説明

治療薬を送達するナノクラスター

【課題】本発明は、(1)例えば、取扱い、投与、もしくはターゲティングを促進するためにナノ粒子をナノクラスターとして調製すること;および(2)標的部位で前記クラスターを維持する、または前記ナノ粒子を分散させることのできる効果的な薬物送達システムを提供することによって、当技術分野における欠陥を克服する。
【解決手段】本発明は、複数のナノ粒子を含むナノクラスターを開示する。かかるナノ粒子は、環境信号に応答して分散することができる。さらに、被験者における疾患または状態を予防、治療、または診断する方法であって、本発明のナノクラスターを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含む方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年12月16日に出願された米国仮特許出願第60/751,172号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、概して被験者へ有効成分を輸送するために使用できる送達ビヒクルに関する。特定の態様において、かかる送達ビヒクルは、予防的または治療的用途に使用できるナノクラスターであり得る。
【背景技術】
【0002】
世界中の何百万人という人々が、治療薬および/または予防薬の効果的送達があれば、その利益が得られるであろう広範囲の疾患または状態に苦しんでいる。それらの疾患または状態の例として、肺疾患、循環器疾患、筋疾患、骨疾患、癌などがある。
【0003】
薬物送達ビヒクルとしてのナノ粒子の使用は、様々な適応症のために利用されてきた(非特許文献1)。例えばナノ粒子は、難水溶性薬剤の溶解を改善して細胞内および細胞周囲両方への薬物の輸送を強化することが証明されている。さらに、文献は、プラスミドDNAは、DNAと混合されるとナノ粒子を形成するポリカチオン性ポリマーによって効果的に送達することができ、遺伝子発現の強化を生じさせることを指摘している(非特許文献2)。ナノ粒子媒介性遺伝子療法に関する研究努力も、嚢胞性線維症などの遺伝性疾患を治療することを対象としている(非特許文献3)。
【0004】
大多数のナノ粒子調製物は、細胞レベルで作用するように設計されている。これは、適切な細胞標的へのナノ粒子の効率的送達を前提としている。しかし、現行のナノ粒子治療選択肢は、細胞標的へ接近する能力において制限されている。例えば、2つの研究グループは現在、肺上皮へのナノ粒子送達の様式としてマイクロカプセルに封入したナノ粒子について調査している(非特許文献4、非特許文献5)。これらの努力は、微粒子のサイズや分布を制御することが一般にできないこと、そして大量の治療用ナノ粒子を送達する困難さによって妨害されている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,669,961号
【特許文献2】米国特許公開第2003/0138490号
【特許文献3】米国特許第5,011,681号
【特許文献4】米国特許第4,421,769号
【特許文献5】米国特許第3,755,560号
【特許文献6】米国特許第6,117,915号
【特許文献7】米国特許第5,019,400号
【非特許文献1】John 2003
【非特許文献2】Kumar 2003
【非特許文献3】Griesenbach 2004
【非特許文献4】Sham 2004
【非特許文献5】Grenha 2005
【非特許文献6】McCutcheon’s Emulsifiers & Detergents(2001)
【非特許文献7】Physician’s Desk Reference 2000, 54th Edition, ISBN:1563633302
【非特許文献8】AHFS 99 Drug Information, Amer. Soc. of Health System, ISBN:1879907917
【非特許文献9】Berkland 2001
【非特許文献10】Berkland 2002
【非特許文献11】Berkland 2004
【非特許文献12】LEO 1550
【非特許文献13】Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990
【非特許文献14】Stewart and Young,(1984)
【非特許文献15】Tam et al,(1983)
【非特許文献16】Merrifield,(1986)
【非特許文献17】Barany and Merrifield(1979)
【非特許文献18】Houghten(1985)
【非特許文献19】Wittaya−Areekulら、2002
【非特許文献20】Kazzazら、2000
【非特許文献21】Mainardesら、2005
【非特許文献22】el−Araudら、1998
【非特許文献23】Geller 2002
【非特許文献24】Geller 2003
【非特許文献25】Marier 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、(1)例えば、取扱い、投与、もしくはターゲティングを促進するためにナノ粒子をナノクラスターとして調製すること;および(2)標的部位で前記クラスターを維持する、または前記ナノ粒子を分散させることのできる効果的な薬物送達システムを提供することによって、当技術分野における欠陥を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、複数のナノ粒子を含むナノクラスターを開示する。特定の非限定的態様では、ナノクラスターは、標的部位で維持される(例えば、ナノクラスターは、別個のナノ粒子に分散しない)。他の態様では、ナノ粒子は、環境信号に応答して分散する。特定の非限定的な実施形態では、ナノクラスターは、約1〜約200ミクロンのサイズを有していてよい。特定の態様では、ナノクラスターのサイズは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200ミクロンである。他の態様では、ナノクラスターのサイズは、200ミクロンより大きくてよい(例えばサイズが210、220、230、240、250、300、350、400、450、500、600、700ミクロン以上)。本発明のナノクラスターは、さらにまた様々な形状(例えば球形および非球形)を有していてよい。特定の実施形態では、ナノクラスターは、中実であっても、または中空であってもよい。当業者であれば、中実であるナノクラスターは全体が完全に中実であってよい、またはナノクラスター内にナノ粒子を充填することによって作り出される孔隙もしくは中空コアなどの間隙を有していて良いことを認識できよう。これらの充填間隙のサイズは、非限定的態様では、約1nm〜約1,000nmであってよい。特定の態様では、充填間隙のサイズは、非限定的態様において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000nm(ナノメートル)以上であってよい。中空ナノクラスターは、空間もしくは空洞を有していてよい。空洞のサイズは、非限定的態様では、約50nm〜約20μmの間で変動してよい。例えば、空洞のサイズは、50、100、150、200、250、300、3500、400、450、500、550、600、650、700、750、800、...20μm、およびそれらの間から導き出される任意の範囲内であってよい。
【0008】
ナノクラスター内に含まれるナノ粒子は、一部の実施形態では、ナノ粒子上の官能基によって共に保持され(例えば、付着もしくは化学結合(例えば共有結合、非共有結合、ファン・デル・ワールス力))はしない。ナノ粒子は、一部の態様では相互に直接的に接触させることができる。他の態様では、ナノ粒子は、相互に直接的には接触していない。本発明の特定の実施形態では、ナノ粒子は封入されていない。他の実施形態では、ナノ粒子は官能基を含んでいない。しかし他の態様では、ナノ粒子は、例えばカルボキシル、スルヒドリル、ヒドロキシル、もしくはアミノ基などの官能基を含むことができる。他のナノ粒子を共に、有効成分をナノ粒子の表面に、または他の化合物に結合させるために使用できる全てのタイプの官能基は、本発明を用いる場合に有用であると考えられる。
【0009】
特定の実施形態では、ナノクラスターは、有効成分を含むことができる。本発明の状況において有用であると考えられる有効成分の非限定的な例には、当業者には周知のもの、及び本明細書を通じて記載されたものが含まれる。例示として、有効成分は、医薬品および予防薬などの専門薬、例えばワクチン、診断薬、例えば様々なタイプのトレーサーおよびイメージング・エンハンサー、治療薬、例えば小分子(例えば核酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)、薬物、ペプチド、放射線、免疫調節剤、ワクチンおよびウイルスベクター、ならびにこれらのクラスの組み合わせを含むことができる。ナノ粒子は、特定の実施形態、例えばガス解毒薬などの生理化学的物質などの呼吸用非医用専門薬、例えば常磁性体などの生物物理学的調節剤、例えば電磁波放射体などの放射体、およびイメージング・エンハンサーを含むことができる。有効成分は、特定の実施形態では、ナノ粒子と結び付けることができる。例えば、有効成分は、ナノ粒子に巻き込む、包埋する、組み込む、封入する、表面に結合させる(例えば、共有もしくは非共有的に結合させる)、またはさもなければナノ粒子と結び付けることができる。特定の好ましい態様では、有効成分は、ナノ粒子である。他の態様では、ナノ粒子は、ポリマー材料(例えば、生分解性および非生分解性ポリマー)を含むことができる。使用できるポリマー材料の非限定的な例には、当業者には周知のもの、及び本明細書を通じて記載するものが含まれる。特定の実施形態では、ナノ粒子は、ポリマーおよび有効成分の混合物を含むことができる。
【0010】
他の非限定的な実施形態では、ナノクラスターもしくはナノ粒子、またはその両方は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ以上の異なる有効成分を含むことができる。1つの好ましい実施形態では、ナノクラスターもしくはナノ粒子には、その表面上に第1薬、およびナノクラスターもしくはナノ粒子内に封入された第2有効成分またはナノクラスターもしくはナノ粒子材料に組み込まれた他の成分を含んでいる。ナノクラスターは、特定の環境において、または特定の期間後に制御された方法で有効成分を遊離できることが意図されている。例えば、少なくとも1つの有効成分を有するナノクラスターは、環境信号に応答して、または規定量の時間の後に遊離させることができる。同様に単に例示として、少なくとも2つの異なる有効成分を有するナノクラスターは、異なる環境信号に応答して、または規定量の時間の後に遊離させることができる。例えば、第1有効成分を最初に遊離させることができ、次に第2有効成分を2番目に遊離させることができる。特定の非限定的な態様では、第1有効成分の遊離は、第2有効成分の性能を改善することができる。
【0011】
他の特定の態様では、本発明のナノクラスターは、複数のナノ粒子を共に保持する、および/または環境信号に応答してナノ粒子を分散させる分散材料を含むことができる。本発明と共に使用できる分散材料は、当業者には周知の材料および本明細書を通じて開示する材料を含んでいる。分散材料の非限定的な例には、液体感受性材料(例えば水溶性材料(例えばポリマー))、生分解性ポリマー、高分子電解質、金属、界面活性剤、ポリマー架橋剤、小分子架橋剤、pH感受性材料、感圧性材料、酵素感受性材料、および温度感受性材料が含まれる。本発明とともに使用できる環境信号の非限定的な例には、液体(例えば水、血液、粘液、溶媒など)、選択されたpH範囲、選択された温度範囲、電流、選択されたイオン強度、圧力、選択された酵素の存在、タンパク質、化学薬品、電磁波長範囲(例えば可視光線、UV線、赤外線、紫外線、マイクロ波、X線、およびγ線)または外力の存在(例えば剪断、振動など)が含まれる。特定の態様では、分散材料は、ナノクラスター形成の前後にナノ粒子の表面上へ被覆することができる。特定の実施形態では、分散材料は、ナノ粒子間に存在してよい、またはナノ粒子を共に連結する(例えば共有的もしくは非共有的に第1ナノ粒子を第2ナノ粒子へ結合させる)ことができる。分散材料は、ナノ粒子へ付着させる、または共有的もしくは非共有的に結合させることができる。
【0012】
本発明の特定の実施形態では、ナノクラスターは、重量もしくは体積で約1%〜約99%のナノ粒子または分散材料を含むことができる。ナノクラスターは、また完全に(すなわち、100%)ナノ粒子から製造することもできる。好ましい実施形態では、ナノクラスターは、約10%〜約90%、15%〜約80%、20%〜約70%、30%〜約60%、および約40%〜約50%のナノ粒子または分散材料を含んでいる。特定の実施形態では、ナノクラスターは、少なくとも50%のナノ粒子または分散材料を含んでいる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、本発明のナノクラスターを含む組成物である。特定の非限定的な態様における組成物は、複数の(少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500個以上のナノ粒子を有していてよい。本組成物は、有効成分をさらに含むことができる。本明細書を通じて考察するように、本組成物は、ドライパウダー、エアロゾル、スプレー剤、錠剤、または液剤に調製することができる。本発明の組成物は、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の本発明のナノクラスターを含むことができる。特定の態様では、本発明の組成物は、複数の同一もしくは類似のナノクラスターを含むことができる。他の態様では、本発明の組成物は、相違する特性(例えば異なる有効成分が付着している、異なる形状、中空もしくは中実であるなど)を有する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上のナノクラスターを含むことができる。本発明の組成物は、医薬上許容される担体内に調製することができる。
【0014】
さらなる実施形態では、被験者における疾患もしくは状態を予防もしくは治療する方法であって、本組成物を必要とする被験者(例えばヒト、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、もしくは任意の他の哺乳動物および非哺乳動物)に本発明のナノクラスターを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含む方法を開示する。本方法は、被験者が予防もしくは治療を必要とするかどうかを決定する方法をさらに含むことができる。疾患もしくは状態は、当業者には周知の、または本明細書を通じて考察する全てのタイプの疾患もしくは状態を含むことができる。特定の好ましい態様では、疾患もしくは状態は、肺関連疾患もしくは状態(例えば一般的な風邪、インフルエンザ、嚢胞性線維症、肺気腫、喘息、結核、重症急性呼吸器症候群、肺炎、肺癌など)、循環器疾患もしくは状態、筋疾患もしくは状態、骨疾患もしくは状態、感染症、癌などであってよい。特定の実施形態では、本方法は、疾患を治療もしくは予防するために使用される第2療法の投与(例えば併用療法)を含むことができる。好ましい実施形態では、本発明の組成物は経鼻投与される。当業者には周知の、または本明細書において考察される他の投与様式もまた意図されている。特定の態様では、本組成物内のナノクラスターは、肺深部(例えば肺の細気管支もしくは肺胞領域)へ送達される。
【0015】
本発明の特定の好ましい態様では、本発明のナノクラスターを使用するとワクチンもしくはワクチンの成分を送達することができる。例えば、免疫系の細胞、詳細にはマクロファージおよび樹状細胞が免疫のための標的である。これらの「プロフェッショナル」抗原提示細胞(APC)は、ワクチン成分に対する所望のT細胞応答を引き出すことができる。APCは、典型的には1〜10μmの範囲内で粒子の食作用を行うことができる。ワクチン成分を含有するこのサイズ範囲内のナノクラスターもしくはナノ粒子を生成することによって、APCへのワクチンの送達を受動的にターゲティングすることができる。例えば特許文献1は、このプロセスの非限定的な説明を提供している。
【0016】
本発明のナノクラスターは、特定の質量密度もさらに有することができる。特定の好ましい実施形態では、例えば、質量密度は、0.1g/cm以上、または未満であってよい。特定の実施形態では、本発明のナノクラスターの質量密度は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0g/cm以上であってよい。
【0017】
さらに:(i)複数のナノ粒子を入手する工程と;(ii)(所望の場合は)分散材料を入手する工程と;および(iii)(i)および(ii)を混合する工程であって、前記混合物はナノクラスターに調製される工程と、を含むナノクラスターを調製する方法も開示する。特定の態様では、複数のナノ粒子を入手する工程は:(i)ナノ粒子の水性懸濁液を入手する工程と;(ii)前記懸濁液を非水相に乳化する工程と;(iii)水性懸濁液中の水を非水相中に同化させる工程と;(iv)ナノ粒子を共に凝集させる工程と;および(v)凝集したナノ粒子を回収する工程と、を含んでいる。他の非限定的な実施形態では、複数のナノ粒子を入手する工程は:(i)ナノ粒子の非水性懸濁液を入手する工程と;(ii)前記懸濁液を水相に乳化する工程と;(iii)非水性懸濁液中の液体を水相中に同化させる工程と;(iv)ナノ粒子を共に凝集させる工程と;および(v)凝集したナノ粒子を回収する工程と、を含んでいる。本明細書に開示の方法は、当業者には自明な他の方法(例えばエマルジョン/溶媒蒸発法、抽出法、噴霧乾燥法、噴霧凍結乾燥法、溶液中での自己集合など)とともに非限定的な方法を表している。特定の態様では、ナノクラスターは、噴霧乾燥法および/または凍結乾燥法を使用せずに溶液中で調製できることが意図されている。ナノクラスターは、当業者には周知の凍結乾燥法または噴霧乾燥法を用いて溶液から回収できることもまた意図されている。本明細書を通じて言及するように、ナノクラスターは、組成物内に含むことができる。本組成物は、非限定的な実施形態では、液剤、スプレー剤、エアロゾル、またはドライパウダーに調製することができる。
【0018】
さらに、必要とする被験者に有効成分を送達する方法であって、本発明のナノクラスターおよび有効成分を含む組成物を入手する工程と、および前記被験者に前記組成物を投与する工程とを含む方法を開示する。非限定的な態様では、有効成分は、ナノ粒子内に封入されている、ナノ粒子材料内に組み込まれている、ナノ粒子に抱合されている、ナノ粒子に吸収もしくは結合されている。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、ナノクラスターを調製する方法であって:(i)第1ナノ粒子および第2ナノ粒子を入手する工程と;および(ii)前記第1および第2ナノ粒子を混合する工程であって、前記ナノ粒子が自己集合してナノクラスターを形成する工程と、を含む方法を開示する。前記第1および第2ナノ粒子は、例えば、疎水特性、親水特性、またはその両方の混合を有することができる。他の態様では、第1もしくは第2ナノ粒子は、静電荷を有することができる。例えば、第1ナノ粒子は正に荷電していてよく、第2ナノ粒子は負に荷電していてよい、またはその逆であってもよい。自己集合は、特定の実施形態では、第1および第2ナノ粒子間の静電相互作用に基づいてよい。他の非限定的な態様では、自己集合は、第1および第2ナノ粒子間の疎水性もしくは親水性相互作用に基づいてよい。第1および第2ナノ粒子は、特定の実施形態では、溶液中で自己集合してナノクラスターを形成することができる。特定の態様では、ナノクラスターの調製は、噴霧乾燥法および/または凍結乾燥法の使用を必要としない;むしろナノクラスター形成が溶液中で発生することができる。ナノクラスターは、当業者には周知の凍結乾燥法または噴霧乾燥法を用いて溶液から回収することができる。他の態様では、ナノクラスターを調製する方法は、分散材料を入手する工程と、前記分散材料と前記第1および第2ナノ粒子とを混合する工程とをさらに含むことができる。
【0020】
本発明が開示するものは、ナノ粒子をナノクラスターに形成する工程を含む、ナノ粒子を保存する方法である。前記ナノ粒子は、例えば、液剤、スプレー剤、およびエアロゾル、またはドライパウダーとして保存できる。ナノ粒子を保存する方法は、ナノクラスターをナノ粒子に戻す工程をさらに含むことができる。特定の態様では、ナノクラスターをナノ粒子へ戻す工程は、ナノクラスターに環境信号を受信させる工程を含むことができる。上記および本明細書を通じて言及したように、環境信号の非限定的な例には、水、選択されたpH、選択された温度、選択された酵素、選択された化学薬品、選択された電磁波長範囲、振動、もしくは剪断を含むことができる。特定の態様では、ナノクラスターは、複数のナノ粒子を共に保持する、および/または環境信号に応答してナノ粒子を分散させる分散材料を含むことができる。分散材料の非限定的な例には、水溶性ポリマー、生分解性ポリマー、高分子電解質、金属、ポリマー架橋剤、小分子架橋剤、pH感受性材料、界面活性剤、または温度感受性材料が含まれる。
【0021】
本明細書で論じる任意の実施形態は、本発明の任意の方法または組成物において実行でき、逆の場合もまた同様であることが意図されている。さらに、本発明の組成物を使用すると本発明の方法を達成できる。
【0022】
用語「阻害する」、「減少する」、もしくは「予防」、またはこれらの用語の任意の変形は、添付の請求の範囲および/または本明細書において使用した場合に、所望の結果を達成するために任意の測定可能な減少または完全な阻害を含んでいる。
【0023】
本明細書および/または請求の範囲において使用する用語「有効な」は、所望の予測され、または意図した結果を達成するために適正であることを意味する。
【0024】
用語「1つの」の使用は、添付の請求の範囲および/または本明細書における用語「含む」と結び付けて使用した場合は「1つ」を意味するが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは2つ以上」の意味と一致することもある。
【0025】
用語「約」もしくは「およそ」は、当業者には理解されるように近い数値であると規定されている。1つの非限定的な実施形態では、これらの用語は10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、および最も好ましくは0.5%以内であると規定されている。
【0026】
請求の範囲における用語「または」の使用は、代替案だけを意味すること、または代替案が互いに矛盾することを明確に指示しない限り「および/または」を意味しているが、本開示は、代替案だけ、および「および/または」を意味する定義を支持している。
【0027】
本明細書および請求の範囲において使用するように、用語「含む」(および例えば「含む」および「含んでいる」などの「含む」の任意の形状)、「有する」(「有する」および「有している」などの「有する」の任意の形状)、「包含する」(および「包含する」および「包含している」などの「包含する」の任意の形状)または「含有する」(および「含有する」および「含有している」などの「含有する」の任意の形状)は、包括的もしくは非制限的に、追加的又は列挙されていない要素、もしくは方法工程を排除するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の他の目的、特徴および長所は、以下の詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および実施例は本発明の特定の実施形態を示すものであるが、それらは単に例示のために提供されていることを理解されたい。さらに、本発明の精神および範囲内の変更および変形は、この詳細な説明から当業者には明らかとなることが意図されている。
【0029】
添付の図面は本明細書の一部を成し、本発明の特定の態様を詳細に例示するために本明細書に含まれる。本発明は、本明細書に示す特定の実施形態についての詳細な説明と結び付けて1つ以上のそれらの図面を参照することにより、さらに明確に理解することができよう。
【0030】
今日の薬物送達治療選択肢は、標的部位への有効成分の非効率的な送達に起因してしばしば有効で無くなることがある。現在の薬物送達系の多くは、特別に標的部位へ接近するそれらの能力もしくは効率が限定されている。ナノ粒子は薬物(例えば、難溶性APIの改良された溶解、細胞内および細胞間輸送など)を送達するためのいくつかの長所を提供するが、例えば、ナノ粒子の使用は、薬物作用部位へのナノ粒子を送達する不能力によって妨害されることがある(例えば、乾燥したナノ粒子は肺内に効率的に沈着するには小さすぎ、APCなどによる検出を回避することができる)。さらに、ナノ粒子は、工業規模で取り扱うのはしばしば困難であり、制御されたクラスタリングプロセスは取扱いを容易にして、薬物を送達するためのナノ粒子もしくはナノクラスターの容易な再構成および調製を可能にする。
【0031】
本発明のナノ粒子を使用すると、有効成分を標的部位へ送達することができる。開示のナノクラスターおよびナノ粒子のサイズおよび分布は、所望の投与経路のために、および/または特定の疾患もしくは状態を治療するために設計することができる。一態様では、例えば、ナノクラスターは、ナノクラスターによって標的部位へナノ粒子を運ぶことのできる効果的かつ効率的な薬物送達系を提供する。特定の態様では、ナノクラスターは、標的部位で維持される。他の態様では、ナノクラスターは、標的部位でナノ粒子を分散させることができる。さらに、ナノクラスターは、標的部位に治療用ナノ粒子もしくは有効成分を運ぶため、そして調節可能に遊離させるために適切な物理化学的特性を備えて調製することができる。
【0032】
本発明のさらなる態様は、当業者には周知の標準的噴霧乾燥法および/または凍結乾燥法を用いずに溶液中でナノクラスターを調製できることにある。
【0033】
以下のセクションでは、本発明のこれらやその他の態様についてさらに詳細に説明する。
【0034】
A.ナノクラスター
特定の非限定的な態様では、本発明のナノクラスターは、複数のナノ粒子を共に保持する分散材料を含む、または含まない複数のナノ粒子を含むことができる。分散材料は、環境信号に応答してナノ粒子を分散させるために使用することもできる。有効成分は、ナノクラスター内に組み込むこともできる。他の態様では、ナノ粒子は、有効成分であってよい。例えば、図1は、治療用ナノ粒子および分散材料を有するナノクラスターを示す。この送達系は、例えば薬物溶解性、生体内利用率、生物学的障壁を通しての輸送、細胞内送達などの改善などのナノ粒子の利益を伴って、送達のために適切なサイズにされた粒子クラスターの長所(例えば肺、鼻腔、消化管内のM細胞、抗原提示細胞による取り込みなど)を提供する。本明細書を通じてより詳細に記載するように、分散材料の性質を変化させると、環境的に反応性のナノ粒子送達系および/またはバイオセンサーの開発が許容になる。さらに、クラスター内のナノ粒子の特別な配列は、有効成分の持続期間および濃度に関する離散制御を許容することができ、これは、クラスター形成前の各ナノ粒子タイプの独立した調製によってさらに促進できる概念である。
【0035】
本発明者らは、広範囲のナノ粒子材料からナノクラスターを調製すること、そして水溶液中の構成要素のナノ粒子中へのクラスターの分散を制御することに成功した(以下の実施例1〜3を参照されたい)。1つの非限定的な態様では、本発明者らは、脱イオン水中のナノ粒子のコロイド状懸濁液を入手し、引き続いてオクタノール中で乳化した。分散した液滴中の水は、次にオクタノール相中に同化する。ナノ粒子は、ナノ粒子の凝集体が残存するまで水が個々の液滴から抽出されるように緊密に詰まることができる(図2)。液滴のサイズは、特定の非限定的な実施形態では、液滴内のナノ粒子の濃度に依存して、結果として生じるナノクラスターのサイズを制御するための鋳型として機能できる。他の態様では、図2においてクラスター化したナノ粒子は、疎水性力、クーロン力、および/またはファンデルワールス力によって結合させることができ、水性媒体中への分散に抵抗することができる。
【0036】
以下のサブセクションでは、本発明のナノクラスターのこれらやその他の態様についてさらに詳細に説明する。
【0037】
1.ナノ粒子
ナノ粒子は、そのサイズがnmで測定される顕微鏡的粒子である。好ましい実施形態では、本発明のナノ粒子は、約1〜約3,000nmのサイズを有する。より特定の態様では、本ナノ粒子は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、もしくは3,000nm以上、またはそれらから導き出せる任意の範囲内のサイズを有している。
【0038】
本発明のナノ粒子のためには、無機および有機材料を含む、全てのタイプの材料および構造を使用できる。これらの材料および構造の非限定的な例には、有効成分(明細書を参照されたい)、ポリマーソーム、リポソーム、およびポリプレックスが含まれる。追加の非限定的な材料には、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(ホスファゼン)およびその他が含まれる。好ましい態様では、本材料は、生分解性ポリマーであるポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)である。PLGAは、薬物送達のために明確に研究されたポリマーであり、多数のインビボ用途のためにFDAから承認されている。その他の非限定的な材料には、例えば、ポリエステル(ポリ(乳酸)、ポリ(L−リシン)、ポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)など)、ポリ(乳酸−co−リシン)、ポリ(乳酸−グラフト−リシン)、ポリ無水物(ポリ(脂肪酸ダイマー)、ポリ(フマル酸)、ポリ(セバシン酸)、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)、これらのモノマーのコポリマーなど)、ポリ(無水物−co−イミド)、ポリ(アミド)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(リン酸塩)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)およびその他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(アクリレート)、ポリアセタール、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(スチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリ酸化エチレン、コポリマー、ポリスチレン、およびそれらの混合物もしくはコポリマーが含まれる。特定の好ましい態様では、ナノ粒子には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンイミン、キトサン、キチン、デキストラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ゼラチンなど、ならびにそれらの誘導体、コポリマー、および混合物が含まれる。ナノ粒子を製造する非限定的な方法は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献2に記載されている。
【0039】
特定の実施形態では、ナノ粒子は有効成分と結び付ける(例えばナノ粒子に巻き込む、包埋する、組み込む、封入する、表面に結合する、またはさもなければナノ粒子と結び付ける)ことができる。特定の好ましい態様では、有効成分は、ナノ粒子である。好ましいが非限定的な態様では、有効成分は、純粋薬物(例えば結晶化もしくは超臨界液体によって加工処理された薬物)、封入された薬物(例えばポリマー)、表面に結び付けられた薬物(例えばナノ粒子表面に吸収もしくは結合されている薬物)、複合薬物(例えばナノ粒子を形成するために使用される材料と結び付けられている薬物)などの薬物である。
【0040】
本発明のナノ粒子は、特定の実施形態では、官能基を含んでいない。しかし他の態様では、前記ナノ粒子は、例えばカルボキシル、スルヒドリル、ヒドロキシル、もしくはアミノ基などの官能基を含むことができる。他のナノ粒子を共に、有効成分をナノ粒子の表面に、または他の化合物に結合させるために使用できる全てのタイプの官能基は、本発明を用いる場合に有用であることが意図されている。例えば、官能基は、薬物(共有もしくは静電)結合のために利用できる。
【0041】
2.分散材料
本発明の特定の態様では、分散材料はいくつかの機能を果たすことができる。例えば、分散材料は、ナノ粒子を分散材料によって相互に保持する(例えば付着させる)または化学結合(例えば共有結合、非共有結合、ファンデルワールス力)させるために使用できる。他の態様では、分散材料は、環境信号に応答して標的部位でナノ粒子を分散させることができる。この分散は、例えば、分散材料が崩壊する、分解する、またはナノ粒子を共に保持することがもはやできないような方法でその他に変化する場合に発生できる。
【0042】
本発明と共に有用であるものとして意図されている分散材料の非限定的な例には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、およびそれらのアナログなどの液体感受性材料(水溶性材料)、糖エステル、糖エーテル、ショ糖グリセリド(例えばショ糖、キシリトールおよびソルビトール)など、生分解性ポリマー(ナノ粒子調製物のためのポリマーのリストを参照されたい)、デキストラン硫酸、ポリエチレンイミン、キトサン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ポリ(L−リシン)などの高分子電解質、金属(カルシウム、亜鉛など)、ポリマー架橋剤(ポリメタクリレートもしくはこの官能基を備える類似の誘導体、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(ホスホロチオエート)、ポリ(プロピレンフマル酸)−ジアクリレートなど、および/または適切な末端もしくは側鎖反応性基を備えるポリマー、2−メチレン−l,3−ジオキセパン、グルタルアルデヒド、ジチオビススクシンイミジルプロピオネートなどの小分子架橋剤(ジエポキシド、二酸、ジアミンなど)、ポリ(γ−グルタミン酸)などのpH感受性材料、ポリ(アミノ酸)(ペプチド、タンパク質など)様ポリ(N−置換α/βアスパラギン)、多糖類、脂質、油などの酵素感受性材料、ならびに(2−ヒドロキシメチルメタクリレート)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2−エチルアクリル酸−co−N−[4−(フェニルアゾ)フェニル]メタクリルアミド)、ナノ粒子形成材料として上記で言及した材料に加えてこれらのコポリマーもしくは混合物を含むアクリル酸もしくはアクリルアミドならびに関連ポリマーを含むポリマー、および界面活性剤が含まれる(例えば非イオン性、カチオン性、アニオン性、クリプトアニオン性、および両性イオン性界面活性剤が含まれる(非特許文献6;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6を参照されたい)。界面活性剤の非限定的な例には、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビトールのエステル、ソルビタン無水物のエステル、カルボン酸コポリマー、グルコースのエステルおよびエーテル、エトキシ化エーテル、エトキシ化アルコール、アルキルホスフェート、ポリオキシエチレンリン酸脂肪エーテル、脂肪酸アミド、アシルラクチレート、石けん、TEAステアレート、DEAオレス−3ホスフェート、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、ステアレス−2、ステアレス−20、ステアレス−21、セテアレス−20、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、セチルホスフェート、セチルホスフェートカリウム、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ステアリン酸グリセリル、PEG−100ステアレート、チロキサポール、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、プルロニック−68、およびそれらの混合物が含まれる。
【0043】
分散材料がもはやナノ粒子を共に保持できなくなることを引き起こせる環境信号の非限定的な例には、液体(例えば水、血液、粘液、溶媒など)、選択されたpH範囲、選択された温度範囲、電流、選択されたイオン強度、圧力、選択された酵素の存在、タンパク質、DNA、化学薬品、電磁波長範囲(例えば可視光線、UV線、赤外線、紫外線、マイクロ波、X線、およびγ線)または外力の存在(例えば剪断、振動など)が含まれる。
【0044】
3.有効成分
特定の非限定的な態様では、本発明のナノクラスターは、有効成分を含むことができる。有効成分には、所望の作用を引き起こすために使用できる任意の成分、化合物、または小分子が含まれるが、それらに限定されない。本発明の所望の作用の非限定的な例には、診断的および治療的作用が含まれる。例えば、所望の作用は、疾患または状態の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防を含むことができる。有効成分は、被験者における身体部分または器官の構造または機能に影響を及ぼすこともできる。
【0045】
本発明によって使用できる有効成分には、核酸、タンパク質およびペプチド、ホルモンおよびステロイド、化学療法薬、NSAID、ワクチン成分、鎮痛薬、抗生物質、抗うつ薬などが含まれるが、それらに限定されない。使用できる核酸の非限定的な例には、DNA、cDNA、RNA、iRNA、siRNA、アンチセンス核酸、ペプチド核酸、オリゴヌクレオチド、または安定性を改善するために修飾されている核酸(例えばホスホロチオエート、アミノホスホネートもしくはメチルホスホネート)が含まれる。
【0046】
本発明とともに使用できるタンパク質およびペプチドには、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、骨形態形成タンパク質、腫瘍壊死因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、組織プラスミノーゲンアクチベーターおよび誘導体、インスリン、モノクローナル抗体(例えば抗ヒト上皮成長因子受容体2(ハーセプチン)、抗CD20(リツキシマブ)、抗CD18、抗血管内皮成長因子、抗IgE、抗CD11a)およびそれらの誘導体、一本鎖抗体フラグメント、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI(ドルナーゼα、Pulmozyme)、1型インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、黄体形成ホルモン放出ホルモン阻害剤ペプチド、酢酸ロイプロリド、エンドスタチン、アンギオスタチン、ブタ第VIII凝固因子、インターフェロンアルファコン−1、パンクレリパーゼ(膵酵素)、オボアルブミン、ニフェジピン、ロラタジンなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0047】
使用できるホルモンおよびステロイド(例えばコルチコステロイド剤)の非限定的な例には、酢酸ノルエチンドロン、エチニルエストラジオール、プロゲステロン、エストロゲン、テストステロン、プレドニゾンなどが含まれる。
【0048】
使用できる化学療法薬には、タキソール(パクリタキセル)、ビンブラスチン、シスプラチン、カルボプラチン、タモキシフェンなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0049】
NSAIDの非限定的な例には、ピロキシカム、アスピリン、サルサレート(Amigesic)、ジフルニサル(Dolobid)、イブプロフェン(Motrin)、ケトプロフェン(Orudis)、ナブメトン(Relafen)、ピロキシカム(Feldene)、ナプロキセン(Aleve、Naprosyn)、ジクロフェナク(Voltaren)、インドメタシン(Indocin)、スリンダク(Clinoril)、トルメチン(Tolectin)、エトドラク(Lodine)、ケトロラク(Toradol)、オキサプロジン(Daypro)、およびセレコキシブ(Celebrex)が含まれる。
【0050】
使用できるワクチン成分には、B型肝炎、ポリオ、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、HIV、A型肝炎(例えばHavrix)、結核などが含まれるが、それらに限定されない。
【0051】
鎮痛薬の非限定的な例にはアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0052】
抗生物質には、アモキシリン、ペニシリン、サルファ剤、エリスロマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、クラリスロマイシン、トブラマイシン、シプロフロキサシン、テルコナゾール、アジスロマイシンなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0053】
抗うつ薬には、Zoloft、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil)、シタロプラム、ベンラファキシン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸イミプラミン、リチウム、ネファゾドンなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0054】
本発明とともに使用できるその他の有効成分には、シルデナフィル(Viagra)、アシクロビル、ガンシクロビル、フェキソフェナジン、セレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ、アンドロステンジオン、クロロキン、塩酸ジフェンヒドラミン、ブスピロン、メシル酸ドキサゾシン、ロラタジン、クロルニフィン、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、ヒドロコルチゾン、ワルファリン、硫酸インジナビル、リドカイン、ノバカイン、エストラジオール、酢酸ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、デキスフェンフルラミン、デキストロアンフェタミン、ドキシサイクリン、サリドマイド、フルチカゾン、リン酸フルダラビン、エタネルセプト、塩酸メトホルミン、ヒアルロン酸塩、塩酸テトラゾシン、ロペラミド、イボガイン、クロナゼパム、ケタミン、ラミブジン(3TC)、イソトレチノイン、ニコチン、メフロキン、レボフロキサシン、アトルバスタチン(Lipitor)、硝酸ミコナゾール(Monistat)、リトナビル、ファモチジン、シンバスタチン(Zocor)、塩酸シブトラミン一水化物、オフロキサシン、ランソプラゾール、ラロキシフェン、(Evista)、ザナミビル(Relenza)、リン酸オセルタミビル、4−フェニル酪酸ナトリウム塩、クロルプロマジン、ネビラピン、ジドブジン、および塩酸セチリジン(Zyrtec)が含まれるが、それらに限定されない。
【0055】
追加の有効成分の非限定的な例は、それらの全てが、参照により組み込まれる非特許文献7:非特許文献8および特許文献7の中に見いだすことができる。
【0056】
B.ナノクラスター調製の変量および調節可能性
ナノクラスターを目標とするサイズ、密度、および/または分散性へ調節するためには、例えば、様々なナノ粒子のタイプもしくはサイズ、分散特性、分散材料、および加工処理条件を使用することができる。例えば、図3および4は、広いもしくは狭いサイズ範囲を備えるナノクラスターを作製するために、さらに中実もしくは中空のナノクラスターの形成を可能にする様々な加工処理条件を使用できることを示す。エマルジョン中もしくはノズルからスプレーされる液滴のサイズを制御すると、一様なナノクラスターの形成を促進できる。様々な溶媒および抽出相、温度、湿度など、ならびにナノ粒子の特性は、ナノクラスターの形態を制御することができる。例えば、ナノ粒子を運ぶ溶液の迅速な抽出はコア/シェル構造を生じさせることができるが、他方この相を緩徐に除去するとナノ粒子が界面から拡散してより緻密なナノクラスター構造を形成する時間を許容する。さらに別の例では、ナノ粒子の物理化学的特性を制御すると、ナノ粒子を液滴界面に向かわせる、または離れさせることができ、したがってコア/シェル構造または固体マトリックスを各々導く。さらに、本発明者らが報告した精密な粒子作製方法の翻案(非特許文献9、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)または類似のテクノロジーに基づいて、本発明者らは、広範囲の単分散ナノクラスターを作製することができた(図4)。
【0057】
様々なナノ粒子のタイプもしくはサイズ、分散特性、分散材料、および加工処理条件によって作製されているナノクラスターを特性解析するためには、様々な技術を使用することができる。これらの技術を使用すると、加工処理パラメータが粒子の物理化学的特性にどのように影響を及ぼすのかを機構的に決定することができる。例えば、乾燥ナノクラスター粉末の空気力学径は、乾燥粒子の幾何学径、サイズ分布、凝集および密度に関する補助的データもまた提供するであろうAerosizer LD(カンザス大学薬物送達研究センターで利用できる)によって決定することができる。Eric Munson博士の研究室(カンザス大学製薬化学学科)に配置されたヘリウムピクノメーター(Micromeritics AccuPyc 1330ヘリウムガスピクノメーター)を使用すると、相違するナノクラスター調製物の密度をより精確に決定することができる。例えば、ナノクラスター粉末のサンプルを1cmのサンプルホルダーに測り入れ、計量する。サンプルの密度は、第2の空のチャンバーと比較してサンプルのヘリウム置換によって決定する。測定は、各3つのサンプルについて3回ずつ実施し、平均値および標準偏差を計算する。粒子の外側および内側形態(内部は冷凍破砕(非特許文献11)によって視認する)は、走査型電子顕微鏡によって調査できる(非特許文献12)。
【0058】
C.医薬組成物および投与経路
本発明の1つの実施形態は、本明細書に開示したナノクラスターを被験者に投与する工程によって、特定の疾患または状態を治療する、予防する、または診断する方法を含んでいる。多くの場合に、ナノクラスターは単独で投与される、または医薬組成物中に含めることができる。医薬組成物の有効量は、一般には、前記疾患または状態の程度を緩和する、減少させる、最小限に押さえる、または限定するために十分な量であると規定されている。疾患または状態の排除、根絶または治癒を含む、より厳格な定義が適用されることがある。
【0059】
1.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本発明のナノクラスターを含むことができる。語句「医薬上または薬理学的に許容される」は、例えばヒトなどの被験者に投与した場合に有害な、アレルギー性またはその他の望ましくない反応を生成しない分子実体および組成物を含むことができるが、それらに限定されない。医薬組成物の調製法は、一般には当業者に知られている(非特許文献13)。さらに、動物(例えばヒト)へ投与するためには、調製物が生物学的標準物質についてFDA当局によって要求される無菌性、発熱性、全身安全性および純度の標準を満たすことが好ましい。
【0060】
「治療有効量」は、受容者において有益な結果を生じさせるために有効な量である。そのような量は、最初は公表された文献を精査し、インビトロ試験を実施する、または健常な実験動物において代謝試験を実施することによって決定することができる。臨床状況において使用する前に、動物モデル、好ましくは治療される特定疾患の広範囲に容認された動物モデルにおいて確認試験を実施するのが有益な場合がある。特定の実施形態において使用するために好ましい動物モデルは、それらが使用するのに経済的であるため、そして詳細には入手される結果が臨床値の予測値として広範囲に容認されているために好ましい齧歯類モデルである。
【0061】
「医薬上許容される担体」には、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、保存料(例えば抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存料、薬物、薬物安定剤、ゲル剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、フレーバー剤、色素、当業者には周知の同種の材料およびそれらの組み合わせ(非特許文献13)が含まれる。
【0062】
被験者に投与される本発明の組成物の実際用量は、被験者の体重、状態の重症度、治療される疾患のタイプ、事前もしくは同時の治療介入術などの物理的および生理学的因子ならびに投与経路によって決定することができる。投与について責任を担う医師は、いつでも、組成物中の有効成分の濃度および個々の被験者のために適切な用量を決定できよう。
【0063】
特定の非限定的な実施形態では、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の有効成分または例えばナノクラスターを含むことができる。他の実施形態では、有効成分もしくはナノクラスターは、1単位の約2重量%〜約75重量%、または約25重量%〜約60重量%、およびそこから導き出せる任意の範囲を含むことができる。他の非限定的な実施形態では、用量は、さらに1回の投与に付き約1μg/kg(体重)、約5μg/kg(体重)、約10μg/kg(体重)、約50μg/kg(体重)、約100μg/kg(体重)、約200μg/kg(体重)、約350μg/kg(体重)、約500μg/kg(体重)、約1mg/kg(体重)、約5mg/kg(体重)、約10mg/kg(体重)、約50mg/kg(体重)、約100mg/kg(体重)、約200mg/kg(体重)、約350mg/kg(体重)、約500mg/kg(体重)〜約1,000mg/kg(体重)以上、およびそこから導き出せる任意の範囲を含むことができる。上記に列挙した数から導き出せる範囲の非限定的な例では、約5mg/kg(体重)〜約100mg/kg(体重)、約5μg/kg(体重)〜約500mg/kg(体重)などの範囲を上述した数に基づいて投与することができる。
【0064】
本組成物は、1種以上の有効成分またはナノクラスターの酸化を遅延させるために様々な酸化防止剤をさらに含んでよい。微生物の作用の防止は、パラベン(例えばメチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない様々な抗菌剤および抗真菌剤などの保存料によって引き起こすことができる。
【0065】
本発明の組成物は、それが固体形、液体形またはエアロゾル形で投与されるべきかどうか、そして注射などの投与経路のために無菌である必要があるかどうかに依存して、様々なタイプの担体を含むことができる。
【0066】
本組成物は、遊離塩基、中性もしくは塩形の組成物に調製することができる。医薬上許容される塩には、例えばタンパク質性組成物の遊離アミノ基、または例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、もしくは酢酸、シュウ酸、酒石酸もしくはマンデル酸などの有機酸を用いて形成される塩などの酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩もまた、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化鉄などの無機塩基;またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカインなどの有機塩基から引き出すことができる。
【0067】
本組成物が液体形にある実施形態では、担体は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えばトリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない溶媒または分散媒であってよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって;例えば液体ポリオールもしくは脂質などの担体中への分散による必要な粒径の維持によって;例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用によって;またはそのような方法の組み合わせによって維持することができる。多くの場合、例えば、糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせなどの等張剤を含めることが好ましいであろう。
【0068】
他の実施形態では、本発明において点眼剤、点鼻液もしくは点鼻スプレー剤、エアロゾルもしくは吸入剤を使用することができる。そのような組成物は、一般には、標的組織タイプと適合するように設計されている。1つの非限定的な例では、点鼻液は、通常は液滴もしくはスプレーで鼻腔へ投与するように設計された水溶液である。点鼻液は、それらが多くの点で鼻汁と類似しており、したがって通常の繊毛作用が維持されるように調製される。そこで、好ましい実施形態では、水性点鼻液は、通常は等張性または約5.5〜約6.5のpHを維持するようにわずかに緩衝されている。さらに、眼科用調製物、薬物、または適切な薬物安定剤において使用するものに類似する抗菌性保存料は、必要であれば、調製物中に含めることができる。例えば、様々な市販の点鼻用調製物が知られており、抗生物質もしくは抗ヒスタミン剤などの薬物が含まれる。
【0069】
特定の実施形態では、本組成物は、経口摂取のような経路による投与のために調製される。これらの実施形態では、固体組成物は、例えば、液剤、懸濁剤、エマルジョン剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤(例えば硬質もしくは軟質シェル型ゼラチンカプセル)、徐放性調製物、経口腔組成物、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。経口組成物は、食事の食品中に直接的に組み込むことができる。経口投与のために好ましい担体は、不活性希釈剤、吸収できる食用担体またはそれらの組み合わせを含んでいる。本発明の他の態様では、経口組成物は、シロップ剤またはエリキシル剤として調製できる。シロップ剤またはエリキシル剤は、例えば、少なくとも1種の活性物質、甘味料、保存料、フレーバー剤、色素、保存料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0070】
特定の実施形態では、経口組成物は、1種以上の結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、フレーバー剤、およびそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、以下の:例えば、トラガンタゴム、アカシアゴム、コーンスターチ、ゼラチンもしくはそれらの組み合わせなどの結合剤;例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムもしくはそれらの組み合わせなどの賦形剤;例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸もしくはそれらの組み合わせなどの崩壊剤;例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;例えば、スクロース、ラクトース、サッカリンもしくはそれらの組み合わせなどの甘味料;例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、サクラの香料、オレンジの香料などのフレーバー剤;または上記の組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。単位製剤がカプセル剤である場合は、上記のタイプの材料に加えて、液体担体などの担体を含有していてよい。コーティング剤として、またはさもなければ単位製剤の物理的形状を変形するために様々な他の材料が存在していてよい。例えば、錠剤、ピル剤、もしくはカプセル剤は、シェラック、糖または両方でコーティングすることができる。
【0071】
無菌注射溶液は、必要な量にある活性化合物を、上記に挙げた様々な他の成分を備える適切な溶媒中に組み込み、その後に濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、様々な滅菌済み有効成分を、塩基性分散媒および/またはその他の成分を含有する無菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌注射溶液、懸濁液もしくはエマルジョンを調製するための無菌散剤の場合は、調製の好ましい方法は、有効成分に任意の追加の所望の成分を加えた散剤を事前に滅菌濾過されたそれらの液体媒質から産生する真空乾燥法または凍結乾燥法である。液体媒質は、必要であれば適切に緩衝されなければならず、液体希釈剤は注射前に十分な食塩液もしくはブドウ糖を用いて最初に等張性にされなければならない。直接注射のための高度に濃縮された組成物の調製もまた意図されており、この場合は小さな領域へ高濃度の活性物質を送達する極めて迅速な浸透を生じさせる、溶媒としてのDMSOの使用もまた意図されている。
【0072】
本組成物は、製造および保管条件下で安定性でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。外毒素汚染は、例えば0.5ng/mg(タンパク質)未満の安全なレベルで、最小限に維持されなければならない。
【0073】
本発明のさらなる態様では、当業者であれば、本発明の組成物がナノ粒子、分散材料、有効成分、およびその他の成分の任意の数の組み合わせを含むことができることを認識できよう。これらの成分の濃度が変動しても良いこともまた考慮されている。例えば、1つの非限定的な態様では、本発明の組成物は、少なくとも約0.0001%〜約0.001%、0.001%〜約0.01%、0.01%〜約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%またはそれらから導き出せる任意の範囲の、少なくとも1つのナノ粒子、分散材料、有効成分、または本明細書および請求の範囲を通じて言及する他の成分を含むことができる。非限定的な態様では、パーセンテージは、全組成物の重量または体積で計算することができる。当業者であれば、濃度が、ナノ粒子、分散材料、有効成分、および他の成分の添加、置換、および/または減算に依存して変動して良いことを理解できよう。
【0074】
2.投与経路
本発明は、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、子宮内、直腸内、髄腔内、局所的、腫瘍内、筋肉内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、粘膜内、心膜内、臍帯内、眼内、経口、局部的、局所的、吸入(例えばエアロゾル吸入)、注射、注入、持続注入、標的細胞を直接的に水浴させる限局性灌流、経カテーテル、洗浄によって、クリーム剤、脂質組成物(例えばリポソーム)、または当業者には周知であろう他の方法もしくは上記の任意の組み合わせ(非特許文献13)によって投与することができる。
【0075】
D.併用療法
本発明のナノクラスターを用いて治療の有効性を増加させるために、これらのナノクラスターを特定の疾患もしくは状態の治療において有効である他の療法と併用することが望ましい場合がある。
【0076】
本発明の組成物は、例えば、数分間〜数週間にわたる範囲内の間隔をあけて他の薬剤療法に先行することも後続することもできる。両方の様式は、相互に約15〜24時間以内に、およびより好ましくは相互に約6〜12時間以内に投与できることが意図されている。一部の状況では、治療の期間を有意に延長させるのが望ましいことがあり、その場合には各投与間に数日間(2、3、4、5、6もしくは7日間)、数週間(1、2、3、4、5、6、7もしくは8週間)または数カ月間(1、2、3、4、5、6カ月間以上)が経過する。
【0077】
ナノクラスターを含む組成物が「A」であり、第2薬が「B」である、様々な併用が採用可能である:
【化1】

【0078】
E.ナノ粒子、分散材料、有効成分、およびその他の成分の起源
添付の請求の範囲および明細書に記載のナノ粒子、分散材料、有効成分、およびその他の成分は、当業者には周知の任意の手段によって入手できる。1つの非限定的な実施形態では、例えば、これらの成分は、そのようなナノ粒子、分散材料、有効成分、およびその他の成分の起源を入手する工程によって単離できる。さらに、これらの成分は、当業者には周知の任意の多数の技術によって精製できる。精製技術の非限定的な例には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、濾過、遠心分離、透析、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲルクロマトグラフィーもしくはモレキュラーシーブ・クロマトグラフィーおよびアフィニティ・クロマトグラフィーが含まれる。他の態様では、化合物、作用物質、および有効成分を化学合成によって、または従来型技術を使用することによる組換え手段によって入手することができる。例えば、非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;および非特許文献17、非特許文献18を参照されたい。
【0079】
F.キット
本発明のさらに別の実施形態では、キットが提供される。本キットは、非限定的な態様では、請求の範囲および明細書に記載されたナノ粒子、分散材料、有効成分、およびその他の成分を含むことができる。好ましい実施形態では、本キットは、ナノクラスターを含む組成物を含むことができる。ナノクラスターは、例えば、複数のナノ粒子および前記複数のナノ粒子を共に保持する、および/または環境信号に応答して前記ナノ粒子を分散させる分散材料を含むことができる。
【0080】
キットの容器には、その中に成分を配置できるボトル、ディスペンサー、パッケージ、区画、または他のタイプの容器を含むことができる。容器は、その表面上に印を含むことができる。この印は、例えば、単語、語句、略語、絵柄、または記号であってよい。
【0081】
本容器は、規定量の成分(例えば本発明の組成物)を分注することができる。本組成物は、スプレー剤、エアロゾル、または液体形もしくは半固体形で分注することができる。本容器は、スプレー、ポンプ、またはスクイーズ機構を有していてよい。特定の態様では、本キットは、本発明の組成物を投与するためのシリンジを含むことができる。
【0082】
キット内に2つ以上の成分が存在する場合は(それらは共に包装されてよい)、本キットは、一般にその中に追加の成分を個別に配置できる第2、第3もしくはその他の追加の容器をさらに含有しているであろう。本発明のキットは、商業的販売のためにこれらの成分を密封して収容する容器をさらに含むことができる。そのような容器は、その中に所望のボトル、ディスペンサー、またはパッケージが保持される射出成形もしくはブロー成形されたプラスチック容器を含むことができる。
【0083】
キットは、さらに任意の他の組成物、化合物、作用物質、有効成分、または本キット内に含まれない物体の使用と同様に、本キット成分を使用するための取扱説明書を含むことができる。取扱説明書は、実行できる変更を含むことができる。取扱説明書は、例えば、生成物もしくは組成物を適用する、使用する、および維持する方法についての説明を含むことができる。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明の特定の非限定的な態様を具体的に例示するため、本明細書に含まれている。当業者であれば、以下の実施例で開示する技術が本発明の実施において良好に機能するための、本発明者によって見出された技術を表していることは理解されよう。しかし、当業者は本開示を参考にすることにより、開示された特定の実施形態に対して様々な変更を加えることができ、そしてそれらによっても本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様もしくは類似の成果を得ることができることは理解できよう。
【0085】
実施例1
応答性分散を示すナノクラスター
ナノクラスターの形成:本発明のナノクラスターは、以下の手順によって調製することができる:2基のシリンジポンプ(Harvard Apparatus 4400およびIsco)は、水溶液中のナノ粒子のコロイド状懸濁液(上記の調製法を参照されたい)および液滴を運ぶ液体としての1−オクタノール(Fisher Scientific)を各々通過させるために、同軸ノズルの入り口および出口ポートに接続される。2種の不混和性液体を適切な流量で注入すると、オクタノール相中にナノ粒子のコロイド状懸濁液を含有する単相水性液滴が生成される。ナノクラスターは、球形構造中にナノ粒子の充填を生じさせる、液滴中の水の1−オクタノール中への溶解後に形成される。ナノクラスターは次に残留している1−オクタノールを除去するためにエタノールで洗浄され、分析のために凍結乾燥させることができる。ナノ粒子懸濁液をオクタノール相へ単純に添加し、一次エマルジョンを形成するために攪拌することによって類似の結果が達成される。
【0086】
1つの非限定的な実施形態では、本発明者らはシリカナノ粒子をポリ(N−ビニルホルムアミド)で被覆し、加水分解性架橋剤(2−ビス[2,2’−ジ(N−ビニルホルムアミド)エトキシ]プロパン)を用いてこのポリマーを架橋させ、pHの減少に応答して分散するナノクラスターを形成した(図5)。この装置を使用して、環境信号に応答してナノクラスターを分散させる能力を決定した。
【0087】
クラスター化したナノ粒子は、ポリマーの存在のために外観がわずかに異なるが、サイズ分布は以前の実験と一致したままであった。ナノクラスターは、時間およびpHの関数として水溶液中に分散した(図6)。濁度アッセイを使用して経時的に480nmでの光学密度を測定すると、この溶液の不透明度は構成ナノ粒子中へのクラスターの相対分散を指示していた。ナノクラスターの分散は、さらにまた経時的に目視により追跡することができよう(図6B)。レーザー光散乱法による分散したナノクラスターの液相のサイズ分析は、ナノ粒子の多分散凝集体が遊離させられることを指示した。これらの凝集体は、さらに経時的に個々のナノ粒子中に分散した(図6C)。
【0088】
実施例2
自己集合したナノクラスター
ナノ粒子の形成:PLGAナノ粒子は、表面電荷を制御するために様々な高分子電解質被覆材料を用いる修飾したエマルジョン/溶媒抽出法によって調製した(表1)。ポリビニルアミン(PVAm)はカチオン性被覆材料として使用し、社内で合成した(実験のセクションを参照されたい)。ポリエチレン−alt−マレイン酸(PEMA)は、以前に報告された方法から翻案したように、このポリマーからの無水物の加水分解によって合成した。結果として生じる高分子電解質被覆PLGAナノ粒子は、極めて優れた一様性および高表面電荷を有していた(表1)。各ナノ粒子の調製物について、動的光散乱および伝導度測定(Brookhaven ZetaPALS)を各々用いて、適切な培地(水もしくは有機物)中でサイズおよびζ電位について分析した。試験は、凍結乾燥および37℃、pH7.4での2週間以上のインキュベーション後の粒子表面電荷の維持を確証した(データは示していない)。PVAm被覆ナノ粒子は、この実験のためのPEMA被覆ナノ粒子より著明に大きかった;しかし、このサイズは容易に調節できる。ナノ粒子は、例えば、エマルジョン重合法、エマルジョン溶媒抽出法、同一物の逆エマルジョン法、沈降法、結晶化法、凍結乾燥法、噴霧凍結乾燥法、塩析法などの報告された技術を用いることによって作製できる(非特許文献19)。
【0089】
表1(PLGAナノ粒子の特性)
【表1】

【0090】
ナノクラスターの形成:ナノ粒子クラスターは、穏やかに攪拌しながら、3mLのPVAm被覆ナノ粒子を10mLのPEMA被覆ナノ粒子中に緩徐に添加することによって生成した。ナノクラスターの形成は、反対に荷電したナノ粒子の静電的自己集合によって誘導した。混合したナノ粒子の濃度を増加させると、クラスター径の対応する増加が生じた(図7)。ナノクラスターの幾何学的サイズ分布は、Coulter Multisizer IIIを用いて水溶液(Isoton)中で決定した。幾何学的サイズ分布は、平均幾何学径の60〜70%であった標準偏差を示して相当に広範囲であった。空気力学的サイズ分布は、Aerosizer LDによって入手した飛行時間測定値を用いて凍結乾燥したナノクラスターから決定した。ナノクラスター空気力学的サイズ分布は、体積率の増加(図7B)および標準偏差の減少(平均値の35〜60%;表2)によって指示されたように、幾何学的サイズ分布より狭かった。遊離PEMA被覆ナノ粒子は、幾何学的サイズ分布においては上昇する尾部として検出されたが、空気力学的サイズ分布においては検出されなかった。さらに、走査型電子顕微鏡写真(図7C)において遊離ナノ粒子はほとんど観察されなかったが、これは溶液中のナノクラスターと結び付いていなかったナノ粒子が凍結乾燥中にナノクラスターに結合したことを指示していた。
【0091】
表2(ナノクラスターのサイズのPLGAナノ粒子の濃度への依存性)
【表2】

【0092】
ナノクラスターの構造分析は、低密度のウェブ様形態を明らかにした。走査型電子顕微鏡写真は、凍結乾燥したナノ粒子クラスターが大量の多孔性を有することを証明した(図7C)。各ナノクラスター調製物の密度は、方程式1にしたがって幾何学的および空気力学径から計算した(表2)。ナノクラスターのサイズはナノ粒子の濃度が増加するにつれて増加したが、計算した密度は各々について本質的に同一であった。ナノクラスターの密度計算値は極めて低く(〜0.15g/cm)、大多数の調製物について極めて微細な微粒子分画(daero<5μm)を産生した。この密度計算を解釈する場合には、水和幾何学径、脱水空気力学径、およびγ=1の推定形状係数(すなわち、球形)の使用について留意されたい。
【0093】
レーザー走査型共焦点顕微鏡を利用して、ナノクラスターの構造および形成機構に関するより明確な洞察を得た。PVAm被覆ナノ粒子は、緑色フルオロイソチオシアネート(FITC)色素およびPEMA被覆ナノ粒子をレッド・ローダミン色素を用いて標識した。2種のナノクラスター粒子の詳細な分析は、PVAm被覆(図8Aおよび8D)およびPEMA被覆(図8Bおよび8E)ナノ粒子の両方が全ナノクラスター構造を通して存在することを指示した。
【0094】
実施例3
ニフェジピンおよびロラタジンのナノ粒子の調製
以下は、様々な非限定的なニフェジピンおよびロラタジンのナノ粒子を調製する実施例を含んでいる。
【0095】
1020nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(50mg)を3mLの塩化メチレン中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.125%の臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり超音波処理した。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置して塩化メチレンを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、1020nmの粒径および0.24の多分散性を有していた。
【0096】
660nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(50mg)を3mLの塩化メチレン中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.5%のCTAB溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり超音波処理した。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置して塩化メチレンを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、660nmの粒径および0.17の多分散性を有していた。
【0097】
480nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(50.2mg)を3mLのエタノール中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.5%のCTAB溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり超音波処理した。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置してエタノールを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、480nmの粒径および0.12の多分散性を有していた。
【0098】
2373nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(30mg)を2mLのエタノール中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.3%のPluronic F−68溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり15,000rpmでホモジナイズした。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置してエタノールを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、2373nmの粒径および0.09の多分散性を有していた。
【0099】
897nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(30mg)を2mLのエタノール中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.6%のPluronic F−68溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり15,000rpmでホモジナイズした。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置してエタノールを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、897nmの粒径および0.07の多分散性を有していた。
【0100】
639nmのニフェジピンナノ粒子−−ニフェジピン(30mg)を2mLのエタノール中に溶解させた。ニフェジピン溶液を0.9%のPluronic F−68溶液(30mL)中に流し入れ、60秒間にわたり15,000rpmでホモジナイズした。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置してエタノールを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、639nmの粒径および0.005の多分散性を有していた。
【0101】
391nmのロラタジンナノ粒子−−ロラタジン(10mg)を1mLのエタノール中に溶解させた。ロラタジン溶液を0.9%のPluronic F−68溶液(10mL)中に流し入れ、60秒間にわたり15,000rpmでホモジナイズした。粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置してエタノールを蒸発させた。結果として生じたナノ粒子は、391nmの粒径および0.005の多分散性を有していた。
【0102】
実施例4
ニフェジピンナノ粒子クラスターの調製
本実施例は、ナノ粒子が純粋ニフェジピンである本発明の非限定的な実施形態(高血圧を治療するカルシウムチャンネルブロッカー)を提供する。ナノ粒子は、カチオン性界面活性剤(CTAB)で被覆する。ポリアニオン(アルギン酸ナトリウム)は、CTABと結合してナノクラスターの形成を誘導する。
【0103】
ニフェジピンナノ粒子の調製:ニフェジピン(50mg)を塩化メチレン(3mL)中に溶解させた。この溶液を濃度が知られているCTAB水溶液中に完全に注入した(表3)。この溶液を60秒間にわたり超音波処理した。引き続いて、粒子懸濁液を2時間にわたりフード中に配置して塩化メチレンを蒸発させた。懸濁液を1mg/mLに希釈した。図9は、ニフェジピンナノ粒子の集団の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0104】
表3(クラスターの幾何学的サイズおよび空気力学径
【表3】

【0105】
ニフェジピンナノ粒子クラスターの調製:アルギン酸水溶液(10mL、1mg/mL)をニフェジピンナノ粒子水性懸濁液(10mL、1mg/mL)中に注入し、混合液はホモジナイザー(約2,000rpm)を用いて2分間にわたりホモジナイズした。乾燥ニフェジピンナノ粒子クラスターは、凍結乾燥によって入手した。図10は、ニフェジピンナノ粒子クラスターのSEM画像である。
【0106】
実施例5
オボアルブミンを含むナノクラスター
本実施例は、ナノ粒子がカチオン性脂質(DOTAP)で被覆された生分解性ポリマー(PLGA)である、本発明の非限定的な実施形態を提供する。オボアルブミンは、被覆されたナノ粒子の表面に結合し、ナノクラスターの形成を誘導する。
【0107】
ナノ粒子の調製:PLGAナノ粒子は、修飾したエマルジョン−溶媒蒸発法(いずれも参照により組み込まれる非特許文献20;非特許文献21)を用いて調製した。カチオン性表面電荷は、被覆材料としての脂質である1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP;Avanti Polar Lipids、アラバマ州アラバスター)を用いて組み込んだ。1.67%(w/v)でアセトン/メタノール混合液(5/1)中に溶解させた3mLのPLGA(固有粘度:0.41dL/g;Lactel;アラバマ州ペラム)を25mLのDOTAP(50μM)へ加え、氷上で60秒間にわたりソニック・ディスメンブレター(Fisher Scientific;ペンシルベニア州ピッツバーグ)を用いて50%出力で超音波処理した。これを計6バッチにわたり繰り返した。これらのバッチを結合し、溶媒を蒸発させるためにフード中で一晩、中等度の速度で攪拌した。粒子はKimWipeに通して大まかに濾過し、Amicon Ultra−15遠心濾過装置(Millipore;マサチューセッツ州ビルリカ;F=863g)を使用して約15mLの蒸留した脱イオン水を用いて3回洗浄した。洗浄したナノ粒子は15分間にわたり水浴中で超音波処理し、任意の大きな凝集体を除去するためにKimWipeに通して再び濾過した。結果として生じた粒子は次にζ電位分析装置(Brookhaven Instruments;ニューヨーク州ホルツビル)を用いて特性解析し、粒子サイズおよび表面電荷(ζ)を測定した:ナノ粒子は343.0±8.6(nm)の平均サイズ、0.232±0.022の多分散性、および36.44±0.56(mV)のζ電位を有していた。ナノ粒子懸濁液は、表面電荷測定のために1mM硝酸ナトリウム溶液中に希釈した。
【0108】
オボアルブミンを用いたナノ粒子の自然なナノクラスター形成:オボアルブミンは、モデルタンパク質として使用した。およそ0.4、1.5および2.5mg/mLのオボアルブミンを含有する3種の溶液をリン酸緩衝食塩液(PBS)中で調製し、各溶液の精確な濃度はUV吸光度分光法を用いて決定した(表4)。3本の標識した15mL遠心チューブ、6mLのDOTAPナノ粒子および1mLのオボアルブミン溶液を加えた。これらのサンプルは、4℃で45分間にわたり転倒型チューブ回転装置上で静かに回転させた。結果として生じるナノクラスターは、Multisizer 3 Coulter Counter(Beckman Coulter;カリフォルニア州フラートン)を用いて分析し、それらの幾何学径を測定した。ナノクラスターは、Labconco卓上凍結乾燥装置(ミズーリ州カンザスシティ)を用いて凍結乾燥し、さらに特性解析して空気力学径(Aerosizer;Amherst Process Instruments)および形態(SEM)を決定した(表5)。図11は、オボアルブミンを備えるDOTAP/PLGAナノ粒子の幾何学径を具体的に例示している。
【0109】
表4(UV吸光度分光計によって決定したオボアルブミン溶液の濃度)
【表4】

【0110】
表5(ナノクラスターのサイズ)
【表5】

【0111】
走査型電子顕微鏡写真(SEM):ナノクラスターのサイズおよび形態は、二次電子検出を行うLEO 1550電界放出走査型電子顕微鏡を用いて評価した。ナノクラスターは、4,000および10,000倍の倍率でのイメージングに先行して、プラットフォーム上で被覆し、金を用いてスパッタリングした。図12は、DOTAP/PLGAナノ粒子およびオボアルブミンを含むナノクラスターのSEM画像を含んでいる。
【0112】
実施例6
インビトロでのドライパウダーの性能の評価
マウスピースおよびスロートアッセンブリーを装備した多段階液体インパクター(MSLI)(非特許文献22)を使用すると、ドライパウダー・インヘラーから投与された様々な粒子調製物の沈着性能を評価することができる。Spinhaler(登録商標)またはRotahaler(登録商標)などのドライパウダーインヘラー(DPI)を通して投与するためには、粒子は、最初は大きなツーピースのゼラチンカプセル内に封入される。カプセルは、DPI内の小さな区画内に配置され、DPIは次に呼吸作動の直前にカプセルを分離もしくは破裂させるためにねじられる。これらのDPIのために推進剤または圧縮ガスは使用されなかったので、患者の呼吸力、または本発明者らの場合には、MSLIを通しての体積流量が粉末を分散させる。
【0113】
この実験装置を使用することで、粒子調製物の呼吸域分画、マウスピースおよびスロートアッセンブリー内に沈着する質量およびMSLI(各セクションを取り外し、収集した粒子質量を計量することによって評価する)を通して様々な段階に沈着する粒子の分画を含む数種の重要な性能パラメータを評価することができる。MSLIの低段階(約1〜5μmのカットオフ)へ高効率で沈着する粒子バッチは、シプロフロキサシン封入実験のために適切な「肺深部」用調製物であると見なされるであろう。
【0114】
実施例7
シプロフロキサシンを捕捉、沈着、および遊離させることのできるナノクラスター調製物の同定
ナノクラスターは、約1週間にわたりシプロフロキサシンを制御放出するように調製できる。ナノクラスターの物理化学的特性、分散および薬物の遊離についての完全な分析は、本明細書を通じて記載する方法によって調製できる。1つの実施形態では、ナノクラスターは、純粋シプロフロキサシンまたはPLGAナノ粒子中に封入されたシプロフロキサシンのナノ粒子を用いて作製できる。
【0115】
シプロフロキサシンは、以下の式:
【0116】
【化2】

を有するグラム陰性菌に対して特に効果的である広域抗生物質である(非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25)。
【0117】
ナノクラスターの分散性およびシプロフロキサシン遊離動態:ナノクラスター調製物は、同一作製手順を維持すること、そして肺深部沈着のために設計された結果として生じる構造に注意を払って、シプロフロキサシンの制御放出を決定するために再調製することができる。シプロフロキサシン(Sigma,Inc.)は、ポリマー相を用いて共溶解させることによって封入することができ、部分的にポリマー相中に懸濁させられる、またはポリマー相中の低溶解度が問題である場合は共溶媒中に溶解させられるであろう。溶解試験は、シプロフロキサシンの遊離動態を解明する。これらの試験は、生理的温度(37℃)のリン酸緩衝食塩液(pH7.4)中で実施する。およそ10〜20mgの各粒子調製物を2mLの微小遠心管中に入れ、150rpmで振とうする。遊離サンプルは、ナノ粒子(15,000rpm)を分離するためにサンプルを完結的に遠心し、1〜1.5mLの上清を収集し、上清を新鮮バッファーで置換し、サンプルを再懸濁させることによって試験する。上清は、次に各時点でのシプロフロキサシンの濃度を決定するために、ポリマー溶解生成物の検出を回避しながら、約350nmで分光計によって分析する。様々なナノクラスター調製物からのシプロフロキサシンの遊離は、3回ずつ実施し、平均値および標準偏差を計算する。ナノクラスター調製物中のシプロフロキサシンの初期負荷量は、約10mgの各調製物を3回ずつジメチルスルホキシド中に溶解させ、約350nmでの吸光度を測定することによって決定する。シプロフロキサシンを含まないナノクラスター調製物についての吸光度値は、ブランク値として使用する。ポリマーの質量当たりのシプロフロキサシンの計算量は、薬物負荷量と呼ぶ。この数は、薬物封入効率を計算するために実験に参入されるポリマーの質量当たりのシプロフロキサシンの質量で割ることができる。経時的に遊離したシプロフロキサシンの合計質量は、遊離した累積百分率に到達するために、次に薬物負荷量で割る。ナノクラスターの類似サンプルは、480nmでのサンプル溶液の濁度を測定することに基づいて分散動態を決定するために調製できる(上記の予備試験データを参照されたい)。
【0118】
制御放出の再調製および最適化:約1週間にわたるシプロフロキサシンのほぼ一定の遊離を発生させる工程は、ナノクラスターの再調製を含むことができる。薬物の「バースティング」(迅速な初期遊離)が発生する、または増加した遊離期間が望ましい場合は、高分子量PLGAまたはより高いラクチド含量を備えるPLGAが使用されるであろうが、それはこれらが各々ポリマー相の分解を延長させるからである。さらに、シプロフロキサシンの遊離速度を減少させるために構成ナノ粒子のサイズを増加させる工程を使用できる。小さい(例えば<200nm)ナノ粒子の維持は、食作用または肺上皮からの他のクリアランス機序を回避するための方法として使用できる。
【0119】
本明細書において開示かつ請求した全ての組成物および/または方法は、本開示を参考することにより、過度の実験を行わずに作製かつ実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態によって説明したが、当業者であれば、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本組成物および/または方法ならびに本明細書に記載した方法の工程または工程の順序を変更できることは自明であろう。より詳細には、化学的および生理学的の両面に関連する特定の作用物質は、同一もしくは類似の結果を達成しつつ、本明細書に記載した作用物質に置き換えられることは自明であろう。当業者には自明なそれら類似の置換および変形の全ては、添付の請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲および概念に含まれるものと見なされる。
【0120】
以下の参考文献は、それらが典型的な手順また本明細書に記載の内容を補足する他の詳細を提供する範囲において、参照により詳細に本明細書に組み込まれる。
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【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】治療用ナノ粒子は、規定(および調節可能な)径を有するナノクラスターに組織化される。環境信号に接触すると、分散材料はナノ粒子の分散を引き起こす。
【図2】(B)約6μmのナノクラスターを構成する(A)約100nmのシリカ粒子の電子顕微鏡写真である。(C)典型的なナノクラスター分布を示す図である。(C)におけるスケールバーは、10μmを表す。
【図3】ナノクラスターは、広い、もしくは狭いサイズ分布で作製することができる(左上および下)。使用する作製条件および/または分散材料を調整すると、中実の(右上)、または中空の(右下)クラスターの形成が可能になる。
【図4】ポリスチレンナノ粒子から構成された一様な(約75μm)ナノクラスターを示す図である。
【図5】(A)分散材料で被覆された(ライトグレーの冠)225nmのシリカナノ粒子および(B)分散材料で被覆されたシリカナノ粒子の9μmナノクラスターの電子顕微鏡写真である。
【図6】加水分解性ポリマーで被覆されたナノ粒子から構成されるナノクラスターの経時的な分散は、(A)480nmでの光線の吸収および(B)目視検査によって決定されるpHの関数であった。(C)分散のサイズ分析は、多分散性凝集体がナノクラスターから遊離し、これは次に単分散性ナノ粒子に崩壊することを示している。
【図7】ナノ粒子の濃度を増加させることによって作り出された幾何学的(図7A)および空気力学的(図7B)サイズ分布(黒色=0.68mg/mL、赤色=1.36mg/mL、緑色=2.16mg/mL、青色=2.72mg/mL)。ナノクラスター構造の走査型電子顕微鏡写真(図7C)。スケールバー=5μm。
【図8】PLGAナノ粒子ナノクラスターのレーザー走査型共焦点顕微鏡写真。FITC標識PVAm被覆ナノ粒子(図8Aおよび8D)およびローダミン標識PEMA被覆ナノ粒子(図8Bおよび8E)は、どちらもナノクラスター構造内で同定される。顕微鏡写真のオーバレイは、ナノクラスターの拡散構造を明らかにするものである(図8Cおよび図8F)。スケールバー=5μm。
【図9】ニフェジピンナノ粒子の集団の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図10】ニフェジピンナノ粒子クラスターのSEM画像である。
【図11】DOTAP/PLGAナノ粒子およびオボアルブミンを含むナノクラスターの幾何学径の例を示す図である。
【図12】DOTAP/PLGAナノ粒子およびオボアルブミンを含むナノクラスターのSEM画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノ粒子を含むことを特徴とするナノクラスター。
【請求項2】
前記ナノ粒子は環境信号に応答して分散すること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項3】
前記ナノクラスターのサイズは約1〜約200ミクロンであること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項4】
前記ナノクラスターのサイズは約1〜約100ミクロンであること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項5】
前記ナノクラスターのサイズは約1〜約50ミクロンであること、を特徴とする請求項4に記載のナノクラスター。
【請求項6】
前記ナノクラスターのサイズは約1〜約40ミクロンであること、を特徴とする請求項5に記載のナノクラスター。
【請求項7】
前記ナノクラスターのサイズは約1〜約20ミクロンであること、を特徴とする請求項5に記載のナノクラスター。
【請求項8】
前記ナノ粒子は封入されていないことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項9】
前記ナノ粒子は前記ナノ粒子上の官能基によって共に保持されていないこと、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項10】
前記ナノ粒子は官能基を含んでいないことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項11】
前記ナノ粒子は共に共有結合していないこと、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項12】
前記ナノ粒子はその表面に結合した有効成分を含んでいること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項13】
前記ナノ粒子は中実であることを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項14】
前記ナノ粒子は中空であることを特徴とする請求項13に記載のナノクラスター。
【請求項15】
前記ナノ粒子は有効成分またはポリマーまたはそれらの混合物を含んでいること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項16】
前記ナノ粒子は有効成分を含んでいることを特徴とする請求項15に記載のナノクラスター。
【請求項17】
前記有効成分は小分子、ペプチド、タンパク質、または核酸であること、を特徴とする請求項16に記載のナノクラスター。
【請求項18】
前記ナノ粒子はポリマーを含んでいることを特徴とする請求項15に記載のナノクラスター。
【請求項19】
前記ポリマーは生分解性ポリマーであること、を特徴とする請求項18に記載のナノクラスター。
【請求項20】
前記生分解性ポリマーはポリエステル、ポリオルトエステル、ポリホスホエステル、ポリアミノ酸またはポリ無水物であること、を特徴とする請求項19に記載のナノクラスター。
【請求項21】
前記ナノ粒子は有効成分を封入していること、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項22】
前記複数のナノ粒子を共に保持すること、または環境信号に応答して前記ナノ粒子を分散させる分散材料をさらに含むこと、を特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項23】
前記分散材料は前記ナノ粒子を共に保持し、また環境信号に応答して前記ナノ粒子を分散させること、を特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記分散材料は水溶性ポリマー、生分解性ポリマー、高分子電解質、金属、ポリマー架橋剤、小分子架橋剤、pH感受性材料、界面活性剤、または温度感受性材料を含むこと、を特徴とする請求項22に記載のナノクラスター。
【請求項25】
前記分散材料は前記ナノ粒子の表面上に被覆されること、を特徴とする請求項22に記載のナノクラスター。
【請求項26】
前記分散材料は前記ナノクラスターの形成に先行して前記ナノ粒子の表面上に被覆されること、を特徴とする請求項25に記載のナノクラスター。
【請求項27】
前記分散材料は前記ナノ粒子間に存在すること、を特徴とする請求項22に記載のナノクラスター。
【請求項28】
前記分散材料は前記ナノ粒子に結合していること、を特徴とする請求項22に記載のナノクラスター。
【請求項29】
前記分散材料は前記ナノ粒子に共有的または非共有的に結合していること、を特徴とする請求項28に記載のナノクラスター。
【請求項30】
前記環境信号は水、選択されたpH、選択された温度、選択された酵素の存在、選択された化学薬品の存在、選択された電磁波長範囲の存在、または振動もしくは剪断の存在であること、を特徴とする請求項2に記載のナノクラスター。
【請求項31】
有効成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項32】
前記有効成分は小分子、タンパク質、または核酸であること、を特徴とする請求項31に記載のナノクラスター。
【請求項33】
前記有効成分は前記ナノ粒子内に封入されること、前記ナノ粒子材料内に組み込まれること、または前記ナノ粒子に結合させられること、を特徴とする請求項31に記載のナノクラスター。
【請求項34】
前記有効成分は前記ナノクラスター内で前記ナノ粒子間に捕捉されていること、を特徴とする請求項31に記載のナノクラスター。
【請求項35】
前記有効成分は前記ナノ粒子に結合させられていないこと、組み込まれていないこと、または封入されていないこと、を特徴とする請求項31に記載のナノクラスター。
【請求項36】
約1重量%〜約99重量%の前記ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項37】
約10重量%〜約75重量%の前記ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項38】
約15重量%〜約50重量%の前記ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項39】
約20重量%〜約25重量%の前記ナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項40】
約1重量%〜約50重量%の前記分散材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項41】
約5重量%〜約30重量%の前記分散材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項42】
約10重量%〜約20重量%の前記分散材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項43】
請求項1に記載のナノクラスターを含むことを特徴とする組成物。
【請求項44】
複数のナノクラスターを含むことを特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
有効成分をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物はドライパウダー、エアロゾル、スプレー剤、錠剤、または液剤に調製されること、を特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
約1重量%〜約100重量%の前記ナノクラスターを含むこと、を特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物は医薬上許容される担体内に調製されること、を特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項49】
被験者における疾患を予防または治療する方法であって、前記組成物を必要とする前記被験者に、請求項1に記載のナノクラスターを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含むこと、を特徴とする方法。
【請求項50】
被験者が前記予防もしくは治療を必要とするかどうかを決定する工程をさらに含むこと、を特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患は肺の疾患または状態であることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記呼吸器疾患は嚢胞性線維症、結核、重症急性呼吸器症候群、喘息、または肺炎であること、を特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記疾患を治療または予防するために使用される第2療法を投与する工程をさらに含むこと、を特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物は鼻腔内に投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記ナノクラスターは肺の細気管支または肺胞領域に送達されること、を特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記分散材料は前記粒子を水に応答して分散させること、を特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物は静脈内投与されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項58】
ナノクラスターを調製する方法であって:
(i)分散材料を入手する工程と;
(ii)複数のナノ粒子を入手する工程と;および
(iii)(i)および(ii)を混合する工程であって、前記混合物はナノクラスターに調製される工程とを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項59】
複数のナノ粒子を入手する工程は:
(i)ナノ粒子の水性懸濁液を入手する工程と;
(ii)前記懸濁液を非水相に乳化する工程と;
(iii)前記水性懸濁液中の水を非水相中に同化させる工程と;
(iv)前記ナノ粒子を共に凝集させる工程と;および
(v)前記凝集したナノ粒子を回収する工程とを含むこと、
を特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
複数のナノ粒子を入手する工程は:
(i)ナノ粒子の非水性懸濁液を入手する工程と;
(ii)前記懸濁液を水相に乳化する工程と;
(iii)前記非水性懸濁液中の液体を水相中に同化させる工程と;
(iv)前記ナノ粒子を共に凝集させる工程と;および
(v)前記凝集したナノ粒子を回収する工程とを含むこと、
を特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記ナノクラスターは組成物中に含まれること、を特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物は液剤、スプレー剤、エアロゾル、またはドライパウダーに調製されること、を特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記ナノクラスターは溶液中で調製されること、を特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記ナノクラスターを調製するために噴霧乾燥法および凍結乾燥法が使用されないこと、を特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ナノクラスターは凍結乾燥法または噴霧乾燥法を使用することによって前記溶液から回収されること、を特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項66】
ナノクラスターを調製する方法であって:
(i)第1ナノ粒子および第2ナノ粒子を入手する工程と;および
(ii)第1および第2ナノ粒子を混合する工程であって、前記ナノ粒子が自己集合してナノクラスターを形成する工程とを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項67】
前記第1および第2ナノ粒子は疎水性、親水性、またはそれらの混合であること、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1ナノ粒子は正に荷電していることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記第2ナノ粒子は負に荷電していることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第1または第2ナノ粒子は静電荷を有することを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記自己集合は前記第1および第2ナノ粒子間の静電相互作用に基づくこと、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記自己集合は前記第1および第2ナノ粒子間の疎水性または親水性相互作用に基づくこと、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記第1および第2ナノ粒子は溶液中で自己集合して前記ナノクラスターを生成すること、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項74】
分散材料を入手する工程と前記分散材料を前記第1および第2ナノ粒子と混合する工程とをさらに含むこと、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記ナノクラスターは溶液中で調製されること、を特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項76】
前記ナノクラスターを調製するために噴霧乾燥法および凍結乾燥法は使用されないこと、を特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ナノクラスターは、凍結乾燥法または噴霧乾燥法を使用することによって前記溶液から回収されること、を特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項78】
必要とする被験者に有効成分を送達する方法であって:
(i)請求項1に記載のナノクラスターおよび有効成分を含む組成物を入手する工程と;および
(ii)前記被験者に前記組成物を投与する工程とを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項79】
前記有効成分は、前記ナノ粒子内に封入されること、前記ナノ粒子材料内に組み込まれること、または前記ナノ粒子に結合させられること、を特徴とする請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記有効成分は前記ナノクラスター内で前記ナノ粒子間に捕捉されていること、を特徴とする請求項78に記載のナノクラスター。
【請求項81】
前記ナノ粒子を請求項1に記載のナノクラスターに形成する工程を含むこと、を特徴とするナノ粒子を保存する方法。
【請求項82】
前記ナノ粒子は液剤、スプレー剤、エアロゾル、またはドライパウダーとして保存されること、を特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記ナノクラスターをナノ粒子に戻す工程をさらに含むこと、を特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記ナノクラスターをナノ粒子へ戻す工程は、前記ナノクラスターに環境信号を受信させる工程を含むこと、を特徴とする請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記環境信号は水、選択されたpH、選択された温度、選択された酵素、選択された化学薬品、選択された電磁波長範囲、振動、または剪断であること、を特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記クラスターは前記ナノ粒子を共に保持すること、または環境信号に応答して前記ナノ粒子を分散させる分散材料を含むこと、を特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項87】
前記分散材料は前記ナノ粒子を共に保持し、そして環境信号に応答して前記ナノ粒子を分散させること、を特徴とする請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記分散材料は水溶性ポリマー、生分解性ポリマー、高分子電解質、金属、ポリマー架橋剤、小分子架橋剤、pH感受性材料、界面活性剤、または温度感受性材料を含むこと、を特徴とする請求項86に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−519975(P2009−519975A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545982(P2008−545982)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/062118
【国際公開番号】WO2007/076295
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508176441)ユニバーシティ・オブ・カンザス (9)
【Fターム(参考)】