説明

波形生成回路

【課題】 波形生成回路から発生されるノイズを低減する。
【解決手段】 波形生成回路では、MOSFET11固有の電気的特性として、MOSFET11のゲートに印加される電圧と出力電流との特性を利用して、MOSFETのゲートに電圧を連続的に印加することにより、出力電流の波形が正弦波となるように構成されている。このため、連続的な正弦波(出力電流)を生成することができる。したがって、波形生成回路により生成される正弦波の波形が、複数の直線が組み合わされた形状ではなく、連続した滑らかなものとなるので、波形生成回路から発生されるノイズを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力される波形生成指令に基づいて正弦波を生成する波形生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波形生成回路として、スイッチング素子、スイッチング素子がオンされた場合にその素子に流れる出力電流を監視する監視回路、及び、監視回路による監視結果に基づいて、出力電流の波形が正弦波となるように、出力電流の傾き(変化の割合)を段階的に切り替える出力電流制御回路等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−289597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の波形生成回路では、出力電流の傾きを段階的に切り替えているので、この波形生成回路により生成される正弦波の波形が、複数の直線が組み合わされた形状となり、出力電流の傾きが切り替わる部分(角)の各々がノイズとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みなされたものであり、波形生成回路から発生されるノイズを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、外部から入力される波形生成指令に基づいて正弦波を生成する波形生成回路であって、直流電源にドレインが接続され、ゲートに電圧が印加された場合に、ドレインからソースへ出力電流を流すMOSFETと、波形生成指令が入力された場合に、MOSFETのゲートに電圧を印加する印加手段とを備える。
【0007】
そして、印加手段は、MOSFETのゲートに印加される電圧と出力電流との特性を利用して、MOSFETのゲートに電圧を連続的に印加することにより、出力電流の波形が正弦波となるように構成されている。
【0008】
つまり、MOSFETには、固有の電気的特性があるので、請求項1に記載の発明では、この電気的特性として、MOSFETのゲートに印加される電圧と出力電流との特性を利用し、出力電流の波形が正弦波となるように、ゲートに印加される電圧を連続的に変化させるようにしている。このため、連続的な正弦波(出力電流)を生成することができる。
【0009】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、波形生成回路により生成される正弦波の波形が、複数の直線が組み合わされた形状ではなく、連続した滑らかなものとなるので、波形生成回路から発生されるノイズを低減することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、MOSFETのゲートに一端が接続され、他端がMOSFETのソースに接続されたコンデンサを備えたことを特徴としている。
つまり、コンデンサには、電流が流れた場合に電荷を蓄積する性質があるので、請求項2に記載の発明では、このコンデンサの性質を利用することで、MOSFETのゲートに電圧が印加される際に、その電圧値が急激に上昇することを抑制することができる。したがって、出力電流の変化の割合を抑制することができるので、出力電流の波形を更に滑らかにすることができる。
【0011】
また、このコンデンサの静電容量をMOSFETの寄生容量よりも大きな容量にすれば、MOSFETの個体バラツキによる影響を低減することができる。
また、請求項3に記載の発明は、印加手段によりゲートに対して電圧が印加されている場合に、その電圧よりも高い電圧を、ゲートに印加する高電圧印加手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
これによれば、印加手段に加えて、高電圧印加手段もMOSFETのゲートに電圧を印加するので、ゲートに印加される電圧の上昇が収束するまでの期間を短縮することができる。したがって、ゲートへの電圧の印加によるMOSFETの発熱を低減することができる。
【0013】
ところで、MOSFETは、一般に、ゲートに電圧が印加されたとしても、その電圧が所定値に到達しなければ出力電流を流さないので、請求項1〜3の何れかに記載の発明は、請求項4に記載のように構成されているとよい。
【0014】
すなわち、請求項4に記載の発明は、印加手段によりゲートに対する電圧の印加が開始されてから、ゲートの電圧が所定値に到達するまでの間、ゲートに対して電圧を印加する期間電圧印加手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、印加手段によりゲートに対する電圧の印加が開始されたときに、印加手段に加えて、期間電圧印加手段もMOSFETのゲートに電圧を印加するので、ゲートに印加される電圧を、MOSFETが出力電流を流すことが可能な電圧まで早く上昇させることができる。
【0016】
このため、波形生成指令が入力されてから出力電流が流れ始めるまでの期間を短縮することができるので、正弦波生成の応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図である。
【図2】第1実施形態のMOSFETの電気的特性を説明する説明図である。
【図3】第1実施形態のMOSFETの電気的特性を説明する説明図である。
【図4】第1実施形態の作用を説明する説明図である。
【図5】第1実施形態の作用を説明する説明図である。
【図6】第2実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図である。
【図7】第2実施形態のMOSFETのゲートに印加される電圧の波形を説明する説明図である。
【図8】第3実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図である。
【図9】第3実施形態の波形生成回路においてMOSFETのゲートに印加される電圧の波形と、第2実施形態の波形生成回路においてMOSFETのゲートに印加される電圧の波形との違いを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.波形生成回路の全体構成
図1は、第1実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図である。なお、波形生成回路は、車両のランプの減光制御や通信制御などに用いられ、外部から入力されるPWM信号に基づいて正弦波を生成するものである。
【0019】
図1に示すように、波形生成回路は、MOSFET11、MOSFET11のゲートに一端が接続され、他端がMOSFET11のソースに接続されたコンデンサC1、コンデンサC1の充電を行うための充電回路13、及び、コンデンサC1に充電された電荷を放電させるための放電回路15等を有して構成されている。
【0020】
なお、本実施形態のコンデンサC1は、MOSFET11の寄生容量よりも大きな静電容量を有するものが用いられている。
MOSFET11のドレインには直流電源1(本実施形態では、12[V])が接続され、MOSFET11のソースは負荷3を介して接地されており、MOSFET11のゲートには、充電回路13及び放電回路15が接続されている。そして、このMOSFET11は、ゲートに電圧が印加された場合に、ドレインからソースへ出力電流IDを流す。
【0021】
充電回路13及び放電回路15には、PWM信号が入力されるように構成されており、充電回路13及び放電回路15は、PWM信号に基づいて、MOSFET11のゲートに電圧を印加するようにされている。
【0022】
充電回路13は、トランジスタT1,T2、及び、抵抗R1〜R5等を有して構成されている。
トランジスタT1は、pnp型トランジスタであり、このトランジスタT1のエミッタには直流電源2(本実施形態では、直流電源1の電圧+12[V])が接続されている。また、トランジスタT1のコレクタには、抵抗R1を介してMOSFET11のゲートが接続されており、トランジスタT1のベースには、抵抗R2を介してトランジスタT2のコレクタに接続されている。また、トランジスタT1のエミッタとベースとは抵抗R3を介して接続されている。
【0023】
トランジスタT2は、npn型トランジスタであり、このトランジスタT2のエミッタは接地されている。また、トランジスタT2のベースには、抵抗R4を介してPWM信号の入力端子4が接続されており、トランジスタT2のエミッタとベースとは抵抗R5を介して接続されている。
【0024】
放電回路15は、トランジスタT3〜T7、及び、抵抗R6〜R11等を有して構成されている。
トランジスタT3はpnp型トランジスタであり、このトランジスタT3のエミッタには、抵抗R6を介して直流電源2が接続されている。また、トランジスタT3のコレクタには、トランジスタT4のコレクタが接続されており、トランジスタT3のベースには、トランジスタT5のコレクタが接続されている。
【0025】
トランジスタT4はnpn型トランジスタであり、このトランジスタT4のエミッタは接地されており、トランジスタT4のベースは、トランジスタT6のベースに接続されている。また、トランジスタT4のコレクタとベースとは接続されている。
【0026】
トランジスタT5はnpn型トランジスタであり、このトランジスタT5のエミッタは抵抗R8を介して接地されており、トランジスタT5のベースは、充電回路13の抵抗R1とMOSFET11のゲートとの接続点に接続されている。
【0027】
トランジスタT6はnpn型トランジスタであり、このトランジスタT6のコレクタは、抵抗R9を介して、トランジスタT5のベースとMOSFET11のゲートとの接続点に接続されている。また、トランジスタT6のエミッタは接地されている。
【0028】
トランジスタT7はnpn型トランジスタであり、このトランジスタT7のコレクタは、トランジスタT4のベースとトランジスタT6のベースとの接続点に接続されている。また、トランジスタT7のエミッタは、接地されており、トランジスタT7のベースは、抵抗R10を介して、PWM信号の入力端子4と抵抗R4との接続点に接続されている。また、トランジスタT7のベースとエミッタとは抵抗R11を介して接続されている。
【0029】
また、本実施形態において、抵抗R1と抵抗R6とは、同一のもの(抵抗値が等しいもの)が用いられている。
そして、本実施形態では、充電回路13の抵抗R1とコンデンサC1とにより直列RC回路が構成され、この抵抗R1とコンデンサC1とから決まる時定数によって、出力電流IDの波形が正弦波となるように、MOSFET11のゲートに電圧を連続的に印加するようにされている。
【0030】
以下、抵抗R1の抵抗値の設定方法について、図2〜図4を用いて説明する。
図2は、MOSFET11の電気的特性として、ドレイン−ソース間の電圧VDSとゲート−ソース間の電圧VGSとドレイン−ソース間に流れる電流(出力電流)IDとの関係を表すグラフである。また、図3は、MOSFET11の電気的特性として、ソースに印加される電圧VSと時間との関係を表すグラフである。
【0031】
図2に示すように、MOSFET11は、ドレイン−ソース間の電圧VDSに比例して出力電流IDが増加するが、出力電流IDが所定の電流値に到達すると出力電流IDの増加が止まり、横ばいになるという特性を有している。また、出力電流IDの増加が横ばいになる電流値は、ゲート−ソース間の電圧VGSが大きくなるほど大きくなる。
【0032】
そして、図2の一点鎖線に示すように、ゲート−ソース間の電圧VGSが一定の割合で増加すると想定した場合、ソースに印加される電圧VS(延いては出力電流ID)は、図3の実線に示す波形を描くことになる。
【0033】
そして、図3の実線に示す波形の単位時間における変化の割合と、図3の点線に示す正弦波との比を求め、その比の分だけ、電圧VSに到達する時間が短縮するように、図3の実線に示す波形を変形させれば、出力電流IDを正弦波に近似させることができる。
【0034】
そして、電圧VSに到達する時間は、直列RC回路の時定数によって変更することが可能なので、本実施形態では、充電回路13の抵抗R1とコンデンサC1とにより直列RC回路を構成し、その抵抗R1の抵抗値を適宜設定することにより、上記比の分だけ、電圧VSに到達する時間を短縮させることで、出力電流IDの波形が正弦波となるようにしている。
【0035】
以上のように、本実施形態では、MOSFET11のゲートに印加される電圧(すなわち、ゲート−ソース間の電圧VGS)と出力電流IDとの特性を利用して、MOSFET11のゲートに電圧を連続的に印加することにより、出力電流IDの波形が正弦波となるように構成されている。
【0036】
2.波形生成回路の特徴的作動
以上説明した波形生成回路では、入力端子4にPWM信号のHiが入力されると、充電回路13のトランジスタT1,T2がオンされるので、MOSFET11のゲートに電圧が印加されると共に、コンデンサC1に電荷が蓄積(充電)される。
【0037】
なお、このPWM信号のHiが入力された状態では、放電回路15のトランジスタT3,T5,T7もオンされる。また、PWM信号のHiが入力されると、ゲート−ソース間の電圧VGSは、一定の割合ではなく、図4に示す曲線を描くように上昇していく。
【0038】
そして、このとき、MOSFET11のゲートに流れる電流(コンデンサC1に流れる電流)は、図5(a)に示すように、徐々に減衰していき、やがてコンデンサC1の充電が完了すると、電流が流れなくなる。
【0039】
その後、PWM信号のLoが入力されると、充電回路13のトランジスタT1,T2、及び、放電回路15のトランジスタT7がオフされる。このとき放電回路15のトランジスタT3〜T6がオンしており、コンデンサC1に蓄積された電荷が放電される。
【0040】
これにより、コンデンサC1から電流が流れる(MOSFET11のゲートに電流が流れる)が、抵抗R6と抵抗R1とは同一のものであるので、MOSFET11のゲートに流れる電流は、図5(b)に示すように、図5(a)と同じ曲線を描きながら徐々に減衰していく。
【0041】
つまり、放電回路15の抵抗R6と充電回路の抵抗R1とは同一のものであるので、MOSFET11のゲートに印加されている電圧と、トランジスタT3のエミッタに印加されている電圧とが同一となる。これにより、充電回路13の充電時にコンデンサC1に流れる電流の波形と、放電回路15の放電時にコンデンサC1から放電される電流の波形とが同一となる。
【0042】
その後、コンデンサC1に蓄積された電荷が全て放電されると、放電回路15のトランジスタT3〜T6がオフされる。
以上のように、PWM信号のHiが入力されることによりMOSFET11のゲートに電流が流れてから、PWM信号のLoが入力されることによりMOSFET11のゲートに電流が流れなくなるまでの間に、正弦波の出力電流IDが流れることとなる。
【0043】
3.本実施形態に係る波形生成回路の特徴
本実施形態では、MOSFET11固有の電気的特性として、MOSFET11のゲートに印加される電圧と出力電流IDとの特性を利用し、図4に示すように、MOSFET11のゲートに電圧を連続的に印加することにより、出力電流IDの波形が正弦波となるように構成されている。このため、連続的な正弦波(出力電流ID)を生成することができる。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、波形生成回路により生成される正弦波の波形が、複数の直線が組み合わされた形状ではなく、連続した滑らかなものとなるので、波形生成回路から発生されるノイズを低減することができる。
【0045】
また、本実施形態では、出力電流IDを監視する監視回路(フィードバック回路)が必要ないので、回路規模を小さくすることができ、低コストで波形生成回路を構築することができる。
【0046】
また、本実施形態では、コンデンサC1の性質を利用することで、MOSFET11のゲートに電圧が印加される際に、その電圧値が急激に上昇することを抑制することができる。したがって、出力電流IDの変化の割合を抑制することができるので、出力電流IDの波形を更に滑らかにすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、このコンデンサC1の静電容量をMOSFET11の寄生容量よりも大きな容量としているので、MOSFET11の個体バラツキによる影響を低減することができる。
【0048】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、充電回路13及び放電回路15が特許請求の範囲に記載された印加手段に相当する。
【0049】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の波形生成回路について、図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は、第2実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図であり、図7は、第2実施形態のMOSFET11のゲートに印加される電圧の波形を説明する説明図である。
【0050】
本実施形態の波形生成回路は、図6に示すように、上述した第1実施形態の波形生成回路に対して、急速充放電回路20が設けられている。なお、図6において、図1と同じ構成については同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。なお、このことは、後述の図8においても同様である。
【0051】
急速充放電回路は、充電回路13及び放電回路15によりMOSFET11のゲートに対して電圧が印加されている場合に、その電圧よりも高い電圧を、MOSFET11のゲートに印加するためのものであり、この急速充放電回路20は、コンデンサC2、トランジスタT8〜T10、ダイオードD1〜D3、抵抗R12〜21、及び、ツェナーダイオード7等を有して構成されている。
【0052】
コンデンサC2の一端側は直流電源1に接続され、他端側は接地されている。
トランジスタT8は、pnpトランジスタであり、このトランジスタT8のエミッタには、直流電源1よりも電圧が高い直流電源2(本実施形態では、24[V])が接続されている。また、トランジスタT8のコレクタには、抵抗R12の一端側が接続されており、抵抗R12の他端側は、抵抗R13を介して接地されている。
【0053】
また、抵抗R12と抵抗R13との接続点には、ダイオードD1のアノードが接続されており、ダイオードD1のカソードは、MOSFET11のゲートに接続されている。また、トランジスタT8のベースとエミッタとは、抵抗R14を介して接続されている。
【0054】
トランジスタT8のベースは、抵抗R15を介してトランジスタT9のコレクタに接続されている。トランジスタT9は、npnトランジスタであり、このトランジスタT9のエミッタは接地されている。また、トランジスタT9のベースとエミッタとは抵抗R16を介して接続されており、トランジスタT9のベースは、抵抗R17の一端側に接続されている。
【0055】
抵抗R17の他端側は、抵抗R18を介してトランジスタT10のコレクタに接続されている。抵抗R17と抵抗R18との接続点には、ダイオードD2のアノードが接続されており、ダイオードD2のカソードは、PWM信号の入力端子4に接続されている。
【0056】
トランジスタT10は、pnpトランジスタであり、このトランジスタT10のベースとエミッタとは抵抗R19を介して接続されている。
また、トランジスタT9のエミッタには、ダイオードD3のカソードが接続されており、ダイオードD3のアノードは、ダイオードD1とMOSFET11との接続点に接続されている。
【0057】
トランジスタT10のベースには、抵抗R20の一端側が接続されており、抵抗R20の他端側は、抵抗R21の一端側が接続されている。また、抵抗R21の他端側は、直流電源2とトランジスタT8のエミッタとの接続点に接続されており、抵抗R20と抵抗R21との接続点には、ツェナーダイオード7のカソードが接続されている。ツェナーダイオード7のアノードは、直流電源1とコンデンサC2との接続点に接続されている。
【0058】
以上のような構成の急速充放電回路20では、図7に示すように、MOSFETのゲートに印加される電圧が所定値(本実施形態では、約12〜15[V])に到達する時刻t1にて、トランジスタT10がオンされる。
【0059】
これにより、トランジスタT8,T9がオンされ、直流電源1よりも高い電圧(直流電源2)からMOSFET11のゲート及びコンデンサC1に電流が流れることとなるので、MOSFET11のゲートに印加される電圧は、急激に上昇することとなる。
【0060】
一方、時刻t2にて、PWM信号のLoが入力されると、トランジスタT8〜T10がオフされるので、直流電源2からMOSFET11のゲート及びコンデンサC1に電流が流れなくなる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、充電回路13及び放電回路15に加えて、急速充放電回路20もMOSFET11のゲートに電圧を印加するので、MOSFET11のゲートに印加される電圧の上昇が収束するまでの期間を短縮することができる。したがって、MOSFET11のゲートへの電圧の印加によるMOSFET11の発熱を低減することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、急速充放電回路20が特許請求の範囲に記載された高電圧印加手段に相当する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の波形生成回路について、図8及び図9を用いて説明する。なお、図8は、第3実施形態の波形生成回路の構成を表す構成図であり、図9は、第3実施形態の波形生成回路においてMOSFET11のゲートに印加される電圧の波形と、第2実施形態の波形生成回路においてMOSFET11のゲートに印加される電圧の波形との違いを説明する説明図である。
【0063】
本実施形態の波形生成回路は、図8に示すように、上述した第2実施形態の充放電回路20に対して、充電回路13及び放電回路15によりMOSFET11のゲートに対する電圧の印加が開始されてから、MOSFET11のゲートの電圧が所定値に到達するまでの間、MOSFET11のゲートに対して電圧を印加するようにされている。
【0064】
具体的に説明すると、本実施形態の急速充放電回路30は、第2実施形態の急速充放電回路20に対して、抵抗22,23、ダイオードD4,D5、及び、ツェナーダイオード9が、新たに設けられている。
【0065】
そして、抵抗R22の一端側は、ツェナーダイオード7と直流電源1との接続点に接続され、抵抗R22の他端側は、アノードが接地されたツェナーダイオード9のカソードに接続されている。
【0066】
また、ツェナーダイオード9と抵抗R22の接続点には、抵抗R23の一端側が接続されており、抵抗R23の他端側は、ダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD4のカソードは、抵抗R12と抵抗R13との接続点に接続されている。
【0067】
また、抵抗23とダイオードD4との接続点には、ダイオードD5のアノードが接続されており、ダイオードD5のカソードは、PWM信号の入力端子4に接続されている。
以上のような構成の急速充放電回路30では、図9(a)に示すように、時刻t3にて、PWM信号のHiが波形生成回路に入力されると、急速充放電回路30からMOSFET11のゲート及びコンデンサC1に電流が流れる、すなわち直流電源1からMOSFET11のゲート及びコンデンサC1に電流が流れるので、MOSFET11のゲートに印加される電圧は、急激に上昇することとなる。
【0068】
そして、時刻t3から所定期間だけ経過した時刻t4にて、MOSFET11のゲートの電圧が所定値に達すると、出力電流IDが流れ始め、かつ、急速充放電回路30からMOSFET11及びコンデンサC1への電流が流れなくなる。これにより、PWM信号のHiが入力されてから出力電流IDが流れ始めるまでの期間(=t4−t3)は、上記第2実施形態における上記期間T(図9(b)参照)に比べて短縮される。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、PWM信号のHiが入力されたときに、充電回路13に加えて、急速充放電回路30もMOSFET11のゲートに電圧を印加するので、MOSFET11のゲートに印加される電圧を、MOSFET11が出力電流IDを流すことが可能な電圧まで早く上昇させることができる。
【0070】
このため、PWM信号のHiが入力されてから出力電流IDが流れ始めるまでの期間を短縮することができるので、正弦波生成の応答性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、急速充放電回路30が特許請求の範囲に記載された期間電圧印加手段に相当する。
【0071】
(その他の実施形態)
本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0072】
上記各実施形態では、コンデンサC1を設けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンデンサC1を設けなくてもよい。
また、上記各実施形態では、抵抗R1及び抵抗R6を設けることで、出力電流IDの波形が正弦波となるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、CPUがMOSFET11に印加される電圧を連続的に制御することで、出力電流IDの波形が正弦波となるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,2…直流電源、7,9…ツェナーダイオード、13…充電回路、15…放電回路、20…急速充放電回路、30…急速充放電回路、C1,C2…コンデンサ、D1〜D5…ダイオード、R1〜R23、T1〜T10…トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される波形生成指令に基づいて正弦波を生成する波形生成回路であって、
直流電源にドレインが接続され、ゲートに電圧が印加された場合に、前記ドレインからソースへ出力電流を流すMOSFETと、
前記波形生成指令が入力された場合に、前記MOSFETのゲートに電圧を印加する印加手段とを備え、
前記印加手段は、前記MOSFETのゲートに印加される電圧と前記出力電流との特性を利用して、前記MOSFETのゲートに電圧を連続的に印加することにより、前記出力電流の波形が正弦波となるように構成されていること
を特徴とする波形生成回路。
【請求項2】
前記MOSFETのゲートに一端が接続され、他端が前記MOSFETのソースに接続されたコンデンサを備えたことを特徴とする請求項1に記載の波形生成回路。
【請求項3】
前記印加手段により前記ゲートに対して電圧が印加されている場合に、その電圧よりも高い電圧を、前記ゲートに印加する高電圧印加手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波形生成回路。
【請求項4】
前記印加手段により前記ゲートに対する電圧の印加が開始されてから、前記ゲートの電圧が所定値に到達するまでの間、前記ゲートに対して電圧を印加する期間電圧印加手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の波形生成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−233067(P2010−233067A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79803(P2009−79803)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)