説明

注出機

【課題】注出、混和作業を効率的に行うことができる注出機を提案する。
【解決手段】混和皿Sを設置する台座1と、この台座1の下部に開閉(スライドによる)可能に設けられ、予備の混和皿Sを収納する収納ケース2と、台座1上で混和皿Sに隣接して設置され、容器4の肩部4aに連係して該容器4を保持するホルダー3とを備え、前記ホルダー3を、軸芯Lの周りに回動可能に保持される枢軸3aと、この枢軸3aに一体連結するプレート3bとに構成する。そして、該枢軸3aに、容器4の注出姿勢を維持するストッパー5を設け、該プレート3bに、容器4の肩部4aに着脱自在に嵌合する切欠部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数種類の材料を皿の上に注出して混和、化学反応等を促進せしめるのに用いて好適な注出機に関するものであり、材料の注出、混和にかかる作業を効率よく実施しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
複数種の材料を使用直前において混和させて使用するものとしては、毛染め剤や洗浄剤あるいは化粧料等が知られており、従来、この種の商品にあっては、内容物を取り出すポンプ機構等に工夫が加えられ、片手による簡単な操作のもとで材料の注出、混和を図ることができるようになっているが、とくに、歯科治療等で用いられる充填剤のような材料については、治療行為と平行しながら材料の注出、混和作業を行うのが普通であることから作業の煩雑化が避けられない状況にあり、このような作業に対処できる手段は今のところ存在せずその開発が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、薬剤等の内容物を簡単な操作のもとで混和皿の上に、適量注出、混和するのに適した新規な注出機を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、混和皿を設置する台座と、この台座の下部に開閉(スライドによる)可能に設けられ、予備の混和皿を収納する収納ケースと、台座上で混和皿に隣接して設置され、容器の肩部に連係して該容器を保持するホルダーとを備え、
前記ホルダーは、軸芯の周りに回動可能に保持される枢軸と、この枢軸に一体連結するプレートからなり、
該枢軸に、容器の注出姿勢を維持するストッパーを設け、該プレートに、容器の肩部に着脱自在に嵌合する切欠部を設けたことを特徴とする注出機である。
【0005】
上記の構成になる注出機において、前記切欠部は、容器の肩部の少なくとも半周にわたって取り囲む装着開口を形成する凹部と、この凹部につながり、プレートの縁部へ向けて漸次に拡大する末広がりの平面形状をなすガイドにて構成することができる。
【0006】
また、上記の注出機においては、混和皿を挟む対向位置にそれぞれホルダーを設け、該台座の天板を、スライド可能に配置した構成を採用することが可能であり、容器としては、胴部を押圧することによって注出栓を通して内容物を注出皿に注出するスクイズタイプの容器を適用するのが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
容器をその肩部でホルダーに連係し、このホルダーの回動により容器の注出口が混和皿の上方に位置させる注出姿勢に保持しておくことにより、容器の胴部を適宜スクイズするだけの簡単な操作で混和皿の上に容器内の内容物を適量注出することができる。
【0008】
台座の下部に収納ケースを設け、この収納ケース内に予備の混和皿を複数枚配置しておくことで混和皿の迅速な取り替えが可能となる。
【0009】
混和皿に予め主剤を入れておき、ここに容器内に充填された反応液等を注出するような場合や1種類の内容物のみを使用する場合(混合しない)にはホルダーは1つ設置するだけで事足りることになるが、複数の容器から同一の混和皿に対して内容物を注出して混和する場合、あるいは複数種の内容物を使い分ける必要がある場合等に際してはホルダーを複数設け(対向配置、片側における並列配置を含む)、台座をスライド可能としておくことで、効率的な注出、混和が実施できる。
【0010】
ホルダーの切欠部を、凹部とガイドにて構成することで容器を水平にスライドさせるだけでホルダーに連係させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがう注出機の実施の形態をその断面で模式的に示した図であり、図2は図1の平面を示した図である。
【0012】
図における1は台座である。この台座1は混和皿Sを載置する凹部tが形成された天板1aと、この天板1aに連結する側板1b、この側板1bの下端に連結する底板1cからなる。また、2は天板1a、側板1b及び底板1cにより取り囲まれた空間領域M内に設置された収納ケースである。この収納ケース2は底板1cの上でスライドさせるによって開閉できるようになっており、収納ケース2内には予備の混和皿Sが複数配置されている。
【0013】
3は台座1上で混和皿Sに隣接して配置されたホルダーである。このホルダー3は軸芯L(図2参照)の周りに回動可能に保持される枢軸3aと、この枢軸3aに一体連結するプレート3bと、このプレート3bの下部に連結保持され容器4の胴部を受ける受け部3cからなり、容器4の肩部に形成された環状溝4aで連係して該容器4を保持することができるようになっている。
【0014】
5は枢軸3aに設けられたストッパーである。このストッパー5はその要部を拡大して図3(a)(b)に示すように、台座1の天板1aに当接する平坦面を有する凸部にて構成され、ホルダー3を回動させて容器4を注出姿勢に保持した際にその平坦面が天板1aに当接して容器4の注出姿勢を維持する。
【0015】
さらに6はプレート3bに設けられ容器4の環状溝4aに着脱自在に嵌合する切欠部である。この切欠部6はホルダー3の外観斜視図を図4に示すように、容器4の環状溝4aの少なくとも半周にわたって取り囲む装着開口を形成する凹部6aと、この凹部6aにつながり、プレート3bの縁部へ向けて漸次に拡大する末広がりの平面形状をなすガイド6bからなる。
【0016】
底板1cの延長部分を容器4の導入経路1cとして、この導入経路1cを通して容器4を導入するとともに、その肩部に設けた環状溝4aをホルダー3の切欠部6に嵌合、連係させ、その状態で容器4を引き起こすと、図5に示すように容器4は注出口4bが混和皿Sの上方に位置する注出姿勢に保持されることとなり、容器4の胴部を適宜スクイズするだけで混和皿Sに適量の内容物を注出することが可能となる。
【0017】
混和皿Sを取り替えるに当たっては、容器4を注出姿勢に保持した状態の時に収納ケース2を引き出してその中に収められている混和皿Sを取り出せばよい。
【0018】
容器4の、ホルダー3に対する連係をより一層確実にするため、環状溝4aの上端には図6に示すようなフランジ4cを設けることができる。
【0019】
また、台座1の側板1bには、ピンセット等の工具を入れておく収納ボックス7が適宜配置される。
【0020】
混和皿Sは、受容凹部S及びこの受容凹部Sを取り囲むように配設された保持脚部S(間欠的に設けられたものや環状体からなるもの。)を備えており、保持脚部Sを台座1の天板1aに形成した凹部tの内周面に連係させることで該混和皿Sを安定配置することができるようになっている。
【0021】
図7、8は本発明にしたがう注出機の他の実施の形態を示したものである。
この例は、混和皿Sを挟む対向位置にそれぞれホルダー3を設け、台座1の天板1aを、フレームに設けた溝部に差し込みその溝部をガイドにしてホルダー3の相互間で水平にスライドできるように構成したものである。
【0022】
かかる構成の注出機においては、2種類の材料を同一の混和皿Sあるいは別の混和皿Sに適宜注出が可能であり、より効率的な注出、混和が可能となる。ホルダー3は対向配置のみならず、同じ側に間隔をおいて複数個配列することもできる。
【0023】
容器4はキャップ8をつけたままでホルダー3に連係させることもでき、キャップ8は図9に示すようなねじ止めタイプのものや図10に示すようなヒンジタイプのものが適用される。
【0024】
収納ケース2については、容器4を注出姿勢に保持した際に開閉できるものを例として示したが、ホルダー3が位置しない側板1bに開口を設け、この開口から空間領域M内に収納ケース2を配置してもよく、この点については限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
簡単な操作のもとで複数の内容物を注出、混和できる注出機が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にしたがう注出機の実施の形態をその断面で模式的に示した図である。
【図2】図1に示した注出機の平面を示した図である。
【図3】(a)(b)はストッパーの要部を拡大して示した図である。
【図4】ホルダーの外観斜視図である。
【図5】容器が注出姿勢に保持された状態を示した図である。
【図6】本発明に適用可能な容器の要部を拡大して示した図である。
【図7】本発明にしたがう注出機の他の実施の形態をその断面で模式的に示した図である。
【図8】図7に示した注出機の平面図である。
【図9】キャップの断面を示した図である。
【図10】キャップの断面を示した図である。
【符号の説明】
【0027】
1 台座
2 収納ケース
3 ホルダー
4 容器
5 ストッパー
6 切欠部
7 収納ボックス
8 キャップ
S 混和皿
M 空間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混和皿を設置する台座と、この台座の下部に開閉可能に設けられ、予備の混和皿を収納する収納ケースと、台座上で混和皿に隣接して設置され、容器の肩部に連係して該容器を保持するホルダーとを備え、
前記ホルダーは、軸芯の周りに回動可能に保持される枢軸と、この枢軸に一体連結するプレートからなり、
該枢軸に、容器の注出姿勢を維持するストッパーを設け、該プレートに、容器の肩部に着脱自在に嵌合する切欠部を設けたことを特徴とする注出機。
【請求項2】
前記切欠部は、容器の肩部の少なくとも半周にわたって取り囲む装着開口を形成する凹部と、この凹部につながり、プレートの縁部へ向けて漸次に拡大する末広がりの平面形状をなすガイドからなる、請求項1記載の注出機。
【請求項3】
混和皿を挟む対向位置にそれぞれホルダーを設け、台座の天板を、スライド可能に配置してなる、請求項1又は2の何れかに記載の注出機。
【請求項4】
前記容器は、胴部を押圧することによって注出栓を通して内容物を注出皿に注出するスクイズタイプの容器である、請求項1〜3の何れかに記載の注出機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−154893(P2009−154893A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332692(P2007−332692)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】