説明

洗剤粒子群の製造方法

【課題】噴霧乾燥を使用しない方法にて、陰イオン界面活性剤を含有する、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く製造する方法を提供すること。
【解決手段】洗剤用粉体原料を容器回転型混合機を用いて造粒する工程を有する洗剤粒子群の製造方法であって、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を、多流体ノズルを用いて該容器回転型混合機内に噴霧して該洗剤用粉体原料の造粒を行う、洗剤粒子群の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器回転型混合機と、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体、多流体ノズルを用いた洗剤粒子群の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている洗剤には、大きく分けて高嵩密度型洗剤(690g/Lより大きい)、中嵩密度型洗剤(400〜690g/L)、低嵩密度型洗剤(250g/L以上400g/L未満)、液体洗剤等がある。例えば、日本においては高嵩密度型洗剤が多く使用されているが、アジア・オセアニアや欧州等においては、中低嵩密度型洗剤の需要も多い。
【0003】
経済性、環境対応の観点からは、噴霧乾燥を用いない製造方法として、非噴霧乾燥法による陰イオン性界面活性剤を用いた洗剤組成物の製造法が開示されている。特許文献1には、界面活性剤ペーストと乾燥した洗剤材料を高速ミキサー/中速ミキサー/乾燥機にて連続的に洗剤組成物を製造する方法が開示されている。特許文献2には、界面活性剤ペーストと乾燥した洗剤原料を高速ミキサー/中速ミキサー/コンディショニング装置にて微粒子を再循環させながら連続的に洗剤組成物を製造する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の製法では粒度の調整が困難であり、また、特許文献2の製法では粒度の調整を行う為、微粒子を再循環させる製法を用いており、生産性が低い製造法である。その為、より簡単に必要な粒度の洗剤粒子群を収率良く得られる製法が求められている。更に、これら特許文献はいずれも、洗剤粒子の嵩密度を増加する方法を提供するものであり、中低嵩密度の洗剤粒子群の製造方法としては適切ではない。
【0005】
また、特許文献3には、噴霧乾燥の使用を低減するかまたは使用しない製造方法として、界面活性剤の発泡体をミキサーに導入することによる界面活性剤顆粒の製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3の製造方法では、洗剤粒子群を収率良く得る製法としては不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平10−500716号公報
【特許文献2】特表平10−506141号公報
【特許文献3】特表2002−525420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は、噴霧乾燥を使用しない方法にて、陰イオン界面活性剤を含有する、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明の要旨は、洗剤用粉体原料を容器回転型混合機を用いて造粒する工程を有する洗剤粒子群の製造方法であって、
陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を、多流体ノズルを用いて該容器回転型混合機内に噴霧して該洗剤用粉体原料の造粒を行う、洗剤粒子群の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗剤粒子群の製造方法により、中低嵩密度の洗剤粒子群が収率良く得られるという効果が奏される。このようにして得られた中低嵩密度の洗剤粒子群は高い溶解性を示すという効果も有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特徴の一つは、容器回転型混合機を用いて洗剤用粉体原料の造粒を行うことである。
【0012】
一般に、容器回転型混合機を用いた造粒においては、粉体を均一に流動せしめることが可能であり、更に、回転による粒子の持ち上げ及び自重による滑り・落下を伴う混合機構の為、粉体に加えられるせん断力が抑制される。そのため、かかる混合機を用いた造粒方法は非圧密な造粒方法と言うことができる。また、かかる混合機に添加する陰イオン界面活性剤組成物は、粉体と接触した際の粘着性が強くないと造粒が進行しないために、粉体と接触した際に粘着性が発現する必要がある。このような陰イオン界面活性剤組成物を容器回転型混合機に一般的な供給方法である一流体ノズルや配管にて供給すると、供給される液体成分を混合機内で均一に分散させにくく、局在的に発生する大きな液塊により粗大粒子が形成されやすいという傾向が見られる。
【0013】
そこで、2流体ノズル等の多流体ノズルを用いて、粉体と接触した際に粘着性を発現する陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を噴霧することによって容器回転型混合機内に供給したところ、意外にも、粗大粒子の形成を抑制しつつ均一に造粒できることが分かった。これは、このような陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を多流体ノズルを用いてあらかじめ微細な液滴とすることにより、容器回転型混合機内であっても陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の高分散が達成でき、粗大粒子を形成する大きな液塊が発生しないためと考えられる。従って、粉体と接触した際に粘着性を発現する陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を多流体ノズルを用いて容器回転型混合機内に添加することで、洗剤粒子群を収率良く製造することができる。
【0014】
更に、本発明の特徴の一つは、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を多流体ノズルを用いて噴霧することである。
【0015】
陰イオン界面活性剤組成物は、発泡体とすることにより、粉体との接触時に粘着性を発現するだけでなく、比重も減少する。このような発泡体を多流体ノズルを用いて噴霧すると、比重が減少した微細な液滴が生成され、その個数も増加する。その結果、洗剤用粉体原料との造粒において、陰イオン界面活性剤組成物が洗剤粒子1個当たりに占める体積が増加し、しかも該陰イオン界面活性剤組成物は発泡体となっており比重が減少しているので、該陰イオン界面活性剤組成物を発泡体としていない場合と比べて、洗剤粒子1個当たりの密度が減少するため、中低嵩密度の洗剤粒子群を得ることができる。
【0016】
このように、本発明においては、容器回転型混合機と多流体ノズルとを組み合わせて採用し、更に陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を用いることで、それぞれ単独で使用する場合からは予期できない、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く得るという効果が奏される。
【0017】
本発明の製造方法における造粒の態様としては、容器回転型混合器を使用して洗剤用粉体原料を撹拌しつつ、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を、多流体ノズルを用いて該洗剤用粉体原料に噴霧する態様であれば特に限定されるものではない。以下、本発明の製造方法の一例としての態様について、より詳細に説明する。
【0018】
本発明において、洗剤粒子とは界面活性剤及びビルダー等を含有する粒子であり、洗剤粒子群とはその集合体を意味する。洗剤組成物とは、洗剤粒子群を含有し、所望により洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有する組成物を意味する。
【0019】
本明細書において、水溶性とは25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g以上であることを意味し、水不溶性とは、25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g未満であることを意味する。
【0020】
A.洗剤粒子群
本発明の洗剤粒子群は、(1)洗剤用粉体原料、(2)陰イオン界面活性剤組成物の発泡体、が配合されてなるものである。本発明の洗剤粒子群は、更に、(3)その他の粉体成分及び/又は(4)その他の液体成分を含有してもよい。
【0021】
(1)洗剤用粉体原料
洗剤用粉体原料としては、水溶性固体アルカリ無機物質及び/又は水溶性無機塩が挙げられる。
【0022】
(1−1)水溶性固体アルカリ無機物質
水溶性固体アルカリ無機物質とは、常温(20℃)で固体状のアルカリ無機物質であり、該水溶性固体アルカリ無機物質としては、特に規定はないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム等を挙げることができる。中でも洗濯液中で好適なpH緩衝領域を示すアルカリ剤として炭酸ナトリウムが好ましい。これらの水溶性固体アルカリ無機物質は単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
【0023】
炭酸ナトリウムとしては、軽質ソーダ灰(ライト灰)、重質ソーダ灰(デンス灰)のいずれも用いることが可能である。
【0024】
また、水溶性固体アルカリ無機物質の平均粒径は特に限定されないが、界面活性剤を高配合する場合には、収率の向上の観点から1〜50μmまで粉砕して用いてもよい。なお、水溶性固体アルカリ無機物質の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−920(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
【0025】
(1−2)水溶性無機塩
水溶性無機塩は、洗濯液のイオン強度を高め、皮脂汚れ洗浄等の効果を向上させる為、洗剤用粉体原料として用いることが好ましい。該水溶性無機塩としては、例えばイオン解離度の高い硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましい。又、溶解速度向上の観点からは硫酸マグネシウムの併用も有効である。
【0026】
また、水溶性無機塩の平均粒径は特に限定されないが、陰イオン界面活性剤を高配合する場合には、洗剤粒子群の収率向上の観点から1〜50μmまで粉砕して用いてもよい。なお、水溶性無機塩の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−920(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
【0027】
洗剤用粉体原料としては、水溶性固体アルカリ無機物質、水溶性無機塩のうち、例示された原料を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。洗剤用粉体原料としては、好ましくは炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムであり、より好ましくはライト灰である。
【0028】
洗剤粒子群中、洗剤用粉体原料の含有量、好ましくは水溶性固体アルカリ無機物質と水溶性無機塩との含有量は、洗浄力向上の観点から10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。また、洗剤粒子群の嵩密度の低減の観点から80質量%以下が好ましい。これらの観点から、洗剤粒子群中、洗剤用粉体原料の含有量、好ましくは水溶性固体アルカリ無機物質と水溶性無機塩との含有量は、10〜80質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0029】
(2)陰イオン界面活性剤組成物の発泡体
(2−1)陰イオン界面活性剤組成物
本発明に使用する陰イオン界面活性剤組成物としてはシャープな粒度分布の洗剤粒子群を得る観点から、界面活性剤ペーストが好ましく、次のa)成分及びb)成分を含有する界面活性剤ペーストがさらに好ましい。
【0030】
a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキル硫酸の塩及びポリオキシエチレンアルキル硫酸の塩からなる群より選択される1種以上の陰イオン界面活性剤。
b)上記a)成分100質量部に対して25〜70質量部の水。
【0031】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、好ましくはアルキル基の炭素数が10〜18、より好ましくは炭素数12〜16のものが好ましい。また、塩としてはNa塩、K塩、アンモニウム塩又はアミン塩が挙げられる。アルキル硫酸の塩としては、炭素鎖の炭素数が10〜18、より好ましくは炭素数12〜16のアルキル基又はアルケニル基のものが好ましい。また、塩としてはNa塩、K塩、アンモニウム塩又はアミン塩が挙げられる。
【0032】
ポリオキシエチレンアルキル硫酸の塩としては、炭素鎖の炭素数が10〜18、より好ましくは炭素数12〜16のアルキル基又はアルケニル基のものが好ましい。また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数として、0.1〜3.0のものが好ましい。さらに、塩としてはNa塩、K塩、アンモニウム塩又はアミン塩、が挙げられる。
これらの中でも、シャープな粒度分布の洗剤粒子群を得る観点から、アルキル硫酸の塩が好ましい。
【0033】
界面活性剤ペーストとは、上記a)成分として示される陰イオン界面活性剤と上記b)成分として示される水を少なくとも含有するものである。かかるペーストの60℃における粘度として、100Pa・s以下のものが好ましい。
【0034】
該界面活性剤ペーストは、その含水率により粘度が大きく変化する。例えば、a)成分の酸前駆体をアルカリ化合物で中和して当該界面活性剤ペーストを調製することができるが、その際に、用いるアルカリ化合物の水分量を調節し、所望の含水率をもった、すなわち、所望の粘度を有する界面活性剤ペーストを調製することが好ましい。該陰イオン界面活性剤は、該陰イオン界面活性剤100質量部に対して25〜70質量部の水を含有する際に、粘度が低下したペースト状の陰イオン界面活性剤となり、ハンドリングしやすくなることが一般的に知られており、本発明ではこの範囲に陰イオン界面活性剤の水分を調整した界面活性剤ペーストを用いることが好ましい。
【0035】
界面活性剤ペーストにおける水の量の範囲としては、ハンドリングの観点から、a)成分100質量部に対して25〜70質量部が好ましく、30〜65質量部がより好ましく、35〜65質量部が更に好ましく、界面活性剤ペースト中の水分量は、ハンドリングの観点から、20〜41質量%が好ましく、23〜39質量%がより好ましく、26〜39質量%がより更に好ましい。
【0036】
また、界面活性剤ペーストの粘度は、好ましくは該界面活性剤ペーストの使用温度域において、製造上のハンドリング性の観点から、好ましくは10Pa・s以下、より好ましくは5Pa・s以下、また同様に、好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは1Pa・s以上であり、これらの観点から、好ましくは0.5〜10Pa・sであり、更に好ましくは1〜5Pa・sである。前記使用温度域としては、界面活性剤ペーストの安定性の観点から、好ましくは20〜70℃、より好ましくは20〜60℃である。ここで、粘度は、共軸二重円筒型の回転粘度計(HAAKE製、センサー:SV−DIN)により剪断速度50〔1/s〕で測定して求める。
【0037】
界面活性剤ペーストの調製法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。該陰イオン界面活性剤の酸前駆体のうち、非常に不安定で分解しやすいものは、その分解を抑制できるように調製することが好ましい。たとえば、ループ反応器を用いて、中和熱を熱交換器などにより除去し、当該酸前駆体及び界面活性剤ペーストの温度管理に注意しながら製造を行なえばよい。製造時の温度域としては、30〜60℃が好ましく、製造後の保存温度域としては60℃以下が好ましい。また、使用時、必要に応じて昇温し、界面活性剤ペーストを用いればよい。
【0038】
得られる界面活性剤ペーストは、分解を抑制する観点から、過剰のアルカリ度を有することが好ましい。
【0039】
該界面活性剤ペーストには、酸前駆体を製造した際の未反応アルコールや未反応ポリオキシエチレンアルキルエーテル、中和反応時の副生成物である芒硝、中和反応時に添加され得るpH緩衝剤、脱色剤等が含有されていてもよい。
【0040】
該界面活性剤ペーストにおいて、界面活性剤としてa)成分からなる一種以上を単独で用いることもできるが、下記の界面活性剤を併用して用いることもできる。併用する場合は、あらかじめa)成分含有の界面活性剤ペーストと混合して用いても良いし、それぞれ別々に添加しても良い。なお、下記界面活性剤を併用する場合、下記界面活性剤は、a)成分100質量部に対して、好ましくは1〜70質量部、より好ましくは2〜50質量部、更に好ましくは3〜30質量部である。かかる界面活性剤としては、α−スルホ脂肪酸エステル塩や二級アルカンスルホン酸塩が挙げられる。
【0041】
(2−2)発泡体
本発明においては、上記陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を使用する。発泡体は、該陰イオン界面活性剤組成物中にガス媒体(エアー、窒素、二酸化炭素等)が含有されてなるものである。ガス媒体としては、生産性の観点からエアー(空気)が好ましい。
【0042】
かかる発泡体は、例えば、陰イオン界面活性剤組成物にガス媒体を混入することによって得ることができる。該発泡体のより具体的な調製方法として、バッチ式、連続式が挙げられる。バッチ式としては、バッチニーダー等の一般に用いられる混練機に、該陰イオン界面活性剤組成物を投入し、ガス媒体存在下、所定の時間の間混練を行うことによりガス媒体を巻き込み、発泡体を調製する方法である。
【0043】
連続式としては、所定量の該界面活性剤組成物及びガス媒体を連続的に高速回転部に導入することによりガス媒体を混合分散し、発泡体を調製する方法である。
【0044】
該発泡体の比重等の物性の安定性や調製法の容易さ、及び生産性の観点から、連続式の調製方法が好ましい。このような連続式の調製方法を行う発泡機の一例としては、MDFシリーズ(大平洋機工株式会社製)、BMシリーズ(株式会社ヤナギヤ製)等が挙げられる。
【0045】
バッチ式の調製方法においては、該界面活性剤組成物の混練時間により、該発泡体の比重がコントロールできる。
【0046】
また、連続式の調製方法においては、該界面活性剤組成物に対するガス媒体の流量を調製することにより、該発泡体の比重がコントロールできる。ガス媒体の体積流量の範囲としては、例えば、該界面活性剤組成物の体積流量の0.2倍から10倍の範囲であることが好ましい。陰イオン界面活性剤へのガス媒体の混入が、発泡機を用いて行われることが好ましい。
【0047】
発泡機に供給する際の陰イオン界面活性剤組成物の温度としては、界面活性剤ペーストの安定性の観点から、好ましくは20〜70℃、より好ましくは20〜60℃である。
【0048】
得られる該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く得る観点から、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.1〜0.8、さらに好ましくは0.1〜0.7である。
【0049】
なお、本発明で得られる洗剤粒子群中における陰イオン界面活性剤の含有量としては、洗浄力及び洗剤用粉体原料との造粒物を形成させる観点から、洗剤粒子群中の5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、粗大粒子の生成を抑制する観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、これらの観点から、洗剤粒子群中における上記含有量としては5〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がより更に好ましい。
【0050】
本発明における、(2)陰イオン界面活性剤組成物の発泡体は、洗剤用粉体原料を結合させて造粒物を形成させる能力を有するものであり、上記段落で述べたように、該陰イオン界面活性剤組成物が洗剤用粉体原料と接触した際に粘着性を発現することが本願の一つの特徴である。
【0051】
該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体は、洗剤用粉体原料に添加された際に、該陰イオン界面活性剤組成物中の水分が洗剤用粉体原料の水和や溶解により奪われることにより、又は、洗剤用粉体原料の温度が該陰イオン界面活性剤の温度より低い場合において、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の温度が、その融点近傍又は融点以下まで低下することにより、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が固化することで粘着性が発現すると推定される。
【0052】
このように、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が洗剤用粉体原料に接触した際に粘着性を発現することで、洗剤用粉体原料の造粒が進行するが、その粘着性発現の目安として、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が洗剤用粉体原料と接触したときの粘度が2Pa・s以上が好ましく、3Pa・s以上がより好ましい。尚、接触時の発泡体の粘度は、共軸二重円筒型の回転粘度計(HAAKE製、センサー:SV−DIN)により剪断速度50〔1/s〕の条件において、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が洗剤用粉体原料と接触したときと同様となるように、その温度や水分値を調整して測定すればよい。
【0053】
(3)その他の粉体成分
容器回転型混合機には、「洗剤用粉体原料」以外の一般に洗剤組成物の分野に用いられる公知の物質を合わせて添加してもよい。洗剤粒子群中のその他の粉体成分の量は、1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0054】
かかる物質としては、キレート剤(トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩等、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、水溶性ポリマーのうち粉体のもの(カルボン酸ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類、ポリエチレングリコール)、水不溶性賦形剤(二酸化ケイ素、水和ケイ酸化合物、バーライト、ベントナイト等の粘土化合物等)や、粒子状界面活性剤(脂肪酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等)が挙げられる。
【0055】
上記の物質は、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を添加する前に、洗剤用粉体原料と合わせて添加してもよいし、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を添加した後に添加してもよい。アルカリ金属アルミノケイ酸塩を添加する場合は、表面改質剤として用いることで、流動性の向上、保存安定性の向上を図ることができるため、該陰イオン界面活性剤の発泡体を添加した後に添加することが好ましい。
【0056】
(4)その他の液体成分
本発明においては、さらにその他の液体成分を添加して洗剤粒子群を製造してもよい。添加されるその他の液体成分としては、得ようとする洗剤粒子群の組成に応じて適宜選択することができる。液体成分の添加時期は特に限定されるものではなく、例えば、該陰イオン界面活性剤組成物に予め混合しておいてもよいし、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を添加する前又はその途中、或いは後に行ってもよいが、表面改質剤を添加する場合には、表面改質剤の添加前が好ましい。
【0057】
該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を添加した後に液体成分を添加する場合は、容器回転型混合機にて該液体成分を添加してもよいし、本発明の製造方法によって得られる洗剤粒子群を容器回転型混合機から排出した後に、別の混合機/造粒機に得られた洗剤粒子群を投入し、当該液体成分をここに添加してもよい。
【0058】
液体成分としては、例えば非イオン界面活性剤や脂肪酸、水溶性ポリマー(カルボン酸ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類、ポリエチレングリコール等)等の通常の洗剤組成物に用いられる任意の液体成分が挙げられる。液体成分は一成分のみを用いてもよく、二成分以上を併用しても良い。液体成分としては、その融点以上の温度にて液状として添加してもよく、又は水溶液若しくは分散液の形態で添加してもよい。媒体を除いた正味の液体成分の量としては、洗剤粒子群の凝集抑制の観点から、最終産物である洗剤粒子群の15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0059】
液体成分として用いられる非イオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、洗浄力の観点から、例えば炭素数10〜14のアルコールにアルキレンオキシドを6〜22モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0060】
これら液体成分の添加方法としては、本発明で記載の多流体ノズルに依らず、任意のノズルにより噴霧可能である。
【0061】
B.洗剤粒子群の製造方法
本発明の製造方法では、容器回転型混合機を用いて、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を該混合機内に噴霧することによって、洗剤用粉体原料を造粒する工程を有する。該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を添加する際には、多流体ノズルを用いて該容器回転型混合機内に噴霧することによって、造粒が行われる。
【0062】
噴霧される陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の量としては、洗剤用粉体原料100質量部に対して20〜100質量部が好ましく、25〜90質量部がより好ましい。洗浄力の観点から20質量部以上が好ましく、造粒収率、溶解性の観点から100質量部以下が好ましい。
【0063】
(1)容器回転型混合機
容器回転型混合機としては、ドラム型混合機或いはパン型混合機が好ましい。ドラム型混合機としては、ドラム状の円筒が回転して処理を行うものであれば特に限定されるものではなく、水平又はわずかに傾斜させたドラム型混合機の他に円錐ドラム型造粒機(混合機)、多段円錐ドラム型造粒機(混合機)等も使用可能である。これらの装置はバッチ式、連続式いずれの方法においても用いることができる。
【0064】
なお、洗剤粒子群と容器回転型混合機の内壁との間の壁面摩擦係数が小さく、洗剤粒子群に充分な上昇運動力を加えることが困難な場合、容器内壁に複数個の邪魔板(バッフル)を取付けてもよい。このことにより、粒子群に上昇運動を行わせることが可能となり、粉末混合性及び固液混合性が向上する。
【0065】
容器回転型混合機の運転条件としては、混合機内の成分が攪拌できる条件であれば特に限定されないが、下記の式で定義されるフルード数が、0.005〜1.0である運転条件が好ましく、0.01〜0.6である運転条件がより好ましい。
【0066】
フルード数:Fr=V2/(R×g)
V:周速[m/s]
R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s2]
【0067】
(2)多流体ノズル
本発明においては、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を多流体ノズルを用いて供給することが一つの特徴である。かかるノズルを用いることにより、上記の界面活性剤ペーストやその発泡体といった比較的粘度が高い流動性成分であっても、その液滴を微細化して分散させることができる。多流体ノズルとは、液体と微粒化用気体(エアー、窒素等)とを独立の流路を通してノズル先端部近傍まで流通させて混合・微粒化するノズルであり、2流体ノズルや3流体ノズル、4流体ノズル等を用いることができる。これらの多流体ノズルの中で、操作の容易性や入手の容易性の観点から、2流体ノズルが好ましい。
【0068】
本発明では、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体と微粒化用気体とを混合して、微粒化させることが好ましい。該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体と微粒化用気体の混合部のタイプとしては、ノズル先端部内で混合する内部混合型、或いはノズル先端部外で混合する外部混合型のいずれであっても良い。
【0069】
このような多流体ノズルとしては、スプレーイングシステムスジャパン(株)製、(株)共立合金製作所製、いけうち(株)製等の内部混合型2流体ノズル、スプレーイングシステムスジャパン(株)製、(株)共立合金製作所製、(株)アトマックス製等の外部混合型2流体ノズル、藤崎電機(株)製の外部混合型4流体ノズル等が挙げられる。
【0070】
また、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の液滴の液滴径については、その流量と微粒化用気体の流量のバランスを変更することにより調整可能である。すなわち、ある一定流量の該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体に対して、微粒化用気体の流量を増加させればさせるほど、液滴径は小さくなる。更に、ある一定流量の微粒化用気体に対して該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の流量を低下させればさせるほど、液滴径は小さくなる。液滴径が小さいほど、すなわち、微粒化用気体の流量を増やすほど微細化された液滴により粗粒の低減、すなわち収率の向上が可能となる。
【0071】
一方で、該発泡体は、多流体ノズルに供給される微粒化用気体によりせん断力を受け、該発泡体が破泡して該発泡体の比重の上昇が起こりやすい。そのため、該発泡体の比重の上昇を抑制可能となるように多流体ノズルに供給される微粒化用気体の流量を調整することが好ましい。すなわち、本発明においては、粗粒の低減と該発泡体の比重の上昇抑制を両立するために好適な微粒化用気体の流量が存在することとなる。
【0072】
好適な微粒化用気体の流量は、用いる多流体ノズルの種類により異なるが、〔陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の体積流量(cm3/min)〕/〔微粒化用気体の流量(L/min)〕とのパラメータを考えた場合、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く得る観点から、好ましくは0.5〜30cm3/L、より好ましくは1〜20cm3/Lである。(株)アトマックス製の2流体ノズルBN90を用いる場合に、上記の範囲は好適である。
【0073】
多流体ノズルで噴霧後の該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の液滴径としては、平均粒径で10〜500μmであることが好ましい。
【0074】
なお、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の液滴径の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:スプレーテック(マルバーン社製)を用いて測定される値である。
【0075】
多流体ノズルで噴霧後の該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く得る観点から、好ましくは0.1〜0.95、より好ましくは0.2〜0.95、更に好ましくは0.2〜0.85である。
【0076】
また、該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の添加速度を上げたい場合には、これらの多流体ノズルを複数個使用し、液滴の微細化を維持しつつ添加速度を上げることも効果的である。
【0077】
このような容器回転型混合機と、陰イオン界面活性剤の発泡体と、多流体ノズルを組み合わせた方法を用いることで、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体においても均一な分散が可能となり、収率が向上した中低嵩密度の洗剤粒子群が得られる。
【0078】
C.洗剤粒子群を含有する洗剤組成物及びその製造方法
上記のようにして製造される洗剤粒子群をそのまま洗剤組成物として扱うこともできるが、さらに所望の成分が添加されたものも洗剤組成物として扱うことができる。即ち、本発明の洗剤組成物は、本発明の製造方法によって得られる洗剤粒子群を少なくとも含有してなるものである。
【0079】
添加される成分としては、例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等が挙げられる。かかる成分は、該陰イオン界面活性剤組成物を添加した後に、容器回転型混合機に添加してもよいし、又は、本発明の製造方法によって得られる洗剤粒子群を容器回転型混合機から排出した後に、別の混合機を用いて添加してもよい。
【0080】
D.物性と評価
本発明により得られる洗剤粒子群等の物性としては、嵩密度や流動性、平均粒径が挙げられる。また生産性の指標となる物性として造粒収率が挙げられる。また溶解性の指標となる物性として60秒間溶解率、及びザラツキ消失時間が挙げられる。洗剤粒子群の嵩密度としては、60秒間溶解率、及びザラツキ消失時間に優れる観点から、中低嵩密度である250〜690g/Lが好ましく、250〜650g/Lがさらに好ましく、300〜600g/Lがより好ましい。洗剤粒子群の平均粒径としては、洗剤粒子の造粒収率を向上させる観点から、200〜800μmが好ましく、200〜600μmがより好ましい。洗剤粒子群の流動性としては、洗剤粒子の取り扱い性に優れる観点から、4〜12秒が好ましく、4〜10秒がより好ましく、4〜8秒が更に好ましい。造粒収率としては、100%に近ければ近い程好ましく、例えば、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましい。
【0081】
洗剤粒子群等についての物性の測定方法は以下に説明する通りである。
<物性の測定方法>
1.嵩密度
嵩密度は、JIS K 3362:2008において見掛け密度として記載された方法で測定する。なお、嵩密度は、2000μmの篩上に残留した粒子をカットした残りの粒子にて測定する。
【0082】
2.流動性
流動性は、JIS K 3362:2008記載の見掛け密度測定用のホッパーから、100mLの粉末が流出するのに要する時間とする。ホッパー内におけるブリッジング等により粉末が60秒以内に流出しない場合、流動性は60<とする。なお、流動性は、2000μmの篩上に残留した粒子をカットした残りの粒子にて測定する。
【0083】
3.平均粒径
平均粒径については、JIS Z 8801−1:2006記載の金属製網ふるい(目開き2000〜45μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率からメジアン径を算出する。より詳細には、目開き45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1410μm、2000μmの12段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの粒子を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した当該粒子の質量を測定し、各篩上の当該粒子の質量割合(%)を算出する。受け皿から順に目開きの小さな篩上の当該粒子の質量割合を積算していき合計が50%となる粒径を平均粒径とする。
【0084】
さらに、上記の洗剤粒子群の平均粒径の測定時に目開き1000μm、1410μm及び2000μmの各篩上に残留する洗剤粒子群の割合を質量%で表した値を粗粒(1000μmON)率として求める。同様に、受け皿及び目開き45μm、63μm、90μmの各篩上に残留する洗剤粒子群の割合を質量%で表した値を微粉(125μmPASS)率として求める。
【0085】
4.造粒収率
本発明における造粒収率とは、製造された洗剤粒子群中の、2000μm以下の粒子の質量での割合を示したものである。
【0086】
5.60秒間溶解率
60秒間溶解率については以下の方法で算出する。
硬度が71.2mgCaCO3/リットルに相当する10℃に調整した1リットルの硬水(Ca/Mgモル比7/3)を1リットルビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子社製1リットルガラスビーカー)の中に満たし、10℃の水温をウォーターバスにて一定に保った状態で、撹拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)SA(丸型細型))にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(800r/m)で撹拌する。1.0000±0.0010gとなるように縮分・秤量した洗剤粒子群を撹拌下に水中に投入・分散させ撹拌を続ける。投入から60秒後にビーカー中の洗剤粒子群分散液を、質量既知のJIS Z 8801−1:2006記載の目開き74μmの金属製網ふるい(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗剤粒子群を篩と共に質量既知の開放容器に回収する。なお、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した洗剤粒子群の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した洗剤の溶残物と篩と回収容器の合計の質量を測定し、式(1)によって洗剤粒子群の溶解率(%)を算出する。
【0087】
60秒間溶解率(%)={1−(T/S)}×100・・・(1)
S:洗剤粒子群の投入質量(g)
T:上記撹拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する洗剤粒子群の溶残物の乾燥質量(g)
【0088】
6.ザラツキ消失時間
ザラツキ消失時間は以下の方法で測定する。
直径35cm、深さ12cmの洗面器に20℃の水3Lを入れ、洗剤粒子群15gを洗面器内に静かに添加した後、手の平にて洗面器底面を毎秒1回の速度にて擦った際の洗剤粒子群のザラツキが消失した時間(秒)とする。
【0089】
<陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重の測定方法>
発泡機より得られる陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、任意の容器の容積を予め20℃の水を用いて測定した後、発泡機出口から排出された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を該容器に徐々に添加しながら繰り返しタッピングを行い、発泡体と発泡体の間に空隙が生じないように充填し、得られた発泡体の質量を該容器の容積で除すことにより、発泡時の温度(発泡機を用いる場合は発泡機に供給する温度)で測定する。噴霧後の陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、噴霧された陰イオン界面活性剤組成物をポリエチレン袋やバット等の容器により回収し、噴霧時の温度で上記と同様の方法により測定する。なお、本明細書において別途記載のない限り、比重とは20℃の水の密度に対する比重である。
【0090】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の製造方法を開示する。
【0091】
<1>洗剤用粉体原料を容器回転型混合機を用いて造粒する工程を有する洗剤粒子群の製造方法であって、
陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を、多流体ノズルを用いて該容器回転型混合機内に噴霧して該洗剤用粉体原料の造粒を行う、洗剤粒子群の製造方法。
【0092】
<2>多流体ノズルで噴霧後の該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重が0.1〜0.95、好ましくは0.2〜0.95、より好ましくは0.2〜0.85である、前記<1>に記載の製造方法。
<3>陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が、陰イオン界面活性剤組成物中にガス媒体を混入して得られたものである、前記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>陰イオン界面活性剤組成物へのガス媒体の混入が発泡機を用いて行われる、前記<3>に記載の製造方法。
<5>ガス媒体がエアーである、前記<3>又は<4>記載の製造方法。
<6>多流体ノズルが2流体ノズルである、前記<1>〜<5>いずれかに記載の製造方法。
<7>陰イオン界面活性剤組成物が、次のa)成分及びb)成分:
a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキル硫酸の塩及びポリオキシエチレンアルキル硫酸の塩からなる群より選択される1種以上の陰イオン界面活性剤、
b)上記a)成分100質量部に対して25〜70質量部、好ましくは30〜65質量部、より好ましくは35〜65質量部の水、
を含有する界面活性剤ペーストである、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の製造方法。
【0093】
<8>洗剤用粉体原料100質量部に対して20〜100質量部、好ましくは25〜90質量部の陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を噴霧する、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法。
<9>洗剤用粉体原料が水溶性固体アルカリ無機物質及び/又は水溶性無機塩である前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の製造方法。
<10>洗剤粒子群中、洗剤用粉体原料の含有量が、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、好ましくは80質量%以下であり、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜80質量%である、前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の製造方法。
<11>洗剤用粉体原料が炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムであり、好ましくはライト灰である、前記<1>〜 <10>のいずれか1項に記載の製造方法。
<12>上記a)成分の陰イオン界面活性剤が、炭素数10〜18、好ましくは炭素数12〜16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、炭素数10〜18、好ましくは炭素数12〜16のアルキル硫酸の塩及び炭素数10〜18、好ましくは炭素数12〜16のポリオキシエチレンアルキル硫酸の塩からなる群より選択される1種以上である、前記<7>〜<11>のいずれか1項に記載の製造方法。
<13>洗剤粒子群中の陰イオン界面活性剤の含有量が、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の製造方法。
<14>容器回転型混合機がドラム型混合機或いはパン型混合機である、前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の製造方法。
<15>陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重が、0.1〜0.9、好ましくは0.1〜0.8、より好ましくは0.1〜0.7である、前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の製造方法。
【0094】
<16>多流体ノズルが陰イオン界面活性剤組成物の発泡体と微粒化用気体とを混合するノズルであって、〔陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の体積流量(cm3/min)〕/〔微粒化用気体の流量(L/min)〕の値の範囲が0.5〜30cm3/L、好ましくは1〜20cm3/Lである、前記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の製造方法。
<17>得られる洗剤粒子群の嵩密度が、250〜690g/L、好ましくは250〜650g/L、より好ましくは300〜600g/Lである、前記<1>〜<16>のいずれか1項に記載の製造方法。
<18>容器回転型混合機の下記式より求められるフルード数が、0.005〜1.0、好ましくは0.01〜0.6である運転条件で洗剤用粉体原料の造粒を行う、前記<1>〜<17>のいずれか1項に記載の製造方法。
フルード数:Fr=V2/(R×g)
V:周速[m/s]
R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s2]
【実施例】
【0095】
以下に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0096】
以下の実施例等においては、特に記載のない限り下記の原料を用いた。なお、表中の組成の%は質量%を意味する。
ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム(純分70%、残部水:アルキル基の炭素数がC12/C14=70/30)、花王製「エマール270J」
アルキル硫酸ナトリウム(純分66%、残部水;アルキル基の炭素数がC12/C14/C16=64/24/12(質量%))
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(純分65%、残部水)、花王製「ネオペレックス G−65」
ライト灰:平均粒径100μm、セントラル硝子(株)製
粉砕ライト灰:上記ライト灰を平均粒径10μmに粉砕したもの
硫酸ナトリウム:平均粒径200μm、四国化成工業(株)製「中性無水芒硝」
粉砕硫酸ナトリウム:上記硫酸ナトリウムを平均粒径22μmに粉砕したもの
ゼオライト:平均粒径3.5μm、ゼオビルダー社製
ポリアクリル酸ナトリウム:花王(株)製 重量平均分子量10000のもの(純分40%)
ポリエチレングリコール:花王(株)製 重量平均分子量13000のもの(純分60%)
【0097】
以下の実施例等では、容器回転型混合機として、邪魔板を有した75Lドラム型ミキサー(φ40cm×L60cm)を、ミキサー底部が下側になるように水平から14°に傾けて使用した。多流体ノズルとして、2流体ノズル((株)アトマックス製:型番BN90)を1本使用した。2流体ノズルに供給する際の陰イオン界面活性剤の発泡体の温度は60℃とした。また、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体は、連続式の発泡機であるMDF0(大平洋機工(株)製)を用いて調製した。発泡機に供給する際の該組成物の温度は60℃とした。
【0098】
実施例1(洗剤粒子群の調製)
60℃のアルキル硫酸ナトリウム100質量部と60℃のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム135質量部を混合して、陰イオン界面活性剤組成物を調製した。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を52.8質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.7Pa・sであった。
【0099】
ライト灰1.81kg、粉砕硫酸ナトリウム3.42kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、前記MDF0により調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体1.55kgを、添加時間17分間、微粒化用気体80L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は5.3cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して29.6質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、ゼオライト0.22kgを添加して前記と同条件にて1分間攪拌を行い、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0100】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された後の陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.85であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0101】
実施例2
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を51.52質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.4Pa・sであった。
【0102】
粉砕硫酸ナトリウム4.20kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.80kgを、添加時間33分、微粒化用気体80L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は5.3cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して66.7質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0103】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.85であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0104】
実施例3
微粒化用気体の流量を42L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は10.0cm3/L)としたことを除いて、実施例2と同条件にて造粒を行った。2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、0.68であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0105】
実施例4
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。
【0106】
ライト灰4.20kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.80kgを、添加時間33分、微粒化用気体80L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は5.3cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して66.7質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0107】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.85であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0108】
実施例5
発泡機における混合気体の量を0.10L/minとし、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重が0.58(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は1.8cm3/L)であったことを除いて、実施例4と同条件にて造粒を行った。2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、同様に破泡し0.85であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0109】
実施例6
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を51.52質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.4Pa・sであった。
【0110】
粉砕硫酸ナトリウム4.20kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.80kgを、添加時間34.6分、微粒化用気体32L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は12.6cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して66.7質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0111】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.44であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0112】
実施例7
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を51.52質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.4Pa・sであった。
【0113】
粉砕ライト灰0.93kg、粉砕硫酸ナトリウム4.07kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.01kgを、添加時間22.6分、微粒化用気体29L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は15.2cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して40.2質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0114】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.39であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0115】
実施例8
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を51.52質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.4Pa・sであった。
【0116】
粉砕ライト灰2.00kg、粉砕硫酸ナトリウム2.03kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.24kgを、添加時間26.4分、微粒化用気体28L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は15.1cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して55.7質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。
【0117】
続いて、60℃のポリアクリル酸ナトリウム0.19kgと60℃のポリエチレングリコール0.025kgを圧送用ポット(ジャケット付き,ジャケット温度60℃)に添加し、ポットに空気により圧力0.1MPaをかけ、ポット出口のコントロールバルブの開度を90度だけ開き、圧送してドラム型ミキサー内に2流体ノズル(アトマックス社製、BN90)を用いて噴霧時間2.0分間、微粒化用気体80L/minで添加し、添加後1分間攪拌した。その後攪拌を止め、ゼオライト0.19kgを添加して前記と同条件にて1分間攪拌を行い、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0118】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.36であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0119】
実施例9
ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。調製された陰イオン界面活性剤組成物は、陰イオン界面活性剤100質量部に対して水を42.86質量部含有する界面活性剤ペーストであった。また、該ペーストの60℃での粘度は1.9Pa・sであった。
【0120】
ライト灰4.67kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.00kgを、添加時間15.3分、微粒化用気体30L/min(発泡体の体積流量/微粒化用気体の流量は13.6cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して42.83質量部の該発泡体を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、ゼオライト0.33kgを添加して前記と同条件にて1分間攪拌を行い、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0121】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.29L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.32であった。また、2流体ノズルにより噴霧された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は、微粒化用気体によるせん断力により破泡し0.67であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0122】
比較例1
60℃のアルキル硫酸ナトリウム100質量部と60℃のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム135質量部を混合して、陰イオン界面活性剤組成物を調製した。
【0123】
ライト灰1.81kg、粉砕硫酸ナトリウム3.42kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物1.55kgを、添加時間17分、微粒化用気体80L/min(該組成物の体積流量/微粒化用気体の流量は1.1cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して29.64質量部の該組成物を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、ゼオライト0.22kgを添加して前記と同条件にて1分間攪拌を行い、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0124】
尚、該界面活性剤組成物の比重は1.0であり、2流体ノズルにより噴霧された後の比重についても1.0であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0125】
比較例2
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。
【0126】
粉砕硫酸ナトリウム4.20kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物2.80kgを、添加時間33分、微粒化用気体80L/min(該組成物の体積流量/微粒化用気体の流量は1.1cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して66.7質量部の該組成物を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0127】
尚、該界面活性剤組成物の比重は1.0であり、2流体ノズルにより噴霧された後の比重についても1.0であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0128】
比較例3
アルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。
【0129】
粉砕硫酸ナトリウム4.20kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物の発泡体2.80kgを、添加時間33分、微粒化用気体0L/minの噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して66.7質量部の該発泡体を60℃で添加した。その後攪拌を止め、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0130】
尚、発泡機における混合気体の流量は0.50L/minであり、発泡機より得られた陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。また、2流体ノズルにより添加された陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重は0.20であった。これは、微粒化用気体の供給が伴わないため、該気体によるせん断力による破泡が生じなかった結果と考えられる。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0131】
比較例4
ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウムを60℃に調整し、陰イオン界面活性剤組成物とした。ライト灰4.33kgを洗剤用粉体原料としてドラム型ミキサー内に添加し、フルード数0.2で30秒間攪拌した。その後、攪拌を継続したまま、調製した陰イオン界面活性剤組成物2.33kgを、添加時間18分、微粒化用気体80L/min(該組成物の体積流量/微粒化用気体の流量は1.5cm3/L)の噴霧条件にて2流体ノズルにより添加し、添加後1分間攪拌した。即ち、洗剤用粉体原料100質量部に対して53.8質量部の該組成物を60℃で噴霧した。その後攪拌を止め、ゼオライト0.66kgを添加して前記と同条件にて1分間攪拌を行い、得られた造粒物をドラム型ミキサーから排出して洗剤粒子群とした。
【0132】
尚、該界面活性剤組成物の比重は1.08であり、2流体ノズルにより噴霧された後の比重についても1.08であった。得られた洗剤粒子群の組成及び物性を表1に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
実施例1〜9で得られた洗剤粒子群は、嵩密度が444〜682g/Lとなった。また、造粒収率は96%以上であり、中低嵩密度の洗剤粒子群が収率良く得られた。さらに、洗剤用粉体原料の中では比重が大きい部類に入る硫酸ナトリウムが多い組成であっても、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く得ることができた。
【0135】
一方、比較例1、2及び4については、実施例より高嵩密度(715g/L以上)の洗剤粒子群となった。これは、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を用いていないので、低比重の陰イオン界面活性剤組成物により粒子が構成されるという発泡体の効果が付与されなかったためと考えられる。
【0136】
比較例3については、実施例より造粒収率が低下(60.6%)した。これは、陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を用いているものの、微粒化気体を0L/minとしたことにより、即ち実質的に1流体ノズルを介して発泡体を噴霧したことにより、発泡体の高分散が達成されず、発泡体の持つ粘着性により粗大粒子の形成が生じたためと考えられる。更に、比較例3については、実施例より高嵩密度(743g/L)の洗剤粒子群となった。これは、陰イオン界面界面活性剤組成物の発泡体が大きな液塊となって供給された結果、洗剤用粉体原料との接触において、洗剤用粉体原料の水和や溶解にかかる時間、及び洗剤用粉体原料により冷やされる時間が微細液滴の場合と比べて増加し、発泡体が固化しにくく、造粒中における発泡体の破泡がより起こりやすかったためと考えられる。
【0137】
更に、同組成の実施例1と比較例1を比較すると、60秒間溶解率が向上し、ザラツキ消失時間も短くなった。これは、実施例1は、比較例1と比較して嵩密度が低くなったことからも判るように、発泡体を用いることで、粒子内の空隙が多く、溶解しやすくなったためと考えられる。更に、粗粒率及び微粉率の値に示されるように、粒径分布がシャープになり、流動性も向上した。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明によれば、噴霧乾燥を使用しない方法にて、中低嵩密度の洗剤粒子群を収率良く製造することができる。かかる洗剤粒子群は、衣料用等様々な用途の洗剤組成物として、又はかかる洗剤組成物の一成分として好ましく用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤用粉体原料を容器回転型混合機を用いて造粒する工程を有する洗剤粒子群の製造方法であって、
陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を、多流体ノズルを用いて該容器回転型混合機内に噴霧して該洗剤用粉体原料の造粒を行う、洗剤粒子群の製造方法。
【請求項2】
多流体ノズルで噴霧後の該陰イオン界面活性剤組成物の発泡体の比重が0.1〜0.95である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
陰イオン界面活性剤組成物の発泡体が、陰イオン界面活性剤組成物中にガス媒体を混入して得られたものである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
陰イオン界面活性剤組成物へのガス媒体の混入が発泡機を用いて行われる、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
ガス媒体がエアーである、請求項3又は4記載の製造方法。
【請求項6】
多流体ノズルが2流体ノズルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
陰イオン界面活性剤組成物が、次のa)成分及びb)成分:
a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキル硫酸の塩及びポリオキシエチレンアルキル硫酸の塩からなる群より選択される1種以上の陰イオン界面活性剤、
b)上記a)成分100質量部に対して25〜70質量部の水、
を含有する界面活性剤ペーストである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
洗剤用粉体原料100質量部に対して20〜100質量部の陰イオン界面活性剤組成物の発泡体を噴霧する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
洗剤粒子群中の陰イオン界面活性剤の含有量が5〜50質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
洗剤粒子群中、洗剤用粉体原料の含有量が10〜80質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
洗剤用粉体原料が水溶性固体アルカリ無機物質及び/又は水溶性無機塩である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−255145(P2012−255145A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−112626(P2012−112626)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】