説明

泡洗剤吐出装置

【課題】洗浄液に空気を混入させて微細気泡入りの洗浄液(泡洗剤)を吐出する泡洗剤吐出装置において、微細気泡を安定して発生させることができる泡洗剤吐出装置を提供する。
【解決手段】洗浄液Lを溜めるための洗剤タンク1と、洗剤タンク1から洗浄液Lを吐出ノズル20へ搬送するための剤供給路3と、剤供給路3の途中に設けられて洗浄液L内に空気を混入させるためのエゼクター4と、エゼクター4の下流側に設けられたポンプ5と、を備えた泡洗剤吐出装置であって、剤供給路3のポンプ5と吐出ノズル20の間の分岐部30から分岐路6を分岐させると共に、分岐路6の下流側端部を剤供給路3のエゼクター4の上流側に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄液を吐出する泡洗剤吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に示すように、浴槽の内面に設けた洗浄ノズルから浴槽内に洗剤を吐出する洗剤吐出装置が知られている。この洗剤吐出装置は、洗剤タンクに貯留した洗浄液を吐出ノズルから吐出させるものである。
【0003】
特許文献1に示す洗剤吐出装置は、単に洗剤原液を湯水で希釈したものを吐出するものであって、気泡を含む洗剤を吐出するものではなく、このため洗浄効果が低いものであった。そこで、洗浄液に空気を混入させた泡洗剤を吐出する装置が考えられた。
【0004】
この従来の泡洗剤を吐出する装置は、図4に示すように、洗浄液Lを溜めるための洗剤タンク1と、洗剤タンク1から洗浄液Lを吐出ノズル20へ搬送するための剤供給路3と、剤供給路3の途中に設けられるポンプ5及び該ポンプ5の上流側に設けられるエゼクター4と、を備えている。
【特許文献1】特開2002−370052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の泡洗剤を吐出する装置は、エゼクター4により剤供給路3中に空気を混入させて微細気泡を発生させるのであるが、微細気泡を安定して発生させることが困難であった。すなわち、エゼクター4はベンチュリー部及び空気流入部を備えたものが一般的に用いられ、洗剤の種類、洗剤タンク1に貯留されている洗浄液Lの液面高さ、ベンチュリー部の穴径、ポンプ5の回転数、ポンプ5の揚程・流量、吐出ノズル20の穴径、といった要因により、微細気泡(泡洗剤)の流量、ボイド率(液体に対する空気の割合)、泡径、等の一部又は複数が変化して洗浄性能に影響を及ぼすものである。このため、前記要因のばらつきや変化を低く抑えて洗浄性能の確保に努めているが、洗剤タンク1に貯留されている洗浄液Lの液面高さは洗浄液Lの使用に従って低下するため一定ではなく、従来の方法では微細気泡の安定発生が困難であった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、洗浄液に空気を混入させて微細気泡入りの洗浄液(泡洗剤)を吐出する泡洗剤吐出装置において、微細気泡を安定して発生させることができる泡洗剤吐出装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る泡洗剤吐出装置は、洗浄液Lを溜めるための洗剤タンク1と、洗剤タンク1から洗浄液Lを吐出ノズル20へ搬送するための剤供給路3と、剤供給路3の途中に設けられて洗浄液L内に空気を混入させるためのエゼクター4と、エゼクター4の下流側に設けられたポンプ5と、を備えた泡洗剤吐出装置であって、剤供給路3のポンプ5と吐出ノズル20の間の分岐部30から分岐路6を分岐させると共に、分岐路6の下流側端部を剤供給路3のエゼクター4の上流側に接続して成ることを特徴とするものである。
【0008】
このように、分岐路6を設けて洗浄液Lの一部をエゼクター4及びポンプ5の上流側に戻すことで、気泡の微細化を促進することができると共に、微細気泡を安定して発生させることができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、剤供給路3のポンプ5の下流側で且つ分岐部30の上流側に泡の状態を検知する泡センサー81を設けると共に、分岐路6の途中に泡を検知する分岐路6の通路面積を調整可能な調整弁82を設けて成ることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成とすることで、泡の量を調節することが可能となり、所望の量の気泡を含んだ洗浄液Lを生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、分岐路を設けて洗浄液の一部をエゼクター及びポンプの上流側に戻すことで、洗浄液をポンプに何度も通すことで気泡の微細化を促進することができると共に、洗剤タンクに貯留されている洗浄液の液面高さの影響が低下して微細気泡を安定して発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。まず、泡洗剤吐出装置の一例の全体概略構成について、図1、図3に基づいて説明する。本例の泡洗剤吐出装置は、制御装置7および操作器72と共に浴室に設置されて、浴室の洗浄装置をなすものである。そして利用にあたっては、泡洗剤吐出装置の泡洗剤出口部13に着脱ノズル部2のアダプター部21を取り付けて、該着脱ノズル部2の先端部に設けた吐出ノズル20から泡洗剤を浴室の壁や浴槽の内面等に吹き付けるものである。本実施形態では制御装置7はマイコンを備え、操作器72、後述するポンプ5、次の例で述べる泡センサー81、調整弁82と接続されるもので、100Vの交流電源よりAC/DCアダプター71を介して27Vの直流を得て作動している。
【0013】
図1に示すように、泡洗剤吐出装置は、洗浄液Lを溜める洗剤タンク1と、泡洗剤の出口となる泡洗剤出口部13と、洗剤タンク1と泡洗剤出口部13を接続する剤供給路3と、洗剤タンク1から供給された洗浄液Lを加圧して泡洗剤出口部13側に送り出す剤供給路3の途中に設けたポンプ5と、剤供給路3の途中のポンプ5の上流側に設けられ剤供給路3を流れる洗浄液Lに空気を混入するエゼクター4とを備えている。
【0014】
洗剤タンク1には界面活性剤を含む洗剤原液を水で5〜10倍希釈して得た洗浄液Lが貯留される。洗剤タンク1は上面部に剤投入口部11を設けてあり、洗剤タンク1の下面部には剤排出口部12を設けている。
【0015】
この剤投入口部11の上端部には有蓋筒状の投入口キャップ11aが着脱自在に取り付けられ、投入口キャップ11aを取り外すことで剤投入口部11から洗剤タンク1内に洗浄液Lを補充できるようになっている。投入口キャップ11aを剤投入口部11に取り付けることで、剤投入口部11を閉塞(密閉)することができる。図中符号11bはストレーナ又はフィルタである。また洗剤タンク1には、大気開放弁14が設けてあり、洗剤タンク1が傾斜した時に開放される。
【0016】
剤供給路3のポンプ5より上流側の部分は、洗剤タンク1の剤排出口部12とポンプ5の吸込口部51とを接続するもので、洗剤タンク1の下面部から下方に垂設してある。すなわち、剤供給路3のポンプ5より上流側の部分及びポンプ5は洗剤タンク1よりも下方に位置し、洗剤タンク1内に貯留された洗浄液Lが洗剤タンク1とポンプ5の吸込口部51の落差を利用してポンプ5の吸込口部51に供給されるようになっている。従って洗浄液Lを泡洗剤出口部13に送り出すためのポンプ5に非自吸式ポンプを用いることができ、これによりポンプ5の小型化及びコストダウンを実現できる。ポンプ5は、防水用のポンプケース50内に収納してあり、これにより周囲の浴室内の環境と遮断して水や湿気に起因する故障を防止している。なお、ポンプ5としては、インペラ式、ダイヤフラム式、プランジャ式などのいずれのタイプのポンプ5を用いても良いが、好ましくは泡洗剤を攪拌する機能を備えたインペラ式やダイヤフラム式のポンプ5を用いて、吐出される泡洗剤に含まれる気泡を微細化するのが良い。
【0017】
エゼクター4は、ベンチュリー部41及び空気流入部42(配管に設けた開口又は孔)を備えており、空気流入部42には空気取込管43が接続されている。そして、内部を流れる洗浄液Lがベンチュリー部41を流れる際に、空気取込管及び空気流入部42を介して空気を引き込んで洗浄液Lに混入させる。空気が混入された洗浄液Lは、エゼクター4の下流側のポンプ5に送られて、ポンプ5にて空気と洗浄液Lとを攪拌して、空気を微細気泡とするものである。
【0018】
そして、本発明では、剤供給路3のポンプ5の下流側の分岐部30から分岐路6を分岐させると共に、分岐路6の下流側端部を剤供給路3のエゼクター4の上流側に接続している。
【0019】
剤供給路3を流れる洗浄液Lは、エゼクター4及びポンプ5を通って分岐部30に至り、一部は分岐路6を介して再び剤供給路3のエゼクター4の上流側に戻ると共に残りは吐出ノズル20から吐出される。図中の黒い矢印は洗浄液Lの流れを示し、白い矢印は空気の流れを示している。
【0020】
このように、分岐路6を設けて剤供給路3を流れる洗浄液Lの一部をエゼクター4の上流側に戻すことで、混入した空気を一旦気泡を微細化した洗浄液Lが再びポンプ5を通ることとなって、更に気泡を微細化して微細化を促進することができるものであり、この時、分岐部30の流路の径(面積)、すなわち分岐部30の直前の剤供給路3、分岐路6、分岐部30の直後の剤供給路3の面積をそれぞれ適宜設定することで、分岐路6を戻る洗浄液L(以下、還元流という)の流量を調節することが可能となる。還元流の割合が増加すると、洗剤タンク1に貯留されている洗浄液Lの液面高さの影響が低下し、洗浄液Lの流量、ボイド率、泡径等が変化し難くて微細気泡を安定して発生させることができると共に、洗剤タンク1の容量等の設計の自由度が増加する。また、気泡の微細化を促進することができ、更に、ポンプ5の圧力を低くして運転することが可能となって、低動力で且つ低騒音が達成できる。また、洗浄液Lを薄めても洗浄力を確保することができる。
【0021】
次に、図2に基づいて泡洗剤吐出装置の他例について説明する。
【0022】
本例では、剤供給路3のポンプ5の下流側で且つ分岐部30の上流側に泡の状態を検知する泡センサー81を設けると共に、分岐路6の途中に泡を検知する分岐路6の通路面積を調整可能な調整弁82を設けたものである。泡センサー81は、発光部及び受光部を備え、洗浄水の光の透過率から泡の発生量を検知して制御装置7に信号を発信する。調整弁82は電磁弁からなり、制御装置7は、泡センサー81からの信号に基づいて調整弁82を調整すると共に、ポンプ5の回転数を変化させる。制御装置7は、泡センサー81からの信号に基づき、泡の量が少ない場合には、ポンプ5の回転数を高めて還元流量を多くし、泡の量が多い場合には、ポンプ5の回転数を低くして還元流量を少なくする。
【0023】
これにより、図1に示す上例と同様に、洗剤タンク1に貯留されている洗浄液Lの液面高さの影響が低下し、洗浄液Lの流量、ボイド率、泡径等が変化し難くて微細気泡を安定して発生させることができると共に、洗剤タンク1の容量等の設計の自由度が増加する。また、気泡の微細化を促進することができ、更に、ポンプ5の圧力を低くして運転することが可能となって、低動力で且つ低騒音が達成できる。また、洗浄液Lを薄めても洗浄力を確保することができる。また上例に加えて、泡の量を調節することが可能となり、所望の量の気泡を含んだ洗浄液Lを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の泡洗剤吐出装置の全体概略構成図である。
【図2】泡洗剤吐出装置の他例の全体概略構成図である。
【図3】同上における制御装置を含めた全体構成図である。
【図4】従来の泡洗剤吐出装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1 洗剤タンク
11 剤投入口部
12 剤排出口部
13 泡洗剤出口部
2 着脱ノズル部
20 吐出ノズル
3 剤供給路
30 分岐部
4 エゼクター
41 ベンチュリー部
42 空気流入部
43 空気取込管
5 ポンプ
51 吸込口部
6 分岐路
7 制御装置
81 泡センサー
82 調整弁
L 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を溜めるための洗剤タンクと、洗剤タンクから洗浄液を吐出ノズルへ搬送するための剤供給路と、剤供給路の途中に設けられて洗浄液内に空気を混入させるためのエゼクターと、エゼクターの下流側に設けられたポンプと、を備えた泡洗剤吐出装置であって、剤供給路のポンプと吐出ノズルの間の分岐部から分岐路を分岐させると共に、分岐路の下流側端部を剤供給路のエゼクターの上流側に接続して成ることを特徴とする泡洗剤吐出装置。
【請求項2】
剤供給路のポンプの下流側で且つ分岐部の上流側に泡の状態を検知する泡センサーを設けると共に、分岐路の途中に泡を検知する分岐路の通路面積を調整可能な調整弁を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の泡洗剤吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−202061(P2009−202061A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44883(P2008−44883)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】