説明

泡の形成を軽減するまたはなくす容器

【課題】 少なくとも計量プローブが液体を吸引する領域で、泡の形成を軽減する、または形成させない容器を提供する。
【解決手段】 液体を入れるための泡軽減または無泡容器は、最上部、底部、および液体を出し入れするための開口部を有する容器本体と、その容器内に配置されており、第1および第2開口部がある中空バッフルと、を含む。第1および第2開口部は穴あけ可能な密封材で覆われており、バッフルの第1開口部は、容器の開口部と少なくとも部分的に位置が揃っている。好ましい実施形態では、容器は、自動分析装置用の試薬供給容器であり、この試薬供給容器は、上記のような容器と、開位置となるように、容器の開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして開口部と接触させることができる蓋と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
本発明は、液体が入っている容器で、特に液体を容器から取り出す場合に、泡の形成を軽減するまたはなくすことに関する。特に、本発明は、自動分析装置で使用され、泡の形成を軽減またはなくす試薬供給手段またはパックに関する。
【0002】
公知の診断分析装置には、Ortho-Clinical Diagnostics, Inc.が販売しているVitros(登録商標)ECi免疫診断分析装置のような免疫診断分析装置や臨床化学分析装置がある。この種の分析装置には、様々な検査を行うための試薬のソースがある。ほとんどの場合、試薬は、着脱可能な蓋を有する容器に保管されている。この容器には、計量プローブを挿入して、その容器に入っている試薬を吸引することができる。例えば、図1に示すような試薬パック用容器が、Ortho-Clinical Diagnostics, Inc.が販売しているVitros(登録商標)ECiで用いられている。図1に示したような容器では、Surlyn(登録商標)という密封材が容器の一番上にあり、試薬の漏れを防いでいる。この密封は、普通、最初の使用の前に破られる。
【0003】
公知の容器では、出荷中または取り扱い中に試薬に泡が生じる。多くの公知である計量システムでは、洗浄した再使用型試薬計量プローブを使用して液体の底の方から吸引することにより、泡の形成を軽減している。しかしながら、容器の底の方から吸引すると、計量がより不正確になることがある。また、再使用型試薬計量プローブ(吻状部(proboscis)ともいう)は、径および形状が小さかったので試薬パックの底の方から吸引することができたが、最近の分析装置では、使い捨てチップを使用する傾向にあり、そのチップの大きさと、チップを浸ける深さをできるだけ小さくしなければならないということから、試薬容器の底の方から吸引することがはるかに困難となっている。チップを液体に深く挿入することができないので、計量プローブが試薬の純粋な液体ではなく泡を吸引する可能性が非常に大きい。
【0004】
蒸発を抑制する容器としては、米国特許公開公報第2003/0223914 A1号に記載のものが公知である。
【0005】
上述した公知技術には、上述した問題の解決、特に計量プローブに泡が吸引されることを防止または軽減することを適切に取り扱ったものはない。このような理由から、少なくとも計量プローブが液体を吸引する領域で、泡の形成を軽減する、または形成させない容器が必要とされている。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、泡の吸引または容器内の泡を減らすまたはなくすという上記問題を解決する方法に向けられたものである。
【0007】
本発明の一態様は液体を入れるための泡軽減または無泡容器に向けられている。この容器は:最上部、底部、および液体を出し入れするための開口部を有する容器本体と;その容器内に配置されており、第1および第2開口部があり、第1および第2開口部が穴あけ可能な密封材で覆われている中空バッフルと、を含み、バッフルの第1開口部は、容器の開口部と少なくとも部分的に位置が揃っている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、自動分析装置用の試薬供給容器が提供されている。この試薬供給容器は:上記のような容器と;開位置となるように、容器の開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして開口部と接触させることができる蓋と、を含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、自動分析装置用の試薬供給手段が提供されている。この試薬供給手段は:上記の試薬供給容器と、容器に入っている液体試薬とを含み、バッフルの第2開口部が液体に沈められている。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、自動分析装置用の試薬供給手段が提供されている。この試薬供給手段は:容器本体と、容器内に配置された管状バッフルを備えた試薬供給容器であって、容器本体が側壁、底部および最上部を有し、最上部が液体試薬を容器本体に出し入れするための開口部を有しており、バッフルが、側壁と、バッフルの両端にある第1および第2の開口部とを有しており、バッフルの第1および第2開口部がいずれも穴あけ可能な密封材を有しており、バッフルの側壁の外部表面が容器本体の開口部と接触している、試薬供給容器と;開位置となるように、容器の開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして開口部と接触させることができる蓋と;試薬供給容器に入っている液体試薬と、を含む。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、自動分析装置が提供されている。この分析装置は: 試料供給源と;試料計量ステーションと;反応容器と;上記の試薬供給手段と;試料の特性を計測する計測機器と、を含む。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、計量プローブに吸引される泡を減らすまたはなくす方法が提供されている。この方法は、上記のように試薬供給手段を提供する段階と;試薬供給手段の方へ前後移動できる計量プローブを提供する段階と;蓋を容器の開口部から動かして離す段階と;バッフルの第1および第2開口部を覆っている密封材の両方に穴をあけて、液体に沈めてあるバッフルの端部からバッフルに液体が入れるようにし、密封材は、計量プローブで穴をあけても、あけなくてもよい段階と;計量プローブをバッフルの第1開口部に入れ、バッフルに入っている液体と接触させる段階と;バッフルに入っている液体を設定量吸引する段階と;計量プローブをバッフルから出す段階と、を含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、試薬供給手段の製造方法が提供されている。この方法は:液体試薬を開口部を有する容器に入れる段階と;中空のバッフルであって、側壁と、穴あけ可能な密封材で密封されており、バッフルの第2端部の近傍にある第2開口部と、バッフルの第1端部近傍にあり、オプションとして穴あけ可能な密封材で密封されている第1開口部とを有する中空バッフルを提供する段階と;バッフルの密封した第2開口部を容器の開口部に液体の表面より下の位置まで挿入する段階と;バッフルの側壁を容器に固定する段階と;バッフルの第1開口部を、まだ密封されていない場合に、穴あけ可能な密封材で密封する段階と、を含む。
【0014】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の好ましい実施液体に関する詳細な検討から、当業者には明らかとなろう。
【0015】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明には容器本体があり、この容器本体は、好ましくは一番上に開口部を有し、液体を出し入れできるようになっている。中空バッフルも備えられており、このバッフルは第1および第2の開口部を有している。バッフルは、後でより詳細に説明するように、容器内の気泡の蓄積を減らす、または蓄積させないことに役立つ。中空バッフルは、このバッフルの第1開口部が少なくとも部分的に容器本体の開口部と位置が揃うように、容器内に配置されている。動作時には、バッフルの第2開口部が、液体の表面より下にあり、容器に液体が入っていれば、液体がバッフルに入ることができる。容器開口部と第1開口部の位置を揃えたことにより、計量プローブのような機器をバッフル内部に挿入し、液体を取り出すことができる。
【0016】
好ましい実施形態では、バッフルが、側壁と、第1および第2端部領域とを有している。第1および第2端部領域には、それぞれ、第1および第2開口部がある。バッフルの第2端部領域は、容器の開口部に挿入し、容器内の液体の表面より下にくるようにする。液体は、第2開口部を通ってバッフルに入ることができる。バッフルの第1開口部は、バッフルの第1端部領域に配置されている。
【0017】
好ましい実施形態では、バッフルは管部材である。バッフルの第1および第2開口部は、液体を透過させず、穴をあけることができる密封材で覆われている。この密封材は、例えば、DuPont, Inc.が市販しているエチレン・メタクリル酸コ・ポリマー(ethylene methacrylic acid co-polymer)のSurlyn(登録商標)などである。この密封材は、後述するように、使用前に穴をあける。本明細書で使用する限り、「穴をあける(pierce)」とは、例えば、穿刺する、切断する、こする、取り外すなどによって、密封材に開口部を作ることと定義される。ある実施形態では、第1端部領域が容器の最上部分より若干上にくるようにバッフルを構成してもよい。このような実施形態では、オプションとして、穴あけ可能な密封材をバッフルにシールしなくてもよい。代わりに、密封材は、容器の最上部分にのみシールする。この結果、フィルムが、単に、バッフルの第1開口部の上に広がる。第1端部領域を容器の最上部分よりわずかに上に上げると、確実にしっかりと密封される。
【0018】
前述したように、バッフルを容器に挿入した場合、液体がバッフルに入ることができるように、第2開口部が液体の表面より下になければならない。後述するように、バッフル内および容器内の圧力は等しく、例えば外気圧でなければならないので、容器とバッフル内の液体の高さは等しくなる。計量プローブのような適当な機器をバッフルに挿入して、バッフルにある液体を取り出すことができる。
【0019】
上述のように、第2開口部は、液体の表面より下になる。輸送および取り扱いの最中に、容器内の液体に泡が生じうる。液体を使用する準備ができたら、第2の密封材に穴をあける。第2開口部は液体の表面より下に、そしてそれ故に泡の下にあるので、液体のみがバッフルに流入し、泡の少ないまたは泡のない領域ができ、その領域から液体を容器から取り出すことができる。本明細書で使用する限り、泡を「減らす(reduece)」または「なくす(eliminate)」という言葉は、前述したように、容器の他の部分と比較して、バッフル内の泡が相対的にないことをいう。
【0020】
このように、本発明の一つの重要な側面は、バッフルの第2開口部と穴開け可能な密封材を液体の表面より下に配置することである。第2開口部は、泡がバッフルへ流入する可能性を防ぐために、可能な限り液体の表面より下になければならない。しかしながら、密封した管部材は、製造過程で容器に挿入したときに、あまりに多くの液体を排水し、液体が容器から溢れうるほど長くすることはできない。さらに、第2開口部がバッフルの底部にある場合、容器がバッフルと密閉状態を形成するようなバッフルと容器の底部との間の密閉状態が形成されないように、バッフルは、容器の底部に届いてはならない。よって、好ましい実施形態では、密封された管部材を、泡の流入しないように可能な限り液体の表面より下に延ばすべきであるが、容器の液体を過度に排水すべきではなく、また、容器の底部に接触させるべきではない。容器により、さまざまな長さのバッフルを用いてこの目的を達成することができる。ある好ましい実施形態では、第2開口部が容器の底部近傍にあり、より好ましくは、容器の底部から2ミリメートル以内にあり、より好ましくは、約1ミリメートルのところにある。
【0021】
他の好ましい実施形態では、後述する図面に関連して説明するように、バッフルの第1開口部が容器開口部の近傍にある。このような実施形態では、穴開け可能な密封材で第1開口部および容器開口部の両方を覆っていてもよい。バッフルの側壁は、容器本体に容器開口部近傍で接触し、より好ましくは、容器開口部において接触する。側壁は、容器本体と密閉状態を形成してもよいし、形成しなくてもよい。好ましい実施形態では、後述するように、バッフルの側壁と容器開口部の間に空隙が設けられる。好ましくは、容器が開口部に突出縁部を有し、バッフルも突出縁部を有し、これら突出縁部は、互いに接触する面を有する。バッフルの外側壁部から延びる突出部または小突起をさらに設けて、容器本体がバッフルとを摩擦で係合できるようにしてもよい。
【0022】
考慮すべき重要事項の一つは、第1開口部を覆っている密封材(つまり、第1密封材)に穴をあけた場合に外気圧となるバッフルの内側と、バッフルの外側の容器内部の両方から圧力を均等にするために、挿入したバッフルの外側にある液体の上の空洞部または空間に空気が入りうるようにすることである。均等にする第1の好ましい実施形態では、バッフルの第1開口部と、容器の開口部との間に気密な密閉状態を形成する。このことは、バッフルの側壁と、容器の開口部との間を気密に合わせることで行える。あるいは、このような方法で気密に合わせることが望ましくない場合には、前述したように容器の開口部とバッフルの第1開口部との両方の上に広げた穴開け可能な密封材にバッフル第1開口部の上においてのみ穴をあけ、バッフルの側壁および容器開口部の間の領域における密封材は傷つけずに残しておく。
【0023】
これらの実施形態では、バッフル内の液面が十分に下がり、バッフルの第2開口部から液面の上まで空気が泡となって浮かぶができる場合にのみ、外気が容器内の液体の上に入ることができる。このようにして液体に入る空気が新しい気泡を作る危険がいくらかあるが、バッフルの内部そのものの内側に気泡ができる可能性はない。容器を横に傾けると(または、図3Bとの関連で後述するように管部材の底を斜めにすると)、満たされている程度によっては、空気の通り道がきれいにでき、そしてバッフルは、分析装置がこの液体を使用するようになるまでは、バッフルの第2開口部より上にある所定位置まで液体で満たされる。分析装置がこの液体を使用したら、そのうち液面が管部材の底まで再び下がり、空気がバッフルの第2開口部から容器の内部に再び泡となって入る。
【0024】
圧力を均等にするための別の実施形態では、第1密封材を破った後に、容器内の液面の上に空気が入るように、バッフルの第1端部領域近くに通気口または開口部を設けている。上述したように、空隙を設けて、空気圧が容器内の液の上で均等になるように、第1端部領域近くに通気口または開口部がある。
【0025】
圧力を均等にするためのある実施形態では、バッフルの第1端部領域、例えばバッフルの側壁と、容器の最上部分とが密閉された関係にある。これは前述のようにして行える。つまり、バッフル側壁と、容器の開口部とを気密に合わせるか、容器の開口部およびバッフルの第1開口部の両方の上に広げた穴あけ可能な密封材で、バッフル開口部の上のみに穴をあけ、バッフル側壁および容器開口部の間の領域の上の密封材を傷つけずにそのままにしておくことで行える。この実施形態では、通気口または開口部がバッフルに第1端部領域近くに設けられる。通気口は、バッフルの側壁にある単なる穴であることもある。しかしながら、この通気口が最初に密閉されていなければ、容器内部の液体が、輸送中または保管中に、密封したバッフルに入ってしまうことがありうる。このようなことが起きないように、穴または通気口を保管中は密閉しておいて、使用前にあけることが好ましい。
【0026】
特に好ましい実施形態では、間隙または窪み、例えば、バッフル側壁の外側表面に沿った折り目部または線状溝部などをバッフル側壁および容器の開口部の間に設けて、穴あけ可能な密封材をその間隙の上で穿刺したら、容器と液面の間の空間に空気を入れられるようにする。このことは、図3、図5および図6に関連してより詳細に説明する。
【0027】
好ましい手順では、最初の処理は、バッフルの第1および第2の開口部を覆っている密封材に穴をあけることである。これらの密封材を除去または破った後、バッフルの側壁にある穴または通気口を覆っている密封材を除去または破ることができる。これは、あらゆる適当な方法で行うことができる。例えば、清浄なチップを使うこともできる(容器の一番上を試薬で汚染しないようにするためである)。清浄なチップは、バッフルに相対的に横に動かす。間隙の領域にある密封材に穴を開けることで、横に動かすと、通気口(つまり、バッフル側壁および容器の間の間隙)が開口する。容器の一番上の部分は、密封材に穴をあけるようにチップを配置できる領域があるように構成する必要がある。バッフルの通気口の密封材に穴をあけるのに適する他の手段には、個別のスリッター・デバイスまたは突出部がありうる。このスリッター・デバイスまたは突出部は、図1に関連して後述するように、容器の開口部をカバーするスライド式シャッターの一部である。このような実施形態では、シャッターを開位置に動かした際に密封材に穴があけられる。シャッターを開位置に動くと、シャッターの底部から延びる鋭利な領域を有しうる突出部が、密封材の上を通過し、密封材を開ける。
【0028】
本発明の容器およびバッフルは、自動分析装置用の試薬供給手段または試薬パックに使用することが好ましい。本明細書で使用する限り、「試薬供給手段(reagent supply)」と「試薬パック(reagent pack)」は同義語である。前述したバッフルおよび容器に加え、容器はさらに開口部を有し、この開口部は、閉位置から開位置へ動かすことができる。典型的な開口部は、スライド可能シャッター式開口部を有することがある。スライド可能シャッター式開口部には、例えば、発明の名称が「Open and Closing a Container」であり、2005年3月30日にMerrit Jacobsらにより出願され、代理人整理番号がCDS5030である同時継続出願に記載されたものなどがある。この出願は、参照により本明細書に全部組み込まれる。ネジ型キャップ式開口部には、例えば、2003年7月16日出願の同時継続米国特許第10/621,430号に開示されたようなものなどがある。この出願も参照により本明細書にその全部が組み込まれる。前述したように、バッフルの第2開口部は、容器の液体試薬の表面より下にある。バッフルの第1開口部と容器の開口部は、自動分析装置の計量プローブを容器およびバッフルの内部に挿入できる大きさにしてある。プローブは、好ましくは使い捨て式であるプローブチップが、バッフル内の液体試薬の表面に届くまで下げられる。この後、試薬をプローブに吸引することができる。次にプローブが引き出され、試薬は、後でより詳しく説明するように、反応容器のような他の適当な場所において分配することができる。
【0029】
本発明で使用できる自動分析装置は、試料供給源、試料計量ステーション、反応容器、前述した試薬供給源、試薬計量ステーション、および光度計や照度計のような試料の特性を測定する機器を有していてもよい。好ましい実施形態では、試料計量ステーションと試薬計量ステーションとは同一のものである。
【0030】
本発明の別の態様は、液体を計量プローブに吸引する方法を提供し、泡が計量プローブに吸収されることを軽減するまたはなくす。後で詳述するように、好ましくは使い捨てチップを有する計量プローブは、試薬源の方へ動かされる。試薬源の容器本体上にある蓋は、スライドさせる、またはネジをゆるめることにより、容器から外される。密封材は両方とも(既に穴があけられていなければ)穴があけられる。第1および/または第2密封材は、計量プローブのチップで穴をあけてもよい。密封材は、適するどのような他の装置または方法で穴をあけてもよい。
【0031】
バッフル内の液体の表面と接触したら、プローブのポンプが設定量の液体をプローブに吸引する。この設定量は、もちろん、吸引する液体によって決まる。液体をプローブに吸引したら、プローブが容器から引き出される。容器の蓋は、容器の開口部を覆う所定位置に戻される。次に、計量プローブが分析装置に対し相対的に動かされ、吸引した液体が反応キュベットのような所望の場所に分配される。反応キュベットには、既に試料または試薬が入っていてもよいし、入っていなくてもよい。
【0032】
次に、図面に示した、非限定的な、好ましい実施形態について述べる。図1は、前述したVitros(登録商標)ECi分析装置のような診断分析装置で使われる公知の試薬パック容器である。図1に示すように、容器には2つの試薬ビン、すなわち容器11aおよび11bがあり、容器11aおよび11bは、それぞれ、開口部12aおよび12bを有している。フレーム13a、13bおよび13cが、試薬ビンを収容するのに、かつ、スライド可能シャッター式蓋を支持するのに用いられている。縦支持部13bは、試薬容器を保持するために、筒状に構成されることがある。スライドするシャッター式の蓋15は、試薬パック10の最上部に取り付けられている。図1の実施形態では、2つの部位15aおよび15bを有する二股のスライド式シャッターが各開口部12aおよび12bのそれぞれに使用されている。シャッターは、ピン15cによって、試薬パックに回転可能に据え付けられている。シャッターは、タブ16aおよび16bと係合するオープナーによって動かされる。
【0033】
図2Aおよび図2Bは、容器本体20とバッフル30を組み立てたものの概略を示す。容器本体20には、側壁21、上面22,底面23、および開口部24がある。図面に示すように、容器本体は、ほぼ円筒形をしている。管状バッフル20は、図2aおよび図2bでは、挿入された状態で示されている。バッフルは、側壁31、最上部または第1端部領域32、最上部または第1開口部33、最上部または第1穴あけ可能密封材34、底部または第2端部領域35、底部または第2開口部36および底部または第2穴あけ可能密封材37を有する。図2Aに示すように、最上部または底部または穴あけ可能密封材34および37は無傷であり、試薬液を使用する準備ができるまで液体40がバッフルに入らないようにする。
【0034】
図2Bは、密封材が穴があけられているように模式的に示されていることを除き、図2Aと同一である。前述したように、密封材は、計量チップで穴をあけることができる。穴をあけると、液体がバッフル内部38に入り、容器内の液面と同じ高さになるまでバッフルを満たす。そうすると、液体試薬は使用できる状態となる。
【0035】
好ましい製造プロセスが図3から図5までに示されている。図3Aおよび図3Bに示すように、バッフル管30は、第2開口部36をSurlyn(登録商標)のような穴あけ可能な密封材37で密封されている。図3Bに示した好ましい実施形態では、バッフル管の底部開口部が斜めに形成されている。つまり、側壁31aが側壁31bよりも長い。このような実施形態では、長い方の側壁が容器の底に接触し、液体は、密封材が破られた後に依然として入ることができる。バッフル管は、バッフルの側壁と容器の開口部との間に空隙が設けられるように、折り目部または線状の溝部43のような窪みを有している。図3Aおよび図3Bでは、仮想線で、折り目部または線状の溝部43が1つだけ示されている。図5および図6に示した他の実施形態では、2つの空隙を与えるために、2つの折り目部または線状の溝部が設けられている。このことは、図6に最も明確に示されている。図6は、図5の線6−6に沿って取られた断面図である。図6が明確に示すように、2つの空隙43aおよび43bが、バッフルの各側部に1つずつ設けられている。
【0036】
バッフル管は、液体試薬ビンを満たした後に液体試薬ビンに挿入する。Surlyn(登録商標)は、試薬供給手段が分析装置に装着されるまで、液体試薬40が管部材に入ることを防止する。いろいろな長さのバッフル管を用いることにより、容器の底部から液体の一番上までの距離「x」を設定することができ、ビンの寸法を変えたり、ビンにもっと試薬を入れたりすることなく、バッフル内の泡を抑制することができる。前述したように、好ましい寸法「x」は2mm以下であり、より好ましくは約1mmである。図4に示したバッフル管には、小突起または突出部38があり、この突出部38は、図5に関連して説明したように、容器20の開口部24とともに作用する。バッフル管は、突出縁部39をさらに有し、この突出縁部39は、バッフル30の中心から外へ延びている。
【0037】
空の容器20が図4に示されている。図4に示した実施形態では、開口部24が首部26の上にあり、首部26は突出縁部25を有している。突出縁部26は、バッフル管を容器に固定することとの関係で使用される。図4に示すように、突出縁部25は、開口部の中心から外へと延びている。
【0038】
図5に示すように、バッフル管は、製造中に、密封材が既に所定位置にある状態で、ビンの中に配置される。管構造は、管部材の一番上にある突出縁部39が、容器の開口部の上にある突出縁部25と接するまたは互いに合うように容器と接触する。バッフル管30にある後退防止突出部(小突起)38は、組み立て工程中に管部材が持ち上がってしまうことを防ぐ。容器を密封するのに使用したSurlyn(登録商標)は、同じ操作の間に管部材の一番上に接着され、これにより、出荷中に管部材に決して液体が入らないようにする。
【0039】
図3および図5は、バッフルの側壁に線状の溝部もしくは折り目部43(図3)または複数の線状の溝部もしくは折り目部43a、43b(図5)により形成される間隙をさらに示している。この間隙は、バッフル内部の空気圧(第1開口部を覆う密封材に穴があけられた場合に外気圧となる)と、容器内部の空気圧を均等にするために穴をあけられる。図3に示した実施形態では、密封された通気口は、たった1つの通気口である。前述したように、図5および図6に示した実施形態では、折り目部または線状の溝部43aおよび43bによって形成された2つの密封された通気口がある。図6において、折り目部または線状溝部43aおよび43bで形成された通気口は、方向「A」において相互にちょうど反対側に配置されている。この方向「A」は、診断分析装置内において容器が移動する方向である。このような構成は、吸引/分配チップが密封材に穴をあけるのに使われる実施形態に役立つ。
【0040】
稼働中、試薬供給手段が分析装置に装着されている場合、密封したバッフル管は、普通、液面より下にある。これにより、試薬パックまたは供給手段の出荷中または保管中に泡が管部材に入ることが防止される。試薬パックまたは供給手段を分析装置に装着したら、第1および第2の開口部を覆っている密封材に前述した方法で穴があけられ、液体が管部材に入ることができるようにする。さらに、バッフル管側壁の密封材にも穴があけられる。密封材の除去または穴あけにチップを使用する実施形態では、試薬パックを図6に示すように方向Aに回す。これにより、チップを突出している密封材と一直線に並べることができる。次にチップを下げて、密封材に穴をあけることができる。
【0041】
この時点で、試薬源または試薬パックを分析装置に脱着すれば、泡が管部材内に形成されうるが、これはまれな出来事であると予想される。ユーザーがパックを取り外し、試薬パック内に泡が生じるような取り扱いをすれば、バッフル管は、整流装置としても作用して、泡の形成を軽減する。
【0042】
ビンに多量の泡があれば、試薬パックの試薬は、泡が完全に消える前に液面がバッフル管の底部開口部まで十分下がるほど速く使われうる。文献によれば、泡および気泡は安定な構造を形成し、このため、管部材が液体の中央での泡の再形成を防止するはずである。これにより、液体は、確実に泡のない状態にとどまるはずである。全ての検査を処理した後、液体がバッフル管の底部開口部の下を流れなければ、泡は、内側の小室に入ることはできない。外側の小室により高い残余デッド・ボリューム(residual dead volume)を有することにより、全ての検査を処理した後にビンに残っている液体は、(設計上)この低い方の棚よりも高くなりうる。
【0043】
図7は、臨床分析装置の試薬保管ユニットにおける試薬パックを示している。試薬パック10(スライド可能シャッター式蓋は不図示)がコンベアー50に配置されている。コンベアー50は、種々のステーションを通過するように試薬パックを回す。
【0044】
図8は、本発明の一実施形態による試薬パック開閉器を使用できる好ましい臨床分析装置を示している。分析装置の種類は、2000年1月13日出願され、参照することにより組み込まれる米国特許出願第09/482,599号により詳細に記載されている。図8に示されているように、試薬パック10は、最初は装置の外にあるが、試薬源によって操作される部品である。試薬パック10は、アッセイを行うのに必要な試薬を入れるように構成されている。一般に、試薬は、一種類以上の抗原性成分または抗血清成分を含み、これらは、被検体と化合して、反応容器にまたは反応容器と粘着するのに使用される。
【0045】
試薬源には、自動装填ステーション110がある。この自動装填ステーション110は、いずれかの適当な駆動機構によって、試薬パックを試薬供給サブステーション112との間で往復させる。適当な駆動装置とは、例えば、チェーンとスプロケット、ベルトとベルト車、歯車列、連結されたベルト機構(linked belt mechanism)、ポールリンク(pawl links)などの一連の駆動式メカニカルリンク(a driven series of mechanical links)などである。試薬源は、試薬サプライ冷却器120をさらに有する。試薬サプライ冷却器120は、試薬の機能上の要件にしたがって試薬供給サブシステムの内部を冷却する(通常、約3〜15℃、好ましくは約4〜10℃)。このようにして試薬サプライ冷却器120は、試薬および反応容器を適当な湿度および温度に維持する。
【0046】
試薬源にはさらに試薬計量アーム145があり、この試薬計量アーム145は、可動に取り付けられた試薬プローブ100を有する。試薬計量アーム145は、試薬プローブ100を所定位置に配置して、試薬または希釈材を反応容器に分配できるように、軸回転することができる。試薬計量プローブ100は、試薬および/または希釈材を吸引し、搬送し、そして反応容器に分配する。普通、試薬計量プローブ100は、縦方向にも移動し、開いている試薬パック10に浸かり、また、反応容器(ウェル)の近くまで降下するように構成されている。これは、ステッピングモータ付き歯車列、ベルトとベルト車のアセンブリ、空気圧式または油圧式リフトなど、縦方向の運動を行わせるためのいずれかの公知の機構によって行われる。ラック・アンド・ピニオン式の駆動部に接続された、細かいステップのステッピングモータ(少なくとも縦方向移動に関し390ステップ/cmであることが望ましい)が縦方向の運動を調節するのに好ましい機構である。軸回転が必要である場合、ステップが細かく(普通、プローブまたはプローブアームを回転させるのに使用するシャフトの一回転当たり少なくとも約1720ステップであることが望ましい)、ピニオンが回転させるシャフトの外径部からなるまたはその外径部に取り付けられているステッピングモータもまた好ましい。ステッピングモータの制御、したがってプローブおよび機構の動きの制御は、当該技術において公知の技法で行われる。公知の技法とは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,646,049号に記載されているものなどである。
【0047】
稼働中は、バルブ、ポンプ、管材などからなる流体工学システム (fluidics system)に接続することで試薬計量プローブ100が流体を吸引し、分配する。試薬計量プローブ100は、好ましくは減圧され、減圧をやめることにより、または加圧することにより分配を行う。
【0048】
試料供給源は、試料を適当な反応容器(好ましくは、不図示のウェル)に装填し計量する。試料供給源は、バーコードを読み取るバーコード読取機200によりデータ処理システムに入力を行うこともできる。バーコードは、試験管などの患者の試料容器に配置することができる。試料供給源は、多くのサブシステムおよび部品をさらに有する。試料供給サブシステムは、上述したように試料識別データを入力するためのバーコード読取機200と、試料を試料計量ステーションまで移動させるための試料トレーコンベア205、1つ以上の試料トレー搬送装置210、および位置決め装置215とを備えるサブシステムである。試料計量ステーションは、試料位置決め装置の近くにある(すなわち、後述するように、吻状部230が降下する位置にある)。
【0049】
試料トレーコンベア205は、容器を移動させるどのようなコンベアーシステムであってもよく、電気的または機械的に移動可能な磁気駆動装置を利用することができる。この軸駆動装置は、試料トレー輸送部210の上にあるカルーセル220を前進させる。カルーセル220は、磁気駆動装置に引き付けられる磁気部品または鉄部品を有している。代わりに、試料トレーコンベア205は、モータにより駆動されるチェーンとスプロケット、ポールリンク(pawl links)などの一連の駆動式メカニカルリンク(a driven series of mechanical links)、ベルト駆動式装置などを備えることもできる。好ましい試料トレーコンベアは、楕円形状の磁気駆動式トラックシステムである。このシステムでは、試料トレーが、好ましくは輸送部210の上にあるカルーセル220であり、このカルーセル220は、磁気に引き付けられる部分を有する。これにより、試料トレーの下の位置から楕円形トラックの外周に沿って磁場を回すことにより、試料トレーを楕円回りに移動させることができる。この構成では、試料トレーの外径部に歯車を形成してもよく、これにより、試料トレーをそれ自体の中心軸回りに、歯車付きの部品によって回転させるようにすることができる。ここで、歯車付きの部品は、例えば、バーコード読取機200の近くにある(あるいは、楕円形トラックの外側のいずれか適当な他の位置にある)位置決め装置215などである。
【0050】
試料計量サブシステムは、試料を吸引し、吻状部230を介して反応容器に分配する。吻状部およびそれに関連する計量アーム245は、構造が前述した試薬計量アーム145と同様であることが好ましい。それを使って試料を吸引、配分することができる使い捨てチップ(図示せず)は、好ましくは吻状部に装着され、試料を吸引、送達する度に処分される。このチップは、好ましくは円錐形であり、円錐体の頂点が下に向けられている。適当なロボット制御を用いて、吻状部をチップの上に配置し、押し付けてチップを一時的に装着する(吻状部をチップの中空部に入れる)。便宜上、チップはチップ供給カルーセル(図示せず)上に供給し続けることができる。チップは、吻状部駆動装置を一番上まで移動させて、排出スリーブ(図示せず)を作動させることにより、同じように取り外すことができる。一般に、使い捨てチップは、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの熱可塑性材料を成型したものからなる。このようなチップにより、試料が一つの吻状端部と直接かつ繰り返し接触することが回避される。
【0051】
稼働中、試料計量サブシステムは、試薬計量サブシステムと同様に機能する。試料カルーセル220に載せられた試料は、吻状部230が届く場所まで動かされる。使い捨てチップを吻状部に装着した後、システムが吻状部を試料容器の真上まで旋回させる。次に、吻状部が、カルーセルにある管などの容器の中へと降ろされ、行おうとしているアッセイに足りる所定量の試料が吸引される。次に、吻状部が(不図示の)外輪にあるウェルの上の位置まで旋回され、試料が分配される。試料をウェルに分配するのは、試薬をウェルに分配する前であることが好ましい。このときに、吻状部を用いて、試料がウェルに適切に計量分配されることを確認することができる。これは、吻状部にセンサーを取り付けることにより行う。センサーは、例えば、試料計量アーム245にある光学センサーなどである。この(不図示の)センサーは、(不図示の)変換器およびデータ処理システム600とつながっている。センサーは、当該技術において公知なように、静電容量を使った圧力差により、あるいは反射エネルギーにより試料の高さを検出することが好ましい。光学センサーは、吻状部をその適切な位置に戻すのにも使用できる。試料を計量および測定した後、前述したように試薬をウェルに分配することが好ましい。試料と試薬の混合は、部分的に混合させるのに十分な速度で試料の入っているウェルに試薬を分配して行う。
【0052】
アッセイによっては、試料の希釈が必要である。このような場合、試料はまず希釈容器に計量される。希釈容器は、前述したウェルと実質的に同様であることが好ましい。吻状部230は、他のアッセイと同様に、試料を計量するのに用いられる。
【0053】
処理システムでは、試料、試薬、および(オプションとして)希釈材が入っている反応ウェルが信号試薬(signal reagent)と混合され、インキュベータ300で保温される。試料被検体および試薬の反応における化学発光または他の適当な信号の発生もこのシステムで読み取られる。ウェル洗浄アーム310およびウェル洗浄プローブ315は、ウェル洗浄サブシステムの基本的な構成要素である。ウェル洗浄サブシステムの機能は、ウェルを洗浄し、試料および非結合試薬を除去することである(被検体は、後に読み取られる信号を発現させる試薬とともに反応容器の壁に付着している)。温度および湿度は、インキュベータ300内で、行っているアッセイに適した温度と適した時間で調節される。保温時間は、アッセイにより異なることがあり、データ処理システムにより管理される。
【0054】
ウェル洗浄サブシステムに戻って、適当に保温した後、ウェル洗浄プローブ315(構造が試薬プローブ100と同様であることが好ましい)は、試料および非結合試薬を反応ウェルから出すように吸引、分配し、次に洗浄液をウェルに分配し、再び吸引、配分するように操作される。このように、反応ウェル内ではこの時点までに試薬と被検体が反応し、ウェルに付着している。ウェル洗浄アームは、未反応であり、および/または、洗浄しなければ試料の読み取りを妨げる可能性がある材料を除去している。
【0055】
このような機器は、未測定の材料が反応容器に付着し、容器の中身がさらに処理される、または何らかの読み取りが行われるように構成することもできる。そのような場合、材料を吸引して別の容器に分配しなければならないであろう。
【0056】
ウェル洗浄が完了すると、ウェル洗浄アーム310は、移動可能に取り付けられているウェル洗浄プローブ315を所定位置に関節式に移動して、試料および非結合試薬を吸引し、洗浄液を反応容器に分配する。普通、洗浄液は、ウェル洗浄プローブ315が反応ウェルから外へと上昇させながら分配する。信号試薬サブシステムは、その主な構成要素として、信号試薬アーム410、信号試薬プローブ400、信号試薬(パック)420、および注入/汲み上げ装置(prime/pump assembly)415を備えている。信号試薬プローブ400(既に説明した他のプローブと構造が同様であることが好ましい)は、信号試薬アーム410に可動に取り付けられており、信号試薬を信号試薬パック420からウェルに吸引し、運び、分配する。信号試薬アーム410は、このために注入/汲み上げ装置415に取り付けられている。信号試薬は、反応した試薬/試料化合物(例えば、ルミノール誘導体(luminol derivatives))との化合により信号を生成する成分を含有する合成物である。照度計(luminometer)500は、光電子増倍管520と接続されている光ファイババンドル510から構成されており、光電子増倍管520は、さらにデータ処理システム600と接続されている。稼働中、光ファイババンドル510は、試薬およびオプションとして希釈材が混ぜてある試薬の上に配置される。反応している試薬/試料化合物が生成した化学発光信号は、次に光電子増倍管に送られる。光電子増倍管は、従来のデジタル技術により処理できるように、光信号を電気信号に変換する。照度計500の較正には、内部基準(internal reference)(図示せず)を用いることができる。
【0057】
データ処理システム600は、システムとサブシステムの機能を調整し、システム診断を実行し、機器を較正し、結果を記録し、結果を分析するために用いられる統合された回路列である。データ処理システム600は、マイクロプロセッサなど公知の処理装置を含み、任意の数の外部処理システムと電気的に接続されていてもよい。例えば、データ処理システム600は、ローカルエリアネットワークを介して他の分析機器に接続されていて、これにより、一部は本明細書で説明した機器では行われない多数の異なるアッセイについて、テストを計画し、結果を集計し、報告するようにしてもよい。
【0058】
本発明による泡を軽減するまたはなくす方法は、コンピュータが読み取ることができるコードを有し、当該技術で公知のように分析装置のコンピュータ・コントローラとつながっているコンピュータプログラムで実行することができる。
【0059】
本発明の化合物、合成物および処理にさまざまなに変更および変形できることは、当業者には明らかであろう。したがって、添付した特許請求の範囲及びその均等の範囲内にあることを条件として、本発明は、このような変更や変形を網羅することが意図されている。
【0060】
上記に引用した全ての刊行物の開示内容は、各々に個別に言及して組み込む場合と同じ範囲で、その全体が言及することにより本明細書に組み込まれる。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) 液体を入れるための泡軽減または無泡容器において、
最上部、底部、および液体を出し入れするための開口部を有する容器本体と、
前記容器内に配置されており、第1および第2開口部があり、前記第1および第2開口部が穴あけ可能な密封材で覆われている中空バッフルと、
を備え、
前記バッフルの前記第1開口部は、前記容器の前記開口部と少なくとも部分的に位置が揃っている、容器。
(2) 実施態様1記載の容器において、
前記バッフルは、側壁を有するとともに、第1端部領域に第1開口部と、第2端部領域に第2開口部を有し、前記バッフルの前記第1端部領域は、輸送中、前記容器本体の前記開口部と接触する、容器。
(3) 実施態様2記載の容器において、
前記バッフルは、輸送中、前記容器本体の前記開口部と液密な密閉状態を形成する、容器。
(4) 実施態様2記載の容器において、
前記バッフルは、前記容器の前記開口部に、前記第1開口部近傍の前記側壁において接触している、容器。
(5) 実施態様4記載の容器において、
前記バッフルの前記第2端部領域は、前記容器の前記開口部から離れた場所において前記容器の中へと延びている、容器。
【0062】
(6) 実施態様5記載の容器において、
前記バッフルの前記第2開口部は、前記容器の前記底部の近傍に配置されている、容器。
(7) 実施態様6記載の容器において、
前記第2開口部は、前記容器の前記底部から2ミリメートル以内のところにある、容器。
(8) 実施態様6記載の容器において、
前記第2開口部は、前記容器の前記底部から1ミリメートル以内のところにある、容器。
(9) 実施態様1記載の容器において、
前記バッフルの前記第1開口部が前記容器の前記開口部の近傍に配置されており、前記バッフルの前記第1開口部を覆っている前記穴あけ可能密封材が前記容器の前記開口部をも覆っている、容器。
(10) 実施態様1記載の容器において、
前記容器に入っている液体をさらに備え、前記バッフルが、前記容器の前記開口部から離れた場所において、前記容器の中、かつ、前記液体の表面より下へと延びている、容器。
【0063】
(11) 実施態様10記載の容器において、
前記穴あけ可能なカバーが両端部において穴をあけられており、前記バッフル内の液体を介して前記容器から液体が引き出される、容器。
(12) 実施態様2記載の容器において、
前記バッフルの外側にある前記容器の部分に空気が流入できるようにする開口部をさらに備える、容器。
(13) 実施態様12記載の容器において、
前記開口部は、前記バッフルの前記第1端部領域と前記容器の前記開口部の間の間隙である、容器。
(14) 実施態様13記載の容器において、
前記開口部は、前記バッフルの前記側壁にある窪みにより形成されている、容器。
(15) 実施態様14記載の容器において、
前記窪みは、前記バッフルの前記側壁の全長の少なくとも一部分に沿って延びる折り目部である、容器。
【0064】
(16) 実施態様12記載の容器において、
前記開口部は、前記第1端部領域にある前記バッフルの前記側壁にあり、前記バッフルの前記第1端部領域は、前記容器本体の前記開口部と液密な密封状態を形成している、容器。
(17) 実施態様16記載の容器において、
前記開口部が穴あけ可能な密封材で覆われている、容器。
(18) 自動分析装置用の試薬供給容器において、
実施態様1記載の容器と、
開位置となるように、前記容器の前記開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして前記開口部と接触させることができる蓋と、を備える試薬供給容器。
(19) 自動分析装置用の試薬供給手段において、
実施態様18記載の試薬供給容器と、前記容器に入っている液体試薬とを備え、前記バッフルの前記第2開口部が前記液体に沈められている、試薬供給手段。
(20) 実施態様19記載の試薬供給手段において、
前記バッフルは、自動分析装置の使い捨てチップ付き計量プローブを前記バッフルの前記第1開口部を通して前記バッフルの前記第2開口部の方に向けて挿入するのに十分な大きさとなっている、試薬供給手段。
【0065】
(21) 自動分析装置用の試薬供給手段において、
容器本体と、前記容器内に配置された管状バッフルを備えた試薬供給容器であって、前記容器本体が側壁、底部および最上部を有し、前記最上部が液体試薬を前記容器本体に出し入れするための開口部を有しており、前記バッフルが、側壁と、前記バッフルの両端にある第1および第2の開口部とを有しており、前記バッフルの第1および第2開口部がいずれも穴あけ可能な密封材を有しており、前記バッフルの側壁の外部表面が前記容器本体の前記開口部と接触している、試薬供給容器と、
開位置となるように、前記容器の前記開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして前記開口部と接触させることができる蓋と、
前記試薬供給容器に入っている液体試薬と、
を備える試薬供給手段。
(22) 実施態様21記載の試薬供給手段において、
前記バッフルの前記側壁の外部表面が前記容器の前記開口部に接触して密閉状態を形成している、試薬供給手段。
(23) 自動分析装置において、
試料供給源と、
試料計量ステーションと、
反応容器と、
実施態様19記載の試薬供給手段と、
前記試料の特性を計測する計測機器と、
を備えた自動分析装置。
(24) 計量プローブに吸引される泡を減らすまたはなくす方法において、
実施態様19記載の試薬供給手段を提供する段階と、
前記試薬供給手段の方へ前後移動できる計量プローブを提供する段階と、
前記蓋を前記容器の前記開口部から動かして離す段階と、
前記バッフルの前記第1および第2開口部を覆っている密封材の両方に穴をあけて、液体に沈めてある前記バッフルの端部から前記バッフルに前記液体が入れるようにし、前記密封材は、前記計量プローブで穴をあけても、あけなくてもよい段階と、
前記計量プローブを前記バッフルの前記第1開口部に入れ、前記バッフルに入っている前記液体と接触させる段階と、
前記バッフルに入っている液体を設定量吸引する段階と、
前記計量プローブを前記バッフルから出す段階と、
を含む方法。
【0066】
(25) 実施態様24記載の方法において、
前記密封材の両方に穴をあける段階は、前記計量プローブのチップで行う、方法。
(26) 試薬供給手段の製造方法において、
液体試薬を開口部を有する容器に入れる段階と、
中空のバッフルであって、側壁と、穴あけ可能な密封材で密封されており、前記バッフルの第2端部の近傍にある第2開口部と、前記バッフルの第1端部近傍にあり、オプションとして穴あけ可能な密封材で密封されている第1開口部とを有する中空バッフルを提供する段階と、
前記バッフルの前記密封した第2開口部を前記容器の前記開口部に前記液体の表面より下の位置まで挿入する段階と、
前記バッフルの前記側壁を前記容器に固定する段階と、
前記バッフルの前記第1開口部を、まだ密封されていない場合に、穴あけ可能な密封材で密封する段階と、
を含む方法。
(27) 実施態様26記載の方法において、
前記バッフルの前記第1開口部と、前記容器の前記開口部の両方を穴あけ可能な密封材で密封する段階をさらに含む、方法。
(28) 実施態様26記載の方法において、
前記容器の前記開口部は、円形断面を有し、かつ、前記開口部の中心から外へ延びる突出縁部を有し、前記バッフルが、円形断面を有し、かつ、前記第1端部において、前記第1端部の中心から外へ延びる突出縁部を有し、前記バッフルは、前記容器の突出縁部の上面が、前記バッフルの突出縁部の底面に接触するまで前記容器に挿入される、方法。
(29) 実施態様28記載の方法において、
前記バッフルは、前記突出縁部より下において、前記側壁の外側表面に突出部を有し、前記突出部は、前記容器の前記突出縁部より下の位置において前記容器の側壁に摩擦で係合し、前記バッフルを前記容器に不動に係合させる、方法。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】公知技術における試薬パックまたは試薬供給手段の斜視図である。
【図2A】本発明の好ましい実施形態による容器本体およびバッフルの横断面模式図である。
【図2B】本発明の好ましい実施形態による容器本体およびバッフルの横断面模式図である。
【図3A】本発明の好ましい実施形態によるバッフル管の横断面模式図である。
【図3B】本発明の好ましい実施形態によるバッフル管の横断面模式図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態による容器本体の横断面模式図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による容器本体およびバッフルの横断面模式図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による図5の線6−6に沿って取った容器の開口部とバッフルの上面断面模式図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態による診断分析装置の試薬保管ユニットの斜視図であり、試薬パックを回転させる回転台を示している。
【図8】本発明と共に使用できる診断分析装置の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を入れるための泡軽減または無泡容器において、
最上部、底部、および液体を出し入れするための開口部を有する容器本体と、
前記容器内に配置されており、第1および第2開口部があり、前記第1および第2開口部が穴あけ可能な密封材で覆われている中空バッフルと、
を備え、
前記バッフルの前記第1開口部は、前記容器の前記開口部と少なくとも部分的に位置が揃っている、容器。
【請求項2】
請求項1載の容器において、
前記バッフルは、側壁を有するとともに、第1端部領域に第1開口部と、第2端部領域に第2開口部を有し、前記バッフルの前記第1端部領域は、輸送中、前記容器本体の前記開口部と接触する、容器。
【請求項3】
請求項2記載の容器において、
前記バッフルは、輸送中、前記容器本体の前記開口部と液密な密閉状態を形成する、容器。
【請求項4】
請求項2記載の容器において、
前記バッフルは、前記容器の前記開口部に、前記第1開口部近傍の前記側壁において接触している、容器。
【請求項5】
請求項4記載の容器において、
前記バッフルの前記第2端部領域は、前記容器の前記開口部から離れた場所において前記容器の中へと延びている、容器。
【請求項6】
請求項5記載の容器において、
前記バッフルの前記第2開口部は、前記容器の前記底部の近傍に配置されている、容器。
【請求項7】
請求項6記載の容器において、
前記第2開口部は、前記容器の前記底部から2ミリメートル以内のところにある、容器。
【請求項8】
請求項6記載の容器において、
前記第2開口部は、前記容器の前記底部から1ミリメートル以内のところにある、容器。
【請求項9】
請求項1記載の容器において、
前記バッフルの前記第1開口部が前記容器の前記開口部の近傍に配置されており、前記バッフルの前記第1開口部を覆っている前記穴あけ可能密封材が前記容器の前記開口部をも覆っている、容器。
【請求項10】
請求項1記載の容器において、
前記容器に入っている液体をさらに備え、前記バッフルが、前記容器の前記開口部から離れた場所において、前記容器の中、かつ、前記液体の表面より下へと延びている、容器。
【請求項11】
請求項10記載の容器において、
前記穴あけ可能なカバーが両端部において穴をあけられており、前記バッフル内の液体を介して前記容器から液体が引き出される、容器。
【請求項12】
請求項2記載の容器において、
前記バッフルの外側にある前記容器の部分に空気が流入できるようにする開口部をさらに備える、容器。
【請求項13】
請求項12記載の容器において、
前記開口部は、前記バッフルの前記第1端部領域と前記容器の前記開口部の間の間隙である、容器。
【請求項14】
請求項13記載の容器において、
前記開口部は、前記バッフルの前記側壁にある窪みにより形成されている、容器。
【請求項15】
請求項14記載の容器において、
前記窪みは、前記バッフルの前記側壁の全長の少なくとも一部分に沿って延びる折り目部である、容器。
【請求項16】
請求項12記載の容器において、
前記開口部は、前記第1端部領域にある前記バッフルの前記側壁にあり、前記バッフルの前記第1端部領域は、前記容器本体の前記開口部と液密な密封状態を形成している、容器。
【請求項17】
請求項16記載の容器において、
前記開口部が穴あけ可能な密封材で覆われている、容器。
【請求項18】
自動分析装置用の試薬供給容器において、
請求項1記載の容器と、
開位置となるように、前記容器の前記開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして前記開口部と接触させることができる蓋と、
を備える試薬供給容器。
【請求項19】
自動分析装置用の試薬供給手段において、
請求項18記載の試薬供給容器と、前記容器に入っている液体試薬とを備え、前記バッフルの前記第2開口部が前記液体に沈められている、試薬供給手段。
【請求項20】
請求項19記載の試薬供給手段において、
前記バッフルは、自動分析装置の使い捨てチップ付き計量プローブを前記バッフルの前記第1開口部を通して前記バッフルの前記第2開口部の方に向けて挿入するのに十分な大きさとなっている、試薬供給手段。
【請求項21】
自動分析装置用の試薬供給手段において、
容器本体と、前記容器内に配置された管状バッフルを備えた試薬供給容器であって、前記容器本体が側壁、底部および最上部を有し、前記最上部が液体試薬を前記容器本体に出し入れするための開口部を有しており、前記バッフルが、側壁と、前記バッフルの両端にある第1および第2の開口部とを有しており、前記バッフルの第1および第2開口部がいずれも穴あけ可能な密封材を有しており、前記バッフルの側壁の外部表面が前記容器本体の前記開口部と接触している、試薬供給容器と、
開位置となるように、前記容器の前記開口部から動かして離すことができ、かつ、閉位置となるように動かして前記開口部と接触させることができる蓋と、
前記試薬供給容器に入っている液体試薬と、
を備える試薬供給手段。
【請求項22】
請求項21記載の試薬供給手段において、
前記バッフルの前記側壁の外部表面が前記容器の前記開口部に接触して密閉状態を形成している、試薬供給手段。
【請求項23】
自動分析装置において、
試料供給源と、
試料計量ステーションと、
反応容器と、
請求項19記載の試薬供給手段と、
前記試料の特性を計測する計測機器と、
を備えた自動分析装置。
【請求項24】
計量プローブに吸引される泡を減らすまたはなくす方法において、
請求項19記載の試薬供給手段を提供する段階と、
前記試薬供給手段の方へ前後移動できる計量プローブを提供する段階と、
前記蓋を前記容器の前記開口部から動かして離す段階と、
前記バッフルの前記第1および第2開口部を覆っている密封材の両方に穴をあけて、液体に沈めてある前記バッフルの端部から前記バッフルに前記液体が入れるようにし、前記密封材は、前記計量プローブで穴をあけても、あけなくてもよい段階と、
前記計量プローブを前記バッフルの前記第1開口部に入れ、前記バッフルに入っている前記液体と接触させる段階と、
前記バッフルに入っている液体を設定量吸引する段階と、
前記計量プローブを前記バッフルから出す段階と、
を含む方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、
前記密封材の両方に穴をあける段階は、前記計量プローブのチップで行う、方法。
【請求項26】
試薬供給手段の製造方法において、
液体試薬を開口部を有する容器に入れる段階と、
中空のバッフルであって、側壁と、穴あけ可能な密封材で密封されており、前記バッフルの第2端部の近傍にある第2開口部と、前記バッフルの第1端部近傍にあり、オプションとして穴あけ可能な密封材で密封されている第1開口部とを有する中空バッフルを提供する段階と、
前記バッフルの前記密封した第2開口部を前記容器の前記開口部に前記液体の表面より下の位置まで挿入する段階と、
前記バッフルの前記側壁を前記容器に固定する段階と、
前記バッフルの前記第1開口部を、まだ密封されていない場合に、穴あけ可能な密封材で密封する段階と、
を含む方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
前記バッフルの前記第1開口部と、前記容器の前記開口部の両方を穴あけ可能な密封材で密封する段階をさらに含む、方法。
【請求項28】
請求項26記載の方法において、
前記容器の前記開口部は、円形断面を有し、かつ、前記開口部の中心から外へ延びる突出縁部を有し、前記バッフルが、円形断面を有し、かつ、前記第1端部において、前記第1端部の中心から外へ延びる突出縁部を有し、前記バッフルは、前記容器の突出縁部の上面が、前記バッフルの突出縁部の底面に接触するまで前記容器に挿入される、方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、
前記バッフルは、前記突出縁部より下において、前記側壁の外側表面に突出部を有し、前記突出部は、前記容器の前記突出縁部より下の位置において前記容器の側壁に摩擦で係合し、前記バッフルを前記容器に不動に係合させる、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−349683(P2006−349683A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−165156(P2006−165156)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】