説明

泡吐出器の吐出ヘッド

【課題】装着した容器体80内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出する泡吐出器の吐出ヘッドであって、ノズルの固化防止構造を備えることでノズル内の残液の固化を防止できる泡吐出の吐出ヘッドを提案する。
【解決手段】ノズル14の先端部に柔軟で弾力性に富む材質で形成されたアンブレラ型弁体Bを設けてなり、アンブレラ型弁体Bは、流路p中央に泡の流通が可能に支持された支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21と、嵌着筒部21外面より延設して前方へ向かって広がるテーパ状をなし、先端縁を流路pの筒壁内面に圧接して流路pを閉塞し、吐出操作時の内圧で先端部を中心側へ弾性変形することで泡の吐出が可能となる弁板20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器の吐出ヘッドに関し、詳しくは、ノズルの固化防止構造を備えた泡吐出器の吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
装着した容器体内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出する泡吐出器が提案されている。例えば、空気用シリンダ及び液用シリンダを備え、各シリンダ内を摺動する空気用ピストン及び液用ピストンを備えた作動部材を上下動させることにより各シリンダ内の空気と液とを合流させて起泡させ、泡として吐出する泡吐出器が種々提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
特許文献1に記載されている泡吐出器の吐出ヘッドは作動部材上端部を構成し、作動部材を構成するステムの上端に嵌着した縦筒に基端を開口して前方へノズルを突設した形態をなしており、起泡された泡が縦筒内よりノズル内を介して吐出口より吐出する如く構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の泡吐出器の吐出ヘッドに於いて、ノズルの固化防止構造を備えることでノズル内の残液の固化を防止できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、装着した容器体80内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出する泡吐出器の吐出ヘッドであって、ノズル14の先端部に柔軟で弾力性に富む材質で形成されたアンブレラ型弁体Bを設けてなり、アンブレラ型弁体Bは、流路p中央に泡の流通が可能に支持された支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21と、嵌着筒部21外面より延設して前方へ向かって広がるテーパ状をなし、先端縁を流路pの筒壁内面に圧接して流路pを閉塞し、吐出操作時の内圧で先端部を中心側へ弾性変形することで泡の吐出が可能となる弁板20とを備える。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、支持棒34をノズル14と別部材でノズル14先端部に泡の流通が可能に嵌着固定し、支持棒34に嵌着筒部21を介してアンブレラ型弁体Bを嵌着固定した。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、別部材として、ノズル14の先端部内に嵌着した嵌合筒部30の先端縁よりノズル14の端面に係合するフランジ31を介して装着筒部32を延設するとともに、装着筒部32内中央に支持リブ33により支持された支持棒34を備えた筒部材Cを設け、アンブレラ型弁体Bは、支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21の外面より弁板20を突設してその先端縁を装着筒部32内面に圧接してなる。
【0009】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、泡吐出器が、容器体80の口頸部81外周に嵌合させる装着キャップ40に上端部を固定して容器体80内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ42及び小径の液用シリンダ43を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材41と、液用シリンダ43内を摺動する液用ピストン52をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ42内を摺動する空気用ピストン53をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に吐出ヘッドAを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材50とを備え、作動部材50の上下動により液用シリンダ43内の液と空気用シリンダ42内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドAの吐出口より泡として吐出する如く構成した泡吐出器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノズル14の先端部に柔軟で弾力性に富む材質で形成されたアンブレラ型弁体Bを設けているので、泡吐出後に液状化した泡が固化してノズル14内先端部の泡の吐出を阻害したり、詰まらせたりする等の不都合を確実に防止することができる。また、アンブレラ型弁体Bによるノズル先端部の閉塞により、泡吐出器内のノズル上流に位置するメッシュ等の起泡部材に付着した泡の固化も確実に防止できる利点も兼ね備えており、吐出口に至る流路内の円滑な流動が可能となる。更に、アンブレラ型弁体Bは、流路p中央に泡の流通が可能に支持された支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21と、嵌着筒部21外面より延設して前方へ向かって広がるテーパ状をなし、先端縁を流路pの筒壁内面に圧接して流路pを閉塞し、吐出操作時の内圧で先端部を中心側へ弾性変形することで泡の吐出が可能となる弁板20とで構成されているため、構造が簡単であり、容易に製造できる。
【0011】
支持棒34をノズル14と別部材でノズル14先端部に泡の流通が可能に嵌着固定し、支持棒34に嵌着筒部21を介してアンブレラ型弁体Bを嵌着固定した場合には、予めアンブレラ型弁体Bを支持棒34を備えた別部材に嵌着固定した後にノズル14へ嵌着することで容易な組み付け操作が可能であり、また、一般的な先端が筒状をなす吐出ヘッドAを備えた泡吐出器へ適用でき、泡吐出器の簡単な構造を変更が可能となる。
【0012】
別部材として、ノズル14の先端部内に嵌着した嵌合筒部30の先端縁よりノズル14の端面に係合するフランジ31を介して装着筒部32を延設するとともに、装着筒部32内中央に支持リブ33により支持された支持棒34を備えた筒部材Cを設け、アンブレラ型弁体Bは、支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21の外面より弁板20を突設してその先端縁を装着筒部32内面に圧接してなる場合には、筒部材Cへのアンブレラ型弁体Bの組み付け操作が容易であり、また、アンブレラ型弁体Bを組み付けた筒部材Cの泡吐出器への組み付けも極めて容易となる利点がある。
【0013】
泡吐出器が、容器体80の口頸部81外周に嵌合させる装着キャップ40に上端部を固定して容器体80内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ42及び小径の液用シリンダ43を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材41と、液用シリンダ43内を摺動する液用ピストン52をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ42内を摺動する空気用ピストン53をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に吐出ヘッドAを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材50とを備え、作動部材50の上下動により液用シリンダ43内の液と空気用シリンダ42内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドAの吐出口より泡として吐出する如く構成した泡吐出器である場合には、良好な泡の吐出を行える利点を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】泡吐出器の一部切欠側面図である。(実施例1)
【図2】ノズル先端部の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】ノズル先端部の泡吐出時の要部矢視図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の吐出ヘッドAを備えた泡吐出器の実施例1を示す。
【0017】
吐出ヘッドAは、ステム51の外周上端部に嵌合させた縦筒10を頂板11裏面より垂設し、頂板11周縁部からは外側垂壁部12を垂設し、また、縦筒10と外側垂壁部12との中間に内側垂壁部13垂設しており、更に、縦筒10の上端に基端を開口して、内側垂壁部13、外側垂壁部12を貫通して前方へ突設したノズル14を延設し、その先端に吐出口を開口している。
【0018】
本発明では、ノズル14の先端部にエラストマー等により形成される柔軟で弾力性に富む材質で形成されたアンブレラ型弁体Bを設けている。アンブレラ型弁体Bは、ノズル14の先端部に於いて、前方へ向かって広がるテーパ状の弁板20の先端縁を流路pの筒壁内面に圧接して流路pを閉塞するとともに、吐出操作時の内圧で弁板20先端部を中心側へ弾性変形することで泡の吐出が可能となる。
【0019】
本例では、アンブレラ型弁体Bを、ノズル14の先端部に嵌着した筒部材Cを介して装着している。
【0020】
筒部材Cは合成樹脂製で、ノズル14の先端部内に嵌着した嵌合筒部30の先端縁よりノズル14の端面に係合するフランジ31を介して装着筒部32を延設するとともに、装着筒部32内中央に支持リブ33により支持された支持棒34を備えている。各支持リブ33は装着筒部32の内面より中心に向かって周方向複数突設したものであり、各先端に支持棒34の外面を一体に連結している。また、支持棒34の外面には係止突条を突周設している。また、アンブレラ型弁体Bは、支持棒34外周に嵌着固定した嵌着筒部21の外面より前方へ広がるテーパ状の弁板20を突設してその先端縁を装着筒部32内面に圧接している。嵌着筒部21の先端は、係止突条35後面に当接係止され、後面各支持リブ33の前面に当接係止される。
【0021】
上記の如き吐出ヘッドAは、図2(a)に示す如く、常時は弁板20により流路pを閉塞しており、泡の吐出時には、図2(b)に示す如く、吐出操作時のノズル内の内圧で弁板20を中心側に弾性変形させて弁板20の外方より泡を吐出する。泡の吐出が無くなると弾性復元力で弁板20は元の状態に戻る。
【0022】
以下、吐出ヘッドAを装着する泡吐出器の一例を説明する。
【0023】
泡吐出器1は、口頸部81に嵌合させる装着キャップ40により容器体80に着脱可能に装着する如く構成している。装着キャップ40の下面にはシリンダ部材41を垂設しており、シリンダ部材41は、上端を装着キャップ40の下面に嵌着固定し、大径の空気用シリンダ42の下部に、小径の液用シリンダ43を同心円状に延設している。また、液用シリンダ43の下端よりパイプ嵌合筒44を一体に垂設し、パイプ嵌合筒44には吸い上げ用のパイプ45の上端を嵌着し、その下端を容器体80内下端部に垂下させている。
【0024】
また、シリンダ部材41に対して上方付勢状態で上下動可能に作動部材50を設けている。
【0025】
作動部材50は、ステム51の外周下部に液用シリンダ43内周を摺動する液用ピストン52を備え、ステム51外周の上下方向中間部に空気用シリンダ42内周を摺動する空気用ピストン53を備えている。また、ステムの上端には上記吐出ヘッドAを嵌着固定している。そして、コイルスプリンクsにより常時上方へ付勢させている。
【0026】
ステム51内上部には吐出弁54を設けており、また、空気用シリンダ42内より吐出弁54下流のステム51内に至る空気通路55を設けており、この空気通路55とステム51内の合流位置を気液混合室Rとしている。
【0027】
空気用ピストン53は、内周縁をステム51外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、外周縁部を空気用シリンダ42の内周に液密摺動可能に嵌合している。また、空気用ピストン53の内周縁部とステムに突設した弁座とで空気吐出弁56を構成している。この空気吐出弁56は、作動部材50が最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、作動部材50を押し下げた際には開弁し、更に、押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。
【0028】
また、空気用ピストン53には外気を導入するための外気導入弁57を設けている。外気導入弁57は、下降した作動部材50が上昇する際に空気用シリンダ42内が負圧となることがで開弁し、外気を導入する。
【0029】
また、気液混合室R下流には起泡部材60を設けている。
【0030】
液用シリンダ内にはポペット弁体65を設けており、下面周縁部と液用シリンダ43底部の吸込み弁用の弁座とで吸込み弁66を形成しており上下動が可能に装着している。ポペット弁体65の上端部とステム51内の逆止弁用の弁座とで逆止弁67を形成している。
【0031】
また、吐出ヘッドA下面と装着キャップ40上面との間に着脱可能にスペーサー70を装着しても良い。
【0032】
上記泡吐出器1は、図1の状態からスペーサー70を外して吐出ヘッドAを押し下げると、空気用ピストンがステム51に対して相対的に上昇して空気吐出弁56が開き、下降する空気用ピストン53により空気用シリンダ42内の空気が加圧されて空気通路55を介して気液混合室R内に導入される。一方、液用シリンダ43が下降してポペット弁体65を吸込み弁用の弁座に当接させるまで下降させるとともに、ポペット弁体65がステム51に対して相対的に上昇して逆止弁67が開き、液用シリンダ43内の加圧液を吐出弁54を介して気液混合室に導入させ、ここで、気液を混合する。この際ポペット弁体65はステム51に対して相対的に上昇する。気液混合室Rで混合された気液は、起泡部材60を通過して発泡し、吐出ヘッドAに導入され、アンブレラ型弁体Bの弁板20を弾性変形させて外部へ吐出される。
【0033】
吐出ヘッドAの押圧を解除すると、コイルスプリンクsの付勢力により作動部材50が上昇し、その際空気用ピストン53がステム51に対して相対的に下降して空気吐出弁56が閉じ、空気用シリンダ42内の負圧化によって外気導入弁57が開いて外気が空気用シリンダ42内に導入される。一方、ステム51の上昇によりポペット弁体65は上昇し、吸込み弁66が開いて負圧化した液用シリンダ43内に容器体80内の液が導入され、その際吐出弁54は閉じる。
【符号の説明】
【0034】
1:泡吐出器
A:吐出ヘッド
10…縦筒、11…頂板、12…外側垂壁部、13…内側垂壁部、14…ノズル
B:アンブレラ型弁体
20…弁板、21…嵌着筒部
C:筒部材
30…嵌合筒部、31…フランジ、32…装着筒部、33…支持リブ、34…支持棒、
35…係止突条
40:装着キャップ
41:シリンダ部材
42…空気用シリンダ、43…液用シリンダ、44…パイプ嵌合筒、45…パイプ
50:作動部材
51…ステム、52…液用ピストン、53…空気用ピストン、54…吐出弁、
55…空気通路、57…外気導入弁、60…起泡部材
65:ポペット弁体
66…吸込み弁、67…逆止弁
70:スペーサー
80:容器体
81…口頸部
s:コイルスプリング
R:気液混合室
p:流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着した容器体(80)内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出する泡吐出器の吐出ヘッドであって、ノズル(14)の先端部に柔軟で弾力性に富む材質で形成されたアンブレラ型弁体(B)を設けてなり、アンブレラ型弁体(B)は、流路(p)中央に泡の流通が可能に支持された支持棒(34)外周に嵌着固定した嵌着筒部(21)と、嵌着筒部(21)外面より延設して前方へ向かって広がるテーパ状をなし、先端縁を流路(p)の筒壁内面に圧接して流路(p)を閉塞し、吐出操作時の内圧で先端部を中心側へ弾性変形することで泡の吐出が可能となる弁板(20)とを備えることを特徴とする泡吐出器の吐出ヘッド。
【請求項2】
支持棒(34)をノズル(14)と別部材でノズル(14)先端部に泡の流通が可能に嵌着固定し、支持棒(34)に嵌着筒部(21)を介してアンブレラ型弁体(B)を嵌着固定した請求項1記載の泡吐出器の吐出ヘッド。
【請求項3】
別部材として、ノズル(14)の先端部内に嵌着した嵌合筒部(30)の先端縁よりノズル(14)の端面に係合するフランジ(31)を介して装着筒部(32)を延設するとともに、装着筒部(32)内中央に支持リブ(33)により支持された支持棒(34)を備えた筒部材Cを設け、アンブレラ型弁体(B)は、支持棒(34)外周に嵌着固定した嵌着筒部(21)の外面より弁板(20)を突設してその先端縁を装着筒部(32)内面に圧接してなる請求項2記載の泡吐出器の吐出ヘッド。
【請求項4】
泡吐出器が、容器体(80)の口頸部(81)外周に嵌合させる装着キャップ(40)に上端部を固定して容器体(80)内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ(42)及び小径の液用シリンダ(43)を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材(41)と、液用シリンダ(43)内を摺動する液用ピストン(52)をステム(51)外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ(42)内を摺動する空気用ピストン(53)をステム(51)外周上部に連係させ、ステム(51)上端に吐出ヘッド(A)を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(50)とを備え、作動部材(50)の上下動により液用シリンダ(43)内の液と空気用シリンダ(42)内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッド(A)の吐出口より泡として吐出する如く構成した泡吐出器である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の泡吐出器の吐出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−28378(P2013−28378A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166557(P2011−166557)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】