説明

泡吐出器

【課題】
空気用シリンダ内への水等の浸入を防止可能な泡吐出器を提供する。
【解決手段】
起立筒(13)の下端を延設して導水筒(14)に形成すると共に、該導水筒(14)より外方の空気用ピストン隔壁(52)部分に外気導入孔(57)を形成して、該外気導入孔の周縁の少なくとも一部から該外気導入孔への水等の浸入を防止可能な水浸入防止壁(58)を起立させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気と液体を混合してきめの細かい泡として吐出する泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部へ嵌合させた装着筒のフランジ状頂壁内周から起立筒を起立させると共に、フランジ状頂壁から垂下する空気用シリンダ内に嵌合させた筒状の空気用ピストンの隔壁に外気導入孔を設け、さらに、空気用ピストンの隔壁を摺動自在に挿通して液用シリンダ内から起立するステムへノズルヘッドを装着させた泡噴出器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−253113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では起立筒内に浸入した水等が起立筒下端から空気用ピストンの隔壁上に滴下して外気導入孔から空気用シリンダ内へ浸入するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、空気用シリンダ内への水等の浸入を防止可能な泡吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体口頸部2外面へ嵌合させた装着筒のフランジ状頂壁12内周から起立筒13を起立させると共に、該フランジ状頂壁12下面から容器体内へ垂下するシリンダの上部を空気用シリンダ24に、かつ該シリンダの下部を小径部にして液用シリンダ25に、それぞれ形成して、前記空気用シリンダ24内に筒状の空気用ピストン50を、かつ前記液用シリンダ25に筒状の液用ピストン30を、それぞれ摺動自在に嵌合させ、
前記筒状の空気用ピストン50の隔壁52に外気導入孔57を設けると共に、該空気用ピストン50の押し込み時に前記外気導入孔57を閉塞可能なバルブ59を該空気用ピストン50内に設け、
前記空気用ピストン50の隔壁52に設けた開孔を摺動自在に挿通して前記液用シリンダ内から前記液用ピストン30を介して前記起立筒13内へ起立するステム60へノズルヘッド70を装着させ、
前記液用シリンダ25からの液体と前記空気用シリンダ24からの空気とが合流する気液混合室63と前記ノズルヘッド70とを接続する流路内に発泡部材81を設け、
前記ノズルヘッド70を押し下げることで、前記液用ピストン30が前記液用シリンダ25内に押し込まれるとともに前記空気用ピストン50が前記空気用シリンダ24内に押し込まれ、前記液用シリンダ25内の液体及び前記空気用シリンダ24内の空気が前記気液混合室63内にそれぞれ圧送されて混合され、この気液混合体が前記発泡部材を通過することで発泡されて泡となり、該泡が前記ノズルヘッド70から吐出可能に設けた泡吐出器において、
前記空気用ピストン隔壁52に前記外気導入孔57を形成して、該外気導入孔の周縁の少なくとも一部から該外気導入孔への水等の浸入を防止可能な水浸入防止壁58を起立させたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記起立筒13の下端を延設して導水筒14に形成すると共に、該導水筒14より外方の前記空気用ピストン隔壁52部分に前記外気導入孔57を形成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記外気導入孔(57)の外側の周縁を除いた周縁にコ字状またはC字状の前記水浸入防止壁を起立させたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記外気導入孔(57)の全周縁部から前記水浸入防止壁(58)を起立させたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記外気導入孔57の内側の周縁から起立する前記水浸入防止壁部分58は、その中央部が前記導水筒14方向へ凸に屈曲した上面視くの字状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記外気導入孔57を前記空気用ピストンの隔壁を構成する天面壁54の外周部に設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記水浸入防止壁58の高さを前記導水筒14下端より高くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、外気導入孔の周縁の少なくとも一部から水浸入防止壁を起立させたので、起立筒下端から滴下した水等は水浸入防止壁により流れを変えられ外気導入孔を迂回するため、外気導入孔から空気用シリンダ内へ浸入することがない。
【0014】
また、本発明は、外気導入孔を周方向へ長い長孔に形成したので、外気導入孔と起立筒との距離を極力大にすることができる。
【0015】
さらに、本発明は、水浸入防止壁をコ字状またはC字状に形成したので、外気導入孔への水等浸入防止効果をより向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明は、全周縁部から水浸入防止壁を起立させたので、水等が外気導入孔内に侵入することが防止される。
【0017】
さらに、本発明は、外気導入孔の内側の周縁から起立する水浸入防止壁を上面視くの字状に形成したので、水等の流れを外気導入孔から離れる方向へ変えることができる。
【0018】
さらに、本発明は、外気導入孔を空気用ピストンの隔壁を構成する天面壁の周縁部に設けたので、導水筒との距離を大にすることができ、よって水浸入防止壁の高さが多少低くても跳ね返りの水等の外気導入孔への浸入を防止することができる。
【0019】
さらに、本発明は、水浸入防止壁の高さを導水筒下端より高くしたので、外気導入孔が導水筒に近接する場合であっても跳ね返りの水等の浸入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る泡吐出器の縦断面図である。
【図2】(a) 空気用ピストンの平面図である。 (b) 空気用ピストンの半断面正面図である。
【図3】(a) 第2実施形態の空気用ピストンの平面図である。 (b) 第2実施形態の空気用ピストンの半断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1において、1は容器本体で、胴部上端から肩部を介して口頸部2を起立する。
【0023】
10は装着筒で、口頸部2の外面へ嵌合させた周壁11のフランジ状頂壁12の内周から起立筒13を起立させると共に、起立筒13下端を下方へ延設して導水筒14に形成し、さらにフランジ状頂壁12の外周部から嵌合筒15を垂下する。
【0024】
20はシリンダで、上端部外面からフランジ21を介して短筒22を起立し、フランジ21を口頸部2の上端にパッキンを介して載置させると共に、短筒22を装着筒10の嵌合筒15外面へ嵌合させて容器本体内へ垂下する。
【0025】
シリンダ20の下部を縮径して、上部を大径部に、かつ下部を小径部に、それぞれ形成し、大径部を空気用シリンダ24に、小径部を大径部と同軸状の液用シリンダ25に形成し、該シリンダ25の下端の吸込孔から吸上げパイプ嵌合筒26を垂下する。
【0026】
30は筒状の液用ピストンで、液用シリンダ25内へ摺動自在に嵌合させた摺動筒内面からステム嵌合筒31を起立する。
【0027】
40は吸込弁で、ステム嵌合筒31の上端へ嵌合させた下方小径のテーパ筒下部から弁棒41を垂下して、弁棒41下端をシリンダ20の吸込孔内面へ着座自在に形成すると共に、弁棒41の外周面に複数の流路を縦設する。42は液用ピストン30を上方付勢するコイルスプリングで、下端を弁棒41の下部外面へ係合させると共に、上端を液用ピストン30内面へ係合させている。
【0028】
50は筒状の空気用ピストンで、空気用シリンダ24内面へ摺動自在に嵌合させた摺動筒51に貯留・加圧・吸引室形成用の隔壁52を設けている。隔壁52は摺動筒51の内面からフランジを介して隔壁形成筒53を起立し、該隔壁形成筒53の上端から鍔状部を介して起立する筒部の天面壁54中央の開孔周縁から嵌合筒55を起立すると共に、天面壁54下面の開孔周囲から垂下筒56を垂設する。
【0029】
57は外気導入孔で、空気用ピストン50が上昇する際に、空気を空気用シリンダ24内へ導入するためのもので、天面壁54の外周部に等間隔で配置された周方向へ長い複数の長孔で形成する。
【0030】
58は水浸入防止壁で、導水筒14(装着筒の起立筒13と下記ノズルヘッドの内筒72との間)から滴下する水が外気導入孔57を介して空気用シリンダ24内へ浸入するのを防止するためもので、外気導入孔57の周縁から起立させる。
図2では外気導入孔57の周縁の一部、すなわち外気導入孔57の外側の周縁を除いた周縁から起立させる。したがって、外気導入孔57がコ字状またはC字状に形成される。その際、外気導入孔57の内側の周縁から起立する水浸入防止壁部分は、その中央部が導水筒14方向へ凸に屈曲した上面視くの字状に形成すると共に、くの字状の水浸入防止壁部分の両側に位置する水浸入防止壁部分の両端は天面壁54の周縁に位置させる。
【0031】
水浸入防止壁58は、図3に示すように外気導入孔57の全周縁部から起立させてもよい。
【0032】
59はバルブで、垂下筒56の外面へ嵌合させた環状筒の下端外面からフランジ状に張出して外周部が天面壁54の鍔状部下面へ接触することで外気導入孔57を開閉可能に設けている。
【0033】
60は空気用ピストン50の嵌合筒55を摺動自在に挿通して起立筒13内に達するステムで、ステム嵌合筒31の外面へ下部を嵌着させたステム上部内に吐出弁62を設けて、吐出弁62より上方部分を気液混合室63に形成し、さらにステム上部外面に、周縁に突条が周設された環状座部64をフランジ状に張出している。
【0034】
70はノズルヘッドで、頂壁71から内外2重筒72、73を垂下して、内筒72の下部を縮径することで中内径部に、かつ中内径部の下端部を縮径することで小内径部に、それぞれ形成し、該小内径部を空気用ピストン50の嵌合筒55の上部外面へ摺動自在に嵌合させる。一方、外筒73はその下端部を起立筒13上端へ摺動自在に嵌合させる。
【0035】
80は下部をステム60の気液混合室63内へ嵌合させると共に、上部をノズルヘッド70の内筒72内面へ嵌着させたジェットリング、81はジェットリング80の上部内面に保持され、気液混合液をきめの細かい泡にするメッシュリングである。
【0036】
次に作用について説明する。
初期姿勢の状態からノズルヘッド70を押し込むと、ステム60、液用ピストン30、吸込弁40が下降する。一方、空気用ピストン50の嵌合筒55はノズルヘッド70の内筒72に対して僅かにスライド可能となっているため、ノズルヘッド70の初期の押込みでは空気用ピストン50は静止状態を保持する。このためステム60と一体の環状座部64が垂下筒56の下端から離間する。
【0037】
さらなる押込みヘッド70の押し込みで、内筒72下端が空気用ピストン50の天面壁54へ当接すると、空気用ピストン50は下降を開始して空気用シリンダ24内の空気を加圧する。この加圧空気は、垂下筒56と環状座部64との間から垂下筒56内に流入し、ステム60外面の空気路およびジェットリング80とステム60上端との間隙を介して気液混合室63内へ流入する。
【0038】
他方、ノズルヘッド70の押し込みで、吸込弁40は下降して液用シリンダ25の下端部内面に接触して吸込孔を閉じると共に、吸込弁40の下降が停止するため、液用ピストン30のステム嵌合筒31上端が吸込弁40の下方小径のテーパ筒から離間して液用ピストン30が下降するため液用シリンダ25内の液体が加圧される。この加圧液体は弁棒40の外面の流路、吸込弁40上端の外面とステム嵌合筒31内面との間隙、および吐出弁62を介して気液混合室63内へ流入して加圧空気と合流し、気液混合状態でジェットリング80、メッシュリング81を通り、泡状になってノズルヘッド70から吐出する。
【0039】
ノズルヘッド70の押込みを解除すると、コイルスプリング42のばね力で液用ピストン30、吸込弁40、ステム60、ノズルヘッド70が上昇する。一方、空気用ピストン50の嵌合筒55はノズルヘッド70の内筒72に対して僅かにスライド可能となっているため、空気用ピストン50は静止状態を保持する。このためステム60と一体の環状座部64が垂下筒56の下端へ当接する。これにより空気用ピストン50は上昇するため、空気用シリンダ24内は負圧化し、バルブ59が天面壁54から下方へ離間するため、外気導入孔57から空気が導入される。他方、吸込弁40が上昇して吸込孔が開になるため、液用シリンダ25内の負圧化により吸込孔を介して容器本体の内容物が液用シリンダ25内へ吸引される。
【0040】
一方、起立筒13とノズルヘッド70の内筒72との間隙内に入った水はフランジ状頂壁12の内面沿いに移動することなく、導水筒14下端から天面壁54上へ滴下して、天面壁の外周縁へと移動するが、水浸入防止壁58が設けられているため、外気導入孔57を介して空気用シリンダ24内へ浸入することがない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、空気と液体を混合してきめの細かい泡として吐出する泡吐出器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
12 フランジ状頂壁
13 起立筒
14 導水筒
24 空気用シリンダ
25 液用シリンダ
30 液用ピストン
31 ステム嵌合筒
40 吸込弁
50 空気用ピストン
52 隔壁
55 嵌合筒
56 垂下筒
57 外気導入孔
58 水浸入防止壁
60 ステム
63 気液混合室
70 ノズルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部(2)外面へ嵌合させた装着筒のフランジ状頂壁(12)内周から起立筒(13)を起立させると共に、該フランジ状頂壁(12)下面から容器体内へ垂下するシリンダの上部を空気用シリンダ(24)に、かつ該シリンダの下部を小径部にして液用シリンダ(25)に、それぞれ形成して、前記空気用シリンダ(24)内に筒状の空気用ピストン(50)を、かつ前記液用シリンダ(25)内に筒状の液用ピストン(30)を、それぞれ摺動自在に嵌合させ、
前記筒状の空気用ピストン(50)の隔壁(52)に外気導入孔(57)を設けると共に、該空気用ピストン(50)の押し込み時に前記外気導入孔(57)を閉塞可能なバルブ(59)を該空気用ピストン(50)内に設け、
前記空気用ピストン(50)の隔壁(52)に設けた開孔を摺動自在に挿通して前記液用シリンダ内から前記液用ピストン(30)を介して前記起立筒(13)内へ起立するステム(60)へノズルヘッド(70)を装着させ、
前記液用シリンダ(25)からの液体と前記空気用シリンダ(24)からの空気とが合流する気液混合室(63)と前記ノズルヘッド(70)とを接続する流路内に発泡部材(81)を設け、
前記ノズルヘッド(70)を押し下げることで、前記液用ピストン(30)が前記液用シリンダ(25)内に押し込まれるとともに前記空気用ピストン(50)が前記空気用シリンダ(24)内に押し込まれ、前記液用シリンダ(25)内の液体及び前記空気用シリンダ(24)内の空気が前記気液混合室(63)内にそれぞれ圧送されて混合され、この気液混合体が前記発泡部材を通過することで発泡されて泡となり、該泡が前記ノズルヘッド(70)から吐出可能に設けた泡吐出器において、
前記空気用ピストン隔壁(52)に前記外気導入孔(57)を形成して、該外気導入孔の周縁の少なくとも一部から該外気導入孔への水等の浸入を防止可能な水浸入防止壁(58)を起立させたことを特徴とする泡吐出器。
【請求項2】
前記起立筒(13)の下端を延設して導水筒(14)に形成すると共に、該導水筒(14)より外方の前記空気用ピストン隔壁(52)部分に前記外気導入孔(57)を形成したことを特徴とする請求項1記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記外気導入孔(57)の外側の周縁を除いた周縁にコ字状またはC字状の前記水浸入防止壁を起立させたことを特徴とする請求項1又は2記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記外気導入孔(57)の全周縁部から前記水浸入防止壁(58)を起立させたことを特徴とする請求項1又は2記載の泡吐出器。
【請求項5】
前記外気導入孔(57)の内側の周縁から起立する前記水浸入防止壁部分(58)は、その中央部が前記導水筒(14)方向へ凸に屈曲した上面視くの字状に形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載泡吐出器。
【請求項6】
前記外気導入孔(57)を前記空気用ピストンの隔壁を構成する天面壁(54)の外周部に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の泡吐出器。
【請求項7】
前記水浸入防止壁(58)の高さを前記導水筒(14)下端より高くしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の泡吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−157822(P2012−157822A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19154(P2011−19154)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】