説明

泡状スキンケアクリーム

【課題】本発明は、水性乳剤とスキンクリームを発泡するための発泡剤とを含む製剤に関し、その顕著な特徴は乳剤が銀粒子を含むことである。
【解決手段】本発明による泡状クリームは銀粒子および好ましくはパンテノールを含む。好ましくは、1つまたは複数の薬理学的および/または美容的に活性な添加剤と一緒に使用される。それは、今まで知られていない活性剤の組み合わせである特定の利点によって特徴付けられる。本発明の好ましい実施形態は、銀粒子に加えて、マデカッソシドと呼ばれるパンテノール天然産物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷のケアならびにストレスを受けた皮膚のケア、沈静化および予防的処置のために使用され得る泡状スキンケアクリームに関する。それは必要とされる局所適用向けであり、限定されないが、真菌症、特に足白癬の症状、および神経皮膚炎の予防ならびに処置のための足の部分のケアに特に有用である。
【背景技術】
【0002】
皮膚は人体の中で機能的に最も多用な器官であり、従って様々なケアが必要とされる。創傷のケア自体は生来の生物学的プロセスである。本発明による泡状スキンケアクリームは、創傷のケアのため、創傷治癒の間の合併症、感染または遅延の予防のため、および治癒の最適な美容的結果を達成するために適切である。
【0003】
あらゆる創傷治癒の目的は、機能的および美容的な完全な回復(元の状態への復帰)である。今までのところ、当該技術分野のケア製品は完全にこの目的を達成していない。
【0004】
足の部分において、多くの場合、創傷治癒は特に困難である。真菌疾患は、治癒過程に負の影響を与え得るか、または創傷により促進される。
【0005】
糖尿病患者の足の治療がさらなる例である。典型的な症状としては、裂け目および亀裂の形成を含む乾燥皮膚、ならびに炎症、潰瘍などの付随物が挙げられる。
【0006】
ケア製品における金属、抗菌剤の銀の使用は、当該技術分野の一般的な方法に記載されている。
【0007】
特許文献1は、医薬および/または美容的薬剤を含む油状の泡の製造を開示している。特に、金属銀の使用が示唆されている。
【0008】
特許文献2は、金属銀を含む個人的ケア製品に関する。同じ出願人はまた、特定の状況下で銀イオンまたは亜鉛イオンを放出する金属粒子を含む個人的ケア製品を開示している特許文献3も出願している。
【0009】
神経皮膚炎の治療のための金属銀の使用もまた、当該技術分野において記載されている。
【0010】
特許文献4は、銀、銅および亜鉛あるいはそれらの混合物を含む多孔質セラミック基質からなる、神経皮膚炎の治療のためのバスエッセンスを開示している。
【0011】
特許文献5は、とりわけ、銀、リン酸三カルシウム、酸化亜鉛および二酸化ケイ素からなる0.1〜10重量%の抗菌剤のセラミック物質を含む、神経皮膚炎の治療のための局所製剤を記載している。
【0012】
特許文献6は、神経皮膚炎の治療のための粘稠性(pasty consistency)を有する微粒子の硫酸バリウム基質中にナノスケールの銀元素を含む局所用製剤である、抗菌剤に関する。
【0013】
特許文献7は、とりわけ、銀元素、電解質および疎水性粒子からなる、アトピー性皮膚炎を治療するための化粧品製剤に関する。
【0014】
今までに記載されている開示物における銀調製剤の性質および組成は、本発明に使用されている銀粒子とは異なる。この銀粒子は、10μmの中程度の粒径および5m/gまでの表面を有する高度に多孔質の銀を含み、「MicroSilver BG(商標)」という商標名でニュルンベルクのBioEpiderm GmbH社から入手可能である。
【0015】
特許文献8は、皮膚および/または神経皮膚炎の症状において抗菌剤および/または抗真菌剤での治療のための消毒剤として、創傷治癒を補助するための、ストレスを受け、亀裂し、赤くなり、および/または痒みのある皮膚のケア、沈静化、予防的治療および/または治療のための化粧品および/または皮膚用製剤におけるコロイド状の高度に多孔質の銀の使用を開示している。
【0016】
特許文献9および対応する特許文献10は、過剰増殖性皮膚疾患を治療するための局所製剤におけるナノ結晶銀の使用を開示している。
【0017】
特許文献11、特許文献12および特許文献13は、本出願の出願人、Neubourg Skin Care GmbH & CO.KGによって出願され、尿素を含む泡状スキンケアクリームおよびスキンケア製品を記載している。
【0018】
広範囲の抗真菌剤としてのクロトリマゾールの使用は、ここしばらくの間に知られている。活性剤は、Bayer AGによって1960年代の終わりに開発された。現代の多くの調製剤は処方薬ではなく、種々の製造業者からジェネリックとして入手可能である。
【0019】
パントテノールとも呼ばれるパンテノールは、長時間、皮膚の創傷治癒を補助するために使用されている。パンテノールは、皮膚の保湿能力を増加させ、ケア特性を有し、皮膚の弾性を増加させる。それは皮膚細胞の新しい形成を補助し、そうすることによって、後の再生を促進する。さらに、パンテノールはまた、痒みを軽減し、抗炎症特性を有する。パンテノールは局所的に塗布され、Bepanthen(登録商標)という商標名で1944年から知られている。
【0020】
パンテノールの2つの鏡像異性体、D−鏡像異性体およびL−鏡像異性体が存在する。デクスパンテノール、D(+)−パントテニルアルコールまたはD(+)−パントテノールとも呼ばれるD−パンテノールのみが、生物学的に活性である。本発明によれば、D−パンテノールを使用することが好ましいが、代替としてL−パンテノールまたは異なる鏡像異性体の混合物もまた、使用されてもよい。
【0021】
マデカッソシド(Madecassoside)は、センテラアジアチカ(centella asiatica)の濃縮された抽出物であり、長時間の創傷治癒に有用であることが知られている。とりわけ、神経皮膚炎の治療のためのイブニングプリムローズオイルの医薬使用もまた、公知である。アボカドオイルは、化粧品および製薬業界において使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際公開第2006/003481号
【特許文献2】独国特許出願公開第10340277号
【特許文献3】独国特許出願公開第10340276号
【特許文献4】特開平06−285131号公報
【特許文献5】特開2002−226383号公報
【特許文献6】独国特許出願公開第10342258号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1685824号
【特許文献8】独国特許出願公開第10 2005−008299号
【特許文献9】国際公開第2002/09729727号
【特許文献10】欧州特許第1303283号
【特許文献11】独国実用新案出願公開第20 2006 014 258.4号
【特許文献12】独国実用新案出願公開第20 2006 004 676.3号
【特許文献13】独国実用新案出願公開第202 06 983.4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の基本的な課題は、皮膚および創傷治癒に際立って適切な泡状スキンケアクリームの製造である。
【0024】
さらに、本発明の基本的な課題は、真菌症、足白癬などの予防および治療に適切な泡状クリームの提供である。
【0025】
同様に、本発明の基本的な課題は、神経皮膚炎および同様の皮膚疾患の予防および治療に適切な泡状クリームの提供である。
【0026】
この課題は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲に詳細に記載される泡状スキンケアクリームによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0027】
泡状製剤は、それらが容易に皮膚に塗られるという利点を有する。泡立ちの稠度には快適性が見出され、その製品は一般に、快適な皮膚の感触を与える。特に、泡の物理的構造は、皮膚の保護機能に陽性に作用する。泡は複雑な物理的物質(physical item)であり、その泡の成分の特定の調整を必要とする。一般に、泡は、乳剤または適切な界面活性剤−(スタビライザー(stabilisator))溶液を噴霧することによって得られる。
【0028】
塗布後、本発明による泡状製剤は、膜と類似している皮膚に網状構造を形成する安定な2相または多相の多分散構造を有する。そのような網状構造の利点は、それらは例えば水との接触に対して保護機能を提供するが、それらは外界とのガス交換を妨げられないことである。そのような泡を用いる場合、不感蒸泄(perspiratio insensibiles)を実質的に妨げず、従って、熱が蓄積されない。従って、保護およびケア機能の有益な特性は、変化を受けない皮膚呼吸と組み合わされる。
【0029】
本発明による泡状クリームは銀粒子および好ましくはパンテノールを含む。好ましくは、1つまたは複数の薬理学的および/または美容的に活性な添加剤と一緒に使用される。それは、今まで知られていない活性剤の組み合わせである特定の利点によって特徴付けられる。特に、創傷治癒のための従来の活性剤を含む天然産物の際立って有用な組み合わせは今まで知られていない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態は、銀粒子に加えて、マデカッソシドと呼ばれるパンテノール天然産物を含む。パンテノールおよびマデカッソシドの創傷治癒の効果は、今まで知られていない程度まで銀粒子を用いて達成される。さらに、銀粒子を含む製剤は、皮膚の抗菌剤および/または抗真菌剤による治療を可能にする。高度に多孔質の構造の銀粒子は、毒性の問題となり得る、より深い皮膚層への浸透を防ぐ。
【0031】
特定の好ましい実施形態は、銀粒子、パンテノール、およびマデカッソシドに加えて、尿素も含む。尿素は角質層の水結合能力の増加を与え、それによって、他の成分の効果を向上させる。この実施形態は特に、足の領域における適用に有用であるが、それのみではない。
【0032】
別の実施形態は、銀粒子、パンテノールおよびマデカッソシドに加えて、イブニングプリムローズオイルも含む。パンテノールおよびマデカッソシドの創傷治癒の効果は、限定されないが、特に神経皮膚炎の治療に適切なケア製品を得るために、イブニングプリムローズオイルによって達成される。
【0033】
さらに好ましい実施形態は、銀粒子、パンテノール、クロトリマゾールおよびアボカドオイルを含む。アンチマイコティカム(antimycoticum)クロトリマゾールおよび銀粒子との創傷治癒を促進する薬剤の組み合わせにより、真菌に敏感な皮膚の治療のための特定の効果的な製剤が得られる。この製剤は特に、足白癬の治療または予防にも適切である。
【0034】
泡状クリームは、適切な容器/用量形態に含まれる乳剤を、推進剤を用いて噴霧することによって形成されるエアロゾルである。従って、泡状クリーム製剤は通常、乳剤および推進剤を含む。適切な推進剤は、とりわけ、プロパンおよびブタンの混合物であり、その加圧混合物が気泡を形成させることができる。特に、油溶性ガスが溶解される分散油相の膨張が存在する。
【0035】
このような、および他の特定の好ましい実施形態において、製剤は、推進剤として5〜15重量%のプロパン、ブタンを含む。別の実施形態において、無気ディスペンサーが使用される場合、推進剤は空気である。
【実施例】
【0036】
足の領域に使用するための本発明による泡状クリームは、一般的に公知の装置で適切に製造される。詳細に記載される成分に加えて、当該技術分野で記載されている長鎖のエステル、アルコールおよびカルボン酸、ならびに過剰な発汗を防止するための通常の製品の1つを使用することは好ましい。以下の製剤は、本発明の特定の好ましい実施形態の1つである。
【0037】
【表1】

【0038】
残りの重量%は水である。従って、製剤の85〜95重量%は、推進剤として5〜15重量%のプロパン−ブタンで満たされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性乳剤と、泡状スキンクリームを提供するための推進剤とを含み、前記乳剤は銀粒子を含むことを特徴とする、製剤。
【請求項2】
パンテノールならびに/あるいは1つ以上の美容的および/または薬学的に活性な薬剤が前記乳剤に添加される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記薬学的および/または美容的に活性な薬剤は、マデカッソシドを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬学的および/または美容的に活性な薬剤は、マデカッソシドと尿素とを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬学的および/または美容的に活性な薬剤は、アボカドオイルとクロトリマゾールとを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記薬学的および/または美容的に活性な薬剤は、イブニングプリムローズオイルとマデカッソシドとを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項7】
前記乳剤は、
0.01〜1重量%の銀粒子と、
0.2〜20重量%のパンテノールと、
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記乳剤は、
0.01〜1重量%の銀粒子と、
0.2〜20重量%のパンテノールと、
0.5〜20重量%の尿素と、
を含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項9】
5.0〜8.0のpH値を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤を噴霧することによって得られる、泡状スキンクリーム。
【請求項11】
皮膚真菌症、特に足白癬の予防および/または治療のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項12】
真菌に敏感な皮膚のケアのための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項13】
神経皮膚炎および同様の皮膚疾患の予防および/または治療のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項14】
皮脂腺濾胞、末端部濾胞、軟毛濾胞(座瘡)の疾患の予防および/または治療のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項15】
糖尿病の症状における足の治療のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項16】
創傷ケアのための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項17】
創傷の縁部分のケアおよび創傷の端部のケアのための請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤の使用。

【公表番号】特表2011−526258(P2011−526258A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515139(P2011−515139)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003369
【国際公開番号】WO2010/000348
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(505219912)ノイブルク スキン ケア ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (5)
【氏名又は名称原語表記】NEUBOURG SKIN CARE GMBH & CO.KG
【Fターム(参考)】