0212】
【表50】

【0213】
(II)セファレキシン一水和物の溶出
セファレキシン一水和物の溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。セファレキシン一水和物の溶出データを表51に示す。
【0214】
【表51】

【実施例18】
【0215】
この実施例では、MAAの含有量が35重量%である以下のpH感受性グラフト共重合体(A)をコアに含有し、MAAの含有量が49重量%である以下のpH感受性グラフト共重合体(B)をコーティングに含有する、徐放性アセトアミノフェン錠剤の調製および溶出特性について説明する。
【0216】
【化20】

【0217】
(I)徐放性錠剤の調製
(a)コア錠剤の調製
薬物セファレキシン一水和物、pH感受性グラフト共重合体(A)、ラクトース一水和物、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(5Cps)を乾式粒状化した。これにステアリン酸マグネシウムおよびアエロジルを加えて十分に混合した。この粒状混合物を圧縮して直径8.0mmの錠剤にした。錠剤の組成を表52に示す。
【0218】
【表52】

【0219】
(b)コーティング錠の調製
pH感受性グラフト共重合体(B)およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒(クロロホルム/メタノール、1:1v/v)に溶解させて10%溶液を得た。コア錠剤をコーティングし室温で乾燥させた。コーティング錠の組成を表53に示す。
【0220】
【表53】

【0221】
(II)セファレキシン一水和物の溶出
セファレキシン一水和物の溶出をUSPパドル法を用いて50rpmで行なった。錠剤を、最初の2時間は0.1Nの塩酸900mlに晒し、次にpH6.8のリン酸緩衝液に晒した。セファレキシン一水和物の溶出データを表54に示す。
【0222】
【表54】

【0223】
本発明は上記例示的な実施例の詳細事項に限定されないこと、および、本発明はその本質的な属性から離れることなく他の特定の形態でも実施し得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本実施の形態および実施例はすべての点において限定的ではなく例示的であるとみなされることが望ましく、上記記載ではなく請求項を参照し、請求項と均等の意味および範囲の中で生じるすべての変更はしたがってそこに包含されることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0224】
発明の利点
開示されている製剤は、胃内のpHでの薬物放出を抑制し腸領域内のpHで長時間にわたって薬物を放出する。
【0225】
開示されている製剤は、上記のような放出を得るのに2つ以上のポリマーを必要としない。
【0226】
開示されている製剤は、溶解度が異なる薬物に役立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与のための徐放性組成物であって、
a.pH依存性を示し式1を有するグラフト共重合体と、
【化1】

b.治療活性剤と、
c.医薬的に許容可能な成分とを含有し、
前記グラフト共重合体は、
i.ジオール(A)と、ジカルボン酸または酸無水物(B)と、側鎖不飽和を含むモノマー(C)とを含む式P[A(x)(y)(z)]を有する骨格と、
ii.前記グラフト共重合体の総重量の「w」重量パーセントを構成する酸性モノマー(D)のポリマーであるグラフトとで構成され、
モルで(x)=39〜46%、(y)=49〜54%、(z)=5〜8%であり、
「w」は34〜55%である、徐放性組成物。
【請求項2】
前記骨格はポリエステルエーテルまたはポリエステルである、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項3】
前記ジオールは、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、および芳香族ジオールからなる群より選択される、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項4】
前記脂肪族ジオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(Mn〜200)、ポリエチレングリコール(Mn〜400)、ポリエチレングリコール(Mn〜1000)、ポリエチレングリコール(Mn〜2000)、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,12−ドデカンジオールからなる群より選択される、請求項3に記載の徐放性組成物。
【請求項5】
前記脂環式ジオールは1,4−シクロヘキサンジメタノールである、請求項3に記載の徐放性組成物。
【請求項6】
前記芳香族ジオールはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートである、請求項3に記載の徐放性組成物。
【請求項7】
前記ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカンジオン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項8】
前記酸無水物は、無水コハク酸および無水フタル酸から選択される、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項9】
前記側鎖不飽和を含むモノマーは、エポキシモノマーまたはジオールモノマーである、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項10】
前記エポキシモノマーは、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートから選択される、請求項9に記載の徐放性組成物。
【請求項11】
前記ジオールモノマーは、トリメチロールプロパンモノメタクリレートおよびトリメチロールプロパンモノアクリレートから選択される、請求項9に記載の徐放性組成物。
【請求項12】
前記酸性モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸から選択されるカルボキシル酸である、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項13】
前記治療活性剤は、抗炎症薬、心血管治療薬、抗生物質、鎮痛薬、および抗喘息薬からなる群より選択されるがこれに限定されない、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項14】
前記抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナック、およびナプロキセンからなる群より選択される、請求項13に記載の徐放性組成物。
【請求項15】
前記心血管治療薬は、ベラパミル、ニフェジピン、カプトプリル、プロプラノロール、アテノロール、およびジルチアゼムからなる群より選択される、請求項13に記載の徐放性組成物。
【請求項16】
前記抗生物質は、アンピシリンおよびセファレキシンから選択される、請求項13に記載の徐放性組成物。
【請求項17】
前記鎮痛薬は、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、オキシコドン、およびモルヒネからなる群より選択される、請求項13に記載の徐放性組成物。
【請求項18】
前記抗喘息薬は、アミノフィリン、テオフィリン、およびサルブタモールからなる群より選択される、請求項13に記載の徐放性組成物。
【請求項19】
前記医薬的に許容可能な成分は、賦形剤、結合剤、潤滑剤、および滑剤からなる群より選択されるがこれに限定されない、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項20】
賦形剤は微結晶セルロースおよびラクトース一水和物から選択され、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンから選択され、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムおよび滑石から選択され、滑剤はアエロジルである、請求項19に記載の徐放性組成物。
【請求項21】
pH感受性のグラフト共重合体は、製剤の総重量の20〜50%を構成する、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項22】
治療活性剤は、製剤の総重量の20〜40%を構成する、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項23】
医薬的に許容可能な成分は、製剤の総重量の15〜40%を構成する、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項24】
医薬的に許容可能な成分は、製剤の総重量のうち、10〜30%の賦形剤、5〜10%の結合剤、0.5〜2%の潤滑剤、および0.2〜1%の滑剤を含む、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項25】
前記徐放性組成物は、剤形が固形の薬剤として製造される、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項26】
前記剤形は、pH感受性の前記グラフト共重合体の任意のコーティングを含む、請求項25に記載の徐放性組成物。
【請求項27】
前記組成物の調製のためのプロセスは、
I.治療活性剤、pH感受性グラフト共重合体および医薬的に許容可能な成分を、乾式粒状化し混合することにより粒状混合物を得るステップと、
II.ステップ(I)で得られた粒状混合物を圧縮して錠剤にすることによりコア錠剤を得るステップと、
III.pH感受性グラフト共重合体およびフタル酸ジ−N−ブチルを混合溶媒に溶解させることにより10%溶液を得るステップと、
IV.ステップ(II)で得られたコア錠剤を、ステップ(III)で得られたpH感受性グラフト共重合体および可塑剤の10%溶液でコーティングすることによりコーティング錠を得るステップと、
V.ステップ(IV)で得られたコーティング錠を乾燥させることにより経口投与のための徐放性組成物を得るステップとを含む、請求項1から26のうちのいずれか1項に記載の徐放性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519725(P2012−519725A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553539(P2011−553539)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000459
【国際公開番号】WO2010/103365
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(508176500)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (27)
【Fターム(参考)】