説明

注文データおよび関連データを利用するための製品および処理

【課題】改良された取引システムを実装するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】注文が電子市場の複数の参加者の少なくとも1人の規則の基準を満たすことを決定するステップと、少なくとも1個の金融商品を示す暗号化された問い合わせを複数の参加者の少なくとも1人の計算装置へ送信するステップと、暗号化された問い合わせを受け取るステップと、暗号化された問い合わせが、少なくとも1人の参加者の取引上の関心を表すデータセット内の一致する注文に対応することを決定するステップと、暗号化された問い合わせがデータセット内の前記一致する注文に対応することを示す応答を送信するステップと、暗号化された問い合わせへの応答を受け取るステップと、注文および一致する注文を履行する取引を容易にするステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の米国特許出願を優先権主張する。
2006年5月13日出願の米国仮特許出願第60/799,897号「注文データおよび関連データを利用するための製品および処理」、
2006年8月24日出願の米国仮特許出願第60/820,053号「注文データおよび関連データを利用するための製品および処理」、
2006年9月13日出願の米国仮特許出願第60/825,504号「注文データおよび関連データを利用するための製品および処理」、
上記出願の各々の全文を本明細書に引用している。
【背景技術】
【0002】
経済活動の中心には、市場経済において消費される全ての商品やサービスに対する買い手/売り手による取引がある。買い手/売り手による取引は、生産者にリソースを、消費者には成果物を割り当てる基本的な仕組みである。商品やサービスの価値は通常、米ドル等の単位の通貨で表される。この仕組みは国境を越えるものである。商品やサービスの売買が国境を越えて盛んに行なわれるため、外貨を獲得し、従って、通貨自体が売買されて需要と供給の法則に支配される市場を形成する必要もある。
【0003】
歴史的に、商品、サービスおよび通貨の買い手と売り手を引き合わせるべく多くの異なる方式が採用されており、その各々が買い手と売り手双方の要求を満たしながら取引可能な品目の「市場」価格または極力これに近い価格での取引を可能にすることを主要目的としている。定義により、市場価格とは、十分に成熟していて完全にアクセス可能な市場が、選択された商品サービスを通貨と交換する際の所与の通貨単位での価格である。市場価格の発見は、基本的に全て潜在的な買い手と売り手が取引に完全に参加できるようにすると共に、各々取引主体の要望の表明を許すことによってのみ実現することができる。しかし、買い手/売り手による取引は極めて低コストで行なわれるよう構築する必要があり、さもなければ人為的に高い取引コストにより売買可能な品目の市場価格が歪められる。従って、これから分かるように、有効な買い手/売り手取引の二つの鍵、すなわち要望の表明およびその認識が完全に開放されている上で取引コストが低いことは、往々にして矛盾するため、必然的に取引効率と市場認識の間にトレードオフが生じる。
【0004】
今日、電子マッチングおよび取引システムは、商品、サービスおよび通貨を含む種々の品目の売買を含む多くの取引活動における用途で成功している。これらの取引活動の多くは、基本的に代替可能な品目、すなわち市場において類似品から意味のある区別が無い品目の売買に注目する。例えば、特定の日に配達可能な通貨の合計、例えば、1英ポンド・スターリング当たり1.65米ドルのレートでの62,500英ポンド・スターリングは、同日に他の投資家が所有する同額の通貨と区別がつかない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの電子マッチングおよび取引システムは、このような市場における多くの取引主体の多様な目標にさほど大きな影響を及ぼさなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は改良された取引システムを実装するシステムおよび方法を提供することである。
【0007】
本発明の上記および他の目的は、選択された取引機能の管理および/または注文、関心を表すデータ、および売買または同様の取引に関する他のデータの選択へのアクセスを管理する制御論理を有するデータ処理システムにおいて実現される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の実施形態によれば、システムが当該データへの完全なアクセスを許すことなくデータ(例:注文データ)の分析(例:問い合わせ)を許す。一実施形態において、そのようなデータは、ある取引主体が行ないたい注文に関するデータを含んでいる。当該データに対する問い合わせは、取引主体間で潜在的に一致する注文を判定する問い合わせを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下のセクションI〜VIIは本出願を解釈するためのガイドラインを提供する。
【0010】
I.用語
用語「製品」は別途指摘されない限り、任意の機械、製造および/または物質の組成を意味する。
【0011】
用語「処理」は、別途指定しない限り任意の処理、アルゴリズム、方法等を意味する。
【0012】
各処理(方法、アルゴリズムその他の呼び方もある)は本質的に、1個以上のステップを含んでおり、従って、処理の「ステップ」または「ステップ群」に言及する場合には必ず、用語「処理」または類似用語に単に言及する際の固有の先行する根拠が存在する。従って、請求項における処理の「ステップ」または「ステップ群」への言及には十分な先行する根拠が存在する。
【0013】
用語「一実施形態」、「実施形態」、「実施形態群」、「当該実施形態」、「当該実施形態群」、「1個以上の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「一実施形態」、「別の実施形態」等は、別途指定しない限り「開示された発明の1個以上の(しかし全部ではない)実施形態」を意味する。
【0014】
本発明の「変形」という用語は、別途指定しない限り本発明の一実施形態を意味する。
【0015】
一実施形態を記述する際の「別の実施形態」への言及は、参照された実施形態が別途指定しない限り別の実施形態(例:参照された実施形態の前に記述された実施形態)とは相互に排他的であることを意味しない。
【0016】
用語「含んでいる」、「備えている」およびこれらの変化形は、別途指定しない限り「含んでいるがこれに限定されない」ことを意味する。
【0017】
用語「a」、「an」、および「the」は、別途指定しない限り「1個以上」を意味する。
【0018】
用語「複数の」は、別途指定しない限り「2個以上」を意味する。
【0019】
用語「本明細書において」は、別途指定しない限り「本出願において、引用可能であるあらゆるもの含む」を意味する。
【0020】
語句「少なくとも1個の」は、そのような語句が複数のもの(列挙されたもののリスト等)を修飾する場合、別途指定しない限りそれらのものの1個以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、語句「ウィジェット、車および車輪のうち少なくとも1個」は、(i)ウィジェット、(ii)車、(iii)車輪、(iv)ウィジェットおよび車、(v)ウィジェットおよび車輪、(vi)車および車輪、あるいは(vii)ウィジェット、車および車輪のいずれかを意味する。
【0021】
「1」、「2」等の数詞は、何か(例えば1個のウィジェット、2個のウィジェット)の量を示す基数として用いられる場合、当該数詞が示す量を意味するが、少なくとも当該数詞が示す量を意味しない。例えば、語句「1個のウィジェット」は「少なくとも1個のウィジェット」を意味せず、従って、語句「1個のウィジェット」は例えば2個のウィジェットを含意しない。
【0022】
語句「〜に基づく」は、別途指定しない限り「〜だけに基づく」を意味しない。換言すれば、語句「〜に基づく」は「〜だけに基づく」および「少なくとも〜に基づく」の両方を記述している。
【0023】
用語「〜を表す」および類似用語は、別途指定しない限り排他的でない。例えば、用語「〜を表す」は別途指定しない限り「〜だけを表す」を意味しない。換言すれば、語句「データはクレジットカード番号を表す」は、「データはクレジットカード番号だけを表す」および「データはクレジットカード番号を表すと共に、データも他のものを表す」の両方を述べている。
【0024】
用語「これにより」は本明細書において、意図された結果、目的、または以前に明確に述べられた何らかの帰結だけを表す文節その他の単語の集合に先行するためだけに用いる。従って、用語「これにより」が請求項で用いられる場合、用語「これにより」が修飾する文節その他の文言は特許請求の範囲に対する特定の更なる限定を行なうことも、あるいは別途特許請求の範囲の意味または範囲を制限することもない。
【0025】
用語「例:」および類似用語は「例えば」を意味し、従ってこれが説明する用語または語句を制限しない。例えば、「コンピュータはインターネット上でデータ(例:命令、データ構造)を送る」という文において、用語「例:」は、「命令」が、コンピュータがインターネット上で送ることができる「データ」の例であることを説明すると共に、「データ構造」が、コンピュータがインターネット上で送ることができる「データ」の例であることを説明する。しかし、「命令」および「データ構造」の両方共に、「データ」の単なる例に過ぎず、「命令」および「データ構造」以外の他のものも「データ」であり得る。
【0026】
用語「すなわち」および類似用語は「〜ということである」を意味し、従ってそれが説明する用語または語句を制限する。例えば、「コンピュータはインターネット上でデータ(すなわち命令)を送る」という文において、用語「すなわち」は、「命令」が、コンピュータがインターネット上で送る「データ」であることを説明する。
【0027】
II.決定
用語「決定する」およびその文法的変化形(例:価格を決定する、価値を決定する、特定の基準を満たす物品を決定)は、極めて広い意味で用いられる。用語「決定する」は、広範な行為を表すものであり、従って「決定する」は、計算、算出、処理、導出、調査、参照(例:テーブル、データベースその他のデータ構造の参照)、確認等を含んでいてよい。さらに、「決定する」は、受け取り(例:情報を受け取る)、アクセス(例:メモリ内のデータにアクセスする)等を含んでいてよい。さらに、「決定する」は、解決、選択、選定、確立等を含んでいてよい。
【0028】
用語「決定する」は、確実性または絶対的な精度を意味せず、従って、「決定する」は、推定、予測、推測等を含んでいてよい。
【0029】
用語「決定する」は、数学的処理を実行する必要があることを意味せず、数値的方法を用いる必要がることを意味せず、且つアルゴリズムまたは処理が用いられることを暗に意味するものでもない。
【0030】
用語「決定する」は、何等かの特定の装置を用いる必要があることを意味しない。例えば、必ずしもコンピュータが決定を実行する必要がある訳ではない。
【0031】
III.文の形式
第1請求項の限定が1個の特徴と同様に1個以上の特徴を包含する(例:「少なくとも1個のウィジェット」のような限定は、1個のウィジェットと同様に複数のウィジェットも包含する)し、第1請求項に依存する第2請求項において第2請求項が当該限定(例:「当該ウィジェット)に言及するために定冠詞「the」を用いる場合、これは第1請求項が当該特徴のうち1個だけを包含することを意味せず、且つ第2請求項が当該特徴のうち1個だけを包含することを意味しない(例:「ウィジェット」は1個のウィジェットおよび複数のウィジェットの両方を包含することができる)。
【0032】
序数(例:「第1」、「第2」、「第3」等)が用語の前の形容詞として用いられる場合、当該序数は(別途指定しない限り)あくまでも特定の特徴を示すためだけに用いられ、例えばその特定の特徴を同一用語または類似用語で記述されている他の特徴から区別する。例えば、「第1ウィジェット」は、単にこれを例えば「第2ウィジェット」から区別するためだけにそのように名付けられていてよい。従って、用語「ウィジェット」の前の単なる序数「第1」および「第2」の使用は、2個のウィジェット間の他の何らの関係も示唆するものではなく、同様に一方または両方のウィジェットの他の何らの特徴も示唆しない。例えば、用語「ウィジェット」の前の序数「第1」および「第2」の単なる使用は、(1)順序または場所に関して一方のウィジェットが他方の前または後に来ることを示唆せず、(2)時間に関して一方のウィジェットが他方の前または後に生起することを示唆せず、(3)重要度または品質に関して一方のウィジェットが他方の上または下にランクされることを示唆しない。さらに、序数の単なる使用は、序数により識別される特徴に対する数値的の制限を定めるものではない。例えば、用語「ウィジェット」の前の序数「第1」および「第2」の単なる使用は、2個より多くのウィジェットが存在してはならないことを示唆しない。
【0033】
単一の装置または物品が本明細書に記述されている場合、記述されている単一の装置/物品の代わりに複数の装置/物品(協働するかしないかに拘わらず)を代替的に用いることができる。従って、1個の装置が保有するように記述されている機能はまた、複数の装置/物品(協働するかしないかに拘わらず)が保有していてもよい。
【0034】
同様に、複数の装置または物品(協働するかしないかに拘わらず)が本明細書に記述されている場合、記述されている複数の装置または物品の代わりに単一の装置/物品を用いてもよい。例えば、コンピュータ上で動作する複数の装置をコンピュータ上で動作する単一の装置で代替することができる。従って、複数の装置または物品が保有していると記述される各種の機能を、単一の装置/物品が代替的に保有していてもよい。
【0035】
記述されている単一の装置の機能および/または特徴は、記述はされているもののそのような機能/特徴を有することが明確に記述されている1個以上の他の装置により代替的に具現化されていてもよい。従って、他の実施形態は、記述されている装置自体を含んでいなくてもよく、むしろ、それら他の実施形態においてこのような機能/特徴を有する1個以上の他の装置を含んでいてよい。
【0036】
IV.開示する実施例および用語は限定的ではない
本出願には多くの実施形態を記述されているが、これらはあくまでも図解目的として提示するものである。記述する実施形態はいかなる意味でも限定されず、且つ限定的であることを意図していない。現在開示している発明は、開示から容易に分かるように、多くの実施形態に広く適用可能である。当業者であれば、開示している発明が各種の変形および変更、例えば構造的、論理的、ソフトウェア的、および電気的変形により実装できる点を認識されよう。開示している発明の特定の特徴を、1個以上の特定の実施形態および/または図面に関して記述する場合があるが、そのような特徴は、別途指定しない限り記述されている1個以上の特定の実施形態または図面における使用に限定されない点を理解されたい。
【0037】
現在の開示は、本発明の全ての実施形態の文字通りの記述でなく、且つ全ての実施形態に存在すべき本発明の特徴の一覧でもない。
【0038】
発明の名称(本出願の第1ページ冒頭に表記)および要約書(本出願の末尾に表記)が、いかなる意味でも開示発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。要約書が本出願に含まれているのは、37C.F.R§1.72(b)(米国特許施行規則)に基づき最大150語の要約書が要求されるためである。
【0039】
本出願の名称および本出願の各セクションの見出しはあくまでも便宜上のためのものであり、いかなる意味でも開示内容を限定するものと解釈してはならない。
【0040】
相互に通信するように記述されている装置は、別途明示的に指定しない限り相互に連続的に通信状態にある必要はない。逆に、そのような装置は、必要に応じて相互に送信すればよく、実際にはほとんどの時間はデータ交換を行なっていない。例えば、インターネットを介して他の機器と通信状態にある機器が、長期間(例:数週間)他の機器にデータを送信しないかもしれない。さらに、相互に通信状態にある装置は、1個以上の仲介機器を介して直接または間接的に通信することができる。
【0041】
いくつかの構成要素または特徴を有する実施形態の記述は、そのような構成要素/特徴の全てまたは一部でさえ、必要であることを示唆していない。逆に、現在の発明の広範に可能な実施形態を例示するために各種のオプション的構成要素が記述されている。別途明記しない限り、いかなる構成要素/特徴も必須または不可欠ではない。
【0042】
処理ステップ、アルゴリズム等は順次記述することができるが、そのような処理を異なる順序で動作するように構成することができる。換言すれば、明示的に記述できるステップのいかなるシーケンスまたは順序は、必ずしもそのステップをその順序で実行する必要があることを示唆する訳ではない。本明細書に記述されている処理のステップは現実的な任意の順序で実行することができる。さらに、いくつかのステップは、非同時的に生起する(例:あるステップが別のステップの後に記述されているため)と記述または示唆されているにもかかわらず、同時に実行することができる。さらに、ある処理が図面に描かれているからといって、図示された処理が他の変形および変更を排除することを示唆しておらず、かつ図示された処理またはそのステップのいずれも本発明に必要であるとは示唆しておらず、図示された処理が好適であることも示唆していない。
【0043】
処理が複数のステップを含むものとして記述されていても、それらステップの全てまたは一部が必須または不可欠であることを示唆していない。記述する発明の範囲内のその他各種の実施形態は、記述されているステップのいずれか、または全てを省略する他の処理を含んでいる。別途明示的に指定しない限り、いかなるステップも必須または不可欠ではない。
【0044】
製品が複数の構成要素、態様、品質、特性および/または特徴を含むように記述することができるが、これら複数のものの全てが必須または不可欠であることを示唆していない。記述する発明の範囲内のその他各種の実施形態は、記述されている複数のもののいずれか、または全てを省略する他の製品を含んでいる。
【0045】
列挙された品目のリスト(番号付けられていてもいなくてもよい)は、別途指定しない限り品目のいずれか、または全てが相互に排他的であることを示唆していない。同様に、列挙された品目のリスト(番号付けられていてもいなくてもよい)は、別途指定しない限り品目のいずれか、または全てがどのカテゴリも網羅していることを示唆していない。例えば、列挙されたリスト「コンピュータ、ラップトップ、PDA」は、当該リストの3品目のいずれか、または全てが相互に排他的であることを示唆しておらず、当該リストの3の品目のいずれか、または全てがどのカテゴリも網羅していることを示唆していない。
【0046】
V.算出
当業者であれば、本明細書に記述されている各種の処理が、例えば適切にプログラムされた汎用コンピュータおよび計算装置により実装できる点が容易に理解できよう。通常、プロセッサ(例:1個以上のマイクロプロセッサ、1個以上のマイクロコントローラ、1個以上のデジタル信号プロセッサ)は命令を受信(例:メモリまたは同様の装置から)し、それらの命令を実行することにより、これらの命令が定める1個以上の処理を実行する。
【0047】
「プロセッサ」とは、1個以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、計算装置、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、または同様の装置あるいはこれらの任意の組み合わせを意味する。
【0048】
従って、処理の記述はさらに処理を実行する装置の記述でもある。装置は、例えば本方法の実行に適したプロセッサおよびそれらの入力装置および出力装置を含んでいてよい。
【0049】
さらに、そのような方法を実装するプログラム(他の種類のデータも同様)は、多くの方法で各種の媒体(例:計算機可読媒体)を用いて格納および送信することができる。いくつかの実施形態において、各種の実施形態の処理を実装可能なソフトウェア命令の一部または全ての代わりに、またはこれと組み合わせて、有線接続された回路または特注ハードウェアを用いることができる。従って、ソフトウェア単独ではなく、ハードウェアとソフトウェアの様々な組み合わせを用いることができる。
【0050】
用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ、プロセッサまたは同様の装置により読むことができるデータ(例:命令、データ構造)の提供に関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および送信媒体等、多くの形式を取り得るがこれらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば光または磁気ディスクその他の永続的メモリを含んでいる。揮発性媒体は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)を含んでいて、通常は主メモリを構成する。送信媒体は同軸ケーブル、銅線および光ファイバーを含んでいて、プロセッサに接続されたシステムバスを構成する導線を含んでいる。送信媒体は、無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信を行う間に発生するような音波、光波、および電磁放射を含んでいるか、または搬送することができる。コンピュータ可読媒体の一般的な形式として、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブル・ディスク、ハードディスク、磁気テープその他任意の磁気媒体、CD−ROM、DVDその他任意の光媒体、パンチカード、紙テープその他穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEEPROMその他任意のメモリチップまたはカートリッジ、後述する搬送波、あるいはコンピュータが読む取ることができるその他の任意の媒体が含まれている。
【0051】
様々な形式の計算機可読媒体が、プロセッサへのデータ(例:命令シーケンス)搬送に関与することができる。例えば、データは(i)RAMからプロセッサへ配信、(ii)無線送信媒体を介して搬送、(iii)イーサネット(登録商標)(またはIEEE802.3)、SAP、ATP、Bluetooth(商標)、およびTCP/IP、TDMA、CDMA、および3G等の多くの形式、標準またはプロトコルに従い送信する、および/または(iv)プライバシー保護または不正防止のために当該技術分野で公知の各種の方法のいずれかにより暗号化されていてよい。
【0052】
従って、処理の記述はさらに処理を実行するプログラムを格納しているコンピュータ可読媒体の記述でもある。コンピュータ可読媒体は、本方法の実行に適したこれらプログラム要素を格納(任意の適当な形式で)することができる。
【0053】
処理における各種のステップの記述が、記述されている全てのステップが必要であることを意味しないのと同じく、装置の実施形態は、記述されている処理の一部(しかし必ずしも全てではない)を実行すべく動作可能なコンピュータ/計算装置を含んでいる。
【0054】
同様に、処理における各種のステップの記述が、記述されている全てのステップが必要であることを意味しないのと同じく、プログラムまたはデータ構造を格納しているコンピュータ可読媒体の実施形態には、実行時に記述されている処理の一部(しかし必ずしも全てではない)をプロセッサに実行させることが可能なプログラムを格納しているコンピュータ可読媒体が含まれている。
【0055】
データベースが記述されている場合、当業者であれば、(i)記述されているものの代替的なデータベース構造が容易に利用できること、および(ii)データベース以外の他メモリ構造が容易に利用できる点が理解できよう。本明細書に示すどのサンプル・データベースの図解や説明はいずれも、情報が格納された状態を表す例示的構成である。例えば図面その他に示すテーブル等により提示されている以外の他の任意の数の構成を用いてもよい。同様に、データベースの図示する項目はいずれも例示的な情報だけを表すものであって、当業者であれば、項目の数および内容が本明細書に記述しているものと異なっていてよい点が理解できよう。さらに、データベースをテーブルとして示しているが、他の形式(関係データベース、オブジェクト指向モデルおよび/または分散データベースを含む)を用いて本明細書に記述するデータ型を格納および操作することができる。同様に、データベースのオブジェクト・メソッドまたは振る舞いを用いて、本明細書に記述するような各種の処理を実装することができる。さらに、データベースは公知の方法で、そのようなデータベースのデータにアクセスする装置にローカルに格納されていても、または遠隔装置に格納されていてもよい。
【0056】
各種の実施形態を、1個以上の装置と通信状態(例:通信ネットワークを介して)にあるコンピュータを含むネットワーク環境で動作すべく構成することができる。コンピュータは、任意の有線または無線媒体(例:インターネット、LAN、WAN、またはイーサネット(登録商標)、トークンリング、電話線、ケーブル線、ラジオチャネル、光通信線、商用オンライン・サービス・プロバイダ、掲示版システム、衛星通信リンク、これらの任意の組み合わせ)を介して、直接または間接的に装置と通信することができる。各々の装置は、それ自体が、コンピュータと通信すべく適合されているIntel(登録商標)Pentium(登録商標)またはCentrino(商標)プロセッサ等を備えたコンピュータその他の計算装置を含んでいてよい。任意の数および種類の装置がコンピュータと通信状態にあってよい。
【0057】
一実施形態において、サーバ・コンピュータまたは中央集権的機能は必須でなく、または望ましくもない。例えば、本発明は一実施形態において、中央集権的機能無しで1個以上の装置上で実装することができる。このような実施形態では、本明細書において、サーバ・コンピュータにより実行されると記述される機能、あるいはサーバ・コンピュータに格納されると記述されるデータはいずれも、代替的に1個以上のそのような装置により実行または格納することができる。
【0058】
VI.継続出願
本開示は、当業者に対し、いくつかの実施形態および/または発明を実現するための記述を提供する。これらの実施形態および/または発明のいくつかは本出願において権利請求されていないが、それにもかかわらず本出願の優先権を主張する1個以上の継続出願において権利請求される。本出願人は、開示および実現されているが本出願では権利請求されていない主題に対する特許権利請求を遂行すべく追加的な出願を行なう予定である。
【0059】
VII.米国特許法第112条、第6項
特許請求の範囲において、語句「〜のための手段」または、語句「〜のためのステップ」を含む請求項の限定は、米国特許法第112条、第6項がこの限定に適用されることを意味する。
【0060】
特許請求の範囲において、語句「〜のための手段」または語句「〜のためのステップ」を含まない特許請求の範囲の限定は、当該限定が、ある機能を実行するための構造、材料、または行為について言及することなく当該機能に言及しているか否かに拘わらず、米国特許法第112条、第6項が当該限定に適用されないことを意味する。例えば、特許請求の範囲において、当該請求項または別の請求項の1個以上のステップに言及する際に単に語句「〜のステップ」または語句「〜のステップ群」を用いても、米国特許法第112条、第6項が当該ステップに適用されることを意味しない。
【0061】
米国特許法第112条、第6項に従い指定された機能を実行する手段またはステップに関して、本明細書に記述する対応構造、材料または行為、およびこれらの等価物は、指定された機能だけでなく追加的な機能を実行することができる。
【0062】
コンピュータ、プロセッサ、計算装置および類似の製品は、多様な機能を実行することができる構造である。そのような製品は、1個以上のプログラム、例えば当該製品のメモリ装置または当該製品がアクセスするメモリ装置に格納されたプログラムを実行することにより、指定された機能を実行すべく動作可能である。別途指定しない限り、そのようなプログラムは一切の特定のアルゴリズム、例えば本出願に開示する可能性のあるいずれかの特定のアルゴリズムに基づいている必要はない。指定された機能は異なるアルゴリズムを介して実装可能であり、多くの異なるアルゴリズムのいずれも指定された機能を実行するための単なる設計上の選択に過ぎないということは、当業者には周知である。
【0063】
従って、米国特許法第112条、第6項に従い指定された機能を実行する手段またはステップに関して、指定された機能に対応する構造は、当該指定機能を実行すべくプログラムされた任意の製品を含んでいる。このような構造は、そのような製品が(i)当該機能を実行すべく開示されたアルゴリズム、(ii)開示されたアルゴリズムに類似しているアルゴリズム、または(iii)当該機能を実行するための異なるアルゴリズムに基づきプログラムされているか否かに拘わらず、当該機能を実行するプログラム済みの製品を含んでいる。
【0064】
VIII.売り手側データの一般論
本発明の各種の実施形態は、金融商品、証券(例:持分証券)、外貨、日用品、およびそれら各々の派生商品を含む、任意の種類の商品、サービス、および資産を売買するシステムと協働すべく用いることができる。従って、以下の説明は非限定的な意味で株式に言及する。
【0065】
各種の市場において「売り手側」参加者および「買い手側」参加者が存在する。売り手側参加者には、特定の金融商品の売買を許可されたブローカーが含まれる。買い手側参加者には、ミューチュアル・ファンド、ヘッジファンド、およびその他のブローカーでない取引主体が含まれる。
【0066】
各種の実施形態によれば、買い手側参加者および売り手側参加者の双方から情報を受け取り、格納、および使用して様々な取引主体間で取引を容易にすることができる。一実施形態において、売り手側参加者からの情報が集められて様々な処理で利用される。例えば、売り手側参加者からの情報を選択的に処理して、通知(例:買い手側参加者に対する特定の種類の注文が売り手側参加者に存在する旨の通知、その他潜在的に関心対象である通信または情報)を発することができる。別の実施形態において、売り手側参加者からの情報を選択的に処理して、自動的に取引(例:買い手側参加者との)を実行することができる。別の実施形態において、売り手側参加者から情報を選択的に処理して、そのような情報への関心を明示する売り手側参加者と買い手側参加者の間で通信を開始することができる。
【0067】
各種の実施形態によれば、各種のシステムを用いて、取引主体から(例:売り手側参加者から)データを集めることができる。そのようなデータは次いで、各種の方法で処理されて通信および/または取引主体間の金融取引(例:売買)を容易にすることができる。例えば、様々な取引主体(例:買い手側参加者)は、別の取引主体(例:売り手側参加者)により利用可能とされたならば、アクション(例:買い手側参加者に通知を発し、買い手側参加者と売り手側参加者の間で通信を開始するか、または開始する手助けとなる)を起動させるデータを指定することができる。注文データには、例えば金融商品の識別子(例:持分証券の名前またはチッカーシンボル)、量(例:金融商品の持分数)、当該金融商品を買うか売るか、および価格(例:当該金融商品の持分の価格)が含まれていてよい。注文データは、値または範囲(例:価格の範囲)の集合を定めることができる。本明細書で用いる値の参照は、値の範囲を指すことができる。例えば、価格は、最低価格および最高価格、または最低価格、あるいは最高価格により定義される範囲を指していてよい。
【0068】
注文データは、他のデータを参照することでデータを示すことができる。例えば、注文は、計算された、または他の価格から別途決定される(例:内部市場を定める2通りの価格等、他の2通りの価格の中点)価格を特定することができる。注文は、一組の注文(例:一群の異なる証券)を表すことができる。
【0069】
取引主体から受け取ったデータは様々な種類の情報を表すことができ、そのような情報は様々な取引主体が関心を持つであろう。例えば、売り手側参加者(または他の取引主体)から受け取ったデータは、金融商品(例:証券)の購入申し出、または金融商品の売却申し出を表すデータを含んでいてよい。追加的または代替的に、売り手側参加者(または別の取引主体)から受け取ったデータは、金融商品に対する関心の徴候を表すデータを含んでいてよい。追加的または代替的に、売り手側参加者(または別の取引主体)から受け取ったデータは、見積りを表すデータを含んでいてよい。見積りとは対照的に、注文は、適当な条件下で法的拘束力を有する一方、見積りは取引主体が市場を見積る価格である。さらに、過去の申し出および/または過去の売買等の履歴データもまた売り手側参加者、あるいはそのようなデータにアクセス可能な他の取引主体(例:実行された取引を記録する取引主体)から受け取ることができる。本明細書で用いる用語「注文」は、金融商品の価格の見積りその他の指標を含んでいる。
【0070】
本明細書に開示するように、様々な取引主体からのデータを、これら様々な取引主体(例:買い手側参加者および売り手側参加者)と通信するサーバおよび/または装置が受け取ることができる。
【0071】
1個以上の客観的な規則を用いて、取引主体(例:売り手側参加者)が自身の立場を証券の買い手または売り手として示すことができるか否かを判定する。そのような規則は、(i)当該取引主体が現在行なっている実際の注文、(ii)最近(例:直近2日以内)売買した(平均的な)1日当たりのボリューム(数量)のパーセンテージが、(iii)最近売買した総数量のパーセンテージ、(iv)別の顧客により売買された数量、および/または(v)取引主体が今日何を売買したいかに関して、当該取引主体が提供する任意の客観的情報等のデータを利用することができる。
【0072】
サーバは、参加する取引主体のいずれでもない(例:売り手側参加者または買い手側参加者のいずれでもない)中立的な取引主体により所有、制御、または操作することができる。
【0073】
サーバは、各種の手段を通じて売り手側参加者から各種の情報(例:注文データ)を集めることができる。一実施形態において、参加者からの情報は、当該取引主体が既に使用しているか、または容易に使用できる装置、例えば当該取引主体が用いる注文管理システム(OMS)(例:Nyfixシステム)、またはAutexシステムまたは情報を一般にブロードキャストする(例:「通り」に)等の他のシステムを介して受け取られる。参加者は、どの情報を利用可能にするかを選択できる。例えば、OMSにおいて特定の注文を「ブロック」して、これらがサーバで利用不可能にすることができる。同様に、OMSにおいて特定の命令をサーバで利用可能にすることができる。例えば、各種の基準、例えば、注文の規模(量)、取引主体の評価、および/または指定可能であれば何にでも(例:、規則)に基づいて、取引主体からの注文および他のデータをブロックしたり利用可能にすることができる。同様に、特定の注文をブロックしたり利用可能にすることができ、かつ取引主体からの他のデータをブロックしたり利用可能にすることができる。
【0074】
追加的または代替的に、異なるアプリケーションまたはシステム(例:ブラウザを介してアクセス可能なウェブ/HTMLインターフェース)を用いて、そのような情報を集める、および/または、そのような情報をサーバで利用可能にすることがでる。例えば、ウェブ・インターフェースを用いて、注文を定めるデータを受け取ることができる。インターフェースは、そのようなデータを他の取引主体へ直接または間接的に(例:自身が様々な取引主体と通信する中央システムへの送信を介して)に送るべく動作可能であってよい。
【0075】
取引主体は、自身の情報へのサーバ・アクセスを選択的に許可することができる。例えば、取引主体(例:買い手側参加者)は、(指定された規則に従って自動的に、および/または、ユーザーの指示に従い手動で)情報をサーバから見えなくすることができる。
【0076】
そのような情報は、様々な取引主体(例:売り手側取引主体から)から直接または間接的に集めることができる。そのような情報は、たとえそのような情報は公にされていない(例:「市場に」公表されていない)か、他の取引主体に伝播されていないか、または他の取引主体により利用能になっていない場合でも集めることができる。各種の実施形態において、一般的に利用できない(例:OMSに格納された注文データ)データをその後利用可能にする、および/または、多くの取引主体(例:同じ買い手側参加者のために働く多くのトレーダ)により利用可能にすることができる点に留意されたい。
【0077】
各種の実施形態によれば、そのような情報を集める、および/または、そのような情報をサーバが利用できるようにするために、既存のアプリケーションまたは取引主体のシステムを用いてもよいが必ずしも用いなくてもよい。
【0078】
各種の実施形態によれば、一般に利用できない情報にアクセスすることから利点が得られる。具体的には、注文データおよび買い手側取引主体および/または、売り手側取引主体が有する他の情報にアクセスする(例:市場には当該情報が未公表な時点で取引主体のOMSから直接に情報を得る)ことから各種の利点が得られる。そのような利点は当業者には明らかであろう。
【0079】
各種の実施形態によるデータ処理システムは、調整されたデータフローおよび処理のためのサーバに接続された複数のワークステーション(例:買い手側参加者のワークステーションおよび/または売り手側参加者)を用いる。通信は、コンピュータ・ネットワーク、例えばイーサネット(登録商標)、トークンリング、トークンバスおよび/または他の任意の適当ネットワーク構成により提供することができる。本システムは、各ワークステーションから個別にプログラムされたキーストローク命令の提供を容易にすべく入力専用キーパッドを含んでいる。他の装置、例えば他のキーボード、入力キーパッド、または音声制御された電子装置も本システムで用いることができる。
【0080】
中央処理ロジックが利用できる注文、取引および割当てオプション、および各ワークステーション用の画面表示を記述する。各ワークステーション用の画面表示はまた、ワークステーションに組み込まれたか接続されているロジックを用いて制御することができる。注文および取引が本システムに入力されるに従い、各種のプロトコルが、例えば、入札/応札制御、優先度の生成、排他的取引時間、および取引管理の割当てを実行する。取引が完了したならば、本システムは接続されたデータベースを新たに入力された取引データにより更新する。
【0081】
取引主体間の(例:買い手側参加者と売り手側参加者との)通信は、1個以上のサーバまたは等価な計算装置により制御することができる。サーバは、ネットワークまたはインターネット・サーバ等、任意の適当なコンピュータまたはサーバを含んでいてよい。サーバは、1個以上のネットワークにより1個以上のワークステーションに接続されていてよい。そのようなネットワークは、任意の各種通信装置、リンク、リモートサーバおよび/またはノードを含んでいてよい。ネットワークは、インターネット等、任意の適当なコンピュータ・ネットワークを含んでいてよい。同様に、通信装置、リンク、リモートサーバおよびネットワークは、ワークステーションをサーバと通信可能にするコンピュータ・ネットワークの任意の適当な構成要素を含んでいてよい。他の多くのネットワーク構成も同様に用いてよい。
【0082】
IX.売り手側データ:分散型または他の構成
一実施形態において、データは集中化されていても、あるいは部分的に集中化されていてもよい。例えば、複数の取引主体からに注文を表すデータ(例:注文データ)、または他のデータは、サーバ等の同一装置に格納することができる。別の例では、複数の取引主体からの注文(例:注文データ)その他のデータを表すデータの全部または実質的に全部を複数の装置の各々に格納することができる。
【0083】
一実施形態において、データを配信することができる。例えば、複数の取引主体の各々は、その各々の取引主体からの注文を表すデータ(例:注文データ)、または他のデータ(例:ユーザーが指定するかもしれない関心対象である潜在的な注文)を格納するサーバ(または他の装置)を用いることができる。例えば、複数のサーバ(または他の装置)の各々は、各々の取引主体(例:各々の買い手側参加者)の注文だけを格納することができる。そのような複数のサーバからのデータは、各種の方法、例えば(1)そのような各々のサーバが、そのようなデータを集約および/または処理する1個以上の「中央」サーバと通信する、および/または、(2)そのような各々のサーバが、そのような他のサーバの一部または全部と任意の適当なピア・ツー・ピア構成で通信することにより利用可能にできる。
【0084】
そのような実施形態において、取引主体の注文データを格納するサーバは、(1)当該取引主体のネットワーク(例:LAN)を経由して(且つ経由することによってのみ)アクセス可能であり、(2)当該取引主体により物理的に制御され、および/または、(3)当該取引主体の注文データを生成するか、または別途サーバに(恐らくは排他的に)提供する装置(例:当該取引主体のOMS)と通信することができる。注文データの一部は自動的に(例:別のサーバから変換/暗号化されて)取得する、および/または、ユーザーにより入力する(例:ユーザーが関心対象になり得る潜在的な注文を入力する)ことができる。
【0085】
サーバに格納されるデータは各種の形式で格納することができる。例えば、そのようなデータは、標準形式(そのような標準が現在存在するか、または後日開発または確立されるかに拘わらず)で格納することができる。データは複数の異なる形式のいずれかで格納することができるが、(当該データを格納する装置または他の装置により)共通形式に変換できる。一実施形態において、複数のサーバの各々は、データを同一形式で格納する。
【0086】
データは、暗号化されるか、または別途、特定の情報または任意の情報の抽出を困難または計算機的に扱い難くする形式で格納することができる。例えば、データを公開鍵暗号化等の非対称鍵アルゴリズムにより暗号化することができる。公開鍵暗号化を用いる実施形態において、データへのアクセス(例:データを容易に復号化できる能力)は、選択的に公開鍵を与えることにより選択的に許可することができる。
【0087】
一実施形態において、複数のサーバの各々は、データを同一形式で格納する。そのような各々のサーバは、他のサーバとは異なる暗号化鍵を用いる場合がある。あるいは、特定のサーバは同一暗号化鍵を用いる場合がある。
【0088】
データが暗号化される(そのようなデータが配信されるか否かに拘わらず)実施形態において、サーバの情報にアクセスする能力は、(1)当該サーバ上の全ての情報を復号化する能力、(2)特定の情報(例:情報を制御する取引主体により選択された情報のみ)を復号化する能力、(3)必ずしも当該情報を復号化された形式で提供することなく、暗号化された情報に関する問い合わせに答える能力を含んでいてよい。
【0089】
必ずしも当該情報を復号化された形式で提供することなく情報に関する問い合わせに答える例として、問い合わせを、(1)暗号化された情報を格納するサーバに提供する、(2)当該サーバ上のソフトウェアにより翻訳する、(3)サーバが2値的回答(例:答えが「はい」または「いいえ」のいずれかである)で答えるようにすることができる。そのような実施形態において、尋ねられる問い合わせの種類を制限する、および/または、問い合わせの主題である同一データを格納する同一サーバまたは複数の装置に対して尋ねられる問い合わせ(または関連する問い合わせ)の頻度を制限することに利点があり得る。例えば、問い合わせを「貴方のデータには、株式記号Xを少なくとも数量Yおよび少なくとも価格Zで買う注文が含まれていますか」の形式であってよく、ここで、Yは自明でない量(例:Yは1株ではなく、しかし10,000株未満でない)且つZは市場価格に「近い」(例:Zは問い合わせ時点での市場価格との差が1セント以内)。
【0090】
データの全部ではなく一部(例:注文データの全部ではなく一部)が、問い合わせの主題として利用可能になっている(例:いくつかの注文データが暗号化されて取引主体のサーバに存在するが、他のデータは、それがOMSに反映され得るにもかかわらず取引主体のサーバには存在しない)実施形態において、問い合わせがデータ全体に対して(例:OMS内のデータ全体に対して)提起された場合、そのような問い合わせへの回答(例:その問い合わせへの回答が「いいえ」であるか否かに拘わらず)は、必ずしも回答を表す訳ではない。従って、一実施形態において特定の
【0091】
暗号化された情報に関する問い合わせをサーバ(例:取引主体の複数のサーバの各々と通信する単一サーバ)により生成および/または提供し、そのような問い合わせに対する回答を当該サーバが受け取って集約することができる。例えば、複数のサーバの各々が各取引主体(例:買い手側参加者)の注文データを格納する実施形態において、単一のサーバがそれらの取引主体のサーバと通信状態にあってよい。従って、当該単一サーバは、そのような各取引主体の注文データにアクセスする(例:復号化を通じて、問い合わせを通じて)ことが可能である。そのようなサーバは、複数の取引主体の誰もが他の任意の取引主体に対して問い合わせを(例:注文のマッチングを許す)行なえるようにする仲介者として機能することができる。別の実施形態において、複数の取引主体の誰もがピア・ツー・ピア構成と同様に、他の任意の取引主体に対して直接問い合わせを行なうことができる。
【0092】
X.規則
全体的なまたは部分的な規則を、FIX形式により特定されるような各種の形式で定義、送信および/または格納することができる。FIXは一般に、各種の情報に用いられる業界標準プロトコルである。規則は、(例:買い手側参加者の)ワークステーションに格納する、買い手側参加者または売り手側参加者が利用できる他の装置に格納する、および/またはサーバへ伝送されて格納することができる。
【0093】
特定の規則により、どの注文が関心対象であるかを定めることができる。そのような規則は、注文が関心対象であるとみなされるためには特定の特徴、例えば以下のものに対する注文を有していなければならないことを定める。
特定の証券または証券の組(例:記号、市場セクター、市場キャップにより定義された)、
特定の価格/価格帯、
特定のソース(例:特定の取引主体、特定の種類の取引主体、特定のトレーダ、特定の取引場所)、
特定の数量/数量範囲、
買いまたは売り注文、および/または、
取引主体の履歴データ(例:当該取引主体による取引、取引主体が関与する特定の証券/証券の組、取引主体の取引数量)。
【0094】
規則は、注文が備えるべきパラメータを定めることができる。そのようなパラメータは、絶対値であっても、または履歴的基準等、他の何らかのデータに相対的であってもよい。
【0095】
特定の規則は、どの注文が各種の品質基準を満たすかを定めることができる。
【0096】
例えば、取引主体(例:買い手側参加者)は、マイクロソフト株に対する注文の価格が25〜26の間にあり、且つ注文数量が閾値より大きい場合、通知を受けることができる。
【0097】
規則は、様々な取引主体からの情報が満たすことができる各種の基準を定める。例えば、規則は、1個以上の金融商品(例:特定の証券)、金融商品の価格その他の価値尺度(例:証券の価格、証券の価格帯、固定収入証券の利回り、証券の価格の組、固定収入証券の利回り、固定収入証券の利回りの範囲、固定収入証券の組の利回り)を定めることができる。
【0098】
注文に対して更なる基準を関連付けることができ、その場合、この基準は指定された証券を1個以上の他の証券による代替可能性を定める。そのような基準は、指定された株式の受容可能な代替が容易に行なえるため、入札と応札の「一致」率を上げて、売買を容易にすることができる。
【0099】
規則は、例えば異なるブローカーにより、異なる規則を容易に検索および修正できるように格納されていてよい。そのような特徴により、個人が関心対象である通知を容易に受け取ることができる。一群の規則を「束ねて」、一組として個人に提供することができるため、特定の個人が特定の共通的基準を採用することが容易になる。
【0100】
XI.規則により生起される警告
規則が満たされた場合、以下のアクションの任意のものを行なうことができる。
警告(例:注文が存在する旨の通知、存在する注文のいくつかのパラメータの通知)、
取引(例:注文をマッチングすることにより取引を動的に実行、両方の取引主体に対し注文をマッチングすることにより取引を実行したいか否かを尋ねる)、
取引主体間(例:買い手側参加者と売り手側参加者と)の通信を開始、または開始の支援、および/または、
規則を満たす注文を市場に出す(例:注文を相手方により受け入れられるようにする)。
【0101】
規則(例:規則パラメータ)の指定、および/または、規則が満たされた場合に行なうアクションの指定は、ユーザーにより、またはユーザーに代わって指定することができる。例えば、ユーザーが(1)規則の複数のパラメータ(例:株式の種類、数量)のいずれか、および/または、(2)行なうべきアクション(例:電話をかける、自動的に注文を実行する、命令を保留する)の種類を選択できるように、ユーザー・インターフェースがユーザー(または別人)により操作可能である。あるいは、ユーザーには常に、適当な瞬間に行ない得るアクションの組が提示されていて、所望のアクションを選択する機会が与えられる。
【0102】
例えば、規則が満たされた場合、警告を表示(例:当該取引主体のワークステーションを介して買い手側参加者へ)することができ、その際の警告にはボタンが含まれる。ボタンが押されたならば、メッセージが相手側(例:規則を満たすデータを発した売り手側参加者のトレーダ)へ送られる。このメッセージは、相手側(例:買い手側参加者)に電話するよう通知する。メッセージには電話番号その他の連絡手段が、恐らく指示(例:「555−555−5555のジョン・スミスに電話して下さい」)と共に提示されていてよい。一実施形態において、(例:電話インターフェースを介して、VoIP接続を介して)電話番号をダイヤルしているか、またはダイヤルさせているワークステーションにより連絡を開始して(自動的に、または警告を受け取った側の要請により)、2人以上の取引主体を接続する(例:クライアントと販売トレーダを接続する)。
【0103】
メッセージは、潜在的な買い手または潜在的な売り手がいることを示すか、あるいはメッセージは取引主体が株式に「関与している」ことを示すことができる。取引主体の素性は開示することも、または、現段階で取引主体を匿名にしておくこともできる。
【0104】
情報は、(例:販売トレーダだけに、あるいは通話または潜在的な通話の双方に対して)表示または別途出力することができ、そのような情報は、(1)警告が生じた理由(例:満たされた対応規則、規則を満たさせた注文または注文群)、(2)相手側取引主体(例:問い合わせを行なった取引主体)が有する注文を記述することができる。
【0105】
警告は、随時(例:クライアントが販売トレーダと話した後で)取下げる(例:警告を示すダイアログボックスをクライアントが閉じることができる)、または、注文を販売トレーダへ送る(例:警告ダイアログボックスの「注文」ボタンをクリックするクライアントにより)ことができる。
【0106】
注文が送られたならば、クライアントが行なった注文は販売トレーダへ送ることができる。クライアントは最初に、注文を送る前に注文の規模を訂正することができる。そのような規模訂正は、(例:1回のクリックにより)クライアントのOMSにおいて注文全体の規模に設定されてよい。
【0107】
一実施形態において、売り手側取引主体が十分に大きい注文(例:「マイクロソフトを50,000売却」等、閾値を超える数量)を受け取ったならば、その注文はサーバにより直接または間接的に(例:取引主体のOMSから)受け取られる。サーバがそのような注文を受け取った結果、特に、様々な取引主体(例:買い手側取引主体)の各種の規則が発動される。例えば、サーバが受け取った注文は、1個以上の特定の買い手側取引主体の規則を満たすことができ、従って警告が生じて、買い手側取引主体または取引主体群に対して表示(例:買い手側取引主体に関連付けられた1個以上のワークステーションで)される。
【0108】
処理およびアクションは注文データのカテゴリに基づいていてよい。例えば、第1の取引主体が(例えばグラフィカル・ユーザー・インターフェースを介して潜在的な注文のパラメータを入力することにより)定める潜在的な(実際には行なわれていない)注文(例:恐らく数量または価格を指定しない特定の株式の潜在的な買い注文)があり、そして例えば、第2の取引主体が補完的な注文(例:同一株式の売り注文)を有する場合、特定の種類の警告(例:特定のメッセージおよび更なる処理の組)を起動することができる(例:第1の取引主体が、潜在的であって実際には行なわれていない注文を有している旨の示唆)。処理は、例えば、潜在的な注文との一致(例:一方または両方の取引主体が実行する特定のステップ)に固有であり得る。例えば、第2の取引主体は、自分が第1の取引主体に連絡することができる旨の警告を受信する場合がある。処理は、例えば、規則を発動する注文を出す取引主体の種類に固有であり得る。例えば、警告を表示する場合、一実施形態において、警告は買い手側参加者に表示するが、潜在的取引に関与する売り手側参加者には表示されないようにすることができる。
【0109】
注文のマッチングに実行され得る各種のステップは、本明細書に記述するステップの任意のものを含んでいる。
【0110】
XII.客観的且つ共有される規則
情報(例:特定の人気商品追加注文)が取引主体(例:買い手側参加者)により利用可能になる時点を定める規則、または別途情報を取引主体により利用可能にする際に用いられる規則のうち、特定の規則は予め制定されていて、全ての取引主体に適用されるようにしてもよい。
【0111】
一実施形態において、そのような予め制定された規則は、(i)操作(例:売り手側参加者により)に耐性がある、および/または、(ii)曖昧さが無く、従って解釈(例:売り手側参加者による)に対して開かれているように設計されている。そのような規則は、一群の取引主体により予め制定する(例:取引主体の合意により)ことができる。
【0112】
そのような客観的規則は、いくつかの取引主体(例:数名または全部のブローカー、および/または、ブローカーの顧客の数名または全部)に同時に適用することができる。
【0113】
客観的な規則は、異なる型のデータに、例えば取引がそのようなデータから生じる可能性に基づいて異なる「値」を割り当てることができる。例えば、全ての取引主体により共有される1個以上の客観的な規則により成文化すると、最も可能性が高いものから最も可能性が低いものへ、取引主体が注文を出している、取引主体が今日比較的大量の(例:閾値を超える)証券を売買した、取引主体が直近の過去に比較的大量の証券を売買した、取引主体が「連絡待ちである」と主張している、の順に情報が並ぶことになる。
【0114】
他の多くの種類の情報をそのような客観的な規則において評価することができる。例えば、ある種の情報は、その情報が発せられた取引主体の素性である。従って、特定の取引主体(例:当該取引主体のOMS)から発せられた情報は、特定の取引主体から発せられた情報よりも取引において生じる可能性が高いとみなすことができる。例えば、大口の買い手側参加者(例:取引主体の任意の特定の組)が関心を持っているとの徴候は、小口の買い手側参加者が関心を持っているとの徴候よりも取引において生じる可能性が高いとみなすことができる。
【0115】
客観的な標準および定義は、関心の徴候のレベルおよび品質を定めることができる。客観的な標準は、取引主体が株の売買を行なっているものと判定することができる。
【0116】
各種の実施形態において、売買の偽装を意図する取引主体の能力を妨害または阻止することに利点があろう。従って、取引主体の行為を監査する、および/または、取引主体の注文の一部を自動電子取引に通すよう要求することにより完全性を保証または向上させることできる。
【0117】
取引主体は、客観的な基準を採用し、必要に応じてさらに絞り込んだり、またはカスタマイズすることができる。しかし、客観的な基準の使用には上述および他の容易に分かる利点が伴う。
【0118】
XIII.レーティング
各種の実施形態において、1個以上の取引主体のレーティング(例:各々の取引主体がレーティングを有する)を提供することに利点がある。取引主体のそのようなレーティングは、当該取引主体、他の取引主体、および/または他人により利用可能にすることができる。例えば、ある取引主体との取引を希望する他の全ての主体に、当該取引主体のレーティングを提供することは各種の実施形態において利点となり得る。例えば、特定の取引主体のOMSに注文が存在する旨の警告が表示された場合、その警告はまた当該取引主体のレーティングも表示することができる。
【0119】
ある取引主体のレーティングは、事実情報(例:当該取引主体から提供された情報から取引が生じたか否かに基づいて)から、および/または、主観的情報(当該取引主体の他の取引主体のレーティングに基づいて)から決定することができる。
【0120】
ある取引主体のレーティングは、列挙された選択肢(例:良い、悪い、どちらとも言えない)の組の1個で構成することができる。レーティングは、数値(例:取引主体との取引が生じた時間のパーセント)で構成することができる。他の数値的レーティングは、複数の数値、例えば取引主体が取引する機会の数(例:関心対象である徴候等、取引主体の入力により生じた警告にクライアントが応答した回数)、および取引主体の実際の取引回数(例:そのような警告に対するそのような応答から生じた実際の取引)を含んでいてよい。
【0121】
レーティングは、各種の要因に基づいて選択的に表示可能にできる。例えば、「否定的な」レーティングは、閾値に達した後でのみ(例:10個の連続する否定的なレーティングの後でのみ)表示することができる。
【0122】
レーティングは、例えば以前の否定的なレーティングを除去することにより、選択的に変更または改善することができる。例えば、4個の連続する「肯定的な」レーティングの後、以前の否定的なレーティングを消去することができる。
【0123】
XIV.以前の注文に基づくアクション
一実施形態によれば、本明細書に記述するアクション、計算、または決定はいずれも以前の注文、例えば参加者のOMSにもはや存在しない注文に基づいていてよい。例えば、参加者のOMSは特定の注文を格納することができるが、各種の理由(例:当該注文を出すことに対する一切の関心が無い)のために当該注文はOMSから除去されている。さらに、以前の特定の命令は、一致して実行されたこと以外の理由により除去されたものを判定する(完全または部分的な精度または信頼度を以って)ことができる。例えば、特定の注文に対してシステム全体を通じて取引が全く実行されていないが、当該注文が除去された(例:参加者により)か、または別途利用不能にされたことが知られている場合、一実施形態において、この以前の注文は、一致して実行されたこと以外の理由により除去されたものと考えることができる。
【0124】
一実施形態において、そのような以前の注文を用いて本明細書に記述したような警告を発することができる。そのような実施形態は特定の実施形態において利点があるが、その理由として特に、実行されなかった以前の注文に関するデータが、例えば当該注文が「存在」し、参加者が依然として当該注文を実行する意思を有していることを示す場合があるためである。
【0125】
例えば、以前の特定の注文(例:未実行の注文)に関する情報は、特定の規則に「一致」して、例えば、以前の注文に一致すると考えられる注文を他の参加者が有していることを示す注文通知を発することができる。そのような警告は、(例:以前の参加者のOMS内で)以前の注文を発した参加者に表示すことができる。同様に、そのような警告は、(例:以前の参加者のOMS内で)以前の注文が一致する注文を発した参加者に対して表示することができる。
【0126】
一実施形態において、各種の基準を用いて、以前の注文を他の注文とマッチングさせることに利用できるか否かを判定することができる。例えば、一実施形態において、一致しない注文の数量は、当該不一致注文が他の注文とのマッチングに利用できると考えられるために、閾値を超えなければならない。一実施形態において、不一致注文が「取下げられて」からの(例:OMSから除去されたまたは別途利用不能にされた時点から)時間は、不一致注文が他の注文とのマッチングに利用できると考えられるために、閾値より短くなければならない。
【0127】
一実施形態において、ユーザーは、例えば自分が関心を持つ可能性がある不一致注文見つけるために、他の主体の各種の一致しなかった注文を探すことができる。同様に、不一致注文を有するユーザーは、これらの不一致注文に関する情報を他人が発見することをいつ許すか(自分の不一致注文をいつ他人が利用できるようにするか)の基準を設定することができる。例えば、ユーザーは、全ての不一致注文が利用可能になった、全ての不一致注文が数量が閾値より大きい、全ての不一致注文がユーザーまたは他者により肯定的に選択されたか、または別途示されている、全ての不一致注文が一定期間(例:1日未満、2日以上)利用不能にされている、ように設定してもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子市場により、注文が前記電子市場の複数の参加者の少なくとも1人の規則の基準を満たすことを決定するステップと、
前記注文が前記基準を満たすことを決定するステップに応えて、前記電子市場から、少なくとも1個の金融商品を示す暗号化された問い合わせを前記複数の参加者の前記少なくとも1人の計算装置へ送信するステップと、
前記計算装置により、前記暗号化された問い合わせを受け取るステップと、
前記計算装置により、前記暗号化された問い合わせが、前記少なくとも1人の参加者の取引上の関心を表すデータセット内の一致する注文に対応することを決定するステップと、
前記計算装置により、前記暗号化された問い合わせへの応答であって、前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の前記一致する注文に対応することを示す応答を前記計算装置へ送信するステップと、
前記電子市場により、前記暗号化された問い合わせへの前記応答を受け取るステップと、
前記応答を受け取るステップに応えて、前記電子市場により、前記注文および前記一致する注文を履行する取引を容易にするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記基準は、前記複数の参加者の少なくとも1人の参加者に関する前の注文に関するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算装置により、前記データセットに前記少なくとも1人の参加者の複数の注文を表す情報を格納するステップと、
前記計算装置により、前記暗号化されたデータが、前記一致する注文を履行する前記取引を実行すべきであることを指定する規則を満たすことを決定するステップと、を含み、
前記応答を送信するステップは、前記暗号化された問い合わせが前記規則を満たすことの決定に応えて、前記応答を送信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記規則は、前記注文の発信者が一定期間の金融商品の閾値を超えて売買したかどうかを識別するものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記規則は、前記注文の発信者が前記注文を発するのに適当な種類かどうかを識別するものである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記適当な種類には大口の買い手側参加者が含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
注文データを受け取り、前記注文データを暗号化して前記データセットを生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記暗号化された問い合わせが前記暗号化されたデータセット内の前記一致する注文に対応するというメッセージを生成し、前記生成されたメッセージを所定の受取人へ送信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電子市場により、前記少なくとも1人の参加者に前記注文のレーティングを提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レーティングは前記注文の発信者の前の活動に基づくものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
市場参加者の計算装置により、前記参加者の複数の注文を表す情報をデータセットに格納するステップと、
前記計算装置により、暗号化された問い合わせであって、電子市場が前記市場の第2参加者から受信した注文を定義する少なくとも1個の証券を示す問い合わせを受け取るステップと、
前記計算装置により、前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の一致する注文に対応することを決定するステップと、
前記計算装置により、前記暗号化された問い合わせが、前記一致する注文を履行する取引を実行すべきであることを指定する規則を満たすことを決定するステップと、
前記暗号化された問い合わせが前記規則を満たすことを決定するステップに応えて、前記計算装置により、前記問い合わせへの応答であって、前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の前記注文に対応すること、かつ前記取引を実行すべきであることを示す応答を前記電子市場に送信するステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記一致する注文を表す注文データを受け取るステップと、
前記注文データを暗号化して前記データセットを生成するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の前記一致する注文に対応するというメッセージを生成するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記生成されたメッセージを所定の受取人へ送信するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電子市場により、前記電子市場の複数の参加者の第1参加者からの注文が前記電子市場の前記複数の参加者の少なくとも1人の第2参加者の基準を満たすことを決定するステップと、
前記注文が前記基準を満たすことを決定するステップに応えて、前記電子市場から、前記注文を定義する少なくとも1個の証券を示す暗号化された問い合わせを前記複数の参加者の前記少なくとも1人の第2参加者の計算装置へ送信するステップと、
前記電子市場により、前記暗号化された問い合わせが前記少なくとも1人の第2参加者の注文管理システムによってデータセットに格納された一致する注文に対応すること、かつ前記注文および前記一致する注文を履行する取引を実行するべきであることを示す、前記問い合わせへの応答を受け取るステップと、
前記応答を受け取るステップに応えて、前記電子市場により、前記取引を容易にするステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記基準は、前記第1参加者および前記第2参加者の少なくとも1人に関する前の注文に関するものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
電子取引システムであって、
注文が前記電子取引システムの複数の参加者の少なくとも1人の規則の基準を満たすことを決定し、
前記注文が前記基準を満たすことの決定に応えて、少なくとも1個の金融商品を示す暗号化された問い合わせを前記複数の参加者の前記少なくとも1人の注文管理システムへ送信し、
前記問い合わせへの応答を受け取り、
前記応答の受け取りに応えて、前記注文および一致する注文を履行する取引を容易にするように構成された電子取引システムと、
前記複数の参加者の前記少なくとも1人の参加者の前記注文管理システムであって、
前記暗号化された問い合わせを受け取り、
前記暗号化された問い合わせが、前記少なくとも1人の参加者の取引上の関心を表すデータセット内の前記一致する注文に対応することを決定し、
前記問い合わせへの前記応答であって、前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の前記一致する注文に対応することを示す前記応答を前記電子取引システムへ送信するように構成された前記注文管理システムと、を含む、装置。
【請求項18】
前記基準は、前記複数の参加者の少なくとも1人の参加者に関する前の注文に関するものである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プロセッサと、
プログラムを格納するメモリと、を含んでいて、前記プログラムが、前記プロセッサにより実行されたときに以下のステップ、すなわち
市場の参加者の複数の注文を表す情報をデータセットに格納するステップと、
暗号化された問い合わせであって、電子取引システムが前記市場の第2参加者から受信した注文を定義する少なくとも1個の証券を示す問い合わせを受け取るステップと、
前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の一致する注文に対応することを決定するステップと、
前記暗号化された問い合わせが、前記一致する注文を履行する取引を実行すべきであることを指定する規則を満たすことを決定するステップと、
前記暗号化された問い合わせが前記規則を満たすことを決定するステップに応えて、前記問い合わせへの応答であって、前記暗号化された問い合わせが前記データセット内の前記注文に対応すること、かつ前記取引を実行すべきであることを示す応答を前記電子取引システムへ送信するステップと、を含む方法を実行するよう前記プロセッサに指示する、注文管理システム。
【請求項20】
前記プログラムが、前記プロセッサにより実行されたときに以下のステップ、すなわち、
前記一致する注文を表す注文データを受け取るステップと、
前記注文データを暗号化して前記データセットを生成するステップと、を含む方法を実行するよう前記プロセッサにさらに指示する、請求項19に記載の注文管理システム。


【公開番号】特開2013−101714(P2013−101714A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−41263(P2013−41263)
【出願日】平成25年3月1日(2013.3.1)
【分割の表示】特願2009−511195(P2009−511195)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(506361856)シーエフピーエイチ, エル.エル.シー. (75)