説明

泡入浴システム

【課題】浴槽の吸入口から空気や泡沫群がポンプ側に吸入されたことを判定するのに有利な泡入浴システムを提供する。
【解決手段】泡入浴システムは、攪拌要素を回転駆動させるモータ40を有する泡生成器3と、生成させた泡沫群を浴槽に吐出させる吐出部30と、泡沫群の原料となる水を浴槽2に貯留されている水から吸引させて泡生成室に供給させるポンプ5と、空気を泡生成室に供給させる空気供給源6とを備える。制御部は、泡生成モードを実行するとき、泡生成器のモータ40の回転数に関する物理量に基づいて吸入口22からの吸込異常の有無を判定し、吸込異常と判定されるとき警報を出力する判定処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡沫群を用いて泡入浴できる泡入浴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
泡入浴システムは、泡沫群を生成させるための泡生成室と泡生成室において回転駆動される攪拌要素と攪拌要素を回転駆動させるモータとを有する泡生成器と、泡生成器の泡生成室において生成させた泡沫群を浴槽に吐出させる吐出部と、泡沫群の原料となる水を浴槽から吸引させて泡生成器の泡生成室に供給させるポンプと、泡沫群の原料となる空気を泡生成器の泡生成室に供給させるコンプレッサとを備えている。特許文献1は、浴槽の底部より空気泡をコンプレッサから噴出させるブロー運転と、水せっけん収容タンクから水せっけんを浴槽に供給させる泡風呂運転とを実行できる浴槽装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−300550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したシステムや装置によれば、実際の泡入浴では、浴槽の壁面に設けている吸入口よりも、浴槽内の液相状の水の水位が下がるおそれがある。この場合、浴槽の壁面に設けている吸入口から浴槽内の水位よりも上側の空気がポンプひいては泡生成室に吸い込まれる。おそれがある。この場合にはポンプが空転状態となり、故障に繋がる。更に、浴槽の壁面に設けている吸入口から、浴槽に溜めた泡沫群がシステムや装置や吸い込まれるおそれがある。泡沫群は液相状の水と気相状の空気とが泡状に混合した流動物である。この場合、ポンプが空転状態となり、故障に繋がるおそれがある。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、浴槽の吸入口から泡沫群や空気がポンプ側に吸入されて浴槽からの吸込異常が発生したことを判定するのに有利な泡入浴システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明者は、ポンプにより浴槽の水を吸引して泡生成室に供給させた状態で、モータにより攪拌要素を回転駆動させる方式の泡入浴システムについて開発を進めている。このようなシステムでは、正常な泡生成モードでは、必要水位以上に浴槽内の液相の水を溜めることが要請されている。従って、浴槽内の液相状の水の水位を浴槽の吸入口よりも高い位置に設定させる。この場合、浴槽内の液相状の水がポンプ側に良好に吸引される(これを正常運転Aとする)。この場合、ポンプの回転数は正常とされる。正常運転Aでは、泡沫群の原料水となる浴槽の水の経路としては、浴槽→ポンプ→泡生成室→攪拌要素→泡沫群の生成→浴槽の順である。このため、泡生成室に配置されている攪拌要素を回転させるモータの回転数に関する物理量ではなく、水経路において泡生成室よりも上流側に位置するポンプの回転数に関する物理量で泡沫群の原料の良否を判定できれば、泡生成室よりも上流のポンプの水が流入している段階において吸込異常を判定できる。この場合、吸込異常であれば、警報を直ちに発することができる。
【0007】
しかしながら実際の泡入浴モードでは、ユーザによっては、浴槽の液相状の水位が充分に得られないおそれがある。この場合、浴槽内の液相状の水の水位が浴槽の吸入口よりも低下し、ポンプが駆動しても、浴槽内の液相の水がポンプ側に吸引されず、浴槽内の水面上の空気のみがポンプに吸引される異常運転Bが発生するおそれがある。更に、浴槽の水位が閾値以下であり、液相状の水ではなく、液相状の水と気相状の空気との混合体である泡沫群がポンプに吸引される異常運転Cが発生するおそれがある。更に、浴槽の水位が閾値以下であり、浴槽内の液相状の水および空気の双方がそれぞれポンプに吸引される異常運転Dが発生するおそれがある。これらの異常運転B,C,Dの場合には、ポンプの回転数のみに基づいて泡生成モードの良否の判定処理が実行されていたのでは、図10に示すように、正常運転A(浴槽内の液相の水のみをポンプに吸引)と異常運転B(浴槽内の気相の空気のみポンプに吸引)とでは、ポンプの回転数の差が大きく、正常運転Aと異常運転Bとの判定は容易である。水は空気に対して比重がかなり大きいため、ポンプの負荷が大きく相違するためである。しかし、図10から理解できるように、浴槽内の液相状の水と気相状の空気の双方が混在した状態でポンプに吸引される異常運転C、Dと、正常運転Aとを見ると、ポンプ回転数の差が小さくなり、異常運転C、Dと正常運転Aとの判定は容易ではなく、判定精度が必ずしも充分ではない。この場合、ポンプの回転数のみで判定していたのでは、異常運転C、Dと正常運転Aとの識別が困難となり、システムを故障させる要因になりかねない。
【0008】
これに対して本発明者は、泡生成モードを実行するときにおいて、泡生成器のモータの回転数に基づけば、図11に示すように、正常運転Aと、異常運転B、C、Dとにおいて、モータの回転数の差が大きくなり、吸込異常の判定が容易であることを知見した。かかる知見に基づいて本発明は完成されている。
【0009】
(2)本発明の様相1に係る泡入浴システムは、泡沫群を生成させるための泡生成室と泡生成室において回転駆動される攪拌要素と攪拌要素を回転駆動させるモータとを有する泡生成器と、泡生成器の泡生成室において生成させた泡沫群を浴槽に吐出させる吐出部と、泡沫群の原料となる水を浴槽に貯留されている水から吸引させて泡生成器の泡生成室に供給させるポンプと、泡沫群の原料となる空気を泡生成器の泡生成室に供給させる空気供給源と、モータの回転数に関する信号およびポンプの回転数に関する信号が入力される制御部とを具備しており、制御部は、ポンプにより浴槽から水を吸引させて泡生成器の泡生成室に供給させる操作と、空気供給源から空気を泡生成器の泡生成室に供給させる操作と、攪拌要素を泡生成室において回転駆動させる操作を行う泡生成モードを実行するときにおいて、泡生成器のモータの回転数に関する物理量に基づいて浴槽水の吸込異常の有無を判定し、吸込異常と判定されるとき警報を出力する判定処理を実行することを特徴とする。
【0010】
泡生成モードを実行するときにおいて、泡生成器の攪拌要素を回転駆動させるモータの回転数に基づいて判定を行えば、図11に示すように、正常運転A、異常運転B、C、Dの判定が容易である。そこで、制御部は、泡生成モードを実行するときにおいて、泡生成器のモータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定して警報を出力する判定処理を実行する。
【0011】
(3)本発明の様相2に係る泡入浴システムによれば、上記様相において、制御部は、判定処理において、ポンプの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常の有無を判定し、ポンプの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定されるとき警報を出力し、判定処理において前記ポンプの回転数に基づく判定処理では吸込異常と判定されないときであっても、モータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常の有無を判定し、モータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定されるとき警報を出力することを特徴とする。
【0012】
泡沫群の原料水となる浴槽の水の経路としては、浴槽→ポンプ→泡生成室→攪拌要素→泡沫群の生成→浴槽の順である。このため、攪拌要素のモータの回転数に関する物理量ではなく、水経路における上流側のポンプの回転数に関する物理量で泡沫群の原料の良否を判定できれば、泡生成室よりも上流側のポンプの水が流入している段階において、吸込異常の有無を判定できる。この場合、吸込異常であれば、制御部は警報を直ちに発することができ、ポンプの下流に位置する泡生成室のシール部の損傷も回避し易い利点が得られる。そこで本様相によれば、制御部は、判定処理において、ポンプの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定して警報を出力する。但し、ポンプの回転数に関する物理量に基づく判定処理では、判定精度には限界がある。
【0013】
そこで本様相によれば、判定処理においてポンプの回転数に基づく判定処理では吸込異常と判定されないときであっても、制御部は、泡生成器のモータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定して警報を出力する。上記したように泡生成器のモータの回転数に基づいて判定を行えば、警報がやや遅延するおそれがあるものの、図11に示すように、運転A、B、C、Dの判定が容易であるためである。
【0014】
(4)本発明の様相3に係る泡入浴システムによれば、上記様相において、制御部は、判定処理おいて、泡生成器のモータのモータ電流に関する物理量に基づいて吸込異常と判定して警報を出力することを特徴とする。泡生成器の攪拌要素を回転駆動させるモータのモータ電流に基づいて判定を行えば、図11に示すように、運転A、B、C、Dの判定が容易であり、判定精度が向上する。そこで、制御部は、泡生成モードを実行するときにおいて、モータの回転数に関する物理量に基づく吸込異常と併せて、泡生成器のモータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常と判定して警報を出力する判定処理を実行する。吸込異常の判定精度を高めることができる。
【0015】
(5)本発明の様相4に係る泡入浴システムによれば、上記様相において、泡生成モードの開始時において、モータの回転を制限させた状態で、ポンプを回転駆動させ、前記ポンプの回転数がポンプ回転用閾値以上のとき吸込異常と判定して警報を出力し、判定処理においてポンプの回転数に基づく判定処理では吸込異常と判定されないとき、モータを回転または増速させて攪拌要素を回転または増速させ、モータの回転数に関する物理量に基づいて吸込異常の有無を判定し、吸込異常と判定されるとき警報を出力することを特徴とする。モータの回転を制限させた状態とは、モータの回転の停止、または、超微速状態(例えば常用回転数の1/10以下)をいう。
【0016】
(6)本発明の様相5に係る泡入浴システムによれば、上記様相において、攪拌要素は泡生成室からの漏れを抑えるシール部を有することを特徴とする。浴槽の水をポンプが吸引するとき、気相状の空気の比率が多く、液相の水の比率が少ないと、シール部に付着する水は少なくなる。ここで、水は空気よりも高い潤滑性をもつため、液相の水の比率が少ないと、シール部が摩耗するおそれがある。このように浴槽の吸入口からポンプが吸引して泡生成室に供給させる吸引物の気体および液体の比率が重要である。従って、比重が小さな空気の比率が高い異常運転B,C,Dでは、警報を早期に出力させることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明に係る泡入浴システムによれば、浴槽の液相状の水位が必ずしも一定ではないときにおいて、上記した正常運転と異常運転とを良好に判定でき、判定精度を高めることができる。このため浴槽水の吸込異常であるにも拘わらず、攪拌要素を回転させて装置の故障(例えばシール部の損傷劣化)を誘発させることが未然に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係り、泡入浴システムを示す概念図である。
【図2】泡入浴システムの要部を示す断面図である。
【図3】泡生成器を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った切断した断面図である。
【図5】泡生成器の流入室付近を示す斜視図である。
【図6】制御部を示すブロック図である。
【図7】制御部が実行する制御のフローチャートである。
【図8】制御部が実行するモータ回転数判定処理のフローチャートである。
【図9】制御部が実行するモータ電流値判定処理のフローチャートである。
【図10】ポンプ回転数と運転A,B,C,Dとの関係を示すグラフである。
【図11】モータ回転数と運転A,B,C,Dとの関係、および、モータ電流値と運転A,B,C,Dとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
泡生成器で生成される泡沫群は、多数の気泡を有する。気泡サイズとしては、400マイクロメトール以下が好ましい。泡沫群において水/空気の比率としては、体積比で、1/2〜3/4が好ましい。ポンプとしては、泡沫群の原料となる水を泡生成器に供給させるものであれば良く、ポンプが例示される。空気供給源としては、泡沫群の原料となる空気を泡生成器に供給させるものであれば良く、コンプレッサ、空気ポンプが例示される。ポンプまたは空気供給源の構造としては、ダイヤフラム式、ロータ式、ピストン式等に限定されるものでは公知の構造を採用できる。
【0020】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図1〜図6を参照して説明する。本実施形態に係る泡入浴システム1は、浴槽室20をもつ浴槽2を設置する入浴室、または、その隣室等の室に据え付けられており、浴槽室20において泡沫群を用いて入浴する泡入浴モードを実行できる。浴槽室20には、泡剤が投入された温かい水27が、泡沫群の原料水として貯留される。浴槽2は、泡沫群などを浴槽室20に吐出させる吐出口21と、浴槽室20の下側の水を吸入するために浴槽2の側壁2sに形成された吸入口22とをもつ。浴槽2の底壁23には排水口24および排水管25がドレイン部として設けられている。
【0021】
泡入浴システム1は、泡入浴モードにおいて泡沫群を生成させるための泡生成器3と、泡生成器3で生成させた泡沫群を外部である浴槽室20に吐出口21から吐出させる吐出部として吐出通路30をもつ吐出管31と、泡沫群の原料となる水を泡生成器3に供給させる水搬送源としてのポンプ5と、泡沫群の原料となる空気を泡生成器3に供給させる空気供給源としてのコンプレッサ6と、これらを包囲するように浴槽2付近に設けられる筐体7とを有する。
【0022】
図2,図3に示すように、泡生成器3は、浴槽2内の液相状の水が供給されて泡沫群を生成させるための泡生成室33をもつケース32と、泡生成室33において回転するようにケース32に設けられ回転に伴い水および空気に基づいて泡沫群を生成させる攪拌要素36とをもつ。攪拌要素36は、ケース32の仕切壁35にメカニカルシール部37を介して横軸形の軸線PA回りで回転可能に保持された駆動軸38と、駆動軸38の外周側に同軸的に保持された回転翼39と、駆動軸38を軸線PA回りで回転させる直流モータで形成されたモータ40とをもつ。モータ40は駆動軸38に対して同軸的配置とされていることが好ましい。図5に示すように、泡生成器3のケース32は、モータ40を取り付けるためのフランジ320と、流入室34および泡生成室33を形成する本筒部321とをもつ。仕切壁35は、駆動軸38の外周面をシールするシール部37を保持する筒部350をもつ。本筒部321の仕切壁35は、流入室34と泡生成室33とを仕切る。流入室34は、コンプレッサ6の吸気作用に対処できるように大気に連通している。
【0023】
図5に示すように、泡生成器3のケース32は、泡生成室33と、流入室34と、給気口41と、給水口42と、ドレイン口43と、帰還口44とをもつ。給気口41は、コンプレッサ6から供給される空気を泡生成室33に供給させる。泡生成室33の水や泡沫群が給気口41からコンプレッサ6側に漏れることを抑制することが好ましい。このため給気口41は泡生成室33の上部33uに位置するようにケース32の本筒部321の上部に形成されている。給水口42は、浴槽2の下側の液相状の水27(湯)を吸入口22および水吸入管50(図1参照)を介して泡生成室33に供給させるものであり、泡生成室33の下部に形成されている。従って、システムの不使用時に泡生成室33の水や泡沫群を泡生成室33から水吸入管50を介して浴槽室20に排出させ易い。図1に示すように、水吸入管50は通路50a,50b,50cをもつ。ドレイン口43は、泡生成室33から流入室34に漏れた水および泡沫群をドレインホース430を介して排水口24(ドレイン部)に排出させる。このためドレイン口43は流入室34の底部34b(図5参照)に形成されている。帰還口44は、泡生成室33に開口されておらず、流入室34に開口されている。帰還口44は流入室34の一側部34a(図5参照)に形成されている。給水口42は、流入室34にて帰還口44が設けられた側に対して反対側の他側部34c(図5参照)に形成されている。給水口42は、流入室34に開口されておらず、泡生成室33に開口されている。
【0024】
本実施形態によれば、図2に示すように、コンプレッサ6は、泡生成器3の泡生成室33の駆動軸38の軸線PAよりも下方に設置されている。従って、コンプレッサ6の上端部6uは、泡生成器3の泡生成室33の駆動軸38の軸線PAよりも下方に設置されている。具体的には、コンプレッサ6は、泡生成器3の泡生成室33の駆動軸38の軸線PAおよび給気口41の双方よりも下方に位置するように、床壁200に部材203を介して設置されている。図1に示すようにコンプレッサ6が泡生成室33の下部33dよりも下側に設置されている関係で、上向き空気供給通路80を形成する供給配管81の先端部81eは、コンプレッサ6の吐出ポート61から泡生成器3の給気口41に向かうにつれて矢印U1方向(上向き)に上昇するように配置されており、従って、コンプレッサ6の吐出ポート61から吐出された空気を泡生成器3の給気口41に向けて、重力に抗しつつ、上向き(矢印U1方向)に供給させる。コンプレッサ6は、床壁200に直接的に設置されていても良いし、防振性が高い他の部材203を介して床壁200に設置されていても良い。床壁200は、浴槽2を設置する入浴室の床壁でも良いし、あるいは、システムの都合上、入浴室に隣接する部屋(入浴室以外の室)の床壁でも良い。
【0025】
本実施形態では、泡生成器3の給気口41には逆止弁48が設けられている。逆止弁48は、コンプレッサ6の吐出ポート61から泡生成室33へ流れる(図4に示す矢印A1方向)の空気の流れを許容し、且つ、その逆方向(図4に示す矢印A2方向)の流れを遮断させるように設定されている。逆止弁48は、泡生成器3において上向き空気供給通路80の先端側、つまり、泡生成室33の上部に設けられた給気口41に設けられている。図4に示すように、逆止弁48は、給気口41に連通する弁口480を開閉する弁体481と、弁体481を閉鎖させるバネなどの付勢部材482とをもつ。
【0026】
図1および図2に示すように、コンプレッサ6と泡生成器3との間には、逆流物を泡生成器3に帰還させるための逆流物帰還通路85を形成する帰還配管86(ホースでもパイプでも良い)が設けられている。逆流物帰還通路85の一端部85e(下端部)はコンプレッサ6の吸入ポート62に接続されている。コンプレッサ6は床壁200に設置されているため、吸入ポート62の高さ位置も低くなり床壁200に近くなるため、床壁200に溜まった水等の進入物が吸入ポート62からコンプレッサ6に進入するおそれがある。しかしこのおそれは帰還配管86により抑制されている。逆流物帰還通路85の他端部85f(上端部)は、泡生成器3の流入室34に連通する帰還口44に接続されている(図5参照)。
【0027】
図6に示すように、制御部9は、入力処理回路90と、CPU91と、記憶部として機能するメモリ92と、出力処理回路93と、操作部94とをもつ。操作部94は、筐体7に設けられていても良いし、筐体7と離間するリモコン式であっても良い。操作部94は、泡生成モードを開始および終了するための泡スイッチ95と、他のモードを開始および終了するためのスイッチ96とをもつ。スイッチ95,スイッチ96からの信号、ポンプ5の回転数、モータ40の回転数、モータ40の電流値は、入力処理回路90を経て制御部9に入力される。制御部9は、出力処理回路93を経て、コンプレッサ6、ポンプ5、警報器98、モータ40等の機器をそれぞれ駆動させる指令信号を出力する。
【0028】
さて、泡沫群を用いて入浴する泡入浴を行う場合について説明する。まず、泡剤を含む温水が液相状の水として浴槽2の浴槽室20に所定量入れられた状態で、泡入浴モードが実行されることが好ましい。泡入浴モードでは、浴槽室20の下側では液相状の温水である水27が溜まり、温水の水面28よりも上方で泡沫群26が存在する(図1参照)。この場合、泡入浴モードを開始すべくユーザが操作部94の泡スイッチ95をオン操作すると、制御部9は泡入浴モードを開始し、ポンプ5は駆動され、浴槽室20の水27は水吸入管50を介して給水口42から泡生成室33に下向きに供給される。更に、泡スイッチ95のオン操作に伴い、制御部9は、駆動軸38と共に攪拌要素36を回転させるとともに、コンプレッサ6を駆動させる。すると、大気に連通する流入室34の空気は、逆流物帰還通路85を介して矢印D2方向(図2参照,下向き)にコンプレッサ6の吸入ポート62に向けて吸引され、更にコンプレッサ6の吐出ポート61から矢印U1方向(上向き)に吐出され、上向き空気供給通路80および逆止弁48を介して給気口41から泡生成器3の泡生成室33に供給される。これにより泡生成室33において水が泡立ち、暖かい微小泡沫群が生成される。気泡のサイズは400マイクロメートル以下程度であることが好ましい。但しこれに限定されるものではない。このように泡入浴モードにおいては、泡生成器3において生成された泡沫群は、泡生成器3の吐出ポート3x(図3参照)、吐出通路30を介して吐出口21から浴槽室20に供給される。これにより使用者は浴槽室20において泡入浴が可能となる。
【0029】
本実施形態によれば、コンプレッサ6は泡生成器3の攪拌要素36の横軸形の駆動軸38よりも下方に設置されており、駆動軸38の軸線PAよりも下方に設置されており、コンプレッサ6の高さ位置は抑制されており、床壁200からの高さが低めに抑えられている。従って、泡入浴モードにおいてコンプレッサ6が駆動して泡入浴モードが実行されるときであっても、コンプレッサ6の有害振動、ひいては有害振動に起因する騒音を抑制させるのに有利であり、泡入浴するユーザへの不快感を抑制できる。
【0030】
本実施形態によれば、前述したように、コンプレッサ6は泡生成器3の泡生成室33の給気口41よりも下方に設置されており、コンプレッサ6の吐出ポート61から上向き(図2に示す矢印U1方向)に泡生成器3の給気口41に向けて空気を供給させる上向き空気供給通路80は、コンプレッサ6の吐出ポート61から泡生成器3の給気口41に向かうにつれて矢印U1方向に上昇するように配置されている(図2,図3参照)。このようにコンプレッサ6の吐出ポート61から送られる空気を、泡生成器3の給気口41に向けて上向きに供給させる。このため前述したようにコンプレッサ6および床壁200の有害振動を抑制すべく、コンプレッサ6が泡生成器3の泡生成室33の駆動軸38の軸線PAよりも下方に位置するように床壁200に設置されているとしても、コンプレッサ6から、コンプレッサ6の上側に位置する泡生成器3への泡生成用の空気の供給は良好に実行でき、泡入浴モードが良好に実行される。
【0031】
本実施形態によれば、コンプレッサ6から泡生成室33への空気の流れを許容し且つその逆方向の流れを遮断させる逆止弁48が設けられている。逆止弁48は泡生成器3の給気口41に設けられている。このため、泡入浴モードにおいて、泡生成器3から水または泡沫群が矢印D1方向(図2参照)に上向き空気供給通路80を介してコンプレッサ6に向けて逆流することは、基本的には、逆止弁48によって抑制される。ひいては、コンプレッサ6を設置している床壁200が水または泡沫群によって過剰に濡れることが抑制される。
【0032】
さて本実施形態によれば、泡生成モードにおいて、制御部9は、ポンプ5により浴槽2の吸入口22から水を吸引させて泡生成器3の泡生成室33に供給させる操作と、コンプレッサ6に空気を泡生成器3の泡生成室33に供給させる操作と、モータ40により攪拌要素36を泡生成室33において回転駆動させる操作を行う。泡生成モードにおいて、制御部9は、泡生成器3のモータ40の回転数に基づいて吸込異常の有無を判定して警報を出力する判定処理を実行する。具体的には、モータ40の回転数Nが、予め設定されている回転数用閾値Nset1以上となる場合には(図11参照)、泡生成室33において比重が小さな気相が占める割合が高く、モータ40に作用する負荷が過剰に低下しており、制御部9は、浴槽2の吸入口22からの浴槽水の吸込異常と判定することができる。この場合、空気吸い込み時(異常運転B)、泡沫群吸い込み時(異常運転C)、浴槽2内の液相状の水の水位が規定量以下の場合(異常運転D)においても、制御部は浴槽水の吸込異常と判定することができる。この場合、ポンプ5の回転数に基づいて判定する判定処理を併用しても良いし、ポンプ5の回転数に基づいて判定しなくても良い。前者の場合、ポンプ5の回転数とモータ40の回転数との双方を用いてダブル判定するので、判定精度を高めるのに貢献できる。判定結果が矛盾するときには、モータ40の回転数に基づく判定を優先させることができる。場合によっては、ポンプ5の回転数に基づく判定を優先させることにしても良い。
【0033】
上記した警報は、ポンプ5、コンプレッサ6、モータ40の駆動を停止させずに警報器98に警報信号を出力させて聴覚的または視覚的に警報を発して浴槽2の水27の水面28の水位を浴槽2の吸入口22の上端22uよりも高めることをユーザに要請させる第1警報と、ポンプ5、コンプレッサ6、モータ40の駆動を停止させてシステムを停止させる第2警報とを含み得る。第1警報のみでも良いし、第1警報および第2警報を併用させても良い。
【0034】
上述したようにポンプ5の下流に位置する攪拌要素36を回転させるモータ40の回転数Nがポンプ5の回転数よりも吸込異常において鋭敏に変動するため、空気吸込異常の判定に有利である。この理由としては、次のように推定される。すなわち、ポンプ5は、翼を有したロータである羽根車をポンプケーシング内に回転可能に有する。ポンプ5内の水は、羽根車の回転によって回転する翼から力を受けながら、羽根車の外周方向に押し出され、ポンプ5の出水ポートから泡生成室33水が送り出される。この際、ポンプ5のポンプケーシング内に水が少なく空気が多い場合には、空気が圧縮性の流体であることと、空気の密度が小さいことから、羽根車入り口部の引き込む力が低下し、水を効果的に引き上げてポンプ5の出水ポートから泡生成室33に向けて吐出されにくくなり、泡生成器3の泡生成室33に供給される水量が低下すると推定される。このため、ポンプ5から泡生成室33に供給される比重が空気よりも大きな水の流量が更に低下し、泡生成室33における質量負荷が低下されるものと推定される。この場合、攪拌要素36を回転させるモータ40の負荷が一層低減される。このため、図11に示すように、モータ40の回転数が大きく増加する方向へ変動し、正常運転Aと異常運転B,C,Dとの間においてモータ回転数Nの変動が大きく増加するためと推定される。なおモータ40は、モータ負荷が低下するとモータ回転数が増加する特性を有すれば、直流モータでも交流モータでも良い。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用する。モータ40は直流モータとされている。直流モータであれば、モータ負荷をPとし、トルク定数をKとし、モータ電流をIとすると、基本的にはP=K×Iの関係が得られる。このため空気の吸い込みにより泡生成室33において比重が小さな気相状の空気や泡沫群が占める割合が増加し、比重が大きな液相状の水が占める割合が低下すると、攪拌要素36の負荷が低減され、ひいてはモータ40の負荷が低減され、モータ電流Iはそれに応じて低下する(図11参照)。制御部9は、泡生成モードにおいて、泡生成器3のモータ40の回転数に基づいて、浴槽2からの水の吸込異常の有無を判定して警報を出力する判定処理を実行する。更に、判定処理おいて、制御部9は、泡生成器3のモータ40のモータ電流Iに基づいて浴槽水の吸込異常の有無を判定し、吸込異常であれば、警報器98に警報を出力する。このようにモータ40のモータ回転数Nとモータ電流Iとの双方に基づいて、浴槽水の吸込異常を判定するため、判定精度が向上する。
【0036】
具体的には、モータの回転数Nが、予め設定されている回転数用閾値Nset1以上となる場合に、浴槽水の吸込異常である異常運転C,D,Bが発生していると、制御部9は判定する。またモータの電流値Iが、予め設定されている電流値用閾値Iset1未満となる場合には(図11参照)、吸込異常である異常運転C,D,Bが発生していると、制御部9は判定する。このようにポンプ回転数NPのみを判定パラメータとする場合とは異なり、空気吸い込み時(異常運転B)、泡沫群吸い込み時(異常運転C)、浴槽2内の液相状の水の水位が規定量以下の場合(異常運転D)においても、吸込異常の発生と制御部9は判定することができる。上記した警報は、警報器98に警報信号を出力させて聴覚的または視覚的に警報を発して浴槽2の水の増加をユーザに促す第1警報と、ポンプ5、コンプレッサ6、モータ40の駆動を停止させてシステムを停止させる第2警報とを含み得る。第1警報のみでも良いし、第1警報および第2警報を併用させても良い。
【0037】
(実施形態3)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用する。制御部9は、判定処理において、ポンプ5の回転数NPがポンプ回転用閾値NPset以上のとき浴槽2からの吸込異常と判定して警報を出力する。更に、判定処理においてポンプ5の回転数NPに基づく判定処理では吸込異常と判定されないときであっても、制御部9は、泡生成器3のモータ40の回転数Nに基づいて吸込異常の有無を判定して警報を出力する。またモータ40の電流値Iが、予め設定されている電流値用閾値Iset1未満の場合においても、吸込異常の発生と制御部9は判定する。モータ40の回転数N、モータ40の電流Iは、ポンプ5の回転数NPよりも、空気吸込異常に対して鋭敏に変化するためである(図11参照)。更に説明を加える。
【0038】
(I)入浴前にユーザは浴槽2に水27(湯)を張る。そのとき浴槽2の水27の水面28が水位28d(図1参照)として浴槽2の吸入口22の下端22dの高さ位置よりも低いときにおいて、システムが作動された場合、水面28上の比重が小さな空気(のみ)が浴槽2の吸入口22から水吸入管50を通り、ポンプ5内に入る。この場合、浴槽2の比重が大きな水27はポンプ5に吸入されないため、ポンプ5内の負荷が急激に低下し、ポンプ5は空転状態となる。
【0039】
(II)入浴前に、浴槽2に水27(湯)を張り、水面28が水位28(図1参照)として示すように吸入口22の上端22uの高さ位置に対して充分に高い場合には、システムが作動されると、泡生成器3により泡沫群26(図1参照)が生成され、吐出口21より吐出させて泡沫群26が浴槽2に溜められる。泡沫群26を浴槽2に溜めていくのに比例して、浴槽2の水27の水面28の水位は、初期と比較して次第に低下していく。この場合、万一、泡沫群26を長時間にわたり生成し続け、浴槽2の水面28の水位が吸入口22の上端22uよりも低下した場合、水27(湯)だけではなく、浴槽2に溜めた泡沫群26が浴槽2の吸入口22より水吸入管50に吸引され、ポンプ5内に入ったり、ポンプ5内に十分な水位が入らない事態が発生するおそれがある。この場合、泡沫群26は水に比較して比重が小さいため、ポンプ5の負荷が低下し、ポンプ5内が空転状態となるおそれがある。
【0040】
上記した(I)の場合において、液相状の水がポンプ5に吸入される正常運転Aと、完全空転である異常運転Bとを比較すれば、ポンプ5の回転数の差は大きい(図10参照)。このため、初期の起動として、制御部9は、モータ40を回転させず、攪拌要素36も回転させず、ポンプ5のみ作動させてポンプ5の回転数NPのみでポンプ5の空転(吸込異常)の判定を行う。この場合、図10から理解できるように、正常運転Aと異常運転Bとの識別は、ポンプ5の回転数の差が大きいため、容易である。制御部9は異常運転Bであると判定すると、警報器98に警報を出力し、システムの作動を停止させてポンプ5およびモータ40の回転を停止させる。このため、泡生成室33において空気過剰状態で、攪拌要素36が駆動軸38と共に回転することが防止される。従って、泡生成室33の内部にあるメカニカルシール部37がウェット不足状態(空気過剰状態)で使用されることを防ぐことが可能となる。メカニカルシール部37がウェット不足状態において、モータ40を回転作動させると、メカニカルシール部37が磨耗劣化したり、メカニカルシール部37故障を誘発させるおそれがある。
【0041】
上記した(II)の場合において、図10から理解できるように、正常運転Aと、泡吸入時である異常運転Cとについて見ると、上記(I)において述べた完全空転(空気のみ吸入)時である異常運転Bと正常運転Aにおけるポンプ5の回転数差よりも、回転数差が小さくなる。このため正常運転Aと異常運転C(泡吸入)との識別については、ポンプ5の回転数NPのみでは判定が容易ではない(図10参照)。
【0042】
また、上記した(II)の場合において、図1の参水位28mが示されているように、ポンプ5内に規定量よりも少ない水が入る場合があり、比重が大きな水が少ないため、ポンプ5が空転状態となり、異常運転Dとなる可能性がある。この場合、上記(I)において述べた完全空転(空気のみ吸入)時である異常運転Bと正常運転Aとにおけるポンプ5の回転数差よりも、回転数差が小さくなる(図10照)。すなわち、水がポンプ5に少し入った異常運転Dと正常運転Aとにおけるポンプ5の回転数差が小さくなる(図10参照)。よって、ポンプ5の回転数NPのみでは、異常運転Dおよび正常運転Aの判定は難しい。そこで、上記した(II)の状態になった場合においても、正常と異常(泡吸入・水位規定量以下)との識別をポンプ5の回転数NPのみで判断するのではなく、モータ40の回転数Nおよびモータ40の電流値Iのうちの一方および双方を併用して制御部9が判定する。この場合、モータ40の回転数Nが閾値Nset1以上であったり、モータ40の電流値Iが閾値Iset1未満であったりする場合には、モータ40の負荷が軽くなり、制御部9は、浴槽2からの吸込異常(完全空転である異常運転B、泡沫群吸入である異常運転C、水位規定量以下である異常運転D)と判定し、警報を発すると共にシステムの作動を停止させる。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、モータ40の回転数Nおよびモータ40の電流値Iのうちの一方および双方を併用して制御部9が判定すれば、完全な空転状態だけでなく、ポンプ5内の水位が通常規定水位の半分の水位等の微妙な水位である場合や、泡沫群26などのように水と比重が比較的近い流体がポンプ5に混在する場合でも、判定が可能である。従って空転に起因するポンプ5やモータ40の故障等が起こるのを防ぐことができる。ポンプ5の回転数NPのみでなく、泡生成室33に配置される攪拌要素36を回転させるモータ40のモータ回転数Nと、モータ40のモータ電流値Iとを組み合わせて検知することで、泡沫群吸入時である異常運転C、ポンプ5内の水位が規定量以下の異常運転Dの場合のように、異常と正常との差がポンプ5の回転数のみでは小さく、判定が難しい場合においても、モータ電流値Iや、モータ回転数Nは比較的差が大きくでるため(図11参照)、吸込正常と吸込異常とを精度良く正確に判定できる(図11参照)。
【0044】
(実施形態4)
図7〜図9は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用する。まず、図7はメインルーチンを示す。メインルーチンはシステムの電源投入と共に開始される。図7に示すように、制御部9はユーザによる泡スイッチ95の操作状況を読み込み、泡スイッチ95がユーザにより操作されているときにはポンプ5をオンさせ、ポンプ5を安定化させるため所定時間待機(ステップS106)し、その後、ポンプ5の回転数NPを読み込む(ステップS)。制御部9は、ポンプ5の回転数NPに基づいて吸込は正常か否かを判定し(ステップS110)し、異常であれば、システム停止フラグを立ててシステムを停止させると共に、警報器98に警報信号を出力する(ステップS112)。ポンプ5の回転数NPに基づいて正常と判定されれば、制御部9はモータ40をオンさせて回転させ、モータ40の回転が安定するまで所定時間待機する(ステップS116)。その後、制御部9は、モータ回転数Nに基づいて吸込異常を判定するモータ回転数判定処理を実行し(ステップS118)、モータ電流値Iに基づいて吸込異常を判定するモータ電流値判定処理を実行する(ステップS120)。モータ回転数判定処理およびモータ電流値判定処理では、正常運転および異常運転に応じてフラグが立てられる。制御部9は、フラグに応じて警報器98に警報信号を出力し(ステップS122)、更にシステムを停止させるか否かを判定し(ステップS124)、停止させる必要があれば、システム停止フラグを立てて(ステップS126)、メインルーチンにリターンする。停止させる必要がなければ、泡入浴モードを実行するフラグを立てて(ステップS128)、リターンする。
【0045】
図8はモータ回転数判定処理を示す。制御部9は、モータ40の単位時間あたり回転数Nを読み込み(ステップS202)、閾値Nset1と比較し(ステップS204)、回転数Nが閾値Nset1未満であれば、正常運転Aと判定し、正常運転Aを意味するフラグAを立て(ステップS206)、メインルーチンにリターンする。更に、制御部9は、モータ40の回転数Nと閾値Nset2とを比較し(ステップS208)、回転数Nが閾値Nset1以上且つ閾値Nset2未満であれば、異常運転Cと判定し、異常運転Cを意味するフラグCを立てる(ステップS210)。更に、制御部9は、モータ40の回転数Nと閾値Nset3とを比較し(ステップS212)、回転数Nが閾値Nset2以上且つ閾値Nset3未満であれば、異常運転Dと判定し、異常運転Dを意味するフラグDを立てる(ステップS210)。回転数Nが閾値Nset3以上であれば、異常運転Bと判定し、異常運転Bを意味するフラグBを立て(ステップS216)、メインルーチンにリターンする。閾値Nset1<Nset2<Nset3の関係とされている(図11参照)。
【0046】
図9はモータ電流値判定処理を示す。制御部9は、モータ40の電流値Iを読み込み(ステップS302)、閾値Iset1と比較し(ステップS304)、電流値Iが閾値Iset1以上であれば、正常運転Aと判定し、正常運転Aを意味するフラグIAを立て(ステップS306)、メインルーチンにリターンする。更に、制御部9は、モータ40の電流値Iと閾値Iset2とを比較し(ステップS308)、電流値Iが閾値Iset1未満且つ閾値Iset2以上であれば、異常運転Cと判定し、異常運転Cを意味するフラグICを立てる(ステップS310)。更に、制御部9は、モータ40の電流値Iと閾値Iset3とを比較し(ステップS312)、電流値Iが閾値Iset2未満且つ閾値Iset3以上であれば、異常運転Dと判定し、異常運転Dを意味するフラグIDを立てる(ステップS310)。電流値Iが閾値Iset3未満であれば、異常運転Bと判定し、異常運転Bを意味するフラグIBを立て(ステップS316)、メインルーチンにリターンする。閾値Iset1>Iset2>Iset3の関係とされている(図11参照)。
【0047】
このように本実施形態によれば、泡生成モードの開始時において、モータ40の回転を停止させた状態で、ポンプ5を回転駆動させて浴槽2の吸入口22から浴槽2内の水を吸入させる。そして、ポンプ5の回転数NPがポンプ回転用閾値NPset以上のとき吸込異常と判定して(ステップS110のNO)、警報器98に警報信号を出力する(ステップS112)。ポンプ5の回転数NPがポンプ回転用閾値NPset未満のとき、ポンプ5の回転数Nに基づく判定処理では吸込異常と判定されない(ステップS110のYES)。この場合、制御部9はモータ40を回転駆動させて攪拌要素36を回転させる(ステップS114)。この状態において、制御部9は、モータ40の回転数Nに基づいて吸込異常の有無を判定する(ステップS118)。制御部9は、モータ40のモータ電流値Iに基づいて吸込異常の有無を判定する(ステップS120)。モータ40の回転数N6およびモータ電流値Iに基づけば、正常運転A,異常運転B、異常運転C、異常運転Dの識別が容易であり、それぞれ警報を出力する。モータ40の回転数Nに基づいて判定したフラグと、モータ40のモータ電流値Iに基づいて判定したフラグとが相違するときには、回転数Nによる判定を優先させることが好ましい。但し場合によっては、モータ電流値Iによる判定を優先させても良い。
【0048】
(その他)
モータ40としては、モータ回転数およびモータ電流を判定パラメータとするときには、モータ負荷に応じてモータ電流値が低下する直流モータが好ましい。但し、モータ回転数を判定パラメータとするときには交流モータでも良い。空気供給源としてはコンプレッサに代えて空気ポンプとしても良い。泡沫群の原料となる水を浴槽2の吸入口22からポンプ5に吸入しているが、これに限らず、浴槽2の水面28から吸入させることにしても良い。コンプレッサ6は床面200側に設定されているが、これに限らず、筐体7の上部、あるいは、システムを設置する室の天井側に配置されていても良い。配管86を廃止し、コンプレッサ6の吸入ポート62から直接に空気を吸引しても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0049】
本明細書の記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)泡沫群を生成させるための泡生成室と泡生成室において回転駆動される攪拌要素と攪拌要素を回転駆動させるモータとを有する泡生成器と、泡生成器の泡生成室において生成させた泡沫群を浴槽に吐出させる吐出部と、泡沫群の原料となる水を浴槽に貯留されている水から吸引させて前記泡生成器の泡生成室に供給させるポンプと、泡沫群の原料となる空気を泡生成器の泡生成室に供給させる空気供給源と、モータの回転数に関する信号およびポンプの回転数に関する信号が入力される制御部とを具備しており、制御部は、ポンプにより浴槽から水を吸引させて泡生成器の泡生成室に供給させる操作と、空気供給源に空気を泡生成器の泡生成室に供給させる操作と、攪拌要素を泡生成室において回転駆動させる操作を行う泡生成モードを実行するときにおいて、泡生成器のモータのモータ電流値に関する物理量に基づいて吸込異常の有無を判定し、吸込異常と判定されるとき警報を出力する判定処理を実行することを特徴とする泡入浴システム。警報はシステム停止も含むことができる。
【符号の説明】
【0050】
1は泡入浴システム、2は浴槽、20は浴槽室、21は吐出口、22は吸入口、24は排水口(ドレイン部)、3は泡生成器、30は吐出通路(吐出部)、31は吐出管(吐出部)、32はケース、33は泡生成室、34は流入室、35は仕切壁、36は攪拌要素、37はシール部、38は駆動軸、PAは軸線、40はモータ、41は給気口、42は給水口、43はドレイン口、44は帰還口、48は逆止弁、482は付勢部材、5はポンプ、50は水吸入管、6はコンプレッサ(空気供給源)、61は吐出ポート、62は吸入ポート、7は筐体、80は上向き空気供給通路、81は供給配管、85は逆流物帰還通路、86は帰還配管、9は制御部、98は警報器を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡沫群を生成させるための泡生成室と前記泡生成室において回転駆動される攪拌要素と前記攪拌要素を回転駆動させるモータとを有する泡生成器と、
前記泡生成器の前記泡生成室において生成させた泡沫群を浴槽に吐出させる吐出部と、
泡沫群の原料となる水を前記浴槽に貯留されている水から吸引させて前記泡生成器の前記泡生成室に供給させるポンプと、
泡沫群の原料となる空気を前記泡生成器の前記泡生成室に供給させる空気供給源と、
前記モータの回転数に関する信号および前記ポンプの回転数に関する信号が入力される制御部とを具備しており、
前記制御部は、
前記ポンプにより前記浴槽から水を吸引させて前記泡生成器の前記泡生成室に供給させる操作と、前記空気供給源から空気を前記泡生成器の前記泡生成室に供給させる操作と、前記攪拌要素を前記泡生成室において回転駆動させる操作を行う泡生成モードを実行するときにおいて、
前記泡生成器の前記モータの回転数に関する物理量に基づいて前記浴槽の水の吸込異常の有無を判定し、吸込異常と判定されるとき警報を出力する判定処理を実行することを特徴とする泡入浴システム。
【請求項2】
請求項1において、前記制御部は、前記判定処理において、前記ポンプの回転数に関する物理量に基づいて前記吸込異常の有無を判定し、前記ポンプの回転数に関する物理量に基づいて前記吸込異常と判定されるとき警報を出力し、前記判定処理において前記ポンプの回転数に基づく判定処理では前記吸込異常と判定されないときであっても、前記モータの回転数に関する物理量に基づいて前記吸込異常の有無を判定し、前記モータの回転数に関する物理量に基づいて前記吸込異常と判定されるとき警報を出力することを特徴とする泡入浴システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記制御部は、前記判定処理おいて、前記泡生成器の前記モータのモータ電流に関する物理量に基づいて前記吸込異常と判定して警報を出力することを特徴とする泡入浴システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記泡生成モードの開始時において、前記モータの回転を制限させた状態で、前記ポンプを回転駆動させ、前記ポンプの回転数がポンプ回転用閾値以上のとき前記吸込異常と判定して警報を出力し、前記判定処理において前記ポンプの回転数に基づく判定処理では吸込異常と判定されないとき、前記モータを回転または増速させて前記攪拌要素を回転または増速させ、前記モータの回転数に関する物理量に基づいて前記吸込異常の有無を判定し、前記吸込異常と判定されるとき警報を出力することを特徴とする泡入浴システム。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記攪拌要素は前記泡生成室からの漏れを抑えるシール部を有することを特徴とする泡入浴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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