注射可能な非水性懸濁液
本発明は一般に、生物学的に活性な作用物質を投与するための組成物および方法、そしてより詳細には注射可能な非水性懸濁液に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連文献
本出願は2004年12月23日に出願された米国特許仮出願第60/638,448号明細書、および2005年12月19日に出願された米国特許出願第 号明細書の優先権を主張し、その開示は引用により全部、本明細書に編入する。
【0002】
分野
本発明は一般に生物学的に活性な作用物質を投与するための組成物および方法に関し、そしてより詳細には注射可能な非水性懸濁液に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ペプチドまたはヌクレオチドに基づく治療薬のようなある種の治療薬は、一般に比較的高い濃度でのみ効果的である。例えばモノクローナル抗体(mAb)を含む治療薬は一般に投与あたり100mgから1gの間のタンパク質の送達を必要とする。しかし既知の送達系は、最高約50mg/mLのmAb濃度に限定されることが多いので、そのような処置は通常、有効量を投与するために2〜20mLの投与を必要とする。典型的にはそのような大容量は静脈内注入を介して与えられなければならず、これは通常、臨床的に行われる必要がある。これは経費がかかり、非効率的で、しかも不便であるということが容易に考えられる。すなわちこれらの比較的大量のタンパク質用量を皮下または筋肉内注射のような、より望ましい手段に適するような、より少ない容量で送達することが当該技術分野での目標である。
【0004】
1つの概念的取り組みは、より高濃度の可溶性mAbの調製物を調製することになるだろうが、そのようなさらに高濃度の溶液はしばしば溶液を注射できなくする望ましくない高粘度を生じる。同様にそのような高濃度溶液は、全体的な安定性が悪いことが多い。
【0005】
別の取り組みには、凍結乾燥した製剤またはタンパク質結晶が関与するが、これらには注射により送達される前に再構成される必要があり、不便である。比較的高濃度の結晶化タンパク質の注射可能な水性懸濁液は、インスリンのタンパク質結晶を使用して報告されて来たが、他のタンパク質を用いてタンパク質結晶を形成する能力は示されたことがなく、そして実際に日常的ではない。
【0006】
したがって少容量で種々の治療用タンパク質を送達できるようにするために、注射の準備がなされた高濃度のタンパク質製剤を開発する必要がある。さらに生じた非水性懸濁液の射出力(injection force)を下げるために、剪断減粘性(shear−thinning behavior)を有する非水性懸濁液ビヒクルを開発する必要がある。本発明はこれらの、ならびに他の重要な目標を対象とする。
【発明の開示】
【0007】
要約
本発明は、生物学的に活性な作用物質、および親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルを含んでなる懸濁液組成物を記載する。幾つかの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含んでなる。
【0008】
また本発明は、生物学的に活性な作用物質を投与する方法を記載し、この方法は生物学的に活性な作用物質を親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルに懸濁することを含んでなる。
【0009】
また本発明は少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法を記載し、この方法は生物学的に活性な作用物質を、親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルに懸濁することを含んでなる。
詳細な説明
1つの態様では、本発明は生物学的に活性な作用物質、および親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルを含んでなる懸濁液組成物を含む。
【0010】
幾つかの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含んでなる。
【0011】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が治療薬であり、低分子、タンパク質、抗体、ミメティボディ、モノクローナル抗体、抗体フラグメント(ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)またはテトラボディ(tetrabody)を含む)、ペプチド、ヌクレオチド、DNA、RNA、プラスミド、またはヌクレオチドフラグメントを含む。1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が50mg/mL〜約500mg/mLの範囲で存在する。
【0012】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が粒子に配合されている。他の賦形剤(1つもしくは複数)を含むか、または含まない粒子サイズが約0.1〜約250μmの生物学的に活性な作用物質は、機械的な微粉砕(milling)または噴霧乾燥のような通例の方法、または他の造粒手段により製造することができる。今、図1を参照にすると、生物学的に活性な物質を含む粒子を作成する多数の経路がある。例えば生物学的に活性な物質を含んでなる溶液、そしてタンパク質の場合は、安定化剤そして場合によりバッファーまたはpH安定化剤を凍結乾燥し、次いで挽き、そして所望のサイズの粒子に篩分ける。あるいは溶液を噴霧乾燥または噴霧凍結乾燥して、所望のサイズの粒子を得ることができる。
【0013】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が組成物の約5重量%〜約60重量%の範囲で存在する。1つの態様では生物学的に活性な作用物質が組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲で存在する。
【0014】
本発明で記載する非水性の懸濁液は、種々の生物製剤に応用することができる。懸濁液の状態ならば、長い保存期限の安定性(shelf life stability)が期待される。好ましい剪断減粘性により、最少量の増粘剤が安定な懸濁液を支持するために十分高い粘度を持つビヒクルを作成するために必要となる。
【0015】
1つの態様では、親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリHEMA)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、多糖、キチン、キトサン、ヒアルロン酸およびそれらのコポリマーまたはターポリマーである。別の態様では、親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、多糖、キチン、キトサンまたはヒアルロン酸である。1つの態様では、親水性の増粘剤がポリ(ビニルピロリドン)である。
【0016】
1つの態様では、親水性の増粘剤が組成物の約10重量%〜約70重量%の範囲で存在する。1つの態様では、親水性の増粘剤が組成物の約15重量%〜約50重量%の範囲で存在する。
【0017】
1つの態様では、溶媒には芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、およびクエン酸の低級アルキルエステルおよびそれらの組み合わせを含む。
【0018】
1つの態様では、溶媒はオレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、酢酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネートまたはその混合物である。
【0019】
1つの態様では、溶媒は安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミルまたは安息香酸ベンジルである。
【0020】
1つの態様では、溶媒は安息香酸ベンジルである。1つの態様では、溶媒はベンジルアルコールである。1つの態様では、溶媒は安息香酸ベンジルおよびべンジルアルコールである。
【0021】
1つの態様では、溶媒は組成物の約20重量%〜約85重量%の範囲で存在する。
【0022】
1つの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含む。1つの態様では、表面活性剤はイオン性表面活性剤、非イオン性表面活性剤、またはポリマー性表面活性剤である。表面活性剤の例には、ALKANOL(商標)189−S、ALKANOL(商標)XC、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、硫酸アンモニウム末端−キャップ化溶液、プロピレングリコール中の80重量%、1−デカンスルホン酸ナトリウム塩、98%、4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)2−(2−メチレン−4,4−ジメチルペンチル)コハク酸カリウム塩溶液、水中の40重量%、N,N−ジメチル−N−[3−(スルホオキシ)プロピル]−1−デカンアミニウムヒドロキシド分子内塩、N,N−ジメチル−N−[3−(スルホオキシ)プロピル]−1−ノナンアミニウムヒドロキシド分子内塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、96%、N−エチル−N−[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]グリシンカリウム塩溶液、水/2−ブトキシエタノール中の42重量%、グリコール酸エトキシレート4−tert−ブチルフェニルエーテル、平均MN〜380、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜360、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜460、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜690、グリコール酸エトキシレート4−ノニルフェニルエーテル、平均MN〜600、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜410、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜540、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜700、[3−((((ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル)アミノ)プロピル)]トリメチルアルモニウムヨージド溶液、2−プロパノール/水中の42重量%、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニル3−スルホプロピルエーテルカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テクニカルグレード、ドデシル硫酸ナトリウム、70%、ドデシル硫酸ナトリウム、98%、ZONYL(商標)7950、ZONYL(商標)FSAフロオロ表面活性剤、水中の25重量%Liカルボン酸塩:イソプロパノール(37.5:37.5)、ZONYL(商標)FSEフロオロ表面活性剤、水:エチレングリコール’62:24)中の14重量%、ZONYL(商標)FSPフルオロ表面活性剤、ZONYL(商標)URフルオロ表面活性剤、ADOGEN(商標)464、ALKANOL(商標)6112、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、BRIJ(商標)30、平均MN〜362、BRIJ(商標)35、平均MN〜1,198、BRIJ(商標)52、平均MN〜330、BRIJ(商標)56、平均MN〜683、BRIJ(商標)58、平均MN〜1,124、BRIJ(商標)72、平均MN〜359、BRIJ(商標)76、平均MN〜711、BRIJ(商標)78、平均MN〜1,152、BRIJ(商標)92、平均MN〜357、BRIJ(商標)97、平均MN〜709、BRIJ(商標)98、平均MN〜1,150、BRIJ(商標)700、平均MN〜4,670、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、98%、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール、平均MN〜7,200、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール、平均MN〜8,000、エチレンジアミンテトラキス(プロポキシレート−ブロック−エトキシレート)テトロール、平均MN〜3,600、エチレンジアミンテトラキス(プロポキシレート−ブロック−エトキシレート)テトロール、平均MN〜15,000、IGEPAL(商標)CA−210、平均MN〜294、IGEPAL(商標)CA−520、平均MN〜427、IGEPAL(商標)CA−720、平均MN〜735、IGEPAL(商標)CO−210、平均MN〜308,IGEPAL(商標)CO−520、IGEPAL(商標)CO−630、平均MN〜617、IGEPAL(商標)CO−720、平均MN〜749、IGEPAL(商標)CO−890、平均MN〜1,982、IGEPAL(商標)CO−990、平均MN〜4,626、IGEPAL(商標)DM−970、MERPOL(商標)DA表面活性剤、水/イソブタノール(約50:50)中の60重量%、MERPOL(商標)HCS表面活性剤、MERPOL(商標)LFH表面活性剤、MERPOL(商標)OJ表面活性剤、MERPOL(商標)SE表面活性剤、MERPOL(商標)SH表面活性剤、MERPOL(商標)A表面活性剤、8−メチル−1−ノナノールプロポキシレート−ブロック−エトキシレート、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩、粒子サイズ1000μm(99%)、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液、GPCによる平均MW〜2,000、水中の60重量%、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−ポリ(エチレン/プロピレングリコール)、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,400、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜920、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜875、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜575、ポリ(エチレングリコール)n−アルキル3−スルホプロピルエーテルカリウム塩、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,100、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,000、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜4,400、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜5,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜8,400、ポリ(エチレングリコール)2−[エチル[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)2−[エチル[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ミリスチルタローエーテル、平均MN〜3,000、ポリ(ヘキサフロオロプロピレンオキシド)モノカルボン酸、クロロ末端化、平均MN〜500、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレート、ポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリオキシエチレン(12)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリオキシエチレン(18)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜2,000、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜2,700、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜3,300、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート、TERGITOL(商標)NO−9,2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜380、平均MW〜395、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜670、平均MW〜700、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜1,200、平均MW〜1,250、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、(±)およびメソの混合物、98%、TRITON(商標)X−100、TRITON(商標)X−100、還元型、TRITON(商標)N−101、還元型、TRITON(商標)X−114、TRITON(商標)X−114、還元型、99+%、TRITON(商標)X−114、還元型、TRITON(商標)X−405、還元型、TRITON(商標)X−405溶液、水中の70重量%、TRITON(商標)SP−135、TRITON(商標)SP−190、TWEEN(商標)20、平均MN〜1,228、TWEEN(商標)20溶液、水中の72重量%、TWEEN(商標)40、平均MN〜1,284、TWEEN(商標)60、平均MN〜1,312、TWEEN(商標)80、平均MN〜1,310、TWEEN(商標)85、平均MN〜1,839、PLURONIC(商標)F68、PLURONIC(商標)F127、PLURONIC(商標)L61、PLURONIC(商標)L81、PLURONIC(商標)L92、PLURONIC(商標)L121等、TWEEN20、TWEEN80、CREMOPHOR(商標)EL35、CREMOPHOR(商標)EL40、CREMOPHOR(商標)EL60、ZONYL(商標)FSN、ZONYL(商標)FSN−100、ZONYL(商標)FSOおよびZONYL(商標)FSO−100がある。
【0023】
1つの態様では、表面活性剤はポリオキシエチレンソルビタン含有組成物、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミン、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドへの付加から誘導されるブロックコポリマーである。1つの態様では、表面活性剤はTWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、またはTWEEN80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)である。
【0024】
1つの態様では、表面活性剤は式がHO−(エチレンジオキシド)x−(プロピレンオキシド)y−(エチレンオキシド)x’−Hであるプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーである。1つの態様ではxが約2〜約150の範囲であり、yが約20〜約70の範囲であり、x’が約2〜約150の範囲である。1つの態様では、表面活性剤はPLURONIC(商標)F68表面活性剤である。
【0025】
1つの態様では、表面活性剤が組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
図2に示すように、増粘剤、希釈剤(上記溶媒)および場合により表面活性剤を混合して、非水性ビヒクルを形成することができる。
【0026】
図3に変わり、1つの態様では、生物学的に活性な作用物質を含有する粒子および非水性ビヒクルを合わせて非水性懸濁液を形成する。
【0027】
非水性懸濁液は、生物学的に活性な作用物質を非水性のポリマー溶液(ビヒクル)中で混合することにより調製され、生物学的に活性な作用物質の配合量は約10〜50重量パーセントである。
【0028】
本非水性懸濁液は、大変高いタンパク質配合量(約50mg/mL以上、好ましくは約100mg/mL以上)を達成する。これは射出可能性および/または安定性の損失無しに水性製剤では不可能である。1つの態様では、懸濁液はシリンジに前装填され、そしてこれは混合または再構成なしに注射の準備ができている。製剤は皮下または筋肉内に投与することができる。1つの態様では、懸濁液ビヒクルは増粘剤として親水性ポリマーを利用する。タンパク質は固体状態に維持され、すなわち、長い保存期限の安定性が期待される。
【0029】
1つの態様では、本発明は上記の懸濁液組成物および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物を含む。賦形剤の例にはすべての既知の賦形剤を含み、糖、pH調整剤、還元剤および酸化防止剤を含む。本発明の態様は、1つの賦形剤または賦形剤の組み合わせを使用することができる。
【0030】
糖賦形剤にはシュクロース、トレハロース等がある。
【0031】
pH調整賦形剤には、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、蓚酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、酢酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸亜鉛、乳酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛およびその組み合わせのような無機塩を含む。
【0032】
還元剤の賦形剤にはシステインまたはメチオニンを含む。
【0033】
酸化防止剤の賦形剤には、d−アルファトコフェロール酢酸塩、dl−アルファトコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニドール、ブチル化ヒドロキシキノン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシコマリン、ブチル化ヒドロキシトルエン、セファルム(cephalm)、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチルロフェノン(trihydroxybutylrophenone)、ジメチルフェノール、ジテルルブリルフェノール(diterlbulylphenol)、ビタミンE、レシチン、エタノールアミンおよびそれらの混合物を含む。
【0034】
組成物の作成法には:1)ビヒクルへの混合前に、賦形剤を有益な作用物質と前混合し、2)有益な作用物質と混合する前に、賦形剤をビヒクルと前混合するか、あるい3)賦形剤および有益な作用物質を別個にビヒクルに添加することを含む。
【0035】
1つの態様では、製薬学的組成物はさらにバッファーを含んでなる。バッファーには、クエン酸塩、コハク酸塩、冷リン酸緩衝化塩溶液(PBS)等を含むすべての既知のバッ
ファーを含む。
【0036】
1つの態様では、製薬学的組成物は即時放出製剤である。
【0037】
1つの態様では、製薬学的組成物は24時間内に実質的にすべてを放出する。
【0038】
1つの態様では、製薬学的組成物は25℃で流動的に注射可能である。
【0039】
1つの態様では、製薬学的組成物は皮下または筋肉内に投与される。
【0040】
1つの態様では、本発明は上記の懸濁液組成物およびシリンジを含んでなる投薬キットを含む。1つの態様では、シリンジは自動注射シリンジである。1つの態様では、シリンジは生物学的に活性な作用物質およびビヒクルが注入前、混合されるまで分かれているように分割されている。1つの態様では、キットには2つのシリンジが提供され、生物学的に活性な作用物質が第1シリンジに保存され、そしてビヒクルが注入前に混合される第2シリンジに保存される。
【0041】
1つの態様では、キットは投与が必要な患者により自分で投与するように適合されている。
【0042】
本発明のさらに別の態様では、ビヒクルが生物学的に活性な作用物質と合わせるために提供されて懸濁液組成物を形成し、ビヒクルはすべての上記のような親水性増粘剤および溶媒、そして場合により表面活性剤を含んでなる。
【0043】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に活性な作用物質の投与法が提供され、この方法は生物学的に活性な作用物質を前に記載したビヒクル組成物に懸濁し、そして生じた組成物をそれが必要な患者に注射することを含んでなる。1つの態様では、生物学的に活性な作用物質はモノクローナル抗体である。
【0044】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法が提供され、この方法は生物学的に活性な作成物質を上記ビヒクル組成物に懸濁することを含んでなる。
【0045】
本組成物はさらに以下の実施例で説明される。
【実施例】
【0046】
実施例1
凍結乾燥法による生物学的に活性な作用物質の粒子調製
リゾチーム(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を、65mg/mLのタンパク質濃度で6.5mMのリン酸バッファー、pH6.0に溶解する。この溶液に、シュクロース(シグマ、セントルイス、ミズーリ州、米国)および表面活性剤であるTWEEN80またはポリソルベート80を、シュクロースおよびTWEEN80の最終溶液中の濃度がそれぞれ5.5%および0.0065重量/容量%となるように加える。この溶液を表1の条件に従い凍結乾燥する。
【0047】
【表1】
【0048】
制御可能な粒子サイズ範囲を有するリゾチーム粒子は、上記の凍結乾燥した製剤をWaringブレンダーで挽き、そして定めたメッシュサイズの一連の篩を通して篩分けることにより調製する。<約38μm、約38〜約63μmの間、<約125μm、または<約250μm等のサイズを有する粒子を、このように生産する(図1)。
【0049】
上記と同様な方法で、ウシ血清アルブミン(BSA、シグマ、セントルイス、ミズーリ州、米国)の粒子を調製する。同様にモノクローナル抗体、例えば抗−IL−12p40に対するCNTO1275ヒトmAb、CNTO148ムマン(muman)抗−TNFα等(セントコール社(Centocor Inc.)、米国から)を上記のように調製することができる(実施例製剤の詳細は表2にまとめる)。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2
噴霧乾燥法による生物学的に活性な作用物質の粒子調製
同様に実施例1に記載したように配合したリゾチームまたはBSAの溶液を、噴霧乾燥により希釈することができる(図1)。溶液は場合により約20mg/mLにDI水で希釈してよい。噴霧乾燥した粒子は、表3のパラメーターに従い設定したヤマト ミニ スプレー(Yamato Mini Spray)乾燥機を使用して製造した。
【0052】
【表3】
【0053】
1〜10ミクロンの間のサイズ範囲を有する粒子を得た(実施例製剤の詳細は、表4にまとめる)。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例3
非水性懸濁液ビヒクルの調製
ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリマー(Povidone)、USP KOLLIDONE17PF、BASF)を、安息香酸ベンジル(BB)に20〜70重量%のポリマー濃度で溶解する。BASFからの表面活性剤PLURONIC(商標)F68またはPOLOXAMER(商標)188をこの溶液に、約0.1〜8重量%のPVP/BB溶液の量で加える(図2)。
【0056】
同様にPVP/BBのビヒクル製剤(20〜70重量%のポリマー濃度を有する)をTWEEN80、またはポリソルベート80の表面活性剤を用いて0.1〜4重量%のPVP/BB溶液の量で調製することができる(実施例製剤の詳細は表5にまとめる)。
【0057】
【表5】
【0058】
実施例4
生物学的に活性な作用物質と非水性懸濁液ビヒクルとの適合性
種々の溶媒または油、ならびに本発明の代表的な懸濁液ビヒクル中のモノクローナル抗体のような生物学的に活性な作用物質の適合性を試験する。Mabの2種類の凍結乾燥調製物、CNTO1275およびCNTO148を評価した(表2の製剤7および8)。
【0059】
ビヒクルとの混合物中からのmABを分析するために、mABは以下の抽出手順を使用して混合物から抽出する:過剰な前冷却抽出溶媒(ジクロロメタン/アセトンの混合物、1:1)を各サンプルに加える。混合後、サンプルを遠心し、そして上清を除去する。次いで残るペレットを前冷却した抽出溶媒で2回洗浄し、そしてスピードバック(speed−vac)を通して乾燥する。サンプルをPBSバッファー、pH6.5中で再構成し、そしてSEC−HPLCでモノマー含量を分析する。
【0060】
表6および7は、本発明の種々の溶媒/ビヒクル中に懸濁し、37℃で最高8日間インキュベーションした後の凍結乾燥CNTO1275およびCNTO148の安定性をまとめる。ベンジルアルコール(BA)を含んでなる懸濁液を除き、CNTO1275およびCNTO148の両方が、調査した懸濁液溶媒、油、ビヒクル中で37℃で最高8日間インキュベーションした後にタンパク質のモノマー含量における顕著な損失無しに安定であることが分かった。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
実施例5
生物学的に活性な作用物質を含む非水性懸濁液の調製
上記実施例1および2で調製したもののような生物学的に活性な作用物質の粒子を、オーバーヘッドミキサーを使用して上記実施例3に記載したPVP/BB/PluronicF68またはPVP/BB/TWEEN80のような非水性懸濁液ビヒクルと混合する。混合はドライボックス内で室温にて行う。最初に粒子およびビヒクルの重量を計り、そして25ccのガラスシリンジに移す。粒子の添加は約10〜15重量%であり、最終製剤に約50〜500mg/mLのタンパク質濃度を導く。ステンレス鋼製の匙刃を備えた電気撹拌機を使用して粒子をビヒクルに50〜300rpmで5分間ブレンドする。懸濁液製剤をガラス製の注射シリンジに充填し、シリンジの準備ができた(syringe−ready)剤形を得る(図3)。製剤は注射前に冷蔵庫の温度に保存する(実施例製剤の詳細は表8にまとめる)。
【0064】
【表8】
【0065】
実施例6
貯蔵ゲルビヒクルに関する粘度測定
上記実施例3に記載した非水性懸濁液ビヒクルの粘度は、Bohlin CVO120レオメーターを使用して試験した。すべての試験は24℃で20mmの平行プレートを使用して行った。
【0066】
図4および5は、溶媒としてBB(図4)またはポリエチレングリコール400(PEG400)(図5)のいずれかを使用した非水性懸濁液ビヒクルの粘度を、ビヒクル製剤中のPVP含量の関数として具体的に説明する。PVP含量が高いほど、粘度は高くなる。ビヒクルの特定の粘度が、安定な懸濁液を調製するために望ましいかもしれない。図4および5で示すように、ビヒクルの粘度は所望する粘度に合うようにポリマー濃度により調整することができる。
【0067】
実施例7
生物学的に活性な作用物質を含む非水性懸濁液の射出性試験
非水性懸濁液の射出性は、細いゲイジ針を通ってシリンジ中の懸濁液製剤の全内容物を押し出すために必要な力を測定することにより評価する。懸濁液製剤をハミルトン(Hamilton)の500μl GASTIGHT(商標)シリンジに装填する。非水性懸濁液製剤の射出力は、インストン(Inston)の引張試験装置で試験し、ここでシリンジのプランジャーを移動するために必要な最大の力を測定した。射出力試験の前に、4℃で保存したサンプルについては、すべてのサンプルが室温に平衡化される(約1〜2時間)。射出速度は1cc/分または21G1”針を使用するクロスヘッド速度に設定する。
【0068】
図6は懸濁液製剤(40重量%のBSA粒子、製剤4を装填した)を押し出すために必要な力を、ビヒクル中のPVP濃度の関数として具体的に説明する。一般に、ビヒクル中のPVP濃度が高いほど、細い針を通ってシリンジから製剤を押し出すために必要な力は高くなるが、大きな変動性を体験し得る大変低いPVP濃度を含むビヒクルは例外である。
【0069】
実施例8
非水性懸濁液から生物学的に活性な作用物質のインビトロ放出速度
非水性懸濁液製剤から生物学的に活性な作用物質のインビトロ放出は、37℃で50mM PBS pH7.4中にて行う。特定量の懸濁液製剤を3mLのバキュテイナー(vacutainer)に入れ、これに約2mLのpBSバッファーを加える。バキュテイナーを自動ローター上に乗せ、そして系を37℃のオーブン内に配置する。予め決めた時点で、0.5mLの上清を取り出し、そして0.5mLの新しいPBSバッファーを再度入れる。取り出した上清は活性についてSECにより分析する。
【0070】
図7および8は非水性懸濁液製剤から活性物質(リゾチーム、図7;BSA、図8)の累積的放出を具体的に説明する。本発明の非水性懸濁液製剤から活性物質の即時放出が達成される。
【0071】
実施例9
非水性製剤に懸濁した後のモノクローナル抗体の特性決定
CNTO1275のようなモノクローナル抗体を、非水性製剤(実施例5の表8の製剤59および60)に懸濁する。CNTO1275は、上記実施例4に記載する手順に従い非水性懸濁液製剤から抽出する。非水性懸濁液製剤から抽出されたCNTO1275は、一連の比較分析法により特性決定される(以下の表9を参照にされたい)。
【0072】
【表9】
【0073】
比較分析から選択した結果を、図9、図10および表10に示す。CNTO1275標準と比べて、非水性懸濁液製剤から抽出したCNTO1275タンパク質は、凍結乾燥対照として同一の1次、2次および3次構造を示し、Mabの完全性が非水性懸濁液ビヒクル中で安定であることを示唆する。表10は製剤59および60からのCNTO1275サンプル、およびCNTO1275参照標準Lot4491−104に関する沈降係数をまとめる。
【0074】
【表10】
【0075】
実施例10
非水性懸濁液中での生物学的に活性な作用物質の安定性
図11は、3つの異なる温度で保存した後の非水性懸濁液製剤中のCNTO1275のタンパク質安定性を示す。安定性はSEC−HPLCにより測定されるモノマー含量により評価した。37℃で1カ月、室温で6カ月、および冷蔵温度で12カ月間それぞれ保存した後に評価した代表的な懸濁液製剤中のCNTO1275のモノマー含量に有意な変化
はない。
【0076】
実施例11
非水性懸濁液の物理的安定性
図12は、室温で21G針を通して懸濁液の全内容物を射出するために必要な力の変化により測定される、種々の懸濁液製剤の保存における物理的安定性を具体的に説明する(射出性)。冷蔵温度で最高12カ月保存した後の懸濁液製剤に関して、本質的に有意な変化はないことが分かり、懸濁液製剤が調査した保存温度下で物理的に安定であることを示す。
【0077】
実施例12
非水性懸濁液からの生物学的に活性な作用物質の薬物動態学
インビボのPK実験は、CNTO1275の代表的な非水性懸濁液製剤(製剤60)を用いて、カニクイザルを対象として10mgのCNTO1275/kgの標的用量の皮下注射(SC)により行った。CNTO1275の水溶液のSC注射を対象として試験し、そしてCNTO1275の水溶液のIV注射も絶対的な生物学的利用性(absolute bioavailability:BA)を算出するために試験した。以下の図13は非水性懸濁液製剤ならびに水溶液対照のPKプロファイルを具体的に説明する。CNTO1275の代表的な非水性懸濁液製剤は、水溶液対照と本質的に類似のPKプロファイルを示し、大変類似する最大濃度(Cmax)、Cmaxへ到達する時間(Tmax)ならびに生物学的利用性(BA)を有した(表11を参照にされたい)。
【0078】
【表11】
【0079】
本明細書に引用または記載した各特許、特許出願および刊行物の開示は、参照により全部、本明細書に編入する。
【0080】
本明細書に記載したものに加えて、本発明の種々の修飾が前記記載から当業者には明らかである。そのような修飾も添付する特許請求の範囲内にあるものとする。
【0081】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、前記の詳細な説明をこれから記載する図面と合わせて読むことによりさらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】非水性懸濁液用に製剤される生物学的に活性な作用物質の粒子の該略図である。
【図2】非水性懸濁液ビヒクルの概略図である。
【図3】生物学的に活性な作用物質の非水性懸濁液製剤の該略図である。
【図4】本発明の安息香酸ベンジルビヒクル中のPVP濃度の関数として粘度を具体的に説明するグラフである。
【図5】本発明のポリエチレングリコール400ビヒクル中のPVP濃度の関数として粘度を具体的に説明するグラフである。
【図6】本発明の非水性懸濁液の射出力を具体的に説明するグラフである。
【図7】本発明の非水性懸濁液製剤からリゾチームのインビトロ放出速度に及ぼすサンプルサイズの効果を具体的に説明するグラフである(製剤42)。
【図8】本発明の非水性懸濁液製剤からBSAのインビトロ放出速度を具体的に説明するグラフである(製剤50、52)。
【図9】CNTO1275参照標準Lot4491−104と製剤60からのCNTO1275サンプルとの間の同一のトリプシンペプチドマッピングプロファイルを具体的に説明するグラフである。
【図10】CNTO1275参照標準Lot4491−104、および製剤59および60からのCNTO1275サンプルのFar−UV円偏光二色性スペクトルの重複を具体的に説明するグラフである。データは平均残基分子楕円率(deg・cm2・decimole−1)対波長としてプロットされる。
【図11】保存期限にわたりCNTO1275の非水性懸濁液製剤の物理的安定性(射出性)を具体的に説明するグラフである(製剤59、60)。
【図12】保存期限にわたり非水性懸濁液製剤中のCNTO1275のタンパク質安定性を具体的に説明するグラフである(製剤59、60)。
【図13】CNTO1275の水溶液と比べた、CNTO1275の非水性懸濁液製剤(製剤60)のカニクイザルにおける皮下薬物動態学的プロファイルを具体的に説明するグラフである。
【技術分野】
【0001】
関連文献
本出願は2004年12月23日に出願された米国特許仮出願第60/638,448号明細書、および2005年12月19日に出願された米国特許出願第 号明細書の優先権を主張し、その開示は引用により全部、本明細書に編入する。
【0002】
分野
本発明は一般に生物学的に活性な作用物質を投与するための組成物および方法に関し、そしてより詳細には注射可能な非水性懸濁液に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ペプチドまたはヌクレオチドに基づく治療薬のようなある種の治療薬は、一般に比較的高い濃度でのみ効果的である。例えばモノクローナル抗体(mAb)を含む治療薬は一般に投与あたり100mgから1gの間のタンパク質の送達を必要とする。しかし既知の送達系は、最高約50mg/mLのmAb濃度に限定されることが多いので、そのような処置は通常、有効量を投与するために2〜20mLの投与を必要とする。典型的にはそのような大容量は静脈内注入を介して与えられなければならず、これは通常、臨床的に行われる必要がある。これは経費がかかり、非効率的で、しかも不便であるということが容易に考えられる。すなわちこれらの比較的大量のタンパク質用量を皮下または筋肉内注射のような、より望ましい手段に適するような、より少ない容量で送達することが当該技術分野での目標である。
【0004】
1つの概念的取り組みは、より高濃度の可溶性mAbの調製物を調製することになるだろうが、そのようなさらに高濃度の溶液はしばしば溶液を注射できなくする望ましくない高粘度を生じる。同様にそのような高濃度溶液は、全体的な安定性が悪いことが多い。
【0005】
別の取り組みには、凍結乾燥した製剤またはタンパク質結晶が関与するが、これらには注射により送達される前に再構成される必要があり、不便である。比較的高濃度の結晶化タンパク質の注射可能な水性懸濁液は、インスリンのタンパク質結晶を使用して報告されて来たが、他のタンパク質を用いてタンパク質結晶を形成する能力は示されたことがなく、そして実際に日常的ではない。
【0006】
したがって少容量で種々の治療用タンパク質を送達できるようにするために、注射の準備がなされた高濃度のタンパク質製剤を開発する必要がある。さらに生じた非水性懸濁液の射出力(injection force)を下げるために、剪断減粘性(shear−thinning behavior)を有する非水性懸濁液ビヒクルを開発する必要がある。本発明はこれらの、ならびに他の重要な目標を対象とする。
【発明の開示】
【0007】
要約
本発明は、生物学的に活性な作用物質、および親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルを含んでなる懸濁液組成物を記載する。幾つかの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含んでなる。
【0008】
また本発明は、生物学的に活性な作用物質を投与する方法を記載し、この方法は生物学的に活性な作用物質を親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルに懸濁することを含んでなる。
【0009】
また本発明は少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法を記載し、この方法は生物学的に活性な作用物質を、親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルに懸濁することを含んでなる。
詳細な説明
1つの態様では、本発明は生物学的に活性な作用物質、および親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクルを含んでなる懸濁液組成物を含む。
【0010】
幾つかの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含んでなる。
【0011】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が治療薬であり、低分子、タンパク質、抗体、ミメティボディ、モノクローナル抗体、抗体フラグメント(ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)またはテトラボディ(tetrabody)を含む)、ペプチド、ヌクレオチド、DNA、RNA、プラスミド、またはヌクレオチドフラグメントを含む。1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が50mg/mL〜約500mg/mLの範囲で存在する。
【0012】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が粒子に配合されている。他の賦形剤(1つもしくは複数)を含むか、または含まない粒子サイズが約0.1〜約250μmの生物学的に活性な作用物質は、機械的な微粉砕(milling)または噴霧乾燥のような通例の方法、または他の造粒手段により製造することができる。今、図1を参照にすると、生物学的に活性な物質を含む粒子を作成する多数の経路がある。例えば生物学的に活性な物質を含んでなる溶液、そしてタンパク質の場合は、安定化剤そして場合によりバッファーまたはpH安定化剤を凍結乾燥し、次いで挽き、そして所望のサイズの粒子に篩分ける。あるいは溶液を噴霧乾燥または噴霧凍結乾燥して、所望のサイズの粒子を得ることができる。
【0013】
1つの態様では、生物学的に活性な作用物質が組成物の約5重量%〜約60重量%の範囲で存在する。1つの態様では生物学的に活性な作用物質が組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲で存在する。
【0014】
本発明で記載する非水性の懸濁液は、種々の生物製剤に応用することができる。懸濁液の状態ならば、長い保存期限の安定性(shelf life stability)が期待される。好ましい剪断減粘性により、最少量の増粘剤が安定な懸濁液を支持するために十分高い粘度を持つビヒクルを作成するために必要となる。
【0015】
1つの態様では、親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリHEMA)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、多糖、キチン、キトサン、ヒアルロン酸およびそれらのコポリマーまたはターポリマーである。別の態様では、親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、多糖、キチン、キトサンまたはヒアルロン酸である。1つの態様では、親水性の増粘剤がポリ(ビニルピロリドン)である。
【0016】
1つの態様では、親水性の増粘剤が組成物の約10重量%〜約70重量%の範囲で存在する。1つの態様では、親水性の増粘剤が組成物の約15重量%〜約50重量%の範囲で存在する。
【0017】
1つの態様では、溶媒には芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、およびクエン酸の低級アルキルエステルおよびそれらの組み合わせを含む。
【0018】
1つの態様では、溶媒はオレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、酢酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネートまたはその混合物である。
【0019】
1つの態様では、溶媒は安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミルまたは安息香酸ベンジルである。
【0020】
1つの態様では、溶媒は安息香酸ベンジルである。1つの態様では、溶媒はベンジルアルコールである。1つの態様では、溶媒は安息香酸ベンジルおよびべンジルアルコールである。
【0021】
1つの態様では、溶媒は組成物の約20重量%〜約85重量%の範囲で存在する。
【0022】
1つの態様では、ビヒクルはさらに表面活性剤を含む。1つの態様では、表面活性剤はイオン性表面活性剤、非イオン性表面活性剤、またはポリマー性表面活性剤である。表面活性剤の例には、ALKANOL(商標)189−S、ALKANOL(商標)XC、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、硫酸アンモニウム末端−キャップ化溶液、プロピレングリコール中の80重量%、1−デカンスルホン酸ナトリウム塩、98%、4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)2−(2−メチレン−4,4−ジメチルペンチル)コハク酸カリウム塩溶液、水中の40重量%、N,N−ジメチル−N−[3−(スルホオキシ)プロピル]−1−デカンアミニウムヒドロキシド分子内塩、N,N−ジメチル−N−[3−(スルホオキシ)プロピル]−1−ノナンアミニウムヒドロキシド分子内塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、96%、N−エチル−N−[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]グリシンカリウム塩溶液、水/2−ブトキシエタノール中の42重量%、グリコール酸エトキシレート4−tert−ブチルフェニルエーテル、平均MN〜380、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜360、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜460、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、平均MN〜690、グリコール酸エトキシレート4−ノニルフェニルエーテル、平均MN〜600、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜410、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜540、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、平均MN〜700、[3−((((ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル)アミノ)プロピル)]トリメチルアルモニウムヨージド溶液、2−プロパノール/水中の42重量%、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニル3−スルホプロピルエーテルカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テクニカルグレード、ドデシル硫酸ナトリウム、70%、ドデシル硫酸ナトリウム、98%、ZONYL(商標)7950、ZONYL(商標)FSAフロオロ表面活性剤、水中の25重量%Liカルボン酸塩:イソプロパノール(37.5:37.5)、ZONYL(商標)FSEフロオロ表面活性剤、水:エチレングリコール’62:24)中の14重量%、ZONYL(商標)FSPフルオロ表面活性剤、ZONYL(商標)URフルオロ表面活性剤、ADOGEN(商標)464、ALKANOL(商標)6112、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、アリルアルコール1,2−ブトキシレート−ブロック−エトキシレート、BRIJ(商標)30、平均MN〜362、BRIJ(商標)35、平均MN〜1,198、BRIJ(商標)52、平均MN〜330、BRIJ(商標)56、平均MN〜683、BRIJ(商標)58、平均MN〜1,124、BRIJ(商標)72、平均MN〜359、BRIJ(商標)76、平均MN〜711、BRIJ(商標)78、平均MN〜1,152、BRIJ(商標)92、平均MN〜357、BRIJ(商標)97、平均MN〜709、BRIJ(商標)98、平均MN〜1,150、BRIJ(商標)700、平均MN〜4,670、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、98%、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール、平均MN〜7,200、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール、平均MN〜8,000、エチレンジアミンテトラキス(プロポキシレート−ブロック−エトキシレート)テトロール、平均MN〜3,600、エチレンジアミンテトラキス(プロポキシレート−ブロック−エトキシレート)テトロール、平均MN〜15,000、IGEPAL(商標)CA−210、平均MN〜294、IGEPAL(商標)CA−520、平均MN〜427、IGEPAL(商標)CA−720、平均MN〜735、IGEPAL(商標)CO−210、平均MN〜308,IGEPAL(商標)CO−520、IGEPAL(商標)CO−630、平均MN〜617、IGEPAL(商標)CO−720、平均MN〜749、IGEPAL(商標)CO−890、平均MN〜1,982、IGEPAL(商標)CO−990、平均MN〜4,626、IGEPAL(商標)DM−970、MERPOL(商標)DA表面活性剤、水/イソブタノール(約50:50)中の60重量%、MERPOL(商標)HCS表面活性剤、MERPOL(商標)LFH表面活性剤、MERPOL(商標)OJ表面活性剤、MERPOL(商標)SE表面活性剤、MERPOL(商標)SH表面活性剤、MERPOL(商標)A表面活性剤、8−メチル−1−ノナノールプロポキシレート−ブロック−エトキシレート、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩、粒子サイズ1000μm(99%)、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液、GPCによる平均MW〜2,000、水中の60重量%、ポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−ポリ(エチレン/プロピレングリコール)、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,400、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜920、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜875、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜575、ポリ(エチレングリコール)n−アルキル3−スルホプロピルエーテルカリウム塩、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,100、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜1,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,000、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜2,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜4,400、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜5,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN〜8,400、ポリ(エチレングリコール)2−[エチル[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)2−[エチル[(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ミリスチルタローエーテル、平均MN〜3,000、ポリ(ヘキサフロオロプロピレンオキシド)モノカルボン酸、クロロ末端化、平均MN〜500、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレート、ポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリオキシエチレン(12)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリオキシエチレン(18)トリデシルエーテル、C11〜C14イソ−アルキルエーテルとC13イソ−アルキル優勢との混合物、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜2,000、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜2,700、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN〜3,300、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート、TERGITOL(商標)NO−9,2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜380、平均MW〜395、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜670、平均MW〜700、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、平均MN〜1,200、平均MW〜1,250、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、(±)およびメソの混合物、98%、TRITON(商標)X−100、TRITON(商標)X−100、還元型、TRITON(商標)N−101、還元型、TRITON(商標)X−114、TRITON(商標)X−114、還元型、99+%、TRITON(商標)X−114、還元型、TRITON(商標)X−405、還元型、TRITON(商標)X−405溶液、水中の70重量%、TRITON(商標)SP−135、TRITON(商標)SP−190、TWEEN(商標)20、平均MN〜1,228、TWEEN(商標)20溶液、水中の72重量%、TWEEN(商標)40、平均MN〜1,284、TWEEN(商標)60、平均MN〜1,312、TWEEN(商標)80、平均MN〜1,310、TWEEN(商標)85、平均MN〜1,839、PLURONIC(商標)F68、PLURONIC(商標)F127、PLURONIC(商標)L61、PLURONIC(商標)L81、PLURONIC(商標)L92、PLURONIC(商標)L121等、TWEEN20、TWEEN80、CREMOPHOR(商標)EL35、CREMOPHOR(商標)EL40、CREMOPHOR(商標)EL60、ZONYL(商標)FSN、ZONYL(商標)FSN−100、ZONYL(商標)FSOおよびZONYL(商標)FSO−100がある。
【0023】
1つの態様では、表面活性剤はポリオキシエチレンソルビタン含有組成物、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミン、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドへの付加から誘導されるブロックコポリマーである。1つの態様では、表面活性剤はTWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、またはTWEEN80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)である。
【0024】
1つの態様では、表面活性剤は式がHO−(エチレンジオキシド)x−(プロピレンオキシド)y−(エチレンオキシド)x’−Hであるプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーである。1つの態様ではxが約2〜約150の範囲であり、yが約20〜約70の範囲であり、x’が約2〜約150の範囲である。1つの態様では、表面活性剤はPLURONIC(商標)F68表面活性剤である。
【0025】
1つの態様では、表面活性剤が組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
図2に示すように、増粘剤、希釈剤(上記溶媒)および場合により表面活性剤を混合して、非水性ビヒクルを形成することができる。
【0026】
図3に変わり、1つの態様では、生物学的に活性な作用物質を含有する粒子および非水性ビヒクルを合わせて非水性懸濁液を形成する。
【0027】
非水性懸濁液は、生物学的に活性な作用物質を非水性のポリマー溶液(ビヒクル)中で混合することにより調製され、生物学的に活性な作用物質の配合量は約10〜50重量パーセントである。
【0028】
本非水性懸濁液は、大変高いタンパク質配合量(約50mg/mL以上、好ましくは約100mg/mL以上)を達成する。これは射出可能性および/または安定性の損失無しに水性製剤では不可能である。1つの態様では、懸濁液はシリンジに前装填され、そしてこれは混合または再構成なしに注射の準備ができている。製剤は皮下または筋肉内に投与することができる。1つの態様では、懸濁液ビヒクルは増粘剤として親水性ポリマーを利用する。タンパク質は固体状態に維持され、すなわち、長い保存期限の安定性が期待される。
【0029】
1つの態様では、本発明は上記の懸濁液組成物および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物を含む。賦形剤の例にはすべての既知の賦形剤を含み、糖、pH調整剤、還元剤および酸化防止剤を含む。本発明の態様は、1つの賦形剤または賦形剤の組み合わせを使用することができる。
【0030】
糖賦形剤にはシュクロース、トレハロース等がある。
【0031】
pH調整賦形剤には、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、蓚酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、酢酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸亜鉛、乳酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛およびその組み合わせのような無機塩を含む。
【0032】
還元剤の賦形剤にはシステインまたはメチオニンを含む。
【0033】
酸化防止剤の賦形剤には、d−アルファトコフェロール酢酸塩、dl−アルファトコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニドール、ブチル化ヒドロキシキノン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシコマリン、ブチル化ヒドロキシトルエン、セファルム(cephalm)、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチルロフェノン(trihydroxybutylrophenone)、ジメチルフェノール、ジテルルブリルフェノール(diterlbulylphenol)、ビタミンE、レシチン、エタノールアミンおよびそれらの混合物を含む。
【0034】
組成物の作成法には:1)ビヒクルへの混合前に、賦形剤を有益な作用物質と前混合し、2)有益な作用物質と混合する前に、賦形剤をビヒクルと前混合するか、あるい3)賦形剤および有益な作用物質を別個にビヒクルに添加することを含む。
【0035】
1つの態様では、製薬学的組成物はさらにバッファーを含んでなる。バッファーには、クエン酸塩、コハク酸塩、冷リン酸緩衝化塩溶液(PBS)等を含むすべての既知のバッ
ファーを含む。
【0036】
1つの態様では、製薬学的組成物は即時放出製剤である。
【0037】
1つの態様では、製薬学的組成物は24時間内に実質的にすべてを放出する。
【0038】
1つの態様では、製薬学的組成物は25℃で流動的に注射可能である。
【0039】
1つの態様では、製薬学的組成物は皮下または筋肉内に投与される。
【0040】
1つの態様では、本発明は上記の懸濁液組成物およびシリンジを含んでなる投薬キットを含む。1つの態様では、シリンジは自動注射シリンジである。1つの態様では、シリンジは生物学的に活性な作用物質およびビヒクルが注入前、混合されるまで分かれているように分割されている。1つの態様では、キットには2つのシリンジが提供され、生物学的に活性な作用物質が第1シリンジに保存され、そしてビヒクルが注入前に混合される第2シリンジに保存される。
【0041】
1つの態様では、キットは投与が必要な患者により自分で投与するように適合されている。
【0042】
本発明のさらに別の態様では、ビヒクルが生物学的に活性な作用物質と合わせるために提供されて懸濁液組成物を形成し、ビヒクルはすべての上記のような親水性増粘剤および溶媒、そして場合により表面活性剤を含んでなる。
【0043】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に活性な作用物質の投与法が提供され、この方法は生物学的に活性な作用物質を前に記載したビヒクル組成物に懸濁し、そして生じた組成物をそれが必要な患者に注射することを含んでなる。1つの態様では、生物学的に活性な作用物質はモノクローナル抗体である。
【0044】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法が提供され、この方法は生物学的に活性な作成物質を上記ビヒクル組成物に懸濁することを含んでなる。
【0045】
本組成物はさらに以下の実施例で説明される。
【実施例】
【0046】
実施例1
凍結乾燥法による生物学的に活性な作用物質の粒子調製
リゾチーム(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州、米国)を、65mg/mLのタンパク質濃度で6.5mMのリン酸バッファー、pH6.0に溶解する。この溶液に、シュクロース(シグマ、セントルイス、ミズーリ州、米国)および表面活性剤であるTWEEN80またはポリソルベート80を、シュクロースおよびTWEEN80の最終溶液中の濃度がそれぞれ5.5%および0.0065重量/容量%となるように加える。この溶液を表1の条件に従い凍結乾燥する。
【0047】
【表1】
【0048】
制御可能な粒子サイズ範囲を有するリゾチーム粒子は、上記の凍結乾燥した製剤をWaringブレンダーで挽き、そして定めたメッシュサイズの一連の篩を通して篩分けることにより調製する。<約38μm、約38〜約63μmの間、<約125μm、または<約250μm等のサイズを有する粒子を、このように生産する(図1)。
【0049】
上記と同様な方法で、ウシ血清アルブミン(BSA、シグマ、セントルイス、ミズーリ州、米国)の粒子を調製する。同様にモノクローナル抗体、例えば抗−IL−12p40に対するCNTO1275ヒトmAb、CNTO148ムマン(muman)抗−TNFα等(セントコール社(Centocor Inc.)、米国から)を上記のように調製することができる(実施例製剤の詳細は表2にまとめる)。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2
噴霧乾燥法による生物学的に活性な作用物質の粒子調製
同様に実施例1に記載したように配合したリゾチームまたはBSAの溶液を、噴霧乾燥により希釈することができる(図1)。溶液は場合により約20mg/mLにDI水で希釈してよい。噴霧乾燥した粒子は、表3のパラメーターに従い設定したヤマト ミニ スプレー(Yamato Mini Spray)乾燥機を使用して製造した。
【0052】
【表3】
【0053】
1〜10ミクロンの間のサイズ範囲を有する粒子を得た(実施例製剤の詳細は、表4にまとめる)。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例3
非水性懸濁液ビヒクルの調製
ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリマー(Povidone)、USP KOLLIDONE17PF、BASF)を、安息香酸ベンジル(BB)に20〜70重量%のポリマー濃度で溶解する。BASFからの表面活性剤PLURONIC(商標)F68またはPOLOXAMER(商標)188をこの溶液に、約0.1〜8重量%のPVP/BB溶液の量で加える(図2)。
【0056】
同様にPVP/BBのビヒクル製剤(20〜70重量%のポリマー濃度を有する)をTWEEN80、またはポリソルベート80の表面活性剤を用いて0.1〜4重量%のPVP/BB溶液の量で調製することができる(実施例製剤の詳細は表5にまとめる)。
【0057】
【表5】
【0058】
実施例4
生物学的に活性な作用物質と非水性懸濁液ビヒクルとの適合性
種々の溶媒または油、ならびに本発明の代表的な懸濁液ビヒクル中のモノクローナル抗体のような生物学的に活性な作用物質の適合性を試験する。Mabの2種類の凍結乾燥調製物、CNTO1275およびCNTO148を評価した(表2の製剤7および8)。
【0059】
ビヒクルとの混合物中からのmABを分析するために、mABは以下の抽出手順を使用して混合物から抽出する:過剰な前冷却抽出溶媒(ジクロロメタン/アセトンの混合物、1:1)を各サンプルに加える。混合後、サンプルを遠心し、そして上清を除去する。次いで残るペレットを前冷却した抽出溶媒で2回洗浄し、そしてスピードバック(speed−vac)を通して乾燥する。サンプルをPBSバッファー、pH6.5中で再構成し、そしてSEC−HPLCでモノマー含量を分析する。
【0060】
表6および7は、本発明の種々の溶媒/ビヒクル中に懸濁し、37℃で最高8日間インキュベーションした後の凍結乾燥CNTO1275およびCNTO148の安定性をまとめる。ベンジルアルコール(BA)を含んでなる懸濁液を除き、CNTO1275およびCNTO148の両方が、調査した懸濁液溶媒、油、ビヒクル中で37℃で最高8日間インキュベーションした後にタンパク質のモノマー含量における顕著な損失無しに安定であることが分かった。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
実施例5
生物学的に活性な作用物質を含む非水性懸濁液の調製
上記実施例1および2で調製したもののような生物学的に活性な作用物質の粒子を、オーバーヘッドミキサーを使用して上記実施例3に記載したPVP/BB/PluronicF68またはPVP/BB/TWEEN80のような非水性懸濁液ビヒクルと混合する。混合はドライボックス内で室温にて行う。最初に粒子およびビヒクルの重量を計り、そして25ccのガラスシリンジに移す。粒子の添加は約10〜15重量%であり、最終製剤に約50〜500mg/mLのタンパク質濃度を導く。ステンレス鋼製の匙刃を備えた電気撹拌機を使用して粒子をビヒクルに50〜300rpmで5分間ブレンドする。懸濁液製剤をガラス製の注射シリンジに充填し、シリンジの準備ができた(syringe−ready)剤形を得る(図3)。製剤は注射前に冷蔵庫の温度に保存する(実施例製剤の詳細は表8にまとめる)。
【0064】
【表8】
【0065】
実施例6
貯蔵ゲルビヒクルに関する粘度測定
上記実施例3に記載した非水性懸濁液ビヒクルの粘度は、Bohlin CVO120レオメーターを使用して試験した。すべての試験は24℃で20mmの平行プレートを使用して行った。
【0066】
図4および5は、溶媒としてBB(図4)またはポリエチレングリコール400(PEG400)(図5)のいずれかを使用した非水性懸濁液ビヒクルの粘度を、ビヒクル製剤中のPVP含量の関数として具体的に説明する。PVP含量が高いほど、粘度は高くなる。ビヒクルの特定の粘度が、安定な懸濁液を調製するために望ましいかもしれない。図4および5で示すように、ビヒクルの粘度は所望する粘度に合うようにポリマー濃度により調整することができる。
【0067】
実施例7
生物学的に活性な作用物質を含む非水性懸濁液の射出性試験
非水性懸濁液の射出性は、細いゲイジ針を通ってシリンジ中の懸濁液製剤の全内容物を押し出すために必要な力を測定することにより評価する。懸濁液製剤をハミルトン(Hamilton)の500μl GASTIGHT(商標)シリンジに装填する。非水性懸濁液製剤の射出力は、インストン(Inston)の引張試験装置で試験し、ここでシリンジのプランジャーを移動するために必要な最大の力を測定した。射出力試験の前に、4℃で保存したサンプルについては、すべてのサンプルが室温に平衡化される(約1〜2時間)。射出速度は1cc/分または21G1”針を使用するクロスヘッド速度に設定する。
【0068】
図6は懸濁液製剤(40重量%のBSA粒子、製剤4を装填した)を押し出すために必要な力を、ビヒクル中のPVP濃度の関数として具体的に説明する。一般に、ビヒクル中のPVP濃度が高いほど、細い針を通ってシリンジから製剤を押し出すために必要な力は高くなるが、大きな変動性を体験し得る大変低いPVP濃度を含むビヒクルは例外である。
【0069】
実施例8
非水性懸濁液から生物学的に活性な作用物質のインビトロ放出速度
非水性懸濁液製剤から生物学的に活性な作用物質のインビトロ放出は、37℃で50mM PBS pH7.4中にて行う。特定量の懸濁液製剤を3mLのバキュテイナー(vacutainer)に入れ、これに約2mLのpBSバッファーを加える。バキュテイナーを自動ローター上に乗せ、そして系を37℃のオーブン内に配置する。予め決めた時点で、0.5mLの上清を取り出し、そして0.5mLの新しいPBSバッファーを再度入れる。取り出した上清は活性についてSECにより分析する。
【0070】
図7および8は非水性懸濁液製剤から活性物質(リゾチーム、図7;BSA、図8)の累積的放出を具体的に説明する。本発明の非水性懸濁液製剤から活性物質の即時放出が達成される。
【0071】
実施例9
非水性製剤に懸濁した後のモノクローナル抗体の特性決定
CNTO1275のようなモノクローナル抗体を、非水性製剤(実施例5の表8の製剤59および60)に懸濁する。CNTO1275は、上記実施例4に記載する手順に従い非水性懸濁液製剤から抽出する。非水性懸濁液製剤から抽出されたCNTO1275は、一連の比較分析法により特性決定される(以下の表9を参照にされたい)。
【0072】
【表9】
【0073】
比較分析から選択した結果を、図9、図10および表10に示す。CNTO1275標準と比べて、非水性懸濁液製剤から抽出したCNTO1275タンパク質は、凍結乾燥対照として同一の1次、2次および3次構造を示し、Mabの完全性が非水性懸濁液ビヒクル中で安定であることを示唆する。表10は製剤59および60からのCNTO1275サンプル、およびCNTO1275参照標準Lot4491−104に関する沈降係数をまとめる。
【0074】
【表10】
【0075】
実施例10
非水性懸濁液中での生物学的に活性な作用物質の安定性
図11は、3つの異なる温度で保存した後の非水性懸濁液製剤中のCNTO1275のタンパク質安定性を示す。安定性はSEC−HPLCにより測定されるモノマー含量により評価した。37℃で1カ月、室温で6カ月、および冷蔵温度で12カ月間それぞれ保存した後に評価した代表的な懸濁液製剤中のCNTO1275のモノマー含量に有意な変化
はない。
【0076】
実施例11
非水性懸濁液の物理的安定性
図12は、室温で21G針を通して懸濁液の全内容物を射出するために必要な力の変化により測定される、種々の懸濁液製剤の保存における物理的安定性を具体的に説明する(射出性)。冷蔵温度で最高12カ月保存した後の懸濁液製剤に関して、本質的に有意な変化はないことが分かり、懸濁液製剤が調査した保存温度下で物理的に安定であることを示す。
【0077】
実施例12
非水性懸濁液からの生物学的に活性な作用物質の薬物動態学
インビボのPK実験は、CNTO1275の代表的な非水性懸濁液製剤(製剤60)を用いて、カニクイザルを対象として10mgのCNTO1275/kgの標的用量の皮下注射(SC)により行った。CNTO1275の水溶液のSC注射を対象として試験し、そしてCNTO1275の水溶液のIV注射も絶対的な生物学的利用性(absolute bioavailability:BA)を算出するために試験した。以下の図13は非水性懸濁液製剤ならびに水溶液対照のPKプロファイルを具体的に説明する。CNTO1275の代表的な非水性懸濁液製剤は、水溶液対照と本質的に類似のPKプロファイルを示し、大変類似する最大濃度(Cmax)、Cmaxへ到達する時間(Tmax)ならびに生物学的利用性(BA)を有した(表11を参照にされたい)。
【0078】
【表11】
【0079】
本明細書に引用または記載した各特許、特許出願および刊行物の開示は、参照により全部、本明細書に編入する。
【0080】
本明細書に記載したものに加えて、本発明の種々の修飾が前記記載から当業者には明らかである。そのような修飾も添付する特許請求の範囲内にあるものとする。
【0081】
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、前記の詳細な説明をこれから記載する図面と合わせて読むことによりさらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】非水性懸濁液用に製剤される生物学的に活性な作用物質の粒子の該略図である。
【図2】非水性懸濁液ビヒクルの概略図である。
【図3】生物学的に活性な作用物質の非水性懸濁液製剤の該略図である。
【図4】本発明の安息香酸ベンジルビヒクル中のPVP濃度の関数として粘度を具体的に説明するグラフである。
【図5】本発明のポリエチレングリコール400ビヒクル中のPVP濃度の関数として粘度を具体的に説明するグラフである。
【図6】本発明の非水性懸濁液の射出力を具体的に説明するグラフである。
【図7】本発明の非水性懸濁液製剤からリゾチームのインビトロ放出速度に及ぼすサンプルサイズの効果を具体的に説明するグラフである(製剤42)。
【図8】本発明の非水性懸濁液製剤からBSAのインビトロ放出速度を具体的に説明するグラフである(製剤50、52)。
【図9】CNTO1275参照標準Lot4491−104と製剤60からのCNTO1275サンプルとの間の同一のトリプシンペプチドマッピングプロファイルを具体的に説明するグラフである。
【図10】CNTO1275参照標準Lot4491−104、および製剤59および60からのCNTO1275サンプルのFar−UV円偏光二色性スペクトルの重複を具体的に説明するグラフである。データは平均残基分子楕円率(deg・cm2・decimole−1)対波長としてプロットされる。
【図11】保存期限にわたりCNTO1275の非水性懸濁液製剤の物理的安定性(射出性)を具体的に説明するグラフである(製剤59、60)。
【図12】保存期限にわたり非水性懸濁液製剤中のCNTO1275のタンパク質安定性を具体的に説明するグラフである(製剤59、60)。
【図13】CNTO1275の水溶液と比べた、CNTO1275の非水性懸濁液製剤(製剤60)のカニクイザルにおける皮下薬物動態学的プロファイルを具体的に説明するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な作用物質;および
親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクル
を含んでなる懸濁液組成物。
【請求項2】
生物学的に活性な作用物質が治療薬である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
治療薬が低分子、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、DNA、RNA、プラスミド、ヌクレオチドフラグメント、抗体、モノクローナル抗体、ミメティボディ、抗体フラグメント、ダイアボディ、トリアボディまたはテトラボディである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
生物学的に活性な作用物質が50mg/mL〜約500mg/mLの範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
生物学的に活性な作用物質が組成物の約5重量%〜約60重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
生物学的に活性な作用物質が組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリHEMA)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、多糖、キチン、キトサン、ヒアルロン酸およびそれらのコポリマーまたはターポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
親水性の増粘剤がポリ(ビニルピロリドン)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
親水性の増粘剤が組成物の約10重量%〜約70重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
親水性の増粘剤が組成物の約15重量%〜約50重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
溶媒が芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、クエン酸の低級アルキルエステル、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
溶媒が安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、または安息香酸ベンジルおよびべンジルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
溶媒が組成物の約20重量%〜約85重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
さらにイオン性表面活性剤、非イオン性表面活性剤またはポリマー性表面活性剤を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
表面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン含有組成物、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミン、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドへの付加から誘導されるブロックコポリマーである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
表面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、または式がHO−(エチレンジオキシド)x−(プロピレンオキシド)y−(エチレンオキシド)x’−Hであるプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーであり、ここでxが約79であり、そしてyが約28であり、そしてx’が約79である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
表面活性剤が組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項19】
組成物が即時放出製剤である請求項18に記載の製薬学的組成物。
【請求項20】
組成物が25℃で流動的に注射可能である、請求項18に記載の製薬学的組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物およびシリンジを含んでなる投薬キット。
【請求項22】
シリンジが、生物学的に活性な作用物質およびビヒクルが注射前、混合されるまで分かれているように分割されている請求項21に記載の投薬キット。
【請求項23】
生物学的に活性な作用物質を合わせて懸濁液組成物を形成するためのビヒクルであり、ビヒクルが:
親水性の増粘剤;および
溶媒
を含んでなる上記ビヒクル。
【請求項24】
さらに表面活性剤を含んでなる請求項23に記載のビヒクル。
【請求項25】
生物学的に活性な作用物質を投与する方法であって:
生物学的に活性な作用物質を請求項23に記載の組成物に懸濁し;そして
生じた組成物をそれが必要な患者に注射する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項26】
少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法であって:
生物学的に活性な作用物質を請求項23に記載の組成物に懸濁する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項1】
生物学的に活性な作用物質;および
親水性増粘剤および溶媒を含んでなるビヒクル
を含んでなる懸濁液組成物。
【請求項2】
生物学的に活性な作用物質が治療薬である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
治療薬が低分子、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、DNA、RNA、プラスミド、ヌクレオチドフラグメント、抗体、モノクローナル抗体、ミメティボディ、抗体フラグメント、ダイアボディ、トリアボディまたはテトラボディである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
生物学的に活性な作用物質が50mg/mL〜約500mg/mLの範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
生物学的に活性な作用物質が組成物の約5重量%〜約60重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
生物学的に活性な作用物質が組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
親水性の増粘剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリHEMA)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、多糖、キチン、キトサン、ヒアルロン酸およびそれらのコポリマーまたはターポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
親水性の増粘剤がポリ(ビニルピロリドン)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
親水性の増粘剤が組成物の約10重量%〜約70重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
親水性の増粘剤が組成物の約15重量%〜約50重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
溶媒が芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、クエン酸の低級アルキルエステル、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
溶媒が安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、または安息香酸ベンジルおよびべンジルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
溶媒が組成物の約20重量%〜約85重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
さらにイオン性表面活性剤、非イオン性表面活性剤またはポリマー性表面活性剤を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
表面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン含有組成物、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンジアミン、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドへの付加から誘導されるブロックコポリマーである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
表面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、または式がHO−(エチレンジオキシド)x−(プロピレンオキシド)y−(エチレンオキシド)x’−Hであるプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーであり、ここでxが約79であり、そしてyが約28であり、そしてx’が約79である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
表面活性剤が組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項19】
組成物が即時放出製剤である請求項18に記載の製薬学的組成物。
【請求項20】
組成物が25℃で流動的に注射可能である、請求項18に記載の製薬学的組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物およびシリンジを含んでなる投薬キット。
【請求項22】
シリンジが、生物学的に活性な作用物質およびビヒクルが注射前、混合されるまで分かれているように分割されている請求項21に記載の投薬キット。
【請求項23】
生物学的に活性な作用物質を合わせて懸濁液組成物を形成するためのビヒクルであり、ビヒクルが:
親水性の増粘剤;および
溶媒
を含んでなる上記ビヒクル。
【請求項24】
さらに表面活性剤を含んでなる請求項23に記載のビヒクル。
【請求項25】
生物学的に活性な作用物質を投与する方法であって:
生物学的に活性な作用物質を請求項23に記載の組成物に懸濁し;そして
生じた組成物をそれが必要な患者に注射する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項26】
少なくとも50mg/mLの濃度の生物学的に活性な作用物質の注射可能な製剤の作成法であって:
生物学的に活性な作用物質を請求項23に記載の組成物に懸濁する、
ことを含んでなる上記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−525470(P2008−525470A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548443(P2007−548443)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046445
【国際公開番号】WO2006/071693
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046445
【国際公開番号】WO2006/071693
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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