説明

注出口及び注出口を備えた手動ポンプ式ディスペンサ

【課題】製造や組立を容易にし、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出製品の断面の質に反復性を持たせるようにした変形可能な出口バルブを有する手動ポンプ式ディスペンサを提供する。
【解決手段】圧縮及び戻りストローク間で往復動可能なプランジャヘッドと、各戻りストロークの際に液体製品を流入させる入口バルブを有したポンプボディとを備える手動ポンプ式ディスペンサであって、圧縮ストロークのたびに液体製品の選択的流出を許容する注出口に吐出バルブ組立体が取り付けられ、注出口は所定径のボアを備え、単一バルブが実質的に同ボア内に配設される。単一バルブは、圧縮ストロークのたびに液体製品の圧力により所定の軸方向、又は軸方向と径方向に膨張して単一バルブのスリット状開口からの液体製品の吐出を許容すると共に、スリット状開口から液体製品が吐出しないようにするためにバルブシートに対して速やかに収縮可能な素材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善された吐出バルブ部材を備えた手動ポンプ式ディスペンサに関し、より詳細には吐出の迅速な遮断が可能な弾性材からなり、ハンドローションなどの個人使用の製品を吐出するためのスリット状のバルブ要素を有したバルブ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特にハンドローション、ボディローション、液体石鹸、及びその他の粘性がある製品を所定量供給するように設計された公知の手動ポンプ式ディスペンサは、ピストンの各吸入ストロークにおけるポンプ室への液体製品の流れを調整すると共に、ピストンの各圧縮ストロークにおけるポンプ室からの液体製品の流出を調整するための入口ボールチェックバルブ及び出口ボールチェックバルブを一般的に備えている。或いは、このようなディスペンサは、ポンプ室への液体製品の流れを調整するための入口ボールチェックバルブと、注出口の吐出端に近接して設けられた変形可能な出口バルブを備えていてもよい。特許文献1はこのような公知のポンプ式ディスペンサの典型例を開示する。
【0003】
具体的には、特許文献1の図2乃至5に示されるように、そこに開示された従来の注出口において、拡張/伸縮可能なキャップ135で覆われた横方向孔134が注出口の端部に設けられており、このキャップ135は所定位置に保持されるよう、注出口の外部環状溝内に装着される内部環状ビードを有している(図2)。吐出開口部136はキャップ端部の壁に位置し、製品は、ポンプの作動により、注出口の軸方向吐出通路130と横方向孔134とを介して流動しながら吐出開口部136から吐出される。キャップ135をより確実に所定位置に取り付けるため、図3及び4の実施形態には固定リング137が設けられ、図5の実施形態には固定リング237が設けられている。
【特許文献1】米国特許第5,447,258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図2乃至5に開示されている変形可能な出口バルブ(即ちキャップ135)は様々な点で問題があり、キャップ135は、軸方向通路130及び横方向孔134を介して加えられるわずかな圧力でも、注出口の端部から簡単に移動してしまう。このことは、図3乃至5の実施形態が、キャップ135を注出口の端部の所定位置に確実に取り付け保持するための固定リング137或いは237を必要とすることから暗黙的に認識される。しかしながら、固定リング137或いは237を余分に設けることは、ポンプ式ディスペンサの製造の際にキャップ135を保持するための余分な部品を必要とする上、繰り返し行われるポンプ操作の際にキャップ135が移動することでディスペンサの故障の可能性を増大させることになる。
【0005】
従って、ポンプ式ディスペンサの組み立てを容易にすると共に、ディスペンサの注出口端部に確実に配置されて注出口からバルブが移動してしまう可能性を低減或いは実質的に排除するような、改善された変形可能な出口バルブを備えるポンプ式ディスペンサを提供することは価値のあることである。
更に、特許文献1の図1には、第1及び第2バルブボディ7,11をそれぞれ備える改善されたバルブ組立体が開示されている。図1のディスペンサにおいて、パイプ2から孔5内に流体が移動する際に、柔軟性のある合成樹脂からなる第2バルブボディ11が外方に変形してパイプ2内の流体を放出した後、図1に示されるような休止状態に戻るようになっている。
【0006】
特許文献1の図2乃至5に開示されたキャップ135について上述したように、特許文献1の図1に開示されたバルブ組立体も多くの点で問題がある。繰り返しの使用の後、バルブボディ11の内壁に衝突する製品と、シャフト6とバルブボディ11との間に残存する製品との相互作用は、シャフト6の周囲でバルブボディ11が閉じて製品の更なる放出を防止するのに要する時間を増大させる。バルブボディ11の内壁に対する製品の相互作用は、バルブボディ11を形成する構造を外方に変形した状態に維持する原因となる。放出された製品の断面は、供給機構の初期の使用の際に、人間工学的に使用者に満足されるように設計され、或いは特定の最終用途のために設計された所定の断面を有するように意図されたものであって、このような状態は吐出された製品の断面の質を低下させるものである。更に、特許文献1の図1に開示されたバルブ組立体は、適切な作動のために共に取り付けられた少なくとも3つの構成部品を有している。即ち、これらは第1及び第2バルブボディ7,11とストッパ22であって、これらはその製造に関してその設計を複雑にし、1つ以上の構成部品の故障の可能性を増大させるものとなる。
【0007】
従って、ポンプ式ディスペンサのより簡単かつ経済的な製造及び組み立てを可能とすると共に、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出される製品の断面の質に反復性を持たせ、丈夫で効率的に操作できるように改善された変形可能な出口バルブを備えるポンプ式ディスペンサを提供することは価値のあることである。また、供給される製品の粘性にかかわらず、ピストンの吸入ストロークのたびに吐出流路を密閉するよう素早く応答するポンプ式ディスペンサを提供することも価値のあることである。
【0008】
本発明は、ポンプ式ディスペンサの製造や組立を容易にすると共に、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出製品の断面の質に反復性を備える改善された変形可能な出口バルブを提供することにより、従来のポンプ式ディスペンサにおける問題点を解決し、障害や欠点を克服するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能なプランジャヘッドを備えた手動ポンプ式ディスペンサを提供する。ポンプ式ディスペンサは、戻りストロークのたびにポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させる入口バルブを有するポンプボディと、ポンプボディに設けられた注出口に取り付けられる吐出バルブ組立体とを備える。吐出バルブ組立体は、圧縮ストロークのたびに注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する。注出口は所定径のボアを有する。吐出弁組立体は、実質的にこのボア内に配置された単一バルブを有し、この単一バルブは前記所定径より小さな外径を有する。単一バルブは、各圧縮ストロークにおける液体製品からの圧力による、単一バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、単一バルブの出口端におけるスリット状開口から液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する単一バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなる。
【0010】
上述のポンプ式ディスペンサにおいて、単一バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更にポンプ式ディスペンサは、注出口に単一バルブを保持するために単一バルブが結合されるバルブアダプタを有するようにしてもよい。バルブアダプタと単一バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状溝と環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路と流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタにはバルブシートが一体的に形成されるようにしてもよい。単一バルブは、シリコン及び/又は熱可塑性エラストマによって形成され、ボア内で膨張可能としてもよい。単一バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの周面に対し、主として径方向に収縮可能としてもよい。単一バルブは、収縮した状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有するようにしてもよい。或いは、単一バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面及び周面のそれぞれに対し、軸方向及び径方向に収縮可能としてもよい。更にまた、単一バルブは収縮した状態にあるときにほぼ円錐台(frusto-conical)の外形を有するようにしてもよい。
【0011】
本発明は更に、圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能であり、注出口を有する手動ポンプ式ディスペンサのためのプランジャヘッドを提供する。このプランジャヘッドは、戻りストロークのたびにポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有したポンプボディを備える。注出口には、圧縮ストロークのたびに注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出弁組立体が取り付けられる。注出口は所定径のボアを有する。吐出弁組立体は、実質的にボア内に配置された出口バルブを有する。出口バルブは前記所定径より小さい外径を有する。出口バルブは、各圧縮ストロークにおける液体製品からの圧力による、出口バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、出口バルブの出口端におけるスリット状開口から液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する出口バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなる。
【0012】
上述のプランジャヘッドにおいて、出口バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更にプランジャヘッドは、注出口に出口バルブを保持するために出口バルブが結合されるバルブアダプタを有するようにしてもよい。バルブアダプタと出口バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状リブと環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路に流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブシートはバルブアダプタと一体的に形成されるようにしてもよい。出口バルブは、シリコン及び/又は熱可塑性エラストマで形成され、ボア内で膨張可能であってもよい。出口バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの周面に対し、主として径方向に収縮可能としてもよい。出口バルブは、収縮した状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有するようにしてもよい。或いは、出口バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面及び周面のそれぞれに対し、軸方向及び径方向に収縮可能としてもよい。更にまた、出口バルブは収縮した状態にあるときにほぼ円錐台(frusto-conical)の外形を有するようにしてもよい。
【0013】
本発明は更に、液体製品を流入させるための入口端を有した注出口を提供する。この注出口には、注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体が取り付けられる。注出口は所定径のボアを有する。吐出バルブ組立体は実質的にボア内に配置された出口バルブを有する。出口バルブは前記所定径より小さな外径を有する。出口バルブは、液体製品からの圧力が加えられたときに、出口バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、出口バルブの出口端におけるスリット状開口から液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出されないようにため、バルブシートに対する出口バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなる。
【0014】
上述の注出口において、出口バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更に注出口は、注出口に出口バルブを保持するために出口バルブが結合されるバルブアダプタを有してもよい。バルブアダプタと出口バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状リブと環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路と流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブシートはバルブアダプタと一体的に形成されるようにしてもよい。出口バルブは、シリコン及び/又は熱可塑性エラストマで形成され、ボア内で膨張可能であってもよい。出口バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの周面に対し、主として径方向に収縮可能としてもよい。出口バルブは、収縮した状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有するようにしてもよい。或いは、出口バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面及び周面のそれぞれに対し、軸方向及び径方向に収縮可能としてもよい。更にまた、出口バルブは、収縮した状態にあるときにほぼ円錐台(frusto-conical)の外形を有するようにしてもよい。
【0015】
本発明は更に、圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能なプランジャヘッドを有した手動ポンプ式ディスペンサを提供する。このポンプ式ディスペンサは、戻りストロークのたびにポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させる入口バルブを有したポンプボディを備える。ポンプボディに設けられた注出口には吐出バルブ組立体が取り付けられる。吐出バルブ組立体は、圧縮ストロークのたびに注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する。注出口は所定径のボアを有する。吐出バルブ組立体は、実質的にボア内に配置された単一バルブを有する。単一バルブは前記所定径にほぼ等しい外径を有する。単一バルブは、各圧縮ストロークにおける液体製品からの圧力による、単一バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、単一バルブの出口端におけるスリット状開口から液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する単一バルブの速やかな軸方向への収縮を可能とする素材からなる。
【0016】
上述のポンプ式ディスペンサにおいて、単一バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更にポンプ式ディスペンサは、注出口に単一バルブを保持するために単一バルブが結合されるバルブアダプタを有してもよい。バルブアダプタと単一バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状リブと環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路と流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブシートはバルブアダプタと一体的に形成されるようにしてもよい。単一バルブはシリコン及び/又は熱可塑性エラストマによって形成され、ボアから軸方向外方に膨張可能としてもよい。単一バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面に対し、主として軸方向に収縮可能としてもよい。単一バルブは収縮状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有し、単一バルブの前面は単一バルブの側壁よりも実質的に厚くなるようにしてもよい。
【0017】
本発明は更に、手動ポンプ式ディスペンサのためのプランジャヘッドであって、圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能であると共に、注出口を備えたプランジャヘッドを提供する。このプランジャヘッドは、戻りストロークのたびにポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有したポンプボディを備える。注出口には、圧縮ストロークのたびに注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体が取り付けられる。注出口は所定径のボアを有する。吐出バルブ組立体は実質的にボア内に配置された出口バルブを有し、出口バルブは前記所定径にほぼ等しい外径を有する。出口バルブは、各圧縮ストロークにおける液体製品からの圧力による、出口バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、出口バルブの出口端におけるスリット状開口からの液体製品の吐出を可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出しないようにするため、バルブシートに対する出口バルブの速やかな軸方向の収縮を可能とする素材からなる。
【0018】
上述のプランジャヘッドにおいて、出口バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更にプランジャヘッドは、注出口内に出口バルブを保持するために出口バルブが結合されるバルブアダプタを有してもよい。バルブアダプタと出口バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状リブと環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路と流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けての液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブシートはバルブアダプタと一体的に形成されるようにしてもよい。出口バルブはシリコン及び/又は熱可塑性エラストマで形成され、ボアから軸方向外方に膨張可能としてもよい。出口バルブは、スリット状開口からの液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面に対し、主として軸方向に収縮可能としてもよい。出口バルブは収縮状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有し、出口バルブの前面は出口バルブの側壁よりも実質的に厚くなるようにしてもよい。
【0019】
また、本発明は液体製品を流入させるための入口端を有した注出口を提供する。この注出口には、注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出弁組立体が取り付けられる。注出口は所定径のボアを有する。吐出バルブ組立体は、実質的にボア内に配置された出口バルブを有する。出口バルブは前記所定径とほぼ等しい外径を有する。出口バルブは、液体製品からの圧力が加えられたときに、出口バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、出口バルブの出口端におけるスリット状開口から液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、液体製品がスリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する出口バルブの速やかな軸方向への収縮を可能とする素材で形成される。
【0020】
上述の注出口において、出口バルブは、吐出される液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えるようにしてもよい。更に注出口は、注出口に出口バルブを保持するために出口バルブが結合されるバルブアダプタを有してもよい。バルブアダプタと出口バルブとは、環状溝と環状リブ、或いは環状リブと環状壁を備えることにより共に結合されるようにしてもよい。バルブアダプタは、注出口の上流端からスリット開口に向けての液体製品の流通のための軸方向流路を有するようにしてもよい。バルブアダプタは、軸方向流路と流体的に連結されて注出口の上流端からスリット状開口に向けて液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有するようにしてもよい。バルブシートはバルブアダプタと一体的に形成されるようにしてもよい。出口バルブはシリコン及び/又は熱可塑性エラストマで形成され、ボアから軸方向外方に膨張可能としてもよい。出口バルブは、スリット状開口から液体製品が吐出されないようにするため、バルブシートの前面に対し、主として軸方向に収縮可能としてもよい。出口バルブは収縮した状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有し、出口バルブの前面は出口バルブの側壁よりも実質的に厚くなるようにしてもよい。
【0021】
本発明の付加的な特徴、利点、及び実施形態は、以下の詳細な説明、図面、及び請求項を参酌することにより示され、或いは明らかとなる。更に、前述の本発明の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的なものであって、請求された発明の範囲を制限することなく更なる説明を提供しようとするものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
これより、それぞれの図にわたって同様の参照番号は同様の或いは対応する部材が示されている各図を参照すると、図1乃至4は、全般的に10で示された本発明によるポンプ式ディスペンサの第1実施形態を図示している。
図1に示されるように、本発明による吐出バルブ組立体12が組み込まれたタイプの手動ポンプ式ディスペンサ10は、「改善された吐出バルブを有するポンプ式ディスペンサ」の名称で本発明の譲受人が所有し、その開示内容が参照されて組み込まれる米国特許出願第10/214,160号に詳細が述べられているような従来の様式により、配分供給される製品の容器(図示せず)への取り付けに適合したポンプシリンダ(図示せず)を有するポンプボディを備えている。また、米国特許出願第10/214,160号に詳細が述べられているように、ポンプシリンダは、内部にネジを切ったか、或いは容器の頸部に通常の方法で嵌合して係止されるのに適合した閉塞キャップを用いて容器に取り付けられるようになっている。シリンダはその下端に、容器内の液体中に延長された汲み上げチューブ(図示せず)を吊り下げている。第1乃至第3実施形態のそれぞれにおける(後述の)吐出バルブ組立体12,102,202は、(後述の)ポンプ式ディスペンサ組立体10,100,200内に備えられた別体の吐出バルブに加えて使用されるものとしてそれぞれ説明されているが、当業者に明らかであるように、組立体12,102,202はそれぞれポンプ式ディスペンサ10,100,200内に備えられた別体の吐出バルブに加えて使用されてもよいし、同吐出バルブに代えて使用されてもよい。
【0023】
更に、ポンプ式ディスペンサ10は、米国特許出願第10/214,160号に詳細に述べられているように、ポンプシリンダの内壁に摺動しながら封止係合する環状ピストンシール(図示せず)をその下端部に有するピストンの、中空ピストンステム18の上端にプランジャヘッド16を支持するための付属スリーブ14を有している。プランジャヘッド16は、ピストンステム18の上端と摩擦係合して緊密なシールを行う付属スリーブ20と、ピストンステムの上端に直接連通する吐出通路24を画成する延長された横向き注出口22とを有している。
【0024】
図1乃至3を参照すると、本発明による吐出バルブ12は、様々な硬度のシリコン或いは熱可塑性エラストマといった弾力のある素材からなる単一バルブ26を備えている。バルブ26は、以下においてより詳細に述べるように、注出口22の末端部分に配設されたバルブアダプタ28によって支持される。バルブアダプタ28は、図4に示すように6つの横方向流路32からなる少なくとも1対の横方向流路32で終結する軸方向流路30を有する。バルブアダプタ28は、注出口22のボア34内に、摩擦により、或いは接着により保持されている。
【0025】
図1乃至3に示されるように、注出口22はその末端部にボア36を更に有し、相補的な環状壁38に対する環状リブ40の係合によってボア34内へのバルブアダプタ28の挿入を所定深さだけ可能とする係止手段を環状壁38に形成するために、ボア36はボア34よりやや大きな径を有している。環状溝42内に配設されるバルブ26のリング44によってバルブアダプタ28へのバルブ26の係合保持を容易とするため、環状溝42がバルブアダプタ28の外周面に設けられている。バルブ26が装着されるボア36の内径は、より詳細に以下に述べるように、加圧された製品の横方向流路32からの吐出によるバルブ26の膨張を許容するため、バルブ26の外径よりやや大きくなっている。
【0026】
図1乃至3に示された詳細な実施形態を参照すると、バルブ26は出口スリット46によって画成された星形(或いは、三角形、円形、矩形など)の形状を有しており、図2の実施形態に示すように、バルブ26の環状のスカート壁48と一体的に形成された6つの出口スリット46を有している。スリット46は、ほぼパイ形状をした壁50の間の間隙として画成されており、壁50は近接して配置されたスリット46からの製品をガイドする機能を有している。当業者に明らかであるように、バルブ26は出口スリット46の代わりに、型で作られた出口領域(図示せず)を有するようにしてもよい。更にバルブ26は、パイ形状壁50の中央端部に配置されている突起54内に設けられた中央の円錐状出口52を有する。少量の製品が出口52から吐出する際に、突起54は主として壁50を図2に示す所定方向に維持する機能を有する。
【0027】
プランジャヘッド16の下降ストロークの間にバルブ26から製品を吐出させるため、注出口22を経てバルブ26から吐出される製品は、図2に示されるスリット46の方向に向け、流れ経路A1及びA2で示されるように、まずバルブアダプタ28の軸方向流路30に流入する。その後、軸方向流路30内の製品は、ほぼ均等に横方向流路32に流入し、流れ経路A3によって示されるように横方向流路32内で6つの流れに分割される。横方向流路32内の製品からの圧力が、プランジャヘッド16の下降ストロークの間に増大し続けて所定の閾値に達すると、プランジャヘッド16の継続する下降ストロークの間における製品からの更なる圧力の増大が、バルブ26の環状スカート壁48を径方向外方に、また壁50を軸方向外方に変形膨張させ、流れ経路A4で示すように、製品が円形のディフレクタ56を通過し、その後に引き続きスリット46に向かうと共に、流れ経路A5で示すように、スリット46から吐出するのを許容する。製品の多くは出口スリット46から流れ経路A5を経て流出するものの、製品の一部は流れ経路A6に沿い出口52に向けて径方向内方に移動し、出口57から流れ経路A7を経て流出する。
【0028】
プランジャヘッド16に加えられた手動の圧力が解除或いは遮断されると、領域58内の製品の圧力は前述の所定閾値より低くなり、バルブ26の壁50及び環状壁48はそれぞれ軸方向及び径方向内方に速やかに収縮して、図1乃至3に示すような休止状態に達する。従って、プランジャヘッドに加えられた下降ストロークの終了の際には、次のプランジャの上昇ストロークの直前にバルブ26の環状スカート壁48が速やかに内方に収縮し(即ち膨張を解し)、バルブ26の出口スリット46から製品が更に吐出されないようにして、バルブ26の環状スカート壁48と、バルブアダプタ28に一体的に形成された円形のディフレクタ56の外周壁との相互作用により、横方向流路32を閉じることによって出口スリット46を閉じる。
【0029】
流れ経路A1乃至A7を経由する、バルブ26を介した注出口22からの製品の流れによってバルブ26から流出した製品は、出口スリット46から流出すると共に出口52によって均一に結合された製品断面により、終始均一な星形断面を有する。更に、本発明によるバルブ組立体は2つの部品、即ちバルブアダプタ28と単一バルブ26のみからなるため、削減された部品点数がポンプ式ディスペンサの容易で経済的な製造及び組立を可能とすると共に、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出される製品の断面形状の質に反復性を持たせる。更に、単一バルブ26の効果的な働きは、吐出される製品の粘性にかかわらず、迅速に応答してピストンの各吸入ストロークの際の吐出流路を遮断するポンプ式ディスペンサをもたらす。更にボア36は、そこに配設されたバルブ26の膨張を調整して制限するように形成されているので、ポンプ式ディスペンサ10を継続使用する間に、環状スカート壁48と円形ディフレクタ56との間に残存して乾燥するなどした粘性製品により、(従来のバルブの場合のように)バルブ26が膨張したままとなることが防止される。
【0030】
これより、図5乃至8を参照してポンプ式ディスペンサ100の第2実施形態を詳細に説明する。
図5に示すように、ポンプ式ディスペンサ10の第1実施形態と同じく、ポンプ式ディスペンサ100も、前述の米国特許出願第10/214,160号に詳細が述べられている手動ポンプ式ディスペンサと同様のものである。ポンプ式ディスペンサ10に関して上述した標準的な部品に加え、ポンプ式ディスペンサ100は吐出バルブ組立体102と、ポンプシリンダの内壁に摺動しながら封止係合する環状ピストンシール(図示せず)をその下端に有したピストンの、中空ピストンステム108の上端にプランジャヘッド106を支持する付属スリーブ104とを有している。プランジャヘッド106は、ピストンステム108の上端と摩擦係合して緊密な封止を行う付属スリーブ110と、ピストンステムの上端に直接連通する吐出流路114を画成する延長された横向き注出口112とを有している。
【0031】
図5及び8を参照すると、本発明による吐出バルブ組立体102の第2実施形態は、様々な硬度を持つシリコンや熱可塑性エラストマといった弾力のある素材からなる単一バルブ116を備える。バルブ116は、より詳細に以下に述べるように、注出口112の末端部分に配置されたバルブアダプタ118によって支持されている。バルブアダプタ118は、図8に示すように4つの流路122からなる少なくとも1対の横方向流路122で終結する軸方向流路120を有する。バルブアダプタ118は摩擦或いは接着により注出口112のボア124内に保持されている。
【0032】
図5及び8に示されるように、注出口112は更に、その末端部分にボア126を有しており、ボア124内への単一バルブ116とバルブアダプタ118の挿入を所定深さだけ可能とする係止手段を環状壁128に形成するため、ボア126はボア124よりやや大きい径を有している。単一バルブ116は、バルブアダプタ118の周壁131と補完的な環状壁128との間に単一バルブ116の環状リブ130を係合させることにより、ボア126内に保持される。バルブ116が装着されるボア126の内径は、以下に詳細を述べるように、横方向流路122からの加圧製品の吐出によるバルブ116の軸方向の膨張のみが許容されるようにするため、バルブ116の外径とほぼ同一となっている。
【0033】
図5乃至8に示される詳細な実施形態を参照すると、バルブ116は出口スリット136によって画成される星形(或いは三角形、円形、矩形など)の形状を有しており、図6の実施形態ではバルブ116の環状スカート壁138と一体的に形成された5つの出口スリットを有している。スリット136はほぼパイ形状の壁140の間の間隙として画成されており、壁140は近接して配置されたスリット136からの製品をガイドする機能を有する。当業者に明らかであるように、バルブ116は出口スリット136に代えて型で形成された出口領域(図示せず)を有するようにしてもよい。スリット136がそれぞれバルブ116の中心軸で終結することにより、ほぼ均一な星形断面の製品がスリット116から吐出される。図5に示されるように、スリット136を画成する壁140と比較して、スカート壁138が実質的に薄く形成されることにより、横方向流路122からの加圧製品の吐出によるバルブ116の軸方向への膨張のみが許容されるようになっている。
【0034】
プランジャヘッド106の下降ストロークの間にバルブ116から製品を吐出させるため、注出口112を経由してバルブ116から吐出される製品は、図6に示されたスリット136の方向に向け、まず流れ経路B1及びB2で示されるようにバルブアダプタ118の軸方向流路120に流入する。その後、軸方向流路120内の製品はほぼ均一に横方向流路122に流入し、流れ経路B3及びB4で示されるように横方向流路122内で4つの流れに分割される。横方向流路122内の製品からの圧力がプランジャヘッド106の下降ストロークの間に増大し続けて所定の閾値に達すると、プランジャヘッド106の継続する下降ストロークの間における製品からの更なる圧力の増大が、バルブ116を軸方向外方に向けて変形膨張させて、バルブシート142の前面144から壁構成体140を引き離し、流れ経路B5及びB6で示すように、その後、製品が引き続き出口スリット136に向かうと共に、出口スリット136から流出するのを許容する。
【0035】
プランジャヘッド106に加えられた手動の圧力が解除或いは遮断されると、領域148内の製品の圧力が前述の閾値より低下することにより、壁構成体140は速やかに軸方向内方に収縮し、図5及び7に示されるように、バルブシート142の前面144に対しその休止状態に達する。従って、プランジャヘッドに加えられた下降ストロークが終了する際には、次のプランジャの上昇ストロークの直前に壁構成体140が速やかに軸方向内方に収縮し(即ち膨張を解除し)、バルブ116の出口スリット136から更に製品が吐出されないようにして、壁構成体140とバルブシート142とにより出口スリット136が閉塞される。
【0036】
流れ経路B1乃至B6を経由する、バルブ116を介した注出口112からの製品の流れにより、バルブ116から流出する製品は出口スリット136を介することで終始均一な星形断面を有する。更に、本発明によるバルブ組立体は2つの部品、即ちバルブアダプタ118と単一バルブ116のみからなるため、低減された部品点数がポンプ式ディスペンサの簡単で経済的な製造及び組立を可能にすると共に、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出される製品の断面形状の質に反復性を持たせる。更に、単一バルブ116の効果的な働きは、吐出される製品の粘性にかかわらず、迅速に応答してピストンの各吸入ストロークの際の吐出流路を遮断するポンプ式ディスペンサをもたらす。
【0037】
これより、ポンプ式ディスペンサ200の第3実施形態を、図9乃至12を参照して詳細に説明する。
図9に示されるように、ポンプ式ディスペンサ10及び100の第1及び第2実施形態と同様に、ポンプ式ディスペンサ200も、前述の米国特許出願第10/214,160号に詳細が述べられている手動ポンプ式ディスペンサと同様のものである。ポンプ式ディスペンサ10及び100について上述した標準的な部品に加え、ポンプ式ディスペンサ200は、吐出バルブ組立体202と、ポンプシリンダの内壁に摺動して封止係合する環状ピストンシール(図示せず)を下端部に有したピストンの、中空ピストンステム208の上端にプランジャヘッド206を支持する付属スリーブ204とを有している。プランジャヘッド206は、ピストンステム208の上端に摩擦係合して緊密な封止を行う付属スリーブ210と、ピストンステムの上端に直接連通した吐出流路214を画成する延長された横向き注出口212とを有する。
【0038】
図9及び12を参照すると、本発明によるバルブ組立体202の第3実施形態は、様々な硬度のシリコンや熱可塑性エラストマといった弾力のある素材からなる単一バルブ216を有する。バルブ216は、より詳細に以下に説明するように、注出口212の末端部分に配置されたバルブアダプタ218により支持されている。バルブアダプタ218は、図12に示されるように、4つの流路222からなる少なくとも1対の横方向流路222で終結する軸方向流路220を有する。バルブアダプタ218は、注出口212のボア224内に摩擦或いは接着によって保持されている。
【0039】
図9及び12に示されるように、注出口212は更にその末端部分にボア226を有しており、ボア224内に単一バルブ216とバルブアダプタ218とを所定深さだけ挿入可能とする係止手段を環状壁228に設けるため、ボア226はボア224よりやや大きい径を有している。単一バルブ216は、バルブアダプタ218の壁231と補完的な環状壁228との間に単一バルブ216の環状リブ230を係合させることにより、ボア226内に保持される。バルブ216が装着されるボア226の内径は、より詳細に以下に述べるように、横方向流路222からの加圧製品の吐出によるバルブ216の径方向及び軸方向への膨張を許容するため、バルブ216の外径よりやや大きくなっている。
【0040】
図9乃至12に示される詳細な実施形態を参照すると、バルブ216は膨張可能な出口スリット236によって画成される星形(或いは三角形、円形、矩形など)の形状を有しており、図10の実施形態では、バルブ216の円錐台(frusto-conical)スカート壁238と一体的に形成された5つの出口スリット236を有している。スリット236は、ほぼパイ形状をなす壁240の間の拡張可能な間隙として画成されており、壁240は近接して配置されたスリット236から流出する製品をガイドする機能を有している。当業者に明らかであるように、バルブ216は、スリット236に代えて型により形成された出口領域(図示せず)を有するようにしてもよい。スリット236はそれぞれバルブ216の中心軸で終結することにより、ほぼ星形の断面形状を有する製品がスリット236から吐出される。図9に示されるように、スカート壁238はスリット236を画成する壁240とほぼ同じ厚さで形成されることにより、横方向流路222からの加圧製品の吐出によるバルブ216の軸方向及び径方向への膨張を許容する。
【0041】
プランジャヘッド206の下降ストロークの間にバルブ216から製品を吐出されるため、注出口212を介してバルブ216から吐出される製品は、図10に示されるスリット236の方向に向け、流れ経路C1及びC2で示されるように、まずバルブアダプタ218の軸方向流路220に流入する。その後、軸方向流路220内の製品はほぼ均等に横方向流路222に流入し、流れ経路C3及びC4で示されるように、横方向流路222内で4つの流れに分割される。プランジャヘッド206の下降ストロークの間に横方向流路222内の製品からの圧力が増大し続けて所定の閾値に達すると、プランジャヘッド206の継続する下降ストロークの間における製品からの更なる圧力増大が、バルブ216を軸方向外方及び径方向外方に変形膨張させてバルブシート242の前面244及び側面246のそれぞれから壁構成体240を引き離し、流れ経路C5及びC6で示すように、その後、製品が引き続き出口スリット236に向かうと共に出口スリット236から流出するのを許容する。
【0042】
プランジャヘッド206へ加えられた手動の圧力が解除或いは遮断されると、領域248内の製品の圧力は上述の所定閾値より低下し、壁構成体240とスカート壁238は速やかに軸方向内方及び径方向内方に収縮して、図9及び11に示されるようにバルブシート242に対して休止状態となる。従って、プランジャヘッドに加えられた下降ストロークの終了の際には、次のプランジャの上昇ストロークの直前に壁構成体240が速やかに軸方向内方に収縮し(即ち膨張を解除し)、バルブ216の出口スリット236から更に製品が吐出されないようにして、壁構成体240、スカート壁238及びバルブシート242によって出口スリット236を閉塞する。
【0043】
流れ経路C1乃至C6を経由する、バルブ216を介した注出口212からの製品の流れにより、バルブ216から流出する製品は出口スリット236を通ることで終始均一な星形断面を有する。更に、本発明によるバルブ組立体は2つの部品、即ちバルブアダプタ218と単一バルブ216のみからなるため、低減された部品点数がポンプ式ディスペンサの簡単で経済的な製造及び組立を可能にすると共に、ポンプ式ディスペンサの全寿命にわたり、吐出される製品の断面形状の質に反復性を持たせる。更に、単一バルブ216の効果的な働きは、吐出される製品の粘性にかかわらず、迅速に応答してピストンの各吸入ストロークの際の吐出流路を遮断するポンプ式ディスペンサをもたらす。
【0044】
上述したように、ポンプ式ディスペンサ10,100,200の第1、第2及び第3実施形態のそれぞれに対し、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更が可能である。例えば、第1乃至第3実施形態において、固定された数の横方向流路32,122,222がそれぞれ図4、図8及び図12に示されているが、横方向流路の数を必要に応じて増大或いは減少させて、軸方向流路30,120,220からの製品の配分をそれぞれ変更するようにしてもよい。
【0045】
また、第1乃至第3実施形態において、固定された数の出口スリット46,136,236がそれぞれ図2、図6及び図10に示されているが、スリットの数を必要に応じて増大或いは減少させ、流出された製品の断面を変更するようにしてもよい。
更に、第1乃至第3実施形態において、スリット46,136,236はそれぞれ、ほぼ長方形の断面を有するものとして示されているが、スリット46,136,236の断面は楕円形や円形に、畝やその他の様々な形状を設けることにより、スリットから流出される製品の配分や断面を変更するようにしてもよい。
【0046】
また、第1乃至第3実施形態において、注出口22,112,212のそれぞれ、及び吐出バルブ組立体12,102,202の様々な部品のそれぞれは、ほぼ円形の断面を有するものとして示されているが、この開示に基づき、前述の部品が楕円形、矩形或いはその他の断面を有することにより、第1乃至第3実施形態のそれぞれにおける注出口22,112,212から流出する製品の断面を更に変更するようにしてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0047】
更に、第1乃至第3実施形態において、吐出バルブ組立体12,102,202のそれぞれは、手動ポンプ式ディスペンサ用として示されているが、この開示に基づき、吐出バルブ組立体12,102,202が圧搾式ポンプや非手動式ポンプ、即ち手動で変形可能な側壁や壁部材を有するディスペンサや、液体製品を吐出するためのポンプモータを有するディスペンサであってもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0048】
また、第1乃至第3実施形態において、吐出バルブ組立体12,102,202のそれぞれは、ポンプ式ディスペンサ10,100,200のそれぞれに設けられた別体の吐出バルブに付加して使用されるものとして述べられているが、組立体12,102,202はそれぞれ、当業者にとって明らかであるように、ポンプ式ディスペンサ10,100,200に設けられた別体の吐出バルブに付加して用いられてもよいし、別体の吐出バルブに代えて用いられてもよい。
【0049】
本発明の特定の実施形態が添付の図面を参照することにより詳細に述べられたが、本発明はこれら特定の実施形態に限定されるものではなく、添付された請求項で規定される発明の範囲或いは真意から逸脱することなく、当業者により様々な変更及び修正が可能であると理解されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るポンプ式ディスペンサを部分的に破断し、休止状態にある吐出バルブ組立体及び弾性吐出バルブの第1実施形態における様々な内部の特徴を示す側面図である。
【図2】星形のバルブ出口を示す、図1のほぼ2−2線に沿った吐出バルブ組立体の断面図である。
【図3】ポンピングの際に開放吐出状態に変形した弾性吐出バルブの第1実施形態を示す、図1のポンプ式ディスペンサ注出口の部分的側面図である。
【図4】横方向流路の配置を示す、図1のほぼ4−4線に沿った吐出バルブ組立体の第1実施形態の断面図である。
【図5】本発明に係るポンプ式ディスペンサを部分的に破断し、休止状態にある吐出バルブ組立体及び弾性吐出バルブの第2実施形態における様々な内部の特徴を示す側面図である。
【図6】星形のバルブ出口を示す、図5のほぼ6−6線に沿って見た吐出バルブ組立体の図である。
【図7】ポンピングの際に開放吐出状態に変形した弾性吐出バルブの第2実施形態を示す、図5のポンプ式ディスペンサ注出口の部分的側面図である。
【図8】横方向流路の配置を示す、図5のほぼ8−8線に沿った吐出バルブ組立体の第2実施形態の断面図である。
【図9】本発明に係るポンプ式ディスペンサを部分的に破断し、休止状態にある吐出バルブ組立体及び弾性吐出バルブの第3実施形態における様々な内部の特徴を示す側面図である。
【図10】星形のバルブ出口を示す、図9のほぼ10−10線に沿って見た吐出バルブ組立体の図である。
【図11】ポンピングの際に開放吐出状態に変形した弾性吐出バルブの第3実施形態を示す、図9のポンプ式ディスペンサ注出口の部分的側面図である。
【図12】横方向流路の配置を示す、図9のほぼ12−12線に沿った吐出バルブ組立体の第3実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10,100,200 ポンプ式ディスペンサ
12,102,202 吐出バルブ組立体
16,106,206 プランジャヘッド
22,112,212 注出口
26,116,216 バルブ
28,118,218 バルブアダプタ
30,120,220 軸方向流路
32,122,222 横方向流路
38,128,228 環状壁
40,130,230 環状リブ
42 環状溝
46,136,236 出口スリット
142,242 バルブシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製品を流入させるための入口端と、注出口に取り付けられ、前記注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体とを備えた注出口であって、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径よりも小さい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記液体製品からの圧力が加えられたときに、前記出口バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなることを特徴とする注出口。
【請求項2】
液体製品を流入させるための入口端と、注出口に取り付けられ、前記注出口からの液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体とを備えた注出口であって、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径にほぼ等しい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記液体製品からの圧力が加えられたときに、前記出口バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな軸方向への収縮を可能とする素材からなることを特徴とする注出口。
【請求項3】
前記出口バルブは、吐出される前記液体製品がほぼ星形の断面を有するように方向付けられた複数のスリット状開口を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の注出口。
【請求項4】
バルブアダプタを更に備え、
前記出口バルブは、前記バルブアダプタに結合されることにより、前記注出口内に保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の注出口。
【請求項5】
前記バルブアダプタと前記出口バルブとは、環状溝と環状リブ、及び環状リブと環状壁のいずれか1組を備えることにより共に結合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の注出口。
【請求項6】
前記バルブアダプタは、前記注出口の上流端から前記スリット状開口に向けての前記液体製品の流通のための軸方向流路を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の注出口。
【請求項7】
前記バルブアダプタは、前記軸方向流路と流体的に連結されて前記注出口の上流端から前記スリット状開口に向けての前記液体製品の均一な配分を可能とする複数の横方向流路を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の注出口。
【請求項8】
前記バルブシートは、前記バルブアダプタと一体的に形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の注出口。
【請求項9】
前記出口バルブは、シリコン及び熱可塑性エラストマの少なくとも一方により形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の注出口。
【請求項10】
前記出口バルブは、前記ボア内で膨張可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の注出口。
【請求項11】
前記出口バルブは、前記スリット状開口から前記液体製品が吐出されないようにするため、前記バルブシートの周面に対し、主として径方向に収縮可能であることを特徴とする請求項1に記載の注出口。
【請求項12】
前記出口バルブは、収縮状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有することを特徴とする請求項1に記載の注出口。
【請求項13】
前記出口バルブは、前記スリット状開口から前記液体製品が吐出されないようにするため、前記バルブシートの前面及び周面のそれぞれに対し、軸方向及び径方向に収縮可能であることを特徴とする請求項1に記載の注出口。
【請求項14】
前記出口バルブは、収縮状態にあるときにほぼ円錐台状の外形を有することを特徴とする請求項1に記載の注出口。
【請求項15】
前記出口バルブは、前記ボアから軸方向外方に膨張可能であることを特徴とする請求項2に記載の注出口。
【請求項16】
前記出口バルブは、前記スリット状開口から前記液体製品が吐出されないようにするため、前記バルブシートの前面に対し、主として軸方向に収縮可能であることを特徴とする請求項2に記載の注出口。
【請求項17】
前記出口バルブは、収縮状態にあるときにほぼ円筒状の外形を有し、前記出口バルブの前面は前記出口バルブの側壁よりも実質的に厚くなっていることを特徴とする請求項2に記載の注出口。
【請求項18】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能なプランジャヘッドを有した手動ポンプ式ディスペンサであって、前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、請求項1乃至17のいずれかに記載の注出口とを備え、前記吐出バルブ組立体は、前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容することを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサ。
【請求項19】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能であり、注出口を有する手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッドであって、前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、請求項1乃至17のいずれかに記載の注出口とを備え、前記吐出バルブ組立体は、前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容することを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッド。
【請求項20】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能なプランジャヘッドを有した手動ポンプ式ディスペンサであって、
前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、
前記ポンプボディに設けられた注出口に取り付けられる吐出バルブ組立体とを備え、
前記吐出バルブ組立体は前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容し、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は、実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径よりも小さい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記各圧縮ストロークにおける前記液体製品からの圧力による、前記出口バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなることを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサ。
【請求項21】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能であり、注出口を有する手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッドであって、
前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、
前記注出口に取り付けられ、前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体とを備え、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径よりも小さい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記各圧縮ストロークにおける前記液体製品からの圧力による、前記出口バルブの軸方向及び径方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな収縮を可能とする素材からなることを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッド。
【請求項22】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能なプランジャヘッドを有した手動ポンプ式ディスペンサであって、
前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、
前記ポンプボディに設けられた注出口に取り付けられる吐出バルブ組立体とを備え、
前記吐出バルブ組立体は前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容し、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は、実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径にほぼ等しい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記各圧縮ストロークにおける前記液体製品からの圧力による、前記出口バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな軸方向への収縮を可能とする素材からなることを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサ。
【請求項23】
圧縮ストロークと戻りストロークとの間で往復動可能であり、注出口を有する手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッドであって、
前記戻りストロークのたびに前記ポンプ式ディスペンサ内に液体製品を流入させるための入口バルブを有するポンプボディと、
前記注出口に取り付けられ、前記圧縮ストロークのたびに前記注出口からの前記液体製品の選択的な流出を許容する吐出バルブ組立体とを備え、
前記注出口は所定径のボアを有し、
前記吐出バルブ組立体は実質的に前記ボア内に配置された出口バルブを有し、
前記出口バルブは前記所定径にほぼ等しい外径を有しており、
前記出口バルブは、前記各圧縮ストロークにおける前記液体製品からの圧力による、前記出口バルブの主として軸方向への所定の膨張を許容することにより、前記出口バルブの出口端における少なくとも1つのスリット状開口から前記液体製品が吐出されるのを可能とすると共に、前記液体製品が前記スリット状開口から吐出されないようにするため、バルブシートに対する前記出口バルブの速やかな軸方向への収縮を可能とする素材からなることを特徴とする手動ポンプ式ディスペンサのプランジャヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−82878(P2006−82878A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−268366(P2005−268366)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(505037062)サン−ゴバン カルマー インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SAINT−GOBAIN CALMAR INC.
【住所又は居所原語表記】333 South Turnbull Canyon Road,City of Industry,California 91745−1203,U.S.A.
【Fターム(参考)】