説明

波長の選択

光ネットワーク中で経路に沿って光データを送信する際に用いられる波長を選択する方法を開示する。すでに周知の波長選択方法は、波長選択の決定が、この波長の選択対象となる経路と1つ以上のリンクを共有している経路に沿って将来接続しようとするのに対してどのような影響を及ぼすかを考慮していない。その結果、セットアップされる予定の経路全体に沿ってエンドツーエンドで利用可能な波長が何もないため、将来の接続の試みが阻止される。ここで提案する方法では、経路に沿ってエンドツーエンドで使用するのに利用可能な波長が発見され、経路上の各々のノードに取り付けられている各々のリンク上で利用可能な波長が発見され、エンドツーエンドで利用可能であり、また、他の波長よりも経路上のノードに取り付けられているリンク上でより利用可能な波長が選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワーク内の経路に沿って光データを送信する際に用いられる波長を選択する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワーク内では、データは、(一般にルータ又はスイッチと呼ばれる)ネットワークノードを相互接続する光ファイバを介して送信される。データは、ネットワークを横断する際、1以上のネットワークノードを横切る。ネットワークノードの各々では、データは入力ポート上で受信され、光信号から電気信号に変換され、電気的ドメインで処理され、電気信号から光信号に変換され、関連の出力ポート上で送信される。このように光信号から電気信号に変換され、また、その逆に再度変換される処理は、光/電気/光(OEO)変換と呼ばれる。
【0003】
あらゆるノードでOEO変換すると、2つの主要な結果がもたらされる。第1に、OEO変換ではすべてのノードで光信号が再形成され、タイミングを再設定され、再送信されるが、これは、エンドツーエンド経路内の各々のリンクが隔離されているものとみなすことが可能であり、したがって、1つのリンクに障害や欠陥があっても、後続のリンクにドミノ効果を及ぼすことはないことを意味する。第2に、OEO変換によって、ノードは所与の波長で光信号を受信してこれを異なる波長で再送信することが可能である、すなわち、このノードは波長変換を実行することが可能である。しかしながら、OEO変換は実施しようとすると高価であり、また、ネットワークでのボトルネックとなるが、この理由はデータを入力ポートから出力ポートにスイッチングすることが可能な最大速度が、各々のネットワークノードでの基礎を成す電子系の動作可能速度に左右されるためである。
【0004】
全光ネットワークでは、データはまた、ネットワークノードを相互接続する光ファイバ上で送信される。しかしながら、各々のネットワークノードでは、何らOEO変換することなく、データは入力ポートで受信され、光ドメインでスイッチングされ、関連する出力ポートで送信される。全光ネットワークノード(より一般的には、光交差接続部(OXC)と呼ばれる)ではOEO変換がないため、その結果、ノードをネットワーキングするコストが減少する。全光ネットワーク内では、通常は、波長分割多重方式(WDM)を利用することによって、異なったいくつかの波長が各々の光ファイバ上で同時に用いられる。
【0005】
全光ノードでOEO変換が実行されないということは、ノードはもはや波長変換が不可能であり、このため、エンドツーエンド経路全体にわたって同じ波長を用いる必要があることを意味する。これは、波長連続性の制約として知られており、この結果、エンドツーエンド経路が使用不可能という状況となるが、これは、ネットワークのキャパシティに余裕がある(すなわち、データ送信に使用されていない波長がある)にもかかわらず、エンドツーエンド経路上のすべてのリンクで利用することが可能な波長は1つもないためである。
【0006】
データ送信に用いられる波長を選択する現行の方法では、経路を実際に構成する各々のリンク上で用いるのに利用可能なすべての波長を考えに入れて、エンドツーエンドで使用可能な1つを選択する。1つのこのような方法では、リンク上の波長のすべてに連続的に番号を付けて、エンドツーエンドで使用可能な最も低い番号を持つ波長を選ぶ。これらの方法に伴う欠点は、波長選択の判定が、波長を選んでいる対象である経路と1つ以上のリンクを共有している経路に沿って将来接続しようとする際にどのような影響があるかということを、考慮していないことである。この結果、セットアップしようとする経路全長に沿ってエンドツーエンドで利用可能な波長が1つもないため、将来接続しようとしても阻止される可能性がある。
【0007】
波長を選択する最適な(しかし扱いにくい)方法は、波長選択の判定に際して、どの波長がネットワーク全体で使用可能であるか考慮する。このような方法では、波長選択の判定が、将来ネットワーク内でいずれかのリンクを用いて接続しようとする際にどのような影響を及ぼすかを、考慮に入れることが可能である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、光ネットワーク上で経路に沿って光データを送信する際に使用される波長を選択する方法が提供され、前記光ネットワークは光ファイバリンクによって相互接続されている複数のノードを備えており、前記方法は、
前記経路に沿ってエンドツーエンドで使用するのに利用可能な波長を発見することと、
前記経路上の各々のノードに取り付けられている各々のリンク上で利用可能な波長を発見することと、
エンドツーエンドで利用可能であり、また、前記経路上のノードに取り付けられているリンクで他の波長よりも利用可能な波長を選択することと、を備える。
【0009】
選択された経路に沿ってエンドツーエンドで使用するのに利用可能な波長を発見することによって、この選択された経路上で各々のノードに取り付けられている各々のリンク上での使用に利用可能な波長を発見することによって、エンドツーエンドで利用可能であり、また、この選択された経路上のノードに取り付けられているリンク上で他の波長よりも利用可能な波長を選択することによって、どの波長を使用するのに選択するかに関してより良い判断がなされ、また、経路のセットアップをしようとする際の成功する確率が改善される。
【0010】
本発明は、波長選択の判定が、波長が選択されている経路と1つ以上のリンクを共有している経路に沿って将来経路をセットアップしようとする際にどのような影響を及ぼすかを考慮に入れることが可能な方法を提供する。したがって、経路をセットアップしようとしてもこれが阻止される上述した状況の発生が遅れ、同じように経路をセットアップしようとした場合に成功する回数が増えるであろう。波長が選択されている経路上のノードに取り付けられているリンクで広く利用可能な波長を選択すると、あまり広く利用可能ではない波長を選択した場合より、後で経路をセットアップしようとした際にこれが阻止される確率が低くなる。この結果、所与の数の展開波長とファイバに対して、より多くのエンドツーエンド経路をセットアップすることが可能であり、これによって、利用可能なネットワークの利用可能なキャパシティの利用度が増す。
【0011】
本発明の他の態様は、特許請求の範囲に記載されている。
【0012】
本発明の実施形態を、類似の参照符号が類似の部分を表している次の添付図面を参照して、単に例示として以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、よりしばしば光交差接続部又はOXCと呼ばれている6つの光ネットワークノード(A、B、C、D、E及びF)備えている全光ネットワークを示す。現在入手可能な適切なOXCとして、アメリカ、バージニア州、レストンのλOpticalSystems社から市販されているλNODEがある。データは、このOXCを相互接続する光ファイバリンク上で特定の波長で送信される。この光ファイバリンクの各々の方向は、互いに別個の一方向リンクであると考えられる。各々のOXCでは、光/電気/光変換が起こることなく、データは入力ポート上で受信され、光ドメインでスイッチングされ、関連する出力ポート上で送信される。異なったいくつかの波長を、波長分割多重方式(WDM)を利用することによって各々の光ファイバリンク上で同時に用いることができる。1つの光ファイバリンク当たりサポート可能な波長の数は、展開されているネットワークの実際の性質に依存し、また、ネットワークを企画する段階で決定される(たとえば、ネットワークの展開者がいくら支払うつもりか、どれほどの波長帯が必要であるか、など)。光ファイバリンク1つ当たり160波長までをサポート可能な光ネットワークが、当業者には周知であるが、図1のネットワークでは、各々の光ファイバリンクが、各々の方向で、最大で5つの波長をサポート可能である。重要な注意事項であるが、すべての光ファイバリンクが、また、1つの光ファイバリンクのすべての方向で、同じ数の波長をサポートしなければならないというわけではなく、図2の表に、図1のネットワークの各々の光ファイバリンク上で利用可能な波長の数を示す。たとえば、OXCAをOXCBに接続している光ファイバリンクAB上で利用可能な波長は5つであり、OXCCをOXCEに接続している光ファイバリンクCE上で利用可能な波長は3つであり、OXCBをOXCEに接続している光ファイバリンクBE上で利用可能な波長はない。最大で5つ未満の波長しか利用可能ではないのは、技術上の制約(すなわち、特定のリンクは、たとえば、3つの波長しかサポートできない)又は使用法(すなわち、特定のリンクは5つの波長までをサポート可能であるが、これらの内の3つはすでに使用中であり、したがって、2つの波長しか利用可能ではない)のためである。加えて、図2はまた、各々の光ファイバリンクに対する波長ベクトル(WAVELENGTHS)を含んでいるが、ここで、1は波長が利用可能であることを示し、0は波長が利用不可能であることを示している。波長には0から4までラベルが付けられているが、波長0はベクトル中の第1の波長(ベクトル中の左側のビット)であり、波長4はベクトル中の最後の波長(ベクトル中の右側ビット)である。これらの番号は、実際の波長の値に対する直接的なマッピングとなっている(たとえば、波長0は1510nmという波長に対するマッピングとなっている)。前に引用した例では、波長0から4はリンクAB上で利用可能であり(ベクトル{11111}で示している)、波長0、3及び4はリンクCE上で利用可能であり(ベクトル{10011}で示している)、リンクBE上で利用可能な波長はない(ベクトル{00000}で示している)。
【0014】
図1のネットワークはまた、通常は、ネットワーク管理システム(Network Management System(NMS))又は運用支援システム(Operational Support System(OSS))を含んでいる。このNMS/OSSは様々なタスクを実行するために用いられるが、これらのタスクには、一般に、しかし限られるわけではないが、ネットワークとシステムの構成を監視し、場合によってはデバイスを必要に応じて再構成するための構成管理と、ネットワークの問題及び/又は故障を検出し、記録し、ユーザにこれらを通知し、場合によっては修理するための故障管理と、同意されているサービスレベルの取り決めに対してネットワークの性能を測定し、帯域幅/使用量の割り当てを調節して会計情報を生成するための性能管理及び決算と、が含まれる。
【0015】
図1の光ネットワークに取り付けられているNMS/OSSを図3と4に示す。NMS/OSSは通常は、帯域外(OOB)ネットワークを介して取り付けられるが、このネットワークでは、図3に示すように、NMS/OSSを個別にネットワーク中の各々のOXCに接続している管理/制御リンクを備えている追加の物理的ネットワークを含むことができる。代替例では、図4に示すように、OXCを相互接続しているファイバリンクの各々のところで、トラフィックの管理/制御目的で波長が留保される。この場合、NMS/OSSは、まだネットワークに接続する必要があり、これは、専用リンク(たとえば、NMS/OSSからOXCFへのリンク)を介して、又は、ファイバリンク(たとえば、NMS/OSSからOXCDへのリンク)上で専用波長を介して、実行することが可能である。通常は、NMS/OSSは、弾力性をもたせるため、2ポイント以上のところでネットワークに接続される。
【0016】
光ネットワーク内で2つのOXC間の接続をセットアップするためには、このネットワークを通した経路を選択しなければならず、また、波長をこの経路に対して割り当てなければならない。たとえば、図1のネットワークでは、OXCAとOXCF間の接続をセットアップするに際して、10個の経路(ABCF、ABEF、ABECF、ABCEF、ADEF、ADECF、ADEBCF、AEF、AECF、AEBCF)と5個の波長が考えられる。これらの経路から1つとこれらの波長から1つを選択しなければならない。経路選択は経路選択アルゴリズムで遂行され、波長選択は波長選択アルゴリズムで遂行される。本実施形態で用いられるこれら経路選択アルゴリズムと波長選択アルゴリズムの正確な詳細は、後で述べる。
【0017】
図3と4の例では、経路上の第1のノード(この接続の進入ノード)が経路選択アルゴリズムと波長選択アルゴリズムを実行して、用いられる経路(と波長)を計算し、続いて、適切な信号通知プロトコルを用いてこの情報を経路に沿って通信する。たとえば、OXCAとOXCF間での接続が要求されると、OXCAがこれらのアルゴリズムを実行して(したがって、経路と波長を選択して)、続いて、この情報を経路にそって通信する。ここで用いられる実際の信号通知プロトコルは、ネットワーキング技術、個人の好みなどの要因に依存する。当業者には、適切な信号通知プロトコルを提供して実施するのに何ら困難はないであろう。接続は、潜在的には、ネットワーク上のどのノードから開始することも可能である(すなわち、どのノードでも進入ノードとなりえる)ため、ネットワーク上のすべてのOXCが、経路を計算する機能性を有しており、したがって、これらのアルゴリズムはネットワーク上のどのOXCにおいても実行することが可能である。OXC内にすでに存在するものに対して何らハードウエアを追加する必要はない。OXCは、各々のファイバリンク上でどの波長が使用されているかを知っているだけでよく、この情報は誘導可能であるが、これは、システムがどれほど多くの波長がスタートアップ時に構成されたか、また、スタートアップ以来どの波長が割り当てられたかを知っているためである。
【0018】
代替実施形態では、これらアルゴリズム(したがって、経路と波長の選択も)は、経路計算サーバ(PCS)上で実行可能である。図5と6を参照すると、OXCAとOXCF間での接続が要求されると、OXCAがPCSから経路(及び波長)を要求し、すると、PCSが好ましい経路と波長をノードAに返し、ノードAが、前に説明したように適切な信号通知プロトコルを用いてこの接続を信号通知してセットアップする。PCSは、(図6に示すように)経路計算しか実行しない、ネットワークに取り付けられた専用サーバであってよく、又は、代わりに、(図5のOXCAとOXCFに示すように)経路計算機能性をネットワーク内の既存のOXCに追加したりしてもよい。所与のネットワークは、弾性や拡張性などの理由で2つ以上のPCSを有してよい。
【0019】
他の実施形態では、これらアルゴリズム(したがって、経路と波長の選択も)は、既述したようにPCS上で実行可能であるが、PCSは、(図7に示すように)NMS/OSSに接続したり、又は、(図8に示すように)これをNMS/OSSに組み込んだりしたりすることが可能である。どちらの場合も、NMS/OSSはPCSから経路/接続を要求し、PCSはNMS/OSSに対してこれらを返す。次に、NMS/OSSは、選択された経路上のOXCを直接的に構成する。所与のネットワークは、弾性や拡張性などの理由で2つ以上のPCSを有してよい。
【0020】
上述したように、所与の通信に対して、データが、OXCを相互接続している光ファイバリンク上で特定の波長で図1の光ネットワークを介して送信される。各々のOXCでは、データは入力ポート上で受信され、光ドメインでスイッチングされ、関連の出力ポート上で送信される。これは、各々のOXCにわたり発生する光損失であり、この損失は、OXCの内部での所与の波長の切り替え光線と関連している。OXC内部では光/電気/光変換はまったく発生しないため、エンドツーエンド経路の全体にわたって同じ波長を用いる必要がある。経路の全長にわたる劣化はこの経路上での1つのOXCにおける又は任意の1つのリンク上での故障/障害の結果の蓄積であるため、経路全体にわたるエンドツーエンドの光損失を検査することによって、経路が使用可能であるかどうかの判定が可能となる。
【0021】
経路全体のエンドツーエンドの光損失が容認可能であるかどうか、したがって、経路が使用可能であるかどうかを判断するために、エンドツーエンドの実現可能性チェックを実行すれことができる。この実現可能性チェックでは、エンドツーエンド経路の物理的特長が用いられるが、より具体的には、経路を構成するOXCとファイバリンクそれぞれの物理的特徴が組み合わされる。
【0022】
(以下に説明するように経路選択アルゴリズムを用いて、又は、いずれかの代替の経路選択アルゴリズムを用いて)選択された経路が構築されている間、経路PプラスリンクLに等しい経路Q(すなわち、P=XYZであれば、Q=XYZLである)がこの経路の物理的(光学的)特徴に基づいたエンドツーエンド実現可能性テストに合格すると、リンクLは経路Pに含む(したがって、リンクLを含むようにエンドツーエンド経路を拡張する)ことしかできない。Qがエンドツーエンド実現可能性チェックに合格すると、経路Qは光学的に実現可能であり、リンクLは経路Pを拡張するために使用することが可能である。本実施形態で用いられるエンドツーエンドの実現可能性の指標は次式のとおりである。
【数1】

【0023】
ここで、FibreAttenuation=ネットワークで用いられているファイバリンクに伴う減衰(dB/km)。(実際には、これは、ファイバリンクによって変わるが、本実施形態では、リンクによって変わらないものと仮定されることに留意されたい)。好ましい実施形態では、個々のファイバの減衰が合計される。
【0024】
MaxPathLength=ネットワーク中の光学装置がサポート可能な経路の最大長(km)。これは、通常は、光学装置の製造者によって設定される限界であるが、本実施形態では、ネットワーク中のすべての装置は同じ販売者から得たものである、又は同じ最大長さ限界を有するものと仮定される。
【0025】
PathLength=経路の全長であり、
【数2】

【0026】
に等しいが、ここでLinkLengthは経路に沿ったリンクiの長さ(km)である。
【0027】
TotalOXCLoss=経路に沿った光交差接続部による総光損失であり、
【数3】

【0028】
に等しいが、ここでOXCLossは経路に沿ったOXCkにわたる光損失(dB)である。(値は、ネットワークの測定/監視によって得ることが可能である。)
TotalPMD=エンドツーエンド経路全体にわたる分極モード分散(PMD)の総量(ps)、すなわち
【数4】

【0029】
であるが、ここでPMDは経路上のn番目のリンクにわたるPMDである。(PMDは、分極によって区別される伝播の2つのモードをサポートしている光ファイバで発生する電磁伝播現象である。ファイバ中で光が複屈折するため、これら2つのモードは異なる速度で移動し、ファイバの全長に渡ってこの複屈折がランダムに変化するため、その結果、これらモード間でのランダムカップリングを生じる。結果としてPMDが発生するため、パルスが歪み、またシステムに欠陥が出て、ファイバの送信キャパシティを制限する。値は、ネットワークの測定/監視によって得ることが可能である。)
M>0であれば、経路(Q又は等価的にはP+L)はエンドツーエンド実現性テストに合格しており、光学的に実現可能であって、光跡をサポート可能であると考えられる。
【0030】
M≦0であれば、経路(Q又は等価的にはP+L)はこのテストに不合格であり、光学的に実現不可能であって、光跡をサポートすることは不可能である。
【0031】
所与のネットワークに対するエンドツーエンド実現可能性チェックの正確な詳細(すなわち、用いられる正確な公式)は、(これに限られないが)ネットワーク中でどのような光学装置を展開するか、及び、ネットワークオペレータがどれくらいの誤差マージン以内で操作することを受け入れるか、を含む多数の要因によって異なることに留意されたい。たとえば、ネットワークオペレータは、確実に実現可能な経路しか容認しないと決定する可能性がある。代わりに、ネットワークオペレータは、業務に対するこれらの境界接続の一部を得ることが可能であることによる追加的利益の方が、失敗する境界線接続を取り扱うことによる余分なコストより大事であると感じて、「境界線」である経路をすんなり受け入れようとする可能性がある。
【0032】
このエンドツーエンド実現可能性チェックは次のように実施することが可能である。
【0033】
現在の好ましい経路(これは実現可能である)を記憶しているPを可変とする、
経路Pに対するTotalPMDを記憶しているP.TotalPMDを可変とする(ここで、
【数5】

【0034】

(TotalPMDに対するこの公式は、以前与えられた公式とは平方根がない点でわずかに異なることが明らかである。この平方根は、経路中の各々のリンク上でのPMDの平方の和が計算されるまでは計算不可能である。この和は(新たなリンクが経路に追加されるため)常に変化するので、平方根は、実現可能性の指標が計算される直前まで計算することは不可能である。したがって、後述する実現可能性の指標Mの中のTotalPMDを含む項に差が生じる。)
経路Pの全長(km)(すなわち、上記のPathLength)を記憶しているP.TotalLengthを可変であるとする、
経路に沿った光交差接続部による全光損失(すなわち、上記のTotalOXCLoss)を記憶しているP.TotalOXCLossを可変とする、
一時的経路を記憶しているQを可変とする(Qも、また上記のPについて類似の定義を持つ変数Q.TotalPMD、Q.TotalLength及びQ.TotalOXCLossを含んでいる)、
より良好な経路候補が見つからないならば、経路選択アルゴリズムが用いる選ばれた経路中の次のリンクとして、現行の好ましいリンクを記憶しているLを可変とする、
リンクLにわたりPMDを記憶しているL.PMDを可変とする、
L.LengthをリンクLの長さ(km)であるとする(より具体的には、リンクLを形成するために用いられるファイバのkm単位の長さ)、
L.OXCLossをリンクLと関連しているOXCでの光損失とする(本実施形態では、下流側のOXCでの光損失を所与のリンクと関連付けているが、たとえば、リンクLがノードAとB間に存在すると、Lと関連するOXCLossは、OXCBでの損失である)。
【0035】
ネットワーク中の光学装置がサポート可能な経路の最大長(km)を保持しているMaxPathLengthを一定である(すなわち、上記のMaxPathLength)とし、
ネットワーク中で用いられているファイバに伴う減衰を保持しているFibreAttenuationを一定である(すなわち、上記のFibreAttenuation)とする。
【0036】
経路選択アルゴリズムを最初に実行すると、すべての変数はゼロという値から開始され(Pはエンプティ/ブランク経路として開始され)、定数MaxPathLengthとFibreAttenuationは自身のそれぞれの構成された値を記憶する。経路選択アルゴリズムは、これが経路P中で第1のリンクとして用いることを好むリンクLを選択する。エンドツーエンド実現可能性チェックは次のように実行されて計算(そして記憶)される。
【0037】
Q.TotalPMD=P.TotalPMD+(L.PMDL.PMD)
Q.TotalLength=P.TotalLength+L.Length
Q.TotalOXCLoss=P.TotalOXCLoss+L.OXCLoss
【数6】

【0038】
(M>0)であれば、P=Qとする(すなわち、経路PをリンクLで拡張する)。次に、経路選択アルゴリズムは、経路中の次のリンク(より具体的には、経路選択アルゴリズムで選ばれた好ましいリンク)を選択するように進み、経路P+Lに対して上記のエンドツーエンド実現可能性チェックを繰り返す。
【0039】
(M≦0)であれば、P=Pとする(すなわち、経路PをリンクLで拡張せず、代わりに、リンクの経路選択アルゴリズムの2番目の選択/好みで実現可能性チェックを繰り返すが、どのリンクも有効性チェックに合格しなければ、光学的に実現可能である利用可能なエンドツーエンド経路は存在しない(したがって接続試行は失敗する))。
【0040】
エンドツーエンド実現可能性チェックを実行することによって、選択された経路が使用可能であるか判定することが可能であり、これで使用不可能と判定されれば、使用可能な異なる経路を選択する。これは、すべての経路が使用可能であると仮定して、次に、ある経路が選択された後で、選ばれた経路が使用可能ではないことを発見することは好ましいが、これは、ネットワーク操作コストを増大し、また、自動提供プロセスで手動操作が伴う。
【0041】
経路選択アルゴリズムをここで詳述する。以下にリストアップした変数は、この経路選択アルゴリズムの説明と、図9から図10の関連するフローチャートで用いられる。
【0042】
NODEID[I]:ネットワーク中のI番目のノードのNODEIDを保持する。ネットワーク中ですべてのノードに対する繰り返しをし易くするために、ネットワーク中のノードのすべてに対して、連続番号が任意に割り当てられているものと仮定する。NODEID[I]は、ノードの任意の数とこれの実際のNODEIDとの間をマッピングする。
【0043】
PATHSTART:経路上の第1のノード、すなわち、接続の進入ノードのNODEIDに設定される。
【0044】
PATHEND:経路上の最後のノード、すなわち、接続の退出ノードのNODEIDに設定される。
【0045】
S:アルゴリズムによってすでに検査されたノードのNODEIDを保持している集合。
【0046】
TOTALNUMNODES:ネットワーク中のノードの総数を保持する。
【0047】
C[NODEID]:ノードPATHSTARTとノードNODEID間の経路のコストを保持する。
【0048】
PATH[NODEID]:ノードPATHSTARTとノードNODEID間の最短経路を保持する。この最短経路とは最もコストの安い経路である。
【0049】
INTERFACES[NODEID]:ノードNODEIDに取り付けられているリンクの数を保持する。
【0050】
REMOTENODEID[NODEID][INTFACE]:ノードNODEIDに取り付けられているリンクINTFACEの他端でのノードのNODEIDを保持する。
【0051】
REMOTENODE:アルゴリズムによって現在検査中のノードNODEIDに取り付けられているリンクINTFACEの他端のノードのNODEIDを保持する。
【0052】
LINKCOST[NODEID][INTFACE]:ノードNODEIDに取り付けられているリンクINTFACEのコストを保持する。
【0053】
この経路選択アルゴリズムは、リンクの物理的特長に基づいてリンク各々のコストを計算するように修正されている、公知のDijkstra最短経路アルゴリズム(Dijkstra,E.W.,1959年,Numerische Mathematik,第1巻,269から271ページ,「グラフに伴う2つの問題に関する注記」)に基づいている。好ましい実施形態では、リンクiのコストであるLinkCost=WavelengthsAvailable−1であるが、ここでWavelengthsAvailableはリンクi上での使用に対して利用可能な波長の数である。
【0054】
図9を参照すると、ステップ901で、集合Sが空集合(すなわち、{})に初期化され、アレイC[NODEID]が初期化され、その結果、すべてのノードにいたる経路のコストが∞になる。このアルゴリズムは経路中の第1のノード(すなわち、PATHSTART)から開始して、自身が変数CURNODEIDで検査中のノードの経過を追う。このアルゴリズムは、PATH[CURNODEID]を{PATHSTART}に設定し、C[CURNODEID]を0に設定する(ステップ901)。
【0055】
このアルゴリズムは自身が変数CURINTFACEで検査中のリンクの経過を追う。CURNODEIDに取り付けられている第1のリンクを検査するために、このアルゴリズムは次にCURINTFACEを1に設定し、CURNODEIDを集合Sに追加する(ステップ903)。現在検査中のリンクCURINTFACEの他端にあるノードのNODEIDを次に計算する(ステップ905)。
【0056】
好ましい実施形態では、上記の実現可能性チェックをここで実行する(ステップ906)。しかしながら、ここで、経路選択アルゴリズムは、実現可能性チェックを実施することなく実行可能であるが、この場合、ステップ906はスキップされて、このアルゴリズムはステップ907に進むが、これは以下で説明する。現在検査中のリンクを含む経路が実現不可能であれば(すなわち、実現可能性チェックで不合格であれば)、このアルゴリズムは進行して、CURINTFACEを1だけインクリメントし(ステップ911)、CURNODEIDに取り付けられているすべてのリンクが検査されたかどうかチェック(ステップ913)して、まだ検査されていないリンクがもっとあれば、ステップ905と906を繰り返す。一方、現在検査中のリンクを含む経路が実現可能であれば(すなわち、実現可能性チェックで合格であれば)、このアルゴリズムはステップ907に進行する。
【0057】
ステップ907でテストを実行して、現在検査中のノード(C[CURNODEID])のコストと現在検査中のリンク(LINKCOST[CURNODEID][CURINTFACE])のコストの和が、リンクの他端に取り付けられている遠隔ノード(C[REMOTENODEID])に対する現在のコスト未満であるかチェックする。このテストの結果が肯定的であれば、ステップ909でこのアルゴリズムは遠隔ノードに対するコストを、現行ノードに対するコストプラス現行のリンクのコストの和に設定(すなわち、C[REMOTENODE]=C[CURNODEID]+LINKCOST[CURNODEID][CURINTFACE])して、遠隔ノードへの最短経路を現行ノードへの経路プラス遠隔ノードに設定する(すなわち、PATH[REMOTENODE]=PATH[CURNODEID]+[REMOTENODE])。次に、このアルゴリズムは進行して、CURINTFACEを1だけインクリメントし(ステップ911)、CURNODEIDに取り付けられているすべてのリンクが検査されたかどうかチェック(ステップ913)して、まだ検査されていないリンクがあれば、ステップ905から911を繰り返す。ステップ907のテストの結果が否定的であれば、変数C[REMOTENODE]とPATH[REMOTENODE]を更新する必要はないが、この理由は、これらがすでに、検査中の遠隔ノードへの最低のコストと最短経路を保持しているからである。この場合、このアルゴリズムはステップ911にジャンプして、上記のように進行する。
【0058】
現行のノードに取り付けられているすべてのリンクが検査されたら、すなわち、ステップ913のテストの結果が否定的であれば、このアルゴリズムはネットワーク中の他のすべてのノードを順に探索して、どのノードを次に検査すべきであるか判定する。このアルゴリズムが次に検査するノードとは、まだ検査されていないノードの内でコストが最低であるようなノード、すなわち、集合Sにまだ含まれていないC[]の値が最低であるノードのことである。このプロセスを、図10を参照して以下に説明する。
【0059】
他のすべてのネットワークノードをこのように繰り返し探索する際に次の3つの一時的変数、CURNODE(現在調査中のノードを追跡する)と、CHEAPESTNODE(コストが一番低いと現在考えられるノードを追跡する)と、COSTOFCHEAPNODE(CHEAPESTNODEに対するコストを追跡する)が用いられる。ステップ915で、これら3つの変数は初期化される。
【0060】
ステップ917でテストを実行して、(1)現行のノードがまだ検査されていないか、すなわち、ノードCURNODEが集合Sのメンバーであるかないかと、(2)現行のノードのコストが最も低いかどうか、すなわち、CURNODEに対するコストはCOSTOFCHEAPNODE未満であるかどうかをチェックする。これら双方の条件が満足されれば、現在検査中のノードは、コストが最も低いノードとなる、すなわち、CHEAPESTNODEがCURNODEに設定され、COSTOFCHEAPNODEがC[NODEID[CURNODE]]に設定される(ステップ919)。次に、このアルゴリズムは進行して、CURNODEを1だけインクリメントし(ステップ921)、すべてのノードが調査されたかどうかチェック(ステップ923)して、まだ調査すべきノードがあれば、ステップ917から921を繰り返す。テストでこれらの条件の一方でも満足されなければ、すなわち、現行ノードがすでに検査済み(集合Sのメンバーである)であれば、又は関連するコストがCOSTOFCHEAPNODEより低くなければ、変数CHEAPESTNODEとCOSTOFCHEAPNODEを更新する必要はない。この場合、このアルゴリズムはステップ921にジャンプして、上記のように進行する。
【0061】
ネットワーク中のノードがすべて調査されて、次にどのノードを検査するかが決定されたら、すなわち、ステップ923のテストの結果が否定的であれば、このアルゴリズムは変数CHEAPESTNODEの値をチェックする(ステップ925)。変数CHEAPESTNODEの値が∞でないなら、繰り返し探索した結果、次に検査すべきノードとなる。変数CURNODEIDが最も安いノードに設定され(ステップ927)(すなわち、CURNODEID=NODEID[CHEAPESTNODE])、ステップ903から925が繰り返される。
【0062】
しかしながら、この値が∞であれば、このアルゴリズムは、ステップ917でのテストの条件を満足するネットワーク中のノードを発見しなかった、すなわち、ネットワーク中のすべてのノードが検査されたことになる。この場合、経路選択アルゴリズムは、ネットワーク中でノードPATHSTARTから他のすべてのノードにいたる最短経路を計算したことになるので終了する。経路選択アルゴリズムの終わりで、選択された経路はPATH[PATHEND]に保持され、この選択された経路のコストはC[PATHEND]に保持される。
【0063】
経路選択アルゴリズムを図1のネットワーク中で実行して、選択される経路はノードA’からスタートしてノードFで終わる(すなわち、PATHSTART=A及び、PATHEND=F)ものと仮定すると、C[]テーブルとPATH[]テーブルは次のように構築される。
【0064】
初期状態:
【表1】

【0065】
終了
したがって、経路選択アルゴリズムの終了時では、次のようになる。
【0066】
選択経路=PATH[PATHEND]=PATH[F]={A、E、F}
選択経路のコスト=C[PATHEND]=C[F]=0.8333
上記の経路選択アルゴリズムを用いる利点は、リンク上で波長が用いられるたびに、このリンクのコスト/測定基準が変化する、すなわち「動的」であるということである。これは、コスト/測定基準自身は所与のリンク上で利用可能な波長の数の関数であるからである。したがって、同じ対のエンドポイント間で何回か接続しようとしても、必ずしもネットワーク中で同じ経路を取るとは限らない。「静的な」コスト/測定基準(すなわち、波長が割り当てられるたびに変化することはないようなもの、たとえば、リンク上で利用可能な帯域幅の一部の関数)を用いると、多くの周知の最短経路第1(SPF)アルゴリズムの場合のように、1対のエンドポイント間にあるすべての接続に対して同じ経路が、この経路に沿ったリンクの内の1つのキャパシティが使い尽くされるまで用いられる過負荷が発生しかねない。リンクを使用することに基づいたコスト/測定基準を用いると、同じ量のファイバ/波長に対してより多くの接続を設定することが可能となり、また、あるリンクが故障した場合に利点がある。これは、リンクの使用に基づくコスト/測定基準を用いると、「静的な」コスト/測定基準の場合よりも、ネットワーク上での波長の使用がより均一に分散する傾向にあるからである。したがって、万が一あるリンクが故障するようなことがあれば、このリンクが担うことになる接続が他より少なくなりやすいが、この理由は、このアルゴリズムがネットワーク上でより均一に接続を分散しており、したがって、この故障に応じて再ルーティングを要求されている接続が少ないからである。
【0067】
この波長選択アルゴリズムをここでより詳細に説明する。以下にリストアップした変数は、この波長選択アルゴリズムと図11から図13の関連するフローチャートの説明で用いられる。
【0068】
E2EWAVELENGTHS:選択された経路に沿ってエンドツーエンドで用いるのに利用可能な波長を記述するビットベクトルを保持する。
【0069】
PATHNODEID[I]:選択された経路上のI番目のノードのNODEIDを保持する。
【0070】
PATHINT[I]:選択された経路上のI番目のリンクのリンク番号を保持する。
【0071】
WAVELENGTHS[NODEID][INTFACE]:ノードNODEID上のリンクINTFACE上で用いるのに利用可能な波長を記述するビットベクトルを保持する。
【0072】
PATHLENGTH:選択された経路上のノードの数を保持する。
【0073】
WAVELENGTHCOUNTER[WAVELENGTH]:波長WAVELENGTHが選択された経路に「接触する」回数を保持する。
【0074】
INTERFACES[NODEID]:ノードNODEIDに取り付けられているリンクの数を保持する。
【0075】
WAVELENGTHSONLINK:選択されたリンク上で使用するのに利用可能な波長を記述するビットベクトルを保持する。
【0076】
WAVELENGTHSONLINK[WAVELENGTH]:波長WAVELENGTHが選択されたリンク上で使用するのに利用可能であれば値1を、波長WAVELENGTHが使用するのに利用不可能であれば値0を保持する。
【0077】
E2EWAVELENGTHS[WAVELENGTH]:波長WAVELENGTHが選択された経路に沿ってエンドツーエンドで使用するために利用可能であれば(すなわち、波長WAVELENGTHがビットベクトルE2EWAVELENGTHSに含まれていれば)値1を、波長WAVELENGTHがエンドツーエンドで使用するのに利用不可能であれば値0を保持する。
【0078】
TOTALWAVELENGTHSSUPPORTED:単一のリンク上で許容される波長の最大数を保持する。
【0079】
MOSTUSEDINDEX:波長選択アルゴリズムの最後のところで、MOSTUSEDINDEXが、選択された経路に最もしばしば「接触する」波長、すなわち、このアルゴリズムが選択した経路に沿ってエンドツーエンドで使用するために選択した波長を保持する。
【0080】
経路が(上述したように経路選択アルゴリズムを用いて、又は、代替の経路選択アルゴリズムを用いて)選択された後、波長選択アルゴリズムは、どの波長が選択された経路に沿ってエンドツーエンドで利用可能であるか(すなわち、どの波長が波長連続性制約を満足するか)を計算して、結果をE2EWAVELENGTHSビットベクトルに記憶する。
【0081】
この目的のため、図11のステップ1101を参照すると、このアルゴリズムは最初に、すべての波長がエンドツーエンドで利用可能である(すなわち、E2EWAVELENGTHS={111...11})と仮定する。このアルゴリズムはまた、カウンタCURNODEを、これを1に設定することによって初期化する。このカウンタCURNODEは、現在アルゴリズムによって検査中のノードとリンクを追跡する。
【0082】
したがって、このアルゴリズムは、選択された経路上での最初のノードとリンクから始めて、E2EWAVELENGTHSビットベクトルを更新し(ステップ1103)、これが、選択された経路の現行のリンク上で、及びこの選択された経路に沿ってエンドツーエンドで利用可能な波長だけを記述する、すなわち、E2EWAVELENGTHS=E2EWAVELENGTHS BITWISEAND WAVELENGTHS[CURNODEID][CURINTFACE]。
【0083】
次に、ステップ1105で、このアルゴリズムはカウンタCURNODEを1だけインクリメントし、ステップ1107で、テストが実行されて、選択された経路に沿ったノードがすべて検査されたかどうかチェックする。そうでなければ、ステップ1103から1107が繰り返される。選択された経路に沿ってすべてのノードが検査されたら、このアルゴリズムは進行して、すべてのWAVELENGTHCOUNTER[WAVELENGTH]テーブルを初期化して、カウンタCURNODEを1にリセットする(ステップ1109)。
【0084】
この波長選択アルゴリズムは次に進行して、選択された経路に沿った各々のノードに取り付けられているすべてのリンクを検査する。このプロセスを、図12を参照して説明する。
【0085】
ステップ1111では、このアルゴリズムは、現行のノードに取り付けられているリンクの数を発見して、この値を変数NUMINTFACESとして記憶して、カウンタCURINTFACEを初期化するが、このカウンタは、このアルゴリズムによって現在検査されているリンクを追跡するために用いられる。
【0086】
ステップ1113では、このアルゴリズムは、どの波長が現行のリンク上で使用するのに利用可能であるか計算し、結果を変数WAVELENGTHSONLINKとして記憶して、カウンタCURWAVELENGTHを初期化するが、このカウンタは、このアルゴリズムによって現在検査されている波長を追跡するために用いられる。
【0087】
次に、テストを実行して(ステップ1115)、現行の波長が現行のリンク上で利用可能であるか、及び、選択された経路に沿ってエンドツーエンドで利用可能であるかをチェックする。このテストの結果が肯定的であれば、現行の波長に対するWAVELENGTHCOUNTER[WAVELENGTH]テーブルが1だけインクリメントされ(ステップ1117)、CURWAVELENGTHカウンタが1だけインクリメントされる(ステップ1119)。このテストの結果が否定的であれば(すなわち、このテストの条件の内の1つも満足されなければ)、このアルゴリズムは前方にジャンプして、CURWAVELENGTHカウンタだけをインクリメントする(ステップ1119)。
【0088】
次に、さらなるテストを実行して(ステップ1121)、現行のリンク上の波長がすべて検査されたかどうかチェックする。このテストの結果が、検査すべき波長がまだあることを示していれば、各々の波長に対してステップ1115から1121を繰り返す。このテストの結果が、現行のリンク上に検査すべき波長が何もないことを示していれば、CURINTFACEカウンタが1だけインクリメントされる(ステップ1123)。
【0089】
次に、別のテストを実行して(ステップ1125)、現行のノードに取り付けられているすべてのリンクが検査されたかどうかチェックする。このテストの結果が、検査すべきリンクがまだあることを示していれば、各々のリンクに対してステップ1113から1125を繰り返す。このテストの結果が、現行のノードに取り付けられているリンクがないことを示していれば、CURNODEカウンタが1だけインクリメントされる(ステップ1127)。
【0090】
次に、別のテストを実行して(ステップ1129)、選択された経路上のすべてのノードが検査されたかどうかチェックする。このテストの結果が、検査すべきノードがまだあることを示していれば、各々のノードに対してステップ1111から1129を繰り返す。このテストの結果が、検査すべきノードが残っていないことを示していれば、WAVELENGTHCOUNTER[WAVELENGTH]テーブルをすっかり反復して、選択された経路に取り付けられているほとんどのリンク上で利用可能なエンドツーエンド波長を、用いられるエンドツーエンド波長として選ぶ。この反復プロセスをここで、図13を参照して説明する。
【0091】
ステップ1131で、MOSTUSEDINDEX変数が初期化されて1に設定され、一方、CURWAVELENGTHカウンタは1にリセットされる。次に、テストを実行して(ステップ1133)、現行の波長が、MOSTUSEDINDEX変数によって現在記憶されている波長よりも多くのリンク上で発生するかどうかをチェックする。このテストの結果が肯定的であれば(すなわち、WAVELENGTHCOUNTER[CURWAVELENGTH]>WAVELENGTHCOUNTER[MOSTUSEDINDEX])、MOSTUSEDINDEXが更新され、その結果、これが現行の波長を記憶し(ステップ1135)、また、CURWAVELENGTHカウンタが次に1だけインクリメントされる(ステップ1137)。テストの結果が否定的であれば、このアルゴリズムはステップ1137にスキップして、CURWAVELENGTHカウンタが1だけインクリメントされる。
【0092】
次に、さらなるテストを実行して(ステップ1139)、波長がすべて検査されたかどうかチェックする。このテストの結果が、検査すべき波長がまだあることを示していれば、各々の波長に対してステップ1133から1139を繰り返す。このテストの結果が、検査すべき波長が何もないことを示していれば、波長選択アルゴリズムは終了する。
【0093】
波長選択アルゴリズムを図1のネットワーク上で実行し、また、経路A−E−Fが経路選択アルゴリズムによってすでに選択されているものと仮定すると、WAVELENGTHCOUNTER[]テーブルは次のように構築される。
【0094】
E2EWAVELENGTHS={11111}[初期段階では、波長はすべて利用可能であると仮定されている]
【数7】

【0095】
E2EWAVELENGTHS={00101}[すなわち、波長番号1、2及び4はエンドツーエンドでは利用不可能]
WAVELENGTHCOUNTER[1]=0
WAVELENGTHCOUNTER[2]=0
など。
【0096】
初期のWAVELENGTHCOUNTERテーブル:
【表2】

【0097】
ノードA(経路中での最初のノード)に取り付けられているリンクを処理
【表3】

【0098】
ノードE(経路中での2番目のノード)に取り付けられているリンクを処理
【表4】

【0099】
ノードF(経路中での3番目/最後のノード)に取り付けられているリンクを処理
【表5】

【0100】
経路中の最後のノードに取り付けられているリンクが処理されると、WAVELENGTHCOUNTERテーブルをすっかり反復して、もっとも頻繁に発生する波長が選択される。したがって、この例では、波長番号5(WAVELENGTHCOUNTER[5])が選択されて用いられる。
【0101】
もっとも頻繁に発生する波長を選択することは、本発明の利点を達成するために不可欠というわけではないことに留意されたい。たとえば、光ファイバリンク1つあたり160までの波長をサポート可能なネットワーク中では、2番目もしくは3番目に頻繁に発生する波長、又は経路上のノードに取り付けられているほとんどのリンク上で利用可能な波長を選択すると、効果的である。実際、他の波長よりももっと利用可能な波長であればどれでも役に立つ。
【0102】
いくつかの波長が同じ利用可能性を有している(すなわち、これらが同じ数のリンク上で利用可能である)場合、(等しい利用可能性を持つ波長の内の)第1の波長が選択されるが、ここで、この最初の波長は最も番号の低い波長である、すなわち、波長3と5が等しく利用可能であれば、波長3が選択される。
【0103】
すでに述べたように、上記の方法を用いることによる利点は、どの波長を選択するかに関する判定を、波長の選択の決定が、この波長が選択されている経路に沿った1つ以上のリンクを用いる経路に沿って将来接続しようとする際にどのような影響を及ぼすかを考慮することによって、より良好に下すことが可能となることである。図1の例示のネットワークでは、波長は経路AEFに沿って光データを送信する際に用いるために必要とされたので、また利用可能な最初の波長が選択されたので、波長3が選択される。ここで、経路DEFに沿った接続が必要であるような状況を考える。前もって波長が選択されている(波長3が選択されている)ため、ノードDとF間には経路が提供されない(経路DEF全体に沿ってエンドツーエンドで利用可能な波長は波長3だけであり、これはすでにリンクEFに沿って使用中であるからである)。したがって、この接続の試みは阻止される。本発明にしたがって波長選択アルゴリズムを用いると、その結果、波長5が選択されるが、これは、この波長が、ノードA、E及びFに取り付けられているリンク上で広く利用可能であるからである。この状況では、波長3が選択可能であるため、経路DEFに沿った接続の試みは阻止されない。
【0104】
エンドツーエンド実現可能性チェック、経路選択アルゴリズム及び波長選択アルゴリズムは、組み合わせて用いることも可能であるし、別々に用いることも可能であることに留意されたい。実際、各々を独立に用いることが可能である。たとえば、上述したように、いずれかの周知の経路選択アルゴリズム(たとえば、いずれかの周知の最短経路第1(SPF)アルゴリズム又は制約最短経路第1アルゴリズム)及び/又は、エンドツーエンド実現可能性チェックを有するいずれかの周知の波長選択アルゴリズムを用いることが可能である。代わりに、上述したような経路選択アルゴリズムと波長選択アルゴリズムを、エンドツーエンド実現可能性チェック付き又は抜きで、一緒に又は独立して用いてもよい。他の組み合わせも当業者には明らかであろう。
【0105】
本発明から逸脱することなく、上述の実施形態に対して多くの修正や変更が可能であることが上の説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】光ネットワークを示す図である。
【図2】図1の光ネットワークを備えているノードとリンクとの様々な特徴を詳述している表である。
【図3】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図4】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図5】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図6】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図7】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図8】図1の光ネットワークの様々な構成を示す図である。
【図9】経路選択アルゴリズムのステップを説明するフローチャートである。
【図10】経路選択アルゴリズムのステップを説明するフローチャートである。
【図11】波長選択アルゴリズムのステップを説明するフローチャートである。
【図12】波長選択アルゴリズムのステップを説明するフローチャートである。
【図13】波長選択アルゴリズムのステップを説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワーク内で経路に沿って光データを送信する際に使用される波長を選択する方法であって、前記光ネットワークは光ファイバリンクによって相互接続される複数のノードを備え、
前記経路に沿ってエンドツーエンドで使用にあたり利用可能な波長を発見することと、
前記経路上で各々のノードに取り付けられる各々のリンク上で利用可能な波長を発見することと、
エンドツーエンドで利用可能であり、また、前記経路上のノードに取り付けられたリンク上で他の波長よりも利用しやすい波長を選択することと、
を備える方法。
【請求項2】
最短経路第1アルゴリズムを用いて前記経路を選択する先行ステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルゴリズムで用いられる測定基準が、リンク上での波長の使用に関連する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記経路を選択することは、前記経路を一時にリンク1つだけ拡張することを備える、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
提案されたリンクを含む経路に対して、経路を前記提案されたリンクで拡張する以前に、エンドツーエンド実現可能性チェックを実行することをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記実現可能性チェックは、前記経路の光学的特長に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記実現可能性チェックは、提案されたリンクを含む経路のエンドツーエンド光損失が容認可能であるかどうかを判断する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の方法ステップを実行する装置を処理することによって実行可能な命令のプログラムを搬送する、デジタルデータキャリア。
【請求項9】
光ネットワークで用いられるノードであり、前記光ネットワークは光ファイバリンクによって相互接続される複数のノードを備え、
前記光ネットワーク中の経路に沿ってエンドツーエンドで光データを送信する際に用いる目的で利用可能な波長を発見し、且つ前記経路上で各々のノードに取り付けられる各々の光ファイバリンク上で利用可能な波長を発見する、発見手段と、
エンドツーエンドで利用可能であり、また、前記経路上のノードに取り付けられたリンク上で他の波長よりも利用可能な波長を選択する、選択手段と、
を備える、ノード。
【請求項10】
光ネットワークで用いられるノードであり、前記光ネットワークは光ファイバリンクによって相互接続される複数のノードを備え、
前記光ネットワーク中の経路に沿って光データを送信する際に用いる波長を選択するように処理可能なプロセッサ読み取り可能コードを記録している記憶媒体であって、前記コードは、前記経路に沿ってエンドツーエンドの使用に利用可能な波長を発見し、前記経路上の各々のノードに取り付けられた各々のリンク上で利用可能な波長を発見するように処理可能な波長発見コードと、
エンドツーエンドで利用可能であり、また、前記経路上のノードに取り付けられたリンク上で他の波長よりも利用可能な波長を選択するように処理可能な波長選択コードと、
を備える、前記記憶媒体を備える、ノード。
【請求項11】
前記ノードは前記経路上のノードを備える、請求項9又は請求項10に記載のノード。
【請求項12】
前記ノードは前記経路の進入ノードを備える、請求項11に記載のノード。
【請求項13】
光ファイバリンクによって相互接続される複数のノードを備える光ネットワークであって、前記ノードの内の1つ以上が、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載のノードを備える、光ネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−507225(P2008−507225A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522008(P2007−522008)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002728
【国際公開番号】WO2006/008460
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(390028587)ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ・パブリック・リミテッド・カンパニー (104)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH TELECOMMUNICATIONS PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】