説明

注出口組合体、及び注出口付き包装体

【課題】
完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体、及び注出口付き包装体を提供する。
【解決手段】
注出口本体20が注出口下部30と該注出口下部30と破断可能な薄肉部40を介した注出口上部50とからなる注出口本体20と、該注出口本体20へ螺合するキャップ下部80と該キャップ下部80と背中合わせに前記注出口上部50へ係合部を有するキャップ上部90とからなるキャップ70とからなる注出口組合体10であることを特徴とし、該注出口組合体10を有しレトルト殺菌可能である注出口付き包装体であることも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口組合体に関し、さらに詳しくは、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体、及び注出口付き包装体に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム」、「ON」は「2軸延伸ポリアミドフィルム」、「OPP」は「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「CPP」は「無延伸ポリプロピレンフィルム」、「LDPE」は「低密度ポリエチレン」、「MDPE」は「中密度ポリエチレン」、「LLDPE」は「直鎖状低密度ポリエチレン」、「PVDC」は「ポリ塩化ビニリデン」、及び「PP」は「ポリプロピレン」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明の注出口組合体は包装体へ取り付けられ、注出口付き包装体となり、該注出口付き包装体の主なる用途としては、例えば、ジュース類、スポーツドリンク、栄養ドリンク剤、飲料水、お茶、コーヒー飲料、スープ類、めんつゆ類、調味料、ゼリー状飲料等の粘性の低い液状物などの包装体である。好ましくは、レトルト殺菌処理した内容物で、例えば、お粥等の流動食品、ゼリー状食品、液体スープ、調味料、カレー、シチュー、ミートソース、その他等の液状食品等を挙げることができる。而して、本発明にかかる注出口付きレトルト用袋に内容物を充填包装し、更に、レトルト処理あるいはボイル処理してなる包装製品は、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性等に優れ、レトルト処理あるいはボイル処理等の加工に伴う熱処理に耐え、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れているものである。
しかしながら、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易さを必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、液体、小さな固形物を含む流動性物質などを収納する包装体は、軽量、廉価で、しかも変形が可能で取り扱い易いことから、フレキシブル包材からなる自立性袋、カゼット型袋、その他等の種々の形態からなるプラスチック性軟包装用袋が使用されている。該軟包装袋には、内容物の取り出しを容易とするため、通常は何らかの工夫が施されている。例えば、簡便な方法としては、袋の端部に開封のきっかけとなる切り込みを設けた物がある。しかしながら、これではリクローズ性がなく、汎用性に欠ける。
また、開封が簡単であり、かつ、内容物の飲料を容易にし、あるいは、内容物を注ぎ易くしてその取り出しを容易にするために、その袋体の一辺の開口部に注出口を取り付けてなる注出口付き包装体も提案されている。これらの包装製品は、取り扱いが簡単であり、また、再密閉性等を有し、近年、若年層を中心にして、その需要が高まっているものである。しかしながら、通常の注出口は注出口本体と螺合するキャップとからなり、内容物を完全に密封することが困難であった。
さらに、内容物によっては、殺菌のために、ボイル殺菌処理、熱水や蒸気などによる加熱殺菌処理、熱水や蒸気などによる加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)処理が必要な場合がある。しかしながら、注出口付き包装体においては、レトルト品の規格に義務付けられている密封性が、注出口を完全密封できず規格外となり、また、加熱による注出口の変形、パウチとの接着部分が剥離などの危険性もあり、レトルト殺菌処理は困難であった。
従って、注出口組合体は、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもできることが求められ、該注出口組合体を有する注出口付き包装体は、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易いことが求められている。
【0005】
(先行技術)従来、本出願人は、注出口本体を構成する筒状口部の開口部を密閉シール材で密封しておき、該密封シール材を除去することで開口する、注出口組合体、注出口付きレトルト用袋を開示している(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかしながら、開封する際には開封しにくく、密封シール材が破れたり、液体がこぼれたりする危険性があり、使用後に廃棄する際には包装体、キャップ、除去した密封シール材の3点がゴミとなり、廃棄点数が多く煩雑であるという問題点がある。
また、本出願人は、初期開封時キャップ形成部は薄肉部を破壊し分離して開口したり、薄肉部にて封止板を引き破るか、ないしは薄肉部にてキャップ体を折り曲げて切り取り開口したりする注出口も開示している(例えば、特許文献3〜4参照。)。しかしながら、開口する際に、薄肉部を破壊したり、引き破ったり、折り曲げて切り取ったりするが、大きな力を要し、高齢者や子供では開口しにくく、内容物をこぼしたりするという欠点がある。
このように、従来では、完全に密封でき、好ましくはレトルト殺菌処理ができて、開封時には高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体、及び注出口付き包装体については記載されていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−328662号公報
【特許文献2】特開2000−33958号公報
【特許文献3】特開平10−152162号公報
【特許文献4】特開2000−142769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体、及び注出口付き包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる注出口組合体は、注出口本体と、該注出口本体へ螺合するキャップとからなる注出口組合体において、前記注出口本体が注出口下部と該注出口下部と破断可能な薄肉部を介した注出口上部とからなり、前記キャップが前記注出口本体へ螺合するキャップ下部と該キャップ下部と背中合わせに前記注出口上部へ係合部を有するキャップ上部とからなり、初期開封時にはキャップをはずして反転させ、キャップ上部の係合部を、注出口上部へ係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口し、リクローズ時にはキャップを再度反転し戻して、前記注出口下部と螺合することで閉止するように、したものである。
請求項2の発明に係わる注出口組合体は、上記注出口上部の外側に縦リブを有し、上記キャップ上部の係合部に前記縦リブを係止するリブを有し、該リブと前記縦リブとの組み合わせで、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口するように、したものである。
請求項3の発明に係わる注出口組合体は、上記注出口上部の外側に外ネジを有し、上記キャップ上部の係合部に前記外ネジに螺合する内ネジを有し、該内ネジと前記外ネジとの螺合で、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口するように、したものである。
請求項4の発明に係わる注出口組合体は、上記薄肉部を開口後に天面となる位置よりも包装体側とし、かつ、上記注出口上部の外側に内ネジを有し、キャップ上部の係合部に前記内ネジに螺合する外ネジを有し、該外ネジと前記内ネジとの螺合で、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口するように、したものである。
請求項5の発明に係わる注出口付き包装体は、請求項1〜4のいずれかに記載の注出口組合体を有するように、したものである。
請求項6の発明に係わる注出口付き包装体は、上記注出口付き包装体がレトルト殺菌可能であるように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、完全に密封でき、容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体が提供される。
請求項2〜4の本発明によれば、完全に密封でき、開封時には高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体が提供される。
請求項5の本発明によれば、完全に密封でき、開封時には高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い注出口組合体を有する注出口付き包装体が提供される。
請求項6の本発明によれば、請求項5の効果に加えて、レトルト殺菌処理ができるので、常温で長期保存できる注出口付き包装体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す注出口組合体の断面図である。
図2は、図1の注出口本体の平面図及び断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
図4は、本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
図5は、本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
【0011】
(注出口組合体)本発明の注出口組合体は、図1に示すように、図1(B)に示す注出口本体20と、該注出口本体20へ螺合する図1(A)に示すキャップ70とからなる。
注出口本体20は注出口下部30と該注出口下部30と破断可能な薄肉部40を介した注出口上部50とからなる。注出口下部30は開口して内容物を注出する筒状部31と、キャップ下部80のネジ81と螺合するネジ33と、フランジ35と、包装体をヒートシールなどで一体化させる基部37とからなっている。注出口上部50は縦リブ53を有する係合部51であり、図2に示すように、その天面部55は密閉シール材60で密封されている。
【0012】
(密閉シール材)密閉シール材60としては、注出口上部50の天面部55の開口部に密接着し、該開口部を密閉することができればよく、好ましくは、レトルト処理又はボイル処理等の条件に耐えることである。具体的には、基材/ヒートシール層、基材/バリア層/ヒートシール層などの積層材を使用することができる。基材としては、PETやONなどのプラスチックフィルム、Al箔などの金属箔を単独又は複数で用いられる。バリア層としては、PVDCなどのバリア材料をコーティングしたOPP、PET及びONなどのプラスチックフィルム、Alや酸化珪素などの薄膜バリア材料をコーティングしたOPP、PET及びONなどのプラスチックフィルム、Al箔などが用いられる、ヒートシール層としては、LDPE、MDPE、LLDPE、又はPPなどのプラスチックの単独、共重合体又は変性体などが用いられる。
【0013】
これらを公知の、ドライラミネーション法、イクストルージョンコーティング法などの積層法で積層すればよい。ヒートシール層としては、構成する材料等を選択することで、イージピール性、又は完全シール性を有する密閉シール材60として使用することもできる。但し、密閉シール材60を突き破る場合には、Al/ヒートシール層などの破り易い構成が好ましい。
【0014】
密閉シール材60の天面部55への密閉は、バーシール、回転ロールシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知のヒートシール方法で行うことができる。該密閉は、内容物を注出口上部50の天面部55の開口部から充填する場合には充填後に、また、包装体の底部から充填する場合には予めシールしておいてもよい。本発明の注出口組合体を用いた注出口付き包装体をレトルト処理又はボイル処理等をする際には、密閉シール材60で天面部55を密閉した状態でも、注出口本体20へキャップ70を螺合させた状態でもよい。
【0015】
(キャップ)キャップ70は注出口本体20へ螺合するキャップ下部80と該キャップ下部80と背中合わせに前記注出口上部20へ係合部を有するキャップ上部90とからなっている。キャップ下部80は注出口下部30のネジ33へ螺合するネジ83を有し、リクローズ時の閉止機能を果たす環状突起83を設けてある。キャップ上部90は、注出口上部50の縦リブ53へ係合する係止リブ91とアンダーカット93とを有している。
【0016】
(注出口組合体)注出口本体20及びキャップ70の材料は特に限定はなく、公知のものでよく、例えばLDPE、PPなどの材料で、射出成形法などの公知の成形法でその形状に合致した成形金型等を使用し、射出成形法等を利用して製造成形すればよい。注出口本体20及びキャップ70としては、透明体ないし不透明体等のいずれのものでもよい。注出口本体20とキャップ70との間には、必要に応じて、パッキン、Oリングなどを介してもよい。
【0017】
(閉止方法)初期の閉止方法と、初期の開封方法を図3に図示する。まず、図3(A)は、キャップ70と注出口本体20である。注出口本体20は注出口下部30と該注出口下部30と破断可能な薄肉部40を介した注出口上部50とからなり、該注出口上部50は縦リブ53を有する係合部51を有し、その天面部55は密閉シール材60で密封されている。
【0018】
図3(B)は、キャップ70を注出口本体20へ螺合した状態で、キャップ下部80のネジ81が、注出口下部30のネジ33へ螺合することで、閉止される。必要に応じて、レトルト処理又はボイル処理等の処理が行われ、保存、流通、販売される。
【0019】
(開封方法)使用時には、初期の開封が行われる。まず、図3(C)では、キャップ70の螺合を逆回転させてはずし、次に反転させる。反転したキャップ70のキャップ上部90の係合部を、注出口上部50へ係合させた状態である。キャップ上部90の係止リブ91が、注出口上部50の縦リブ53とアンダーカット93へ当接され接続させる。
【0020】
図3(D)は、キャップ70を折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部40を破断し分離することで、開封し開口することができる。分離された注出口上部50は密閉シール材60と共に、キャップ70に内臓されたままの状態で分離される。このように、開封は大きくて強固なキャップ70毎、折り曲げ及び/又は回転させるので、高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できる。廃棄時には、注出口上部50がキャップ上部90へ収納されたままなので、部品点数が少なく、廃棄し易い。
【0021】
(不正開封防止)また、注出口組合体10は、薄肉部40を破断して注出口上部50を分離することで、開封するために、開封済みであることが明らかに確認できる構造であり、悪戯防止、またはタンパープルーフキャップの効果もある。
【0022】
(リクローズ方法)また、リクローズしたい時には、図示していないが、キャップ70を再度反転し元の位置状態へ戻して、注出口下部30と螺合することで閉止できる。該閉止では、キャップ下部80の内側にある環状突起83(コンタクトリングともいう)が、注出口上部50が切断されて分離され除去されている注出口下部30の筒状部31の天側でフラットな部分へ当たって閉止することで、液体などの内容物の漏れを防止することができて、完全に密封できる。
【0023】
(他の注出口組合体)また、本発明の注出口組合体は、図4に示すように、注出口上部50の外側に外ネジ57を有し、キャップ上部90の係合部に外ネジ57に螺合する内ネジ95を有し、該内ネジ95と前記外ネジ57との螺合で、注出口上部50とキャップ上部90とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口するように構成してもよく、請求項3の発明である。
【0024】
注出口上部50とキャップ上部90との係合方法が違うのみで、初期の閉止方法、初期の開封方法、リクローズ方法は同じである。注出口上部50とキャップ上部90とは確実に係合することができるので、開封時には高齢者や子供でもより小さな力で容易に開封できる効果がある。
【0025】
(他の注出口組合体)さらに、本発明の注出口組合体は、図5に示すように、薄肉部40を開口後に天面となる位置よりも包装体側とし、かつ、上記注出口上部50の外側に内ネジ59を有し、キャップ上部90の係合部に前記内ネジ59に螺合する外ネジ97を有し、該外ネジ97と前記内ネジ59との螺合で、注出口上部50とキャップ上部90とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口するように構成してもよく、請求項4の発明である。注出口上部50とキャップ上部90との係合方法が違うのみで、初期の閉止方法、初期の開封方法、リクローズ方法は同じである。なお、この場合、図5(C)に示すように、密封シール材60はキャップ上部90のネジ97の刃状の先端で突き破られ、注出口上部50の内ネジ59と螺合する。
【0026】
注出口上部50とキャップ上部90とは確実に係合することができるので、開封時には高齢者や子供でもより小さな力で容易に開封できる効果がある。さらに、破断されてバリなどの発生しやすい薄肉部40は開口天面となる位置よりも包装体側にあるので、直接口を着けて飲用しても、触れることがなく安全である。
【0027】
(注出口付き包装体)上記の本発明の注出口組合体の注出口下部30の基部37に包装体がヒートシールなどで一体化させることで、注出口付き包装体とすることができる。該注出口付き包装体は、完全に密封でき、開封時には高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い。
【0028】
包装体としては、注出口下部30の基部37へヒートシールなどで一体化できれば、特に限定されることはなく、例えばパウチ、容器、ボトルなどが適用できる。好ましくは、主に液体などの流動物を入れるパウチ型の容器で、パウチ本体の形状としては、2方シール袋、3方シール袋、4方シール袋、ピロー包装袋、ガゼット袋などで特に限定されるものではない。好ましくはスタンディングパウチ形状であり、スパウト付きスタンディングパウチとして、具体的には、スパウチ(大日本印刷(株)製)、ソフトパウチ(フジシール(株)製)、ハンディパウチ(凸版印刷(株)製)、チアーパック(細川洋行(株)製)などの市販品も適用できる。
【0029】
(パウチ本体)パウチ本体に用いる積層フィルムとしては、例えば、OPP/ヒートシール層、PET/ヒートシール層、ON/ヒートシール層、PET/ON/ヒートシール層などが適用できる。ヒートシール層としては、LDPE、MDPE、LLDPE、CPPの単独、共重合体又は変性体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。LLDPEとしては、具体的には、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体で、例えば、三菱化学株式会社製の商品名「カーネル」、三井石油化学工業株式会社製の商品名「エボリュー」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティー(AFFINITY)、商品名「エンゲージ(ENGAGE)」等のフィルムを使用することができる。
【0030】
注出口付き包装体へ収納する内容物が物理化学的に劣化しやすい場合、長期間保管する場合には、積層フィルムへガスバリア層を積層することが好ましい。この場合には、上記の積層フィルムへ、さらに、Al箔、Al蒸着PET、ON又はOPP、シリカ蒸着PET、ON又はOPP、PVDCコートON、PVDCコートPET、EVOH、などのガスバリア性を有する層を積層すればよい。また、上記の積層フィルムのPET、ON、OPPに代えて、Al蒸着PET、ON又はOPP、シリカ蒸着PET、ON又はOPP、PVDCコートON、PVDCコートPETを用いるようにしてもよい。
【0031】
これらの積層フィルムは、通常、各々をフィルム状としてから接着剤で積層したり、塗布液として塗布し乾燥して塗布層としてもよい。具体的には、ドライラミネーション法、イクストルージョンコーティング法などの、当業者では公知の方法で積層することができる。該積層フィルムとしての厚さとしては、特に限定されるものではないが、30〜1000μm程度、好ましくは50〜500μmである。
【0032】
(レトルト殺菌)本発明の注出口付き包装体は、レトルト殺菌する用途に好ましく使用できる。構成する注出口本体20、キャップ70、密封シール材60、及び包装体の各材料を前述からレトルト可能なものを選定すればよい。従来ではレトルト品の規格に義務付けられている密封性が、注出口を完全密封できず規格外となったが、本発明の注出口付き包装体を用いれば、密封シール材60で密封性できるので、レトルト殺菌処理内容物に適用できる。レトルト殺菌処理ができるので、常温で長期保存でき、もちろん、開封時には高齢者や子供でも小さな力で容易に開封できて、リクローズもでき、かつ、廃棄時には部品点数が少なく、廃棄し易い。
【0033】
(レトルト)レトルト殺菌処理は、まず注出口本体の開口部から内容物を充填し該開口部を密閉シール材をヒートシールした注出口付き包装体を製造し、しかる後、該注出口付き包装体をレトルト処理する。該レトルト処理は、例えば、通常のレトルト釜を使用し、温度は110〜130℃位、好ましくは120℃前後位、圧力は1〜3Kgf/cm2・G、好ましくは2.1Kgf/cm2・G前後位、時間は20〜60分間位、好ましくは、30分間前後で加熱加圧処理する方法等により行うことができる。また、ボイル処理でもよく、温度が90〜100℃、好ましくは、90℃前後位、時間は5〜20分間位、好ましくは、10分間前後位でボイル処理する方法等により行うことができる。上記のようなレトルト処理あるいはボイル処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)(1)PP樹脂を用いて、図1(B)に示すような、筒状部31の内径が8.5mm、外径が11mm、高さが20mmで外ネジ33、フランジ35及び基部37を有する注出口下部30と、係合部51の内径が6.5mm、外径が9mm、高さが10mmで縦リブ53を有する注出口上部50が、薄肉部40を介して一体な注出口本体20を、射出成形法で成形した。
(2)PP樹脂を用いて、図1(A)に示すような、内ネジ81と環状突起83を有するキャップ下部80と、係止リブ91とアンダーカット部93を有するキャップ上部90とからなるキャップ70を、射出成形法で成形した。
(3)公知のドライラミネーション法で、厚さ12μmのPET/厚さ9μmのAl箔/厚さ15μmのON/厚さ80μmのCPP、の構成の積層フィルムを作成した。
(4)該積層フィルムを用いて、縦170mm、横85mmのスタンディングパウチを作成した。
(5)該スタンディングパウチの開口部に、前述の(1)で製造した注出口本体20の基部37を当接し、その当接部分をヒートシールして接着させて、注出口付き包装体を製造した。
(6)別途、厚さ12μmのPET/厚さ20μmのAl箔/厚さ12μmのPET/厚さ40μmのCPPからなる積層材を製造し、これを使用して、縦13mm、横13mmからなる密閉シール材60を製造しておく。
【0036】
(実施例2)注出口本体20とキャップ70の形状を図4のようにする以外は、実施例1と同様にして、実施例2の注出口付き包装体を得た。
【0037】
(実施例3)注出口本体20とキャップ70の形状を図5のようにし、密閉シール材60を厚さ50μmのAl箔/厚さ40μmのCPPからなる積層材と、する以外は、実施例1と同様にして、実施例3の注出口付き包装体を得た。
【0038】
(評価)(1)レトルト:実施例1〜3の注出口付き包装体の注出口の開口部から、お粥を充填包装し、更に、その開口部に前述の(6)で製造した密閉シール材60を、CPP面を対向させて重ね合わせて、しかる後、ヒートシールして密接着させて、その両者を固着させて包装体を製造した。該包装体をレトルト釜に入れて、温度120℃、圧力2.1Kgf/cm2・Gで30分間のレトルト処理(加熱殺菌処理)を行った。次いで、該レトルト処理済の包装体の密閉シール材60部の上から、前述の(2)で製造したキャップ70を螺着させてレトルト包装製品を製造した。
上記のレトルト包装製品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒートシール性、耐ピンホール性等に優れ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品包装容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
(2)開封:図3(C)に示すように、キャップ70の螺合を逆回転させてはずし、次に反転させる。反転したキャップ70のキャップ上部90の係合部を、注出口上部50へ係合させる。次に、図3(D)に示すように、キャップ70を折り曲げ及び/又は回転させて、薄肉部40を容易に破断し分離でき、開口することができた。
(4)内容物を食したところ、美味であった。
(5)リクローズ:キャップ70を再度反転し元の位置状態へ戻して、注出口下部30と螺合することで閉止でき、キャップ下部80の内側にある環状突起83が、注出口上部50が切断されて分離され除去されている注出口下部30の筒状部31の天側でフラットな部分へ当たって閉止できるので、内容物の漏れもなかった。
(6)分離された注出口上部50は密閉シール材60と共に、キャップ70に内臓されたままの状態で分離されているので、廃棄時の部品点数が少なかった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の1実施例を示す注出口組合体の断面図である。
【図2】図1の注出口本体の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
【図4】本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
【図5】本発明の1実施例を示す注出口組合体の開口工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10:注出口組合体
20:注出口本体
30:注出口下部
31:筒状部
33、57、59、81、95、97:ネジ
35:フランジ
37:基部
40:薄肉部
50:注出口上部
51:係合部
53:縦リブ
55:天面部
60:密閉シール材
70:キャップ
80:キャップ下部
83:環状突起
90:キャップ上部
91:係止リブ
93:アンダーカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口本体と、該注出口本体へ螺合するキャップとからなる注出口組合体において、前記注出口本体が注出口下部と該注出口下部と破断可能な薄肉部を介した注出口上部とからなり、前記キャップが前記注出口本体へ螺合するキャップ下部と該キャップ下部と背中合わせに前記注出口上部へ係合部を有するキャップ上部とからなり、初期開封時にはキャップをはずして反転させ、キャップ上部の係合部を、注出口上部へ係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口し、リクローズ時にはキャップを再度反転し戻して、前記注出口下部と螺合することで閉止することを特徴とする注出口組合体。
【請求項2】
上記注出口上部の外側に縦リブを有し、上記キャップ上部の係合部に前記縦リブを係止するリブを有し、該リブと前記縦リブとの組み合わせで、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口することを特徴とする請求項1に記載の注出口組合体。
【請求項3】
上記注出口上部の外側に外ネジを有し、上記キャップ上部の係合部に前記外ネジに螺合する内ネジを有し、該内ネジと前記外ネジとの螺合で、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口することを特徴とする請求項1に記載の注出口組合体。
【請求項4】
上記薄肉部を開口後に天面となる位置よりも包装体側とし、かつ、上記注出口上部の外側に内ネジを有し、キャップ上部の係合部に前記内ネジに螺合する外ネジを有し、該外ネジと前記内ネジとの螺合で、注出口上部とキャップ上部とを係合させた後に、折り曲げ及び/又は回転させることで、薄肉部を破断し分離することで開口することを特徴とする請求項1に記載の注出口組合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の注出口組合体を有することを特徴とする注出口付き包装体。
【請求項6】
上記注出口付き包装体がレトルト殺菌可能であることを特徴とする請求項4に記載の注出口付き包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−191160(P2007−191160A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8409(P2006−8409)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】