説明

治療薬

本発明は、Aβ(1−42)の産生を選択的に減衰させ、アルツハイマー病の治療において有用な2−[4−(イミダゾリル)−フェニル]ビニル−ヘテロ環誘導体を包含する。医薬組成物及び使用方法も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト身体の治療上処置に使用するための化合物に関する。特に、本発明は、脳におけるβ−アミロイドペプチドの沈着に関連する疾患(例えば、アルツハイマー病)を治療するため、または前記疾患に関連する認知症の発症を予防または遅らすのに有用な化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は最も一般的な形態の認知症である。その診断は、アメリカ精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders),第4版(DSM−IV)に記載されている。ADは、臨床的には記憶及び一般的な認知機能の段階的喪失により特徴づけられ、病理学的には患者の皮質及び連合脳領域における細胞外タンパク質プラークの沈着により特徴づけられる神経変性障害である。これらのプラークは主にβ−アミロイドペプチド(Aβ)の線維状凝集物から構成されている。Aβは、酵素β−セクレターゼ及びγ−セクレターゼが関与する別々の細胞内タンパク質分解事象によりアミロイド前駆体タンパク質(APP)から形成される。γ−セクレターゼにより媒介されるタンパク質分解の部位が異なるために、鎖長が異なるAβ、例えばAβ(1−38)、Aβ(1−40)及びAβ(1−42)が生ずる。多分β−セクレターゼにより媒介されるタンパク質分解の部位が異なる結果、Aβ(4−42)のようなN末端短小化が脳で見られる。便宜上、本明細書中で使用されている「Aβ(1−40)」及び「Aβ(1−42)」のような表現には上記したN末端短小化変異体も含む。細胞外培地に分泌された後、Aβは、ADにおける主要な神経毒性物質であると広く考えられている(Gongら,PNAS,100(2003),10417−22参照)最初可溶性の凝集物を形成し、最終的にADの病理学的特徴である不溶性の沈着物及び高密度の神経突起プラークを生ずる。
【0003】
脳におけるAβ沈着に関連する他の認知症傾向状態には、脳アミロイド血管症、アミロイドシスを伴う遺伝性脳出血、オランダ型(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症及びダウン症候群が含まれる。
【0004】
プラーク形成プロセスのいろいろな介入がADに対する治療として提案されている(例えば、Hardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6参照)。提案されている治療の1つの方法は、例えばβ−またはγ−セクレターゼを阻害することによりAβの産生を阻止または減衰させる方法である。グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)、特にGSK−3αを阻害するとAβの産生が阻止され得ることも提案されている(Phielら,Nature,423(2003),435−9参照)。提案されている他の治療方法には、Aβの凝集を阻止する化合物の投与及びAβに選択的に結合する抗体の投与が含まれる。
【0005】
しかしながら、最近の報告(Pearson and Peers,J.Physiol.,575.1(2006),5−10)から、AβはADでの役割とは無関係に重要な生理学的効果を発揮し、その産生を阻止すると望ましくない副作用を生ずる恐れがあることが示唆されている。更に、γ−セクレターゼがAPPとは別の幾つかの異なる基質(例えば、ノッチ)に作用し、γ−セクレターゼを阻害すると望ましくない副作用につながる恐れがあることも公知である。従って、Aβの産生を完全に抑制せず、γ−セクレターゼの作用を阻害しないADの治療方法に興味がもたれている。
【0006】
1つの提案されている治療は、Aβ(1−42)の産生を選択的に減衰させるべくγ−セクレターゼの作用をモジュレートすることを含む。こうすると、自己凝集及びプラーク形成の傾向が弱く、よって脳からより容易に除去され及び/または神経毒性がより低いAβの短鎖イソフォームが優先的に分泌される。この効果を示す化合物には特定の非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)及びそのアナログが含まれる(国際公開第01/78721号パンフレット;米国特許出願公開第2002/0128319号明細書;Weggenら,Nature,414(2001),212−16;Moriharaら,J.Neurochem.,83(2002),1009−12;及びTakahashiら,J.Biol.Chem.,278(2003),18644−70を参照されたい)。PPARα及び/またはPPARδの活性をモジュレートする化合物もAβ(1−42)を低下させる効果を有すると報告されている(国際公開第02/100836号パンフレット)。一酸化窒素を放出できるNSAID誘導体は改善された抗神経炎症効果を示し、及び/または動物モデルで脳内Aβ沈着を減少させると報告されている(国際公開第02/092072号パンフレット;Jantzenら,J.Neuroscience,22(2002),226−54)。米国特許出願公開第2002/0015941号明細書は、容量性カルシウム流入活性を増強させる物質はAβ(1−42)を低下できることを教示している。
【0007】
Aβ(1−42)産生を選択的に減衰させ得る別のクラスの化合物は、国際公開第2005/054193号パンフレット、国際公開第2005/013985号パンフレット、国際公開第2006/008558号パンフレット、国際公開第2005/108362号パンフレット及び国際公開第2006/043064号パンフレットに開示されている。
【0008】
米国特許出願公開第2006/0004013号明細書及び国際公開第2006/046575号パンフレットは、Aβの産生を抑制するシンナミド誘導体を開示している。これらの化合物はAβ(1−40)及びAβ(1−42)の両方の産生を抑えると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第01/78721号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0128319号明細書
【特許文献3】国際公開第02/100836号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/092072号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0015941号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/054193号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2005/013985号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2006/008558号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2005/108362号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2006/043064号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第2006/0004013号明細書
【特許文献12】国際公開第2006/046575号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Gongら,PNAS,100(2003),10417−22
【非特許文献2】Hardy and Selkoe,Science,297(2002),353−6
【非特許文献3】Phielら,Nature,423(2003),435−9
【非特許文献4】Pearson and Peers,J.Physiol.,575.1(2006),5−10
【非特許文献5】Weggenら,Nature,414(2001),212−16
【非特許文献6】Moriharaら,J.Neurochem.,83(2002),1009−12
【非特許文献7】Takahashiら,J.Biol.Chem.,278(2003),18644−70
【非特許文献8】Jantzenら,J.Neuroscience,22(2002),226−54
【発明の概要】
【0011】
本発明の化合物は、Aβ(1−42)の産生を選択的に減衰させる。
【0012】
本発明によれば、式Iの化合物
【0013】
【化1】

(式中、
はH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはC2−6アルケニルを表し;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはC2−6アルケニルを表し;
Hetは、環原子の少なくとも1個がNであり、少なくとも1個の他の環原子がN、OまたはSから選択される5員もしくは6員の不飽和ヘテロ環式環を表し、前記環は最高10個の原子を有する芳香族環系に縮合して縮合環系を形成してもよく、前記したヘテロ環式環または縮合環系は、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基、すべて最高10個の炭素原子の、フェニル、フェニルC1−4アルキル、ナフチル、5員もしくは6員のヘテロシクリル、ハロゲン、CN、NO、オキソ、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有し、
前記したアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基はハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から1個の置換基を有し、
前記したフェニル、フェニルC1−4アルキル、ナフチル及び5員もしくは6員のヘテロシクリルはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、フェニル、ベンジルまたはCFを表し;
はHまたはRを表し、或いは同一窒素原子に結合している2個のR基は、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びC1−4アルコキシカルボニルから選択される0から3個の置換基を有している、最高7個の環原子のヘテロ環式基を形成してもよく;
はC1−6アルキル、フェニルまたはCFを表し;
はHまたはRを表し、或いは同一窒素原子に結合している2個のR基は、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びC1−4アルコキシカルボニルから選択される0から3個の置換基を有している、最高7個の環原子のヘテロ環式基を形成してもよい。)
或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物が提供される。
【0014】
変数が式I中に2回以上現れているときには、その変数がとる性質は各回独立している。
【0015】
本明細書中で使用されている表現「C1−Xアルキル(ここで、xは1以上の整数である。)」は、構成炭素原子の数が1〜xの範囲である直鎖状及び分岐状アルキル基を指す。具体的アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びt−ブチルである。「C2−6アルケニル」、「ヒドロキシC1−6アルキル」、「ヘテロアリールC1−6アルキル」、「C2−6アルキニル」及び「C1−6アルコキシ」のような誘導表現は同様に解釈されるべきである。
【0016】
表現「C3−6シクロアルキル」は、3〜6個の環炭素原子を含有している環状非芳香族炭化水素基を指す。その例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンテニル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0017】
用語「ヘテロ環式」は、少なくとも1個の環原子がN、O及びSから選択される単環式または二環式環系を指す。別段の記載がない限り、この用語は芳香族系を含めた飽和系及び不飽和系の両方を含む。別段の記載がない限り、ヘテロ環式基は環炭素または環窒素を介して結合され得る。
【0018】
本明細書中で使用されている用語「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、別段の記載がない限りフッ素及び塩素が好ましい。
【0019】
医薬品中に使用するためには、式Iを有する化合物は医薬的に許容され得る塩の形態であり得る。しかしながら、式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を製造するには他の塩も有用であり得る。本発明の化合物の適当な医薬的に許容され得る塩には、例えば本発明の化合物の溶液を医薬的に許容され得る酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、炭酸またはリン酸)の溶液と混合することにより形成され得る酸付加塩が含まれる。或いは、医薬的に許容され得る塩はカルボン酸基を適当な塩基で中和することにより形成され得る。こうして形成される医薬的に許容され得る塩の例にはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩);アンモニウム塩;アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩);及び適当な有機塩基、例えば(ピリジニウム塩を含めた)アミン塩及び4級アンモニウム塩で形成される塩が含まれる。
【0020】
光学異性体及び幾何異性体の両方を含む式Iに包含される立体異性体のすべてが単独でまたは任意の比率の混合物として本発明の範囲内にあると理解される。
【0021】
式I中、RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはt−ブチル)、C3−6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、またはC2−6アルケニル(例えば、アリル)を表す。一実施形態において、RはC1−6アルキル、特にメチルを表す。
【0022】
はC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはt−ブチル)、C3−6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、またはC2−6アルケニル(例えば、アリル)を表す。特定実施形態において、RはC1−6アルキル、特にメチルを表す。
【0023】
“Het”で表されるヘテロ環式環及び縮合環系の例には、置換されていてもよいオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトオキサゾール、キナゾリン、チエノピリミジン及び1,7−ジヒドロイミダゾ[4,5−f]インダゾールが含まれる。
【0024】
式Iを有する化合物のサブクラスにおいて、Hetは
【0025】
【化2】

(X、X’、Y及びY’は各々独立してCRまたはNを表し;
Z及びZ’は各々NR、OまたはSを表し、
ただしZがOまたはSを表すときにはX及びYの少なくとも1つはCRを表し、Z’がOまたはSを表すときにはY’はCRを表し;
WはC=OまたはSOを表し;
VはOR、N(RまたはSRを表し;
各Rは独立してH、または
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基、すべて最高10個の炭素原子の、フェニル、ナフチル、5員もしくは6員のヘテロシクリル、ハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(R
から選択される置換基を表し、
前記したアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基はハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から1個の置換基を有し、
前記したフェニル、ナフチル及び5員もしくは6員のヘテロシクリルはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
或いは隣接環原子に結合している2個のR基が一緒になって、別の5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環に縮合していてもよいフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環から構成される縮合環系を表し得、前記縮合環系はハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
はH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、フェニルまたはベンジルを表し、前記したフェニル及びベンジルはハロゲン、CF及びC1−4アルキルから選択される0−2個の置換基を有している。)
を表す。
【0026】
第1実施形態におて、Hetは
【0027】
【化3】

(X、Y及びZは先に定義した通りである。)
を表す。特定サブ実施形態において、ZはNRを表す。代替サブ実施形態において、ZはOまたはSを表し、X及びYの1つはNを表し、他方はCRを表す。このサブ実施形態において、Rは、非常に好適にはHまたはC1−6アキルを表し、或いはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しているフェニル、ナフチルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す。
【0028】
このサブ実施形態の範囲内で、Rの適当な性質にはフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ナフチル、クロロフェニル、トリフルオロメチル−3−ピリジル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、メトキシナフチル、ブロモフェニル及び1−ピロリルフェニルが含まれる。
【0029】
このサブ実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、Z=O、X及びYが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0030】
【表1】

【0031】
代替サブ実施形態において、Hetは
【0032】
【化4】

(式中、R7a及びR7bは同一または異なり、各々はHまたはC1−6アルキルを表し、或いはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しているフェニル、ナフチルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す。)
を表す。
【0033】
7a及びR7bの適当な性質にはH、フェニル、ハロフェニル、トリフルオロメチルフェニル及びC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びt−ブチル)が含まれる。
【0034】
このサブ実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、Z、R7a及びR7bが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0035】
【表2】

【0036】
更なるサブ実施形態において、Hetは
【0037】
【化5】

(nは0、1、2または3であり;
各Rは独立してハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択され、或いは隣接する環の位置で結合している2個のR基は縮合ベンゼン環を形成し得る。)
を表す。
【0038】
nが0、1または2であることが最も好適である。
【0039】
特定部分集合において、ZはNRを表す。Rの適当な性質にはH、C1−6アルキル及びベンジルが含まれる。
【0040】
(存在するときの)Rの適当な性質にはハロゲン、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ、NO及びSON(C1−4アルキル)が含まれ、或いは2個のR基は一緒になって縮合ベンゼン環を形成し得る。
【0041】
このサブ実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、Z、R7a及びR7bが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0042】
【表3】

【0043】
第2実施形態において、Hetは
【0044】
【化6】

(X’、Y’及びZ’は先に定義した通りである。)
を表す。特定のサブ実施形態において、Z’はNRを表し、X’及びY’は独立してCRまたはNを表す。代替サブ実施形態において、Z’はOまたはSを表し、Y’はCRを表し、X’はCRまたはNを表す。この第2実施形態の範囲内において、Rは非常に好適にはH、または置換されていてもよいC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す。Rで表される適当なヘテロシクリル基の例には、置換されていてもよいチオフェン、イソオキサゾール及びピリジンが含まれる。
【0045】
この第2実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、X’、Y’、Z’及びRが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0046】
【表4】

【0047】
第3実施形態において、Hetは
【0048】
【化7】

(W、R及びRは先に定義した通りである。)
を表す。最も好適には、WはC=Oを表す。特定のサブ実施形態において、2個のR基は一緒になって、別の5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環に縮合されているフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環から構成される置換されていてもよい縮合環系を表してもよい。適当な縮合環系の例には、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、チオフェン、ジヒドロシクロペンタ[b]チオフェン及びベンゾフランが含まれる。縮合環系上の適当な置換基の例には、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルキルカルボニル及びジ(C1−4アルキル)アミノカルボニルが含まれる。
【0049】
よって、更なるサブ実施形態において、Hetは
【0050】
【化8】

(R、R、R及びRは独立してH、ハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rを表し、或いはRとR、RとR、またはRとRは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環を表し、ただしR、R、R及びRの少なくとも1つはHであり;
、R及びRは先に定義した通りである。)
を表す。
【0051】
非常に好適には、R、R、R及びRは独立してH、ハロゲン、CF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC1−4アルキルカルボニルを表し、ただしR、R、R及びRの少なくとも1つはHである。或いは、RとRは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環(例えば、縮合ベンゼン環)を表す。
【0052】
このサブ実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、R、R、R、R及びRが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0053】
【表5】

【0054】
代替サブ実施形態において、Hetは
【0055】
【化9】

(AはOまたはSを表し;
及びRは独立してH、ハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rを表し、或いはRとRは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環を表し;
は先に定義した通りである。)
を表す。
【0056】
非常に好適には、R及びRは独立してH、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、フェニル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニルを表し、或いは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環(例えば、縮合ベンゼン環または縮合シクロペンタン環)を表す。
【0057】
このサブ実施形態の範囲内の化合物の具体例には、R=R=CH、RがHであり、A、R及びRが下表に示す通りである化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及び水和物が含まれる。
【0058】
【表6】

【0059】
式Iを有する化合物は、ホスホネートエステル(1)をアルデヒド(2):
【0060】
【化10】

(RはC1−4アルキル(例えば、メチル)を表し、R、R及びHetは上記と同じ意味を有する。)
と縮合することにより製造され得る。この反応は水性THF/エタノール混合物中、アルカリ(例えば、LiOH)の存在下で実施され得る。
【0061】
ホスホネートエステル(1)は、亜リン酸トリエチルをHet−CH−Hal(ここで、HalはCl、BrまたはIを表し、Hetは上記と同じ意味を有する。)と加熱することにより得られ得る。
【0062】
アルデヒド(2)は、イミダゾール(3)をフルオロベンズアルデヒド(4):
【0063】
【化11】

(R及びRは上記と同じ意味を有する。)
と反応させることにより得られ得る。この反応はDMF中、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で加熱しながら実施する。
【0064】
或いは、式Iを有する各種化合物は、ケイ皮酸(5):
【0065】
【化12】

(R及びRは上記と同じ意味を有する。)
からヘテロ環化学の分野で公知の合成技術を用いて得られ得る。例えば、(5)と1,2−フェニレンジアミン(6):
【0066】
【化13】

(n及びRは上記と同じ意味を有する。)
の反応により、式I(式中、Hetは置換されていてもよいベンゾイミダゾル−2−イル基を表す。)を有する化合物が得られる。
【0067】
同様に、(5)とN’−ヒドロキシ−カルボキシミドアミド(7):
【0068】
【化14】

(Rは上記と同じ意味を有する。)
の反応により、式I(式中、Hetは1,2,3−オキサジアゾル−4−イル基を表す。)を有する化合物が得られる。
【0069】
それ自体市販されていない場合、上記した合成スキームの出発物質は市販されている物質を簡単に化学修飾することにより得ることができる。
【0070】
本発明のある化合物は、1つ以上のキラル中心が存在しているため、または分子の全体的不斉のために、光学異性体として存在し得る。こうした化合物はラセミ体で製造され得、或いは個々のエナンチオマーはエナンチオ特異的合成または分割により製造され得る。新規化合物は、例えば分取HPLC、または光学活性な酸(例えば、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸)と塩形成した後分別結晶し、遊離塩基を再生することによるジアステレオマー対の形成のような標準技術によりその成分のエナンチオマーに分割され得る。新規化合物は、ジアステレオマーエステルまたはアミドを形成した後、クロマトグラフィー分離し、キラル助剤を除去することによっても分割され得る。或いは、式Iを有する化合物の製造時のラセミ中間体は上記した技術により分割され得、所望のエナンチオマーはその後のステップで使用される。
【0071】
上記合成シーケンス中、当該分子上の感受性または反応性基を保護することが必要であったり及び/または望ましいことがある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,第3版,1999に記載されているような慣用の保護基を用いて実施され得る。保護基は当業界から公知の方法を用いて後続の都合の良い段階で除去され得る。
【0072】
本発明の化合物は、アミロイド前駆体タンパク質に対するγ−セクレターゼの作用を修飾してAβの1−42イソフォームの形成を選択的に減じるという有用な性質を有しており、よってAβ(1−42)により媒介される疾患、特に脳におけるβ−アミロイドの沈着を伴う疾患の治療の開発において使用される。
【0073】
本発明の更なる態様によれば、脳におけるβ−アミロイドの沈着に関連する疾患の治療または予防用薬剤を製造するための先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物の使用が提供される。
【0074】
脳におけるAβの沈着に関連する疾患は、典型的にはアルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管症、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群、好ましくはADである。
【0075】
更なる態様で、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群に関連する認知症の発症を治療、予防または遅らすための薬剤の製造における先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物の使用を提供する。
【0076】
本発明は、脳におけるAβの沈着に関連する疾患の治療または予防を要する患者に対して治療有効量の先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物を投与することを含む前記疾患の治療または予防方法をも提供する。
【0077】
更なる態様で、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群に関連する認知症の発症を治療、予防または遅らす必要がある患者に対して治療有効量の先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物を投与することを含む前記認知症の発症を治療、予防または遅らす方法を提供する。
【0078】
式Iを有する化合物は、Aβ(1−40)のような短鎖イソフォームの産生を有意に低下させることなくAβの(1−42)イソフォームの産生を選択的に低下させるようにγ−セクレターゼの作用をモジュレートする。この結果、自己凝集して、不溶性沈着物を形成する傾向が小さく、脳からより容易に取り除かれ、及び/または神経毒性が低いAβが分泌される。従って、本発明の更なる態様は、脳におけるAβの蓄積を遅延、停止または防止する必要がある被験者に対して治療有効量の先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物を投与することを含む脳におけるAβの蓄積を遅延、停止または防止方法を提供する。
【0079】
式Iを有する化合物はγ−セクレターゼの活性を抑制するのではなくその活性をモジュレートするので、上記した治療効果はγ−セクレターゼによりコントロールされる他のシグナル伝達経路(例えば、ノッチ)が破壊されるために生ずるような副作用のリスクを抑えて得られると考えられる。
【0080】
本発明の一実施形態では、式Iを有する化合物はAD、脳アミロイド血管症、HCHWA−D、多発梗塞性認知症、拳闘家認知症またはダウン症候群、好ましくはADを患っている患者に対して投与される。
【0081】
本発明の代替実施形態では、式Iを有する化合物は軽度認知機能障害または年齢関連認知機能低下を患っている患者に対して投与される。この治療の有利な結果はADの発症を予防または遅らすことである。年齢関連認知機能低下及び軽度認知機能障害(MCI)は、記憶障害はみられるが、認知症についての他の診断基準が存在しない状態である(Santacruz and Swagerty,American Family Physician,63(2001),703−13)。“精神及び行動の障害のICD−10分類(The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders)”,ジュネーブの世界保健機関,1992,64−5も参照されたい。本明細書中で使用されている「年齢関連認知機能低下」は、少なくとも6ヶ月間、記憶及び学習;注意及び集中;思考;言語;並びに視空間機能及び標準化神経心理的検査(例えば、MMSE)でノルムから1標準偏差以上のスコア;の少なくとも1つが低下していることを指す。特に、記憶の段階的低下が見られることがある。より重症のMCIでは、記憶障害の程度は患者の年齢相当に正常であると見なされる範囲を逸脱しているが、ADではない。MCIと軽度ADの鑑別診断はPetersenら,Arch.Neurol.,56(1999),303−8に記載されている。MCIの鑑別診断の更なる情報はKnopmanら,Mayo Clinic Proceedings,78(2003),1290−1308により得られる。高齢被験者の研究で、Tuokkoら(Arch,Neurol.,60(2003),577−82)は発症時にMCIを呈した被験者は5年以内に認知症になるリスクが3倍高かったことを知見した。
【0082】
Grundmanら(J.Mol.Neurosci.,19(2002),23−28)は、MCI患者における少ないベースライン海馬体積はその後のADの予後指標であると報告している。また、Andreasenら(Acta Neurol.Scand,107(2003),47−51)は、総タウの高いCSFレベル、ホスホタウの高いCSFレベル及びAβ42の低いCSFレベルはすべてMCIからADに進行するリスクが高いことと関連していると報告している。
【0083】
この実施形態の範囲内で、式Iを有する化合物を記憶機能障害があるが、認知症の症状を呈していない患者に対して投与することが有利である。記憶機能障害は典型的には全身または脳疾患(例えば、卒中、または下垂体機能不全に起因する代謝障害)に起因しない。前記患者は特に55才以上のヒト、特に60才以上のヒト、好ましくは65才以上のヒトである。患者の成長ホルモンの分泌のパターン及びレベルは年齢相当に正常であり得る。しかしながら、患者はアルツハイマー病となる1つ以上の追加リスク要因を有していることがある。これらの要因には疾患の家族歴、疾患に対する遺伝的素因、高い血清コレステロール及び成人期発症糖尿病が含まれる。
【0084】
本発明の特定実施形態では、式Iを有する化合物を年齢関連認知機能低下またはMCIを患っており、加えて疾患の家族歴、疾患に対する遺伝的素因、高い血清コレストロール、成人期発症糖尿病、高いベースライン海馬体積、総タウの高いCSFレベル、ホスホタウの高いCSFレベル及びAβ(1−42)の低いCSFレベルから選択されるADとなるリスク要因を1つ以上有している患者に対して投与する。
【0085】
(特に、早発性ADに対する。)遺伝的素因は、APP遺伝子、プレセニリン−1遺伝子及びプレセニリン−2遺伝子を含めた多数の遺伝子の1つ以上の点突然変異により生じ得る。また、アポリボタンパク質E遺伝子のε4イソフォームに対してホモ接合性である被験者では、ADになるリスクがより高い。
【0086】
認知機能低下または障害の変化(例えば、認知機能低下が遅れるまたは止まる。)が検出され得るように、患者の認知機能低下または障害の程度を本発明に従う治療の前、その間及び/またその後に定期的に評価することが有利である。この目的のために各種の神経心理的検査、例えば年齢及び教育相当に調節したノルムを有するMini−Mental State Examination(MMSE)が当業界で公知である(Folsteinら,J.Psych.Res.,12(1975),196−198;Anthonyら,Psychological Med.,12(1982),397−408;Cockrellら,Psychopharmacology,24(1988),689−692;Crumら,J.Am.Med.Assoc’n.18(1993),2386−2391)。MMSEは成人の認知機能状態の簡単な定量的尺度である。認知機能低下または障害をスクリーニングするため、所与の時点での認知機能低下または障害の重症度を推定するため、個人の認知機能の変化の進行を経時的に追跡するため、及び個人の治療に対する応答を実証するために使用され得る。別の適当な検査はアルツハイマー病評価尺度(ADAS)、特にその認知機能エレメント(ADAS−cog)である(Rosenら,Am.J.Psychiatry,141(1984),1356−64参照)。
【0087】
式Iを有する化合物は、典型的には1つ以上の式Iを有する化合物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物の形態で使用される。従って、更なる態様で、本発明は先に定義した式Iを有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩または水和物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下または直腸内投与のため、または吸入または通気による投与のための単位剤形、例えば錠剤、ピル剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液剤または懸濁液剤、計量エアロゾルまたは液体スプレー、滴剤、アンプル、経皮パッチ、自動注入デバイスまたは座剤の形態をとる。典型的には、主要な活性成分を医薬用担体、例えば慣用されている錠剤化成分(例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びリン酸ジカルシウム)、或いはガム、分散剤、懸濁剤または界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート及びポリエチレングリコール)、及び他の医薬用希釈剤(例えば、水)と混合して、本発明の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む均質な前製剤化組成物を形成する。この前製剤化組成物が均質であると言及されているとき、組成物が等しく有効な単位剤形(例えば、錠剤、ピル剤及びカプセル剤)に容易に再分割され得るように活性成分が組成物全体に均一に分布されていることを意味する。次いで、この前製剤化組成物を0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含有する上記タイプの単位剤形に再分割する。典型的な単位剤形は1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50または100mgの活性成分を含有している。長時間作用するという効果を与える剤形を提供するために組成物の錠剤またはピル剤にコーティングを被せても、他の方法でコンパウンドしてもよい。例えば、錠剤またはピル剤は内側投与成分及び外側投与成分を含み得、後者は前者に対する外被の形態である。2つの成分を、胃での崩壊を阻止するように働き、内部成分を無傷で十二指腸まで通過させるかまたは放出を遅らす腸溶層により分離してもよい。腸溶層またはコーティングのために各種材料が使用され得、その中には各種の高分子酸及び高分子酸とセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料との混合物が含まれる。
【0088】
本発明において有用な組成物を経口または注射により投与するために配合し得る液体剤形には、水溶液剤、液体またはゲルが充填されているカプセル剤、適当に着香されているシロップ剤、水性または油性懸濁液剤、及び食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油)を含む着香エマルジョン剤、並びにエリキシル剤及び類似の医薬ビヒクルが含まれる。水性懸濁液剤のために適した分散または懸濁液には合成及び天然ガム、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリジン)またはゼラチンが含まれる。
【0089】
アルツハイマー病を治療または予防するための適当な用量レベルは約0.01〜250mg/kg/日、好ましくは約0.01〜100mg/kg/日、より好ましくは約0.05〜50mg/kg体重/日の活性化合物である。化合物は1〜4回/日のレジメンで投与され得る。しかしながら、幾つかの例では、この限定を超える用量を使用してもよい。
【0090】
、式Iを有する化合物をADまたはその症状の治療または予防において有用であることが公知の追加化合物の1つ以上と一緒に投与してもよい。この追加化合物には認知機能エンハンサー、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例:ドネペジル及びガランタミン)、NMDAアンタゴニスト(例:メマンティン)、またはPDE4阻害剤(例:Ariflo(商標)、並びに国際公開第03/018579号パンフレット、国際公開第01/46151号パンフレット、国際公開第02/074726号パンフレット及び国際公開第02/098878号パンフレットに開示されている化合物類)が含まれる。この追加化合物にはコレステロール低下薬、例えばスタチン類(例:シンバスタチン)も含まれる。追加化合物には脳におけるAβの産生またはプロセシングを修飾することが公知の化合物(「アミロイドモディファイヤー」)、例えば(γ−セクレターゼ阻害剤、β−セクレターゼ阻害剤及びGSK−3α阻害剤を含めた)Aβの分泌を抑制する化合物、Aβの凝集を抑制する化合物、及びAβに選択的に結合する抗体が含まれる。この追加化合物には国際公開第2004/110443号パンフレットに開示されているような成長ホルモン分泌促進物質も含まれる。
【0091】
本発明のこの実施形態では、アミロイドモディファイヤーはAβの分泌を抑制する化合物、例えば(国際公開第01/90084号パンフレット、国際公開第02/30912号パンフレット、国際公開第01/70677号パンフレット、国際公開第03/013506号パンフレット、国際公開第02/36555号パンフレット、国際公開第03/093252号パンフレット、国際公開第03/093264号パンフレット、国際公開第03/093251号パンフレット、国際公開第03/093253号パンフレット、国際公開第2004/039800号パンフレット、国際公開第2004/039370号パンフレット、国際公開第2005/030731号パンフレット、国際公開第2005/014553号パンフレット、国際公開第2004/089911号パンフレット、国際公開第02/081435号パンフレット、国際公開第02/081433号パンフレット、国際公開第03/018543号パンフレット、国際公開第2004/031137号パンフレット、国際公開第2004/031139号パンフレット、国際公開第2004/031138号パンフレット、国際公開第2004/101538号パンフレット、国際公開第2004/101539号パンフレット及び国際公開第02/47671号パンフレットに開示されている化合物のような)γ−セクレターゼ阻害剤;(国際公開第03/037325号パンフレット、国際公開第03/030886号パンフレット、国際公開第03/006013号パンフレット、国際公開第03/006021号パンフレット、国際公開第03/006423号パンフレット、国際公開第03/006453号パンフレット、国際公開第02/002122号パンフレット、国際公開第01/70672号パンフレット、国際公開第02/02505号パンフレット、国際公開第02/02506号パンフレット、国際公開第02/02512号パンフレット、国際公開第02/02520号パンフレット、国際公開第02/098849号パンフレット及び国際公開第02/100820号パンフレットに開示されているような)β−セクレターゼ阻害剤;国際公開第98/28268号パンフレット、国際公開第02/47671号パンフレット、国際公開第99/67221号パンフレット、国際公開第01/34639号パンフレット、国際公開第01/34571号パンフレット、国際公開第00/07995号パンフレット、国際公開第00/38618号パンフレット、国際公開第01/92235号パンフレット、国際公開第01/77086号パンフレット、国際公開第01/74784号パンフレット、国際公開第01/74796号、国際公開第01/74783号パンフレット、国際公開第01/60826号パンフレット、国際公開第01/19797号パンフレット、国際公開第01/27108号パンフレット、国際公開第01/27091号パンフレット、国際公開第00/50391号パンフレット、国際公開第02/057252号パンフレット、米国特許出願公開第2002/0025955号明細書、米国特許出願公開第2002/0022621号明細書に開示されているものを含めたAβの形成または放出を抑制する他の化合物;GSK−3阻害剤、特にGSK−3α阻害剤、例えばPhielら,Nature,423(2003),435−9に開示されているリチウムであり得る。
【0092】
或いは、アミロイドモディファイヤーはAβの凝集を抑制するかまたはその神経毒性を弱める化合物であり得る。適当な例にはキレート化剤、例えばクリオキノール(Gouras and Beal,Neuron,30(2001),641−2)及び国際公開第99/16741号パンフレットに開示されている化合物、特にDP−109(Kalendarevら,J.Pharm.Biomed.Anal,24(2001),967−75)として公知の化合物が含まれる。本発明において使用するのに適したAβ凝集の他の抑制剤には、Apan(商標)(Praecis)として公知の化合物を含めた国際公開第96/28471号パンフレット、国際公開第98/08868号パンフレット及び国際公開第00/052048号パンフレットに開示されている化合物;国際公開第00/064420号パンフレット、国際公開第03/017994号パンフレット、国際公開第99/59571号パンフレットに開示されている化合物(特に、トラミプロセートまたはAlzhemed(商標)としても公知の3−アミノプロパン−1−スルホン酸);国際公開第00/149281号パンフレット、及びPTI−777及びPTI−00703(ProteoTech)として公知の組成物;国際公開第96/39834号パンフレット、国際公開第01/83425号パンフレット、国際公開第01/55093号パンフレット、国際公開第00/76988号、国際公開第00/76987号パンフレット、国際公開第00/76969号パンフレット、国際公開第00/76489号パンフレット、国際公開第97/26919号パンフレット、国際公開第97/16194号パンフレット及び国際公開第97/16191号パンフレットに開示されている化合物が含まれる。更なる例には、米国特許第4,847,082号明細書に開示されているフィチン酸誘導体及び米国特許出願公開第2004/0204387号明細書に教示されているイノシトール誘導体が含まれる。
【0093】
或いは、アミロイドモディファイヤーはAβに選択的に結合する抗体であり得る。この抗体はポリクローナルでもモノクローナルであってもよいが、好ましくはモノクローナルであり、好ましくはヒトまたはヒト化である。好ましくは、抗体は、国際公開第03/016466号パンフレット、国際公開第03/016467号パンフレット、国際公開第03/015691号パンフレット及び国際公開第01/62801号パンフレットに記載されているように生物学的流体から可溶性Aβを隔離し得る。適当な抗体には(国際公開第01/62801号パンフレットに記載されている。)ヒト化抗体266及び国際公開第03/016466号パンフレットに記載されているその修飾体が含まれる。
【0094】
本明細書中で使用されている表現「と一緒に」は、いずれも治療有効量の式Iを有する化合物及び追加化合物を被験者に投与することが必要であるが、投与方法に制限はない。よって、2つの化合物を被験者に対して同時に投与するために1つの剤形中に配合しても、または被験者に対して同時または逐次投与するために別々の剤形中に配合してもよい。逐次投与は時間的に近くても離れていてもよく、例えば1つの化合物を朝に、他の化合物を夜に投与する。それぞれの化合物を同一頻度で投与しても異なる頻度で投与してもよく、例えば1つの化合物を1日1回、他の化合物を1日2回以上投与する。それぞれの化合物を同一ルートで投与しても別のルートで投与してもよく、例えば1つの化合物を経口投与し、他の化合物を非経口投与する。しかしながら、可能ならば両方の化合物を経口投与することが好ましい。追加化合物が抗体の場合には、典型的には抗体を非経口的に、式Iを有する化合物とは別に投与する。
【0095】
実験
式Iを有する化合物がAβ(1−42)の産生を選択的に抑制する能力は以下のアッセイを用いて調べられ得る。
【0096】
細胞ベースのγ−セクレターゼアッセイ
直接γ−セクレターゼ基質SPA4CTを過剰発現するヒトSH−SY5Y神経芽細胞を酪酸ナトリウム(10mM)を用いて4時間誘導した後、平板培養した。細胞を96ウェルプレートにおいてフェノールレッド非含有MEM/10% FBS,50mM HEPES,1% グルタミン中35,000個の細胞/ウェル/100μlで平板培養し、37℃、5% COで2時間インキュベートした。
【0097】
10ポイント用量−応答曲線を作成するために被験化合物をMeSOで希釈した。典型的には、10μMのこのMeSO中の希釈化合物を更に182μlの希釈緩衝液(フェノールレッド非含有MEM/10% FBS50mM HEPES,1% グルタミン)で希釈し、10μlの各希釈物を96ウェルプレートの細胞に添加した(0.5%の最終MeSO濃度となる。)。適切なビヒクル及び阻害剤コントロールを使用して、アッセイのウィンドウを決定した。
【0098】
37℃、5% COで一晩インキュベートした後、それぞれAβ(40)ペプチド及びAβ(42)ペプチドを検出するために25μl及び50μlの培地を標準Mesoアビチンをコーティングした96ウェルプレートに移した。Aβ(40)ウェルに25μlのMeso Assay緩衝液(PBS,2% BSA,0.2% Tween−20)を添加した後、ウェルに25μlのそれぞれの抗体プレミックスを添加した:
Aβ(40)プレミックス:1μg/ml ルテニレート化G2−10抗体,4μg/ml;及びOrigen緩衝液で希釈したビオチニル化4G8抗体
Aβ(42)プレミックス:1μg/ml ルテニレート化G2−11抗体,4μg/ml;及びOrigen緩衝液で希釈したビオチニル化4G8抗体
(ビオチニル化4G8抗体はSignet Pathology Ltdより供給され、G2−10及びG2−11抗体はChemiconより供給された)。
【0099】
アッセイプレートを振とう機を用いて4℃で一晩インキュベートした後、Meso Scale Sector 6000 Imagerを製造業者の指示に従って較正した。プレートを150μl/ウェルのPBSで3回洗浄した後、各ウェルに150μlのMeso Scale Discovery読み取り緩衝液を添加し、プレートをSector 6000 Imagerを用いて製造業者の指示に従って調べた。
【0100】
Aβアッセイ用培地を除去した後の対応の細胞の細胞生存度を、製造業者の指示に従うMTS(オーウェン試薬)のホルマザンへのバイオ還元を用いて比色細胞増殖アッセイ(CellTiter 96(商標)AQ assay,Promega)により測定した。簡単に説明すると、5μlの10×MTS/PESを培地の残り50μlに添加した後、インキュベータに戻した。〜4時間後、光学密度を495nmで測定した。
【0101】
Aβ(40)及びAβ(42)の抑制についてのLD50値及びIC50値は、適切なソフトウェア(例えば、Excelフィット)を用いる非線形回折フィット分析により計算した。全シグナル及びバックグラウンドは対応のMeSO及び阻害剤コントロールにより規定した。
【0102】
下記実施例にリストされている化合物はいずれもAβ(1−42)抑制について10μM未満、多くの場合1.0μM未満のIC50値を示した。更に、この値はAβ(1−40)抑制についての対応IC50値よりも少なくとも2倍低い、典型的には5倍低い、好ましくは少なくとも50倍低い。
【実施例】
【0103】
以下の手順において、
「ホスホネート」は、適当なクロロメチルヘテロ環Het−CHClを亜リン酸トリエチルと加熱することにより製造されるHet−CH−P(O)(OEt)を指し;
「ホスホニウム塩」は、アセトニトリル中でHet−CHClを亜リン酸トリフェニルと加熱した後、生じた固体を集めることにより製造されるHet−CH−P(Ph)Clを指し;
「アルデヒド」は、3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−ベンズアルデヒドを指す。
【0104】
一般的手順1(PG1):
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−ベンズアルデヒド、ホスホネート及び水酸化リチウム水和物を窒素下のフラスコに装入した。溶媒を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、粗な物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0105】
一般的手順2(PG2):
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−ベンズアルデヒド、ホスホニウム塩及び水酸化リチウム水和物を窒素下のフラスコに装入した。溶媒を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、粗な物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0106】
一般的手順3(PG3):
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−ベンズアルデヒド、ホスホネート及び水酸化リチウム水和物を窒素下のフラスコに装入した。溶媒を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、沈殿を濾別した。得られた固体を水及びエーテルで洗浄した後、高真空下で乾燥した。TFA塩を得るために、生成物を逆相クロマトグラフィー(C18,アセトニトリル/水+0.5% TFA)により精製した。
【0107】
一般的手順4(GP4):
(2E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アクリル酸(64.5mg,0.250ミリモル)、カルボニルジイミダゾール(44.5mg,0.275ミリモル)及びDMF(1.325mL)を4mL容量のシンチレーションバイアルに添加し、室温で30分間攪拌した。必要なN−ヒドロキシカルボキシミドアミド(0.275ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。容器の内容物を0.5〜2.0mL容量のマイクロ波バイアルに移し、追加の1.1当量のカルボニルジイミダゾール(44.5mg,0.275ミリモル)を添加した。バイアルを密封し、160℃で11分間マイクロ波加熱した。逆相クロマトグラフィー(水中5%〜80% MeCN)により精製して、生成物を白色固体として得た。
【0108】
実施例1
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−4−フェニル−オキサゾール
【0109】
【化15】

【0110】
アルデヒド(22mg,0.1ミリモル)、ホスホネート(33mg,0.11ミリモル)、LiOH・HO(6mg,0.15ミリモル)及びTHF(1mL)からGP1に従って、標記化合物(33mg)を黄色固体として得た。
【0111】
H(600MHz,CDCl):2.28(s,3H),3.87(s,3H),6.92(s,1H),6.99(d,J=16.8Hz,1H),7.16(s,1H),7.17(d,J=8.1Hz,1H),7.23(d,J=8.1Hz,1H),7.31(t,J=7.5Hz,1H),7.39(t,J=7.5Hz,2H),7.52(d,J=16.8Hz,1H),7.72(s,1H),7.74(d,J=7.8Hz,2H),7.88(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2220)[M+H] 358.2,実測値 358.2。
【0112】
実施例2
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−4,5−ジフェニル−オキサゾール
【0113】
【化16】

【0114】
アルデヒド(140mg,0.650ミリモル)、ホスホネート(297mg,90%,0.720ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.9ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP1に従って、酢酸エチルから再結晶後、標記化合物(118mg)を黄色固体として得た。
【0115】
H(600MHz,dmso−d6):2.13(s,3H),3.90(s,3H),7.16(t,J=1.2Hz,1H),7.38−7.48(m,9H),7.61−7.68(m,6H),7.80(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2824)[M+H] 434.2,実測値 434.2。
【0116】
実施例3
5−tert−ブチル−3−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1,2,4−オキサジアゾール
【0117】
【化17】

【0118】
アルデヒド(250mg,1.16ミリモル)、ホスホネート(383mg,1.39ミリモル)、LiOH・HO(146mg,3.47ミリモル)、THF(6mL)及びエタノール(2mL)からGP1に従って、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶後、標記化合物(118mg)を無色固体として得た。
【0119】
H(600MHz,dmso−d6):1.41(s,9H),2.13(s,3H),3.88(s,3H),7.14(s,1H),7.38(d,J=7.9Hz,1H),7.41−7.43(m,3H),7.63−7.66(m,2H),7.79(d,J=1.5Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C1923)[M+H] 339.2,実測値 339.2。
【0120】
実施例4
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0121】
【化18】

【0122】
アルデヒド(150mg,0.69ミリモル)、ホスホニウム塩(357mg,0.83ミリモル)、LiOH・HO(87mg,2.08ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP2に従って、酢酸エチルから再結晶後、標記化合物(178mg)を無色固体として得た。
【0123】
H(600MHz,dmso−d6):2.14(s,3H),3.90(s,3H),7.15−7.17(m,3H),7.29−7.34(m,3H),7.39−7.41(m,3H),7.66(d,J=16.4Hz,1H),7.80(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2019O)[M+H] 331.1,実測値 331.1。
【0124】
実施例5
6−tert−ブチル−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾールトリフルオロ酢酸塩
【0125】
【化19】

【0126】
(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−アクリル酸(300mg,1.162ミリモル)及び4−tert−ブチル−ベンゼン−1,2−ジアミン(191mg,1.162ミリモル)を窒素下の10mL容量のフラスコに装入した。エチレングリコール(2mL)を添加し、反応混合物を185℃に3時間加熱した後、170℃に一晩加熱した。反応物を水でクエンチし、沈殿した緑色固体を集めた。固体を高真空下で乾燥した後、酢酸エチル(15mL)から再結晶した。残渣をアセトニトリル/水+0.05% TFAで溶離させる分取HPLC逆相(C−18)により精製して、生成物(266mg)を黄色固体として得た。
【0127】
H(600MHz,dmso−d6):1.33(s,9H),2.14(s,3H),3.90(s,3H),7.06−7.78(m,11H)。LCMS(ESI):計算値(C2427O)[M+H] 387.2,実測値 387.2。
【0128】
実施例6
6−フルオロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0129】
【化20】

【0130】
(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−アクリル酸(100mg,0.39ミリモル)及び4−フルオロ−ベンゼン−1,2−ジアミン(49mg,0.39ミリモル)を4mL容量のバイアルに装入した。エチレングリコール(1mL)を添加し、反応混合物を100℃に16時間加熱した後、165℃に一晩加熱した。反応物を水でクエンチし、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させ、得られた固体を酢酸エチル(8mL)から再結晶して、生成物(24mg)を橙色固体として得た。
【0131】
H(600MHz,dmso−d6):2.14(s,3H),3.90(s,3H),7.02−7.79(m,11H)。LCMS(ESI):計算値(C2018FNO)[M+H] 349.1,実測値 349.1。
【0132】
実施例7
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−6−ニトロ−1H−ベンゾイミダゾール
【0133】
【化21】

【0134】
アルデヒド(100mg,0.46ミリモル)、ホスホニウム塩(263mg,0.56ミリモル)、LiOH・HO(58mg,1.39ミリモル)、THF(3mL)及びエタノール(3mL)からGP2に従って、標記化合物(66mg)を黄色固体として得た。
【0135】
H(600MHz,dmso−d6):2.14(s,3H),3.91(s,3H),7.16(s,1H),7.34−7.43(m,3H),7.57(s,1H),7.69(d,J=9.1Hz,1H),7.78−7.81(m,2H),8.08(dd,J=2.3,8.8Hz,1H),8.41(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2018)[M+H] 376.1,実測値 376.1。
【0136】
実施例8
1−ベンジル−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0137】
【化22】

【0138】
アルデヒド(175mg,0.81ミリモル)、ホスホニウム塩(504mg,0.97ミリモル)、LiOH・HO(102mg,2.43ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP2に従って、シリカゲルクロマトグラフィーにかけた後、標記化合物(220mg)を黄色固体として得た。
【0139】
H(600MHz,dmso−d6):2.13(s,3H),3.89(s,3H),5.75(s,2H),7.14(s,1H),7.16−7.24(m,6H),7.28−7.31(m,2H),7.39(d,J=7.9Hz,1H),7.44−7.46(m,1H),7.51(d,J=7.8Hz,1H),7.60−7.66(m,2H),7.79(s,1H),7.89(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2725O)[M+H] 421.2,実測値 421.2。
【0140】
実施例9
1−ベンジル−5−クロロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0141】
【化23】

【0142】
アルデヒド(150mg,0.69ミリモル)、ホスホニウム塩(658mg,0.83ミリモル)、LiOH・HO(87mg,2.08ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP2に従って、シリカゲルクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルから再結晶後、標記化合物(238mg)を黄色固体として得た。
【0143】
H(600MHz,dmso−d6):2.13(s,3H),3.89(s,3H),5.76(s,2H),7.15−7.24(m,6H),7.29−7.31(m,2H),7.40(d,J=7.1Hz,1H),7.46−7.47(m,1H),7.54(d,J=8.8Hz,1H),7.61−7.66(m,2H),7.80(s,1H),7.91(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2724ClNO)[M+H] 455.1,実測値 455.1。
【0144】
実施例10
6−クロロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0145】
【化24】

【0146】
アルデヒド(150mg,0.69ミリモル)、ホスホニウム塩(386mg,0.83ミリモル)、LiOH・HO(87mg,2.08ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP2に従って、酢酸エチル(12mL)から再結晶後、標記化合物(188mg)を黄色固体として得た。
【0147】
H(600MHz,dmso−d6):2.13(s,3H),3.90(s,3H),7.15(s,1H),7.16−7.20(m,1H),7.31−7.33(m,2H),7.40(d,J=7.9Hz,1H),7.49−7.71(m,5H),7.80(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2018ClNO)[M+H] 365.1,実測値 365.1。
【0148】
実施例11
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール
【0149】
【化25】

【0150】
アルデヒド(100mg,0.46ミリモル)、ホスホニウム塩(270mg,0.56ミリモル)、LiOH・HO(58mg,1.39ミリモル)、THF(3mL)及びエタノール(1mL)からGP2に従って、酢酸エチル(10mL)から再結晶後、標記化合物(149mg)を無色固体として得た。
【0151】
H(600MHz,dmso−d6):2.14(s,3H),3.91(s,3H),3.95(s,3H),7.16(s,1H),7.19−7.23(m,2H),7.40(d,J=7.9Hz,1H),7.46−7.48(m,1H),7.52−7.59(m,3H),7.65(d,J=1.5Hz,1H),7.80(s,1H),7.85(s,IH)。LCMS(ESI):計算値(C2021O)[M+H] 345.1,実測値 345.1。
【0152】
実施例12
5−[(E)−2−(5−クロロ−6−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−ビニル]−2−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェノールトリフルオロ酢酸塩
【0153】
【化26】

【0154】
(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−アクリル酸(100mg,0.39ミリモル)及び4−フルオロ−5−クロロ−ベンゼン−1,2−ジアミン(62mg,0.39ミリモル)を4mL容量のバイアルに装入した。ポリリン酸(〜1mL)を添加し、バイアルにセプタムキャップを被せ、反応混合物を200℃に3時間加熱した。反応物を水でクエンチし、沈殿した固体を集めた。残渣をアセトニトリル/水+0.05% TFAで溶離させる分取HPLC逆相(C−18)により精製して、生成物(14mg)を褐色固体として得た。
【0155】
H(600MHz,dmso−d6):2.32(s,3H),7.18(d,J=16.4Hz,1H),7.30(d,J=1.8Hz,1H),7.35(dd,J=1.7,8.2Hz,1H),7.54(d,J=8.2Hz,1H),7.60(d,J=9.4Hz,1H),7.64−7.68(m,1H),7.74−7.76(m,2H),9.33(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C1914ClFNO)[M+H] 369.1,実測値 369.1。
【0156】
実施例13
1−ベンジル−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−イミダゾール
【0157】
【化27】

【0158】
アルデヒド(120mg,0.56ミリモル)、ホスホニウム塩(374mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.76ミリモル)、THF(3mL)及びエタノール(1mL)からGP2に従って、酢酸エチル(10mL)から再結晶後、標記化合物(180mg)を無色固体として得た。
【0159】
H(600MHz,dmso−d6):2.12(s,3H),3.86(s,3H),5.42(s,2H),7.00(d,J=0.9Hz,1H),7.10(t,J=1.2Hz,1H),7.20−7.21(m,2H),7.24−7.35(m,7H),7.40−7.42(m,2H),7.75(d,J=1.2Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2323O)[M+H] 371.2,実測値 371.2。
【0160】
実施例14
5,6−ジクロロ−1−エチル−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール
【0161】
【化28】

【0162】
アルデヒド(120mg,0.56ミリモル)、ホスホネート(243mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、酢酸エチル(10mL)から再結晶後、標記化合物(219mg)を黄色固体として得た。
【0163】
H(600MHz,dmso−d6):1.30(t,J=7.2Hz,3H),2.14(s,3H),3.91(s,3H),4.50(q,J=7.2Hz,2H),7.16(t,J=1.2Hz,1H),7.41(d,J=8.2Hz,1H),7.50−7.53(m,2H),7.64(d,J=1.2Hz,1H),7.81(d,J=1.2Hz,1H),7.84(s,1H),7.92(d,J=15.6Hz,1H),7.99(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C222IClO)[M+H] 427.1,実測値 427.1。
【0164】
実施例15
3−(2,3−ジクロロ−フェニル)−5−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1,2,4−オキサジアゾールトリフルオロ酢酸塩
【0165】
【化29】

【0166】
(2E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アクリル酸(64.5mg,0.250ミリモル)、カルボニルジイミダゾール(44.5mg,0.275ミリモル)及びDMF(1.325mL)を4mL容量のシンチレーションバイアルに装入し、室温で30分間攪拌した。2,3−ジクロロ−N’−ヒドロキシベンゼンカルボキシミドアミド(56.3mg,0.275ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。バアイルの内容物を0.5〜2.0mL容量のマイクロ波バイアルに移し、更に1.1当量のカルボニルジイミダゾール(44.5mg,0.275ミリモル)を添加した。バイアルを密封し、160℃で11分間マイクロ波加熱した。逆相クロマトグラフィー(水中5%〜80% MeCN)により精製後、3−(2,3−ジクロロフェニル)−5−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]ビニル}−1,2,4−オキサジアゾールを白色固体として得た。
【0167】
LCMS(ESI):計算値(C2117Cl)[M+H] 426.1,実測値 426.1。
【0168】
実施例16
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−ベンゾイミダゾール−5−スルホン酸ジエチルアミドトリフルオロ酢酸塩
【0169】
【化30】

【0170】
アルデヒド(120mg,0.56ミリモル)、ホスホニウム塩(376mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(3mL)及びエタノール(1mL)からGP2に従って、逆相精製後、標記化合物(70mg)を無色固体として得た。
【0171】
H(600MHz,dmso−d6):1.02(t,J=7.1Hz,6H),2.33(s,3H),3.15(q,J=7.1Hz,4H),3.95(s,3H),7.45−7.51(m,2H),7.59−7.63(m,2H),7.67(s,1H),7.71−7.74(m,2H),7.80(d,J=16.4Hz,1H),7.94(d,J=1.4Hz,1H),9.34(d,J=1.5Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2428S)[M+H] 466.2,実測値 466.2。
【0172】
実施例17
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0173】
【化31】

【0174】
アルデヒド(150mg,0.69ミリモル)、ホスホネート(226mg,0.76ミリモル)、LiOH・HO(87mg,2.08ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(253mg)を黄色固体として得た。
【0175】
H(600MHz,dmso−d6):2.33(s,3H),3.93(s,3H),7.18(d,J=16.4Hz,1H),7.41(dd,J=1.5,8.2Hz,1H),7.49(dt,J=1.2,8.0Hz,1H),7.63−7.67(m,3H),7.73(s,1H),7.80−7.82(m,1H),7.99(d,J=16.1Hz,1H),8.10(dd,J=1.1,7.9Hz,1H),9.30(d,J=1.5Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2119)[M+H] 359.1,実測値 359.1。
【0176】
実施例18
7−クロロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0177】
【化32】

【0178】
アルデヒド(400mg,1.85ミリモル)、ホスホネート(612mg,1.85ミリモル)、LiOH・HO(233mg,2.08ミリモル)、THF(12mL)及びエタノール(4mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(520mg)を黄色固体として得た。
【0179】
H(600MHz,dmso−d6):2.31(s,3H),3.93(s,3H),7.15(d,J=16.2Hz,1H),7.40(dd,J=1.5,8.3Hz,1H),7.52(dd,J=1.1,8.5Hz,1H),7.62−7.63(m,1H),7.68−7.69(m,1H),7.99(d,J=16.2Hz,1H),8.09(d,J=8.5Hz,1H),9.20(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2118ClN)[M+H] 393.1,実測値 393.1。
【0180】
実施例19
5,7−ジクロロ−3−(2,6−ジメチル−フェニル)−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オン
【0181】
【化33】

【0182】
アルデヒド(70mg,0.32ミリモル)、ホスホネート(182mg,0.39ミリモル)、LiOH・HO(41mg,0.97ミリモル)、THF(2.5mL)及びエタノール(1mL)からGP3に従って、標記化合物(77mg)を黄色固体として得た。
【0183】
H(600MHz,dmso−d6):1.99(s,6H),2.11(s,3H),3.79(s,3H),6.22(d,J=15.5Hz,1H),6.97(dd,J=1.5,7.8Hz,1H),7.10(s,1H),7.29(d,J=1.5Hz,1H),7.32−7.34(m,3H),7.39−7.41(m,1H),7.76(d,J=1.6Hz,1H),8.03(d,J=15.5Hz,1H),8.08(d,J=2.3Hz,1H),8.24(d,J=2.3Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2925Cl)[M+H] 531.1,実測値 531.1。
【0184】
実施例20
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸ジエチルアミド
【0185】
【化34】

【0186】
アルデヒド(120mg,0.55ミリモル)、ホスホネート(277mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、標記化合物(131mg)を黄色固体として得た。
【0187】
H(600MHz,dmso−d6):1.07−1.10(m,6H),2.13(s,3H),2.37(s,3H),3.34−3.36(m,4H),3.87(s,3H),7.02(d,J=15.8Hz,1H),7.14(s,1H),7.28(d,J=7.9Hz,1H),7.38(d,J=7.9Hz,1H),7.48(s,1H),7.78−7.81(m,2H)。LCMS(ESI):計算値(C2528S)[M+H] 478.2,実測値 478.2。
【0188】
実施例21
2−{(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3,5,6,7−テトラヒドロ−シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0189】
【化35】

【0190】
アルデヒド(150mg,0.55ミリモル)、ホスホネート(228mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(130mg)を黄色固体として得た。
【0191】
H(600MHz,dmso−d6):2.32(s,3H),2.35−2.40(m,2H),2.91(d,J=7.3Hz,4H),3.91(s,3H),7.12(d,J=16.1Hz,1H),7.38(dd,J=1.8,8.3Hz,1H),7.60−7.62(m,2H),7.71(s,1H),7.93(d,J=16.2Hz,1H),9.27(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2221S)[M+H] 405.1,実測値 405.1。
【0192】
実施例22
2−{(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−6−フェニル−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン
【0193】
【化36】

【0194】
アルデヒド(120mg,0.55ミリモル)、ホスホネート(252mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、標記化合物(222mg)を黄色固体として得た。
【0195】
H(600MHz,dmso−d6):2.13(s,3H),3.88(s,3H),7.03(d,J=16.1Hz,1H),7.13(s,1H),7.26−7.28(m,1H),7.35−7.41(m,4H),7.48(s,1H),7.58(s,1H),7.64−7.67(m,2H),7.74−7.77(m,2H)。LCMS(ESI):計算値(C2521S)[M+H] 441.1,実測値 441.1。
【0196】
実施例23
2−{(E)−3−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸プロピルエステルトリフルオロ酢酸塩
【0197】
【化37】

【0198】
アルデヒド(120mg,0.55ミリモル)、ホスホネート(252mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(222mg)を黄色固体として得た。
【0199】
H(600MHz,dmso−d6):1.29(t,J=7.1Hz,3H),2.31(s,3H),2.83(s,3H),3.91(s,3H),4.29(q,J=7.1Hz,2H),7.15(d,J=16.1Hz,1H),7.41−7.43(m,1H),7.62−7.68(m,3H),8.03(d,J=16.2Hz,1H),9.20(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2322S)[M+H] 451.1,実測値 451.1。
【0200】
実施例24
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−ベンゾフロ[2,3−d]ピリミジン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0201】
【化38】

【0202】
アルデヒド(120mg,0.56ミリモル)、ホスホネート(187mg,0.56ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(130mg)を無色固体として得た。
【0203】
H(600MHz,dmso−d6):2.31(s,3H),3.94(s,3H),7.25(d,J=16.2Hz,1H),7.42(dd,J=1.8,8.2Hz,1H),7.52(t,J=7.5Hz,1H),7.62−7.70(m,4H),7.84(d,J=8.5Hz,1H),8.01(d,J=16.1Hz,1H),8.05(d,J=7.9Hz,1H),9.17(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2319)[M+H] 399.1,実測値 399.1。
【0204】
実施例25
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−7−トリフルオロメチル−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0205】
【化39】

【0206】
アルデヒド(120mg,0.56ミリモル)、ホスホネート(243mg,0.67ミリモル)、LiOH・HO(70mg,1.67ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(36mg)を無色固体として得た。遊離塩基(25mg)も得た。
【0207】
H(600MHz,dmso−d6):2.14(s,3H),3.90(s,3H),7.08(d,J=16.1Hz,1H),7.16(s,1H),7.31(dd,J=1.4,7.9Hz,1H),7.45(d,J=8.2Hz,1H),7.51(s,1H),7.74(dd,J=1.4,8.2Hz,1H),7.82(d,J=1.1Hz,1H),7.92(s,1H),8.02(d,J=16.1Hz,1H),8.27(d,J=8.2Hz,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2218)[M+H] 427.1,実測値 427.1。
【0208】
実施例26
7−ブロモ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0209】
【化40】

【0210】
アルデヒド(140mg,0.65ミリモル)、ホスホネート(243mg,0.65ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.94ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(210mg)を黄色固体として得た。
【0211】
H(600MHz,dmso−d6):2.31(s,3H),3.93(s,3H),7.15(d,J=16.1Hz,1H),7.40(dd,J=1.4,8.2Hz,1H),7.62−7.69(m,4H),7.83(d,J=1.7Hz,1H),7.98−8.02(m,2H),9.19(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2118BrN)[M+H] 437.1,実測値 437.1。
【0212】
実施例27
5,7−ジクロロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0213】
【化41】

【0214】
アルデヒド(140mg,0.65ミリモル)、ホスホネート(236mg,0.65ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.94ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(210mg)を黄色固体として得た。
【0215】
H(600MHz,dmso−d6):2.31(s,3H),3.93(s,3H),7.11(d,J=16.1Hz,1H),7.40(dd,J=1.4,8.2Hz,1H),7.61−7.68(m,4H),7.99(d,J=16.1Hz,1H),9.19(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2117Cl)[M+H] 427.0,実測値 427.0。
【0216】
実施例28
2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−ベンゾ[g]キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0217】
【化42】

【0218】
アルデヒド(140mg,0.65ミリモル)、ホスホネート(224mg,0.65ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.94ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(338mg)を橙色固体として得た。
【0219】
H(600MHz,dmso−d6):2.33(s,3H),3.95(s,3H),7.21(d,J=16.4Hz,1H),7.43(dd,J=1.5,8.2Hz,1H),7.56−7.59(m,1H),7.64−7.67(m,3H),7.75(s,1H),8.02(d,J=16.1Hz,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H),8.19(d,J=8.2Hz,1H),8.22(s,1H),8.82(s,1H),9.35(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2521)[M+H] 409.1,実測値 409.1。
【0220】
実施例29
7−メタンスルホニル−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−3H−キナゾリン−4−オントリフルオロ酢酸塩
【0221】
【化43】

【0222】
アルデヒド(140mg,0.65ミリモル)、ホスホネート(242mg,0.65ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.94ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(150mg)を黄色固体として得た。
【0223】
H(600MHz,dmso−d6):2.33(s,3H),2.51(s,3H),3.94(s,3H),7.20(d,J=16.2Hz,1H),7.43(dd,J=1.5,8.0Hz,1H),7.64−7.65(m,2H),7.73(t,J=1.1Hz,1H),7.94(dd,J=1.7,8.2Hz,1H),8.06(d,J=15.8Hz,1H),8.12(d,J=1.8Hz,1H),8.32(d,J=8.3Hz,1H),9.29(br s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2221S)[M+H] 437.1,実測値 437.1。
【0224】
実施例30
4−アミノ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−6−メチル−フロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステルトリフルオロ酢酸塩
【0225】
【化44】

【0226】
アルデヒド(140mg,0.65ミリモル)、ホスホネート(240mg,0.65ミリモル)、LiOH・HO(82mg,1.94ミリモル)、THF(4.5mL)及びエタノール(1.5mL)からGP3に従って、逆相精製後、標記化合物(170mg)を黄色固体として得た。
【0227】
H(600MHz,dmso−d6):1.34(t,J=7.2Hz,3H),2.33(s,3H),3.93(s,3H),4.36(q,J=7.0Hz,2H),7.24(d,J=15.8Hz,1H),7.44(dd,J=1.5,8.4Hz,1H),7.56−7.66(m,4H),7.72(t,J=1.3Hz,1H),7.82(d,J=15.8Hz,1H),9.32(s,1H)。LCMS(ESI):計算値(C2221S)[M+H] 434.1,実測値 434.1。
【0228】
実施例31〜46
更に、以下の化合物をGP1に従って製造した:
【0229】
【化45】

【0230】
【表7】


【0231】
実施例47〜61
更に、以下の化合物をGP3に従って製造した:
【0232】
【化46】

【0233】
【表8】


【0234】
実施例62〜68
更に、以下の化合物をGP4に従って製造した:
【0235】
【化47】

【0236】
【表9】

【0237】
実施例69〜75
更に、以下の化合物を6−フルオロ−2−{(E)−2−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−フェニル]−ビニル}−1H−ベンゾイミダゾール(実施例6)に対するように製造した:
【0238】
【化48】

【0239】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化49】

(式中、
はH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはC2−6アルケニルを表し;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはC2−6アルケニルを表し;
Hetは、環原子の少なくとも1個がNであり、並びに少なくとも1個の他の環原子がN、OまたはSから選択される5員もしくは6員の不飽和ヘテロ環式環を表し、前記環は最高10個の原子を有する芳香族環系に縮合して縮合環系を形成していてもよく、前記したヘテロ環式環または縮合環系は、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基、すべて最高10個の炭素原子の、フェニル、フェニルC1−4アルキル、ナフチル、5員もしくは6員のヘテロシクリル、ハロゲン、CN、NO、オキソ、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有し、
前記したアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基はハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から1個の置換基を有し、
前記したフェニル、フェニルC1−4アルキル、ナフチル及び5員もしくは6員のヘテロシクリルはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、フェニル、ベンジルまたはCFを表し;
はHまたはRを表し、或いは同一窒素原子に結合している2個のR基は、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びC1−4アルコキシカルボニルから選択される0から3個の置換基を有している、最高7個の環原子のヘテロ環式基を形成してもよく;
はC1−6アルキル、フェニルまたはCFを表し;並びに
はHまたはRを表し、或いは同一窒素原子に結合している2個のR基は、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びC1−4アルコキシカルボニルから選択される0から3個の置換基を有している、最高7個の環原子のヘテロ環式基を形成してもよい。)
或いは該化合物の医薬的に許容され得る塩または水和物。
【請求項2】
Hetが
【化50】

(X、X’、Y及びY’は各々独立してCRまたはNを表し;
Z及びZ’は各々NR、OまたはSを表し、
ただしZがOまたはSを表すときにはX及びYの少なくとも1つはCRを表し、並びにZ’がOまたはSを表すときにはY’はCRを表し;
WはC=OまたはSOを表し;
VはOR、N(RまたはSRを表し;
各Rは独立してH;または
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基、すべて最高10個の炭素原子の、フェニル、ナフチル、5員もしくは6員のヘテロシクリル、ハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(R
から選択される置換基を表し、
前記したアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル基はハロゲン、CN、NO、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から1個の置換基を有しており、
前記したフェニル、ナフチル及び5員もしくは6員のヘテロシクリルはハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
或いは隣接する環原子に結合している2個のR基は一緒になって、別の5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環に縮合していてもよいフェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール環からなる縮合環系を表してもよく、前記縮合環系はハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しており;
はH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、フェニルまたはベンジルを表し、前記したフェニル及びベンジルはハロゲン、CF及びC1−4アルキルから選択される0−2個の置換基を有している。)
を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Hetが
【化51】

を表す請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
ZがNRを表す請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
ZがOまたはSを表し;
X及びYの1つがNを表し、並びに他はCRを表し;
並びにRがHまたはC1−6アルキル、或いはいずれもがハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しているフェニル、ナフチルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Hetが
【化52】

(R7a及びR7bは同一または異なり、並びに各々はHまたはC1−6アルキル、或いはいずれもがハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択される0から3個の置換基を有しているフェニル、ナフチルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す。)
を表す請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
Hetが
【化53】

(nは0、1、2または3であり;並びに
各Rは独立してハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rから選択され、
或いは隣接する環位置に結合している2個のR基は縮合ベンゼン環を形成し得る。)
を表す請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
ZがNRを表す請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Hetが
【化54】

(Z’はOまたはSを表し;
Y’はCRを表し;
並びにX’はCRまたはNを表す。)
を表す請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
がH、或いは置換されていてもよいC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロシクリルを表す請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Hetが
【化55】

を表す請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
WがC=Oを表す請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Hetが
【化56】

(R、R、R及びRは独立してH、ハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rを表し;或いはRとR、またはRとR、またはRとRは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環を表し、ただしR、R、R及びRの少なくとも1つはHである。)
を表す請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
、R、R及びRが独立してH、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC1−4アルキルカルボニルを表し、ただしR、R、R及びRの少なくとも1つはHである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Hetが
【化57】

(AはOまたはSを表し、
及びRは独立してH、ハロゲン、CN、NO、R、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(R、SR、SO及びSON(Rを表し;或いはRとRは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環を表す。)
を表す請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
及びRが独立してH、ハロゲン、CF、C1−4アルキル、フェニル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルキルカルボニルまたはジ(C1−4アルキル)アミノカルボニルを表し、或いは一緒になって縮合5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環式環を表す請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1に定義した式Iの化合物、或いは該化合物の医薬的に許容され得る塩または水和物及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
脳におけるAβ沈着に関連する疾患を治療または予防する方法であって、治療または予防を要する患者に対して治療有効量の請求項1に定義した式Iを有する化合物、或いは該化合物の医薬的に許容され得る塩または水和物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−518080(P2010−518080A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549089(P2009−549089)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/001503
【国際公開番号】WO2008/097538
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】