説明

注出口部材

【課題】容器本体に充填された液体商品を注ぎやすく、こぼしにくい注出口部材を提供する。
【解決手段】LLDPEによって形成された中空体であり、スパウトの口部に装着される装着部11と、装着部11に連設された略円錐状の口部本体12とから構成されている。装着部11の外周面には、軸方向に延びる多数の凹条11aからなるローレットが形成されており、内周面にはスパウト付きパウチ容器のスパウトの口部外周面に形成された雄ねじと螺合する雌ねじ11bが形成されている。口部本体12は基端部側から大径ストレート部12a、テーパ部12b及び小径ストレート部12cを備えている。小径ストレート部12cには軸芯から放射状に延びる3本の切れ目13が形成されており、口部本体12の小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分が、口部本体12の径方向外側にそれぞれ弾性変形することによって開口するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ボトル容器に詰め替えるための洗剤、消臭剤、トイレタリー等の液体商品を充填するスパウト付きパウチ容器のスパウト自体や、使用時に、スパウト付きパウチ容器のスパウト部分またはボトル容器の口部に取り付けるアダプタとして使用することができる注出口部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトル容器に詰め替えるための洗剤等の液体商品を充填するスパウト付きパウチ容器としては、図7に示すようなものがある。このスパウト付きパウチ容器50は、同図(a)、(b)に示すように、柔軟性シートによって袋状に形成されたボトムガセットタイプのパウチ51と、このパウチ51の上縁部に装着された、注口となる口部52aをスクリューキャップ52bによって開閉することができるスパウト52とを備えており、こういったスパウト付きパウチ容器50に充填された詰替用の液体商品をボトル容器等に移し替える際は、図7(b)に示すように、スパウト52の口部52aを閉塞しているスクリューキャップ52bを外し、図8に示すように、容器全体を徐々に傾けながら、スパウト52の口部52aをボトル容器60の口部61の上端縁に沿わせるようにして、液体商品をスパウト52の口部52aからボトル容器60の口部61に注ぎ入れることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−206159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、柔軟性シートによって形成されたパウチは保形性が低いので、特に、液体商品の粘性が低い場合、スクリューキャップを外した状態では、スパウトの口部から溢れやすく、液体商品を正規の容器に移し替える前にこぼしてしまうといった問題があると共に、液体商品を移し替えようとする正規の容器の口部が小さい場合は、注ぎづらいといった問題もある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、容器本体に充填された液体商品を注ぎやすく、こぼしにくい注出口部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、液体内容物が充填される容器本体に直接または他の部材を介して取り付けられる注出口部材であって、前記容器本体または前記他の部材に装着される装着部と、前記装着部に連設された先細の口部本体とを備え、前記口部本体の先端部には、軸芯から放射状に延びる複数の切れ目が形成されており、前記口部本体の先端部における前記切れ目によって分割された部分が、前記口部本体の径方向外側に弾性変形することによって開口するようになっていることを特徴とする注出口部材を提供するものである。
【0007】
なお、本発明の注出口部材には、パウチ等の容器本体に固定的に装着されるスパウトとして使用されるものや、液体商品を抽出する際に、そういったスパウトに着脱自在に取り付けるアダプタ等が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、請求項1に係る発明の注出口部材は、口部本体の先端部が先細になっているので、容器の口部に差し込むような状態で注出することができ、液体商品を移し替えようとする容器の口部が小さい場合でも注ぎやすい。
【0009】
また、先細の口部本体の先端部における切れ目によって分割された部分が、口部本体の径方向外側に弾性変形することによって開口するようになっており、液体商品が充填されている容器本体を握って、口部本体の先端に内圧をかけなければ、注出口が閉じた状態に保持されるので、容器本体に充填されている液体商品をこぼしにくく、液だれも起こしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)はこの発明に係る注出口部材の一実施形態であるアダプタを示す平面図、(b)は同上のアダプタを側面側から視た部分縦断面図である。
【図2】(a)〜(c)は同上のアダプタの使用方法を説明するための説明図である。
【図3】同上のアダプタをスパウト付きパウチ容器のスパウトの口部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】スパウトの口部に同上のアダプタを取り付けたスパウト付きパウチ容器に充填された液体商品を容器に移し替える様子を示す斜視図である。
【図5】同上のアダプタにおける注出口の開口状態を示す斜視図である。
【図6】同上のアダプタの変形例を示す部分断面図である。
【図7】(a)は一般的なスパウト付きパウチ容器を示す斜視図、(b)は同上のスパウト付きパウチ容器におけるスクリューキャップを外した状態を示す斜視図である。
【図8】同上のスパウト付きパウチ容器に充填された液体商品をボトル容器に移し替える様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、詰替用の洗剤、消臭剤、トイレタリー等の液体商品が充填されたスパウト付きパウチ容器のスクリューキャップによって開閉するスパウトの口部に取り付けるアダプタ1を示している。
【0012】
このアダプタ1は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって形成された中空体であり、図1(a)、(b)に示すように、スパウトの口部に装着される装着部11と、この装着部11に連設された略円錐状の口部本体12とから構成されている。
【0013】
前記装着部11の外周面には、軸方向に延びる多数の凹条11aからなるローレットが形成されており、内周面には、スパウト付きパウチ容器のスパウトの口部外周面に形成された雄ねじと螺合する雌ねじ11bが形成されている。
【0014】
前記口部本体12は、基端部側から、大径ストレート部12a、テーパ部12b及び小径ストレート部12cを備えており、大径ストレート部12a及び小径ストレート部12cとテーパ部12bとの間には、それぞれ段部が形成されている。
【0015】
前記大径ストレート部12a及びテーパ部12bは、それぞれ均一の肉厚を有しているが、小径ストレート部12cは、基端部であるテーパ部12bとの境界部分が最も薄肉で先端に向かって徐々に厚肉になっていると共に、軸芯から放射状に延びる3本の切れ目13が形成されており、口部本体12の小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分が、口部本体12の径方向外側にそれぞれ弾性変形することによって開口するようになっている。
【0016】
以上のように構成されたアダプタ1は、以下のようにして使用される。まず、図2(a)に示すように、詰替用の液体商品が充填されたスパウト付きパウチ容器2を購入した者が、液体商品を正規の容器に移し替える際、同図(b)に示すように、パウチ21の上縁に装着されたスパウト22のスクリューキャップ22aを外して、スパウト22の口部22bを露出させ、同図(c)に示すように、スパウト22の口部22bにアダプタ1の装着部11をねじ込むことで、図3に示すように、アダプタ1をスパウト22の口部22bに取り付ける。
【0017】
そして、このようにしてアダプタ1を取り付けたスパウト付きパウチ容器2を、図4に示すように、アダプタ1における口部本体12の小径ストレート部12cを容器Vの口部Mに差し込んだ状態でパウチ21を握って、口部本体12の小径ストレート部12cに内圧をかけると、図5に示すように、小径ストレート部12cの切れ目13によって分割された部分が外側に押圧され、最も薄肉である小径ストレート部12cとテーパ部12bとの境界部分を基点として、口部本体12の径方向外側にそれぞれ弾性変形することによって注出口が開口し、液体商品が容器V内に注ぎ入れられる。
【0018】
以上のように、このアダプタ1は、口部本体12の先端部が先細になっているので、容器Vの口部Mに差し込むような状態で注出することができ、詰替用の液体商品を移し替えようとする容器Vの口部Mが小さい場合でも注ぎやすいという効果が得られる。
【0019】
また、このアダプタ1は、口部本体12の小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分が、口部本体12の径方向外側に弾性変形することによって開口するようになっており、液体商品が充填されているパウチ21を握って、口部本体12の小径ストレート部12cに内圧をかけなければ、注出口が開口されることがないので、アダプタ1は、口部本体12の小径ストレート部12cを容器Vの口部Mに沿わすようにセットするまでの間にパウチ21に充填されている液体商品をこぼしにくく、注出後の液だれも起こしにくい。
【0020】
なお、上述したアダプタ1の場合、口部本体12の小径ストレート部12cは、基端部であるテーパ部12bとの境界部分が最も薄肉で先端に向かって徐々に厚肉になっているが、これに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、先端の厚肉部tcpと基端側の薄肉部tnpとの間に段差を形成するようにしてもよい。
【0021】
また、上述したアダプタ1は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)、これらのエラストマー、シリコーン等によって形成することも可能である。ただし、小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分の弾性変形を考慮すると、弾性率が小さい直鎖状低密度ポリエチレンによって形成するほうが望ましい。
【0022】
また、上述した実施形態では、小径ストレート部12cを3本の切れ目13によって3分割しているが、これに限定されるものではなく、液だれ等を防止することができるのであれば、小径ストレート部12cの分割数は適宜設定すればよい。
【0023】
また、上述した実施形態では、口部本体12が、基端部側から、大径ストレート部12a、テーパ部12b及び小径ストレート部12cを備えているが、これに限定されるものではなく、先細であれば、中間部にテーパ部を設ける必要はなく、先端部の外形をテーパ状に形成することも可能である。
【0024】
また、上述した実施形態では、口部本体12の小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分が口部本体12の径方向外側に弾性変形しない状態では、小径ストレート部12cの先端部に注出孔が形成されることはないが、これに限定されるものではなく、口部本体12の小径ストレート部12cにおける切れ目13によって分割された部分が口部本体12の径方向外側に弾性変形しない状態で、液漏れ等が発生しないのであれば、小径ストレート部12cの先端部に予め、小孔を形成しておいてもよい。
【0025】
また、上述した実施形態では、スパウト付きパウチ容器のスパウトの口部本体に着脱自在に取り付けるアダプタ1について説明したが、本発明の注出口部材は、ボトル容器の口部に取り付けるアダプタであってもよく、パウチに装着されるスパウトの口部に適用することもできる。特に、パウチに装着されるスパウトの口部を上述したアダプタ1の形態にする場合は、装着部11の内周面に雌ねじ11bを形成する必要はなく、多数の凹条11aからなるローレットに替えて、装着部11の外周面に、スクリューキャップを取り付けるための外ねじを形成しておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の注出口部材は、ボトル容器に詰め替えるための洗剤、消臭剤、トイレタリー等の液体商品を充填するスパウト付きパウチ容器のスパウト自体や、使用時に、スパウト付きパウチ容器のスパウト部分またはボトル容器の口部に取り付けるアダプタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 アダプタ
2 スパウト付きパウチ容器
11 装着部
11a 凹条
11b 雌ねじ
12 口部本体
12a 大径ストレート部
12b テーパ部
12c 小径ストレート部
13 切れ目
21 パウチ
22 スパウト
22a スクリューキャップ
22b 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体内容物が充填される容器本体に直接または他の部材を介して取り付けられる注出口部材であって、
前記容器本体または前記他の部材に装着される装着部と、
前記装着部に連設された先細の口部本体とを備え、
前記口部本体の先端部には、軸芯から放射状に延びる複数の切れ目が形成されており、
前記口部本体の先端部における前記切れ目によって分割された部分が、前記口部本体の径方向外側に弾性変形することによって開口するようになっていることを特徴とする注出口部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−188147(P2012−188147A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53863(P2011−53863)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】