説明

注ぐことができる食品を包装するためのシート状包装材料に開封装置部を射出成形する装置及び方法

穴部9が設けられた多層シート状包装材料2に開封装置部3を射出成形する装置10であって、この装置の型穴は、カバー部分11の第1面11aに溶融プラスチック材料が満たされるようになっている第1チャンバ32と、溶融プラスチック材料で満たされて開封装置部の注ぎ口部13を形成するようになっている第2チャンバ33とを備え、装置はさらに環状リブ部41を備え、環状リブ部は狭い断面の通路部42の範囲を定めており、通路部は、第1及び第2チャンバを連結し、引き裂き可能な薄膜連結部分19の範囲を画定し、環状リブ部は、第1チャンバ側において第1環状表面43によって境界が定められており、第1環状表面は軸線Bに平行であり、鋭利な縁部46を形成しており、カバー部分は、プラスチック材料の圧力によって、鋭利な縁部に押しつけられて引き伸ばされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注ぐことができる食品を包装するためのシート状包装材料に開封装置部を射出成形する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、フルーツ・ジュース、UHT(超高温熱処理)牛乳、ワイン、トマト・ソースなど、注ぐことのできる多くの食品は、殺菌した包装材料から作った容器で販売されている。
【0003】
この種の容器の典型的な例は、テトラ・ブリック・アセプティック(登録商標)で知られている、液体又は注ぐことのできる食品用の平行六面体形状の容器であり、積層されたストリップ包装材料を折り曲げ、密封して作られている。
【0004】
この包装材料は多層構造をしており、剛性と強度を得るための基層(たとえば紙などの繊維質材料、又は無機質充填ポリプロピレン材料の層を含み得る)と、基層の両側を覆う多数の積層された層(たとえばポリエチレン・フィルムである熱融着プラスチック材料からなる)とを実質的に備える。
【0005】
UHT牛乳のような長期保存製品のための無菌容器の場合は、包装材料が、たとえばアルミ箔又はエチル・ビニル・アルコール(EVOH)フィルムなどのガス遮断材料の層をさらに備えており、このガス遮断材料の層は、熱融着プラスチック材料の層に重ねられており、さらに、最終的に食品に接触する容器の内側面を形成する別の熱融着プラスチック材料の層で覆われている。
【0006】
この種の容器は、通常、完全自動包装機で製造されるものであり、この完全自動包装機では、連続した円筒が、ウェブとして供給された包装材料から形成される。包装材料のウェブは、たとえば、過酸化水素水のような化学的な殺菌剤を塗布することにより包装機で殺菌され、殺菌剤は、殺菌が完了したら、たとえば加熱して蒸発させることにより包装材料の表面から取り除かれる。このようにして殺菌した包装材料のウェブは、その後、閉ざされた殺菌環境で保持され、そして、長手方向に折り畳まれ、且つ、密封されて、縦向きの円筒を形成する。
【0007】
円筒は、殺菌した、又は、殺菌処理された食品で満たされ、密封され、その後、等間隔の断面に沿って切断されて枕型の包みを形成し、この枕型の包みは、機械的に折り畳まれ、それぞれ完成した、たとえば実質的に平行六面体の形状をした容器を形成する。
【0008】
或いは、包装材料を切断して半加工品にすることができ、この半加工品が成形スピンドルで成形されて容器になり、そして、この容器が食品で満たされ、密封される。この種の容器の一例は、商品名テトラ・レックス(登録商標)で知られている、いわゆる「ゲーブル・トップ」容器である。
【0009】
上述した容器を開けるために、さまざまな解決方法が提案されており、これらの解決方法には、プラスチック材料から作られた、開封後再び閉じることのできる開封装置部というものがある。この開封装置部は、貫通開口部を画定しており、且つ、容器の壁部の穴に嵌められている、たとえば筒形をした注ぎ口部と、その注ぎ口部に嵌められていて、注ぎ口部を外側から閉じる、たとえばねじ式又はヒンジ式の取り外し可能なキャップとを実質的に備えている。
【0010】
開封装置部を製造するとき、注ぎ口部の開口部は、プラスチック製のコンフェッティ(confetti)部分で密封され、このコンフェッティ部分は、注ぎ口部に一体に連結されており、且つ、小さい断面の環状の引き裂き可能な薄膜に沿って、注ぎ口部から切り離すことができる。キャップの方を向いている側では、コンフェッティ部分に、突出する一体のプル・リングがあり、このプル・リングの自由端を使用者が引っ張って、コンフェッティ部分を注ぎ口部から引き裂き可能な薄膜に沿って切り離し、それによって製品の注ぎ開口部を開ける。より具体的には、プル・リングは、予め定められている距離だけ注ぎ口部の内側に延在している。
【0011】
説明した開封装置部を用いれば、使用者に適当な労力を求めることで、容器を容易に開けることができ、コンフェッティ部分が注ぎ口部からきれいに切り離される。
【0012】
しかしながら、液体だけでなく、ガスの密封も求められる容器の場合、開封装置部が包装材料に取り付けられるので、同じことは当てはまらない。
【0013】
このような場合については、包装材料の予め積層された穴部の上に開封装置部のコンフェッティ部分を直接取り付ける、という解決方法が知られている。予め積層された穴部とは、基層だけに形成された穴であって、ガス遮断材料の層を含む他の積層された層によって覆われた穴である。
【0014】
この解決方法を用いると、容器を開封するのに、コンフェッティ部分を注ぎ口部から切り離すことのみならず、基層を貫通している穴の縁部で、遮断材料の層を引き裂くことも求められる。アルミニウムのような、一般に用いられている遮断材料では、このことは、常に、使用者がよりいっそうの労力をかけて容器を開封するという結果になり、また、穴の縁がギザギザで、ぼろぼろになり、このために、食品が滑らかに注ぎ出るのが損なわれるという結果になる。
【0015】
この問題を解決するために、出願人は、EP−A−2008787に開示した、開封装置部を包装材料の予め積層された穴部に直接射出成形する方法及び装置を考案した。
【0016】
実際には、溶融プラスチック材料を予め積層された穴部の一方の面に射出させて、穴部をその環状外縁部分まで覆い、これにより、予め積層された穴部に直接取り付けられたプラスチック製のコンフェッティ部分を形成する。次に、このような環状外縁部分において、溶融プラスチック材料に予め積層された穴部を刺し貫かせて開封装置部の注ぎ口部を形成する。注ぎ口部は、予め積層された穴部の反対側から突出しており、容器を開けるために使用者が引きちぎるようにしてある、より小さい断面の環状の薄膜連結部分を介してコンフェッティ部分に取り付けられている。
【0017】
このように、予め積層された穴部を形成する材料は、最初に刺し貫かれ、その後に注ぎ口部を形成するプラスチック材料によって再び密封される。したがって、この結果得られた容器は、必要なガス遮断特性を有しながら、同時にガス遮断部がある公知の容器よりも簡単に開けられる。
【0018】
しかしながら、射出作業の間に、予め積層された穴部が必ずしも規則的にコンフェッティ部分側で刺し貫かれず、むしろ、注ぎ口部側で破れる傾向があることに出願人は認識した。このために、予め積層された穴部の材料の部分が、引き裂き可能な薄膜を形成するプラスチック材料に捕らえられ、それにより、容器を開封するのに使用者が要する労力、及び、注ぐときの質に関し、この解決方法を十分には満足できないものにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】EP−A−2008787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、注ぐことができる食品を包装するためのシート状包装材料に開封装置部を射出成形する装置及び方法であって、公知の装置及び方法に一般的に関連する前述した欠点をなくすことを可能にする装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、請求項1に記載の射出成形装置と、請求項7に記載の射出成形方法とが提供される。
【0022】
本発明の好ましい、非限定的な実施例を例として、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】シート材料から作られており、本発明による装置及び方法を用いて開封装置部が射出成形されている密封容器の一部断面分解側面図である。
【図2】開封装置部が取り付けられる前の図1のシート材料の断面を示す図である。
【図3】開封装置部の射出成形における連続したステップでの図2のシート材料の断面を示す図である。
【図4】開封装置部の射出成形における連続的なステップでの図2のシート材料の断面を示す図である。
【図5】開封装置部の射出成形における連続的なステップでの図2のシート材料の断面を示す図である。
【図6】開封装置部の射出成形における連続的なステップでの図2のシート材料の断面を示す図である。
【図7】開封装置部の射出成形における連続的なステップでの図2のシート材料の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の番号1は、注ぐことができる食品のための密封容器の全体を示している。この容器は、詳細に前述した通りの公知の方法で折り畳まれて密封された多層シート材料2から作られている。そして、プラスチック材料からなる開封装置部3が、本発明による射出成形装置10(図3から図7に示されている)を用いて取り付けられている。
【0025】
示した例では、容器1が平行六面体の形状をしていて、商品名テトラ・ブリック・アセプティック(登録商標)で知られている形式のものである。しかしながら、本発明による装置10は、商品名テトラ・レックス(登録商標)で知られているゲーブル・トップ容器のような、他の形式の容器に対してもうまく適用できる。
【0026】
図2を特に参照すると、材料2は、剛性と強度を得るための基層4と、基層4の両側を覆う複数の層5と備えている。基層4は、たとえば紙などの繊維質材料や無機質充填ポリプロピレン材料から作ることができる。層5は、たとえばポリエチレン・フィルムなどの熱融着プラスチック材料でできている。
【0027】
UHT牛乳のような長期保存製品用の無菌容器1の場合には、包装材料2は、たとえばアルミ箔又はエチル・ビニル・アルコール(EVOH)フィルムでできたガス遮断材料の層6をさらに備え、層6は、熱融着プラスチック材料の層5に重ねられており、そしてさらに、最終的に食品と接触する容器1の内側の面を形成する別の熱融着プラスチック材料の層5で覆われている。
【0028】
換言すれば、層5及び6は、連続したストリップの形態に材料2を製造する場合に、基層4に張り付けられて積層されたそれぞれの層を画定する。
【0029】
また、ストリップ材料2は、この材料の長手方向Aに等間隔に配置された多数の除去可能部分8(図面には1つのみが示されている)を備えており、この除去可能部分8に開封装置部3が後で射出成形される。
【0030】
以下の説明では、簡単のため、1つの除去可能部分8と、1つの開封装置部3について述べる。
【0031】
示した例では、除去可能部分8は、いわゆる予め積層された穴部によって画定されている。すなわち、予め積層された穴部は、材料2の基層4を貫通するように形成され、積層された層5、6によって覆われ、その結果、それぞれのシート状カバー部分11によって密封されている穴部9である。
【0032】
不図示の代替実施例では、カバー部分11を層5、6の1つだけで、又は、いくつかで画定することもできる。たとえば、カバー部分11は、ガス遮断材料だけから作ることができる。
【0033】
不図示の別の代替実施例では、カバー部分11は、材料2の他の部分に固定された継ぎ当て部材によって画定されていてもよく、この場合には材料2の厚み全体を貫通するように形成された穴を密封する。
【0034】
特に図1に示すように、開封装置部3は軸線Bを有し、軸線Bは、カバー部分11と、ストリップ材料2の長手方向Aとに対して実質的に垂直である。開封装置部3は、カバー部分11の一方の面11a(示した例では最終的に容器1の内側を向く面)に付着しているコンフェッティ部分12と、円筒状の注ぎ口部13とを実質的に備えており、注ぎ口部13は、穴部9の周りにおいて材料2に取り付けられていて、食品を容器1から注ぐ開口部16を画定しており、また、注ぎ口部13は、カバー部分11の両側11a、11bに配置されるように、カバー部分11を刺し貫いた結果として、カバー部分11を貫通するように延在している。開封装置部3は、注ぎ口部13に取り外し可能に嵌められていて、開口部16を外側から閉じているキャップ14(図1)をさらに備えている。
【0035】
より具体的には、コンフェッティ部分12及び注ぎ口部13は、一体に射出成形され、キャップ14が、コンフェッティ部分12及び注ぎ口部13を含む全体とは別個に形成される。
【0036】
穴部9のコンフェッティ部分12及びカバー部分11は、注ぎ口部13の開口部16を密封する密封部分15を一緒に画定している。
【0037】
図1に特に示すように、注ぎ口部13は、穴部9の周りにおいて材料2に固定された環状フランジ部分17と、フランジ部分17の内側端部から軸線方向に突出しており、且つ、カバー部分11の外縁環状部分を通って延在している円筒状ネック部分18とを備えている。換言すれば、ネック部分18は、コンフェッティ部分12が固定されている面(11a)とは反対の面11bにある材料2から突出している。
【0038】
図1に示すように、コンフェッティ部分12及びフランジ部分17は、環状薄膜連結部分19によって接合されており、この環状薄膜連結部分19は、部分12及び17よりも断面が小さく、簡単に裂けて、密封部分15を注ぎ口部13から切り離せるようになっている。換言すれば、環状薄膜連結部分19は、それに沿ってコンフェッティ部分12を注ぎ口部13から切り離す引き裂き線を画定している。
【0039】
キャップ14と向き合う面に、コンフェッティ部分12は、一体に突出するプル・リング21を有しており、このプル・リング21を使って密封部分15を注ぎ口部13から環状薄膜連結部分19に沿って切り離すことで、製品を注ぎ出すために開口部16を開けられる。
【0040】
より具体的には、プル・リング21は、ネック部分18から、予め定められた距離のところで内側へ延在しており、また、コンフェッティ部分12にタブ部22によって接合されている。
【0041】
図1に示すように、キャップ14はねじ式であり、雌ねじ部24のある円筒形の側壁23を有し、雌ねじ部24は、注ぎ口部13のネック部分18にある、対応する雄ねじ部25と係合する。
【0042】
開封装置部3をストリップ材料2に射出成形するために、後者を方向Aへステップ送りし、ストリップ材料2の除去可能部分8を成形ユニット10(図3から図7)の内部に位置決めする。
【0043】
図3から図7を参照すると、成形ユニット10は、いくつかの金型30a、30b、30c、30dを備えている。これらの金型は、形成する開封装置部3の軸線Bと同軸で、材料2の両側に配置されており、また、方向Aへ材料2を送ることを可能にする開いた配置(図示せず)と、閉じた配置(図3から図7)との間で動くことができる。閉じた配置では、金型30a、30b、30c、30dが、カバー部分11を収容する、閉じられた型穴31を画定し、型穴31は、溶融プラスチック材料で満たされ、その材料が固まったときに、コンフェッティ部分12及び注ぎ口部13を含む全体を画定するようになっている。
【0044】
示した例では、金型30b、30c、30dが、材料2の金型30aとは反対側に配置される。より具体的には、金型30b、30c、30dは、カバー部分11の面11bと向き合い、一方、金型30aは、カバー部分11の面11aと向き合う。
【0045】
図3から図7に示すように、金型30bは、軸線Bに関して、金型30dよりも径方向外側にあり、一方、金型30cは、径方向において、金型30bと30dとの間にある。
【0046】
型穴31は、基本的に、
− カバー部分11を収容する、軸線Bのコンフェッティ形状の第1チャンバ32と、
− チャンバ32の平坦な環状外縁部分34の一方の側から、軸線Bと同軸に延在する筒状の第2チャンバ33と、
− コンフェッティ部分12のプル・リング21を画定しており、チャンバ33と同じ側から延在し、環状外縁部分34に関してチャンバ32の径方向内側の位置から延在する第3チャンバ35とを備えている。
【0047】
チャンバ32は、凸状中央部分36を備えており、凸状中央部分36は、チャンバ33及び35の方へ湾曲していて、環状外縁部分34につながっており、軸線Bにおいて入口部37を有する。入口部37は、金型30aを通って延在する溶融プラスチック注入導管38につながっている。
【0048】
チャンバ33は、チャンバ32の、入口部36とは反対の側から、軸線Bに沿って突出している第1円筒部分39と、実質的に平坦な環状部分40とを備えており、環状部分40は、チャンバ32の環状外縁部分34から径方向外側へ延在していて、カバー部分11の周囲端部と、カバー部分11を取り囲むように広がっている包装材料2の全体の部分を収容している。
【0049】
図3から図7に示すように、チャンバ35もまた、チャンバ33の円筒部分39と同じ側に、チャンバ32から軸線Bに沿って突出している。
【0050】
図3〜図7の例では、チャンバ32が、一方の側にある金型30aと、反対の側にある金型30c及び30dで画定され、チャンバ33は、金型30a、30c、及び30bで画定され、そして、チャンバ35は、金型30c及び30dで画定されている。
【0051】
以下に詳細に説明するように、チャンバ32はコンフェッティ部分12を画定し、一方、チャンバ33は、フランジ部分17と、注ぎ口部12のネック部分18を画定する。
【0052】
図3を特に参照すると、金型30cは、軸線Bの周りに延在する環状リブ部41を備えており、環状リブ部41は、金型30aとともに、チャンバ32をチャンバ33につなぐ、狭い断面の環状通路部42の範囲を定めており、プラスチック材料で充填されたときに、注ぎ口部13とコンフェッティ部分12の間において、引き裂き可能な環状薄膜連結部分19を画定する。
【0053】
図3の拡大詳細図に示すように、環状リブ部41は、チャンバ32と向き合っている第1環状表面43と、表面43に対して横向きになっていて、金型30aと向き合っている第2環状表面44と、表面43の反対側にあり、チャンバ33と向き合っており、金型30aに向かってだんだん細くなる、軸線B周りの円錐形の形状をしている第3環状表面45とによって境界を定められている。さらに、表面43に隣接するチャンバ32の領域では、金型30cが、表面47によって境界を定められている。表面47は、金型30a及びカバー部分11の面11bと向き合っており、表面43とともに角部を形成している。
【0054】
表面43は、表面44とともに鋭利な縁部46を形成し、縁部46は、使用時にカバー部分11と協働してカバー部分11を引き伸ばし、溶融プラスチック材料の加圧下でカバー部分11に穴を開けることを容易にして、溶融プラスチック材料がチャンバ33に流入できるようにする。
【0055】
カバー部分11が溶融プラスチック材料によって加圧される範囲を最大にし、且つ、切断されたカバー部分が通路部42から離れるようにするために、角部の領域において、表面43と47とが、80°から110°の間で構成される角度αを形成していることが有利である。
【0056】
特に、図6に明確に示されるように、溶融プラスチック材料がチャンバ32及び通路部42を完全に満たし、その結果、カバー部分11に対する穴開け作用が生じた後、カバー部分11の切断された縁部は、最終的に、縁部46から一定の間隔の離れたチャンバ32の側に配置される。
【0057】
出願人は、角度αが80°から100°の範囲にある場合に、上記の結果がよりよく達成されることを認識した。
【0058】
本発明の好ましい実施例によれば、表面43は、軸線Bに対して実質的に平行である。つまり、表面43は、軸線Bに対して厳密に平行であってもよいし、上記軸線との平行面と最大5°の小さい角度を形成してもよい。
【0059】
図3から図7に示した具体的な解決方法では、延長した線を考慮したとしても、どこの位置でも出会うことがないという意味で、表面43は軸線Bと厳密に平行である。
【0060】
特に、表面43は、軸線Bの周りに円筒形状を有する。
【0061】
さらに、図3に開示したように、表面43、44及び45は、以下の幾何学的関係を有する。
− 表面43は、表面44とある角度を形成し、その角度は好ましくは90°である。
− 表面45は、表面44とある角度βを形成し、その角度は好ましくは120°である。
【0062】
その上に、好ましい解決方法によれば、表面44及び47は、互いに実質的に平行である。
【0063】
開封装置部3を成形するには、図3の配置になっている成形ユニット10の内部に材料2を充填する。この成形ユニット10では、型穴31のコンフェッティ形状のチャンバ32、狭い断面の環状通路部41、及び、チャンバ33の環状平坦部分40の内部に、カバー部分11が完全に収まり、全く損傷を受けない。より具体的には、カバー部分11は、面11bが、型穴31のチャンバ35と、チャンバ33の円筒部分39と向き合うように配置される。
【0064】
この時点で、カバー部分11の面11aから、溶融プラスチック材料が導管38を通してチャンバ32へ注入され、チャンバ32は、中央部分36から環状外縁部分34の方へと徐々に充填される。
【0065】
型穴31のチャンバ32へ注入された溶融プラスチック材料の圧力により、材料2のカバー部分11が金型30dに押しつけられ、この結果、カバー部分11の面11bが金型30dに接触する。
【0066】
この段階で、カバー部分11の熱融着プラスチック材料の層5は、金型30aと向き合っており、型穴31に注入されたプラスチック材料によって完全に溶ける。
【0067】
溶融プラスチック材料は、チャンバ32の内部を径方向に、チャンバ32及び35の交差地点に最終的に到達するまで広がり、この交差地点では、カバー部分11は、金型30c及び30dによってしっかりと支持されておらず、溶融プラスチック材料の圧力できれいに穴を開けられ、したがって、溶融プラスチック材料が、チャンバ35全体を充填し、プル・リング21を形成する。
【0068】
全く同じようにして、溶融プラスチック材料がチャンバ32及び33の交差地点の環状部分に到達すると、カバー部分11が溶融プラスチック材料の圧力によって穴を開けられ、したがって、溶融プラスチック材料が、チャンバ33の円筒部分39に流入し、注ぎ口部13のネック部分18とねじ部25とを形成する。
【0069】
換言すれば、溶融プラスチック材料は、型穴31のチャンバ32とチャンバ33、及び、チャンバ32とチャンバ35の交差地点でカバー部分11を刺し貫いて貫通穴を形成し、この貫通穴は、引き続き、プラスチック材料によって密閉され、材料2の一体性が完全に回復する。
【0070】
チャンバ33に達する前に、溶融プラスチック材料は、狭い断面の通路部42を通過させられる。この段階の間、溶融プラスチック材料は、表面43へ向かって進む。表面43は、通路部42への入口の範囲を定めており、且つ、表面44とともに鋭利な縁部46を形成している。したがって、カバー部分11は、溶融プラスチック材料の圧力によって、鋭利な縁部46に押しつけられ、これにより、カバー部分11を引き伸ばす作用が生じる。この引き伸ばし作用により、カバー部分11を鋭利な縁部46の近くで破ることができる。
【0071】
表面43及び47の間の角領域における金型30cの特定の幾何学的形状は、金型30cとカバー部分11との間の接触範囲を最大にできる。したがって、その幾何学的形状のおかげで、カバー部分11の切断された縁部は、溶融プラスチック材料の推力を受けて、通路部42から上記角領域の方へと離れていく。このようにして、カバー部分11の切断された縁部は、その最終的な位置では、縁部46から一定の距離の離れたチャンバ32の側に配置される。
【0072】
さらに、とりわけ図6及び図7に示すように、表面43及び47の間が特定の角度であり、且つ、溶融プラスチック材料が通路部42に入るときの速度が速いので、カバー部分11は、環状薄膜連結部分19から完全に取り除かれ、注ぎ口部13とつながる橋部を全く形成しない。
【0073】
型穴31の全体を満たしたプラスチック材料が固まったら、金型30a、30b、30c、30dを開いた配置へ動かし、材料2をもう一度方向Aへ送り、それぞれの開封装置部3がその上に形成されている除去可能部分8を成形ユニット10から引き抜き、別の除去可能部分8を型穴31の中へ挿入し、別の成形工程をその上に行う。
【0074】
本発明による射出成形装置及び方法の利点は、これまでに説明したことから明らかであろう。
【0075】
具体的には、成形装置10で実行した射出成形工程の終わりには、包装材料2のカバー部分11にしっかりと連結された開封装置部3を得ることができるが、カバー部分は、注ぎ口部13及びプル・リング21を形成するプラスチック材料でまず刺し貫かれ、そしてその後に再び密閉されている。結果として、容器1には、必要なガス遮断特性があるが、同時に、ガス遮断部のない容器と同じぐらい開けやすい。つまり、成形装置10を使って製造した容器を開封するには、使用者は、ガス遮断材料とは対照的に、プラスチックの部分同士を連結している環状薄膜連結部分19を引き裂くだけでよく、ガス遮断材料は、開封装置部3を射出成形したときに、すでに穴が開けられている。
【0076】
実際に(特に図6及び図7を参照)、通路部42への入口でのプラスチック材料の高い圧力と、表面43及び47の間の角度αという特定の幾何学的形状とを組み合わせた作用により、カバー部分11は、コンフェッティ部分12の側において、きれいに穴が開けられ、ぼろぼろとなることはない。これにより、容器1の開封と、食品の滑らかな注ぎ出しとが大きく改善され、カバー部分の材料の断片が注ぐための穴部9に潜在的に存在することによって、食品の注ぎ出しが損なわれることはない。
【0077】
明らかに、本明細書に記載した成形装置10及び成形方法に、添付の特許請求の範囲に定義した範囲から逸脱することなく、変更を加えることができる。
【0078】
具体的には、記載した成形工程は、あらゆる輪郭、すなわち、円形でもないカバー部分に用いて、たとえば卵形、楕円形、又は、単に閉ループの輪郭で画定されている非円形断面の筒状注ぎ口部を有する開封装置部を製造することもできる。
【0079】
さらに、記載した成形工程は、包装材料の半加工品に、その半加工品がスピンドルで蓋の開いた容器に形成された後であって、注ぐことのできる食品で満たされて密封される前に、直接行うこともできる。
【0080】
最後に、金型30a、30b、30c、30dが互いに同軸でなくてもよいことも重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注ぐことができる食品を包装するためのシート状の包装材料(2)に開封装置部(3)を射出成形するための装置(10)であって、前記包装材料(2)は、少なくとも第1の層(4)及び第2の層(5、6)を備えており、前記第1の層(4)を貫通するように形成されて前記第2の層(5、6)のカバー部分(11)によって密封されている穴部(9)を有しており、前記カバー部分(11)は前記穴部(9)の軸線(B)に対して横向きになっており、前記装置(10)は、前記包装材料(2)の両側に配置された第1及び第2の成形手段(30b、30c、30d;30a)を備えており、前記第1及び第2の成形手段は、前記包装材料(2)を送ることができる開いた配置と、閉じた配置とに設置されることが可能であり、前記第1及び第2の成形手段は、閉じた型穴(31)を画定し、前記型穴(31)は、前記カバー部分(11)を収容し、溶融プラスチック材料が固まったときに前記開封装置部(3)を画定するために、前記プラスチック材料で満たされるようになっており、
前記型穴(31)は、
前記カバー部分(11)を収容するコンフェッティ形状の第1チャンバ(32)であって、前記カバー部分(11)の第1の面(11a)に前記溶融プラスチック材料を供給して覆うことを可能にする入口部(37)を有する、第1チャンバ(32)と、
使用時に、前記第1チャンバ(32)の前記入口部(37)とは反対の側から、前記軸線(B)に沿って突出する筒状の第2チャンバ(33)であって、前記カバー部分(11)の第2の面(11b)に、前記開封装置部(3)の注ぎ口部(13)を形成するために、前記カバー部分(11)に穴を開けることによって前記第1チャンバ(32)から来る前記溶融プラスチック材料で満たされるようになっている、第2チャンバ(33)とを備え、
前記第1成形手段(30b、30c、30d)は、リブ部(41)を備え、前記リブ部(41)は、使用時に、前記軸線(B)の周りに延在していて、前記第2の成形手段(30a)とともに、狭い断面の通路部(42)の範囲を定めており、前記通路部(42)は、前記第1チャンバ(32)を前記第2チャンバ(33)に連結していて、前記プラスチック材料で満たされたときに、前記注ぎ口部(13)と、前記カバー部分を覆う前記プラスチック材料との間の引き裂き可能な薄膜連結部分(19)を画定し、前記リブ部(41)は、前記第1チャンバ(32)の側において、縁部(46)を形成する第1の表面(43)によって境界を定められており、前記カバー部分(11)は、使用時に、前記通路部(42)に流入した前記溶融プラスチック材料の圧力によって、前記縁部(46)に押しつけられて引き伸ばされ、前記第1成形手段(30b、30c、30d)は、前記カバー部分(11)と使用時に向き合う第2の表面(47)によって境界を定められている、装置において、
前記カバー部分(11)が前記溶融プラスチック材料によって圧力をかけられる範囲が最大となり、且つ、切断された前記カバー部分が前記通路部(42)から離れるように、前記第1及び第2の表面(43、47)が、80°から110°の間の角度(α)を形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記角度(α)は80°から100°の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の表面(43)は前記軸線(B)に実質的に平行である、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記リブ部(41)、狭い断面の前記通路部(42)、引き裂き可能な前記薄膜連結部分(19)、及び前記第1の表面(43)が、前記軸線(B)の周りに環状形状を有する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の表面(43)は、前記軸線(B)の周りに実質的に円筒形状を有する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記リブ部(41)は、前記第2チャンバ(33)の側において、第3の表面(45)によって境界を定められており、前記第3の表面(45)は、前記軸線(B)の周りに実質的に円錐形状を有しており、前記第2の成形手段(30a)に向かって次第に細くなっている、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
注ぐことができる食品を包装するためのシート状の包装材料(2)に開封装置部(3)を射出成形する方法であり、前記包装材料(2)は、少なくとも第1の層(4)及び第2の層(5、6)を備えており、前記第1の層(4)を貫通するように形成されて前記第2の層(5、6)のカバー部分(11)によって密封されている穴部(9)を有しており、前記カバー部分(11)は前記穴部(9)の軸線(B)に対して横向きになっている、方法であって、
溶融プラスチック材料を、前記カバー部分(11)の第1の面(11a)上であって、コンフェッティ形状の第1チャンバ(32)の入口部(37)の中に射出するステップと、
前記溶融プラスチック材料を前記第1チャンバ(32)に沿って供給して、前記カバー部分(11)の前記第1の面(11a)を覆うステップと、
前記第1チャンバ(32)の、前記入口部(37)とは反対の側から、前記軸線(B)に沿って突出する筒状の第2チャンバ(33)に到達させるために、前記溶融プラスチック材料の圧力によって前記カバー部分(11)を刺し貫くことで、前記溶融プラスチック材料を、前記カバー部分(11)を貫通させて供給するステップと、
前記第2チャンバ(33)を前記第1チャンバ(32)から来る前記溶融プラスチック材料で満たして、前記カバー部分(11)の第2の面(11b)に、前記開封装置部(3)の注ぎ口部(13)を形成するステップとを備え、
前記溶融プラスチック材料は、前記第1チャンバ(32)から前記第2チャンバ(33)へ小さい断面の通路部(42)を通って流入して、前記注ぎ口部(13)と、前記カバー部分(11)を覆っている前記プラスチック材料との間に引き裂き可能な連結部分(19)を形成し、
前記第1チャンバ(32)から前記第2チャンバ(33)へ流れる間に、前記溶融プラスチック材料は、縁部(46)を形成する第1の表面(43)へ向けて進み、前記カバー部分(11)は、前記溶融プラスチック材料の圧力によって前記縁部(46)に押しつけられて引き伸ばされ、前記カバー部分(11)は、前記第1チャンバ(32)の境界を定める第2の表面(47)に押しつけられる、方法において、
前記溶融プラスチック材料によって前記カバー部分(11)が押しつけられる範囲を最大にし、且つ、切断された前記カバー部分が前記通路部(42)から離れるように、前記第1及び第2の表面(43、47)が、80°から110°の角度(α)を形成していることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記角度(α)は、80°から100°の間である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の表面(43)は、前記軸線(B)に対して実質的に平行である、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記小さい断面の通路部(42)及び前記第1の表面(43)は、前記軸線(B)の周りに環状形状を有する、請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の表面(43)は、前記軸線(B)の周りに実質的に円筒形状を有する、請求項7から請求項10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の層(6)は、ガス遮断材料を含む、請求項7から請求項11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記包装材料(2)は、前記第2の層(6)に、前記射出する側において張り付けられた熱融着プラスチック材料の第3の層(5)を備え、前記第3の層(5)は、前記カバー部分(11)に沿って流れる前記溶融プラスチック材料とともに溶ける、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶融プラスチック材料は、流れて通過するときに、前記カバー部材(11)の貫通部分を密封する、請求項7から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−520330(P2013−520330A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553352(P2012−553352)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052704
【国際公開番号】WO2011/104287
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】