説明

洋風水洗式便器

【課題】タンクカバーの固定時に面倒な動作を要することなく優れた美観を呈し、かつ使用時にタンクカバーの破損を防止できる洋風水洗式便器を提供する。
【解決手段】洋風水洗式便器10は、洋風便器本体90と、洋風便器本体90の後部に載置される洗浄タンク29と、洗浄タンク29を開閉可能な吐水弁26と、吐水弁26を開放して洗浄水を洋風便器本体90に吐水させる操作手段21及び被操作手段22と、下方に開口部39を有して洗浄タンク29及び吐水装置26の周囲を覆蓋可能な形状をなし、洗浄タンク29及び操作手段21、被操作手段22に上方から開口部39を被せて洋風便器本体90の後部に固定されるタンクカバー30と、タンクカバー30の外面に設けられ、操作手段21を手動操作可能な洗浄ハンドル23とを備える。タンクカバー30の内面上端31と洗浄タンク29の上端28とは、柱状凸部32a、32bと突起部27a、27bとにより互いに当接する支持部とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洋風水洗式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の洋風水洗式便器が開示されている。この洋風水洗式便器は、洗浄水により洗浄される洋風便器本体と、洋風便器本体の後部に載置され、内部に洗浄水を貯留可能な洗浄タンクと、洗浄タンクを開閉可能な吐水弁と、吐水弁を開放して洗浄水を洋風便器本体に吐水させる吐水装置とを備えている。
【0003】
また、この洋風水洗式便器は、下方に開口部を有して洗浄タンク及び吐水装置の周囲を覆蓋可能な形状をなすタンクカバーも備えている。このタンクカバーは、洗浄タンク及び吐水装置に上方から開口部を被せて洋風便器本体の後部に固定されるようになっている。また、タンクカバーの外面には、吐水装置を手動操作可能な洗浄ハンドルが備えられている。
【0004】
このような構成である従来の洋風水洗式便器は、水洗機能を発揮することに加え、一体感を有した意匠的に優れた外観を呈することが可能となっている。すなわち、洗浄タンクはタンクカバーによって隠蔽されることにより意匠的に優れた外観を呈するのであるが、同時にタンクカバーの外面に設けられた洗浄ハンドルを手動操作することで吐水装置を作動させることもできるからである。
【0005】
【特許文献1】特開平2003−301496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の洋風水洗式便器は、タンクカバーを洋風便器本体の後部に固定する際に、下記のような不具合が生じるおそれがあった。すなわち、この洋風水洗式便器を組み立てる際、作業者がタンクカバーを洋風便器本体の後部に誤差を有して固定してしまうおそれがあり得る。また、この種の洋風水洗式便器は、作業者がタンクカバーを持ち上げることにより、タンクカバーにより隠蔽された部分の清掃を行うことが可能になっており、こうして清掃を行った後、作業者がタンクカバーを洋風便器本体の後部にやはり誤差を有して固定してしまうおそれがあり得る。特に、洋風便器本体の後部上面に固定され、洗浄タンクを載置する後部ベースプレートと、後部ベースプレートに対して昇降装置により昇降可能に設けられ、タンクカバーが固定されるベースプレートとを備えているような洋風水洗式便器においては、タンクカバーを上昇させることにより洋風便器本体の便器上面と前部ベースプレートとの間の清掃を容易に行い得るようになっており、頻繁な清掃によってタンクカバーを洋風便器本体の後部に誤差を有して固定することが多くなってしまう。このような場合、タンクカバーが傾斜し、美観が損なわれてしまう。他方、タンクカバーの傾斜を正す動作は煩わしさを付与することとなる。
【0007】
また、この洋風水洗式便器は、使用者が例えばバランスを崩してタンクカバーに手を付いたりするような場合、タンクカバーに過度の荷重がかかることもある。このような場合、タンクカバーが過度に撓んで破損するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、タンクカバーの固定時に面倒な動作を要することなく優れた美観を呈し、かつ使用時にタンクカバーの破損を防止できる洋風水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洋風水洗式便器は、洗浄水により洗浄される洋風便器本体と、該洋風便器本体の後部に載置され、内部に該洗浄水を貯留可能な洗浄タンクと、該洗浄タンクを開閉可能な吐水弁と、該吐水弁を開放して該洗浄水を該洋風便器本体に吐水させる吐水装置と、下方に開口部を有して該洗浄タンク及び該吐水装置の周囲を覆蓋可能な形状をなし、該洗浄タンク及び該吐水装置に上方から該開口部を被せて該洋風便器本体の後部に固定されるタンクカバーと、該タンクカバーの外面に設けられ、該吐水装置を手動操作可能な洗浄ハンドルとを備えた洋風水洗式便器において、
前記タンクカバーの内面上端と前記洗浄タンクの上端とは互いに当接する支持部とされていることを特徴とする。
【0010】
このような構成である本発明の洋風水洗式便器は、水洗機能を発揮することに加え、一体感を有した意匠的に優れた外観を呈することが可能となる。すなわち、洗浄タンクはタンクカバーによって隠蔽されることにより意匠的に優れた外観を呈するのであるが、同時にタンクカバーの外面に設けられた洗浄ハンドルを手動操作することで吐水装置を作動させることもできるからである。
【0011】
ここで、本発明の洋風水洗式便器において、タンクカバーは、洋風便器本体の後部に固定されるとともに、内面上端が洗浄タンクの上端と互いに支持部によって当接することにより、正しい姿勢で確実に固定される。このため、この洋風水洗式便器の施工及び清掃の際に、作業者がタンクカバーを洋風便器本体の後部に誤差を有して固定してしまうおそれを無くすことができる。このため、この洋風水洗式便器は、タンクカバーが傾斜し、美観が損なわれてしまうという不具合を無くすことができる。他方、タンクカバーの傾斜を正す動作も必要なくなり、煩わしさが解消される。
【0012】
また、本発明に係るタンクカバーは、洋風便器本体の後部に固定されるとともに、内面上端が洗浄タンクの上端に支持部によって当接することにより、正しい姿勢で確実に固定される。このため、本発明の洋風水洗式便器は、タンクカバーに過度の荷重がかかるような場合でも、そのタンクカバーがその荷重を適切に受け、破損し難い。
【0013】
したがって、本発明の洋風水洗式便器は、タンクカバーの固定時に面倒な動作を要することなく優れた美観を呈し、かつ使用時にタンクカバーの破損を防止できる。
【0014】
支持部としては、タンクカバーの内面上端と洗浄タンクの上端とが互いに当接するものであれば、形態や設置場所、個数を適宜選択可能である。支持部はタンクカバーと一体でもよく、洗浄タンクと一体でもよく、またこれらと別体でもよい。例えば、タンクカバーの内面上端から下方に伸びる柱状のものであってもよいし、洗浄タンクの上端から上方に伸びる衝立状のものであってもよい。また、タンクカバーの内面上端と洗浄タンクの上端とで嵌合する構造としてもよい。
【0015】
本発明の洋風水洗式便器は、洋風便器本体の後部上面に固定され、前記洗浄タンクを載置する後部ベースプレートと、該後部ベースプレートに対して昇降装置により昇降可能に設けられ、前記タンクカバーが固定される前部ベースプレートとを備え得る。
【0016】
このような構成である場合、本発明の洋風水洗式便器は、タンクカバーを上昇させることにより洋風便器本体の便器上面と前部ベースプレートとの間の清掃を容易に行うことができる。このため、この洋風水洗式便器は、頻繁な清掃に伴いタンクカバーを持ち上げることが多くなるので、本発明の効果を一層享受することとなる。
【0017】
本発明の洋風水洗式便器において、前記吐水装置は、前記タンクカバーに装着され、前記洗浄ハンドルに結合された操作手段と、該操作手段と離反可能に前記洗浄タンクに装着され、該操作手段との係合により作動可能な被操作手段とからなり得る。
【0018】
このような構成である吐水装置が適用された洋風水洗式便器では、タンクカバーを上方に持ち上げる場合、洗浄ハンドルに結合された操作手段と洗浄タンクに装着された被操作手段とが離反し、洗浄ハンドル、操作手段及びタンクカバーが一体で上方に持ち上がる。このため、タンクカバーを上方に持ち上げる前に洗浄ハンドルを取り外すというような煩わしい作業が必要がない。
【0019】
従来の操作手段及び被操作手段としては、特開2003−201728号公報に開示されているものが知られていた。操作手段は、前記洗浄ハンドルを該タンクカバーに軸支する作動軸と、該作動軸から径方向に突出し、該洗浄ハンドルの一方向への操作により下方に揺動する第1レバーとを有し、被操作手段は、該第1レバーの下方に位置し、該第1レバーの揺動により下方に揺動する第2レバーとを有していた。
【0020】
このような構成である従来の操作手段及び被操作手段は、作業者がタンクカバーを洋風便器本体の後部に誤差を有して固定してしまい、タンクカバーが定位置を超えて下降した場合、第1レバーが第2レバーに接触するが、第1レバーは上方に揺動して逃げることができる。このため、操作手段又は被操作手段が破損するという不具合は生じ難かった。
【0021】
また、この操作手段及び被操作手段では、洗浄ハンドルの一方向への手動操作に限り、操作手段から被操作手段に伝達される。このため、これらの操作手段及び被操作手段では、洗浄ハンドルの手動操作だけで吐水弁を大流量と小流量とに切り替えて開放することができなかった。なお、自動洗浄の場合には、操作手段と被操作手段との係合にかかわらず、大流量と小流量との切り替えが可能である。
【0022】
それに対して、本発明の洋風水洗式便器において、前記吐水装置は、前記タンクカバーに装着され、前記洗浄ハンドルに結合された操作手段と、該操作手段と離反可能に前記洗浄タンクに装着され、該操作手段との係合により作動可能な被操作手段とからなり、
該操作手段は、該洗浄ハンドルを該タンクカバーに軸支する作動軸と、該作動軸から径方向に突出し、該洗浄ハンドルの一方向への操作により下方に揺動する第1レバーと、該作動軸から径方向に突出し、該洗浄ハンドルの他方向への操作により下方に揺動する第2レバーとを有し、
該被操作手段は、該第1レバーの下方に位置し、該第1レバーの揺動により下方に揺動する第3レバーと、該第2レバーの下方に位置し、該第2レバーの揺動により下方に揺動する第4レバーとを有し得る。
【0023】
このような構成である操作手段及び被操作手段を仮に従来の洋風水洗式便器に適用した場合、操作手段と被操作手段とが係合されると、洗浄ハンドルを二方向に手動操作することにより、被操作手段を異なる二つの状態となるように作動させ得る。このため、例えば、洗浄ハンドルを手前に引いたり、又は押したりする二方向の手動操作により、吐水弁を大流量と小流量とに切り替えて開放させ得る。
【0024】
しかしながら、上記従来の洋風水洗式便器では、上述した通り、タンクカバーが定位置を超えて下降してしまう場合がある。この場合には、操作手段の第1レバー及び第2レバーと被操作手段の第3レバー及び第4レバーとが過度に当接されることとなり、操作手段又は被操作手段が破損するという不具合が生じ得る。
【0025】
また、その場合、操作手段又は被操作手段が破損しなくても、操作手段と被操作手段とが正しく係合されないため、洗浄ハンドルの二方向の手動操作が操作手段から被操作手段へとスムーズに伝達されないこととなる。その結果、洗浄タンクの吐水弁を大流量と小流量とに手動で切り替えて開放することにより、洗浄水を洋風便器本体に吐水させることができないというという不具合が生じ得るのである。
【0026】
それに対して、このような構成である操作手段及び被操作手段を本発明の洋風水洗式便器に適用した場合には、上記不具合を生じないのである。
【0027】
つまり、この場合、タンクカバーは、洋風便器本体の後部に固定されるとともに、内面上端が洗浄タンクの上端と互いに支持部によって当接することにより、正しい姿勢で確実に固定される。このため、タンクカバーは、定位置を超えて下降することがなくなり、操作手段の第1レバー及び第2レバーと被操作手段の第3レバー及び第4レバーとが過度に当接されることがない。このため、本発明の洋風水洗式便器は、操作手段又は被操作手段の破損を防止できるのである。
【0028】
また、この場合、操作手段と被操作手段とが正しく係合されるので、洗浄ハンドルの手動操作が操作手段から被操作手段へとスムーズに伝達される。その結果、本発明の洋風水洗式便器は、洗浄ハンドルを二方向に手動操作することにより、被操作手段を異なる二つの状態となるように作動させることを確実に実施できる。このため、例えば、洗浄ハンドルを手前に引いたり、又は押したりする二方向の手動操作により、吐水弁を大流量と小流量とに手動で切り替えて開放し、洗浄水を洋風便器本体に吐水させることを確実に実施することができる。
【0029】
支持部として、このような構成である操作手段及び被操作手段を採用する場合には、タンクカバーの内面上端における操作手段の両側に位置する部分と、洗浄タンクの上端における被操作手段の両側に位置する部分とが互いに当接するようにすることが好ましい。この場合には、吐水装置の操作手段又は被操作手段の破損をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を具体化した実施例1を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0031】
図1及び図2に示すように、実施例1の洋風水洗式便器10は、洗浄水により洗浄される洋風便器本体90と、洋風便器本体90の後部に載置され、内部に洗浄水を貯留可能な洗浄タンク29と、洗浄タンク29を開閉可能な吐水弁(フロート弁)26と、吐水弁26を開放して洗浄水を洋風便器本体90の便鉢91内に吐水させる吐水装置としての操作手段21及び被操作手段22とを備えている。
【0032】
また、この洋風水洗式便器10は、下方に開口部39を有して洗浄タンク29及び吐水装置としての操作手段21及び被操作手段22の周囲を覆蓋可能な形状をなすタンクカバー30も備えている。このタンクカバー30は、洗浄タンク29及び吐水装置を構成する被操作手段22に上方から開口部39を被せるように、洋風便器本体90の後部に設けられている。また、タンクカバー30の側面には、吐水装置としての操作手段21及び被操作手段22を手動操作可能な洗浄ハンドル23が備えられている。また、タンクカバー30の上面には手洗鉢40が載置され、タンクカバー30の前面には便座51及び便蓋52が揺動可能に軸支されている。
【0033】
さらに、この洋風水洗式便器10は、洋風便器本体90の後部上面に固定され、洗浄タンク29を載置する後部ベースプレート81と、後部ベースプレート81に対して図示しない昇降装置により昇降可能に設けられ、タンクカバー30の開口部39が固定される前部ベースプレート82とを備えている。なお、昇降装置の詳細な構造については、特開平2003−166272号公報に開示された洋風水洗式便器の実施形態と同様である。このため、この洋風水洗式便器10は、図3に示すように、前部ベースプレート82に開口部39が固定されたタンクカバー30を便座51及び便蓋52とともに上昇させることが可能とされている。
【0034】
吐水装置としての操作手段21及び被操作手段22は、図4及び図5に示すものである。操作手段21は、タンクカバー30に装着され、洗浄ハンドル23に結合されている。被操作手段22は、操作手段21とは別体をなして洗浄タンク29に装着され、操作手段21との係合により作動可能とされている。
【0035】
操作手段21は、洗浄ハンドル23をタンクカバー30に軸支する作動軸24と、作動軸24から径方向に突出する第1レバー21a及び第2レバー21bを有している。第1レバー21a及び第2レバー21bは、作動軸24の洗浄ハンドル23が接続された端とは逆の端に設けられており、水平かつ互いに逆向きに径方向に突出した後、各先端が洗浄ハンドル23から離れるように鍵状に折れ曲がった形状とされている。このような構成である操作手段21は、図5に示すように、タンクカバー30の固定時において、洗浄ハンドル23の一方向への手動操作により、第1レバー21aが下方に揺動し、洗浄ハンドル23の他方向への手動操作により第2レバー21bが下方に揺動することとなる。
【0036】
他方、被操作手段22は、主要部が水平方向に延びる第2作動軸22cと、第2作動軸22cの主要部を内蔵し、図示しないリモコンからの信号により第2作動軸22cを軸回りに揺動させ得るモータMと、第2作動軸22cの操作ハンドル23側の一端から径方向に突出する第3レバー22a及び第4レバー22bを有している。第3レバー22a及び第4レバー22bは、水平かつ互いに逆向きに径方向に突出した形状とされている。このような構成である被操作手段22は、タンクカバー30の固定時において、第3レバー22aが第1レバー21aの下方に位置し、第1レバー21aの揺動により下方に揺動するようになっている。また、第4レバー22bが第2レバー21bの下方に位置し、第2レバー21bの揺動により下方に揺動するようになっている。
【0037】
また、被操作手段22は、第2作動軸22cの他端に係止され、洗浄タンク29内の吐水弁26を開放するチェーン26bと、図示しない流量切替機構とを有している。なお、流量切替機構の詳細な構造については、特開平2003−201728号公報に開示された洋風水洗式便器の実施形態と同様である。このため、被操作手段22は、洗浄ハンドル23の手動操作又はリモコンからの信号により駆動されるモータMの回転により、吐水弁26を開放可能とされている。この際、第2作動軸22cは、洗浄ハンドル23の二方向の手動操作又はそれに対応するモータMの二方向の回転に対応して、二方向に揺動する。そして、第2作動軸22cが異なる方向に揺動することにより、チェーン26b及び図示しない流量切替機構を介して、洗浄タンク29内の吐水弁26を大流量と小流量とに切り替えて開放することができるようにされている。
【0038】
タンクカバー30の内面上端31には、図4及び図5に示すように、操作手段21を跨ぐ位置に、下方に伸びる柱状凸部32a、32bが一体に形成されている。また、洗浄タンク29の上端28には、タンクカバー30の組み付け時に柱状凸部32a、32bを支持することができるように、被操作手段22を跨ぐ位置に突出部27a、27bが一体に形成されている。こうして、柱状凸部32a、32bと突出部27a、27bとは、タンクカバー30の内面上端31と洗浄タンク29の上端28とが互いに当接する支持部とされている。なお、タンクカバー30及び洗浄タンク29は、操作手段21及び被操作手段22が設けられていない側にも図示しない柱状凸部及び突出部を同様に有している。
【0039】
このような構成である実施例1の洋風水洗式便器10は、図2に示すように、洋風便器本体90に洗浄タンク29、吐水弁26、吐水装置としての操作手段21及び被操作手段22、タンクカバー30、洗浄ハンドル23、手洗鉢40その他の構成部材が組み付けられることにより完成する。ここで、タンクカバー30を組み付ける際には、図2に示す状態から、タンクカバー30を下降させて、洋風便器本体90の後部にある前部ベースプレート82にタンクカバー30の開口部39を固定する。
【0040】
この際、タンクカバー30の内面上端31と洗浄タンク29の上端28とにおいて、柱状凸部32a、32bと突起部27a、27bとは、図4に示すように離反した状態から、図5に示すように互いに当接した状態となる。それと同時に、操作手段21の第1レバー21a及び第2レバー21bと、被操作手段22の第3レバー22a及び第4レバー22bとは、図4に示す離反した状態から、図5に示す互いに当接した状態となる。こうして、タンクカバー30は、洋風便器本体90の後部に固定されるとともに、内面上端31が洗浄タンク29の上端28と互いに支持部としての柱状凸部32a、32bと突起部27a、27bとによって当接することにより、正しい姿勢で確実に固定され、定位置を超えて下降することがない。そして、操作手段21及び被操作手段22は正しく係合される。
【0041】
こうして完成した実施例1の洋風水洗式便器10において、使用者がタンクカバー30の側面に設けられた洗浄ハンドル23を手動操作すれば、洗浄ハンドル23の手動操作が操作手段21から被操作手段22へとスムーズに伝達され、第2作動軸22cが揺動する。また、使用者がリモコンを操作すれば、その信号によってモータMが駆動され、第2作動軸22cが揺動する。
【0042】
このため、洗浄ハンドル23の二方向の手動操作又はそれに対応するモータMの二方向の回転に対応して、第2作動軸22cは二方向に揺動し、チェーン26b及び図示しない流量切替機構を介して、洗浄タンク29内の吐水弁26を大流量と小流量とに切り替えて開放することができる。こうして、この洋風水洗式便器10は、洋風便器本体90の便鉢91内に洗浄水を吐水する洗浄機能を発揮することができる。
【0043】
それに加えて、この洋風水洗式便器10は、洗浄タンク29がタンクカバー30によって隠蔽されていることにより一体感を有した意匠的に優れた外観を呈することができている。
【0044】
さらに、この洋風水洗式便器10は、図3に示すように、図示しない昇降装置により昇降可能に設けられ、タンクカバー30の開口部39が固定される前部ベースプレート82により、タンクカバー30を便座51及び便蓋52とともに上昇させることができる。この際、洗浄ハンドル23に結合された操作手段21と洗浄タンク29に装着された被操作手段22とは離反し、洗浄ハンドル23、操作手段22及びタンクカバー30が一体で上方に持ち上がる。このため、この洋風水洗式便器10は、洋風便器本体90の便器上面と前部ベースプレート82との間の清掃を容易に行うことが可能となっている。また、タンクカバー30を上方に持ち上げる前に洗浄ハンドル23を取り外すというような煩わしい作業が不要になっている。
【0045】
ここで、実施例1の洋風水洗式便器10において、タンクカバー30は、洋風便器本体90の後部に固定されるとともに、内面上端31が洗浄タンク29の上端28と互いに柱状凸部32a、32bと突出部27a、27bとによって当接することにより、正しい姿勢で確実に固定されている。このため、この洋風水洗式便器10は、施工及び清掃の際に、作業者がタンクカバー30を洋風便器本体90の後部に誤差を有して固定してしまうおそれを無くすことができる。このため、この洋風水洗式便器10は、タンクカバー30が傾斜し、美観が損なわれてしまうという不具合を無くすことができる。他方、タンクカバー30の傾斜を正す動作も必要なくなり、煩わしさが解消される。また、この洋風水洗式便器10は、タンクカバー30に過度の荷重がかかるような場合でも、そのタンクカバー30がその荷重を適切に受け、破損し難いのである。
【0046】
したがって、実施例1の洋風水洗式便器10は、タンクカバー30の固定時に面倒な動作を要することなく優れた美観を呈し、かつ使用時にタンクカバー30の破損を防止できている。
【0047】
また、この洋風水洗式便器10は、タンクカバー30を容易に持ち上げ、これによって洋風便器本体90の便器上面と前部ベースプレート82との間を頻繁に清掃することも多いことから、本発明の効果を一層享受することとなっている。
【0048】
また、この洋風水洗式便器10においては、タンクカバー30は、定位置を超えて下降することはないので、操作手段21の第1レバー21a及び第2レバー21bと被操作手段22の第3レバー22a及び第4レバー22bとが過度に当接されることがなくなっている。このため、この洋風水洗式便器10は、操作手段21又は被操作手段22の破損を防止できている。
【0049】
以上において、本発明を実施例1に即して説明したが、本発明は上記実施例1に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は洋風水洗式便器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の洋風水洗式便器の概略斜視図である。
【図2】実施例1の洋風水洗式便器の組み付け前の状態を示す概略斜視図である。
【図3】実施例1の洋風水洗式便器のタンクカバーを図示しない昇降装置により上昇させた状態を示す概略斜視図である。
【図4】実施例1の洋風水洗式便器に係り、タンクカバーを組み付ける過程における一部破断の斜視図である。
【図5】実施例1の洋風水洗式便器に係り、タンクカバーを組み付けた後における一部破断の斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10…洋風水洗式便器
21、22…吐水装置(21…操作手段、22…被操作手段)
21a…第1レバー
21b…第2レバー
22a…第3レバー
22b…第4レバー
23…洗浄ハンドル
24…作動軸
26…吐水弁
30…タンクカバー
31…タンクカバーの内面上端
28…洗浄タンクの上端
29…洗浄タンク
32a、32b、27a、27b…支持部(32a、32b…柱状凸部、27a、27b…突出部)
39…開口部
81…後部ベースプレート
82…前部ベースプレート
90…洋風便器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水により洗浄される洋風便器本体と、該洋風便器本体の後部に載置され、内部に該洗浄水を貯留可能な洗浄タンクと、該洗浄タンクを開閉可能な吐水弁と、該吐水弁を開放して該洗浄水を該洋風便器本体に吐水させる吐水装置と、下方に開口部を有して該洗浄タンク及び該吐水装置の周囲を覆蓋可能な形状をなし、該洗浄タンク及び該吐水装置に上方から該開口部を被せて該洋風便器本体の後部に固定されるタンクカバーと、該タンクカバーの外面に設けられ、該吐水装置を手動操作可能な洗浄ハンドルとを備えた洋風水洗式便器において、
前記タンクカバーの内面上端と前記洗浄タンクの上端とは互いに当接する支持部とされていることを特徴とする洋風水洗式便器。
【請求項2】
洋風便器本体の後部上面に固定され、前記洗浄タンクを載置する後部ベースプレートと、該後部ベースプレートに対して昇降装置により昇降可能に設けられ、前記タンクカバーが固定される前部ベースプレートとを備えていることを特徴とする請求項1記載の洋風水洗式便器。
【請求項3】
前記吐水装置は、前記タンクカバーに装着され、前記洗浄ハンドルに結合された操作手段と、該操作手段と離反可能に前記洗浄タンクに装着され、該操作手段との係合により作動可能な被操作手段とからなり、
該操作手段は、該洗浄ハンドルを該タンクカバーに軸支する作動軸と、該作動軸から径方向に突出し、該洗浄ハンドルの一方向への操作により下方に揺動する第1レバーと、該作動軸から径方向に突出し、該洗浄ハンドルの他方向への操作により下方に揺動する第2レバーとを有し、
該被操作手段は、該第1レバーの下方に位置し、該第1レバーの揺動により下方に揺動する第3レバーと、該第2レバーの下方に位置し、該第2レバーの揺動により下方に揺動する第4レバーとを有することを特徴とする請求項2記載の洋風水洗式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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