説明

洗剤組成物

本発明は、液体洗剤であって、合計40%未満の水又は非アミノ官能性溶媒と、20%超の2フェニル異性体を含むアルキルベンゼンスルホネート界面活性剤と、61g/モル超の分子量を有するアミノアルコール化合物からなる群から選択されるゲル破壊剤とを含み、前記組成物の全界面活性剤と全溶媒との比が1:1を超える液体洗剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤組成物の冷蔵安定性の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤組成物は、布地及び他の表面から汚れを取り除くために界面活性剤を含む。様々な界面活性剤が存在している。しかし、特に好ましいアニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)である。LASは、優れた清浄化性及び洗浄力を提供するので、好ましい界面活性剤である。
【0003】
直鎖アルキルベンゼンは、典型的に、主に、使用される触媒系に基づいて互いに異なる3つの商業的プロセスの一つを用いて工業規模で製造される。1つのプロセスは、三塩化アルミニウム触媒を使用し、別のプロセスは、フッ化水素触媒を使用し、一方、第3のプロセスは、DETAL(商標)として知られている固体アルキル化触媒を使用する。3つのプロセスによって、異なるフェニル異性体分布を有する直鎖アルキルベンゼン生成物が得られる。米国特許第6849588号又は米国特許出願公開第2003/0096726A1号においてHuntsmanによって教示されている通り、DETAL(商標)触媒(UOP,LLC,Des Plaines,IL)を用いてLSAを作製するプロセスによって、高い比率の2−フェニル異性体を含むLAS生成物が得られる。
【0004】
フッ化水素プロセスの生成物の典型的なフェニル異性体分布は、約16%〜18%が2−フェニル異性体である。一方、DETAL(商標)触媒を用いて作製されるLASの典型的な2−フェニル異性体含有率はより高く、一般的に20%を超える。このLAS種は、「高2−フェニル」直鎖アルキルベンゼンと呼ばれることが多いが、比較的2−フェニル異性体含有率の低いフッ化水素プロセスによる生成物は、「低2−フェニル」直鎖アルキルベンゼンと呼ばれることが多い。
【0005】
DETAL(商標)を用いて調製されるLASの利点としては、生産プロセスの安全性及びLASの洗浄力の向上が挙げられる。
【0006】
しかし、出願人は、洗剤組成物にDETAL(商標)LASを配合すると、HF触媒を用いて生成されたLASを配合したときと比べて、より高い温度で組成物が凍結することを見出した。場合によっては、組成物は、実際に10℃もの高温で凍結している。組成物の凍結は、組成物が透明であるときに特に顕著であり、凍結した組成物は不透明になる。更に、この現象は、製品が冷却され、より粘稠になったときに、溶解及び性能上の問題を引き起こす。この現象は、LASの2−フェニル異性体含有率が増加したときに、より頻発するが、その理由は、界面活性剤系のクラフト温度が2−フェニル異性体含有率の増加とともに上昇するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6849588号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0096726A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、出願人は、組成物が早く凍結するというこの問題の解決策を見出そうと試みた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、液体洗剤であって、合計40%未満の水又は非アミノ官能性溶媒と、20%超の2フェニル異性体を含むアルキルベンゼンスルホネート界面活性剤と、61g/モル超の分子量を有するアミノアルコール化合物からなる群から選択されるゲル破壊剤とを含み、前記組成物の全界面活性剤と全溶媒との比が1:1を超える液体洗剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、液体である。用語「液体」とは、液体、ペースト、ワックス状、又はゲル状の組成物を含むことを意味する。組成物は、ニュートン性であっても非ニュートン性であってもよい。液体組成物は、固体を含んでもよい。固体は、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、又は1つ以上の真珠様光沢ボール、又はこれらの混合物等の粉末又は粒塊を含んでもよい。このような固体要素は、洗浄を通して、又は前処理、遅延放出若しくは順次放出成分として、技術的利点を提供することができる。あるいは、審美的な効果も提供し得る。また、組成物は、利用される用量の組成物を形成するために、水溶性材料にパッケージ化されてもよい。このような実施形態では、水溶性材料は、好ましくは、ポリビニルアルコールのフィルムである。MonoSolは、様々な好適なフィルムを提供するが、M8630を含みかつM8630が好ましい。利用される用量は、垂直型充填を含む既知のプロセスを用いて作製することができるが、より好ましくは水平型充填が用いられる。このような後者の実施形態では、水含量を最低限に保つべきである。好ましくは、前記組成物は、合計20%未満、より好ましくは合計15%未満、最も好ましくは合計12%未満の水を含む。
【0011】
本組成物は、マイクロエマルションであってもよいが、好ましくは等方性である。組成物がマイクロエマルションである場合、油相は、全組成物の好ましくは8%未満、より好ましくは6%未満、最も好ましくは5%未満に制限される。組成物は、不透明であってもよいが、好ましくは半透明である。本発明の組成物は、好ましくは4℃未満、より好ましくは2℃未満、最も好ましくは0℃未満の凍結温度を有する。
【0012】
高2−フェニルアルキルベンゼンスルホネート
本発明は、高2フェニルアルキルベンゼンスルホネートの存在を必要とする。用語「2−フェニルアルキルベンゼン」とは、それに結合している少なくとも1個のアルキル基を有するベンゼン環であって、前記アルキル基が互いに結合している7〜16個(この間の全ての整数を含む)の任意の数の炭素原子を含んで実質的な直鎖を形成し、前記ベンゼン環が、前記実質的な直鎖の末端炭素に隣接する炭素原子において前記アルキル基に結合するものを意味する。したがって、ベンゼン環に結合している炭素原子は、2−フェニルアルキルベンゼンにおいてそれに結合しているメチル基及び別のアルキル基を有する。
【0013】
用語「2−フェニルアルキルベンゼンスルホネート」とは、アルキル基の位置に対する環上のスルホネート基の位置に関わらず、上述の2−フェニルアルキルベンゼンのベンゼン環に結合しているスルホネート基を更に含む、上に定義された2−フェニルアルキルベンゼンを意味するが、スルホネート基は、アルキル基に対してパラ位において前記ベンゼン環に結合するのが最も一般的であり好ましい。
【0014】
「2−フェニル直鎖アルキルベンゼンスルホネート」は、洗浄力の範囲及び高2フェニル異性体含有率において実質的な直鎖アルキル鎖の任意の炭素原子に付加されているベンゼン環を含む直鎖アルキルベンゼンの混合物を意味する。
【0015】
「直鎖アルキルベンゼンスルホネート又はLAS」は、スルホン化されてベンゼン環に付加されている酸性スルホネート基を含み(それによって親酸を形成する)、次いで、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、水酸化アンモニウム、水酸化アルキルアンモニウム、アルカノールアミン、又は当業者に既知の任意の化学物質のいずれかを用いて中和することによって前記親酸よりも水溶性に対する可溶性の高い形態にされて、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸と反応し、水溶性直鎖アルキルベンゼンスルホネートを形成する直鎖アルキルベンゼンを意味する。
【0016】
本発明の組成物は、20%を超える、より好ましくは24%を超える、最も好ましくは30%を超える、2フェニル異性体を含むアルキルベンゼンスルホネート界面活性剤を含む。本発明のLASは、好ましくは、UOP,LLC,Des Plaines,ILによって開発されたDETAL(商標)プロセスによって誘導される。
【0017】
本発明の組成物は、好ましくは組成物の8重量%超、より好ましくは10重量%超、最も好ましくは12%重量超の高2フェニル異性体LASを含む。別の実施形態では、組成物は、高2フェニル異性体LASと他の界面活性剤、特に、低2フェニル含有率LASを含む他のアニオン性界面活性剤との混合物を含んでもよい。好ましくは、組成物は、高2フェニル含有率LASと低2フェニル含有率LASとの混合物を含む。この実施形態では、高2フェニル含有率LASが、組成物中の全LASの少なくとも35%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%を占めることが好ましい。
【0018】
好ましい高2−フェニルLASとしては、LASの水溶性塩、好ましくはアルカリ金属、アルカノールアミン、及びアンモニウムの塩が挙げられる。また、好ましいLASは、直鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0019】
ゲル破壊剤
本発明の組成物は、61g/モル超の分子量を有するアミノアルコール化合物からなる群から選択されるゲル破壊剤を含む。より好ましくは、ゲル破壊剤は、117g/モルを超える分子量を有する。理論に束縛されるものではないが、分子量が大きいほど、ゲル破壊剤の立体障害の程度が大きくなり、ゲルを破壊する性能が高くなると考えられる。
【0020】
より好ましくは、ゲル破壊剤は、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノアミノヘキサノール、2−[(2−メトキシエチル)メチルアミノ]−エタノール、プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノブタノールアミン、イソブタノールアミン、モノペンタノールアミン、1−アミノ−3−(2−メトキシエトキシ)−2−プロパノール、2−メチル−4−(メチルアミノ)−2−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、ヘプタミノール、イソエタリン、ノルエピネフリン、スフィンゴシン、フェニルプロパノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
より好ましくは、ゲル破壊剤は、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノアミノヘキサノール、2−[(2−メトキシエチル)メチルアミノ]−エタノール、プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノブタノールアミン、イソブタノールアミン、モノペンタノールアミン、1−アミノ−3−(2−メトキシエトキシ)−2−プロパノール、2−メチル−4−(メチルアミノ)−2−ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
最も好ましいゲル破壊剤は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、6−アミノ−1−ヘキサノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
本発明のゲル破壊剤は、好ましくは1%を超える、より好ましくは1.5%を超える、より好ましくは1.8%を超える濃度で存在する。ゲル破壊剤は、好ましくは組成物の6重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは4重量%未満で存在する。
【0024】
溶媒
本組成物は、溶媒系を含んでもよい。溶媒系は、水のみ又は水と有機溶媒との混合物を含んでもよい。好適な有機溶媒としては、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレンジグリコール、メチルプロパンジオール、モノエタノールアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
本発明に係る水は、カールフィッシャーの標準法ISO760−1978によって測定される場合、組成物中に存在する全ての水を意味すると解釈される。
【0026】
溶媒系は、例えば、本発明の無水実施形態のように、存在しなくてもよいが、より典型的には約0.1%〜98%の範囲にある濃度で存在でき、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より通常的には約5%〜約25%で存在する。
【0027】
本発明の組成物は、界面活性剤と、水を含む溶媒とを含む。しかし、組成物中の全界面活性剤と全溶媒との比は、1.5:1を超える、より好ましくは2:1を超えることが必須である。誤解を避けるために、全界面活性剤とは、本発明にとって必須である高2−フェニル直鎖アルキルベンゼンスルホネートに加えて、全ての他の界面活性剤も含む。溶媒は、水を含む上記全ての溶媒を含むが、本発明のゲル破壊剤は含まない。
【0028】
任意の洗剤組成物成分
本発明の組成物は、下記のものなどの1つ以上の成分を含んでよい。
【0029】
界面活性剤又は洗浄性界面活性剤
好ましくは、本発明の組成物は、約1重量%〜80重量%の更なる界面活性剤を含んでもよい。DETAL(商標)プロセスから誘導される高2フェニル含有率LASに加えて、界面活性剤が特に好ましい。好ましくは、前記組成物は約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。
【0030】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双極性イオン、両性、若しくはカチオン性の種類のものであってもよく、又はこれらの種類の界面活性剤の相容性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性の界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(Norris、1972年5月23日発行)、同第3,919,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)、同第4,222,905号(Cockrell、1980年9月16日発行)、及び同第4,239,659号(Murphy、1980年12月16日発行)に記載されている。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0031】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体が、いくつか異なる種類の界面活性剤であってもよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩のようなアルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウム獣脂及びココヤシ石鹸である。
【0032】
本明細書に用いるのに好適な、石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」にはアシル基のアルキル部分が含まれる)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂又はココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるもののような高級アルコール(C〜C18炭素原子)の硫酸化によって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、並びにc)アルキル基が直鎖又は分枝鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載の種類のものである。組成物は、フッ化水素を用いる、より伝統的なプロセスから調製される、ある量の直鎖アルキルベンゼンスルホネートを含むことが好ましい。この例では、アルキル基中の炭素原子の平均数は、約11〜13であることが好ましく、これは、C11〜C13 LASと略される。
【0033】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、Rは、C10〜C16アルキル基又はC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、C12〜C15アルコールと、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合させたものである。
【0034】
布地ケア有益剤
組成物は布地ケア有益剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、その材料が適切な量で衣類/布地の上にあるときに、布地ケアに効果を与えるあらゆる材料を指し、例えば、布地柔軟化、着色保護、毛玉/毛羽削減、磨耗防止、皺防止、などの効果を衣類及び布地、特に綿及び綿が多い衣類並びに布地に対して与える。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、カチオン性界面活性剤、シリコーン、ポリオレフィンワックス、ラテックス、油性糖誘導体、カチオン性多糖類、ポリウレタン、脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。布地ケア有益剤は、組成物において存在する場合、好適には、組成物の約30重量%、より一般的には約1重量%〜約20重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%の濃度である。
【0035】
洗浄用酵素
本明細書で用いる好適な洗浄用酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含むカルボヒドラーゼ、並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、その技術分野で教示される濃度、例えば、Novo及びGenencorのような供給元によって推奨される濃度で使用することができる。組成物中の典型的な濃度は約0.0001%〜約5%である。酵素が存在する場合、それらは特定の実施形態では、非常に低濃度、例えば0.0001%以下で使用でき、あるいは本発明に係る高濃度、例えば約0.1%以上の濃度でより強力型洗浄剤処方に使用できる。「非生物学的」洗剤を好む消費者もいるため、本発明は酵素を含有する実施形態と酵素を含まない実施形態の両方を含む。
【0036】
乳白剤
本発明の組成物は、任意で乳白剤を含んでもよい。本発明に係る乳白剤は、組成物に溶解せず、大部分の光波長を屈折、散乱、又は吸収する固体の不活性化合物である。好適な乳白剤は、配合される系とは実質的に異なる屈折率(RI)を有する。乳白剤は、好ましくは、スチレン/アクリレートラテックス、二酸化チタン、二酸化スズ、任意の形態の変性TiO2、例えば、炭素変性TiO2又は金属でドープされた(例えば、白金、ロジウム)TiO2、又は酸化第二スズ、オキシ塩化ビスマス、又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされたTiO2/雲母、シリカでコーティングされたTiO2又は金属酸化物でコーティングされたもの、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましいスチレン/アクリレートラテックスは、商標名Acusolとして販売されているRohm & Haas Companyから入手可能なものである。ラテックスは、pHが約2〜約3であり、水中の固形分が約40%であり、粒径が約0.1マイクロメートル〜約0.5マイクロメートルであることを特徴とする。存在する場合、前記乳白剤は、組成物の0.001重量%〜2.5重量%、より好ましくは0.01重量%〜2.0重量%、最も好ましくは0.05重量%〜1.5重量%の濃度で存在する。
【0037】
酸化防止剤
本発明の組成物は酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤は、好ましくは、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トリメトキシ安息香酸(TMBA)、α,β,λ及びδトコフェノール(ビタミンE酢酸塩)、6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸(トロロクス)、1,2,ベンズイソチアゾリン−3−オン(proxel GLX)、タンニン酸、没食子酸、Tinoguard AO−6、Tinoguard TS、アスコルビン酸、アルキル化フェノール、エトキシキノン2,2,4トリメチル、1−2−ジヒドロキノリン、2,6ジ又はtert又はブチルヒドロキノン、tert、ブチル、ヒドロキシルアニソール、リグノスルホン酸及びその塩類、ベンゾフラン、ベンゾピラン、トコフェノールソルベート、ブチル化ヒドロキシル安息香酸及びその塩類、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸並びにその塩類及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩類、ジヒドロキシフマル酸及びその塩類、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい酸化防止剤は、アルカリ及びアルカリ土類金属の亜硫酸塩及び硫化水素酸塩、より好ましくは亜硫酸又は硫化水素酸ナトリウムからなる群から選択されるものである。酸化防止剤は、好ましくは0.01%〜2%、より好ましくは0.1%〜1%、最も好ましくは0.3%〜0.5%の濃度で存在する。
【0038】
沈着助剤
本明細書で使用する場合、「付着助剤」は、洗濯中に布地への布地ケア有益剤の沈着を顕著に高める、任意のカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。
【0039】
好ましくは、沈着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。本発明の両性ポリマーは、カチオン性の正味電荷も有する、即ち、これらのポリマー上にあるカチオン性電荷の合計が、アニオン性電荷の合計を上回る。付着増強剤の非限定的な例は、カチオン性多糖類、キトサン及びその誘導体、並びにカチオン性合成ポリマーである。好ましいカチオン性多糖類としては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。
【0040】
レオロジー変性剤
本発明の好適な実施形態では、組成物はレオロジー変性剤を含む。レオロジー変性剤は、非ポリマー結晶性のヒドロキシ官能性材料、組成物の水性液体マトリックスに剪断減粘特性を付与するポリマーレオロジー変性剤からなる群から選択される。結晶性のヒドロキシ官能性材料は、マトリックス中のその場での結晶化により組成物のマトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成するレオロジー変性剤である。具体的な、好適な結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤の例としては、ヒマシ油及びその誘導体が挙げられる。特に好ましいものは、硬化ヒマシ油及び水素添加ヒマシ蝋などの硬化ヒマシ油誘導体である。市販のヒマシ油系、結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤としては、Rheox,Inc.(現Elementis)製のTHIXCIN(登録商標)が挙げられる。ポリマーレオロジー変性剤は、好ましくはポリアクリレート、ポリマーゴム、その他の非ゴム多糖類、及びこれらのポリマー材料の組み合わせから選択される。好ましいポリマーゴム材料としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
ビルダー
本発明の組成物は、任意でビルダーを含んでもよい。好適なビルダーとしては、
ポリカルボキシレートビルダーとしては、米国特許第3,923,679号、第3,835,163号、第4,158,635号、第4,120,874号及び第4,102,903号に記載される環状化合物、特に脂環式化合物が挙げられる。特に好ましいのはクエン酸塩ビルダー、例えばクエン酸及びその可溶性の塩(特にナトリウム塩)である。
【0042】
他の好ましいビルダーとしては、エチレンジアミンジコハク酸及びその塩(エチレンジアミンジコハク酸、EDDS)、エチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩(エチレンジアミンテトラ酢酸、EDTA)、並びにジエチレントリアミンペンタ酢酸及びその塩(ジエチレントリアミンペンタアセテート、DTPA)、ゼオライトA、B又はMAPなどのアルミノケイ酸塩;脂肪酸又は塩、好ましくはそれらのナトリウム塩、好ましくはC12〜C18飽和及び/又は不飽和脂肪酸;並びにアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩(好ましくは炭酸ナトリウム)が挙げられる。
【0043】
漂白剤系
本明細書に好適な漂白剤には、塩素漂白剤及び酸素漂白剤が挙げられ、特に無機過水和物塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに制御された放出速度を提供するために任意でコーティングされる過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングについては英国特許第A−1466799号を参照のこと)、予形成有機ペルオキシ酸、並びに有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体及び/又は遷移金属含有漂白触媒(特にマンガン又はコバルト)との混合物が挙げられる。無機過水和物塩は、典型的には、組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で配合される。本明細書に使用するために好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体には、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;カチオン性ペルオキシ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸(pernonanoic acid)前駆体、例えば、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換型アルキルペルオキシ酸前駆体(EP−A−0170386);並びにベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(EP−A−0332294及びEP−A−0482807)が挙げられる。漂白剤前駆体は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で配合され、一方、予備成形された有機ペルオキシ酸自体は、典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で配合される。本明細書で用いるのに好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第4246612号、同第5227084号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、及びビスピリジルアミン鉄、及び関連錯体(米国特許第5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第4810410号)が挙げられる。
【0044】
香料
好ましくは、香料が本発明の洗剤組成物に組み込まれる。香料は、プレミックス液体として調製してもよく、シクロデキストリンのようなキャリア材料と結合させてもよく、あるいは封入してもよい。封入されるとき、香料は、好ましくは、メラミン/ホルムアルデヒドコーティングに封入される。出願人らは、このような香料マイクロカプセルの存在下でさえも、本系が白色を維持し、組成物の変色を防いだり低減したりすることができることを見出した。これは、香料のアルデヒド性状として更に驚くべきことであり、ホルムアルデヒドコーティングは、組成物の変色(黄変)のリスクを更に高める。
【0045】
増白剤
本発明の組成物は増白剤を含んでよい。増白剤は、洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に対する着色効果をもたらすのに十分な量で、全洗濯用洗剤組成物中に含まれる。1つの実施形態では、組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.0001重量%〜約0.5重量%、更により好ましくは組成物の約0.0001重量%〜0.3重量%を含む。
【0046】
本発明に係る好ましい市販の増白剤の例は、トリアリールメタンブルー塩基性染料;トリアリールメタンバイオレット塩基性染料;メチンブルー塩基性染料;メタンバイオレット塩基性染料;アントラキノンブルー塩基性染料;アントラキノン;バイオレット塩基性染料、アゾ染料塩基性ブルー16、塩基性ブルー65、塩基性ブルー66、塩基性ブルー67、塩基性ブルー71、塩基性ブルー159、塩基性バイオレット19、塩基性バイオレット35、塩基性バイオレット38、若しくは塩基性バイオレット48;オキサジン染料塩基性ブルー3、塩基性ブルー75、塩基性ブルー95、塩基性ブルー122、塩基性ブルー124、塩基性ブルー141、若しくはナイルブルーA;キサンテン染料塩基性バイオレット10;アルコキシル化アントラキノン高分子着色剤;アルコキシル化チオフェン;トリフェニルメタン;アントラキノン;又はこれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
最も好ましくは、増白剤は、以下の構造を特徴とする:
【化1】

(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である)。
【0048】
パールエッセンス剤
本発明の組成物は、パールエッセンス剤も含んでよい。かかるパールエッセンス剤は有機又は無機であり得るが、好ましくは無機である。最も好ましくは、パールエッセンス剤は、雲母、TiO2でコーティングされた雲母、オキシ塩化ビスマス、又はこれらの混合物から選択される。
【0049】
その他の補助剤
他の好適な洗浄補助剤の例としては、限定するものではないが、酵素安定化系;アニオン性染料のための固定剤、アニオン性界面活性剤のための錯化剤、及びこれらの混合物を含む捕捉剤;光学的光沢剤又は蛍光剤;汚れ放出ポリマー;分散剤;抑泡剤;染料;着色剤;例えばトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸などの向水性物質;色スペックル;着色ビーズ、球体又は押出品;粘土柔軟化剤及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
組成物の調製
本明細書の組成物は、一般的に配合成分を共に混合することにより調製できる。パールエッセンス材料を使用する場合、混合の後半の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、レオロジー変性剤が水の一部に分散しているプレミックスを最初に形成し、このプレミックスを残りの成分に添加することが好ましい。
【0051】
洗浄プロセス
本発明のパウチは、洗濯洗浄用途に好適である。パウチは、手洗い条件又は機械洗い条件に好適である。機械洗いの場合、パウチは分注装置から送達することができ、あるいは洗濯機ドラムの中に直接投入することもできる。
【実施例】
【0052】
以下のデータは、本発明の効果の証拠を提供する。
【0053】
組成物B及びCは、本発明の例である。組成物A、D、及びEは、本発明の効果を示さない比較組成物である。
【表1】

【0054】
実施例Fは、比較例であり、本発明の範囲内である組成物Gと直接比較することができる。
【表2】

−NH 1個あたり20個のエトキシル基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
エトキシ化チオフェン、EO(R+R)=5
【0055】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤であって、合計40%未満の水又は非アミノ官能性溶媒と、20%超の2フェニル異性体を含むアルキルベンゼンスルホネート界面活性剤と、61g/モル超の分子量を有するアミノアルコール化合物からなる群から選択されるゲル破壊剤とを含み、全界面活性剤と全溶媒との比が1:1を超える、液体洗剤。
【請求項2】
アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤が、24%を超える2フェニル異性体を含む、請求項1に記載の液体洗剤組成物。
【請求項3】
アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤が、30%を超える2フェニル異性体を含む、請求項1又は2に記載の液体洗剤組成物。
【請求項4】
ゲル破壊剤が、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノアミノヘキサノール、2−[(2−メトキシエチル)メチルアミノ]−エタノール、プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノブタノールアミン、イソブタノールアミン、モノペンタノールアミン、1−アミノ−3−(2−メトキシエトキシ)−2−プロパノール、2−メチル−4−(メチルアミノ)−2−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、ヘプタミノール、イソエタリン、ノルエピネフリン、スフィンゴシン、フェニルプロパノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項5】
ゲル破壊剤が、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノアミノヘキサノール、2−[(2−メトキシエチル)メチルアミノ]−エタノール、プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノブタノールアミン、イソブタノールアミン、モノペンタノールアミン、1−アミノ−3−(2−メトキシエトキシ)−2−プロパノール、2−メチル−4−(メチルアミノ)−2−ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項6】
前記ゲル破壊剤が、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、6−アミノ−1−ヘキサノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項7】
前記ゲル破壊剤が、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項8】
前記ゲル破壊剤が、1%を超える、より好ましくは1.5%を超える、より好ましくは1.8%を超え、4%未満の濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項9】
全界面活性剤と全水又は非アミノ官能性溶媒との比が、1.5:1を超え、より好ましくは2:1を超える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物。
【請求項10】
前記組成物が半透明である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤組成物。

【公表番号】特表2013−503963(P2013−503963A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528863(P2012−528863)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/048048
【国際公開番号】WO2011/031702
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】