説明

注出口付き包装袋

【課題】誤って注出口が開封されにくい注出口付き包装袋を提供する。
【解決手段】包装袋の上側の隅部に注出口14の流路となる未シール部15が設けられた包装袋10であって、注出口14を含む2枚のフィルム11,11には、未シール部15を横断するように設けられたハーフカット線からなる開封案内線18が設けられ、開封案内線18の開封開始側の端部が、未シール部15の上方のシール部内に設けられ、開封案内線18の開封終了側の端部が、包装袋10の側端から0.5〜2.0mmの範囲内に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口の流路となる未シール部が包装袋の上側の隅部に設けられた注出口付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
注出口が設けられた包装袋は、例えば詰め替え用の内容物を収納する包装袋(パウチ)において、内容物の注ぎ出しを容易にするため、広く用いられている。
また、この種のパウチの注出口部には、易開封性手段として、ノッチとレーザー光照射によるハーフカット線とを組み合わせて設けられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−273338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、易開封性手段により注出口の開封は容易に行えるものの、パウチの梱包や流通時に、ハーフカット線がダメージを受けて誤って注出口が開封されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、誤って注出口が開封されにくい注出口付き包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装袋の上側の隅部に注出口の流路となる未シール部が設けられた包装袋であって、前記注出口を含む2枚のフィルムには、前記未シール部を横断するように設けられたハーフカット線からなる開封案内線が設けられ、前記開封案内線の開封開始側の端部が、前記未シール部の上方のシール部内に設けられ、前記開封案内線の開封終了側の端部が、前記包装袋の側端から0.5〜2.0mmの範囲内に位置することを特徴とする注出口付き包装袋を提供する。
前記未シール部の上方のシール部には、開封を開始するための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記包装袋の上辺から流路へ向けて開始され、流路近傍で方向を変えて前記流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線の開封開始側の端部に向けて延設された平面形状を有する切り抜き線が設けられていることが好ましい。
前記開封案内線の開封終了側の端部が、前記未シール部の側方のシール部内に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、注出口付き包装袋の注出口が誤って開封されにくくなり、梱包や流通時の取り扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の注出口付き包装袋の一形態例を示す平面図である。
【図2】図1に示す注出口付き包装袋の注出口付近を示す部分拡大平面図である。
【図3】比較例の注出口付き包装袋の注出口付近を示す部分拡大平面図である。
【図4】ハーフカット線の引裂強度を測定する方法の一例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1および図2に示すように、本形態例の包装袋10は、互いに平面形状が同一である2枚の胴部フィルム11,11と、折り線12aを中心線にして2つ折りにされた底部フィルム12とから構成されたスタンディングパウチである。図1に示すように、底部フィルム12は、折り線12aが内向きとなるように折り重ねられて一対の胴部フィルム11,11の下部同士の間に介装されている。
包装袋10は、左右両側の側端に沿ってそれぞれ側端シール部11a,11bが形成されているとともに、包装袋10の下部には、各胴部フィルム11,11と底部フィルム12とが互いに対向する対向面の下端縁部同士でヒートシールされることにより底シール部12bが形成されている。
【0010】
胴部フィルム11および底部フィルム12として使用するフィルムとしては、従来より使用されているもの、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムを基材フィルムとし、これらの基材フィルムに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層体が用いられる。積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法などが挙げられる。基材フィルム層とシーラント層との間には接着強度の向上のため、接着剤やアンカー剤等を設けることができる。この場合、包装袋の強度を高めるために基材フィルムを複数枚積層してもよい。あるいは気体や紫外線のバリア性を高めるため、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、セラミック等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを積層してもよい。
【0011】
包装袋10の寸法は特に限定されるものではないが、詰め替え用容器として好適な範囲としては、包装袋10の高さとしては100〜500mm程度、包装袋10の幅(両側端間の最大幅)は70〜300mm程度、内容物の充填量は100〜5000cm程度である。
内容物は、特に限定されるものではないが、液状物、粉体や顆粒体等の固体、あるいは粘稠体、液体等、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0012】
図1および図2に示すように、包装袋10の上側の隅部すなわち上辺14aと側端14bとの間には、注出口14の流路となる未シール部15が包装袋10の斜め上方を向くように設けられている。
本形態例の場合、注出口14は、開封後に流路の両側を構成する流路形成シール部15a,15bと、開封前に流路を封止する流路封止シール部15cと、開封中につまみとなるプルタブ16が、側端シール部11bの上部から連続して胴部フィルム11,11同士をヒートシールすることにより形成されている。
【0013】
流路形成シール部15a,15bは、注出口14の先端部を除去して流路を開口したときに、それぞれ流路の両側部を区画している。すなわち、一方の流路形成シール部15aと他方の流路形成シール部15bとの間の未シール部15が流路となる。
一方の流路形成シール部15aは、未シール部15の上方(上辺14aとの間)に設けられ、他方の流路形成シール部15bは、未シール部15の側方(側端14bとの間)に設けられている。
未シール部15の先端部は、流路封止シール部15cによって閉鎖されている。流路形成シール部15aと側端シール部11aとの間は充填口13として開口されており、この充填口13を通して包装袋10内に内容物を充填することが可能である。なお、内容物の充填後は、充填口13の周縁において胴部フィルム11,11同士をヒートシールすることにより、充填口13を閉鎖する。
【0014】
注出口14には、開封を容易にするため、流路となる未シール部15を横断するように例えばレーザーによって形成されたハーフカット線などからなる開封案内線18や、開封案内線18の一端側に切り抜き線17によって形成されたプルタブ(つまみ)16が設けられている。開封案内線18は、注出口14を含む2枚の胴部フィルム11,11のそれぞれに設けることが好ましい。
【0015】
流路となる未シール部15の上方(上辺14aとの間)のシール部14cには、開封を開始するための切り抜き線17が設けられている。この切り抜き線17は、上辺14aから流路へ向けて開始され、上辺14aに対して垂直に延在した後、流路近傍で方向を変えて流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線18の開封開始側の端部18aに向けて延設された平面形状を有する。
また、未シール部15の上方のシール部14cは、切り抜き線17により、未シール部15との間に所定幅の流路形成シール部15aを残して切り取ることができる。切り抜き線17が流路に沿って延設された部分は、未シール部15と切り抜き線17との間に流路形成シール部15aのシール幅を確保しつつ、開封後に突出した注出口が形成されるように、未シール部15の近傍に設けられる。
【0016】
切り抜き線17には、1箇所または複数個所のジョイント(未切断部)17b,17cを設けることが好ましい。ジョイント17b,17cの幅(隣接する切り抜き線の端部同士の間隙長さ)としては、胴部フィルム11の材質にもよるが、開封時には人手で容易に引き離すことができるよう、例えば0.5〜1.5mm程度が挙げられる。
本形態例の場合、切り抜き線17が方向を変えて未シール部15に沿って斜め上方に延設された部分には、ジョイントがなく、切り抜き線が連続している。
また、切り抜き線17が上辺14aで開始する位置には、例えばV字状の切欠などからなるノッチ17aが設けられている。
【0017】
切り抜き線17は、ジョイント17b,17c以外の部分では、2枚の胴部フィルム11を貫通してなる切り抜き線(貫通傷痕)として形成されている。このため、開封時には、ジョイント17b,17cを引き離すだけでプルタブ16を形成することができる。ジョイント17b,17cを設けることにより、未使用時にプルタブ16の引っ掛かりによって開封案内線18が不用意に引き裂かれることが防止できる。開封時にプルタブ16を引き出してつまむことにより、開封案内線18に沿った注出口14の引き裂きを開始するときに、手の引き裂き力を胴部フィルム11に十分に良く伝えることができる。
【0018】
本形態例の場合、開封案内線18の開封開始側の端部18aは、切り抜き線17に近接又は交差している。開封開始側の端部18aが切り抜き線17から離間した形態とすることもできる。開封開始側の端部18aが切り抜き線17の終端部に向かってハの字状に開いた開き部を有することもできる。この場合、開き部の開き角は例えば60〜120°程度、開き幅は3〜7mm程度が好ましい。
【0019】
本形態例の包装袋10を開封するときには、まず切り抜き線17のジョイント17b,17cを破断してプルタブ16を流路形成シール部15aから分離する。そして、このプルタブ16をつまんで引き裂きを開始し、切れ目を開封案内線18に沿って、未シール部15の上方から側方に向け、進行させる。これにより、流路封止シール部15cが分離し、流路に開口が形成される。また、切れ目が開封案内線18の開封終了側の端部18bを超えて側端14bまで引き裂きを継続することにより、流路封止シール部15cと流路形成シール部15bとの間が切り離される。
【0020】
開封案内線18の開封終了側の端部18bと、包装袋の側端14bとの間には、開封案内線未形成部19が形成されている。これにより、側端14bの側から誤って開封案内線18の開封が開始することを防止することができ、梱包や流通時の取り扱いが容易になる。この目的のためには、開封案内線未形成部19の長さをある程度確保することが望ましい。しかし、開封終了側の端部18bが側端14bから遠すぎると、つまり開封案内線未形成部19が長すぎると、開封時に切れ目を側端14bまで引き裂きを継続しにくく、流路封止シール部15cの切り離しが困難になるおそれがある。このため、開封案内線18の開封終了側の端部18bは、包装袋の側端14bから0.5〜2.0mmの範囲内に位置することが好ましい。つまり、開封案内線未形成部19の長さが、0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましい。
また、包装袋の側端14bは、開封案内線未形成部19およびその近傍にノッチを含まないことが好ましい。
【0021】
開封案内線18の開封終了側の端部18bは、未シール部15の側方のシール部14d(流路形成シール部15b及びその近傍)に設けられていることが好ましい。この場合、端部18bが未シール部15内に設けられた場合に比べて、開封時に切れ目を側端14bまで引き裂きを継続しやすく、流路封止シール部15cの切れ残りを抑制することができる。
【0022】
なお、本形態例の包装袋10においては、流路となる未シール部15内にチューブなどの保形材(図示せず)を設けることもできる。この場合、胴部フィルム11,11の間が離隔され、注出時に流路の広がり状態を保つことができる。また、特に図示はしないが、胴部フィルム11,11は、保形材の周囲で外側に膨出する膨らみ部を設けることも好ましい。この膨らみ部は、包装袋を製造する工程において真空成形や圧空成形により胴部フィルム11,11に予め(保形材を入れる前に)形成しておくことが好ましい。
【0023】
保形材を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリオレフィン系樹脂のほか、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂が挙げられる。なかでも、胴部フィルム11の内面のシーラント層とヒートシールで熱接着する観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVAなどのポリオレフィン系樹脂が好適である。
保形材の形状としては、円筒体、楕円筒体、断面が四角形等の多角形である角筒体などの両端が開口したチューブに限定されるものではなく、このほか、断面が円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形等である棒状体、断面コ字状、H字状、T字状の部材など、種々の形態が採用可能である。保形材は、流路を閉塞しないように断面が長手方向にわたって一定である形状(筒状体や棒状体など)が好ましく、フィルムに固定する作業が容易で、内容物の流動を妨げないので筒状体がより好ましく、中でも円筒体は固定される面が自在であり、フィルムに固定する際の位置決めが容易なので、さらに好ましい。そして、固定に際しては、保形材の長手方向を流路の方向に揃えることが望ましい。
なお、本発明において、保形材やその周囲の膨らみ部は必須のものではなく、保形材を省略した構成とすることもできる。保形材を設ける場合は、開封案内線18が保形材と交差しない位置に設けられていることが好ましい。これにより、開封時に保形材が引っかかったり露出されたりすることがない。
保形材の位置は、開封案内線18から少なくとも0.3mm以上離れていることが好ましく、保形材と開封案内線18との間の最も近い距離が0.3〜10mmの範囲内であることが好ましい。
【0024】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、包装袋の注出口は、その先端部が包装袋の上辺から突出している形状であってもよい。この場合の注出口は、上記形態例の包装袋10の上辺14aおよび側端14bと同様に、注出口の両側を略垂直な辺で囲む形状が好ましい。
底部フィルムは必須のものではなく、包装袋は三方シール袋や四方シール袋などの平袋から構成されるものであってもよい。あるいは、底部フィルム12のような2つ折りのフィルムを包装袋の側部、例えば注出口14とは反対側(図1の右側)に介装してもよい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例と比較例との対比をもって本発明を具体的に説明する。
図2に示すように、開封案内線18の開封終了側の端部18bの位置を、包装袋の側端14bから離して、開封案内線未形成部19を設けた実施例1の包装袋10と、図3に示すように、開封案内線18を側端14bまで延ばした比較例1の包装袋100を作製した。開封案内線未形成部19以外は、同様の材料および寸法とした。
実施例1の開封案内線未形成部19の長さは、0.5〜2.0mmの範囲内で、所定の長さ(2.0mm)に設定した。
実施例1および比較例1について、開封案内線18の正方向(図4(a)の矢印N)および逆方向(図4(b)の矢印R)の引裂強度を測定した。
【0026】
(引裂強度の測定方法)
図4に示すように、開封案内線18の上側と下側にそれぞれ補強用粘着テープ21,22を、開封案内線18に沿って貼り付け、これら補強用粘着テープ21,22の端部を別々のつかみ具(図示せず)で挟み込む。サンプルの注出口付き包装袋では、切り抜き線17のジョイント17b,17cを切断して、プルタブ16を補強用粘着テープ21,22の間から露出させておく。
2つのつかみ具の引張方向(図3の矢印AおよびB)を、いずれも包装袋の成す平面に対して略垂直で、かつ互いに反対向きとして、1000mm/minの速度で引っ張り、開封案内線18に沿って注出口14を引き裂く。このときサンプルに加えた引裂力(単位:ニュートン)を計測し、その引裂力の値を引裂強度(単位:ニュートン)とする。
補強用粘着テープ21,22は、つかみ具に引っ張られる途中で包装袋の端部に当たって引き裂けてしまうことのないようにする必要がある。この測定方法では、布粘着テープを3重に重ね合わせて使用した。
表1に測定結果を示す。
【0027】
【表1】

【0028】
表1に示すように、側端14bに開封案内線未形成部19を有する実施例1の包装袋10は、つかみ具の引張力を補強用粘着テープ21,22が剥がれるまで強くしても、逆方向からは引き裂きができないことを確認することができた。
【符号の説明】
【0029】
A,B…つかみ具の引張方向、N…正方向の引裂方向、R…逆方向の引裂方向、10,100…包装袋、11…胴部フィルム、11a,11b…側端シール部、12…底部フィルム、12a…折り線、12b…底シール部、13…充填口、14…注出口、14a…上辺、14b…側端、15…流路となる未シール部、15a,15b…流路形成シール部、15c…流路封止シール部、16…プルタブ(つまみ)、17…切り抜き線、17a…ノッチ、17b,17c…ジョイント(未切断部)、18…開封案内線、18a…開封開始側の端部、18b…開封終了側の端部、19…開封案内線未形成部、21,22…補強用粘着テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の上側の隅部に注出口の流路となる未シール部が設けられた包装袋であって、
前記注出口を含む2枚のフィルムには、前記未シール部を横断するように設けられたハーフカット線からなる開封案内線が設けられ、
前記開封案内線の開封開始側の端部が、前記未シール部の上方のシール部内に設けられ、前記開封案内線の開封終了側の端部が、前記包装袋の側端から0.5〜2.0mmの範囲内に位置することを特徴とする注出口付き包装袋。
【請求項2】
前記未シール部の上方のシール部には、開封を開始するための前記2枚のフィルムを貫通してなる切り抜き線として、前記包装袋の上辺から流路へ向けて開始され、流路近傍で方向を変えて前記流路に沿って斜め上方に延設され、さらに方向を変えて開封案内線の開封開始側の端部に向けて延設された平面形状を有する切り抜き線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の注出口付き包装袋。
【請求項3】
前記開封案内線の開封終了側の端部が、前記未シール部の側方のシール部内に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の注出口付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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