説明

波型媒体を有さない、表面特性が改善された合わせ板材

表面特性や曲げ強度が改善された、波型媒体を有さない低コストな合わせ板材を提供する。一実施形態の合わせ板材においては、高品質印刷に適した表面を有し、従来の波型板材の表面に現れていた特徴的な線を有さない。この合わせ板材は、接着剤処方により接合された少なくとも2枚の板紙を含む。接着剤処方は、一または複数の接着剤成分、発泡成分、およびフィラーから構成することができる。接着剤は、直径範囲約2ポイント〜約20ポイントの接着剤の筋状形状からなる接着剤パターンとすることができる。本発明の合わせ板材では、必要に応じて、接着剤処方は、板紙層間の距離を調整するためのスペーサー成分を含むことができる。接着剤は、曲げ剛性をさらに向上させ接着剤コストを削減するために、硬質フィラーを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年5月15日に出願された米国仮出願61/053,245号と、2008年8月18日に出願された米国仮出願61/089,582号とに基づく米国特許法119条e項の優先権を主張し、その全体を参考文献として本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
微小溝構造(Mini−Fluted)合わせ板材は、印刷のための良好な表面が要求される高品質物品の包装に広く用いられている。この合わせ板材の一つの難点として、媒体の折目に相当する線が、表面に見えてしまうことである。結果として、合わせ板材の表面に白い紙を積層する際に、望ましくない線を有さない高印刷品質の板材が要求されることになる。これにより、生産コストが著しく増大してしまう。漂白あるいは非漂白の高い品質を有する板材は、高品質物品の包装に使われる。しかしながら、高品質合わせ板材は高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮出願61/053,245号
【特許文献2】米国仮出願61/089,582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、高品質物品の包装に好適な改善された印刷表面を提供することができる、低コストな合わせ板材の需要がある。また、接合剛性が改善された合わせ板材も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
高品質印刷に適した表面を有し、従来の波型板材の表面に現れる特徴的な線を有さない低コスト合わせ板材を開示する。この合わせ板材は、接着剤処方の層と、この接着剤によって接合された少なくとも2つのライナー板材を有する。接着剤処方は、接着剤成分、発泡成分およびフィラーからなる。この開示された合わせ板材においては、必要であれば、接着剤処方は、ライナー板材層間の距離を調整するスペーサー成分を含む。
【0006】
また、曲げ剛性および表面特性を強化していた波型媒体を有さない低コスト合わせ板材をも開示する。この開示される合わせ板材は、直径範囲約2ポイントから20ポイントの接着剤の筋状構造からなる接着剤パターンによって接合された少なくとも2つのライナー板材を含む。接着剤筋状構造は、曲げ剛性をさらに強化し、接着剤コストを削減するために、硬質フィラーを含ませることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、合わせ板材をより包括的に説明するが、必ずしも全ての実施形態を開示するわけでは無い。実際、合わせ板材は多くの異なった形態にて実施することが可能であり、本明細書に記載された実施形態のみに限定して解釈されるべきではなく、適用される法的要件を満たすためにこれら実施形態を提供する。
【0008】
合わせ板材は、例示的な実施形態を参照して記述されるが、当業者にとっては、本発明の開示の範囲を逸脱することなく、様々な変更を加えたり、同等の物で構成要素を置換したりできることと解するべきである。また、特定の状況や材料に対応するため、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、発明の開示に対して多くの改良を加えることができるであろう。
【0009】
本発明の合わせ板材の一実施形態においては、以下の物を含む。
(a)接着剤成分、発泡成分およびフィラーからなる接着剤処方の層、および
(b)接着剤で接合される少なくとも2つのライナー板材。
【0010】
接着剤成分として、いくつかの公知の天然または合成接着剤成分が使用される。これらとしては、デンプン、酢酸エチル−ビニルポリマー(EVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルアルコール(PVOH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
発泡成分は、ラテックスエマルジョンから構成することができ、オプションとして発泡安定剤を添加することができる。開示された接着剤処方の発泡成分として使用するのに好適なラテックスエマルジョンは、スチレン−ブタジエンエマルジョン、アクリル−スチレン−ブタジエンエマルジョン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。Hercules社から購入可能なAerowhip(登録商標)といったセルロース系発泡安定剤が、発泡安定剤として使用することができる。発泡成分は、攪拌によってなる機械的に導入された泡を含む。機械的にホイップしたラテックスを泡として使用することもできる。
【0012】
付加的な剛性/固さ性能を付与するためあるいは処方コストを削減するため、本発明の接着剤処方にはフィラーを含有させることができる。フィラーは、鉱石または繊維とすることができる。本発明において好ましいフィラーは、球状デンプン、炭酸カルシウム、おがくず、石膏、しっくい、クレイ、コーン種子表皮、グルテン飼料、Cell−Pack社あるいはNu−Wool社から調達可能なセルロース断熱材、木粉、セルロースパルプ、レーヨンファイバー、合成ファイバーとすることができるが、これらのみに限定されない。セルロース断熱材は、再生新聞紙から製造される低コスト製品である。
【0013】
発泡およびガス泡生成のために、デンプンフィラーに例えば重曹等のようなガス放出薬品を添加することができる。例えば、重炭酸ナトリウム(重曹)および酸が結晶塩の形態にてデンプンフィラーと乾式混合され、混合物を得る。この酸性塩結晶は高温で発泡する酸性塩であり、例えばアルミニウム塩や、燐酸カルシウムアルミニウムである。混合物を水中に溶解させると、酸と重炭酸ナトリウムが反応して二酸化炭素ガスを放出し、混合物を膨張および発泡させる。
【0014】
合わせ板紙においてライナー板紙間を所定の距離に維持するためのスペーサー機能のため、いくつかの物質を接着剤処方に組み合わせることができる。これらとしては、木材粒子、おがくず、セルロース繊維、綿や麻、黄麻、亜麻、カラムシ、リネン等の天然繊維、とうもろこし加工工程における副産物である種子表皮、グルテン飼料、胚芽、殻が挙げられるが、これらのみに限定されない。とうもろこし加工工程の副産物が本発明の接着剤処方に組み合わせられると、強化された強度性能が達成される。接着剤処方中のとうもろこし加工副産物の量は、約2〜50重量%とすることができる。とうもろこし加工副産物は、製紙精製機またはセラミック切削プレートを有する製粉機に掛けられて精製され、50〜500μmの粒子径にされる。
【0015】
接着剤処方は、安定な泡を生成することができる界面活性剤から構成することができる。界面活性剤は、細孔体積が約15%〜約60%の泡を生成する。一実施形態においては、界面活性剤は、細孔体積が25%を超える泡を生成することができる。細孔体積は、泡中において空気で置換される接着剤の重量分率で定義される。例えば、細孔体積40%の意味は、100gの接着剤のうち40gが空気と置き換えられたこととなる。
【0016】
必要に応じて、本発明の接着剤処方はさらに、防腐剤、消泡剤、湿潤剤、可塑剤、可溶化剤、レオロジー改良剤、水質調整剤、浸透調整剤、尿素等の解膠剤、糊化温度改良剤、クレイや高度に微細化されたポリマー等の不活性充填剤、無機コロイダルクレイやグアーやヒドロキシエチルセルロースやアルギン酸塩やポリビニルアルコールや酸化エチレンのポリマー等の増粘剤、着色剤、および、ポリ酢酸ビニルといったエマルジョンを含む (それらは非機能的な?)添加剤から構成することができるが、これらのみに限定されない。これら添加剤は、少量が使用される。
【0017】
一実施形態においては、接着剤処方は、接着剤、スチレン−ブタジエンまたはアクリル酸SRBラテックスといったラテックスエマルジョン、Aerowhip(登録商標)泡安定剤、木粉、とうもろこし繊維、炭酸カルシウム、およびデンプンから構成することができる。
【0018】
本発明の包装ボード材の製造コストをさらに削減するため、接着剤成分は、公知の「Stein−Hall」プロセスを使用して調製される。Stein−Hallプロセスに際して使用される接着剤は、習慣的に、非糊化デンプンが糊化デンプンの水系分散液に懸濁されてなるアルカリ接着剤である。非糊化デンプンは、乾燥工程における水の吸収およびライナー板紙間のグリーンボンドの速い形成を容易にする。接着剤は、水酸化ナトリウムと共に水中でデンプンの糊化を行って糊化デンプンキャリアの第1混合物を得、続いて、得られた第1混合物を、非糊化デンプン、ホウ砂および水の第2混合物へゆっくりと添加することにより得られる。糊化デンプンキャリアの第1混合物は、72.0gのコーンスターチを600.5gの水中で45℃にて調理し、10.8gの水酸化ナトリウムを33.4gの水に溶解した水溶液を添加し、得られた混合物を5分間攪拌することにより調製された。第2混合物は、967.4gの水と、9.6gのホウ砂(五水和物)と、520.0gのコーンスターチを約35℃で混合して得られた。得られた第2混合物は、攪拌しながら第1混合物に添加された。
【0019】
グリーンボンドの高粘度および速い形成を示すのに加え、Stein−Hallプロセスによって調製される接着剤成分は、開示された包装板紙においてライナー板紙間を所定の距離に保つスペーサーとしても機能することができる。組み立てられた包装板紙の乾燥に際して、非糊化デンプンは、水和し、続いて、完成後の板紙に付加的な強度と剛性を与える。
【0020】
安定なコロイド分散液は、置換の程度が0.1〜1.0であって水分量が約4%〜30%である顆粒状で水に不溶な疎水デンプン誘導体を、機械的せん断、および大気圧を超えた圧力にて100℃〜250℃にての圧縮にさらし、その塊を限定的な開口を介して急激な減圧に供すことで塊を拡張させて断片化した顆粒の多孔質成分とし、最後にその多孔質の発泡成分を粉砕することで、得られる。
【0021】
一実施形態においては、包装板紙は、生分解性とすることができる。包装板紙は、全アミロース量の少なくとも45%が拡張されたアミロースデンプン生成物からなる、拡張された接着剤物質を含むことができる。拡張接着剤は、低密度であり、良好な弾力性と圧縮性の閉じたセル構造を有する。本発明の拡張接着剤物質は、弾力性が少なくとも約50%であり、圧縮性が約100g/cm〜2000g/cmの範囲とすることができる。
【0022】
接着剤処方は、素晴らしい擬塑性流動性能、ライナー間の空間を保持するに適した低せん断ブルックフィールド粘度、かつ適用工程に適した高せん断粘度を有する。ブルックフィールド粘度は、約2000〜50000cpsの範囲とすることができる。せん断粘度は、約100〜5000cpsとすることができる。いくつかの実施形態においては、粘度は10000cps超とすることができるので、適用された接着剤は、さらに、後に続くライナー層が接着剤上に置かれる際に圧力を保持するデザイン成分として機能するであろう。一実施形態においては、接着剤処方の粘度は、積層ニップ圧下でライナー板紙間の距離を、フィラーと接着剤とを合わせた初期の体積の少なくとも約50%に十分に保持することができる範囲とされる。
【0023】
本発明の合わせ板紙は、下記のステップからなる工程によって製造することができる。すなわち、
(a)接着剤成分と、発泡成分と、フィラーとからなる接着剤処方の層を、第1ライナー板紙の表面に適用し、
(b)aにおいて接着剤処方の層上に第2ライナー板紙を載置して、合わせ板紙接合体を得、
(c)合わせ板紙接合体に圧力を加え、
(d)cにおいて板紙接合体を乾燥して合わせ板紙を得る。
【0024】
接着剤層は、あらゆる公知の塗装技術によって、ライナー板紙の表面に適用される。これら技術としては、ロッドコーティング、ブレードコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、押し出しコーティングが含まれるが、これらのみに限定されない。フィラーとしてセルロース断熱材が使用される際は、接着剤処方は、空気圧によって適用され、格子状繊維のブランケットを形成するであろう。追加的に、セルロース断熱材は、接着剤処方中にて他のフィラーと混合され、公知の塗装技術によって適用されうる。接着剤層は、乾燥後の密度範囲が約0.1〜30lb/ftとすることができる。
【0025】
必要に応じて、本発明の板紙は、複数の接着剤層から構成することができる。第1接着剤層をライナーの表面に適用した後、固形分約60〜80%まで半ば乾燥される。続いて第2接着剤層が第1接着剤層の表面に適用され、そして1または複数のライナー板紙が追加される。続いてこの接合体は圧縮され、所望の厚さにすることができる。
【0026】
ライナー板紙の表面に接着剤処方を塗装するためにスプレー技術が使用される際は、接着剤処方の特性およびスプレー条件は、得られるライナー板紙の塗装表面が、選択されるトポグラフィー(表面性状)を有するように、最適化される。所望の寸法の凸部や凹部を有する塗装表面が達成される。接着剤処方の液滴は、合体して、ライナー板紙の所定の表面領域を多い、これにより、ライナー板紙間の距離を、所定の空間に定める。ライナー板紙が接着剤被覆されたライナー板紙表面の頂部に置かれた際は、いくつかの細孔はライナー間に存在し、接着剤はフィラーとしてライナー板紙間の空隙を一部満たすように機能する。接着剤は一体化し、全ライナー板紙表面の約20〜60%を覆う。
【0027】
接着剤層は、特別に設計された塗布機を使用して、ライナー板紙の表面にパターンとして適用することができる。そのパターンとは、曲線形状となった接着剤の筋状形状を含む。筋状形状は、正弦曲線形状やランダム形状として、比較的均一に、積層されるべきライナー板紙の表面を被覆する。本発明の接着剤のこのパターン適用は、板紙の表面全体を接着剤で塗装していた従来の積層工程において典型的に必要とされていた接着剤量を大幅に減少させることができる。
【0028】
接着剤処方は、接着剤層の厚さが均一になるように、ライナー板紙に筋状形状で適用される。さらに、筋状形状は、ある限られた一定の領域においては近接の筋が互いに交わったり接触したりすることで不均一な厚さにはなるものの全体的な被覆をすることにより、接触ライナー板紙の表面に繊維状の被覆が形成されるように適用することができる。接着剤特性は、板紙シートが貼り合わされるために加圧される積層工程において僅かに変形する以外は積層後も接着剤の筋状形状がその形状を保持するように選択される。
【0029】
接着剤は、ライナー板紙上に適用された後は、所定のレベルまで乾燥され、最終製品接合工程における圧縮力に耐える強度を付与される。続いて追加的なライナー板紙が接着剤層の表面に載置され、所望の厚さまで押圧されて最終の板紙接合体が得られる。一実施形態においては、ライナー板紙は、接着剤無しで接合された場合のライナーの予測厚さの約20〜100%大きい厚さまで挟持されて押圧される。続いて、得られた最終の板紙は、乾燥される。本発明では、板紙のための公知の乾燥方法の選択肢が使用される。これらは、温風、ホットプレート、赤外線、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらのみに限定されない。接着剤の水分含有量は、ライナー板紙に圧力と温度が適用された後、20〜30%である。
【0030】
本発明の合わせ板紙は、従来の波型板紙の表面に現れていた特徴的な線を有さない、高品質印刷に適した表面性能を有する。
【0031】
さらに、本発明の包装板紙は、折目線付けにおける素晴らしい特性を呈する。接着剤処方の筋状形状をライナー板紙上に放出するために、スロット塗布器が使用される。放出強度は、MDおよびCD方向での包装板紙の強度を減少させるために最適化される。加えて、筋状形状と、ライナー板紙上の発泡接着剤の厚さとの距離は、MDおよび/またはCD方向での折目線を最適化するために調節される。
【0032】
表1は、波型合わせ板紙における媒体の密度が板紙タイプF、G、NおよびK/Sの泡の密度より大きいか等しいことを示している。本発明の包装板紙に要求される重量は、従来の波型板紙より明らかに小さく、それにより製造コストを削減している。
【0033】

【0034】
本発明の他の実施形態における合わせ板紙は、次の構成を有する。
(c)第1ライナー板紙と、
(d)第2ライナー板紙と、
(e)直径範囲が約2ポイント〜約20ポイントである接着剤の筋状形状からなる接着剤パターン。第1ライナー板紙と、第2ライナー板紙は、接着剤パターンによって接合される。
【0035】
第1および第2のライナー板紙は、漂白板紙、非漂白板紙およびこれらの組み合わせとすることができる。
【0036】
あらゆるタイプの接着剤パターンが使用される。例えば、接着剤パターンは、曲線形状とされる。さらに、接着剤筋状形状は、積層されるべき板紙の表面を比較的均一に覆う正弦曲線形状またはランダム形状とすることができる。
【0037】
接着剤性能は、板紙シートが貼り合わされるために加圧される積層工程において接着剤の筋が僅かに変形する以外はライナー板紙の積層工程後に接着剤の筋がその形状を維持できるように選択される。
【0038】
本願発明では、接着剤成分として、いくつかの公知の天然および合成接着剤化合物が使用される。これらとして、デンプン、酢酸エチル−ビニルポリマー(EVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルアルコール(PVOH)が含まれるが、これらのみに限定されない。
【0039】
必要に応じて、接着剤はさらに、筋状形状の付加的な剛性/固さ付与のため、および/またはコスト削減のため、硬質フィラーを含むことができる。様々なフィラーを使用することができる。これらとして、Cell−Pak社およびNu−Wool社から調達可能なセルロース断熱材、木粉、おがくず、セルロースパルプ、レーヨン繊維、合成繊維、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらのみに限定されない。セルロース断熱材は、再利用新聞紙から製造される低コスト製品である。
【0040】
本発明の合わせ板紙は、板紙の表面全体を細孔無く接着剤で塗装していた従来の積層工程において典型的に必要とされていた接着剤量を大幅に減少させることができる。さらには、本発明の合わせ板紙は、単層板紙と比較して曲げ強度が強化されている。
【0041】
本発明の合わせ板紙の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)約2ポイント〜約20ポイントの直径を有する接着剤の筋状形状からなる接着剤を提供し、
(b)第1ライナー板紙に接着剤パターンを設けて、
(c)パターンが第1ライナー板紙と第2ライナー板紙の間になるように、第2ライナー板紙を第1ライナー板紙上に合わせて板紙接合体とする。
【0042】
合わせ板紙の製造方法はさらに、板紙接合体上に圧力を加える工程と、得られた板紙接合体を乾燥して本発明の合わせ板紙を得る工程を含む。
【0043】
必要に応じて、第1ライナー板紙上に適用された接着剤パターンは、ライナー板紙間の距離を維持するために、第2ライナー板紙を適用するに先立って乾燥することができる。一実施形態においては、合わせ板紙の接合を完了させるために第2板紙上に加えられる圧縮に耐えられる強度を付与するために、接着剤パターンは部分的に乾燥される。
【0044】
接着剤は、頑強な厚さを有し、乾燥させるための相当の長い時間および多量のエネルギーを要する。乾燥エネルギーを削減するため、接着剤は、固形分率が約50〜約70%の範囲とすることができる。乾燥エネルギーの更なる削減が求められる際は、接着剤は、複数の成分または構成部分として適用される。
【0045】
ある実施形態においては、固形分50%〜70%を有する第1接着剤成分は、第1ライナー板紙上に設けられ、続いて、固形分の80〜90%が乾燥される。続いて、第2接着剤成分が、乾燥された第1接着剤成分上に適用される。第2接着剤成分は、粘着付与剤を含むことができ、固形分30〜50%を有する。そのような第2接着剤成分に適した粘着付与剤の例としては、松脂、松脂エステル、アクリル、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらのみに限定されない。第2接着剤成分は、第1接着剤成分の約2重量%〜約10重量%の範囲とすることができる。
【0046】
本発明のある実施形態においては、第1接着剤成分は、第1ライナー板紙上に設けられ固形分中60〜80%の固形分までが乾燥される。続いて、第2接着剤成分が、半乾燥された第1接着剤成分上に設けられる。そして、第2接着剤成分上に第2ライナー板紙が設けられ、本発明の合わせ板紙とするべく圧縮される。
【0047】
接着剤パターンは、特別に設計された塗布器あるいは公知の塗布器によって、第1ライナー板紙上に設けられる。必要に応じて、第1ライナー板紙および第2ライナー板紙間の距離は、選択された高さに設定される。
【0048】
ある実施形態においては、接着剤処方特性や塗布器/スプレー条件および因子に依存する所望の寸法の凸部および凹部を有する複合的なトポグラフィーを塗装表面が有するように、接着剤パターンが第1ライナー板紙上にスプレー塗装される。
【0049】
ある実施形態においては、第1ライナー板紙上に設けられる接着剤パターンは、凹凸パターンからなる。続いて第2ライナー板紙が塗装された表面の凸部に設置され、2つのライナー板紙と接着剤間にいくつかの細孔を残存させる。
【0050】
ある実施形態においては、接着剤筋状形状は融合して、第1ライナー板紙の全表面の約20%〜約60%を覆う。
【0051】
前述の記載は、単に例示や説明のための実施形態に関するものであって、それら開示のみに本願発明が限定されるものではないと解されるべきである。当業者にとって明らかなあらゆる変更や改良を行うことができる。そのような変更例は、添付の請求項に定義されている限り本発明の範囲内であると考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板紙と、
第2板紙と、
接着剤処方からなる筋状パターンとからなる合わせ板材であって、
上記筋状は直径が約2ポイント〜約20ポイントであり、
上記接着剤処方は、接着剤成分と、付加的に発泡剤およびフィラーのうち少なくとも一方とからなり、
上記第1板紙および上記第2板紙とは、上記筋状パターンにより接合され、
上記第1板紙および上記第2板紙との間には波型媒体が存在しないことを特徴とする合わせ板材。
【請求項2】
第1板紙と、
第2板紙と、
接着剤処方の層とからなる合わせ板材であって、
上記接着剤処方は、接着剤成分と、発泡成分と、フィラーとからなり、
上記第1板紙および上記第2板紙とは、上記接着剤処方により接合され、
上記第1板紙および上記第2板紙との間には波型媒体が存在しないことを特徴とする合わせ板材。
【請求項3】
前記接着剤成分は、デンプン、酢酸エチル−ビニルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせ板材。
【請求項4】
前記フィラーは、球状デンプン、炭酸カルシウム、おがくず、石膏、しっくい、クレイ、コーン種子表皮、グルテン飼料、セルロース断熱材、木粉、セルロースパルプ、レーヨンファイバー、合成ファイバーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせ板材。
【請求項5】
前記接着剤処方は、前記第1板紙の総表面の約20%〜約60%を覆っていることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせ板材。
【請求項6】
前記接着剤処方は、前記第1板紙と前記第2板紙との距離を調節するスペーサー成分を含むことを特徴とする請求項2に記載の合わせ板材。
【請求項7】
前記接着剤パターンは、曲線形状、正弦曲線形状、ランダム形状、頂部−底部形状およびこれらの組み合わせからなる群から選択された部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の合わせ板材。
【請求項8】
前記第1板紙と前記第2板紙は、ラミネート工程で積層され、前記接着剤パターンは、上記ラミネート工程後も形状を保持することを特徴とする請求項1に記載の合わせ板材。
【請求項9】
接着剤処方を約2ポイント〜約20ポイントの直径を有する筋状パターンにし、
上記接着剤パターンを第1板紙上に設けて、第1コート板紙とし、
上記筋状パターンが上記第1コート板紙と第2板紙の間になるように、上記第2板紙を上記第1コート板紙上に合わせることを特徴とする合わせ板材の製造方法。
【請求項10】
さらに、上記板紙接合体に圧力を加え、上記板紙接合体を乾燥することを特徴とする請求項9に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項11】
前記第2板紙へ合わせる前に、前記筋状パターンの少なくとも一部を乾燥することを特徴とする請求項9に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項12】
前記筋状パターンの少なくとも一部を乾燥した後であって前記第2板紙へ合わせる前に、さらに第2接着剤成分を設けることを特徴とする請求項11に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項13】
前記板紙接合体を乾燥した後、前記接着剤パターンは、実質的に前記第1板紙上に設けられた元の形状を保持していることを特徴とする請求項10に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項14】
前記接着剤処方は、接着剤成分と、付加的に発泡成分とフィラーのうち少なくとも一方とを有することを特徴とする請求項9に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項15】
接着剤成分と発泡成分とフィラーとからなる接着剤処方の層を第1板紙の表面に設け、
第2板紙を上記接着剤処方の層上に載置して板紙接合体とし、
上記板紙接合体に圧力を加え、
上記板紙接合体を乾燥することを特徴とする合わせ板材の製造方法。
【請求項16】
一または複数の前記接着剤処方は、前記第1板紙の全表面積の約20%〜約60%を覆うことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項17】
前記接着剤成分は、デンプン、酢酸エチル−ビニルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質からなることを特徴とする請求項14または15に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項18】
前記フィラーは、球状デンプン、炭酸カルシウム、おがくず、石膏、しっくい、クレイ、コーン種子表皮、グルテン飼料、セルロース断熱材、木粉、セルロースパルプ、レーヨンファイバー、合成ファイバーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質からなることを特徴とする請求項14または15に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項19】
前記接着剤処方は、ブルックフィールド粘度が約2000cps〜約50000cpsであることを特徴とする請求項9または15に記載の合わせ板材の製造方法。
【請求項20】
前記接着剤処方は、せん断粘度が約100cps〜約5000cpsであることを特徴とする請求項9または15に記載の合わせ板材の製造方法。

【公表番号】特表2011−521117(P2011−521117A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509683(P2011−509683)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/043891
【国際公開番号】WO2009/140456
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(504376810)ミードウエストベコ・コーポレーション (55)
【Fターム(参考)】