説明

洗浄タンクの排水弁装置とその施工方法,これに用いる抵抗片及び排出水量の調節方法

【課題】洗浄水排出の際の排出水量を容易に調整し得て、節水を行ったり或いは洗浄タンクや現場の状況に応じて排出水量を適正に調節することができ、しかもコンパクトな洗浄タンクにも支障無く適用し得る排水弁装置を提供する。
【解決手段】洗浄タンク内の洗浄水を排水弁18の開弁によりタンク底部10の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置において、排水弁18自体に、排水弁18の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片58を脱着可能に且つ直接に取り付けておき、抵抗片58の脱着により排出水量を調節可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は洗浄タンクの排水弁装置とその施工方法,これに用いる抵抗片及び排水量の調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンク内部に貯えた洗浄水を排水弁の開弁により排出し、便器洗浄を行う排水弁装置として、従来図10に示すようなものが知られている。
同図において200は洗浄タンクで、その上部に蓋を兼用した手洗鉢202が設けられている。この手洗鉢202からは手洗吐水管204が起立する形態で設けられている。
手洗吐水管204からの手洗水は手洗鉢202に落下した後、手洗鉢202の底部の排水孔を通じて洗浄タンク200内部に落下する。
【0003】
206は洗浄タンク200内部に配設されたボールタップで、浮玉208の昇降に連動して給水及び給水停止を行う。
即ち、浮玉208が下降するとボールタップ206の弁部が開かれて吐水管210を通じ洗浄タンク200内部に給水が行なわれる。
また一方洗浄タンク200内部の水面Wの上昇につれて浮玉208が上昇し、そしてその水面Wが設定満水位に達すると、ボールタップ206の弁部が閉じて給水を停止する。
【0004】
このボールタップ206からはまた、図示しない蛇腹管から成る導水管が延び出していて、その先端部が手洗吐水管204に接続され、洗浄タンク200への給水時に、併せてこの導水管を通じて手洗吐水管204への給水が行われる。
【0005】
洗浄タンク200のタンク底部にはフロート弁から成る排水弁216が設けられており、そのフロート弁体216に対して、洗浄タンク200の壁部200Aに設けられた洗浄ハンドル220と一体に回転するL字状の作用レバー222の先端部が、鎖224を介して連結されている。
この排水弁装置では、洗浄ハンドル220が回転操作されると排水弁216がタンク底部に設けられた弁座(タンク側弁座)218から浮き上がって開弁し、ここにおいて洗浄タンク200内の洗浄水が排水口226を通じて便器に向け排出される。
【0006】
図10に示す洗浄タンク装置において、浮玉208の昇降運動は連動アーム236を介してボールタップ206の弁部に伝えられ、その弁部が開閉動作させられる。
而して浮玉208と連動アーム236とはボルト234にて連結されており、そのボルト234の浮玉208に対するねじ込み量を調節することで、浮玉208の位置を上下に調節することができる。
そしてこれにより、洗浄タンク200内の満水時における洗浄水の貯水量を調節することができる。
【0007】
詳しくは、ボルト234のねじ込み量の調節によって浮玉208の位置を上側に移動させると、洗浄タンク200内への給水の際にボールタップ206の弁部が遅く閉じるようになり、洗浄タンク200内により多くの水が給水される。
また逆に浮玉208の位置を下側に移動させると、洗浄タンク200内への給水の際にボールタップ206の弁部が早く閉じるようになり、洗浄タンク200内への給水量が少なく調節される。
【0008】
従って浮玉208の位置をボルト234により上側又は下側に調節することで、満水時における洗浄水の水面Wの位置を上下に調節することができる。
即ち洗浄タンク200への洗浄水の貯水量を調節することができる。例えば大洗浄時において10L(リットル)の洗浄水が放出される状態となっているとき、浮玉208の位置を下側に移動させることによってその洗浄水の放出水量を例えば8Lに調節して節水を行うことが可能である。
同様にして現在大洗浄時において8Lの洗浄水が排出される状態となっている場合、浮玉208の位置を更に下側に移動させることによって、洗浄水の排出量を6Lに調節し、節水を行うといったことも可能である。
【0009】
しかしながらこのようにして洗浄水の放出水量を大幅に少なくした場合、満水時における水面Wの位置が大幅に低下し、これに伴なって排出口226から洗浄水を放出する際の水の勢いが弱くなってしまう。
そしてこれにより便器洗浄の際の洗浄能率が低下し、便器洗浄を良好に行えなくなってしまうといった問題が生ずる。
【0010】
一方、排出する洗浄水の水量を少なくして節水を行うための手段として、ペットボトル等の容器を洗浄タンク内部に入れて、それによる排除体積分の水量を節水したり、或いはまた洗浄タンク内に排水弁及び排水口を大きく取り囲む仕切りを設けて、タンク内の残水量を多くし、節水を行うといったことも行われている。
例えば下記特許文献1には、大型の円形のドラムを排水弁や排水口、更にはオーバーフロー管を取り囲むように設け、それによる節水を行うようになしたものが開示されている。
しかしながらこれら何れの場合にも、近年とみにコンパクト化されている洗浄タンクでは、それら容器や仕切部材等がタンク内部の他の部材と内部干渉してしまい、実際にそれらを洗浄タンク内部に設けること事が困難であるなど、実際への適用が困難化している。
【0011】
尚、下記特許文献2にはオーバーフロー管に対して排水弁とは逆の側に水の抵抗を発生させる制動板を設け、この制動板と排水弁とを軸周りに回動可能なアームで連結し、その制動板で排水弁の閉じる速度を遅くするようになしたものが開示されている。
【0012】
しかしながらこの特許文献2に開示のものは、制動板とアームとがオーバーフロー管の逆の側に位置しており、制動片及びアームが洗浄タンク内で広いスペースを占有するため、コンパクトな洗浄タンクへの適用が難しいといった問題がある。
【0013】
【特許文献1】実開平5−10569号公報
【特許文献2】特許第3496320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、洗浄水排出の際の排出水量を容易に調整し得、節水を行ったり或いは洗浄タンクや現場の状況に応じて洗浄水の排出水量を適正に調節することができ、しかもコンパクトな洗浄タンクにも支障無く適用し得て、内部干渉等の問題を特に生じることのない排水弁装置とその施工方法,これに用いる抵抗片及び排水量の調節方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1は排水弁装置に関するもので、洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置において、前記排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取り付けてあることを特徴とする。
【0016】
請求項2は洗浄水の排出水量の調節方法に関するもので、洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の該排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取付可能となし、該抵抗片の脱着により若しくは該抵抗片の種類を異ならせることによって、前記発生する水の抵抗力を異ならせることで洗浄水の排出水量を調節することを特徴とする。
【0017】
請求項3は排水弁装置の施工方法に関するもので、この施工方法は、洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の施工方法であって、前記排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取り付けて、排水弁装置を構築することを特徴とする。
【0018】
請求項4は排水弁装置に用いられる部材としての抵抗片に関するものであって、洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の該排水弁自体に脱着可能に且つ直接に取り付けられ、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
以上のように請求項1のものは、排水弁自体に、排水弁の閉じる際に排水弁の閉方向に水の抵抗を発生させる抵抗片を着脱可能に且つ直接に取り付けたもので、この請求項1の排水弁装置によれば、排水弁が閉じる際に抵抗片に働く水の抵抗によって排水弁の閉じる速度が遅くなる。
【0020】
一方でこの抵抗片を排水弁から取り外した場合には、抵抗片に対して働く水の抵抗が無くなるため、排水弁の閉じる速度が速くなる。
従って節水の必要がある場合には、排水弁からこの抵抗片を取り外し、排水弁を速い速度で閉弁動作させるようになすことで洗浄水の排出水量を少なくすることができ、洗浄水の節水を果たすことができる。
【0021】
一方、洗浄タンクや設置現場の状況に応じて洗浄水量を多く確保しておきたい場合には、排水弁に抵抗片を付けたままとしておくことで排水弁の閉じる速度を遅くし、これにより排水弁の閉弁までの時間を長くして、より多く洗浄水を便器に向けて排出することができる。
【0022】
本発明では、抵抗片が排水弁自体に直接に着脱可能に取り付けられているため、特許文献2に開示のもののように、他の箇所に大きな専用のスペースを確保しておく必要が無く、従ってコンパクトな洗浄タンクにも支障無く適用することができ、またタンク内の他部材と内部干渉を生じるといった問題も特に生じない。
【0023】
更に本発明では、抵抗片による排水弁の閉弁動作の速度を調節することで洗浄水の排出水量を調節するものであるため、洗浄タンク内に蓄える洗浄水の水量を少なくすることによって節水を図る場合に比べ、満水時における洗浄水の水位を高く保持しておくことができ、これにより洗浄水の水の勢いを強く確保し得て、便器に対する洗浄能率を高く確保することができる。
【0024】
請求項2は洗浄水の排出水量の調節方法に関し、この調節方法では、排水弁に対する抵抗片の着脱により若しくは抵抗片の種類を異ならせることで、排水弁の閉弁の際に発生する水の抵抗力を異ならせ、これによって洗浄水の排出水量を調節するもので、この方法によれば、洗浄タンクの種類や設置現場の状況に応じ、抵抗片の着脱や種類を異ならせることで、洗浄水の排出水量を容易に適正な水量に調節することができる。
【0025】
次に請求項3は排水弁装置の施工方法に関するもので、この請求項3の施工方法によれば、洗浄タンク或いは排水弁装置の設置現場において、洗浄タンクの種類や形態或いは現場の状況に応じて排水弁装置を適正に構築することができる。即ち洗浄タンクや設置現場に応じて、適正な排出水量で洗浄水を排出するように排水弁装置を構築することができる。
【0026】
次に請求項4は、上記の排水弁装置に用いられる抵抗片に関するもので、この請求項4の抵抗片を用いることで上記請求項1〜3の発明を容易に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において10は洗浄タンクのタンク底部で、このタンク底部10には円形の排水口12と、排水口12周りから立ち上がる高さの低い円筒形状の弁座(タンク側弁座)14とが設けられている。
16はタンク底部10に設けられた、後述の排水弁18の取付部であって、タンク底部10から起立する立上り部19と、立上り部19の上端部に設けられた軸20とを有している。
【0028】
上記排水弁18は、小便時に少量の洗浄水を排出するための小洗浄用のフラッパ弁22と、大便時により多量の洗浄水を排出するための大洗浄用のフロート弁24とから成っている。
そしてそれぞれに鎖26,28の一端が接続され、それら鎖26,28の引上げによってフラッパ弁22,フロート弁24が開弁するようになっている。
尚鎖26には浮き球30が取り付けられ、その浮き球30の浮力がフラッパ弁22に働くようにされている。
【0029】
一方フロート弁24は、全体として円筒形状をなしており、その内側に洗浄水の通路32が形成されている。
また円筒部の周壁部の内部には中空部34が形成されており、フロート弁24が中空構造とされている。
そしてその中空部34に空気が封じ込められ、その空気による浮力がフロート弁24に働くようになっている。
【0030】
フラッパ弁22は、開弁によりフロート弁24の上端開口を開放し、タンク内の洗浄水をフロート弁24の内側の通路32を通じて排出させる。
また閉弁時にはフロート弁24の上端開口を閉鎖し、通路32を通じての洗浄水の排出を停止させる。
このときフラッパ弁22は、その下面に設けられたシート状のゴム等弾性材から成るパッキン36をフロート弁24の上端に弾性的に着座させて、フロート弁24の上端開口を水密にシールする。
【0031】
一方フロート弁24の下端部には着座部38が設けられており、そこにゴム等弾性材から成る円形のシート状のパッキン40が保持されている。
フロート弁24は、このパッキン40を弁座14に弾性的に当接させる状態に弁座14に着座し、排水口12を閉鎖する。
また開弁時には排水口12を開放して洗浄タンク内の洗浄水を排水口12から便器に向けて排出させる。
【0032】
フラッパ弁22及びフロート弁24は、それぞれ弁の本体部から延び出すアーム42,44を一体に有している。
フラッパ弁22のアーム42の先端部の下部には、下向きの弾性嵌合孔48が設けられており、この弾性嵌合孔48をフロート弁24のアーム44に設けられた軸部50に対して回転可能に弾性嵌合させることで、フラッパ弁22がフロート弁24に取り付けられる。
【0033】
一方フロート弁24のアーム44にも下向きの弾性嵌合孔46が設けられており、この弾性嵌合孔46を取付部16における軸部20に下向きに回転可能に弾性嵌合させることで、フロート弁24が取付部16に取り付けられる。
即ちこの弾性嵌合孔46を軸部20に弾性嵌合させることで、フロート弁24及びフラッパ弁22から成る排水弁18全体が取付部16を介してタンク底部10に取り付けられる。
【0034】
これら図1及び図2に示す排水弁装置においては、図5に示しているように鎖26を引き上げると、フラッパ弁22が軸50周りに回動して開弁し、ここにおいて小洗浄が行われる。
一方、図6に示しているように鎖28を引き上げると、フロート弁24が、即ち排水弁18全体が軸20周りに回動して開弁し、ここにおいて大洗浄が行われる。
【0035】
図3に示しているようにフラッパ弁22には、その左,右にフラッパ弁22とは別体をなす一対の抵抗片52が、フラッパ弁22の回動方向と直角方向に突出する状態で脱着可能に取り付けられている。
これら抵抗片52は板状で、ここでは平面形状が四角形状をなしており、それぞれのフラッパ弁22側の一端には図4に示しているように取付部として挟持片54,56がそれぞれ上面と下面とに且つフラッパ弁22の側に突出する状態で設けられており、これら挟持片54,56によってフラッパ弁22を上面と下面とから挟持する状態に、各抵抗片52がフラッパ弁22に脱着可能に取り付けられている。
【0036】
この排水弁装置の場合、フラッパ弁22が開状態から閉状態に閉じる際、フラッパ弁22に取り付けた抵抗片52に対して洗浄タンク内の水(洗浄水)による抵抗が働く。
このためフラッパ弁22は、その水の抵抗によって閉弁動作する際の速度が遅くなる。
そしてフラッパ弁22の閉弁動作の速度が遅くなることによって、その間により多くの洗浄タンク内の洗浄水が便器洗浄用として排出される。
【0037】
換言すれば、フラッパ弁22に抵抗片52を取り付けた状態としておくことによって、小洗浄の際の洗浄水の排出量を多く設定することができ、また一方、抵抗片52をフラッパ弁22から取り外すことで、フラッパ弁22の閉弁の際の閉弁速度を速くすることができ、これにより便器洗浄時の洗浄水の排出水量を少なくし得て節水を図ることができる。
或いはまた、抵抗片52として様々な大きさのものを用意しておいて、フラッパ弁22に取り付ける抵抗片52の種類を変えることによって、フラッパ弁22の閉弁時における閉弁動作の速度を変化させることができ、これに応じて洗浄水排出の際の排出水量を自在に調節することができる。
【0038】
本実施形態では、抵抗片52がフラッパ弁22、即ち排水弁18自体に直接に着脱可能に取り付けられているため、他の箇所に大きな専用のスペースを確保しておく必要が無く、従ってコンパクトな洗浄タンクにも支障無く適用することができ、またタンク内の他部材と内部干渉を生じるといった問題も特に生じない。
【0039】
図7及び図8は本発明の他の実施形態を示している。
この例は大洗浄用のフロート弁24に抵抗片58を脱着可能に取り付けた例である。
この実施形態では、円筒形状をなすフロート弁24の外周面に且つ外周に沿って略環状の嵌込溝60を設けている。
一方、抵抗片58は全体として略平面四角形状の板状に形成するとともに、フロート弁24の外周形状に対応した切欠部62を設け、この切欠部62において抵抗片58をフロート弁24の外周面に嵌合させた上、図8に示しているように切欠部62の内周縁部をフロート弁24の嵌込溝60に嵌め込み、以ってかかる抵抗片58をフロート弁24に脱着可能に取り付けてある。
【0040】
ここで抵抗片58の切欠部62側の各端部は、フロート弁24の周方向の位置決めをなす位置決部64として構成してあり、これら位置決部64を図8(B)に示しているようにフロート弁24のアーム44の外面に当接させることで、周方向の組付位置を規定することができる。
尚抵抗片58は、嵌込溝60への嵌込状態でフロート弁24に対しその軸方向、即ちフロート弁24の回動方向にも位置決状態に固定される。
【0041】
この図7及び図8の実施形態では、大洗浄時においてフロート弁24が閉弁動作する際、即ち排水弁18全体が閉弁動作する際、抵抗片58に働く水の抵抗によって排水弁18の閉弁速度が遅くなり、これにより洗浄水の排出流量が多くなる。
また一方洗浄水の排出流量が少なくてよく、節水を図りたい場合には、抵抗片58をフロート弁24から取り外すことで、閉弁時における排水弁18の閉弁動作を速くすることができ、閉弁完了までに排出される洗浄水の水量を少なくし得て、節水を果たすことができる。
更にまた抵抗片58の大きさを様々に変えることによって、排水弁18の閉弁速度を様々に変化させることができ、それに応じて洗浄水の排出水量を様々に調節することができる。
【0042】
この実施形態では抵抗片58による排水弁18の閉弁動作の速度を調節することで、洗浄水の排出水量を調節するものであるため、洗浄タンク内に蓄える洗浄水の水量を少なくすることによって節水を図る場合に比べ、満水時における洗浄水の水位を高く保持しておくことができ、これにより洗浄水の水の勢いを強く確保し得て、便器に対する洗浄能率を高く確保しておくことができる。
【0043】
尚、図9に示しているように場合によって小洗浄用のフラッパ弁22と、大洗浄用のフロート弁24とのそれぞれに抵抗片52,58を脱着可能に設けておくこともできる。
この場合には小洗浄時,大洗浄時の何れにおいても洗浄水量を多く確保することができ、またそれら抵抗片52,58を取り外すことで或いはまた抵抗片52,58の大きさを様々に変えることで小洗浄時,大洗浄時それぞれについて洗浄水量を所望の水量に容易に調節することができる。
【0044】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明では2枚の抵抗片を板面に沿って且つフラッパ弁22,フロート弁24の回動方向と直角方向に相対的にスライド移動可能に組み合わせておき、それらのスライド移動によって2枚の抵抗片全体の抵抗面積を大きくしたり小さくしたりすることも可能であるし、またそれぞれにスリットを設けておいて、スライド移動によりそのスリットの開度を大きくしたり小さくしたりすることで、抵抗片による抵抗の大小を調節するといったことも可能である。
また本発明は図10に示すボール状のゴム弁からなる排水弁を備えた排水弁装置に適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態である排水弁装置の図である。
【図2】同実施形態の排水弁装置を各部品に分解して示す図である。
【図3】同実施形態の排水弁装置の斜視図である。
【図4】同実施形態の要部を示した図である。
【図5】同実施形態の作用説明図である。
【図6】同実施形態の図5とは異なる作用説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態の図である。
【図8】図7の抵抗片を排水弁に組み付けた状態の図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の図である。
【図10】従来の排水弁装置を洗浄タンク装置とともに示した図である。
【符号の説明】
【0046】
10 タンク底部
12 排水口
18 排水弁
52,58 抵抗片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置において
前記排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取り付けてあることを特徴とする洗浄タンクの排水弁装置。
【請求項2】
洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の該排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取付可能となし、該抵抗片の脱着により若しくは該抵抗片の種類を異ならせることによって、前記発生する水の抵抗力を異ならせることで洗浄水の排出水量を調節することを特徴とする洗浄水の排出水量の調節方法。
【請求項3】
洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の施工方法であって
前記排水弁自体に、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる抵抗片を脱着可能に且つ直接に取り付けて、排水弁装置を構築することを特徴とする洗浄タンクの排水弁装置の施工方法。
【請求項4】
洗浄タンク内の洗浄水を排水弁の開弁によりタンク底部の排水口から便器に向けて排出するようになした洗浄タンクの排水弁装置の該排水弁自体に脱着可能に且つ直接に取り付けられ、該排水弁の閉じる際に水の抵抗を発生させる洗浄タンクの排水弁装置用の抵抗片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−19656(P2008−19656A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193348(P2006−193348)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】