説明

洗浄ノズルおよびホースの洗浄方法

【課題】管状部材の内部から開口側へ洗浄液を噴射させることにより管状部材の内面を洗浄するにあたり、洗浄ムラを生ずることなく、洗浄液の管状部材内部への逆流を防止して、洗浄効果をより高めることのできる洗浄ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル先端側から順次、ノズル周方向にわたり形成され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射スリット11と、ノズル周方向に複数にて配置され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射孔12と、を備える洗浄ノズルである。噴射孔12の形成方向aとノズル軸方向zとがねじれの関係にあり、かつ、噴射孔12の出口中心とノズル軸とを通る平面Xにおいて見た、噴射スリット11の形成方向のノズル軸方向zとなす角θと、噴射孔12の形成方向aのノズル軸方向Zとなす角θとが、θ≧θで示される関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄ノズルおよびホースの洗浄方法(以下、単に「ノズル」および「洗浄方法」とも称する)に関し、詳しくは、ホース等の管状部材の内面の洗浄に用いられる洗浄ノズルおよびこれを用いたホースの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧機器で使用される油圧ホースは、長尺で製造されたホースを用途に合わせた長さで裁断し、両端に接続用の金具を加締めて使用される。このホースの裁断の際にはホースの内面に裁断くずが付着するが、この裁断くずを放置したままホースを油圧機器で使用すると、バルブ詰まりなどの故障の原因となる。よって、裁断後には、ホースの内面を洗浄する必要がある。
【0003】
しかし、ホース内面を洗浄する際に、ホースの裁断長が長い場合には、裁断口から洗浄液を流すだけでは、裁断くずをホース内部に押し込むことになり、洗浄効果が得られない。そのため、ホース内面の洗浄においては、ホース開口側に向かい傾斜する噴射口を側面に設けたノズルを、ホースの裁断口から挿入して、ホースの内部から開口側へ洗浄液を噴射(逆噴射)させる手法が用いられている。この手法は、ホースに限らず、各種管状部材の内面の洗浄において適用可能である。
【0004】
管の内面を洗浄するために用いられるノズルに関する技術としては、例えば、特許文献1に、母体の中心に雌ネジを構成した穴を貫通させ、この穴にホースを挿入し、さらに、ホースを雌ネジと先端をふさいだニップルとで母体に圧着固定し、母体外周からホース及びニップルに複数個ノズル穴を貫通させた高圧洗浄ノズルが開示されている。また、特許文献2には、圧力水供給用ホースに接続される継手部を備えた基体と、基体にベアリングを介して支持された回転体とから成り、回転体の半球状頭部に偏心空室を形成して回転体の重心位置を回転軸線に対して偏心させるとともに、回転体の裾部に回転軸線に対して直角で半径方向に対して一側方に傾斜した方向に圧力水を噴出する複数の孔を穿設し、孔から圧力水が噴出することにより回転体が自動的に回転し、かつ、振動するようになっている暗渠排水管掃除用振動ノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−230230号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特公平1−30548号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗浄ノズルとして、ホース開口側に向かい傾斜する噴射口を側面に設けた従来構造のノズルを用いた場合、洗浄液が当たる部分だけしか裁断くず等の異物が除去されない、いわゆる洗浄ムラを生ずる場合があった。また、噴射された洗浄液が管状部材の内壁に衝突した際に、管状部材の開口側だけでなく内部側に向かっても跳ね返って、噴射された洗浄液が管状部材の内部方向に逆流することで、異物が管状部材内部に残留し、十分な洗浄効果が得られない場合もあり、洗浄効果を低減させていた。
【0007】
ここで、噴射口の形成方向がノズル軸方向に対し直角に近いほど、洗浄液は噴射圧が高いまま管状部材の内面に衝突するので、高い洗浄効果を得ることができる。しかし、その反面、噴射口の形成方向がノズル軸方向に対し直角に近いと、排水抵抗により、上述のような洗浄液の逆流が生じやすくなり、剥離除去された異物が排水方向とは逆方向に押し流されて、洗浄効果が低下することになる。よって、噴射口の形成方向を調整するのみでは十分な洗浄効果が得られるものではなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、管状部材の内部から開口側へ洗浄液を噴射させることにより管状部材の内面を洗浄するにあたり、洗浄ムラを生ずることなく、洗浄液の管状部材内部への逆流を防止して、洗浄効果をより高めることのできる洗浄ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討した結果、洗浄液を噴射する噴射口として、噴射スリットと、ノズル軸に対し特定のねじれ角を有する噴射孔とを設けるとともに、これら噴射スリットおよび噴射孔からの洗浄液の噴射方向の関係を特定することで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の洗浄ノズルは、ノズル先端側から順次、ノズル周方向にわたり形成され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射スリットと、ノズル周方向に複数にて配置され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射孔と、を備える洗浄ノズルであって、
前記噴射孔の形成方向aとノズル軸方向zとがねじれの関係にあり、かつ、該噴射孔の出口中心とノズル軸とを通る平面Xにおいて見た、前記噴射スリットの形成方向のノズル軸方向zとなす角θと、前記噴射孔の形成方向aのノズル軸方向Zとなす角θとが、θ≧θで示される関係を満足することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の洗浄ノズルにおいては、前記噴射スリットの角度θおよび前記噴射孔の角度θが、いずれも25〜35°の範囲であることが好ましい。また、前記ノズル軸を通り前記平面Xに直交する平面Yにおいて見た、前記噴射孔の形成方向aとノズル軸方向zとのなす角θが、25〜35°の範囲であることが好ましい。さらに、前記噴射スリットの開口部の総面積が、前記噴射孔の開口部の総面積の2倍以下であることも好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の洗浄ノズルは、好適には、内部に洗浄液の供給路を有し、洗浄ホースに接続されるノズル本体と、該ノズル本体に、ノズル先端側から順次、着脱自在に外嵌されるノズルヘッド、ノズルリングおよびロックナットと、を備え、該ノズルヘッドと該ノズルリングとの間に前記噴射スリットが形成され、該ノズルリングに前記噴射孔が形成され、かつ、前記ノズル本体の供給路を介して、該噴射スリットおよび該噴射孔に洗浄液が供給されるものとする。本発明の洗浄ノズルは、ホースの内面の洗浄に好適に用いることができる。
【0013】
また、本発明のホースの洗浄方法は、上記本発明の洗浄ノズルを、洗浄ホースの先端に接続した状態で、ホースの開口部から内部に挿入した後、該洗浄ホースから該洗浄ノズルに洗浄液を圧送して前記噴射スリットおよび噴射孔から洗浄液を噴射させながら、該洗浄ノズルを該ホースの内部から引き抜くことにより、ホースの内面を洗浄することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記構成としたことで、管状部材の内部から開口側へ洗浄液を噴射させることにより管状部材の内面を洗浄するにあたり、管状部材の内壁での洗浄液の跳ね返りを抑制して、洗浄液の管状部材内部への逆流を防止し、洗浄効果をより高めることのできる洗浄ノズルを実現することが可能となった。かかる本発明の洗浄ノズルを用いることで、管状部材、特にはホースの内面を、洗浄ムラを生ずることなく、均―かつ十分に洗浄することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の洗浄ノズルの一例を示す軸方向部分断面図である。
【図2】本発明に係る噴射孔により螺旋噴流が発生する状態を示す説明図である。
【図3】本発明のメカニズムを示す説明図である。
【図4】図1に示す洗浄ノズルを他の方向から見た平面図である。
【図5】本発明の洗浄ノズルの一構成例を示す軸方向部分断面図である。
【図6】本発明の洗浄ノズルの他の例を示す軸方向部分断面図である。
【図7】本発明の洗浄ノズルのさらに他の例を示す軸方向部分断面図である。
【図8】本発明の洗浄ノズルのさらに他の例を示す軸方向拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の洗浄ノズルの一例を示す軸方向部分断面図を示す。図示するように、本発明の洗浄ノズルは、円筒状であって、ノズル先端側から順次、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射スリット11および噴射孔12を備えている。ここで、本発明において噴射スリットとは、ノズル周方向にわたり形成された隙間状の噴射口を意味する。また、噴射孔は、ノズル周方向に同一ピッチで2箇所以上にて配置することができ、具体的な配置個数は、ノズルの径に応じて適宜設定することができる。
【0017】
本発明において、噴射孔12の形成方向aとノズル軸方向zとはねじれの関係を有しており、すなわち、噴射孔12は、ノズル軸方向zを通るいかなる平面にも含まれない方向に形成されている。このように、噴射孔12を、ノズルの軸線に対しねじれた方向に、所定の角度を持たせて形成し、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射することで、図2に示すように、噴射孔12から噴射された洗浄液が管状部材100の内壁に当たって、この内壁に沿って洗浄液の螺旋噴流が発生する。これにより、後述する噴射角度の条件を満足することと併せて、噴射スリット11から噴射された洗浄液が、先行するこの螺旋状の流れに乗って、管状部材100の内面に沿って流れるものとなるので、排水抵抗が小さくなって逆流が発生しにくくなることに加え、洗浄幅が広くなって、洗浄ムラの発生を防止する効果を得ることができる。
【0018】
また、本発明においては、図示するように、かかる噴射孔12の出口中心とノズル軸とを通る平面Xにおいて見た、噴射スリット11の形成方向のノズル軸方向zとなす角θと、噴射孔12の形成方向aのノズル軸方向Zとなす角θとが、θ≧θで示される関係を満足する点が重要である。ここで、上記噴射孔12の形成方向aのノズル軸方向Zとなす角θは、実質的に、噴射孔12からの洗浄液の噴射角度に相当する。
【0019】
このように、ノズル先端側の噴射スリット11の噴射角度を、ノズル後端側の噴射孔12の噴射角度と同じか、それよりも大きく、すなわち、ノズル軸方向に対し直角に近い側の角度に設定することで、洗浄液の管状部材内部への逆流を防止するメカニズムは、以下のとおりである。図3に示すように、ノズル後端側の噴射孔12から噴射角度を小さくして洗浄液L2を噴射することで、この洗浄液L2の流れにより、噴射スリット11と噴射孔12との間の大気を、管状部材100の開口側に引き寄せることができる。これにより、噴射スリット11から、ある程度噴射角度を大きくして洗浄液L1を噴射しても、この大気の流れにより、洗浄液L1は、逆流を起こすことなく、管状部材100の開口側に流れるものとなると考えられる。よって、噴射スリット11から噴射される洗浄液は、噴射孔12から噴射されるスパイラル状の洗浄液の流れに乗って管状部材100の内面に沿って流れるものとなり、噴射スリット11から噴射する洗浄液L1の噴射角度を大きくして高い洗浄効果を確保しつつ、この洗浄液L1の逆流を防止して、洗浄力を向上することが可能となるものである。すなわち、本発明の洗浄ノズルにおいては、主として、噴射スリット11が洗浄用として機能し、噴射孔12が洗浄液の排水促進用として機能する。また、本発明において、噴射スリット11の噴射角θと噴射孔12の噴射角θとがθ≧θで示される関係を満足するものとするのは、噴射孔12から噴射される洗浄液が、管状部材の内壁に当たる前に、噴射スリット11から噴射される洗浄液に干渉されることを防止するとの意味も有する。
【0020】
本発明において、上記噴射スリット11の角度θおよび噴射孔12の角度θとしては、具体的には例えば、20°〜70°の範囲で設定することができる。特には、本発明においては、噴射スリット11の角度θおよび噴射孔12の角度θがいずれも25〜35°の範囲であることが好ましい。噴射スリット11の角度を大きくし過ぎると、それだけ噴射孔12から噴射する洗浄液の流速を上げる必要があり、そのためには噴射孔12の噴射角をより鋭角にする必要が生ずる。しかし、噴射角を小さくするほど、洗浄液の圧力損失が高くなり、また、ノズルの全長を延ばす必要が生じ、好ましくない。かかる観点から、噴射スリット11の角度θおよび噴射孔12の角度θは双方が30°前後の上記範囲内であることが好ましい。また、噴射スリット11からの噴射速度をVs、噴射孔12からの噴射速度をVhとすると、噴射スリット11からの噴射に排水抵抗がかからないようにするためには、管状部材100の軸線方向の速度成分で比較した際に、(噴射スリット11からの速度成分)<(噴射孔12からの速度成分)となることが望ましい。これを、式で表すと下記のようになる。
Vs・cosθ<Vh・cosθ・cosθ
【0021】
また、本発明においては、図4に示すように、ノズル軸を通り平面Xに直交する平面Yにおいて見た、噴射孔12の形成方向aとノズル軸方向zとのなす角θが、噴射孔12の捻り角度に相当する。かかる捻り角度θは、0°を超え90°未満とすればよいが、特には、25〜35°の範囲であることが好ましい。この捻り角度θを大きくしすぎると、噴射孔12から噴射された洗浄液のノズル軸方向の速度成分が小さくなり、この速度成分が噴射スリット11よりも小さくなり過ぎると、排水抵抗が大きくなって逆流しやすくなるので、この捻り角度θは、30°前後の上記範囲内であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明においては、噴射スリット11の開口部の総面積が、噴射孔12の開口部の総面積の2倍以下であることが好ましい。噴射孔12から噴射される洗浄液の流量が噴射スリット11から噴射される洗浄液の流量より小さくなりすぎると、噴射孔12から噴射された洗浄液のノズル軸方向の速度成分が小さくなって、この速度成分が噴射スリット11よりも小さくなり過ぎると、排水抵抗が大きくなって逆流しやすくなる。このため、噴射スリット11の開口部の総面積は、噴射孔12の開口部の総面積の2倍以下であることが好ましく、少なくとも噴射孔12の開口部の総面積よりも大きくする。
【0023】
さらにまた、本発明において、噴射スリット11と噴射孔12との間の距離については、小さいほど好適である。噴射スリット11と噴射孔12との間の距離が小さいほど、噴射孔12からの洗浄液の噴射により生ずる負圧を有効利用できるためである。なお、本発明の洗浄ノズルの寸法については、洗浄対象となる管状部材の内径および内面の被洗浄部位の長さ等により適宜設決定することができ、特に制限されるものではない。
【0024】
本発明の洗浄ノズルは、具体的には、図5に示すように、ノズル本体21と、このノズル本体21にノズル先端側から順次、着脱自在に外嵌されるノズルヘッド22、ノズルリング23およびロックナット24と、を備えるものとすることができる。洗浄ノズルをこのような構成とすることで、組立てがし易く、簡易に製造可能とすることができる。
【0025】
ノズル本体21は、内部に洗浄液の供給路211を有しており、洗浄ホース(図示せず)に接続されて、供給路211を介して、噴射スリット11および噴射孔12に洗浄液を供給する。図示する例では、ノズル本体21の側面に設けられた、供給路211に連通する孔部212を通じて、噴射スリット11および噴射孔12への洗浄液の供給を行う。この孔部212は、ノズル全周にわたり均一に洗浄液を吐出させるために、均一ピッチで複数個、可能な限り多く設けることが好ましい。この際、図6,7に示すように、2つの孔部212の一方を、ノズル長手方向に沿う長孔形状の孔部212Aとしたノズル本体21Aや、2つの孔部212を繋げて1つの長孔形状の孔部212Bとしたノズル本体21Bを用いると、洗浄液の流量が効率良く稼げるので、好適である。また、ノズル本体21は、ノズルリング23へのねじ込み量を調整することにより、洗浄液の吐出量を微調整可能に形成される。
【0026】
ノズルヘッド22は、ノズル先端部をなし、管状部材100への挿入ガイドの機能を有する部材であり、ノズルリング23との間に噴射スリット11を形成する。ノズルヘッド22とノズルリング23との間の隙間量、すなわち、スリット幅により、洗浄液L1の吐出量を微調整することができる。
【0027】
ノズルリング23は、ノズル本体21から供給路211を介して供給された洗浄液を、ノズル先端側の隙間である噴射スリット11および噴射孔12へ流す機能を有する。また、ノズルリング23には、ノズル周方向に複数にて、均一ピッチで噴射孔12が設けられている。ノズルリング23には、Oリングを設けることにより、供給側からの洗浄液の漏出を防止することができる。また、ロックナット24は、洗浄液の吐出量を調整した後のネジの緩みを防止するとともに、ノズルリング23の位置を固定する機能を有する。
【0028】
本発明においては、図1に示すように、ノズル本体21の供給路211に連通する孔部212と噴射スリット11および噴射孔12との間の流路に、洗浄液の溜め部111を設けることが好ましい。ノズル本体21から噴射スリット11および噴射孔12に至る間の流路に溜め部111を設けることにより、ノズル本体21の孔部212から流れ込む洗浄液が、噴射スリット11および噴射孔12に到達する前に一旦ノズル先端側に回り込むことになる。これにより、供給路211から孔部212に流入して乱れた洗浄液の流れを整え、層流状態にすることができるので、洗浄液の噴射ムラを抑制して、ノズル周方向にわたり、より均一に洗浄液を噴射させることが可能となる。ここで、溜め部とは、ノズル軸方向における噴射スリット11および噴射孔12の開始位置よりノズル先端側に設ける洗浄液の貯留部であり、洗浄液の流れを整える効果を得るために、可能な限り大きな容量で形成することが好ましい。また、図8に示すように、溜め部111を形成するノズルヘッドの内壁221に加えて、ノズルリングの内壁231についても、断面において内角Rを有するものとすることが好ましい。これにより、洗浄液がノズル先端側から後端側に折り返す際の乱流の発生を緩和させることで、ノズル内部で発生した回転方向成分の減少を抑制することができる。この内角Rは、可能な限り大きく設定することが好適である。
【0029】
また、図示はしないが、本発明の洗浄ノズルにおいては、ノズルヘッドを、ネジを用いてノズル本体と接合させることが好ましい。これにより、ネジサイズを大きくすることで、ノズルヘッドの接合強度を向上させることができる。
【0030】
本発明の洗浄ノズルは、管状部材の開口端近傍の内面の洗浄に用いられるものであり、かかる管状部材としては、具体的には例えば、各種用途に用いられるホースやパイプ部材等を挙げることができ、中でも、ホースの内面の洗浄に特に好適である。本発明の洗浄ノズルは、常法に従い、鋼材などの金属材料等からなるものとすることができる。
【0031】
本発明において、ホースの洗浄を行う場合の手順としては、まず、上記本発明の洗浄ノズルを、洗浄ホースの先端に接続した状態で、ホースの開口部から内部に挿入する。その後、洗浄ホースから洗浄ノズルに洗浄液を圧送して、噴射スリットおよび噴射孔から洗浄液を噴射させながら、洗浄ノズルをホースの内部から引き抜くことにより、ホースの内面を洗浄する。この際の洗浄液の輸送圧やノズルの引抜き速度等については、洗浄対象となるホースの寸法や、各スリットのスリット幅等の諸条件等に応じて、常法に従い適宜決定することができ、特に制限されるものではない。また、洗浄液としては、通常、水を用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
11 噴射スリット
12 噴射孔
21,21A,21B ノズル本体
22 ノズルヘッド
23 ノズルリング
24 ロックナット
100 管状部材
111 溜め部
211 供給路
212,212A,212B 孔部
221 ノズルヘッドの内壁
231 ノズルリングの内壁
L1,L2 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル先端側から順次、ノズル周方向にわたり形成され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射スリットと、ノズル周方向に複数にて配置され、ノズル先端側から後端側に向かい洗浄液を噴射する噴射孔と、を備える洗浄ノズルであって、
前記噴射孔の形成方向aとノズル軸方向zとがねじれの関係にあり、かつ、該噴射孔の出口中心とノズル軸とを通る平面Xにおいて見た、前記噴射スリットの形成方向のノズル軸方向zとなす角θと、前記噴射孔の形成方向aのノズル軸方向Zとなす角θとが、θ≧θで示される関係を満足することを特徴とする洗浄ノズル。
【請求項2】
前記噴射スリットの角度θおよび前記噴射孔の角度θが、いずれも25〜35°の範囲である請求項1記載の洗浄ノズル。
【請求項3】
前記ノズル軸を通り前記平面Xに直交する平面Yにおいて見た、前記噴射孔の形成方向aとノズル軸方向zとのなす角θが、25〜35°の範囲である請求項1または2記載の洗浄ノズル。
【請求項4】
前記噴射スリットの開口部の総面積が、前記噴射孔の開口部の総面積の2倍以下である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の洗浄ノズル。
【請求項5】
内部に洗浄液の供給路を有し、洗浄ホースに接続されるノズル本体と、該ノズル本体に、ノズル先端側から順次、着脱自在に外嵌されるノズルヘッド、ノズルリングおよびロックナットと、を備え、該ノズルヘッドと該ノズルリングとの間に前記噴射スリットが形成され、該ノズルリングに前記噴射孔が形成され、かつ、前記ノズル本体の供給路を介して、該噴射スリットおよび該噴射孔に洗浄液が供給される請求項1〜4のうちいずれか一項記載の洗浄ノズル。
【請求項6】
ホースの内面の洗浄に用いられる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の洗浄ノズル。
【請求項7】
請求項6記載の洗浄ノズルを、洗浄ホースの先端に接続した状態で、ホースの開口部から内部に挿入した後、該洗浄ホースから該洗浄ノズルに洗浄液を圧送して前記噴射スリットおよび噴射孔から洗浄液を噴射させながら、該洗浄ノズルを該ホースの内部から引き抜くことにより、ホースの内面を洗浄することを特徴とするホースの洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−103190(P2013−103190A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249725(P2011−249725)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】