説明

波形等化回路および波形等化方法

【課題】回折限界を超えた高密度記録情報の再生信号をPR(1,2,2,2,1)等化する場合、LMS方式の適応等化フィルタだけでは最適解収束できず、収束させる為には、先に13タップ程度で適切なフィルタ特性を持つ固定フィルタ配置が必要となる。しかし、固定フィルタの特性を最適化するには可変パラメータが多く非常に困難であった。
【解決手段】本発明によれば、可変パラメータを減らし、固定フィルタ特性の最適化を容易化することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されたデジタル情報をPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式によって再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクの高密度化により、記録マークの最短マーク長が光学的な分解能の限界に近づき、符号間干渉の増大およびSNR(Signal Noise Rate)の劣化がより顕著となり、信号処理方法として、PRML方式等を用いることが一般的になりつつある。
【0003】
PRML方式は、パーシャルレスポンス(PR)と最尤復号(ML)とを組み合わせた技術であり、既知の符号間干渉が起こることを前提に再生波形から最も確からしい信号系列を選択する方式である。このため、従来のレベル判定方式よりも復号性能が向上することが知られている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
記録媒体から再生された信号は、波形等化器やデジタルフィルタなどを用いて所定の周波数特性を持つようにパーシャルレスポンス等化された後、ビタビ復号などを用いて最も確からしい状態遷移列を選択することによって対応した2値化データに復号することによりデータが再生される。
【0005】
光ディスクの高密度化がさらに進むと、符号間干渉およびSNR劣化がさらに問題となる。再生性能を維持するためには、PRML方式を高次の方式にすることで対応可能と非特許文献1に記載されている。例えば、図4(A)に示すように、12cmの光ディスクの記録層1層当たりの記録容量が25GBである従来の記録密度のBDの場合、レーザ波長904は405nm、対物レンズ903の開口数(Numerical Aperture;NA)は0.85、トラック900に記録される最短記録マーク2T902の長さは149nmであり、この場合はPR(1,2,2,1)ML方式を採用することで、再生性能を維持することができたが、図4(B)に示すように、さらに記録密度を高めて1層当たりの記録容量が33.4GBの場合、トラック900に記録される最短記録マーク2T906の長さは111.5nmとなり、PR(1,2,2,2,1)ML方式を採用する必要があることが説明されている。このように、光ディスクの高密度化に比例して、高次のPRML方式を採用する傾向は続くと予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/031743号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】図解 ブルーレイディスク読本 オーム社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2は、5T分の2値化データのビットパターン200に対する信号期待値のレベル202を示している。例えばBDの場合、1−7変調方式であるため最短マーク/スペースの長さは2Tとなり、5T分のビットパターン200は全部で32通りあるが、このうち1Tが含まれるものを除去すれば図2の状態201に示すように16通りのパターンに絞られる。これらの16通りのビットパターン200に対し、PR(1,2,2,2,1)の周波数特性で畳込むと0から8の9レベルとなり、信号期待値202はこれら9レベルを中心レベル4を0として−4から+4の値としたものである。図3は、図2で求めたビットパターン200と信号期待値202に基づいて、2Tから9Tまでの理想的な信号波形を示している。信号300は2T波形、信号301は3T波形、信号302は4T波形、信号303は5T波形、信号304は6T波形、信号305は7T波形、信号306は8T波形、信号307は9T波形である。信号レベル308は信号期待値レベル+4、信号レベル309は信号期待値レベル+3、信号レベル310は信号期待値レベル+2、信号レベル311は信号期待値レベル+1、信号レベル312は信号期待値レベル0(中心レベル)、信号レベル313は信号期待値レベル−1、信号レベル314は信号期待値レベル−2、信号レベル315は信号期待値レベル−3、信号レベル316は信号期待値レベル−4である。ここで、信号振幅を−0.5から+0.5とすると、各信号期待値レベルの間隔は0.125ずつとなる。
【0009】
図5(A)は、1層当たりの記録容量が30GBの光ディスクのトラックから再生した再生信号の周波数スペクトラムを示した図であり、図5(B)は1層当たりの記録容量が33.4GBの光ディスクのトラックから再生した再生信号の周波数スペクトラムを示した図である。光学的伝達関数(Optical Transfer Function:OTF)のゲインが得られる記録密度は、トラックに照射するレーザの波長がλ、レーザをトラックに集光する対物レンズの開口数がNA、トラック上に記録される最短マーク長がTmおよび最短スペース長がTsとした場合に、(Tm+Ts)<λ/(2NA)の条件を満たす記録密度である。レーザ波長λ=405nm、開口数NA=0.85の場合、最短記録マーク2Tの長さがTm=Ts=119.1nm、すなわち1層当たりの記録容量が31.27GBとなる記録密度がOTFカットオフ周波数(回折限界に相当する空間周波数)を超える記録密度に相当する。図5(A)の場合はOTFカットオフ周波数を超えていないが、図5(B)の場合はOTFカットオフ周波数を超えている。
【0010】
図5(A)において、500は1−7変調方式により記録された記録マークパターンを再生した再生信号をPR(1,2,2,2,1)に理想的に等化した信号の周波数スペクトラムである。501は再生信号、502は適応等化フィルタ後の信号の周波数スペクトラムである。
【0011】
図6は、再生信号をPRML方式で復号する復号回路の構成を示す図である。図6において、再生信号600は、A/Dコンバータ601でデジタル信号に変換され、DC制御回路602でオフセット変動が除去される。PLL603は、DC制御回路602の出力信号からチャネルビット位相同期タイミングを検出し、検出したタイミングでA/Dコンバータ601でのサンプリングが行われる。適応等化フィルタ606は、デジタルフィルタ604とデジタルフィルタ604のタップ係数を制御するLMS(Least Mean Square)適応制御回路605から構成される。LMS法は、適応等化フィルタの出力と目標値との誤差量に基づいて、デジタルフィルタ604のタップ係数を更新する手法であり、アルゴリズムが簡単で収束特性が良いため、広く用いられている。ビタビ復号回路607は、適応等化フィルタ606の出力の2値化を行う。LMS適応制御回路605は、2値化結果を用いてPR(1,2,2,2,1)の目標レベルを判定し、デジタルフィルタ604の出力との等化誤差を検出し、等化誤差が小さくなるようにタップ係数の制御を行うものである。
【0012】
図5(A)では、OTFカットオフ周波数を超えていないので、再生信号の周波数スペクトラム501において、最短マーク2Tに相当する規格化周波数0.25付近までトラック上の記録マークを再生した振幅成分が得られており、適応等化フィルタ後の信号の周波数スペクトラム502は、規格化周波数0.25付近までトラック上の記録マークを再生した振幅成分を増幅した信号を得ることができる。
【0013】
図5(B)において、503は再生信号、504は適応等化フィルタ後の信号の周波数スペクトラムである。図5(A)の場合とは異なり、OTFカットオフ周波数を超えているため、再生信号の周波数スペクトラム503は2.27Tに相当する規格化周波数0.22までしかトラック上の記録マークを再生した振幅成分が得られておらず、これ以上の帯域はノイズ成分となる。したがって、適応等化フィルタ後の信号の周波数スペクトラム504は、規格化周波数0.22まではトラック上の記録マークを再生した振幅成分を増幅した信号となるが、規格化周波数0.22以上ではノイズ成分を増幅してしまうことになる。また、規格化周波数0.18〜0.22の区間においても、図5(A)の適応等化フィルタ後の信号の周波数スペクトラム502と比べて、PR(1,2,2,2,1)の理想レベルに対して増幅不足が大きいことが分かる。
【0014】
以上のように、PR(1,2,2,2,1)を等化目標とした場合に、OTFカットオフ周波数を超えていない記録密度の場合には、やや等化不足は残るものの適応等化フィルタで等化することが可能であるが、OTFカットオフ周波数を超えた記録密度の場合には、OTFカットオフ周波数を超えた帯域ではノイズ成分を増幅してしまうことになり、これを抑制しようとする作用により等化不足が大きくのこってしまい、適応等化フィルタだけでは十分に等化することが困難である。またLMS方式による適応等化フィルタの場合では、再生状態の変動によるノイズ成分の変動の影響を受けて、最適解ではなく局所解に収束しやすいという問題もある。
【0015】
このような問題に対して、適応等化フィルタのタップ数を多くすることにより、OTFカットオフ周波数の前後において振幅増幅とノイズ低減を両立する急峻な周波数特性を構成させる手段があるが、非常に多くのタップ数を必要とするために集積回路として実現するには課題が多い。集積回路として実現できる程度のデジタルフィルタでは、適応等化フィルタの前に固定プリフィルタを配置して予め振幅増幅をしておき、適応等化フィルタはトラックへのレーザの照射状態により変化しやすいノイズ成分の低減や符号間干渉の変動による周波数特性の変動分の補整を行うというように、2段構成の等化フィルタとする手段がある。
【0016】
しかし、固定プリフィルタを用いたときでも、例えばレーザ波長や開口数NAのばらつきにより光学的伝達特性が変わったことにより再生信号の周波数特性が変わるような場合には、それぞれの周波数特性の条件に応じて固定プリフィルタのフィルタ特性を適切に調整しなければ適応等化フィルタが局所解に収束してしまうことがある。デジタルフィルタの特性を決定するタップ係数の設計方法としては、例えば特許文献1に示されているように、5タップのデジタルフィルタは通常5つのタップ係数を決定しなければならないが、対称型かつ位相特性がフラットとなる条件にすれば2つのパラメータから最適な特性になるように設計することが可能となる。
【0017】
ところが、OTFカットオフ周波数を超えている記録密度で、PR(1,2,2,2,1)等化を行う場合において適切な等化特性を得るためには、増幅と抑圧を両立するフィルタの特性設計の高い柔軟性が必要であり、固定プリフィルタは5タップでは不足であり、13タップ程度の長いタップ数のデジタルフィルタが必要となる。13タップデジタルフィルタの場合、対称型かつ位相特性がフラットとなる条件に絞ってもパラメータが6つも存在し、最適な特性を見出す処理が複雑であり、長い時間を要してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、本発明の波形等化回路は、光ディスクのトラック上に、照射するレーザの回折限界より小さい長さを含む記録マークおよびスペースにより情報が記録されており、前記情報を再生した再生信号のパーシャルレスポンス等化を行う波形等化回路であって、前記再生信号を前記情報のチャネルビット単位で同期化したサンプリング信号を出力する同期化手段と、前記サンプリング信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように決められた伝達特性により補整するプリ等化手段と、前記プリ等化手段の出力信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、伝達特性が適応的に制御される適応等化手段と、前記サンプリング信号の振幅特性を測定する再生信号測定手段と、前記プリ等化手段の伝達特性を決定するプリ等化特性決定手段とから構成され、前記プリ等化特性決定手段は、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて前記プリ等化手段の伝達特性を決定することを特徴とする。
【0019】
また、前記プリ等化手段の伝達特性は、少なくとも一つ以上の零点を有し、前記プリ等化特性決定手段は、前記零点のうち最も周波数の低い第一の零点の周波数を、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて決定してもよい。
【0020】
また、前記プリ等化特性決定手段は、前記プリ等化手段の伝達特性の回折限界に近い周波数における振幅減衰量を、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて決定してもよい。
【0021】
また、前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、前記サンプリング信号の周波数スペクトラムにおいて振幅が得られなくなる回折限界周波数であってもよい。
【0022】
また、前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より大きい記録マークとスペースのうち最短の記録マークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅であってもよい。
【0023】
また、前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より大きい記録マークとスペースのうち最短の記録マークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅と、最大の振幅が得られる長いマークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅との比であってもよい。
【0024】
また、前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より小さい記録マークあるいはスペースと、回折限界より大きい記録マークあるいはスペースのうち最短の記録マークあるいはスペースとが交互に連続したときの前記サンプリング信号の振幅であってもよい。
【0025】
また、前記プリ等化手段は、複数のタップを有する第一のデジタルフィルタを含み、前記適応等化手段は、複数のタップを有する第二のデジタルフィルタと、前記第二のデジタルフィルタのタップ係数を適応的に制御する係数制御手段とを含み、前記第二のデジタルフィルタのタップ数は、前記第一のデジタルフィルタのタップ数と同等以上であってもよい。
【0026】
また、前記パーシャルレスポンス等化の等化目標はPR(1,2,2,2,1)の周波数特性であってもよい。
【0027】
また、前記光ディスクに記録された情報は1−7変調方式に従って記録されていてもよい。
【0028】
また、前記光ディスクのトラックに照射するレーザの波長がλ、レーザをトラックに集光する対物レンズの開口数がNAであり、前記情報を表すようにトラック上に記録される最短マーク長がTmおよび最短スペース長がTsであり、前記情報は(Tm+Ts)<λ/(2NA)となる記録密度で記録されてもよい。
【0029】
また、前記レーザの波長λが400nmから410nmであってもよい。
【0030】
また、前記対物レンズの開口数NAが0.84から0.86であってもよい。
【0031】
また、前記最短マーク長Tmと最短スペース長Tsを加算した長さTm+Tsが、238.2nm未満であってもよい。
【0032】
本発明の波形等化方法は、光ディスクのトラック上に、照射するレーザの回折限界より小さい長さを含む記録マークおよびスペースにより情報が記録されており、前記情報を再生した再生信号のパーシャルレスポンス等化を行う波形等化方法であって、前記再生信号を前記情報のチャネルビット単位で同期化したサンプリング信号を出力する同期化ステップと、前記サンプリング信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、一定の伝達特性により補整するプリ等化ステップと、前記プリ等化ステップの出力信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、伝達特性が適応的に制御される適応等化ステップと、前記サンプリング信号の振幅特性を測定する再生信号測定ステップと、前記プリ等化ステップの伝達特性を決定するプリ等化特性決ステップとから構成され、前記プリ等化特性決定ステップは、前記再生信号測定ステップにより測定された振幅特性に応じて前記プリ等化手段の伝達特性を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、OTFカットオフ周波数を超えている記録密度で、PR(1,2,2,2,1)等化を行う場合において、例えば13タップフィルタのように多くのパラメータを決める必要がある長いフィルタにおいて、プリフィルタのフィルタ特性を対称型かつ位相特性がフラットとなる条件に絞り、さらにPR(1,2,2,2,1)等化の周波数特性にあわせてパラメータを固定化し、レーザの波長や対物レンズの開口数のばらつきなどによって変化するOTFカットオフ周波数に対し、再生信号の振幅特性を測定し、その結果に基づいてプリフィルタの零点周波数に相当する1つのパラメータを決定することにより、容易に適切な等化特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1によるプリフィルタの伝達特性を示す図
【図2】PR(1,2,2,2,1)特性の状態を示す図
【図3】PR(1,2,2,2,1)特性の理想波形を示す図
【図4】従来の密度で記録された記録マークと、回折限界を超えた高密度で記録された記録マークを示す図
【図5】再生信号の周波数スペクトラムを示す図
【図6】従来の復号回路の構成を示す図
【図7】実施形態1による光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図8】実施形態1によるプリフィルタの構成を示す図
【図9】実施形態1によるプリフィルタの伝達特性を示す図
【図10】実施形態1によるプリフィルタの伝達特性に対する信号評価指標値の変化を示す図
【図11】実施形態1による光ディスク装置にアナログイコライザ回路をさらに追加した構成を示すブロック図
【図12】ノイズ悪化に対する信号評価指標値の悪化を示す図
【図13】実施形態1によるプリフィルタの入出力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差信号の周波数スペクトラムを示す図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る波形等化回路の実施形態について説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図7は、本発明の実施の形態1に関する波形等化回路を有する光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0037】
光ディスク装置715は、光ディスク700からデータを再生することが可能である。光ディスク装置715は、光ヘッド701、モータ702、再生信号処理回路703を備えている。
【0038】
光ディスク700は、図4(B)に示すように、トラック400には1−7変調方式に従って変調されたデジタル情報がマークとスペースで記録されており、記録される最短記録マーク2T406の長さは111.5nmであり、従来よりも記録密度を高めて情報記録層1層あたり33.4GBとなっている。
【0039】
再生信号処理回路703は、A/D変換回路704、DC制御回路705、PLL回路706、適応等化回路707、ビタビ復号回路711、品質評価回路712、振幅測定回路713、係数算出回路714を備えており、これらは、1つのチップ回路(光ディスクコントローラ)703として実装されている。なお、これらの全てが1チップ化されていなくてもよい。また、これらを1チップ化せずに個々の回路として別々に設けてもよい。上述の光ディスク700は光ディスク装置715から取り外し可能であるため、光ディスク装置715の必須の構成要素ではないことに留意されたい。
【0040】
光ヘッド701は、光ディスク700に光ビームを照射し、トラックを走査しながら光ディスク700からの反射光量を検出して反射光量に応じた電気信号(再生信号)を出力する。いずれも図示されないが、光ヘッド701には、光ビームを放射する光源と、光ビームを集束させるレンズと、光ディスク700の情報記録層で反射した光ビームを受けて、再生信号を出力する受光部が設けられている。
【0041】
モータ702は、光ディスク700を指定された回転数で回転させる。
【0042】
A/D変換回路704は、光ヘッド701からの再生信号からトラック上に記録されたマーク/スペースに応じたデータ再生信号を再生クロックでサンプリングしたサンプリング信号を出力する。
【0043】
DC制御回路705は、サンプリング信号のエネルギー中心レベルを検出し、エネルギー中心レベルが以降の処理回路のゼロレベル(信号処理の中心レベル)になるようにサンプリング信号のDCレベルを制御する。
【0044】
PLL回路706は、DC制御後のサンプリング信号を用いて、データ再生信号のチャネル周波数に同期した再生クロックを生成する。再生クロックは、A/D変換回路704でのサンプリング、DC制御回路705、適応等化回路707、ビタビ復号回路711のデジタル回路の処理クロックとしても用いられる。なお、再生信号に同期した再生クロックを生成してA/D変換回路704でサンプリングする構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、A/D変換回路704では再生クロックよりも高い周波数でサンプリングし、その後、デジタルフィルタなどによりサンプリング信号をチャネル周波数に同期したデジタル信号に変換するITR(Interpolated Timing Recoverly)方式によるPLL回路であってもよい。
【0045】
振幅測定回路713は、DC制御後のサンプリング信号をフーリエ変換して、図5(B)に示すような周波数スペクトラムを測定し、そこからOTFカットオフ周波数を検出する。図5(B)の503に示す周波数スペクトラムの場合には、OTFカットオフ周波数0.22を検出する。また、OTFカットオフ周波数を超えない最短のマークおよびスペースである3Tマーク、3Tスペースの振幅を検出してもよい。さらに、最大振幅となる8Tマーク、8Tスペースの振幅を検出し、3Tマーク、3Tスペースの振幅との比としてもよい。また、さらに周波数成分の高い、3Tと2Tが交互に連続する波形の振幅を検出してもよい。
【0046】
適応等化回路707は、光ディスク700の記録密度に応じて発生する符号間干渉に適した周波数特性を持つように、DC制御後のサンプリング信号に対してPR等化処理を行う。図4(B)に示す光ディスク700の記録密度の場合は、前述のとおりPR(1,2,2,2,1)等化を目標周波数特性とする。
【0047】
ビタビ復号回路711は、前述の通り、適応等化回路707の出力信号の2値化を行う。
【0048】
PLL回路706、PR(1,2,2,2,1)等化に適合した適応等化回路707、ビタビ復号回路711については、例えば特開2009−176405号公報に開示されている。
【0049】
品質評価回路712は、図3に示すPR(1,2,2,2,1)等化の理想波形に対する再生信号の誤差を評価するための指標値を算出する回路である。指標としては、例えば、国際公開番号WO2005/031743号公報に開示されているように、DMSAM(d−Minimum Sequenced Amplitude Margin)、SAM(Sequenced Amplitude Margin)、SAMER(Sequenced Amplitude Margin Error)などがあり、いずれもビタビ復号回路711での2値化処理の誤りやすさを表しており、適応等化回路707による等化処理後の再生信号の品質を評価することができる指標である。
【0050】
次に、適応等化回路707の詳細について説明する。
【0051】
適応等化回路707は、プリフィルタ708とデジタルフィルタ709とLMS適応制御回路710から構成される。プリフィルタ708は、あらかじめ決められた伝達特性を有したFIRフィルタである。デジタルフィルタ709も同様にFIRフィルタであるが、その伝達特性はLMS適応制御回路710により常時適応的に制御される。プリフィルタ708は13タップのFIRフィルタであり、デジタルフィルタ709も同様に13タップのFIRフィルタである。デジタルフィルタ709は、プリフィルタ708の出力信号の周波数特性をPR(1,2,2,2,1)特性にさらに近づけることが目的であり、そのためにプリフィルタ708と同等以上の伝達特性の自由度をもつ必要がある。従って、デジタルフィルタ709のタップ数はプリフィルタ708のタップ数と同等あるいはそれ以上にすればよい。
【0052】
LMS適応制御回路710は、図2および図3に示すように、ビタビ復号回路711から出力された2値化信号のビットパターンからPR(1,2,2,2,1)等化の理想波形を生成し、デジタルフィルタ709から出力された等化後の再生信号と理想波形との誤差を算出し、誤差が小さくなるようにデジタルフィルタ709のタップ係数の制御を行う。
【0053】
前述のように、OTFカットオフ周波数を超えていない記録密度の場合には、やや等化不足は残るもののデジタルフィルタ709とLMS制御回路710だけで等化することが可能であるが、OTFカットオフ周波数を超えた記録密度の場合には、OTFカットオフ周波数を超えた帯域ではノイズ成分を増幅してしまうことになり、これを抑制しようとする作用により等化不足が大きくのこってしまい、デジタルフィルタ709とLMS制御回路710だけでは十分に等化することが困難である。またLMS制御の場合では、再生状態の変動によるノイズ成分の変動の影響を受けて、最適解ではなく局所解に収束しやすいという問題もあり、これを解決するために、デジタルフィルタ709の前にプリフィルタ708が配置されている。
【0054】
プリフィルタ708は、図8に示すように、13タップFIRフィルタで構成される。13個のタップ係数は、係数算出回路714によって算出される。タップ係数は、センタータップ係数gを中心に対称型であり、位相特性はフラットである。図1は、PR(1,2,2,2,1)特性に等化するための13タップのプリフィルタ708の伝達特性を示しており、図9は、この伝達特性をZ平面上に現している。図1と図9に示すように、周波数θ4、θ5、θ6の3点を零点とした伝達特性となっており、また対称タップ係数とする条件により、例えばA点とA’点は共役複素解となり、またB点とC点は半径がr2と1/r2で角度θ2(=θ3)で共役複素解となる。従ってプリフィルタ708の伝達特性は以下の数1で表され、これにより13個のタップ係数を算出することができる。ここでθ1=0、θ2=θ3、r3=1/r2、r4=r5=r6=1である。
【0055】
【数1】

【0056】
図10は、プリフィルタ708の伝達特性を変化に対して、品質評価回路712によって測定される指標値の変化を示したグラフである。図10(A)と(B)は、光ヘッド701のレーザ波長や開口数などのばらつきにより回折限界が異なっており、図10(A)の方が図10(B)よりもOTFカットオフ周波数が約3.2%高くなっている。これらのグラフの結果より、プリフィルタ708の伝達特性が変化すると、後続するデジタルフィルタ709とLMS制御回路710による適応制御が最適解に収束しなくなることがわかる。図12は、記録密度がOTFカットオフ周波数を超えている場合と超えていない場合とにおいて、ノイズ量約−32.5dBを基準として、ノイズ悪化量に対する指標値の悪化量を示している。図12の1200は、図5(A)に示す1層当たりの記録容量が30GBでOTFカットオフ周波数を超えていない場合であり、1201は、図5(B)に示す1層当たりの記録容量が33.4GBでOTFカットオフ周波数を超えている場合である。ノイズが十分に低い場合は大きな差はないが、ノイズが大きくなってくると1201の方が大幅に悪化していることがわかる。記録密度がOTFカットオフ周波数を超えていない場合は、LMS制御回路710による適応制御が最適解に収束することが容易で、指標値の悪化量はノイズ相当分だけである。しかし、記録密度がOTFカットオフ周波数を超えている場合には、前述のように、OTFカットオフ周波数を超えた帯域ではノイズ成分を増幅してしまうことになり、これを抑制しようとする作用により等化不足が大きくのこってしまうため、指標値の悪化にはノイズだけでなく等化不足分も含まれることになる。図10の結果においても同様にOTFカットオフ周波数の高低の違いの影響が現れている。
【0057】
最適解が得られるようになるプリフィルタ708の伝達特性は、図10(A)の条件の場合、r1=0.5、θ4/2π=0.26であり、図10(B)の条件の場合、r1=0.5、θ4/2π=0.25となっており、OTFカットオフ周波数の差にほぼ一致している。係数算出回路714は、振幅測定回路713により測定されたOTFカットオフ周波数値に基づいて、r1の値、あるいはθ4の値を決定する。また、OTFカットオフ周波数ではなく、3Tマーク/スペースの振幅でもよいし、3Tマーク/スペース振幅と8Tマーク/スペース振幅の比でもよいし、3Tと2Tの連続する波形の振幅であってもよく、高周波数帯域での分解能に基づいてr1の値、あるいはθ4の値を決定することが可能である。図1に示す伝達特性は、
(r1,θ1/2π)=(0.50, 0.00)
(r2,θ2/2π)=(0.62, 0.09)
(r3,θ3/2π)=(1/0.62, 0.09)
(r4,θ4/2π)=(1.00, 0.26)
(r5,θ5/2π)=(1.00, 0.38)
(r6,θ6/2π)=(1.00, 0.46)
とした図10(A)の最適解が得られるプリフィルタ708の伝達特性であり、図10(B)の最適解が得られるプリフィルタ708の伝達特性では、上記に対し、θ4/2π=0.25となる他は同じ値である。零点より低い周波数帯域の特性を決めるr1、θ1、r2、θ2、r3、θ3は、プリフィルタ708の出力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差をとった信号の周波数スペクトラムがフラットに近づく特性となる値とするのがよい。図13は、誤差信号の周波数スペクトラムを表した図である。図13において、1300はプリフィルタ708の入力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差信号の低周波数帯域における周波数スペクトラムであり、1301はプリフィルタ708の出力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差信号の低周波数帯域における周波数スペクトラムである。プリフィルタ708の入力信号の段階では、1300のように低周波数成分が大きく、高周波数成分が小さい特性となっているが、プリフィルタ708の出力信号の段階では、1301のようにフラットな特性に近づいていることが分かる。
【0058】
以上より、パラメータr1をはじめとしてパラメータθ4以外はOTFカットオフ周波数が変わっても共通であり、プリフィルタ708のカットオフ周波数に相当するパラメータθ4の値がOTFカットオフ周波数に応じて変わっていることがわかる。ばらつきが出やすい光ヘッド701のレーザ波長や開口数といった条件に対し、プリフィルタ708の伝達特性のカットオフ周波数に相当するパラメータθ4の値を、振幅測定回路713の測定結果に基づいて決定することにより、品質評価回路712によって測定される指標値が最も良い値となり、光ディスク700のように回折限界を超えた密度で記録されている情報を再生する再生性能を容易に安定化させることが可能となる。また、パラメータθ4を固定し、パラメータr1の値を変えることで伝達特性の振幅減衰量を変えて、同様に再生性能を安定化させることも可能である。
【0059】
光ヘッド701のレーザ波長が400nm〜410nm、開口数が0.84〜0.86の範囲でばらつく場合、回折限界となる空間周波数は、光ディスク700に記録される最短記録マーク2T406の長さ111.5nmで規格化した周波数として0.228〜0.239の範囲で変化する。従って、パラメータθ4は、上記範囲0.228〜0.239を含み、高周波数側はさらに15%程度範囲を広げて、0.22×2π〜0.28×2πの範囲で決定すればよい。
【0060】
なお、前述の実施の形態1において、デジタル回路のプリフィルタ708のみの構成としたが、図11に示すように、A/D変換回路704の前にアナログイコライザ回路714を配置してもよい。実施の形態1では、プリフィルタ708の伝達特性において、図1に示すように、規格化周波数0.15〜0.2あたりを大きく増幅する特性と、回折限界に相当する規格化周波数0.25付近は減衰させる特性を両立していたが、アナログイコライザ回路714において規格化周波数0.15〜0.2あたりを増幅し、プリフィルタ708は同帯域のゲインをフラットにして、回折限界に相当する規格化周波数0.25付近の減衰を行うように等化処理を分けることも可能である。この場合、プリフィルタ708は、実施の形態1のように13タップではなく、例えば9タップ程度に回路規模を削減することも可能であり、伝達特性は同様に、カットオフ周波数を光ヘッド701のばらつきに応じて調整すれば、同様の効果を得ることができる。さらに、PLL回路706に入力される再生信号もアナログイコライザ回路714によって予め信号特性が改善されているため、PLL回路706の初期引き込み性能やロック状態での安定性も改善されるという効果もある。
【0061】
なお、前述の実施の形態1において、プリフィルタ708の伝達特性の零点を3点としたが、これに限定されるものではなく、零点の一つを回折限界に相当する空間周波数付近に配置して、これを調整すれば同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、前述の実施の形態1において、プリフィルタ708とデジタルフィルタ709を共に13タップのFIRフィルタとしたが、これに限定されるものではない。
【0063】
なお、前述の実施の形態1において、光ディスク700のトラックに記録される最短記録マーク2T406の長さを111.5nmとしたが、これに限定されるものではない。
【0064】
なお、前述の実施の形態1において、適応等化回路707とビタビ復号回路711の目標等化特性をPR(1,2,2,2,1)特性としたが、これに限定されるものではない。
【0065】
なお、本実施の形態の光ディスク装置の構成要素は集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現され得る。光ディスク装置が備える構成要素は個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0066】
なお、ここでは、集積回路をLSIと呼んだが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、LSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称されることもある。
【0067】
また、本実施の形態の集積回路はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0068】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、光ディスクの記録密度の高密度化において有用であり、大容量な光ディスクの再生方法、光ディスク装置、集積回路に利用できる。
【符号の説明】
【0070】
200 ビットパターン
201 ビットパターン状態
202 PR(1,2,2,2,1)特性の信号期待値
300 PR(1,2,2,2,1)特性の2T理想波形
301 PR(1,2,2,2,1)特性の3T理想波形
302 PR(1,2,2,2,1)特性の4T理想波形
303 PR(1,2,2,2,1)特性の5T理想波形
304 PR(1,2,2,2,1)特性の6T理想波形
305 PR(1,2,2,2,1)特性の7T理想波形
306 PR(1,2,2,2,1)特性の8T理想波形
307 PR(1,2,2,2,1)特性の9T理想波形
308〜316 PR(1,2,2,2,1)特性の信号期待値レベル
400 トラック
401,402,405,406 記録マーク
403 レンズ
404 レーザ
500 PR(1,2,2,2,1)特性の周波数スペクトラム
501,503 再生信号の周波数スペクトラム
502,504 適応等化後の再生信号の周波数スペクトラム
600 再生信号
601,704 A/D変換回路
602,705 DC制御回路
603,706 PLL回路
604,709 デジタルフィルタ
605,710 LMS適応制御回路
606,707 適応等化回路
607,711 ビタビ復号回路
700 光ディスク
701 光ヘッド
702 モータ
703 再生信号処理回路
708 プリフィルタ
712 品質評価回路
713 振幅測定回路
714 係数算出回路
715 光ディスク装置
716 アナログイコライザ回路
1200 30GB密度の場合のノイズに対する信号評価指標値の変化
1201 33.4GB密度の場合のノイズに対する信号評価指標値の変化
1300 プリフィルタ入力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差信号の周波数スペクトラム
1301 プリフィルタ出力信号とPR(1,2,2,2,1)等化目標との誤差信号の周波数スペクトラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクのトラック上に、照射するレーザの回折限界より小さい長さを含む記録マークおよびスペースにより情報が記録されており、前記情報を再生した再生信号のパーシャルレスポンス等化を行う波形等化回路であって、
前記再生信号を前記情報のチャネルビット単位で同期化したサンプリング信号を出力する同期化手段と、
前記サンプリング信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように決められた伝達特性により補整するプリ等化手段と、
前記プリ等化手段の出力信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、伝達特性が適応的に制御される適応等化手段と、
前記サンプリング信号の振幅特性を測定する再生信号測定手段と、
前記プリ等化手段の伝達特性を決定するプリ等化特性決定手段と、
から構成され、前記プリ等化特性決定手段は、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて前記プリ等化手段の伝達特性を決定することを特徴とする波形等化回路。
【請求項2】
前記プリ等化手段の伝達特性は、少なくとも一つ以上の零点を有し、前記プリ等化特性決定手段は、前記零点のうち最も周波数の低い第一の零点の周波数を、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて決定することを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項3】
前記プリ等化特性決定手段は、前記プリ等化手段の伝達特性の回折限界に近い周波数における振幅減衰量を、前記再生信号測定手段により測定された振幅特性に応じて決定することを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項4】
前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、前記サンプリング信号の周波数スペクトラムにおいて振幅が得られなくなる回折限界周波数であることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項5】
前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より大きい記録マークとスペースのうち最短の記録マークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅であることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項6】
前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より大きい記録マークとスペースのうち最短の記録マークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅と、最大の振幅が得られる長いマークとスペースに関する前記サンプリング信号の振幅との比であることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項7】
前記再生信号測定手段が測定する振幅特性は、回折限界より小さい記録マークあるいはスペースと、回折限界より大きい記録マークあるいはスペースのうち最短の記録マークあるいはスペースとが交互に連続したときの前記サンプリング信号の振幅であることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項8】
前記プリ等化手段は、複数のタップを有する第一のデジタルフィルタを含み、前記適応等化手段は、複数のタップを有する第二のデジタルフィルタと、前記第二のデジタルフィルタのタップ係数を適応的に制御する係数制御手段とを含み、前記第二のデジタルフィルタのタップ数は、前記第一のデジタルフィルタのタップ数と同等以上であることを特徴とする請求項1に記載の波形等化回路。
【請求項9】
前記パーシャルレスポンス等化の等化目標はPR(1,2,2,2,1)の周波数特性であることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項10】
前記光ディスクに記録された情報は1−7変調方式に従って記録されていることを特徴とする請求項1に記載の波形等化回路。
【請求項11】
前記光ディスクのトラックに照射するレーザの波長がλ、レーザをトラックに集光する対物レンズの開口数がNAであり、前記情報を表すようにトラック上に記録される最短マーク長がTmおよび最短スペース長がTsであり、前記情報は(Tm+Ts)<λ/(2NA)となる記録密度で記録されていることを特徴とする請求項1記載の波形等化回路。
【請求項12】
前記レーザの波長λが400nmから410nmであることを特徴とする請求項11に記載の波形等化回路。
【請求項13】
前記対物レンズの開口数NAが0.84から0.86であることを特徴とする請求項11に記載の波形等化回路。
【請求項14】
前記最短マーク長Tmと最短スペース長Tsを加算した長さTm+Tsが、238.2nm未満であることを特徴とする請求項11に記載の波形等化回路。
【請求項15】
光ディスクのトラック上に、照射するレーザの回折限界より小さい長さを含む記録マークおよびスペースにより情報が記録されており、前記情報を再生した再生信号のパーシャルレスポンス等化を行う波形等化方法であって、
前記再生信号を前記情報のチャネルビット単位で同期化したサンプリング信号を出力する同期化ステップと、
前記サンプリング信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、一定の伝達特性により補整するプリ等化ステップと、
前記プリ等化ステップの出力信号の周波数特性がパーシャルレスポンス等化の等化目標に近づくように、伝達特性が適応的に制御される適応等化ステップと、
前記サンプリング信号の振幅特性を測定する再生信号測定ステップと、
前記プリ等化ステップの伝達特性を決定するプリ等化特性決ステップと、
から構成され、前記プリ等化特性決定ステップは、前記再生信号測定ステップにより測定された振幅特性に応じて前記プリ等化手段の伝達特性を決定することを特徴とする波形等化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−141935(P2011−141935A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2516(P2010−2516)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】