説明

洋式トイレ装置

【課題】便座本体に洗浄機能を備え便器本体の洗浄吐水孔及び段差を無くしたことで節水し、便座部6の着座部6aにヒーターを使用しない暖房にすることで節電する装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便器から洗浄水吐水孔1と洗浄水給水路3ならびサイホン方式の排水を無くし、別体式の排水装置20と洗浄機能を備えた便座6、6aを設置することで洗浄水を節水し、便座着座部内の電気ヒーターを排除し、温水により瞬間で効率的に着座部を加熱することで節電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洋式トイレの洗浄水の節水ならび便座を温める時に使う電気代の節電を確実かつ効率的に行うことができ、排便時の汚水跳ねかえりを無くしトイレ掃除の手間を減らし洗浄水音の消音効果を実現できる洋式トイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洋式トイレは露出タンク式でトイレ洗浄面より上部に設置されており、落差を利用し多量の洗浄水でトイレ洗浄や排水をしていた。また最近の洋式トイレは露出タンク式に変わり水道直圧式やタンク内蔵型があり(例えば、非特許文献1参照)、トイレ洗浄をする場合トイレ洗浄面を洗浄水がうずまき状に勢いよく旋回(例えば、非特許文献2参照)させ排水することで少ない水量でトイレ洗浄や排水をしているサイホンゼット方式(例えば、非特許文献3参照)のものや、ターントラップ方式(例えば、非特許文献4参照)のものがある。
【0003】
また便座を暖める方式では、電気を常時使用しヒーターで便座を暖めていたが、最近の便座は使用時、急速に電気ヒーターで暖めるものもある。(例えば、非特許文献5参照)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】 「TOTO レストルーム わが家のトイレ2008.7 カタログNo.1401」TOTO株式会社,2008,p.40
【非特許文献2】 「TOTO レストルーム わが家のトイレ2008.7 カタログNo.1401」TOTO株式会社,2008,p.30
【非特許文献3】 「TOTO レストルーム わが家のトイレ2008.7 カタログNo.1401」TOTO株式会社,2008,p.40
【非特許文献4】 「パナソニック電工 全自動おそうじトイレアラウーノ2009.2」パナソニック電工株式会社,2009年,p.8
【非特許文献5】 「パナソニック電工 全自動おそうじトイレアラウーノ2009.2」パナソニック電工株式会社,2009年,p.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗浄方式は洗浄面5に多量の溜水があり、排水時には露出型タンクのタンク水を排水し落差を利用することで水圧を発生させ洗浄水給水路3を経由し洗浄吐水孔1より洗浄面5を洗浄し排水するものや、水道圧による水圧を利用し洗浄水を洗浄面段差4を経由し溜水に渦巻きを発生させ洗浄面5を洗浄しかつ排水をおこなうサイホン又はサイホンゼット方式やターントラップ方式があるが、いずれの方式も汚物を排出するために大量の水を使用している。また使用する水が多ければ排水音も大きくなる。上記のことから排水のために使用する水はその水でさえも限りある水資源を考慮すればより節水型の実現が望ましく、洗浄水及び溜水を最小限に減らし、汚物を確実かつ効率よく排出することが好ましい。しかし洗浄水を節水しても節水以外に便座に関する節電では、従来の便座ヒーターは無使用時も便座を暖めているためヒーターの電源が常時入っている。そのため無駄な電気を常時使用してるため電気代が無駄になっている。また無使用時には電源が切れるタイプの便座は、使用時、急速にヒーターで便座を暖めるため電気消費量が多く節電の改良が必要である。
【0006】
以上の通りの事情に鑑みて、本発明は従来の問題点を解消し節水及び節電を実現できるトイレ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は洗浄吐水孔1を有しない洋式便器本体2である。開口上縁部のリム部全周にわたって洗浄吐水孔1が無いため洋式便器本体2から独自に洗浄水を排出しないことを要旨とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は請求項1において、洋式便器本体2より洗浄吐水孔から排出するための洗浄水を通す洗浄水給水路3及び水道圧を利用し洗浄水を旋回させる洗浄面段差4を有せず、緩やかな傾斜を有する洗浄面5であることを要旨するものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は請求項1において有しない洗浄吐水孔1を起立自在の便座部6の下部全周にわたり左右同一形状の洗浄吐水孔1aを有していることを要旨とするものであり、便座部6内部の洗浄水給水口12より連通して便座部6内部より外部に露出した洗浄吐水孔1aまでの全周にわたり上下2段式の分離,非分離型のどちらでもよい洗浄水給水路7,7aを形成している。洗浄水給水路7は洗浄吐水孔1aまで連通しており洗浄吐水孔1aまで抵抗なしに洗浄水が排出されるように形成されている、また洗浄水給水路7aは洗浄水給水路7の上部に形成されており、洗浄水給水路7より左右に幅広く形成され洗浄吐水孔1aまでの全周にわたり左右非対称に洗浄吐水孔1bが一定間隔毎に形成されている。洗浄水給水路7aも洗浄吐水孔1aまで連通しているが洗浄吐水孔1a上部で抵抗がかかるよう行き止まるよう形成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は便座部6aの内部上端全周にわたり便座暖房給水路8が形成され加熱流体流入口9より加熱流体が流入連通し加熱流体流出口10より加熱流体全てが流出するよう形成されていることを要旨とし、便座部6内部下端全周には蓄熱材11が敷設収納されていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は便座部本体6内部に3つの貯水タンク13,14,15,が収納配置されていることを要旨とし、貯水タンク13,14上部の間には貯水タンクの排水をおこなう排水制御モーター16が設置されていることを要旨とし、排水制御モーター16以外に貯水タンク15の排水をおこなう排水制御モーター17が設置されている。全ての排水は給水管18に集約され洗浄給水口12に接続していることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は洋式便器本体2の後方にある排水口19に接続する別体型排水装置20であり別体型排水装置20内部上端には排水制御装置21と排水装置22を収納配置し、下端には開閉装置27,28,41,42を設置したことを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は洋式便器本体2の後方に接続する別体型貯湯タンク装置23であり、請求項4に記載の便座部6の内部に形成された便座暖房給水路8に供給するための加熱流体を貯湯する沸騰保温型貯湯タンク24が収納配置しており加熱流体配水ポンプ25から加熱流体配水管26を通じ加熱流体流入口9へ接続し、加熱流体が循環され加熱流体流出口10から全て貯湯タンク24へ戻るようにしていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は洋式便器本体2の後方に接続する別体型バッテリー内蔵装置29であり内部は上端に充電装置30とバッテリー45を装備し、ソーラーパネル44により自己充電を行うことを要旨とし、下端は水道管と接続処理できるように空室としていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洋式トイレ装置は洗浄水を抑えることができるため節水でき、節水することで消音も効果も発揮するものである。
【0016】
また、便座にヒーターを設置していないため余分な電気を使用しなくて済むため節電できる洋式トイレ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す洋式トイレ装置本体一部の便座及び便器を断面図とした全体の外観図である。
【図2】同洋式トイレ装置の便器本体の断面図である。
【図3】(a)は同上の便座設置状態の一部を示す部分拡大斜面図、(b)、(c)従来例を示す部分拡大斜視図である。
【図4】便座の平面図である。
【図5】便座を示す1部破断した側面図である。
【図6】洋式トイレ装置の斜視図である。
【図7】図6における便座部分におけるB−B線断面図である。
【図8】図5における便座部分におけるC−C線断面図である。
【図9】図8における便座部を示す1部破断した側面図である。
【図10】洋式トイレ装置の便座部分と3つの上蓋を取外した状態の斜視図である。
【図11】同上の平面図
【図12】別体型貯湯タンク装置の実線断面図に便座と便器を点線状で設置した状態の断面図である。
【図13】別体型排水装置の実線断面図に便座と便器を点線状で設置した状態の断面図である。
【図14】排水形態が異なる別体型排水装置の実線断面図に便座と便器を点線状で設置した状態の断面図である。
【図15】別体型バッテリー内蔵装置の実線断面図に便座と便器を点線状で設置した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図15に基づいて説明する。
図1に示されるように洋式便器本体2と、別体型貯湯タンク装置23から横に連結している別体型排水装置20ならびに別体型バッテリー内蔵装置29の上部に載設されている便座部本体6とで主体が構成されている。
【0019】
図2に示すように洋式便器本体2内部の洗浄面5は排便時の便の付着を無くすために段差や凹凸を設けておらず、少量の水で便が流れ排水できるよう緩やかに直線状の傾斜が排水口19まで続くように形成されている。また図3cに示すように洗浄面段差4や排水口19付近に凹凸を設けていないことで洗浄水が万遍なく均一に流れるよう形成されている。
【0020】
図3に示すように洋式便器本体2の開口上縁部には洗浄水が流れ出るような洗浄水吐水孔1や、洗浄水給水路3を設けておらず洋式便器本体外壁2aと洗浄面5の上部が重合された状態となっている。
【0021】
図1,図4,図5に示すように起立自在の便座部6aの下部には全周にわたり左右同一形状で複数の洗浄水吐水孔1bを設けており、便座部6a内部の洗浄水給水口12より連通して便座部6a内部より外部に露出した左右の洗浄水吐水孔1aまでの全周にわたり上下2段式の分離,非分離型のどちらでもよい洗浄水給水路7,7aを設けている。洗浄水給水路7は下段であり洗浄水吐水孔1aまで連通しており洗浄水吐水孔1aまで抵抗なしに洗浄水が排出されるように形成されている、また洗浄水給水路7aは洗浄水給水路7の上段に形成されており、洗浄水給水路7より左右に幅広く形成され洗浄水吐水孔1aまでの全周にわたり左右非対称に洗浄水吐水孔1bが一定間隔毎に形成されている。洗浄水給水路7aも洗浄水吐水孔1aまで連通しているが洗浄水吐水孔1a上部で洗浄水に抵抗がかかるよう行き止まるよう形成され、洗浄水吐水孔1aから洗浄水が排水されるよう形成されている。
【0022】
図6,図7に示すように便座部本体6内部には貯水タンク13,14,15が並列収納配置されており便座部本体6に設置の人体センサー31が人体のトイレ入室を感知すると、排水制御モーター16が貯水タンク13の内部にある貯水タンク排水栓13aを開放させるよう制御されている。また、貯水タンク13内に貯水されていた水は給水管18及び、便座部6a内の洗浄水給水口12内を経由し洗浄水給水路7,7aを通過し洗浄水吐水孔1a,1bから洗浄面5に排水され洗浄面5が水に濡れることで水膜ができ、人から排出される大便や小便の汚れの付着を極力回避軽減できる。
【0023】
人体センサー31が人体のトイレ退室を確認すると、排水制御モーター17が作動し貯水タンク15内に貯水されている水を給水管18及び便座部6a内の洗浄水給水口12内を経由し高圧にて洗浄水給水路7,7aを通過し洗浄水吐水孔1a,1bから洗浄面5に排水され洗浄面5を洗浄する。洗浄後は洗浄水給水管47から各タンクへ洗浄水が給水される。
【0024】
洗浄面5に排便時汚れが付着していないか便座部本体6に設置の汚れ感知センサー32が検知する。検知した結果、汚れの付着があれば再度洗浄面5を洗浄する。また、汚れの付着が検知されない場合、排水制御モーター16が作動し貯水タンク14内の貯水タンク排水栓14aを開放させるよう制御され、貯水タンク内の水を洗浄面5に貯溜するようになっている。
【0025】
図1,図8,図9に示すように起立自在の便座部6a内部上段には全周にわたり熱伝導率が高い金属で扁平状の空洞に形成された便座暖房給水路8が収納配置されており、人体センサー31が人体のトイレ入室を感知すると加熱流体給水口9より加熱流体が流入、便座暖房給水路8を加熱しながら循環し、加熱流体排水口10より加熱流体が排出されるよう形成されている。
【0026】
加熱流体が流れている間に便座暖房給水路8の下段に密着配置された蓄熱材11が加熱流体によって加温され、金属で形成された便座暖房給水路8を冷めにくい状態に形成されている。
【0027】
図1,図10に示すように別体型貯湯タンク装置23は別体型排水装置20と別体型バッテリー内蔵装置29が並列に接続された状態で構成されており、接続された3つの別体型装置は洋式便器本体2に接続されるよう形成されており、3つの別体型装置の上部には便座部本体6が載置できるよう形成され、洋式便器本体2の背部ある昇降用案内板33に接続できるように形成されている。
【0028】
図11,図12に示すように別体型貯湯タンク装置23内部は上下2層室式に形成され貯湯タンク下層室35には加熱流体を沸かし保温できる沸騰保温型貯湯タンク24が収納配置され沸騰保温型貯湯タンク下部には加熱流体配水ポンプ25が設置されており加熱流体配水管26が貯湯タンク上層室34まで配管設備されている。また貯湯タンク下層室は沸騰保温型貯湯タンク24の周囲を保温材37で隙間無く密閉されている。
【0029】
貯湯タンク上層室34の外壁36は脱着式となっており便座部本体6の加熱流体給水口9、加熱流体排水口10が貯湯タンク上層室34で接続できる空間を形成している。
【0030】
図10,図13に示すように別体型排水装置20は並列に接続された真中に配置されており、洋式便器本体2の排水口19と別体型排水装置20の排水接続口38が接続される別体型排水装置20は上下2層式に形成されおり、排水装置下層室40には上部から下部にかけテーパー状の排水ゲートバルブ41が設置され、排水装置上層室39に設置の排水装置22と接続しており上下に開閉される。ゲートバルブ誘導板42は排水接続口38に設置されており、上部から下部にかけテーパー状に狭くなる構造であり確実に閉まる構造である。排水ゲートバルブ41には補助板車43が溶接による接着がされており洋式便器本体2内の洗浄水等の圧力を受け止め排水ゲートバルブ41と排水接続口38に隙間ができ水漏れしないようゲートバルブ誘導板42と2重の対策を講じている。
【0031】
図14に示すように別体型排水装置20aは排水をゲートバルブ方式とは異なる排水栓方式とし排水栓装置28を設けることもできる。排水栓装置28は前後にシリンダーで開閉する。排水栓装置の先端にはバネ内蔵排水栓27が配置されシリンダーの圧力とバネの圧力で水漏れしないようにしている。
【0032】
図15に示すように別体型バッテリー内蔵装置29は上下2層式に形成され、上層室には充電装置30とバッテリー45が内蔵されており本発明の電力の補助を行う、バッテリー45は深夜電力また、ソーラーパネル44にて自己充電するようになっており、下層室は水道管と接続できる空間を形成している。
【符号の説明】
1…洗浄水吐水孔、2…洋式便器本体、5…洗浄面、6…便座部本体、7…洗浄給水路、8…便座暖房給水路、20…別体型排水装置、23…別体型貯湯タンク装置、29…別体型バッテリー内蔵装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器本体に洗浄吐水孔を有しないことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
請求項1において、開口上縁環状部に段差形状を有しないことを特徴とするトイレ装置。
【請求項3】
便座部6の下部全周にわたり左右一対の上下2段洗浄水給水路7,7aを形成しこの洗浄水給水路7aには一定間隔毎に洗浄吐水孔1bを設けてあり、洗浄水給水路7には洗浄吐水口1aを有することが特徴とするトイレ装置。
【請求項4】
便座部6の内部上段全周にわたって便座暖房給水路8を形成し加熱流体が連通するようになっており内部下段全周にわたり蓄熱材11を有していること特徴とするトイレ装置。
【請求項5】
便座部6a以外の便座部本体6内部には3つの貯水タンクが収納配置してあり請求項3記載の洗浄水給水路12に接続していることを特徴とするトイレ装置。
【請求項6】
洋式便器本体排水口に別体型排水装置20を装着していることを特徴とするトイレ装置。
【請求項7】
洋式便器本体に別体型貯湯タンク装置23を装着し請求項4に記載の便座暖房給水路8に接続していることを特徴とするトイレ装置。
【請求項8】
洋式便器本体に別体型バッテリー内蔵装置29を装着していることを特徴とするトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−265737(P2010−265737A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133514(P2009−133514)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(599089505)有限会社 泉商事 (10)
【Fターム(参考)】