説明

泡注出器

【課題】注出器そのものを設計変更することなく、目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる、新規な泡注出器を提供する。
【解決手段】本発明は、ノズル2aの先端に形成した開口部Aaに通じる内部通路21にメッシュ5bを介在させたノズルヘッド2と、パイプPに通じる内部通路22にメッシュ5bを介在させると共に当該メッシュよりも上流側に当該内部通路を外界に通じさせる開口部23が形成されたパイプコネクタ7とを備え、ノズルヘッドの内部通路を内側に形成する当該ノズルヘッドの筒体部2bと、パイプコネクタの内部通路を形成する当該パイプコネクタの筒体部7bとを連通させた泡注出器1であって、ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部との合せ面2f(1)、7fを摺動面で構成すると共に、ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部とにそれぞれ、螺合部2s、7sを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と空気との混合物を2つのメッシュを通すことで、泡状の内容物として注出させることができる泡注出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の泡注出器としては、例えば、容器本体の口部に装着された栓本体と、この栓本体に固定されると共に網又は不織布が設けられた発泡装置とを有し、その相互間に、同じく網又は不織布が設けられた補助筒を介在させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−13810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対し、本願発明者は、注出される内容物の泡質は、網等の相互間の距離に応じて変化することを見出した。
【0005】
しかしながら、従来の泡注出器は、発泡装置と補助筒とのいずれもが、栓本体に嵌着されることから、網等の相互間の距離を自由に変更できない。このため、使用者の要求や用途に応じて、泡質を変更するには、注出器そのものを個別に設計変更する必要等がある。
【0006】
本発明の目的とするところは、注出器そのものを設計変更することなく、目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる、新規な泡注出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ノズルと当該ノズルから垂下する筒体部を有して内側に形成した内部通路にメッシュを介在させたノズルヘッドと、ノズルヘッドの筒体部に連通する筒体部を有して内側に形成されたパイプに通じる内部通路にメッシュを介在させると共に当該メッシュよりも上流側に当該内部通路を外界に通じさせる開口部が形成されたパイプコネクタとを備える泡注出器であって、
ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部との合せ面をそれぞれ、軸線方向に沿って摺動可能に連結する摺動面で構成すると共に、
ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部とにそれぞれ、互いに軸線周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、軸線方向に沿って進退させる螺合部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
前記螺合部は、例えば、ノズルヘッドの筒体部の外周面に形成されたねじ部と、パイプコネクタの筒体部に設けられた周壁部の内周面に形成されたねじ部とで構成することができる。
【0009】
また、本発明では、ノズルヘッドに、パイプコネクタの周壁部を取り囲むと共に容器の口部を密封する外殻部を設け、当該外殻部に貫通孔を形成すると共に、当該貫通孔からの外気の導入のみを許容する逆止弁を設けることができる。
【0010】
更に、本発明では、パイプコネクタの筒体部を、ノズルヘッドの筒体部の内側に配置すると共に、当該パイプコネクタのメッシュをノズルヘッドの筒体部の内側に配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ノズルヘッド又はパイプコネクタは、軸線周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、互いに軸線方向に沿って進退することから、ノズルヘッド側のメッシュと、パイプコネクタ側のメッシュとの間の距離を、注出器そのものを設計変更することなく、自由に変更することができる。
【0012】
加えて、ノズルヘッド又はパイプコネクタの進退は、ねじによるものであるため、その進退(メッシュ間の距離)の微調整が可能となり、その位置決めも容易になる。
【0013】
従って、本発明によれば、注出器そのものを設計変更することなく、目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる、新規な泡注出器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態である、泡注出器を容器本体に装着して、そのメッシュ間距離を最小にした状態を示す断面図である。
【図2】同泡注出器を容器本体に装着して、そのメッシュ間距離を最大にした状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、泡注出器を詳細に説明する。
【0016】
符号1は、合成樹脂製の泡注出器である。泡注出器1は、容器本体30の口部31に装着される。容器本体30は、合成樹脂製のブロー成形ボトルであって、肩部32を介して口部31に繋がり、変形及び復元の可能な胴部33を有する。容器本体30の内側には、口部31を通して外界に通じる内容液の充填空間Sが形成されている。
【0017】
符号2は、容器本体30に装着されるノズルヘッドである。ノズルヘッド2は、軸線Oに対して横向きに延在するノズル2aと、このノズル2aから軸線Oに沿って一体に垂下する筒体部2bとを有し、その内側には、ノズル2aの先端に形成した開口部Aaと、筒体部2bの末端に形成した開口部Abとを通じさせる内部通路21が形成されている。
【0018】
内部通路21は、ノズル2aの内側を通る通路21aと、この通路21aに通じて筒体部2bの内側に形成された通路21bからなる。通路21bは、小径部21b(1)と大径部21b(2)で構成されている。
【0019】
符号5は、ノズルヘッド2に固定されるメッシュリングである。メッシュリング5は、合成樹脂製の筒体5aの端面に、メッシュ5bを固定した既存のものである。メッシュリング5は、筒体5aを介して小径部21b(1)に嵌合保持される。
【0020】
符号7は、合成樹脂製のパイプコネクタである。パイプコネクタ7は、容器本体30に配置されるパイプPを有する本体7aと、ノズルヘッド2の筒体部(以下、「パイプコネクタ筒体部」)2bと連通する筒体部7bとを一体に有する。
【0021】
パイプコネクタ7の内側には、パイプPの先端に形成した開口部Acと、筒体部7bの末端に形成した開口部Adとを通じさせる内部通路22が形成されている。内部通路22は、大径部22a、中径部22b及び小径部22cで構成されている。大径部22aは、ノズルヘッド2側と同様、その内側でメッシュリング5を嵌合保持する。これにより、パイプPを通して圧送された内容液は、上流側の小径部22cから下流側の大径部22aに配置したメッシュリング5を通過する。
【0022】
また、パイプコネクタ7は、メッシュリング5(メッシュ5b)よりも上流側(パイプP側)に、内部通路22を外界に通じさせる開口部23が軸線O周りの少なくとも1箇所に形成されている。開口部23は、充填空間S内の空気を取り入れる外気導入孔である。これにより、メッシュリング5には、充填空間SからパイプPの通路24を通って圧送される内容液と、充填空間S内の外気(空気)との混合物が通過する。なお、小径部22cには、軸線O周りに間隔を置いて複数の縦リブ7r1が設けられている。これにより、本体7aに挿入されたパイプPの挿入を規制する。
【0023】
また、本形態では、パイプコネクタ7の筒体部(以下、「パイプコネクタ筒体部」)7bは、ノズルヘッド筒体部2bに内部嵌合する。このため、パイプコネクタ筒体部7bの外周面7fと、ノズルヘッド筒体部2bの内周面2f(1)とはそれぞれ、パイプコネクタ筒体部7bとノズルヘッド筒体部2bとの合せ面を構成する。ノズルヘッド2側の合せ面(以下、「合せ面2f(1)」)及びパイプコネクタ7側の合せ面(以下、「合せ面7f」)はそれぞれ、平滑な面としてなり、軸線O方向に沿って摺動可能な摺動面として構成されている。
【0024】
加えて、ノズルヘッド筒体部2bと、パイプコネクタ筒体部7bとにはそれぞれ、互いに軸線O周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、軸線O方向に沿って進退させる螺合部2s及び7sが設けられている。螺合部2sは、ノズルヘッド筒体部2bの外周面に形成されたねじ部で構成されている。螺合部7sは、ノズルヘッド筒体部2bを取り囲むように、パイプコネクタ筒体部7bに設けられた周壁部7cの内周面に形成されたねじ部で構成されている。
【0025】
また、ノズルヘッド2には、パイプコネクタ7の周壁部(以下、「パイプコネクタ周壁部」)7cを取り囲むように外殻部2cが一体に設けられている。外殻部2cは、外筒部2c(1)を有し、口部31に形成されたねじ部34に螺合するねじ部2dが設けられている。これにより、ノズルヘッド2は、軸線O周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、口部31に着脱可能に装着することができる。
【0026】
なお、本形態では、パイプコネクタ周壁部7cは、螺合部7sが設けられた大径部7c1と、この大径部7c1よりも小径な小径部7c2で構成されている。この場合、金型からの抜きの際に有効である。
【0027】
加えて、外殻部2cは、外筒部2c(1)に取り囲まれた内筒部2c(2)を有する。内筒部2c(2)は、口部31の内周面31fに嵌合する。これにより、外殻部2cは、口部31を密封する。
【0028】
更に、外殻部2cには、口部31を通して充填空間Sを外界に通じさせる貫通孔25が形成されている。符号8は、貫通孔25からの外気の導入のみを許容する逆止弁である。
【0029】
逆止弁8は、合成樹脂からなり、パイプコネクタ周壁部7cに嵌合保持される装着筒8aと、この装着筒8aの周りに全周に亘って設けられた環状壁8bとが一体に設けられている。
【0030】
環状壁8bは、充填空間Sに向かうに従って拡径する傾斜壁であって、内筒部2c(2)の内周面2f(2)に対して変形及び復元が可能に接触している。これにより、逆止弁8は、貫通孔25と充填空間Sとの間を仕切ると共に、貫通孔25からの外気の導入のみを許容することができ、容器本体30の胴部33の押し潰しと復帰との繰り返しにより、パイプPを通して内容液を圧送しても、容器本体30が潰れることがない。
【0031】
なお、逆止弁8は、本形態のように、外殻部2cとパイプコネクタ周壁部7cとの間に掛け渡されるものに限定されることなく、例えば、外殻部2cに直接設けられた、貫通孔25を開閉する弾性舌片で構成することも可能である。
【0032】
本形態では、泡注出器1を容器本体30から取り外した状態で、ノズルヘッド2又はパイプコネクタ7を軸線O周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、メッシュ間距離の最小値Xから最大値X+Y(B:ノズルヘッド筒体部2bの先端がパイプコネクタ筒体部7bとパイプコネクタ周壁部7cとの連結部に接触することで規制されるねじによる最大ストローク量)までの範囲を、互いに軸線O方向に沿って進退することから、ノズルヘッド2側のメッシュ5bと、パイプコネクタ7側のメッシュ5bとの間の距離を、注出器そのものを設計変更することなく、自由に変更することができる。
【0033】
加えて、ノズルヘッド2又はパイプコネクタ7の進退は、ねじ2s,7sによるものであるため、その進退(メッシュ5b間の距離)の微調整が可能となり、その位置決めも容易になる。
【0034】
従って、本形態によれば、注出器そのものを設計変更することなく、目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる。なお、本発明によれば、メッシュ5b間距離の調整は、製品出荷前の組み付け時、又は、使用者によって行うことができる。
【0035】
加えて、本形態では、ノズルヘッド筒体部2bと、パイプコネクタ筒体部7bとにはそれぞれ、抜け止め部2r及び7r2が設けられている。抜け止め部2rは、ノズルヘッド筒体部2bの下端外周面に設けられた環状リブである。抜け止め部7r2は、パイプコネクタ筒体部7bの内周面に設けられた環状リブである。抜け止め部2r及び7r2は、図2に示すように、互いに引っ掛かることで、ノズルヘッド2とパイプコネクタ7との分離を防止する。
【0036】
なお、抜け止め部2rは、ノズルヘッド筒体部2bの肉厚を厚くする等により、ねじ部2sのねじ山と同等或いは低くなるように構成されており、抜け止め部7r2とねじ部7sとの関係も同様である。この場合、金型からの抜きの際に有効である。
【0037】
本発明に従えば、螺合部2s,7sは、例えば、ノズルヘッド筒体部2bとパイプコネクタ筒体部7bとを直接螺合させることも可能であるが、本形態のように、ノズルヘッド筒体部2bに形成されたねじ部と、パイプコネクタ周壁部7cに形成されたねじ部とで構成すれば、内部通路21と内部通路22との間の液密性を確保しつつ、目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる。
【0038】
また、本形態のように、ノズルヘッド2に、パイプコネクタ周壁部7を取り囲むと共に口部31を密封する外殻部2cを設け、この外殻部2cに、貫通孔25を形成すると共に、この貫通孔25からの外気の導入のみを許容する逆止弁8を設ければ、充填空間S内への外気(空気)の導入を確保しつつ、容器本体30による確実な内容液の圧送を可能とすることで、より目的に応じた泡質での注出を簡便に行うことができる。
【0039】
更に、本形態のように、パイプコネクタ筒体部7bを、ノズルヘッド筒体部2bの内側に配置すると共に、パイプコネクタ7のメッシュ5bをパイプコネクタ筒体部7bの内側に配置すれば、目的に応じた泡質での注出がコンパクト化を図りつつ実現できる。
【0040】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、逆止弁8及びパイプPは、パイプコネクタ7と一体に設けることができる。本形態では、いわゆるスクイズ容器に直接装着される泡生成注出器として説明したが、本発明に従う泡生成注出器は、容器の口部に固定されたシリンダポンプのノズルヘッドに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ノズルの先端に形成した開口部に通じる内部通路にメッシュを介在させたノズルヘッドと、パイプに通じる内部通路にメッシュを介在させると共にメッシュよりも上流側に内部通路を外界に通じさせる開口部が形成されたパイプコネクタとを備え、ノズルヘッドの内部通路を内側に形成する当該ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの内部通路を形成する当該パイプコネクタの筒体部とを連通させた泡注出器であれば、様々なものに適用することができる。また、内容液の種類についても、限定されない。
【符号の説明】
【0042】
1 泡注出器
2 ノズルヘッド
2a ノズル
2b ノズルヘッド筒体部
2c 外殻部
2s 螺合部
5 メッシュリング
5a 筒体
5b メッシュ
7 パイプコネクタ
7a 本体
7b パイプコネクタ筒体部
7c パイプコネクタ周壁部
7c1 大径部
7c2 小径部
7s 螺合部
8 逆止弁
21 内部通路
22 内部通路
23 開口部(外気導入孔)
24 パイプ通路
25 貫通孔
30 容器本体
31 口部
32 肩部
33 胴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと当該ノズルから垂下する筒体部を有して内側に形成した内部通路にメッシュを介在させたノズルヘッドと、ノズルヘッドの筒体部に連通する筒体部を有して内側に形成されたパイプに通じる内部通路にメッシュを介在させると共に当該メッシュよりも上流側に当該内部通路を外界に通じさせる開口部が形成されたパイプコネクタとを備える泡注出器であって、
ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部との合せ面をそれぞれ、軸線方向に沿って摺動可能に連結する摺動面で構成すると共に、
ノズルヘッドの筒体部と、パイプコネクタの筒体部とにそれぞれ、互いに軸線周りに時計回り又は反時計回りに回転させることで、軸線方向に沿って進退させる螺合部を設けたことを特徴とする泡注出器。
【請求項2】
請求項1において、前記螺合部は、ノズルヘッドの筒体部の外周面に形成されたねじ部と、当該ノズルヘッドの筒体部を取り囲むようにパイプコネクタの筒体部に設けられた周壁部の内周面に形成されたねじ部とで構成されていることを特徴とする泡注出器。
【請求項3】
請求項2において、ノズルヘッドに、パイプコネクタの周壁部を取り囲むと共に容器の口部を密封する外殻部を設け、
当該外殻部に、貫通孔を形成すると共に、
ノズルヘッドの周壁部とパイプコネクタの周壁部との間に、前記貫通孔からの外気の導入のみを許容する逆止弁を設けたことを特徴とする泡注出器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、パイプコネクタの筒体部を、ノズルヘッドの筒体部の内側に配置すると共に、当該パイプコネクタのメッシュをパイプコネクタの筒体部の内側に配置したことを特徴とする泡注出器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−250721(P2012−250721A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122824(P2011−122824)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】