説明

波長走査光源

【課題】 小型化を維持したまま、高速大掃引幅を有する波長走査光源を提供する。
【解決手段】 レーザ光を発振する半導体レーザ11と、半導体レーザ11の一方のレーザ光出射端面11aに設けられる無反射コート12と、半導体レーザ11の一方のレーザ光出射端面11aから出射された光が入射する光ファイバ13と、光ファイバ13から出射された光をコリメートするコリメートレンズ14と、コリメートレンズ14から出射された光が入射する外部共振器15と、光ファイバ13に設けられ、光ファイバ13のコリメートレンズ14側の端部13aを振動させる振動手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバをたわみ振動させ、出射される光の波長を走査する波長走査光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザの一方の端面に無反射コーティングを施し、この端面から出射される光を外部の共振器に導く、いわゆる外部共振型の波長走査光源が提案されていた。具体的には、図8に示すように、この従来からの外部共振型波長走査光源100は、一方の端面に無反射コーティング102が施された半導体レーザ101と、半導体レーザ101から出射された光をコリメートするコリメートレンズ103と、コリメートレンズ103から出射された光が入射する外部共振器104とから構成されている。この外部共振器104には、半導体レーザ101からの出射光が入射する回折格子105と、回折格子105からの回折光が入射し、再び回折格子105に出射するミラー106と、ミラー106の反射角度を可変とするミラー駆動手段107とから構成されている。外部共振型波長走査光源100は、外部共振器104内のミラー駆動手段107を駆動させることによりミラー106の角度を変化させ、レーザ発振波長を変化させている。
【0003】
このような構成を有する外部共振型波長走査光源100では、ミラー駆動手段107が、モータからなり、このモータを用いてミラー106を駆動する場合、半導体レーザ101の利得帯域に亘って掃引幅を広げることができるが、その掃引速度は遅いものであった。
【0004】
そこで、掃引手段としてのミラー駆動手段107を改良したものとして、ガルバノミラー、レゾナントミラー、MEMS(micro electro mechanical systems)ミラー等を用いたものが提案されている。これらのミラーを用いた波長走査光源は、ミラーの角度を変更するものではなく、ミラーを振動させることによりレーザ光の波長を走査するものである。
【0005】
しかしながら、このミラー振動方式を用いた波長走査光源では、例えば中心波長を1550[nm]とした場合、掃引幅としては数10[nm]から100[nm]しか得られず、すなわち、掃引周波数としては数[kHz]から20[kHz]程度にとどまっていた。
【0006】
ところで、上述の波長走査光源は、光計測や光ファイバセンサの光源として用いられるが、一般に、波長走査光源の掃引幅が、光計測の分解能や光ファイバセンサの測定点数を決定するものであり、掃引速度に応じて測定時間が決定されるものである。したがって、リアルタイム測定を行う場合の光センサとしては、搭載される波長走査光源が、大きい掃引幅を有するとともに、速い掃引速度を有する必要がある。しかし、上述の波長走査光源においては、外部共振器のミラーを振動等、駆動させる必要があることから、装置が大型化しており、そのため、掃引速度の向上の妨げとなっていた。
【0007】
【特許文献1】特開平9−180382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、小型化を維持したまま、高速大掃引幅を有する波長走査光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る波長走査光源は、レーザ光を発振する半導体レーザと、上記半導体レーザの一方のレーザ光出射端面に設けられる無反射コートと、上記半導体レーザの一方のレーザ光出射端面から出射された光が入射する光ファイバと、上記光ファイバから出射された光をコリメートするコリメートレンズと、上記コリメートレンズから出射された光が入射する外部共振器と、上記光ファイバに設けられ、該光ファイバの上記コリメートレンズ側の端部を振動させる振動手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来の外部共振器内において、モータ等により発振波長の掃引幅を可変としていたものと比較して、簡易な構成とすることができ、小型化を維持しながら、掃引幅が大きく、かつ、掃引速度を高速なものを実現することができる。具体的には、本発明は、光ファイバをたわみ振動させ波長走査を実現するので、小型化を維持しながら、大きな掃引幅を実現することできるとともに、光ファイバ内部の振動応力による光弾性効果を得ることができるので、光ファイバから外部共振器への出射光の出射方向を大きくすることができ、発振波長の掃引幅をさらに広げることができる。また、本発明は、光ファイバを振動させることで波長走査を実現することから、掃引時間を速くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る波長走査光源について図面を参照して詳細に説明をする。本発明に係る波長走査光源1は、図1に示すように、レーザ光を発振する半導体レーザ11と、半導体レーザ11の一方のレーザ光出射端面11aに設けられる無反射コート12と、半導体レーザ11のレーザ光出射端面11aから出射された光が入射する光ファイバ13と、光ファイバ13から出射された光をコリメートするコリメートレンズ14と、コリメートレンズ14から出射された光が入射する外部共振器15と、光ファイバ13に設けられ、コリメートレンズ14を介して外部共振器15に入射する光の波長を走査するために光ファイバ13を振動させる振動手段16とから構成されている。
【0012】
波長走査光源1は、いわゆるリトロー型の波長走査光源であり、半導体レーザ11の無反射コート12された端面11aから出射された光を光ファイバ13及びコリメートレンズ14を介して外部共振器15に入射し、その入射光の所望とする波長の光を再びコリメートレンズ14及び光ファイバ13を介して半導体レーザ11に戻す。半導体レーザ11に戻る光は、端面11aから出射された光の波長成分のうち、所望とする波長の戻り光であり、この戻り光で共振されてその共振波長の光を出力光として、端面11aとは反対側の端面11bから出射する。
【0013】
半導体レーザ11は、図示しない電源により駆動され、例えば、半導体の再結合発光を利用したレーザ光発生手段である。波長走査光源1に用いられる半導体レーザ11は、小型化、簡易な構成から適宜選択されるものであり、所定のレーザ光を発振することができるものであればいかなるものであってもよい。
【0014】
無反射コート12は、いわゆるAR(Anti-Reflection)コートであり、半導体レーザ11の一方のレーザ光出射面である端面11aに施されるコーティングである。無反射コート12は、外部共振器15からの戻り光を端面11aにおいて、反射せず、特定波長の光を半導体レーザ11に戻すために設けられるものである。
【0015】
光ファイバ13は、半導体レーザ11の端面11aから無反射コート12を介して出射された光が入射され、所定の長さ伝送して、後段に設けられるコリメートレンズ14に出射する。この光ファイバ13は、半導体レーザ11からの出射光を所定の距離伝送するとともに、後述する振動手段16により、たわみ振動され出射方向を可変とし、出射光の波長を可変とするものである。光ファイバ13は、例えば、偏波コントローラ付きのシングルモード光ファイバ又は偏波面保存光ファイバであり、回折効率の大きいS波を出射するものである。
【0016】
コリメートレンズ14は、光ファイバ13からの出射光が入射され、その入射光を平行光(コリメート光)に変換するレンズである。
【0017】
波長走査光源1に設けられる外部共振器15は、半導体レーザ11から出射される光の光軸に対して所定角度に傾斜されて設けられる回折格子15aから構成されている。外部共振器15を構成する回折格子15aは、コリメートレンズ14からの平行光が入射され、所定の波長、すなわち共振波長の光を再びコリメートレンズ14へ出射する。
【0018】
振動手段16は、半導体レーザ11からの光を所定の掃引幅で波長走査する手段であり、光ファイバ13に取り付けられる。具体的には、振動手段16は、半導体レーザ11からの入射光を光ファイバ13のコリメートレンズ14へ出射する側の端部13aから所定の距離離れた位置に圧電振動子17が設けられ、この圧電振動子17により、光ファイバ13の端部13a側をたわみ振動させ発振波長を光ファイバ13の振動周波数で掃引させる部材である。振動手段16は、光ファイバ13の外部共振器15側の端部13aを片持ち梁状に支持し、端部13aをたわみ振動させる。
【0019】
振動手段16を構成する圧電振動子17は、例えば、ステップホーン付きボルト締めランジュバン振動子(BLT)からなり、ホーン先端と光ファイバ13とを接着することにより、発生する振動を光ファイバ13に伝達する。なお、圧電振動子17は、上述に限らず、光ファイバ13を片持ち梁状に支持し、光ファイバ13の共振周波数振動を発生させ、光ファイバ13をたわみ振動させることができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0020】
このような構成を有する波長走査光源1は、半導体レーザ11からの出射光が光ファイバ13に取り付けられる振動手段16によりたわみ振動をし、外部共振器15に入射され、外部共振器15からの所定の波長の反射光が、再び半導体レーザ11に戻り、この戻り光に基づいて共振波長としての出力光を、半導体レーザ11の端面11bから出射する。したがって、波長走査光源1は、光ファイバ13の端部13aにたわみ振動を発生させる振動手段16により、出力光の波長を所定の波長に掃引することができる。また、波長走査光源1は、圧電振動子17からなる振動手段16によりたわみ振動を発生させ、この発生するたわみ振動の特性により、光源としての掃引できる幅を決定することができる。さらに、波長走査光源1は、光ファイバ13を振動させることにより出力光の波長を掃引することができるので、波長を変更するのに要する時間、すなわち掃引時間を高速なものとすることができる。
【0021】
さらに、波長走査光源1は、光ファイバ13をたわみ振動させるので、振動手段16による光ファイバ13の変位量のみならず、光ファイバ13内部の振動応力による光弾性効果により、光ファイバ13から外部共振器15への出射光の出射方向を大きくすることができ、発振波長の掃引幅を広げることができる。
【0022】
以上のことから、波長走査光源1は、従来の外部共振器内において、モータ等により発振波長の掃引幅を可変としていたものと比較して、簡易な構成とすることができ、小型化を維持しながら、掃引幅が大きく、かつ、掃引速度を高速なものを実現することができる。
【0023】
次に、本発明に係る波長走査光源の第2の実施の形態について説明をする。なお、上述の波長走査光源1と同様の構成については、同様の符号を付し、その説明は省略をする。
【0024】
第2の実施の形態として示す波長走査光源20は、図2に示すように、レーザ光を発振する半導体レーザ11と、半導体レーザ11の一方のレーザ光出射端面11aに設けられる無反射コート12と、半導体レーザ11のレーザ光出射端面11aから出射された光が入射する光ファイバ13と、光ファイバ13から出射された光をコリメートするコリメートレンズ14と、コリメートレンズ14から出射された光が入射する外部共振器21と、光ファイバ13に設けられ、コリメートレンズ14を介して外部共振器21に入射する光を波長走査するために光ファイバ13を振動させる振動手段16とから構成されている。すなわち、波長走査光源20は、第1の実施の形態として示した波長走査光源1と、外部共振器が異なるのみである。
【0025】
波長走査光源20は、いわゆるリットマン型の波長走査光源であり、波長走査光源1と同様に、半導体レーザ11の端面11aから出射され、たわみ振動された光ファイバ13から出射された光を外部共振器21に出射し、その戻り光を再び半導体レーザ11に導き、端面11bから出力光を出射する。
【0026】
波長走査光源20に設けられる外部共振器21は、図2に示すように、半導体レーザ11から出射される光の光軸に対して所定角度に傾斜されて設けられる回折格子22と、回折格子22からの回折光が入射され、この入射光を反射し、再び回折格子22に出射する反射ミラー23とから構成されている。
【0027】
外部共振器21を構成する回折格子22は、コリメートレンズ14からの平行光が入射され、波長に応じて異なった角度に回折する。回折格子22からの回折光のうち、所定の波長、すなわち共振波長の光のみが反射ミラー23により同一光路を逆向きに伝搬され、再び回折格子22を介して半導体レーザ11に入射する。
【0028】
このような構成を有する波長走査光源20は、波長走査光源1と同様に、半導体レーザ11からの出射光が光ファイバ13に取り付けられる振動手段16によりたわみ振動をし、外部共振器21に入射され、外部共振器21からの所定の波長の反射光が、再び半導体レーザ11に戻り、この戻り光に基づいて共振波長としての出力光を、半導体レーザ11の端面11bから出射する。したがって、波長走査光源20は、光ファイバ13の端部13aにたわみ振動を発生させる振動手段16により、出力光の波長を所定の波長に掃引することができる。また、波長走査光源20は、圧電振動子17からなる振動手段16によりたわみ振動を発生させ、この発生するたわみ振動の特性により、光源としての掃引できる幅を決定することができる。さらに、波長走査光源20は、光ファイバ13を振動させることにより出力光の波長を掃引することができるので、波長を変更するのに要する時間、すなわち掃引時間を高速なものとすることができる。
【0029】
さらに、波長走査光源20は、光ファイバ13をたわみ振動させるので、振動手段16による光ファイバ13の変位量のみならず、光ファイバ13内部の振動応力による光弾性効果により、光ファイバ13から外部共振器21への出射光の出射方向を大きくすることができ、発振波長の掃引幅を広げることができる。
【0030】
以上のことから、波長走査光源20は、波長走査光源1と同様に、従来の外部共振器内において、モータ等により発振波長の掃引幅を可変としていたものと比較して、簡易な構成とすることができ、小型化を維持しながら、掃引幅が大きく、かつ、掃引速度を高速なものを実現することができる。
【0031】
続いて、波長走査光源1を用いて、振動手段16による光ファイバ13のたわみ振動を用いて波長走査した実施例について説明をする。
【0032】
波長走査光源1は、具体的には、振動手段16の圧電振動子17としては、86[kHz]付近で共振するステップホーン付きボルト締めランジュバン振動子(BLT)を用いた。また、外部共振器15の回折格子15aとしては、溝本数600[本/mm]、ブレーズ角28.41[°]、波長分散1.46[nm/mrad]のブレーズド・グレーティングを用い、光波長1530[nm]で入射角と一次回折角とが等しくなるように、所定角度で所定位置に配置した。
【0033】
波長走査光源1は、振動手段16の圧電振動子17を駆動することにより片持ち梁状に支持された光ファイバ13に振動が伝搬され、たわみ振動が発生する。この片持ち梁のたわみ振動の共振周波数の関係式は、ベルヌーイ−オイラーの式より以下のような式(1)が導かれる。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、EIは曲げ剛さ、ρは密度、Aは断面積、βLは周波数定数である。また、Lは、光ファイバ13の端部13aから振動手段16が設けられる位置までの距離である。
【0036】
波長走査光源1では、式(1)を用いて、光ファイバ13の端部13aを5次モードで共振するように、長さLを8.2[mm]とした。
【0037】
以上のような波長走査光源1において、半導体レーザ11からの出力を測定すると、図3に示すような結果が得られた。なお、図3は、半導体レーザ11の出力について、光スペクトラムアナライザにより光スペクトルの時間平均値を測定したものであり、比較のために、振動手段16を有しない、すなわちたわみ振動させない場合における光スペクトルも測定したものも示す。
【0038】
図3に示すように、波長走査光源1では、掃引幅70[nm]の波長走査を実現することができることが分かり、波長走査光源として有効であることが分かる。
【0039】
次に、波長走査光源1に用いられるレンズ(コリメートレンズ14)の曲率による掃引幅の変化について検討するために光ファイバ13の端部13aの振動変位を計測した。本検討は、波長走査光源1において、光ファイバ13の共振周波数を83.6[kHz]として振動手段16を駆動したときの圧電振動子17の先端の振動変位に対する光ファイバ13の端部13aの振動変位をLDV(Laser Doppler velocimeter)を用いて測定することにより行った。この測定結果を図4に示す。
【0040】
また、半導体レーザ11の出力を、上述の光スペクトラムアナライザを用いて観測し、光ファイバ13の端部13aの振動変位に対する波長掃引幅を測定した結果を、幾何光学計算から見積もった値とともに、図5に示す。なお、本測定においては、種々の曲率を有するコリメート用のレンズとして直径の異なるボールレンズ(屈折率1.77)、具体的には、当該直径が0.5[mm]、0.8[mm]、1.0[mm]、5.0[mm]であるボールレンズを用いて測定を行い、さらに、比較対象として、倍率が20倍の対物レンズを用いた場合について測定を行った。また、各レンズにおける光ファイバ13を振動させない状態での発振スペクトルの線幅と光出力を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
図4、図5及び表1に示す測定結果から、どのレンズを用いたときも波長走査光源1における掃引幅は、線幅の60倍程度で一定であり、最大掃引幅と線幅とは二律背反の関係にあることが分かる。また、より曲率の小さなボールレンズを用いた方が偏向角が大きくなり、掃引幅も大きくなるが、平行光を出射するレンズとしてのコリメート性が悪くなるため発振線幅が広がり、光出力も小さくなることが分かる。一例としては、直径1[mm]のボールレンズを用いたとき、線幅1.1[nm]で70[nm]の掃引幅を得ることができた。
【0043】
次に、波長走査光源1における発振波長の時間的変化について検討する。波長走査光源1の発振波長の時間的変化を測定するため、波長多重された光信号を波長ごとに異なる出力ポートに導くアレイ導波路格子(AWG)を用いた。この測定は、0.8[nm]間隔で通過中心波長の異なる32chの出力を持つアレイ導波路格子に半導体レーザ11の出力光を入力し、各出力ポートからの出射光をPDにより受光し、オシロスコープで観測した。なお、この測定は、PDの出力と圧電振動子17への印加電圧の時間位相を測定することにより、波長走査光源1の出射波長と時間との関係を導くことができる。光ファイバ13の端部13aの共振周波数が9.57[kHz]における51.40[nm]及び29.24[nm]を波長走査したときのそれぞれの時間的変化について測定した結果を図6、図7に示す。なお、図6、7中の曲線は、光スペクトラムアナライザにより測定した掃引幅を正弦波状に走査した場合における理論値である。
【0044】
図6、7に示す測定結果から、圧電振動子17を正弦波駆動させた場合において、出射波長も正弦波状に時間掃引されていることが分かる。
【0045】
以上の検討から、光ファイバをたわみ振動することにより、波長走査を行う本発明は、波長走査光源として有効であることが分かる。
【0046】
また、本発明に係る波長走査光源は、従来の外部共振器内において、モータ等により発振波長の掃引幅を可変としていたものと比較して、簡易な構成とすることができ、小型化を維持しながら、掃引幅が大きく、かつ、掃引速度を高速なものを実現することができる。
【0047】
さらに、本発明に係る波長走査光源は、光ファイバをたわみ振動させ波長走査を実現するので、光ファイバ内部の振動応力による光弾性効果を得ることができるので、光ファイバから外部共振器への出射光の出射方向を大きくすることができ、発振波長の掃引幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明が適用された波長走査光源の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態として示す波長走査光源の概略図である。
【図3】半導体レーザの出力光の光スペクトルの時間平均値を測定した結果を示すグラフである。
【図4】圧電振動子の先端の振動変位に対する光ファイバの端部の振動変位を測定した結果を示すグラフである。
【図5】光ファイバの端部の振動変位に対する波長掃引幅を測定した結果を示すグラフである。
【図6】51.40[nm]波長走査した場合における発振波長の時間的変化を測定した結果を示すグラフである。
【図7】29.24[nm]波長走査した場合における発振波長の時間的変化を測定した結果を示すグラフである。
【図8】従来の波長走査光源を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1、20、100 波長走査光源、11、104 半導体レーザ、11a、11b 端面、12、102 無反射コート、13 光ファイバ、13a 端部、14、103 コリメートレンズ、15、21、104 外部共振器、15a、22、105 回折格子、16 振動手段、17 圧電振動子、23 反射ミラー、107 ミラー駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発振する半導体レーザと、
上記半導体レーザの一方のレーザ光出射端面に設けられる無反射コートと、
上記半導体レーザの一方のレーザ光出射端面から出射された光が入射する光ファイバと、
上記光ファイバから出射された光をコリメートするコリメートレンズと、
上記コリメートレンズから出射された光が入射する外部共振器と、
上記光ファイバに設けられ、該光ファイバの上記コリメートレンズ側の端部を振動させる振動手段とを備える波長走査光源。
【請求項2】
上記外部共振器は、上記コリメートレンズからの入射光を回折し、該回折された回折光を再び該コリメートレンズに出射する回折格子からなることを特徴とする請求項1記載の波長走査光源。
【請求項3】
上記外部共振器は、上記コリメートレンズからの入射光を回折する回折格子と、該回折格子から出射された回折光を再び該回折格子に反射するミラーとからなることを特徴とする請求項1記載の波長走査光源。
【請求項4】
上記振動手段は、上記光ファイバの上記コリメートレンズが設けられる側の端部を振動させる圧電振動子からなることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の波長走査光源。
【請求項5】
上記振動手段は、上記光ファイバの上記コリメートレンズ側の端部を片持ち支持し、該端部を該光ファイバの共振周波数で振動させることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の波長走査光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−65054(P2009−65054A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233181(P2007−233181)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】