泡発生手段を含むアッセイデバイス
開示されているのは、検体を含有すると推測される液体サンプルを、ガス発生手段(例えば、カタラーゼと過酸または過酸素化合物)(ガス発生手段は、検体の有無または量に依存してガスを生成し、このガスは液体サンプル中に、流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の泡を生じる。)と接触させるステップ、および流路に沿った液体の流れの変化が、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す液体における流れの変化を決定するステップ、を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するための方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッセイデバイス、アッセイ実行中のアッセイデバイスに沿った液体の流れを制御する方法、このアッセイデバイスを使用してアッセイを実行する方法、およびアッセイデバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、家庭でまたはポイントオブケアで日常的に使用される種類の安価で使い捨てできるアッセイデバイスは、2つのタイプ、すなわちラテラルフローアッセイデバイスおよびマイクロフルイディクスデバイスの1つに該当する傾向がある。
【0003】
EP291194により開示されているようなラテラルフローアッセイデバイスは、液体サンプルが、多孔質の母材、例えばニトロセルロースまたは紙のフィルターなどに直接または(より普通には)間接的に塗布されるタイプのものである。この液体サンプルは、この多孔質の母材に沿って移動し、動かすことが可能なようにこの多孔質の母材に固定した乾燥したアッセイ試薬または成分(一般的には標識化抗体、例えば微粒子状の標識化抗体など)を通常は移動させる。一般的に、この標識化抗体は、サンプル中の対象の検体と複合体を形成し、その標識化複合体は、通常は、次に、対象の検体に対する二次抗体によって多孔質母材の検出領域中で捕捉される。この検出領域またはゾーン中の標識化結合試薬の蓄積は、それ故、液体サンプル中の検体の有無または程度を示す。当然のことながら、ラテラルフローアッセイのその他の変形、とりわけ、競合フォーマットアッセイが存在し、そこでは検体がサンプル中に存在しない場合に標識化試薬が検出ゾーン内で捕捉される傾向がある。ラテラルフローアッセイデバイスは、例えば、妊娠ホルモンhCGの有無を判定するためおよびユーザーに妊娠しているかまたは妊娠していないかの指標を提供するために日常的に使用される。
【0004】
検出ゾーンにおける標識化試薬の検出は、視覚的にまたは光検知器によって行うことができる。視覚読取りの非電子アッセイデバイスは、低価格である利点を有するが、かかるアッセイデバイス、特に妊娠テストデバイスおよび/または在宅使用のアッセイデバイスに伴う問題は、それらがある程度の説明を必要とし得る可変強度の信号としてのアッセイ結果を提供することである。これは、アッセイ結果が、特にそのアッセイデバイスのユーザーまたは読取り者が望ましいアッセイ結果を念頭においている場合に、誤った解釈を受けやすくする。これらのテストは、多くの場合、閾値テストとして提供され、サンドイッチアッセイの場合において、閾値より下の標識化試薬のレベルが否定的な結果を示し、閾値より上の標識化試薬のレベルが肯定的結果を示す。結果として、標識化試薬の存在または量が光検知器によって決定され、アッセイの結果が液晶ディスプレー上に示される電子デジタルデバイスが開発されている。そのようなデジタルデバイスは、それらが、説明を必要としない「YES」または「NO」のような明白な結果を提供する利点を有する。かかるデバイスは、1回だけの使用でそれ故使い捨て可能であり得る。それらは、しかしながら、それらが、1つまたは複数の光検知器、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)等の光源、電源、電子回路およびデジタルディスプレーを一般的には必要とするために製造するのに費用がかかる。その上、電子デバイスの廃棄は、環境問題を有する。
【0005】
マイクロフルイディクスアッセイデバイスにおいては、ラテラルフローアッセイにおいて使用されるのと同じ多くの方式を採用することができる。しかしながら、液体サンプルは多孔質母材に塗布される代わりに、このサンプルは導管またはチャネル中に適用または供給され、それに沿ってこの液体は、通常は毛細管作用によって前進する。検出ゾーンは、チャネルの内側表面に備えることができ、その上には例えば固定結合試薬が供給される。マイクロフルイディクスデバイスは、流路がはっきりしており、このデバイスをマイクロ加工した要素、例えば、分岐、混合領域、フロー制御要素、時間ゲート、フィルター等を組み込むように設計することができる特別な利点を有する。マイクロフルイディクスアッセイデバイスの例は、US5458852に記載されている。
【0006】
流路に沿った液体の流れの速度が検体の存在または程度を示す検体を測定するためのアッセイデバイスが知られている。
【0007】
US4963498は、流体サンプル中の検体またはデバイス中に存在する試薬がこのサンプルの流速に影響を及ぼす流体サンプルの特性を測定するためのマイクロフルイディクスデバイスを開示している。このデバイスは、テスト用毛細管および基準または対照用毛細管の両方を含むことができる。
【0008】
EP456699は、それぞれのインジケータチャンバーより上流の多数の流体管に接続しているサンプル適用ポートを含む液体中の物質の存在をテストするための器具を開示している。一実施形態によれば、流体管中に存在する凝集試薬は、サンプルと相互作用して、その流速を変化させて、例えば、この液体がアッセイの時間枠の中でインジケータチャンバーに到達することを防ぐようにする。
【0009】
物質の存在をテストするための毛細管デバイスも、WO2004/083859によって開示されている。このデバイスは、対象の検体(一般的には、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、hCG)の存在下でのテスト用毛細管中の液体サンプルの凝集[この凝集は、テスト用毛細管中の液体サンプルの流れは阻止するが、対照用毛細管(凝集試薬を含んでいない。)中では阻止しない。]を引き起こすことによって正常に機能する。テスト用および対照用毛細管の下流部分における液体サンプルの有無は、電極によって検出される。
【0010】
流路が、例えば、前進する液体サンプルによって埋められるには大きすぎる穴またはすき間を有する流路チャネルの一部の形でのその中の不連続と共に形成され、この穴またはすき間が同じまたは別の液体(例えば、第2の流路に沿って流れてきた。)によって満たすことができ、それによって液体サンプルがこの不連続を通過して前進することを可能にする「ブリッジ」として作用するマイクロフルイディクスアッセイデバイスを提供することも知られている(例えば、WO2006/090144)。この配列は、サンプル中の対象の検体の有無が、液体サンプルのアッセイデバイス内の1つまたは複数の異なる流路に沿った前進の速度に影響を及ぼす「バイナリーアッセイデバイス」の基礎を形成することができ、それは、順に、特定の1つの流路に沿った液体流が、そのアッセイデバイスの「インジケータ」領域に入るかどうかを決め、それによってアッセイの結果を単純な定性的な用語(例えば「はい」または「いいえ」)で示すことができ、よって、アッセイ結果の解釈についてのどのような主観的な要素も最新の電子工学手段またはその他のディスプレー手段を必要としないで除去する。
【0011】
「テスト」流路に沿った液流と基準流路に沿った液流の間の「競争」が存在する上記の配列の変形が、WO2008/025945に開示されている。このテスト流路と基準流路が互いに接触する結合領域が存在する。基準流路に沿った液流が「競争に勝ち」、テスト流路に沿った液流より前に結合領域に到達する場合、そのときテスト流路に沿った液体のさらなる流れは阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第291194号明細書
【特許文献2】米国特許第5458852号明細書
【特許文献3】米国特許第4963498号明細書
【特許文献4】欧州特許第456699号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/083859号
【特許文献6】国際公開第2006/090144号
【特許文献7】国際公開第2008/025945号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において本発明は、検体を含有すると推測される液体サンプルを、ガス発生手段(ガス発生手段は、検体の有無または量に依存してガスを生成し、このガスは液体サンプル中に、流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の泡を生じる。)と接触させるステップ、および流路に沿った液体の流れの変化が、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す液体における流れの変化を決定するステップ、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するための方法を提供する。
【0014】
流れの変化の決定は、液体の流れの変化の結果としての効果を決定することを含み得る。かかる効果は、例えば、液体が特定のゾーンに到達したことの表示であり得る。
【0015】
流れの変化が決定される液体は、液体サンプル自体であり得る。あるいは、それは液体サンプルが第2の液体と流体的に接続して1つまたは複数の液体サンプル中の気泡の発生が第2の液体における流れの変化を引き起こすような第2の液体であり得る。この第2の液体は、この方法を行うことができるデバイスに適用することができ、またはこのデバイスの一部を構成することができる。
【0016】
第2の態様において本発明は、
a)検体を含有すると推測される液体サンプルを、第1試薬により標識されている結合試薬(この結合試薬は、検体にまたは検体に対する結合試薬に結合することができる。)と接触させるステップ、
b)蓄積ゾーンにおいて標識化結合試薬の蓄積(標識化試薬の蓄積ゾーンにおける蓄積は、液体サンプル中の検体の有無または量に依存する。)をもたらすステップ、および
c)標識した結合試薬を蓄積ゾーンにおいて第2試薬と接触させて、第1試薬と第2試薬とが反応してガスを生成し、ガスが流路に沿った液体の流れを変える(前記流路に沿った液体の流れのこの変化は、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す。)ように作用する1つまたは複数の泡を液体サンプル中に生じるようにするステップ、
を含む液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定する方法を提供する。
【0017】
好ましい実施形態においては、アッセイデバイスが電子部品を有さないか有してもわずかである、液体サンプル中の検体の決定の明確なまたは「バイナリーの」またはデジタル式の結果を提供することができる比較的安価なアッセイデバイスを提供することが本発明の目的である。一実施形態において、本発明は、アッセイデバイスが、電源を必要とするデバイスまたは電源それ自体を含まない、場合によって検出可能なバイナリーのまたはデジタル式のアッセイ結果の提供が可能であるアッセイデバイスを提供することができる。要素としては、光ダイオード、光検知器、電子ディスプレーおよび電子回路の1つまたは複数が挙げられる。好ましくは、結果は、肉眼によって視覚的に検出可能である。
【0018】
第3の態様によれば、本発明は、アッセイデバイスが、
液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路;
検体の有無または量に依存してガスを発生する(このガスは液体サンプル中に、下流のゾーンまでの流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の泡を生じる。)ガス発生手段;ならびに
液体の流れにおける任意の変化を検出する検出手段および/または下流ゾーンにおける液体の存在または到着を検出するインジケータ領域(この流路に沿った液体の流れの変化は、検体の存在および/または量を示す。)を含み、
前記デバイスに塗布または導入した液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0019】
このガス発生手段は、適切な第2試薬と接触したとき、直接的または間接的にガス生成物を発生する反応を引き起こすまたは反応に加わる第1試薬を含むことができる。本アッセイデバイスは、一般的には2つ以上の試薬間の反応において必要な少なくとも1つの試薬を含み、この反応は、直接的または間接的生成物として、ガスの形成をもたらす。好ましくは、本アッセイデバイスは、ガス生成反応が起こるために必要なすべての試薬を含む。該試薬は、例えば、2つ以上の反応物または少なくとも1つの反応物および1つまたは複数の反応物のガス生成物への転化に触媒作用をする触媒(例えば酵素など)を含むことができる。
【0020】
1つまたは複数の泡の形成は、一般的には、この1つまたは複数の泡が位置するまたはこの1つまたは複数の泡の下流の領域における流路に沿った液体の流れを妨げる傾向がある。流路に沿った流れは、1つまたは複数の泡の形成によって停止され得る。あるいは、この泡の形成は、流路に沿った液体の流れの速度を増大させ得る。
【0021】
第4の態様において本発明は、アッセイデバイスが、
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の泡を液体サンプル中に形成し、この泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すものである。)、
e)液体の流れおよび/または液体の存在または到着を検出するための蓄積ゾーンの下流に備えられているインジケータ領域の任意の変化を検出するための検出手段、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0022】
標識化結合試薬は、蓄積ゾーンにおいて検体に依存する形で蓄積され得る。液体中に存在する検体は、標識化結合試薬と検体−結合試薬の複合体を形成することができ、蓄積ゾーンにおいてその後蓄積され得る。
【0023】
検体に対する第2結合試薬は、検体−標識化結合試薬の複合体を捕捉するために蓄積ゾーンにおいて不動化した形で提供され得る。あるいはまたはさらに、検体は、標識化結合試薬との複合体の形成前に蓄積ゾーンにおいて不動化した第2結合試薬によって捕捉され得る。
【0024】
さらに別法では、その第2結合試薬は、移動可能な形で提供してよく、それは、蓄積ゾーンにおいて不動化され得る。例えば、蓄積ゾーンは、ビオチン等の結合試薬によって標識することができ、検体に対する第2結合試薬は、この結合試薬に対する相補的結合パートナー例えばストレプトアビジンなどにより蓄積ゾーンにおいて標識することができる。
【0025】
さらなる実施形態において、検体に対する第2結合試薬は、磁性粒子に結合させることができる。磁石は、磁気的に標識した第2結合試薬を不動化するために蓄積ゾーンの近辺に備えることができる。形成された任意の第1結合試薬/検体/第2結合試薬の複合体を、例えば、磁石を用いて蓄積ゾーン中に移動させることができる。
【0026】
さらに別法では、該蓄積ゾーンは、第2結合試薬がフィルターを通過することができないサイズ排除フィルターを含むことができる。第2結合試薬は、例えば、直径がフィルター中の微細孔の平均孔径のそれより大きい粒子に付着していることができる。それ故、標識化第1結合試薬/検体/第2結合試薬の複合体は、フィルターのところで保持され、一方錯化されていない標識化結合試薬はそれを通過することができる。
【0027】
検体の決定は、競合または抑制型反応を用いて行うことができる。標識化結合試薬は、標識した検体または検体類似物を含むことができる。この方法は、小さい検体例えばハプテンなどの検出に適している。例えば、検体または検体類似物は、標識化結合試薬を捕捉するのに役立ち得る蓄積ゾーンにおいて固定することができる。あるいは、検体に対する結合試薬は、蓄積ゾーンに備え、標識した検体または検体類似物は、蓄積ゾーンにおいて結合試薬を獲得するために存在する任意の検体と競い合う蓄積ゾーンの上流に備えることができる。
【0028】
標識化結合試薬は、蓄積ゾーンの上流に備える代わりまたはそれに加えて蓄積ゾーンに備えることができる。
【0029】
このデバイスは、蓄積ゾーンの上流に備えられた第2の試薬を、使用中に、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬が蓄積ゾーンに到着する前に前記ゾーンに移送されるように、さらに含むことができる。
【0030】
第5の態様によれば、本発明は、アッセイデバイスが、
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンの上流に備えられている第2試薬、および
e)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(前記デバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれ、第2試薬のこの蓄積ゾーンへの到着が、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間のガスを生成する反応をもたらすと同時に、前記ガスが、1つまたは複数の泡を液体中に形成し、この泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在および/または量を示すものである。)、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0031】
第2試薬は、第1試薬に対するとは別の流路中に供給することができる。本アッセイデバイスは、第1試薬を第1流路に供給し、第2試薬を第2流路に供給する2つの流路を含むことができる。この第1および第2流路は、交差点、蓄積ゾーンまたはその上流において合流することができる。この第1および第2流路は、標識化結合試薬が蓄積ゾーンに到着するのにかかる時間が、第2試薬が前記ゾーンに到着するのにかかる時間より短くなるように備えることができる。これを達成するためには多くの異なる方法が存在する。この2つの流路は、例えば、それらのそれぞれの長さ、幅、表面コーティングまたはそれらの組合せにおいて互いに異なり得る。流路の1つは、第2試薬が、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬の後に蓄積ゾーンに到着するように、1つまたは複数の流量制限または流量促進要素などを備えることができる。
【0032】
使用中、このデバイスに適用された液体サンプルは、第1および第2流路にそれぞれ供給された第1および第2試薬を再懸濁させ、存在する検体の量に応じて、蓄積ゾーンにおける標識した結合試薬の蓄積をもたらす。第1流路と第2流路の間の違いによって、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬は、蓄積ゾーンに第2試薬が到着する前に到着する。蓄積ゾーンにおいて蓄積されなかった標識化結合試薬は、液体サンプルと一緒に下流へと通過する。よって、蓄積ゾーンにおける1つまたは複数の気泡の形成は、主として第2試薬と蓄積ゾーンにおいて蓄積された任意の第1試薬の間の反応によるものであり、それ故、存在する検体の存在および/または量を示す。
【0033】
第1の流路と第2の流路の間の交差は、別々の流路からの2つの流れを単一の流路に一緒に持ち込むことを可能にする。好ましくはこの交差は、いずれかの流路からの液体の交差の下流への通過を妨げ得るエアロックを導入しないように設計する。
【0034】
本アッセイデバイスは、第1および第2流路を接続する共通のサンプル適用領域を含むことができる。よって、本アッセイデバイスに適用されまたは導入される単一の液体サンプルが、第1および第2流路の両方に沿って同時に流れることが可能である。
【0035】
第1および第2試薬を蓄積ゾーンに連続して送るその他の方法を、考えることができる。例えば、本アッセイデバイスは、デバイスに適用される液体サンプルが2つの方向にそれぞれ蓄積ゾーンから離れておよびそれに向かって流れるように流路に沿って分かれて位置するサンプル適用ゾーンを含むことができる。第1および第2試薬は、蓄積ゾーンから離れて流れる液体サンプルが第2試薬を移動させ、蓄積ゾーンに向かって流れる液体サンプルが第1試薬を移動させるようにデバイス中に供給することができる。本アッセイデバイスは、液体サンプルが接触したとき、一般的に第1試薬を含む部分が、このデバイスに適用されたすべての液体サンプルを蓄積ゾーンに向けて引き寄せることが可能である液体シンクを含むことができる。よって、使用中、すべてのまたは実質的にすべての第1試薬は、蓄積ゾーンに第2試薬が到着する前に到着することができる。
【0036】
このデバイスは、液体の流れの変化を決定する手段を含むことができる。流れの変化を決定することは、液体の流速を測定することによって行うことができる。流れの変化は、1つまたは複数の流速閾値に対して決定され得る。
【0037】
本アッセイデバイスは、流路中例えば蓄積ゾーンの下流における液体サンプルの存在を検出する手段を含むことができる。例えば、本アッセイデバイスは、液体サンプルの存在を検出するためのもう1つの電極対を含むことができる。それぞれの電極対間の流れの速さを測定することができ、これは、例えば、それぞれの電極対が液体サンプルの存在を決定することができる複数の電極対を1つまたは複数の空間間隔で備えることによって達成することができる。本アッセイデバイスは、液体サンプルが流路に沿って移動するのにかかる時間を記録するための簡単なタイマーをさらに含むことができる。
【0038】
流れの変化の決定は、また、便宜上「テスト」流路とも呼ぶことができるアッセイ流路中の液体の流れを、基準流路における液体の流れに対して比較することによって行うこともできる。
【0039】
本アッセイデバイスは、1つまたは複数の下流のゾーンにおける液体の到着を示す1つまたは複数のインジケータ領域を含むことができる。このインジケータ領域は、好ましくは視覚的に検知可能であり、例えば液体と反応して色を生み出す化学物質等の色変化手段を含むことができる。この色変化手段は、流路中に固定することができ、または例えば液体に溶解できる乾燥した着色染料を含むことができる。
【0040】
この色変化手段は、pHに敏感であり得る。そのインジケータ領域は一般的に蓄積ゾーンの下流に備えられる。このインジケータ領域は、例えば、液体が入ることができそこを液体が通過することができるチャンバーを含むことができる。このチャンバーは、液体がチャンバーに入り、これ以上の流れが停止するように流路の最後部に備えることができる。
【0041】
本アッセイデバイスは、基準流路をさらに含むことができ、この基準流路に沿った液体の流れは、アッセイ流路に沿った液体の流れと比較される。この基準流路には、ガスを発生することができる試薬は何ら存在しなくてよい。
【0042】
本アッセイデバイスは、それぞれテスト流路の蓄積ゾーンの下流および該基準流路に向かってまたはその遠位末端に備えられている2つのインジケータ領域を含むことができる。共通のサンプル適用ゾーンは、このデバイスに適用された液体サンプルがそれぞれの流路に沿って流れることができるように、アッセイ流路と基準流路とを接続することができる。
【0043】
テスト流路および基準流路は、それぞれインジケータ領域を含むことができる。これらのインジケータ領域は、視覚的に異なる結果を提供するように互いに異なることができる。例えばテスト流路および基準流路のそれぞれのインジケータ領域は、異なる色変化手段を備えることによって異なる色を発生することができる。別法では、この2つのインジケータ領域は、例えば「正」または「負」を示す単語または記号を示すことができる。
【0044】
液体の流れは、液体の流れまたはその一部を減少または停止することによって変えることができる。別法では、液体の流れは、液体の流れまたはその一部を増加または再スタートさせることによって変えることができる。
【0045】
意外にも、本発明者らは、気泡は、第2試薬が蓄積ゾーンにおいて不動化した標識化結合試薬の比較的濃縮された量と接触するときにかなりの程度まで発生するのみであることを見出した。標識化結合試薬および第2試薬の量、デバイスの流体の寸法およびデバイス中の標識化結合試薬と第2試薬の相対位置を最適化することによって、第2試薬と不動化されていない結合試薬の間のどのような反応も最低限に保つことができ、本アッセイの性能に必ずしも有害ではない。
【0046】
第6の態様において、本発明は、
a)標識化結合試薬を不動化することが可能な蓄積ゾーンが備えられている流路を含むアッセイデバイス、
b)第1試薬により標識された結合試薬、および
c)蓄積ゾーンにおいてこの第1試薬と反応してガスを生成し、前記ガスが1つまたは複数の泡を液体中に形成し、その泡が作用して流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すことができる第2試薬、
を含む液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイキットを提供する。
【0047】
第7の態様において、本発明は、
a)サンプルを流路に適用し、それによって第1試薬を流路内に備えられた蓄積ゾーンにおいて蓄積させるステップ、および
b)その後、不動化した試薬を、第1試薬と第2試薬が反応してガスを生成し、このガスが1つまたは複数の泡を液体中に生じ、これらが作用して流路に沿った液体の流れを変えるように、第2試薬と接触させるステップ、
を含む液体サンプルの流路に沿った流れを変える方法を提供する。
【0048】
第7の態様による方法は、液体サンプルの流れにおける任意の変化を検出または決定するステップをさらに含むことができる。
【0049】
第8の態様において、本発明は、デバイスが、
a)液体サンプルをデバイスに適用するためのサンプル適用ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つの流路、
c)蓄積ゾーンの上流に供給される第1試薬、
d)この第1試薬を蓄積することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、蓄積ゾーンにおいて、蓄積された第1試薬と第2試薬の間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスは、液体中に1つまたは複数の泡を形成し、この泡は流路に沿った液体の流れを変えるものである。)、および
e)液体サンプルの任意の流れの変化を検出する検出手段および/または蓄積ゾーンの下流に備えられた液体の存在または到着を検出するためのインジケータ領域、
を含む流路に沿った液体サンプルの流れの変化を検出するためのデバイスを提供する。
【0050】
第8の態様によるデバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての第1試薬が、第2試薬が蓄積ゾーンに到着する前にこの蓄積ゾーンに輸送されるように、前記ゾーンの上流に供給される第2試薬をさらに含むことができる。
【0051】
当該1つまたは複数の流路は、マイクロ流体チャネル、多孔質母材(例えば、クロマトグラフ膜)、またはこの2つの組合せを含むまたはこれらから成ることができる。好ましい多孔質母材としては、ニトロセルロースおよび濾紙が挙げられる。このマイクロ流体チャネルは、好ましくは、液体サンプルが毛細管流動によってチャネルに沿って進行することができるような毛細管の寸法のものである。典型的なマイクロ流体チャネルは、0.1と500μmの間、より一般的には1と100μmの間の内部横断面寸法を有する。マイクロ流体の1つのチャネルまたは複数のチャネルは、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂等の合成プラスチック材料またはガラスもしくは金属から形成することができる。この1つのチャネルまたは複数のチャネルは、従来の技術を使用するエッチング、キャスティング、モールディング等により形成することができる。
【0052】
デバイスは、1mmの典型的な幅および100umの典型的な高さを有するマイクロ流体チャネルを含むことができる。このデバイスは、多数の積層材、例えば下の基層、チャネル構造を含む中間層およびマイクロ流体チャネル(1つまたは複数)をシールする役割をする上層など、を含むことができる。
【0053】
対象の検体は、例えば、ステロイド、ホルモン、ペプチドもしくはポリペプチド、糖質、脂質、タンパク質、リポタンパク質、ポリヌクレオチド、酵素、血液型マーカー、疾病マーカー、診断もしくは予後指標、陽イオン、陰イオン、または、ウイルス、細菌、酵母、真菌、胞子もしくは真核細胞等の分子複合体を含む。1つの好ましい実施形態において、対象の検体は、hCGを含む。別の実施形態において、検体はグルコースである。本発明によるアッセイデバイスはハプテン等の小分子を含む検体の検出に対して適している。ハプテンとは担体に結合したときにのみ免疫反応を引き起こすことができる小さな抗原決定基として定義することができる。ハプテンは、抗体に結合はするがそれら自体によっては、例えばハプテンを動物の体に注射することによって、抗体反応を引き出すことができない。ハプテンの非限定の例としては、アンフェタミン系の依存性薬物、例えば、MDA(3,4−メチレンジオキシアンフェタミン)、「エクスタシー」としても知られるMDMA(3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン)、MDEA(3,4−メチレンジオキシ−N−エチルアンフェタミン)、BDB(3,4−メチレンジオキシフェニル−2−ブタンアミン)、MBDB(3,4−メチレンジオキシフェニル−N−メチルブタンアミン)、およびMDPA(3,4−メチレンジオキシ−N−プロピルアンフェタミン);オピエート、例えばモルヒネおよびコデイン、ならびに、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドンおよびオキシモルホンを含むそれらの合成類似体;リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)ならびにそれの代謝産物;テトラヒドロカンナビノールおよびコカイン;有毒な薬物、例えば、ジアゼパム、ニコチン、アセトアミノフェン、カフェイン、リスペリドン、フェノバルビタールなど;ホルモン、例えば、プロゲステロン、エストラジオールおよびそれらの代謝産物、テストステロンなど;殺虫剤;染料、例えばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッドなどが挙げられる。
【0054】
液体サンプルは、任意の適当な液体、例えば、水、汚水サンプル、または水を含む抽出物(例えば、水を含む食品もしくは飲料サンプル)または生体サンプル、例えば、血液、血漿、血清、尿、膿、汗、唾液、膣液、もしくは涙などであり得る。好ましいサンプルは尿である。この液体サンプルは、このデバイスに「そのまま」適用でき、または前処理のステップ(例えば、次の、混合、かき混ぜ、超音波処理、希釈、培養、変性、または1つまたは複数の試薬との反応、の1つまたは複数を含む)にかけることができる。
【0055】
1つの泡または複数の泡が生じる液体は、好都合なことに、実質的にはデバイスに適用するときのサンプルの液体であり得る(しかし、アッセイデバイスとの接触、例えば、アッセイデバイスの流路に堆積されまたは供給された試薬またはその他の物質のサンプル液体中での再懸濁または溶解の結果としてその液体の組成の任意の変化はあり得る)。別法では、またはさらに、1つの泡または複数の泡は、アッセイデバイスに別に適用されるバッファー洗液または追加の試薬溶液等の任意の他の液体中で形成させることができる。いずれにしても、この液体は一般に水を含む(すなわち、容積比で50%を超えるH2O)。
【0056】
当然のことながら、1つの試薬または複数の試薬によって形成されたガスは、アッセイが行われる温度および圧力の条件下で、液体の流れが阻止されまたは減少されるべき時間が過ぎるまで持続するために、少なくとも一部は該液体に不溶性でなくてはならない。通常、アッセイは、室温(すなわち、約18℃から25℃)で行われるが、このアッセイは冷たい部屋または冷蔵室で(約3℃から6℃で)行うことができまたは培養器中で(約25℃から約40℃までの温度で)行うことができる。一般的に、該アッセイは、大気圧(一般に、これは海抜ゼロで970ミリバールから約1030ミリバールの範囲である)で行われる。それ故、形成されるガスの濃度は、アッセイを行うために取られる時間の少なくとも一部のために、関連する液体中の溶解度より上でなくてはならない。液体サンプル中の低レベルの溶解度を有するガス、例えば酸素など、が好ましい。
【0057】
前述の制限内で、気泡を形成するために使用されるガスは、明らかに毒性が強いまたは反応性が高い材料はあまり好ましくはないが、任意の適当なガスであり得る。適切なガスとしては、以下に限定はされないが、酸素、オゾン、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、窒素、酸化窒素、水素、ヘリウム、希ガス、または前記のものの2つ以上の任意の組合せを挙げることができる。概して好ましいガスとしては、酸素、二酸化炭素、窒素および水素が挙げられる。
【0058】
第1試薬は、第2試薬と反応してガスを発生することができるものである。この第1および/または第2試薬は、サンプルの液体の一部として、またはアッセイデバイスに対して別に添加する液体としてアッセイデバイスに供給することができる(またはより好ましくは、例えば、アッセイデバイスの上または中、一般的には1つまたは複数の流路の上または中に、乾燥または凍結乾燥した形で堆積してアッセイデバイスの不可欠の成分を形成する)。この第1試薬は酵素であり得る。
【0059】
第1試薬として使用するための適当な酵素としては、カタラーゼまたはグルコース酸化酵素等のオキソレダクターゼが挙げられる。カタラーゼ(EC1.11.1.6)は、過酸化水素の水および酸素への分解の触媒作用をする。この反応は、必要なガス(この場合は酸素)を発生すること以外は、唯一のその他の生成物はアッセイの実行またはその結果に重要な影響を有さない水であるので有用である。カタラーゼは、高純度で広く市販されており、凍結乾燥することができる。カタラーゼに基づくガス発生システムを使用するもう1つの利点は、たった1つだけのさらなる試薬、例えば過酸化水素など、を必要とすることである。よって、ガスを発生するために必要なのは、過酸化水素を酵素的に活性な量のカタラーゼと接触させることのみである。
【0060】
第1試薬がカタラーゼ等のオキソレダクターゼである場合、第2試薬は、酸素ガスの源を含めばよい。酸素ガスの源の例は、過酸素化合物または過酸、例えば、過酸化水素、過酸化カルバミド、アルカリ金属過酸化物、過酸化尿素、アルカリ金属炭酸塩アルカリ金属過ホウ酸塩、およびアルカリ金属過炭酸塩である。過酸化尿素等の固体の酸素源は、それを乾燥状態のアッセイデバイスの一部として提供することができる利点を有する。
【0061】
グルコース酸化酵素(E.C.1.1.3.4)は、過酸化水素の共形成によるβ−D−グルコースのD−グルコノ−1,5−ラクトンへの酸化に触媒作用を及ぼす。したがって、このシステムは、アッセイデバイス中の過酸化水素の原位置での発生のために使用することができ、それは次にカタラーゼによって作用を及ぼすことができる。したがって、一実施形態において、本発明のアッセイデバイスは、グルコース酸化酵素とカタラーゼの両方を含むことができる。グルコースは、乾燥した堆積物としてアッセイデバイスに容易に供給することができ、それは容易に再水和しサンプルの液体によって溶解される。順次カタラーゼによって酸素に変換される過酸化水素をグルコースと反応して形成するのに十分であるはずの少量の酸素を、(サンプルの液体中に溶解させるかまたは前進する液体の前方の流路中の空気中に存在させて)アッセイデバイス中に存在させることができる。
【0062】
使用することができるその他のガス発生酵素としては、デヒドロゲナーゼおよびデカルボキシラーゼ等の二酸化炭素を発生するもの、例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アミノ酸デカルボキシラーゼ、シュウ酸デカルボキシラーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、およびウレアーゼが挙げられ、後者は、尿素を加水分解して二酸化炭素とアンモニアにする触媒作用をすることができる。
【0063】
結合試薬は、対象の検体に対する結合親和性を有し、結合対を形成する試薬であり得る。結合対は、当業者には周知であり、抗体−抗原、リガンド/受容体、相補的オリゴもしくはポリヌクレオチド、または互いに結合するその他の分子の対である。結合試薬は、対象の検体に対する抗体であり得る。結合試薬は検体または検体類似物であり得る。
【0064】
好都合なことに、結合試薬は、免疫グロブリン分子またはかかる分子の抗原結合部分であり、この用語は、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一領域抗体、任意のこれらのマルチマーなどを含むことが意図されている。免疫グロブリン(またはそれらの一部)を他の分子に架橋結合または結合する方法は、確立されている。特に免疫グロブリン(またはそれらの一部)を酵素等の他のポリペプチドに結合することは当業者には周知である。本発明のいくつかの実施形態において、該アッセイデバイス/方法は、酵素、特にガスを生成する反応に触媒作用を及ぼす酵素に結合した免疫グロブリン分子(またはそれの抗原結合部分または免疫グロブリンのマルチマーまたはそれの抗原結合部分)を含む。
【0065】
結合試薬は、ガス生成反応に参加するまたは触媒作用を及ぼす第1試薬に結合させることができる。望ましくは、免疫グロブリン分子のような結合パートナーまたはその他の結合パートナー(またはそれの抗原結合部分)は、例えばカタラーゼのような酵素に結合する。別法では、標識化結合試薬を、第1試薬を結合パートナーに結合することによって原位置で生成させることができる。
【0066】
液体(好ましくはサンプル液)の液体適用領域(例えば、サンプル適用ゾーンまたはポート)への適用は、アッセイデバイスにおける流路に沿った(好ましくは毛細管作用による)液体の流れを引き起こす。流動液体中に同伴するもの(例えば、デバイスに適用された液体中に含まれているか、デバイス中に既に存在し、液体との接触により移動したもの)は、第2試薬と接触または混合されたときガス生成反応に参加する第1試薬である。
【0067】
本アッセイデバイスは、非電子の、バイナリーまたはデジタルのアッセイ結果発生および/またはインジケータ領域を含むことができ、すなわちそれはアッセイの結果を発生および/または表示するための電源を必要としない。好ましくは、本アッセイデバイスは、どんなものであれ、非電子の構成要素を含む。バイナリーまたはデジタルの結果は、与えられた結果が一義的である。それは、例えば、「正」または「負」、「はい」または「いいえ」、閾値より大きいまたは小さい等、2つの起こり得る結果から与えられる単一の回答であり得る。それは、3つ以上の起こり得る結果から与えられる単一の回答であり得る。その結果は、閾値に関して提供され得る。したがって肯定的な結果は、特定の閾値より高い検体のレベルに対して与えられ得る。バイナリーまたはデジタルの結果は、例えば、結果がテストラインの色強度に依存し、それ故ユーザーによる解釈の影響を受けるClearBlue商標妊娠診断デバイス等の視覚読取りラテラルフローアッセイデバイスから視覚的に読み取った結果とは異なる。
【0068】
バイナリーまたはデジタルのアッセイは、WO2008/025945およびWO2006/090144に開示されており、本明細書に参照により援用される。バイナリーアッセイは、図8にさらに示されており、以下でさらに詳細に説明する。
【0069】
備えられる基準の流路には、一般的にガス発生試薬は何ら存在しない。
【0070】
本アッセイデバイスは、蓄積ゾーンの下流の接合領域において交差するテスト流路および基準流路を含むことができる。この接合領域は、また、液体の前方への流れを可能にする出口、導管、チャンバーまたはその他の部分も含むことができる。
【0071】
この接合領域は、テスト流路中の液体または基準流路中の液体のいずれかの前方への通過のみを許すことができる。この接合領域は、基準流路に沿って流れている液体が、この接合領域に到着すると、テスト流路に沿った液体の流れを阻止する効果を有し、またはその逆であるような流体バルブまたはチョークを含むことができる。したがって、接合ゾーンの液体または下流の指標は、基準流路またはテスト流路からのいずれかの液体を示す。
【0072】
テスト流路または基準流路は、容器内に含まれている液体の2つのインジケータ領域(1つは動作可能的に基準流路と関連し、もう1つは動作可能的にテスト流路と関連する)の1つへの前進流を可能にする接合領域に集中することができる。この容器の液体は、テスト流路からの液体が接合点に最初に到着するかまたは基準流路から液体が接合点に最初に到着するかによって、これらのインジケータ領域の1つに流れる。
【0073】
接合領域は、1つの流路の流れを別のものによって阻むまたは容器チャネルのさらなる前進流を提供することが必要なときに有用である。しかしながら、状況次第でテストチャネル中の流れは、テストの時間内に完全に停止されてもよく、または流れはテストチャネル中の液体が接合点に到達せず、それ故接合領域は必須の要件でなくてよい。しかしながら、接合領域は、多くの実施形態において好ましい。
【0074】
いくつかの実施形態において、基準流路およびテスト流路からの流れが接合領域において同時に到着することを避けるようにアッセイデバイスを偏向させることが好ましいかもしれない。これは、基準流路およびテスト流路に、異なる幅、異なる長さなどを提供することによって達成することができる。本アッセイデバイスは、テスト流路中にガス発生がない場合は、液体がテスト流路から接合領域に基準流路からの液体が到着する前に到着するようにまたはその逆となるように偏向させることができる。このデバイスは、閾値に対して正または負の結果を提供するように適応させることができる。したがって、一定の閾値より下の検体の存在下での、それ故いくらかのガスの発生の存在下でのサンドイッチ型アッセイに対しては、テスト流路からの液体は、接合領域に基準流路からの液体が到着する前に到着できるかまたはその逆であり得る。
【0075】
1つまたは複数のインジケータ領域を接合領域の上流または下流に備えることができる。
【0076】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、テスト流路または基準流路のどちらからの液体が接合領域に最初に到着したかを示すことができる接合領域の下流に備えられたインジケータ領域を含むことができる。このインジケータ領域の色の変化をもたらすことができる非常に多くの方法が存在する。
【0077】
例えば、着色染料をテスト流路または基準流路のいずれかに供給することができ、または、異なる色の染料を、インジケータ領域中の特定色の染料の存在がどちらのルート(テスト流路または基準流路)によって液体がインジケータ領域に最初に到達したかを明らかにするように、それぞれのテスト流路および基準流路に供給することができる。別法では、該インジケータ領域は第1反応物を含むことができ、第2反応物を、第1および第2反応物が反応して色の変化を生じるように流路の1つに供給することができる。さまざまな反応物を、テスト流路および基準流路に供給することができ、それは、インジケータ領域中の反応物と反応して、さまざまな色の変化を、得られた色が、液体の進行流がテスト流路で起こったものによるかまたは基準流路で起こったものによるかによって異なるように提供することが可能である。さらなる例においては、2つの異なる酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびグルコース酸化酵素)をインジケータ領域に備えることができ、関連する酵素触媒の存在下で反応して着色した生成物を生成するそれらの酵素の1つに対するそれぞれの基質を流路の1つに提供することができる。その生成物の色は、どの基質がインジケータ領域に導入されたか(それ故、どの流路によって液体がそこに最初に到達したか)を明らかにする。一般論として、インジケータ領域(接合領域の下流に位置している場合)は、2つの異なる信号発生手段の要素を含むことができ、それらは移動できるように上流に配置されている各信号発生手段の1つまたは複数のさらなる要素により検出可能なように異なる信号を発生し、その1つの信号発生手段のさらなる要素は、テスト流路中に配置されており、その他の信号発生手段のさらなる要素は、基準流路中に配置されており、さらなる要素が、信号を発生するために、インジケータ領域中の他の要素と接触するために必要である。2つの信号発生手段のどちらが活性化されるかは、さらなる要素のどれがインジケータ領域に最初に到達するかに依存し、それは、立ち代って、テスト流路および基準流路に沿った液体の流れの相対速度に依存する。
【0078】
一実施形態において、該インジケータ領域は、pHに敏感なインジケータを含み、テスト流路および基準流路は、それぞれ、異なるpHに影響を及ぼす試薬、例えば、1つは比較的酸性のpHにおけるバッファーを含み、1つは比較的アルカリ性のpHにおけるバッファーを含む。液体がインジケータ領域に最初に到達する流路は、それ故、そのインジケータ領域におけるpHおよびそれ故インジケータの色を測定する。インジケータ領域中に備えられているインジケータは、固定した形、例えば、チャネルの表面またはインジケータ領域中に備えられている紙等の多孔質母材の上もしくは内部に備えることができる。
【0079】
下流のインジケータ領域を有するこの一般タイプの実施形態は、テスト流路に沿った液体の流れを、基準流路に沿った液体の流れをインジケータ領域に最初に到達させるためまたはその逆のために大きく変えることを必要としなくてもよく、1秒または2秒といったわずかな時間差で十分であり得るという利点を有する。
【0080】
他の実施形態においては、インジケータ領域は、基準流路およびテスト流路のそれぞれにおいて、接合領域の上流に備えられる。一実施形態において、基準流路に沿った液体のある点までの流れは、テスト流路に沿った液体の流れを、この液体がテスト流路上のインジケータ領域に到達する前に阻止するように作用し、その結果、確実なアッセイ結果がインジケータ領域において示される。いくつかの実施形態において、染料等の指標物質を、目に見える変化が、液体がテスト流路および/または基準流路のインジケータ領域に到達した場合/時に、見ることができるように、インジケータ領域の上流に備えることは有利であり得る。
【0081】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、接合領域の上流のテスト流路および基準流路の両方に備えられたインジケータ領域を含む。サンドイッチ型アッセイに対して1つまたは複数の気泡の発生をもたらす検体の存在下で、テスト流路に沿った流れは、減速または停止し、基準流路からの液体がそのインジケータ領域に最初に到達することを可能にし、検体の存在を示す。検体が存在しない場合は、テスト流路および基準流路は、テスト流路からの液体サンプルが、基準流路からの液体の前に接合領域に到達するように設定することができる。テスト流路からの液体が接合領域に一旦到達したら、それは、基準流路中の液体が、少なくともテストの時間内は、基準のインジケータ領域に決して到達しないように基準流路内の液体の流れを遮断する。
【0082】
いくつかの実施形態において、該インジケータ領域は、毛細管等のマイクロ流体チャネルを含み、これはユーザーの目に見える(例えば、他の不透明なハウジングの窓またはすき間を通して)。一実施形態において、該インジケータ領域は2つのチャネルまたは毛細管を含み、1つはテスト流路の一部を形成し、1つは基準流路の一部を形成している。1つの実施形態において、インジケータ領域内のこのマイクロ流体チャネルまたは毛細管は、アッセイの実施中に着色した液体によって満たされるようになる。その液体の色は、それ自体がアッセイの結果を示すことができる。あるいは、この着色した液体は、チャネルまたは毛細管の可視性を改めるために単に役立つだけであり得る。例えば、透明なまたは白色の背景に対する透明なプラスチックまたはガラスの毛細管は、見てすぐに分かることができない。そのようなチャネルまたは毛細管中への着色した液体の導入は、コントラストを増し、チャネルまたは毛細管を容易に見ることができるようにする。あるいは、チャネルまたは毛細管がその背景によって最初に高いコントラストのものである場合(例えば、赤の背景に対する白の毛細管)、そのとき背景と同じ色の着色した液体のチャネルまたは毛細管中への導入は、コントラストを減少し、毛細管またはチャネルを見ることを困難にする。これらはすべて、アッセイの結果に関する可視信号を伝達または示す異なる方法を表している。
【0083】
いくつかの実施形態において、該インジケータ領域は、1つまたは複数の単語または記号(例えば「PREGNANT」またはプラスまたはマイナス記号など)を形成する1つまたは複数のチャネルまたは毛細管を含むことができる。本発明に従うアッセイデバイスが妊娠テストデバイスとして提供される1つの特定の実施形態において、1つの流路は、チャネルまたは毛細管が単語の「NOT」を形成するインジケータ領域を含み、別の流路はチャネルまたは毛細管が単語の「PREGNANT」を形成するインジケータ領域を含む。一般的に、単語の「NOT」は、テスト流路中に形成され、単語の「PREGNANT」は、基準流路中に形成される。サンプルがhCGを何ら含有しないデバイスに適用される(すなわち、被験者が妊娠していない)場合、液体はテスト流路および基準流路の両方に沿って自由に流れる。着色された標識例えば染料は、両方の流路に沿って輸送され、単語の「NOT」および「PREGNANT」がディスプレー中のメッセージとして現れる。hCGを含むサンプルがこのデバイスに適用される場合、テスト流路中に存在する凝集試薬(凝集?ガスではない?)(例えば、抗hCG抗体をコートしたラテックスの粒子)は、流れの速度を基準流路中の液体が、テスト流路中の液体がインジケータ領域に到達できる前に合流点に到達できる程大幅に減少する。これにより、テスト流路は効果的にブロックされ、その結果単語の「NOT」は見えなくなり、その代わり、そのディスプレーは「PREGNANT」のメッセージを与える。
【0084】
本アッセイデバイス中の1つまたは複数の流路は、基本的に直線状である。あるいは、コンパクトな形状を提供するために流路はヘビ状またはその他の回旋状の経路をたどることがあり得る。この流路は、泡保持手段、例えば、気泡の捕捉を容易にし、よって、流れを減少または停止するための流路中のブロックの形成を助けるネックまたは1つまたは複数の狭窄部分などを含むことができる。この流路は、気泡捕捉または保持手段を含むことができる。例えば、この流路は、基部内に2つ以上の重なり合った指または突起を有するチャネルを含むことができる。かかる実施形態は、複数の互いにかみ合った指が、チャネルの対側から流路中に突出している「鋸歯状」の部分によって都合よく形成することができ、その配置は気泡を捕捉するのに非常に効果的であることが示されている。流路は気泡の形成を促進するために役立つ1つの突起または要素を含むことができる。この突起は、例えば、鋸の歯のような要素であり得る。流路は、気泡の発生を促進するために役立つ化学的または物理的な核形成部位を含むことができる。泡による流れの減速化または停止を促すためのその他の方法は、流路のその幅または高さ、疎水性領域、および流路の表面積を増すために腐食した表面を狭めるために1つまたは複数の流れ制限要素を提供することである。この表面は例えばグリッドパターンに腐食するか一連の平行腐食ラインを含むことができる。
【0085】
流れを減速するには多孔質構造物を使用することができる。例えば、該流路はガラス繊維またはその他の多孔質不活性物質等の多孔質物質を含むマイクロ流体チャネルおよびチャンバーを含むことができる。
【0086】
気泡が生成する領域において、該流路は、泡が流体サンプルから周囲の環境中に逃げるのを防ぐためにじかに接している環境に対して有利には実質的に密閉することができる。したがって、泡は少なくともテストの持続中はそれらが液体またはそれの一部の流速を変えることができるようにデバイス中に保持することができる。この流路(またはそれの1つまたは複数の部分)は、例えば、実質的にガス不浸透性である材料を含む壁によって取り巻かれたマイクロ流体チャネルであり得る。一般的に、該デバイスは、じかに接している環境に対して完全に密閉されて、液体サンプル適用の1つのゾーンまたは複数のゾーンおよびそのデバイス中に存在することができる空気穴から離れている。
【0087】
本アッセイデバイスは、さらなる試薬、例えば、砂糖および/またはアッセイデバイス中に存在する1つまたは複数の試薬の再懸濁もしくは可溶化を安定化させまたは促すために役立つウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質などを含むことができる。
【0088】
別の態様において、本発明は、アッセイを実施する方法を提供し、その方法は液体サンプルを本発明の態様に従うアッセイデバイスに適用するステップを含む。
【0089】
さらに別の態様において、本発明は、アッセイデバイスを製造する方法を提供し、その方法は、アッセイの実施中、ガス生成反応に参加またはそれに触媒作用を及ぼす少なくとも1つの試薬をアッセイデバイス内またはそれに堆積させるステップを含む。
【0090】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、遊離の第1試薬および第2試薬の間の反応を防ぐために、蓄積ゾーンのすぐ上流および/または下流に備えられた固定された防止剤を含むことができる。そのようにして、ガスは第2試薬が第1試薬と蓄積ゾーンにおいて反応する結果として発生するのみである。
【0091】
適切な防止剤は、酸素ガスを生成するカタラーゼと過酸化物の間の反応を防止するアジドである。例えば、検体が存在しない液体サンプルを用いるときのサンドイッチアッセイにおいて、標識した試薬の殆どは蓄積ゾーンにおいて結合することはなく、したがって蓄積ゾーンの下流に移動する。来続ける基質(カタラーゼの場合は過酸化物)は、蓄積ゾーンの下流に存在する標識した試薬と反応し、泡を発生する。このようにして生成した泡は、検体がサンプル中に存在しないときはそれらがテストチャネル中の流れを減少または停止するので逆効果である。この蓄積ゾーンの下流に防止剤の酵素を包含させることにより、蓄積ゾーンの下流における泡の生成は減少する。同様の効果が、蓄積サイトの下流のチャネル中のpHを酵素活性が破壊されるか著しく減少するように極めて酸性またはアルカリ性に変えることによって達成され得る。
【0092】
本アッセイデバイスは、そのアッセイが正しく行われたことを示すことができる対照アッセイをさらに含むことができる。対照アッセイは、例えば、そのアッセイデバイスそれ自体が正しく機能したかどうか、または、ユーザーがそのデバイスを正しいやり方で使用したかどうかを確定するのに有用である。多数の要因が単独または組み合わさってデバイスに誤った結果を与えることに関与し得る。例えば、1つまたは複数の流路における欠陥、例えば、試験デバイスにおける妨害物、供給された1つまたは複数の試薬の劣化または不足などが存在し得る。対照アッセイの目的は、したがって、テスト結果が有効であることを示すことである。
【0093】
該対照アッセイは、テスト流路および基準流路と類似していることができ、例えば、対照基準流路中の流れが対照テスト流路中の流れと比較され得る対照テスト流路および/または対照基準流路を含むことができる。この対照テスト流路は、例えば、流体サンプル中に存在する検体の量とは無関係の1つまたは複数の泡を生成するために所定量のガスを発生する1つまたは複数の試薬を含むことができる。この1つまたは複数のガス発生試薬は、テスト流路において採用されたものと同じものであり得る。対照基準流路は、一般的にはガス発生試薬は何ら含まない。テスト対照流路および基準流路は、下流の接合領域において交差することができる。対照アッセイは、接合ゾーンの上流または下流に備えられた1つまたは複数のインジケータ領域を含むことができる。
【0094】
一実施形態において、インジケータ領域は、対照テスト流路および対照基準流路の両方における接合領域の上流にそれぞれ備えられる。使用中、対照テスト流路中の流れは、減速または停止されて対照基準チャネル中の流れが接合点に最初の到達することを可能にし、よって対照テストチャネル中の流れを詰まらせる。その際、対照基準チャネル中のインジケータは、ユーザーにテストが正しく機能したことを示す。反対に、対照テストチャネル中の流れがデバイスの不調によって減速されないか停止されずに対照テストチャネル中に泡を発生しない場合、対照基準チャネル中の流れは接合点に最初に到達し、よってデバイスの不調が接合点の上流の対照基準チャネル中に存在するインジケータのおかげで示される。共通のサンプル適用領域は、テスト流路および基準流路ならびに存在する場合は対照テスト流路および対照基準流路を接続することができる。
【0095】
本アッセイデバイスは、サンプルを適用することができる流体サンプル容器を含むことができる。したがって、デバイスに適用される液体サンプルは、1つまたは複数の流路に連続的に供給することができる。
【0096】
誤解を避けるために、本明細書に、「典型的な」、「好ましい」、「便利な」、「望ましい」、「有利な」等のように記載されている本発明のどんな特徴も、文脈がそうでないように述べていない限り、孤立して、またはそのように記載されている任意の1つまたは複数のその他の特徴との任意の組合せで本発明には存在し得ることをここで明白に述べておく。同様に、文脈がそうでないようにはっきりと述べていない限り、本発明の一態様に関して記載されている特徴は、本発明の他の態様に関して一般に適用可能である。
【0097】
本発明をここで説明に役立つ例によって添付の図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】過酸化物の不動化したカタラーゼとの接触による気泡の発生を概略的に示す図である。
【図2】以下の実施例1に従って調製したアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示す図である。
【図3】以下の実施例2のそれに従って調製したデバイスを示す図である。
【図4】実施例3に従って調製した蛇行路を両方とも有する基準チャネルおよびテストチャネルを示す図である。
【図5】実施例3に従って調製したアッセイデバイスの一部を概略的に示す図である。
【図6】実施例3に従って調製したアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に従うさらなるアッセイデバイスを示す図である。
【図8】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図9】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図10】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図11】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図12】コンジュゲートの相対量に対する平均停止間隔(ループの数)のグラフを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に従うさらなるデバイスを示す図である。
【図14】本発明の実施形態に従うデバイスの副層を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に従う完成したデバイスを示す図である。
【図16】図15に示されており実施例6に記載されているデバイスに適用されたさまざまな濃度のhCGを含有するバッファーサンプルに対する平均停止時間のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下はこれまで以上に詳しく図の説明をする。
【0100】
図1はhCGの検出のために使用中のデバイスの一部を示している。hCG結合試薬複合体標識化カタラーゼが過酸化水素試薬と接触する前に蓄積ゾーンにおいて不動化される。過酸化水素と接触した時点で、カタラーゼは酸素ガス生成に触媒作用を及ぼす。
【0101】
図2は、実施例1に従って調製したさまざまなアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示している。アッセイデバイスに沿った液体サンプルの流速の顕著な変化が、液体サンプル中のhCG量が変化するにつれて見られた。
【0102】
図3は、マイクロ流体のテストチャネル(A)および基準チャネル(B)を含む実施例2に従って調製されたデバイスを示している。このデバイスは各アッセイに対して適用ポート(32)、チャネル(31)およびシンク(33)を含む。カタラーゼ標識した結合試薬は、テストアッセイのチャネルの長さに沿って供給される。過酸化水素の水溶液および可視染料をデバイスに添加するとすぐに、テストチャネル中で過酸化水素が標識化結合試薬と反応して気泡を発生した。これは、流路に沿った液体サンプルの流れの減少をもたらした。基準チャネルは、標識化カタラーゼを何ら含まず、基準チャネルに沿った液体サンプルの流れの減少は見られなかった。したがって、染料は基準チャネル中のシンク33を殆ど完全に満たしたが、一方、染料はテストチャネル中のシンクはごく一部を満たすのみであった。
【0103】
図5は、気泡捕捉性突起を含む実施形態に従うアッセイデバイスの一部を示している。
【0104】
図7は、2つの絶え間なく続く流体がチャネルAおよびBからエアロックを取り込むことなく一緒にされることを可能にするマイクロ流体のゲートX(キッスゲート)を含む本発明に従うアッセイデバイスの実施形態を示している。
【0105】
図8から10は、本発明に従うアッセイデバイスのさまざまな実施形態の概略の配置である。図8には、何らのエレクトロニクスを使うことなく、および、電気またはその他の出力の供給なしで、デジタルまたはバイナリーのアッセイ結果(「はい」または「いいえ」の答え)を生じさせることができるアッセイデバイスが描かれている。このデバイスは、確定した体積を有するチャンバーまたは容器20を含む。チャンバー20は、分析すべき液体のテストサンプルを導入することができる注入口22を有する。チャンバー20に導入された液体が、その後2つのテスト流路24a、bに同時に入り始めるように、2つのテスト流路24aおよび24bは、注入口22から等距離の点においてチャンバー20から分岐している。
【0106】
2つのインジケータ液流路がデバイス内に備えられており、1つはチャンバー20から下流のインジケータ領域26aまでであり、1つはチャンバー20からインジケータ領域26bまでである。しかしながら、チャンバー20内の液体が毛管現象によって下流のインジケータ領域26a、bに進行することは、いずれも、それぞれの障害物28a、bによって妨げられる。この例においてその障害は、それぞれのインジケータ液流路を有するT型接合部を形成するそれぞれのテスト流路24a、bのボアによって形成される断絶により生み出される。
【0107】
図示されている例においては、同じ液体サンプルが、テスト液(テスト用毛細管24a、bに沿って流れる)としておよびインジケータ液(最終的にはチャンバー20からインジケータ領域26aまたは26bの1つまで流れる)としての両方として作動する。この液体サンプルは、例えば、血液、尿またはその他の体液であり得る。テスト流路24a、bの1つの中に、例えば対象の検体の存在下でガスを発生するガス発生試薬を堆積させることができる。このガスは、流路に沿った液体のさらなる前進を遮断する泡を形成する。これは図8において蛇行している流路24bによって示されている。
【0108】
チャンバー20中に留まっているサンプル液は、インジケータ液として機能する。それはチャンバーを実質的に満たすが、テスト流路24a、bのボアによって構成される毛細管断絶によって与えられる障害物28a、bを前進して通過することはできない。上で説明したように、テスト液は、流路24bに気泡が形成されるためにそれがテスト流路24bの終点に到達する前にテスト流路24aの終点に到達する。テスト液が流路24aの終点に到達すると、断絶は破壊され、それによって障害物28aは効果的に除去されて、インジケータ液のチャンバーから下流のインジケータ領域26a(これはインジケータ領域26bとは別で分離している。)中への前進が可能となる。インジケータ液がインジケータ領域26a中に入ると視覚信号の形成および出現がもたらされる。これは、多数の方法で、典型的には色の変化によって、達成することができる。
【0109】
インジケータ領域26aの容積は、チャンバー20からの実質的にすべての液体を受け入れるのに十分である。
【0110】
液体がインジケータ領域26a中への移動を開始すると共に、チャンバー20中の液体は、障害物28bとの接触から離され断絶の大きさを効果的に増大する。
【0111】
したがって、テスト液が最終的にテスト流路24bの終点に到達した場合/とき、それは何の効果も有さず、チャンバー20中のインジケータ液は、下流のインジケータ領域26bに依然として入ることができない。
【0112】
図9および10は、この概念の変形を概略的に示しており、この場合もやはり、デジタルまたはバイナリーのアッセイ結果の読み出しを与える「レース」アッセイを提供する。
【0113】
図9に示されているデバイスは、両方とも毛細管チャネルを含むテスト流路4および基準流路6に流体的に接続しているサンプル適用領域2を有する。フィルター8を、流路の1つまたは両方に場合によって備えることができる。これらの流路は下流の接合領域10において合流して共通のチャネル12に通じる。インジケータ領域14は、接合領域10の下流に備えることができる。
【0114】
サンプル適用領域2中のサンプル適用ポートを経てデバイスに適用された液体サンプルは、それぞれテスト流路4および基準流路6に沿って接合領域10に向けて流れることができる。1つまたは複数のベントが、デバイスからの空気が毛細管に沿った液体の前進によって置き換えられるように、共通チャネル12およびインジケータ領域14に備えられている。しかしながら、流体前部の1つが接合領域10に到達した途端にそれはベントからの他の流路を遮断して、他の流路に沿った液体のさらなる前進を阻止する。よって、このデバイスは、流体前部が接合領域10に最初に到達する流路に沿って流れる流体のインジケータ領域14中への到着のみを許す。インジケータ領域は、観察者がそれぞれのチャネル中のどの流体が最初に到達したかを断定することを可能にするように流体チャネル中に備えることができる。例えば、さまざまな色の染料を、流体サンプルがその染料と相互作用して特定の色の液体を生成することができるように、各チャネル中に備えることができる。よって、インジケータ領域中の特定の色をした染料の存在は、どの流体が流体ゲートに最初に到達したかをユーザーが断定することを可能にする。
【0115】
流路4、6に沿って液体が前進する相対速度は、流路の1つにおいて、例えば、対象の検体の存在に応答してガスを発生する流路中に不動化されたガス発生手段を備えることにより、検体特有の様式で気泡の形成をもたらすことによって影響され得る。
【0116】
別の実施形態を図10に示す。
【0117】
前の実施形態と同様に、このアッセイデバイスは、共通のサンプル適用領域2の中にサンプル適用ポートを含み、そこから、液体サンプルは、テスト流路4の一部を形成する毛細管および基準流路6の一部を形成する別の毛細管中に流れることができる。別法では、それぞれの流路は、独自の別のサンプル適用領域を備えることができる。当業者には当然のことながら、この例に記載されているアッセイデバイスは、さらなる対象の検体の存在についてテストするためのさらなるテスト流路を備えることができる。このまたはそれぞれのさらなるテスト流路は、必要に応じて、対応する基準流路を備えることができる。
【0118】
図2に描かれている実施形態において、各流路は、接合領域10の上流にフィルター要素8およびインジケータ領域14を含む。
【0119】
フィルター要素8は、1つまたは複数のガス発生試薬を含む。対象の検体(この例ではhCG)の存在下で、試薬は流路4を閉鎖する泡を形成するガスを発生する。
【0120】
それぞれの流路には、液体サンプルと接触して集められて共に移動する着色染料を備えることもできる。
【0121】
それぞれの流路のインジケータ領域14は、テスト流路4中に単語の「NOT」を、および基準流路中に単語の「PREGNANT」を形成する毛細管チャネルを含む。これらの毛細管は透明な合成プラスチック材料から形成され、低いコントラストの背景(例えば、白または透明な合成プラスチック材料)に接している。したがって、アッセイの実行前に、毛細管は非常に目立つことはない。
【0122】
しかしながら、アッセイが一旦開始されると、インジケータ領域の上流の流路中にある染料は、前進する液体サンプルによって集められる。サンプルがhCGを含んでいない場合、液体は両方の流路に沿って自由に流れる。染料を含有する液体は、よって両方の毛細管を満たして「NOT PREGNANT」のアッセイ結果を示す。ベントを基準流路に沿ったいくつかのポイントに提供してそれに沿った液体の流れを促進することができる。特にこれらのベントは、液体が基準流路のインジケータ領域を満たすことを助けるために提供することができる。好ましくは、かかるベントはテスト流路中には存在せずに、空気はテスト流路の毛細管4から、接合領域10の下流の共通チャネル12中の1つまたは複数のベントによってのみ放出され、基準流路6に沿って流れる液体はテスト流路4に沿って流れる液体の先端より前に接合領域10に到達する場合には、空気をもはやテスト流路の毛細管からは移動させることができず、そのチャネルに沿った液体のさらなる前進は妨げられる。
【0123】
テスト流路および基準流路に沿った液体の流速、および/またはそれぞれの流路の長さは、hCGが存在しない場合、液体が流路4、6の両方に沿って流れ、それぞれのインジケータ領域を満たすように調節される。一般的に、サンプル中にhCGが存在しない場合、基準流路に沿って流れる液体は、テスト流路に沿って流れる液体と同時に、またはそれよりほんの1秒か2秒早く接合領域10に到達する。
【0124】
しかしながら、適用されたサンプルがhCGを含む場合は、テスト流路の毛細管に沿った液体のインジケータ領域に向けた前進を実質的に妨害するガスの発生および泡の形成がテスト流路4において起こる。これにより基準流路に沿った液流が接合領域まで容易に「レースに勝つ」ことが可能となる。基準流路に沿った液流は、テスト流路4に沿った液流がインジケータ領域に到達する前に接合領域10に到達する。この場合は、単語「NOT」は染料で満たされることはなくぼやけたままであり、一方単語「PREGNANT」は非常に目立つようになり、このようにしてアッセイ結果を示す。
【0125】
図13は、それぞれ基準流路およびテスト流路に接続しているサンプル適用領域2および3を有する基準流路4およびテスト流路5を含むデバイス1を示している。泡捕捉領域6ならびにテスト用インジケータ領域8および基準インジケータ領域7もまた示されている。接合領域は10に指し示されており、蓄積ゾーンは9に示されている。図13のデバイスを使用して行われたアッセイは、実施例5に記載されている。この図に示されている基準チャネルは、その遠位末端に蛇行形状を有する大部分が直線状であり、一方テストチャネルは殆どが蛇行した形状をしている。この場合はデバイスをよりコンパクトにするために両方のチャネルが入り組んだ形状を採用した。
【0126】
図14および15は、それぞれ、サブ積層構造のデバイスA、BおよびCならびに完成したデバイス30を示している。デバイス30は、同じ形状および寸法の2つのテストチャネル32を含み、それぞれ、エッチング加工した泡トラップ31およびサンプル適用ゾーン34を含む。
(実施例)
【実施例1】
【0127】
ニトロセルロース多孔質担体を含むhCGに対する流量制限イムノアッセイ
アッセイデバイスを次のようにして用意した。
試薬の準備:
抗−αhCGおよびカタラーゼの青色ポリスチレンラテックス粒子への共不動化。
【0128】
材料
・Duke Scientificの青色ポリスチレンラテックス粒子、直径400nm、固形分10%(w/v)、ロットCB1860
・BDH Analarの95%エタノール+0.5%酢酸ナトリウム(Sigma)
・脱イオン水中200mg/mlとして調製したIntergenのウシ血清アルブミン(BSA)Cohn 5YT 19202
・抗−αhCG体内クローン3299、ロットPL1257、PBSA中3.4mg/ml
・Sigmaのヒト赤血球からのカタラーゼ、pH8.0の50mMトリス中で供給された52200単位/mgタンパク質における90%純度のSDS−PAGE C3556、ロット116K1463
・10mMのホウ酸塩バッファー、pH8.5
方法
1.ラテックス粒子を10mMホウ酸塩バッファー中0.5%固形分(w/v)に希釈する(1.7mlのエッペンドルフチューブ中に1mlの希釈したラテックスを用意する)。
2.そのエッペンドルフチューブをHeraeus Biofuge 17RS遠心分離機により15℃で5分間17,500rpm(25,848rcf)で遠心分離する。
3.上澄み液を除去し、ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。
4.100μgのカタラーゼを新たな1.7mlのエッペンドルフチューブに入れ、100μgの抗−hCGを加える。
5.ステップ3からの洗浄したラテックスを、ステップ4のエッペンドルフチューブに加え、マイクロピペットに入れたり出したりを繰り返すことによって(入れて出すサイクルをほぼ6回)よく混合する。
6.直ちに200μlのエタノール−アセテートを加えて約5秒間ミキサーによりよく混合する。
7.エッペンドルフチューブを回転ミキサー(約60rpm)上に周囲温度で60分間置く。
8.50μlの200mg/mlBSAを加え、回転ミキサー(約60rpm)上の混合を30分間続ける。
9.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
10.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
11.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合し、4℃で一晩保存する。
12.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
【0129】
抗−βhCGの不動化したゾーンを有するニトロセルロース膜の準備
材料
マイラー支持材上の8μmのニトロセルロース膜
3mg/mlの単クローンの抗−βhCG体内クローン3468
Sigmaの脱イオン水(ブロッキングバッファー)中の1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA)10,000の分子量+3%(w/v)スクロース(Sigma S8501)
方法
1.3mg/mlの抗−βhCGを計量ポンプおよびシリンジを用いて、幅約1mmおよび長さ約300mmのニトロセルロース膜に堆積させてゾーンを生じさせる(約0.1μl/mmで堆積)。
2.このニトロセルロース膜を暖気の下50℃で約10分間乾燥させる。膜の一端にブロッキングバッファーを塗布し、そのままそれがテストラインの長さ方向に沿ってそれが膜を満たすまで流れて膜を濡らすようにする。
3.このニトロセルロース膜を暖気の下75℃で約10分間乾燥させる。
4.この膜を、幅が約6mmと長さが40mmのストリップであって、その幅(6mm)を横切る抗−βhCGのテストゾーンを有し、テストラインがそのストリップのベースから約10mmであるストリップに切断する。
【0130】
hCGに対する流量制限イムノアッセイを実施するプロトコール
1.実験台のベースに接しているテストストリップの近接端部を有する垂直な支持材上にニトロセルロース膜のストリップを配列する(テストラインはベースに対して約10mmの位置にある)。シンクとしてのゲル吸取紙をテストストリップの遠位末端に貼り付ける。
2.10μlの抗−αhCG中のコートしたラテックス+50μlの0mIU/mlのhCGを含有するバッファー処理した標準(PBSA)の混合物を準備する。この混合物をテストストリップのベースに塗布し、それをそのままベースが乾燥するまでクロマトグラフにかける。50μlのホウ酸塩バッファーをストリップのベースに塗布し、それをそのままベースが乾燥するまでクロマトグラフにかける。
3.テストストリップを周囲温度で約3時間乾燥させる。
4.ニトロセルロース膜の表面に、そのストリップの幅全体をそれが覆うように、その膜の近接端部から約2mmのところから遠位末端まで達する接着ラミネート膜(ARCare 7759 co #D9012)を貼付する。
5.テストストリップを2つの顕微鏡スライドの間にはさみ、これらをワニ口クリップと共に保持する。テストストリップを実験台と接している近接端部と垂直に立てる。
6.50μlの5%H2O2(v/v)(30%H2O2Sigma H−1009ロット021K3250のストックから脱イオン水+5mg/mlBSAを用いて希釈)を、テストストリップのベースに適用し、そのままクロマトグラフにかける。溶媒前部の動きを観察し、その溶媒前部がH2O2を適用した段階から32mmの間隔を移動するのに要する時間を記録する。
7.0mIU/mlhCGによるテストストリップの3つのさらなる反復データを生じさせるために上記のことを繰り返す。
8.それぞれ10、25および50mIU/mlhCGのバッファー処理した標準により行った4つのテストストリップを生じさせるために上記のことを繰り返す。
【0131】
サンプル中に存在するhCG検体の量対液体サンプル溶媒前部が多孔質母材に沿って移動するのに要する時間についてプロットした。
【0132】
そのグラフを図1に示す。図1から、液体サンプル中のhCG検体の存在は、液体サンプルの流速の低下をもたらすことを見ることができる。
【実施例2】
【0133】
検体依存様式で流れを停止する酸素の泡を用いる毛細管アッセイ
毛細管の構成:
ベース:ポリスチレン顕微鏡スライド
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
トップ:175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)
2×1mmの毛細管を顕微鏡スライドの長さに沿った白色PSAテープに中に作った。(下記参照)
ボリューム収集チャンバー:
ベースおよびトップ: 175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
プロトコールの最後のステップのために毛細管スライドに付けることができる各末端において1mmまで細くなる6mmのチャンバー。(下記参照)
アッセイ型式:
両方のチャネルに対するプロトコール
1.チャネルの長さに沿って15μlの3468を2.03mg/mlバッチPL1322で適用し、10分間そのまま置く。
2.20μlのPBS中5mg/mlのベータカゼインを適用する。10分間そのまま置く。
3.さらに5mg/mlベータカゼインを適用する、10×5μl/チャネル。
4.5mg/mlベータカゼイン中で作製した5×5μlの5KmIU/mlのhCGスタンダードまたは0スタンダードをロードする。5分間そのまま置く。
5.3と同じ。
6.5×5μlの0.05%(BR101007)3299−カタラーゼラテックス粒子(400nm)をロードする。20分間そのまま置く。
7.洗浄、20×5μlPBS、次いで2×5μlの赤色染料/チャネル。
8.収集チャンバーを取り付け、ビデオを開始する。
9.5μlのPBS中1%の過酸化水素を1/6青色染料と共に加える。10分間そのまま置き、次に続いて過酸化水素の5μlのロットを加える。
【実施例3】
【0134】
検体依存様式において酸素の泡を用いて流れを停止させる毛細管アッセイ
第1結合試薬−検体−標識化結合試薬複合体を反応ゾーンにおいて磁石を用いて不動化または捕捉するマイクロ流体タイプの毛細管アッセイを構成した。この例によれば、第1結合試薬は、磁性粒子によって標識された。
【0135】
毛細管の構成:
ベースおよびトップ:175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)HiFi PMX 715
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
2×1mmの毛細管を、蛇行型をしたデバイスの長さに沿った白色PSAテープに中に作製した。サンプル適用部分の末端に大きな輪を切り抜き、パターンの前のまっすぐなチャネル中は一連の「鮫」の歯である。その歯のすぐ前のデバイスの下部にはステープルと磁石を、1μmの磁性ビーズの捕捉を可能にする磁場に焦点を合わせるやり方で配置した。
【0136】
プロトコール
1.テスト用と対照用サンプルを準備:
試薬:hCGスタンダード、アジドを含まず。1mg/mlのBSA+0.05%ProClin300 3468磁性ビーズ(Dynabeads−MyOneのトシル活性化物)
3299−カタラーゼコンジュゲート(グルタルアルデヒドDT Cl 29/11/07)
対照:5μlの磁性ビーズ、5μlのClコンジュゲートおよび10μlの0hCG
テスト:5μlの磁性ビーズ、5μlのClコンジュゲートおよび10μlの500mIU/mlのhCG
2.2μlの染料溶液を加える。(1/4青色食用染料)
3.TまたはCチャネルに2μlの粒子/コンジュゲート/hCG混合物を加える。
4.各チャネルに60μlの1%過酸化水素を加える。
5.毛細管に沿った染料前面を観察する(ビデオ)。
【0137】
多数の上記デバイスを準備し、多様な濃度のhCG検体を含む多数の液体サンプルについてテストをし、この液流前部がチャネルに沿って流れたmmの距離(停止距離)を測定した。停止距離対hCG濃度のグラフを図6に示す。
【0138】
図7に示されているアッセイデバイスは、容器A中の第1の流体および容器B中の第2の流体がそれらのそれぞれのチャネルに沿って流れ、接合点またはゲート(X)で交わることができるように使用することができる。さらに、この構造は、第1の容器(A)からの液体が、流路に沿って流れて、不動化ゾーン(Y)に、第2の容器(B)からの液体がその不動化ゾーンに到着する前に到着するようになっている。容器B(またはそれから下流の流路)は、第2試薬を含むことができ、容器A(またはそれから下流の流路)は、標識化第1試薬を含むことができる。基準チャネルCを備えることもできる。
【0139】
図7は、2つの流体の流れが、エアロックを取り込まないで一緒にされることを可能にするマイクロ流体のゲート(キッスゲート)を組み立てるために使用される3つの層を概略的に示している。
ベースおよびトップ(71&73):175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)HiFi PMX 715
中央(72):約100μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
ベース層(71)は、2つの液体の流れが出合う位置におけるポリエステルフィルムの親水性の側面上に、その中に刻まれた溝を有する。中央層(72)は、約1mmの幅であり、2つのフィードAおよびBを有するテストチャネルならびに基準チャネルCを含むチャネルを構成するために使用される。トップ層(73)は、PSA中央層上に疎水性表面の側が下向きに接着されており、サンプルが同時に流体チャネルA、BおよびCに適用されることを可能にするそれに切り込まれた穴を有する。トップ層73は、チャネルAの末端におけるベントとして作用する開口部を有することもできる。
【0140】
イムノアッセイ試薬は、容器A中で乾燥され、過酸化水素発生試薬(例えば過酸化尿素)は、容器B中で乾燥される。
【0141】
サンプルが3つの容器すべてに同時に適用されるとき、流れは3つの流路において起こる。
【0142】
イムノアッセイ試薬(例えばhCGについてのアッセイにおける例えば抗体を塗布した磁性ビーズおよびカタラーゼ−抗体コンジュゲート)は、サンプルによって再水和され、チャネルAを下方に通りすぎる。チャネルBとの交差点に到着すると、親水性ベース中の切り込み線がチャネルB中への液体の横断を防ぎ、そのため流れは流れ続けてそのチャネルの末端に至る。検体の存在下では形成された免疫複合体は、キッスゲートの下流のチャネルの鋸歯状部分(テストまたは捕捉ゾーンY)において捕捉される。
【0143】
過酸化水素を発生する試薬は、チャンバーB中で再水和され、より長いチャネルBを通過してチャネルAとの交差点(キッスゲート)まで下る。チャネルB中の流体がキッスゲートに到着したとき、チャネルA中の流体の存在は、今や発生した過酸化水素がチャネルA中に移ることを可能にする。容器AおよびBに供給されるサンプル量は、容器Aが、容器B中の流体がキッスゲートに到着する時間までに空になるようになっており、これにより、流れは100%Aの流れから100%Bの流れに切り替わる。過酸化水素がYにおいて免疫複合体を横切るときに、酸素が発生して流れを減速または停止する泡を形成する。
【0144】
均一な乾燥および再水和の際の試薬の徐放を助けるために構造物を容器中に導入することができる。これらの構造物の形状、高さ、表面特性および密度は乾燥および再水和プロセスに影響を及ぼす。容器のチャネルへの入り口の直前への柱(全体高さ約1mm、直径の周りが100μmのPSAテープ)の付加は、再水和した複合体を、流れがチャネルの壁によって影響される側面にではなくチャネルの中心に注ぎ込むために使用することができる。これによって試薬の容器からのより完全でより速い排出が可能となる。
【実施例4】
【0145】
乾燥したコンジュゲート試薬
吸着した抗−βhCG(クローン3468)−3468磁性ビーズによる1ミクロンの直径の磁性ラテックス、抗−αhCG(クローン3299)と結ばれているヒト赤血球カタラーゼでできているコンジュゲート、およびさらにBSA、スクロース、リン酸緩衝生理食塩水を含んで成り、pH7.4で0.05%のProClin300を含むこれを、表1に合わせて混合した。
【0146】
【表1】
【0147】
4マイクロリットルの試薬を、空気中で乾燥したテストデバイスの蓋の適切な領域上で乾燥し、次いで、分子篩を詰めたデシケーター中に入れたままにして一晩乾燥した。デバイスを組み立て、最初に試薬を、PBS中の3μLのhCG溶液、0.1%のオボアルブミン、0.1%のアジ化ナトリウムによりpH7.4で60秒間再水和させ、次にこれを磁気捕捉ゾーンに追い払い、次にPBS中1mg/mlのBSA中の過酸化水素の10μL、0.05%PC300を過酸化物試薬ゾーンに加え、捕捉した粒子の層と60秒間接触させたままにした後、35μLの同じ過酸化物溶液の2番目の添加により過酸化物試薬ゾーンへの流れを引き起こした。蛇行流路に沿った液体メニスカスによって移動した距離を測定し、いくつかの反復測定の平均を図12に描いた。図11は、この実施例で採用したものと似たアッセイデバイスの概略図である。
【0148】
図12において、8ループ以上にあるデータは、メニスカスがデバイスの末端まで及んだことを示している(1ループ=20mmの長さ)。明らかに、磁性材料の堆積層を形成している結集された試薬は、hCGの存在下でカタラーゼを捕捉し、流体の流れを停止させることができる。
【0149】
過酸化水素試薬
131mgの過酸化尿素粉末(Fluka製品95314、ロット1326053の錠剤を粉砕することによって製造)および0.75mlのPBSに溶解した47mgのスクロースの溶液、0.05%のProClin300、pH7.4を、2MのNaOHによりpH6.9にした。2つの4μLの量をデバイスのベースの上の領域Bにおいて乾燥し、室温(約22℃)の空気の流れの中で乾燥し、次に分子篩乾燥剤を含むデシケーター中に収納した。領域Bにおけるベースは、試薬がピペットでその上に置かれたときそれがその試薬を取り込んでそれをその場所に限定することを可能にするために傷を付けた。
【0150】
テストのため:
1.8μLの抗−βhCGが結合している1mm直径の磁性ラテックスビーズ(10mg/mlの50mL)、75mLのカタラーゼが結合している0.0054mg/mlの1mm直径の磁性ビーズ、および75mLのリン酸緩衝生理食塩水中1mg/mlのウシ血清アルブミン、(0.05%ProClin300、pH7.4)を領域Aに加えて、いくらかのカタラーゼ粒子および抗−βhCG粒子を、Cにおいてラインを形成する捕捉磁気ステープルに供給する。メニスカスの位置に印を付ける。
2.7mLのPBS中1mg/mlのBSA、0.05%ProClin300、pH7.4(バッファーA)を、領域Bにおいて乾燥した過酸化尿素試薬に加え、60秒そのままにして水和させる。メニスカスはキッスゲートの手前で停止する。
3.30mLのバッファーAを、領域Bに加えて溶解した過酸化尿素を磁性ビーズベッドの中を追跡する。マニスカスが移動を停止する位置に印を付ける。
【0151】
結果:
泡は、流れを停止させた磁性ビーズベッド中およびその近くで発生し、過酸化物がそのベッドに供給されていたことを示した。停止距離は、1、1.3、0.8、1.3、1.7、0.6ループ(1ループ=20mmの長さの曲がりくねった毛細管)
さらなる作業により乾燥した試薬中のスクロースの%、乾燥した試薬の体積およびベース上の模様付けの深さへのある程度の依存度が存在することが示された。この初期の作業から、乾燥した配合物中に26%のスクロースを含む上で詳細に記した処方が、テストした3つ(それらのサンプルは、乾燥した配合物中にそれぞれ、0、26%および42%のスクロースを含んだ。)の中のベストであった。
【実施例5】
【0152】
図13に従うデバイスを以下のようにして準備した。
【0153】
寸法が25mmの幅×90mmの長さ×175μmの高さの2つの未処理ポリエステル層および1つの25mmの幅×90mmの長さ×100μmの高さのものを準備し(HiFi PMX 739)、それぞれ診断用デバイスのベース、蓋およびガスケットを形成した。
【0154】
蓋の裏面を帯電防止親水性コーティング(HiFi PMX 715)により処理し、図13に示されているマイクロ流体のデザインを、Graphtecプロッターを用いてガスケットから切り取った。糊をガスケットの上面と下面に塗布し、3つの層を一緒に積層した。得られたデバイスは、親水性屋根と未処理の壁および床を有するマイクロ流体チャネルを有した。
【0155】
チャネルの高さは100μm、幅は1mmであった。基準チャネルのサンプル適用ゾーン2からインジケータ領域7までの長さはほぼ12mmであり、テストチャネルのサンプル適用ゾーン3からインジケータ領域8までの長さはほぼ11.5mmであった。泡トラップ6は、寸法が1mm幅×5mm長さのガラス繊維(Millipore G028)を含んだ。蓄積ゾーン9は、泡トラップの1mm上流に位置した。インジケータゾーンは、それぞれ、Brillinat Blue R色インジケータを含有する4mm2のWhatman No.1濾紙を含んだ。
【0156】
1μmの磁性粒子に付着させたhCG(インハウスクローン3468)に対する抗体、hCG(10,000mIU/ml)、およびカタラーゼで標識したhCG(インハウスクローン3299)に対する第2の抗体の2μlのインキュベートした混合物を、サンプル適用ゾーン3に加えた。磁性粒子を取り出し、磁石により蓄積ゾーン9に保持した。6μlのPBSバッファーを、その後標識した複合体を洗浄するためにサンプル適用ゾーン3に加えた。10μlのPBS中0.5%の過酸化物および10μlのPBSをサンプル適用ゾーン3と2それぞれに同時に加えた。蓄積ゾーンにおいて過酸化物がカタラーゼと反応して泡を発生し、それは泡トラップ6において捕捉され、テストチャネル中の流れを停止させた。基準チャネル中では流れが継続し、それはインジケータ領域7における色の変化によって示された。インジケータ領域8においては色の変化は見られなかった。過酸化物のサンプル適用ゾーン3への適用後、流れはテストチャネル中で34秒と40秒の間で捕捉された。
【実施例6】
【0157】
デバイスを図14および15に示されているデバイスに従って準備した。デバイスの外形寸法および積層材A、BおよびCの高さ、幅、長さおよび材料は実施例5によるデバイスと同じである。
【0158】
積層材Cの上面の3mm×2mmの部分を、泡トラップを備えるために、Graphtecプロッターにより、0.2mmの距離間隔を有する多数の食刻ラインを含む細かく刻まれたデザインにエッチングした。仕上がったデバイス中の得られた泡トラップは、1mm幅×2mm長さである。
【0159】
図15中の36におけるチャネルを、泡の収集を助け、それらの流れの制限を高めるために泡トラップの上流の小さい領域におけるその幅を制限した。
【0160】
このアッセイのプロトコールは次の通りであった:
・ビオチニル化抗−βhCG中でコートしたAdemtech製の磁性粒子(ストレプトアビジン中でプレコート)
・アッセイ用バッファーPBS+1mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)
・アッセイ用バッファー中のバッファー用hCGスタンダード
・エアブラシ用バッファー(100mMのトリス+10%BSAおよび20%スクロース、pH9)
・グルタルアルデヒド接合Cl2によってカタラーゼに連結された抗−α−hCG:アッセイ用バッファー中で1:4に希釈
・Sigma過酸化物原液30%(w/v)
1.1%固形分のエアブラシ用バッファー中の磁性ビーズを準備する。
2.5μlのエアブラシ用バッファー中の磁性ビーズを、5μlの0hCGを含むバッファースタンダードと混合する。2.5μlの希釈したコンジュゲートCl2を加え、その混合物を室温で90秒間インキュベートする。
3.チャネルの収縮した領域の約1mm上流に位置する磁気トラップにより積層したデバイスを配置する。
4.2μlの上記混合物をチャネルに適用し、これを流す。磁性ビーズがトラップ領域に集まるのが見られた。
5.6μlのアッセイ用バッファーをデバイスに適用し、これを流す。流れが停止したら、溶媒の前部が到達した点に印を付ける。
6.40μlの0.5%(v/v)の過酸化物(アッセイ用バッファー中で調製)をデバイスに加え、流れが停止するまでにかかる時間を観察する。
7.新しい試薬および新しい積層したデバイスを用いて上記のことを繰り返す。
8.hCGの各濃度に対して2つの複製が生じるように、20,000または2,500または312または156mIU/mlのhCGを含有するhCGスタンダードを用いて上記のことを繰り返す。
【0161】
結果
0hCGで通されたデバイス中の流れは、捕捉されず、その液体はテストチャネルの末端まで移動するのが見られた。テストしたさまざまな濃度のhCGで通したデバイス中の流れは、0hCGで通したデバイスとの差異を見出すことができた(±2の標準偏差に基づく)。
【0162】
hCGを含有する多数のバッファーサンプルについての秒数で表した平均停止時間を図16に示す。このグラフ中に記されているhCGの濃度は、上記のステップ2において引き起こされた希釈の際に生じた実際のhCGレベルである。この図から分かるように、hCGのレベルの増大は平均の停止時間の減少をもたらした。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッセイデバイス、アッセイ実行中のアッセイデバイスに沿った液体の流れを制御する方法、このアッセイデバイスを使用してアッセイを実行する方法、およびアッセイデバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、家庭でまたはポイントオブケアで日常的に使用される種類の安価で使い捨てできるアッセイデバイスは、2つのタイプ、すなわちラテラルフローアッセイデバイスおよびマイクロフルイディクスデバイスの1つに該当する傾向がある。
【0003】
EP291194により開示されているようなラテラルフローアッセイデバイスは、液体サンプルが、多孔質の母材、例えばニトロセルロースまたは紙のフィルターなどに直接または(より普通には)間接的に塗布されるタイプのものである。この液体サンプルは、この多孔質の母材に沿って移動し、動かすことが可能なようにこの多孔質の母材に固定した乾燥したアッセイ試薬または成分(一般的には標識化抗体、例えば微粒子状の標識化抗体など)を通常は移動させる。一般的に、この標識化抗体は、サンプル中の対象の検体と複合体を形成し、その標識化複合体は、通常は、次に、対象の検体に対する二次抗体によって多孔質母材の検出領域中で捕捉される。この検出領域またはゾーン中の標識化結合試薬の蓄積は、それ故、液体サンプル中の検体の有無または程度を示す。当然のことながら、ラテラルフローアッセイのその他の変形、とりわけ、競合フォーマットアッセイが存在し、そこでは検体がサンプル中に存在しない場合に標識化試薬が検出ゾーン内で捕捉される傾向がある。ラテラルフローアッセイデバイスは、例えば、妊娠ホルモンhCGの有無を判定するためおよびユーザーに妊娠しているかまたは妊娠していないかの指標を提供するために日常的に使用される。
【0004】
検出ゾーンにおける標識化試薬の検出は、視覚的にまたは光検知器によって行うことができる。視覚読取りの非電子アッセイデバイスは、低価格である利点を有するが、かかるアッセイデバイス、特に妊娠テストデバイスおよび/または在宅使用のアッセイデバイスに伴う問題は、それらがある程度の説明を必要とし得る可変強度の信号としてのアッセイ結果を提供することである。これは、アッセイ結果が、特にそのアッセイデバイスのユーザーまたは読取り者が望ましいアッセイ結果を念頭においている場合に、誤った解釈を受けやすくする。これらのテストは、多くの場合、閾値テストとして提供され、サンドイッチアッセイの場合において、閾値より下の標識化試薬のレベルが否定的な結果を示し、閾値より上の標識化試薬のレベルが肯定的結果を示す。結果として、標識化試薬の存在または量が光検知器によって決定され、アッセイの結果が液晶ディスプレー上に示される電子デジタルデバイスが開発されている。そのようなデジタルデバイスは、それらが、説明を必要としない「YES」または「NO」のような明白な結果を提供する利点を有する。かかるデバイスは、1回だけの使用でそれ故使い捨て可能であり得る。それらは、しかしながら、それらが、1つまたは複数の光検知器、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)等の光源、電源、電子回路およびデジタルディスプレーを一般的には必要とするために製造するのに費用がかかる。その上、電子デバイスの廃棄は、環境問題を有する。
【0005】
マイクロフルイディクスアッセイデバイスにおいては、ラテラルフローアッセイにおいて使用されるのと同じ多くの方式を採用することができる。しかしながら、液体サンプルは多孔質母材に塗布される代わりに、このサンプルは導管またはチャネル中に適用または供給され、それに沿ってこの液体は、通常は毛細管作用によって前進する。検出ゾーンは、チャネルの内側表面に備えることができ、その上には例えば固定結合試薬が供給される。マイクロフルイディクスデバイスは、流路がはっきりしており、このデバイスをマイクロ加工した要素、例えば、分岐、混合領域、フロー制御要素、時間ゲート、フィルター等を組み込むように設計することができる特別な利点を有する。マイクロフルイディクスアッセイデバイスの例は、US5458852に記載されている。
【0006】
流路に沿った液体の流れの速度が検体の存在または程度を示す検体を測定するためのアッセイデバイスが知られている。
【0007】
US4963498は、流体サンプル中の検体またはデバイス中に存在する試薬がこのサンプルの流速に影響を及ぼす流体サンプルの特性を測定するためのマイクロフルイディクスデバイスを開示している。このデバイスは、テスト用毛細管および基準または対照用毛細管の両方を含むことができる。
【0008】
EP456699は、それぞれのインジケータチャンバーより上流の多数の流体管に接続しているサンプル適用ポートを含む液体中の物質の存在をテストするための器具を開示している。一実施形態によれば、流体管中に存在する凝集試薬は、サンプルと相互作用して、その流速を変化させて、例えば、この液体がアッセイの時間枠の中でインジケータチャンバーに到達することを防ぐようにする。
【0009】
物質の存在をテストするための毛細管デバイスも、WO2004/083859によって開示されている。このデバイスは、対象の検体(一般的には、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、hCG)の存在下でのテスト用毛細管中の液体サンプルの凝集[この凝集は、テスト用毛細管中の液体サンプルの流れは阻止するが、対照用毛細管(凝集試薬を含んでいない。)中では阻止しない。]を引き起こすことによって正常に機能する。テスト用および対照用毛細管の下流部分における液体サンプルの有無は、電極によって検出される。
【0010】
流路が、例えば、前進する液体サンプルによって埋められるには大きすぎる穴またはすき間を有する流路チャネルの一部の形でのその中の不連続と共に形成され、この穴またはすき間が同じまたは別の液体(例えば、第2の流路に沿って流れてきた。)によって満たすことができ、それによって液体サンプルがこの不連続を通過して前進することを可能にする「ブリッジ」として作用するマイクロフルイディクスアッセイデバイスを提供することも知られている(例えば、WO2006/090144)。この配列は、サンプル中の対象の検体の有無が、液体サンプルのアッセイデバイス内の1つまたは複数の異なる流路に沿った前進の速度に影響を及ぼす「バイナリーアッセイデバイス」の基礎を形成することができ、それは、順に、特定の1つの流路に沿った液体流が、そのアッセイデバイスの「インジケータ」領域に入るかどうかを決め、それによってアッセイの結果を単純な定性的な用語(例えば「はい」または「いいえ」)で示すことができ、よって、アッセイ結果の解釈についてのどのような主観的な要素も最新の電子工学手段またはその他のディスプレー手段を必要としないで除去する。
【0011】
「テスト」流路に沿った液流と基準流路に沿った液流の間の「競争」が存在する上記の配列の変形が、WO2008/025945に開示されている。このテスト流路と基準流路が互いに接触する結合領域が存在する。基準流路に沿った液流が「競争に勝ち」、テスト流路に沿った液流より前に結合領域に到達する場合、そのときテスト流路に沿った液体のさらなる流れは阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第291194号明細書
【特許文献2】米国特許第5458852号明細書
【特許文献3】米国特許第4963498号明細書
【特許文献4】欧州特許第456699号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/083859号
【特許文献6】国際公開第2006/090144号
【特許文献7】国際公開第2008/025945号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において本発明は、検体を含有すると推測される液体サンプルを、ガス発生手段(ガス発生手段は、検体の有無または量に依存してガスを生成し、このガスは液体サンプル中に、流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の泡を生じる。)と接触させるステップ、および流路に沿った液体の流れの変化が、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す液体における流れの変化を決定するステップ、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するための方法を提供する。
【0014】
流れの変化の決定は、液体の流れの変化の結果としての効果を決定することを含み得る。かかる効果は、例えば、液体が特定のゾーンに到達したことの表示であり得る。
【0015】
流れの変化が決定される液体は、液体サンプル自体であり得る。あるいは、それは液体サンプルが第2の液体と流体的に接続して1つまたは複数の液体サンプル中の気泡の発生が第2の液体における流れの変化を引き起こすような第2の液体であり得る。この第2の液体は、この方法を行うことができるデバイスに適用することができ、またはこのデバイスの一部を構成することができる。
【0016】
第2の態様において本発明は、
a)検体を含有すると推測される液体サンプルを、第1試薬により標識されている結合試薬(この結合試薬は、検体にまたは検体に対する結合試薬に結合することができる。)と接触させるステップ、
b)蓄積ゾーンにおいて標識化結合試薬の蓄積(標識化試薬の蓄積ゾーンにおける蓄積は、液体サンプル中の検体の有無または量に依存する。)をもたらすステップ、および
c)標識した結合試薬を蓄積ゾーンにおいて第2試薬と接触させて、第1試薬と第2試薬とが反応してガスを生成し、ガスが流路に沿った液体の流れを変える(前記流路に沿った液体の流れのこの変化は、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す。)ように作用する1つまたは複数の泡を液体サンプル中に生じるようにするステップ、
を含む液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定する方法を提供する。
【0017】
好ましい実施形態においては、アッセイデバイスが電子部品を有さないか有してもわずかである、液体サンプル中の検体の決定の明確なまたは「バイナリーの」またはデジタル式の結果を提供することができる比較的安価なアッセイデバイスを提供することが本発明の目的である。一実施形態において、本発明は、アッセイデバイスが、電源を必要とするデバイスまたは電源それ自体を含まない、場合によって検出可能なバイナリーのまたはデジタル式のアッセイ結果の提供が可能であるアッセイデバイスを提供することができる。要素としては、光ダイオード、光検知器、電子ディスプレーおよび電子回路の1つまたは複数が挙げられる。好ましくは、結果は、肉眼によって視覚的に検出可能である。
【0018】
第3の態様によれば、本発明は、アッセイデバイスが、
液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路;
検体の有無または量に依存してガスを発生する(このガスは液体サンプル中に、下流のゾーンまでの流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の泡を生じる。)ガス発生手段;ならびに
液体の流れにおける任意の変化を検出する検出手段および/または下流ゾーンにおける液体の存在または到着を検出するインジケータ領域(この流路に沿った液体の流れの変化は、検体の存在および/または量を示す。)を含み、
前記デバイスに塗布または導入した液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0019】
このガス発生手段は、適切な第2試薬と接触したとき、直接的または間接的にガス生成物を発生する反応を引き起こすまたは反応に加わる第1試薬を含むことができる。本アッセイデバイスは、一般的には2つ以上の試薬間の反応において必要な少なくとも1つの試薬を含み、この反応は、直接的または間接的生成物として、ガスの形成をもたらす。好ましくは、本アッセイデバイスは、ガス生成反応が起こるために必要なすべての試薬を含む。該試薬は、例えば、2つ以上の反応物または少なくとも1つの反応物および1つまたは複数の反応物のガス生成物への転化に触媒作用をする触媒(例えば酵素など)を含むことができる。
【0020】
1つまたは複数の泡の形成は、一般的には、この1つまたは複数の泡が位置するまたはこの1つまたは複数の泡の下流の領域における流路に沿った液体の流れを妨げる傾向がある。流路に沿った流れは、1つまたは複数の泡の形成によって停止され得る。あるいは、この泡の形成は、流路に沿った液体の流れの速度を増大させ得る。
【0021】
第4の態様において本発明は、アッセイデバイスが、
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の泡を液体サンプル中に形成し、この泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すものである。)、
e)液体の流れおよび/または液体の存在または到着を検出するための蓄積ゾーンの下流に備えられているインジケータ領域の任意の変化を検出するための検出手段、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0022】
標識化結合試薬は、蓄積ゾーンにおいて検体に依存する形で蓄積され得る。液体中に存在する検体は、標識化結合試薬と検体−結合試薬の複合体を形成することができ、蓄積ゾーンにおいてその後蓄積され得る。
【0023】
検体に対する第2結合試薬は、検体−標識化結合試薬の複合体を捕捉するために蓄積ゾーンにおいて不動化した形で提供され得る。あるいはまたはさらに、検体は、標識化結合試薬との複合体の形成前に蓄積ゾーンにおいて不動化した第2結合試薬によって捕捉され得る。
【0024】
さらに別法では、その第2結合試薬は、移動可能な形で提供してよく、それは、蓄積ゾーンにおいて不動化され得る。例えば、蓄積ゾーンは、ビオチン等の結合試薬によって標識することができ、検体に対する第2結合試薬は、この結合試薬に対する相補的結合パートナー例えばストレプトアビジンなどにより蓄積ゾーンにおいて標識することができる。
【0025】
さらなる実施形態において、検体に対する第2結合試薬は、磁性粒子に結合させることができる。磁石は、磁気的に標識した第2結合試薬を不動化するために蓄積ゾーンの近辺に備えることができる。形成された任意の第1結合試薬/検体/第2結合試薬の複合体を、例えば、磁石を用いて蓄積ゾーン中に移動させることができる。
【0026】
さらに別法では、該蓄積ゾーンは、第2結合試薬がフィルターを通過することができないサイズ排除フィルターを含むことができる。第2結合試薬は、例えば、直径がフィルター中の微細孔の平均孔径のそれより大きい粒子に付着していることができる。それ故、標識化第1結合試薬/検体/第2結合試薬の複合体は、フィルターのところで保持され、一方錯化されていない標識化結合試薬はそれを通過することができる。
【0027】
検体の決定は、競合または抑制型反応を用いて行うことができる。標識化結合試薬は、標識した検体または検体類似物を含むことができる。この方法は、小さい検体例えばハプテンなどの検出に適している。例えば、検体または検体類似物は、標識化結合試薬を捕捉するのに役立ち得る蓄積ゾーンにおいて固定することができる。あるいは、検体に対する結合試薬は、蓄積ゾーンに備え、標識した検体または検体類似物は、蓄積ゾーンにおいて結合試薬を獲得するために存在する任意の検体と競い合う蓄積ゾーンの上流に備えることができる。
【0028】
標識化結合試薬は、蓄積ゾーンの上流に備える代わりまたはそれに加えて蓄積ゾーンに備えることができる。
【0029】
このデバイスは、蓄積ゾーンの上流に備えられた第2の試薬を、使用中に、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬が蓄積ゾーンに到着する前に前記ゾーンに移送されるように、さらに含むことができる。
【0030】
第5の態様によれば、本発明は、アッセイデバイスが、
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンの上流に備えられている第2試薬、および
e)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(前記デバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれ、第2試薬のこの蓄積ゾーンへの到着が、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間のガスを生成する反応をもたらすと同時に、前記ガスが、1つまたは複数の泡を液体中に形成し、この泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在および/または量を示すものである。)、
を含む液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイスを提供する。
【0031】
第2試薬は、第1試薬に対するとは別の流路中に供給することができる。本アッセイデバイスは、第1試薬を第1流路に供給し、第2試薬を第2流路に供給する2つの流路を含むことができる。この第1および第2流路は、交差点、蓄積ゾーンまたはその上流において合流することができる。この第1および第2流路は、標識化結合試薬が蓄積ゾーンに到着するのにかかる時間が、第2試薬が前記ゾーンに到着するのにかかる時間より短くなるように備えることができる。これを達成するためには多くの異なる方法が存在する。この2つの流路は、例えば、それらのそれぞれの長さ、幅、表面コーティングまたはそれらの組合せにおいて互いに異なり得る。流路の1つは、第2試薬が、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬の後に蓄積ゾーンに到着するように、1つまたは複数の流量制限または流量促進要素などを備えることができる。
【0032】
使用中、このデバイスに適用された液体サンプルは、第1および第2流路にそれぞれ供給された第1および第2試薬を再懸濁させ、存在する検体の量に応じて、蓄積ゾーンにおける標識した結合試薬の蓄積をもたらす。第1流路と第2流路の間の違いによって、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬は、蓄積ゾーンに第2試薬が到着する前に到着する。蓄積ゾーンにおいて蓄積されなかった標識化結合試薬は、液体サンプルと一緒に下流へと通過する。よって、蓄積ゾーンにおける1つまたは複数の気泡の形成は、主として第2試薬と蓄積ゾーンにおいて蓄積された任意の第1試薬の間の反応によるものであり、それ故、存在する検体の存在および/または量を示す。
【0033】
第1の流路と第2の流路の間の交差は、別々の流路からの2つの流れを単一の流路に一緒に持ち込むことを可能にする。好ましくはこの交差は、いずれかの流路からの液体の交差の下流への通過を妨げ得るエアロックを導入しないように設計する。
【0034】
本アッセイデバイスは、第1および第2流路を接続する共通のサンプル適用領域を含むことができる。よって、本アッセイデバイスに適用されまたは導入される単一の液体サンプルが、第1および第2流路の両方に沿って同時に流れることが可能である。
【0035】
第1および第2試薬を蓄積ゾーンに連続して送るその他の方法を、考えることができる。例えば、本アッセイデバイスは、デバイスに適用される液体サンプルが2つの方向にそれぞれ蓄積ゾーンから離れておよびそれに向かって流れるように流路に沿って分かれて位置するサンプル適用ゾーンを含むことができる。第1および第2試薬は、蓄積ゾーンから離れて流れる液体サンプルが第2試薬を移動させ、蓄積ゾーンに向かって流れる液体サンプルが第1試薬を移動させるようにデバイス中に供給することができる。本アッセイデバイスは、液体サンプルが接触したとき、一般的に第1試薬を含む部分が、このデバイスに適用されたすべての液体サンプルを蓄積ゾーンに向けて引き寄せることが可能である液体シンクを含むことができる。よって、使用中、すべてのまたは実質的にすべての第1試薬は、蓄積ゾーンに第2試薬が到着する前に到着することができる。
【0036】
このデバイスは、液体の流れの変化を決定する手段を含むことができる。流れの変化を決定することは、液体の流速を測定することによって行うことができる。流れの変化は、1つまたは複数の流速閾値に対して決定され得る。
【0037】
本アッセイデバイスは、流路中例えば蓄積ゾーンの下流における液体サンプルの存在を検出する手段を含むことができる。例えば、本アッセイデバイスは、液体サンプルの存在を検出するためのもう1つの電極対を含むことができる。それぞれの電極対間の流れの速さを測定することができ、これは、例えば、それぞれの電極対が液体サンプルの存在を決定することができる複数の電極対を1つまたは複数の空間間隔で備えることによって達成することができる。本アッセイデバイスは、液体サンプルが流路に沿って移動するのにかかる時間を記録するための簡単なタイマーをさらに含むことができる。
【0038】
流れの変化の決定は、また、便宜上「テスト」流路とも呼ぶことができるアッセイ流路中の液体の流れを、基準流路における液体の流れに対して比較することによって行うこともできる。
【0039】
本アッセイデバイスは、1つまたは複数の下流のゾーンにおける液体の到着を示す1つまたは複数のインジケータ領域を含むことができる。このインジケータ領域は、好ましくは視覚的に検知可能であり、例えば液体と反応して色を生み出す化学物質等の色変化手段を含むことができる。この色変化手段は、流路中に固定することができ、または例えば液体に溶解できる乾燥した着色染料を含むことができる。
【0040】
この色変化手段は、pHに敏感であり得る。そのインジケータ領域は一般的に蓄積ゾーンの下流に備えられる。このインジケータ領域は、例えば、液体が入ることができそこを液体が通過することができるチャンバーを含むことができる。このチャンバーは、液体がチャンバーに入り、これ以上の流れが停止するように流路の最後部に備えることができる。
【0041】
本アッセイデバイスは、基準流路をさらに含むことができ、この基準流路に沿った液体の流れは、アッセイ流路に沿った液体の流れと比較される。この基準流路には、ガスを発生することができる試薬は何ら存在しなくてよい。
【0042】
本アッセイデバイスは、それぞれテスト流路の蓄積ゾーンの下流および該基準流路に向かってまたはその遠位末端に備えられている2つのインジケータ領域を含むことができる。共通のサンプル適用ゾーンは、このデバイスに適用された液体サンプルがそれぞれの流路に沿って流れることができるように、アッセイ流路と基準流路とを接続することができる。
【0043】
テスト流路および基準流路は、それぞれインジケータ領域を含むことができる。これらのインジケータ領域は、視覚的に異なる結果を提供するように互いに異なることができる。例えばテスト流路および基準流路のそれぞれのインジケータ領域は、異なる色変化手段を備えることによって異なる色を発生することができる。別法では、この2つのインジケータ領域は、例えば「正」または「負」を示す単語または記号を示すことができる。
【0044】
液体の流れは、液体の流れまたはその一部を減少または停止することによって変えることができる。別法では、液体の流れは、液体の流れまたはその一部を増加または再スタートさせることによって変えることができる。
【0045】
意外にも、本発明者らは、気泡は、第2試薬が蓄積ゾーンにおいて不動化した標識化結合試薬の比較的濃縮された量と接触するときにかなりの程度まで発生するのみであることを見出した。標識化結合試薬および第2試薬の量、デバイスの流体の寸法およびデバイス中の標識化結合試薬と第2試薬の相対位置を最適化することによって、第2試薬と不動化されていない結合試薬の間のどのような反応も最低限に保つことができ、本アッセイの性能に必ずしも有害ではない。
【0046】
第6の態様において、本発明は、
a)標識化結合試薬を不動化することが可能な蓄積ゾーンが備えられている流路を含むアッセイデバイス、
b)第1試薬により標識された結合試薬、および
c)蓄積ゾーンにおいてこの第1試薬と反応してガスを生成し、前記ガスが1つまたは複数の泡を液体中に形成し、その泡が作用して流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すことができる第2試薬、
を含む液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイキットを提供する。
【0047】
第7の態様において、本発明は、
a)サンプルを流路に適用し、それによって第1試薬を流路内に備えられた蓄積ゾーンにおいて蓄積させるステップ、および
b)その後、不動化した試薬を、第1試薬と第2試薬が反応してガスを生成し、このガスが1つまたは複数の泡を液体中に生じ、これらが作用して流路に沿った液体の流れを変えるように、第2試薬と接触させるステップ、
を含む液体サンプルの流路に沿った流れを変える方法を提供する。
【0048】
第7の態様による方法は、液体サンプルの流れにおける任意の変化を検出または決定するステップをさらに含むことができる。
【0049】
第8の態様において、本発明は、デバイスが、
a)液体サンプルをデバイスに適用するためのサンプル適用ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つの流路、
c)蓄積ゾーンの上流に供給される第1試薬、
d)この第1試薬を蓄積することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、蓄積ゾーンにおいて、蓄積された第1試薬と第2試薬の間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスは、液体中に1つまたは複数の泡を形成し、この泡は流路に沿った液体の流れを変えるものである。)、および
e)液体サンプルの任意の流れの変化を検出する検出手段および/または蓄積ゾーンの下流に備えられた液体の存在または到着を検出するためのインジケータ領域、
を含む流路に沿った液体サンプルの流れの変化を検出するためのデバイスを提供する。
【0050】
第8の態様によるデバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての第1試薬が、第2試薬が蓄積ゾーンに到着する前にこの蓄積ゾーンに輸送されるように、前記ゾーンの上流に供給される第2試薬をさらに含むことができる。
【0051】
当該1つまたは複数の流路は、マイクロ流体チャネル、多孔質母材(例えば、クロマトグラフ膜)、またはこの2つの組合せを含むまたはこれらから成ることができる。好ましい多孔質母材としては、ニトロセルロースおよび濾紙が挙げられる。このマイクロ流体チャネルは、好ましくは、液体サンプルが毛細管流動によってチャネルに沿って進行することができるような毛細管の寸法のものである。典型的なマイクロ流体チャネルは、0.1と500μmの間、より一般的には1と100μmの間の内部横断面寸法を有する。マイクロ流体の1つのチャネルまたは複数のチャネルは、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂等の合成プラスチック材料またはガラスもしくは金属から形成することができる。この1つのチャネルまたは複数のチャネルは、従来の技術を使用するエッチング、キャスティング、モールディング等により形成することができる。
【0052】
デバイスは、1mmの典型的な幅および100umの典型的な高さを有するマイクロ流体チャネルを含むことができる。このデバイスは、多数の積層材、例えば下の基層、チャネル構造を含む中間層およびマイクロ流体チャネル(1つまたは複数)をシールする役割をする上層など、を含むことができる。
【0053】
対象の検体は、例えば、ステロイド、ホルモン、ペプチドもしくはポリペプチド、糖質、脂質、タンパク質、リポタンパク質、ポリヌクレオチド、酵素、血液型マーカー、疾病マーカー、診断もしくは予後指標、陽イオン、陰イオン、または、ウイルス、細菌、酵母、真菌、胞子もしくは真核細胞等の分子複合体を含む。1つの好ましい実施形態において、対象の検体は、hCGを含む。別の実施形態において、検体はグルコースである。本発明によるアッセイデバイスはハプテン等の小分子を含む検体の検出に対して適している。ハプテンとは担体に結合したときにのみ免疫反応を引き起こすことができる小さな抗原決定基として定義することができる。ハプテンは、抗体に結合はするがそれら自体によっては、例えばハプテンを動物の体に注射することによって、抗体反応を引き出すことができない。ハプテンの非限定の例としては、アンフェタミン系の依存性薬物、例えば、MDA(3,4−メチレンジオキシアンフェタミン)、「エクスタシー」としても知られるMDMA(3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン)、MDEA(3,4−メチレンジオキシ−N−エチルアンフェタミン)、BDB(3,4−メチレンジオキシフェニル−2−ブタンアミン)、MBDB(3,4−メチレンジオキシフェニル−N−メチルブタンアミン)、およびMDPA(3,4−メチレンジオキシ−N−プロピルアンフェタミン);オピエート、例えばモルヒネおよびコデイン、ならびに、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドンおよびオキシモルホンを含むそれらの合成類似体;リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)ならびにそれの代謝産物;テトラヒドロカンナビノールおよびコカイン;有毒な薬物、例えば、ジアゼパム、ニコチン、アセトアミノフェン、カフェイン、リスペリドン、フェノバルビタールなど;ホルモン、例えば、プロゲステロン、エストラジオールおよびそれらの代謝産物、テストステロンなど;殺虫剤;染料、例えばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッドなどが挙げられる。
【0054】
液体サンプルは、任意の適当な液体、例えば、水、汚水サンプル、または水を含む抽出物(例えば、水を含む食品もしくは飲料サンプル)または生体サンプル、例えば、血液、血漿、血清、尿、膿、汗、唾液、膣液、もしくは涙などであり得る。好ましいサンプルは尿である。この液体サンプルは、このデバイスに「そのまま」適用でき、または前処理のステップ(例えば、次の、混合、かき混ぜ、超音波処理、希釈、培養、変性、または1つまたは複数の試薬との反応、の1つまたは複数を含む)にかけることができる。
【0055】
1つの泡または複数の泡が生じる液体は、好都合なことに、実質的にはデバイスに適用するときのサンプルの液体であり得る(しかし、アッセイデバイスとの接触、例えば、アッセイデバイスの流路に堆積されまたは供給された試薬またはその他の物質のサンプル液体中での再懸濁または溶解の結果としてその液体の組成の任意の変化はあり得る)。別法では、またはさらに、1つの泡または複数の泡は、アッセイデバイスに別に適用されるバッファー洗液または追加の試薬溶液等の任意の他の液体中で形成させることができる。いずれにしても、この液体は一般に水を含む(すなわち、容積比で50%を超えるH2O)。
【0056】
当然のことながら、1つの試薬または複数の試薬によって形成されたガスは、アッセイが行われる温度および圧力の条件下で、液体の流れが阻止されまたは減少されるべき時間が過ぎるまで持続するために、少なくとも一部は該液体に不溶性でなくてはならない。通常、アッセイは、室温(すなわち、約18℃から25℃)で行われるが、このアッセイは冷たい部屋または冷蔵室で(約3℃から6℃で)行うことができまたは培養器中で(約25℃から約40℃までの温度で)行うことができる。一般的に、該アッセイは、大気圧(一般に、これは海抜ゼロで970ミリバールから約1030ミリバールの範囲である)で行われる。それ故、形成されるガスの濃度は、アッセイを行うために取られる時間の少なくとも一部のために、関連する液体中の溶解度より上でなくてはならない。液体サンプル中の低レベルの溶解度を有するガス、例えば酸素など、が好ましい。
【0057】
前述の制限内で、気泡を形成するために使用されるガスは、明らかに毒性が強いまたは反応性が高い材料はあまり好ましくはないが、任意の適当なガスであり得る。適切なガスとしては、以下に限定はされないが、酸素、オゾン、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、窒素、酸化窒素、水素、ヘリウム、希ガス、または前記のものの2つ以上の任意の組合せを挙げることができる。概して好ましいガスとしては、酸素、二酸化炭素、窒素および水素が挙げられる。
【0058】
第1試薬は、第2試薬と反応してガスを発生することができるものである。この第1および/または第2試薬は、サンプルの液体の一部として、またはアッセイデバイスに対して別に添加する液体としてアッセイデバイスに供給することができる(またはより好ましくは、例えば、アッセイデバイスの上または中、一般的には1つまたは複数の流路の上または中に、乾燥または凍結乾燥した形で堆積してアッセイデバイスの不可欠の成分を形成する)。この第1試薬は酵素であり得る。
【0059】
第1試薬として使用するための適当な酵素としては、カタラーゼまたはグルコース酸化酵素等のオキソレダクターゼが挙げられる。カタラーゼ(EC1.11.1.6)は、過酸化水素の水および酸素への分解の触媒作用をする。この反応は、必要なガス(この場合は酸素)を発生すること以外は、唯一のその他の生成物はアッセイの実行またはその結果に重要な影響を有さない水であるので有用である。カタラーゼは、高純度で広く市販されており、凍結乾燥することができる。カタラーゼに基づくガス発生システムを使用するもう1つの利点は、たった1つだけのさらなる試薬、例えば過酸化水素など、を必要とすることである。よって、ガスを発生するために必要なのは、過酸化水素を酵素的に活性な量のカタラーゼと接触させることのみである。
【0060】
第1試薬がカタラーゼ等のオキソレダクターゼである場合、第2試薬は、酸素ガスの源を含めばよい。酸素ガスの源の例は、過酸素化合物または過酸、例えば、過酸化水素、過酸化カルバミド、アルカリ金属過酸化物、過酸化尿素、アルカリ金属炭酸塩アルカリ金属過ホウ酸塩、およびアルカリ金属過炭酸塩である。過酸化尿素等の固体の酸素源は、それを乾燥状態のアッセイデバイスの一部として提供することができる利点を有する。
【0061】
グルコース酸化酵素(E.C.1.1.3.4)は、過酸化水素の共形成によるβ−D−グルコースのD−グルコノ−1,5−ラクトンへの酸化に触媒作用を及ぼす。したがって、このシステムは、アッセイデバイス中の過酸化水素の原位置での発生のために使用することができ、それは次にカタラーゼによって作用を及ぼすことができる。したがって、一実施形態において、本発明のアッセイデバイスは、グルコース酸化酵素とカタラーゼの両方を含むことができる。グルコースは、乾燥した堆積物としてアッセイデバイスに容易に供給することができ、それは容易に再水和しサンプルの液体によって溶解される。順次カタラーゼによって酸素に変換される過酸化水素をグルコースと反応して形成するのに十分であるはずの少量の酸素を、(サンプルの液体中に溶解させるかまたは前進する液体の前方の流路中の空気中に存在させて)アッセイデバイス中に存在させることができる。
【0062】
使用することができるその他のガス発生酵素としては、デヒドロゲナーゼおよびデカルボキシラーゼ等の二酸化炭素を発生するもの、例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アミノ酸デカルボキシラーゼ、シュウ酸デカルボキシラーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、およびウレアーゼが挙げられ、後者は、尿素を加水分解して二酸化炭素とアンモニアにする触媒作用をすることができる。
【0063】
結合試薬は、対象の検体に対する結合親和性を有し、結合対を形成する試薬であり得る。結合対は、当業者には周知であり、抗体−抗原、リガンド/受容体、相補的オリゴもしくはポリヌクレオチド、または互いに結合するその他の分子の対である。結合試薬は、対象の検体に対する抗体であり得る。結合試薬は検体または検体類似物であり得る。
【0064】
好都合なことに、結合試薬は、免疫グロブリン分子またはかかる分子の抗原結合部分であり、この用語は、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一領域抗体、任意のこれらのマルチマーなどを含むことが意図されている。免疫グロブリン(またはそれらの一部)を他の分子に架橋結合または結合する方法は、確立されている。特に免疫グロブリン(またはそれらの一部)を酵素等の他のポリペプチドに結合することは当業者には周知である。本発明のいくつかの実施形態において、該アッセイデバイス/方法は、酵素、特にガスを生成する反応に触媒作用を及ぼす酵素に結合した免疫グロブリン分子(またはそれの抗原結合部分または免疫グロブリンのマルチマーまたはそれの抗原結合部分)を含む。
【0065】
結合試薬は、ガス生成反応に参加するまたは触媒作用を及ぼす第1試薬に結合させることができる。望ましくは、免疫グロブリン分子のような結合パートナーまたはその他の結合パートナー(またはそれの抗原結合部分)は、例えばカタラーゼのような酵素に結合する。別法では、標識化結合試薬を、第1試薬を結合パートナーに結合することによって原位置で生成させることができる。
【0066】
液体(好ましくはサンプル液)の液体適用領域(例えば、サンプル適用ゾーンまたはポート)への適用は、アッセイデバイスにおける流路に沿った(好ましくは毛細管作用による)液体の流れを引き起こす。流動液体中に同伴するもの(例えば、デバイスに適用された液体中に含まれているか、デバイス中に既に存在し、液体との接触により移動したもの)は、第2試薬と接触または混合されたときガス生成反応に参加する第1試薬である。
【0067】
本アッセイデバイスは、非電子の、バイナリーまたはデジタルのアッセイ結果発生および/またはインジケータ領域を含むことができ、すなわちそれはアッセイの結果を発生および/または表示するための電源を必要としない。好ましくは、本アッセイデバイスは、どんなものであれ、非電子の構成要素を含む。バイナリーまたはデジタルの結果は、与えられた結果が一義的である。それは、例えば、「正」または「負」、「はい」または「いいえ」、閾値より大きいまたは小さい等、2つの起こり得る結果から与えられる単一の回答であり得る。それは、3つ以上の起こり得る結果から与えられる単一の回答であり得る。その結果は、閾値に関して提供され得る。したがって肯定的な結果は、特定の閾値より高い検体のレベルに対して与えられ得る。バイナリーまたはデジタルの結果は、例えば、結果がテストラインの色強度に依存し、それ故ユーザーによる解釈の影響を受けるClearBlue商標妊娠診断デバイス等の視覚読取りラテラルフローアッセイデバイスから視覚的に読み取った結果とは異なる。
【0068】
バイナリーまたはデジタルのアッセイは、WO2008/025945およびWO2006/090144に開示されており、本明細書に参照により援用される。バイナリーアッセイは、図8にさらに示されており、以下でさらに詳細に説明する。
【0069】
備えられる基準の流路には、一般的にガス発生試薬は何ら存在しない。
【0070】
本アッセイデバイスは、蓄積ゾーンの下流の接合領域において交差するテスト流路および基準流路を含むことができる。この接合領域は、また、液体の前方への流れを可能にする出口、導管、チャンバーまたはその他の部分も含むことができる。
【0071】
この接合領域は、テスト流路中の液体または基準流路中の液体のいずれかの前方への通過のみを許すことができる。この接合領域は、基準流路に沿って流れている液体が、この接合領域に到着すると、テスト流路に沿った液体の流れを阻止する効果を有し、またはその逆であるような流体バルブまたはチョークを含むことができる。したがって、接合ゾーンの液体または下流の指標は、基準流路またはテスト流路からのいずれかの液体を示す。
【0072】
テスト流路または基準流路は、容器内に含まれている液体の2つのインジケータ領域(1つは動作可能的に基準流路と関連し、もう1つは動作可能的にテスト流路と関連する)の1つへの前進流を可能にする接合領域に集中することができる。この容器の液体は、テスト流路からの液体が接合点に最初に到着するかまたは基準流路から液体が接合点に最初に到着するかによって、これらのインジケータ領域の1つに流れる。
【0073】
接合領域は、1つの流路の流れを別のものによって阻むまたは容器チャネルのさらなる前進流を提供することが必要なときに有用である。しかしながら、状況次第でテストチャネル中の流れは、テストの時間内に完全に停止されてもよく、または流れはテストチャネル中の液体が接合点に到達せず、それ故接合領域は必須の要件でなくてよい。しかしながら、接合領域は、多くの実施形態において好ましい。
【0074】
いくつかの実施形態において、基準流路およびテスト流路からの流れが接合領域において同時に到着することを避けるようにアッセイデバイスを偏向させることが好ましいかもしれない。これは、基準流路およびテスト流路に、異なる幅、異なる長さなどを提供することによって達成することができる。本アッセイデバイスは、テスト流路中にガス発生がない場合は、液体がテスト流路から接合領域に基準流路からの液体が到着する前に到着するようにまたはその逆となるように偏向させることができる。このデバイスは、閾値に対して正または負の結果を提供するように適応させることができる。したがって、一定の閾値より下の検体の存在下での、それ故いくらかのガスの発生の存在下でのサンドイッチ型アッセイに対しては、テスト流路からの液体は、接合領域に基準流路からの液体が到着する前に到着できるかまたはその逆であり得る。
【0075】
1つまたは複数のインジケータ領域を接合領域の上流または下流に備えることができる。
【0076】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、テスト流路または基準流路のどちらからの液体が接合領域に最初に到着したかを示すことができる接合領域の下流に備えられたインジケータ領域を含むことができる。このインジケータ領域の色の変化をもたらすことができる非常に多くの方法が存在する。
【0077】
例えば、着色染料をテスト流路または基準流路のいずれかに供給することができ、または、異なる色の染料を、インジケータ領域中の特定色の染料の存在がどちらのルート(テスト流路または基準流路)によって液体がインジケータ領域に最初に到達したかを明らかにするように、それぞれのテスト流路および基準流路に供給することができる。別法では、該インジケータ領域は第1反応物を含むことができ、第2反応物を、第1および第2反応物が反応して色の変化を生じるように流路の1つに供給することができる。さまざまな反応物を、テスト流路および基準流路に供給することができ、それは、インジケータ領域中の反応物と反応して、さまざまな色の変化を、得られた色が、液体の進行流がテスト流路で起こったものによるかまたは基準流路で起こったものによるかによって異なるように提供することが可能である。さらなる例においては、2つの異なる酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびグルコース酸化酵素)をインジケータ領域に備えることができ、関連する酵素触媒の存在下で反応して着色した生成物を生成するそれらの酵素の1つに対するそれぞれの基質を流路の1つに提供することができる。その生成物の色は、どの基質がインジケータ領域に導入されたか(それ故、どの流路によって液体がそこに最初に到達したか)を明らかにする。一般論として、インジケータ領域(接合領域の下流に位置している場合)は、2つの異なる信号発生手段の要素を含むことができ、それらは移動できるように上流に配置されている各信号発生手段の1つまたは複数のさらなる要素により検出可能なように異なる信号を発生し、その1つの信号発生手段のさらなる要素は、テスト流路中に配置されており、その他の信号発生手段のさらなる要素は、基準流路中に配置されており、さらなる要素が、信号を発生するために、インジケータ領域中の他の要素と接触するために必要である。2つの信号発生手段のどちらが活性化されるかは、さらなる要素のどれがインジケータ領域に最初に到達するかに依存し、それは、立ち代って、テスト流路および基準流路に沿った液体の流れの相対速度に依存する。
【0078】
一実施形態において、該インジケータ領域は、pHに敏感なインジケータを含み、テスト流路および基準流路は、それぞれ、異なるpHに影響を及ぼす試薬、例えば、1つは比較的酸性のpHにおけるバッファーを含み、1つは比較的アルカリ性のpHにおけるバッファーを含む。液体がインジケータ領域に最初に到達する流路は、それ故、そのインジケータ領域におけるpHおよびそれ故インジケータの色を測定する。インジケータ領域中に備えられているインジケータは、固定した形、例えば、チャネルの表面またはインジケータ領域中に備えられている紙等の多孔質母材の上もしくは内部に備えることができる。
【0079】
下流のインジケータ領域を有するこの一般タイプの実施形態は、テスト流路に沿った液体の流れを、基準流路に沿った液体の流れをインジケータ領域に最初に到達させるためまたはその逆のために大きく変えることを必要としなくてもよく、1秒または2秒といったわずかな時間差で十分であり得るという利点を有する。
【0080】
他の実施形態においては、インジケータ領域は、基準流路およびテスト流路のそれぞれにおいて、接合領域の上流に備えられる。一実施形態において、基準流路に沿った液体のある点までの流れは、テスト流路に沿った液体の流れを、この液体がテスト流路上のインジケータ領域に到達する前に阻止するように作用し、その結果、確実なアッセイ結果がインジケータ領域において示される。いくつかの実施形態において、染料等の指標物質を、目に見える変化が、液体がテスト流路および/または基準流路のインジケータ領域に到達した場合/時に、見ることができるように、インジケータ領域の上流に備えることは有利であり得る。
【0081】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、接合領域の上流のテスト流路および基準流路の両方に備えられたインジケータ領域を含む。サンドイッチ型アッセイに対して1つまたは複数の気泡の発生をもたらす検体の存在下で、テスト流路に沿った流れは、減速または停止し、基準流路からの液体がそのインジケータ領域に最初に到達することを可能にし、検体の存在を示す。検体が存在しない場合は、テスト流路および基準流路は、テスト流路からの液体サンプルが、基準流路からの液体の前に接合領域に到達するように設定することができる。テスト流路からの液体が接合領域に一旦到達したら、それは、基準流路中の液体が、少なくともテストの時間内は、基準のインジケータ領域に決して到達しないように基準流路内の液体の流れを遮断する。
【0082】
いくつかの実施形態において、該インジケータ領域は、毛細管等のマイクロ流体チャネルを含み、これはユーザーの目に見える(例えば、他の不透明なハウジングの窓またはすき間を通して)。一実施形態において、該インジケータ領域は2つのチャネルまたは毛細管を含み、1つはテスト流路の一部を形成し、1つは基準流路の一部を形成している。1つの実施形態において、インジケータ領域内のこのマイクロ流体チャネルまたは毛細管は、アッセイの実施中に着色した液体によって満たされるようになる。その液体の色は、それ自体がアッセイの結果を示すことができる。あるいは、この着色した液体は、チャネルまたは毛細管の可視性を改めるために単に役立つだけであり得る。例えば、透明なまたは白色の背景に対する透明なプラスチックまたはガラスの毛細管は、見てすぐに分かることができない。そのようなチャネルまたは毛細管中への着色した液体の導入は、コントラストを増し、チャネルまたは毛細管を容易に見ることができるようにする。あるいは、チャネルまたは毛細管がその背景によって最初に高いコントラストのものである場合(例えば、赤の背景に対する白の毛細管)、そのとき背景と同じ色の着色した液体のチャネルまたは毛細管中への導入は、コントラストを減少し、毛細管またはチャネルを見ることを困難にする。これらはすべて、アッセイの結果に関する可視信号を伝達または示す異なる方法を表している。
【0083】
いくつかの実施形態において、該インジケータ領域は、1つまたは複数の単語または記号(例えば「PREGNANT」またはプラスまたはマイナス記号など)を形成する1つまたは複数のチャネルまたは毛細管を含むことができる。本発明に従うアッセイデバイスが妊娠テストデバイスとして提供される1つの特定の実施形態において、1つの流路は、チャネルまたは毛細管が単語の「NOT」を形成するインジケータ領域を含み、別の流路はチャネルまたは毛細管が単語の「PREGNANT」を形成するインジケータ領域を含む。一般的に、単語の「NOT」は、テスト流路中に形成され、単語の「PREGNANT」は、基準流路中に形成される。サンプルがhCGを何ら含有しないデバイスに適用される(すなわち、被験者が妊娠していない)場合、液体はテスト流路および基準流路の両方に沿って自由に流れる。着色された標識例えば染料は、両方の流路に沿って輸送され、単語の「NOT」および「PREGNANT」がディスプレー中のメッセージとして現れる。hCGを含むサンプルがこのデバイスに適用される場合、テスト流路中に存在する凝集試薬(凝集?ガスではない?)(例えば、抗hCG抗体をコートしたラテックスの粒子)は、流れの速度を基準流路中の液体が、テスト流路中の液体がインジケータ領域に到達できる前に合流点に到達できる程大幅に減少する。これにより、テスト流路は効果的にブロックされ、その結果単語の「NOT」は見えなくなり、その代わり、そのディスプレーは「PREGNANT」のメッセージを与える。
【0084】
本アッセイデバイス中の1つまたは複数の流路は、基本的に直線状である。あるいは、コンパクトな形状を提供するために流路はヘビ状またはその他の回旋状の経路をたどることがあり得る。この流路は、泡保持手段、例えば、気泡の捕捉を容易にし、よって、流れを減少または停止するための流路中のブロックの形成を助けるネックまたは1つまたは複数の狭窄部分などを含むことができる。この流路は、気泡捕捉または保持手段を含むことができる。例えば、この流路は、基部内に2つ以上の重なり合った指または突起を有するチャネルを含むことができる。かかる実施形態は、複数の互いにかみ合った指が、チャネルの対側から流路中に突出している「鋸歯状」の部分によって都合よく形成することができ、その配置は気泡を捕捉するのに非常に効果的であることが示されている。流路は気泡の形成を促進するために役立つ1つの突起または要素を含むことができる。この突起は、例えば、鋸の歯のような要素であり得る。流路は、気泡の発生を促進するために役立つ化学的または物理的な核形成部位を含むことができる。泡による流れの減速化または停止を促すためのその他の方法は、流路のその幅または高さ、疎水性領域、および流路の表面積を増すために腐食した表面を狭めるために1つまたは複数の流れ制限要素を提供することである。この表面は例えばグリッドパターンに腐食するか一連の平行腐食ラインを含むことができる。
【0085】
流れを減速するには多孔質構造物を使用することができる。例えば、該流路はガラス繊維またはその他の多孔質不活性物質等の多孔質物質を含むマイクロ流体チャネルおよびチャンバーを含むことができる。
【0086】
気泡が生成する領域において、該流路は、泡が流体サンプルから周囲の環境中に逃げるのを防ぐためにじかに接している環境に対して有利には実質的に密閉することができる。したがって、泡は少なくともテストの持続中はそれらが液体またはそれの一部の流速を変えることができるようにデバイス中に保持することができる。この流路(またはそれの1つまたは複数の部分)は、例えば、実質的にガス不浸透性である材料を含む壁によって取り巻かれたマイクロ流体チャネルであり得る。一般的に、該デバイスは、じかに接している環境に対して完全に密閉されて、液体サンプル適用の1つのゾーンまたは複数のゾーンおよびそのデバイス中に存在することができる空気穴から離れている。
【0087】
本アッセイデバイスは、さらなる試薬、例えば、砂糖および/またはアッセイデバイス中に存在する1つまたは複数の試薬の再懸濁もしくは可溶化を安定化させまたは促すために役立つウシ血清アルブミン(BSA)等のタンパク質などを含むことができる。
【0088】
別の態様において、本発明は、アッセイを実施する方法を提供し、その方法は液体サンプルを本発明の態様に従うアッセイデバイスに適用するステップを含む。
【0089】
さらに別の態様において、本発明は、アッセイデバイスを製造する方法を提供し、その方法は、アッセイの実施中、ガス生成反応に参加またはそれに触媒作用を及ぼす少なくとも1つの試薬をアッセイデバイス内またはそれに堆積させるステップを含む。
【0090】
一実施形態によれば、本アッセイデバイスは、遊離の第1試薬および第2試薬の間の反応を防ぐために、蓄積ゾーンのすぐ上流および/または下流に備えられた固定された防止剤を含むことができる。そのようにして、ガスは第2試薬が第1試薬と蓄積ゾーンにおいて反応する結果として発生するのみである。
【0091】
適切な防止剤は、酸素ガスを生成するカタラーゼと過酸化物の間の反応を防止するアジドである。例えば、検体が存在しない液体サンプルを用いるときのサンドイッチアッセイにおいて、標識した試薬の殆どは蓄積ゾーンにおいて結合することはなく、したがって蓄積ゾーンの下流に移動する。来続ける基質(カタラーゼの場合は過酸化物)は、蓄積ゾーンの下流に存在する標識した試薬と反応し、泡を発生する。このようにして生成した泡は、検体がサンプル中に存在しないときはそれらがテストチャネル中の流れを減少または停止するので逆効果である。この蓄積ゾーンの下流に防止剤の酵素を包含させることにより、蓄積ゾーンの下流における泡の生成は減少する。同様の効果が、蓄積サイトの下流のチャネル中のpHを酵素活性が破壊されるか著しく減少するように極めて酸性またはアルカリ性に変えることによって達成され得る。
【0092】
本アッセイデバイスは、そのアッセイが正しく行われたことを示すことができる対照アッセイをさらに含むことができる。対照アッセイは、例えば、そのアッセイデバイスそれ自体が正しく機能したかどうか、または、ユーザーがそのデバイスを正しいやり方で使用したかどうかを確定するのに有用である。多数の要因が単独または組み合わさってデバイスに誤った結果を与えることに関与し得る。例えば、1つまたは複数の流路における欠陥、例えば、試験デバイスにおける妨害物、供給された1つまたは複数の試薬の劣化または不足などが存在し得る。対照アッセイの目的は、したがって、テスト結果が有効であることを示すことである。
【0093】
該対照アッセイは、テスト流路および基準流路と類似していることができ、例えば、対照基準流路中の流れが対照テスト流路中の流れと比較され得る対照テスト流路および/または対照基準流路を含むことができる。この対照テスト流路は、例えば、流体サンプル中に存在する検体の量とは無関係の1つまたは複数の泡を生成するために所定量のガスを発生する1つまたは複数の試薬を含むことができる。この1つまたは複数のガス発生試薬は、テスト流路において採用されたものと同じものであり得る。対照基準流路は、一般的にはガス発生試薬は何ら含まない。テスト対照流路および基準流路は、下流の接合領域において交差することができる。対照アッセイは、接合ゾーンの上流または下流に備えられた1つまたは複数のインジケータ領域を含むことができる。
【0094】
一実施形態において、インジケータ領域は、対照テスト流路および対照基準流路の両方における接合領域の上流にそれぞれ備えられる。使用中、対照テスト流路中の流れは、減速または停止されて対照基準チャネル中の流れが接合点に最初の到達することを可能にし、よって対照テストチャネル中の流れを詰まらせる。その際、対照基準チャネル中のインジケータは、ユーザーにテストが正しく機能したことを示す。反対に、対照テストチャネル中の流れがデバイスの不調によって減速されないか停止されずに対照テストチャネル中に泡を発生しない場合、対照基準チャネル中の流れは接合点に最初に到達し、よってデバイスの不調が接合点の上流の対照基準チャネル中に存在するインジケータのおかげで示される。共通のサンプル適用領域は、テスト流路および基準流路ならびに存在する場合は対照テスト流路および対照基準流路を接続することができる。
【0095】
本アッセイデバイスは、サンプルを適用することができる流体サンプル容器を含むことができる。したがって、デバイスに適用される液体サンプルは、1つまたは複数の流路に連続的に供給することができる。
【0096】
誤解を避けるために、本明細書に、「典型的な」、「好ましい」、「便利な」、「望ましい」、「有利な」等のように記載されている本発明のどんな特徴も、文脈がそうでないように述べていない限り、孤立して、またはそのように記載されている任意の1つまたは複数のその他の特徴との任意の組合せで本発明には存在し得ることをここで明白に述べておく。同様に、文脈がそうでないようにはっきりと述べていない限り、本発明の一態様に関して記載されている特徴は、本発明の他の態様に関して一般に適用可能である。
【0097】
本発明をここで説明に役立つ例によって添付の図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】過酸化物の不動化したカタラーゼとの接触による気泡の発生を概略的に示す図である。
【図2】以下の実施例1に従って調製したアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示す図である。
【図3】以下の実施例2のそれに従って調製したデバイスを示す図である。
【図4】実施例3に従って調製した蛇行路を両方とも有する基準チャネルおよびテストチャネルを示す図である。
【図5】実施例3に従って調製したアッセイデバイスの一部を概略的に示す図である。
【図6】実施例3に従って調製したアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に従うさらなるアッセイデバイスを示す図である。
【図8】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図9】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図10】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図11】本発明のその他の可能性のある実施形態の概略の配置を示す図である。
【図12】コンジュゲートの相対量に対する平均停止間隔(ループの数)のグラフを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に従うさらなるデバイスを示す図である。
【図14】本発明の実施形態に従うデバイスの副層を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に従う完成したデバイスを示す図である。
【図16】図15に示されており実施例6に記載されているデバイスに適用されたさまざまな濃度のhCGを含有するバッファーサンプルに対する平均停止時間のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下はこれまで以上に詳しく図の説明をする。
【0100】
図1はhCGの検出のために使用中のデバイスの一部を示している。hCG結合試薬複合体標識化カタラーゼが過酸化水素試薬と接触する前に蓄積ゾーンにおいて不動化される。過酸化水素と接触した時点で、カタラーゼは酸素ガス生成に触媒作用を及ぼす。
【0101】
図2は、実施例1に従って調製したさまざまなアッセイデバイスについての流速対検体濃度のグラフを示している。アッセイデバイスに沿った液体サンプルの流速の顕著な変化が、液体サンプル中のhCG量が変化するにつれて見られた。
【0102】
図3は、マイクロ流体のテストチャネル(A)および基準チャネル(B)を含む実施例2に従って調製されたデバイスを示している。このデバイスは各アッセイに対して適用ポート(32)、チャネル(31)およびシンク(33)を含む。カタラーゼ標識した結合試薬は、テストアッセイのチャネルの長さに沿って供給される。過酸化水素の水溶液および可視染料をデバイスに添加するとすぐに、テストチャネル中で過酸化水素が標識化結合試薬と反応して気泡を発生した。これは、流路に沿った液体サンプルの流れの減少をもたらした。基準チャネルは、標識化カタラーゼを何ら含まず、基準チャネルに沿った液体サンプルの流れの減少は見られなかった。したがって、染料は基準チャネル中のシンク33を殆ど完全に満たしたが、一方、染料はテストチャネル中のシンクはごく一部を満たすのみであった。
【0103】
図5は、気泡捕捉性突起を含む実施形態に従うアッセイデバイスの一部を示している。
【0104】
図7は、2つの絶え間なく続く流体がチャネルAおよびBからエアロックを取り込むことなく一緒にされることを可能にするマイクロ流体のゲートX(キッスゲート)を含む本発明に従うアッセイデバイスの実施形態を示している。
【0105】
図8から10は、本発明に従うアッセイデバイスのさまざまな実施形態の概略の配置である。図8には、何らのエレクトロニクスを使うことなく、および、電気またはその他の出力の供給なしで、デジタルまたはバイナリーのアッセイ結果(「はい」または「いいえ」の答え)を生じさせることができるアッセイデバイスが描かれている。このデバイスは、確定した体積を有するチャンバーまたは容器20を含む。チャンバー20は、分析すべき液体のテストサンプルを導入することができる注入口22を有する。チャンバー20に導入された液体が、その後2つのテスト流路24a、bに同時に入り始めるように、2つのテスト流路24aおよび24bは、注入口22から等距離の点においてチャンバー20から分岐している。
【0106】
2つのインジケータ液流路がデバイス内に備えられており、1つはチャンバー20から下流のインジケータ領域26aまでであり、1つはチャンバー20からインジケータ領域26bまでである。しかしながら、チャンバー20内の液体が毛管現象によって下流のインジケータ領域26a、bに進行することは、いずれも、それぞれの障害物28a、bによって妨げられる。この例においてその障害は、それぞれのインジケータ液流路を有するT型接合部を形成するそれぞれのテスト流路24a、bのボアによって形成される断絶により生み出される。
【0107】
図示されている例においては、同じ液体サンプルが、テスト液(テスト用毛細管24a、bに沿って流れる)としておよびインジケータ液(最終的にはチャンバー20からインジケータ領域26aまたは26bの1つまで流れる)としての両方として作動する。この液体サンプルは、例えば、血液、尿またはその他の体液であり得る。テスト流路24a、bの1つの中に、例えば対象の検体の存在下でガスを発生するガス発生試薬を堆積させることができる。このガスは、流路に沿った液体のさらなる前進を遮断する泡を形成する。これは図8において蛇行している流路24bによって示されている。
【0108】
チャンバー20中に留まっているサンプル液は、インジケータ液として機能する。それはチャンバーを実質的に満たすが、テスト流路24a、bのボアによって構成される毛細管断絶によって与えられる障害物28a、bを前進して通過することはできない。上で説明したように、テスト液は、流路24bに気泡が形成されるためにそれがテスト流路24bの終点に到達する前にテスト流路24aの終点に到達する。テスト液が流路24aの終点に到達すると、断絶は破壊され、それによって障害物28aは効果的に除去されて、インジケータ液のチャンバーから下流のインジケータ領域26a(これはインジケータ領域26bとは別で分離している。)中への前進が可能となる。インジケータ液がインジケータ領域26a中に入ると視覚信号の形成および出現がもたらされる。これは、多数の方法で、典型的には色の変化によって、達成することができる。
【0109】
インジケータ領域26aの容積は、チャンバー20からの実質的にすべての液体を受け入れるのに十分である。
【0110】
液体がインジケータ領域26a中への移動を開始すると共に、チャンバー20中の液体は、障害物28bとの接触から離され断絶の大きさを効果的に増大する。
【0111】
したがって、テスト液が最終的にテスト流路24bの終点に到達した場合/とき、それは何の効果も有さず、チャンバー20中のインジケータ液は、下流のインジケータ領域26bに依然として入ることができない。
【0112】
図9および10は、この概念の変形を概略的に示しており、この場合もやはり、デジタルまたはバイナリーのアッセイ結果の読み出しを与える「レース」アッセイを提供する。
【0113】
図9に示されているデバイスは、両方とも毛細管チャネルを含むテスト流路4および基準流路6に流体的に接続しているサンプル適用領域2を有する。フィルター8を、流路の1つまたは両方に場合によって備えることができる。これらの流路は下流の接合領域10において合流して共通のチャネル12に通じる。インジケータ領域14は、接合領域10の下流に備えることができる。
【0114】
サンプル適用領域2中のサンプル適用ポートを経てデバイスに適用された液体サンプルは、それぞれテスト流路4および基準流路6に沿って接合領域10に向けて流れることができる。1つまたは複数のベントが、デバイスからの空気が毛細管に沿った液体の前進によって置き換えられるように、共通チャネル12およびインジケータ領域14に備えられている。しかしながら、流体前部の1つが接合領域10に到達した途端にそれはベントからの他の流路を遮断して、他の流路に沿った液体のさらなる前進を阻止する。よって、このデバイスは、流体前部が接合領域10に最初に到達する流路に沿って流れる流体のインジケータ領域14中への到着のみを許す。インジケータ領域は、観察者がそれぞれのチャネル中のどの流体が最初に到達したかを断定することを可能にするように流体チャネル中に備えることができる。例えば、さまざまな色の染料を、流体サンプルがその染料と相互作用して特定の色の液体を生成することができるように、各チャネル中に備えることができる。よって、インジケータ領域中の特定の色をした染料の存在は、どの流体が流体ゲートに最初に到達したかをユーザーが断定することを可能にする。
【0115】
流路4、6に沿って液体が前進する相対速度は、流路の1つにおいて、例えば、対象の検体の存在に応答してガスを発生する流路中に不動化されたガス発生手段を備えることにより、検体特有の様式で気泡の形成をもたらすことによって影響され得る。
【0116】
別の実施形態を図10に示す。
【0117】
前の実施形態と同様に、このアッセイデバイスは、共通のサンプル適用領域2の中にサンプル適用ポートを含み、そこから、液体サンプルは、テスト流路4の一部を形成する毛細管および基準流路6の一部を形成する別の毛細管中に流れることができる。別法では、それぞれの流路は、独自の別のサンプル適用領域を備えることができる。当業者には当然のことながら、この例に記載されているアッセイデバイスは、さらなる対象の検体の存在についてテストするためのさらなるテスト流路を備えることができる。このまたはそれぞれのさらなるテスト流路は、必要に応じて、対応する基準流路を備えることができる。
【0118】
図2に描かれている実施形態において、各流路は、接合領域10の上流にフィルター要素8およびインジケータ領域14を含む。
【0119】
フィルター要素8は、1つまたは複数のガス発生試薬を含む。対象の検体(この例ではhCG)の存在下で、試薬は流路4を閉鎖する泡を形成するガスを発生する。
【0120】
それぞれの流路には、液体サンプルと接触して集められて共に移動する着色染料を備えることもできる。
【0121】
それぞれの流路のインジケータ領域14は、テスト流路4中に単語の「NOT」を、および基準流路中に単語の「PREGNANT」を形成する毛細管チャネルを含む。これらの毛細管は透明な合成プラスチック材料から形成され、低いコントラストの背景(例えば、白または透明な合成プラスチック材料)に接している。したがって、アッセイの実行前に、毛細管は非常に目立つことはない。
【0122】
しかしながら、アッセイが一旦開始されると、インジケータ領域の上流の流路中にある染料は、前進する液体サンプルによって集められる。サンプルがhCGを含んでいない場合、液体は両方の流路に沿って自由に流れる。染料を含有する液体は、よって両方の毛細管を満たして「NOT PREGNANT」のアッセイ結果を示す。ベントを基準流路に沿ったいくつかのポイントに提供してそれに沿った液体の流れを促進することができる。特にこれらのベントは、液体が基準流路のインジケータ領域を満たすことを助けるために提供することができる。好ましくは、かかるベントはテスト流路中には存在せずに、空気はテスト流路の毛細管4から、接合領域10の下流の共通チャネル12中の1つまたは複数のベントによってのみ放出され、基準流路6に沿って流れる液体はテスト流路4に沿って流れる液体の先端より前に接合領域10に到達する場合には、空気をもはやテスト流路の毛細管からは移動させることができず、そのチャネルに沿った液体のさらなる前進は妨げられる。
【0123】
テスト流路および基準流路に沿った液体の流速、および/またはそれぞれの流路の長さは、hCGが存在しない場合、液体が流路4、6の両方に沿って流れ、それぞれのインジケータ領域を満たすように調節される。一般的に、サンプル中にhCGが存在しない場合、基準流路に沿って流れる液体は、テスト流路に沿って流れる液体と同時に、またはそれよりほんの1秒か2秒早く接合領域10に到達する。
【0124】
しかしながら、適用されたサンプルがhCGを含む場合は、テスト流路の毛細管に沿った液体のインジケータ領域に向けた前進を実質的に妨害するガスの発生および泡の形成がテスト流路4において起こる。これにより基準流路に沿った液流が接合領域まで容易に「レースに勝つ」ことが可能となる。基準流路に沿った液流は、テスト流路4に沿った液流がインジケータ領域に到達する前に接合領域10に到達する。この場合は、単語「NOT」は染料で満たされることはなくぼやけたままであり、一方単語「PREGNANT」は非常に目立つようになり、このようにしてアッセイ結果を示す。
【0125】
図13は、それぞれ基準流路およびテスト流路に接続しているサンプル適用領域2および3を有する基準流路4およびテスト流路5を含むデバイス1を示している。泡捕捉領域6ならびにテスト用インジケータ領域8および基準インジケータ領域7もまた示されている。接合領域は10に指し示されており、蓄積ゾーンは9に示されている。図13のデバイスを使用して行われたアッセイは、実施例5に記載されている。この図に示されている基準チャネルは、その遠位末端に蛇行形状を有する大部分が直線状であり、一方テストチャネルは殆どが蛇行した形状をしている。この場合はデバイスをよりコンパクトにするために両方のチャネルが入り組んだ形状を採用した。
【0126】
図14および15は、それぞれ、サブ積層構造のデバイスA、BおよびCならびに完成したデバイス30を示している。デバイス30は、同じ形状および寸法の2つのテストチャネル32を含み、それぞれ、エッチング加工した泡トラップ31およびサンプル適用ゾーン34を含む。
(実施例)
【実施例1】
【0127】
ニトロセルロース多孔質担体を含むhCGに対する流量制限イムノアッセイ
アッセイデバイスを次のようにして用意した。
試薬の準備:
抗−αhCGおよびカタラーゼの青色ポリスチレンラテックス粒子への共不動化。
【0128】
材料
・Duke Scientificの青色ポリスチレンラテックス粒子、直径400nm、固形分10%(w/v)、ロットCB1860
・BDH Analarの95%エタノール+0.5%酢酸ナトリウム(Sigma)
・脱イオン水中200mg/mlとして調製したIntergenのウシ血清アルブミン(BSA)Cohn 5YT 19202
・抗−αhCG体内クローン3299、ロットPL1257、PBSA中3.4mg/ml
・Sigmaのヒト赤血球からのカタラーゼ、pH8.0の50mMトリス中で供給された52200単位/mgタンパク質における90%純度のSDS−PAGE C3556、ロット116K1463
・10mMのホウ酸塩バッファー、pH8.5
方法
1.ラテックス粒子を10mMホウ酸塩バッファー中0.5%固形分(w/v)に希釈する(1.7mlのエッペンドルフチューブ中に1mlの希釈したラテックスを用意する)。
2.そのエッペンドルフチューブをHeraeus Biofuge 17RS遠心分離機により15℃で5分間17,500rpm(25,848rcf)で遠心分離する。
3.上澄み液を除去し、ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。
4.100μgのカタラーゼを新たな1.7mlのエッペンドルフチューブに入れ、100μgの抗−hCGを加える。
5.ステップ3からの洗浄したラテックスを、ステップ4のエッペンドルフチューブに加え、マイクロピペットに入れたり出したりを繰り返すことによって(入れて出すサイクルをほぼ6回)よく混合する。
6.直ちに200μlのエタノール−アセテートを加えて約5秒間ミキサーによりよく混合する。
7.エッペンドルフチューブを回転ミキサー(約60rpm)上に周囲温度で60分間置く。
8.50μlの200mg/mlBSAを加え、回転ミキサー(約60rpm)上の混合を30分間続ける。
9.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
10.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
11.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合し、4℃で一晩保存する。
12.ステップ2を繰り返し、上澄み液を廃棄する。ペレットを1mlの10mMホウ酸塩バッファー中に再懸濁させる。50μlの200mg/mlBSAを加え、よく混合する。
【0129】
抗−βhCGの不動化したゾーンを有するニトロセルロース膜の準備
材料
マイラー支持材上の8μmのニトロセルロース膜
3mg/mlの単クローンの抗−βhCG体内クローン3468
Sigmaの脱イオン水(ブロッキングバッファー)中の1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA)10,000の分子量+3%(w/v)スクロース(Sigma S8501)
方法
1.3mg/mlの抗−βhCGを計量ポンプおよびシリンジを用いて、幅約1mmおよび長さ約300mmのニトロセルロース膜に堆積させてゾーンを生じさせる(約0.1μl/mmで堆積)。
2.このニトロセルロース膜を暖気の下50℃で約10分間乾燥させる。膜の一端にブロッキングバッファーを塗布し、そのままそれがテストラインの長さ方向に沿ってそれが膜を満たすまで流れて膜を濡らすようにする。
3.このニトロセルロース膜を暖気の下75℃で約10分間乾燥させる。
4.この膜を、幅が約6mmと長さが40mmのストリップであって、その幅(6mm)を横切る抗−βhCGのテストゾーンを有し、テストラインがそのストリップのベースから約10mmであるストリップに切断する。
【0130】
hCGに対する流量制限イムノアッセイを実施するプロトコール
1.実験台のベースに接しているテストストリップの近接端部を有する垂直な支持材上にニトロセルロース膜のストリップを配列する(テストラインはベースに対して約10mmの位置にある)。シンクとしてのゲル吸取紙をテストストリップの遠位末端に貼り付ける。
2.10μlの抗−αhCG中のコートしたラテックス+50μlの0mIU/mlのhCGを含有するバッファー処理した標準(PBSA)の混合物を準備する。この混合物をテストストリップのベースに塗布し、それをそのままベースが乾燥するまでクロマトグラフにかける。50μlのホウ酸塩バッファーをストリップのベースに塗布し、それをそのままベースが乾燥するまでクロマトグラフにかける。
3.テストストリップを周囲温度で約3時間乾燥させる。
4.ニトロセルロース膜の表面に、そのストリップの幅全体をそれが覆うように、その膜の近接端部から約2mmのところから遠位末端まで達する接着ラミネート膜(ARCare 7759 co #D9012)を貼付する。
5.テストストリップを2つの顕微鏡スライドの間にはさみ、これらをワニ口クリップと共に保持する。テストストリップを実験台と接している近接端部と垂直に立てる。
6.50μlの5%H2O2(v/v)(30%H2O2Sigma H−1009ロット021K3250のストックから脱イオン水+5mg/mlBSAを用いて希釈)を、テストストリップのベースに適用し、そのままクロマトグラフにかける。溶媒前部の動きを観察し、その溶媒前部がH2O2を適用した段階から32mmの間隔を移動するのに要する時間を記録する。
7.0mIU/mlhCGによるテストストリップの3つのさらなる反復データを生じさせるために上記のことを繰り返す。
8.それぞれ10、25および50mIU/mlhCGのバッファー処理した標準により行った4つのテストストリップを生じさせるために上記のことを繰り返す。
【0131】
サンプル中に存在するhCG検体の量対液体サンプル溶媒前部が多孔質母材に沿って移動するのに要する時間についてプロットした。
【0132】
そのグラフを図1に示す。図1から、液体サンプル中のhCG検体の存在は、液体サンプルの流速の低下をもたらすことを見ることができる。
【実施例2】
【0133】
検体依存様式で流れを停止する酸素の泡を用いる毛細管アッセイ
毛細管の構成:
ベース:ポリスチレン顕微鏡スライド
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
トップ:175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)
2×1mmの毛細管を顕微鏡スライドの長さに沿った白色PSAテープに中に作った。(下記参照)
ボリューム収集チャンバー:
ベースおよびトップ: 175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
プロトコールの最後のステップのために毛細管スライドに付けることができる各末端において1mmまで細くなる6mmのチャンバー。(下記参照)
アッセイ型式:
両方のチャネルに対するプロトコール
1.チャネルの長さに沿って15μlの3468を2.03mg/mlバッチPL1322で適用し、10分間そのまま置く。
2.20μlのPBS中5mg/mlのベータカゼインを適用する。10分間そのまま置く。
3.さらに5mg/mlベータカゼインを適用する、10×5μl/チャネル。
4.5mg/mlベータカゼイン中で作製した5×5μlの5KmIU/mlのhCGスタンダードまたは0スタンダードをロードする。5分間そのまま置く。
5.3と同じ。
6.5×5μlの0.05%(BR101007)3299−カタラーゼラテックス粒子(400nm)をロードする。20分間そのまま置く。
7.洗浄、20×5μlPBS、次いで2×5μlの赤色染料/チャネル。
8.収集チャンバーを取り付け、ビデオを開始する。
9.5μlのPBS中1%の過酸化水素を1/6青色染料と共に加える。10分間そのまま置き、次に続いて過酸化水素の5μlのロットを加える。
【実施例3】
【0134】
検体依存様式において酸素の泡を用いて流れを停止させる毛細管アッセイ
第1結合試薬−検体−標識化結合試薬複合体を反応ゾーンにおいて磁石を用いて不動化または捕捉するマイクロ流体タイプの毛細管アッセイを構成した。この例によれば、第1結合試薬は、磁性粒子によって標識された。
【0135】
毛細管の構成:
ベースおよびトップ:175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)HiFi PMX 715
中央:約10μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
2×1mmの毛細管を、蛇行型をしたデバイスの長さに沿った白色PSAテープに中に作製した。サンプル適用部分の末端に大きな輪を切り抜き、パターンの前のまっすぐなチャネル中は一連の「鮫」の歯である。その歯のすぐ前のデバイスの下部にはステープルと磁石を、1μmの磁性ビーズの捕捉を可能にする磁場に焦点を合わせるやり方で配置した。
【0136】
プロトコール
1.テスト用と対照用サンプルを準備:
試薬:hCGスタンダード、アジドを含まず。1mg/mlのBSA+0.05%ProClin300 3468磁性ビーズ(Dynabeads−MyOneのトシル活性化物)
3299−カタラーゼコンジュゲート(グルタルアルデヒドDT Cl 29/11/07)
対照:5μlの磁性ビーズ、5μlのClコンジュゲートおよび10μlの0hCG
テスト:5μlの磁性ビーズ、5μlのClコンジュゲートおよび10μlの500mIU/mlのhCG
2.2μlの染料溶液を加える。(1/4青色食用染料)
3.TまたはCチャネルに2μlの粒子/コンジュゲート/hCG混合物を加える。
4.各チャネルに60μlの1%過酸化水素を加える。
5.毛細管に沿った染料前面を観察する(ビデオ)。
【0137】
多数の上記デバイスを準備し、多様な濃度のhCG検体を含む多数の液体サンプルについてテストをし、この液流前部がチャネルに沿って流れたmmの距離(停止距離)を測定した。停止距離対hCG濃度のグラフを図6に示す。
【0138】
図7に示されているアッセイデバイスは、容器A中の第1の流体および容器B中の第2の流体がそれらのそれぞれのチャネルに沿って流れ、接合点またはゲート(X)で交わることができるように使用することができる。さらに、この構造は、第1の容器(A)からの液体が、流路に沿って流れて、不動化ゾーン(Y)に、第2の容器(B)からの液体がその不動化ゾーンに到着する前に到着するようになっている。容器B(またはそれから下流の流路)は、第2試薬を含むことができ、容器A(またはそれから下流の流路)は、標識化第1試薬を含むことができる。基準チャネルCを備えることもできる。
【0139】
図7は、2つの流体の流れが、エアロックを取り込まないで一緒にされることを可能にするマイクロ流体のゲート(キッスゲート)を組み立てるために使用される3つの層を概略的に示している。
ベースおよびトップ(71&73):175μmポリエステルフィルム(帯電防止処理済み)HiFi PMX 715
中央(72):約100μmの両面白色PSAテープ(Adhesive Research ARCare 7840)
ベース層(71)は、2つの液体の流れが出合う位置におけるポリエステルフィルムの親水性の側面上に、その中に刻まれた溝を有する。中央層(72)は、約1mmの幅であり、2つのフィードAおよびBを有するテストチャネルならびに基準チャネルCを含むチャネルを構成するために使用される。トップ層(73)は、PSA中央層上に疎水性表面の側が下向きに接着されており、サンプルが同時に流体チャネルA、BおよびCに適用されることを可能にするそれに切り込まれた穴を有する。トップ層73は、チャネルAの末端におけるベントとして作用する開口部を有することもできる。
【0140】
イムノアッセイ試薬は、容器A中で乾燥され、過酸化水素発生試薬(例えば過酸化尿素)は、容器B中で乾燥される。
【0141】
サンプルが3つの容器すべてに同時に適用されるとき、流れは3つの流路において起こる。
【0142】
イムノアッセイ試薬(例えばhCGについてのアッセイにおける例えば抗体を塗布した磁性ビーズおよびカタラーゼ−抗体コンジュゲート)は、サンプルによって再水和され、チャネルAを下方に通りすぎる。チャネルBとの交差点に到着すると、親水性ベース中の切り込み線がチャネルB中への液体の横断を防ぎ、そのため流れは流れ続けてそのチャネルの末端に至る。検体の存在下では形成された免疫複合体は、キッスゲートの下流のチャネルの鋸歯状部分(テストまたは捕捉ゾーンY)において捕捉される。
【0143】
過酸化水素を発生する試薬は、チャンバーB中で再水和され、より長いチャネルBを通過してチャネルAとの交差点(キッスゲート)まで下る。チャネルB中の流体がキッスゲートに到着したとき、チャネルA中の流体の存在は、今や発生した過酸化水素がチャネルA中に移ることを可能にする。容器AおよびBに供給されるサンプル量は、容器Aが、容器B中の流体がキッスゲートに到着する時間までに空になるようになっており、これにより、流れは100%Aの流れから100%Bの流れに切り替わる。過酸化水素がYにおいて免疫複合体を横切るときに、酸素が発生して流れを減速または停止する泡を形成する。
【0144】
均一な乾燥および再水和の際の試薬の徐放を助けるために構造物を容器中に導入することができる。これらの構造物の形状、高さ、表面特性および密度は乾燥および再水和プロセスに影響を及ぼす。容器のチャネルへの入り口の直前への柱(全体高さ約1mm、直径の周りが100μmのPSAテープ)の付加は、再水和した複合体を、流れがチャネルの壁によって影響される側面にではなくチャネルの中心に注ぎ込むために使用することができる。これによって試薬の容器からのより完全でより速い排出が可能となる。
【実施例4】
【0145】
乾燥したコンジュゲート試薬
吸着した抗−βhCG(クローン3468)−3468磁性ビーズによる1ミクロンの直径の磁性ラテックス、抗−αhCG(クローン3299)と結ばれているヒト赤血球カタラーゼでできているコンジュゲート、およびさらにBSA、スクロース、リン酸緩衝生理食塩水を含んで成り、pH7.4で0.05%のProClin300を含むこれを、表1に合わせて混合した。
【0146】
【表1】
【0147】
4マイクロリットルの試薬を、空気中で乾燥したテストデバイスの蓋の適切な領域上で乾燥し、次いで、分子篩を詰めたデシケーター中に入れたままにして一晩乾燥した。デバイスを組み立て、最初に試薬を、PBS中の3μLのhCG溶液、0.1%のオボアルブミン、0.1%のアジ化ナトリウムによりpH7.4で60秒間再水和させ、次にこれを磁気捕捉ゾーンに追い払い、次にPBS中1mg/mlのBSA中の過酸化水素の10μL、0.05%PC300を過酸化物試薬ゾーンに加え、捕捉した粒子の層と60秒間接触させたままにした後、35μLの同じ過酸化物溶液の2番目の添加により過酸化物試薬ゾーンへの流れを引き起こした。蛇行流路に沿った液体メニスカスによって移動した距離を測定し、いくつかの反復測定の平均を図12に描いた。図11は、この実施例で採用したものと似たアッセイデバイスの概略図である。
【0148】
図12において、8ループ以上にあるデータは、メニスカスがデバイスの末端まで及んだことを示している(1ループ=20mmの長さ)。明らかに、磁性材料の堆積層を形成している結集された試薬は、hCGの存在下でカタラーゼを捕捉し、流体の流れを停止させることができる。
【0149】
過酸化水素試薬
131mgの過酸化尿素粉末(Fluka製品95314、ロット1326053の錠剤を粉砕することによって製造)および0.75mlのPBSに溶解した47mgのスクロースの溶液、0.05%のProClin300、pH7.4を、2MのNaOHによりpH6.9にした。2つの4μLの量をデバイスのベースの上の領域Bにおいて乾燥し、室温(約22℃)の空気の流れの中で乾燥し、次に分子篩乾燥剤を含むデシケーター中に収納した。領域Bにおけるベースは、試薬がピペットでその上に置かれたときそれがその試薬を取り込んでそれをその場所に限定することを可能にするために傷を付けた。
【0150】
テストのため:
1.8μLの抗−βhCGが結合している1mm直径の磁性ラテックスビーズ(10mg/mlの50mL)、75mLのカタラーゼが結合している0.0054mg/mlの1mm直径の磁性ビーズ、および75mLのリン酸緩衝生理食塩水中1mg/mlのウシ血清アルブミン、(0.05%ProClin300、pH7.4)を領域Aに加えて、いくらかのカタラーゼ粒子および抗−βhCG粒子を、Cにおいてラインを形成する捕捉磁気ステープルに供給する。メニスカスの位置に印を付ける。
2.7mLのPBS中1mg/mlのBSA、0.05%ProClin300、pH7.4(バッファーA)を、領域Bにおいて乾燥した過酸化尿素試薬に加え、60秒そのままにして水和させる。メニスカスはキッスゲートの手前で停止する。
3.30mLのバッファーAを、領域Bに加えて溶解した過酸化尿素を磁性ビーズベッドの中を追跡する。マニスカスが移動を停止する位置に印を付ける。
【0151】
結果:
泡は、流れを停止させた磁性ビーズベッド中およびその近くで発生し、過酸化物がそのベッドに供給されていたことを示した。停止距離は、1、1.3、0.8、1.3、1.7、0.6ループ(1ループ=20mmの長さの曲がりくねった毛細管)
さらなる作業により乾燥した試薬中のスクロースの%、乾燥した試薬の体積およびベース上の模様付けの深さへのある程度の依存度が存在することが示された。この初期の作業から、乾燥した配合物中に26%のスクロースを含む上で詳細に記した処方が、テストした3つ(それらのサンプルは、乾燥した配合物中にそれぞれ、0、26%および42%のスクロースを含んだ。)の中のベストであった。
【実施例5】
【0152】
図13に従うデバイスを以下のようにして準備した。
【0153】
寸法が25mmの幅×90mmの長さ×175μmの高さの2つの未処理ポリエステル層および1つの25mmの幅×90mmの長さ×100μmの高さのものを準備し(HiFi PMX 739)、それぞれ診断用デバイスのベース、蓋およびガスケットを形成した。
【0154】
蓋の裏面を帯電防止親水性コーティング(HiFi PMX 715)により処理し、図13に示されているマイクロ流体のデザインを、Graphtecプロッターを用いてガスケットから切り取った。糊をガスケットの上面と下面に塗布し、3つの層を一緒に積層した。得られたデバイスは、親水性屋根と未処理の壁および床を有するマイクロ流体チャネルを有した。
【0155】
チャネルの高さは100μm、幅は1mmであった。基準チャネルのサンプル適用ゾーン2からインジケータ領域7までの長さはほぼ12mmであり、テストチャネルのサンプル適用ゾーン3からインジケータ領域8までの長さはほぼ11.5mmであった。泡トラップ6は、寸法が1mm幅×5mm長さのガラス繊維(Millipore G028)を含んだ。蓄積ゾーン9は、泡トラップの1mm上流に位置した。インジケータゾーンは、それぞれ、Brillinat Blue R色インジケータを含有する4mm2のWhatman No.1濾紙を含んだ。
【0156】
1μmの磁性粒子に付着させたhCG(インハウスクローン3468)に対する抗体、hCG(10,000mIU/ml)、およびカタラーゼで標識したhCG(インハウスクローン3299)に対する第2の抗体の2μlのインキュベートした混合物を、サンプル適用ゾーン3に加えた。磁性粒子を取り出し、磁石により蓄積ゾーン9に保持した。6μlのPBSバッファーを、その後標識した複合体を洗浄するためにサンプル適用ゾーン3に加えた。10μlのPBS中0.5%の過酸化物および10μlのPBSをサンプル適用ゾーン3と2それぞれに同時に加えた。蓄積ゾーンにおいて過酸化物がカタラーゼと反応して泡を発生し、それは泡トラップ6において捕捉され、テストチャネル中の流れを停止させた。基準チャネル中では流れが継続し、それはインジケータ領域7における色の変化によって示された。インジケータ領域8においては色の変化は見られなかった。過酸化物のサンプル適用ゾーン3への適用後、流れはテストチャネル中で34秒と40秒の間で捕捉された。
【実施例6】
【0157】
デバイスを図14および15に示されているデバイスに従って準備した。デバイスの外形寸法および積層材A、BおよびCの高さ、幅、長さおよび材料は実施例5によるデバイスと同じである。
【0158】
積層材Cの上面の3mm×2mmの部分を、泡トラップを備えるために、Graphtecプロッターにより、0.2mmの距離間隔を有する多数の食刻ラインを含む細かく刻まれたデザインにエッチングした。仕上がったデバイス中の得られた泡トラップは、1mm幅×2mm長さである。
【0159】
図15中の36におけるチャネルを、泡の収集を助け、それらの流れの制限を高めるために泡トラップの上流の小さい領域におけるその幅を制限した。
【0160】
このアッセイのプロトコールは次の通りであった:
・ビオチニル化抗−βhCG中でコートしたAdemtech製の磁性粒子(ストレプトアビジン中でプレコート)
・アッセイ用バッファーPBS+1mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)
・アッセイ用バッファー中のバッファー用hCGスタンダード
・エアブラシ用バッファー(100mMのトリス+10%BSAおよび20%スクロース、pH9)
・グルタルアルデヒド接合Cl2によってカタラーゼに連結された抗−α−hCG:アッセイ用バッファー中で1:4に希釈
・Sigma過酸化物原液30%(w/v)
1.1%固形分のエアブラシ用バッファー中の磁性ビーズを準備する。
2.5μlのエアブラシ用バッファー中の磁性ビーズを、5μlの0hCGを含むバッファースタンダードと混合する。2.5μlの希釈したコンジュゲートCl2を加え、その混合物を室温で90秒間インキュベートする。
3.チャネルの収縮した領域の約1mm上流に位置する磁気トラップにより積層したデバイスを配置する。
4.2μlの上記混合物をチャネルに適用し、これを流す。磁性ビーズがトラップ領域に集まるのが見られた。
5.6μlのアッセイ用バッファーをデバイスに適用し、これを流す。流れが停止したら、溶媒の前部が到達した点に印を付ける。
6.40μlの0.5%(v/v)の過酸化物(アッセイ用バッファー中で調製)をデバイスに加え、流れが停止するまでにかかる時間を観察する。
7.新しい試薬および新しい積層したデバイスを用いて上記のことを繰り返す。
8.hCGの各濃度に対して2つの複製が生じるように、20,000または2,500または312または156mIU/mlのhCGを含有するhCGスタンダードを用いて上記のことを繰り返す。
【0161】
結果
0hCGで通されたデバイス中の流れは、捕捉されず、その液体はテストチャネルの末端まで移動するのが見られた。テストしたさまざまな濃度のhCGで通したデバイス中の流れは、0hCGで通したデバイスとの差異を見出すことができた(±2の標準偏差に基づく)。
【0162】
hCGを含有する多数のバッファーサンプルについての秒数で表した平均停止時間を図16に示す。このグラフ中に記されているhCGの濃度は、上記のステップ2において引き起こされた希釈の際に生じた実際のhCGレベルである。この図から分かるように、hCGのレベルの増大は平均の停止時間の減少をもたらした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を含有すると推測される液体サンプルを、ガス発生手段(ガス発生手段は、検体の有無または量に依存してガスを生成し、このガスは液体サンプル中に、流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の気泡を生じる。)と接触させるステップ、および流路に沿った液体の流れの変化が、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す液体における流れの変化を決定するステップ
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するための方法。
【請求項2】
ガス発生手段が、第1試薬および第2試薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試薬の1つが、検体のためか検体に対する結合試薬のために結合試薬により標識されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)検体を含有すると推測される液体サンプルを、第1試薬により標識されている結合試薬(この結合試薬は、検体にまたは検体に対する結合試薬に結合することができる。)と接触させるステップ、
b)蓄積ゾーンにおいて標識化結合試薬の蓄積(標識化試薬の蓄積ゾーンにおける蓄積は、液体サンプル中の検体の有無または量に依存する。)をもたらすステップ、および
c)標識した結合試薬を蓄積ゾーンにおいて第2試薬と接触させて、第1試薬と第2試薬とが反応してガスを生成し、ガスが流路に沿った液体の流れを変える(前記流路に沿った液体の流れのこの変化は、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す。)ように作用する1つまたは複数の気泡を液体サンプル中に生じるようにするステップ
を含む、液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定する方法。
【請求項5】
液体の流れの変化が、蓄積ゾーンの下流の表示領域において液体の存在または到着を検出することによって決定される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
液体の流れが減少または停止される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1試薬が触媒である、請求項2から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
触媒が酵素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酵素がカタラーゼである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2試薬が過酸または過酸素化合物である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ガスが酸素である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
液体サンプルが生体サンプルを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
生体サンプルが尿を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検体が、ハプテン、hCGまたはLHのいずれか1つから選択される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
流れが基準流路中の液体の流れと比較される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の方法を行うためのアッセイデバイス。
【請求項17】
液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路;
検体の有無または量に依存してガスを発生する(このガスは液体サンプル中に、下流のゾーンまでの流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の気泡を生じる。)ガス発生手段;および
液体の流れにおける任意の変化を検出する検出手段および/または下流ゾーンにおける液体の存在または到着を検出するインジケータ手段(この流路に沿った液体の流れの変化は、検体の存在および/または量を示す。)
を含み、前記デバイスに塗布または導入した液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項18】
ガス発生手段が、第1試薬および第2試薬を含む、請求項17に記載のアッセイデバイス。
【請求項19】
試薬の1つが、検体のためか検体に対する結合試薬のために結合試薬により標識されている、請求項18に記載のアッセイデバイス。
【請求項20】
ガス発生手段が酸素ガスを発生する、請求項17から19のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項21】
液体の流れおよび/または液体の存在もしくは到着を検出するために蓄積ゾーンの下流に備えられたインジケータ領域における任意の変化を検出するための検出手段をさらに含む、請求項17から20のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項22】
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の気泡を液体サンプル中に形成し、この気泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すものである。)、および
e)液体の流れおよび/または液体の存在または到着を検出するための蓄積ゾーンの下流に備えられているインジケータ手段の任意の変化を検出するための検出手段
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項23】
第2試薬が、蓄積ゾーンの上流に備えられており、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれる、請求項22に記載のアッセイデバイス。
【請求項24】
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンの上流に備えられている第2試薬、および
e)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(前記デバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれ、第2試薬がこの蓄積ゾーンに到着すると同時に、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の気泡を液体中に形成し、前記気泡は、流路中の液体中に形成されまたは存在することが引き起こされ、この気泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在および/または量を示すものである。)
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項25】
第1試薬が第1の流路に備えられ、第2試薬が第2の流路に備えられており、この第1および第2流路が蓄積ゾーンの領域内、または上流に集中する、請求項22から24のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項26】
両方の流路の上流に備えられている共通のサンプル適用ゾーンを含む、請求項25に記載のアッセイデバイス。
【請求項27】
第1試薬が酵素である、請求項22から26のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項28】
酵素がカタラーゼである、請求項27に記載のアッセイデバイス。
【請求項29】
液体の流れおよび/または液体の存在もしくは到着を検出するために蓄積ゾーンの下流に備えられたインジケータ領域における任意の変化を検出するための検出手段をさらに含む、請求項24から28のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項30】
第2試薬が過酸または過酸素化合物から選択される、請求項22から29のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項31】
基準流路をさらに備える、請求項22から30のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項32】
基準流路が、蓄積ゾーンの下流のアッセイ流路との接合領域で合流する、請求項31に記載のアッセイデバイス。
【請求項33】
インジケータ領域が接合領域の下流に備えられている、請求項32に記載のアッセイデバイス。
【請求項34】
インジケータ領域が、接合領域の上流の基準流路およびアッセイ流路のそれぞれにおいて各々備えられている、請求項32に記載のアッセイデバイス。
【請求項35】
対照アッセイをさらに含む、請求項22から34のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項36】
対照アッセイが、対照アッセイ流路および/または対照基準流路を含む、請求項35に記載のアッセイデバイス。
【請求項37】
対照テスト流路が、下流接合領域において対照基準流路と交差する、請求項36に記載のアッセイデバイス。
【請求項38】
非電子のバイナリーまたはデジタルアッセイ結果インジケータ手段を含む、請求項17から37のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項39】
電源を必要とする任意の要素、および/または電源を含まない、請求項17から38のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項1】
検体を含有すると推測される液体サンプルを、ガス発生手段(ガス発生手段は、検体の有無または量に依存してガスを生成し、このガスは液体サンプル中に、流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の気泡を生じる。)と接触させるステップ、および流路に沿った液体の流れの変化が、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す液体における流れの変化を決定するステップ
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するための方法。
【請求項2】
ガス発生手段が、第1試薬および第2試薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試薬の1つが、検体のためか検体に対する結合試薬のために結合試薬により標識されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)検体を含有すると推測される液体サンプルを、第1試薬により標識されている結合試薬(この結合試薬は、検体にまたは検体に対する結合試薬に結合することができる。)と接触させるステップ、
b)蓄積ゾーンにおいて標識化結合試薬の蓄積(標識化試薬の蓄積ゾーンにおける蓄積は、液体サンプル中の検体の有無または量に依存する。)をもたらすステップ、および
c)標識した結合試薬を蓄積ゾーンにおいて第2試薬と接触させて、第1試薬と第2試薬とが反応してガスを生成し、ガスが流路に沿った液体の流れを変える(前記流路に沿った液体の流れのこの変化は、液体サンプル中の検体の存在および/または量を示す。)ように作用する1つまたは複数の気泡を液体サンプル中に生じるようにするステップ
を含む、液体サンプル中の検体の存在および/または量を決定する方法。
【請求項5】
液体の流れの変化が、蓄積ゾーンの下流の表示領域において液体の存在または到着を検出することによって決定される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
液体の流れが減少または停止される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1試薬が触媒である、請求項2から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
触媒が酵素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酵素がカタラーゼである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2試薬が過酸または過酸素化合物である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ガスが酸素である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
液体サンプルが生体サンプルを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
生体サンプルが尿を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検体が、ハプテン、hCGまたはLHのいずれか1つから選択される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
流れが基準流路中の液体の流れと比較される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の方法を行うためのアッセイデバイス。
【請求項17】
液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路;
検体の有無または量に依存してガスを発生する(このガスは液体サンプル中に、下流のゾーンまでの流路に沿った液体の流れを変えるように作用する1つまたは複数の気泡を生じる。)ガス発生手段;および
液体の流れにおける任意の変化を検出する検出手段および/または下流ゾーンにおける液体の存在または到着を検出するインジケータ手段(この流路に沿った液体の流れの変化は、検体の存在および/または量を示す。)
を含み、前記デバイスに塗布または導入した液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項18】
ガス発生手段が、第1試薬および第2試薬を含む、請求項17に記載のアッセイデバイス。
【請求項19】
試薬の1つが、検体のためか検体に対する結合試薬のために結合試薬により標識されている、請求項18に記載のアッセイデバイス。
【請求項20】
ガス発生手段が酸素ガスを発生する、請求項17から19のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項21】
液体の流れおよび/または液体の存在もしくは到着を検出するために蓄積ゾーンの下流に備えられたインジケータ領域における任意の変化を検出するための検出手段をさらに含む、請求項17から20のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項22】
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(このデバイスは、使用中、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の気泡を液体サンプル中に形成し、この気泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在または量を示すものである。)、および
e)液体の流れおよび/または液体の存在または到着を検出するための蓄積ゾーンの下流に備えられているインジケータ手段の任意の変化を検出するための検出手段
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項23】
第2試薬が、蓄積ゾーンの上流に備えられており、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれる、請求項22に記載のアッセイデバイス。
【請求項24】
a)このデバイスに液体サンプルを塗布するためのサンプル塗布ゾーン、
b)液体が平行して流れる少なくとも1つのアッセイ用流路、
c)第1試薬によって標識されており、前記流路内に備えられている蓄積ゾーンの上流に備えられている結合試薬(前記結合試薬は、検体または検体に対する結合試薬のいずれかに結合することができる。)、
d)蓄積ゾーンの上流に備えられている第2試薬、および
e)蓄積ゾーンにおける標識化試薬の集積が、液体サンプル中の検体の有無または量によって決まる標識化結合試薬を固定することができる蓄積ゾーン(前記デバイスは、使用中、すべてのまたは実質的にすべての標識化結合試薬が、第2試薬の蓄積ゾーンへの到着前に前記ゾーンに運ばれ、第2試薬がこの蓄積ゾーンに到着すると同時に、この蓄積ゾーンに固定された任意の標識化結合試薬と第2試薬との間で反応が起こってガスを生成し、前記ガスが、1つまたは複数の気泡を液体中に形成し、前記気泡は、流路中の液体中に形成されまたは存在することが引き起こされ、この気泡が流路に沿った液体の流れを変化させるように作用し、その液体の流れの変化が液体サンプル中の検体の存在および/または量を示すものである。)
を含む、液体サンプル中の対象の検体の存在および/または量を決定するためのアッセイデバイス。
【請求項25】
第1試薬が第1の流路に備えられ、第2試薬が第2の流路に備えられており、この第1および第2流路が蓄積ゾーンの領域内、または上流に集中する、請求項22から24のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項26】
両方の流路の上流に備えられている共通のサンプル適用ゾーンを含む、請求項25に記載のアッセイデバイス。
【請求項27】
第1試薬が酵素である、請求項22から26のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項28】
酵素がカタラーゼである、請求項27に記載のアッセイデバイス。
【請求項29】
液体の流れおよび/または液体の存在もしくは到着を検出するために蓄積ゾーンの下流に備えられたインジケータ領域における任意の変化を検出するための検出手段をさらに含む、請求項24から28のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項30】
第2試薬が過酸または過酸素化合物から選択される、請求項22から29のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項31】
基準流路をさらに備える、請求項22から30のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項32】
基準流路が、蓄積ゾーンの下流のアッセイ流路との接合領域で合流する、請求項31に記載のアッセイデバイス。
【請求項33】
インジケータ領域が接合領域の下流に備えられている、請求項32に記載のアッセイデバイス。
【請求項34】
インジケータ領域が、接合領域の上流の基準流路およびアッセイ流路のそれぞれにおいて各々備えられている、請求項32に記載のアッセイデバイス。
【請求項35】
対照アッセイをさらに含む、請求項22から34のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項36】
対照アッセイが、対照アッセイ流路および/または対照基準流路を含む、請求項35に記載のアッセイデバイス。
【請求項37】
対照テスト流路が、下流接合領域において対照基準流路と交差する、請求項36に記載のアッセイデバイス。
【請求項38】
非電子のバイナリーまたはデジタルアッセイ結果インジケータ手段を含む、請求項17から37のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【請求項39】
電源を必要とする任意の要素、および/または電源を含まない、請求項17から38のいずれかに記載のアッセイデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−517777(P2011−517777A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503503(P2011−503503)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050354
【国際公開番号】WO2009/125227
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510269573)エス・ピー・デイー・スイス・プレシジヨン・ダイアグノステイクス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【出願人】(302044591)アレル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050354
【国際公開番号】WO2009/125227
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510269573)エス・ピー・デイー・スイス・プレシジヨン・ダイアグノステイクス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【出願人】(302044591)アレル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
[ Back to top ]