説明

注文搬送装置

【課題】飲食客に対して注文飲食物を載置した搬送トレーに対して注意を喚起することのできる注文搬送装置を提供すること。
【解決手段】飲食物10を調理するための厨房Cと飲食客が飲食物10の飲食を行うための客席7とに亘って設けられた搬送路12と、客席7から注文がなされた注文飲食物10を載置した状態で厨房Cから客席Kまで搬送路12を走行する搬送体13と、を備える注文搬送装置11であって、搬送体13の走行する軌道の下方に沿って、搬送体13の走行方向とは直交する幅方向の長さが搬送体13の幅寸法と比べて長寸の報知部23を配置し、注文飲食物10の注文時に報知部23を発光させて報知を行う光報知手段28を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を調理するための厨房と飲食客が飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、客席から注文がなされた注文飲食物を載置した状態で厨房から客席まで搬送路を走行する搬送体と、を備える注文搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注文搬送装置は、飲食物を厨房エリア(厨房)内から投入し、飲食客エリア(客席)の飲食客に飲食物を搬送する走行路(搬送路)と、飲食物を載置して走行路を走行する搬送トレー(搬送体)と、走行路に沿って設けられ、内部に走行路の長手方向に亘って無端状に掛け渡されたコンベアベルトを有する駆動ユニットと、を備えており、搬送トレーは、駆動ユニットに片持ち支持された状態でコンベアベルトが回動することで、走行路を走行可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4100639号公報(第4頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、飲食客から飲食物の注文を受けていないときは走行路(搬送路)を搬送トレー(搬送体)が走行していないため、幼児等が走行路上に頭や手等の体の一部を伸ばすことがあり、この状態で飲食物を載置した搬送トレーが厨房から走行してくると、衝突により搬送トレー上の飲食物が脱落してしまう虞があるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食客に対して注文飲食物を載置した搬送トレーに対して注意を喚起することのできる注文搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の注文搬送装置は、
飲食物を調理するための厨房と飲食客が前記飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、前記客席から注文がなされた注文飲食物を載置した状態で前記厨房から前記客席まで前記搬送路を走行する搬送体と、を備える注文搬送装置であって、
前記搬送体の走行する軌道の下方に沿って、該搬送体の走行方向とは直交する幅方向の長さが搬送体の幅寸法と比べて長寸の報知部を配置し、前記注文飲食物の注文時に前記報知部を発光させて報知を行う光報知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、報知部上方に手等の体の一部を伸ばしている飲食客に対して、注文飲食物が載置された搬送体がこれから搬送路を走行する旨を視覚的に捉え易く、飲食客に搬送体が衝突せぬように注意を喚起するできるとともに、幼児等が搬送体に下方から手を伸ばそうとしても報知部が手を遮るので、幼児に搬送体が衝突してしまうことを防ぐことができる。
【0007】
本発明の注文搬送装置は、
前記光報知手段は、少なくとも前記厨房から前記注文飲食物を搬送する前記客席近傍までの前記報知部を発光させることを特徴としている。
この特徴によれば、厨房から注文飲食物を搬送する客席までの間に、他の客席の飲食客が誤って注文飲食物を搬送体から取り上げてしまうことを防ぐことができる。
【0008】
本発明の注文搬送装置は、
前記光報知手段は、全ての前記報知部を発光させるとともに、前記注文飲食物を搬送する前記客席近傍の前記報知部を他の前記報知部とは異なる光色で発光させることを特徴としている。
この特徴によれば、飲食客は厨房から飲食物が搬送されてくることを認識しながら、搬送されてくる飲食物が、自らが注文した注文飲食物であると認識することができるので、注文飲食物が搬送されてくるまでの間の不安感を払拭することができる。
【0009】
本発明の注文搬送装置は、
前記注文飲食物を搬送する前記客席に音声により報知を行う音声報知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、発光と音声の2つの報知手段によって使用者により確実に注意を喚起させることができる。
【0010】
本発明の注文搬送装置は、
前記報知部は導光性を有する板体で構成されており、前記光報知手段は前記報知部の端部側から発光することを特徴としている。
この特徴によれば、光報知手段からの僅かな発光により報知部を発光させることができるので、光報知手段の大きさを小さなものとし、且つ光報知手段での発光にともなう電力を省電力とすることができる。
また、光報知手段は報知部の端部側から報知部内に光を導入させるので、報知部の全体を容易に発光させることができる。
【0011】
本発明の注文搬送装置は、
前記報知部に対してドライアイスを用いて発生させたスモークガスを噴射するガス噴射手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、ドライアイスを用いて発生させたスモークガスに光報知手段からの発光が反射することによる演出効果が期待できるばかりか、注文飲食物をスモークガスに含まれる炭酸ガスの静菌作用と酸化防止作用によって鮮度を保ちながら客席まで搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における注文搬送装置が設けられている飲食物循環搬送装置を示す平面図である。
【図2】注文搬送装置及び飲食物循環搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図3】注文搬送装置の正面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】報知板の取り付けを示す一部拡大分解斜視図である。
【図6】(a)は、報知板の第1発光パターンを示す概念図であり、(b)は、報知板の第2発光パターンを示す概念図であり、(c)は、報知板の第3発光パターンを示す概念図であり、(d)は、報知板の第4発光パターンを示す概念図である。
【図7】実施例2における注文搬送装置の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る注文搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1の符号1は、本発明の注文搬送装置11を上部に備え、寿司10等の飲食物を搬送する飲食物循環搬送装置である。図1及び図2に示すように、この飲食物循環搬送装置1は、例えば回転寿司店等の飲食店において、料理人が調理を行う厨房Cと飲食客が飲食を行う店内Kとに亘って延設された支持台2が設けられており、料理人が調理した飲食物としての寿司10が載置された飲食物容器としての寿司皿3を店内の飲食客に循環搬送して、寿司10を提供する装置である。
【0015】
飲食物循環搬送装置1には、店内K側に平面視櫛歯状に3つの島部4a,4b,4cが形成された無端状の循環搬送路9が設けられ、各島部4a,4b,4cを囲むように飲食カウンタ5及び飲食テーブル6と、飲食カウンタ5及び飲食テーブル6で飲食客が着座する客席7とが配備されている。尚、本実施例では、客席7側から見た島部4a,4b,4cを飲食物循環搬送装置1と注文搬送装置11との正面側として説明する。
【0016】
また、図1及び図3に示すように、各島部4a,4b,4cでは、飲食カウンタ5及び飲食テーブル6と客席7とで飲食客が飲食可能となっている。店内Kと厨房Cとの間には、店内Kと厨房Cとを隔てる壁Wが設けられており、循環搬送路9に載置された寿司皿3は、壁Wに設けられた複数の開口8を通過して店内の各島部4a,4b,4cにほぼ一定速度にて搬送されて、飲食客に提供されるようになっている。
【0017】
図2に示すように、循環搬送路9は、互いに相対移動可能に連結された公知のクレセントチェーンコンベア9aによって形成されており、これらクレセントチェーンコンベア9aをほぼ一定速度にて移動するように駆動する図示しない駆動モータが、循環搬送路9の内部の適宜位置に設けられており、駆動モータ及びクレセントチェーンコンベア9aによって飲食物循環搬送装置1が構成されている。
【0018】
飲食物循環搬送装置1を構成するクレセントチェーンコンベア9aは、厨房Cで寿司10の載置された寿司皿3が投入されると、先ず、寿司皿3を図1に示す店内Kの右端の島部4aに搬送し、この島部4aの先端部まで搬送した後に、折り返して再び島部4aの根元部分である厨房C側まで戻り、次いで中央の島部4bに搬送されるようになっており、最終的に左端の島部4cまで搬送された後に再び厨房Cに戻るようになっている。
【0019】
そして、各島部4a,4b,4cの上方には、各島部4a,4b,4cの前後に配備された客席7に着座している飲食客に対して、飲食客が注文した注文飲食物としての寿司10が載置された寿司皿3を厨房Cから搬送するための注文搬送装置11が設けられている。以下、各島部4a,4b,4cにおける注文搬送装置11の構成は同一であり、更に、注文搬送装置11は前後の構成が同一であるので、本実施例では島部4aの注文搬送装置11の一方側についてのみ説明する。
【0020】
図2から図4に示すように、注文搬送装置11は、厨房Cから島部4aの先端まで設けられた搬送路12と、この搬送路12上を、寿司10を載置した寿司皿3を載置した状態でクレセントチェーンコンベア9aの上方を走行する本発明における搬送体としての搬送トレー13と、搬送路12の略全長に沿って設けられ、搬送トレー13を搬送路12上で走行させるための駆動ユニット14と、から主に構成されている。そして、本発明における注文搬送装置11は、寿司10を注文した飲食者に対して、発光を行うことで客席7に寿司10が搬送されてきたことを報知するようになっている。
【0021】
具体的には、島部4aの前後方向略中央には、島部4aの長手方向の略全長に亘って支柱15が所定間隔毎に設けられている。これら支柱15間には、島部4aを挟んで対向する客席7での飲食客同士の視線を遮るための仕切板16が設けられている。
【0022】
また、各支柱15には、支柱の垂直方向に沿って延設された垂直片17aと、垂直片17aの下端部から正面側に向けて水平方向に延設された水平片17bとから構成された、側面視略L字形状に形成されたブラケット17が取り付けられている。これらブラケット17の水平片17b上面の後部側に駆動ユニット14が固定されている。更に、各ブラケット17の前端部には、側断面視略L字形状に形成されたガイドフレーム18が島部4aの長手方向略全長に亘って取り付けられている。
【0023】
駆動ユニット14は、図示しない搬送モータと、該搬送モータに連結された駆動回転体としての駆動ローラ(図示略)と、搬送モータに連係しない従動回転体としての従動ローラ(図示略)と、これら駆動ローラと従動ローラとの外周に掛け渡された環状部材としてのコンベアベルト19とを少なくとも含む駆動部品と、これら複数の駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材20と、から構成されており、コンベアベルト19は駆動モータが駆動することによって駆動ローラが回動を開始すると、駆動ローラと搬送ローラとの間で無端回動するようになっている。尚、コンベアベルト19の長手方向の所定位置には、搬送トレー13と連結するための連結片21が設けられている。
【0024】
搬送トレー13は、図2及び図4に示すように、支柱15からブラケット17の先端部までの前後寸法よりも短い前後幅寸法L1に形成されている。また、搬送トレー13の上部には、上方に開口する円形状の載置孔13aが左右方向に2形成されており、これら載置孔13a内に寿司10が載置された寿司皿3を載置するようになっている。また、図4に示すように、搬送トレー13の駆動ユニット14と対向する後端部は、上方に向かって延設された立設片13bに形成されており、この立設片13bとコンベアベルト19に設けられた連結片21とは、螺子等により互いに螺着されている。
【0025】
一方、搬送トレー13の客席7と対向する前端部には、図2に示すように、左右方向に2つの荷重ローラ22が取り付けられている。これら荷重ローラ22は、図4に示すように、ガイドフレーム18の上面18aと当接するように配置されている。このため、搬送トレー13は前端部を荷重ローラ22によって支持され、後端部をコンベアベルト19及び連結片21によって支持されている。
【0026】
そして、搬送トレー13はコンベアベルト19の無端回動によってガイドフレーム18の上面18a上を走行するようになっており、客席7から注文があった寿司10の寿司皿3を載置すると、厨房Cから注文がなされた客席7の正面までガイドフレーム18の上面18aを走行するようになっている。つまり、ガイドフレーム18の上面18aが本発明における搬送路12を構成している。
【0027】
また、図2及び図4に示すように、クレセントチェーンコンベア9aの上方且つかつブラケット17の下方である空間には、本発明における報知部としての報知板23が配置されている。この報知板23は、図5に示すように、導光性を有する本発明における板体としてのアクリル板24を搬送路12の略全長に亘って連設することで構成されている。これらアクリル板24の上面には、光を拡散させる拡散フィルム25が貼り付けられており、下面には、光を反射させる反射フィルム26が貼り付けられている。
【0028】
更に、各支柱15のブラケット17の下方には、報知板23と略同一の長さを有する発光フレーム27が取り付けられている。この発光フレーム27は、断面視略L字形状に形成されており、上端部を水平片17bに当接させることによって正面側を長手方向略全長に亘って報知板23の後端部を嵌合可能な上下幅寸法を有する嵌合溝27aを形成している。この嵌合溝27aに報知板23を嵌合することによって、報知板23は搬送トレー13の下方で固定される。
【0029】
報知板23の前端部は、報知板23の後端部が嵌合溝27aに嵌合されたとき、L字ブラケット17の正面と略同一位置に配置されるようになっており、報知板23の発光フレーム27の正面から報知板23の前端部までの突出幅寸法L2は、搬送トレー13の前後幅寸法L1よりも長寸となっている。
【0030】
嵌合溝27a内には、長手方向の略全長に亘って、所定間隔毎に正面側を向く本発明における光報知手段としてのLEDランプ28が取り付けられている。このため、LEDランプ28は報知板23が嵌合溝27aに嵌合することで、報知板23の後端面と対向するようになっている。これらLEDランプ28は、発光する光の発色を各種変更することができるようになっている。
【0031】
また、発光フレーム27の正面には、搬送トレー13が寿司10を注文した客席7に寿司10を載置した寿司皿3を搬送する際に、客席7に対して音楽や寿司10を搬送する旨を伝える合成音声等を発することのできる本発明における音声報知手段としてのマイクロスピーカ29が取り付けられている。
【0032】
尚、本実施例では、発光フレーム27の内部は中空に形成されており、この中空内に厨房CからLEDランプ28とマイクロスピーカ29の図示しない配線を挿通させることによって、LEDランプ28とマイクロスピーカ29への給電及び操作を行っている。
【0033】
このため、LEDランプ28が発光すると、LEDランプ28から放出された光は報知板23の後端部からアクリル板24内に導入され、反射フィルム26による全反射と拡散フィルム25による拡散を繰り返しながらアクリル板24内を進み、最終的には報知板23の前端部から客席7に向かって放出されるようになっている。このとき、拡散フィルム25によって拡散された一部の光は報知板23の上面から放出される。
【0034】
次に、本実施例における寿司10を注文した飲食客の客席7に対して、寿司10を搬送トレー13によって搬送する載の報知板23の発光パターンについて説明する。先ず、図6(a)に示すように、第1発光パターンとして、全てのLEDランプ28を発光させることで、報知板23の全体から発光による報知がなされる。この第1発光パターンにおいては、全ての報知板23を発光させることによって、いずれかの客席7に寿司10が搬送されてくることを認識させることができる。
【0035】
また、図6(b)に示すように、第2発光パターンとして、厨房Cから寿司10を搬送する飲食客の客席7前までの範囲のLEDランプ28を発光させることで、報知板23の厨房Cから寿司10を搬送する飲食客の客席7前までで発光による報知がなされる。この第2発光パターンにおいては、寿司10を注文した飲食客の客席7以降のLEDランプ28は発光しないので、第1発光パターンと比較して、発光に使用する電力を抑えることができる。更に、飲食客は、報知板23の発光の終端を確認することで、どの客席7へ搬送される寿司10なのかを一目で判断することができる。
【0036】
次に、図6(c)に示すように、第3発光パターンとして、全てのLEDランプ28を発光させるとともに、寿司10を搬送する飲食客の客席7前のLEDランプ28のみを他のLEDランプ28とは異なる光色で発光させる。これにより、寿司10を搬送する飲食客の客席7前の報知板23のみを他の報知板23とは異なる光色で発光させる。
【0037】
このときの客席7前のLEDランプ28の光色と他のLEDランプ28の光色とは、赤と緑、黄色と紫等の補色の関係にある色同士で発光させることで、客席7前の報知板23の光色を際立たせることができる。更に、客席7の飲食客は、搬送されてくる寿司10が、自らが注文した寿司10だと確実に認識することができる。
【0038】
そして、図6(d)に示すように、第4発光パターンとして、寿司10を搬送する飲食客の客席7前のLEDランプ28のみを発光させることで、寿司10を搬送する飲食客の客席7前の報知板23のみを発光させる。この第4発光パターンにおいては、寿司10を搬送する飲食客の客席7のみに発光による寿司10の搬送の報知を行うので、発光に使用する電力を最小限に抑えることができる。
【0039】
尚、前述した第1発光パターンから第4発光パターンとともにマイクロスピーカ29から音楽や合成音声等による報知をおこなうことで、飲食客に対する報知効果を高めることができる。
【0040】
以上、本実施例1における注文搬送装置11にあっては、寿司10を調理するための厨房Cと飲食客が寿司10の飲食を行うための客席7とに亘って設けられた搬送路12と、客席7から注文がなされた寿司10を載置した状態で厨房Cから客席7まで搬送路12を走行する搬送トレー13と、を備える注文搬送装置11であって、搬送トレー13の走行する軌道の下方に沿って、搬送トレー13の走行方向とは直交する幅方向の長さが搬送トレー13の幅寸法に比べて長寸の報知板23を配置し、寿司10の注文時に報知板23を発光させて報知を行うLEDランプ28を備えることによって、報知板23上方に手等の体の一部を伸ばしている飲食客に対して、寿司10が載置された搬送トレー13がこれから搬送路12を走行する旨を視覚的に捉え易く、飲食客に搬送トレー13が衝突せぬように注意を喚起するできるとともに、幼児等が搬送トレー13に下方から手を伸ばそうとしても報知板23が手を遮るので、幼児に搬送トレー13が衝突してしまうことを防ぐことができる。
【0041】
また、LEDランプ28は、第2発光パターンを利用することで、少なくとも厨房Cから寿司10を搬送する客席7近傍までの報知板23を発光させることができ、厨房Cから寿司10を搬送する客席7までの間に、他の客席7の飲食客が誤って寿司10を搬送トレー13から取り上げてしまうことを防ぐことができる。
【0042】
また、LEDランプ28は、第3発光パターンを利用することで、全ての報知板23を発光させるとともに、寿司10を搬送する客席7近傍の報知板23を他の報知板23とは異なる光色で発光させることができるので、飲食客は厨房Cから寿司10が搬送されてくることを認識しながら、搬送されてくる飲寿司10が、自らが注文した寿司10であると認識することができるので、寿司10が搬送されてくるまでの間の不安感を払拭することができる。
【0043】
また、寿司10を搬送する客席7に音声により報知を行うマイクロスピーカ29を備えるので、発光と音声の2つの報知手段によって使用者により確実に注意を喚起させることができる。
【0044】
また、報知板23は導光性を有するアクリル板24で構成されており、LEDランプ28は報知板23の端部側から発光することで、LEDランプ28からの僅かな発光により報知板23を発光させることができるので、LEDランプ28の大きさを小さなものとし、且つLEDランプ28での発光にともなう電力を省電力とすることができる。また、LEDランプ28は報知板23の端部側から報知板23内に光を導入させるので、報知板23の全体を容易に発光させることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2に係る注文搬送装置につき、図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0046】
実施例1における注文搬送装置11は、搬送トレー13をコンベアベルト19の駆動によって搬送路12上を走行させたが、例えば、図7に示すように、駆動ユニット30を搬送トレー31の上方に配置し、搬送トレー31の端部から上方に向けて吊持片32を延設させ、この吊持片32と連結片21とを螺着させることによって搬送トレー31を駆動ユニット30から吊持した状態で厨房Cから島部4aの先端まで走行させるようにしてもよい。
【0047】
尚、この場合には、駆動ユニット30の下部に駆動ユニット30の長手方向略全長に亘って下方に向かって開口する開口30aを形成し、この開口30a内に吊持片32の上端部を挿入した状態で吊持片32と連結片21とを螺着させることで、飲食客からは吊持片32と連結片21との螺着部を隠蔽するようになっている。
【0048】
また、吊持片32の上端部の前後には、荷重ローラ33が搬送トレー13の搬送方向に向けて設けられている。これら荷重ローラ33は、駆動ユニット30内に形成された搬送路30bに当接しており、コンベアベルト19が駆動することによって搬送路30b上を走行可能となっている。
【0049】
更に、発光フレーム27上には、本発明におけるガス噴射手段としてのガス噴射ユニット34が取り付けられている。このガス噴射ユニット34は、発光フレーム27の長手方向と略同寸に形成されたケース体35と、厨房Cからこのケース体35内に挿通されているガス管36と、ガス管36から所定間隔毎に分岐して報知板38側を向くガス供給管37と、から構成されている。
【0050】
このガス管36は、厨房C内で図示しないドライアイスを用いてスモークガスGを発生させるスモークガス発生装置に接続されている。そして、このスモークガス発生装置で発生したスモークガスGは、ガス管36とガス供給管37とを介して報知板38上に噴射されるようになっている。
【0051】
一方、実施例2における報知板38は、縦断側面視で下方に凸となる円弧形状に形成されている。このため、スモークガスGは、ガス供給管37から噴射されると報知板38の上面上方に滞留するようになっている。
【0052】
尚、スモークガスGは、ガス供給管37からの噴射時に搬送トレー31に載置されている寿司10にも噴射されるようになっている。このため、客席7に搬送される寿司10はスモークガスGによって適度に冷却され、搬送途上で鮮度が落ちてしまうことを防ぐことができるようになっている。
【0053】
以上、本実施例2における注文搬送装置11にあっては、報知板23に対してドライアイスを用いて発生させたスモークガスGを噴射するガス噴射ユニット34を備えるので、スモークガスGにLEDランプ28からの発光が反射することによる演出効果が期待できるばかりか、寿司10をスモークガスGに含まれる炭酸ガスの静菌作用と酸化防止作用によって鮮度を保ちながら客席7まで搬送することができる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0055】
例えば、前記実施例では、注文搬送装置11を飲食物循環搬送装置1における各島部4a,4b,4cの上方に設けたが、飲食店の形態によっては注文搬送装置11単体で客席7に寿司10を供給するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施例では、注文飲食物を寿司10として説明したが、注文飲食物は寿司10以外の料理や酒類等の飲料であってもよい。
【0057】
また、前記実施例では、報知板23の発光パターンとして第1発光パターンから第4発光パターンの4例を示したが、客席7の飲食客に搬送路12上を搬送トレー13が走行する旨を報知することができれば、報知板23の発光パターンはこれら4例の発光パターン以外であってもよい。
【0058】
また前記実施例では、第3発光パターンにおいて、客席7前のLEDランプ28の光色と他のLEDランプ28の光色を補色の関係にある色同士で発光させることで、客席7前の報知板23の光色を際立たせたが、搬送トレーを単色で塗装し、全てのLEDランプ28を搬送トレーに塗装された色と補色の関係にある色で発光させることで、搬送トレー13を際立たせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 飲食物循環搬送装置
3 寿司皿
5 飲食カウンタ
6 飲食テーブル
7 客席
10 寿司(注文飲食物)
11 注文搬送装置
12 搬送路
13 搬送トレー(搬送体)
18a 上面
23 報知板(報知部)
24 アクリル板
27 発光フレーム
28 LEDランプ(光報知手段)
29 マイクロスピーカ(音声報知手段)
30b 搬送路
31 搬送トレー
34 ガス噴射ユニット(ガス噴射手段)
37 ガス供給管
38 報知板
G スモークガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を調理するための厨房と飲食客が前記飲食物の飲食を行うための客席とに亘って設けられた搬送路と、前記客席から注文がなされた注文飲食物を載置した状態で前記厨房から前記客席まで前記搬送路を走行する搬送体と、を備える注文搬送装置であって、
前記搬送体の走行する軌道の下方に沿って、該搬送体の走行方向とは直交する幅方向の長さが搬送体の幅寸法と比べて長寸の報知部を配置し、前記注文飲食物の注文時に前記報知部を発光させて報知を行う光報知手段を備えることを特徴とする注文搬送装置。
【請求項2】
前記光報知手段は、少なくとも前記厨房から前記注文飲食物を搬送する前記客席近傍までの前記報知部を発光させることを特徴とする請求項1に記載の注文搬送装置。
【請求項3】
前記光報知手段は、全ての前記報知部を発光させるとともに、前記注文飲食物を搬送する前記客席近傍の前記報知部を他の前記報知部とは異なる光色で発光させることを特徴とする請求項1または2に記載の注文搬送装置。
【請求項4】
前記注文飲食物を搬送する前記客席に音声により報知を行う音声報知手段を備えることを特徴とする請求項1または3に記載の注文搬送装置。
【請求項5】
前記報知部は導光性を有する板体で構成されており、前記光報知手段は前記報知部の端部側から発光することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の注文搬送装置。
【請求項6】
前記報知部に対してドライアイスを用いて発生させたスモークガスを噴射するガス噴射手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の注文搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−222076(P2010−222076A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68851(P2009−68851)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)