波形記録装置、及び故障点標定システム
【課題】通信時間の短縮化、標定時間の短縮化する。
【解決手段】波形記録装置20であって、各相の電圧、電流に変化が有るか検出する変化検出部60と、変化が発生した発生時刻前後の電圧、電流の波形データを記録部45に対して記録させる第一記録制御手段50と、判定期間内に零相電流が第一閾値H1を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段50と、判定した判定情報を前記波形データに関連付けて前記記録部45に記録させる第二記録制御手段50とを備える。
【解決手段】波形記録装置20であって、各相の電圧、電流に変化が有るか検出する変化検出部60と、変化が発生した発生時刻前後の電圧、電流の波形データを記録部45に対して記録させる第一記録制御手段50と、判定期間内に零相電流が第一閾値H1を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段50と、判定した判定情報を前記波形データに関連付けて前記記録部45に記録させる第二記録制御手段50とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線路の故障点を標定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線路の故障点を標定する方法の一つに、サージの到達時間差から故障点を標定する到達時間差法がある(下記、特許文献1参照)。到達時間差法を利用して故障点を標定する故障点標定システムは、送電区間の両端に設置された波形記録装置と、波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からシステム構成されていて、波形記録装置では、サージの検出をトリガにして、電流や電圧の波形を記録している。一方、解析装置は、系統制御部門から送電線の遮断時刻が通知されると、各波形記録装置に指令を与えて送電線の遮断時刻前後の一定時間(例えば、前後1分)内に記録された全ての波形を転送させるとともに、転送された波形を解析してサージの到達時間差を求めて故障点を標定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−226243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、誘導雷が多発して故障に至ったケースでは、故障発生の前後に多数のサージが発生するので、故障発生時刻前後の一定時間内に多数の波形が記録される。そのため、各波形記録装置から解析装置に多数の波形がデータ転送されることとなり、通信時間がどうしても長くなる。また、解析すべき波形の数が多いと、故障点の標定に要する時間が長くなる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、通信時間の短縮化、標定時間の短縮化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明は、送電区間の両側に設置されて、故障点標定のため波形データを記録する波形記録装置であって、三相の各送電線から各相の電圧、各相の電流を検出する検出センサと、前記検出センサにて検出される各相の電圧、電流をリングバッファ方式で記憶する波形メモリと、時刻を計時する計時部と、不揮発性の記録部と、前記検出センサにて検出した前記各相の電圧、電流に変化が有るか否を検出する変化検出部と、前記変化検出部にて変化が検出されることを条件に、変化が発生した発生時刻前後の各相の電圧、電流の波形データを前記波形メモリから読み出して、前記記録部に対して前記発生時刻の情報と関連付けて記録させる第一記録制御手段と、前記変化が発生した発生時刻後の判定期間内に前記各相の電流を加算した零相電流が第一閾値を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が、停電検出用の閾値として設定された第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段と、前記判定手段にて判定した判定情報を前記波形データに関連付けて前記記録部に記録させる第二記録制御手段と、を備える。
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第2の発明は、前記第1の発明に係る波形記録装置と、前記波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定する。
【0007】
上記発明では、波形記録装置の記録部に波形データと、発生時刻の情報と、判定情報が関連付けて記録される。そのため、判定情報を参照することで、故障点の標定に必要な波形データを選択できる。従って、波形記録装置から解析装置に対して必要な波形データのみ転送することが可能となり、通信時間を短縮化できる。また、解析装置にて、必要な波形データのみ解析すればよいので、標定時間を短縮化できる。
【0008】
第1の発明の実施態様として、以下の構成にすることが好ましい。
・前記判定手段は、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯の前記電圧と前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における前記電圧の振幅差が、三相全て第三閾値に収まっているか否かを判定する第三判定と、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯における電圧が、前記第二閾値以下であり、かつ前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧が健全時の電圧に対応して設定された第四閾値以上である条件を、三相のうちいずれか一つの相でも満たすか否かを判定する第四判定とを行う。このようにすれば、判定材料が増えるので、波形記録装置に記録された波形データが、故障点の標定に必要なデータか、否かの判定精度が高まる。
【0009】
・前記変化検出部は、前記各相の電圧又は前記各相の電流に、サージ検出用の閾値として設定された第一基準レベルを超えるサージが重畳することを条件に、サージ検出信号を出力するサージ検出部と、前記各相の電流から算出した零相電流又は各相の電圧から算出した零相電圧である零相信号が、零相信号検出用の閾値として設定された第二基準レベルを越えることを条件に、零相検出信号を出力する零相検出部と、前記各相の電圧の振幅変動又は各相の電流の振幅変動が、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルを上回ることを条件に、振幅変動検出信号を出力する振幅変動検出部と、を備え、前記各検出部から出力される各検出信号のOR条件にて前記変化の有無を検出する。
【0010】
この構成では電圧、電流にサージが重畳する場合以外に、零相信号(零相電圧又は零相電流)が第二基準レベルを超えた場合や、各相の電圧、電流の振幅変動が第三基準レベルを超えた場合にも電圧、電流が記録される。そのため、サージ検出では漏れてしまうポイントでも波形を記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、波形記録装置から解析装置に波形データを転送する通信時間の短縮できる。また、解析装置にて行う標定時間を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に適用された故障点標定システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】波形記録部の電気的構成を示すブロック図
【図3】サージ検出部の構成を示すブロック図
【図4】サージ検出部によるサージの検出原理を示す図
【図5】零相検出部の構成を示すブロック図
【図6】零相検出部による零相の検出原理を示す図
【図7】振幅変動検出部の構成を示すブロック図
【図8】振幅変動検出による振幅変動の検出原理を示す図
【図9】二次記録装置に記録される波形データを示す図
【図10】第一判定の判定方法を説明する図
【図11】第二判定の判定方法を説明する図
【図12】第三判定の判定方法を説明する図
【図13】第四判定の判定方法を説明する図
【図14】二次記録装置の記録内容を示す図
【図15】雷故障発生時における故障の除去手順や波形の記録動作を模式的に示した図
【図16】インデックスの内容を示す図
【図17】判断表を示す図
【図18】サージ波形を示す図
【図19】故障点の標定原理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図19によって説明する。
1.故障点標定システムSTのシステム構成
故障点標定システムSTは、三相の送電線1R、1S、1T(総称して1)により構成された送電線路Uにおいて、送電区間A−Bにおける故障点の標定を行うものであり、一対の波形記録装置20A、20B(総称して20)と解析装置100とからシステム構成されている。
【0014】
波形記録装置20A、20Bは送電区間A−Bの両側にそれぞれ配置されており、検出センサ30と、波形記録部40と、GPSアンテナ37と、通信部39とを備えている。検出センサ30は、送電線1の各相R、S、Tの電圧(対地電圧)を非接触で検出する各電界センサ31R、31S、31T(総称して31)と、各送電線1R、1S、1Tに流れる各相の電流を非接触で検出する磁界センサ35R、35S、35T(総称して35)とから構成されている。
【0015】
波形記録部40は、図2に示すように、信号処理部41、波形メモリ43、変化検出部60、トリガ制御部55、GPS時計部(本発明の「計時部」に相当)53、不揮発性の二次記録装置(本発明の「記録部」に相当)45、及びCPU(本発明の「第一記録制御手段」、「判定手段」、「第二記録制御手段」に相当)50とから構成されている。
【0016】
信号処理部41は、電界センサ31、磁界センサ35から出力される出力信号を信号処理するものであり、6つのセンサに対応して6つの積分器と6つのA/D変換器とを備える。各電界センサ31R、31S、31Tの出力信号、各磁界センサ35R、35S、35Tの出力信号は、積分器で積分されると共に、A/D変換器でアナログ信号からディジタル信号に変換され、波形メモリ43に入力される。
【0017】
波形メモリ43はいわゆるリングバッファであり、入力されたデータを先頭から末尾に順次書き込み、末尾の次は先頭に戻る記録動作(すなわち、入力データを更新しながら一定時間記録する記録動作)を行う。以上のことから、各電界センサ31R〜31Tにて検出された各相の電圧、各磁界センサ35R〜35Tにて検出された各相の電流が波形メモリ43に一定時間(この例では、12秒間)記録される。
【0018】
変化検出部60は、図2に示すようにサージ検出部61と、零相検出部71と、振幅変動検出部81の3つの検出部61、71、81から構成されている。サージ検出部61は各電界センサ31R〜31T、各磁界センサ35R〜35Tごとにそれぞれ設けられている。すなわち、各相の電圧用として3回路と、各相の電流用として3回路の合計6回路設けられている。
【0019】
各サージ検出部61は、図3に示すように高域フィルタ63と比較器65とから構成されている。高域フィルタ63は、入力信号から低周波成分を除去して、サージ信号を取りだす機能を果たすものである。また、比較器65は、サージ信号をサージ検出用の閾値として設定された第1基準レベルJ1と比較して、第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージ信号が入力された場合に限り、サージ検出信号S1を出力する機能を果たす。
【0020】
以上のことから、各電界センサ31にて検出された各相の電圧、各磁界センサ35にて検出された各相の電流に対して第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージが重畳している場合には、各サージ検出部61からトリガ制御部55に対してサージ検出信号S1が出力される構成となっている。尚、サージ検出信号S1は、サージ信号が第1基準レベルJ1を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに出力される(図4参照)。
【0021】
零相検出部71は、電圧用と電流用で2回路設けられており、図5に示すように乗算器72と、加算器73と、高域フィルタ74と、比較器75とから構成されている。乗算器72は、零相検出部71の入力段にあって、三相の各入力信号(電圧信号、電流信号)に所定の加算比率で乗算する演算処理を行う。加算器73は、乗算処理後の信号を加算することにより、三相の入力信号から零相信号、すなわち零相電圧と零相電流を求める機能を担う。高域フィルタ74は、零相信号から低周波成分(DC成分)を除去する機能を果たす。比較器75は、零相信号を第2基準レベルJ2と比較して、第2基準レベルJ2を超えるレベルの零相信号が入力された場合に、零相検出信号S2を出力する機能を果たす。
【0022】
以上のことから、零相信号(零相電流又は零相電圧)のレベルが零相信号検出用の閾値として設定された第2基準レベルJ2を超える場合には、零相検出部71からトリガ制御部55に対して零相検出信号S2が出力される。尚、零相検出信号S2は、零相信号が第2基準レベルJ2を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに、出力される(図6参照)
【0023】
振幅変動検出部81は、サージ検出部61と同様に、各相の電圧用として3回路と、各相の電流用として3回路の合計6回路設けられている。各振幅変動検出部81は、図7に示すように、全波整流回路83と、微分回路85と、比較器87とから構成されている。全波整流回路は、入力信号を全波整流して、波高値信号(整流信号)を出力する。微分回路85は、波高値信号を微分して波高値微分信号を出力する。また、比較器87は、波高値微分信号を、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルJ3と比較して、第三基準レベルJ3を超えるレベルの波高値微分信号が入力された場合に限り、振幅変動検出信号S3を出力する機能を果たす。
【0024】
以上のことから、各電界センサ31にて検出された各相の電圧の振幅変化率、各磁界センサ35にて検出された各相の電流の振幅変化率が第三基準レベルJ3を超える場合には、各振幅変動検出部81からトリガ制御部55に対して振幅変動検出信号S3が出力される。尚、振幅変動検出信号S3は、波高値微分信号が第三基準レベルJ3を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに、出力される(図8参照)
【0025】
トリガ制御部55には、各サージ検出部61の出力するサージ検出信号S1と、各零相検出部71の出力する零相検出信号S2と、各振幅変動検出部81の出力する振幅変動検出信号S3と、GPS時計部53にて計時される時刻情報S4が入力される構成となっている。
【0026】
そして、トリガ制御部55は、各検出信号S1〜S3のOR条件(論理和条件)に従って、波形記録を指示するトリガ信号S5をCPU50に出力する。具体的には、各検出信号S1〜S3の立ち上がりを検出して、CPU50に対して波形記録を指示するトリガ信号S5を出力する。
【0027】
また、トリガ制御部55は、CPU50に対してトリガ信号S5を出力する時に、GPS時計部53から各検出信号S1〜S3の立ち上がり時刻Tの情報を取得して、CPU50に対して出力する。
【0028】
これにより、例えば、サージ検出部61からサージ検出信号S1が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、サージ検出信号S1の立ち上がり時刻(サージ信号が第1基準レベルJ1を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。また、零相検出部71から零相検出信号S2が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、零相検出信号S2の立ち上がり時刻(零相信号が第2基準レベルJ2を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。また、振幅変動検出部81から振幅変動検出信号S3が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、振幅変動検出信号S3の立ち上がり時刻(波高値微分信号が第三基準レベルJ3を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。
【0029】
CPU50は、波形記録装置20の全体を制御するものであり、以下に説明する波形記録処理、判定フラグの付与処理、通信処理の3つの処理を行う。
【0030】
(1)波形記録処理
波形記録処理は、トリガ信号S5の入力を条件に、電界センサ31で検出した各相R、S、Tの電圧波形、磁界センサ35で検出した各相R、S、Tの電流波形を二次記録装置45に記録させるものである
【0031】
具体的には、CPU50はトリガ信号S5が入力されると、まず、波形メモリ43にアクセスする。そして、CPU50は、波形メモリ43から必要な時間帯の波形データを読み出す。すなわち、トリガ信号S5に付加された立ち上がり時刻(以下、トリガ時刻とも言う)Tを含む前後約360ms(前120ms、後240ms)の電圧波形のデータ(三相全て)、電流波形のデータ(三相全て)をそれぞれ読み出す(図9参照)。そして、CPU50は、読み出した波形データ(電圧波形、電流波形のデータ)を、トリガ信号S5に付加されたトリガ時刻Tの情報と共に二次記録装置45に記録させる。尚、CPU50が行う波形記録処理により、本発明の「第一記録制御手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0032】
(2)判定フラグの付与処理
この実施形態では、二次記録装置45に各波形データを記録させる時に、CPU50が「第一判定」、「第二判定」、「第三判定」、「第四判定」の4つの判定を行って、判定結果に応じた判定フラグを各波形データに付加するようにしている。
【0033】
「第一判定」では、トリガ時刻Tから約3秒間(本発明の「判定期間」に相当)に、零相電流が、零相電流検出用の閾値として設定された第一閾値H1を上回るかどうかが判定される。具体的に説明すると、CPU50は、各磁界センサ35により検出される各相R、S、Tの電流のデータを、トリガ時刻Tから約3秒間取得する。
【0034】
尚、判定期間をトリガ時刻Tから約3秒としているのは、日本国内の送電系統のほとんどが、故障発生から保護継電器(図略)が作動するまでの時間が約3秒以内であることから、保護継電器が作動していれば、トリガ時刻から約3秒以降は、事故区間は送電系統から切り離されているので、3秒以降のデータをとっても、あまり意味がないからである。尚、保護継電器とは、電流値、電圧値や周波数の変動を検出することにより送電区間における故障を検出して、遮断器を動作させることにより、故障区間を送電系統から切り離すものである。
【0035】
そして、各相R、S、Tの電流のデータから零相電流を求めて、それを第一閾値H1と比較し、零相電流がトリガ時刻Tから約3秒間に第一閾値H1を上回るか否かを判定する(図10参照)。
【0036】
そして、CPU50は、零相電流が第一閾値H1を上回る場合にはYESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、下回る場合にはNOと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」を付与する。この第一判定を行うことで、トリガ時刻Tから3秒以内に、送電区間A−B内において「故障電流(地絡電流)」が流れたかどうかが分かる。
【0037】
尚、第一閾値H1は、変電所にて設定される零相電流検知レベルと同レベルかそれより低いレベルに設定することが好ましい。例えば、故障時に中性点接地抵抗器に流れる故障電流が100Aの系統である場合、変電所にて設定される零相電流検出レベルが25Aとすると、第一閾値H1を25Aかそれ以下の24Aに設定するとよい。
【0038】
「第二判定」では、トリガ時刻Tから約3秒間(本発明の「判定期間」に相当)に、電圧が、停電検出用の閾値として設定された第二閾値H2を下回るかどうかを判定する。具体的に説明すると、CPU50は各電界センサ31により検出される各相R、S、Tの電圧のデータを、トリガ時刻Tから約3秒間取得する。
【0039】
そして、各相R、S、Tの電圧のデータを第二閾値H2と比較し、いずれか一つの相でも電圧が第二閾値H2を下回ればYESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、3相全て電圧が第二閾値H2を上回っていればNOと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」を付与する。この第二判定を行うことで、トリガ時刻Tから3秒以内に、送電区間A−B内にて「停電」があったか、どうかが分かる(図11参照)。
【0040】
また第二判定において、3相全ての電圧が第二閾値H2を下回ったときに、YES判定(停電検出)するようにしているのは、どれか1相の電圧のみで判断した場合にはセンサに着雪や雨水が付いた時に検出値が変動して誤動作する恐れがあり、そうした誤動作を避けるためである。
【0041】
尚、第二閾値H2は、図11にて示すように健全時の電圧の30%〜50%に設定することが好ましい。これは、複数回線がある場合、ある回線が停電しても、他回線が停電していない場合には、他回線の影響を受け、停電した回線の電圧がゼロボルトにならないケースがあるためである。
【0042】
「第三判定」では、トリガ時刻Tの前後で電圧の振幅に変動がないか、判定される。具体的に説明すると、CPU50は、トリガ時刻前の数サイクル分の第一時間帯(ただし直近の1サイクルを除く)TAの電圧波形のデータと、トリガ時刻T後の数サイクル分の第二時間帯(ただし直近の1サイクル(20mms)は除く)TBの電圧波形のデータを波形メモリ43より取得する(図12参照)。尚、直近の1サイクルを除くのは、サージ波形が影響し、正確な振幅の判定が困難であるからである。
【0043】
そして、第一時間帯TAにおける電圧の振幅と第二時間帯TBにおける電圧の振幅を比較し、三相全てについて、振幅差が第三閾値H3内に収まっていれば、YESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、振幅差が第三閾値H3を超える相が一つでもあれば、NO判定がされ、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」が付与される。この第三判定を行うことで、送電区間A−Bに「故障に至らない誘導雷」が発生したかどうかが分かる。
【0044】
尚、第三閾値H3は、図12にて示すように、健全時の電圧に対してマイナス10%〜プラス10%の電圧値に設定することが好ましい。というのも、系統に故障が起きていなければ、両時間帯TA、TBにおける電圧の振幅は同じであり、振幅差はゼロになるので、第三閾値H3を健全時の電圧に対して1%〜3%程度に設定することも考えられる。しかし、そうした設定にすると、検出センサ30側で計測誤差があった場合に、本来であれば、「0」の判定フラグを立てるべきところ、「1」の判定フラグを立てるといった誤判定をする恐れがあるが、本設定にしておけば、そのような誤判定を回避できる。
【0045】
「第四判定」では、トリガ時刻Tの前後における電圧の振幅について、以下の判定を行う。具体的に説明すると、CPU50は、図13に示すように、トリガ時刻前の数サイクル分の第一時間帯(ただし直近の1サイクルを除く)TAの電圧のデータと、トリガ時刻T後の数サイクル分の第二時間帯(ただし直近の1サイクルは除く)TBの電圧波形のデータ、波形メモリ43より取得する。
【0046】
そして、TA区間における電圧が第二閾値H2以下であり、かつTB区間における電圧が第四閾値H4以上である条件を、三相のうちいずれか一相でも満たすかどうかについて、判定を行う。
【0047】
ここで、第二閾値H2は、図13に示すように停電検出用として設定された閾値であり、健全時の電圧の30%〜50%に設定されている。また、第四閾値は、図13に示すように健全時の電圧に対応して設定しており、具体的には検出センサ30側の計測誤差を考慮して、健全時の電圧の90%に設定してある。以上のことから、この第四判定を行うことで、トリガ時刻Tの前後で、送電区間A−Bが停電状態から健全状態に切り換ったか、すなわち送電区間A−B内にて線路を入り切りする遮断器(図略)が「投入」されたか、どうかが分かる。
【0048】
そして、トリガ時刻で遮断器が投入された場合、すなわちTA区間における電圧が第二閾値H2以下であり、かつTB区間における電圧が第四閾値H4以上である条件を三相のうちいずれか一相でも条件を満たす場合には、判定対象の波形データに判定フラグ「1」を付与する(判定YES)。一方、それ以外の場合には、判定対象の波形データに判定フラグ「0」を付与する(判定NO)。
【0049】
そして、CPU50は、(1)波形記録処理を行うごとに、(2)の4つの判定を行い、判定結果に応じた判定フラグを、各波形データに付与する処理を行う。これにより、二次記録装置45には、波形データ(電圧波形のデータ、電流波形のデータ)と共に、トリガ時刻Tの時刻情報と、4つの判定結果(4つの判定フラグ)が関連付けて記録されることとなる(図14参照)。尚、CPU50が行う判定フラグの付与処理により、本発明の「判定手段」、「第二記録制御手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0050】
(3)通信処理
通信処理は次に説明する解析装置100との間にて必要なデータを送受信する処理である。通信処理は、次に説明する解析装置100の説明と合わせて行う。
【0051】
解析装置100は図1に示すように演算制御部110と、通信部115と、図略のモニタとから構成されている。解析装置100は、波形記録装置20Aと波形記録装置20Bから転送される波形データやトリガ時刻Tの情報に基づいて、送電区間A−Bにおける故障点の標定を行うものである。
【0052】
以下、具体的な事例を挙げて、故障点の標定手順を説明する。
今、送電区間A−Bの近隣にて雷が発生し、11時59分00秒から12時00分00秒の間に送電区間A−Bにて地絡故障が発生し、12時00分00秒の時点で遮断器が作動して送電が一時遮断され、12時00分30秒にて再閉路されたとする(図15参照)。この間、送電線路Uには雷サージが多数入り込み、地絡時には地絡電流が流れる。また、遮断器の入り切りにより、電圧が変動する。そのため、各波形記録装置20A、20Bには、多数の波形データが記録されることになる。
【0053】
さて、送電が遮断されると、系統制御部門から解析装置100に遮断時刻の情報(この例では、12時00分00秒)が、通知される。すると、解析装置100は、通信網を介して、各波形記録装置20A、20Bに、遮断時刻である12時00分00秒の前後一分間に、二次記録装置45に記録されたデータのインデックスを要求する。
【0054】
ここでいう、インデックスとは、二次記録装置45に記録されたデータからトリガ時刻Tの情報と判定フラグFの情報を一覧にまとめた表である。
【0055】
各波形記録装置20A、20BのCPU50は、解析装置100側からインデックスの要求指令を受けると、それに応答して、遮断時刻である12時00分00秒の前後一分間に二次記録装置45に記録されたデータのインデックスを作製する(図16参照)。各波形記録装置20A、20Bはインデックスを作製すると、それを解析装置100に転送する。
【0056】
解析装置100では、各波形記録装置20A、20Bから送信されたインデックスを受信すると、解析(故障点の標定の解析)に必要な波形データを、図17の判断表に基づいて判断する。
【0057】
本判断表では、第一判定について判定フラグが立っている(フラグ「1」)のパターンと、第二判定について判定フラグが立っている(フラグ「1」)のパターンと、全判定ともに判定フラグが立っていない(フラグ「0」)パターンの3パターンが解析に必要なデータであると判断し、それ以外のパターンは解析に不要と判断することにしている。
【0058】
さて、この例では、図16中の番号3〜番号6の4つが、図17の判断表の条件を満たしている。従って、解析装置100から各波形記録装置20A、20Bに対して、番号3〜番号6の4つの波形データを転送する旨の指令が通信網を介して送信される。
【0059】
すると、各波形記録装置20A、20Bから解析装置100に対して番号3〜番号6の4つの波形データが、トリガ時刻Tの情報と共にそれぞれ送信される。
【0060】
解析装置100は、各波形記録装置20A、20Bから波形データを受信すると、次の手順に従って故障点を標定する。まず、両波形記録装置20A、20Bから受信した各波形データを、ハイパスフィルタに通してサージ波形をそれぞれ抽出する。そして、各サージ波形の立ち上がり時刻(基準レベルを横切る時刻)ta、tbを求める(図18)。
【0061】
そして、各サージ波形の立ち上がり時刻ta、tbの値を、下記の(1)式に代入してサージの到達時間差Δtを求め、それを(2)式に代入することで、波形記録装置20Aから故障点Gまでの距離Laを求める(図19参照)。
【0062】
Δt=tb−ta・・・・・・・・・・(1)
La=1/2(L−V×Δt)・・・・(2)
Lは波形記録装置間の距離であり、Vはサージの伝搬速度である。
【0063】
そして、この例では、解析装置100に取り込まれた波形データは番号3〜番号6の4組あり、更に各波形データには、電圧波形と電流波形の2種が含まれている。従って、解析装置100では、4組2種の各波形データについてそれぞれ上記演算を行って故障点Gの標定(波形記録装置20Aから故障点Gまでの距離Laを求めること)を行い、全組全種の波形データについて故障点Gの標定が完了すると、その結果をモニタに表示する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、波形記録装置20A、20Bの二次記録装置45に、波形データと、トリガ時刻Tの情報と、判定フラグFが関連付けて記録されている。そのため、判定フラグFを参照することで、故障点Gの標定に必要な波形データを選択できる。従って、各波形記録装置20A、20Bから解析装置100に対して必要な波形データのみ転送することが可能となり、通信時間を短縮化できる。また、解析装置100にて、必要な波形データのみ解析すればよいので、故障点Gの標定時間を短縮化できる。
【0065】
また、本実施形態では、第一判定の判定フラグFが立った場合と第二判定の判定フラグFが立った場合に加えて、全判定について判定フラグFが立たない場合も、故障点の標定に必要なデータと判断することにしている。このようにすることで、波形記録装置20に記録された波形データが、故障点の標定に必要なデータか、否かの判定精度が高まる。
【0066】
故障点の標定に必要なデータは、故障発生時刻の前後のデータである。従って、第一判定で判定フラグFが立った場合(故障電流検知)と、第二判定で判定フラグFが立った場合(停電検知)の2パターンを「要(必要)」判定しておけば、故障点の標定に必要なデータを、基本的には取得できる。
【0067】
しかし、例えば、故障発生時の故障電流(零相電流)の大きさは系統の構成や故障発生場所、故障の程度により様々である。そのため、第一閾値H1の設定いかんで、故障が発生していても、故障電流(零相電流)が閾値H1を下回るケースがある。この場合、故障発生時刻の少し前に記録された波形データは第一判定、第二判定共にNO判定され、判定フラグFは立たない。そのため、故障点の標定から除外されてしまう。
【0068】
この点、全判定についてフラグが立たない場合を「要」と判断すれば、故障発生時刻の少し前に記録された波形データは、通常電圧や電流が動揺しているので、第三判定では「NO」判定され、また、遮断器の投入もないので、第四判も「NO」判定される。従って、4つの判定フラグが全て「0」になり、上記ケースを「要(必要)」に含めることが可能となるからである。
【0069】
また、故障点Gの標定精度を高めるには、故障発生時刻に近い時間帯の電圧波形、電流波形を記録することが好ましい。一方、サージ検出部61だけでトリガ(波形記録指示)をかけるようにしておくと、故障発生時刻に近い時間帯であっても、第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージが検出されない限り、波形は記録されない。
【0070】
この点、本実施形態では、サージ検出部61に加えて零相検出部71、振幅変動検出部81を設けてある。そのため、各相の電圧、電流が動揺したり、不平衡になった場合(故障発生時刻付近では電圧、電流が動揺し易く、また不平衡になり易い)には、零相検出部71、振幅変動検出部81がそれを検出してトリガがかかり、波形が記録される。従って、故障発生時刻に近い時間帯において、サージ検出部61だけのトリガでは取りこぼしてしまうタイミングで波形(それに含まれるサージ)を記録することが可能となり、故障点Gの標定精度が高まる。
【0071】
また、サージ検出部61に加えて零相検出部71、振幅変動検出部81を設けることで、次のメリットがある。送電系統にて発生する故障には、上記した雷害の外に鳥獣害や樹木の接触がある。
【0072】
雷害の場合、送電線路Uに比較的大きな雷サージが侵入する。そのため、サージ検出部61にてサージが検出され易く、波形が記録され易い。一方、鳥獣害や樹木接触の場合は、雷害時に比べてサージが小さい。そのため、サージが検出され難く、波形が記録され難い。
【0073】
この点、零相検出部71や振幅変動検出部81を設けるようにしておけば、故障発生に伴って電圧、電流が動揺し、また不平衡が生じた場合には、零相検出部71や振幅変動検出部81にてトリガがかかり、波形(それに含まれる小さなサージ)が記録される。従って、鳥獣害や樹木接触のように大きなサージが発生し難い故障であっても、故障点Gの標定が可能になる。
【0074】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
(1)実施形態1では、変化検出部60を、サージ検出部61と、零相検出部71と、振幅変動検出部81と、から構成したが、零相検出部71と振幅変動検出部81を廃止して、サージ検出部61だけにすることも可能である。
【0076】
(2)実施形態1では、第一判定と、第二判定と、第三判定と、第四判定を行うものを例示したが、第一判定と、第二判定のみ行うようにしてもよい。また、実施形態1では判定期間をトリガ時刻Tから約3秒としたが、判定期間は「3秒」に限定されるものではなく、それ以下の時間(例えば、2秒や1秒)に設定してもよい。
【0077】
(3)実施形態1では、波形データの要否判断(故障点の標定に必要かどうかの判断)を、解析装置100にて行う例を説明した。要否判断は判断表に従うものであればよく、例えば、解析装置100を操作するオペレータが判断してもよく、また、波形記録装置20で判断してもよい。また、上記実施形態1では、第一判定の判定フラグFが立った場合と、第二判定の判定フラグFが立った場合と、全判定について判定フラグFが立たない場合の3パターンについて、故障点の標定に必要なデータと判断するようにしたが、第一判定の判定フラグFが立った場合と、第二判定の判定フラグFが立った場合の2パターンだけを、故障点の標定に必要なデータと判断してもよい。
【符号の説明】
【0078】
20A、20B・・・波形記録装置
40・・・波形記録部
31・・・電界センサ(本発明の「検出センサ」に相当)
35・・・磁界センサ(本発明の「検出センサ」に相当)
41・・・信号処理部
43・・・波形メモリ
45・・・二次記録装置(本発明の「記録部」に相当)
50・・・CPU(本発明の「第一記録制御手段」、「判定手段」、「第二記録制御手段」に相当)
53・・・GPS時計部(本発明の「計時部」に相当)
55・・・トリガ制御部
60・・・変化検出部
61・・・サージ検出部
71・・・零相検出部
81・・・振幅変動検出部
100・・・解析装置
ST・・・故障点標定システム
S1・・・サージ検出信号
S2・・・零相検出信号
S3・・・振幅変動検出信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線路の故障点を標定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線路の故障点を標定する方法の一つに、サージの到達時間差から故障点を標定する到達時間差法がある(下記、特許文献1参照)。到達時間差法を利用して故障点を標定する故障点標定システムは、送電区間の両端に設置された波形記録装置と、波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からシステム構成されていて、波形記録装置では、サージの検出をトリガにして、電流や電圧の波形を記録している。一方、解析装置は、系統制御部門から送電線の遮断時刻が通知されると、各波形記録装置に指令を与えて送電線の遮断時刻前後の一定時間(例えば、前後1分)内に記録された全ての波形を転送させるとともに、転送された波形を解析してサージの到達時間差を求めて故障点を標定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−226243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、誘導雷が多発して故障に至ったケースでは、故障発生の前後に多数のサージが発生するので、故障発生時刻前後の一定時間内に多数の波形が記録される。そのため、各波形記録装置から解析装置に多数の波形がデータ転送されることとなり、通信時間がどうしても長くなる。また、解析すべき波形の数が多いと、故障点の標定に要する時間が長くなる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、通信時間の短縮化、標定時間の短縮化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明は、送電区間の両側に設置されて、故障点標定のため波形データを記録する波形記録装置であって、三相の各送電線から各相の電圧、各相の電流を検出する検出センサと、前記検出センサにて検出される各相の電圧、電流をリングバッファ方式で記憶する波形メモリと、時刻を計時する計時部と、不揮発性の記録部と、前記検出センサにて検出した前記各相の電圧、電流に変化が有るか否を検出する変化検出部と、前記変化検出部にて変化が検出されることを条件に、変化が発生した発生時刻前後の各相の電圧、電流の波形データを前記波形メモリから読み出して、前記記録部に対して前記発生時刻の情報と関連付けて記録させる第一記録制御手段と、前記変化が発生した発生時刻後の判定期間内に前記各相の電流を加算した零相電流が第一閾値を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が、停電検出用の閾値として設定された第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段と、前記判定手段にて判定した判定情報を前記波形データに関連付けて前記記録部に記録させる第二記録制御手段と、を備える。
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第2の発明は、前記第1の発明に係る波形記録装置と、前記波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定する。
【0007】
上記発明では、波形記録装置の記録部に波形データと、発生時刻の情報と、判定情報が関連付けて記録される。そのため、判定情報を参照することで、故障点の標定に必要な波形データを選択できる。従って、波形記録装置から解析装置に対して必要な波形データのみ転送することが可能となり、通信時間を短縮化できる。また、解析装置にて、必要な波形データのみ解析すればよいので、標定時間を短縮化できる。
【0008】
第1の発明の実施態様として、以下の構成にすることが好ましい。
・前記判定手段は、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯の前記電圧と前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における前記電圧の振幅差が、三相全て第三閾値に収まっているか否かを判定する第三判定と、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯における電圧が、前記第二閾値以下であり、かつ前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧が健全時の電圧に対応して設定された第四閾値以上である条件を、三相のうちいずれか一つの相でも満たすか否かを判定する第四判定とを行う。このようにすれば、判定材料が増えるので、波形記録装置に記録された波形データが、故障点の標定に必要なデータか、否かの判定精度が高まる。
【0009】
・前記変化検出部は、前記各相の電圧又は前記各相の電流に、サージ検出用の閾値として設定された第一基準レベルを超えるサージが重畳することを条件に、サージ検出信号を出力するサージ検出部と、前記各相の電流から算出した零相電流又は各相の電圧から算出した零相電圧である零相信号が、零相信号検出用の閾値として設定された第二基準レベルを越えることを条件に、零相検出信号を出力する零相検出部と、前記各相の電圧の振幅変動又は各相の電流の振幅変動が、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルを上回ることを条件に、振幅変動検出信号を出力する振幅変動検出部と、を備え、前記各検出部から出力される各検出信号のOR条件にて前記変化の有無を検出する。
【0010】
この構成では電圧、電流にサージが重畳する場合以外に、零相信号(零相電圧又は零相電流)が第二基準レベルを超えた場合や、各相の電圧、電流の振幅変動が第三基準レベルを超えた場合にも電圧、電流が記録される。そのため、サージ検出では漏れてしまうポイントでも波形を記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、波形記録装置から解析装置に波形データを転送する通信時間の短縮できる。また、解析装置にて行う標定時間を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に適用された故障点標定システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】波形記録部の電気的構成を示すブロック図
【図3】サージ検出部の構成を示すブロック図
【図4】サージ検出部によるサージの検出原理を示す図
【図5】零相検出部の構成を示すブロック図
【図6】零相検出部による零相の検出原理を示す図
【図7】振幅変動検出部の構成を示すブロック図
【図8】振幅変動検出による振幅変動の検出原理を示す図
【図9】二次記録装置に記録される波形データを示す図
【図10】第一判定の判定方法を説明する図
【図11】第二判定の判定方法を説明する図
【図12】第三判定の判定方法を説明する図
【図13】第四判定の判定方法を説明する図
【図14】二次記録装置の記録内容を示す図
【図15】雷故障発生時における故障の除去手順や波形の記録動作を模式的に示した図
【図16】インデックスの内容を示す図
【図17】判断表を示す図
【図18】サージ波形を示す図
【図19】故障点の標定原理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図19によって説明する。
1.故障点標定システムSTのシステム構成
故障点標定システムSTは、三相の送電線1R、1S、1T(総称して1)により構成された送電線路Uにおいて、送電区間A−Bにおける故障点の標定を行うものであり、一対の波形記録装置20A、20B(総称して20)と解析装置100とからシステム構成されている。
【0014】
波形記録装置20A、20Bは送電区間A−Bの両側にそれぞれ配置されており、検出センサ30と、波形記録部40と、GPSアンテナ37と、通信部39とを備えている。検出センサ30は、送電線1の各相R、S、Tの電圧(対地電圧)を非接触で検出する各電界センサ31R、31S、31T(総称して31)と、各送電線1R、1S、1Tに流れる各相の電流を非接触で検出する磁界センサ35R、35S、35T(総称して35)とから構成されている。
【0015】
波形記録部40は、図2に示すように、信号処理部41、波形メモリ43、変化検出部60、トリガ制御部55、GPS時計部(本発明の「計時部」に相当)53、不揮発性の二次記録装置(本発明の「記録部」に相当)45、及びCPU(本発明の「第一記録制御手段」、「判定手段」、「第二記録制御手段」に相当)50とから構成されている。
【0016】
信号処理部41は、電界センサ31、磁界センサ35から出力される出力信号を信号処理するものであり、6つのセンサに対応して6つの積分器と6つのA/D変換器とを備える。各電界センサ31R、31S、31Tの出力信号、各磁界センサ35R、35S、35Tの出力信号は、積分器で積分されると共に、A/D変換器でアナログ信号からディジタル信号に変換され、波形メモリ43に入力される。
【0017】
波形メモリ43はいわゆるリングバッファであり、入力されたデータを先頭から末尾に順次書き込み、末尾の次は先頭に戻る記録動作(すなわち、入力データを更新しながら一定時間記録する記録動作)を行う。以上のことから、各電界センサ31R〜31Tにて検出された各相の電圧、各磁界センサ35R〜35Tにて検出された各相の電流が波形メモリ43に一定時間(この例では、12秒間)記録される。
【0018】
変化検出部60は、図2に示すようにサージ検出部61と、零相検出部71と、振幅変動検出部81の3つの検出部61、71、81から構成されている。サージ検出部61は各電界センサ31R〜31T、各磁界センサ35R〜35Tごとにそれぞれ設けられている。すなわち、各相の電圧用として3回路と、各相の電流用として3回路の合計6回路設けられている。
【0019】
各サージ検出部61は、図3に示すように高域フィルタ63と比較器65とから構成されている。高域フィルタ63は、入力信号から低周波成分を除去して、サージ信号を取りだす機能を果たすものである。また、比較器65は、サージ信号をサージ検出用の閾値として設定された第1基準レベルJ1と比較して、第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージ信号が入力された場合に限り、サージ検出信号S1を出力する機能を果たす。
【0020】
以上のことから、各電界センサ31にて検出された各相の電圧、各磁界センサ35にて検出された各相の電流に対して第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージが重畳している場合には、各サージ検出部61からトリガ制御部55に対してサージ検出信号S1が出力される構成となっている。尚、サージ検出信号S1は、サージ信号が第1基準レベルJ1を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに出力される(図4参照)。
【0021】
零相検出部71は、電圧用と電流用で2回路設けられており、図5に示すように乗算器72と、加算器73と、高域フィルタ74と、比較器75とから構成されている。乗算器72は、零相検出部71の入力段にあって、三相の各入力信号(電圧信号、電流信号)に所定の加算比率で乗算する演算処理を行う。加算器73は、乗算処理後の信号を加算することにより、三相の入力信号から零相信号、すなわち零相電圧と零相電流を求める機能を担う。高域フィルタ74は、零相信号から低周波成分(DC成分)を除去する機能を果たす。比較器75は、零相信号を第2基準レベルJ2と比較して、第2基準レベルJ2を超えるレベルの零相信号が入力された場合に、零相検出信号S2を出力する機能を果たす。
【0022】
以上のことから、零相信号(零相電流又は零相電圧)のレベルが零相信号検出用の閾値として設定された第2基準レベルJ2を超える場合には、零相検出部71からトリガ制御部55に対して零相検出信号S2が出力される。尚、零相検出信号S2は、零相信号が第2基準レベルJ2を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに、出力される(図6参照)
【0023】
振幅変動検出部81は、サージ検出部61と同様に、各相の電圧用として3回路と、各相の電流用として3回路の合計6回路設けられている。各振幅変動検出部81は、図7に示すように、全波整流回路83と、微分回路85と、比較器87とから構成されている。全波整流回路は、入力信号を全波整流して、波高値信号(整流信号)を出力する。微分回路85は、波高値信号を微分して波高値微分信号を出力する。また、比較器87は、波高値微分信号を、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルJ3と比較して、第三基準レベルJ3を超えるレベルの波高値微分信号が入力された場合に限り、振幅変動検出信号S3を出力する機能を果たす。
【0024】
以上のことから、各電界センサ31にて検出された各相の電圧の振幅変化率、各磁界センサ35にて検出された各相の電流の振幅変化率が第三基準レベルJ3を超える場合には、各振幅変動検出部81からトリガ制御部55に対して振幅変動検出信号S3が出力される。尚、振幅変動検出信号S3は、波高値微分信号が第三基準レベルJ3を超えた時刻(本発明の変化が発生した発生時刻に相当)Tに、出力される(図8参照)
【0025】
トリガ制御部55には、各サージ検出部61の出力するサージ検出信号S1と、各零相検出部71の出力する零相検出信号S2と、各振幅変動検出部81の出力する振幅変動検出信号S3と、GPS時計部53にて計時される時刻情報S4が入力される構成となっている。
【0026】
そして、トリガ制御部55は、各検出信号S1〜S3のOR条件(論理和条件)に従って、波形記録を指示するトリガ信号S5をCPU50に出力する。具体的には、各検出信号S1〜S3の立ち上がりを検出して、CPU50に対して波形記録を指示するトリガ信号S5を出力する。
【0027】
また、トリガ制御部55は、CPU50に対してトリガ信号S5を出力する時に、GPS時計部53から各検出信号S1〜S3の立ち上がり時刻Tの情報を取得して、CPU50に対して出力する。
【0028】
これにより、例えば、サージ検出部61からサージ検出信号S1が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、サージ検出信号S1の立ち上がり時刻(サージ信号が第1基準レベルJ1を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。また、零相検出部71から零相検出信号S2が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、零相検出信号S2の立ち上がり時刻(零相信号が第2基準レベルJ2を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。また、振幅変動検出部81から振幅変動検出信号S3が出力された場合には、トリガ制御部55からCPU50に対してトリガ信号S5と共に、振幅変動検出信号S3の立ち上がり時刻(波高値微分信号が第三基準レベルJ3を超えた時刻)Tの情報が出力されることとなる。
【0029】
CPU50は、波形記録装置20の全体を制御するものであり、以下に説明する波形記録処理、判定フラグの付与処理、通信処理の3つの処理を行う。
【0030】
(1)波形記録処理
波形記録処理は、トリガ信号S5の入力を条件に、電界センサ31で検出した各相R、S、Tの電圧波形、磁界センサ35で検出した各相R、S、Tの電流波形を二次記録装置45に記録させるものである
【0031】
具体的には、CPU50はトリガ信号S5が入力されると、まず、波形メモリ43にアクセスする。そして、CPU50は、波形メモリ43から必要な時間帯の波形データを読み出す。すなわち、トリガ信号S5に付加された立ち上がり時刻(以下、トリガ時刻とも言う)Tを含む前後約360ms(前120ms、後240ms)の電圧波形のデータ(三相全て)、電流波形のデータ(三相全て)をそれぞれ読み出す(図9参照)。そして、CPU50は、読み出した波形データ(電圧波形、電流波形のデータ)を、トリガ信号S5に付加されたトリガ時刻Tの情報と共に二次記録装置45に記録させる。尚、CPU50が行う波形記録処理により、本発明の「第一記録制御手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0032】
(2)判定フラグの付与処理
この実施形態では、二次記録装置45に各波形データを記録させる時に、CPU50が「第一判定」、「第二判定」、「第三判定」、「第四判定」の4つの判定を行って、判定結果に応じた判定フラグを各波形データに付加するようにしている。
【0033】
「第一判定」では、トリガ時刻Tから約3秒間(本発明の「判定期間」に相当)に、零相電流が、零相電流検出用の閾値として設定された第一閾値H1を上回るかどうかが判定される。具体的に説明すると、CPU50は、各磁界センサ35により検出される各相R、S、Tの電流のデータを、トリガ時刻Tから約3秒間取得する。
【0034】
尚、判定期間をトリガ時刻Tから約3秒としているのは、日本国内の送電系統のほとんどが、故障発生から保護継電器(図略)が作動するまでの時間が約3秒以内であることから、保護継電器が作動していれば、トリガ時刻から約3秒以降は、事故区間は送電系統から切り離されているので、3秒以降のデータをとっても、あまり意味がないからである。尚、保護継電器とは、電流値、電圧値や周波数の変動を検出することにより送電区間における故障を検出して、遮断器を動作させることにより、故障区間を送電系統から切り離すものである。
【0035】
そして、各相R、S、Tの電流のデータから零相電流を求めて、それを第一閾値H1と比較し、零相電流がトリガ時刻Tから約3秒間に第一閾値H1を上回るか否かを判定する(図10参照)。
【0036】
そして、CPU50は、零相電流が第一閾値H1を上回る場合にはYESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、下回る場合にはNOと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」を付与する。この第一判定を行うことで、トリガ時刻Tから3秒以内に、送電区間A−B内において「故障電流(地絡電流)」が流れたかどうかが分かる。
【0037】
尚、第一閾値H1は、変電所にて設定される零相電流検知レベルと同レベルかそれより低いレベルに設定することが好ましい。例えば、故障時に中性点接地抵抗器に流れる故障電流が100Aの系統である場合、変電所にて設定される零相電流検出レベルが25Aとすると、第一閾値H1を25Aかそれ以下の24Aに設定するとよい。
【0038】
「第二判定」では、トリガ時刻Tから約3秒間(本発明の「判定期間」に相当)に、電圧が、停電検出用の閾値として設定された第二閾値H2を下回るかどうかを判定する。具体的に説明すると、CPU50は各電界センサ31により検出される各相R、S、Tの電圧のデータを、トリガ時刻Tから約3秒間取得する。
【0039】
そして、各相R、S、Tの電圧のデータを第二閾値H2と比較し、いずれか一つの相でも電圧が第二閾値H2を下回ればYESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、3相全て電圧が第二閾値H2を上回っていればNOと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」を付与する。この第二判定を行うことで、トリガ時刻Tから3秒以内に、送電区間A−B内にて「停電」があったか、どうかが分かる(図11参照)。
【0040】
また第二判定において、3相全ての電圧が第二閾値H2を下回ったときに、YES判定(停電検出)するようにしているのは、どれか1相の電圧のみで判断した場合にはセンサに着雪や雨水が付いた時に検出値が変動して誤動作する恐れがあり、そうした誤動作を避けるためである。
【0041】
尚、第二閾値H2は、図11にて示すように健全時の電圧の30%〜50%に設定することが好ましい。これは、複数回線がある場合、ある回線が停電しても、他回線が停電していない場合には、他回線の影響を受け、停電した回線の電圧がゼロボルトにならないケースがあるためである。
【0042】
「第三判定」では、トリガ時刻Tの前後で電圧の振幅に変動がないか、判定される。具体的に説明すると、CPU50は、トリガ時刻前の数サイクル分の第一時間帯(ただし直近の1サイクルを除く)TAの電圧波形のデータと、トリガ時刻T後の数サイクル分の第二時間帯(ただし直近の1サイクル(20mms)は除く)TBの電圧波形のデータを波形メモリ43より取得する(図12参照)。尚、直近の1サイクルを除くのは、サージ波形が影響し、正確な振幅の判定が困難であるからである。
【0043】
そして、第一時間帯TAにおける電圧の振幅と第二時間帯TBにおける電圧の振幅を比較し、三相全てについて、振幅差が第三閾値H3内に収まっていれば、YESと判定し、判定対象の波形データに対して判定フラグ「1」を付与する。一方、振幅差が第三閾値H3を超える相が一つでもあれば、NO判定がされ、判定対象の波形データに対して判定フラグ「0」が付与される。この第三判定を行うことで、送電区間A−Bに「故障に至らない誘導雷」が発生したかどうかが分かる。
【0044】
尚、第三閾値H3は、図12にて示すように、健全時の電圧に対してマイナス10%〜プラス10%の電圧値に設定することが好ましい。というのも、系統に故障が起きていなければ、両時間帯TA、TBにおける電圧の振幅は同じであり、振幅差はゼロになるので、第三閾値H3を健全時の電圧に対して1%〜3%程度に設定することも考えられる。しかし、そうした設定にすると、検出センサ30側で計測誤差があった場合に、本来であれば、「0」の判定フラグを立てるべきところ、「1」の判定フラグを立てるといった誤判定をする恐れがあるが、本設定にしておけば、そのような誤判定を回避できる。
【0045】
「第四判定」では、トリガ時刻Tの前後における電圧の振幅について、以下の判定を行う。具体的に説明すると、CPU50は、図13に示すように、トリガ時刻前の数サイクル分の第一時間帯(ただし直近の1サイクルを除く)TAの電圧のデータと、トリガ時刻T後の数サイクル分の第二時間帯(ただし直近の1サイクルは除く)TBの電圧波形のデータ、波形メモリ43より取得する。
【0046】
そして、TA区間における電圧が第二閾値H2以下であり、かつTB区間における電圧が第四閾値H4以上である条件を、三相のうちいずれか一相でも満たすかどうかについて、判定を行う。
【0047】
ここで、第二閾値H2は、図13に示すように停電検出用として設定された閾値であり、健全時の電圧の30%〜50%に設定されている。また、第四閾値は、図13に示すように健全時の電圧に対応して設定しており、具体的には検出センサ30側の計測誤差を考慮して、健全時の電圧の90%に設定してある。以上のことから、この第四判定を行うことで、トリガ時刻Tの前後で、送電区間A−Bが停電状態から健全状態に切り換ったか、すなわち送電区間A−B内にて線路を入り切りする遮断器(図略)が「投入」されたか、どうかが分かる。
【0048】
そして、トリガ時刻で遮断器が投入された場合、すなわちTA区間における電圧が第二閾値H2以下であり、かつTB区間における電圧が第四閾値H4以上である条件を三相のうちいずれか一相でも条件を満たす場合には、判定対象の波形データに判定フラグ「1」を付与する(判定YES)。一方、それ以外の場合には、判定対象の波形データに判定フラグ「0」を付与する(判定NO)。
【0049】
そして、CPU50は、(1)波形記録処理を行うごとに、(2)の4つの判定を行い、判定結果に応じた判定フラグを、各波形データに付与する処理を行う。これにより、二次記録装置45には、波形データ(電圧波形のデータ、電流波形のデータ)と共に、トリガ時刻Tの時刻情報と、4つの判定結果(4つの判定フラグ)が関連付けて記録されることとなる(図14参照)。尚、CPU50が行う判定フラグの付与処理により、本発明の「判定手段」、「第二記録制御手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0050】
(3)通信処理
通信処理は次に説明する解析装置100との間にて必要なデータを送受信する処理である。通信処理は、次に説明する解析装置100の説明と合わせて行う。
【0051】
解析装置100は図1に示すように演算制御部110と、通信部115と、図略のモニタとから構成されている。解析装置100は、波形記録装置20Aと波形記録装置20Bから転送される波形データやトリガ時刻Tの情報に基づいて、送電区間A−Bにおける故障点の標定を行うものである。
【0052】
以下、具体的な事例を挙げて、故障点の標定手順を説明する。
今、送電区間A−Bの近隣にて雷が発生し、11時59分00秒から12時00分00秒の間に送電区間A−Bにて地絡故障が発生し、12時00分00秒の時点で遮断器が作動して送電が一時遮断され、12時00分30秒にて再閉路されたとする(図15参照)。この間、送電線路Uには雷サージが多数入り込み、地絡時には地絡電流が流れる。また、遮断器の入り切りにより、電圧が変動する。そのため、各波形記録装置20A、20Bには、多数の波形データが記録されることになる。
【0053】
さて、送電が遮断されると、系統制御部門から解析装置100に遮断時刻の情報(この例では、12時00分00秒)が、通知される。すると、解析装置100は、通信網を介して、各波形記録装置20A、20Bに、遮断時刻である12時00分00秒の前後一分間に、二次記録装置45に記録されたデータのインデックスを要求する。
【0054】
ここでいう、インデックスとは、二次記録装置45に記録されたデータからトリガ時刻Tの情報と判定フラグFの情報を一覧にまとめた表である。
【0055】
各波形記録装置20A、20BのCPU50は、解析装置100側からインデックスの要求指令を受けると、それに応答して、遮断時刻である12時00分00秒の前後一分間に二次記録装置45に記録されたデータのインデックスを作製する(図16参照)。各波形記録装置20A、20Bはインデックスを作製すると、それを解析装置100に転送する。
【0056】
解析装置100では、各波形記録装置20A、20Bから送信されたインデックスを受信すると、解析(故障点の標定の解析)に必要な波形データを、図17の判断表に基づいて判断する。
【0057】
本判断表では、第一判定について判定フラグが立っている(フラグ「1」)のパターンと、第二判定について判定フラグが立っている(フラグ「1」)のパターンと、全判定ともに判定フラグが立っていない(フラグ「0」)パターンの3パターンが解析に必要なデータであると判断し、それ以外のパターンは解析に不要と判断することにしている。
【0058】
さて、この例では、図16中の番号3〜番号6の4つが、図17の判断表の条件を満たしている。従って、解析装置100から各波形記録装置20A、20Bに対して、番号3〜番号6の4つの波形データを転送する旨の指令が通信網を介して送信される。
【0059】
すると、各波形記録装置20A、20Bから解析装置100に対して番号3〜番号6の4つの波形データが、トリガ時刻Tの情報と共にそれぞれ送信される。
【0060】
解析装置100は、各波形記録装置20A、20Bから波形データを受信すると、次の手順に従って故障点を標定する。まず、両波形記録装置20A、20Bから受信した各波形データを、ハイパスフィルタに通してサージ波形をそれぞれ抽出する。そして、各サージ波形の立ち上がり時刻(基準レベルを横切る時刻)ta、tbを求める(図18)。
【0061】
そして、各サージ波形の立ち上がり時刻ta、tbの値を、下記の(1)式に代入してサージの到達時間差Δtを求め、それを(2)式に代入することで、波形記録装置20Aから故障点Gまでの距離Laを求める(図19参照)。
【0062】
Δt=tb−ta・・・・・・・・・・(1)
La=1/2(L−V×Δt)・・・・(2)
Lは波形記録装置間の距離であり、Vはサージの伝搬速度である。
【0063】
そして、この例では、解析装置100に取り込まれた波形データは番号3〜番号6の4組あり、更に各波形データには、電圧波形と電流波形の2種が含まれている。従って、解析装置100では、4組2種の各波形データについてそれぞれ上記演算を行って故障点Gの標定(波形記録装置20Aから故障点Gまでの距離Laを求めること)を行い、全組全種の波形データについて故障点Gの標定が完了すると、その結果をモニタに表示する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、波形記録装置20A、20Bの二次記録装置45に、波形データと、トリガ時刻Tの情報と、判定フラグFが関連付けて記録されている。そのため、判定フラグFを参照することで、故障点Gの標定に必要な波形データを選択できる。従って、各波形記録装置20A、20Bから解析装置100に対して必要な波形データのみ転送することが可能となり、通信時間を短縮化できる。また、解析装置100にて、必要な波形データのみ解析すればよいので、故障点Gの標定時間を短縮化できる。
【0065】
また、本実施形態では、第一判定の判定フラグFが立った場合と第二判定の判定フラグFが立った場合に加えて、全判定について判定フラグFが立たない場合も、故障点の標定に必要なデータと判断することにしている。このようにすることで、波形記録装置20に記録された波形データが、故障点の標定に必要なデータか、否かの判定精度が高まる。
【0066】
故障点の標定に必要なデータは、故障発生時刻の前後のデータである。従って、第一判定で判定フラグFが立った場合(故障電流検知)と、第二判定で判定フラグFが立った場合(停電検知)の2パターンを「要(必要)」判定しておけば、故障点の標定に必要なデータを、基本的には取得できる。
【0067】
しかし、例えば、故障発生時の故障電流(零相電流)の大きさは系統の構成や故障発生場所、故障の程度により様々である。そのため、第一閾値H1の設定いかんで、故障が発生していても、故障電流(零相電流)が閾値H1を下回るケースがある。この場合、故障発生時刻の少し前に記録された波形データは第一判定、第二判定共にNO判定され、判定フラグFは立たない。そのため、故障点の標定から除外されてしまう。
【0068】
この点、全判定についてフラグが立たない場合を「要」と判断すれば、故障発生時刻の少し前に記録された波形データは、通常電圧や電流が動揺しているので、第三判定では「NO」判定され、また、遮断器の投入もないので、第四判も「NO」判定される。従って、4つの判定フラグが全て「0」になり、上記ケースを「要(必要)」に含めることが可能となるからである。
【0069】
また、故障点Gの標定精度を高めるには、故障発生時刻に近い時間帯の電圧波形、電流波形を記録することが好ましい。一方、サージ検出部61だけでトリガ(波形記録指示)をかけるようにしておくと、故障発生時刻に近い時間帯であっても、第1基準レベルJ1を超えるレベルのサージが検出されない限り、波形は記録されない。
【0070】
この点、本実施形態では、サージ検出部61に加えて零相検出部71、振幅変動検出部81を設けてある。そのため、各相の電圧、電流が動揺したり、不平衡になった場合(故障発生時刻付近では電圧、電流が動揺し易く、また不平衡になり易い)には、零相検出部71、振幅変動検出部81がそれを検出してトリガがかかり、波形が記録される。従って、故障発生時刻に近い時間帯において、サージ検出部61だけのトリガでは取りこぼしてしまうタイミングで波形(それに含まれるサージ)を記録することが可能となり、故障点Gの標定精度が高まる。
【0071】
また、サージ検出部61に加えて零相検出部71、振幅変動検出部81を設けることで、次のメリットがある。送電系統にて発生する故障には、上記した雷害の外に鳥獣害や樹木の接触がある。
【0072】
雷害の場合、送電線路Uに比較的大きな雷サージが侵入する。そのため、サージ検出部61にてサージが検出され易く、波形が記録され易い。一方、鳥獣害や樹木接触の場合は、雷害時に比べてサージが小さい。そのため、サージが検出され難く、波形が記録され難い。
【0073】
この点、零相検出部71や振幅変動検出部81を設けるようにしておけば、故障発生に伴って電圧、電流が動揺し、また不平衡が生じた場合には、零相検出部71や振幅変動検出部81にてトリガがかかり、波形(それに含まれる小さなサージ)が記録される。従って、鳥獣害や樹木接触のように大きなサージが発生し難い故障であっても、故障点Gの標定が可能になる。
【0074】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
(1)実施形態1では、変化検出部60を、サージ検出部61と、零相検出部71と、振幅変動検出部81と、から構成したが、零相検出部71と振幅変動検出部81を廃止して、サージ検出部61だけにすることも可能である。
【0076】
(2)実施形態1では、第一判定と、第二判定と、第三判定と、第四判定を行うものを例示したが、第一判定と、第二判定のみ行うようにしてもよい。また、実施形態1では判定期間をトリガ時刻Tから約3秒としたが、判定期間は「3秒」に限定されるものではなく、それ以下の時間(例えば、2秒や1秒)に設定してもよい。
【0077】
(3)実施形態1では、波形データの要否判断(故障点の標定に必要かどうかの判断)を、解析装置100にて行う例を説明した。要否判断は判断表に従うものであればよく、例えば、解析装置100を操作するオペレータが判断してもよく、また、波形記録装置20で判断してもよい。また、上記実施形態1では、第一判定の判定フラグFが立った場合と、第二判定の判定フラグFが立った場合と、全判定について判定フラグFが立たない場合の3パターンについて、故障点の標定に必要なデータと判断するようにしたが、第一判定の判定フラグFが立った場合と、第二判定の判定フラグFが立った場合の2パターンだけを、故障点の標定に必要なデータと判断してもよい。
【符号の説明】
【0078】
20A、20B・・・波形記録装置
40・・・波形記録部
31・・・電界センサ(本発明の「検出センサ」に相当)
35・・・磁界センサ(本発明の「検出センサ」に相当)
41・・・信号処理部
43・・・波形メモリ
45・・・二次記録装置(本発明の「記録部」に相当)
50・・・CPU(本発明の「第一記録制御手段」、「判定手段」、「第二記録制御手段」に相当)
53・・・GPS時計部(本発明の「計時部」に相当)
55・・・トリガ制御部
60・・・変化検出部
61・・・サージ検出部
71・・・零相検出部
81・・・振幅変動検出部
100・・・解析装置
ST・・・故障点標定システム
S1・・・サージ検出信号
S2・・・零相検出信号
S3・・・振幅変動検出信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電区間の両側に設置されて、故障点標定のため波形データを記録する波形記録装置であって、
三相の各送電線から各相の電圧、各相の電流を検出する検出センサと、
前記検出センサにて検出される各相の電圧、電流をリングバッファ方式で記憶する波形メモリと、
時刻を計時する計時部と、
不揮発性の記録部と、
前記検出センサにて検出した前記各相の電圧、電流に変化が有るか否を検出する変化検出部と、
前記変化検出部にて変化が検出されることを条件に、変化が発生した発生時刻前後の各相の電圧、電流の波形データを前記波形メモリから読み出して、前記記録部に対して前記発生時刻の情報と関連付けて記録させる第一記録制御手段と、
前記変化が発生した発生時刻後の判定期間内に前記各相の電流から算出した零相電流が零相電流検出用の閾値として設定された第一閾値を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が停電検出用の閾値として設定された第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段と、
前記判定手段にて判定した判定情報を、前記波形データに関連付けて、前記記録部に記録させる第二記録制御手段と、を備えることを特徴とする波形記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯の電圧と前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧の振幅差が、三相全て第三閾値に収まっているか否かを判定する第三判定と、
前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯における電圧が前記第二閾値以下であり、かつ前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧が健全時の電圧に対応して設定された第四閾値以上である条件を、三相のうちいずれか一つの相でも満たすか否かを判定する第四判定と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の波形記録装置。
【請求項3】
前記変化検出部は、
前記各相の電圧又は前記各相の電流に、サージ検出用の閾値として設定された第一基準レベルを超えるサージが重畳することを条件に、サージ検出信号を出力するサージ検出部と、
前記各相の電流から算出した零相電流又は各相の電圧から算出した零相電圧である零相信号が、零相信号検出用の閾値として設定された第二基準レベルを越えることを条件に、零相検出信号を出力する零相検出部と、
前記各相の電圧の振幅変動又は各相の電流の振幅変動が、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルを上回ることを条件に、振幅変動検出信号を出力する振幅変動検出部と、を備え、
前記各検出部から出力される各検出信号のOR条件にて前記変化の有無を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波形記録装置。
【請求項4】
送電区間の両側に設置された請求項1ないし請求項3に記載の波形記録装置と、
前記各波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、
前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、
前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定することを特徴とする故障点標定システム。
【請求項5】
送電区間の両側に設置された請求項2又は請求項3に記載の波形記録装置と、
前記各波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、
前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第一判定〜前記第四判定について全判定ともNOの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、
前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定することを特徴とする故障点標定システム。
【請求項1】
送電区間の両側に設置されて、故障点標定のため波形データを記録する波形記録装置であって、
三相の各送電線から各相の電圧、各相の電流を検出する検出センサと、
前記検出センサにて検出される各相の電圧、電流をリングバッファ方式で記憶する波形メモリと、
時刻を計時する計時部と、
不揮発性の記録部と、
前記検出センサにて検出した前記各相の電圧、電流に変化が有るか否を検出する変化検出部と、
前記変化検出部にて変化が検出されることを条件に、変化が発生した発生時刻前後の各相の電圧、電流の波形データを前記波形メモリから読み出して、前記記録部に対して前記発生時刻の情報と関連付けて記録させる第一記録制御手段と、
前記変化が発生した発生時刻後の判定期間内に前記各相の電流から算出した零相電流が零相電流検出用の閾値として設定された第一閾値を超えるか否かの第一判定と、前記判定期間内に三相全ての電圧が停電検出用の閾値として設定された第二閾値を下回るか否かの第二判定を行う判定手段と、
前記判定手段にて判定した判定情報を、前記波形データに関連付けて、前記記録部に記録させる第二記録制御手段と、を備えることを特徴とする波形記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯の電圧と前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧の振幅差が、三相全て第三閾値に収まっているか否かを判定する第三判定と、
前記変化が発生した発生時刻前の第一時間帯における電圧が前記第二閾値以下であり、かつ前記変化が発生した発生時刻後の第二時間帯における電圧が健全時の電圧に対応して設定された第四閾値以上である条件を、三相のうちいずれか一つの相でも満たすか否かを判定する第四判定と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の波形記録装置。
【請求項3】
前記変化検出部は、
前記各相の電圧又は前記各相の電流に、サージ検出用の閾値として設定された第一基準レベルを超えるサージが重畳することを条件に、サージ検出信号を出力するサージ検出部と、
前記各相の電流から算出した零相電流又は各相の電圧から算出した零相電圧である零相信号が、零相信号検出用の閾値として設定された第二基準レベルを越えることを条件に、零相検出信号を出力する零相検出部と、
前記各相の電圧の振幅変動又は各相の電流の振幅変動が、振幅変動検出用の閾値として設定された第三基準レベルを上回ることを条件に、振幅変動検出信号を出力する振幅変動検出部と、を備え、
前記各検出部から出力される各検出信号のOR条件にて前記変化の有無を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波形記録装置。
【請求項4】
送電区間の両側に設置された請求項1ないし請求項3に記載の波形記録装置と、
前記各波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、
前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、
前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定することを特徴とする故障点標定システム。
【請求項5】
送電区間の両側に設置された請求項2又は請求項3に記載の波形記録装置と、
前記各波形記録装置と通信可能に接続された解析装置と、からなる故障点標定システムであって、
前記各波形記録装置は、前記記録部に記録された前記波形データのうち、第一判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第二判定についてYESの判定情報が記憶された波形データと、前記第一判定〜前記第四判定について全判定ともNOの判定情報が記憶された波形データを、発生時刻の情報と共に前記解析装置に転送し、
前記解析装置は、前記波形記録装置から転送された前記波形データに基づいて、前記送電区間内における故障点の位置を標定することを特徴とする故障点標定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−189392(P2012−189392A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52037(P2011−52037)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000241957)北海道電力株式会社 (78)
【出願人】(000154886)株式会社北計工業 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000241957)北海道電力株式会社 (78)
【出願人】(000154886)株式会社北計工業 (6)
【Fターム(参考)】
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