説明

注入装置および方法

【課題】例えば幼児または精神障害者のように、監督が必要な患者にとっても順守可能とするグルコース監視体制の提供。
【解決手段】グルコース監視システム610、インスリンポンプ620の双方に接続可能なデータ管理システムであって、医療専門家、介護者およびユーザが、グルコース監視システム、ポンプの双方におけるデータを入力および変更するための互いに異なる許可権を有することができるようにする許可階層を有するデータ管理システム、を備えたことを特徴とする医療システム。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、発明の名称が「注入装置および方法」である、2006年10月31日に出願された米国特許出願第11/555,207号の優先権を主張するものであり、その開示はすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な医療機器が健康状態を監視するために使用される。例えば、機器は、体内における検体のレベルの少なくとも一部に基づいて、健康状態を管理することをユーザが可能となるように設計されているものを含む。これらのタイプの機器は、検体決定デバイス、薬物送達機器等を含む。
【0003】
このような検体機器は、糖尿病の患者用として近年広く使用されるようになっている。糖尿病患者は、通常、出血させるために指先または他の体の部分(すなわち代替部位)を切開し、携帯式計測器内の使い捨て試験紙に血液を付与し、現在のグルコース濃度を決定するために、計測器および試験紙で血液の電気化学試験を実施することにより、血糖値を測定している。このような離散的あるいは個別の体外の試験は、通常一日に少なくとも数回行われる。このようなグルコース監視システムおよびそれらの使用の詳細な説明が、参照により本明細書に組み込まれる、2006年6月6日にTheraSense社に発行された特許文献1に開示されている。
【0004】
体内グルコース監視機器は、連続的にグルコースを監視するように設計されている。これらの連続的システムのうちのいくつかは、間質液におけるグルコース濃度を測定するために、皮膚に挿入される使い捨ての経皮センサを採用しているものがある。センサの一部は皮膚から突出しており、粘着剤により皮膚に取り付けられる、耐久性のあるコントローラおよび送信器ユニットに接続される。グルコースの測定値を例えば1分間に1回というように定期的に受信するために、無線式の携帯ユニットが、皮膚に取り付けられた送信器およびセンサとともに使用される。3日、5日あるいは7日毎等の所定期間毎に使い捨てセンサは取り外され、再使用可能なコントローラおよび送信器ユニットと再度接続される新たなセンサと交換される。このような装置を用いることにより、糖尿病患者は、携帯ユニットを用いて血糖値を連続的に監視することができる。体内システムの携帯ユニットは、上述した個別の試験を実施するために、体外試験紙計測器も含むことができる。体外試験紙計測器は、新たな体内センサが埋め込まれる各回毎に、連続監視システムを較正するために使用できる。さらに、体内システムが機能しなくなった場合、新たなセンサが平衡状態にある場合、あるいは旅客機に搭乗した際の離陸および着陸時等のように送信器の電源を切る必要がある場合に、体外試験紙計測器は、バックアップとして使用することもできる。このような連続的なグルコース監視システムおよびその使用の詳細が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献2により提供される。
【0005】
完全に埋め込み可能な注入ポンプ、および可撓チューブ等の経皮的に配置された流体チャンネルを介して薬物を注入するポンプを含む薬物送達機器は、制御可能な薬物の管理をユーザが行うことができる機器である。ポンプは医療監視機器の制御下または半制御下におかれてもよく、ユーザにより制御されてもよい。このような例は、グルコース管理用のインスリンを投与するために糖尿病患者により使用されるインスリンポンプを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,058,437号明細書
【特許文献2】米国特許第6,175,752号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
体外または体内グルコース監視、およびインスリン送達機器の目的は、糖尿病患者の血糖値を所定範囲内に維持することを支援することにある。患者の血糖値が上がりすぎると、高血糖症が発生し得る。高血糖症の短期的な影響は、疲労、認識能力の欠如、躁鬱、多尿、過度の口渇および過度の空腹を含み得る。より直接的な課題として、患者の血糖値が下がりすぎると、低血糖症が発生し得る。高血糖症と同様に、低血糖症の症状も疲労および認識能力の欠如を含む。しかしながら、薬を投与しないと、低血糖症は、急速に意識を失うか昏睡状態に陥ることとなる。糖尿病患者の中には、低血糖症の症状がほとんどないか全くない、または高血糖症および低血糖症の症状を区別することが難しい場合がある。血糖値を適切な範囲内に維持しない場合の長期的な影響は、心疾患、慢性腎不全、失明につながる網膜損傷、神経損傷、インポテンス、並びに爪先、足および脚でさえも切断の危険を伴う壊疽等の健康問題を含む。監視に基づく適切なグルコース監視および修正処置は、糖尿病患者の健康を維持するために不可欠であることは明らかである。
【0008】
グルコース監視体制の順守も重要である。例えば幼児または精神障害者のように、監督が必要な患者にとって順守はとくに困難である可能性がある。順守は、医療提供者および/または介護提供者の指示に対する厳しい厳守を含む可能性がある。医療指示が変更された場合、ユーザはそのような変更を適切なタイミングで知らされることが必要である。同様に、患者に指示を思い出させる必要がある場合、指示が容易に入手できることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明を概説する前に、本発明は、体外検体監視機器、体内検体監視機器および薬物注入機器に適用可能であることが理解されよう。とくに指示されない限り、本明細書におけるこのような機器の1つのみに対する具体的な言及は、表現を簡潔にするためにのみ行うものであり、発明の範囲を制限することを意図していない。さらに、主題発明は、主としてグルコース監視機器およびインスリン注入ポンプに関して記載されるが、この記載は発明の範囲を制限することを意図していない。主題発明が、あらゆる適切な検体監視機器および薬物注入機器に適用できることが理解されよう。
【0010】
本発明の一態様によれば、医療機器(体外検体監視機器、体内検体監視機器、薬物注入機器)は、警告機能を備える。これらの警告機能は、ユーザが適切な検体レベルを維持することを支援する。血糖は、本発明の態様を用いることにより維持されてもよい多くの検体のうちの1つである。各ユーザ毎に、望ましいまたは目標とする検体の範囲が設定できる。この望ましい範囲の上あるいは下において、上方および下方の中関心範囲もそれぞれ設定できる。上方の中関心範囲の上に上方の高関心範囲を設定できる。同様に、下方の中関心範囲の下に下方の高関心範囲も設定できる。例によれば、ユーザは携帯計測器および試験紙等を用いての体外血糖値測定を行うことができる。本発明の一態様において、測定結果が上方または下方の中関心範囲のいずれかに入った場合、試験計測器はユーザに警告を行うことができる。警告は、測定値が上方または下方の中関心範囲のいずれに入ったかをユーザに知らせるものであってもよい。
【0011】
本発明の一態様によれば、医療機器(体外検体監視機器、体内検体監視機器、薬物注入機器)は、緊急警告機能を備える。これらの緊急警告機能は、ユーザが適切な検体(例えば血糖)レベルを維持することを支援する。上述したように、上方および下方の高関心血糖値範囲を設定できる。本発明の一態様において、試験計測器は、測定結果が上方または下方の高関心範囲のいずれかに入った場合に、ユーザに知らせる緊急警告を行うことができる。緊急警告は、測定値が上方または下方の高関心範囲のいずれに入ったかをユーザに知らせることが好ましい。さらに、この緊急警告は、上述した警告を行う場合よりも高いレベルの緊急性を示すことが好ましい。ユーザの検体レベルは、ユーザが検体測定を実施する前に、望ましい範囲から、中関心範囲を経て高関心範囲に変化する可能性があることに留意されたい。このような場合、ユーザは、最初に警告を受けることなく、緊急警告がなされてもよい。
【0012】
本発明の他の態様によれば、検体監視システムはリマインダ機能を備える。リマインダ機能も、ユーザが適切な検体(例えばグルコース)レベルを維持することを支援する。上述したように、中または高関心検体範囲を設定できる。本発明の一態様において、試験計測器は、測定値が中または高関心範囲に入ったときに発せられるリマインダ機能を備えることができる。リマインダは、所定時間が経過した後に、検体レベルが望ましい範囲に向かっているか、または望ましい範囲に戻ったことを保証するための別の検体測定を行うことをユーザに促すことができる。このようなリマインダ機能は、いつ再試験を行うかを覚えておこうとしたり、利用可能であれば外部のアラームをセットしたりすることからユーザを解放するため、とくに有益である。子供等の監視を必要とするユーザのために、リマインダの作業を実施するための介護者がいない場合でさえも、リマインダ機能は、ユーザに再試験のリマインダを行うことにより、介護者を自動的に支援する。
【0013】
本発明の一態様によれば、上述した警告、緊急警告およびリマインダは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、または発光ダイオード(LED)等を用いて、ユーザへ視覚的に伝達できる。本発明の一態様において、固定セグメント液晶ディスプレイ(LCD)が、望ましい範囲にないときに点滅する数値により検体測定結果を表すGUIとして使用される。これに加えて、あるいはこれに代えて、検体測定結果が上方または下方の中および/または高関心範囲にあることを示す上下矢印アイコンを用いることができる。例えば、レベルが中関心範囲にあるときには固定矢印アイコンを表示することができ、レベルが高関心範囲にあるときには点滅矢印を表示することができる。レベルが中または高関心範囲のいずれにあるかに応じて、異なるアイコンを使用できる。例えば、検体レベルが中関心範囲にあるときに、第1のサイズを有する矢印アイコンを表示でき、レベルが高関心範囲にあるときに、より大型のまたは垂直に変更された矢印アイコンを表示できる。これに代えて、それぞれ検体レベルが望ましい範囲にあるときに、水平の矢印を表示でき、レベルが上方または下方の中関心範囲にあるときに、上向きまたは下向きの矢印を表示でき、レベルが上方または下方の高関心範囲にあるときに、上向きまたは下向きにさらに傾いた矢印を表示できる。これに代えて、現在のレベルが高いか低いかということではなく、行うべき処置の方向性を示すために、上記の矢印とは異なる方向の矢印が使用できる。例えば、高い検体レベルは、ユーザが自分の検体レベルを下げるべきであることを示すために、下方を向いた矢印を表示してもよい。他の態様において、測定値の軌跡より高い、低いおよび測定値の軌跡と一致することをそれぞれ示すために、+、−および=等の記号を使用できる。例えばユーザに警告、緊急警告および/またはリマインダをより柔軟に提供できるように、固定エレメントディスプレイの使用に代えて、またはこれと組み合わせて、ドットマトリックスディスプレイを使用してもよい。特定の警告、緊急警告および/またはリマインダについての情報をユーザに提供するために、アイコンを伴ってまたはアイコンなしで、およびユーザへのフィードバックを伴ってまたはフィードバックなしで、テキストが表示されてもよい。例えば、試験結果が関心範囲内に入った後、1または複数の処置方針を提案し、および/または所定期間の後に、ユーザが再試験を行うべきであること示す、結果の重要性を説明するテキストを表示してもよい。このような期間が経過した後、さらなる試験を行うための指示を含む、テキストメッセージをさらに表示してもよい。テキストメッセージのうちのいくつかは、ダウンロードされてもよく、さもなくば医療提供者からの処方の一部として作動されてもよい。
【0014】
計測器のサイズおよび/またはコストを低減させるために、1または複数のLEDが警告、緊急警告またはリマインダをユーザへ伝達するために使用されてもよい。例えば、検体測定結果が望ましい範囲にないとき、単一のLEDを発光できる。中関心範囲にある場合、LEDは点灯することができ、高関心範囲にある場合に点滅する。1または複数のLEDにおける異なる色は、異なる範囲を示すことができる。例えば、緑色は検体レベルが望ましい範囲にあることを示すことができ、黄色はレベルが中関心範囲にあることを示すことができ、赤色はレベルが高関心範囲にあることを示すことができる。値が高いか低いか(あるいはユーザの検体レベルが引き上げられるかまたは引き下げられるべきか)を示すために、2つのLEDを使用できる。例えば、検体レベルが望ましい範囲より低いことを示す第1のLED、望ましい範囲のレベルにあることを示す第2のLED、および望ましい範囲より大きいレベルにあることを示す第3のLEDを有する、3つのLEDを使用できる。検体レベルが下方の高関心範囲、下方の中関心範囲、上方の中関心範囲および上方の高関心範囲にあることをそれぞれ示す4つのLEDを使用できる。望ましい範囲にあるレベルを示すための第5のLEDを加えることができる。
【0015】
警告、緊急警告およびリマインダの視覚的インジケータに加えて、あるいはこれに代えて、本発明の一態様による血糖計は、音声または物理的なフィードバックを組み込むことができる。糖尿病は人間の視力に悪影響を及ぼす可能性があるため、このような方式のユーザインタフェースが必要となる可能性がある。本発明の一態様において、測定器は、検体測定値が望ましい範囲から外れたことを示す可聴音を発することができる。測定値が望ましい範囲を超えたことを示すために高音を使用でき、測定値が望ましい範囲より低いことを示すために低音を使用することができる。測定値が高関心範囲にあることを示すために、パルス音または断続音を使用できる。検体測定値がいずれの範囲にあるかを示すために、パルス数の変化および他の変化を使用することができる。同様に、警告、緊急警告およびリマインダをユーザに示すための様々な変化を用いて、携帯電話に使用されているような振動による合図を使用できる。
【0016】
本発明の一態様によれば、上述した警告、緊急警告およびリマインダは、製造時における初期設定パラメータにより設定することができ、および/またはHCP(医者または認定された糖尿病の専門家等の医療専門家)により、ユーザのために処方された値に対応するレベルとなるように設定可能とされてもよく、および/またはユーザが設定可能であってもよい。本発明の一態様において、望ましい検体範囲から外れた試験の後に、プリセットまたは設定されてもよい所定期間の後の再試験を、自動的にユーザに思い出させるように設定された計測器が提供される。計測器は、ユーザまたは医療専門家がこの機能を無効にできるように構成されてもよい。他の態様において、計測器は箱から出した状態でこのようなリマインダ機能が無効にされているが、ユーザまたは医療専門家がリマインダ機能を有効とし、および/または設定パラメータをセットできるように用意されている。内在する検体測定結果が中関心範囲か高関心範囲にあるかに応じて、異なるリマインダパラメータが可能な計測器が提供できる。一態様において、医療機器は、第1の音声信号により、試験結果が中関心範囲内となった後の第1の時間(例えば約30分)の再試験を行うことをユーザに思い出させ、第2の音声信号により、試験結果が高関心範囲内となった後の第2の時間(例えば約15分)の再試験を行うことをユーザに思い出させる。ある態様において、第2の音声信号は第1の音声信号よりも音量が大きく、継続時間が長く、第2の時間は第1の時間よりも短くてもよい。この態様において、第2の音声信号は、振動による合図を伴うこともできる。この態様またはこれに代わる態様において、第1および/または第2の信号は、ボタンを押すことまたは実際の試験を行うこと等によりユーザにより認識されない場合に、継続するまたは繰り返すことができる。リマインダのパラメータは、検体測定値が望ましい範囲よりも大きいか小さいかに基づいて異なるものとすることもでき、および/または検体測定結果の実際の値に応じて変更することができる。各リマインダ(警告または緊急警告)の設定は、検体値、リマインダする時間、リマインダのタイプ(例えば、視覚、音声、振動またはこれらの組み合わせ)、リマインダの継続性(例えば1回、1分に1回をn回、または認識されるまで1分に1回)、および継続するリマインダが繰り返される回数(n)を含むが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の一態様によれば、医療機器は、警告、緊急警告およびリマインダの設定、または例えばHCPもしくは介護者等の監視する役割を有する人物のような認証された人物により設定可能かつロック可能な他の医療情報を有することができる。例えばHCPまたは介護者等の認証された人物によりアクセスコードが入力されるまで、情報がロックされてもよい。このような構成により、HCPの介護下にある人が処方を変更したり、例えば子供のように介護者による監視を受ける人が設定値を変更したりすることを防止できる。これにより、設定値への意図的なまたは意図的でない変更を防止できる。またこれにより、例えば不適切な食事のように検体レベルに影響を与える可能性がある行動を行いたい場合等に、警告、緊急警告およびリマインダを無視することを防止できる。他の態様によれば、設定値は、医療機器が情報をアップロード/ダウンロードするためにコンピュータと接続された場合のように、医療機器のデータポートを介して設定されてもよい。ある態様において、医療機器は、例えばHCPおよび/または介護者等の限定された数の人物のみが、データポートを介して設定値をセットしたりロックしたりできるように構成されてもよい。
【0018】
本明細書に記載された本発明のアプリケーションは、血糖値監視および/またはインスリン注入に限定されない。例えば、検体は間質液等の他の物質において監視されてもよい。さらに、体液のサンプルにおける乳酸塩、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えばCK−MB)、クレアチン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルタミン、成長ホルモン、ヘマトクリット、ヘモグロビン(例えばHbAlc)、ホルモン、ケトン、酸素、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、およびトロポニン等の、グルコース以外の他の検体を監視してもよい。計測器は、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシン等)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、ワルファリン等の薬物の濃度を決定するために構成されてもよい。このような検体は、血液、間質液、唾液、尿および他の体液において監視されてもよい。本明細書に記載されるものよりも、より少ないあるいはさらなる検体測定範囲が使用できることに留意されるべきである。これは、範囲を全く使用しないが、特定の検体測定結果のために、警告、緊急警告、リマインダまたは他の指示をユーザに行うべきか、またはどのようなタイプの指示を行うかを決定するための、例えば絶対値、式、ルックアップテーブルまたは当業者に知られた同様の概念を代わりに使用することを含む。
【0019】
各図面は本発明の態様を図式的に示す。
【0020】
図面に示す本発明の変形は考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態により構成された、血糖計システム等の検体監視システムの典型的な実施形態を示す平面図
【図2】インスリン送達システムの典型的な実施形態のブロック図
【図3】図2に示す送達機器に組み込まれたインスリン治療管理システムの典型的実施形態を示すブロック図
【図4】そのうちの1つが図1のシステムに表示される、各種警告およびアラーム表示の詳細な例を示す図
【図5】ユーザのグルコースレベルが一日のある期間の中でどのように変化するかを示すグラフ
【図6】リマインダ(警告または緊急警告)の結果として生じているものを含む試験ポイントが追加された、ユーザのグルコースレベルが一日のある期間の中でどのように変化するかを示す図5に示すグラフ
【図7A】制限されたユーザ制御を有する医療機器の典型的な実施形態を示す図
【図7B】制限されたユーザ制御を有する医療機器の典型的な実施形態を示す図
【図8】データ管理システムの典型的な実施形態に接続された、図7Bに示す医療機器を示す図
【図9】図8に示すデータ管理システムにおいて実行される可能性があるプリケーションソフトウェアの典型的な実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の1つの変形例を重点的に説明する。本発明はこの変形例に限定されない。本発明は、ここに述べる1または複数の変形例に限定されるものではなく、種々変更してもよいことがもちろんであることは理解されよう。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、説明される発明に変更を加えてもよく、(公知のおよび将来開発される)等価物と代用してもよい。さらに、特定の状況、材料、合成物、処理、目的物に対する処理作用または処理ステップ、もしくは本発明の精神および範囲に適合するように、改良を加えてもよい。
【0023】
図1は、この特定の実施形態により構成された、例えば血糖計システム等の典型的な検体医療システム10を示す平面図である。検体医療機器10は、電気化学的または光学的システムであってもよい。システム10は、携帯計測器12および使い捨て可能な試験紙14を含む。試験紙14は、計測器12と物理的および電気的に接続するために計測器12の試験紙ポート16に挿入され、取り外されることができる。計測器12は、計測器のユーザに情報を表示するためのLCDディスプレイ18、およびユーザからの入力を受け付けるボタン20,22,24を含む。
【0024】
通常、計測器12を用いて血糖値の測定を行うために、ユーザは新しい試験紙14を計測器12のポート16に挿入する。試験紙を計測器に挿入する前か後に、ユーザは血液26の滴を皮膚の表面に流させるために、指先または他の体の部分(すなわち別の場所場所)を切開する。サンプルチャンバ28の1つが血液26の滴に接触するように、計測器および試験紙が血液26の滴の上に配置される。この特定の例はサイドフィル試験紙の使用を教示するが、エンドフィル、トップフィルまたは他のタイプの試験紙が使用可能であることに留意すべきである。さらに、検体試験は試験紙を全く使う必要がない。例えば、ある試験計測器は、個々の試験紙の測定よりむしろ多重測定を行うための回転式試験ホイールを使用してもよい。本実施形態において、表面張力(吸上作用)が、少量の血液26をサンプルチャンバに自動的に引き込み、血液26におけるグルコース濃度を決定するために計測器12により電気化学試験が自動的に実行される。その後、グルコースレベル30が計測器12に表示される。上述したように、主題発明は、連続的な検体監視システム、および薬物注入機器にも適用できる。
【0025】
本発明は、例えばインスリン注入システムのような薬物収入システム等の、薬剤をユーザに注入するための注入システムとともに使用してもよい。このような注入システムは、完全に埋め込むことができるシステム、または外部のシステムであってもよい。一般的に外部の注入機器は、薬剤の選択投与量を注入するために、患者の皮膚を経皮的に通って配置されるカニューレを含む注入セットと接続されている。例えば、一般的に外部のインスリン注入機器は、注入機器のプログラムされた基礎レート、または患者のHCPにより処方された注入レートに基づいて、インスリンの選択投与量を注入するために、患者の皮膚を経皮的に通って配置されるカニューレを含む注入セットと接続されている。ユーザは、食事の前に注入機器を装着し、動作させている課程の間、例えば食事の前の炭水化物のボーラス投与の管理を目的として、追加のインスリンの投与を管理するために、インスリンポンプ機器を制御できてもよい。特定の注入機器は、例えばボーラス量を算出するために必要とされるインスリン投与のレベルを患者が良好に推定できるように、炭水化物量と関連づけられた食物データベースを有するものであってもよい。
【0026】
図2は本発明に使用されるインスリン送達の典型的な例を示すブロック図である。一実施形態におけるインスリン送達システム620は、メモリユニット740、入力ユニット720、ディスプレイユニット730、出力ユニット760および流体送達ユニット750と動作可能に接続されたプロセッサ710を備える。一実施形態において、プロセッサ710は、インスリン送達機器620の各種構成部品のそれぞれを制御および/またはそれぞれにアクセスすることにより、インスリン送達機器620の機能を制御するため、および制御可能なように構成された、マイクロプロセッサを含む。一実施形態において、安全な測定を行うため、および単一のプロセッサの故障の場合における代替機能を提供するために、多重プロセッサが使用されてもよい。さらに、ポンプ機能および/または制御がより速くかつより正確に実行されるように、インスリン送達機器620内の多重プロセッサユニット間において、処理能力が共有されてもよい。
【0027】
プロセッサ710と動作可能に接続された入力ユニット720は、入力されたコマンドをインスリン送達機器620に提供するために、ジョグダイヤル、キーパッドボタン、タッチパッドスクリーン、あるいは他の適切な入力機構を有していてもよい。とくに詳細には、ジョグダイヤル入力機器の場合、または例えばタッチパッドスクリーンの場合、インスリン送達機器620の患者またはユーザは、データ入力および出力ユニットの双方として機能するディスプレイユニット730と連動するジョグダイヤルまたはタッチパネルをそれぞれ操作してもよい。ディスプレイユニット730は、インスリン送達機器620の1または複数のあらかじめ規定された状態に関連したアイコン等の絵で表した情報、あるいはインスリン注入レート、一定期間に亘って監視されたグルコースレベルの傾向データ、または患者へのテキスト通知に関連した傾向表およびグラフ等のデータの図式的な表示と同様に、英数字のデータを表示するように構成された、インスリン送達機器620用のタッチ感知式のスクリーン、LCDスクリーンまたは他の任意のタイプの適切なディスプレイユニットを備えていてもよい。
【0028】
プロセッサ710と動作可能に接続された出力ユニット760は、1または複数のトーンおよび/またはあらかじめプログラムされたもしくはプログラム可能な楽曲またはオーディオクリップを含む音声アラーム、あるいは1または複数のあらかじめプログラムされたもしくはプログラム可能な複数の振動警告レベルを備えた振動警告機能を有していてもよい。一実施形態において、振動警告は、注入管に空気または他の望ましくない物質が入る可能性を最小限するために、注入管の準備を支援してもよい。プロセッサ710に動作可能に接続され、インスリン送達機器620において、患者の皮膚下に皮下配置されたカニューレに接続された注入セットを介して、インスリンリザーバまたは送達されるインスリン用の他の任意のタイプの適切な容器(不図示)から、インスリン投与または量を患者に送達するよう構成された流体送達ユニット750も示される。
【0029】
メモリユニット740は、プロセッサ710によるアクセス用の、およびインスリン送達機器620を制御するため、および/または例えば検体監視システム610、リモート端末640(HCPまたは介護者)、患者630または他の任意のデータ入力源(例えば図3参照)から受け取ったデータに基づいてデータ処理を行うための実行用のプログラム指示と同様に、データを格納するように構成された、1または複数のランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、あるいは任意の他のタイプのデータ格納ユニットを含んでもよい。
【0030】
図3は、インスリン注入機器および検体監視システムを含む、インスリン治療管理システム600を示すブロック図である。インスリン治療管理システム600は、インスリン送達機器620と動作可能に接続される、リモート端末640と交互に動作可能に接続されてもよい、検体監視システム610を備える。一実施形態において、検体監視システム610は、患者の検体レベルを監視または測定するように、患者630と接続される。さらに、インスリン送達機器620は、例えば注入セット、および例えばインスリン等の薬物を患者に注入するように患者の皮膚を通って皮下配置されたカニューレ(不図示)に接続されたチューブを用いて患者と接続される。
【0031】
一実施形態において、検体監視システム610は、少なくとも検体センサの一部分が、患者の検体と流体的に接触された状態が維持されるように、皮下に配置された1または複数の検体センサを有していてもよい。検体センサは、短期の皮下検体センサ、または例えば患者の検体レベルを所定期間に亘って検知し、その後センサの交換が必要となるように構成された経皮的検体センサを含むが、これに限定されるものではない。
【0032】
検体監視システム610の1または複数の検体センサは、患者の検出された検体レベルに対応する検体センサのそれぞれから1または複数の信号を受信し、検出された検体レベルに対応する情報を受信機器および/またはインスリン送達機器620に送信するよう構成された、1または複数のデータ送信器ユニットにそれぞれ接続される。すなわち、通信リンク上では、送信器ユニットは、検出された検体レベルに関連するデータを、さらなるデータ処理および解析のために、インスリン送達機器および/またはリモート端末640等の1または複数の他の機器に、定期的および/または断続的に、並びに繰り返し送信する。一実施形態における検体監視システム610の送信器ユニットは、患者630のグルコースレベル等の検体レベルをリアルタイムで監視可能なように、検体関連データを、対応する検体センサから受信した後、インスリン送達機器620および/またはリモート端末640に、ほぼリアルタイムで送信するよう構成される。
【0033】
検体監視システム610の送信器ユニットは、1または複数のリモート端末640またはインスリン送達機器620と直接通信するように構成されてもよい。さらに、本発明の範囲において、インスリン治療管理システム600と通信するための、追加の受信器/データ処理ユニット、リモート端末(例えばHCP端末および/または病院の環境におけるベッド横の端末等)を含む、追加の機器が提供されてもよい。
【0034】
一実施形態において、インスリン送達機器620は、外部のインスリンポンプ等の外部の注入機器、埋め込み可能なポンプ、ペンタイプのインスリン注射器、パッチポンプ、経鼻インスリン送達用の吸入可能な注入機器、または他のあらゆるタイプの適切な送達システムを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
一実施形態において、検体監視システム610は、毛管血糖値試験用の試験紙を受容するよう構成された試験紙ポートを含む。一実施形態において、試験紙を用いて測定されたグルコースレベルは、検体センサにより検出された検体レベルを確実に正確なものとし、かつ確実に向上させるために、検体監視システム610における検体センサの定期的な較正を行うために使用されてもよい。
【0036】
本発明に適用してもよい典型的な体外および体内検体監視システムおよび薬物注入システムは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,175,752号明細書、同第6,329,161号、同第6,284,478号、同第6,916,159号、同第7,041,468号、同第7,077,328号の各明細書、および米国特許出願第11/383,945号、同第11/365,168号、同第11/386,915号、同第11/396,181号、同第11/396,182号の各明細書等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明の実施形態によれば、警告および/または緊急警告32も、例えば現在の測定結果が望ましいグルコース範囲等の所定範囲内にあるか否か、上方または下方の中関心範囲にあるか否か、あるいは上方または下方の高関心範囲にあるか否かを示すディスプレイ18に表示することができる。
【0038】
ここで図4を参照すると、警告および緊急警告のさらなる表示32の例が示されている。急角度の下向き矢印34(例えば約−60〜約−90度)は、グルコース測定値が、例えば50mg/dL未満のような下方の高関心範囲にあることを示すために使用できる。中程度の下向き矢印36(例えば約−30〜約−45度)は、グルコース測定値が、例えば50mg/dLから75mg/dLのような下方の中関心範囲にあることを示すために使用できる。水平の矢印38(例えば約0度)は、グルコース測定値が、例えば75mg/dLから175mg/dLのような望ましい範囲にあることを示すために使用できる。中程度の上向き矢印40(例えば約30〜約45度)は、グルコース測定値が、例えば175mg/dLから250mg/dLのような上方の中関心範囲にあることを示すために使用できる。最後に、急角度の上向き矢印42(例えば約60〜約90度)は、グルコース測定値が、例えば250mg/dLを超えるような上方の高関心範囲にあることを示すために使用できる。上述したように、様々な他の視覚的要素および/または音声または物理的インジケータが、ユーザに警告または緊急警告を行うために使用できる。
【0039】
ここで図5を参照すると、あるユーザ用の血糖値の例が示されている。カーブ100は、一日のある期間の中でそのユーザの血糖値がどのように変化するかを示す。この例において、そのユーザ用の望ましい範囲は、参照番号110が付与され、破線112および114により境界が示される約75mg/dLから約175mg/dLである。中関心範囲は、約50mg/dLから約75mg/dL(破線112および118により境界が示される下方警告ゾーン116)、および約175mg/dLから約250mg/dLである(破線114および122により境界が示される上方警告ゾーン120)。高関心範囲は、約50mg/dLより小さく(破線118より下方の下方緊急警告ゾーン124)、および約250mg/dLより大きい(破線122より上方の上方緊急警告ゾーン126)。
【0040】
図5において、グルコース値(100)は約150mg/dLから始まり、約195mg/dL(101)に上昇し、約155mg/dL(102)に下降し、約270mg/dL(103)に上昇し、約60mg/dL(104)に下降し、約90mg/dL(105)に上昇し、約40mg/dL(106)に下降し、約100mg/dLで終わる。
【0041】
図6は図5と同様の血糖値100を示すが、リマインダ(警告および/または緊急警告および/またはリマインダ)の結果として行われたものを含む、ユーザにより行われた試験が追加されている。例えば、軽い食事(軽食)の後、ユーザは、上方警告ゾーンに入る193mg/dL(201)の測定値となる試験を行う。この測定値により、計測器12は、例えばディスプレイの点滅、ビープ音等により、ユーザのグルコースが上述したような上方の中関心レベルにあることをユーザに知らせる警告を発してもよい。計測器は、測定値が上側警告ゾーンにあると決定したほぼ直後に、または後述するようにその後のあるときに、ユーザに警告を行ってもよい。測定値が警告ゾーン(または本明細書に記載されたような他の関心ゾーン)となってすぐにユーザに知らされているか否かにかかわらず、計測器は、測定値が重要なゾーン(緊急警告ゾーンまたは警告ゾーン)となってから所定時間経過した後に、再試験を実施させることをユーザに思い出させるように構成されてもよい。例えば、上述した計測器測定値が上方警告ゾーンとなった後、例えば約5分、約10分、約20分、約30分等の所定時間後に試験を実施させるよう、計測器リマインダがユーザに知らせてもよく、試験が実施されるまで、またはユーザによりリマインダがクリアされるまで、定期的にユーザに思い出させるようにしてもよい。例えば、ユーザは、適度の治療により測定値および警告(警告されている場合)に対応してもよく、暫くした後(約30分)、リマインダは、望ましいゾーン(110)に入る160mg/dL(202)の測定値となる試験を行うようにユーザを促す。
【0042】
その後の分量の多い食事の後、ユーザは上方緊急警告ゾーン(126)に入る268mg/dLの測定値となる試験を行う。この測定値により、計測器12は、ユーザのグルコースが上方の高関心レベルにあることをユーザに知らせる緊急警告を発する。ユーザは適切な治療により測定値に対応し、暫くした後(例えば20分)、リマインダは、上方警告ゾーン(120)に入る232mg/dL(204)の測定値となる試験を行うようにユーザを促す。この測定値により、計測器12は、ユーザのグルコースが上方の中関心レベルにあることをユーザに知らせる警告を発する。ユーザは、前回の治療が適切であったことに注目する可能性があり、暫くした後(約30分)、リマインダは、望ましいゾーン(110)に入る156mg/dL(205)の測定値となる試験を再度行うようにユーザを促し、前回の治療が適切であったことを確認する。
【0043】
さらにその後の食事を取らないで運動した後、ユーザはわずかに症状を感じ、下方警告ゾーン(116)に入る61mg/dL(206)の測定値となる試験を行う。この測定値により、計測器12は、ユーザのグルコースが下方の中関心レベルにあることをユーザに知らせる警告を発する。ユーザは、軽い食事(軽食)を取ることにより対応し、暫くした後(例えば25分)、リマインダは、望ましいゾーン(110)に入る81mg/dL(207)の測定値となる試験を行うようにユーザを促す。
【0044】
その後なおもユーザは症状を感じ、下方緊急警告ゾーン(124)に入る41mg/dL(208)の測定値となる試験を行う。この測定値により、計測器12は、ユーザのグルコースが下方の高関心レベルにあることをユーザに知らせる緊急警告を発する。ユーザは、適量の食事を食べることにより対応し、暫くした後(例えば15分)、リマインダは、下方警告ゾーン(106)に入る63mg/dL(209)の測定値となる試験を行うようにユーザを促す。この測定値により、計測器12は、ユーザのグルコースが下方の中関心レベルにあることをユーザに知らせる警告を発する。ユーザは、前回の治療(食事)が適切であったことに注目する可能性があり、少量の食事(軽食)を取り、再度暫くした後(約25分)、リマインダは、望ましいゾーン(110)に入る99mg/dL(210)の測定値となる試験を行うようにユーザを促し、前回の治療が適切であったことを確認する。
【0045】
この例において、血糖値の変更を引き起こすために、ユーザにより知られているイベントに基づいて、またはユーザにより経験された症状に基づいて、試験201,203,206,208がユーザにより開始されたことに留意すべきである。さらに重要なことであるが、本発明の実施形態による構成された計測器により、ユーザは試験202,204,205,207,209,210を実施するよう促された。これらの催促、もしくは指定時刻に発せられるリマインダは、ユーザが時機を得た方法により適切な試験を行うことを支援する。換言すれば、これらの試験は、ユーザの短期的および長期的な健康を維持するために、ユーザのグルコースレベルを望ましいゾーン110に保持するという、ユーザの重要な目的の手助けをする。
【0046】
実施形態は、人物制限(例えばユーザ制限)を含む、監督者が制御可能な医療機器をも含む。医療機器の設定は、監督者(例えばHCP、親または保護者、介護者等)により、例えば遠隔操作または直接操作により(例えば機器のユーザインタフェース等を用いて)、セット可能および/またはロック可能とされてもよい。例えば、医療機器のある設定は、第1のアクセスレベル(例えば完全な読み込み/書き込み許可等のフルアクセス)を持つ第1の人物(例えばHCP)により、セット可能および/またはロック可能とされてもよく、ある構成は、第2のアクセスレベル(例えば限定的な読み込み/書き込み許可)を持つ第2の人物(例えば介護者)により、セット可能および/またはロック可能とされてもよい。医療機器は、第3のアクセスレベル(例えば、さらに制限された、詳しくは以前に入力されたデータを変更する権利を含まない、読み出しのみ)を持つ第3の人物(例えば第1および第2の人物の監督下にあるユーザ)により、セット可能および/またはロック可能とされてもよい。任意の数の人物が、医療機器に対する特定のもしくは制限されたアクセス権を持っていてもよい。例えば、特定の実施形態は、HCPによりセット可能および/またはロック可能な特定の設定、および介護者によりセット可能および/またはロック可能な特定の他の特徴を有する医療機器を含む。ユーザは、HCPおよび/または介護者によりセットされた設定を修正することを完全に制限されてもよい。
【0047】
特定の個人、医療機器、コンピュータ、または個人のグループのアクセス許可を可能にするために、設定は、アクセスコード(例えば保護されたパスワード、音声認識、保護されたUSBトークン、またはユーザを認証する他の方法)を用いることにより、アクセス制御されてもよい。許可がセットされている場合、個人、コンピュータまたはグループに与えられたアクセスのタイプおよびレベルが与えられる。例えば、読み書きおよびビュー等の様々な許可の程度は、上述した異なる人物に対して与えられてもよい。
【0048】
異なるコードは、異なる権利を提供してもよい。例えば、HCPコードにより、HCPは処方情報を入力すること、および/または格納された処方(Rx)情報の削除および/または変更が可能になる。なお、処方情報は、HCPにより処方された広義の関連情報である。処方情報は、患者固有のデータを含むものであってもよく、1または複数の基礎レート、インスリンの望ましい検体範囲、警告および緊急警告しきい値、薬剤の種類(例えばインスリンの種類)、一日の総容量を含む薬剤投与量(例えばインスリンの一日の投与量)、薬物過敏性(例えばインスリン過敏性)、薬剤の摂取時間、薬剤の摂取方法、病気の治療時間、病気の治療方法、HCPまたは介護者に対して関心を高める時間、リマインダスキーム(リマインダの設定時間)等を含むものであってもよいが、これに限定されるものではない。上記のものは、例えば糖尿病の治療用としては完全なリストではなく、情報はインスリン/炭水化物情報および他の関連する情報を含むものであってもよい。この方法において、医療機器は、そのうちのいくつかは医療機器における値または設定に関連しない可能性があるが、参照の目的にのみ(例えばPDA等に普通に表示されるようなテキストノートとして)利用可能とされる、ユーザ固有の処方情報を含むよう、HCPによりカスタマイズされてもよい。医療機器は、介護者および/またはユーザ等の他人のためのアクセスレベルも設定する可能性がある、HCPによりロック可能とされてもよい。この方法において、HCP(または他の指定された個人)は、粒度の細かいレベルにおいてアクセス制御する能力を有し、個人対個人ベースでアクセスレベルを設定する「管理者」としての役目を果たしてもよい。
【0049】
HCPが提供した設定に加えてまたはこれに代えて、介護者が医療機器の設定を入力および/またはロックしてもよい。多くの実施形態において、介護者の制御下にある設定の少なくともいくつかは、本質的に上述したように処方されるHCP制御用に用意された設定と少なくとも一部において異なる。介護者アクセスにより、介護者は介護者情報を入力すること、および/または格納された介護者情報を削除および/または変更することが可能とされてもよい。介護者情報は、例えば非処方の緊急警告値等のHCPにより以前にセットおよびロックされなかった任意の値またはユーザ制限をセットおよびロックする能力、ユーザメニューアクセス、並びにデータ転送(例えばPCへのアップロード)および格納オプション(例えば各種データの読み出しのみ、読み出し−書き込みアクセス)等の他のユーザ特典を含むが、これに限定されるものではない。例えば、HCPは、値および許可されるオプション(例えばロックメニュー)をセットおよびロックしてもよい。HCPにより許可される介護者アクセスは、HCPがロックしなかったものをセットおよびロックすることができる。介護者アクセスは、ユーザが各種機能(例えば緊急警告しきい値、リマインダ時間値、または適切に判断されない場合は混乱するおそれがある情報を示すアクセスメニュー等の正確な値の設定)の繊細さおよび複雑さを理解および認識し始めるにつれて、長時間の増大されたアクセスをユーザに提供すること等のユーザ機能を、ロックおよび/またはアンロックする能力を介護者に提供してもよい。同様に、ユーザは、介護者(およびHCP)により許可されたものにアクセスすることができてもよく、ロックされていないものを設定できるようにしてもよい。
【0050】
設定は、例えばユーザインタフェースを使用してデータを直接医療機器に入力することによりセットおよび/またはロックされてもよく、例えばネットワーク接続されたコンピュータシステムを介して間接的に遠隔操作で行われてもよい。なお、ネットワークは、例えば、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、またはワールドワイドウェブ(ウェブ)のようなグローバルコンピュータネットワーク等の、任意の単一または双方向の通信回線を表す。したがって、実施形態は、与えられた人の許可レベルに応じて、制限可能なアクセス、および/または情報の操作および/または共有を人に許容する、ウェブベースのデータ管理システムを含む。各HCPおよび/または介護者および/または医療機器ユーザは、ネットワークを介してデータ管理システムにアクセスするのに適したコンピュータ機器を用いて交信してもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話等の電話、携帯情報端末(PDA)等が使用されてもよい。データ管理システムと通信するために、通信デバイスは、一般的に通信ソフト、典型的にはワシントン州エドモンドのマイクロソフト社製インターネットエクスプローラー(登録商標)等のウェブブラウザを実行する。
【0051】
例えばHCP、介護者またはユーザにより設定が一度セットされれば、格納された情報は、例えばグルコース監視等の医療管理の実行の際に、医療機器により使用されてもよい。格納された情報は、音声方式および/または視覚および/または触覚方式によりユーザへ伝達されてもよい。例えば、HCPにより入力された処方情報は、医療機器のディスプレイに、例えばアイコン(例えばメモとしての(表示されたPDFノートと同様の)「Rx」アイコン等)として視覚的に表示されてもよく、音声方式または触覚方式であってもよい。
【0052】
図7Aは、例えば制限された介護者およびユーザ制御等の制限された制御を有する医療機器300の、階層許可スキームの実施形態を示す図である。ユーザインタフェースの最も重要な設定および部分(例えば値を設定し、メニューアイテムを起動させる能力)は、HCPにより設定されてもよい。HCPにより処方されなければならない値は、破線310により境界が示されるHCPのみの部分にある。HCPにより処方された追加の値は、実線330により境界が示されるHCP設定領域320に含まれる。例えば、HCPは、様々なオプションおよびメニュー(例えば、データ転送および格納パラメータ)へのアクセスを制限してもよく、例えば高関心用の下方しきい値および関連する緊急警告パラメータ等の各種値をセットおよびロックしてもよい。介護者(例えば親)は、実線350により境界が示される介護者設定領域340により、追加の制限をセットしてもよい。例えば、介護者は、以前にアンロックされた高関心用の上方しきい値および関連する緊急警告パラメータをセットおよびロックしてもよく、他のしきい値用の好ましい値および関連する緊急警告パラメータを、これらの値をロックすることなくセットしてもよい(すなわちユーザが後でこれらの値をアップデートしてもよい)。最終的に、医療機器のユーザは、ユーザインタフェースのユーザ領域370に含まれる常時許可されるユーザインタフェースの部分とともに、実線360により境界が示されるユーザインタフェースの、ユーザ許可部分にアクセスを許可される。
【0053】
図7Bは図7Aの医療機器300を含むが、この実施形態においては、介護者用の領域がなく、ユーザ領域370はHCP設定領域320においてHCPにより制限されないユーザインタフェースのすべての領域を含む。
【0054】
図8は、データ管理システム(DMS)400と、有線または無線であってもよい接続部410を介して接続された医療機器300を示す図である。DMS400は、1つのみを示す複数の医療機器とインタフェース接続してもよく、それぞれが同一または異なるタイプ(例えば検体計測器(血糖値計測器等)、連続的な検体モニタ(連続的なグルコース監視等)、薬物注入ポンプ(インスリンポンプ等)であってもよい。
【0055】
図9は、DMS400上で実行されるアプリケーションソフトウェア(SW)を示す図であり、DMSアプリケーションSW500が医療機器(不図示)と接続部410を介してインタフェース接続されている。SW500は、コンピュータの読取り可能な記録媒体上で具体化されてもよい。DMSアプリケーションSW500は、HCPアプリケーションSW510、介護者アプリケーションSW520、およびユーザアプリケーションSW530ともそれぞれSW接続部540,550,560を介してインタフェース接続される。HCP、介護者およびユーザアプリケーションSWモジュールのそれぞれは、例えばPCコンピュータにおいて一般的に見られるGUI等のより完全なユーザインタフェースを許容する一方で、医療機器においてそれらに対して直接セットされた同一の制限ユーザ制御(例えば特典および制限)を有する。GUI(例えばアドバンストデータ描画機能)を介してDMS400においてのみ利用可能な追加の機能は、医療機器用に記載されたように、同様の制限ユーザ制御の対象となってもよい。
【0056】
本発明に関連する補足的な詳細として、関連する技術分野における当業者のレベル内において、材料および製造技術を採用し得る。一般的にまたは論理的に採用される補足的な作用の点において、本発明の方法を基本とする態様に関しても同様であってもよい。また、発明の変形に関しての任意の特徴は、ここに記載された1または複数のあらゆる特徴を独立して、あるいは組み合わせて記述され、かつクレームされてもよいことが考慮される。同様に、単一アイテムの引用は、多数の同様のアイテムが存在する可能性があることを含んでもよい。さらに詳細には、本明細書および以下のクレームにおいて使用されているように、「1つの」、「および」、「前記」および「その」の単一の形式は、その内容が明らかに他のものを示さない場合、複数の対象を含む。クレームは、あらゆる任意の構成要素を除外するために記載されてもよいことが、さらに留意される。したがって、本明細書は、クレーム要素の記載または「否定的な」限定の使用に関連して、「単独で」、「のみ」等の排他的専門用語を使用するための先行詞としての役目を果たすことが意図されている。別の方法で本明細書に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学的表現は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本発明の範囲は、主明細書により制限されるものではないが、むしろ使用されるクレームの用語の単純な意味によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0057】
10 検体医療システム
12 計測器
14 試験紙
16 試験紙ポート
18 LCDディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
グルコース監視システム、
インスリンポンプ、および
前記グルコース監視システム、前記インスリンポンプ、または前記グルコース監視システムおよび前記ポンプの双方に接続可能なデータ管理システムであって、医療専門家、介護者およびユーザが、前記グルコース監視システム、前記ポンプ、または前記グルコース監視システムおよび前記ポンプの双方におけるデータを入力および変更するための互いに異なる許可権を有することができるようにする許可階層を有するデータ管理システム、
を備えたことを特徴とする医療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−106001(P2012−106001A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3988(P2012−3988)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2009−535399(P2009−535399)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
【Fターム(参考)】