説明

注文管理システム、注文管理方法

【課題】投資上の負担を軽減し、様々な規模の店舗において柔軟に、継続、安定して動作する注文管理システムを提供する。
【解決手段】来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末から送信される注文情報を受信して記憶する制御プログラムが記憶されている可搬記憶媒体と、可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部を有する情報端末とを備えた注文管理システムであって、情報端末が、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定し、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていると判定した場合、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて情報端末を管理端末として動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来店客からの注文内容を示す注文情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フロアスタッフ(ウェイター/ウェイトレス)が来店客に注文を受けて料理を提供する飲食店等において、注文情報を電子データで管理する注文管理システムが利用されている。このような注文管理システムでは、フロアスタッフが来店客に注文内容を聞き、専用の注文入力端末(ハンディターミナル:HT)に注文内容を入力して送信ボタンを押下すると、注文情報が管理端末(コントローラ:CT)や印刷端末(プリンタ:PR)、中継端末(ステーション:ST)などの情報端末に送信される。複数の注文入力端末から送信される注文情報は管理端末に集められ、記憶されて管理される。例えば、管理端末は、注文情報に基づく伝票情報を生成して、対応する印刷端末に送信する。
このような注文管理システムにおいては、各情報端末のうちいずれかが動作しなくなったような場合にも継続して稼働するために、データを二重化して記憶させておく構成をとる場合がある(例えば、特許文献1、2)。例えば、主系、従系の管理端末を予め用意しておき、主系の管理端末が動作しなくなった場合には、従系の管理端末が動作する。また、各情報端末は、修正、交換を考慮して複数台用意する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−113061号公報
【特許文献2】特開2009−157745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、注文管理システムを構成する各情報端末を複数台用意すれば、これらのハードウェアを準備するための店舗投資上の負担が大きくなるとともに、修理や交換等の保守作業にも時間がかかることとなる。例えば、図9に示すように、ある程度大きな規模の店舗においてHT、PR、ST、CTを全て二重化して用意しようとすれば、それぞれ最低2台以上のハードウェアを用意することとなる。このような負担は、軽減することが望まれている。
ところで、データの二重化に拘らず、必要最小限の端末構成による注文管理システムに対する要望も少なくはない。現状、このような要望に対して、大規模店舗などにおいて導入される注文管理システムのための各種情報端末をそのまま使用することはできない。これは、注文管理システムを構成する各情報端末が、機能が特定された専用端末であり、柔軟な構成が取れないためである。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、投資上の負担を軽減し、様々な規模の店舗において柔軟に、継続、安定して動作するような注文管理システム、注文管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末と、注文入力端末から送信される注文情報を受信し記憶して、注文情報に関する印刷指示を出力する管理端末として機能する情報端末とを備えた注文管理システムであって、管理端末の機能を実現するための制御プログラムと、注文入力端末または情報端末が注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報とが記憶されている可搬記憶媒体を備え、情報端末は、可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部と、脱着部に、可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定する判定部と、判定部によって脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていると判定された場合、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて情報端末を管理端末として動作させる制御部と、制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または注文入力端末と情報の送受を行う通信部と、を基本構成として備え、管理端末として機能する情報端末は、制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または注文入力端末に対して、注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報を送信して設定させるとともに、注文入力端末から通信部によって取得した注文情報を可搬記憶媒体に記憶させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、情報端末が、判定部によって脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていると判定された場合、情報端末が管理端末として動作することを示す情報を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムには、制御プログラムの起動時に、管理端末として動作している他の情報端末が存在するか否かを問い合わせる応答要求を送信し、応答要求に対応する応答を受信する機能と、応答要求部が送信した応答要求に応じて、他の情報端末が管理端末として動作していることを示す応答を受信しなかった場合、主系の管理端末として動作すると判定し、他の情報端末が管理端末として動作していることを示す応答を受信した場合、従系の管理端末として動作すると判定する機能と、判定の結果に基づいて、主系または従系のいずれかの管理端末として動作させる機能とを、情報端末に実行させるプログラムが含まれ、情報端末は、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、主系または従系のいずれかの管理端末として動作することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムには、判定の結果を、可搬記憶媒体の設定情報に含まれる一情報として、可搬記憶媒体に記憶させる機能と、制御プログラム起動時に、可搬記憶媒体の設定情報の中に、判定の結果が含まれていた場合、判定の結果に基づいて、主系または従系のいずれかの管理端末として動作させる機能とを、情報端末に実行させるプログラムが含まれる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、情報端末が、判定部によって、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていないと判定された場合、自端末以外の情報端末に対して、注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報を要求する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、情報端末が、さらに、管理端末として機能する情報端末から注文情報に関する伝票情報を取得して印字する印刷部を有することで、印刷端末として機能する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、情報端末が、さらに、管理端末として機能する情報端末と注文入力端末とから各種情報を取得して別の端末へ転送する転送部を有することで、中継端末として機能する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末と、注文入力端末から送信される注文情報を受信し記憶して、注文情報に関する印刷指示を出力する管理端末として機能する情報端末と、管理端末の機能を実現するための制御プログラムと、注文入力端末または情報端末が注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報とが記憶されている可搬記憶媒体と、を備えた注文管理システムの注文管理方法であって、情報端末が、可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部に、可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定するステップと、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていると判定した場合、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて情報端末を管理端末として動作させるステップと、制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または注文入力端末と情報の送受を行うステップと、管理端末として機能する情報端末が、自端末以外の情報端末または注文入力端末に対して、注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報を送信して設定させるとともに、注文入力端末から通信部によって取得した注文情報を可搬記憶媒体に記憶させるステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末から送信される注文情報を受信して記憶する制御プログラムが記憶されている可搬記憶媒体と、可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部を有する情報端末とを備えた注文管理システムであって、情報端末が、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定し、脱着部に可搬記憶媒体が取り付けられていると判定した場合、可搬記憶媒体に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて情報端末を管理端末として動作させるようにしたので、様々な規模の店舗において柔軟に、継続、安定して動作するような注文管理システム、注文管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による注文管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による情報端末の外観の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による注文管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による注文管理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態による注文管理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態による注文管理システムの構成例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による注文管理システムの構成例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による注文管理システムの構成例を示す図である。
【図9】従来技術による注文管理システムの端末構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による注文管理システム1の構成を示すブロック図である。注文管理システム1は、注文入力端末10と、複数の中継端末(ステーション。以降、ST)である情報端末20−1と印刷端末(プリンタ。以降、PR)である情報端末20−2とのコンピュータ端末と、可搬記憶媒体30とを備えている。
ここでは、情報端末20−1と情報端末20−2とは、STとPRとの異なる機能を持つコンピュータ端末であるが、本実施形態に特徴的な部分(図1における基本構成)においては同様の機能を備えるよう構成されている。よって、特に区別する必要がない場合には情報端末20として説明する。また、同等の機能を実現する構成要素についても、ハイフン以下を省略した符号(例えば、制御部は「24」、表示部は「21」など)により説明する。
【0017】
本実施形態では、情報端末20が管理端末(コントローラ。以降、CT)として動作するための制御プログラムを可搬記憶媒体30に予め格納する。このような可搬記憶媒体30が、複数の情報端末20のうちのいずれかの情報端末20に挿入され、情報端末20が可搬記憶媒体30から制御プログラムを読み出して動作する。情報端末20は、上述のように、異なるコンピュータ端末である場合が多々あるのだが、統一して備える基本構成においてこの可搬記憶媒体30に記憶されている制御プログラムを読み取って動作するため、どの情報端末20であっても、同様に、CTとして機能する。
これにより、CTの専用端末を予め用意する必要がなくなり、従来よりも少ない台数のコンピュータ端末により注文管理システム1を構成することが可能となる。例えば情報端末20−1に可搬記憶媒体30が挿入されておりCTとして動作している状態で、なんらかの理由により動作しなくなったとする。このとき、従来であれば、CTとして動作する同様のコンピュータ端末が他に存在しなければ、注文管理システム1は継続して稼働できなかった。これに対し、本実施形態によれば、情報端末20−1に挿入されている可搬記憶媒体30を抜き、情報端末20−2に挿入することでCTとして動作させ、注文管理システム1は継続して稼働することができる。
【0018】
注文入力端末10は、例えば、フロアスタッフに携帯されるハンディターミナルや、店舗内に設置される据え置き型の端末である。注文入力端末10は、来店客からの注文内容を示す注文情報の入力を受付け、入力された注文情報を情報端末20に送信する。
【0019】
情報端末20は、基本構成として、制御部24と、記憶部25と、判定部26と、通信部27と、脱着部28とを備えている。ここで、上述のように、情報端末20−1はステーションとして機能する構成を備え、情報端末20−2はプリンタとして機能する構成を備える。
よって、STである情報端末20−1は、基本構成のほかに、表示部21−1と、LED22−1と、入力部23−1とを備え、PRである情報端末20−2は、基本構成のほかに、表示部21−2と、LED22−2と、入力部23−2と、印刷部29−2とを備えている。
【0020】
図2は、情報端末20の外観を示す図である。表示部21は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイであり、各種情報を表示する。例えば、表示部21は、後述する判定部26によって脱着部28に可搬記憶媒体30が取り付けられていると判定された場合、自身の情報端末20がCTとして動作することを示す情報を表示する。図2においては、符号bに示す箇所に対応する。
【0021】
LED(Light Emitting Diode)22は、情報端末20の各種動作状況を示す発光体素子である。例えば、LED22は、自身の情報端末20がCTとして動作する場合に点灯する図2においては、符号aに示す箇所に対応する。
【0022】
入力部23は、情報の入力を受け付ける。入力部23には、例えば、キーボードやメンブレンキー、マウスなどが適用できる。図2においては、メンブレンキーである例が示されており、符号cの箇所に対応する。
【0023】
制御部24は、情報端末20の各種動作を制御する。例えば、制御部24は、判定部26によって脱着部28に可搬記憶媒体30が取り付けられていると判定された場合、可搬記憶媒体30に記憶されている制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて、情報端末20をCTとして動作させる。
【0024】
記憶部25には、情報端末20が動作するための各種情報が予め記憶される。例えば、情報端末20−1が備える記憶部25−1には、情報端末20をSTとして動作させるための制御プログラムが予め記憶されており、情報端末20−2が備える記憶部25−2には、情報端末20をSTとして動作させるための制御プログラムが予め記憶されている。
【0025】
判定部26は、脱着部28に、可搬記憶媒体30が取り付けられているか否かを判定する。
通信部27は、注文入力端末10や他の情報端末20との間で、無線または有線による通信を行う。また、通信部27は、自身がSTとして機能する場合には、CTとして機能する情報端末20と注文入力端末10とから各種情報を取得して別の端末へ転送するようにしても良い。
脱着部28は、可搬記憶媒体30を脱着可能な取付部分であり、可搬記憶媒体30が取り付けられている場合には、取り付けられた可搬記憶媒体30に記憶されている情報を読み出すことができる。例えば、可搬記憶媒体30がメモリーカードである場合には、メモリーカードを抜き差しするカードスロットである。
印刷部29は、予め備えられた印刷用紙に情報を印刷して各種伝票を出力する。例えば、印刷部29は、通信部27を介して、CTとして機能する情報端末20から注文情報に関する伝票情報を受信し、印字して出力する。
【0026】
可搬記憶媒体30には、情報端末20をCTとして動作させる制御プログラム(注文管理SWに相当する)が記憶されている。
例えば、可搬記憶媒体30には、飲食店における一般的な注文管理に関する制御プログラムとして、情報端末20が注文入力端末10から注文情報を受信して可搬記憶媒体30に記憶する機能、記憶した注文情報に基づき調理指示、提供指示等のための伝票や、客に配布するゲスト伝票を作成する機能、作成した伝票を適切なPRに送信して印字させる機能、自端末以外に存在するCT(例えば、自身が主系(メイン)なら、従系(サブ))が正常に動作しているかを監視する機能、を情報端末20に実施させるための制御プログラムが記憶されている。
また、可搬記憶媒体30には、同一の注文管理システム内に存在する他の端末に対して設定に関する情報を配信して設定させる制御プログラムも記憶されている。ここで、設定に関する情報とは、同一の注文管理システムを識別するIDや、通信時に使用する周波数チャネルに関する情報、この可搬記憶媒体30を読み込んで管理装置となった情報端末20に設定される通信用のアドレス、などである。
また、同様の制御プログラムが記憶されている可搬記憶媒体30を2個用意し、例えば情報端末20−1と情報端末20−2との双方に可搬記憶媒体30を取り付けることで、複数の情報端末20をメインまたはサブのCTとして動作させることが可能であるが、可搬記憶媒体30には、その場合の、メインまたはサブの決定に関する制御プログラムも記憶されている。例えば、制御プログラムの起動時に複数の情報端末20に対して、CTとして既に動作している情報端末20が存在するか否かを問い合わせ、他の情報端末20からの応答等に基づき、自身の情報端末20をメインのCTとして動作すべきか否かを判定する制御プログラムが記憶されている。このメインまたはサブの決定に関しての詳細は後述する。
【0027】
また、可搬記憶媒体30には、上記のような制御プログラムのほか、上述したような、同一の注文管理システム内に存在する他の端末に対しても配信する、設定に関する情報や、この可搬記憶媒体30を読み込んだ情報端末20をメインまたはサブのどちらとして動作させるかを示すフラグなど、設定情報が記憶されている。なお、このフラグについては、可搬記憶媒体30に予め記憶しておいてもよいが、情報端末20が上記制御プログラムを実行することでメインのCTとして動作すべきか否かが決定されるため、その結果が可搬記憶媒体30に記憶されるようにしてもよい。
また、可搬記憶媒体30には、情報端末20が制御プログラムを読み込んで起動することで、注文入力端末10から受信した情報に基づく注文データやその注文データに基づいて作成される伝票データなどが、随時、記憶されていく。
【0028】
このように、可搬記憶媒体30には、注文管理SWや設定情報が記憶されており、注文データ等が随時、記憶されていく。よって、この可搬記憶媒体30を別の情報端末20に読み込ませても、別の情報端末20に存在する、統一的に具備されている基本構成の機能により、この別の情報端末20は、直前までこの可搬記憶媒体30に基づき動作していた情報端末20と同様にこれまで記憶した注文データを生かしつつ、CTとして機能することができる。
【0029】
ここで、このように、複数の情報端末20をそれぞれメイン、サブとして動作させる際には、フロアスタッフや故障時に修理を行う作業者が、情報端末の電源が入っていない、または、故障のため電源が入らない状態で、いずれの情報端末20がメインのCTであり、いずれの情報端末20がサブのCTであるかを判別できるように、情報端末20の本体に対してシール形式のラベルを貼り付けておくようにしても良い。
図2の符号dは、メインのCTに「メイン」との文字列が印刷されたラベルを貼り付けた例である。また、メインとサブの区別は、例えば表示部21に表示させておくようにしても良い。この場合、表示部21には、電源が途絶えても表示を保持する記憶型液晶を適用することができる。あるいは、メンブレンキーである入力部23のシート部分の色などによりメインとサブを判別可能にしても良い。
また、複数の情報端末20をそれぞれメイン、サブとして動作させる際には、メインのCTとサブのCTとを、無線との有線との双方のネットワーク(LAN(Local Area Network))により接続することで、信頼性の高いデータの二重化が実現できる。そのため、通信部27は、無線および有線通信を行う機能を有している。
【0030】
次に、本実施形態による注文管理システム1の動作例を説明する。図3は、情報端末20が起動する際の動作例を示すフローチャートである。
まず、情報端末20に電源が投入されると(ステップS1)、判定部26は、脱着部28に可搬記憶媒体30が取り付けられているか否かを判定する(ステップS2)。判定部26が、脱着部28に可搬記憶媒体30が取り付けられてないと判定すると(ステップS3:無)、制御部24は、記憶部25に記憶されている制御プログラムを読み出し(ステップS4)、読み出した制御プログラムに基づいて起動する(ステップS5)。これにより、情報端末20は、記憶部25に記憶された制御プログラムに基づく端末(STまたはPR)として動作する(ステップS6)。
【0031】
ステップS3において、判定部26が、脱着部28に可搬記憶媒体30が取り付けられていると判定すると(ステップS3:有)、制御部24は、脱着部28に取り付けられた可搬記憶媒体30に記憶されている制御プログラムを読み込む(ステップS7)。制御部24は、読み出した制御プログラムに基づいてCTとして起動する(ステップS8)。
ここで、可搬記憶媒体30内に、自身がメインのCTとして動作するかサブのCTとして動作するかが予め設定され記憶されており、自身がサブであると定められている場合には(ステップS9:サブ)、サブのCTとして起動する(ステップS10)。一方、メインであると定められている場合には(ステップS9:メイン)、メインのCTとして起動する(ステップS13)。あるいは、メインであるかサブであるかが定められていない場合には(ステップS9:未決定)、他の情報端末20と通信を行って、システム内にメインのCTが存在するか否かを確認する(ステップS11)。ここで、メインのCTが存在すると判定した場合には(ステップS12:有)、ステップS10にすすみサブのCTとして動作する。メインのCTが存在しないと判定した場合には(ステップS12:無)、ステップS13にすすみメインのCTとして動作する。
【0032】
ここで、メインとサブが定められていない場合のステップS11、S12の処理を、より詳細に説明する。図4は、4台の情報端末20(情報端末20−1、情報端末20−2、情報端末20−3、情報端末20−4)が存在する場合に、メインとサブのCTが決定される動作例を説明するシーケンス図である。
まず、情報端末20−2の電源が投入され(ステップS20)、可搬記憶媒体30が取り付けられていることが確認されると(ステップS21)、情報端末20−2は、他の全ての情報端末20に対して、CTが存在するか否かを問い合わせる応答要求を送信し(ステップS22)、一定の待機時間の間、応答を待つ。この待機時間は、例えば、情報端末20に電源が投入されてから、可搬記憶媒体30を認識してCTとしての機能が完全に起動するまでの時間に応じて、例えば3分程度の時間である。
【0033】
そして、情報端末20−1の電源が投入され(ステップS23)、可搬記憶媒体30が取り付けられていないことが確認されると(ステップS24)、情報端末20−1は、他の全ての情報端末20に対して各種設定の要求を送信する(ステップS25)。この後、情報端末20−1は、設定の要求に対する応答があるまで、一定時間毎に要求を送信し続ける(ステップS32、ステップS34)。
次に、情報端末20−3の電源が投入され(ステップS26)、可搬記憶媒体30が取り付けられていることが確認されると(ステップS27)、情報端末20−3は、他の全ての情報端末20に対して、CTが存在するか否かを問い合わせる応答要求を送信し(ステップS28)、一定の待機時間の間(例えば、3分)、応答を待つ。
【0034】
さらに、情報端末20−4の電源が投入され(ステップS29)、可搬記憶媒体30が取り付けられていないことが確認されると(ステップS30)、情報端末20−4は、他の全ての情報端末20に対して各種設定の要求を送信する(ステップS31)。この後、情報端末20−4は、設定の要求に対する応答があるまで、一定時間毎に要求を送信し続ける(ステップS33、ステップS35)。
【0035】
ステップS22において、情報端末20−2が応答要求を送信した後、一定時間経過の間応答を受信しなければ、情報端末20−2は、CTが不在であると判定し(ステップS36)、自身をメインのCTとして設定する(ステップS37)。そして、自身がメインのCTであることを示す情報を、他の全ての情報端末20に対して送信する(ステップS38)。また、情報端末20−2は、可搬記憶媒体30に記憶されている設定の情報を他の全ての情報端末20に対して送信する(ステップS39)。
情報端末20−1と情報端末20−4は、情報端末20−2から送信された、情報端末20−2がメインのCTであるという情報と設定の情報とを受信し、記憶して設定登録する(ステップS40、S41)。
情報端末20−3は、情報端末20−2から、情報端末20−2がメインのCTであることを示す情報を受信すると(ステップS42)、自身をサブのCTとして設定する(ステップS43)。そして、メインのCTである情報端末20−2に対して、自身がサブのCTであることを示す情報を送信する(ステップS44)。
【0036】
ここで、可搬記憶媒体30が取り付けられた情報端末20が起動した際に、他の情報端末20に対して応答要求を送信した際の待機時間は、ランダムに決定されるようにしても良い。この場合、各情報端末20は図5に示すように動作する。
図5において、ステップS50からステップS65までの処理は、それぞれ図4におけるステップS20からS35までの処理と同一である。
しかし、例えば、情報端末20−2の待機時間t1が、情報端末20−3の待機時間t2より大きい場合、情報端末20−2に対して先に電源が投入された場合でも、後から電源が投入された情報端末20−3がメインのCTとして立ち上がることとなる。すなわち、情報端末20−3が応答要求を送信した後、一定時間(t2)経過の間応答を受信しなければ、情報端末20−3は、CTが不在であると判定し(ステップS66)、自身をメインのCTとして設定する(ステップS67)。そして、自身がメインのCTであることを示す情報を、他の全ての情報端末20に対して送信する(ステップS68)。また、情報端末20−3は、可搬記憶媒体30に記憶されている設定の情報を他の全ての情報端末20に対して送信する(ステップS69)。
情報端末20−1と情報端末20−4は、情報端末20−3から送信された、情報端末20−2がメインのCTであるという情報と設定の情報を受信し、記憶して設定登録する(ステップS70、S71)。
情報端末20−2は、情報端末20−3から、情報端末20−3がメインのCTであることを示す情報を受信すると(ステップS72)、自身をサブのCTとして設定する(ステップS73)。そして、メインのCTである情報端末20−3に対して、自身がサブのCTであることを示す情報を送信する(ステップS74)。
このようにすれば、同じタイミングで情報端末20−1〜情報端末20−4の電源が投入されたような場合にも、可搬記憶媒体30が取り付けられた複数の情報端末20のいずれもがメインのCTとして起動することを防ぐことができる。
また、上記動作手順に限らず、例えば、店舗の責任者などが特定の情報端末20をメインのCTとすることを決め、メインのCTとするかサブのCTとするかを情報端末に設けられたスイッチ等の入力手段によって手動で設定するようにしてもよい。
【0037】
従って、本実施形態によれば、例えば、図6に示すように、大規模な店舗における注文管理システム1を構成することができる。ここでは、従来のようなCT専用端末が不要であり、より少ない台数のコンピュータ端末により注文管理システム1を構成することができる。このため、投資上の負担を軽減することが可能となる。
また、小中規模の店舗においては、図7、図8に示すように注文入力端末1を構成することができる。あるいは、例えば調理指示のためにPRを使用せず、ディスプレイを採用する店舗においては、ST2台でデータを二重化するようにしても良いし、ディスプレイに可搬記憶媒体30を取り付けて制御プログラムを読み込ませて、CTとして動作させるようにしても良い。
また、図示しないが、データの二重化に拘らなければ、注文入力端末1を1台とPRとして動作する情報端末20を1台とで、小規模の注文管理システムを構成することも可能である。この場合、サブのCTは存在しないが、PRとして動作する1台の情報端末20が、可搬記憶媒体30を読み取ってメインのCTとして機能する。このような小規模のシステムは、例えば、データの二重化よりも安価なシステムを求める店舗に適している。
このように、本実施形態によれば、様々な規模、形態の店舗においても、統一して基本構成を備える情報端末20と、注文管理SWや設定情報、注文データを記憶する可搬記憶媒体30とによって、注文管理システム1を柔軟に構築することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、メインのCTとして動作している情報端末20が、ハードウェア故障等により動作しなくなった場合でも、その情報端末20から可搬記憶媒体30を抜き、他の情報端末20に取り付けることで、その他の情報端末20をメインのCTとして動作させることができる。また、注文データも、可搬記憶媒体30に記憶されているため、受け継がれる。このため、ハードウェア故障時にも、注文管理システム1は継続して、安定して稼働することができる。
また、注文管理システム1に含まれる情報端末の故障等により、可搬記憶媒体30に記憶されている情報を読み取って正常に動作することができる情報端末が注文管理システム1内に1台のみとなった場合でも、データの二重化にさえ拘らなければ、注文管理システム1の運用を止めることなく動作させ続けることが出来る。
このように、本実施形態によれば、ソフトウェア、ハードウェアを増加することなく、店舗の規模に応じた端末数で、修理対応がしやすく、かつ(同一端末でなくても、2台以上の情報端末を用意することにより)情報が二重化された安全な注文管理システム1を構築することが可能となる。
【0039】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより注文管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0040】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 注文管理システム
10 注文入力端末
20 情報端末
21 表示部
22 LED
23 入力部
24 制御部
25 記憶部
26 判定部
27 通信部
28 脱着部
29 印刷部
30 可搬記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末と、当該注文入力端末から送信される注文情報を受信し記憶して、前記注文情報に関する印刷指示を出力する管理端末として機能する情報端末とを備えた注文管理システムであって、
前記管理端末の機能を実現するための制御プログラムと、前記注文入力端末または前記情報端末が当該注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報とが記憶されている可搬記憶媒体を備え、
前記情報端末は、
前記可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部と、
前記脱着部に、前記可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記脱着部に前記可搬記憶媒体が取り付けられていると判定された場合、前記可搬記憶媒体に記憶されている前記制御プログラムを読み出し、読み出した当該制御プログラムに基づいて当該情報端末を前記管理端末として動作させる制御部と、
前記制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または前記注文入力端末と情報の送受を行う通信部と、
を基本構成として備え、
前記管理端末として機能する前記情報端末は、前記制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または前記注文入力端末に対して、当該注文管理システムにおいて動作するために必要な前記設定情報を送信して設定させるとともに、前記注文入力端末から前記通信部によって取得した注文情報を前記可搬記憶媒体に記憶させる
ことを特徴とする注文管理システム。
【請求項2】
前記情報端末は、
前記判定部によって前記脱着部に前記可搬記憶媒体が取り付けられていると判定された場合、当該情報端末が管理端末として動作することを示す情報を表示する表示部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の注文管理システム。
【請求項3】
前記可搬記憶媒体に記憶されている前記制御プログラムには、
当該制御プログラムの起動時に、前記管理端末として動作している他の情報端末が存在するか否かを問い合わせる応答要求を送信し、当該応答要求に対応する応答を受信する機能と、
前記応答要求部が送信した前記応答要求に応じて、前記他の情報端末が管理端末として動作していることを示す応答を受信しなかった場合、主系の管理端末として動作すると判定し、前記他の情報端末が管理端末として動作していることを示す応答を受信した場合、従系の管理端末として動作すると判定する機能と、
前記判定の結果に基づいて、主系または従系のいずれかの管理端末として動作させる機能とを、前記情報端末に実行させるプログラムが含まれ、
前記情報端末は、前記可搬記憶媒体に記憶されている前記制御プログラムを読み出して実行することで、主系または従系のいずれかの管理端末として動作する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の注文管理システム。
【請求項4】
前記可搬記憶媒体に記憶されている前記制御プログラムには、
前記判定の結果を、前記可搬記憶媒体の前記設定情報に含まれる一情報として、前記可搬記憶媒体に記憶させる機能と、
当該制御プログラム起動時に、前記可搬記憶媒体の前記設定情報の中に、前記判定の結果が含まれていた場合、前記判定の結果に基づいて、主系または従系のいずれかの管理端末として動作させる機能とを、前記情報端末に実行させるプログラムが含まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の注文管理システム。
【請求項5】
前記情報端末は、前記判定部によって、前記脱着部に前記可搬記憶媒体が取り付けられていないと判定された場合、自端末以外の前記情報端末に対して、当該注文管理システムにおいて動作するために必要な前記設定情報を要求する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の注文管理システム。
【請求項6】
前記情報端末は、さらに、前記管理端末として機能する情報端末から前記注文情報に関する伝票情報を取得して印字する印刷部を有することで、印刷端末として機能する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の注文管理システム。
【請求項7】
前記情報端末は、さらに、前記管理端末として機能する前記情報端末と前記注文入力端末とから各種情報を取得して別の端末へ転送する転送部を有することで、中継端末として機能する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の注文管理システム。
【請求項8】
来店客からの注文入力を受け付ける注文入力端末と、当該注文入力端末から送信される注文情報を受信し記憶して、前記注文情報に関する印刷指示を出力する管理端末として機能する情報端末と、前記管理端末の機能を実現するための制御プログラムと、前記注文入力端末または前記情報端末が当該注文管理システムにおいて動作するために必要な設定情報とが記憶されている可搬記憶媒体と、を備えた注文管理システムの注文管理方法であって、
前記情報端末が、
前記可搬記憶媒体を脱着可能な脱着部に、前記可搬記憶媒体が取り付けられているか否かを判定するステップと、
前記脱着部に前記可搬記憶媒体が取り付けられていると判定した場合、前記可搬記憶媒体に記憶されている前記制御プログラムを読み出し、読み出した当該制御プログラムに基づいて当該情報端末を前記管理端末として動作させるステップと、
前記制御部による制御によって、自端末以外の情報端末または前記注文入力端末と情報の送受を行うステップと、
前記管理端末として機能する前記情報端末が、
自端末以外の情報端末または前記注文入力端末に対して、当該注文管理システムにおいて動作するために必要な前記設定情報を送信して設定させるとともに、前記注文入力端末から前記通信部によって取得した注文情報を前記可搬記憶媒体に記憶させるステップと、
を備えることを特徴とする注文管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168584(P2012−168584A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26457(P2011−26457)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】